JP2004138643A - 画像形成装置及び画像形成方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】電子写真感光体に帯電装置により電荷の付与を行い、光書き込みにより静電潜像を形成し、その静電潜像をトナーで顕像化し、トナーを被転写体に転写し、感光体をクリーニングブレードでクリーニングを行う間接電子写真方法を使用した画像形成装置において、
該電子写真感光体の表面粗度の最大谷深さをRv、最大山高さをRp、トナーの最小粒径をDとした時、最大谷深さRvと最大山高さRpとの和Ryと該トナーの最小粒径DとがRy<Dであり、
該クリーニングブレードは該電子写真感光体に対してカウンター方向に当接するように保持されており、かつ該クリーニングブレードは該電子写真感光体に当接するエッジ部がナイフ状、あるいは短冊状で長手方向一面に金属板で補強された、JIS−A硬度が75〜90度のゴム状弾性体からなることを特徴とする画像形成装置。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像形成装置に関し、詳しくは、電子写真感光体表面のトナー等の残留粉体を良好にクリーニングする手段を有する画像形成装置、およびこの装置を用いる画像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ファクシミリ、レーザービームプリンター、電子写真複写機などの間接電子写真方法を用いた画像形成装置では、感光体、帯電装置、画像露光装置、現像装置、転写装置、分離装置、クリーニング装置、除電装置、及び定着装置が配置され、画像形成が行われる。
【0003】
この画像形成においては、感光体はトナー画像の転写工程後に、クリーニング工程において残留するトナーを除去し、その後繰り返し画像形成に使用される。一方、クリーニング手段にはファーブラシ、磁気ブラシ、ブレード等が用いられているが、性能、構成等の点からブレードが主に用いられている。ブレードの部材としては、板状のゴム、弾性体が一般的である。
【0004】
画像形成に使用される感光体には、酸化亜鉛(ZnO)、硫化カドミウム(CdS)、セレン化カドミウム(CdSe)、アモルファスセレン系(a−Se、a−Se−Te、a−As2Se3など)、アモルファスシリコン系(a−Si:H)などがあるが、近年では作製が容易、高感度設計が可能、低コスト、無公害等の多くのメリットを有する有機系感光体が主流に使用される。
【0005】
有機系感光体には、感光層が電荷発生材と電荷輸送材の機能が一体的に構成された単層型と、電荷発生層と電荷輸送層の2層構成となった機能分離型の感光体が主流に使用される。一般的な機能分離型の有機感光体の構成は、導電性支持体上に直接、あるいは下引き層(もしくは中間層)を介して電荷発生層、ついで電荷輸送物質を含有する樹脂層(電荷輸送層)が形成される。電荷発生層には無機材料、有機材料のいずれも限定されずに使用可能である。
【0006】
一方、電荷輸送層の構成材料であるバインダー樹脂材料には、高抵抗で透明性が高く、極性依存性の少ないポリカーボネート系樹脂材料(A型、C型、Z型などがある)が好適に使用される。しかし、ポリカーボネート系樹脂を使用した感光層は硬度がビッカース硬度10〜30kg/mm2、鉛筆硬度2B〜F程度と小さく、また引っ張り強度も小さい。さらに、帯電時に生成されるオゾンや窒素酸化物(NOx)等のコロナ生成物が付着し易く、自由表面エネルギー(又は摩擦係数)が小さくなる。したがって、クリーニングブレードとの摩擦抵抗が大きく成る為、感光体表面が偏って摩耗したり、凹凸を生じさせたり、傷が付いたりしてしまう。
【0007】
感光層の膜厚が減少すると、静電容量が大きくなり、帯電電位は低下する。このため、帯電電位と現像バイアス電位間の電位差が少なくなると、地肌汚れを起こしやすくなる。
コピー上の地肌汚れを起こさない様にするために、現像バイアス電位と帯電電位間の電位差を広げると、必然的に現像バイアス電位と画像部電位との電位差が少なくなるために、画像濃度が低くなる。これらの事から有機感光体の耐久枚数は5万枚〜8万枚程度と短い。
耐久枚数が低いことによって、コピー枚数の多いユーザーでは感光体、およびそれに関連した部材の交換が頻繁となり問題となる。
【0008】
もっとも、耐久枚数を左右する要因はクリーニングブレードだけにあるのではなく、原稿の画像面積、現像剤による摺擦、クリーニング部材によるトナーやキャリア、紙粉などの圧接、前記した帯電時に発生するコロナ生成物等がある。感光層が摩耗する事により、静電容量が大きく成るため、帯電電位は低下する。したがって、帯電電位と現像バイアス電位間の余裕度が小さくなり、地肌汚れの可能性が生じる可能性が大きくなる。
【0009】
4連タンデム方式のカラー複写機では、地肌汚れの他、原稿の色や、画像面積、現像剤の送り量、トナー量などによって、4本の感光体の摩耗に違いが生じる為、色の均一性、色再現性の低下となって現れる。
【0010】
感光体の耐摩耗性を向上させる事は、トータルコストの低減化、画像品質に対する信頼性を保証する。したがって、感光体の高耐久化を図る事は重要である。感光体を高耐久化する技術には、感光体表層に耐摩耗性の薄膜を形成する方法、耐摩耗性の感光材料で感光層を構成する方法、感光層の最表面を耐摩耗性にする方法、等がある。
ここで、従来より知られている感光体の耐久性を向上させるための技術を示す。
【0011】
(1)特開平01−092756号公報(特許文献1)、特開平02−079047号公報(特許文献2)、特開平04−066954号公報(特許文献3)等には、感光層上に蒸着、CVD法などの乾式の製膜法を使用して、可視光から赤外光領域の透過性が高く、帯電特性、残留電位が許容できる体積固有抵抗(1011〜1014Ω・cm)を有する耐摩耗性の高いa−SiC層(非晶質炭化シリコン層)やa−C膜(非晶質炭素層)、DLC膜(Diamond Like
Carbon層)等の均一薄膜を形成する事が記載されている。
上記する薄膜の膜硬度(ヌープ硬度)は500〜2000(kg/mm2)と、有機材料の20〜100倍程度大きいため、感光体の高耐久化を図るのには有効な手段であり、2μm程度の薄膜でも、50万枚〜100万枚程度の耐久性を達成する事が可能である。
【0012】
しかしながら、a−SiC膜、a−C膜や、DLC膜に低抵抗物質であるオゾンや窒素酸化物(NOx)等の低抵抗性のコロナ生成物が付着すると、強固に吸着する為、数10枚程度で解像度低下、100枚程度で画像流れが起こるという問題がある。
また、有機感光層などの柔らかい樹脂層の上にa−SiC膜、a−C膜、DLC膜などを形成した場合には、ブレードの圧接やオゾン生成物の作用によってピンホールや剥離を発生し易い、さらに、ローラー帯電方式では帯電ムラが起こりやすい等の問題があり、実用に供されていない。
【0013】
(2)特開平06−035220号公報(特許文献4)、特開平08−234469号公報(特許文献5)等には、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化錫、酸化アンチモン酸化インジウム、酸化ビスマス、錫ドープ酸化インジウム等の導電性微粒子を分散した感光層で構成する事が記載されている。
【0014】
感光層中に高硬度の導電性微粒子を適当量分散する事によって、耐摩耗性を向上させる事が可能である。低抵抗の微粒子を使用することで、電荷注入帯電には有効であるが、ハザードのきつい接触帯電法を使用する場合、画像流れが生じやすく、画像品質低下に対する耐性をも両立させることは可成り難しい。
【0015】
(3)特開平08−123053号公報(特許文献6)には、0.02〜5μm(好ましくは0.07〜2.0μm)の無機化合物粒子、例えば、シリカ、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、窒化アルミニウムなどの金属酸化物、金属硫化物、金属窒化物とブタジエン系電荷輸送材料を含有した感光層で構成する事が記載されている。
この手段は、シリカを除く高抵抗の無機化合物粒子を感光層中に分散する事によって、耐摩耗性を向上させ、帯電能を確保することが可能である。感光層中にブタジエン系電荷輸送材料を含有させることによって、電荷輸送層と同じように電荷の移動度を保持できる為、感度低下も少なく帯電、感度に関しての課題は有る程度払拭出来る。
【0016】
しかしながら、粒子とバインダー樹脂間はトラップサイトを形成しやすいため、単に含有させただけでは繰り返し使用によって残留電位が蓄積し、光減衰の劣化が生じ、次第に画像濃度低下、画像ムラを生じる事がある。また、大粒径のフィラーを使用すると、ライン画像のシャープ性低下が生じ、一方では、感光体の表面粗度が大きくなり、最大値と最小値の差がトナーの粒径より大きくなり、トナーのクリーニング不良へとつながる。また、クリーニングブレードのエッジが変形し易く、トナーや、コロナ生成物のクリーニング不良を起こしやすい、といった問題が生じる。
加えてシリカを使用した場合、オゾンによる酸化作用のため、感光層の急激な低抵抗化を招き、60%RH程度の常湿環境であっても、画像流れを起こす為、感光体を45〜55℃程度に加熱するための熱源が必須である。
【0017】
(4)特開平08−234455号公報(特許文献7)には、厚さ12μm以下の電荷輸送層に1〜3μmの粒径のシリコーン樹脂、フェノール樹脂、SiO2(シリカ)、Al2O3(アルミナ)、TiO2(酸化チタン)、ZnO(酸化亜鉛)を分散した感光層で構成する事が記載されている。
【0018】
この手段は、大きな粒径のフィラーを使用することで、高耐摩耗性を図る手段であるが、粒子の粒径が大きいため、感光体表層の表面粗度が大きくなり、画像エッジのシャープ性が欠ける。また、ブレードクリーニング方式を用いた場合、エッジが歪み、トナー抜けが生じ、コピー紙の画像品質の低下や、地肌汚れの原因を起こしやすい。更に、ブレードエッジが欠け、クリーニングブレードの耐久性が維持できない等不十分な点が有る。
【0019】
(5)特開平08−146641号公報(特許文献8)には、平均粒径が0.02〜0.5μmの酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化珪素などの無機化合物微粒子を1種又は2種のポリカーボネート樹脂中に分散した感光層で構成する事が記載されている。
【0020】
この手段は、上記(3)に記載した内容とほぼ同様であるが、小粒径の粒子を使用しているため、粒子による画像品質の劣化は小さい。但し、粒径が小さい領域(例えば0.1μm以下)では、添加効果が発現されにくいので、耐摩耗性の向上は低くなり、耐久性アップにはつながりにくい。
【0021】
(6)特開平08−248663号公報(特許文献9)には、0.01μm〜2μmの表面粗さの導電性支持体上に形成された表面粗さが0.1〜0.5μmの感光層に、平均粒径0.05〜0.5μmの無機微粒子(疎水化処理したシリカ)を0.05〜15μmの厚みにわたって分散する事が記載されている。
この手段は、分散するシリカ粒子に疎水化を施す事によって、高耐久化と、コロナ生成物などの汚染物質の付着で起こる、解像度低下、画像流れを防止するものである。
【0022】
しかしながら、無機微粒子の疎水化によって水滴の弾き効果(接触角が大きい)は発現するが、コロナ生成物の付着までは防止できないため、画像流れは防止できない。また、感光層表面に出た疎水処理を施された無機微粒子は、ブレードなどによる摺擦により被膜が削れる事と、シリカはオゾンの作用によって、低抵抗化が進行するため、画像流れの改善は殆ど不可能である。
【0023】
上記のごとく、耐久性を上げるために表面に粒子添加等を行なって高い耐摩耗性を有する感光体を用いただけでの画像形成方法では、高品位画像を安定して形成することはできない。ここでいう「高品位画像」とは、解像度が高く、シャープであり、ドットパターンがドットパターンとして解像し、地肌汚れがない画像のことである。
【0024】
感光体の表面の面粒度の10点平均粗さ(Rz)を0.2〜2.0μmとし、この感光体表面にカウンター方向に弾性ブレードを当接させてる画像形成方法が特開平11−212412号公報(特許文献10)に開示されている。
ここで、感光体の表面粗度は、画像品質を維持していく上で重要である。表面粗度は粒度を持った物体を感光層に付与したり、分散した薄膜を形成したりすることによって左右される。また、粒度が大きくなると共に、表面粗度が大きくなる。
【0025】
表面粗度を評価する項目には、10点平均粗さ(RzJIS)、最大山高さ(Rp)、最大谷深さ(Rv)、平均高さ(Rc)等があるが、クリーニング性に関しては10点平均粗さ(RzJIS)よりも、最大山高さ(Rp)、最大谷深さ(Rv)の方が重要な意味が有る。すなわち、上記の10点平均粗さは平均値での表現であるため、トナーが抜けるか否かまでは判断できない。
【0026】
感光体表面に最大山高さRpと最大谷深さRvが隣り合った状態が存在した場合、その山と谷の和Ryがトナー粒径より大きいと、トナーはブレードの下を容易にすり抜ける事が出来る。
最大山高さRp、最大谷深さRvがトナー粒径より大きく成った場合も抜け出る可能性は有るが、Rp若しくはRvが単独でトナー径を上回るのは、システム条件が不調になりキャリアが感光体に付着して、ブレードで抑えられ深いスクラッチが生じる様な、特殊な場合を除いて殆ど無いといってよい。
【0027】
最大山高さ若しくは最大谷深さの影響を受けて、クリーニングブレードの感光体に当接するエッジ部が局部的に歪みを起こした場合には、ブレードと感光体間の隙間が拡大し、次第にブレードエッジが欠け、恒常的なクリーニング不良となる。したがって、帯電部材が汚染し、コピー用紙の地汚れが起こる。
また、表面粗度が大きくなる事で、感光体表面の電荷密度が散漫になり、また、転写時のコピー用紙の密着性にも影響が生じるため、文字エッジのシャープ性が欠けた画像になる。また、粒子間にコロナ生成物が溜まり、クリーニング不良に成るため、画像流れを起こす要因となる。
【0028】
良好な画像品質を得るためには感光体の表面粗度は小さい方が望ましいが、余り表面粗度が小さいと、クリーニングブレードが感光体に密着し過ぎとなり、感光体とクリーニングブレード間の摩擦係数が高くなる。このため、ブレードエッジが感光体に引きずられて変形し、同様にクリーニング不良の要因となる。したがって、ブレードと感光体間は完全に密着するよりも、局部的に有る程度の隙十分に小さいことが望ましい。此の関係は感光体が使われた後でも維持される必要がある。
【0029】
しかし、感光体表面には凹、凸が存在する。凹(=最大谷深さ:Rv)又は凸(=最大山高さ:Rp)、又は凹凸の幅(Rp+Rv=Ry)がトナー粒径より大きい場合は、恒常的にトナー抜けが起こり、凹凸がトナーより小さい場合であり、ブレードにねじれが生じ、感光体間に隙間が生じた場合に於いても、一時的にトナー抜けが起こる場合がある。したがってRp、Rvを予め予測して、Rzを低めに設定して、Rzで規定する方法もあるが、Rzではトナー抜けが生じた場合、トナー径より大きいか小さいかの判断は出来ず、Rzの数値変動はRv、Rpの変動より少ないため、Rz(10点平均粗さ)で規定するには不十分である。
【0030】
画像形成装置では、帯電、画像露光によって形成された静電潜像を可視化するのに、1成分系の現像剤、若しくは、トナーとキャリアを適当量配合した2成分系の現像剤が使用される。現像方式にはマグネットブラシ現像法、噴霧現像法、カスケード現像法、飛翔現像法などが有るが、主流はマグネットブラシ現像法である。
【0031】
2成分系の現像剤に使用されるキャリアには、鉄粉、フェライト、マグネタイトなどの帯電制御剤を含有する樹脂被覆の30〜80μm程度粒径の磁性紛が使用される。粒径が小さいほど、高解像度が得られやすいが、余り小さいと、キャリアが感光体に付着しやすくなるため、トナー像の転写の際画像抜けが起こったり、感光体を傷つける要因にも成る。
したがって、複写システムに適応したキャリアの選定が必要となる。
【0032】
一方、トナーは近年、カラー複写機の普及にともなって、高精細化、画像の再現性が益々要求される様になり、平均粒径4〜8μmのトナーが主流に使用される(但し、平均粒径表示であるため、4μm以下の小粒径トナーは多数混在する)。
【0033】
(i)トナーの製造法には主として粉砕法と重合法がある。
粉砕法は重合によって製造されたバインダーポリマー中に、着色剤、帯電制御剤などの添加剤を溶融、混練して得られた固まりを粗粉砕、微粉砕してふるいで分級する方法である。
粉砕法ではトナーを細粒化できるというメリットがあるが、工程が複雑であるため、コストが高く成りやすい。
【0034】
粉砕法で製造されたトナーは形状がいびつな凹凸のある形状(異形)のものである。現像剤用のトナーとするために更に角を丸める工程が付加され、分級により粒径が篩い分けられる。一般的に使用されるトナーでは、トナーの円形度が小さい(角張っている)ため、粒子の帯電が一様に成りにくく、転写不良を起こしやすい。また、クリーニングブレードで感光体に押さえつけられると、スクラッチが起こりやすい傾向が見られる。
【0035】
また、初期にはシャープ性の良好な高解像度が得られても持続し難い、コピーのコピー(2代目、3代目コピー)をプリントした場合、解像度が極端に悪くなり、実用に供しないといった問題点がある。このため、更に球形度を上げたトナーの開発も行われているが、更にコスト高に成るため、重合法への転換も進められている。
【0036】
(ii)重合法の主たる製造方法には懸濁重合法や乳化重合法等がある。例えば、懸濁重合法の場合、バインダー樹脂モノマーに着色剤や帯電制御剤等の添加剤を均一化処理し、分散媒、分散剤を添加し重合して製造される。重合法は工程が簡素化されているため、粉砕法に比べ製造コストが安い。また、粒径が比較的良く揃っており、異形状の粒子が殆ど製造されない(殆どが球形トナーである)というメリットがある。
重合法で製造された粒子は殆どが真球に近い球形であり、粒径が比較的揃っているため、帯電を均一に揃えやすく、潜像にほぼ忠実に付着する。そのため、転写効率が99%以上と高く、高解像度を得られやすく、ドット画像の再現性が高い。
【0037】
この事から、近年はメリットの多い重合法で製造されたトナーが使用される例も多い。
重合法で作製された球形トナーの円形度は、球形化された粉砕トナー(0.91〜0.93程度)に比べて更に大きい(0.98〜0.998)ため、ブレードクリーニング法ではクリーニング不良を起こしやすいという問題点が起こる。
【0038】
これまでの粉砕トナーで使用されてきた通常のクリーニングブレードは、そのブレード硬度が70度〜80度程度と比較的柔らかいゴムブレードが使用されているため、ブレードの押圧で感光体に凹みを生じると同時に、ブレードエッジも歪む。また、感光体の摩擦係数が高いために、ブレードの先端部が感光体に巻き込まれ変形する。このため、ブレードと感光体間にトナーが抜け出る程度の僅かな隙間を生じ、クリーニングブレードに滞留したトナーは、ブレードの隙間を抜ける、いわゆるトナー抜けが発生する。感光体にスクラッチや、フィルミングなどで表面粗度が大きく成っている場合にはなおさらである。
このトナー抜けは引っかかりが少ない円形度が大きい球形トナーほどひどく成る傾向が有る。
【0039】
ブレードの当接圧を軽目に設定されているクリーニング装置では、殆どクリーニングされない事も有り、また感光体表層が柔らかい感光体ほどクリーニング性が行われにくく成る。
【0040】
トナーをクリーニングする方法には、1体のクリーニングブレードを感光体の回転方向に対して、逆回転方向(カウンター)、若しくは順回転方向(リーディング)に設置させて行う2通りが有るが、更に必要に応じて、ポリエステル繊維やナイロン繊維等のクリーニングブラシが併用される。
ブレードクリーニング方式では画像形成装置の小型化には有利な方法であるため、殆どの画像形成装置に採用されている。
【0041】
ブレードクリーニング方式では、ブレードを感光体の回転方向に対してカウンター方向に設置すると、感光体に対する食い込みが増し、トナーのクリーニング性能を高めることが出来る。
また、クリーニングブレードにはJIS−A硬度が70度〜80度程度、反発弾性率が30〜60%程度のゴム板を、幅1.5mm〜3mmの短冊状にカットし、アルミニウムや鉄製の板状支持基体に取り付けて使用される。
現在、一般的に好適に使用されるクリーニングブレード用のポリウレタンゴムは、ポリカーボネート樹脂製の感光体には密着し易く、感光体とブレード間の摩擦抵抗が極めて大きい。
【0042】
このため、通常は、何らかの潤滑剤を感光体表層に取り込んだり、外部より付与する事が行われており、一度回転始めると、トナーも有る程度の潤滑剤と成るため、特に摩擦係数の低減化が困難なバインダー樹脂を使った感光体でない限り、感光体を正常に回転させる事が出来る。しかし、充分に摩擦係数が低く成っている訳ではないので、クリーニングブレードのエッジが感光体に当接されると、エッジ部が感光体の回転方向に引っ張られ、エッジが歪みを起こし、ビビリ(振動)現象を生じる場合がある。この時ブレードと感光体間に僅かな隙間を生じる為、感光体に付着しているトナーや、紙粉などの粉体がすり抜ける現象が起こる。トナーのすり抜けはトナーフィルミングや、帯電部材の汚染となり、帯電不良、画像品質の低下などを引き起こす。
【0043】
トナーがすり抜ける他の要因としては、クリーニングブレードのカット幅が1.5〜3(mm)あるため、押圧及び感光体に引きづられる事によって変形し、カット面が感光体に近づき、トナーがブレードと感光体間に挟まれる事によって、ブレードに浮きが生じた場合、感光体表層の耐久化が図られていない通常の有機感光体では、表面層が柔らかいため、ブレードのエッジの食い込みが生じ、エッジが歪み、均等な当接が出来ない場合等がある。この事から、感光層表面は有る程度硬く、かつ、感光体との密着度が増さない範囲で、表面粗度は可能な限り小さい方が好ましいと言える。
【0044】
球形トナーをクリーニングする手段については幾つか提案されており、例えば特開2001−242758号公報(特許文献11)では、複数枚の板状のクリーニングブレードを張り合わせ、感光体に当接しているブレードAと当接していない側の反発弾性Bとの関係が0.1B<Aとし10〜30N/mの押圧に設定することで、課題を解決するものである。
この方法は反発弾性の異なる板状のブレードを張り合わせて、感光体に対する当接の強靱性を高め、トナーの耐すり抜け性を上げるものである。
【0045】
感光体表層の表面粗度がトナー粒径より大きい場合は勿論トナー抜けは起こるが、感光体表層の摩擦係数が高い、すなわち、クリーニングブレードと感光体間の摩擦抵抗が大きい場合には、ブレードエッジが感光体の回転方向に引きずられ、歪むことは避けられない。
このため、感光体の表面粗度が大きい状態ではトナー抜けの危険性が生じ、また、ブレード鳴きが起こる。トナー抜けが恒常的に起こると、感光体の表面粗度が大きくなり、益々、トナー抜けが生じるようになる。
【0046】
特開平05−265360号公報(特許文献12)では、クリーニング部材に板状の導電性ブレードを使用し、該ブレードに交流バイアス及び、現像時のトナーが帯電する電荷と同極性の直流電圧を印加する事によって、クリーニング不良を解消するものである。
この方法はブレードに電圧を印加するすることによって、トナーの除電を行い、ブレードおよび感光体へのトナーの付着力を弱めて、トナーがブレード下に潜り込むのを少なくするもので、有る程度の効果が期待できる。しかしながら、ブレードへの流入トナーが多いと、電圧印加の効果の寄与は少なく、ブレードだけでの防止は困難である。
【0047】
特開2001−312191号公報(特許文献13)では、形状係数SF−1を100〜140、SF−2を100〜120とするトナー(真球〜楕円状トナー)を使用し、感光体にカウンター方向に当接したクリーニングブレードに線圧が20g/cm〜60g/cmとなるように設定する事によって課題を解決するものである。
トナーが真球の場合には上記の内容ではクリーニング不十分であるが、楕円状に成る程、クリーニング性は向上するようになる。クリーニング圧を高めにすることで、クリーニング性の向上は図れるが、経時的なクリーニングブレードの形状、感光体の表面粗度によっては更に悪化する可能性が有る。
【0048】
特開2001−305776号公報(特許文献14)では、板状のクリーニングブレードを使用し、感光体表層に1次粒子の平均径が5〜500nm(=0.005μm〜0.5μm)の珪素化合物微粒子を固形分全重量基準で、3〜30重量部含有させる事によって課題を解決するものである。
感光層表面に高硬度の珪素化合物微粒子を含有させる事によって、ブレードの食い込みが少なくなり、また、ブレードと感光層間の摩擦抵抗を緩和する効果がある。この事により、トナーのすり抜けは改善される効果が発現するが、粒子が余り小さい場合には、摩擦抵抗の低減効果はなく、大きい場合には帯電時に発生するオゾンによって、珪素化合物が低抵抗化し、画像流れを起こす危険性が大となる。また、そのことにより、摩擦抵抗が上昇し、クリーニングブレードのエッジが歪み、トナー抜けを起こす要因となる。
【0049】
トナーを良好にクリーニングするためには、回転によってクリーニングブレードエッジ部が振動しないようにする事、ブレードのエッジ部が感光体に引きずられて歪まないようにする事、さらにはブレードによってトナーが押しつけられる余地を作らない事(駆動中にブレードは感光体に対し面当接でなく線当接すること)が重要である。このためには、クリーニングブレードの形状や変形に強い事は元より、感光体側にもする抜けが起こらない様な対策が必要である。ブレードの振動は感光体の磨耗を増長させる要因にも成る。
また、感光体の摩擦係数が大きいと、ブレードが歪み易く、トナーが感光体に付着し易い。したがって、ブレードのエッジ部は浮き、すり抜け現象が生じる。開示例では一定の効果は認められるが、いずれの方法に於いてもなお、改善する余地が残されており、長時間の使用によって、クリーニング性が低下する可能性を有している。
【0050】
【特許文献1】
特開平01−092756号公報
【特許文献2】
特開平02−079047号公報
【特許文献3】
特開平04−066954号公報
【特許文献4】
特開平06−035220号公報
【特許文献5】
特開平08−234469号公報
【特許文献6】
特開平08−123053号公報
【特許文献7】
特開平08−234455号公報
【特許文献8】
特開平08−146641号公報
【特許文献9】
特開平08−248663号公報
【特許文献10】
特開平11−212412号公報
【特許文献11】
特開2001−242758号公報
【特許文献12】
特開平05−265360号公報
【特許文献13】
特開2001−312191号公報
【特許文献14】
特開2001−305776号公報
【0051】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は円形度の大きいトナーを使用しても良好なクリーニングが行なえ、良質な画像が得られる画像形成装置、及びこの装置を用いる画像形成方法を提供することを課題とする。
【0052】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは改めてトナーのクリーニングブレードすり抜けについて検討した。
平均円形度が高い球形トナー、特には0.98や0.99の円形度を持つ球形トナーはクリーニング方式がカウンター方向になる様に設置されたブレードクリーニング方式であっても、クリーニングが難しいとされる。此のクリーニング不良はトナーがクリーニングブレードをすり抜ける事によって起こる現象であるが、この現象について、確認用に作製した実験装置の現像部に向けてCCDカメラをセットし、現像部の動きを観察した結果、次の事が判明した。
【0053】
クリーニングブレードに使用されるブレードには、一般に硬度が70〜80度の比較的柔らかい弾性体が使用され、感光体に対してカウンター方向に当接される。クリーニングブレードの感光体に当接しているエッジ部は、感光体の回転方向にしたがって、局部的に引きずられて潰れや捻れを起こす事が確認される。特に、感光体とブレードの摩擦抵抗が大きいほどこの現象が起こりやすい。トナー(例えば、10点平均粒径:6.3μm、最小粒径:3.2μm)は此の僅かな捻れを起こした部位から抜け出ており、平均円形度が0.92程度の粉砕トナーでは阻止される場合も有るが、重合法で作製された平均円形度が0.98〜0.99のトナー(例えば、10点平均粒径:5.6μm、最小粒径:4.5μm)では殆ど連続的に抜け出ることが確認された。また、コピーで使用され表面粗度が大きく成った感光体(例えば、Rv=0.95μm、Rp=2.1μm)では、ブレードのねじれや潰れが殆ど確認できない場合であっても、連続的ではないがクリーニング不良が生じる事が確認されている。
【0054】
トナーが抜ける現象が起こる他の要因として、クリーニングブレード先端部へのトナー滞留が有る。これはトナーの滞留によって、短冊状のブレードではトナーが圧縮される結果、ブレードに僅かに浮きを生じる為である。
【0055】
感光体が使用されると表面粗度は次第に荒れて大きくなるが、表面粗度の評価項目である最大山高さRpと最大谷深さRvが隣り合った場合にトナー抜け(トナークリーニング不良)は最大になる。すなわちRy(Rp+Rv)が使用中の最小トナー粒径Dより大きい場合(Ry≧D)に容易に抜け出る。Rp<D、Rv<Dで有ることが望ましいが、特には、可能性の大きいRy<Dで有ることが好ましい。この関係は、感光体が使用されている間、維持される必要がある。また、Rp、Rv、Ryは少なくとも、クリーニングブレードの全長さに相当する感光体周方向全域にわたり満足されるべきものである。
Rp、Rv、Ryに付いての説明図を図1に示す。この図1はJISハンドブック2001(No.46)機械計測編 発行:日本規格協会より抜粋したものである。
クリーニングブレード下をトナーやキャリアが恒常的に抜ける現象が続くと、感光体表面にトナーフィルミングや他の異物が付着すると、最大山高さRpが大きくなり、感光体にスクラッチが入ると、最大山高さRp、最大谷深さRv、最大山高さRpと最大谷深さRvとの和Ryが大きくなり、Ry≦Dとなると、トナー抜けが頻発するようになる。このため、感光体には更にフィルミング現象が起こりやすくなり、また帯電部材も汚染され、画像品質の悪化は勿論、感光体の寿命も低下する。Rp、Pv、Ryの拡大を抑制し、トナー抜け(クリーニング不良)を防止するためには、ブレードでトナー、キャリアを完全に堰き止めるクリーニングシステムが重要である。
トナーのクリーニングブレード抜けが起こると、地肌汚れの要因に成るばかりではなく、クリーニングブレードの寿命低下、感光体の磨耗促進による耐久性低下を引き起こす。この事はコストアップへとつながる。
【0056】
本発明はこれらの知見に基づいてなされたものである。従って、本発明の上記課題は下記(1)〜(13)によって達成される。
【0057】
(1)電子写真感光体に帯電装置により電荷の付与を行い、光書き込みにより静電潜像を形成し、その静電潜像をトナーで顕像化し、トナーを被転写体に転写し、感光体をクリーニングブレードでクリーニングを行う間接電子写真方法を使用した画像形成装置において、
該電子写真感光体の表面粗度の最大谷深さをRv、最大山高さをRp、トナーの最小粒径をDとした時、最大谷深さRvと最大山高さRpとの和Ryと該トナーの最小粒径DとがRy<Dであり、
該クリーニングブレードは該電子写真感光体に対してカウンター方向に当接するように保持されており、かつ該クリーニングブレードは該電子写真感光体に当接するエッジ部がナイフ状、あるいは短冊状で長手方向一面に金属板で補強された、JIS−A硬度が75〜90度のゴム状弾性体からなることを特徴とする画像形成装置。
【0058】
(2)クリーニングブレードは、その長手方向にトナーが流入する上流側の片面全長さに亘って低抵抗物質で導電性処理が施されており、またアースされていることを特徴とする前記(1)に記載の画像形成装置。
【0059】
(3)トナーの最小粒径Dが3μm以上であることを特徴とする前記(1)または(2)に記載の画像形成装置。
【0060】
(4)トナーが球形トナーであることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載の画像形成装置。
【0061】
(5)球形トナーの平均円形度が0.940〜0.995であることを特徴とする前記(4)に記載の画像形成装置。
【0062】
(6)電子写真感光体が導電性支持体より最も離れた位置に電荷輸送層が形成して成る有機感光体であり、該電荷輸送層はフィラーが添加されていない単層構成からなるか、若しくは電荷輸送層が2層間に明確な界面を有しないフィラー非分散電荷輸送層t1と、フィラー分散電荷輸送層t2の積層構成からなり、該電荷輸送層の膜厚をtとすると10μm≦t≦30μmであり、該フィラー非分散電荷輸送層t1の膜厚と該フィラー分散電荷輸送層t2の膜厚の関係がt1≧t2であり、かつ該フィラー分散電荷輸送層t2の膜厚がt2≦8μmであることを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれかに記載の画像形成装置。
【0063】
(7)フィラー分散電荷輸送層中に、平均粒径0.2μm〜0.7μmのアルミナが10〜40重量%分散されていることを特徴とする前記(6)に記載の画像形成装置。
【0064】
(8)電子写真感光体の表面にポリテトラフルオロエチレン、あるいはステアリン酸亜鉛のいずれか一種の潤滑剤を、感光体表層に塗布して電子写真感光体の表面摩擦係数を低減することを特徴とする前記(1)〜(7)のいずれかに記載の画像形成装置。
【0065】
(9)電子写真感光体の表面摩擦係数が、オイラーベルト方式の測定法で0.3〜0.45であることを特徴とする前記(1)〜(8)のいずれかに記載の画像形成装置。
【0066】
(10)少なくとも、電子写真感光体を中心に、帯電装置、マゼンタ、若しくはシアン、若しくはイエロー、若しくはブラックのトナーから成る現像装置、画像露光装置、クリーニング装置を夫々4系統配置したタンデム方式のカラー方式であることを特徴とする前記(1)〜(9)のいずれかに記載の画像形成装置。
【0067】
(11)前記(1)〜(10)に記載の内容のクリーニングブレード、トナー、および電子写真感光体を使用した画像形成装置において画像形成が可能なことを特徴とする画像形成方法。
【0068】
本発明でいう「トナーの最小粒径D」とは、粒度分布から得られる最も小さい粒径のトナーDを意味する。
【0069】
また、文中に記載のトナー平均円形度の算出は以下の通りとする。
平均円形度=Σ(粒子像と同じ投影面積を持つ円の周囲長/粒子投影像の周囲長)/測定粒子数)
測定粒子数は1000粒子以上として、計算には5μm以上の粒子径のものを選定し、トナー像を投影して周囲長を算出する。
測定装置としてはシスメックス社製 FPIA−1000型等がある。
【0070】
さらに、摩擦係数はオイラーベルト方式(オイラーの公式から算出された式)を使用して計算したものである。
測定用の感光体を台座に固定して、幅30mm、長さ290mmにカットした厚み85μmの上質紙(リコー社製、タイプ6200ペーパー、縦目使用)をベルトとして用意し、前記上質紙を感光体の上に乗せ、ベルト端部の一方に100grのおもりを取り付け、もう一方の片端に重量測定用のデジタル・フォース・ゲージを取り付け、デジタル・フォース・ゲージをゆっくり引き、ベルトの移動開始時の重量を読みとり、式1より(静止)摩擦係数μsを計算する。
μs=2/π×ln(F/W)
ただし、μs:静止摩擦係数、F:読みとり荷重
W:分銅の重さ π:円周率
なお、本測定法(オイラー・ベルト方式)については特開平9−166919号公報にも記載される。
【0071】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明は、感光体表面をクリーニングブレードでクリーニングする方式の間接電子写真方法を採用した画像形成装置において、電子写真感光体の表面粗度の最大谷深さRv、最大山高さをRp、トナーの最小粒径をDとした時、最大谷深さRvと最大山高さRpとの和Ryと該トナーの最小粒径DとがRy<Dであり、クリーニングブレードが電子写真感光体に対してカウンター方向に当接するように保持されており、かつ、該クリーニングブレードは電子写真感光体に当接するエッジ部がナイフ状、あるいは短冊状で長手方向一面に金属板で補強された、JIS−A硬度が75〜90度のゴム状弾性体からなることを特徴とするものである。
【0072】
本発明における間接電子写真方法を用いた複写プロセスを、図2を使用して説明する。
複写プロセスは、感光体1を中心に、帯電装置2、画像露光装置3、現像装置4、転写装置5、分離装置6、クリーニング装置7(クリーニング装置7は、基本的にはクリーニングブレード7−1で構成されるが、更にクリーニングブラシが付加される事も有る)、定着装置8及びコピー用紙9が夫々配置される。
なお、図2に記載の感光体1には、帯電装置に交流電圧を重畳したときに発生する振動音(高周波音)を抑制するための制振部材10が内蔵されているが、直流帯電の場合は、特に内蔵する必要はない。
【0073】
また、感光体表層の摩擦係数を低減化させて、感光層の耐摩耗性、クリーニング性、転写性向上等のため手段として、本発明では、感光体表面に潤滑剤を付与する事を記載している。その手段はトナー中に添加する方法の他、図3に示すような潤滑剤付与装置200(201は潤滑剤、202は潤滑剤付与ブラシを示す)を使用して感光体に付与する方法がある。
【0074】
カラー電子写真複写機やカラーレーザービームプリンターには、複写スピードの面で有利な、4本の感光体と、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(Bk)の4系統(色)の現像装置を使用した4連タンデム方式の複写方式(図4)があるが、この複写装置についても4回の複写サイクルを繰り返すだけで、図2と内容は基本的に同じである。
【0075】
図2〜図4に示す装置は、感光体とクリーニング部材、感光体と現像装置およびクリーニング部材、感光体と現像装置が一体的に構成されるプロセスユニットとして、画像形成装置を構成することも可能である。
図5に、感光体、帯電、転写、クリーニングの各装置若しくは部材を組み込んだプロセスユニットの一例を示す。
【0076】
感光体1はドラム状の導電性支持体上に下引き層(若しくは中間層)を形成し、その上に感光層が形成された構成のもので、感光層は電荷発生層と電荷輸送層から成り、電荷輸送層の膜厚tは好ましくは10μm≦t≦30μmに設定される。電荷発生層は画像露光によって生じたホール・エレクトロンペヤー(正孔・電子対)が遅滞なく正常に電荷輸送層、導電性支持体側に移動可能で有れば、無機系、有機系のいずれの材料も使用可能である。
【0077】
本発明では、電荷輸送層はフィラーを分散していない通常の電荷輸送層(フィラー非分散電荷輸送層)単層か、フィラー非分散電荷輸送層とフィラー分散電荷輸送層との間に明確な界面を生じないような2層で構成されているのが好ましい。
【0078】
すなわち、電荷輸送層(フィラー非分散電荷輸送層、若しくはフィラー非分散電荷輸送層+フィラー分散電荷輸送層)の膜厚をtとすると、10μm≦t≦30μmである。また、フィラー非分散電荷輸送層t1の膜厚とフィラー分散電荷輸送層t2の膜厚の関係はt1≧t2であり、フィラー分散電荷輸送層t2の膜厚はt2≦8μmとするのが好ましい。(t2=0μmの時、t1=t)
【0079】
フィラー分散電荷輸送層のフィラーは高硬度であり、1012Ω・cm以上の無機フィラーが望ましく、アルミナ若しくは酸化チタンの何れかのフィラーが好ましく使用できる。
両者の内、酸化膜が強固で表面抵抗の変化が少なく、表面処理された撥水剤の維持特性が良好なアルミナ、特にはαアルミナが好ましく、平均粒径は0.2〜0.7μmが好適に使用できる。
【0080】
また、フィラー分散量はフィラー分散電荷輸送層全重量の10重量%〜40重量%が望ましい。フィラーを添加する主な理由は耐摩耗性向上および、クリーニングブレードの食い込みに対する耐性を上げること。さらに、クリーニングブレードと感光体間の摩擦抵抗を緩和し、感光体が回転する際のクリーニングブレードの食い込みを極力起こりにくい様にする為である。
【0081】
感光層の表面粗度はトナークリーニング不良に影響をおよぼす為、フィラーを添加した場合には、プロセス条件も含めて、表面粗度が大きく成らないように注意することが必要である。表面粗度は感光層表面の山の高さ、谷の深さ、若しくは、山の高さと谷の深さの合計がトナー粒径より大きいときに、トナー抜けが恒常的に起こりやすいが、トナー粒径より小さい場合でも、ブレードの歪みにより、簡単に抜ける事がある。実際には、山の高さと谷の深さの合計値の寄与が大きい。
したがって、電子写真感光体の表面粗度の最大谷深さをRv、最大山高さをRp、トナーの最小粒径をDとした時、最大谷深さRvと最大山高さRpとの和Ryとトナーの最小粒径DとがRy<Dである事が必要である。
【0082】
感光層の表層には必要に応じて、潤滑剤を付与することが出来る。潤滑剤の付与は、クリーニングブレードの感光体への食い込みを抑制し、ブレードエッジの歪みを緩和させることであり、感光層の大幅な摩耗抑制、トナーの感光体への付着力を緩和し、転写効率を上げ、クリーニング性の改善を図ることである。この事により、フィラーが添加していない有機感光層(フィラー非分散電荷輸送層)であっても、前記した事項が良好に改善できる。
【0083】
画像形成にあたって、感光体1にはまず、帯電装置2により帯電が行われるが、コロナ生成物の影響、放電破壊等を勘案すれば、出来るだけ低い方が望ましい。
良好な作像性が得られるコントラスト電位は最低でも250V程度は必要である。この事から、帯電々位は少なくとも−350V〜−400V程度有であることが望ましい。
上限値は−1000V有れば充分であり、通常は−800V以下の帯電が施され、その電位が維持されれば、実用上大きな問題は生じない。
【0084】
帯電方式はコロナ帯電方法に比べてオゾン生成が遙かに少ない、環境面に有利な接触帯電方法、またはコロナ生成物の発生は多くなるが、非接触帯電方法が好適に使用出来る。帯電に使用される帯電部材には、ローラー状、ブラシ状、シート状形状部材の他、磁性紛を使用した磁気ブラシなどがあり、本発明ではいずれも使用可能である。画像品質、帯電安定性、耐久性等を勘案すると、弾性部材を使用したローラー帯電方法が望ましい。
【0085】
ローラー方式の帯電部材は、芯金にφ5〜φ15(mm)のSUS製丸棒、感光体を帯電する弾性部材には、ウレタンゴムやヒドリンゴムに、カーボンや金属微粉末、イオン導電剤などの抵抗制御材を添加し、必要に応じてフッ素系樹脂などの撥水剤を添加して、比抵抗を104〜1012(Ω・cm)に調整したものが使用される。硬度はJIS−A硬度で30〜80度程度である。外形寸法はシステム条件に応じて、φ10〜φ20(mm)程度に設定される。
【0086】
接触帯電の場合はニップを稼ぎ、帯電の安定性を高めるために、硬度は低い方が望ましく、非接触帯電の場合、感光体に接触しないため硬度の限定は無いが、硬い微粉末状異物が混入した場合には、硬度大きいと感光体にピンホールを開ける可能性が高いため、下記理由によりクッション作用も含めて、硬度は低い方が望ましい。
【0087】
感光層に硬い導電性の微粉末(アルミ粉や鉄粉など)が刺さり、導電性支持体、若しくは下引き層までのピンホールが生じると、放電破壊を生じ完全に導通状態になる、この様な状況では帯電ローラーからの電流が流れ込む為、比抵抗の低い帯電部材を使用した場合には、ピンホールのある部位は帯電部材の長さ方向にわたって黒帯が発生する。一方、高過ぎると帯電特性の悪化が生じるので、好ましくは105〜1010(Ω・cm)の範囲に設定された帯電部材を用いる。
【0088】
ブラシ帯電方法を使用する場合には、ブラシ一本が3〜10デニールの導電性繊維(例えば、ポリエステル繊維にカーボン、イオン導電剤などを添加した繊維)を10〜100フィラメント/束、80〜600本/mmの密度で支持体に植毛し、毛足を1〜10mmの間でカットした導電性ブラシが好適に使用できる。
【0089】
一方、磁気ブラシ帯電方法を使用する場合には、平均粒径が25μmのZn−Cuフェライト粒子と、平均粒径が10μmのZn−Cuフェライト粒子を、重量比で1:0.05の割合で混合して、それぞれの平均粒径の位置にピークを有する、平均粒径25μmのフェライト粒子を、中抵抗樹脂層でコートした磁性粒子を用いて、その被覆磁性粒子をスリーブ上に、厚さ1mmでコートして、磁気ブラシとして使用する。
【0090】
帯電部材には、−1100〜−1500Vの直流電圧単独、若しくは−500〜−1500Vの直流電圧に、1000〜2000V/500Hz〜4500Hzの交流電圧を重畳した直流電圧が印加される。交流電圧の波形は通常は正弦波が一般的に使用されるが、三角波(又は鋸歯状波)であってもよい。
【0091】
感光体に印加される電界強度は、現像装置すなわち潜像を現像する位置で(−)1.3×105〜4.5×105(V/cm)で有ることが望ましい。この電界強度は10〜30μmの感光体を(−)350〜800(V)帯電するのに相当する。画像形成時の感光体に掛かる電界強度が大きいと、感光層にピンホールが発生した場合に放電破壊現象に到る確率が高くなり、電界強度が低い場合には、画像品質が貧弱に成る可能性が高くなるため、感光層には適正な電界強度に設定することが重要である。
【0092】
帯電後、感光体1には、CCD(電荷結合素子)で読みとられた原稿画像、或いはパーソナルコンピューターなどから送信されたデジタル信号を、一個若しくは複数個のLD(Laser Diode)素子、若しくはLED(LaserEmitting Diode)アレイ、凸レンズ、ポリゴンミラー、シリンドリカルレンズ等で構成される画像露光装置3によって、60〜20μm程度のドット径に絞り込まれた単波長の光像が照射され、入力信号に応じた静電潜像が形成される。LD素子もしくはLEDアレイは感光体の最高感度領域に即した発光波長の素子が選択される。発光波長が短くなるほど、スポット径を絞り込む事が出来るため、400〜450nm程度の短波長側に発振波長を有するLD素子は1200や2400dpi等の高解像度を得る場合に有利であり、本発明の画像形成装置に搭載して使用する事が出来る。
【0093】
画像形成に必要なコントラスト電位は通常250V〜600Vになる様に設定する。
コントラスト電位は、ここでは明部電位Vlと現像バイアス電位Vbの差[Δ(Vl−Vb)]を云う。現像バイアス電位Vbは繰り返し電位変動に伴う地肌汚れ余裕度を考慮して、帯電々位Vdより50〜150V程度高目に設定される。
【0094】
感光体1に形成された静電潜像を可視化するために、1成分トナー(磁性トナー)、もしくは、トナーとキャリアからなる2成分系の現像剤を使用した現像装置4が使用されるが、本発明では主として2成分系の現像剤を使用する。
【0095】
2成分現像剤のキャリアには、例えば、鉄粉、フェライト粉、ニッケル粉の様な磁性を有する粉体(磁性紛)に帯電性及び帯電安定性、耐久性等向上させる為にポリフッ化炭素、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等の樹脂等で被覆されたものが用いられる。キャリアの粒径は30〜60μm程度である。
キャリアの粒径は解像度に影響を与え、小さい方が解像度は向上する傾向にあるが、余り小さいと、感光体に付着し易くなるため、トナー像の転写不良化(転写抜け)を起こしたり、クリーニング部まで搬送されると、ブレードで感光体に押しつけられる結果、感光体面が傷つき、感光体の耐久性を短くする一因にもなる。
【0096】
一方、トナーには、前記した粉砕法で製造されたトナー、また、このトナーの角張った領域を削いで球形処理されたトナー、あるいは、重合法(乳化重合法、懸濁重合法など)で製造された球形トナーであって、最小粒径が好ましくは3μmのもの、またD≧3μmでかつ好ましくは重量平均粒径が4〜8μmのトナーが使用され、キャリアに対して2〜10(重量%)混合される。
トナーの粒径もキャリア同様に解像度に影響を与えるが、余り小さいと、飛散した場合、健康に害を及ぼす懸念(環境破壊=公害)が有る。
【0097】
現像が終了すると、転写装置5を用いて、トナーの保持する電荷とは逆極性の電圧(若しくは電界)が印加され、コピー用紙9にトナー像が転写される。図2には、ベルト形状の転写装置5(転写ベルトは基本的には支持基体、弾性層、被覆層から成る)を図示したが、この他には、ローラー形状(図3)、ブラシ形状、コロナ放電方式の転写装置が使用できる。
転写が終了した後、コピー用紙は交流電圧、もしくは交流電圧を重畳した直流電圧が印加された分離装置6により、感光体1より分離され、定着装置8に送られ、ハードコピーとなる。分離装置6は、金属線や鋸歯状電極に交流電圧若しくは直流電圧を重畳した交流電圧が印加するコロナ放電装置が一般的である。コピー用紙を介して感光体に印加される電界強度はコピー用紙が感光体より離れる程度の量で良いため、コロナ生成物の発生量は少なく、感光体ダメージを与える程の量ではない。なお、感光体の直径がφ30mm以下の場合には、紙の腰によって分離装置を省略出来る事もある。
【0098】
一方、コピー用紙分離後の感光体上の残留トナーはポリウレタンゴムやシリコーンゴム、ネオプレンゴム、フッ素ゴム等の材料から成るクリーニングブレード7−1から構成される(さらにはポリエチレンや、ナイロン、炭素繊維などの繊維から構成されるクリーニングブラシと併用して構成される)クリーニング装置7により清掃され、一連の複写プロセスは終了する。
【0099】
ここで感光体についてさらに詳しく述べる。
前記のように、感光体は例えばドラム状のアルミニウム製導電性支持体上に、下引き層、電荷発生層、電荷輸送層の順に構成された感光体で、電荷輸送層は少なくとも有機感光層で構成される。
図6に感光体の概略図を示す。電荷輸送層は有機感光層単独でも使用することが可能である。感光体の耐久性、画像品質の維持性能を向上させる場合には、図7に示すようにクリーニングブレード、現像剤が直接触れる感光層面に高硬度のフィラーを分散させた、フィラー分散電荷輸送層を有機感光層上に形成することが好ましい。
【0100】
フィラー非分散電荷輸送層、フィラー分散輸送層から成る電荷輸送層は、低分子電荷輸送物質に結着樹脂、必要に応じて酸化防止剤、分散剤等を適当量分散した層、若しくは高分子電荷輸送物質から構成され、感光体の要求される品質に応じて、膜厚や層構成を設定することが出来る。
【0101】
フィラー(本発明では特にアルミナ(α型)から成る無機フィラーが好適に使用される)を添加する第1の目的は、フィラーを適当な量添加する事により、感光体表層の硬度アップを図り(鉛筆硬度HpはHB≦Hp<2H)耐摩耗性を上げる事によって、感光体の寿命を延ばすと共に、画像品質の安定化を図ることである。但し、大幅な硬度アップは、感光層の摩耗を少なくするため、画像流れ等の画像劣化を引き起こす要因となる。
【0102】
ここで、鉛筆硬度とは、JIS K 5401に基づいて作製された鉛筆引っ掻き試験器(表面性測定器 新東科学社製 HEIDON−14型)とJIS規格標準鉛筆(三菱鉛筆“ユニ”)とを使用し、加重100g(分銅)で測定した場合を本発明での鉛筆硬度と規定する。
【0103】
硬度を測定する手段には鉛筆硬度の他、引っ掻き硬度、ビッカース硬度、ヌープ硬度などがあるが、分散系のフィラー分散電荷輸送層に対しては、ブレードによって感光層が擦がれる様な摩耗(アブレッシブ摩耗)である事から、鉛筆硬度による測定方式で判定する事は望ましい一方法である。フィラーの添加量が多い場合や、分散する粒径が大きいと、鉛筆硬度は大きくなり耐摩耗性は向上するが、表面粗度は大きくなり、画像品質の低下、コロナ生成物などの異物が付着しやすくなる傾向があるため、硬度が大き過ぎることは望ましい事ではない。
【0104】
第2の目的は感光層表面に小粒径フィラーを分散させることによって、好適な硬度に設定し、摩擦係数の大幅な上昇を抑制する事と、クリーニングブレードエッジの層中への食い込みを抑制して、ブレードエッジの歪みや変形を極力少なくし、クリーニングブレードで堰き止められなかったトナー(特には円形度が大きい重合法で製造された球形トナー)がブレードを抜けるのを極力排除することで有る。
【0105】
ここで、感光層表面がフィラーの添加されていない樹脂の層であると、コロナ生成物や、紙粉、トナー構成物、大気中水分等の作用で、摩擦係数(又は自由表面エネルギー)が大きくなり、クリーニングの際にブレードエッジが感光体に食い込み、感光体の回転方向に引きずられて、変形や局部的な歪みを起こし、感光体との間に隙間を生じトナー抜けを起こす要因を作り出す。また、つぶされたブレードはトナーを感光体に押しつけ、更にトナーの滞留を招き、更なるトナー抜けを増長する。但し、潤滑剤などで、感光体表層の表面エネルギー(若しくは摩擦係数)を低くした場合には、トナー抜けは改善されるが、表面エネルギーの低減化だけでは不十分である。
此の変形や歪みを極力少なくするために、感光層にフィラーを分散して、極端な摩擦係数の上昇が起こらないようにすると共に、食い込みを抑える。
【0106】
但し、トナー抜けは、上記したフィラー含有の感光体を使用するだけでは不十分であるため、球形トナーを100%近いレベルまでクリーニング性を向上させるためには、感光体が回転時にあっても、ブレードエッジのつぶれや歪み無く、線接触を維持し、トナーがブレードによって、押しつぶされない様な状態が生じない、特定のクリーニングブレードを使用する事で課題を達成可能である。さらに、必要に応じて潤滑剤を感光体表層に付与して、感光体表層の摩擦係数を低減化する事により長期的に安定したクリーニング性を確保すると共に、クリーニングブレードの耐久性を維持する。
【0107】
なお、電荷輸送層の構成物質である低分子電荷輸送物質を高分子電荷輸送物質に変えることは、耐摩耗性向上を図るうえで極めて有用である。
【0108】
感光層の厚みは、充分なコントラスト画像を得るための帯電電位と、コントラスト電位が確保出来る膜厚とする事が望ましい。コントラスト電位(現像バイアス電位と画像部電位との差)としては100Vあれば、文字画像に関しては比較的良好なレベルで作像可能であるが、写真画像の場合は濃度が不十分であるため実用的ではない。良好な作像性を得るためには、少なくともは250V以上のコントラスト電位が確保される事が望ましい。
【0109】
コントラスト電位が確保できる膜厚としては、感光層の総膜厚を10μm以上に設定する事が好ましい。膜厚を10μm以下に薄くすると、帯電電位が充分に確保できなくなり、充分なコントラスト電位が得られ難い。また、感光層の膜厚ムラがそのまま画像に反映され易く、不均一な画像品質になる。一方、厚く成りすぎると、層中でのドットパターンの広がりが生じ、シャープ性の低下、解像性低下を起こし、高品位画像は達成し難くなる。
【0110】
更にコントラストの強い画像に成るため、感光層膜厚tは好ましくは、10μm≦t≦30μmである。
【0111】
(導電性支持体)
感光体の導電性支持体として使用できる部材には、電気、機械、化学的などの諸特性を満足するステンレス、銅、真鍮などの金属の他、圧縮紙や樹脂或いはガラスに、金やアルミ、白金、クロム等を蒸着或いはスパッタリングした導電層、さらにはカーボン、錫等の微粒子を分散した導電層を塗工したもの等がある。薄肉に切削加工がし易い、軽い、再生に有利、ブロッキング層を形成しやすい、入手が容易等を勘案するとアルミニウム、特にはJIS3003系などのアルミニウム合金が好適である。
【0112】
アルミニウムの表面を加工する技術には、切削加工、ホーニング加工、ブラスト加工などがあり、ドラム状のアルミニウム素管を必要な長さに切断し、目標の外径寸法に切削した後、さらに超仕上げ、鏡面仕上げ等により、表面粗度を10点平均粗さRzJISで0.1〜10μm程度になる様に加工し、洗浄液が完全に排除される迄十分に洗浄され、電子写真感光体の導電性支持体として使用される。支持体の粗さは下引き層で、ある程度カバーされるが、表面粗度が10μm以上に大きいと、下引き層では凹凸をカバー仕切れないため、凸部の大きい部分からの下引き層への電荷注入が生じ、画像上に筋状模様や白点、黒点の異常画像がコピー用紙全面に顕在化し易くなる。
【0113】
アルミニウムは酸化皮膜(Al2O3)が形成されやすい材料であるが、電子写真特性を維持する上での電気抵抗は106Ω・cmオーダー以下の値であれば特に問題はない。
導電性支持体の形状はドラム状で、外径はφ30mm〜φ80mm程度が一般的に使用されるが、大型の画像形成装置の場合では、耐久性や大量コピーに対応させるために、φ80mm以上の外径のものが使用される。
【0114】
アルミニウムの肉厚は外径がφ30〜φ80(mm)の感光体では、0.6mm〜3mm程度のものが使用されるが、有機感光体では高くても加熱乾燥時の温度は160℃程度であるので、この程度の温度で変形しないもので有れば、コストの面、および交流電圧重畳の直流電圧を使用して帯電する場合の抑制手段として制振部材を内蔵する場合には、導電性支持体の肉厚は薄い方が望ましい。肉厚を薄くする事によって、帯電で生じた振動を素早く制振部材に伝達できるため、制振機能を有効に発揮させることが出来る。
【0115】
(下引き層)
導電性支持体と感光層との間には、必要に応じて、下引き層が設けられる。下引き層の形態は、光源に使用される波長域によって変わることがある。例えば、650〜780nmの長波長領域に発振波長を有するLD素子やLEDアレイ等の光源に用いた場合は、アルミニウムからの光の反射に起因したモアレが発生するため、下引き層若しくはそれに類似の反射防止薄膜の形成は必要不可欠であるが、発振波長が400〜420nm程度のLD素子を使用した場合には、表層近傍での吸収が多くなるため、本発明の具体例に記載するような下引き層は必ずしも必要でなく、アルミナのような1μm以下の薄膜や、ホールの注入を阻止するような半導体膜で有っても良い。以下は長波長領域(赤外領域)に発振波長を有する光源を使用した場合の説明である。
【0116】
下引き層を形成する理由は、支持体側からの電荷注入を阻止し帯電特性を安定させ、接着性を向上させ、モアレを防止し、上層の塗工性を改良し、残留電位を低減するなどを目的とする。したがって、ホール(正孔)の注入を阻止し、エレクトロン(電子)を通過させるような半導体膜を形成して、更にその上に中間層、若しくは下引き層を形成するような方法をとっても良い。一般に下引き層には樹脂を主成分とし、単位時間内に電位減衰を起こしにくい程度に高抵抗化した薄膜が形成される。
【0117】
下引き層はその上に感光層を、溶剤を用いて塗布することを考えると、一般の有機溶剤に対して耐溶解性の高い樹脂であることが望ましい。このような樹脂としては、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン、等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、アルキッド−メラミン樹脂、エポキシ樹脂等、三次元網目構造を形成する硬化型樹脂などが挙げられる。また、酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム等で例示できる金属酸化物、あるいは金属硫化物、金属窒化物などの微粉末を分散し含有させてもよい。これらの下引き層は、適当な溶媒及び塗工法を用いて形成することができる。
【0118】
更に本発明の下引き層として、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、クロムカップリング剤等を使用して、例えばゾル−ゲル法等により形成した金属酸化物層も有用である。
この他に、本発明の下引き層としてはAl2O3を陽極酸化にて設けたものや、ポリパラキシリレン(パリレン=ユニオンカーバイト社の商品名)等の有機物や、SnO2、TiO2、CeO2等の無機物を真空薄膜作製法にて設けた1010〜1013(Ω・cm)オーダーの電気抵抗を持つ薄膜が良好に使用できる。
【0119】
下引き層の膜厚は0.1〜20μmが適当であり、好ましくは1〜10μmである。
【0120】
(電荷発生層)
電荷発生層は、電荷発生物質を主成分とする層で、必要に応じてバインダ−樹脂が用いられる。電荷発生物質としては、無機系材料と有機系材料がある。
【0121】
無機系材料には、結晶セレン、アモルファス・セレン、セレン−テルル、セレン−テルル−ハロゲン、セレン−ヒ素化合物や、アモルファス・シリコンなどが挙げられる。アモルファス・シリコンにおいては、ダングリングボンドを水素原子、ハロゲン原子でタ−ミネ−トしたものや、ホウ素原子、リン原子などをド−プしたものが良好に用いられる。
【0122】
一方、有機系材料としては、公知の材料を用いることが出来る。例えば、金属フタロシアニン、無金属フタロシアニンなどのフタロシアニン系顔料、アズレニウム塩顔料、スクエアリック酸メチン顔料、カルバゾ−ル骨格を有するアゾ顔料、トリフェニールアミン骨格を有するアゾ顔料、ジフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジベンゾチオフェン骨格を有するアゾ顔料、フルオレノン骨格を有するアゾ顔料、オキサジアゾ−ル骨格を有するアゾ顔料、ビススチルベン骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルオキサジアゾ−ル骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルカルバゾ−ル骨格を有するアゾ顔料、ペリレン系顔料、アントラキノン系または多環キノン系顔料、キノンイミン系顔料、ジフェニルメタン及びトリフェニルメタン系顔料、ベンゾキノン及びナフトキノン系顔料、シアニン及びアゾメチン系顔料、インジゴイド系顔料、ビスベンズイミダゾ−ル系顔料などが挙げられる。これらの電荷発生物質は、単独または2種以上の混合物として用いることが出来る。
【0123】
電荷発生層に必要に応じて用いられるバインダ−樹脂としては、ポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカ−ボネ−ト、ポリアリレート、シリコ−ン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラ−ル、ポリビニルホルマ−ル、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリ−N−ビニルカルバゾ−ル、ポリアクリルアミドなどが用いられる。これらのバインダ−樹脂は、単独または2種以上の混合物として用いることが出来る。また、必要に応じて低分子電荷輸送物質を添加してもよい。
【0124】
電子輸送物質としては、たとえばクロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ〔1,2−b〕チオフェン−4−オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイドなどの電子受容性物質が挙げられる。これらの電子輸送物質は、単独または2種以上の混合物として用いることが出来る。
【0125】
正孔輸送物質としては、以下に表される電子供与性物質が挙げられ、良好に用いられる。
たとえば、オキサゾ−ル誘導体、オキサジアゾ−ル誘導体、イミダゾ−ル誘導体、トリフェニールアミン誘導体、9−(p−ジエチルアミノスチリルアントラセン)、1,1−ビス−(4−ジベンジルアミノフェニル)プロパン、スチリルアントラセン、スチリルピラゾリン、フェニルヒドラゾン類、α−フェニルスチルベン誘導体、チアゾ−ル誘導体、トリアゾ−ル誘導体、フェナジン誘導体、アクリジン誘導体、ベンゾフラン誘導体、ベンズイミダゾ−ル誘導体、チオフェン誘導体などが挙げられる。これらの正孔輸送物質は、単独または2種以上の混合物として用いることが出来る。
【0126】
電荷発生層は、電荷発生物質、溶媒及び結着樹脂を主成分とするが、その中には、増感剤、分散剤、界面活性剤、シリコーンオイル等のいかなる添加剤が含まれていても良い。
【0127】
電荷発生層を形成する方法には、真空薄膜作製法と溶液分散系からのキャスティング法とが大きく挙げられる。前者の方法には、真空蒸着法、グロ−放電分解法、イオンプレ−ティング法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、CVD法などが用いられ、上述した無機系材料、有機系材料が良好に形成出来る。また、キャスティング法によって電荷発生層を設けるには、上述した無機系もしくは有機系電荷発生物質を必要ならばバインダ−樹脂と共にテトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、ジオキサン、ジクロロエタン、ブタノンなどの溶媒を用いてボ−ルミル、アトライタ−、サンドミルなどにより分散し、分散液を適度に希釈して塗布することにより、形成出来る。塗布は、浸漬塗工法やスプレ−塗工法、ビ−ドコ−ト法などを用いて行うことが出来る。
【0128】
以上のようにして設けられる電荷発生層の膜厚は、0.01〜5μm程度が適当であり、好ましくは0.05〜2μmである。通常は0.1〜0.3μmの厚さに塗布される。
膜厚が薄すぎると、感度不良が生じるが、厚すぎると、空間電荷による光減衰劣化、残留電位上昇が生じ、画像濃度低下、解像度低下などの画像品質低下につながる。
【0129】
(電荷輸送層)
電荷輸送層は画像形成に必要な表面電位を確保するために形成される。電荷輸送層は有機感光層単独でも勿論使用可能であるが、感光体の耐久化、画像品質を維持するために、有機感光層(フィラー非分散電荷輸送層)の最表層面に更に、高硬度の無機フィラーの超微粒子を適当量添加したフィラー分散電荷輸送層を形成する事が出来る。
本発明では、図7に示すように、電荷輸送層はフィラー非分散電荷輸送層とフィラー分散電荷輸送層から構成され、両電荷輸送層間には明確な界面が存在しない様な構成にされる。ここで、明確な界面が存在しないとは、フィラー非分散電荷輸送層とフィラー分散電荷輸送層が夫々1つの層として形成されずに互いに層が入り交じって、障壁が形成されていない状態を意味する。
明確な界面を形成しない様にする事によって、画像露光により発生したホール・エレクトロンペアー(正孔・電子対)の内、表層に向かって移動したホールはその大部分が界面近傍で捕獲されずに、表層に移動し帯電で付与された電荷を時間のロス無く、打ち消すことが可能になる。
【0130】
すなわち、光減衰特性の劣化が殆ど生じない為、高精細な画像品質の再現が可能となる。
但し、フィラーが分散されているために、フィラーの分散量、粒径等に起因した若干のロス、例えば、光拡散、電荷分布にバラツキが生じるが、好適な範囲で添加した場合は無視できる範囲であり、実用上問題ない。
【0131】
両電荷輸送層間に界面が形成された場合には、ホールの移動が制限されるために、光減衰特性の劣化、残留電位の上昇を招き、コントラスト電位の低下や、残像が起こりやすくなる。
【0132】
界面を形成しないための塗工手段は、電荷輸送層の膜厚が10μm程度と薄い場合には、スプレー塗工法で作製することが出来、2本のスプレーガンの一方にフィラー非分散電荷輸送層液を入れ、もう一方にフィラー分散電荷輸送層液を入れ、電荷発生層上に、まず、フィラー非分散電荷輸送層を塗工し、指触乾燥時間(数分)をおいて、引き続きフィラー分散電荷輸送層を塗工すればよい。電荷輸送層が25μmや30μmと厚く、フィラー非分散電荷輸送層が20μmと厚い場合には、まずフィラー非分散電荷輸送層を形成して、指触乾燥し、更に120〜130℃で加熱乾燥したあと、比較的短時間の内にフィラー分散電荷輸送層を形成し、感光体全体を130〜160℃の温度で10〜60分程度の時間加熱乾燥することで、問題無く感光体を作製できる。
【0133】
電荷輸送層(フィラー非分散電荷輸送層+フィラー分散電荷輸送層)は電荷輸送成分とバインダ−成分を主成分とする混合物、ないし共重合体を適当な溶剤に溶解するか分散した後、これを要求される厚みに成る様に塗布し、乾燥することにより形成出来る。
【0134】
電荷輸送層の膜厚は10〜30μmに設定されるが、感光層全体のバラツキ(最大膜厚と最小膜厚の差)は薄いほど、塗布ムラの影響が出やすい為、細かく設定するのが望ましく、10μmの場合には±1μm、30μmの場合には±2μmの範囲内で設定されるのが好ましい。このうち、フィラー分散電荷輸送層膜厚の締める割合(占有率)は6.7%〜80%が好適であり、最大膜厚は8μmである。
【0135】
感光層膜厚が薄くなるほど静電容量が大きくなるため、電界強度は大きくなるが、高い帯電々位は確保出来難くなる。トナーの持っている電荷が小さければ薄い膜厚の感光体でも、現像能力は高くする事が出来るが、現在、市場で一般に使用されている小粒径のトナーでは、電圧現像にせざるを得ないため、一定以上の表面電位が必要である。
【0136】
感光層の膜厚を薄くすれば、電荷移動の歪みが小さくなるため、高品位画像の再現が可能となる。一方、厚くするほど、静電容量が小さくなるため、高い帯電々位は確保できるが、電荷が移動する際、光の入力の際に歪められて、解像度が低下する傾向が認められるため、30μmくらいが限度である。
【0137】
感光層の膜厚を10μm程度にすると、帯電々位はせいぜい−450V前後しか帯電しない。しかし、残留電位を−50V〜−100V程度に押さえ、現像バイアス電位を−350Vに設定すれば、コントラスト電位は250V〜300V程度確保できるため、実用的には問題のない作像を行う事が可能となる。
【0138】
電荷輸送層は電荷発生層上にフィラー非分散電荷輸送層、フィラー分散電荷輸送層の順に形成する。これは、フィラー分散電荷輸送層が電荷発生層に直接接触している場合には、フィラー分散電荷輸送層と電荷発生層間で電荷の異常な移動が生じるため、斑点模様が画像に現れる。したがって、電荷発生層に接する領域ではフィラーを分散しない電荷輸送層である事が望ましく、膜厚としては少なくとも2μm以上形成される事が望ましい。
【0139】
塗膜形成には、浸漬塗工法、スプレー塗工法などを用いることが出来る。
【0140】
フィラー分散電荷輸送層に添加されるフィラーは球形で高硬度であり、光学的に透光性を有し、電気抵抗は1010Ω・cm以上で有ることが望ましい。好ましくは1012(Ω・cm)〜1013(Ω・cm)である。比抵抗が低いと電荷保持が困難となり、解像度低下、比抵抗が高すぎると、残留電位の上昇につながり、画像部電位が上昇し、コントラスト電位の低下を招き、充分な画像濃度が得られなくなり、ムラの多い画像となる。
【0141】
フィラー分散電荷輸送層中のフィラーは、電荷輸送層中に均一に分散されているか、もしくは表層に向かって濃度勾配を高めた層構成の何れかが望ましいが、耐久性の維持という面からすると、均一分散の方が望ましい。
フィラーの電荷輸送層へ分散されるフィラーの量は要求される耐久性(摩耗、化学的、物理的な劣化に左右される)、画像品質(帯電々位、感度、残留電位などの経時特性により影響を受ける)によって決定されるが、フィラー分散電荷輸送層全重量の10重量%〜40重量%が望ましい。10重量%以下では摩耗が急激に増加し、40重量%以上では残留電位の増加、感光層表面粗度の悪化や、表面粗度に起因してトナーフィルミングが起こりやすくなり、感光層の摩耗に抑制がかかり、画像流れを引き起こしやすくなる。
【0142】
フィラー分散電荷輸送層の膜厚は、感光層中に分散するフィラー粒径や添加量によって左右され、感光体に要求される耐久性や、画像品質特性によって変える必要がある。耐久性という面から、フィラー分散電荷輸送層は厚い方が望ましいが、フィラーの添加量が10重量%以上、40重量%以下の範囲内に於いては、8μm以上に厚くすると、残留電位の急激な上昇を招き、画像品質(コントラストの低下)に影響が生じる。
一方、膜厚を薄くすると、解像性という面では、向上する傾向にあるが、耐久性という面では低くなる。膜厚としては少なくとも2μm以上に設定することが望ましい。
【0143】
電荷輸送層に使用される材料は以下の通りである。
電荷輸送層を構成する低分子電荷輸送物質にはオキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダール誘導体、トリフェニールアミン誘導体、α−フェニールスチルベン誘導体、トニフェニールメタン誘導体、アントラセン誘導体などを使用することが出来る。
【0144】
一方、高分子電荷輸送物質としては、以下に示す公知の高分子電荷輸送材料を用いることができる。例えば、
1)主鎖および/または側鎖にカルバゾ−ル環を有する重合体には、例えば、ポリ−N−ビニルカルバゾ−ル、特開昭50−82056号公報、特開昭54−9632号公報、特開昭54−11737号公報、特開平4−183719号公報に記載の化合物等がある。
【0145】
2)主鎖および/または側鎖にヒドラゾン構造を有する重合体には、例えば、特開昭57−78402号公報、特開平3−50555号公報に記載の化合物等がある。
【0146】
3)ポリシリレン重合体には、例えば、特開昭63−285552号公報、特開平5−19497号公報、特開平5−70595号公報に記載の化合物等がある。
【0147】
4)主鎖および/または側鎖に第3級アミン構造を有する重合体には、例えば、N,N−ビス(4−メチルフェニル)−4−アミノポリスチレン、特開平1−13061号公報、特開平1−19049号公報、特開平1−1728号公報、特開平1−105260号公報、特開平2−167335号公報、特開平5−66598号公報、特開平5−40350号公報に記載の化合物等がある。
【0148】
5)その他の重合体には、例えば、ニトロピレンのホルムアルデヒド縮重合体、特開昭51−73888号公報、特開昭56−150749号公報に記載の化合物等がある。
【0149】
本発明に使用される電子供与性基を有する重合体は、上記重合体だけでなく、公知単量体の共重合体や、ブロック重合体、グラフト重合体、スタ−ポリマ−や、また、例えば特開平3−109406号公報に開示されているような電子供与性基を有する架橋重合体等を用いることも可能である。
【0150】
また本発明における高分子電荷輸送物質として、主鎖および/または側鎖にトリアリールアミン構造を有するポリカーボネートが有効に使用される。
一方、バインダー成分として用いることのできる高分子化合物としては、例えば、ポリスチレン、スチレン/アクリロニトリル共重合体、スチレン/ブタジエン共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂(ビスフェノールAタイプ、ビスフェノールCタイプ、ビスフェノールZタイプ或いはこれらの共重合体)、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキド樹脂などの熱可塑性又は熱硬化性樹脂が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの高分子化合物は単独または2種以上の混合物として、また、電荷輸送物質と共重合化して用いることができる。
【0151】
電荷輸送層塗工液を調製する際に使用できる分散溶媒としては、例えば、メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、ジオキサン、テトラヒドロフラン、エチルセロソルブなどのエーテル類、トルエン、キシレンなどの芳香族類、クロロベンゼン、ジクロロメタンなどのハロゲン類、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類等を挙げることができるが、環境破壊を考慮してハロゲン系の溶媒の使用は避けた方が望ましい。
【0152】
次に電荷輸送層中に分散するフィラーについて説明する。
本発明に使用されるフィラーは酸化物の絶縁体であり、バインダー樹脂に分散した場合、粒子とバインダー樹脂との界面にトラップが形成されやすい。このため、感光体を繰り返し使用した場合、残留電位が蓄積し、画像部電位の上昇を招くため、画像濃度の低下、解像度の低下が起こりやすい。したがって、分散性を良好にして、感光層の均一化をはかり、トラップの形成を阻害したり、トラップ密度を軽減するような添加物を添加する事も出来る。
【0153】
また、画像形成にあたって感光体に電荷を付与する手段は、感光体に接触若しくは近接配置された帯電装置によって行われるが、帯電の際に発生したオゾンや窒素酸化物などのコロナ生成物が感光体表層に付着したり、感光層中に進入し、電気抵抗を低下させ、解像度低下などの画像品質低下を起こす。これを解消するために、酸化防止剤、可塑剤を少量添加する事も出来る。ただし、これらの添加物は常に必要なものではなく、電荷輸送層が薄い場合や、フィラーの添加量が少ない場合、あるいは画像システムによっては未添加とする事も出来る。
フィラーを添加した電荷輸送層では、フィラーをバインダー樹脂中に適当量分散した塗工液をスプレー法やディッピング法などの塗工法を用いて目標の膜厚に塗工する。
【0154】
フィラーは1010〜1013(Ω・cm)程度の固有抵抗を有し、撥水性を有し、その機能が持続される事が望ましい。特には1012〜1013(Ω・cm)である。
フィラー材料は、有機性フィラー材料と無機性フィラー材料とがあり、有機性フィラ−材料としては、ポリテトラフルオロエチレンのようなフッ素樹脂粉末、シリコ−ン樹脂粉末、アモルファスカ−ボン粉末等が挙げられ、無機性フィラ−材料としては、銅、スズ、アルミニウム、インジウムなどの金属粉末、シリカ、酸化錫、酸化亜鉛、酸化チタン、アルミナ、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化ビスマス、酸化カルシウム、アンチモンをド−プした酸化錫、錫をド−プした酸化インジウム等の金属酸化物、フッ化錫、フッ化カルシウム、フッ化アルミニウム等の金属フッ化物、チタン酸カリウム、窒化硼素などの無機材料が挙げられる。これらのフィラーの中で、フィラーの硬度の点から無機材料を用いることが耐摩耗性の向上に対し有利である。
特に、酸化チタンもしくはアルミナが本発明では望ましく使用できるが、より好ましくはアルミナ(特にはα型)である。これらのフィラ−は単独もしくは混合して用いる事が出来る。
【0155】
フィラ−材料は、電荷輸送物質や結着樹脂、溶媒等とともに適当な分散機を用いることにより分散できる。
【0156】
フィラーの添加によって、感光層の表面粗度が大きくなると、文字エッジがギザギザになり、トナーや紙粉などの残留物のクリーニング性が悪くなり、クリーニング不良を起こす不具合を生じる。ブレードが接触しない領域でコロナ生成物などの汚染物質の残留が起こり、画像流れを起こし、トナーフィルミング、さらにはクリーニングブレードのエッジの欠けによって、感光層が傷つきやすくなる。したがって、目標の耐摩耗性が達成でき、且つ良好な画像品質が得られるような、分散性良好な粒径のフィラーを選定する必要がある。感光層に分散されるフィラ−の一次粒径は電荷輸送層の光透過率や耐摩耗性、表面粗度等から選ばれる。
【0157】
図8は重量平均粒径(粒径分布のピーク値)が6.3μm(トナーの最小粒径:3.4μm)、平均円形度が0.932の粉砕トナーと、平均粒径0.3μmのアルミナを25重量%含有する5μmのフィラー分散電荷輸送層を有するφ30mm感光体との組み合わせでの、画像形成前の表面粗度を測定した例(東京精密社サーフコム1400Dを使用して測定)であり、図9は同1万5千枚通紙ランニングしたときの表面粗度の測定例である。
図8でのRpは0.3μm、Rvは0.3μm、Ryは0.6μmである。
図9ではRpは0.65μm、Rvは0.27μm、Ryは0.92μmである。
【0158】
図示していないが、表面粗度は3万枚通紙ランニングによって大きく成る傾向にあるが、トナー径まで大きくなるにはまだ充分に余裕がある。すなわち、微少粒径トナーが有っても、トナー抜けや磁性紛の抜けが殆ど生じない為に、感光体表面粗度は比較的低いレベルで維持されていることが認められる。
【0159】
フィラー分散電荷輸送層に添加するフィラーの粒径が大きくなると、物理的に表面粗度は大きくなる。例えば、0.5μmでは画像形成前のRyは0.94μmと大きくなるが、1万5千枚通紙ランニング後は感光層表面の荒れに伴って大きくなり1.2μmである。
フィラーに1μmの粒径のアルミナを使用した場合、製造方法によっても左右されるが、画像形成前での感光体表面粗度のRy(Rp+Rv)は1.76μmであったが、1万5千枚後にはRyが3μm程度に成り、3μm前後の小粒径のトナーを使用した場合には、クリーニング不良が生じる危険性大である。
【0160】
通常、現像に使用されるトナー径は5μm〜8μm程度のものが大半であるが、あくまでも平均粒径であるため、実際には表示値より小粒径のトナー(上記の例では2〜5μm程度)が混入している。また、クリーニングブレードのエッジ部の歪みが生じた場合には、Rp+Rv=Ryがトナー径より小さい場合であっても、トナー抜けが起こる可能性が有るため、ブレードエッジは歪まないようにする事が必要である。
【0161】
トナー抜けが局部的に生じると、トナー抜けを発生した部位を発生源として、帯状にフィルミングが発生し、次第にその影響が他の領域にも広がり、フィルミングが全体に広がる傾向を見せた。この事から、1μmのフィラーを用いた場合には実用性に問題が生じる可能性が大きいと思われる。
ただし、トナーをブレードの直前で完全に堰き止められ、初期の状態が維持されるので有れば、1μm径のフィラーでも使えないことはない。ただ、ブレードが若干の捻れ、歪みを生じた場合は、小粒径のトナーの抜けが生じる可能性が有るため、望ましくは、0.7μm以下のフィラー、さらには0.5μm〜0.3μmのフィラーを使用するのが良い。
トナーの抜けが恒常的に起こった場合は、フィルミング現象が起こりやすくなるため、Rpが大きくなる。一方、キャリアなどの硬い異物が抜けるような場合には、スクラッチが入り、Rvが大きくなる。
【0162】
フィラー粒径の下限値は、0.2μm有れば充分で、それ以下の粒径では表面粗度は低く抑えられるが、耐摩耗性が維持できない。
なお、フィラー非分散電荷輸送層の初期のRyは0.18μm、10万枚通紙ランニング後でも0.32μm程度で、トナー抜けに直接影響を与えるレベルには無い。
【0163】
本発明に記載の電荷輸送層には、感光層表面のガサツキをなくして滑らかにする手段として、例えば、レベリング剤を添加する事は有効な手段である。
レベリング剤としては、公知の材料を用いることができるが、微量で高い平滑性を付与することができ、静電特性に対する影響が小さい、シリコーンオイル系のレベリング剤がとくに好ましい。シリコーンオイルの例としては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンポリシロキサン、環状ジメチルポリシロキサン、アルキル変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、アルコール変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、メルカプト変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、カルボキシル変性シリコーンオイル、高級脂肪酸変性シリコーンオイル、高級脂肪酸含有シリコーンオイル等が挙げられる。
【0164】
また、塗工時の条件等によっても凹凸を低減することは可能である。例えば浸漬塗工において、感光体を引き上げた後、塗膜表面がまだウェットな状態の時に、フードで覆ったりすることで風の流れなどで表面を乱されないようにしたりすることで凹凸が低減される。また、塗膜表面付近の溶媒が急激に揮発すると表面だけが硬化して塗膜の内部が流動性を持った状態になり、この内部の塗膜がたれて凹凸が形成されることもあるので、ウェットな状態の時に感光体の周りに溶媒の蒸気層を形成し、溶媒を穏やかに揮発させることでレベリングが進行し、凹凸が低減され滑らかになる。
【0165】
また、スプレー塗工においては、エアースプレーによって塗膜を形成する場合、エアーの圧力や、エアー流量を適量にコントロールすることで、塗膜が流動的な状態での表面の乱れを抑えて凹凸を抑制することが必要である。ここで、エアー圧、エアー流量が大きすぎるとエアーの流れで塗膜の表面が乱れ、逆に小さすぎると、塗工液の液滴が均一にならなかったり、微粒化が不十分になったりして、塗膜の均一性が低下する原因となる。また、電荷輸送層を形成後、回転させつつ溶媒を揮発させるが、このときの回転速度が大きすぎると、まだ溶媒を含み流動性をもっている塗膜に遠心力がかかり、凹凸が強調される。また、逆に回転速度が小さすぎると、回転によるレベリングより重力によるたれの影響が勝り、凹凸が発生する原因となってしまう。そのため、塗膜がウェットな状態での感光体の回転速度を適正な値に設定することが必要である。
【0166】
また、スプレー塗工においては、塗工液を供給するポンプの送液が一定であることが重要となる。すなわち、液の供給が一定でなく脈動を持っていたりすると、それがダイレクトに液の吐出量に影響を与えるため、付着量にムラが生じることになる。そのため、スプレーに液を供給するポンプとしては、脈動を抑えた多連式プランジャーポンプや、シリンジ型の超精密吐出装置などを用いることが好ましい。
【0167】
これらの方法は単独で用いても良いが、複数組み合わせることで、より効果的にレベリングがなされ、凹凸が低減された電荷輸送層が形成される。
さらに、レベリングが不十分であった場合、電荷輸送層の凸部を摩耗してならすことも凹凸を小さくする方法として可能である。たとえば、膜厚計で凸部を検出し、その部分を研磨加工して凸部をなくすという方法が考えられる。
【0168】
本発明においては、耐環境性の改善のため、及び、感度低下、残留電位の上昇を防止する目的で、電荷発生層、電荷輸送層、下引き層、保護層、中間層等の各層に酸化防止剤、可塑剤、滑剤、紫外線吸収剤、低分子電荷輸送物質を添加することが出来る。これらの化合物の代表的な材料を以下に記す。
【0169】
各層に添加できる酸化防止剤として、例えば下記のものが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0170】
(a)フェノ−ル系化合物
2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾ−ル、ブチル化ヒドロキシアニソ−ル、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノ−ル、n−オクタデシル−3−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノ−ル)、2,2’−メチレン−ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノ−ル)、4,4’−チオビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノ−ル)、4,4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノ−ル)、1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネ−ト]メタン、ビス[3,3’−ビス(4’−ヒドロキシ−3’−t−ブチルフェニル)ブチリックアッシド]クリコ−ルエステル、トコフェロ−ル類など。
【0171】
(b)パラフェニレンジアミン類
N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ジ−t−ブチル−p−フェニレンジアミンなど。
【0172】
(c)ハイドロキノン類
2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノン、2,6−ジドデシルハイドロキノン、2−ドデシルハイドロキノン、2−ドデシル−5−クロロハイドロキノン、2−t−オクチル−5−メチルハイドロキノン、2−(2−オクタデセニル)−5−メチルハイドロキノンなど。
【0173】
(d)有機硫黄化合物類
ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネ−ト、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネ−ト、ジテトラデシル−3,3’−チオジプロピオネ−トなど。
【0174】
(e)有機燐化合物類
トリフェニルホスフィン、トリ(ノニルフェニル)ホスフィン、トリ(ジノニルフェニル)ホスフィン、トリクレジルホスフィン、トリ(2,4−ジブチルフェノキシ)ホスフィンなど。
【0175】
各層に添加できる可塑剤として、例えば下記のものが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0176】
(a)リン酸エステル系可塑剤
リン酸トリフェニル、リン酸トリクレジル、リン酸トリオクチル、リン酸オクチルジフェニル、リン酸トリクロルエチル、リン酸クレジルジフェニル、リン酸トリブチル、リン酸トリ−2−エチルヘキシル、リン酸トリフェニルなど。
【0177】
(b)フタル酸エステル系可塑剤
フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジイソブチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、フタル酸ジイソオクチル、フタル酸ジ−n−オクチル、フタル酸ジノニル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジウンデシル、フタル酸ジトリデシル、フタル酸ジシクロヘキシル、フタル酸ブチルベンジル、フタル酸ブチルラウリル、フタル酸メチルオレイル、フタル酸オクチルデシル、フマル酸ジブチル、フマル酸ジオクチルなど。
【0178】
(c)芳香族カルボン酸エステル系可塑剤
トリメリット酸トリオクチル、トリメリット酸トリ−n−オクチル、オキシ安息香酸オクチルなど。
【0179】
(d)脂肪族二塩基酸エステル系可塑剤
アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジ−n−ヘキシル、アジピン酸ジ−2−エチルヘキシル、アジピン酸ジ−n−オクチル、アジピン酸−n−オクチル−n−デシル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ジカプリル、アゼライン酸ジ−2−エチルヘキシル、セバシン酸ジメチル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジ−n−オクチル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、セバシン酸ジ−2−エトキシエチル、コハク酸ジオクチル、コハク酸ジイソデシル、テトラヒドロフタル酸ジオクチル、テトラヒドロフタル酸ジ−n−オクチルなど。
【0180】
(e)脂肪酸エステル誘導体
オレイン酸ブチル、グリセリンモノオレイン酸エステル、アセチルリシノール酸メチル、ペンタエリスリトールエステル、ジペンタエリスリトールヘキサエステル、トリアセチン、トリブチリンなど。
【0181】
(f)オキシ酸エステル系可塑剤
アセチルリシノール酸メチル、アセチルリシノール酸ブチル、ブチルフタリルブチルグリコレート、アセチルクエン酸トリブチルなど。
【0182】
(g)エポキシ可塑剤
エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、エポキシステアリン酸ブチル、エポキシステアリン酸デシル、エポキシステアリン酸オクチル、エポキシステアリン酸ベンジル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジデシルなど。
【0183】
(h)二価アルコールエステル系可塑剤
ジエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジ−2−エチルブチラートなど。
【0184】
(i)含塩素可塑剤
塩素化パラフィン、塩素化ジフェニル、塩素化脂肪酸メチル、メトキシ塩素化脂肪酸メチルなど。
【0185】
(j)ポリエステル系可塑剤
ポリプロピレンアジペート、ポリプロピレンセバケート、ポリエステル、アセチル化ポリエステルなど。
【0186】
(k)スルホン酸誘導体
P−トルエンスルホンアミド、O−トルエンスルホンアミド、P−トルエンスルホンエチルアミド、O−トルエンスルホンエチルアミド、トルエンスルホン−N−エチルアミド、P−トルエンスルホン−N−シクロヘキシルアミドなど。
【0187】
(l)クエン酸誘導体
クエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリ−2−エチルヘキシル、アセチルクエン酸−n−オクチルデシルなど。
【0188】
(m)その他
ターフェニル、部分水添ターフェニル、ショウノウ、2−ニトロジフェニル、ジノニルナフタリン、アビエチン酸メチルなど。
【0189】
本発明では滑剤を各層に添加することが出来る。例えば、下記に示すものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0190】
(a)炭化水素系化合物
流動パラフィン、パラフィンワックス、マイクロワックス、低重合ポリエチレンなど。
【0191】
(b)脂肪酸系化合物
ラウリン酸、ミリスチン酸、パルチミン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸など。
【0192】
(c)脂肪酸アミド系化合物
ステアリルアミド、パルミチルアミド、オレインアミド、メチレンビスステアロアミド、エチレンビスステアロアミドなど。
【0193】
(d)エステル系化合物
脂肪酸の低級アルコールエステル、脂肪酸の多価アルコールエステル、脂肪酸ポリグリコールエステルなど。
【0194】
(e)アルコール系化合物
セチルアルコール、ステアリルアルコール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリグリセロールなど。
【0195】
(f)金属石鹸
ステアリン酸鉛、ステアリン酸カドミウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなど。
【0196】
(g)天然ワックス
カルナバロウ、カンデリラロウ、蜜ロウ、鯨ロウ、イボタロウ、モンタンロウなど。
【0197】
(h)その他
シリコーン化合物、フッ素化合物など。
各層に添加できる紫外線吸収剤として、例えば下記のものが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0198】
(a)ベンゾフェノン系
2−ヒドロキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ4−メトキシベンゾフェノンなど。
【0199】
(b)サルシレート系
フェニルサルシレート、2,4ジ−t−ブチルフェニル3,5−ジ−t−ブチル4ヒドロキシベンゾエートなど。
【0200】
(c)ベンゾトリアゾール系
(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、(2’−ヒドロキシ5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、(2’−ヒドロキシ5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、(2’−ヒドロキシ3’−ターシャリブチル5’−メチルフェニル)5−クロロベンゾトリアゾール
【0201】
(d)シアノアクリレート系
エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、メチル−2−カルボメトキシ3(パラメトキシ)アクリレートなど。
【0202】
(e)クエンチャー(金属錯塩系)
ニッケル(2,2’チオビス(4−t−オクチル)フェノレート)ノルマルブチルアミン、ニッケルジブチルジチオカルバメート、ニッケルジブチルジチオカルバメート、コバルトジシクロヘキシルジチオホスフェートなど。
【0203】
(f)HALS(ヒンダードアミン)
ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、1−[2−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル]−4−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕−2,2,6,6−テトラメチルピリジン、8−ベンジル−7,7,9,9−テトラメチル−3−オクチル−1,3,8−トリアザスピロ〔4,5〕ウンデカン−2,4−ジオン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンなど。
がある。
【0204】
(トナー)
トナーの製造法には、既述のとおり、主として粉砕法と重合法があり、本発明ではいずれの製造方法で作製されたものでも使用可能である。但し、画像品質特性、転写性の面で良好な平均円形度は0.94〜0.995、粒径は重量平均粒径で4〜8μmの球形トナーで、最小粒径は3μm以上で有ることが望ましい。
【0205】
これは、感光体表層の表面粗度、特には最大山高さRpと最大谷深さRvの和Ryがトナー粒径Dより大きいと、クリーニングブレード下をトナーが抜ける、いわゆるクリーニング不良が恒常的に発生する。トナー粒径が4μmであっても、トナー中には4μm以下のトナーが多数含まれており、感光体表層ではシステム条件のバランスが崩れた場合や、トナーフィルミングが生じた場合などでは、異常な摩耗を生じたり、感光体の使用中にRy(=Rp+Rv)が3μmに達することが有るためであり、また、Ryがトナーの最小粒径Dより小さい場合で有っても、ブレードエッジの歪みによって感光体との間に隙間が生じ、クリーニングブレード下をトナーが抜け、クリーニング不良となり、帯電部材の汚れや、画像品質が薄汚れた状態に成る可能性がある。
【0206】
また、トナー粒径が小さくなる程、トナーが有する電荷量が大きくなるために、現像能力が低下し、画像濃度が薄くなり、カラーコピーの場合は充分な画像濃度が得られにくく成るという弊害が生じる。更に、粒径が小さいと、トナー飛散が生じたときに長時間にわたって空気中に漂い続け、健康被害(呼吸器系)が生じる可能性が大であるため、3μm未満の粒径のトナーを使用することは好ましい事では無い。
【0207】
粉砕法は重合によって製造されたバインダーポリマー中に、着色剤、帯電制御剤などの添加剤を乾式ブレンダー、ヘンシェルミキサー、ボールミルなどを使用して混合して溶融、混練して得られた固まりを粗粉砕、微粉砕してふるい等で分級して得られる方法で、粒径毎に篩い分ける事が出来る。
【0208】
粉砕法ではトナーを細粒化できるというメリットがあるが、工程が複雑であるため、コスト高に成りやすい。円形度が小さい(いびつな形状)と、粒子の帯電が一様に成りにくく、転写不良を起こしやすい。また、クリーニングブレードで感光体に押さえつけられると、スクラッチが起こりやすい傾向が見られる。粒径を整える事によって、帯電安定性、均一性が高まる為、出来るだけ円形度が高い方が好ましいが、円形度を高くするには限度が有り、通常は0.92〜0.94程度で使用される事が殆どである。したがって、ドットパターンの現像や、転写等で文字エッジのシャープ性が不十分であったり、転写抜けが起こったりする事がある。
【0209】
また、初期にはシャープ性の良好な高解像度が得られても持続し難い、コピーのコピー(2代目、3代目コピー)をプリントした場合、解像度が極端に悪くなり、実用に供しないといった問題点がある。このため、更に球形度を上げたトナーの開発も行われているが、更にコスト高に成るため、比較的粒径の揃ったトナーが得られやすいトナーの重合法製法への転換が進められている。
【0210】
重合法の製造方法には懸濁重合法、分散重合法、乳化重合法、マイクロカプセル重合法、スプレードライ等がある。例えば、懸濁重合法の場合、バインダー樹脂に着色剤や帯電制御剤等の添加剤を均一化処理し、分散媒、分散剤を添加し重合して製造される。重合法は工程が簡素化されているため、粉砕法に比べ製造コストが安い。また、粒径が比較的良く揃っており、大小の粒径のトナーが選択的に製造可能であり、異形状の粒子が殆ど製造されない(殆どが球形トナーである)というメリットがある。
【0211】
重合法で製造された粒子は殆どが球形であり、粒径がほぼ揃っているため、帯電を均一に揃えやすく、潜像にほぼ忠実に付着する。そのため、転写効率が高く、高解像度を得られやすく、画像の再現性が高くなる傾向がある。クリーニング性が充分に行われ、画像品質的に問題ない高品位の画像が得られる、平均円形度の好ましい数値は前記したように0.94〜0.995である。平均円形度が1.0(真球)の場合には、クリーニングブラシを併用した方が望ましいが、0.995も有れば、実用上は何ら問題ない。
【0212】
静電荷像現像用トナーは結着樹脂、着色剤、電荷制御剤を主成分とし、さらに離型剤を加えて製造される。下記にトナー製造に用いられる一般的な結着樹脂、着色剤、帯電制御剤、離型剤、外添剤の例を示す。
【0213】
(1)結着樹脂
スチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、酢酸ビニル、安息香酸ビニル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル、ビニルメチルエーテル、ビニルブチルエーテル、ビニルメチルケトン、ビニルイソプロペニルケトン、ビニルヘキシルケトン、プロピオン酸ビニル、イソブチレン、クロロスチレンなどの重合体若しくは共重合体、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリエステル、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−メタクリル酸アルキル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリプロピレン、スチレン−無水マレイン酸、ポリウレタン、エポキシ樹脂、変性ロジン等の公知の材料が使用できる。
【0214】
(2)着色剤
カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミュウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミュウムレッド、カドミュウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ポグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン及びそれらの混合物が使用できる。着色剤の含有量はトナー中、通常、1〜15重量%、好ましくは3〜10重量%である。
【0215】
(3)離型剤
本発明のトナーには、必要に応じてトナーバインダー、着色剤とともに離型剤を含有させる事が出来る。
この離型剤(ワックス)には従来公知の各種のものが使用できる。このようなものとしては、例えば、ポリオレフィンワッックス(ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなど);長鎖炭化水素(パラフィンワッックス、サゾールワックスなど);カルボニル基含有ワックスなどが挙げられる。これらのうち好ましいものは、カルボニル基含有ワックスである。
【0216】
カルボニル基含有ワックスとしては、ポリアルカン酸エステル(カルナバワックス、モンタンワックス、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18−オクタデカンジオールジステアレートなど);ポリアルカノールエステル(トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエートなど);ポリアルカン酸アミド(エチレンジアミンジベヘニルアミドなど);ポリアルキルアミド(トリメリット酸トリステアリルアミドなど);およびジアルキルケトン(ジステアリルケトンなど)などが挙げられる。これらカルボニル基含有ワックスのうち好ましいものは、ポリアルカン酸エステルである。
【0217】
ワックスの融点は、通常40〜160℃であり、好ましくは50〜120℃、さらに好ましくは60〜90℃である。融点が40℃未満のワックスは耐熱保存性に悪影響を与え、160℃を超えるワックスは低温での定着時にコールドオフセットを起こしやすい。また、ワックスの溶融粘度は、融点より20℃高い温度での測定値として、5〜1000cpsが好ましく、さらに好ましくは10〜100cpsである。1000cpsを超えるワックスは、耐ホットオフセット性、低温定着性への向上効果に乏しい。
【0218】
トナー中のワックスの含有量は、通常0〜40重量%であり、好ましくは3〜30重量%である。
【0219】
(4)帯電制御剤
本発明のトナーは、必要に応じて帯電制御剤を含有させることが出来る。
帯電制御剤としては公知の各種のものが使用できる。このようなものには、例えば、ニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体または化合物、タングステンの単体または化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸金属塩及び、サリチル酸誘導体の金属塩等である。具体的にはニグロシン系染料のボントロン03、第四級アンモニウム塩のボントロンP−51、含金属アゾ染料のボントロンS−34、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(以上、オリエント化学工業社製)、第四級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(以上、保土谷化学工業社製)、第四級アンモニウム塩のコピーチャージPSY VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、第四級アンモニウム塩のコピーチャージ NEG VP2036、コピーチャージ NX VP434(以上、ヘキスト社製)、LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(日本カーリット社製)、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、四級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物等が挙げられる。
【0220】
本発明において帯電制御剤の使用量は、バインダー樹脂の種類、必要に応じて使用される添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一義的に限定されるものではないが、好ましくはバインダー樹脂100重量部に対して、0.1〜10重量部の範囲で用いられる。好ましくは、0.2〜5重量部の範囲がよい。10重量部を越える場合にはトナーの帯電性が大きすぎ、主帯電制御剤の効果を減退させ、現像ローラとの静電的吸引力が増大し、現像剤の流動性低下や、画像濃度の低下を招く。
【0221】
これらの帯電制御剤、離型剤はマスターバッチ、樹脂とともに溶融混練する事もできるし、もちろん有機溶剤に溶解、分散する際に加えても良い。
【0222】
(5)外添剤
本発明で得られた着色剤含有トナー粒子の流動性や現像性、帯電性を補助するための外添剤としては、無機微粒子を好ましく用いることができる。この無機微粒子の一次粒子径は、5μm〜2μmであることが好ましく、特に5μm〜500μmであることが好ましい。また、BET法による比表面積は、20〜500m2/gであることが好ましい。この無機微粒子の使用割合は、トナーの0.01〜5重量%であることが好ましく、特に0.01〜2.0重量%であることが好ましい。
【0223】
無機微粒子の具体例としては、例えばシリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ペンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素などを挙げることができる。
【0224】
この他、高分子系微粒子を用いることができる。このようなものとしては、ソープフリー乳化重合や懸濁重合、分散重合によって得られるポリスチレン、メタクリル酸エステルやアクリル酸エステル共重合体やシリコーン、ベンゾグアナミン、ナイロンなどの重縮合系、熱硬化性樹脂による重合体粒子が挙げられる。
【0225】
このような外添剤は、表面処理を行って、疎水性を上げ、高湿度下においてもその流動特性や帯電特性の悪化を防止することができる。表面処理剤としては、例えば、シランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、シリコーンオイル、変性シリコーンオイルを好ましいものとして挙げることができる。
【0226】
なお、感光体や一次転写媒体に残存する転写後の現像剤を除去するためのクリーニング性向上剤としては、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸など脂肪酸金属塩、例えばポリメチルメタクリレート微粒子、ポリスチレン微粒子などのソープフリー乳化重合などによって製造された、ポリマー微粒子などを挙げることかできる。ポリマー微粒子は比較的粒度分布が狭く、体積平均粒径が0.01μm〜1μmのものが好ましい。
【0227】
(クリーニング部材)
一般に使用されるクリーニングブレードの形状は、コストの面から、板厚が1.5〜3mm程度の短冊状弾性体(ポリウレタンゴム)が使用され、ゴム硬度はJIS硬度で75度前後である。このクリーニングブレードの欠点は、感光体に当接する部位のゴム硬度が低い為に、感光体に摺接する際にブレードエッジが感光体の回転方向に引きずられて、線接触から面接触に成り易い。このため、ブレード先端部が潰れ、変形、歪み等を起こして、感光体とブレード間に僅かな隙間を生じるため、トナーがブレードと感光体間に挟み付けられ、帯電装置の方に送り出される現象が生じる。すなわち、クリーニング不良が生じる。この様な状況ではいびつな形状の粉砕トナーであっても、粒径が小さい(例えば、分級が充分でなく、小粒径トナーや、破砕トナーを含んでいる場合)トナー抜けが起こる事がある。図10および図11にトナー抜けの模式図を示す。
【0228】
トナー抜けは感光体硬度不足に伴うクリーニングブレードエッジの感光層への潜り込み、クリーニングブレードの硬度不足に伴う変形、クリーニングブレードの形状、硬度、感光体表層の摩擦係数に起因する摺接時の感光体へのトナー圧接、ブレードの当接圧、トナーの球形度、感光体表層の表面粗度などが関与する。トナー抜けやキャリア、紙粉(タルクなど)などの粒子がブレードの下を抜け出ることによって、スクラッチや、トナーフィルミングが発生しやすくなり、更に状況がひどくなる。
【0229】
これらのトナー抜けを改善するためには、クリーニングブレードの入口(上流側)でトナーを完全に堰き止めることが重要であり、クリーニングブレードのエッジが変形せず、感光体表層に隙間が生じないように密着させる様な構成および構造とすることが重要である。
【0230】
此の一つの手段として、クリーニングブレードが感光体を摺擦するときの耐変形度を高め、変形に強い構造にすることが必要である。例えば、クリーニングブレードの硬度を上げること。高度の低い材料であっても補強することによって、耐変形度を高める。更に、感光体との摩擦抵抗を極力弱めることである。
【0231】
クリーニングブレードの硬度を高めることの意味は次のようなことである。
感光層の摩耗はブレードにより感光層面が繰り返し摺擦されることによって、分子間結合が切れるために起こる物理的現象であるが、この摩耗には感光層より硬いトナーが関与している為、クリーニングブレード単体の場合より、摩耗は遙かに大きい。
ただ、摩耗には感光体のぶれや、クリーニングブレードの振動、トナー、キャリアの進入による現象による寄与も大きいと思われる。
【0232】
例えば、精度の悪いレコードプレーヤーにレコード盤を載せて、ダイヤモンド針に2gr程度の荷重を掛けて回した時と、極めて精度が高く、ふれが皆無に近いレコードプレーヤーを回して、ダイヤモンド針に前記荷重の数倍の荷重を掛けたときでは、荷重が大きいにも関わらず、後者の方がレコード盤の磨耗が遙かに少ないという事実がある。この現象はダイヤモンド針が左右に激しく揺れるために、その揺れにより、ダイヤモンド針でレコード盤の分子を切断するために起こる為の現象と解釈される。したがって、トナーのクリーニングブレードしたへの侵入を防止するだけでなく、感光体の回転に伴ってブレードのエッジ部が激しく揺れ動かないようにする事も重要である。
【0233】
クリーニングブレードの形状としては図12、図14、図16に示すようなナイフエッジの構造のもの、図13、図15、図17に示すような短冊状で、ブレードの入口側(上流側)に0.5〜1mmのステンレス(SUS)、鉄、真鍮、アルミ、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂等の補強板を取り付けた構造のクリーニングブレードが好適に使用できる。これらのクリーニングブレードの厚みは1〜5mm程度が望ましく、好ましくは1〜3mmである。
【0234】
クリーニングブレードの硬度としては75〜90度の弾性部材が望ましい。図12、図14、図16に示すナイフ状クリーニングブレードの場合はJIS−A硬度は80〜90度、図13、図15、図17の構造ではJIS−A硬度は75度〜85度が好適である。
硬度が低いと、クリーニングブレード圧の当接圧によって、ブレードの先端部が潰れ、面接触に成るため、トナーの侵入を容易にし、JIS−A硬度が90度以上に成ると、感光体が傷つきやすく成るため、当接圧を高く出来ず、感光体とクリーニングブレード間に隙間が出来る可能性が有るためである。また、トナーなどの異物に対して潜り込みを容易にし易くなるためである。
【0235】
クリーニングブレードの先端形状を図12、図14、図16にするのは、トナーの潜り込みを防止することにある。硬度に低い短冊状のクリーニングブレードを使用した場合には、当接圧と、クリーニングブレードと感光体間の摩擦抵抗で、ブレード先端が潰れ、トナーを巻き込むことが、トナー抜けを起こす一因に成っており、ナイフエッジはこの現象を回避する為の手段であり、感光体との線接触を維持することによって、感光体にスクラッチのような深い傷を起こさず、均一な浅い摺擦傷に留めるためである。
【0236】
図12、図14、図16に図示のナイフエッジ状の寸法はθ1が15〜40(度)の鋭角にシャープカットされた形状であり、自由長L1は2〜8mm、好ましくは3〜6mmである。一方、図13、図15、図17に示す短冊状のクリーニングブレードでは、自由長L2は4〜8mm、L4は1〜3mmである。補強用の金属板はL4の1〜3mmを除いて支持基体に挟持される位置まで伸びている。自由長が長いと、ブレードの変形に対する強度が低下するため、可能な限り短い方が望ましい。
【0237】
感光体への当接角は感光体の回転に逆らう方向、すなわち、カウンター方向に設置され、図16、図17のθ2は5〜30度が好ましい。
図13、図15、図17の形式のブレードの場合、切り口が感光体に対向するような形(90度の方向)になると、トナーが感光体との間でつぶされ、トナーがブレードの下に潜り込み易く成るため好ましくない。
【0238】
これらの先端形状のブレードを固定する手段として、アルミニウム、燐青銅、鉄、真鍮などの金属、ポリカーボネート、塩化ビニール、デルリン、ポリエチレンテレフタレートなどの樹脂、アルミナなどのセラミック部材を板やケーシングに加工してクリーニングブレードを取り付ける事が出来るが、加工性や強靱性、温度変形がない、さびないなどの特性からクロムメッキした鉄板、アルミニウム板のような1mm〜3mm程度の肉厚の金属板が好適である。
【0239】
支持基体を加工してブレードを取り付ける手段は、図12に示すように、ケーシング状の支持基体にはめ込み固定する方法、金属板に曲げ加工を行い、接着剤(両面テープ、1液性、若しくは2液性の接着剤、ホットメルト接着剤など)を用いて貼り付け固定する方法がある。
【0240】
クリーニングブレードに使用される弾性体としてはポリウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、クロロプレンゴム、ネオプレンゴムなどがあるが、耐久性、クリーニング性反発弾性特性などからポリウレタンゴムは好適に使用される。ポリウレタンゴムはポリオール、イソシアネート、および硬化剤を主原料とする。
【0241】
ポリウレタンゴムは、脱水処理したポリオールとイソシアネートを混合して、70〜140(℃)の温度で100分程度反応して得られたプレポリマーに硬化剤を加え、予め140〜160℃に加熱しておいた成形機の金型に入れ50〜60分硬化を行う。その後、金型から取り出し、必要な大きさに裁断機でカットされる事によって得られる。
クリーニングブレードに使用するポリウレタンゴムは裁断機で先端部を斜めにカットするか、金型で図14の様にナイフエッジにカットした後、図18の様に感光体に当接するエッジ部のバリを正確に直線カットして先端部の厚みが0.5mm以下になる様に整える。
此の金型を使用した金型製法では金型さえ造っておけば、比較的簡単に作製が可能である。
ナイフエッジ部を0.5mm以下に規定する理由は、面接触の拡大により、トナーのブレード下への進入を極力排除するためであり、感光体が回転中に於いても線接触を維持する為である。
【0242】
クリーニングブレードは感光体に対してカウンター方向に当接するように(均等に当接するように)保持される。ここで、均等に当接するとは、感光体の長手方向にわたって、クリーニングブレードの感光体に対する荷重が均等である、ことを意味する。この場合、ブレードエッジの局部的な歪が起こらないことが望ましい。
感光体にブレードのエッジが当接する当接圧(線圧)は一般に使用されるブレードの硬度より高めであるため、当接圧(線圧)は15g/cm〜40g/cmに設定されるのが望ましいが、クリーニング性、感光体に与えるスクラッチ等を鑑みて、15g/cm以上、25g/cm以下に設定するのが好ましい。15g/cm以下では、ブレードにJIS−A硬度が大きいブレードを使用した場合、感光体の表面粗度によっては、少しの異物が有っても、クリーニングブレードと感光体間に隙間が生じ、クリーニング不良が起こる可能性が有る。
一方、25g/cm以上に高く設定した場合には、硬度が従来使用品に比べ硬い為に、感光体にブレードによるスクラッチが発生する可能性が有るが、40g/cm以上に設定されてもスクラッチが入る可能性が高まるだけで、通常は浅い摺擦傷が入るだけで、感光体に硬い異物が刺さり、ブレードエッジに傷が生じた場合に以外を除いて、直ちに使用できなく成る訳ではない。
【0243】
この様な状態のクリーニングブレードを使用した場合、トナーの平均円形度が0.95以上、特には0.98以上の球形トナーであっても、実用上問題にならない程度に良好にクリーニングを行う事が可能となる。
【0244】
(感光体の摩擦係数、および低減化方法)
感光層表面の摩擦係数を低いレベルで維持することは、感光層の耐摩耗性の向上、顕像化したトナー像の転写性向上、クリーニングブレードでのクリーニング性向上に有効で有る。すなわち、クリーニングブレードの感光体に対する摺擦圧を低減させ、トナーの感光体に対する付着力を弛める作用を与える。したがって、感光体表層は傷つきにくくなり、クリーニングブレードで、トナー、キャリア等を充分に堰き止めた場合は、クリーニングブレードだけの摺擦傷になり、更に潤滑剤の塗布によって、摺擦傷は軽減する事が出来る。
【0245】
摩擦係数の低減化手段としては、感光体表層に潤滑剤を付与する外添法(ブラシで掻き取った潤滑剤を感光体に付与する一例を図3に示す。201:潤滑剤、202:潤滑剤付与ブラシ)、感光層最表数ミクロンに亘って、潤滑剤を含有させる内添法の何れかで行われるが、後者の手段はコロナ生成物が感光体表層に作用し、潤滑剤の作用を封じる事があるため、効果という面では前者の外添法の方が優れる。
【0246】
外添法は潤滑性を示すポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ステアリン酸亜鉛などの物質を、感光体表面に直接若しくは間接的な手段によって塗布することが出来る。直接的な方法としては粉末状の潤滑剤を袋に内蔵して、あるいはシート状の潤滑材を感光体表面に摺擦させながら付与する手段、間接的な方法は、トナー中に0.01〜0.2%程度分散して、あるいは潤滑剤、ブラシ、感光体の順に配列し、ブラシで掻き取った潤滑剤を感光体に付与する方法が有る。
【0247】
潤滑剤を感光体に付与した場合、ポリテトラフルオロエチレンでは0.6の摩擦係数を0.2以下に簡単に下げる事が可能である。ただし、摩擦係数があまり下がりすぎると、感光体に付着したコロナ生成物が削り取られないために、画像流れを起こしたり、コロナ生成物の膜にトナーが付着して、トナーフィルミングを起こしやすくなり、画像流れに到る場合がある。したがって、画像流れを起こさないための摩擦係数は、画像形成装置にセットした初期の値では0.3〜0.5であり、コピー100枚後の摩擦係数は少なくとも、0.3以上で有ることが好ましく、上限値はクリーニング性の維持と、耐摩耗性の向上、高品位画像の維持などの面から、0.45以下になる様にする事が望ましい。勿論一時的に0.45以上に成っても、実用上は何ら問題ない。
【0248】
潤滑剤を付与しない場合は、初期に0.2程度有る感光体でも急激に摩擦係数が上昇し、20〜30枚で摩擦係数が0.6近くまで達するためで、この状態が維持されると、感光層摩耗のみならず、クリーニング不良、転写不良を起こしやすくなるためである。
【0249】
通常、潤滑剤を付与しない、有機感光体やフィラー添加量の10重量%以下の感光体では、摩擦係数はコピー開始から50枚程度で、0.3程度有った摩擦係数でも0.6程度まで上昇するが、フィラーの添加量が多くなると共に、粒径が大きくなると共に、摩擦係数は0.6を切る傾向が見られる。潤滑剤を感光体に外添する場合はその付与手段によって摩擦係数は大きく振れるが、正常に供給され、コントロール性能が良好であれば、一端上昇した摩擦係数も低下に転じ、100枚〜200枚の間でほぼ安定したレベルに維持する事が出来る。したがって、摩擦係数が通紙100枚時を規定すれば、それ以降の摩擦係数の動向が有る程度予測可能である。
【0250】
【実施例】
以下実施例を用いてさらに詳しく説明するが、本発明がこれらの実施例によって限定されるものではない。なお、ここでの部は重量基準である。
【0251】
評価用電子写真感光体の作製:
1)フィラー非分散電荷輸送層を有する感光体の作製
評価用フィラー非分散電荷輸送層を有する感光体の作製は以下の手段で作製した。
φ30.0mm、長さ340mm、肉厚0.750mmのJIS3003系アルミニウム合金ドラムを導電性支持体として、下記組成の下引層(UL)用塗工液で浸漬塗工した後、120℃20分乾燥し3.5μmの下引き層、ついで、下記化1に記載の電荷発生材を用いた電荷発生層(CGL)用塗工液で塗工した後、120℃20分間加熱乾燥して、0.2μmの電荷発生層を形成した。さらに、下記化2に記載の電荷輸送材を使用した電荷輸送層(CTL)用塗工液に浸積塗工し、引き上げ速度条件を変化させ、フィラー非分散電荷輸送層を塗工した後、130℃20〜30分の加熱乾燥を行い、2μm〜35μmの間で膜厚を変えたフィラー非分散電荷輸送層を有する有機感光体を作製した。
【0252】
【0253】
〔電荷発生層用塗工液〕
下記構造のビスアゾ顔料 10部
【化1】
ポリビニルブチラール 2部
2−ブタノン 200部
シクロヘキサノン 400部
【0254】
【化2】
【0255】
2)フィラー分散電荷輸送層を有する感光体の作製
フィラー非分散電荷輸送層を塗布した有機感光体を加熱乾燥した後冷却し、引き続き、スプレー塗工法でフィラー分散電荷輸送層を2〜10μmの間で塗工した。
ここで、冷却後引き続きフィラー分散電荷輸送層を塗工したのは、溶媒に因り界面が解け合い、明確な界面を形成させないためであるが、1晩程度の放置では殆ど問題はない。しかし、数週間放置すると酸化などにより、表面準位が変わり、局部的にバリア(捕獲準位)が出来、画像品質に悪影響が出やすいためである。
【0256】
フィラー非分散電荷輸送層上に、下記記載のバインダー樹脂(ビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂)と低分子電荷輸送物質(ドナー)、一次粒径が0.2、0.3、0.5、0.7および1μmの5種類の無機フィラー(α−アルミナ)を用意し、夫々の無機フィラーと分散助剤及び溶剤を硝子ポットに入れ、ボールミルで24時間分散させて塗工液を作り、スプレー法を用いて1〜5回往復させ、フィラー分散電荷輸送層を塗工した。触指乾燥の後、150℃20分間加熱乾燥させて、フィラー分散電荷輸送層を有する評価用電子写真感光体を作製した。
【0257】
【化3】
【0258】
作製した感光体の特性一覧を表1に示す。
【0259】
【表1】
【0260】
帯電部材:
1)接触帯電用の帯電部材
本発明の実施例に記載の帯電部材は、6mmの真鍮製ロット棒にカーボンを均一分散し、電気抵抗を6×105Ω・cm(100VDC印加時)に調整したエピクロルヒドリンゴムを3mmの厚さになるように塗布して研磨し、その層上にエピクロルヒドリンゴムにカーボン、シリカ、フッ素樹脂を分散し電気抵抗が(3〜5)×108Ω・cm(100VDC印加時)になる様に調合したエピクロルヒドリンゴムを厚さ1mmに均一塗布して、φ14mm×314mm(有効帯電幅:312mm)の寸法形状にしたものである。(電子写真複写機、リコー社製 イマジオMF2200に使用)
【0261】
2)非接触帯電用の帯電部材
帯電部材−1
8mmの真鍮製ロット棒に電気抵抗が(4〜6)×105Ω・cm(100VDC印加時)となるカーボン、シリカ、フッ素樹脂を分散したエピクロルヒドリンゴムを、φ6mmの真鍮製ロット棒に厚さが1mmと成る様に塗布したφ14mm×314mm(有効帯電幅:312mm)の帯電部材を作製した。この帯電部材の両端部から1.5mm内側に、厚さ49μm、幅8mm、長さ31mmの菱形にカットしたPET(ポリエチレンテレフタレート)を張り付けスペーサーとした非接触帯電部材を作製した。感光体と帯電部材間の距離は平均で56μmであった。(電子写真複写機 イマジオMF2200に使用)
【0262】
帯電部材−2
8mmの真鍮製ロット棒に電気抵抗が(4〜6)×105Ω・cm(100VDC印加時)となるカーボン、シリカ、フッ素樹脂を分散したエピクロルヒドリンゴムを、φ6mmの真鍮製ロット棒に厚さが1mmと成る様に塗布したφ10mm×327mm(有効帯電幅:308mm)の帯電部材を作製した。この帯電部材の両端部から1.5mm内側に、厚さ49μm、幅8mm、長さ31mmの菱形にカットしたPET(ポリエチレンテレフタレート)を張り付けスペーサーとした非接触帯電部材を作製した。感光体と帯電部材間の距離は平均で53μmであった。
(カラーレーザービームプリンター イプシオカラー8000に使用)
【0263】
感光体表層の摩擦係数低減化方法:
本発明では、トナー中にステアリン酸亜鉛を0.03重量%添加することによって、現像剤を介して感光体表層に潤滑剤を付与する方法で行った。
【0264】
現像剤=キャリア+トナー:
キャリアには、重量平均粒径58μmの磁性キャリア(FPC−300LC)を使用した。
トナーは下記に記載するような製造例を用いて製造された重量平均粒径が約5.1〜5.6μm、平均円形度0.987〜0.993のシアン、マゼンタ、イエローおよびブラック球形トナーを使用した。
また、粉砕法で製造されたトナーについては、重量平均粒径5.2μm〜7.5μm(最小粒径:2.8μm〜4.1)、平均円形度0.914〜0.93のブラックトナーを使用した。
これらのトナーはキャリアに対して6.5重量%の割合で添加して現像剤とした。
これらのトナーには感光体表層の摩擦係数を低減化させる場合には、ステアリン酸亜鉛をトナー全重量に対し0.03重量%添加した。
【0265】
次に、重合トナー(重合法で製造されたトナーの意)および粉砕トナーの製造例を示す。
【0266】
[重合トナーの製造例]
(1)シアン(C)トナーの製造例
(添加用ポリエステル樹脂の製造例)
冷却管、攪拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物690部、テレフタル酸230部を常圧下、210℃で10時間重縮合し、次いで10〜15Torrの減圧を行い、5時間反応した後160℃まで冷却し、これに18部の無水フタル酸を加えて2時間反応し変性されていないポリエステル樹脂(重量平均分子量Mw:85000)を得た。
【0267】
(プレポリマーの製造例)
冷却管、攪拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物800部、イソフタル酸160部、テレフタル酸60部、およびジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧において230℃で8時間反応し、さらに10〜15mmHgの減圧で脱水しながら5時間反応した後、160℃まで冷却して、これに32部の無水フタル酸を加えて2時間反応した。次いで、80℃まで冷却し、酢酸エチル中にてイソホロンジイソシアネート170部と2時間反応を行いイソシアネート基含有プレポリマー(Mw:35000)を得た。
【0268】
(ケチミン化合物の製造法例)
攪拌棒および温度計のついた反応槽中にイソホロンジアミン30部とメチルエチルケトン70部を仕込み、50℃で5時間反応を行い、ケチミン化合物を得た。
【0269】
(トナーの製造例)
ビーカー内に前記のプレポリマー14.3部、ポリエステル(a)55部、酢酸エチル78.6部を入れ、攪拌し溶解した。次いで、離型剤であるライスワックス(融点83℃)10部、銅フタロシアニンブルー顔料4部を入れ、40℃にてTK式ホモミキサーを用いて12000rpmで5分攪拌した後、ビーズミルで30分間20℃において粉砕処理した。これをトナー材料油性分散液とする。
【0270】
ビーカー内にイオン交換水306部、リン酸三カルシウム10%懸濁液265部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.2部を入れ、TK式ホモミキサーを12000rpmの回転数で攪拌しながら、この水分散液(1)に上記トナー材料油性分散液及びケチミン化合物2.7部を加え、攪拌を続けながら反応させた。
【0271】
反応後の分散液(粘度:3500mP・s)を減圧下1.0時間以内に50℃以下の温度で有機溶剤を除去した後、濾別、洗浄、乾燥し、次いで風力分級し、球形状のトナー母体粒子を得た。
【0272】
次に、得られた母体粒子100部、帯電制御剤(オリエント化学社製 ボントロン E−84)0.25部をQ型ミキサー(三井鉱山社製)に仕込み、タービン型羽根の周速を50m/secに設定して混合処理した。この場合、その混合操作は、2分間運転、1分間休止を5サイクル行い、合計の処理時間を10分間とした。
更に、疎水性シリカ(H2000、クラリアントジャパン社製)を0.5部添加し、混合処理した。この場合の混合操作は、周速を15m/secとして、30秒混合1分間休止を5サイクル行った。
以上の様にしてシアントナーを得た。重量平均粒径は5.1μm(最小粒径:4.7μm)、平均円形度0.993であった。
【0273】
(2)マゼンタトナーの製造例
(マゼンタマスターバッチ粒子の作製)
水 600部
Pigment Red 57 含水ケーキ(固形分50%) 200部
をフラッシャーでよく撹拌する。ここに、ポリエステル樹脂(酸価;3、水酸基価;25、Mn;3500、Mw/Mn;4.0、Tg;60℃)1200部を加え、150℃で30分混練後、キシレン1000部を加えさらに1時間混練した後、水とキシレンを除去後、圧延冷却しパルペライザーで粉砕、さらに3本ロールミルで2パスしマゼンタ色のマスターバッチ顔料(MB1−M)(平均粒径約0.2μm)を得た。
【0274】
(プレポリマーの製造例)
冷却管、攪拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物856部、イソフタル酸200部、テレフタル酸20部、およびジブチルチンオキサイド4部を入れ、常圧において250℃で6時間反応し、さらに50〜100mmHgの減圧で脱水しながら5時間反応した後、160℃まで冷却して、これに18部の無水フタル酸を加えて2時間反応した。次いで、80℃まで冷却し、酢酸エチル中にてイソホロンジイソシアネート170部と2時間反応を行いイソシアネート基含有プレポリマー(Mw:25000)を得た。
【0275】
(トナーの製造例)
ビーカー内に前記のプレポリマー15.4部、ポリエステル樹脂50部、酢酸エチル95.2部を入れ、攪拌し溶解した。次いで、カルナバワックス(分子量1800、酸価2.5、針進入度1.5mm/40℃)を10部、前記マスターバッチ粒子10部を入れ、85℃においてTK式ホモミキサーにて10000rpmで攪拌した後、実施例1同様にビーズミルにより湿式粉砕処理して、トナー材料油性分散液を得た。
【0276】
次いで、実施例1と同様にして得た水分散液を用いた以外は実施例1と同様にして球形状の母体トナー粒子を得た。
次いで、帯電制御材としてオリエント社製ボントロンE−84をE−89に変更する以外はシアントナーの製造例と同様にしてマゼンタトナーを得た。重量平均粒径は4.8μm(最小粒径:3.6μm)、平均円形度、0.991であった。
【0277】
(3)イエロー(Y)トナーの製造例
顔料をハンザイエロー10Gに替えた以外、前記製造方法と同様な方法で、イエロートナーを得た。
重量平均粒径は5.5μm(最小粒径:4.2μm)平均円形度0.991であった。
【0278】
(4)ブラック(Bk)トナーの製造例
顔料を銅フタロシアニンからカーボンブラックにし、前記製造方法と同様な方法でブラックトナーを製造した。得られたトナーは重量平均粒径が5.6μm(最小トナー:4.5μm)、平均円形度0.993であった。更に、条件の変更により、重量平均粒径が3.8μm(最小トナー:3.1μm)、平均円形度0.987のトナーを製造した。
【0279】
上記組成物エクストルーダーを用いて溶融混練後、冷却した混練物を機械的に粉砕し、粗粉砕物を、ジェット流を用いて衝突版に衝突させて微粉砕した後、気流分級機で粒径毎の分級を行い、重量平均粒径が5.2μm(最小粒径:2.8μm)、6.3μm(最小粒径:3.2μm)、7.5μm(最小粒径:4.1μm)のブラックトナーを得た。( )内は最小粒径トナーを示す。平均円形度は0.91〜0.93であった。
【0280】
同様に、着色剤としてC.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントレッド202を用いて、夫々、シアントナー、イエロートナー、マゼンタトナーを得た。
【0281】
[クリーニングブレード]
クリーニングブレード[タイプ1]
JIS−A硬度74度、81度、87度の3種のポリウレタンゴム製クリーニングブレードを、金型成形によって作製した。形成後の寸法は板厚が2.8mm、幅15mm、長さ320mm、斜めカット部の長さが4mmの台形状(形状は図18の通り)である。感光体との当接部のバリをカットし、カット部の幅は約0.3mmとなった。JIS−A硬度の測定はJIS K 6301に準じて作製されたテクロック社製GS−701Nを使用した。導電性塗料(藤倉化成製ドータイト)をシンナーで薄く溶いて、斜めカットの側の全面に塗布し、乾燥させた。抵抗は100V印加時2.8×105Ω・cmであった。
【0282】
前記ブレードを板厚0.8mmで8度の角度で感光体とカウンター当接するように曲げた長さ363mmの支持基体に、斜めカット部を感光体の回転方向の上流向き(転写装置側)にして、エポキシ系の2液性接着剤(アラルダイト8 254−01、バンティコ社)を使用して、自由長L1が5mmになるように接着し、支持基体端部と先に導電性塗料を塗布した面とを前記導電性塗料ドータイトを5カ所で導通(≒0Ω)処理を行い、クリーニング部材を完成した。(電子写真複写機には、リコー社製イマジオMF2200に使用)
【0283】
クリーニングブレード[タイプ2―1]
JIS−A硬度が71度、77度、87度の硬度、厚みが1mm、2mmのポリウレタンゴムを幅15mm、長さ320mmの短冊状にカットした後、ブレードの片側全面に、シンナーで薄く溶いた導電性塗料(藤倉化成製ドータイト)を塗布し、充分に乾燥させた。抵抗は100V印加時2.8×105Ω・cmであった。このポリウレタンゴムに板厚0.1mmの13.5mm×320mmにカットした硬質アルミニウム板を感光体と当接する先端部から1.5mm外して、強力両面テープで張り合わせて、硬質アルミ板と、側面に塗布した導電性塗料面とを別のドータイトで5カ所の導通処理を行った。
【0284】
この様にして得られたクリーニングブレードを、感光体と8度の角度で、カウンター当接出来るように加工した板厚1mm、長さが363mmのへの字に曲げた鉄製部材に強力両面テープを使用して接着し、図13、若しくは図15に示す形状のクリーニングブレードを作製した。(電子写真複写機には、イマジオMF2200に使用)
【0285】
クリーニングブレード[タイプ2−2]
JIS−A硬度が77度の板厚が1mmのポリウレタンゴムを幅10mm、長さ325mmの短冊状にカットした後、ブレードの片側全面に、シンナーで薄く溶いた導電性塗料(藤倉化成社製、ドータイト)を塗布し、充分に乾燥させた。抵抗は100V印加時3.5×105Ω・cmであった。このポリウレタンゴムに板厚0.1mmで8.5mm×325mmにカットした硬質アルミニウム板を感光体と当接する先端部から1.5mm外して、強力両面テープで張り合わせて、硬質アルミ板と、側面に塗布した導電性塗料面とを別のドータイトで5カ所の導通処理を行った。
【0286】
この様にして得られたクリーニングブレードを、感光体と8度の角度で、カウンター当接出来るように加工した板厚1mm、長さ325mmのL字型の鉄製治具にエポキシ系の2液性接着剤(アラルダイト8 254−01 バンティコ社)を使用して接着して図13、若しくは図15に示す形状のクリーニングブレードを作製した。(リコー社製カラーレーザービームプリンター、イプシオカラー8000に使用)
【0287】
クリーニングブレード[タイプ3(純正クリーニングブレード)]
JIS−A硬度が77度(純正クリーニングブレード)で、厚み2mm、幅15mm、長さ320mmの短冊状のポリウレタンゴムを板厚1mm、長さが363mmのへの字に加工された鉄製部材にホットメルト接着剤で取り付けられたものである。自由長は8mmである。なお、タイプ3では導電性塗料の塗布は行われていない。
【0288】
評価方法:
感光体およびクリーニングブレード用の評価機として、光源の発振波長を655nmとするLD素子を用いた接触帯電方式で、感光体と現像装置、クリーニングブレードが一体構成となったプロセスユニットを内蔵する、乾式電子写真複写機(イマジオMF2200、リコー社製)および、非接触帯電方式、感光体とクリーニングブレードを一体構成とするプロセスユニットを内蔵する、4連タンデム方式のカラーレーザービームプリンター[CLBP](イプシオカラー8000、リコー社製)を用意した。
【0289】
評価用に用意した電子写真複写機は帯電装置への高圧電源供給が直流電圧であるため、交流電圧が重畳可能な高圧電源(長野愛知電気製、タイプHV−255)を別途用意し、標準設定の直流電源と切り替えながらの評価を実施した。
帯電部材に交流重畳直流電圧を印加するする場合には、交流電圧を1500V/1350Hzに固定し、直流電圧を調整して、現像装置位置での暗部電位を設定した。
カラーレーザービームプリンターは標準設定(デフォルト)の状態で使用し評価を行った。
【0290】
評価枚数はA4サイズ各5万枚(A4サイズ)とし、初期の感光層膜厚と5万枚後の膜厚を渦電流式膜厚計(フィッシャー社製 タイプMMS)を使って測定し、感光層の摩耗量を評価した。
【0291】
鉛筆硬度はJIS K 5401に基づいて作製された鉛筆引っ掻き試験器(表面性測定器 新東科学社製 HEIDON−14型)とJIS規格標準鉛筆(三菱鉛筆“ユニ”)とを使用し、加重に100gの分銅を用いて、測定用に作製した感光体を50×80(mm)の大きさに切断して測定した。
真円度、真直度は表面粗さ測定器(東京精密社製 サーフコム1400D、ピックアップ:E−DT−S02A)を用いて、感光体長手方向13カ所、周方向90度毎に4カ所測定した。
【0292】
摩擦係数の測定は、測定に供する感光体を台座に固定して、幅30mm×長さ290mm×厚み85μmの上質紙(リコー社製、タイプ6200ペーパー、縦目使用)をベルトとし、前記上質紙を感光体の周方向に乗せ、ベルト端部の一方に100grのおもりを取り付け、もう一方の片端に重量測定用のデジタル・フォース・ゲージを取り付け、デジタル・フォース・ゲージをゆっくり引き、ベルトの移動開始時の重量を読みとり、オイラーの方式より導き出された下式より(静止)摩擦係数μsを算出した。
μs=2/π×ln(F/W)
ただし、μs:静止摩擦係数、F:読みとり荷重
W:分銅の重さ π:円周率
【0293】
画像品質評価は、電子写真複写機で評価する場合は、画像品質評価は、JISZ 6008にしたがって作成された試験票板(コダック社製)を使用して解像度を評価し、別途用意したリコー製テストチャートでドットパターンの再現性及び地肌汚れの評価を実施した。
【0294】
一方、カラーレーザービームプリンター(非接触帯電法−交流電圧重畳直流電圧印加方式)で評価する場合は、別途用意したパソコンに入力した各種パターンを使用して、解像度、1ドットパターンの再現性、ノイズ、色むら等についての評価を行った。
【0295】
評価時以外の通紙ランニング中の原稿は両評価機とも画像面積6%の画像パターンを使用し、22〜24(℃)/58〜65(%RH)環境にて通紙ランニングを行った。
評価は初期、100枚後(摩擦係数測定のみ)、5万枚後に行った。
【0296】
(実施例1〜8)
評価用の感光体として、表1に記載のNo.4(実施例1、2)、No.6(実施例3、4)、No.7(実施例5、6)、No.8(実施例7、8)の4サンプル、電子写真複写機(イマジオMF2200)を用意した。帯電には接触帯電装置用の帯電部材を使用し、帯電部材に印加する電圧条件は直流電圧を−628V、交流電圧を1500V/1350Hzとした。
感光体に印加する現像装置位置での感光体の表面電位はいずれも−600Vになる様に直流電圧を微調整し、5万枚の通紙ランニングを行った。現像バイアスは−500Vに設定した。画像部電位は−90V〜−105Vで有ったため、コントラスト電位は410〜395Vと画像形成には充分な電位差が確保された。
【0297】
これらの感光体をJIS−A硬度87度に調整して作製された厚み1mmのクリーニングブレード[タイプ2−1]を搭載し、感光体に対する当接圧が23.5g/cmになる様に、評価用の電子写真複写機の感光体ユニットにセットした。クリーニングブレードはネジ止めを行うことにより、自動的に接地状態となる。
【0298】
トナーには(1)平均円形度0.922、平均粒径6.3μm、最小粒径3.2μm、(2)平均円形度0.93、平均粒径7.5μm、最小粒径4.1μmの2種類の粉砕型のブラックトナーを使用し、キャリアに対して6.5重量%を混合した。なお、トナーへの潤滑剤は未添加とし、評価枚数は5万枚とした。
【0299】
これらの評価結果を表2に示す。
【0300】
本発明のクリーニングブレードでは、No.4のフィラーが分散されていない感光体のみ、画像に影響ない程度の僅かなクリーニング不良が生じたが、それ以外の感光体ではトナーが充分に堰き止められた為、感光体の表面粗度の悪化は小さかった。そのため、トナー抜け現象は殆ど無く、良好な結果を示した。画像の荒れが少ないために、画像品質良好で、表には記載していないが、解像度は小粒径トナーを使用している事も有り、いずれも7.1〜8.0(本/mm)を示し、1ドット再現性も良好であった。
No.4でクリーニング不良が起こったのは、表面粗度の大きさによるものではなく、感光体の摩擦係数が0.62以上と大きいため、補強しているにも関わらず、ブレードエッジがトナー抜けが生じる程度に歪み(3μm前後)を生じた為と思われる。またNo.4で判定が△であったのは、摩耗量が多いためであるが、画像品質上では特に問題は確認されなかった。
【0301】
【表2】
(注)○、△、×の判定:クリーニング性、画像品質、摩耗量から判定して、
○:問題なし、
△:問題性小(但し、5万枚以上で問題になる可能性がある)、
×:実用上問題有り
表中μは摩擦係数を表し、添え字の0、0.1K、50Kは評価時の通紙枚数0(初期)、100枚、5万枚を夫々示す。
【0302】
(実施例9〜14)
評価用の感光体として、表1に記載のNo.4(実施例9、10)、No.6(実施例11、12)、No.8(実施例13、14)の3サンプル、電子写真複写機(イマジオMF2200)を用意した。帯電条件は非接触帯電装置用の帯電部材−1を使用し、帯電部材に印加する電圧条件は直流電圧を−635V、交流電圧を1500V/1350Hzとした。
感光体に印加する現像装置位置での感光体の表面電位はいずれも−600Vになる様に直流電圧を微調整し、5万枚の通紙ランニングを行った。
これらの感光体をJIS−A硬度87度に調整して作製された厚み2.8mmのナイフ状エッジのクリーニングブレード[タイプ1]を搭載し、感光体に対する当接圧が22.0g/cmになる様に、評価用の電子写真複写機の感光体ユニットにセットした。クリーニングブレードはネジ止めを行うことにより、自動的に接地状態となる構造である。
【0303】
トナーには(1)平均円形度0.922、平均粒径6.3μm、最小粒径3.2μm、(2)平均円形度0.93、平均粒径7.5μm、最小粒径4.1μm、2種類の粉砕型のブラックトナーを使用し、キャリアに対して6.5重量%を混合した。なお、トナーへの潤滑剤は未添加とした。
【0304】
これらの評価結果を表3に示す。
感光体に当接する部位の形状がナイフエッジ状のクリーニングブレードを使用した場合、トナーの堰き止めはほぼ充分に行われた。そのため、感光体の表面にはブレードによる摺擦傷が生じただけで、局部的に表面粗度Ryが大きくなる事はなく、クリーニング不良は5万枚後でも問題ないレベルに抑えられた。
なお、No.4のサンプルの判定が△となったのは、摩耗が多いためであり、画像品質的には5万枚時点では全く問題なく、摩耗がほぼ平均的であるために、Ryは小さく、トナー抜けは皆無であった。
No.8のサンプルで△を付したものは文字画像に僅かに文字太りが見られたが、実用的には殆ど問題ないレベルであった。
【0305】
【表3】
(注)○、△、×の判定:クリーニング性、画像品質、摩耗量から判定して、
○:問題なし、
△:問題性小(但し、5万枚以上で問題になる可能性がある)、
×:実用上問題有り
表中μは摩擦係数を表し、添え字の0、0.1K、50Kは評価時の通紙枚数0(初期)、100枚、5万枚を夫々示す。
【0306】
(比較例1〜6)
評価用の感光体として、表1に記載のNo.7(比較例1、2)、No.8(比較例3、4)、No.9(比較例5、6)の3サンプル、電子写真複写機(リコー社製 イマジオMF2200)を用意した。帯電には非接触帯電装置用の帯電部材−1を使用し、帯電部材に印加する電圧条件は直流電圧を−635V、交流電圧を1500V/1350Hzとした。
感光体に印加する現像装置位置での感光体の表面電位はいずれも−600Vになる様に直流電圧を微調整し、5万枚の通紙ランニングを行った。
【0307】
これらの感光体をJIS−A硬度77度のポリウレタンゴムで作製されたクリーニングブレード[タイプ3]を搭載し、感光体に対する当接圧が23.5g/cmになる様に、評価用の電子写真複写機の感光体ユニットにセットした。ブレードには導電処理は行われていない。
【0308】
トナーには(1)平均円形度0.914、平均粒径5.2μm、最小粒径2.8μm、(2)平均円形度0.922、平均粒径6.3μm、最小粒径3.2μmの2種類の粉砕型ブラックトナーを使用し、キャリアに対して6.5重量%を混合した。なお、トナーへの潤滑剤は未添加とした。
【0309】
結果を表4に示す。
ブレードに補強が無く、トナー粒径が3μm前後の小粒径の場合、感光体表層の摩擦係数が高いために、ブレードの感光体に当接するエッジ部が歪みを起こしやすいことと、トナー抜けが起こっているために、感光体表面が荒れて、トナー抜けが生じやすい状況が生まれた為に、更に表面粗度Ryが大きくなり、クリーニング性不良、画像品質不良によって△又は×の判定となった。特に電荷輸送層に添加するフィラーの粒径が1μmの場合は、数字的にはNo.8のサンプルに近い値であるが、全体的に表面凹凸の荒れが目立ち、ブレードの歪みが起こりやすい状況にあった事が×の一要因と推測される。
【0310】
【表4】
(注)○、△、×の判定:クリーニング性、画像品質、摩耗量から判定して、
○:問題なし、
△:問題性小(但し、5万枚以上で問題になる可能性がある)、
×:実用上問題有り
表中μは摩擦係数を表し、添え字の0、0.1K、50Kは評価時の通紙枚数0(初期)、100枚、5万枚を夫々示す。
【0311】
(実施例15〜22)
評価用の感光体として、表1に記載のNo.6(実施例15、16)、No.7(実施例17、18)、No.8(実施例19、20)、No.9(実施例21、22)の4サンプルと電子写真複写機(イマジオMF2200)を用意した。帯電には非接触帯電装置用の帯電部材−1を使用し、帯電部材に印加する電圧条件は直流電圧を−635V、交流電圧を1500V/1350Hzとした。
感光体に印加する現像装置位置での感光体の表面電位はいずれも−600Vになる様に直流電圧を微調整し、5万枚の通紙ランニングを行った。
【0312】
これらの感光体を硬度87度に調整して作製されたクリーニングブレード[タイプ1]を搭載し、感光体に対する当接圧が22.0g/cmになる様に、評価用の電子写真複写機の感光体ユニットにセットした。クリーニングブレードはネジ止めを行うことにより、自動的に接地状態となる構造である。
【0313】
トナーには(1)平均円形度0.987、平均粒径5.6μm、最小粒径4.5μm、(2)平均円形度0.992、平均粒径3.8μm、最小粒径3.1μmの2種類の重合法によるブラックトナーを使用し、キャリアに対して6.5重量%を混合した。なお、トナーへの潤滑剤は未添加とした。
これらの評価結果を表5に示す。
トナーを円形度の大きい重合トナーに変更した場合に於いても良好なクリーニング性を示した。これは特にクリーニングブレードのエッジの変形が殆ど無く、また、トナーを感光体に押しつける部位が無いために、ブレードの浮き上がりが無いために隙間が生じなかった為と推測される。その結果、感光層表面粗度の暴れも比較的抑えられ、画像品質は良好であった。特に解像度は粉砕トナーに比べ、シャープ性が良く、文字エッジの揺らぎも殆ど見られず、解像度は7.1〜9.0本/mmの高解像度が得られた。また、ライン画像の交差する箇所での文字抜けが僅かに有ったものの、実用上は問題にならない程度に良好な結果であった。
【0314】
【表5】
(注)○、△、×の判定:クリーニング性、画像品質、摩耗量から判定して、
○:問題なし、
△:問題性小(但し、5万枚以上で問題になる可能性がある)、
×:実用上問題有り
表中μは摩擦係数を表し、添え字の0、0.1K、50Kは評価時の通紙枚数0(初期)、100枚、5万枚を夫々示す。
【0315】
(比較例7〜12)
評価用の感光体として、表1に記載のNo.6(比較例7、8)、No.7(比較例9、10)、No.8(比較例11、12)の3サンプルと電子写真複写機(イマジオMF2200)を用意した。帯電には非接触帯電装置用の帯電部材−1を使用し、帯電部材に印加する電圧条件は直流電圧を−635V、交流電圧を1500V/1350Hzとした。
感光体に印加する現像装置位置での感光体の表面電位はいずれも−600Vになる様に直流電圧を微調整し、5万枚の通紙ランニングを行った。
【0316】
これらの感光体をJIS−A硬度71度のポリウレタンゴムで作製されたクリーニングブレード[タイプ2−1]を搭載し、感光体に対する当接圧が23.5g/cmになる様に、評価用の電子写真複写機の感光体ユニットにセットした。
【0317】
トナーには(1)平均円形度0.993、平均粒径5.6μm、最小粒径4.5μm、(2)平均円形度0.987、平均粒径3.8μm、最小粒径3.1μmの2種類の重合法によるブラックトナーを使用し、キャリアに対して6.5重量%を混合した。なお、トナーへの潤滑剤は未添加とした。
【0318】
これらの評価結果を表6に示す。
JIS−A硬度が71度のクリーニングブレードと、重合法で作製した平均円形度が大きいトナーとの組み合わせでは、トナーのクリーニング性は全く不良で、帯電部材がトナー汚染を受け、画像品質はムラの多いものとなった。また地肌が薄く汚れる結果となった。
トナー抜けは、特には最小粒径が3.3μmのトナーを使用した場合に多く、表面粗度Ryが大きい場合にクリーニング不良が多くなる傾向が見られた。
【0319】
【表6】
(注)○、△、×の判定:クリーニング性、画像品質、摩耗量から判定して、
○:問題なし、
△:問題性小(但し、5万枚以上で問題になる可能性がある)、
×:実用上問題有り
表中μは摩擦係数を表し、添え字の0、0.1K、50Kは評価時の通紙枚数0(初期)、100枚、5万枚を夫々示す。
【0320】
(実施例23〜26)
評価用の感光体として、表1に記載のNo.7(実施例23)、No.11(実施例24)、No.12(実施例25)、No.13(実施例26)の4サンプル、電子写真複写機(イマジオMF2200)を用意した。帯電条件は非接触帯電装置用の帯電部材−1を使用し、帯電部材に印加する電圧条件は交流電圧は1500V/1350Hz一定として、直流電圧を調整する事によって、感光体の表面電位を設定した。
感光体に印加する現像装置位置での感光体の表面電位はNo.7、No.12およびNo.13では−600V、No.11は−450Vになる様に直流電圧を微調整し、5万枚の通紙ランニングを行った。なお現像バイアスはNo.11については−350V、No.7、No.12およびNo.13に付いては−500Vに設定した。No.11の表面電位が低いのは、膜厚が薄いためである。画像部電位は−60V〜−90Vで有った。
【0321】
これらの感光体をJIS−A硬度77度に調整して作製された厚み2mmのクリーニングブレード[タイプ2−1]を搭載し、感光体に対する当接圧が23.5g/cmになる様に、評価用の電子写真複写機の感光体ユニットにセットした。クリーニングブレードはネジ止めを行うことにより、自動的に接地状態となる。
【0322】
トナーには平均円形度0.993、平均粒径5.6μm、最小粒径4.5μmの重合法によるブラックトナーを使用し、キャリアに対して6.5重量%を混合した。なお、トナーへの潤滑剤は未添加とした。
【0323】
これらの評価結果を表7に示す。
トナーのクリーニング性に関しては感光層が薄い場合(10.5μm)も厚い場合(36.8μm)も、いずれも良好な結果であった。画像濃度は感光体No.7では1.35〜1.4と若干薄目となったが、その他の感光体では1.5以上を示し良好であった。また、No.13の感光体では膜厚が厚かった為に、文字につぶれが見られ、解像度は6.3〜7.1(本/mm)と小径トナーを使用している割には、若干では有るが解像度が低めに出た。
No.7の様な画像濃度が低い場合には、トナー濃度を上げて補うことが出来るが、余り上げると、地肌汚れを招く恐れが有る。10μmの感光層膜厚が限度に近いレベルと判断される。30.5μmではなお実用性が有るが、これ以上では問題(残留電位の上昇に伴う画像濃度低下、解像度低下)が出る可能性がある。
【0324】
【表7】
(注)○、△、×の判定:クリーニング性、画像品質、摩耗量から判定して、
○:問題なし、
△:問題性小(但し、5万枚以上で問題になる可能性がある)、
×:実用上問題有り
表中μは摩擦係数を表し、添え字の0、0.1K、50Kは評価時の通紙枚数0(初期)、100枚、5万枚を夫々示す。
【0325】
(実施例27〜32)
評価用の感光体として、表1に記載のNo.15(実施例27、28)、No.16(実施例29、30)、No.17(実施例31、32)のフィラー量が10〜40重量%添加された感光体3サンプルと電子写真複写機(イマジオMF2200)を用意した。帯電には非接触帯電装置用の帯電部材−1を使用し、帯電部材に印加する電圧条件は直流電圧−635V、交流電圧を1500V/1350Hzとした。
感光体に印加する現像装置位置での感光体の表面電位はいずれも−600Vになる様に直流電圧を微調整し、5万枚の通紙ランニングを行った。
【0326】
これらの感光体をJIS−A硬度81度のポリウレタンゴムで作製されたクリーニングブレード[タイプ1]を搭載し、感光体に対する当接圧が22.0g/cmになる様に、評価用の電子写真複写機の感光体ユニットにセットした。
【0327】
トナーには(1)平均円形度0.993、平均粒径5.6μm、最小粒径4.5μm、(2)平均円形度0.987、平均粒径3.8μm、最小粒径3.3μmの2種類の重合法によるブラックトナーを使用し、キャリアに対して6.5重量%を混合した。なお、感光体の表面摩擦係数を低減する為の潤滑剤として、平均粒径0.3μmのステアリン酸亜鉛微粉末をトナーに対して0.03重量%添加した。
【0328】
評価結果を表8に示す。
潤滑剤をトナー中に添加することによって、感光体の表面摩擦係数が0.3〜0.45の間で良好にコントロールされた。その結果、クリーニングブレードと感光体間の摩擦抵抗が大幅にダウンしたため、クリーニングブレードのエッジの歪みは皆無になり、円形度の大きいトナーでも充分にクリーニングが行われた。その結果、異常画像の発生もなく、解像度も40重量%の感光体(No.17)では7.1本/mmであったが、他の2本は8.0〜9.0(本/mm)と極めて良好な結果であった。
【0329】
【表8】
(注)○、△、×の判定:クリーニング性、画像品質、摩耗量から判定して、
○:問題なし、
△:問題性小(但し、5万枚以上で問題になる可能性がある)、
×:実用上問題有り
表中μは摩擦係数を表し、添え字の0、0.1K、50Kは評価時の通紙枚数0(初期)、100枚、5万枚を夫々示す。
【0330】
(比較例13〜16)
感光体をNo.14(フィラー添加量5重量%)、No.18(フィラー添加量50重量%)に変え、クリーニングブレードを[タイプ3]にした以外は、実施例15〜実施例22に同様の条件で評価を実施した。結果を表9に示す。
【0331】
フィラー量が5重量%分散のNo.14の感光体では、ブレードに補強が無いために、感光体に当接したエッジ部が潰れ易くなり、歪みを生じた部位よりトナーの潜り込みが起こった。その結果、トナー抜けが起こり、初期よりクリーニング不良が数カ所で確認された。
一方、フィラー量が50重量%のNo.18の感光体では、最小粒径が3.1μmのトナーを使用した場合に補強の無いブレードと、表面粗度が大きい事との相乗効果により、トナー抜けが連続的に起こった。また、添加量が多いために、解像性が甘く、ムラの多い、解像度の低い(5.6〜7.1本/mm)画像品質となった。
【0332】
【表9】
(注)○、△、×の判定:クリーニング性、画像品質、摩耗量から判定して、
○:問題なし、
△:問題性小(但し、5万枚以上で問題になる可能性がある)、
×:実用上問題有り
表中μは摩擦係数を表し、添え字の0、0.1K、50Kは評価時の通紙枚数0(初期)、100枚、5万枚を夫々示す。
【0333】
(実施例33、34)
評価用の感光体として、表1に記載のNo.6(実施例33)、No.8(実施例34)の感光体と電子写真複写機(イプシオカラー8000機 リコー製)を用意した。帯電には非接触帯電装置用の帯電部材2−2を使用し、帯電部材に印加する電圧条件は直流電圧−695V、交流電圧を1800V/1350Hzとした。
感光体に印加する現像装置位置での感光体の表面電位はいずれも−680Vになる様に直流電圧を微調整し、5万枚の通紙ランニングを行った。画像部電位は−80V、現像バイアスは−560Vに設定した。
【0334】
これらの感光体をJIS−A硬度77度のポリウレタンゴムで作製されたクリーニングブレード[タイプ2−2]を搭載し、感光体に対する当接圧が22g/cmになる様に、評価用の電子写真複写機の感光体ユニットにセットした。
【0335】
トナーには乳化重合法による平均円形度0.991、平均粒径5.1μm、最小粒径3.6μmのマゼンタトナー(M)、平均円形度0.993、平均粒径5.1μm、最小粒径4.7μmのシアントナー(C)、平均円形度0.991、平均粒径5.5μm、最小粒径4.2μmのイエロートナー(Y)、平均円形度0.993、平均粒径5.6μm、最小粒径4.5μmのブラックトナー(Bk)を使用し、キャリア(FPC−300LC)に対して5重量%を混合した。なお、トナー中に潤滑剤として0.3μm径のステアリン酸亜鉛粉末がトナーに対して0.03重量%添加されている。
【0336】
評価結果を表10に示す。
クリーニング部材はトナーのみならず、紙粉等をクリーニングブレードで問題なく阻止出来たため、感光体にはブレードによる摺擦傷が発生しただけで、深いスクラッチを生じる事は無かった。このため、画像品質良好で、解像度も縦、横とも8.0本/mmと良好であった。
【0337】
【表10】
(注)○、△、×の判定:クリーニング性、画像品質、摩耗量から判定して、
○:問題なし、
△:問題性小(但し、5万枚以上で問題になる可能性がある)、
×:実用上問題有り
表中μは摩擦係数を表し、添え字の0、0.1K、50Kは評価時の通紙枚数0(初期)、100枚、5万枚を夫々示す。
【0338】
【発明の効果】
請求項1に記載の構成によって、
画像形成装置内に搭載された感光体はコピーの度に表面粗度最大山高さRp、最大谷深さRvが大きくなる。クリーニング不良はRpとRvの和Ryが使用するトナーの最小粒径より大きくなった場合に起こり易く成る傾向があった。したがって、Ry>Dとし、且つ、クリーニングブレードをカウンター当接にする事により、効率的にトナー抜けを抑制することが可能である。また、クリーニングに使用されるブレードには、感光体と当接するエッジ部が、少なくともJIS−A硬度で75〜90度の硬度を持ち、形状がナイフエッジ状若しくは、補強板を持つ短冊状のゴム状弾性体を使用することによって、感光体と当接するエッジのねじれや歪みが起こりにくく成るため、感光体に残留するトナーをクリヤーに除去することが可能となる。このため、感光層表面にはブレードによる摺擦傷のみとなり、トナーフィルミングも生じにくい為、感光層の摩耗が抑制される。
そのことにより、画像品質の劣化が少なくなり、高解像度で、シャープ性良好な画像が維持可能である。
【0339】
2)請求項2の構成によって、
トナーの流入する上流側のブレードの片側全長さに亘って、低抵抗物質を塗工し、設置することにより、トナーの流入する側を電位的に0Vにする。この事によって、トナーが静電的にクリーニングブレード壁面に付着するのを少なくし、トナーのクリーニングブレードからの離れを起こしやすくなるため、クリーニング不良を防止する事が出来る。
【0340】
3)請求項3の構成によって、
現像剤中に投入するトナーの最小粒径を3μmとすることにより、Ryに起因して生じる、トナー抜け(クリーニング不)を抑止する事が可能となる。また、3μm以上のトナーを使用することによって、飛散に伴う健康被害を最小限に食い留められる。
【0341】
4)請求項4、5の構成によって、
球形トナーの平均円形度を0.940〜0.995のトナーを使用した場合にも画像パターンに忠実な現像が可能となるため、解像度、シャープ性が良好になり、また、2代目画像に品質劣化も抑制される。クリーニング性に関しては極めて良好な状態で維持することが出来、総体的に画像品質の大きな向上が可能である。
【0342】
5)請求項6の構成によって、
感光層の総膜厚tを10μm≦t≦30μmとすることにより、画像形成に必要な帯電々位が保証でき、また、解像度、シャープ性を良好に維持する事が可能である。また、フィラー分散電荷輸送層t2をt2≦8μmとする事によって、残留電位に伴う、画像劣化を抑制する事が可能である。
【0343】
6)請求項7の構成によって
電荷輸送層中にフィラーを分散して、フィラー分散電荷輸送層にする場合に、添加するフィラーの平均粒径を0.2μm〜0.7μmのアルミナを、フィラー分散電荷輸送層の10重量%〜40重量%にする事により、耐摩耗性を向上させると共に、ブレードの感光層への食い込みを抑制し、ブレードエッジ部が歪み、ねじれを起こしにくいようにする。また、クリーニングブレードと感光体間の摩擦抵抗の増大を抑えることによって、ブレードエッジの歪み、ねじれを少なくする。この事により、トナーのクリーニング不良を改善することが出来る。
【0344】
7)請求項8、9の構成によって、
トナーのクリーニング不良は、感光体とクリーニングブレードの摩擦抵抗が高くなると、クリーニングブレードエッジにねじれや歪みが起こし易くなり、感光体間に僅かな隙間が形成された事によってもおこる。この現象を改善するには、感光体の表面摩擦係数を下げる事によって効果的に行われる。低減化する手段としては、ポリテトラフルオロエチレンか、ステアリン酸亜鉛の微粒子を感光体に微量付与し、感光層が適度に摩耗する程度の0.3〜0.45の間に摩擦係数(オイラーベルト方式による)に維持する。低摩擦係数と、本発明のブレードとの併用により、トナーのクリーニング性が更に向上し、トナーのクリーニング不良が抑制され、安定したクリーニング性が維持可能である。
その結果、感光体の高耐久化が図られ、且つ、画像劣化のない高解像度の、シャープ性良好な作像性を維持することが出来る。また、摩擦係数を下げることによって感光体のブレード鳴きも抑制する事が出来る。
【0345】
8)請求項10の構成によって、
本発明の感光体、クリーニングブレードはタンデム方式のフルカラー画像形成装置にも適用でき、良好なトナークリーニング性が行われるため、明度の高いカラーが再現できる。
【0346】
9)請求項11の構成によって、
本発明の感光体、クリーニングブレードを使用した画像形成方法では、トナーの様な微粒子を殆どブレードの入口で堰き止め、帯電部材への流出が無いため、感光体表面はブレードによる摺擦傷のみに留まるため、フィルミングの発生も少なくなり、スクラッチのような深い傷の発生もない。したがって感光層表面は清浄な状態に維持されるため、コントラスト良好、高解像度均一作像性が得られ、また、感光体の長寿命化を図る事が出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】表面粗度Rp(最大山高さ)、Rv(最大谷深さ)、Ry(Rp+Rv)を説明する図である。
【図2】本発明に使用される複写プロセスを説明する画像形成装置の概略図である。図2は鋭角にシャープカットした形状の弾性体から成るクリーニングブレードを使用し、感光体内部には制振部材が内蔵された図を示す。
【図3】感光体表面にブラシを介し、潤滑剤を塗布する潤滑剤塗布装置を設置した複写プロセスを説明する画像形成装置の概略図である。
【図4】感光体を4本、マゼンタ、シアン、イエローおよびブラックの4色の現像装置を使用した4連タンデム方式のカラーレーザービームプリンターの概略図である。
【図5】プロセスユニットの一例を示す。図では感光体、帯電装置、クリーニング装置、転写装置が一体的に組み込まれた構成である。
【図6】本発明に使用する基本的な電子写真感光体の構成を説明する概略図である。下引き層(若しくは中間層)、電荷発生層、電荷輸送層(フィラー非分散電荷輸送層)の順に構成される。
【図7】本発明に使用する電子写真感光体の構成を説明する概略図である。下引き層(若しくは中間層)、電荷発生層、電荷輸送層の順に構成され、電荷輸送層は無機フィラーを分散していないフィラー非分散電荷輸送層と、無機フィラーを分散した無機フィラー分散電荷輸送層から構成される。
【図8】表面粗度を測定した一例を示す。フィラー分散電荷輸送層に0.3μmのアルミナフィラーを25重量%添加した感光体で、初期状態の表面粗度を示す。掃引幅は2.4mmである。
【図9】図8と同じ感光体を1万5千枚通紙ランニングを行った後の表面粗度を示す。掃引幅は2.4mmで、Rpが増加しているのが判る。
【図10】感光体のRyの大きさによって、ブレード下からトナーが抜け出る場合と、抜けでない場合の状態を説明した図である。
【図11】硬度の低い短冊状のクリーニングブレードを使用したときに、球形トナーが抜け出る状態を説明する図である。フィラー分散電荷輸送層の表面粗度の無機フィラー(αアルミナ)平均一次粒径依存性を示すグラフ例である。
【図12】ナイフエッジ状の形状を有するクリーニングブレード、金属板で補強した短冊状のクリーニングブレードの形状を説明する図である。
【図13】ナイフエッジ状の形状を有するクリーニングブレード、金属板で補強した短冊状のクリーニングブレードの形状を説明する図である。
【図14】ナイフエッジ状の形状を有するクリーニングブレード、金属板で補強した短冊状のクリーニングブレードの寸法、角度を示す図である。
【図15】ナイフエッジ状の形状を有するクリーニングブレード、金属板で補強した短冊状のクリーニングブレードの寸法、角度を示す図である。
【図16】クリーニングブレードの当接角度を示す説明図である。
【図17】クリーニングブレードの当接角度を示す説明図である。
【図18】金型成形で製造したクリーニングブレードの感光体との当接面のバリをカットする状況を説明する概略図である。
【図19】本発明のクリーニングブレード(ナイフエッジ状)によるトナークリーニングの状態を説明する模式図である。
【符号の説明】
1:電子写真用感光体(感光体)
2:帯電装置
3:画像露光装置
4:現像装置
5:転写装置
6:分離装置
7:クリーニング装置
7−1:クリーニングブレード
8:定着装置
9:コピー用紙
200:潤滑剤付与装置
201:潤滑剤
202:潤滑剤付与ブラシ
Claims (11)
- 電子写真感光体に帯電装置により電荷の付与を行い、光書き込みにより静電潜像を形成し、その静電潜像をトナーで顕像化し、トナーを被転写体に転写し、感光体をクリーニングブレードでクリーニングを行う間接電子写真方法を使用した画像形成装置において、
該電子写真感光体の表面粗度の最大谷深さをRv、最大山高さをRp、トナーの最小粒径をDとした時、最大谷深さRvと最大山高さRpとの和Ryと該トナーの最小粒径DとがRy<Dであり、
該クリーニングブレードは該電子写真感光体に対してカウンター方向に当接するように保持されており、かつ該クリーニングブレードは該電子写真感光体に当接するエッジ部がナイフ状、あるいは短冊状で長手方向一面に金属板で補強された、JIS−A硬度が75〜90度のゴム状弾性体からなることを特徴とする画像形成装置。 - クリーニングブレードは、その長手方向にトナーが流入する上流側の片面全長さに亘って低抵抗物質で導電性処理が施されており、またアースされていることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
- トナーの最小粒径Dが3μm以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
- トナーが球形トナーであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の画像形成装置。
- 球形トナーの平均円形度が0.940〜0.995であることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
- 電子写真感光体が導電性支持体より最も離れた位置に電荷輸送層が形成して成る有機感光体であり、該電荷輸送層はフィラーが添加されていない単層構成からなるか、若しくは電荷輸送層が2層間に明確な界面を有しないフィラー非分散電荷輸送層t1と、フィラー分散電荷輸送層t2の積層構成からなり、該電荷輸送層の膜厚をtとすると10μm≦t≦30μmであり、該フィラー非分散電荷輸送層t1の膜厚と該フィラー分散電荷輸送層t2の膜厚の関係がt1≧t2であり、かつ該フィラー分散電荷輸送層t2の膜厚がt2≦8μmであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の画像形成装置。
- フィラー分散電荷輸送層中に、平均粒径0.2μm〜0.7μmのアルミナが10〜40重量%分散されていることを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
- 電子写真感光体の表面にポリテトラフルオロエチレン、あるいはステアリン酸亜鉛のいずれか一種の潤滑剤を、感光体表層に塗布して電子写真感光体の表面摩擦係数を低減することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の画像形成装置。
- 電子写真感光体の表面摩擦係数が、オイラーベルト方式の測定法で0.3〜0.45であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の画像形成装置。
- 少なくとも、電子写真感光体を中心に、帯電装置、マゼンタ、若しくはシアン、若しくはイエロー、若しくはブラックのトナーから成る現像装置、画像露光装置、クリーニング装置を夫々4系統配置したタンデム方式のカラー方式であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の画像形成装置。
- 請求項1〜10に記載のクリーニングブレード、トナー、および電子写真感光体を使用した画像形成装置において画像形成が可能なことを特徴とする画像形成方法。
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