JP2004151599A - 電気泳動表示装置の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】電気泳動表示装置を製造する際、隙間が残らないように基板を隔壁に密着させる。
【解決手段】電気泳動表示装置を製造する基板貼り付け工程においては、図示のように、押圧部7によって表示基板1bを隔壁2に押し付けるが、表示基板1bにはフレキシブル材料を用い、押圧部7には、隔壁2からの抗力を受けた部分が凹むような材質のものを用いる。これにより、隙間が残らないように基板1bを隔壁2に密着させることができ、帯電泳動粒子4の他の画素への移動や、該移動に起因する表示ムラの発生を防止できる。
【選択図】 図1
【解決手段】電気泳動表示装置を製造する基板貼り付け工程においては、図示のように、押圧部7によって表示基板1bを隔壁2に押し付けるが、表示基板1bにはフレキシブル材料を用い、押圧部7には、隔壁2からの抗力を受けた部分が凹むような材質のものを用いる。これにより、隙間が残らないように基板1bを隔壁2に密着させることができ、帯電泳動粒子4の他の画素への移動や、該移動に起因する表示ムラの発生を防止できる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、帯電粒子を移動させることに基づき表示を行う電気泳動表示装置の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
デジタル技術の目覚しい進歩により、個人が扱うことのできる情報量は飛躍的に増大している。これに伴い、情報の出力手段としてのディスプレイの開発が盛んにおこなわれており、高精細、低消費電力、軽量、薄型、等のユーザビリティの高いディスプレイへと技術革新が続いている。特に近年では、印刷物と同等の表示品位をもつ“読み易い”反射型ディスプレイが待望されており、これは、電子ペーパー、電子ブック等の次世代の商品に欠かせない技術である。上記のようなディスプレイの候補として、Harold D. Lees等により発明された電気泳動表示装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
図6は、従来の電気泳動表示装置の構造の一例を示す断面図である。この電気泳動表示装置は、所定間隙を開けた状態に配置された一対の後方基板1a、表示基板1bと、これら基板の間に充填された絶縁性液体3と、該絶縁性液体3に分散された多数の泳動粒子4と、後方基板1aに沿うように各画素に配置された画素電極5aと、表示基板1bに配置された全ての画素に共通のコモン電極5bを備えている。この装置において、泳動粒子4は正極性または負極性に帯電されているため、コモン電極5bを0Vに接地して、画素電極5aの印加電圧を変えることによって、泳動粒子4をコモン電極5bまたは画素電極5aに吸着させることができる。このとき、泳動粒子4と絶縁性液体3とをそれぞれ異なる色に着色しておけば、泳動粒子4が観察者側のコモン電極5bに吸着されている場合には泳動粒子4の色が視認され(図6(a) 参照)、泳動粒子4が画素電極5aに吸着されている場合には絶縁性液体3の色が視認されることとなる(同図(b) 参照)。したがって、印加電圧を画素毎に制御することによって、様々な画像を表示することができる。以下、このように、帯電泳動粒子が基板に対して上下に移動するタイプの電気泳動表示装置を、上下移動型と呼ぶ。
【0004】
図7は、従来の電気泳動表示装置の構造の他の一例を示す断面図である。この図に示す電気泳動表示装置は、所定間隙を開けた状態に配置された一対の後方基板1a、表示基板1bと、これら基板の間に充填された絶縁性液体3と、該絶縁性液体に分散された多数の泳動粒子4と、後方基板1aに沿うように各画素に配置された画素電極15aとコモン電極15bを備えている。この装置において、泳動粒子4は正極性または負極性に帯電されているため、コモン電極15bを0Vに接地して、画素電極15aの印加電圧を変えることによって、泳動粒子4をコモン電極15bまたは画素電極15aに吸着させることができる。このとき、泳動粒子4と画素電極15aをそれぞれ異なる色に着色しておけば、泳動粒子4が画素電極15aに吸着されている場合には、主に泳動粒子4の色が視認され(図7(a) 参照)、泳動粒子4がコモン電極15bに吸着されている場合には、主に画素電極15aの色が視認されることとなる(同図(b) 参照)。したがって、印加電圧を画素毎に制御することによって、様々な画像を表示することができる。このように、泳動粒子が基板に対して水平に移動するタイプの電気泳動表示装置を、水平移動型と呼ぶ。
【0005】
ところで、これらの基板1a,1bの間隙に部材(“間隙部材”とする)が配置されている場合があった。
【0006】
例えば、帯電泳動粒子4が他の画素に移動してしまう場合には表示諧調が画素によって異なってしまう(つまり、表示ムラが発生してしまう)ので、そのような帯電泳動粒子4の移動を防止するために画素と画素との間に隔壁を設ける場合がある(図3,4の符号2、並びに特許文献2,3参照)。
【0007】
また、基板間隙を一定に保持するためにスペーサとしての隔壁を設ける場合もある。
【0008】
【特許文献1】
米国特許第3612758号明細書
【特許文献2】
特開昭59−34518号公報
【特許文献3】
特開昭59−171930号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上述のような間隙部材を設ける場合、間隙部材と各基板1a,1bとは密着している必要があった。例えば、画素と画素とを仕切るように設けた隔壁に、基板1a,1bとの間に少しでも隙間がある場合、長期間の駆動において泳動粒子が隔壁を越えて隣の画素に移動してしまい、表示ムラの発生という問題が生じる。また、スペーサとしての隔壁が基板1a,1bに密着されていなければ、基板間隙が一定とならず、表示品質が悪くなる等の問題が生じる。
【0010】
なお、このような間隙部材と基板との密着不良が、絶縁性液体等を先に充填した状態で基板を接着する場合に生じやすいことから、絶縁性液体等を未充填の状態で基板を間隙部材に接着しておいて、後から基板間隙に絶縁性液体や帯電泳動粒子を充填する方法も考えられる。しかし、高精細で大判な表示パネルとなるほど、全ての画素に均一に泳動粒子を注入することが難しく、さらには、泳動粒子の注入が不完全な画素が発生して表示欠陥ができる場合が多かった。
【0011】
そこで、本発明は、上述した問題を解決する電気泳動表示装置の製造方法を提供することを目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記事情を考慮してなされたものであり、所定間隙を開けた状態に配置された第一基板及び第二基板と、これらの基板の間隙に配置された間隙部材と、これらの基板の間隙に配置された液体及び複数の帯電粒子と、該液体に近接するように配置された第一電極及び第二電極と、を備え、これらの電極の間に電圧を印加して前記帯電粒子を前記第一電極の側又は第二電極の側に移動させることに基づき表示を行う電気泳動表示装置の製造方法において、
前記第一基板に前記間隙部材を配置する工程と、
該間隙部材が配置された側に前記液体及び前記帯電粒子を充填する工程と、
該間隙部材を覆うように前記第二基板を配置する工程と、
該第二基板をプレス部材にて押圧することに基づき、該第二基板を前記間隙部材に密着させる工程と、を備え、かつ、
前記プレス部材における前記第二基板を押圧する部分である押圧部が、前記間隙部材からの抗力を受けて局部的に凹む程度の変形可能な材料にて形成された、ことを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図1乃至図4を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
【0014】
本実施の形態にて製造される電気泳動表示装置は、図3に示すように、所定間隙を開けた状態に配置された第一基板1a及び第二基板1bと、これらの基板の間隙に配置された間隙部材2と、これらの基板1a,1bの間隙に配置された液体(以下、“絶縁性液体”とする)3及び複数の帯電粒子(以下、“帯電泳動粒子”とする)4と、前記絶縁性液体3に近接するように配置された第一電極5a及び第二電極5bと、を備えており、これらの電極5a,5bの間に電圧を印加して前記帯電泳動粒子4を前記第一電極5aの側又は前記第二電極5bの側に移動させることに基き表示を行うようになっている。
【0015】
ところで、上述した間隙部材2としては、
・ 基板の間隔を一定に保持するための隔壁や、
・ 画素を仕切るようにこれらの基板1a,1bの間隙に配置された隔壁や、
・ 両方の役割を果たす隔壁、
を挙げることができる。なお、間隙部材2を画素を仕切るように配置する場合、該隔壁は、少なくとも画素と画素との境界部分に配置されていて、絶縁性液体3や帯電泳動粒子4が他の画素へ移動してしまわないように構成されている必要があるが、画素と画素との境界部分以外に配置されているものを除外する趣旨ではない。画素の境界部分だけでなく、画素の中に配置されていても構わないし、画素と画素とを仕切るように配置されているだけでなく、画素を複数のエリアに分割するように配置されていても良い。このような隔壁には、ポリマー樹脂等を使用することができ、具体的には、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリメタクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアクリレート樹脂、ノボラック樹脂、エポキシ樹脂等を使用することができる。
【0016】
一方、図3に示す電気泳動表示装置では、第一電極5aが一方の基板の側に配置され、第二電極5bが他方の基板の側に配置されているが、もちろんこれに限られるものではなく、図4に示すように、第一電極15a及び第二電極15bの両方が同じ基板の側に配置されるようにしても良い。
【0017】
なお、図3の符号6a,6bや図4の符号16で示すように絶縁層を形成しても良い。
【0018】
次に、本実施の形態に係る電気泳動表示装置の製造方法について図1及び図2に沿って説明する。
【0019】
本実施の形態に係る電気泳動表示装置の製造方法は、
・ 前記第一基板1a(正確には、該基板の表面、又は該基板に形成された膜の表面)に前記間隙部材2を配置する工程と、
・ 該間隙部材2が配置された側に前記絶縁性液体3及び前記帯電泳動粒子4を充填する工程と、
・ 該間隙部材2を覆うように前記第二基板1bを配置する工程と、
・ 該第二基板1bをプレス部材7又は17にて押圧することに基づき、該第二基板1bを前記間隙部材2に密着させる工程と、
を少なくとも備えている。
【0020】
なお、本実施の形態においては、前記プレス部材7,17によって第二基板1bを押圧するためのプレス装置A1,A2を用いると良い。以下、該装置について説明する。
【0021】
前記プレス部材7,17における押圧部(つまり、前記第二基板1bを押圧する部分)7a,17aは、前記間隙部材2からの抗力を受けて局部的に凹む程度の変形可能な材料にて形成されている必要がある。例えば、以下の要件を満たしていれば良い。
【0022】
・ プレス部材7,17の押圧部7a,17aは変形可能であること
・ その変形は、間隙部材2を押圧したときに間隙部材2から受ける抗力によって達成されること
・該押圧部7a,17aは、間隙部材2からの抗力を受けた場合、大きなエリアが変形するのではなく、その抗力を受けた部分が局部的に凹むこと
【0023】
ところで、本実施の形態においては、押圧部7a,17aが間隙部材2より柔らかいことが好ましく、前記プレス部材7,17の押圧部7a,17aの強度(耐変形性)が、前記間隙部材2の強度(耐変形性)よりも小さいと良い。つまり、プレス部材7,17にて第二基板1bを押圧した場合、間隙部材2と押圧部7a,17aとの間には押圧力及び抗力がそれぞれに作用するが、上述の条件(前記プレス部材7,17の押圧部7a,17aの強度(耐変形性)が、前記間隙部材2の強度(耐変形性)よりも小さいという条件)を満たしているため、押圧部7a,17aの方が凹むこととなる。
【0024】
なお、押圧部7a,17aには種々の材料を用いることができるが、弾性材料(例えば、天然ゴム、シリコン樹脂、ポリブタジエン、ポリブタジエンスチレン共重合体、エチレンエチルアクリレート共重合体、エチレンブチルアクリレート共重合体、ポリウレタン、熱可塑性エラストマー樹脂等)を用いた場合、押圧部7a,17aのゴム硬度が、前記間隙部材2のゴム硬度よりも小さいと良い。
【0025】
なお、プレス部材7,17としては、図1に示す板状のものや、図2に示すローラー状(つまり、roll to rollプロセスに適したローラー形状)のものを挙げることができる。
【0026】
このプレス装置には、前記第一基板1aを保持するための基台8を設けておくと良い。
【0027】
また、前記プレス部材7,17によって前記第二基板1bを押圧する際、該プレス部材7,17と前記第二基板1bとの間に液体を介在させると良い。これによって、第二基板1bと間隙部材2とを密着させる工程において、気泡の混入を防ぐとともに、基板の静電帯電を防止することができる。該工程の時に、基板1bが静電帯電をしていると、クーロン力によって泳動粒子4が舞い上げられてしまい、(間隙部材2によって画素を仕切る前に)粒子の不均一分布を引き起こす。さらに、舞い上げられた泳動粒子4は、間隙部材2と基板1bの間に挟まってしまう場合があった。
【0028】
なお、該プレス部材7,17と該第二基板1bとの間に介在させる液体としては、前記第一基板1aと前記第二基板1bとの間に配置される絶縁性液体3と同じものが好ましい。該絶縁性液体3を用いた場合には、該液体3が基板間隙に混入したとしても、表示に支障は生じないからである。
【0029】
以上がプレス装置についての説明であるが、次に、第二基板1bの材質について説明する。
【0030】
上述した第二基板1bは、可撓性材料にて形成されている必要があり、さらに、前記プレス部材7,17にて押圧された場合に変形して前記間隙部材2(正確には、その端面)に密着されるような材質であることが必要である。なお、間隙部材2の高さに多少の不均一があっても、該間隙部材2との間に隙間を生じさせることなく密着されることが必要である。そのような第二基板1bの材質は、
・ プレス部材7,17の押圧部7a,17aの材質(押圧力)や、
・ 隣接するように配置された間隙部材2の離間ピッチ等
との関係で定まるものである。間隙部材2の高さは、互いに隣り合う間隙部材どうしの間で異なるかも知れないし、連続する1本の間隙部材2においてもその高さが変化するかも知れない。いずれの場合においても、第二基板1bは押圧部7a,17aに押圧された場合に間隙部材2に密着することが必要である。
【0031】
この第二基板1bには、ポリマーフィルム等を使用することができ、具体的には、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリイミド(PI)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等を使用することができる。該第二基板1bには薄膜を用いると良い。具体的には、膜厚1μm以上、30μm以下の範囲である薄膜基板であることが好ましい。さらには、膜厚2μm以上、10μm以下の範囲である薄膜基板であることが好ましい。
【0032】
次に、本実施の形態の効果について説明する。
【0033】
本実施の形態によれば、プレス部材7,17が第二基板1bを押圧するため、余剰の絶縁性液体3は基板間隙から排出され、第二基板1bと間隙部材2とが密着される。
【0034】
したがって、画素と画素とを仕切るように(つまり、画素を囲むような形状に)間隙部材2を配置した場合、第二基板1bと間隙部材2とが密着されているので各画素は完全に封止され、帯電泳動粒子4の他の画素への移動が防止される。その結果、表示ムラの発生を回避できる。また、間隙部材2をスペーサとして用いる場合には基板間隙を確実に規定することができる。
【0035】
【実施例】
以下、実施例に沿って本発明を更に詳細に説明する。
【0036】
(実施例1)
本実施例では、図3及び図5に示すような上下移動型電気泳動表示装置を作製した。
【0037】
すなわち、後方基板(第一基板)1aの表面には、パターニングにより画素部分にアルミニウム薄膜を形成して画素電極(第一電極)5aとした。なお、この画素電極5aは図5に示すように形成し、1つの画素の大きさは240μm×240μmになるようにし、画素数は300×400画素になるようにした。そして、この画素電極5aを覆うように絶縁層6aを形成し、さらに、画素と画素との境界部分には光感光性アクリル樹脂により隔壁2を形成した。この隔壁2の幅は10μmとし、高さは100μmとし、ゴム硬度は98とした。
【0038】
なお、ゴム硬度は、JIS規格K6253記載のデュロメーター硬さ試験に準拠し、被膜厚み8mm以上で、A型デュロメーターゴム硬度計(高分子計器(株)製 型式ASKER−JA型)にて測定を行った(他の実施例においても同じ)。
【0039】
次に、隔壁2によって形成された凹部(画素部分)に絶縁性液体3や帯電泳動粒子4を充填した。その充填にはスリットコータを用いた。絶縁性液体3には、荷電制御剤としてコハク酸イミド(商品名:OLOA1200、シェブロン社製)を含有させ、染料により黒色に着色したイソパラフィン(商品名:アイソパー、エクソン社製)を用いた。帯電泳動粒子4には粒径1μm程度の酸化チタンを使用した。
【0040】
そして、厚さ20μmのポリカーボネートのフィルムからなる表示基板(第二基板)1bにコモン電極(第二電極)5bをITO(インジウム・ティン・オキサイド)にて形成し、絶縁層6bにて被覆した。その表示基板1bを、隔壁2に接触するように配置し、図1に示すプレス部材7により隔壁側に除々に押し付けていった。この時、プレス部材7と表示基板1bとの間には、絶縁性液体(不図示)を介在させるようにした。なお、押圧部7aには、シリコン樹脂であるペルガンZ(ダウコーティング社製)を用い、ゴム硬度は83であった。
【0041】
本実施例によれば、画素への気泡の混入が防止された。また、基板1bと隔壁2との間は密着され、帯電泳動粒子4の他の画素への移動を防止できた。実際に、上記電気泳動表示装置を用いて長時間の耐久駆動を行ったが、表示ムラは観察されず、帯電泳動粒子の画素間移動が起こってないことが推察できた。
【0042】
(実施例2)
本実施例では、図4に示すような水平移動型電気泳動表示装置を作製した。
【0043】
すなわち、後方基板(第一基板)1aの表面には、パターニングにより画素部分にアルミニウム薄膜を形成して画素電極(第一電極)15aとした。なお、1つの画素の大きさは120μm×120μmになるようにし、画素数は600×800画素になるようにした。また、各画素には、画素電極15aよりも小さいエリアにコモン電極(第二電極)15bをチタンにてそれぞれ形成した。そして、画素電極15aとコモン電極15bの間やコモン電極15bの表面には絶縁層16を配置した。なお、画素電極15を覆う部分の絶縁層には、酸化チタン微粒子を混合させて白色にしたポリイミド樹脂層を用い、コモン電極15bは、ブラックマトリクスのレジストにより黒色に着色した。さらに、画素と画素との境界部分には光感光性アクリル樹脂により隔壁2を形成した。この隔壁2の幅は5μmとし、高さは20μmとし、ゴム硬度は98とした。
【0044】
次に、隔壁2によって形成された凹部(画素部分)に絶縁性液体3や帯電泳動粒子4を充填した。その充填にはスリットコータを用いた。絶縁性液体3には、荷電制御剤としてコハク酸イミド(商品名:OLOA1200、シェブロン社製)を含有させたイソパラフィン(商品名:アイソパー、エクソン社製)を用いた。帯電泳動粒子4には粒径2μm程度のカーボンブラックを含有したポリスチレン−ポリメチルメタクリレート共重合体樹脂を使用した。
【0045】
そして、厚さ5μmのポリカーボネートのフィルムからなる表示基板(第二基板)1bを、隔壁2に接触するように配置し、図1に示すプレス部材7により隔壁側に除々に押し付けていった。この時、プレス部材7と表示基板1bとの間には、絶縁性液体(不図示)を介在させるようにした。なお、押圧部7aには、シリコン樹脂であるシルポット184(ダウコーティング社製)を用い、ゴム硬度は45であった。
【0046】
本実施例によれば、実施例1と同様の効果が得られた。
【0047】
(実施例3)
本実施例では、図2に示すプレス装置A2を用いて表示基板1bの押圧を行って、実施例2と同様の効果を得た。以下、詳述する。
【0048】
本実施例では、図4に示すような水平移動型電気泳動表示装置を作製した。
【0049】
すなわち、後方基板(第一基板)1aの表面には、パターニングにより画素部分にアルミニウム薄膜を形成して画素電極(第一電極)15aとした。なお、1つの画素の大きさは98μm×98μmになるようにし、画素数は600×800画素になるようにした。また、各画素には、画素電極15aよりも小さいエリアにコモン電極(第二電極)15bをチタンにてそれぞれ形成した。そして、画素電極15aとコモン電極15bの間やコモン電極15bの表面には絶縁層16を配置した。なお、画素電極15を覆う部分の絶縁層には、酸化チタン微粒子を混合させて白色にしたポリイミド樹脂層を用い、コモン電極15bは、ブラックマトリクスのレジストにより黒色に着色した。さらに、画素と画素との境界部分には光感光性アクリル樹脂により隔壁2を形成した。この隔壁2の幅は5μmとし、高さは17μmとし、ゴム硬度は98とした。
【0050】
次に、隔壁2によって形成された凹部(画素部分)に絶縁性液体3や帯電泳動粒子4を充填した。その充填にはスリットコータを用いた。絶縁性液体3には、荷電制御剤としてコハク酸イミド(商品名:OLOA1200、シェブロン社製)を含有させたイソパラフィン(商品名:アイソパー、エクソン社製)を用いた。帯電泳動粒子4には粒径2μm程度のカーボンブラックを含有したポリスチレン−ポリメチルメタクリレート共重合体樹脂を使用した。
【0051】
そして、厚さ5μmのポリカーボネートのフィルムからなる表示基板(第二基板)1bを、隔壁2に接触するように配置し、図2に示すプレス部材17により隔壁側に除々に押し付けていった。この時、プレス部材17と表示基板1bとの間には、絶縁性液体(不図示)を介在させるようにした。なお、押圧部17aには、シリコン樹脂であるKE106(信越化学社製)を用い、ゴム硬度は59であった。
【0052】
本実施例によれば、実施例1と同様の効果が得られた。
【0053】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によると、プレス部材が第二基板を押圧するため、余剰の絶縁性液体は基板間隙から排出され、第二基板と間隙部材とが密着される。
【0054】
したがって、画素と画素とを仕切るように(つまり、画素を囲むような形状に)間隙部材を配置した場合、第二基板と間隙部材とが密着されているので各画素は完全に封止され、帯電泳動粒子の他の画素への移動が防止される。その結果、表示ムラの発生を回避できる。また、間隙部材をスペーサとして用いる場合には基板間隙を確実に規定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る電気泳動表示装置の製造方法の一例を示す模式図。
【図2】本発明に係る電気泳動表示装置の製造方法の他の例を示す模式図。
【図3】本発明が適用されて製造される電気泳動表示装置の構造の一例を示す断面図。
【図4】本発明が適用されて製造される電気泳動表示装置の構造の他の例を示す断面図。
【図5】画素電極の配置状態を説明するための平面図。
【図6】従来の電気泳動表示装置の構造の一例を示す断面図。
【図7】従来の電気泳動表示装置の構造の他の一例を示す断面図。
【符号の説明】
1a 後方基板(第一基板)
1b 表示基板(第二基板)
2 隔壁(間隙部材)
3 絶縁性液体(液体)
4 帯電泳動粒子(帯電粒子)
5a 画素電極(第一電極)
5b コモン電極(第二電極)
7 プレス部材
7a 押圧部
15a 画素電極(第一電極)
15b コモン電極(第二電極)
17 プレス部材
17a 押圧部
【発明の属する技術分野】
本発明は、帯電粒子を移動させることに基づき表示を行う電気泳動表示装置の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
デジタル技術の目覚しい進歩により、個人が扱うことのできる情報量は飛躍的に増大している。これに伴い、情報の出力手段としてのディスプレイの開発が盛んにおこなわれており、高精細、低消費電力、軽量、薄型、等のユーザビリティの高いディスプレイへと技術革新が続いている。特に近年では、印刷物と同等の表示品位をもつ“読み易い”反射型ディスプレイが待望されており、これは、電子ペーパー、電子ブック等の次世代の商品に欠かせない技術である。上記のようなディスプレイの候補として、Harold D. Lees等により発明された電気泳動表示装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
図6は、従来の電気泳動表示装置の構造の一例を示す断面図である。この電気泳動表示装置は、所定間隙を開けた状態に配置された一対の後方基板1a、表示基板1bと、これら基板の間に充填された絶縁性液体3と、該絶縁性液体3に分散された多数の泳動粒子4と、後方基板1aに沿うように各画素に配置された画素電極5aと、表示基板1bに配置された全ての画素に共通のコモン電極5bを備えている。この装置において、泳動粒子4は正極性または負極性に帯電されているため、コモン電極5bを0Vに接地して、画素電極5aの印加電圧を変えることによって、泳動粒子4をコモン電極5bまたは画素電極5aに吸着させることができる。このとき、泳動粒子4と絶縁性液体3とをそれぞれ異なる色に着色しておけば、泳動粒子4が観察者側のコモン電極5bに吸着されている場合には泳動粒子4の色が視認され(図6(a) 参照)、泳動粒子4が画素電極5aに吸着されている場合には絶縁性液体3の色が視認されることとなる(同図(b) 参照)。したがって、印加電圧を画素毎に制御することによって、様々な画像を表示することができる。以下、このように、帯電泳動粒子が基板に対して上下に移動するタイプの電気泳動表示装置を、上下移動型と呼ぶ。
【0004】
図7は、従来の電気泳動表示装置の構造の他の一例を示す断面図である。この図に示す電気泳動表示装置は、所定間隙を開けた状態に配置された一対の後方基板1a、表示基板1bと、これら基板の間に充填された絶縁性液体3と、該絶縁性液体に分散された多数の泳動粒子4と、後方基板1aに沿うように各画素に配置された画素電極15aとコモン電極15bを備えている。この装置において、泳動粒子4は正極性または負極性に帯電されているため、コモン電極15bを0Vに接地して、画素電極15aの印加電圧を変えることによって、泳動粒子4をコモン電極15bまたは画素電極15aに吸着させることができる。このとき、泳動粒子4と画素電極15aをそれぞれ異なる色に着色しておけば、泳動粒子4が画素電極15aに吸着されている場合には、主に泳動粒子4の色が視認され(図7(a) 参照)、泳動粒子4がコモン電極15bに吸着されている場合には、主に画素電極15aの色が視認されることとなる(同図(b) 参照)。したがって、印加電圧を画素毎に制御することによって、様々な画像を表示することができる。このように、泳動粒子が基板に対して水平に移動するタイプの電気泳動表示装置を、水平移動型と呼ぶ。
【0005】
ところで、これらの基板1a,1bの間隙に部材(“間隙部材”とする)が配置されている場合があった。
【0006】
例えば、帯電泳動粒子4が他の画素に移動してしまう場合には表示諧調が画素によって異なってしまう(つまり、表示ムラが発生してしまう)ので、そのような帯電泳動粒子4の移動を防止するために画素と画素との間に隔壁を設ける場合がある(図3,4の符号2、並びに特許文献2,3参照)。
【0007】
また、基板間隙を一定に保持するためにスペーサとしての隔壁を設ける場合もある。
【0008】
【特許文献1】
米国特許第3612758号明細書
【特許文献2】
特開昭59−34518号公報
【特許文献3】
特開昭59−171930号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上述のような間隙部材を設ける場合、間隙部材と各基板1a,1bとは密着している必要があった。例えば、画素と画素とを仕切るように設けた隔壁に、基板1a,1bとの間に少しでも隙間がある場合、長期間の駆動において泳動粒子が隔壁を越えて隣の画素に移動してしまい、表示ムラの発生という問題が生じる。また、スペーサとしての隔壁が基板1a,1bに密着されていなければ、基板間隙が一定とならず、表示品質が悪くなる等の問題が生じる。
【0010】
なお、このような間隙部材と基板との密着不良が、絶縁性液体等を先に充填した状態で基板を接着する場合に生じやすいことから、絶縁性液体等を未充填の状態で基板を間隙部材に接着しておいて、後から基板間隙に絶縁性液体や帯電泳動粒子を充填する方法も考えられる。しかし、高精細で大判な表示パネルとなるほど、全ての画素に均一に泳動粒子を注入することが難しく、さらには、泳動粒子の注入が不完全な画素が発生して表示欠陥ができる場合が多かった。
【0011】
そこで、本発明は、上述した問題を解決する電気泳動表示装置の製造方法を提供することを目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記事情を考慮してなされたものであり、所定間隙を開けた状態に配置された第一基板及び第二基板と、これらの基板の間隙に配置された間隙部材と、これらの基板の間隙に配置された液体及び複数の帯電粒子と、該液体に近接するように配置された第一電極及び第二電極と、を備え、これらの電極の間に電圧を印加して前記帯電粒子を前記第一電極の側又は第二電極の側に移動させることに基づき表示を行う電気泳動表示装置の製造方法において、
前記第一基板に前記間隙部材を配置する工程と、
該間隙部材が配置された側に前記液体及び前記帯電粒子を充填する工程と、
該間隙部材を覆うように前記第二基板を配置する工程と、
該第二基板をプレス部材にて押圧することに基づき、該第二基板を前記間隙部材に密着させる工程と、を備え、かつ、
前記プレス部材における前記第二基板を押圧する部分である押圧部が、前記間隙部材からの抗力を受けて局部的に凹む程度の変形可能な材料にて形成された、ことを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図1乃至図4を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
【0014】
本実施の形態にて製造される電気泳動表示装置は、図3に示すように、所定間隙を開けた状態に配置された第一基板1a及び第二基板1bと、これらの基板の間隙に配置された間隙部材2と、これらの基板1a,1bの間隙に配置された液体(以下、“絶縁性液体”とする)3及び複数の帯電粒子(以下、“帯電泳動粒子”とする)4と、前記絶縁性液体3に近接するように配置された第一電極5a及び第二電極5bと、を備えており、これらの電極5a,5bの間に電圧を印加して前記帯電泳動粒子4を前記第一電極5aの側又は前記第二電極5bの側に移動させることに基き表示を行うようになっている。
【0015】
ところで、上述した間隙部材2としては、
・ 基板の間隔を一定に保持するための隔壁や、
・ 画素を仕切るようにこれらの基板1a,1bの間隙に配置された隔壁や、
・ 両方の役割を果たす隔壁、
を挙げることができる。なお、間隙部材2を画素を仕切るように配置する場合、該隔壁は、少なくとも画素と画素との境界部分に配置されていて、絶縁性液体3や帯電泳動粒子4が他の画素へ移動してしまわないように構成されている必要があるが、画素と画素との境界部分以外に配置されているものを除外する趣旨ではない。画素の境界部分だけでなく、画素の中に配置されていても構わないし、画素と画素とを仕切るように配置されているだけでなく、画素を複数のエリアに分割するように配置されていても良い。このような隔壁には、ポリマー樹脂等を使用することができ、具体的には、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリメタクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアクリレート樹脂、ノボラック樹脂、エポキシ樹脂等を使用することができる。
【0016】
一方、図3に示す電気泳動表示装置では、第一電極5aが一方の基板の側に配置され、第二電極5bが他方の基板の側に配置されているが、もちろんこれに限られるものではなく、図4に示すように、第一電極15a及び第二電極15bの両方が同じ基板の側に配置されるようにしても良い。
【0017】
なお、図3の符号6a,6bや図4の符号16で示すように絶縁層を形成しても良い。
【0018】
次に、本実施の形態に係る電気泳動表示装置の製造方法について図1及び図2に沿って説明する。
【0019】
本実施の形態に係る電気泳動表示装置の製造方法は、
・ 前記第一基板1a(正確には、該基板の表面、又は該基板に形成された膜の表面)に前記間隙部材2を配置する工程と、
・ 該間隙部材2が配置された側に前記絶縁性液体3及び前記帯電泳動粒子4を充填する工程と、
・ 該間隙部材2を覆うように前記第二基板1bを配置する工程と、
・ 該第二基板1bをプレス部材7又は17にて押圧することに基づき、該第二基板1bを前記間隙部材2に密着させる工程と、
を少なくとも備えている。
【0020】
なお、本実施の形態においては、前記プレス部材7,17によって第二基板1bを押圧するためのプレス装置A1,A2を用いると良い。以下、該装置について説明する。
【0021】
前記プレス部材7,17における押圧部(つまり、前記第二基板1bを押圧する部分)7a,17aは、前記間隙部材2からの抗力を受けて局部的に凹む程度の変形可能な材料にて形成されている必要がある。例えば、以下の要件を満たしていれば良い。
【0022】
・ プレス部材7,17の押圧部7a,17aは変形可能であること
・ その変形は、間隙部材2を押圧したときに間隙部材2から受ける抗力によって達成されること
・該押圧部7a,17aは、間隙部材2からの抗力を受けた場合、大きなエリアが変形するのではなく、その抗力を受けた部分が局部的に凹むこと
【0023】
ところで、本実施の形態においては、押圧部7a,17aが間隙部材2より柔らかいことが好ましく、前記プレス部材7,17の押圧部7a,17aの強度(耐変形性)が、前記間隙部材2の強度(耐変形性)よりも小さいと良い。つまり、プレス部材7,17にて第二基板1bを押圧した場合、間隙部材2と押圧部7a,17aとの間には押圧力及び抗力がそれぞれに作用するが、上述の条件(前記プレス部材7,17の押圧部7a,17aの強度(耐変形性)が、前記間隙部材2の強度(耐変形性)よりも小さいという条件)を満たしているため、押圧部7a,17aの方が凹むこととなる。
【0024】
なお、押圧部7a,17aには種々の材料を用いることができるが、弾性材料(例えば、天然ゴム、シリコン樹脂、ポリブタジエン、ポリブタジエンスチレン共重合体、エチレンエチルアクリレート共重合体、エチレンブチルアクリレート共重合体、ポリウレタン、熱可塑性エラストマー樹脂等)を用いた場合、押圧部7a,17aのゴム硬度が、前記間隙部材2のゴム硬度よりも小さいと良い。
【0025】
なお、プレス部材7,17としては、図1に示す板状のものや、図2に示すローラー状(つまり、roll to rollプロセスに適したローラー形状)のものを挙げることができる。
【0026】
このプレス装置には、前記第一基板1aを保持するための基台8を設けておくと良い。
【0027】
また、前記プレス部材7,17によって前記第二基板1bを押圧する際、該プレス部材7,17と前記第二基板1bとの間に液体を介在させると良い。これによって、第二基板1bと間隙部材2とを密着させる工程において、気泡の混入を防ぐとともに、基板の静電帯電を防止することができる。該工程の時に、基板1bが静電帯電をしていると、クーロン力によって泳動粒子4が舞い上げられてしまい、(間隙部材2によって画素を仕切る前に)粒子の不均一分布を引き起こす。さらに、舞い上げられた泳動粒子4は、間隙部材2と基板1bの間に挟まってしまう場合があった。
【0028】
なお、該プレス部材7,17と該第二基板1bとの間に介在させる液体としては、前記第一基板1aと前記第二基板1bとの間に配置される絶縁性液体3と同じものが好ましい。該絶縁性液体3を用いた場合には、該液体3が基板間隙に混入したとしても、表示に支障は生じないからである。
【0029】
以上がプレス装置についての説明であるが、次に、第二基板1bの材質について説明する。
【0030】
上述した第二基板1bは、可撓性材料にて形成されている必要があり、さらに、前記プレス部材7,17にて押圧された場合に変形して前記間隙部材2(正確には、その端面)に密着されるような材質であることが必要である。なお、間隙部材2の高さに多少の不均一があっても、該間隙部材2との間に隙間を生じさせることなく密着されることが必要である。そのような第二基板1bの材質は、
・ プレス部材7,17の押圧部7a,17aの材質(押圧力)や、
・ 隣接するように配置された間隙部材2の離間ピッチ等
との関係で定まるものである。間隙部材2の高さは、互いに隣り合う間隙部材どうしの間で異なるかも知れないし、連続する1本の間隙部材2においてもその高さが変化するかも知れない。いずれの場合においても、第二基板1bは押圧部7a,17aに押圧された場合に間隙部材2に密着することが必要である。
【0031】
この第二基板1bには、ポリマーフィルム等を使用することができ、具体的には、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリイミド(PI)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等を使用することができる。該第二基板1bには薄膜を用いると良い。具体的には、膜厚1μm以上、30μm以下の範囲である薄膜基板であることが好ましい。さらには、膜厚2μm以上、10μm以下の範囲である薄膜基板であることが好ましい。
【0032】
次に、本実施の形態の効果について説明する。
【0033】
本実施の形態によれば、プレス部材7,17が第二基板1bを押圧するため、余剰の絶縁性液体3は基板間隙から排出され、第二基板1bと間隙部材2とが密着される。
【0034】
したがって、画素と画素とを仕切るように(つまり、画素を囲むような形状に)間隙部材2を配置した場合、第二基板1bと間隙部材2とが密着されているので各画素は完全に封止され、帯電泳動粒子4の他の画素への移動が防止される。その結果、表示ムラの発生を回避できる。また、間隙部材2をスペーサとして用いる場合には基板間隙を確実に規定することができる。
【0035】
【実施例】
以下、実施例に沿って本発明を更に詳細に説明する。
【0036】
(実施例1)
本実施例では、図3及び図5に示すような上下移動型電気泳動表示装置を作製した。
【0037】
すなわち、後方基板(第一基板)1aの表面には、パターニングにより画素部分にアルミニウム薄膜を形成して画素電極(第一電極)5aとした。なお、この画素電極5aは図5に示すように形成し、1つの画素の大きさは240μm×240μmになるようにし、画素数は300×400画素になるようにした。そして、この画素電極5aを覆うように絶縁層6aを形成し、さらに、画素と画素との境界部分には光感光性アクリル樹脂により隔壁2を形成した。この隔壁2の幅は10μmとし、高さは100μmとし、ゴム硬度は98とした。
【0038】
なお、ゴム硬度は、JIS規格K6253記載のデュロメーター硬さ試験に準拠し、被膜厚み8mm以上で、A型デュロメーターゴム硬度計(高分子計器(株)製 型式ASKER−JA型)にて測定を行った(他の実施例においても同じ)。
【0039】
次に、隔壁2によって形成された凹部(画素部分)に絶縁性液体3や帯電泳動粒子4を充填した。その充填にはスリットコータを用いた。絶縁性液体3には、荷電制御剤としてコハク酸イミド(商品名:OLOA1200、シェブロン社製)を含有させ、染料により黒色に着色したイソパラフィン(商品名:アイソパー、エクソン社製)を用いた。帯電泳動粒子4には粒径1μm程度の酸化チタンを使用した。
【0040】
そして、厚さ20μmのポリカーボネートのフィルムからなる表示基板(第二基板)1bにコモン電極(第二電極)5bをITO(インジウム・ティン・オキサイド)にて形成し、絶縁層6bにて被覆した。その表示基板1bを、隔壁2に接触するように配置し、図1に示すプレス部材7により隔壁側に除々に押し付けていった。この時、プレス部材7と表示基板1bとの間には、絶縁性液体(不図示)を介在させるようにした。なお、押圧部7aには、シリコン樹脂であるペルガンZ(ダウコーティング社製)を用い、ゴム硬度は83であった。
【0041】
本実施例によれば、画素への気泡の混入が防止された。また、基板1bと隔壁2との間は密着され、帯電泳動粒子4の他の画素への移動を防止できた。実際に、上記電気泳動表示装置を用いて長時間の耐久駆動を行ったが、表示ムラは観察されず、帯電泳動粒子の画素間移動が起こってないことが推察できた。
【0042】
(実施例2)
本実施例では、図4に示すような水平移動型電気泳動表示装置を作製した。
【0043】
すなわち、後方基板(第一基板)1aの表面には、パターニングにより画素部分にアルミニウム薄膜を形成して画素電極(第一電極)15aとした。なお、1つの画素の大きさは120μm×120μmになるようにし、画素数は600×800画素になるようにした。また、各画素には、画素電極15aよりも小さいエリアにコモン電極(第二電極)15bをチタンにてそれぞれ形成した。そして、画素電極15aとコモン電極15bの間やコモン電極15bの表面には絶縁層16を配置した。なお、画素電極15を覆う部分の絶縁層には、酸化チタン微粒子を混合させて白色にしたポリイミド樹脂層を用い、コモン電極15bは、ブラックマトリクスのレジストにより黒色に着色した。さらに、画素と画素との境界部分には光感光性アクリル樹脂により隔壁2を形成した。この隔壁2の幅は5μmとし、高さは20μmとし、ゴム硬度は98とした。
【0044】
次に、隔壁2によって形成された凹部(画素部分)に絶縁性液体3や帯電泳動粒子4を充填した。その充填にはスリットコータを用いた。絶縁性液体3には、荷電制御剤としてコハク酸イミド(商品名:OLOA1200、シェブロン社製)を含有させたイソパラフィン(商品名:アイソパー、エクソン社製)を用いた。帯電泳動粒子4には粒径2μm程度のカーボンブラックを含有したポリスチレン−ポリメチルメタクリレート共重合体樹脂を使用した。
【0045】
そして、厚さ5μmのポリカーボネートのフィルムからなる表示基板(第二基板)1bを、隔壁2に接触するように配置し、図1に示すプレス部材7により隔壁側に除々に押し付けていった。この時、プレス部材7と表示基板1bとの間には、絶縁性液体(不図示)を介在させるようにした。なお、押圧部7aには、シリコン樹脂であるシルポット184(ダウコーティング社製)を用い、ゴム硬度は45であった。
【0046】
本実施例によれば、実施例1と同様の効果が得られた。
【0047】
(実施例3)
本実施例では、図2に示すプレス装置A2を用いて表示基板1bの押圧を行って、実施例2と同様の効果を得た。以下、詳述する。
【0048】
本実施例では、図4に示すような水平移動型電気泳動表示装置を作製した。
【0049】
すなわち、後方基板(第一基板)1aの表面には、パターニングにより画素部分にアルミニウム薄膜を形成して画素電極(第一電極)15aとした。なお、1つの画素の大きさは98μm×98μmになるようにし、画素数は600×800画素になるようにした。また、各画素には、画素電極15aよりも小さいエリアにコモン電極(第二電極)15bをチタンにてそれぞれ形成した。そして、画素電極15aとコモン電極15bの間やコモン電極15bの表面には絶縁層16を配置した。なお、画素電極15を覆う部分の絶縁層には、酸化チタン微粒子を混合させて白色にしたポリイミド樹脂層を用い、コモン電極15bは、ブラックマトリクスのレジストにより黒色に着色した。さらに、画素と画素との境界部分には光感光性アクリル樹脂により隔壁2を形成した。この隔壁2の幅は5μmとし、高さは17μmとし、ゴム硬度は98とした。
【0050】
次に、隔壁2によって形成された凹部(画素部分)に絶縁性液体3や帯電泳動粒子4を充填した。その充填にはスリットコータを用いた。絶縁性液体3には、荷電制御剤としてコハク酸イミド(商品名:OLOA1200、シェブロン社製)を含有させたイソパラフィン(商品名:アイソパー、エクソン社製)を用いた。帯電泳動粒子4には粒径2μm程度のカーボンブラックを含有したポリスチレン−ポリメチルメタクリレート共重合体樹脂を使用した。
【0051】
そして、厚さ5μmのポリカーボネートのフィルムからなる表示基板(第二基板)1bを、隔壁2に接触するように配置し、図2に示すプレス部材17により隔壁側に除々に押し付けていった。この時、プレス部材17と表示基板1bとの間には、絶縁性液体(不図示)を介在させるようにした。なお、押圧部17aには、シリコン樹脂であるKE106(信越化学社製)を用い、ゴム硬度は59であった。
【0052】
本実施例によれば、実施例1と同様の効果が得られた。
【0053】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によると、プレス部材が第二基板を押圧するため、余剰の絶縁性液体は基板間隙から排出され、第二基板と間隙部材とが密着される。
【0054】
したがって、画素と画素とを仕切るように(つまり、画素を囲むような形状に)間隙部材を配置した場合、第二基板と間隙部材とが密着されているので各画素は完全に封止され、帯電泳動粒子の他の画素への移動が防止される。その結果、表示ムラの発生を回避できる。また、間隙部材をスペーサとして用いる場合には基板間隙を確実に規定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る電気泳動表示装置の製造方法の一例を示す模式図。
【図2】本発明に係る電気泳動表示装置の製造方法の他の例を示す模式図。
【図3】本発明が適用されて製造される電気泳動表示装置の構造の一例を示す断面図。
【図4】本発明が適用されて製造される電気泳動表示装置の構造の他の例を示す断面図。
【図5】画素電極の配置状態を説明するための平面図。
【図6】従来の電気泳動表示装置の構造の一例を示す断面図。
【図7】従来の電気泳動表示装置の構造の他の一例を示す断面図。
【符号の説明】
1a 後方基板(第一基板)
1b 表示基板(第二基板)
2 隔壁(間隙部材)
3 絶縁性液体(液体)
4 帯電泳動粒子(帯電粒子)
5a 画素電極(第一電極)
5b コモン電極(第二電極)
7 プレス部材
7a 押圧部
15a 画素電極(第一電極)
15b コモン電極(第二電極)
17 プレス部材
17a 押圧部
Claims (1)
- 所定間隙を開けた状態に配置された第一基板及び第二基板と、これらの基板の間隙に配置された間隙部材と、これらの基板の間隙に配置された液体及び複数の帯電粒子と、該液体に近接するように配置された第一電極及び第二電極と、を備え、これらの電極の間に電圧を印加して前記帯電粒子を前記第一電極の側又は第二電極の側に移動させることに基づき表示を行う電気泳動表示装置の製造方法において、
前記第一基板に前記間隙部材を配置する工程と、
該間隙部材が配置された側に前記液体及び前記帯電粒子を充填する工程と、
該間隙部材を覆うように前記第二基板を配置する工程と、
該第二基板をプレス部材にて押圧することに基づき、該第二基板を前記間隙部材に密着させる工程と、を備え、かつ、
前記プレス部材における前記第二基板を押圧する部分である押圧部が、前記間隙部材からの抗力を受けて局部的に凹む程度の変形可能な材料にて形成された、
ことを特徴とする電気泳動表示装置の製造方法。
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