JP2004159531A - リゾホスホリパーゼd活性測定方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】正確且つ迅速な試料中のリゾホスホリパーゼD活性の測定方法およびそのような測定を可能にする測定用試薬の提供。
【解決手段】試料とリゾリン脂質とを接触させる工程(酵素反応工程)に必要な試薬、および該酵素反応工程と同じ反応系で該酵素反応工程によって得られる反応生成物の生産量を測定する工程(測定工程)に必要な試薬とを含む、試料中のリゾホスホリパーゼD活性の測定用試薬。
【選択図】 なし
【解決手段】試料とリゾリン脂質とを接触させる工程(酵素反応工程)に必要な試薬、および該酵素反応工程と同じ反応系で該酵素反応工程によって得られる反応生成物の生産量を測定する工程(測定工程)に必要な試薬とを含む、試料中のリゾホスホリパーゼD活性の測定用試薬。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、主として臨床検査および生化学的基礎研究の分野で用いられるリゾホスホリパーゼD活性測定方法ならびにリゾホスホリパーゼD活性測定用試薬等に関する。
【0002】
【従来の技術】
リゾホスホリパーゼD(以下LPLDともいう)は、リゾリン脂質のリン酸ジエステル結合のうちグリセロール骨格とは反対側の結合を切断してリゾホスファチジン酸(以下LPAともいう)等を産生する酵素であり、以前から動物血漿中に存在することが示唆されていた(非特許文献1参照)。LPAはEdg(Endothelial cell differentiation gene)と呼ばれる受容体を介して細胞増殖や血小板凝集、癌細胞での浸潤促進等様々な生理活性を発揮することが報告されている(非特許文献2参照)。最近、本酵素の精製、クローニングがなされ、本酵素が従来から癌細胞運動促進因子として知られているオートタキシンと同一であることが報告された(非特許文献3および非特許文献4参照)。また、LPLDの反応産物であるLPAの血漿レベルが健常者に比べて卵巣癌、子宮体癌および子宮頸癌患者で高いことが知られている(非特許文献5参照)。さらに、動脈硬化症との関与も報告されており(非特許文献6参照)、これらの生体内作用メカニズムに注目が集まっている。
【0003】
また、本酵素はグリセロリン脂質のみでなく、スフィンゴリン脂質であるスフィンゴシルホスホリルコリン(リゾスフィンゴミエリンとも呼ぶ。以下SPCともいう)をも基質として分解し、スフィンゴシン−1−リン酸を産生することが報告されている(非特許文献4、非特許文献7参照)。スフィンゴシン−1−リン酸はリゾホスファチジン酸受容体と同じファミリーを形成するEdg受容体を介して細胞増殖や平滑筋収縮、癌細胞の浸潤抑制など様々な生理活性を示すことが知られている(非特許文献8参照)。
【0004】
ところでこれまでに知られているLPLD活性測定法としては放射標識したリゾホスファチジルコリン(以下LPCともいう)を試料と混合し、一定時間反応後、脂質を抽出、薄層クロマトグラフィーにて分離し、そのバンドの放射活性を測定する方法が知られているが、実用的なものではなかった。最近、リゾホスファチジルコリン(以下LPCという)を基質として反応生成物であるコリンを測定する方法(非特許文献3参照:徳村らの方法)等が報告されている。しかしながらこの測定方法は、LPLDによる酵素反応と、遊離したコリンの測定反応とを別々に実施するものであり、やや煩雑なものであった。また徳村らの方法では、血清や血漿のような夾雑物質を多く含有する試料を測定する際に、LPLDの酵素反応によって生じたコリンのみでなく、試料中に内在する遊離コリン、さらには内在性の過酸化水素をも測定してしまう可能性が考えられる。実際、ヒトの血液中には10μmol/L前後の遊離コリンが存在することが報告されている(非特許文献9参照)。この影響は、試料ごとに、LPLDによる酵素反応を行わないでコリン測定を行ったブランク操作を同時に行い、補正することによって理論上回避できるが、さらに操作は煩雑になり時間も要する。一方で、血清あるいは血漿中の酵素活性を測定する方法において、活性測定対象である酵素反応とその結果生じた指示物質の測定を同時に行なう方法が知られているが(非特許文献10参照)、LPLD活性を測定するにあたりその反応の有用性は報告されていない。
【0005】
【非特許文献1】
「バイオキミカ エト バイオフィジカ アクタ(Biochimica Et Biophysica Acta)」,(オランダ国),1986年,第875巻,p.31−38
【非特許文献2】
坂東浩二、他1名,「実験医学」,2000年,第18巻,第2号,p.184−191
【非特許文献3】
徳村彰、他6名,「脂質生化学研究」,日本脂質生化学研究会,2002年,第44巻,p.78−81
【非特許文献4】
青木淳賢、他6名,「脂質生化学研究」,日本脂質生化学研究会,2002年,第44巻,p.82−85
【非特許文献5】
「ザ ジャーナル オブ ザ アメリカン メディカル アソシエーション(The Journal of the American Medical Association)」,(米国),1998年8月26日,第280巻,第8号,p.719−723
【非特許文献6】
「サーキュレーション リサーチ(Circulation Research)」,(米国),2001年,第89巻,p.251−258
【非特許文献7】
「バイオキミカ エト バイオフィジカ アクタ(Biochimica Et Biophysica Acta)」,(オランダ国),2002年,第1582巻,p.18−25
【非特許文献8】
「バイオキミカ エト バイオフィジカ アクタ(Biochimica Et Biophysica Acta)」,(オランダ国),2002年,第1582巻,p.112−120
【非特許文献9】
「ニューロケミカル リサーチ(Neurochemical Research)」,(米国),1998年,第23巻,第5号,p.727−732
【非特許文献10】
「クリニカル ケミストリー(Clinical Chemistry)」,(米国),1992年,第38巻,第2号,p.211−215
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、より正確且つ迅速な試料中のLPLD活性の測定方法およびそのような測定を可能にする測定用試薬を提供することにあり、より詳しくは、試料中に内在するコリンや過酸化水素等、あるいは反応中間産物等の影響を受けないLPLD活性の測定方法ならびに測定用試薬を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、リゾリン脂質を基質とするLPLDの酵素反応工程と、当該反応により生成する反応生成物を定量する測定工程とを同じ反応系で実施し得ること、それによって測定時間を短縮化できることを見出した。さらにあらかじめ試料中に内在する内因性物質や反応中間産物を消去することによりこれらの影響を受けることなくより正確にLPLD活性を測定することに成功して本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
(1)試料とリゾリン脂質とを接触させる工程(酵素反応工程)、および該酵素反応工程によって得られる反応生成物の生産量を測定する工程(測定工程)を少なくとも含む試料中のリゾホスホリパーゼD活性を測定する方法であって、該測定工程が、該酵素反応工程を停止させることなく同一の反応系で実施されることを特徴とする方法。
(2)反応生成物の生産量を測定する工程が光学的定量を利用するものである、上記(1)記載の方法。
(3)光学的定量が、コリンオキシダーゼ、ペルオキシダーゼおよび発色剤を用いて実施されるものである、上記(2)記載の方法。
(4)発色剤が、4−アミノアンチピリンおよびトリンダー試薬である、上記(3)記載の方法。
(5)リゾリン脂質がリゾホスファチジルコリンである、上記(1)記載の方法。
【0008】
(6)リゾホスファチジルコリンが、1−ラウロイル−2−ヒドロキシ−グリセロホスホリルコリン、1−ミリストイル−2−ヒドロキシ−グリセロホスホリルコリンおよび1−パルミトイル−2−ヒドロキシ−グリセロホスホリルコリンからなる群より選択される少なくとも1種である、上記(5)記載の方法。
(7)リゾリン脂質がスフィンゴシルホスホリルコリンである、上記(1)記載の方法。
(8)試料中の内因性物質および/または反応中間産物の影響を受けないことを特徴とする、上記(1)記載の方法。
(9)内因性物質および/または反応中間産物が、コリン、ベタインアルデヒドおよび過酸化水素からなる群より選択される1種である、上記(8)記載の方法。
(10)上記(1)〜(9)のいずれか1項に記載の方法を用いて、試料中のリゾホスホリパーゼD活性を測定することを特徴とする、リゾホスホリパーゼD活性を変化させる物質のスクリーニング方法。
(11)上記(1)〜(9)のいずれか1項に記載の方法を用いて試料中のリゾホスホリパーゼD活性を測定することを特徴とする、リゾホスホリパーゼD活性が関与する疾患の予防・治療薬のスクリーニング方法。
(12)上記(1)〜(9)のいずれか1項に記載の方法を用いて試料中のリゾホスホリパーゼD活性を測定することを特徴とする、リゾホスホリパーゼD活性が関与する疾患の予防・治療薬の効果判定を行なう方法。
(13)試料とリゾリン脂質とを接触させる工程(酵素反応工程)に必要な試薬、および該酵素反応工程と同じ反応系で該酵素反応工程によって得られる反応生成物の生産量を測定する工程(測定工程)に必要な試薬とを含む、試料中のリゾホスホリパーゼD活性の測定用試薬。
(14)1試薬系である、上記(13)記載の測定用試薬。
(15)少なくともコリンオキシダーゼ、ペルオキシダーゼおよび発色剤を含む上記(14)記載の測定用試薬。
(16)発色剤が、4−アミノアンチピリンおよびトリンダー試薬である、上記(15)記載の測定用試薬。
(17)さらにリゾリン脂質を含む、上記(15)または(16)記載の測定用試薬。
(18)2試薬系である、上記(13)記載の測定用試薬。
(19)少なくともコリンオキシダーゼ、ペルオキシダーゼおよび発色剤を含む上記(18)記載の測定用試薬。
(20)発色剤が、4−アミノアンチピリンおよびトリンダー試薬である、上記(19)記載の測定用試薬。
【0009】
(21)第1試薬としてコリンオキシダーゼ、ペルオキシダーゼおよびトリンダー試薬、第2試薬として4−アミノアンチピリンを含む、上記(20)記載の測定用試薬。
(22)第1試薬としてコリンオキシダーゼ、ペルオキシダーゼおよび4−アミノアンチピリン、第2試薬としてトリンダー試薬を含む、上記(20)記載の測定用試薬。
(23)第1試薬および第2試薬の少なくとも一方にリゾリン脂質をさらに含む、上記(21)または(22)記載の測定用試薬。
(24)リゾリン脂質がリゾホスファチジルコリンである、上記(23)記載の測定用試薬。
(25)リゾホスファチジルコリンが、1−ラウロイル−2−ヒドロキシ−グリセロホスホリルコリン、1−ミリストイル−2−ヒドロキシ−グリセロホスホリルコリンおよび1−パルミトイル−2−ヒドロキシ−グリセロホスホリルコリンからなる群より選択される少なくとも1種である、上記(24)記載の測定用試薬。
(26)リゾリン脂質がスフィンゴシルホスホリルコリンである、上記(23)記載の測定用試薬。
(27)リゾホスホリパーゼD活性を変化させる物質のスクリーニングに使用されることを特徴とする、上記(13)〜(26)のいずれか1項に記載の測定用試薬。
(28)リゾホスホリパーゼD活性が関与する疾患の予防・治療薬のスクリーニングに使用されることを特徴とする、上記(13)〜(26)のいずれか1項に記載の測定用試薬。
(29)リゾホスホリパーゼD活性が関与する疾患の予防・治療薬の効果判定に使用されることを特徴とする、上記(13)〜(26)のいずれか1項に記載の測定用試薬。
【0010】
本発明のLPLD活性を測定する方法は、試料とリゾリン脂質とを接触させる工程(以下、酵素反応工程ともいう)、および該酵素反応工程と同じ反応系で該酵素反応工程によって得られる反応生成物の生産量を測定する工程(以下、測定工程ともいう)とを少なくとも含む。
【0011】
本発明は、酵素反応工程と測定工程とを同じ反応系で実施することを特徴とするが、本明細書中、「同じ反応系で実施する」とは、該測定工程が、該酵素反応工程を停止させることなく同一の反応系で実施されることを意味する。即ち、酵素反応工程と測定工程を同時に行なうか、あるいは酵素反応工程と測定工程とを時間差をつけて実施した場合であっても該酵素反応を停止することなく測定工程を開始する。例えば、後述するが、2試薬系で構成される測定試薬でもって、LPLD活性を測定する場合であっても、酵素反応工程を停止することなく測定工程を実施するという点で、本発明の「同じ反応系での実施」の範疇である。
【0012】
試料とリゾリン脂質との接触は、具体的には試料または緩衝液等の酵素反応に好適な、あるいは影響を与えない溶液で希釈した試料にリゾリン脂質を添加し、試料中に含まれるLPLDと基質であるリゾリン脂質とを反応させることによって実施される。本発明は、酵素反応工程と測定工程を同じ反応系で行なうことを特徴とするので、通常、酵素反応工程と測定工程の両方に好適な反応条件が選択される。通常、本発明のLPLD活性測定方法は以下の通りである。
【0013】
(反応温度)
基質を含め各試薬が安定であり、且つLPLDの活性を維持し得る温度であれば反応温度は特に限定されない。酵素反応工程と測定工程との反応温度が異なっていてもよいが、本発明では、酵素反応を停止させることなく同じ反応系で実施することを特徴とするので、測定の容易性、自動化等を考慮すれば両工程を通じて一定であることが好ましい。通常25〜40℃、好ましくは35〜40℃程度で測定する。
【0014】
(測定時間(反応時間))
本発明は酵素反応工程で遊離した反応生成物を測定する工程、特に光学的に定量することを含むものであり、例えば吸光度の経時的変化を測定することによって実施される。通常、酵素反応を開始してから、測定終了までは、5分〜1時間程度、好ましくは5〜30分程度である。2試薬系の測定用試薬を用いて本発明の測定方法を実施する場合は、本発明の測定方法は、第1試薬を反応系に添加してから第2試薬を添加するまでの工程(前工程)と第2試薬を反応系に添加してから測定終了までの工程(後工程)との2工程で構成される。しかしながら上述したように、酵素反応工程を停止させることなく測定工程を実施するという点で「同じ反応系」での測定である。好ましくは、前工程において試料中の内因性物質(例えば遊離コリンや過酸化水素等)や反応中間産物の影響が排除される。第1試薬および第2試薬、各々の構成成分によっても異なるが、通常、1分〜30分程度、好ましくは1分〜15分程度の前工程の後、5〜30分程度、好ましくは5〜15分程度の後工程を実施する。
【0015】
(反応pH)
LPLDが基質であるリゾリン脂質と反応し、その酵素反応ならびにその後に続く測定工程を実施し得るpHであれば反応pHは特に限定されない。酵素反応工程と測定工程との反応pHが異なっていてもよい。通常pH6.5〜9.5、好ましくはpH8程度で測定する。
【0016】
(基質濃度)
基質であるリゾリン脂質の濃度は、その種類や、他の反応条件によっても異なるが、夾雑成分の影響を受けにくく、且つ、試料中のLPLDと十分に反応し得る量であれば特に限定されず、好適な量が適宜設定される。また、本発明においては、血清や血漿を試料として用いることができ、その場合、当該試料にはリゾリン脂質が含まれ得る。従って、リゾリン脂質を含有する試料を用いる場合には、必ずしも、試薬の一成分としてリゾリン脂質を別個に添加する必要はない。
試薬の一成分として含める場合には、具体的には最終濃度0.1〜20mmol/L、好ましくは0.5〜10mmol/L、特に好ましくは1〜10mmol/L、程度である。
【0017】
本発明では酵素反応工程において遊離した反応生成物を定量することを必須とする。定量する方法としては、生じる反応生成物の種類に応じて適宜選択され、種々の当分野で通常実施されている方法が利用できる。好ましくは光学的定量を利用する方法である。
【0018】
本発明のLPLD活性測定方法を、基質であるリゾリン脂質がリゾホスファチジルコリンの場合を例にとって具体的に説明する。
【0019】
まず、酵素反応工程においてリゾホスファチジルコリンからリゾホスファチジン酸とコリンが生じる。生じたコリンにより測定工程を実施するが、測定工程はさらに幾つかの反応から構成される。即ち、酵素反応工程で産生したコリンをコリンオキシダーゼで処理して過酸化水素を産生させる反応、生じた過酸化水素をペルオキシダーゼおよび発色剤と反応させ発色させる反応(例えば、4−アミノアンチピリンとトリンダー試薬は、ペルオキシダーゼの存在下、過酸化水素により定量的に酸化縮合され色素を生成する)、発色の程度を定量化する工程(例えば吸光度の変化を測定する工程)がある。
【0020】
あらかじめ行ってもよい前工程(好ましくはあらかじめ行なう)としては、例えば「試料中の内因性物質および/または反応中間産物を消去する工程」が挙げられる。当該工程は、内在するコリンや過酸化水素、反応中間体産物であるベタインアルデヒドのLPLD活性測定への影響を反応系から消去する工程である。前工程は第1試薬(後述)を反応系に添加することによって行なわれる。コリンオキシダーゼによる遊離コリンのベタインアルデヒドおよび過酸化水素への変換、さらにベタインアルデヒドのベタイン、および過酸化水素への変換、ペルオキシダーゼによる内在性過酸化水素および/または上記の如く変換されて生じた過酸化水素の加水分解等がこの工程に含まれる。続く発色反応も所望により前工程に含めることができるが、定量化が煩雑になるため、最終的な発色自体は後工程として別に行なうことが好ましい。後工程は前工程の反応を停止させることなく第2試薬(後述)を反応系に添加することによって行なう。発色に至るまでの反応は全て前工程で行なっても良い。前工程を行なった後に、発色させ(後工程)その程度を観察し、定量化する。
前工程を行なって、試料中の内因性物質および/または反応中間産物を消去した場合には、後工程開始後観察される吸光度の変化は、反応生成物の量の変化を反映している。
【0021】
「試料」とは、LPLDの存在の有無ならびにその活性の程度を測定する対象すべてを意味し、LPLDが存在する可能性がある各種生体試料をはじめ、当該測定のための標準試料や対照試料も包含される。より具体的には、例えば全血、血清、血漿、尿、唾液、腹水、***、精漿、髄液等の臨床検査で用いられる体液成分、動物や植物の細胞抽出液、生物の細胞培養液や組織培養液といった基礎研究で使用されるもの等が挙げられる。
【0022】
本発明のLPLD活性測定方法を用いて、LPLD活性を変化させる物質をスクリーニングすることができる。ここで、「変化させる」とは、LPLD活性を増強する作用およびLPLD活性を阻害する作用の両方を意図する。
【0023】
本発明のLPLD活性測定方法を用いて、LPLD活性を変化させる物質をスクリーニングする場合、被検物質および基質である本発明のリゾリン脂質の試料中への添加の時期は、被検物質のLPLD活性に及ぼす影響が十分に反映されるように適宜設定される。例えば、当該影響が速やかに現れる場合には、被検物質と基質であるリゾリン脂質の添加をほぼ同時に行なうことができるが、通常、被検物質と試料中のLPLDとをあらかじめ十分に反応させた後、基質である本発明のリゾリン脂質を添加し、本発明のLPLD活性測定を実施する。
【0024】
本発明のスクリーニング方法によって得られるLPLD活性を変化させる物質は、例えばLPLD活性を阻害する物質であれば、当該LPLD活性の阻害作用によりLPAの産生を抑制することができ、LPAの過剰な、あるいは異常な産生に起因すると考えられる種々の疾患に好適に使用することができ、当該物質を含む薬剤は、LPLD活性が関与する疾患の予防・治療薬として有用であると考えられる。
【0025】
さらに、本発明は、本発明のLPLD活性測定方法を用いて、LPLD活性が関与する疾患の予防・治療薬をスクリーニングすることができる。すなわち、LPLD活性と相関性のある疾患の予防または治療に有用な物質のスクリーニングである。ここで「相関性のある」とは、正の相関性および負の相関性の両方を意図し、例えば罹患者の体液中のLPLD活性が健常者に比べて有意に高い場合、ならびに低い場合があり得る。健常者に比べて有意にLPLD活性が低くなる疾患については、体液中のLPLD活性低下の改善効果を指標としてスクリーニングを行い、また、健常者に比べて有意にLPLD活性が高くなる疾患については、体液中のLPLD活性上昇の抑制効果を指標としてスクリーニングを行なうことができる。具体的には、被検物質投与の前後でのLPLD活性を、本発明のLPLD活性測定方法を用いて測定し、得られた結果を被検物質投与の前後で比較することによって実施する。当該スクリーニング方法によって得られた予防・治療薬が、LPAの異常な産生に起因すると考えられる種々の疾患の治療に有用であることは、当該物質を投与された患者の体液中のLPLD活性を測定し、好ましくは経時的に測定し、その活性の変化をモニタリングすることによって確認し得る。
「LPLD活性と相関性のある」疾患としては、特にLPAとの関連性が報告されている卵巣癌、子宮体癌、子宮頸癌、動脈硬化性疾患等が挙げられる。
【0026】
本発明は試料中のLPLD活性の測定用試薬を提供する。本発明のLPLD活性の測定用試薬は、酵素反応工程に必要な試薬、および測定工程に必要な試薬とを少なくとも含む。
【0027】
酵素反応工程に必要な試薬としては、具体的には基質であるリゾリン脂質である。本発明においては、LPLDの基質となり得るリゾリン脂質であれば特に限定されず、リゾホスファチジルコリン、スフィンゴシルホスホリルコリン(リゾスフィンゴミエリン)、リゾホスファチジルエタノールアミン、リゾホスファチジルセリン、リゾホスファチジルイノシトール、1−アルキル−2−ヒドロキシ−グリセロホスホコリン(リゾPAF)、1−アルキル−2−アセチル−グリセロホスホコリン(PAF)、1−アルケニル−2−ヒドロキシ−グリセロホスホコリン(コリンリゾプラスマローゲン)等が挙げられるが、好ましくはリゾホスファチジルコリンおよびスフィンゴシルホスホリルコリンである。リゾホスファチジルコリンとしては具体的には、1−ラウロイル−2−ヒドロキシ−グリセロホスホリルコリン、1−ミリストイル−2−ヒドロキシ−グリセロホスホリルコリンおよび1−パルミトイル−2−ヒドロキシ−グリセロホスホリルコリン等が挙げられる。スフィンゴシルホスホリルコリンとしては具体的には、そのスフィンゴシン骨格として、スフィンゴシンを有するもの、ジヒドロスフィンゴシンを有するもの、C20−スフィンゴシンを有するもの、C20−ジヒドロスフィンゴシンを有するもの、フィトスフィンゴシンを有するもの等が挙げられ、いずれも、商業的に入手可能かまたは公知の方法を適宜組み合わせて好適に製造することができる。
【0028】
測定工程に必要な試薬としては、上記した、測定工程を構成する各反応に必須の試薬であって、例えば、基質がリゾホスファチジルコリンの場合、LPLDとリゾホスファチジルコリンとの酵素反応工程で得られるコリンから過酸化水素を産生させるのに必要なコリンオキシダーゼ、生じた過酸化水素を発色させる為のペルオキシダーゼおよび発色剤が例示される。発色剤としては、例えば、カップリング反応によって発色させる4−アミノアンチピリンおよびトリンダー試薬の組合わせが例示される。4−アミノアンチピリンとトリンダー試薬とのカップリング反応以外にペルオキシダーゼ存在下に過酸化水素の発色に利用できる酸化系発色剤としては、2,2’−アジノ−ビス(3−エチルベンゾチアゾリノン−6−スルホン酸、3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン、ビス[4−(N−アルキル−N−スルホプロピル)アミノ−2,6−ジメチルフェニル]メタン、10−(カルボキシメチルアミノカルボニル)−3,7−ビス(ジメチルアミノ)フェノチアジンナトリウム等が挙げられる。トリンダー試薬としては、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3−メチルアニリン、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3,5−ジメトキシアニリン、N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3,5−ジメトキシアニリン、N−エチル−N−(3−メチルフェニル)−N−サクシニルエチレンジアミン等が挙げられる。4−アミノアンチピリンの代わりに、3−メチル−2−ベンゾチアゾリノンヒドラゾン、アミノジフェニルアミン等を用いることもできる。トリンダー試薬の代わりに、フェノール、及びその誘導体を用いることもできる。いずれの試薬も商業的に入手可能かまたは公知の方法によって製造することができる。
【0029】
上記した、酵素反応工程に必要な試薬と測定工程に必要な試薬は、全て混合し1試薬として提供されてもよく、また個別に保存し、用時混合することによって1試薬として反応系に添加され得る状態で提供されてもよい。このような状態にあるLPLD活性測定用試薬を1試薬系の測定用試薬とも称する。本発明のLPLD活性測定用試薬は、前工程に用いる試薬(第1試薬)および後工程に用いる試薬(第2試薬)の2試薬系として提供されてもよい。
【0030】
本発明のLPLD活性測定用試薬を、基質であるリゾリン脂質がリゾホスファチジルコリンの場合を例にとって具体的に説明する。
1試薬系の場合、本発明の測定用試薬は、少なくともコリンオキシダーゼ、ペルオキシダーゼ、発色剤を含み、好ましくはさらに基質であるリゾリン脂質を含む。それぞれの試薬の詳細は上述の通りである。2試薬系の場合、本発明の測定用試薬は第1試薬と第2試薬から構成される。各試薬の構成は、第1試薬および第2試薬をあわせて少なくともコリンオキシダーゼ、ペルオキシダーゼ、発色剤を含む(好ましくはさらに基質であるリゾリン脂質を含む)ものであれば特に限定されない。発色剤が複数の試薬からなる場合には、測定工程において発色され得る限り、個々を別々の試薬に含めることもできる。特に、後工程で発色させたい場合には別々に各試薬に含め、第2試薬添加後発色されるようにしておくことが好ましい。例えば発色剤として4−アミノアンチピリンとトリンダー試薬を用いる場合には、4−アミノアンチピリンとトリンダー試薬の一方を第1試薬に、もう一方を第2試薬に含める。試料が血清や血漿のように潜在的にリゾリン脂質を含んでいる場合には基質としてのリゾリン脂質を必ずしも試薬中に含める必要はない。
【0031】
内因性物質および/または反応中間産物の消去を前工程で行なう場合には、コリンオキシダーゼとペルオキシダーゼは第1試薬に含める。コリンオキシダーゼおよび/またはペルオキシダーゼを第2試薬に含めた場合には、前工程で内因性物質および/または反応中間産物を消去することはできないが、その場合、第2試薬添加後、一定時間経過した後に経時的に光学的定量を行なえば、遊離コリンなどの内因性物質の影響を受けずに測定することができる。
【0032】
当該測定用試薬には上記した各工程に必須な試薬に加え、賦形剤、緩衝剤、安定化剤、防腐剤等の添加剤を含んでいてもよく、さらに必要に応じて酵素の活性化剤や夾雑物質の影響緩和剤を配合することもできる。これらの添加剤は、上記した各工程に必須な要素にあらかじめ混合しておいても、または用時混合することによって反応系に加えられるものであってもよい。本発明の測定用試薬に含められる各試薬の形態は、乾燥粉末状、液状等特に制限されるものではない。また、乾燥粉末状に製した場合等、使用時に溶解、希釈等の処理が必要な場合には、当該処理に必要な要素(例えば緩衝液等)を含めておいてもよい。溶解、希釈等の処理に必要な溶液は、基質等の溶解性に応じて選択され、緩衝液等の水系のものであっても、有機溶媒系であってもかまわない。当該酵素反応工程や測定工程に必要な要素の他に、反応用容器や、マニュアル等も併せて梱包してキット化しておくことも、簡便性という観点から好ましい。LPLD活性を変化させる物質のスクリーニングあるいはLPLD活性を変化させる作用を有する薬剤の効果判定に使用されるLPLD測定用試薬キットには、LPLDを含有する試料(好ましくは既知量のLPLDを含有する試料)を含めることが好ましい。当該キットにLPLD(好ましくは既知量の)を含有する試料をあらかじめ含めておくことで、被検物質あるいは被検薬剤の添加時および未添加時のLPLD活性の変化をより正確に測定することができる。
【0033】
【実施例】
以下、本発明を実施例にて具体的且つ詳細に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。
【0034】
(実施例1.活性測定1:反応pH)
pHの異なる以下の試薬を調製した。
試薬A(第1試薬)
トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン 100mmol/L
トリトンX−100 0.01%
ペルオキシダーゼ(西洋ワサビ由来:東洋紡績株式会社) 10U/mL
N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3−メチルアニリン;トリンダー試薬 2mmol/L
コリンオキシダーゼ(アースロバクター由来:旭化成株式会社) 10U/mL
1−パルミトイル−2−ヒドロキシ−グリセロホスホリルコリン(合成:アバンチ ポーラ リピッズ(Avanti Polar Lipids Inc.)) 1mmol/L
試薬B(第2試薬)
トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン 100mmol/L
トリトンX−100 0.01%
4−アミノアンチピリン 2mmol/L
pHはそれぞれ7.0、7.5、8.0、8.5、9.0および9.5に調整した。
【0035】
生理食塩水、組換えLPLD(図中、LPLDと略記;WO02/053569号公報参照)、および市販の管理血清「コンセーラ(日水製薬)」12μLに試薬Aを240μL加え、37℃で15分間前反応させた(前工程)。これに試薬Bを80μL加えて37℃で15分間反応させ、その時の主波長548nm、副波長700nmでの1分間あたりの吸光度変化量を測定した(後工程)。生化学用自動分析装置TBA80FR NEO(東芝製)で測定した際の結果を、図1に示す。その結果、組換えLPLD(LPLD)、市販管理血清ともにpH8.0をピークとする反応pHを示した。
【0036】
(実施例2.活性測定2:基質濃度)
実施例1で示した試薬Aに含まれる1−パルミトイル−2−ヒドロキシ−グリセロホスホリルコリンの濃度を、それぞれ0mmol/L、0.1mmol/L、1.0mmol/L、2.0mmol/L、5.0mmol/L、10mmol/Lと変化させ、pH8.0において同様の操作にて生理食塩水および組換えLPLDを測定した。図2に示すごとく、基質濃度に依存した組換えLPLD活性の亢進が認められた。
【0037】
(実施例3.スフィンゴシルホスホリルコリンの合成)
牛脳由来のスフィンゴミエリン3.6gを含水メタノール性1規定塩酸200mL中、70℃で約20時間加水分解し、冷却後、ヘキサン200mLで3回洗浄する。生じた遊離脂肪酸を抽出除去する。残渣を減圧乾固し、得られた乾固物2.55gをSiO2(70g:ワコーゲル C−200)カラムクロマトグラフィー(溶出溶媒▲1▼クロロホルム:メタノール(95:5)、▲2▼クロロホルム:メタノール:水(85:15:1.5)、▲3▼クロロホルム:メタノール:水(65:35:8)の順に溶出)により、粗スフィンゴシルホスホリルコリン1.16gを得た。同様の操作により得られた粗スフィンゴシルホスホリルコリンを合わせ、計2.26gの粗スフィンゴシルホスホリルコリンを、再度SiO2(40g:ワコーゲル C−200)カラムクロマトグラフィー(溶出溶媒▲1▼クロロホルム:メタノール(9:1)、▲2▼クロロホルム:メタノール:水(65:25:2)、▲3▼クロロホルム:メタノール:水(60:35:4)の順に溶出)により精製し、目的物2.0gを得た。
【0038】
(実施例4.活性測定3:基質の種類)
実施例1で示した試薬Aに含まれる1−パルミトイル−2−ヒドロキシ−グリセロホスホリルコリン(以下、パルミトイルとも略記)に代わり、1−ラウロイル−2−ヒドロキシ−グリセロホスホリルコリン(以下、ラウロイルとも略記)、1−ミリストイル−2−ヒドロキシ−グリセロホスホリルコリン(以下、ミリストイルとも略記)、スフィンゴシルホスホリルコリン(SPC)をそれぞれ1mmol/L加え、pH8.0において同様の操作にて生理食塩水および組換えLPLD(LPLD)を測定した。その結果、図3に示すように、ラウロイル>ミリストイル>パルミトイルの順で反応は強くなったが、1−パルミトイル−2−ヒドロキシ−グリセロホスホリルコリンでも十分測定し得る感度が得られた。また、SPCもLPCと同程度の反応を示したことにより、スフィンゴシン−1−リン酸合成活性も測定できることが確認された。
(実施例5.吸光度の経時変化)
実施例1で示した試薬A、BそれぞれのpHを8.0に調整し、同様の操作にて生理食塩水、組換えLPLD、および1mmol/Lの塩化コリンを測定し、その時の吸光度の経時変化を図4に示す。LPLDでは第2試薬添加後、吸光度は一定の割合で経時的に上昇したが、生理食塩水や塩化コリンではほとんど吸光度の上昇は見られなかった。
【0039】
【発明の効果】
リゾリン脂質を基質とするLPLDの酵素反応工程と、当該反応により生成する反応生成物を定量する測定工程とを酵素反応工程を停止させることなく同じ反応系で同時に行なうことによって測定時間の短縮化、自動化による大量処理が可能となる。また、あらかじめ内因性物質および/または反応中間産物の消去反応を行なうことによって、試料中に内在する内因性物質や反応中間産物の影響を受けず正確度が増す。
【図面の簡単な説明】
【図1】反応pHを種々に変化させ、血清試料(コンセーラ)および組換えLPLD(LPLD)溶液について本発明のLPLD活性測定方法を実施した場合の結果を示すグラフである。コントロールとしては生理食塩水を用いた。
【図2】基質濃度を種々に変化させ、組換えLPLD(LPLD)溶液について本発明のLPLD活性測定方法を実施した場合の結果を示すグラフである。コントロールとしては生理食塩水を用いた。
【図3】基質の種類を種々に変化させ、組換えLPLD(LPLD)溶液について本発明のLPLD活性測定方法を実施した場合の結果を示すグラフである。コントロールとしては生理食塩水を用いた。
【図4】試料として、生理食塩水、組換えLPLD(LPLD)、および1mmol/Lの塩化コリン(コリン)を用い、本発明のLPLD活性測定方法を実施した。その時の吸光度の経時変化を示すグラフである。
【発明の属する技術分野】
本発明は、主として臨床検査および生化学的基礎研究の分野で用いられるリゾホスホリパーゼD活性測定方法ならびにリゾホスホリパーゼD活性測定用試薬等に関する。
【0002】
【従来の技術】
リゾホスホリパーゼD(以下LPLDともいう)は、リゾリン脂質のリン酸ジエステル結合のうちグリセロール骨格とは反対側の結合を切断してリゾホスファチジン酸(以下LPAともいう)等を産生する酵素であり、以前から動物血漿中に存在することが示唆されていた(非特許文献1参照)。LPAはEdg(Endothelial cell differentiation gene)と呼ばれる受容体を介して細胞増殖や血小板凝集、癌細胞での浸潤促進等様々な生理活性を発揮することが報告されている(非特許文献2参照)。最近、本酵素の精製、クローニングがなされ、本酵素が従来から癌細胞運動促進因子として知られているオートタキシンと同一であることが報告された(非特許文献3および非特許文献4参照)。また、LPLDの反応産物であるLPAの血漿レベルが健常者に比べて卵巣癌、子宮体癌および子宮頸癌患者で高いことが知られている(非特許文献5参照)。さらに、動脈硬化症との関与も報告されており(非特許文献6参照)、これらの生体内作用メカニズムに注目が集まっている。
【0003】
また、本酵素はグリセロリン脂質のみでなく、スフィンゴリン脂質であるスフィンゴシルホスホリルコリン(リゾスフィンゴミエリンとも呼ぶ。以下SPCともいう)をも基質として分解し、スフィンゴシン−1−リン酸を産生することが報告されている(非特許文献4、非特許文献7参照)。スフィンゴシン−1−リン酸はリゾホスファチジン酸受容体と同じファミリーを形成するEdg受容体を介して細胞増殖や平滑筋収縮、癌細胞の浸潤抑制など様々な生理活性を示すことが知られている(非特許文献8参照)。
【0004】
ところでこれまでに知られているLPLD活性測定法としては放射標識したリゾホスファチジルコリン(以下LPCともいう)を試料と混合し、一定時間反応後、脂質を抽出、薄層クロマトグラフィーにて分離し、そのバンドの放射活性を測定する方法が知られているが、実用的なものではなかった。最近、リゾホスファチジルコリン(以下LPCという)を基質として反応生成物であるコリンを測定する方法(非特許文献3参照:徳村らの方法)等が報告されている。しかしながらこの測定方法は、LPLDによる酵素反応と、遊離したコリンの測定反応とを別々に実施するものであり、やや煩雑なものであった。また徳村らの方法では、血清や血漿のような夾雑物質を多く含有する試料を測定する際に、LPLDの酵素反応によって生じたコリンのみでなく、試料中に内在する遊離コリン、さらには内在性の過酸化水素をも測定してしまう可能性が考えられる。実際、ヒトの血液中には10μmol/L前後の遊離コリンが存在することが報告されている(非特許文献9参照)。この影響は、試料ごとに、LPLDによる酵素反応を行わないでコリン測定を行ったブランク操作を同時に行い、補正することによって理論上回避できるが、さらに操作は煩雑になり時間も要する。一方で、血清あるいは血漿中の酵素活性を測定する方法において、活性測定対象である酵素反応とその結果生じた指示物質の測定を同時に行なう方法が知られているが(非特許文献10参照)、LPLD活性を測定するにあたりその反応の有用性は報告されていない。
【0005】
【非特許文献1】
「バイオキミカ エト バイオフィジカ アクタ(Biochimica Et Biophysica Acta)」,(オランダ国),1986年,第875巻,p.31−38
【非特許文献2】
坂東浩二、他1名,「実験医学」,2000年,第18巻,第2号,p.184−191
【非特許文献3】
徳村彰、他6名,「脂質生化学研究」,日本脂質生化学研究会,2002年,第44巻,p.78−81
【非特許文献4】
青木淳賢、他6名,「脂質生化学研究」,日本脂質生化学研究会,2002年,第44巻,p.82−85
【非特許文献5】
「ザ ジャーナル オブ ザ アメリカン メディカル アソシエーション(The Journal of the American Medical Association)」,(米国),1998年8月26日,第280巻,第8号,p.719−723
【非特許文献6】
「サーキュレーション リサーチ(Circulation Research)」,(米国),2001年,第89巻,p.251−258
【非特許文献7】
「バイオキミカ エト バイオフィジカ アクタ(Biochimica Et Biophysica Acta)」,(オランダ国),2002年,第1582巻,p.18−25
【非特許文献8】
「バイオキミカ エト バイオフィジカ アクタ(Biochimica Et Biophysica Acta)」,(オランダ国),2002年,第1582巻,p.112−120
【非特許文献9】
「ニューロケミカル リサーチ(Neurochemical Research)」,(米国),1998年,第23巻,第5号,p.727−732
【非特許文献10】
「クリニカル ケミストリー(Clinical Chemistry)」,(米国),1992年,第38巻,第2号,p.211−215
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、より正確且つ迅速な試料中のLPLD活性の測定方法およびそのような測定を可能にする測定用試薬を提供することにあり、より詳しくは、試料中に内在するコリンや過酸化水素等、あるいは反応中間産物等の影響を受けないLPLD活性の測定方法ならびに測定用試薬を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、リゾリン脂質を基質とするLPLDの酵素反応工程と、当該反応により生成する反応生成物を定量する測定工程とを同じ反応系で実施し得ること、それによって測定時間を短縮化できることを見出した。さらにあらかじめ試料中に内在する内因性物質や反応中間産物を消去することによりこれらの影響を受けることなくより正確にLPLD活性を測定することに成功して本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
(1)試料とリゾリン脂質とを接触させる工程(酵素反応工程)、および該酵素反応工程によって得られる反応生成物の生産量を測定する工程(測定工程)を少なくとも含む試料中のリゾホスホリパーゼD活性を測定する方法であって、該測定工程が、該酵素反応工程を停止させることなく同一の反応系で実施されることを特徴とする方法。
(2)反応生成物の生産量を測定する工程が光学的定量を利用するものである、上記(1)記載の方法。
(3)光学的定量が、コリンオキシダーゼ、ペルオキシダーゼおよび発色剤を用いて実施されるものである、上記(2)記載の方法。
(4)発色剤が、4−アミノアンチピリンおよびトリンダー試薬である、上記(3)記載の方法。
(5)リゾリン脂質がリゾホスファチジルコリンである、上記(1)記載の方法。
【0008】
(6)リゾホスファチジルコリンが、1−ラウロイル−2−ヒドロキシ−グリセロホスホリルコリン、1−ミリストイル−2−ヒドロキシ−グリセロホスホリルコリンおよび1−パルミトイル−2−ヒドロキシ−グリセロホスホリルコリンからなる群より選択される少なくとも1種である、上記(5)記載の方法。
(7)リゾリン脂質がスフィンゴシルホスホリルコリンである、上記(1)記載の方法。
(8)試料中の内因性物質および/または反応中間産物の影響を受けないことを特徴とする、上記(1)記載の方法。
(9)内因性物質および/または反応中間産物が、コリン、ベタインアルデヒドおよび過酸化水素からなる群より選択される1種である、上記(8)記載の方法。
(10)上記(1)〜(9)のいずれか1項に記載の方法を用いて、試料中のリゾホスホリパーゼD活性を測定することを特徴とする、リゾホスホリパーゼD活性を変化させる物質のスクリーニング方法。
(11)上記(1)〜(9)のいずれか1項に記載の方法を用いて試料中のリゾホスホリパーゼD活性を測定することを特徴とする、リゾホスホリパーゼD活性が関与する疾患の予防・治療薬のスクリーニング方法。
(12)上記(1)〜(9)のいずれか1項に記載の方法を用いて試料中のリゾホスホリパーゼD活性を測定することを特徴とする、リゾホスホリパーゼD活性が関与する疾患の予防・治療薬の効果判定を行なう方法。
(13)試料とリゾリン脂質とを接触させる工程(酵素反応工程)に必要な試薬、および該酵素反応工程と同じ反応系で該酵素反応工程によって得られる反応生成物の生産量を測定する工程(測定工程)に必要な試薬とを含む、試料中のリゾホスホリパーゼD活性の測定用試薬。
(14)1試薬系である、上記(13)記載の測定用試薬。
(15)少なくともコリンオキシダーゼ、ペルオキシダーゼおよび発色剤を含む上記(14)記載の測定用試薬。
(16)発色剤が、4−アミノアンチピリンおよびトリンダー試薬である、上記(15)記載の測定用試薬。
(17)さらにリゾリン脂質を含む、上記(15)または(16)記載の測定用試薬。
(18)2試薬系である、上記(13)記載の測定用試薬。
(19)少なくともコリンオキシダーゼ、ペルオキシダーゼおよび発色剤を含む上記(18)記載の測定用試薬。
(20)発色剤が、4−アミノアンチピリンおよびトリンダー試薬である、上記(19)記載の測定用試薬。
【0009】
(21)第1試薬としてコリンオキシダーゼ、ペルオキシダーゼおよびトリンダー試薬、第2試薬として4−アミノアンチピリンを含む、上記(20)記載の測定用試薬。
(22)第1試薬としてコリンオキシダーゼ、ペルオキシダーゼおよび4−アミノアンチピリン、第2試薬としてトリンダー試薬を含む、上記(20)記載の測定用試薬。
(23)第1試薬および第2試薬の少なくとも一方にリゾリン脂質をさらに含む、上記(21)または(22)記載の測定用試薬。
(24)リゾリン脂質がリゾホスファチジルコリンである、上記(23)記載の測定用試薬。
(25)リゾホスファチジルコリンが、1−ラウロイル−2−ヒドロキシ−グリセロホスホリルコリン、1−ミリストイル−2−ヒドロキシ−グリセロホスホリルコリンおよび1−パルミトイル−2−ヒドロキシ−グリセロホスホリルコリンからなる群より選択される少なくとも1種である、上記(24)記載の測定用試薬。
(26)リゾリン脂質がスフィンゴシルホスホリルコリンである、上記(23)記載の測定用試薬。
(27)リゾホスホリパーゼD活性を変化させる物質のスクリーニングに使用されることを特徴とする、上記(13)〜(26)のいずれか1項に記載の測定用試薬。
(28)リゾホスホリパーゼD活性が関与する疾患の予防・治療薬のスクリーニングに使用されることを特徴とする、上記(13)〜(26)のいずれか1項に記載の測定用試薬。
(29)リゾホスホリパーゼD活性が関与する疾患の予防・治療薬の効果判定に使用されることを特徴とする、上記(13)〜(26)のいずれか1項に記載の測定用試薬。
【0010】
本発明のLPLD活性を測定する方法は、試料とリゾリン脂質とを接触させる工程(以下、酵素反応工程ともいう)、および該酵素反応工程と同じ反応系で該酵素反応工程によって得られる反応生成物の生産量を測定する工程(以下、測定工程ともいう)とを少なくとも含む。
【0011】
本発明は、酵素反応工程と測定工程とを同じ反応系で実施することを特徴とするが、本明細書中、「同じ反応系で実施する」とは、該測定工程が、該酵素反応工程を停止させることなく同一の反応系で実施されることを意味する。即ち、酵素反応工程と測定工程を同時に行なうか、あるいは酵素反応工程と測定工程とを時間差をつけて実施した場合であっても該酵素反応を停止することなく測定工程を開始する。例えば、後述するが、2試薬系で構成される測定試薬でもって、LPLD活性を測定する場合であっても、酵素反応工程を停止することなく測定工程を実施するという点で、本発明の「同じ反応系での実施」の範疇である。
【0012】
試料とリゾリン脂質との接触は、具体的には試料または緩衝液等の酵素反応に好適な、あるいは影響を与えない溶液で希釈した試料にリゾリン脂質を添加し、試料中に含まれるLPLDと基質であるリゾリン脂質とを反応させることによって実施される。本発明は、酵素反応工程と測定工程を同じ反応系で行なうことを特徴とするので、通常、酵素反応工程と測定工程の両方に好適な反応条件が選択される。通常、本発明のLPLD活性測定方法は以下の通りである。
【0013】
(反応温度)
基質を含め各試薬が安定であり、且つLPLDの活性を維持し得る温度であれば反応温度は特に限定されない。酵素反応工程と測定工程との反応温度が異なっていてもよいが、本発明では、酵素反応を停止させることなく同じ反応系で実施することを特徴とするので、測定の容易性、自動化等を考慮すれば両工程を通じて一定であることが好ましい。通常25〜40℃、好ましくは35〜40℃程度で測定する。
【0014】
(測定時間(反応時間))
本発明は酵素反応工程で遊離した反応生成物を測定する工程、特に光学的に定量することを含むものであり、例えば吸光度の経時的変化を測定することによって実施される。通常、酵素反応を開始してから、測定終了までは、5分〜1時間程度、好ましくは5〜30分程度である。2試薬系の測定用試薬を用いて本発明の測定方法を実施する場合は、本発明の測定方法は、第1試薬を反応系に添加してから第2試薬を添加するまでの工程(前工程)と第2試薬を反応系に添加してから測定終了までの工程(後工程)との2工程で構成される。しかしながら上述したように、酵素反応工程を停止させることなく測定工程を実施するという点で「同じ反応系」での測定である。好ましくは、前工程において試料中の内因性物質(例えば遊離コリンや過酸化水素等)や反応中間産物の影響が排除される。第1試薬および第2試薬、各々の構成成分によっても異なるが、通常、1分〜30分程度、好ましくは1分〜15分程度の前工程の後、5〜30分程度、好ましくは5〜15分程度の後工程を実施する。
【0015】
(反応pH)
LPLDが基質であるリゾリン脂質と反応し、その酵素反応ならびにその後に続く測定工程を実施し得るpHであれば反応pHは特に限定されない。酵素反応工程と測定工程との反応pHが異なっていてもよい。通常pH6.5〜9.5、好ましくはpH8程度で測定する。
【0016】
(基質濃度)
基質であるリゾリン脂質の濃度は、その種類や、他の反応条件によっても異なるが、夾雑成分の影響を受けにくく、且つ、試料中のLPLDと十分に反応し得る量であれば特に限定されず、好適な量が適宜設定される。また、本発明においては、血清や血漿を試料として用いることができ、その場合、当該試料にはリゾリン脂質が含まれ得る。従って、リゾリン脂質を含有する試料を用いる場合には、必ずしも、試薬の一成分としてリゾリン脂質を別個に添加する必要はない。
試薬の一成分として含める場合には、具体的には最終濃度0.1〜20mmol/L、好ましくは0.5〜10mmol/L、特に好ましくは1〜10mmol/L、程度である。
【0017】
本発明では酵素反応工程において遊離した反応生成物を定量することを必須とする。定量する方法としては、生じる反応生成物の種類に応じて適宜選択され、種々の当分野で通常実施されている方法が利用できる。好ましくは光学的定量を利用する方法である。
【0018】
本発明のLPLD活性測定方法を、基質であるリゾリン脂質がリゾホスファチジルコリンの場合を例にとって具体的に説明する。
【0019】
まず、酵素反応工程においてリゾホスファチジルコリンからリゾホスファチジン酸とコリンが生じる。生じたコリンにより測定工程を実施するが、測定工程はさらに幾つかの反応から構成される。即ち、酵素反応工程で産生したコリンをコリンオキシダーゼで処理して過酸化水素を産生させる反応、生じた過酸化水素をペルオキシダーゼおよび発色剤と反応させ発色させる反応(例えば、4−アミノアンチピリンとトリンダー試薬は、ペルオキシダーゼの存在下、過酸化水素により定量的に酸化縮合され色素を生成する)、発色の程度を定量化する工程(例えば吸光度の変化を測定する工程)がある。
【0020】
あらかじめ行ってもよい前工程(好ましくはあらかじめ行なう)としては、例えば「試料中の内因性物質および/または反応中間産物を消去する工程」が挙げられる。当該工程は、内在するコリンや過酸化水素、反応中間体産物であるベタインアルデヒドのLPLD活性測定への影響を反応系から消去する工程である。前工程は第1試薬(後述)を反応系に添加することによって行なわれる。コリンオキシダーゼによる遊離コリンのベタインアルデヒドおよび過酸化水素への変換、さらにベタインアルデヒドのベタイン、および過酸化水素への変換、ペルオキシダーゼによる内在性過酸化水素および/または上記の如く変換されて生じた過酸化水素の加水分解等がこの工程に含まれる。続く発色反応も所望により前工程に含めることができるが、定量化が煩雑になるため、最終的な発色自体は後工程として別に行なうことが好ましい。後工程は前工程の反応を停止させることなく第2試薬(後述)を反応系に添加することによって行なう。発色に至るまでの反応は全て前工程で行なっても良い。前工程を行なった後に、発色させ(後工程)その程度を観察し、定量化する。
前工程を行なって、試料中の内因性物質および/または反応中間産物を消去した場合には、後工程開始後観察される吸光度の変化は、反応生成物の量の変化を反映している。
【0021】
「試料」とは、LPLDの存在の有無ならびにその活性の程度を測定する対象すべてを意味し、LPLDが存在する可能性がある各種生体試料をはじめ、当該測定のための標準試料や対照試料も包含される。より具体的には、例えば全血、血清、血漿、尿、唾液、腹水、***、精漿、髄液等の臨床検査で用いられる体液成分、動物や植物の細胞抽出液、生物の細胞培養液や組織培養液といった基礎研究で使用されるもの等が挙げられる。
【0022】
本発明のLPLD活性測定方法を用いて、LPLD活性を変化させる物質をスクリーニングすることができる。ここで、「変化させる」とは、LPLD活性を増強する作用およびLPLD活性を阻害する作用の両方を意図する。
【0023】
本発明のLPLD活性測定方法を用いて、LPLD活性を変化させる物質をスクリーニングする場合、被検物質および基質である本発明のリゾリン脂質の試料中への添加の時期は、被検物質のLPLD活性に及ぼす影響が十分に反映されるように適宜設定される。例えば、当該影響が速やかに現れる場合には、被検物質と基質であるリゾリン脂質の添加をほぼ同時に行なうことができるが、通常、被検物質と試料中のLPLDとをあらかじめ十分に反応させた後、基質である本発明のリゾリン脂質を添加し、本発明のLPLD活性測定を実施する。
【0024】
本発明のスクリーニング方法によって得られるLPLD活性を変化させる物質は、例えばLPLD活性を阻害する物質であれば、当該LPLD活性の阻害作用によりLPAの産生を抑制することができ、LPAの過剰な、あるいは異常な産生に起因すると考えられる種々の疾患に好適に使用することができ、当該物質を含む薬剤は、LPLD活性が関与する疾患の予防・治療薬として有用であると考えられる。
【0025】
さらに、本発明は、本発明のLPLD活性測定方法を用いて、LPLD活性が関与する疾患の予防・治療薬をスクリーニングすることができる。すなわち、LPLD活性と相関性のある疾患の予防または治療に有用な物質のスクリーニングである。ここで「相関性のある」とは、正の相関性および負の相関性の両方を意図し、例えば罹患者の体液中のLPLD活性が健常者に比べて有意に高い場合、ならびに低い場合があり得る。健常者に比べて有意にLPLD活性が低くなる疾患については、体液中のLPLD活性低下の改善効果を指標としてスクリーニングを行い、また、健常者に比べて有意にLPLD活性が高くなる疾患については、体液中のLPLD活性上昇の抑制効果を指標としてスクリーニングを行なうことができる。具体的には、被検物質投与の前後でのLPLD活性を、本発明のLPLD活性測定方法を用いて測定し、得られた結果を被検物質投与の前後で比較することによって実施する。当該スクリーニング方法によって得られた予防・治療薬が、LPAの異常な産生に起因すると考えられる種々の疾患の治療に有用であることは、当該物質を投与された患者の体液中のLPLD活性を測定し、好ましくは経時的に測定し、その活性の変化をモニタリングすることによって確認し得る。
「LPLD活性と相関性のある」疾患としては、特にLPAとの関連性が報告されている卵巣癌、子宮体癌、子宮頸癌、動脈硬化性疾患等が挙げられる。
【0026】
本発明は試料中のLPLD活性の測定用試薬を提供する。本発明のLPLD活性の測定用試薬は、酵素反応工程に必要な試薬、および測定工程に必要な試薬とを少なくとも含む。
【0027】
酵素反応工程に必要な試薬としては、具体的には基質であるリゾリン脂質である。本発明においては、LPLDの基質となり得るリゾリン脂質であれば特に限定されず、リゾホスファチジルコリン、スフィンゴシルホスホリルコリン(リゾスフィンゴミエリン)、リゾホスファチジルエタノールアミン、リゾホスファチジルセリン、リゾホスファチジルイノシトール、1−アルキル−2−ヒドロキシ−グリセロホスホコリン(リゾPAF)、1−アルキル−2−アセチル−グリセロホスホコリン(PAF)、1−アルケニル−2−ヒドロキシ−グリセロホスホコリン(コリンリゾプラスマローゲン)等が挙げられるが、好ましくはリゾホスファチジルコリンおよびスフィンゴシルホスホリルコリンである。リゾホスファチジルコリンとしては具体的には、1−ラウロイル−2−ヒドロキシ−グリセロホスホリルコリン、1−ミリストイル−2−ヒドロキシ−グリセロホスホリルコリンおよび1−パルミトイル−2−ヒドロキシ−グリセロホスホリルコリン等が挙げられる。スフィンゴシルホスホリルコリンとしては具体的には、そのスフィンゴシン骨格として、スフィンゴシンを有するもの、ジヒドロスフィンゴシンを有するもの、C20−スフィンゴシンを有するもの、C20−ジヒドロスフィンゴシンを有するもの、フィトスフィンゴシンを有するもの等が挙げられ、いずれも、商業的に入手可能かまたは公知の方法を適宜組み合わせて好適に製造することができる。
【0028】
測定工程に必要な試薬としては、上記した、測定工程を構成する各反応に必須の試薬であって、例えば、基質がリゾホスファチジルコリンの場合、LPLDとリゾホスファチジルコリンとの酵素反応工程で得られるコリンから過酸化水素を産生させるのに必要なコリンオキシダーゼ、生じた過酸化水素を発色させる為のペルオキシダーゼおよび発色剤が例示される。発色剤としては、例えば、カップリング反応によって発色させる4−アミノアンチピリンおよびトリンダー試薬の組合わせが例示される。4−アミノアンチピリンとトリンダー試薬とのカップリング反応以外にペルオキシダーゼ存在下に過酸化水素の発色に利用できる酸化系発色剤としては、2,2’−アジノ−ビス(3−エチルベンゾチアゾリノン−6−スルホン酸、3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン、ビス[4−(N−アルキル−N−スルホプロピル)アミノ−2,6−ジメチルフェニル]メタン、10−(カルボキシメチルアミノカルボニル)−3,7−ビス(ジメチルアミノ)フェノチアジンナトリウム等が挙げられる。トリンダー試薬としては、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3−メチルアニリン、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3,5−ジメトキシアニリン、N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3,5−ジメトキシアニリン、N−エチル−N−(3−メチルフェニル)−N−サクシニルエチレンジアミン等が挙げられる。4−アミノアンチピリンの代わりに、3−メチル−2−ベンゾチアゾリノンヒドラゾン、アミノジフェニルアミン等を用いることもできる。トリンダー試薬の代わりに、フェノール、及びその誘導体を用いることもできる。いずれの試薬も商業的に入手可能かまたは公知の方法によって製造することができる。
【0029】
上記した、酵素反応工程に必要な試薬と測定工程に必要な試薬は、全て混合し1試薬として提供されてもよく、また個別に保存し、用時混合することによって1試薬として反応系に添加され得る状態で提供されてもよい。このような状態にあるLPLD活性測定用試薬を1試薬系の測定用試薬とも称する。本発明のLPLD活性測定用試薬は、前工程に用いる試薬(第1試薬)および後工程に用いる試薬(第2試薬)の2試薬系として提供されてもよい。
【0030】
本発明のLPLD活性測定用試薬を、基質であるリゾリン脂質がリゾホスファチジルコリンの場合を例にとって具体的に説明する。
1試薬系の場合、本発明の測定用試薬は、少なくともコリンオキシダーゼ、ペルオキシダーゼ、発色剤を含み、好ましくはさらに基質であるリゾリン脂質を含む。それぞれの試薬の詳細は上述の通りである。2試薬系の場合、本発明の測定用試薬は第1試薬と第2試薬から構成される。各試薬の構成は、第1試薬および第2試薬をあわせて少なくともコリンオキシダーゼ、ペルオキシダーゼ、発色剤を含む(好ましくはさらに基質であるリゾリン脂質を含む)ものであれば特に限定されない。発色剤が複数の試薬からなる場合には、測定工程において発色され得る限り、個々を別々の試薬に含めることもできる。特に、後工程で発色させたい場合には別々に各試薬に含め、第2試薬添加後発色されるようにしておくことが好ましい。例えば発色剤として4−アミノアンチピリンとトリンダー試薬を用いる場合には、4−アミノアンチピリンとトリンダー試薬の一方を第1試薬に、もう一方を第2試薬に含める。試料が血清や血漿のように潜在的にリゾリン脂質を含んでいる場合には基質としてのリゾリン脂質を必ずしも試薬中に含める必要はない。
【0031】
内因性物質および/または反応中間産物の消去を前工程で行なう場合には、コリンオキシダーゼとペルオキシダーゼは第1試薬に含める。コリンオキシダーゼおよび/またはペルオキシダーゼを第2試薬に含めた場合には、前工程で内因性物質および/または反応中間産物を消去することはできないが、その場合、第2試薬添加後、一定時間経過した後に経時的に光学的定量を行なえば、遊離コリンなどの内因性物質の影響を受けずに測定することができる。
【0032】
当該測定用試薬には上記した各工程に必須な試薬に加え、賦形剤、緩衝剤、安定化剤、防腐剤等の添加剤を含んでいてもよく、さらに必要に応じて酵素の活性化剤や夾雑物質の影響緩和剤を配合することもできる。これらの添加剤は、上記した各工程に必須な要素にあらかじめ混合しておいても、または用時混合することによって反応系に加えられるものであってもよい。本発明の測定用試薬に含められる各試薬の形態は、乾燥粉末状、液状等特に制限されるものではない。また、乾燥粉末状に製した場合等、使用時に溶解、希釈等の処理が必要な場合には、当該処理に必要な要素(例えば緩衝液等)を含めておいてもよい。溶解、希釈等の処理に必要な溶液は、基質等の溶解性に応じて選択され、緩衝液等の水系のものであっても、有機溶媒系であってもかまわない。当該酵素反応工程や測定工程に必要な要素の他に、反応用容器や、マニュアル等も併せて梱包してキット化しておくことも、簡便性という観点から好ましい。LPLD活性を変化させる物質のスクリーニングあるいはLPLD活性を変化させる作用を有する薬剤の効果判定に使用されるLPLD測定用試薬キットには、LPLDを含有する試料(好ましくは既知量のLPLDを含有する試料)を含めることが好ましい。当該キットにLPLD(好ましくは既知量の)を含有する試料をあらかじめ含めておくことで、被検物質あるいは被検薬剤の添加時および未添加時のLPLD活性の変化をより正確に測定することができる。
【0033】
【実施例】
以下、本発明を実施例にて具体的且つ詳細に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。
【0034】
(実施例1.活性測定1:反応pH)
pHの異なる以下の試薬を調製した。
試薬A(第1試薬)
トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン 100mmol/L
トリトンX−100 0.01%
ペルオキシダーゼ(西洋ワサビ由来:東洋紡績株式会社) 10U/mL
N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3−メチルアニリン;トリンダー試薬 2mmol/L
コリンオキシダーゼ(アースロバクター由来:旭化成株式会社) 10U/mL
1−パルミトイル−2−ヒドロキシ−グリセロホスホリルコリン(合成:アバンチ ポーラ リピッズ(Avanti Polar Lipids Inc.)) 1mmol/L
試薬B(第2試薬)
トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン 100mmol/L
トリトンX−100 0.01%
4−アミノアンチピリン 2mmol/L
pHはそれぞれ7.0、7.5、8.0、8.5、9.0および9.5に調整した。
【0035】
生理食塩水、組換えLPLD(図中、LPLDと略記;WO02/053569号公報参照)、および市販の管理血清「コンセーラ(日水製薬)」12μLに試薬Aを240μL加え、37℃で15分間前反応させた(前工程)。これに試薬Bを80μL加えて37℃で15分間反応させ、その時の主波長548nm、副波長700nmでの1分間あたりの吸光度変化量を測定した(後工程)。生化学用自動分析装置TBA80FR NEO(東芝製)で測定した際の結果を、図1に示す。その結果、組換えLPLD(LPLD)、市販管理血清ともにpH8.0をピークとする反応pHを示した。
【0036】
(実施例2.活性測定2:基質濃度)
実施例1で示した試薬Aに含まれる1−パルミトイル−2−ヒドロキシ−グリセロホスホリルコリンの濃度を、それぞれ0mmol/L、0.1mmol/L、1.0mmol/L、2.0mmol/L、5.0mmol/L、10mmol/Lと変化させ、pH8.0において同様の操作にて生理食塩水および組換えLPLDを測定した。図2に示すごとく、基質濃度に依存した組換えLPLD活性の亢進が認められた。
【0037】
(実施例3.スフィンゴシルホスホリルコリンの合成)
牛脳由来のスフィンゴミエリン3.6gを含水メタノール性1規定塩酸200mL中、70℃で約20時間加水分解し、冷却後、ヘキサン200mLで3回洗浄する。生じた遊離脂肪酸を抽出除去する。残渣を減圧乾固し、得られた乾固物2.55gをSiO2(70g:ワコーゲル C−200)カラムクロマトグラフィー(溶出溶媒▲1▼クロロホルム:メタノール(95:5)、▲2▼クロロホルム:メタノール:水(85:15:1.5)、▲3▼クロロホルム:メタノール:水(65:35:8)の順に溶出)により、粗スフィンゴシルホスホリルコリン1.16gを得た。同様の操作により得られた粗スフィンゴシルホスホリルコリンを合わせ、計2.26gの粗スフィンゴシルホスホリルコリンを、再度SiO2(40g:ワコーゲル C−200)カラムクロマトグラフィー(溶出溶媒▲1▼クロロホルム:メタノール(9:1)、▲2▼クロロホルム:メタノール:水(65:25:2)、▲3▼クロロホルム:メタノール:水(60:35:4)の順に溶出)により精製し、目的物2.0gを得た。
【0038】
(実施例4.活性測定3:基質の種類)
実施例1で示した試薬Aに含まれる1−パルミトイル−2−ヒドロキシ−グリセロホスホリルコリン(以下、パルミトイルとも略記)に代わり、1−ラウロイル−2−ヒドロキシ−グリセロホスホリルコリン(以下、ラウロイルとも略記)、1−ミリストイル−2−ヒドロキシ−グリセロホスホリルコリン(以下、ミリストイルとも略記)、スフィンゴシルホスホリルコリン(SPC)をそれぞれ1mmol/L加え、pH8.0において同様の操作にて生理食塩水および組換えLPLD(LPLD)を測定した。その結果、図3に示すように、ラウロイル>ミリストイル>パルミトイルの順で反応は強くなったが、1−パルミトイル−2−ヒドロキシ−グリセロホスホリルコリンでも十分測定し得る感度が得られた。また、SPCもLPCと同程度の反応を示したことにより、スフィンゴシン−1−リン酸合成活性も測定できることが確認された。
(実施例5.吸光度の経時変化)
実施例1で示した試薬A、BそれぞれのpHを8.0に調整し、同様の操作にて生理食塩水、組換えLPLD、および1mmol/Lの塩化コリンを測定し、その時の吸光度の経時変化を図4に示す。LPLDでは第2試薬添加後、吸光度は一定の割合で経時的に上昇したが、生理食塩水や塩化コリンではほとんど吸光度の上昇は見られなかった。
【0039】
【発明の効果】
リゾリン脂質を基質とするLPLDの酵素反応工程と、当該反応により生成する反応生成物を定量する測定工程とを酵素反応工程を停止させることなく同じ反応系で同時に行なうことによって測定時間の短縮化、自動化による大量処理が可能となる。また、あらかじめ内因性物質および/または反応中間産物の消去反応を行なうことによって、試料中に内在する内因性物質や反応中間産物の影響を受けず正確度が増す。
【図面の簡単な説明】
【図1】反応pHを種々に変化させ、血清試料(コンセーラ)および組換えLPLD(LPLD)溶液について本発明のLPLD活性測定方法を実施した場合の結果を示すグラフである。コントロールとしては生理食塩水を用いた。
【図2】基質濃度を種々に変化させ、組換えLPLD(LPLD)溶液について本発明のLPLD活性測定方法を実施した場合の結果を示すグラフである。コントロールとしては生理食塩水を用いた。
【図3】基質の種類を種々に変化させ、組換えLPLD(LPLD)溶液について本発明のLPLD活性測定方法を実施した場合の結果を示すグラフである。コントロールとしては生理食塩水を用いた。
【図4】試料として、生理食塩水、組換えLPLD(LPLD)、および1mmol/Lの塩化コリン(コリン)を用い、本発明のLPLD活性測定方法を実施した。その時の吸光度の経時変化を示すグラフである。
Claims (29)
- 試料とリゾリン脂質とを接触させる工程(酵素反応工程)、および該酵素反応工程によって得られる反応生成物の生産量を測定する工程(測定工程)を少なくとも含む試料中のリゾホスホリパーゼD活性を測定する方法であって、該測定工程が、該酵素反応工程を停止させることなく同一の反応系で実施されることを特徴とする方法。
- 反応生成物の生産量を測定する工程が光学的定量を利用するものである、請求項1記載の方法。
- 光学的定量が、コリンオキシダーゼ、ペルオキシダーゼおよび発色剤を用いて実施されるものである、請求項2記載の方法。
- 発色剤が、4−アミノアンチピリンおよびトリンダー試薬である、請求項3記載の方法。
- リゾリン脂質がリゾホスファチジルコリンである、請求項1記載の方法。
- リゾホスファチジルコリンが、1−ラウロイル−2−ヒドロキシ−グリセロホスホリルコリン、1−ミリストイル−2−ヒドロキシ−グリセロホスホリルコリンおよび1−パルミトイル−2−ヒドロキシ−グリセロホスホリルコリンからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項5記載の方法。
- リゾリン脂質がスフィンゴシルホスホリルコリンである、請求項1記載の方法。
- 試料中の内因性物質および/または反応中間産物の影響を受けないことを特徴とする、請求項1記載の方法。
- 内因性物質および/または反応中間産物が、コリン、ベタインアルデヒドおよび過酸化水素からなる群より選択される1種である、請求項8記載の方法。
- 請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法を用いて、試料中のリゾホスホリパーゼD活性を測定することを特徴とする、リゾホスホリパーゼD活性を変化させる物質のスクリーニング方法。
- 請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法を用いて試料中のリゾホスホリパーゼD活性を測定することを特徴とする、リゾホスホリパーゼD活性が関与する疾患の予防・治療薬のスクリーニング方法。
- 請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法を用いて試料中のリゾホスホリパーゼD活性を測定することを特徴とする、リゾホスホリパーゼD活性が関与する疾患の予防・治療薬の効果判定を行なう方法。
- 試料とリゾリン脂質とを接触させる工程(酵素反応工程)に必要な試薬、および該酵素反応工程と同じ反応系で該酵素反応工程によって得られる反応生成物の生産量を測定する工程(測定工程)に必要な試薬とを含む、試料中のリゾホスホリパーゼD活性の測定用試薬。
- 1試薬系である、請求項13記載の測定用試薬。
- 少なくともコリンオキシダーゼ、ペルオキシダーゼおよび発色剤を含む請求項14記載の測定用試薬。
- 発色剤が、4−アミノアンチピリンおよびトリンダー試薬である、請求項15記載の測定用試薬。
- さらにリゾリン脂質を含む、請求項15または16記載の測定用試薬。
- 2試薬系である、請求項13記載の測定用試薬。
- 少なくともコリンオキシダーゼ、ペルオキシダーゼおよび発色剤を含む請求項18記載の測定用試薬。
- 発色剤が、4−アミノアンチピリンおよびトリンダー試薬である、請求項19記載の測定用試薬。
- 第1試薬としてコリンオキシダーゼ、ペルオキシダーゼおよびトリンダー試薬、第2試薬として4−アミノアンチピリンを含む、請求項20記載の測定用試薬。
- 第1試薬としてコリンオキシダーゼ、ペルオキシダーゼおよび4−アミノアンチピリン、第2試薬としてトリンダー試薬を含む、請求項20記載の測定用試薬。
- 第1試薬および第2試薬の少なくとも一方にリゾリン脂質をさらに含む、請求項21または22記載の測定用試薬。
- リゾリン脂質がリゾホスファチジルコリンである、請求項23記載の測定用試薬。
- リゾホスファチジルコリンが、1−ラウロイル−2−ヒドロキシ−グリセロホスホリルコリン、1−ミリストイル−2−ヒドロキシ−グリセロホスホリルコリンおよび1−パルミトイル−2−ヒドロキシ−グリセロホスホリルコリンからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項24記載の測定用試薬。
- リゾリン脂質がスフィンゴシルホスホリルコリンである、請求項23記載の測定用試薬。
- リゾホスホリパーゼD活性を変化させる物質のスクリーニングに使用されることを特徴とする、請求項13〜26のいずれか1項に記載の測定用試薬。
- リゾホスホリパーゼD活性が関与する疾患の予防・治療薬のスクリーニングに使用されることを特徴とする、請求項13〜26のいずれか1項に記載の測定用試薬。
- リゾホスホリパーゼD活性が関与する疾患の予防・治療薬の効果判定に使用されることを特徴とする、請求項13〜26のいずれか1項に記載の測定用試薬。
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