JP2004156102A - 高密度および高抵抗を有する複合軟磁性焼結材の製造方法 - Google Patents

高密度および高抵抗を有する複合軟磁性焼結材の製造方法 Download PDF

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Muneaki Watanabe
宗明 渡辺
Ryoji Nakayama
亮治 中山
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佳紀 曽根
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Abstract

【課題】高密度および高抵抗を有する複合軟磁性焼結材を提供する。
【解決手段】鉄粉末、Fe−Al系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Cr系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Si系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Si−Al系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Ni系鉄基軟磁性合金粉末(以下、これらを軟磁性金属粉末という)の表面に、第1層としてNi層、第2層としてフェライト層を被覆してなる積層膜被覆軟磁性金属粉末を作製し、この積層膜被覆軟磁性金属粉末を圧粉、成形した後、非酸化雰囲気中または酸素分圧制御雰囲気中、温度:700〜1200℃で焼結する。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、モータ、アクチュエータ、磁気センサなどの製造に使用される
高密度および高抵抗を有する複合軟磁性焼結材の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、モータ、アクチュエータ、磁気センサなどの磁心には鉄粉末、Fe−Al系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Cr系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Si系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Si−Al系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Ni系鉄基軟磁性合金粉末(以下、これらを軟磁性金属粉末と総称する)を燒結して得られた軟磁性焼結材料が用いられることは知られており、さらに、この軟磁性焼結材料の一つとしてフェライトが知られている。前記軟磁性金属粉末などを燒結して得られた軟磁性焼結材料は、飽和磁束密度が高いが比抵抗が低いために高周波特性が悪く、一方、フェライトなど鉄酸化物粉末を焼結して得られた酸化物軟磁性焼結材料は、比抵抗が高いために高周波特性に優れ、初透磁率が比較的高いが、飽和磁束密度が低い欠点があり、これらを改善するために、軟磁性金属粉末の表面にフェライト膜を被覆してなるフェライト膜被覆軟磁性金属粉末が提案されており、このフェライト膜被覆鉄軟磁性粉末を焼結して得られた焼結材料は高抵抗を有し、飽和磁束密度および高周波特性に共に優れると言われている。
【0003】
このフェライト膜被覆軟磁性金属粉末を製造するための方法として、軟磁性金属粉末の表面に湿式フェライトメッキによりフェライト膜を形成する方法(特許文献1または2参照)、
軟磁性金属粉末およびフェライト粉末を高速衝撃撹拌装置に入れて高速回転させることにより軟磁性金属粉末の表面にフェライト粉末を埋め込み、それによって軟磁性金属粉末の表面にフェライト膜を形成する方法(特許文献3参照)などが知られており、これらフェライト膜被覆軟磁性金属粉末を圧粉、成形し、焼結して高密度および高抵抗を有する複合軟磁性焼結材を製造する方法も知られている。
【0004】
【特許文献1】
特開昭56−38402号公報
【特許文献2】
特開平11−1702号公報
【特許文献3】
特開平4−226003号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前記従来の軟磁性金属粉末の表面にフェライト膜を被覆してなるフェライト膜被覆軟磁性金属粉末を原料粉末とし、これを圧粉、成形、焼結して複合軟磁性焼結材を製造すると、焼結時に、芯部の軟磁性金属粉末とフェライトとの間でフェライトの還元反応が起こり、フェライト層はウスタイト結晶構造層に変化し、ウスタイト結晶構造層は固有抵抗値が低く、したがって得られた複合軟磁性焼結材の抵抗値が十分なものではない。
【0006】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者らは、かかる課題を解決すべく研究を行った結果、
軟磁性金属粉末の表面に電解メッキまたは無電解メッキにより第1層としてNi層が形成し、このNi層が形成された軟磁性金属粉末のNi層表面に第2層としてフェライト層を被覆して積層膜被覆軟磁性金属粉末を作製し、この軟磁性金属粉末の表面にNi層およびフェライト層からなる積層を被覆してなる積層膜被覆軟磁性金属粉末を原料粉末として圧粉、成形した後、非酸化雰囲気中または酸素分圧制御雰囲気中、温度:700〜1200℃で焼結すると、軟磁性金属粉末とフェライト層の間にNi層が介在することによりフェライトの還元が防止されて高抵抗を有する複合軟磁性焼結材が得られ、さらにこの積層膜被覆軟磁性金属粉末を原料粉末として作製した複合軟磁性焼結材は密度が一層向上する、という研究結果が得られたのである。
【0007】
この発明は、かかる研究結果に基づいてなされたものであって、
軟磁性金属粉末の表面に第1層としてNi層を形成し、第2層としてフェライト層を被覆してなる積層膜被覆軟磁性金属粉末を作製し、この積層膜被覆軟磁性金属粉末を圧粉、成形した後、非酸化雰囲気中または酸素分圧制御雰囲気中、温度:700〜1200℃で焼結する高密度および高抵抗を有する複合軟磁性焼結材の製造方法、に特徴を有するものである。
【0008】
この発明の高密度および高抵抗を有する複合軟磁性焼結材の製造方法をさらに一層具体的に説明する。
この発明の高密度および高抵抗を有する複合軟磁性焼結材の製造方法において使用する軟磁性金属粉末は、従来から一般に知られている鉄粉末、Fe−Al系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Cr系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Si系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Si−Al系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Ni系鉄基軟磁性合金粉末であり、一層具体的には、
鉄粉末は純鉄粉末であり、
Fe−Al系鉄基軟磁性合金粉末はAl:0.1〜20%を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなるFe−Al系鉄基軟磁性合金粉末(例えば、Fe−15%Alからなる組成を有するアルパーム粉末)であり、
Fe−Cr系鉄基軟磁性合金粉末はCr:1〜20%を含有し、必要に応じてAl:5%以下、Ni:5%以下の内の1種または2種を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなるFe−Cr系鉄基軟磁性合金粉末であり、
Fe−Si系鉄基軟磁性合金粉末はSi:0.1〜10%を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなるFe−Si系鉄基軟磁性合金粉末(例えばFe−3%Si粉末)であり、
Fe−Si−Al系鉄基軟磁性合金粉末はSi:0.1〜10質量%、Al:0.1〜20を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなるFe−Si−Al系鉄基軟磁性合金粉末(例えば、Fe−3%Si−3%Alからなる組成を有するセンダスト粉末)であり、
Fe−Ni系鉄基軟磁性合金粉末はNi:35〜85%を含有し、必要に応じてMo:5%以下、Cu:5%以下、Cr:2%以下、Mn:0.5%以下の内の1種または2種以上を含有し、残部がFeおよび不可避不純物からなるニッケル基軟磁性合金粉末(例えば、Fe−40%Ni粉末)(以上、%は質量%を示す)であることが好ましいが、特にこれらに限定されるものではない。
この発明で「フェライト」とは、スピネル構造を有するフェライトであり、(MeFe)(但し、MeはMn,Zn,Ni,Mg,Cu,FeもしくはCoまたはこれらの混合物)の組成式で表されるスピネルフェライトである。
そして、これら軟磁性金属粉末は平均粒径:5〜150μmの範囲内にある軟磁性金属粉末を使用することが好ましい。その理由は、平均粒径が小さすぎると、粉末の圧縮性が低下し、軟磁性金属粉末の体積割合が低くなるために飽和磁束密度の値が低下するので好ましくなく、一方、平均粒径が150μmより大きすぎると、軟磁性金属粉末内部の渦電流が増大して高周波における透磁率が低下するので好ましくないことによるものである。
【0009】
これら軟磁性金属粉末に電解メッキまたは無電解メッキを施すことにより第1層として厚さ:0.5〜5μmのNi層を被覆し、このNi層の上に第2層としてのフェライト層を被覆して積層膜被覆軟磁性金属粉末を作製する。フェライト層は化学メッキ法、高速衝撃撹拌被覆法またはバインダー被覆法により形成することができる。Ni層の厚さを0.5〜5μmにしたのは、0.5μmより薄いとフェライトの還元防止が十分でなく、一方、5μmより厚いと飽和磁束密度が低くなるので好ましくない理由によるものである。なお、この発明で「Ni層」とはNiメッキ層、Ni−B合金メッキ層、Ni−P合金メッキ層などである。これら軟磁性金属粉末は平均粒径:5〜150μmの範囲内にある鉄基軟磁性合金粉末を使用することが好ましい。その理由は、平均粒径が小さすぎると、粉末の圧縮性が低下し、軟磁性金属の体積割合が低くなるために飽和磁束密度の値が低下するので好ましくなく、一方、平均粒径が150μmより大きすぎると、軟磁性金属粉末内部の渦電流が増大して高周波における透磁率が低下するので好ましくないことによるものである。
【0010】
このようにして得られた積層膜被覆軟磁性金属粉末を圧粉、成形した後、非酸化雰囲気中または酸素分圧制御雰囲気中、温度:700〜1200℃(好ましくは、700〜900℃)で焼結すると高密度および高抵抗を有する複合軟磁性焼結材が得られる。かかる温度で焼結すると、Ni層の介在によりフェライトが還元されることがなく、Niとフェライト間では相互に拡散するため、焼結後はNiはフェライト層に拡散してもスピネルフェライトとなって磁気特性を低下させず、しかも高密度および高抵抗を有する複合軟磁性焼結材が得られる。鉄粉末、Fe−Al系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Cr系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Si系鉄基軟磁性合金粉末、Fe−Si−Al系鉄基軟磁性合金粉末とNi層間では、相互に拡散してNi−Fe系、Ni−Fe−Al系、Ni−Fe−Cr系、Ni−Fe−Si系、Ni−Fe−Si−Al系の合金層を生成する場合があるが、これらも磁性相であり、反磁界による磁気特性を低下させない。この場合、焼結温度が700℃未満では焼結が不十分で高密度とならずに磁気特性が低下するので好ましくなく、一方、1200℃を越える温度で焼結すると、フェライト層の分解が起こるので好ましくない。
また、この発明において「非酸化雰囲気」とはArガスもしくは窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気を言い、また「酸素分圧制御雰囲気」とはArガスもしくは窒素ガスと酸素ガスとの混合ガスあるいは炭酸ガス雰囲気を言う。
【0011】
【発明の実施の形態】
実施例1〜5および比較例1〜2
原料粉末として、平均粒径:70μmを有する純鉄粉末を用意した。この純鉄粉末に対して電解メッキを施すことにより純鉄粉末の表面に平均厚さ:8μmを有するNi層を形成し、Ni被覆純鉄粉末を作製した。
さらに平均粒径:0.7μmのフェライト粉末を分散被覆することによりこのNi被覆純鉄粉末のNi層の上にフェライト層を形成して積層膜被覆純鉄粉末を作製した。
得られた積層膜被覆純鉄粉末を金型に入れ、プレス成形することにより外径:35mm、内径:25mm、高さ:5mmのリング状圧粉体を成形し、得られたリング状圧粉体を不活性ガス雰囲気中、表1に示される温度で焼結することによりリング状焼結体からなる複合軟磁性焼結材を作製した。このようにして得られた複合軟磁性焼結材の密度および比抵抗を測定してその結果を表1に示した。さらに複合軟磁性焼結材に巻き線を施し、BHトレーサにて磁束密度を測定し、その結果を表1に示した。
【0012】
従来例1
高速衝撃撹拌法により作製したフェライト膜被覆純鉄粉末を用意し、この粉末を用いて実施例1と同様にしてリング焼結体からなる複合軟磁性焼結材を得た。このようにして得られた複合軟磁性焼結材の密度および比抵抗を測定してその結果を表1に示した。さらに複合軟磁性焼結材に巻き線を施し、このリング焼結体に巻き線を施し、BHトレーサにて磁束密度を測定し、その結果を表1に示した。
【0013】
【表1】
Figure 2004156102
【0014】
表1に示される結果から、実施例1〜5で作製した複合軟磁性焼結材は、従来例1で作製した複合軟磁性焼結材と比べて密度及び比抵抗に優れた特性を示すことが分かる。しかし、比較例1〜2で作製した複合軟磁性焼結材は磁束密度、比抵抗が劣るので好ましくないことが分かる。
【0015】
実施例6〜10および比較例3〜4
原料粉末としてアトマイズFe−Al系鉄基軟磁性合金粉末を用意した。このアトマイズFe−Al系鉄基軟磁性合金粉末に対して電解メッキを施すことによりFe−Al系鉄基軟磁性合金粉末の表面に平均厚さ:1.5μmを有するNi層を形成し、Ni被覆Fe−Al系鉄基軟磁性合金粉末を作製した。
さらに平均厚さ:1μmのフェライトメッキ被覆することによりこのNi被覆Fe−Al系鉄基軟磁性合金粉末のNi層の上にフェライト層を形成して積層膜被覆Fe−Al系鉄基軟磁性合金粉末を作製した。
得られた積層膜被覆Fe−Al系鉄基軟磁性合金粉末を金型に入れ、プレス成形して外径:35mm、内径:25mm、高さ:5mmのリング状圧粉体を成形し、得られたリング状圧粉体を不活性ガス雰囲気中、表2に示される温度で焼結することによりリング状焼結体からなる複合軟磁性焼結材を作製した。このようにして得られた複合軟磁性焼結材の密度および比抵抗を測定してその結果を表2に示した。さらに複合軟磁性焼結材に巻き線を施し、BHトレーサにて磁束密度を測定し、その結果を表2に示した。
【0016】
従来例2
高速衝撃撹拌法により作製したフェライト膜被覆Fe−Al系鉄基軟磁性合金粉末を用意し、この粉末を用いて実施例6と同様にしてリング焼結体からなる複合軟磁性焼結材を得た。このようにして得られた複合軟磁性焼結材の密度および比抵抗を測定してその結果を表2に示した。さらに複合軟磁性焼結材に巻き線を施し、このリング焼結体に巻き線を施し、BHトレーサにて磁束密度を測定し、その結果を表2に示した。
【0017】
【表2】
Figure 2004156102
【0018】
表2に示される結果から、実施例6〜10で作製した複合軟磁性焼結材は、従来例2で作製した複合軟磁性焼結材と比べて密度及び比抵抗に優れた特性を示すことが分かる。しかし、比較例3〜4で作製した複合軟磁性焼結材は密度、比抵抗および磁束密度の少なくともいずれか一つが劣るので好ましくないことが分かる。
【0019】
実施例11〜15および比較例5〜6
原料粉末として、平均粒径:50μmを有し、その組成がCr:10質量%、残部:FeからなるアトマイズFe−Cr系鉄基軟磁性合金粉末を用意した。
このFe−Cr系鉄基軟磁性合金粉末に対して無電解メッキを施すことによりFe−Cr系鉄基軟磁性合金粉末の表面に平均厚さ:1.2μmを有するNi層を形成し、Ni被覆Fe−Cr系鉄基軟磁性合金粉末を作製した。
さらに平均粒径:0.6μmのフェライト粉末を分散被覆することによりこのNi被覆Fe−Cr系鉄基軟磁性合金粉末のNi層の上にフェライト層を形成して積層膜被覆Fe−Cr系鉄基軟磁性合金粉末を作製した。
得られた積層膜被覆Fe−Cr系鉄基軟磁性合金粉末を金型に入れ、プレス成形して外径:35mm、内径:25mm、高さ:5mmのリング状圧粉体を成形し、得られたリング状圧粉体を不活性ガス雰囲気中、表3に示される温度で焼結することによりリング状焼結体からなる複合軟磁性焼結材を作製した。このようにして得られた複合軟磁性焼結材の密度および比抵抗を測定してその結果を表3に示した。さらに複合軟磁性焼結材に巻き線を施し、BHトレーサにて磁束密度を測定し、その結果を表3に示した。
【0020】
従来例3
高速衝撃撹拌法により作製したフェライト膜被覆純Fe−Cr系鉄基軟磁性合金粉末を用意し、この粉末を用いて実施例11と同様にしてリング焼結体からなる複合軟磁性焼結材を得た。このようにして得られた複合軟磁性焼結材の密度および比抵抗を測定してその結果を表3に示した。さらに複合軟磁性焼結材に巻き線を施し、このリング焼結体に巻き線を施し、BHトレーサにて磁束密度を測定し、その結果を表3に示した。
【0021】
【表3】
Figure 2004156102
【0022】
表3に示される結果から、実施例11〜15で作製した複合軟磁性焼結材は、従来例3で作製した複合軟磁性焼結材と比べて密度及び比抵抗に優れた特性を示すことが分かる。しかし、比較例5〜6で作製した複合軟磁性焼結材は密度、比抵抗および磁束密度の少なくともいずれか一つが劣るので好ましくないことが分かる。
【0023】
実施例16〜20および比較例7〜8
原料粉末として、平均粒径:80μmを有し、その組成がSi:3質量%、残部:FeからなるアトマイズFe−Si系鉄基軟磁性合金粉末を用意した。
このFe−Si系鉄基軟磁性合金粉末に対して無電解メッキを施すことによりFe−Si系鉄基軟磁性合金粉末の表面に平均厚さ:0.5μmを有するNi層を形成し、Ni被覆Fe−Si系鉄基軟磁性合金粉末を作製した。
さらに平均粒径:0.4μmのフェライト粉末を分散被覆することによりこのNi被覆Fe−Si系鉄基軟磁性合金粉末のNi層の上にフェライト層を形成して積層膜被覆Fe−Si系鉄基軟磁性合金粉末を作製した。
得られた積層膜被覆Fe−Si系鉄基軟磁性合金粉末を金型に入れ、プレス成形して外径:35mm、内径:25mm、高さ:5mmのリング状圧粉体を成形し、得られたリング状圧粉体を不活性ガス雰囲気中、表4に示される温度で焼結することによりリング状焼結体からなる複合軟磁性焼結材を作製した。このようにして得られた複合軟磁性焼結材の密度および比抵抗を測定してその結果を表4に示した。さらに複合軟磁性焼結材に巻き線を施し、BHトレーサにて磁束密度を測定し、その結果を表4に示した。
【0024】
従来例4
高速衝撃撹拌法により作製したフェライト膜被覆純Fe−Si系鉄基軟磁性合金粉末を用意し、この粉末を用いて実施例16と同様にしてリング焼結体からなる複合軟磁性焼結材を得た。このようにして得られた複合軟磁性焼結材の密度および比抵抗を測定してその結果を表4に示した。さらに複合軟磁性焼結材に巻き線を施し、このリング焼結体に巻き線を施し、BHトレーサにて磁束密度を測定し、その結果を表4に示した。
【0025】
【表4】
Figure 2004156102
【0026】
表4に示される結果から、実施例16〜20で作製した複合軟磁性焼結材は、従来例4で作製した複合軟磁性焼結材と比べて密度及び比抵抗に優れた特性を示すことが分かる。しかし、比較例7〜8で作製した複合軟磁性焼結材は密度、比抵抗および磁束密度の少なくともいずれか一つが劣るので好ましくないことが分かる。
【0027】
実施例21〜25および比較例9〜10
原料粉末として、平均粒径:55μmを有し、その組成がSi:3質量%、Al:3質量%、残部:FeからなるアトマイズFe−Si−Al系鉄基軟磁性合金粉末を用意した。
このFe−Si−Al系鉄基軟磁性合金粉末に対して無電解メッキを施すことによりFe−Si−Al系鉄基軟磁性合金粉末の表面に平均厚さ:1.0μmを有するNi層を形成し、Ni被覆Fe−Si−Al系鉄基軟磁性合金粉末を作製した。
さらに平均粒径:0.6μmのフェライト粉末を分散被覆することによりこのNi被覆Fe−Si−Al系鉄基軟磁性合金粉末のNi層の上にフェライト層を形成して積層膜被覆Fe−Si−Al系鉄基軟磁性合金粉末を作製した。
得られた積層膜被覆Fe−Si−Al系鉄基軟磁性合金粉末を金型に入れ、プレス成形して外径:35mm、内径:25mm、高さ:5mmのリング状圧粉体を成形し、得られたリング状圧粉体を不活性ガス雰囲気中、表5に示される温度で焼結することによりリング状焼結体からなる複合軟磁性焼結材を作製した。このようにして得られた複合軟磁性焼結材の密度および比抵抗を測定してその結果を表5に示した。さらに複合軟磁性焼結材に巻き線を施し、BHトレーサにて磁束密度を測定し、その結果を表5に示した。
【0028】
従来例5
高速衝撃撹拌法により作製したフェライト膜被覆純Fe−Si−Al系鉄基軟磁性合金粉末を用意し、この粉末を用いて実施例21と同様にしてリング焼結体からなる複合軟磁性焼結材を得た。このようにして得られた複合軟磁性焼結材の密度および比抵抗を測定してその結果を表5に示した。さらに複合軟磁性焼結材に巻き線を施し、このリング焼結体に巻き線を施し、BHトレーサにて磁束密度を測定し、その結果を表5に示した。
【0029】
【表5】
Figure 2004156102
【0030】
表5に示される結果から、実施例21〜25で作製した複合軟磁性焼結材は、従来例5で作製した複合軟磁性焼結材と比べて密度及び比抵抗に優れた特性を示すことが分かる。しかし、比較例9〜10で作製した複合軟磁性焼結材は密度、比抵抗および磁束密度の少なくともいずれか一つが劣るので好ましくないことが分かる。
【0031】
実施例26〜30および比較例11〜12
原料粉末として、平均粒径:90μmを有し、その組成がNi:40質量%、残部:FeからなるアトマイズFe−Ni系鉄基軟磁性合金粉末を用意した。
このFe−Ni系鉄基軟磁性合金粉末に対して無電解メッキを施すことによりFe−Ni系鉄基軟磁性合金粉末の表面に平均厚さ:5μmを有するNi層を形成し、Ni被覆Fe−Ni系鉄基軟磁性合金粉末を作製した。
さらに平均粒径:1.0μmのフェライト粉末を分散被覆することによりこのNi被覆Fe−Ni系鉄基軟磁性合金粉末のNi層の上にフェライト層を形成して積層膜被覆Fe−Ni系鉄基軟磁性合金粉末を作製した。
得られた積層膜被覆Fe−Ni系鉄基軟磁性合金粉末を金型に入れ、プレス成形して外径:35mm、内径:25mm、高さ:5mmのリング状圧粉体を成形し、得られたリング状圧粉体を不活性ガス雰囲気中、表6に示される温度で焼結することによりリング状焼結体からなる複合軟磁性焼結材を作製した。このようにして得られた複合軟磁性焼結材の密度および比抵抗を測定してその結果を表6に示した。さらに複合軟磁性焼結材に巻き線を施し、BHトレーサにて磁束密度を測定し、その結果を表6に示した。
【0032】
従来例6
高速衝撃撹拌法により作製したフェライト膜被覆純Fe−Ni系鉄基軟磁性合金粉末を用意し、この粉末を用いて実施例26と同様にしてリング焼結体からなる複合軟磁性焼結材を得た。このようにして得られた複合軟磁性焼結材の密度および比抵抗を測定してその結果を表6に示した。さらに複合軟磁性焼結材に巻き線を施し、このリング焼結体に巻き線を施し、BHトレーサにて磁束密度を測定し、その結果を表6に示した。
【0033】
【表6】
Figure 2004156102
【0034】
表6に示される結果から、実施例26〜30で作製した複合軟磁性焼結材は、従来例6で作製した複合軟磁性焼結材と比べて密度及び比抵抗に優れた特性を示すことが分かる。しかし、比較例11〜12で作製した複合軟磁性焼結材は密度、比抵抗および磁束密度の少なくともいずれか一つが劣るので好ましくないことが分かる。
【0035】
【発明の効果】
この発明によると、簡単な方法により高密度、高抵抗および高磁束密度を有した複合軟磁性焼結材を提供することができ、電気および電子産業において優れた効果をもたらすものである。
なお、この発明で使用した積層膜被覆軟磁性金属粉末を用いてホットプレス、鍛造法によって高密度および高抵抗を有する複合軟磁性材を製造することができる。

Claims (7)

  1. 鉄粉末の表面にNi層を形成し、このNi層の上にスピネルフェライト(以下、フェライトという)層を形成してなる積層膜被覆軟磁性金属粉末を作製し、この積層膜被覆軟磁性金属粉末を圧粉、成形した後、非酸化雰囲気中または酸素分圧制御雰囲気中、温度:700〜1200℃で焼結することを特徴とする高密度および高抵抗を有する複合軟磁性焼結材の製造方法。
  2. Fe−Al系鉄基軟磁性合金粉末の表面にNi層を形成し、このNi層の上にフェライト層を形成してなる積層膜被覆軟磁性金属粉末を作製し、この積層膜被覆軟磁性金属粉末を圧粉、成形した後、非酸化雰囲気中または酸素分圧制御雰囲気中、温度:700〜1200℃で焼結することを特徴とする高密度および高抵抗を有する複合軟磁性焼結材の製造方法。
  3. Fe−Cr系鉄基軟磁性合金粉末の表面にNi層を形成し、このNi層の上にフェライト層を形成してなる積層膜被覆軟磁性金属粉末を作製し、この積層膜被覆軟磁性金属粉末を圧粉、成形した後、非酸化雰囲気中または酸素分圧制御雰囲気中、温度:700〜1200℃で焼結することを特徴とする高密度および高抵抗を有する複合軟磁性焼結材の製造方法。
  4. Fe−Si系鉄基軟磁性合金粉末の表面にNi層を形成し、このNi層の上にフェライト層を形成してなる積層膜被覆軟磁性金属粉末を作製し、この積層膜被覆軟磁性金属粉末を圧粉、成形した後、非酸化雰囲気中または酸素分圧制御雰囲気中、温度:700〜1200℃で焼結することを特徴とする高密度および高抵抗を有する複合軟磁性焼結材の製造方法。
  5. Fe−Si−Al系鉄基軟磁性合金粉末の表面にNi層を形成し、このNi層の上にフェライト層を形成してなる積層膜被覆軟磁性金属粉末を作製し、この積層膜被覆軟磁性金属粉末を圧粉、成形した後、非酸化雰囲気中または酸素分圧制御雰囲気中、温度:700〜1200℃で焼結することを特徴とする高密度および高抵抗を有する複合軟磁性焼結材の製造方法。
  6. Fe−Ni系鉄基軟磁性合金粉末の表面にNi層を形成し、このNi層の上にフェライト層を形成してなる積層膜被覆軟磁性金属粉末を作製し、この積層膜被覆軟磁性金属粉末を圧粉、成形した後、非酸化雰囲気中または酸素分圧制御雰囲気中、温度:700〜1200℃で焼結することを特徴とする高密度および高抵抗を有する複合軟磁性焼結材の製造方法。
  7. 請求項1、2、3、4、5または6記載の方法で製造した高密度および高抵抗を有する複合軟磁性焼結材。
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