JP2004135935A - 口腔洗浄用ブラシ - Google Patents
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Abstract
【課題】吸引力に優れ、小型の吸引ポンプを用いても唾液や水分などを効果的に吸引排出することができ、ブラッシング時、唾液や水分などが口外に垂れたり、誤って肺や気管支に入るようなことのない口腔洗浄用ブラシを提供する。
【解決手段】ヘッド部植毛面2に複数の刷毛もしくは複数の刷毛束3を植設した口腔洗浄用ブラシにおいて、ヘッド部植毛面2の適宜位置に開口形状が円形または楕円形からなる少なくとも1個の吸水孔4を設け、該吸水孔4の周りの刷毛もしくは刷毛束3のうち、少なくとも該吸水孔4に近い最内側に並んだ刷毛もしくは刷毛束3については、吸水孔4を中心として吸水孔の開口形状と相似な円形または楕円形状に並ぶように、吸水孔4と同心かつ周方向略等間隔に植設した。
【選択図】 図1
【解決手段】ヘッド部植毛面2に複数の刷毛もしくは複数の刷毛束3を植設した口腔洗浄用ブラシにおいて、ヘッド部植毛面2の適宜位置に開口形状が円形または楕円形からなる少なくとも1個の吸水孔4を設け、該吸水孔4の周りの刷毛もしくは刷毛束3のうち、少なくとも該吸水孔4に近い最内側に並んだ刷毛もしくは刷毛束3については、吸水孔4を中心として吸水孔の開口形状と相似な円形または楕円形状に並ぶように、吸水孔4と同心かつ周方向略等間隔に植設した。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、口腔内を洗浄するブラシ、特に歯牙表面や歯肉溝、歯間部、あるいは粘膜に付着堆積する歯垢や食物残渣などの汚れを効率よく除去して清掃したり、磨いたりするための口腔洗浄用ブラシに関する。
【0002】
【従来の技術】
【0003】
口腔内疾患で問題視されているう蝕や歯周病を予防するために最も重要なことは、歯牙表面や歯肉溝、歯間部、あるいは粘膜に付着堆積する歯垢や食物残渣などの汚れを除去することであり、これらの清掃をする道具として代表的なものに歯ブラシがある。
【0004】
通常、歯ブラシは健常人にとってはそれほど取り扱いにくいものではなく、ブラッシングによる口腔内の清掃を自由に行うことができるが、身体の不自由な人、特に寝たきり状態の人にとっては自由に取り扱うことがむずかしく、ブラッシング時に口腔内に溜まる唾液を吐き出すことは容易なことではなかった。
【0005】
従来、このような身体の不自由な人、特に寝たきり状態の人の口腔内清掃を目的とした口腔洗浄用ブラシとしては、給水機構だけを備えたもの(例えば、特許文献1参照)、排水機構だけを備えたもの(例えば、特許文献2参照)、給水機構と排水機構の両方を備えたもの(例えば、特許文献3〜8参照)などが知られていた。
【0006】
これらの口腔洗浄用ブラシは、身体の不自由な人、特に寝たきり状態の人自身あるいは介助者が口腔内ケアを行うには大変便利であり、これらの中でも特に排水機構もしくは給排水機構を備えたものは、ブラッシング時に口腔内に溜まる唾液や水分を瞬時に吸引除去できるので、誤嚥のリスクを低減でき、極めて好ましいものである。
【0007】
一方、実際の使用に当たっては、給排水のためのポンプ、洗浄液タンク、排水液タンク、制御装置などの付属設備が必要不可欠であり、これらの設備や装置を身体の不自由な人、特に寝たきり状態の人のベッドサイドに置いて使用する場合、その大きさや重さの点において必ずしも満足のいくものではなかった。また、これらの設備や装置のために高価なものとなり、価格の面でも使用者に対する負担が大きかった。
【0008】
【特許文献1】
特開2001−112792号公報
【特許文献2】
登録実用新案第3007580号公報
【特許文献3】
特開平11−103937号公報
【特許文献4】
特開平10−113231号公報
【特許文献5】
特開平9−308641号公報
【特許文献6】
特開平8−112143号公報
【特許文献7】
実開昭62−150926号公報
【特許文献8】
実開昭59−137129号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
前述したように排水機構もしくは給排水機構を備えた口腔洗浄用ブラシは、ブラッシング時に口腔内に溜まる唾液や水分などを瞬時に吸引除去できるので、誤嚥の防止にとっては極めて重要な機能であるが、ブラシの植毛部に設けられた吸水孔から唾液や水分を効果的に吸引排出するには、吸引ポンプを強力なものにする必要がある。しかしながら、装置としての利便性や経済性から吸引ポンプを小型化すると、どうしても吸引力が低下するという問題があった。
【0010】
本発明は、上記問題を解決するためになされたもので、吸引力に優れ、小型の吸引ポンプを用いても唾液や水分などを効果的に吸引排出することができ、唾液や水分などが口外に垂れたり、誤って肺や気管支に入るようなことのない口腔洗浄用ブラシを提供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は、ヘッド部植毛面に複数の刷毛もしくは複数の刷毛束を植設した口腔洗浄用ブラシにおいて、ヘッド部植毛面の適宜位置に開口形状が円形または楕円形からなる少なくとも1個の吸水孔を設け、該吸水孔の周りの刷毛もしくは刷毛束のうち、少なくとも該吸水孔に近い最内側に並んだ刷毛もしくは刷毛束については、吸水孔を中心として吸水孔の開口形状と相似な円形または楕円形状に並ぶように、吸水孔と同心かつ周方向略等間隔に植設したものである。
【0012】
上記構成とした場合、少なくとも吸水孔から近い最内側の刷毛もしくは刷毛束は、吸水孔から等距離かつ周方向略等間隔に位置するので、これらいずれの刷毛もしくは刷毛束に対しても吸水孔からの吸引力は均等に作用する。このため、ブラッシング時、吸水孔の吸引力によって最内側の刷毛もしくは刷毛束の部分に集まってくる唾液や水分などをむらなく均等に、かつ効率よく、吸水孔内へ吸い込むことができる。また、吸引効率に優れるので、小型の吸引ポンプを用いることができ、装置全体の容積を小さくすることができるとともに、消費電力なども低減することができる。
【0013】
前記吸水孔の大きさは、直径(または長径)2〜4mm、好ましくは2.5〜3.5mmの円形もしくは楕円形とすることが望ましい。また、吸水孔は、ブラシの使用性、排水性の点からヘッド部植毛面のほぼ中央に設けるのがよい。
【0014】
吸水孔は、通常ブラシヘッド部、首部、柄部内を貫通する排水通路によって柄部基端側から外部へ引き出され、チューブなどを介して吸引用ポンプ(負圧源)に接続されるが、吸水孔をブラシヘッド部の背面まで貫通させ、ブラシヘッド部背面側から直接チューブなどで吸引ポンプに接続してもよい。
【0015】
なお、本発明は、吸水孔と刷毛もしくは刷毛束との配置関係を規定するものであるが、前記吸水孔に加え、洗浄用の水などを供給する給水孔を同時に付設してもよい。給水孔を付設する場合、特開平10−113231号公報に記載されているように、吸水孔よりも首部寄りに設けることが好ましい。
【0016】
刷毛もしくは刷毛束は、ヘッド部植毛面に垂直に植毛してもよいが、植毛穴を傾斜させることにより、吸水孔側に向けて傾斜させてもよい。この場合、植毛穴の傾斜角度はヘッド部植毛面に垂直な法線に対して2°〜4°の範囲が好ましい。
【0017】
また、吸水孔の開口外縁から、同心状に配置された最内側の刷毛もしくは刷毛束の植毛穴の穴縁までの距離は1〜2mm、より好ましくは1.3〜1.7mmがよい。植毛される刷毛束の断面形状、すなわち植毛穴の穴形状は円形でもよいが、楕円形、四角形、扇形、円弧形など、吸水孔から等距離かつ周方向略等間隔に配置できる形状であればよい。
【0018】
ヘッド部に植毛される刷毛の材質は特に限定はないが、例えばポリアミド(ナイロン6−10、ナイロン6−12など)やポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなど)が用いられる。
【0019】
刷毛の太さも特に限定はないが、通常4mil(0.1024mm)〜11mil(0.2794mm)のものが使用され、毛先の先端部は研磨により毛先丸め加工することが好ましい。また、毛切り形状も特に限定はないが、一般的な平切りのほか、山切りカットや船底カットなどが用いられる。
【0020】
ヘッド部植毛面への刷毛束の固定方法は、従来より歯ブラシの製造で多用されている金属片(平線)を用いた平線植毛法のほか、特許第2601452号、特表平9−512724号のように刷毛もしくは刷毛束の下端を加熱溶融して溶融塊を形成した後、溶融した樹脂を金型内に注入して歯ブラシを製造するインモールド法、特公平6−46962号のように刷毛束溶融部を溶融している歯ブラシヘッド部中へ圧入して固定する熱融着法などを利用することができる。
【0021】
ブラシヘッド部を構成する樹脂も特に限定はないが、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリメタクリル酸メチル、プロピオン酸セルロース、ポリウレタン、ポリアミド、ABSなどが用いられるが、コストの点でポリプロピレンがより好ましい。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1に、本発明に係る口腔洗浄用ブラシの第1の実施の形態を示す。
図において、1はブラシヘッド部、2は刷毛束3を植設したヘッド部植毛面である。ヘッド部植毛面2のほぼ中央位置には、開口形状が円形になる1個の吸水孔4が設けられており、該吸水孔4に近い最内側に並んだ刷毛束3については、吸水孔4を中心として吸水孔4の開口形状と相似な円形状に並ぶように、吸水孔4と同心かつ周方向略等間隔に植設されている。
【0023】
なお、図示は略したが、前記吸水孔4は、ヘッド部1、首部6、柄部(図示せず)内を貫通する排水通路5を通じて柄部基端から外部に導出され、チューブなどを介して吸引用ポンプ(負圧源)に接続されている。
【0024】
上記第1の実施の形態に係る口腔洗浄用ブラシの場合、吸水孔4に近い最内側の各刷毛束3は円形状になる吸水孔4から等距離かつ円周方向略等間隔に配置されているため、吸水孔4からの吸引力はこれら円形状に並ぶ各刷毛束3に対して均等に作用する。したがって、ブラッシング時、吸水孔4の吸引力によって最内側の刷毛束3の部分に集まってくる唾液や水分などをむらなく均等に、かつ効率よく、吸水孔4内へ吸い込むことができる。このため、ブラッシング時に唾液や水分などが口外に垂れたり、誤って肺や気管支に入るようなことがなくなる。
【0025】
また、吸引効率が良いので、吸引用ポンプとして容量の小さな小型のものを用いることができ、従来に比べて装置全体の容積を小さくすることができる。また、小型の吸引ポンプでよいので消費電力なども低減することができ、経済的である。
【0026】
なお、上記第1の実施の形態では、吸水孔4に近い最内側に位置する1列分の刷毛束3のみを同心円状に配置したが、それ以外の外側の刷毛束についても同心円状に配置してもよいものである。
【0027】
図2に、本発明に係る口腔洗浄用ブラシの第2の実施の形態を示す。
この第2の実施の形態は、前記第1の実施の形態と同様の構成において、吸水孔4に対して同心円状に並ぶ各刷毛束3の断面形状を扇形としたものである。なお、他の部分の構成ならびに作用効果は前記第1の実施の形態と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0028】
上記第1および第2の実施の形態は、いずれも、吸水孔4の開口形状として円形を採用したが、円形に代えて楕円形を採用してもよい。楕円形を採用した場合には、少なくとも吸水孔4に近い最内側に並んだ刷毛束3については、吸水孔4を中心として吸水孔4の開口形状と相似な楕円形状に並ぶように植設すればよい。
【0029】
(比較実験例)
本発明に係る口腔洗浄用ブラシの吸引能力を確認するため、図1に示した本発明の口腔洗浄用ブラシ(本発明品)と、図3に示した円形開口からなる吸水孔4とその周りに四角形に配置した刷毛束3を備えた口腔洗浄用ブラシ(対象品)とを用い、両者の吸水性能の比較実験を行った。その結果を表1に示す。なお、本発明品および対象品のいずれも、吸水孔4は直径3mmの円形であり、また、各毛束3は、直径1.5mmの円形植毛穴に5mil(0.127mm)のナイロン毛を1穴当たり82本ずつ植毛した。各刷毛束3の毛丈(植毛面から刷毛先端までの高さ)はいずれも7mmの平切りとした。
【0030】
表1に明らかなように、本発明品の場合、対象品に比べて吸引能力に優れ、容量の小さな小型の吸引ポンプでも確実かつ効率的に唾液や水分などを吸い込んで排出できることが確認された。
【0031】
【表1】
【0032】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、ヘッド部植毛面の適宜位置に開口形状が円形または楕円形からなる少なくとも1個の吸水孔を設け、該吸水孔の周りの刷毛もしくは刷毛束のうち、少なくとも該吸水孔に近い最内側に並んだ刷毛もしくは刷毛束については、吸水孔を中心として吸水孔の開口形状と相似な円形または楕円形状に並ぶように、吸水孔と同心かつ周方向略等間隔に植設したので、ブラッシング時、吸水孔の吸引力によって最内側の刷毛もしくは刷毛束の部分に集まってくる唾液や水分などをむらなく均等に、かつ効率よく、吸水孔内へ吸い込むことができ、唾液や水分などが口外に垂れたり、誤って肺や気管支に入るようなことがなくなる。
【0033】
また、従来の口腔洗浄用ブラシに比べて吸引力に優れ、小型の吸引ポンプを用いることができるので、装置全体の容積を小さくすることができるとともに、消費電力なども低減することができ、利便性および経済性に優れた口腔洗浄用ブラシを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る口腔洗浄用ブラシの第1の実施の形態を示すもので、(a)はブラシヘッド部の拡大側面図、(b)はその平面図である。
【図2】本発明に係る口腔洗浄用ブラシの第2の実施の形態を示すもので、(a)はブラシヘッド部の拡大側面図、(b)はその平面図である。
【図3】吸引性能の比較実験に用いた口腔洗浄用ブラシ(対象品)の形状を示すもので、(a)はブラシヘッド部の拡大側面図、(b)はその平面図である。
【符号の説明】
1 ブラシヘッド部
2 ヘッド部植毛面
3 刷毛束
4 吸水孔
5 排水通路
6 首部
【発明の属する技術分野】
本発明は、口腔内を洗浄するブラシ、特に歯牙表面や歯肉溝、歯間部、あるいは粘膜に付着堆積する歯垢や食物残渣などの汚れを効率よく除去して清掃したり、磨いたりするための口腔洗浄用ブラシに関する。
【0002】
【従来の技術】
【0003】
口腔内疾患で問題視されているう蝕や歯周病を予防するために最も重要なことは、歯牙表面や歯肉溝、歯間部、あるいは粘膜に付着堆積する歯垢や食物残渣などの汚れを除去することであり、これらの清掃をする道具として代表的なものに歯ブラシがある。
【0004】
通常、歯ブラシは健常人にとってはそれほど取り扱いにくいものではなく、ブラッシングによる口腔内の清掃を自由に行うことができるが、身体の不自由な人、特に寝たきり状態の人にとっては自由に取り扱うことがむずかしく、ブラッシング時に口腔内に溜まる唾液を吐き出すことは容易なことではなかった。
【0005】
従来、このような身体の不自由な人、特に寝たきり状態の人の口腔内清掃を目的とした口腔洗浄用ブラシとしては、給水機構だけを備えたもの(例えば、特許文献1参照)、排水機構だけを備えたもの(例えば、特許文献2参照)、給水機構と排水機構の両方を備えたもの(例えば、特許文献3〜8参照)などが知られていた。
【0006】
これらの口腔洗浄用ブラシは、身体の不自由な人、特に寝たきり状態の人自身あるいは介助者が口腔内ケアを行うには大変便利であり、これらの中でも特に排水機構もしくは給排水機構を備えたものは、ブラッシング時に口腔内に溜まる唾液や水分を瞬時に吸引除去できるので、誤嚥のリスクを低減でき、極めて好ましいものである。
【0007】
一方、実際の使用に当たっては、給排水のためのポンプ、洗浄液タンク、排水液タンク、制御装置などの付属設備が必要不可欠であり、これらの設備や装置を身体の不自由な人、特に寝たきり状態の人のベッドサイドに置いて使用する場合、その大きさや重さの点において必ずしも満足のいくものではなかった。また、これらの設備や装置のために高価なものとなり、価格の面でも使用者に対する負担が大きかった。
【0008】
【特許文献1】
特開2001−112792号公報
【特許文献2】
登録実用新案第3007580号公報
【特許文献3】
特開平11−103937号公報
【特許文献4】
特開平10−113231号公報
【特許文献5】
特開平9−308641号公報
【特許文献6】
特開平8−112143号公報
【特許文献7】
実開昭62−150926号公報
【特許文献8】
実開昭59−137129号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
前述したように排水機構もしくは給排水機構を備えた口腔洗浄用ブラシは、ブラッシング時に口腔内に溜まる唾液や水分などを瞬時に吸引除去できるので、誤嚥の防止にとっては極めて重要な機能であるが、ブラシの植毛部に設けられた吸水孔から唾液や水分を効果的に吸引排出するには、吸引ポンプを強力なものにする必要がある。しかしながら、装置としての利便性や経済性から吸引ポンプを小型化すると、どうしても吸引力が低下するという問題があった。
【0010】
本発明は、上記問題を解決するためになされたもので、吸引力に優れ、小型の吸引ポンプを用いても唾液や水分などを効果的に吸引排出することができ、唾液や水分などが口外に垂れたり、誤って肺や気管支に入るようなことのない口腔洗浄用ブラシを提供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は、ヘッド部植毛面に複数の刷毛もしくは複数の刷毛束を植設した口腔洗浄用ブラシにおいて、ヘッド部植毛面の適宜位置に開口形状が円形または楕円形からなる少なくとも1個の吸水孔を設け、該吸水孔の周りの刷毛もしくは刷毛束のうち、少なくとも該吸水孔に近い最内側に並んだ刷毛もしくは刷毛束については、吸水孔を中心として吸水孔の開口形状と相似な円形または楕円形状に並ぶように、吸水孔と同心かつ周方向略等間隔に植設したものである。
【0012】
上記構成とした場合、少なくとも吸水孔から近い最内側の刷毛もしくは刷毛束は、吸水孔から等距離かつ周方向略等間隔に位置するので、これらいずれの刷毛もしくは刷毛束に対しても吸水孔からの吸引力は均等に作用する。このため、ブラッシング時、吸水孔の吸引力によって最内側の刷毛もしくは刷毛束の部分に集まってくる唾液や水分などをむらなく均等に、かつ効率よく、吸水孔内へ吸い込むことができる。また、吸引効率に優れるので、小型の吸引ポンプを用いることができ、装置全体の容積を小さくすることができるとともに、消費電力なども低減することができる。
【0013】
前記吸水孔の大きさは、直径(または長径)2〜4mm、好ましくは2.5〜3.5mmの円形もしくは楕円形とすることが望ましい。また、吸水孔は、ブラシの使用性、排水性の点からヘッド部植毛面のほぼ中央に設けるのがよい。
【0014】
吸水孔は、通常ブラシヘッド部、首部、柄部内を貫通する排水通路によって柄部基端側から外部へ引き出され、チューブなどを介して吸引用ポンプ(負圧源)に接続されるが、吸水孔をブラシヘッド部の背面まで貫通させ、ブラシヘッド部背面側から直接チューブなどで吸引ポンプに接続してもよい。
【0015】
なお、本発明は、吸水孔と刷毛もしくは刷毛束との配置関係を規定するものであるが、前記吸水孔に加え、洗浄用の水などを供給する給水孔を同時に付設してもよい。給水孔を付設する場合、特開平10−113231号公報に記載されているように、吸水孔よりも首部寄りに設けることが好ましい。
【0016】
刷毛もしくは刷毛束は、ヘッド部植毛面に垂直に植毛してもよいが、植毛穴を傾斜させることにより、吸水孔側に向けて傾斜させてもよい。この場合、植毛穴の傾斜角度はヘッド部植毛面に垂直な法線に対して2°〜4°の範囲が好ましい。
【0017】
また、吸水孔の開口外縁から、同心状に配置された最内側の刷毛もしくは刷毛束の植毛穴の穴縁までの距離は1〜2mm、より好ましくは1.3〜1.7mmがよい。植毛される刷毛束の断面形状、すなわち植毛穴の穴形状は円形でもよいが、楕円形、四角形、扇形、円弧形など、吸水孔から等距離かつ周方向略等間隔に配置できる形状であればよい。
【0018】
ヘッド部に植毛される刷毛の材質は特に限定はないが、例えばポリアミド(ナイロン6−10、ナイロン6−12など)やポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなど)が用いられる。
【0019】
刷毛の太さも特に限定はないが、通常4mil(0.1024mm)〜11mil(0.2794mm)のものが使用され、毛先の先端部は研磨により毛先丸め加工することが好ましい。また、毛切り形状も特に限定はないが、一般的な平切りのほか、山切りカットや船底カットなどが用いられる。
【0020】
ヘッド部植毛面への刷毛束の固定方法は、従来より歯ブラシの製造で多用されている金属片(平線)を用いた平線植毛法のほか、特許第2601452号、特表平9−512724号のように刷毛もしくは刷毛束の下端を加熱溶融して溶融塊を形成した後、溶融した樹脂を金型内に注入して歯ブラシを製造するインモールド法、特公平6−46962号のように刷毛束溶融部を溶融している歯ブラシヘッド部中へ圧入して固定する熱融着法などを利用することができる。
【0021】
ブラシヘッド部を構成する樹脂も特に限定はないが、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリメタクリル酸メチル、プロピオン酸セルロース、ポリウレタン、ポリアミド、ABSなどが用いられるが、コストの点でポリプロピレンがより好ましい。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1に、本発明に係る口腔洗浄用ブラシの第1の実施の形態を示す。
図において、1はブラシヘッド部、2は刷毛束3を植設したヘッド部植毛面である。ヘッド部植毛面2のほぼ中央位置には、開口形状が円形になる1個の吸水孔4が設けられており、該吸水孔4に近い最内側に並んだ刷毛束3については、吸水孔4を中心として吸水孔4の開口形状と相似な円形状に並ぶように、吸水孔4と同心かつ周方向略等間隔に植設されている。
【0023】
なお、図示は略したが、前記吸水孔4は、ヘッド部1、首部6、柄部(図示せず)内を貫通する排水通路5を通じて柄部基端から外部に導出され、チューブなどを介して吸引用ポンプ(負圧源)に接続されている。
【0024】
上記第1の実施の形態に係る口腔洗浄用ブラシの場合、吸水孔4に近い最内側の各刷毛束3は円形状になる吸水孔4から等距離かつ円周方向略等間隔に配置されているため、吸水孔4からの吸引力はこれら円形状に並ぶ各刷毛束3に対して均等に作用する。したがって、ブラッシング時、吸水孔4の吸引力によって最内側の刷毛束3の部分に集まってくる唾液や水分などをむらなく均等に、かつ効率よく、吸水孔4内へ吸い込むことができる。このため、ブラッシング時に唾液や水分などが口外に垂れたり、誤って肺や気管支に入るようなことがなくなる。
【0025】
また、吸引効率が良いので、吸引用ポンプとして容量の小さな小型のものを用いることができ、従来に比べて装置全体の容積を小さくすることができる。また、小型の吸引ポンプでよいので消費電力なども低減することができ、経済的である。
【0026】
なお、上記第1の実施の形態では、吸水孔4に近い最内側に位置する1列分の刷毛束3のみを同心円状に配置したが、それ以外の外側の刷毛束についても同心円状に配置してもよいものである。
【0027】
図2に、本発明に係る口腔洗浄用ブラシの第2の実施の形態を示す。
この第2の実施の形態は、前記第1の実施の形態と同様の構成において、吸水孔4に対して同心円状に並ぶ各刷毛束3の断面形状を扇形としたものである。なお、他の部分の構成ならびに作用効果は前記第1の実施の形態と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0028】
上記第1および第2の実施の形態は、いずれも、吸水孔4の開口形状として円形を採用したが、円形に代えて楕円形を採用してもよい。楕円形を採用した場合には、少なくとも吸水孔4に近い最内側に並んだ刷毛束3については、吸水孔4を中心として吸水孔4の開口形状と相似な楕円形状に並ぶように植設すればよい。
【0029】
(比較実験例)
本発明に係る口腔洗浄用ブラシの吸引能力を確認するため、図1に示した本発明の口腔洗浄用ブラシ(本発明品)と、図3に示した円形開口からなる吸水孔4とその周りに四角形に配置した刷毛束3を備えた口腔洗浄用ブラシ(対象品)とを用い、両者の吸水性能の比較実験を行った。その結果を表1に示す。なお、本発明品および対象品のいずれも、吸水孔4は直径3mmの円形であり、また、各毛束3は、直径1.5mmの円形植毛穴に5mil(0.127mm)のナイロン毛を1穴当たり82本ずつ植毛した。各刷毛束3の毛丈(植毛面から刷毛先端までの高さ)はいずれも7mmの平切りとした。
【0030】
表1に明らかなように、本発明品の場合、対象品に比べて吸引能力に優れ、容量の小さな小型の吸引ポンプでも確実かつ効率的に唾液や水分などを吸い込んで排出できることが確認された。
【0031】
【表1】
【0032】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、ヘッド部植毛面の適宜位置に開口形状が円形または楕円形からなる少なくとも1個の吸水孔を設け、該吸水孔の周りの刷毛もしくは刷毛束のうち、少なくとも該吸水孔に近い最内側に並んだ刷毛もしくは刷毛束については、吸水孔を中心として吸水孔の開口形状と相似な円形または楕円形状に並ぶように、吸水孔と同心かつ周方向略等間隔に植設したので、ブラッシング時、吸水孔の吸引力によって最内側の刷毛もしくは刷毛束の部分に集まってくる唾液や水分などをむらなく均等に、かつ効率よく、吸水孔内へ吸い込むことができ、唾液や水分などが口外に垂れたり、誤って肺や気管支に入るようなことがなくなる。
【0033】
また、従来の口腔洗浄用ブラシに比べて吸引力に優れ、小型の吸引ポンプを用いることができるので、装置全体の容積を小さくすることができるとともに、消費電力なども低減することができ、利便性および経済性に優れた口腔洗浄用ブラシを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る口腔洗浄用ブラシの第1の実施の形態を示すもので、(a)はブラシヘッド部の拡大側面図、(b)はその平面図である。
【図2】本発明に係る口腔洗浄用ブラシの第2の実施の形態を示すもので、(a)はブラシヘッド部の拡大側面図、(b)はその平面図である。
【図3】吸引性能の比較実験に用いた口腔洗浄用ブラシ(対象品)の形状を示すもので、(a)はブラシヘッド部の拡大側面図、(b)はその平面図である。
【符号の説明】
1 ブラシヘッド部
2 ヘッド部植毛面
3 刷毛束
4 吸水孔
5 排水通路
6 首部
Claims (2)
- ヘッド部植毛面に複数の刷毛もしくは複数の刷毛束を植設した口腔洗浄用ブラシにおいて、ヘッド部植毛面の適宜位置に開口形状が円形または楕円形からなる少なくとも1個の吸水孔を設け、該吸水孔の周りの刷毛もしくは刷毛束のうち、少なくとも該吸水孔に近い最内側に並んだ刷毛もしくは刷毛束については、吸水孔を中心として吸水孔の開口形状と相似な円形または楕円形状に並ぶように、吸水孔と同心かつ周方向略等間隔に植設したことを特徴とする口腔洗浄用ブラシ。
- 前記吸水孔をヘッド部植毛面のほぼ中央に設けたことを特徴とする請求項1記載の口腔洗浄用ブラシ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002304492A JP2004135935A (ja) | 2002-10-18 | 2002-10-18 | 口腔洗浄用ブラシ |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2002304492A JP2004135935A (ja) | 2002-10-18 | 2002-10-18 | 口腔洗浄用ブラシ |
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Family
ID=32451897
Family Applications (1)
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---|---|---|---|
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Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2004135935A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009520563A (ja) * | 2005-12-22 | 2009-05-28 | ベスト フアスン カンパニー リミテッド | 針状毛及びその製造方法 |
WO2011084291A1 (en) * | 2009-12-21 | 2011-07-14 | 3M Innovative Properties Company | Suction oral brush |
CN103720520A (zh) * | 2014-01-28 | 2014-04-16 | 桂林电子科技大学 | 一种多功能洁牙方法与装置 |
RU198432U1 (ru) * | 2020-02-20 | 2020-07-08 | Общество с ограниченной ответственностью «ОландМед» | Насадка для отсасывания слюны |
JP2020195423A (ja) * | 2019-05-30 | 2020-12-10 | 暁美 徳永 | 口腔洗浄装置 |
-
2002
- 2002-10-18 JP JP2002304492A patent/JP2004135935A/ja active Pending
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