JP2004161672A - ジメチルエーテルの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】例えば5〜40重量%の水分を含んだ原料の液体メタノールを蒸発器にてメタノールと水蒸気を含むガスに気化させる。このガスに対して水分量の少ない例えば0〜10重量%の水分を含んだ還流用のメタノールを液体状態で蒸発器の上部から供給し、蒸発器内の気液接触領域において向流接触させる構成とする。この場合、メタノールよりも沸点の高い水蒸気はその一部が凝縮し、反対にメタノールが気化してガスに含まれる水蒸気濃度を低下させることができる。この結果、水を含んだ安価なメタノールを原料に用いてジメチルエーテルを製造することができる。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
メタノールを気相反応により脱水してジメチルエーテルを製造する方法において、反応器に供給する原料ガスに含まれる水の濃度を低下させる手法を備えたジメチルエーテルの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、メタノールを気相反応により脱水してジメチルエーテルを製造するための方法は、不純物をほとんど含まないメタノールを蒸発器にて加熱・気化し、このメタノールガスを原料として、ジメチルエーテル合成反応を促進させる触媒が充填されている例えば連続流通式の反応塔に供給することにより、当該触媒の活性領域において反応式(1)に示すジメチルエーテルの合成反応を進行させる手法が用いられている(例えば、特許文献1参照。)。
2CH3OH → CH3OCH3 + H2O ΔH = −23.4 kJ/mol ・・ (1)
【0003】
【特許文献1】
特開昭59−199648号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところでジメチルエーテルの製造コストを下げるためには、安価な未精製のメタノール混合物(粗メタノール)を原料として用いることが得策であるが、粗メタノール中には例えば5〜40重量%程度の水が含まれている。このように原料中に水が多く含まれていると、化学平衡により反応式(1)の反応速度が低下するとともに、逆反応の速度が増加してジメチルエーテルの反応収率が低くなる。このため水を除去するための設備例えば蒸留塔を別途設けて水を分離する必要があるが、この場合、設備、運転コストが高くなり、結局製造コストの大きな低減にはならないという問題がある。
【0005】
本発明はこのような事情に基づいてされたものであり、その目的は水を含んだ純度の低い粗メタノールを原料に用いて安価にジメチルエーテルを製造することのできる技術を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明のジメチルエーテルの製造方法は、メタノールを気相反応により脱水してジメチルエーテルを製造する方法において、
水を含んだ原料である液体メタノールを加熱し、蒸発器にてその一部を気化させる工程と、
還流用の液体メタノールを蒸発器に供給し、その還流用のメタノールと前記気化工程にて気化されたガスとを接触させて、ガス中の水蒸気を凝縮させかつ還流用の液体メタノールを蒸発させてガス中の水分濃度を減少させる工程と、
前記蒸発器にて水分濃度が減少したガスを反応器に供給してジメチルエーテルを合成する工程と、を含むことを特徴とする。
【0007】
前記還流用の液体メタノールは、前記反応器から留出するガスに含まれる未反応メタノールを分離したもの、および前記気化工程で気化せずに残存した液体に含まれる未蒸発メタノールを分離したもののうち少なくとも一方を含むものであってよい。また原料である液体メタノールは、水分濃度が例えば5重量%〜40重量%であってよく、還流用の液体メタノールは、水分濃度が例えば0重量%〜10重量%であってよい。更に前記蒸発器にて水分量が少なくなったメタノールガスの水分濃度は、例えば2重量%〜15重量%であってよい。更にまた水分濃度が例えば5重量%〜40重量%の原料のメタノールの質量流量に対して、水分濃度が例えば0重量%〜10重量%の還流用の液体メタノールを例えば20%〜100%の割合の質量流量で供給するようにしてよい。
【0008】
本発明によれば、水を含んだメタノール(粗メタノール)は蒸発器にてその一部が気化され、この気化されたガスと、別の場所から供給される還流用のメタノールとを接触させることでガス中の水分濃度を減少させることができる。即ち原料ガスとして、反応器においてジメチルエーテルの合成反応の進行速度を維持し、かつ反応器(反応領域)の小容量化を図ることのできる水分濃度に調整された状態で反応器に供給することができる。このため水を含んだ安価なメタノールを原料として用いることができると共に、設備の低コスト化を図ることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明のジメチルエーテルの製造方法の実施の形態について説明する。この実施の形態の要部は水を含んだ未精製の粗メタノールを用いてジメチルエーテルを合成する際に、蒸発装置にて当該粗メタノール中の水分濃度を低下する工程にあるが、説明の手順として初めに蒸発装置、反応塔および反応塔下流側の処理を含めたシステム全体について図1を用いて簡単に述べておく。
【0010】
先ず原料である液体メタノール(粗メタノール)は、ポンプP1および予熱器10を介して蒸発装置2に供給される。蒸発装置2ではガス中から後述する手法にて水がある程度取り除かれ、ここで気化されたガスは予熱器40aで所定の温度に加熱された後、反応塔40内に供給される。なお蒸発装置2の塔底から排出される液体は後述するメタノール回収塔60に送られる。
【0011】
上述の例えば断熱型の流通式の反応塔40に供給された原料ガスは、反応塔40の触媒層41において「従来の技術」に記載の反応式(1)で示される合成反応が進行し、ジメチルエーテル、水蒸気および未反応メタノールを含む生成ガスとなる。しかる後冷却器40bで所定の温度に冷却されてジメチルエーテル精製塔50に供給される。
【0012】
続いて反応塔40の出口ガスをジメチルエーテル精製塔50にて蒸留することにより例えば未反応メタノール、水および微量の軽質ガスが分離され、ジメチルエーテル精製塔50の上段部から所望する純度のジメチルエーテルが製品として得られる。このとき未反応メタノール及び水は塔底から排出されてメタノール回収塔60に送られ、また軽質ガスは塔頂から排出される。
【0013】
一方、上述の蒸発装置2及びジメチルエーテル精製塔50の各塔底から排出された液体は、メタノール回収塔60にて精留することにより水及び高沸点成分が分離され、この水及び高沸点成分は塔底から排出されて図示しない処理設備で処理される。またメタノールはコンデンサー60bで液化され、ポンプP2を介して還流用の液体メタノールとして蒸発装置2に供給される。
【0014】
続いてこの実施の形態の要部である蒸発装置2の一例について図2を用いて説明する。先ず図2に示すように蒸発装置2は、蒸発器(蒸発塔)20を備えている。当該蒸発器20の内部には、例えば多数の充填物からなる充填物層21が設けられている。更に蒸発器20の下段部にはリボイラー3が設けられている。
【0015】
続いて粗メタノールを上述の蒸発装置2で気化し、反応塔40に供給するまでの工程について詳述する。先ず、例えば5〜40重量%の水分、その他に微量のエタノールやパラフィン系成分などの不純物を含む粗メタノールは、粗メタノール供給口25を介して蒸発器20に液体状態で供給され、一部は気化する。一方、粗メタノールよりも水分濃度が低い例えば0〜10重量%の水を含み、メタノール回収塔60から戻されてくる還流用の液体メタノール(回収メタノール)は還流液供給管24を介して例えば粗メタノールの質量流量に対して例えば20〜100%の割合となる流量で蒸発器20の上部から還流液として供給される。
【0016】
ここで前記気化されたガスと、還流用の液体メタノールとは、気液接触領域において向流接触された際に、メタノールよりも沸点の高い水蒸気はその一部が凝縮し、反対に液体メタノールの一部が気化する。このためガスに含まれる水(水蒸気)濃度は予定とする水(水蒸気)濃度例えば2〜15重量%になる。この水分濃度が低下したガスはガス留出口27を介して留出された後、予熱器40aにて所定の温度例えば250〜350℃に加温され、反応塔40に原料ガスとして供給される。なお蒸発器20の底部のメタノールと水を含む液は排出口28を介して排出され、メタノール回収塔60に供給される。
【0017】
このような実施の形態においては、ジメチルエーテルの原料として粗メタノールを用い、ジメチルエーテルを合成する工程の前段において還流用の液体メタノールを別の場所から、例えばメタノール回収塔60から蒸発器20に供給して反応器供給ガス中の水分濃度を低下させているので原料に高純度のメタノールを必要とせず、また簡易な設備で水分濃度を低下することができるので、ジメチルエーテルを合成するにあたって低コスト化を図ることができる。即ち、本実施の形態は、反応塔に供給するガス中の水を所定の濃度まで低下させることでジメチルエーテルの合成反応の速度を維持し反応塔40の小容量化を図ること、および水を分離するための蒸留塔を設けるのではなく、上述の水分調整手法を蒸発器で行うことで設備の低コスト化を図ることに着目して実現されたものである。
【0018】
【実施例】
続いて本発明の効果を確認するために行った実施例について説明する。
(実施例1)
図3に示すように、蒸発器20として理論段4段相当のポールリングを充填した塔を使用し、リボイラー3にて加熱して原料粗メタノールの一部を気化させた。蒸発器20に供給する粗メタノール(メタノール混合物)は50kg/hであり、その組成はメタノール:74.9重量%、水:25.0重量%、その他不純物:500ppmであった。また、メタノール回収塔60から送られてくる回収メタノールは24kg/hであり、メタノール:95.0重量%、水:5.0重量%、その他不純物:400ppmからなっていた。粗メタノールは塔頂から数えて3段目相当位置に供給し、還流用の液体メタノールは塔頂に供給した。また、メタノールと水を分離するためのメタノール回収塔60として理論段数30段相当のポールリングを充填した塔を使用した。なお図3には、その結果についても併せて示している。
【0019】
(実施例1の結果)
a.蒸発器20の塔頂圧力を2.2MPaとして部分蒸発を行い、メタノール89.9重量%、水10.0重量%、その他不純物500ppmを含む気体を得た。この気体の流量は59kg/hであった。リボイラー3の熱量は、使用したスチーム量から計算して、20200kcal/hであった。
b.塔頂から得た気体を280℃まで予熱器40aで加熱した。加熱量は3200kcal/hであった。
c.反応塔40でメタノールの70%をジメチルエーテルに転化して目的物であるジメチルエーテルを合成した。ジメチルエーテル精製塔50でジメチルエーテルを分離した後に得られメタノール49.6重量%、水50.4重量%、その他不純物400ppmから成る混合物32kg/hと、前記した蒸発器20で蒸発しなかったメタノール47.1重量%、水52.8重量%、その他不純物700ppmから成る混合物15kg/hを混合し、メタノール回収塔60に供給した。
d.メタノール回収塔60の還流比を1.0とした場合、塔頂温度は72℃となり、塔頂から液体で得られる還流用の液体メタノールの純度は95.0重量%、塔底から液体で得られる水の純度は99.9重量%であり、リボイラー60aの熱量は10000kcal/hであった。
e.ここに示した加熱量はリボイラー3、予熱器40aおよびメタノール回収塔60のリボイラー60aを合わせて33400kcal/hとなる。
【0020】
(比較例1)
本例は、原料の水分調整を蒸留塔であるメタノール回収塔60で行った場合の比較例1である。図4に示すように、蒸留原料としては、不純物を含む粗メタノール(メタノール混合物)および、反応塔40の出口ガスからジメチルエーテル精製塔50でジメチルエーテルを分離した後に得られる主に未反応分のメタノールと水から成る混合物がある。これらの原料中のメタノールを水から分離するため、メタノール回収塔60として実施例1と同様に理論段30段相当のポールリングを充填した塔を使用した。両原料を混合し、10段目相当位置に供給した。粗メタノールは実施例1と同様に50kg/hであり、組成はメタノール:74.9重量%、水:25.0重量%、その他不純物:500ppmからなっていた。また、前記未反応分のメタノールと水から成る混合物は32kg/hであり、組成はメタノール:49.6重量%、水:50.4重量%、その他不純物:400ppmからなっていた。なお図4には、その結果についても併せて示している。
【0021】
(比較例1の結果)
a.メタノール回収塔60の塔頂圧力を0.13MPaとして蒸留操作を行った。
b.メタノール回収塔60の還流比を0.4とした場合、塔頂温度は74℃となり、塔頂から液体で得られるメタノールの純度は89.9重量%、塔底から液体で得られる水の純度は99.9重量%であり、リボイラー60aの熱量は20800kcal/hであった。
c.塔頂から液体で得たメタノール89.9重量%、水10.0重量%、その他不純物500ppmを含む回収メタノールの流量は59kg/hであり、反応塔40に供給するためポンプで2.3MPaまで加圧した後にケトル型の蒸発器8で気化してから280℃まで予熱器40aで加熱した。その加熱量は蒸発器8にて18900kcal/h、予熱器40aにて3200kcal/hであった。
d.ここに示した加熱量はリボイラー60aと蒸発器8、予熱器40aとを合わせて42900kcal/hとなる。
【0022】
(比較例2)
本例は、図5に示すように、粗メタノールに回収メタノール(実施例で還流用として使用した液体メタノール)を混合して水分濃度を低くした後、底部から水や高沸点成分を抜き出すことが可能なケトル型の蒸発器8で気化して原料ガスを調整する比較例2である。粗メタノールの流量と組成は実施例1と同様であった。また、メタノール回収塔60から送られてくる回収メタノールは67kg/hであり、メタノール:95.0重量%、水:5.0重量%、その他不純物:400ppmからなっていた。この両者を混合して蒸発器8に供給し加熱してメタノールを主成分とした蒸気と、水や成分を主とした液に分離した。なお、メタノールと水を分離するためのメタノール回収塔60として比較例1と同様に理論段30段相当のポールリングを充填した塔を使用し、原料は10段目相当位置に供給した。なお図5には、その結果についても併せて示している。
【0023】
(比較例2の結果)
a.蒸発器8の圧力を2.2MPaとして部分蒸発を行い、メタノール89.9重量%、水10.0重量%、その他不純物500ppmを含む気体を得た。この気体の流量は59kg/hであった。蒸発器8の熱量は24100kcal/hであった。
b.蒸発器8から得た気体を反応塔40に供給するため280℃まで予熱器40aで加熱した。その加熱量は3200kcal/hであった。
c.反応塔40でジメチルエーテルを合成した。ジメチルエーテル精製塔50でジメチルエーテルを分離した後に得られるメタノール49.6重量%、水50.4重量%、その他不純物400ppmから成る混合物32kg/hと、前記した蒸発器8で蒸発しなかったメタノール82.9重量%、水17.1重量%、その他不純物400ppmから成る混合物58kg/hを混合し、メタノール回収塔60に供給した。
d.メタノール回収塔60の還流比を0.6とした場合、塔頂温度は72℃となり、塔頂から液体で得られるメタノールの純度は95.0重量%、塔底から液体で得られる水の純度は99.9重量%であり、リボイラー60aの熱量は23300kcal/hであった。
e.ここに示した加熱量は蒸発器8、予熱器40aおよびメタノール回収塔60のリボイラー60aを合わせて50600kcal/hとなる。
【0024】
(比較例3)
本例は、図6に示すように、粗メタノールに回収メタノール(実施例1で還流用として使用した液体メタノール)を混合して水分濃度を低くする点は比較例2と同じであるが、水分調整を行うことなく全量を蒸発器8で気化して原料ガスを得る例を比較例3とする。粗メタノールの流量と組成は実施例1と同様であった。また、メタノール回収塔60から送られてくる回収メタノールは17kg/hであり、メタノール:95.0重量%、水:5.0重量%、その他不純物:400ppmからなっていた。この両者を混合して蒸発器8に供給し、全量を気化した。なお、メタノールと水を分離するためのメタノール回収塔60として実施例1と同様に理論段30段相当のポールリングを充填した塔を使用し、原料は10段目相当位置に供給した。なお図6には、その結果についても併せて示している。断熱型のジメチルエーテル合成反応器である反応塔40の触媒量は、反応塔に供給される原料ガスの水分濃度が高いことから、実施例1と同様にメタノールの70%をジメチルエーテルに転化するために実施例1の2.3倍の触媒を要した。なお、比較例3の反応塔供給原料ガスに対して実施例1と同じ触媒量で実験を行ったところ、メタノールのジメチルエーテルへの転化率は21%と低く、多量のメタノールの循環が必要となり実施例や比較例1,2に用いた装置では処理が不可能であった。
【0025】
(比較例3の結果)
a.蒸発器8の圧力を2.2MPaとして完全蒸発を行い、メタノール79.9重量%、水20.0重量%、その他不純物500ppmを含む気体を得た。この気体の流量は67kg/hであった。蒸発器8の熱量は23200kcal/hであった。
b.蒸発器8から得た気体を反応塔40に供給するため280℃まで予熱器40aで加熱した。その加熱量は3300kcal/hであった。
c.実施例1よりも2.3倍の触媒量を充填した反応塔40でジメチルエーテルを合成し、ジメチルエーテル精製塔50でジメチルエーテルを分離した後に得られるメタノール40.1重量%、水59.9重量%、その他不純物400ppmから成る混合物40kg/hをメタノール回収塔60に供給した。
d.メタノール回収塔60の還流比を1.2とした場合、塔頂温度は72℃となり、塔頂から液体で得られるメタノールの純度は95.0重量%、塔底から液体で得られる水の純度は99.9重量%であり、リボイラー60aの熱量は7400kcal/hであった。
e.ここに示した加熱量は蒸発器8と予熱器40aおよびメタノール回収塔60のリボイラー60aを合わせて33900kcal/hとなる。
【0026】
(実施例1、比較例1および比較例2の考察)
実施例1、比較例1および比較例2においては、同様の原料(粗メタノール)を用いて、ジメチルエーテル合成反応器(反応塔40)の原料として同様の気相混合物を得て、メタノールと水を分離するための蒸留塔(メタノール回収塔60)の理論段数も同様で塔底から得られた水の純度も同様であった。実施例1と比較例1を比較すると、実施例1では理論段数4段相当の蒸発器20が必要ではあるものの、比較例1に比べると加熱量合計は78%相当まで減少していることがわかる。実施例1と比較例2を比較すると、比較例2では、気相の水分濃度を抑える目的のため、蒸発器20(比較例2では蒸発器8)から液として水と共に多量のメタノールが排出されることとなり、このメタノール分はメタノール回収塔60にて回収されて、再び蒸発器20(比較例2では蒸発器8)に供給される。実施例1では、蒸発器20を理論段数4段相当とする必要があるものの、塔頂から供給される還流用の液体メタノールが蒸留塔でいえば還流液の役割を果たすことによって蒸発器20に蒸留効果を持たせ、塔底液へのメタノール排出量を減少させてメタノール回収塔での負荷を削減し、加熱量合計は比較例2に比べると66%相当まで減少していることがわかる。つまり蒸発器を理論段4段相当として塔頂から還流用の液体メタノールを供給することによって、加熱量を大幅に低減出来ることが判る。更にはメタノール回収塔のコンデンサーの冷却量も同様に低減される。
【0027】
(比較例3の考察)
実施例1と比較例3を比較すると、比較例3では反応塔40に供給される水分濃度が高く、同等な反応成績を得るために必要な触媒量が2.3倍に増加している。比較例3ではメタノール回収塔60の負荷は実施例1のほうが多いが、実施例1では蒸発器20において多量の水を蒸発させる必要がないことから、加熱量合計は比較例3に比べると98%相当であることがわかる。実施例1では、理論段数4段相当の蒸発器20を必要とするものの、触媒量を大幅に削減することが出来ることから、加熱量はほぼ同等で設備費を低減出来ることが判る。
【0028】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、メタノールを気相反応により脱水してジメチルエーテルを製造する方法において、反応器に供給する原料ガス中の水分濃度を低下させてジメチルエーテルの合成反応を行うことにより、水を含んだ安価なメタノールを原料として用いることができると共に、設備の低コスト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法を備えた蒸発装置を組み込んだジメチルエーテル製造システムの全体構成を示す説明図である。
【図2】本発明方法を備えた蒸発装置の一例を示す縦断面図である。
【図3】本発明の効果を確認するために行った実施例を示す特性図である。
【図4】本発明の効果を確認するために行った比較例を示す特性図である。
【図5】本発明の効果を確認するために行った比較例を示す特性図である。
【図6】本発明の効果を確認するために行った比較例を示す特性図である。
【符号の説明】
2 蒸発装置
20 蒸発器
21 充填物層
22 充填物支持部
24 還流液供給口
25 粗メタノール供給口
3 リボイラー
40 反応塔
50 ジメチルエーテル精製塔
60 メタノール回収塔
Claims (6)
- メタノールを気相反応により脱水してジメチルエーテルを製造する方法において、
水を含んだ原料である液体メタノールを加熱し、蒸発器にてその一部を気化させる工程と、
還流用の液体メタノールを蒸発器に供給し、その還流用のメタノールと前記気化工程にて気化されたガスとを接触させて、ガス中の水蒸気を凝縮させかつ還流用の液体メタノールを蒸発させてガス中の水分濃度を減少させる工程と、
前記蒸発器にて水分濃度が減少したガスを反応器に供給してジメチルエーテルを合成する工程と、を含むことを特徴とするジメチルエーテルの製造方法。 - 還流用の液体メタノールは、前記反応器から留出するガスに含まれる未反応メタノールを分離したもの、および前記気化工程で気化せずに残存した液体に含まれる未蒸発メタノールを分離したもののうち少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項1記載のジメチルエーテルの製造方法。
- 原料である液体メタノールは、水分濃度が5重量%〜40重量%であることを特徴とする請求項1又は2記載のジメチルエーテルの製造方法。
- 還流用の液体メタノールは、水分濃度が0重量%〜10重量%であることを特徴とする請求項1、2および3のいずれかに記載のジメチルエーテルの製造方法。
- 前記蒸発器にて水分濃度が減少したメタノールガスの水分濃度は、2重量%〜15重量%であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のジメチルエーテルの製造方法。
- 水分濃度が5重量%〜40重量%の原料のメタノールの質量流量に対して、水分濃度が0重量%〜10重量%の還流用の液体メタノールを20%〜100%の割合の質量流量で供給することを特徴とする請求項1、2および5のいずれかに記載のジメチルエーテルの製造方法。
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