JP2004135663A - 遺伝子発現解析方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明は、三次元マイクロアレイの利用により、高速で且つ精度良く遺伝子発現解析を行う方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 本発明の遺伝子発現解析方法は、三次元的に液体を収容し得る微小な液体収容部を二次元的に複数配置してなるマイクロアレイを用いて、遺伝子の発現状態を解析する方法であって、RNAを鋳型として、標識された核酸を作製する工程と、標的遺伝子の一部と相補的に結合するDNAプローブを前記液体収容部に配置する工程と、標識された核酸を含む液体試料をマイクロアレイ内外で流動させて、標識された核酸と前記DNAプローブとの間でハイブリッドを形成させる条件下で、液体試料とDNAプローブとを接触させる工程と、ハイブリッドの結合強度の違いに基づいて変化するシグナル強度を、非特異的ハイブリッドの形成を解離させる条件下で、検出する工程と、を含む。
【選択図】   図2

Description

 本発明は遺伝子の発現を解析する方法に関し、より具体的には3次元マイクロアレイを用いて遺伝子発現解析を実施可能とする方法に関する。
 近年、複数の遺伝子の発現状態を同時に解析するために、マイクロアレイ(DNAチップ)と呼ばれる分子生物学的方法が開発された。マイクロアレイには、ガラス基板の表面に、多数のcDNAプローブを固定化したものや、半導体製造過程を応用して、シリコン上の微小な領域に多数のオリゴプローブを合成したもの等がある。マイクロアレイを用いて得られたデータから、多くの遺伝子を複数の機能別グループに分類(クラスタリング)することが可能となり、発生、分化、老化等のあらゆる生命現象に伴う遺伝子の変動に関する情報が蓄積されてきている。このようにして得られた遺伝子発現情報は、インターネットを通じて、容易にアクセスできるデータベースとしても利用されてきている。
 しかしながら、マイクロアレイを用いた遺伝子発現解析は一度に多数のターゲット遺伝子を解析できる反面、アッセイ時間が長く、また全体の実験操作工程が多く、且つ煩雑な操作が必要であった。そのため、再現性のよい解析結果が得られないという欠点があった。
 こうした欠点の解決策として、マイクロアレイの担体として微細加工フロースルー多孔質基板を用いた方法(例えば、特許文献1参照。)や、ハイブリダイゼーション反応を電気的な力によって強制的に行う方法(例えば、特許文献2参照。)が開発された。
 しかしながら、微細加工フロースルー多孔質基板を用いる方法においては、液体の移動と温度制御を行う反応部分と蛍光検出を行う測定部分とが別々で、複雑な装置構成を必要とすることから、実用性が非常に乏しかった。
 また、電気的な力によってハイブリダイゼーション反応を強制的に行わせる方法では、ハイブリダイゼーション反応を短時間で実行することができるものの、マイクロアレイ中の電圧を厳密に制御するための複雑な機構を設ける必要があった。そのために、マイクロアレイや装置が大型化し、製作コストの上昇に繋がり、やはり実用化するのは困難であった。
 更に、一方では、従来の二次元の基板表面へのプローブの固定化量に関して、各プローブスポットに無視できない程度のばらつきが存在していたため、特に定量的な分析にマイクロアレイを利用することは困難であるという問題を内包している。このような事情に鑑みて、多孔質構造を有する金属酸化物を反応担体として利用し、一方の面から他方の面へと試料溶液を駆動させることにより、試料溶液の拡散速度を高めて反応を高速化させ、ハイブリダイズを高速且つ精度よく行う方法が開示されている(例えば、特許文献3参照)。
特表平9−504864号公報 特表2001−501301号公報 特表2000−515251号公報
 しかしながら、従来の二次元の基板表面にプローブを固定していたものと、上記のごとく多孔質構造を有する三次元構造を有する反応担体にプローブを固定していたものとでは、そもそも標識された核酸とプローブとの間のハイブリダイズ反応の環境が大きく異なる。また、三次元構造を有する反応担体中に溶液を流動させながら検出を行うことから、反応条件の設定はより複雑になると考えられる。遺伝子発現解析を精度良く定量的に検出するためには、各種反応条件を詳細に検討する必要があるが、反応担体の構造の差異及び溶液を流動させることとあいまって、その条件設定については全くもって不明である。反応条件の設定についての具体的指針に関し、従来技術は何ら教示も示唆もしていない。
 また、三次元構造である多孔質構造を有する反応担体を利用したDNAマイクロアレイが開示されているが、これを利用して行うハイブリダイズ反応の条件については、わずかな例しか挙げられていない。核酸試料として挙げられている例としては、長さが145塩基のRNA遺伝子(HIV-1)のみであり、ハイブリダイゼーションもリン酸緩衝液中において室温で行われるに過ぎず、三次元構造である多孔質構造を有する反応担体を利用して遺伝子の一塩基の突然変異を解析する場合のみで、遺伝子発現解析用ハイブリダイゼーション反応条件が十分に開示されているとは言えない。
 このように、上記のいずれの方法においても、短時間で、且つ簡便に遺伝子発現状態を分析したいという要求に応えることはできなかった。
 従って、本発明は、三次元的に液体を収容し得る微小な液体収容部を二次元的に複数配置してなるマイクロアレイの利用により、高速で且つ精度良く遺伝子発現解析を行う方法を提供することを目的とする。より好ましくは、核酸とプローブとのハイブリッド形成を示すシグナル強度を上昇させる遺伝子発現解析方法を提供することも目的とする。
 本発明の遺伝子発現解析方法は、三次元的に液体を収容し得る微小な液体収容部を二次元的に複数配置してなるマイクロアレイを用いて、遺伝子の発現状態を解析する方法であって、RNAを鋳型として、標識された核酸を作製する工程と、標的遺伝子の一部と相補的に結合するDNAプローブを液体収容部に配置する工程と、標識された核酸を含む液体試料をマイクロアレイ内外で流動させて、標識された核酸と前記DNAプローブとの間でハイブリッドを形成させる条件下で、液体試料とDNAプローブとを接触させる工程と、ハイブリッドの結合強度の違いに基づいて変化するシグナル強度を、非特異的ハイブリッドの形成を解離させる条件下で、検出する工程と、を含むことを特徴とする。
 また、DNAプローブの塩基長が、30〜70merであることが好ましい。
 また、液体試料とDNAプローブとを接触させる前に、液体試料を60〜100℃で、2〜10分間加熱することが好ましい。
 また、標識された核酸とDNAプローブとのハイブリッド形成反応、及びシグナル強度を検出する際の温度条件が、35〜70℃であることが好ましい。
 また、標識された核酸とDNAプローブとのハイブリッド形成反応を、0.1〜6倍の塩濃度のSSPE溶液中で行うことが好ましい。
 また、標識された核酸とDNAプローブとのハイブリッド形成反応時の反応溶液のpHを6〜8に調整することが好ましい。
 また、液体試料とDNAプローブとを接触させる工程において、液体試料を間欠的に30〜200回流動させることが好ましい。
 また、液体試料とDNAプローブとを接触させる工程後に、0.1〜6倍の塩濃度のSSPE溶液をマイクロアレイ内外で流動させて、非特異的ハイブリッド及び未反応の液体試料を取り除くことが好ましい。
 また、非特異的ハイブリッド及び未反応の溶液を取り除くための洗浄溶液のpHが6〜8であることが好ましい。
 本発明の遺伝子発現解析方法によれば、三次元マイクロアレイを利用して高速で且つ精度良く遺伝子の発現状態を解析することができる。更に、作業性及び費用の観点から、本発明の遺伝子発現解析方法は実用性が高く、疾病の予知・診断、ウィルスのタイピング等、将来的に実用性が求められる遺伝子診断などにおいて、非常に有用であるといえる。
 本発明の遺伝子発現解析方法において使用されるマイクロアレイ(以下、三次元マイクロアレイという)としては、三次元的に液体を収容し得る微小な液体収容部を二次元的に複数配置してなるものであれば、特に制限はないが、液体収容部の材質の例として、例えば酸化アルミニウムが挙げられる。ここで、液体収容部は、DNAプローブを固定するための最小単位であり、プローブスポットとも呼ばれる。
 三次元マイクロアレイは、例えば、スライドグラス上にDNAプローブが固相化されたマイクロアレイ(以下、二次元マイクロアレイ)に比べて、多量のDNAプローブを固相化することができる。また、従来の二次元マイクロアレイでは、DNAプローブを定量的に固定することが困難なため、各DNAプローブの固相化量に、ばらつきが生じることが多かった。これに対し、三次元マイクロアレイは、定量的なDNAプローブの固定が可能なため、発現量の解析などの定量的な実験に好適である。
 本発明の遺伝子発現解析方法は、上記三次元マイクロアレイを用いて行われるものであって、以下の工程を含むことを特徴とする。即ち、RNAを鋳型として、標識された核酸を作製する工程(1)と、標的遺伝子の一部と相補的に結合するDNAプローブを液体収容部に配置する工程(2)と、標識された核酸を含む液体試料をマイクロアレイ内外で流動させて、標識された核酸とDNAプローブとの間でハイブリッドを形成させる条件下で、液体試料とDNAプローブとを接触させる工程(3)と、ハイブリッドの結合強度の違いに基づいて変化するシグナル強度を、非特異的ハイブリッドの形成を解離させる条件下で、検出する工程(4)である。
 なお、本明細書において、「核酸」とは、DNA及びRNAを示す。
 また、「ハイブリッド」とは、上記核酸の何れかの間に形成される二重鎖を意味する。
 また、「シグナル」とは、適当な手段により適宜検出・測定可能な信号であって、蛍光、放射能、化学発光等が含まれる。
 標識された核酸を作製する工程(1)では、組織や細胞などからRNAを抽出し、このRNAを鋳型として、cDNA、cRNAを合成する。なお、鋳型として使用するRNAとしては、mRNA、totalRNAの何れであってもよい。
 また、核酸を標識する方法としては、特に制限はなく、例えば、標識されたオリゴdTプライマや、標識されたdNTPミックスを用いて逆転写反応を実施するなどの公知の方法を採用すればよい。
 本発明では、このようにして合成される標識された核酸を、例えば、滅菌蒸留水などに溶解させて液体試料として用いる。また、後段で説明するが、DNAプローブとのハイブリッド形成を容易にする目的で、適宜、塩などを添加することができる。
 本発明において、DNAプローブを液体収容部に配置する工程(2)では、まず、DNAプローブを作製する。DNAプローブとしては、標的遺伝子の一部と相補的に結合するものであって、好ましくは、標的遺伝子に特異的に存在する塩基配列に対し、相補的な配列を有するものである。また、その塩基長としては、30〜70merであることが好ましく、より好ましくは40〜60merである。塩基長が30mer未満の場合、非特異的なハイブリッド形成が増加する傾向にあり、70merを超えると、DNAプローブの合成に要する時間、費用の観点から好ましくない。
 このようなDNAプローブを定量的に各液体収容部に配置・固相化することは、上述したように比較的容易なため、各液体収容部のDNAプローブ量にばらつきが少なく、再現性に優れた測定を実施することができる。
 次いで、液体試料とDNAプローブとを接触させる工程(3)は、液体試料をマイクロアレイ内外で流動させて、標識された核酸とDNAプローブとの間でハイブリッドを形成させる条件下で行う。
 このように、三次元マイクロアレイの内外に液体試料を流動させることによって、各液体収容部の空間に、容易に標識された核酸を含む液体試料を流動させることができるため、確実に核酸分子とDNAプローブ分子とが接触でき、ハイブリッド形成を短時間で行うことができる。
 以下、ハイブリッド形成させる好ましい条件について説明する。
 標識された核酸とDNAプローブとのハイブリッド形成反応を、0.1〜6倍の塩濃度のSSPE溶液中で行うことが好ましい。つまり、上記範囲の塩濃度となるように、SSPE溶液を液体試料に添加して、ハイブリダイゼーション反応を行う。SSPE溶液の塩濃度については、塩濃度が高いほうが、ハイブリッド形成が行われ易いためシグナル強度の増大に寄与するが、塩濃度が6倍を超えると、その増加率が減少する傾向にある。一方、塩濃度が低いほうがハイブリッド形成の特異性が上昇するが、塩濃度が0.1倍未満の場合、反応時間を長くする必要がある。
 また、後述する実施例に示すように、シグナル強度を最適化するために、上記の核酸とDNAプローブとのハイブリッド形成時の反応溶液のpHを6〜8に調整することが好ましい。反応溶液のpHがこの範囲を逸脱すると、シグナル強度が低下したり、基板の種類によっては、基板が変性したり、徐々に溶解して正確なシグナル強度を得ることが困難になったりするなどの問題が生じることがあるからである。
 上記の好ましい塩濃度及びpH範囲を満たすために、例えば、SSPE溶液(20倍)の組成として、3.0M 塩化ナトリウム、0.2M リン酸ナトリウム、0.02M EDTAに1M塩酸を添加して、pH6.6〜7.0に調整したものを、サンプル溶液の調製に使用できる。
 また、液体試料とDNAプローブとを接触させる工程において、液体試料を間欠的に30〜200回流動させることが好ましい。30回未満の場合、標識された核酸分子とDNAプローブ分子との接触頻度が不十分なため、ハイブリッド形成反応が十分に行われないことが多い。一方、200回を超えると、反応時間が長くなる割にハイブリッド形成の効率が低下する傾向にある。
 また、液体試料をDNAプローブに接触させる前に、予め、液体試料を60〜100℃で2〜10分間、より好ましくは70〜95℃で2〜5分間加熱することが好ましい。また、液体試料を加熱後、急冷を行うことが更に好ましい。このように、液体試料を処理することによって、その中に含まれる標識された核酸分子のもつれ(分子内結合及び/又は分子間結合)が解け、非特異的なハイブリッド形成が抑制される。
 さらに、ハイブリッド形成させる好ましい条件として、所定の温度範囲とすることが好ましいが、温度条件については後段で詳しく説明する。
 次いで、ハイブリッドの結合強度の違いに基づいて変化するシグナル強度を検出する工程(4)は、非特異的ハイブリッドの形成を解離させる条件下で行う。具体的には、液体試料とDNAプローブとを接触させる工程を終了した後に、0.1〜6倍の塩濃度のSSPE溶液をマイクロアレイ内外で流動させることにより洗浄を行う。この際に、SSPE溶液の塩濃度が0.1倍未満の場合、特異的ハイブリッド形成をも解離させる可能性があり、6倍を超えると、液体試料に含まれる未反応の標識された核酸と、DNAプローブとの間で、非特異的なハイブリッドを形成する可能性が高くなる。
 このように、ハイブリッド形成反応終了後に、0.1〜6倍の塩濃度のSSPE溶液をマイクロアレイ内外で流動させることによって、非特異的ハイブリッド及び未反応の液体試料を取り除き、より正確な測定を実施することができる。
 さらに、前述した核酸とDNAプローブとのハイブリッド形成時において、反応溶液のpHを6〜8に調整した場合は、ハイブリッド反応終了後に洗浄液として用いるSSPE溶液のpHも6〜8に調整することで、シグナル強度を上昇させることができるため好ましい。
 また、ハイブリッド形成反応、及びシグナル強度を検出する際の温度条件が、35℃〜70℃であることが好ましく、より好ましくは45〜55℃である。ハイブリッド形成反応の観点から言えば、反応温度が35℃未満の場合、非特異的なハイブリッド形成が増加する傾向にある。また、反応温度を高く設定したほうが、ハイブリダイゼーション反応の特異性が増すため好ましいが、高く成りすぎると、ハイブリッド形成に要する時間が長くなる、若しくは、特異的なハイブリッド形成までもが阻害されてしまう可能性がある。
 また、シグナル強度の検出の観点から言えば、35℃未満の場合、非特異的ハイブリッド形成を解離させることが困難となる。また、70℃を超えると、非特異的ハイブリッド形成だけではなく、特異的なハイブリッド形成までも解離させてしまう可能性があり、全体的にハイブリダイゼーション強度が低下する傾向にある。すると、全体的なシグナル強度が弱くなるため、シグナルの検出が困難となってしまう。ここで、シグナルとは、DNAプローブ分子にハイブリダイズしている核酸分子に付加している、蛍光、放射能、化学発光などであり、これらの中でも、費用と取り扱いの良さから蛍光が好ましい。
 以上説明したように、これらの事情を考慮した結果、温度条件を上記のように設定することによって、短時間で、より正確な測定を実施することができる。
 本発明の遺伝子発現解析方法は、例えば、図1に示すような蛍光強度を測定する装置を使用して行うことができる。この装置1はサンプルを反応させるためのマイクロアレイ2における事象を観察するための顕微鏡3と、マイクロアレイ2を支持するために前記顕微鏡3に具備されるステージ4と、前記顕微鏡3により観察されたマイクロアレイ2における蛍光画像を撮像するためのCCD(charge coupled device)カメラ5と、前記顕微鏡3により観察される視野を変更するために前記ステージ4に接続されるモータドライバ6を制御するXYステージコントローラ7と、前記マイクロアレイ2に接続されたジョイント部を介して流体を輸送するポンプドライバ8と、前記マイクロアレイ2に接触して配置されるヒーター部を介して該マイクロアレイ2の温度を調節する温度コントローラ9と、更に、前記遺伝子検査装置1に含まれる全てのデバイスに接続され且つそれらを総括して制御するコンピュータ10、入力デバイス15、モニター16とを具備する。
 図には示していないが、ここで前記ジョイント部は、マイクロアレイ2に含まれる液体を外部に漏出しないような様式で、マイクロアレイ2に接続される。更に該ジョイント部の他端はチューブを介して、ポンプドライバ8に接続され、更にポンプドライバ8は、その内部に所望の試薬等を含む試薬保持部に接続される。前記ポンプドライバ8は解析プログラムに従ってコンピュータ10の指示により、前記マイクロアレイ2に対する流体の出し入れを実行する。
 同様に、図には示していないが、前記ヒーター部は、マイクロアレイ2とステージ4の間に配置される。また、前記ヒーター部は、温度コントローラ9に接続されてコンピュータ10の指示に従って温度コントロール9によって温度が調節される。
 前記コンピュータ10は、一般的なコンピュータに具備される構成要素を含む。
 また、CCDカメラ5により撮像された情報は、画像処理部に送られ、メモリに記憶される解析プログラムに従いCPUの指示に従って画像処理部で処理されて蛍光強度として数値化される。
 本発明で使用できる顕微鏡は、一般的に使用される蛍光顕微鏡であり、具体的にはオリンパス社蛍光顕微鏡AX-70またはBX-52TRF等である。
 本発明で使用できるCCDカメラは一般的に使用されるCCDカメラであり一般的なデジタルカメラ、例えば、コダック社のMegaPlus CCDカメラ、ローパー社のCool Snap cf monoカメラ等を使用することができる。
 また、ここで該マイクロアレイ2の温度を調節するための温度調節部は、該マイクロアレイ2に接触して熱を伝えるための加熱体(例えば、電熱ヒーター、電磁ヒーター、ウォーターバス、エアーバスおよびペルチエ素子等)、そこにおける温度を感知するセンサ、およびコンピュータの制御と前記センサからの情報に従って加熱体における加熱を制御する温度コントローラを含んでいる。
 またステージ4は、XYステージコントローラ7によるか、またはCCDカメラ5自身によって、或いはCCDカメラ5とマイクロアレイ2を繋ぐ光路を変更させるような種々のスキャニング機構を用いて、視野の変更が行われる。
 このような装置1によれば、ハイブリダイゼーション反応、シグナル強度の検出、及びその解析を連続的に実施することができるため、作業性に非常に優れているといえる。また、ハイブリダイゼーション反応、シグナル強度の検出、及びその解析からなる一連の操作を約60〜120分間で実施することができる。
 以上説明したように、本発明の遺伝子発現解析方法によれば、短時間で且つ信頼性に優れた測定を実施することができる。従って、生化学的な学術的用途は勿論のこと、疾病の予知・診断、ウィルスのタイピング等、将来的に実用性が求められる遺伝子診断などにおいて、非常に有用であるといえる。
 〈液体試料の調製〉
 正常ヒト繊維芽細胞株 TIG−1(以下、TIG−1と略す)由来のtotal RNAと、ヒト大腸癌細胞株 COLO320DM(以下、COLO320DMと略す)由来のtotal RNAを各25μg用意し、これらを鋳型としてoligo dT primerを用いて逆転写法によって、FITC標識1本鎖cDNAを作製した。このFITC標識されたcDNAを滅菌蒸留水35μlに溶解させ、95℃で5分間加熱して変性させ、その後、氷水中で急冷した。このcDNA溶液に、20×SSPE溶液を15μl加えて(最終塩濃度6×SSPE溶液)、液体試料とした。
 〈DNAプローブの設計・固相化〉
 ヒトゲノム中に存在しない遺伝子1個(ネガティブコントロール;NC)、COLO320DMにおいて特異的に発現が上昇すると予測される遺伝子1個(c−myc)、代表的なハウスキーピング遺伝子1個(β−actin)、両細胞間で発現量の変動がないと予測される遺伝子1個(GAPDH:インターナルコントロール;IC)を選択し、それぞれのcDNA配列に特異的な塩基配列に基づいて、60merのDNAプローブを設計した。そして、これら4種類のDNAプローブを各々2スポットずつ固相化した三次元マイクロアレイを作製した。
 各液体試料を上記3次元マイクロアレイにて150回液体駆動させ、ハイブリッド形成を行った。なお、このときの反応温度を50℃に設定した。反応終了後、6×SSPE溶液50μlを3回更新させながら、各々1回ずつ液体駆動させて洗浄を実施した。洗浄終了後、蛍光顕微鏡に搭載したCCDカメラを用い、WIBAフィルターカセット(オリンパス光学工業(株)社製)を使用して蛍光画像を取得した。TIG−1由来の液体試料を用いたハイブリダイゼーション結果を図2(B)、COLO320DM由来の液体試料を用いたハイブリダイゼーション結果を図2(C)に示す。なお、図2(A)は、各DNAプローブの配置位置を示す。
 図2(B)及び図2(C)の結果から、NC(ネガティブコントロール)では共に蛍光が認められないことから、ハイブリダイゼーション反応が特異的に進行したことが示された。また、c−mycとβ−actinのスポットについて観察してみると、TIG−1に比べて、COLO320DMのほうが確かに蛍光強度が強くなっていることが認められた。
 また、各遺伝子についてスポット輝度の平均値を算出した。これを図3に示す。GAPDH(IC)の輝度を1:1に補正し、各遺伝子の発現量の比を比較したところ、COLO320DMでは、c−mycが5.5倍、β−actinが1.4倍の上昇が認められた。
 更に、三次元マイクロアレイにおける遺伝子発現解析結果を別の角度から検証するために、TIG−1由来のtotal RNAと、COLO320DM由来のtotal RNAを鋳型として合成したcDNAを用いて、それぞれkinetic RT-PCRを実施した。このときの条件としては、はじめに94℃で5分間熱変性させた後、94℃で30秒間の熱変性と、63℃で30秒間のアニーリングと、72℃で30秒間の伸長反応とからなるサイクルとなるように設定した。
 各遺伝子について、マイクロアレイに固相化したDNAプローブを含む約200bpのPCR産物が得られるようにPCRを行い、15、18、21、25サイクル目のPCR産物についてアガロース電気泳動を実施した。TIG−1由来のtotal RNAを鋳型として得られたPCR産物のアガロース電気泳動像を模式的に表したものを図4(A)、COLO320DM由来のtotal RNAを鋳型として得られたPCR産物のアガロース電気泳動像を模式的に表したものを図4(B)に示す。
 バンドの出現サイクル数から見積もられる遺伝子発現量は、表1に示すように、c−mycで10倍、β−actinで2倍となり、これらの遺伝子発現量の強弱パターンは、三次元マイクロアレイにおける結果とよい相関が得られた。
Figure 2004135663
 以上の結果から、本発明の遺伝子発現解析方法は、特異性の高いハイブリダイゼーション反応を感度良く測定することができることが判明した。
 更に、図2(B)、図2(C)では、各遺伝子について2スポットずつにDNAプローブを配置したが、2スポットの蛍光強度にほとんど差異が認められないことから、再現性に優れていることが判明した。
 〈液体試料の調製〉
 正常ヒト繊維芽細胞株 TIG−1(以下、TIG−1と略す)由来のtotal RNAを各25μg3セット用意し、これらを鋳型としてoligo dT primerを用いて逆転写法によって、FITC標識1本鎖cDNAを作製した。このFITC標識されたcDNAを滅菌蒸留水37.5μlに溶解させ、95℃で5分間加熱して変性させ、その後、氷水中で急冷した。このFITC標識されたcDNA溶液に、pHを(1)6.6、(2)7.0、(3)7.4(未調整)に調整した20×SSPE溶液を12.5μl加えて液体試料(最終塩濃度5×SSPE溶液)とした。各液体試料のpHは、(1)7.0、(2)7.4、(3)7.8(未調整)程度であった。
 <DNAプローブの設計・固相化>
 TIG−1由来のcDNAのうち、β―actin及びGAPDH遺伝子に特異的な塩基配列に基づいて、60merのDNAプローブをアルミニウム陽極酸化膜の基板に1スポットずつ固相化した三次元マイクロアレイを使用した。
 各液体試料を上記三次元マイクロアレイにて150回液体駆動させ、ハイブリッド形成を行った。なお、このときの反応温度を50℃に設定した。反応終了後、各上記の20×SSPE溶液と同じpH(1)6.6、(2)7.0、(3)7.4(未調整)の5×SSPE溶液を作製し、各pHの5×SSPE溶液を50μlずつ用いて3回更新させながら、各々1回ずつ液体駆動させて洗浄を実施した。洗浄終了後、5×SSPE溶液の量を30μlにし、蛍光顕微鏡に搭載した CCDカメラを用い、WIBAフィルターカセット(オリンパス光学工業(株)社製)を使用して蛍光画像を取得した。この蛍光画像に基づいてスポット輝度を計測した結果を表2に示す。
Figure 2004135663
 また、pH(4)5.2と(5)8.1の20×SSPE溶液を使用して液体試料を調製した。なお、液体試料のpHは(4)5.6と(5)8.4であった。これらの液体試料を用いて、それ以外の条件は上述した方法と同様にして、ハイブリダイゼーションを行ったところ、どちらの条件でも液体駆動を繰り返すと、基板が変性する場合があり正確な測定ができなかった。
 表2に示すように、サンプル溶液のpHを6〜8の範囲内に調整した場合、基板が変性することなく、正確なシグナルを得ることができた。さらに、液体試料のpHを6.8〜7.4に調整すると、最適なシグナル強度が得られた。したがって、このpH範囲内で核酸とDNAプローブとのハイブリッド形成反応及び洗浄を行うことによって、より高精度の遺伝子発現解析結果を得ることができることが判明した。
本発明の遺伝子発現解析方法を実施するための装置を示す概略図である。 図2(A)は各DNAプローブの配置を示すものであり、図2(B)はTIG−1由来の液体試料を用いた場合のハイブリダイゼーション結果(蛍光画像)の模式図、図2(C)はCOLO320DM由来の液体試料を用いた場合のハイブリダイゼーション結果(蛍光画像)の模式図である。 スポット輝度の平均値を示す棒グラフである。 図4(A)は、TIG−1由来のtotal RNAを鋳型として合成したcDNAを用いて、kinetic RT-PCRを行った際の15、18、21、25サイクル目のPCR産物量を示す電気泳動像の模式図、図4(B)は、COLO320DM由来のtotal RNAを鋳型として合成したcDNAを用いて、kinetic RT-PCRを行った際の15、18、21、25サイクル目のPCR産物量を示す電気泳動像の模式図である。
符号の説明
  1・・・装置
  2・・・マイクロアレイ
  3・・・顕微鏡
  4・・・ステージ
  5・・・CCDカメラ
  9・・・温度コントローラ
  10・・・コンピュータ

Claims (9)

  1.  三次元的に液体を収容し得る微小な液体収容部を二次元的に複数配置してなるマイクロアレイを用いて、遺伝子の発現状態を解析する方法であって、
     RNAを鋳型として、標識された核酸を作製する工程と、
     標的遺伝子の一部と相補的に結合するDNAプローブを前記液体収容部に配置する工程と、
     標識された核酸を含む液体試料をマイクロアレイ内外で流動させて、標識された核酸と前記DNAプローブとの間でハイブリッドを形成させる条件下で、液体試料とDNAプローブとを接触させる工程と、
     ハイブリッドの結合強度の違いに基づいて変化するシグナル強度を、非特異的ハイブリッドの形成を解離させる条件下で、検出する工程と、を含むことを特徴とする遺伝子発現解析方法。
  2.  前記DNAプローブの塩基長が、30〜70merであることを特徴とする請求項1記載の遺伝子発現解析方法。
  3.  前記液体試料とDNAプローブとを接触させる前に、液体試料を60〜100℃で、2〜10分間加熱することを特徴とする請求項1又は2記載の遺伝子発現解析方法。
  4.  前記標識された核酸とDNAプローブとのハイブリッド形成反応、及びシグナル強度を検出する際の温度条件が、35〜70℃であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の遺伝子発現解析方法。
  5.  前記標識された核酸とDNAプローブとのハイブリッド形成反応を、0.1〜6倍の塩濃度のSSPE溶液中で行うことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の遺伝子発現解析方法。
  6.  前記標識された核酸とDNAプローブとのハイブリッド形成反応時の反応溶液のpHを6〜8に調整することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の遺伝子発現解析方法。
  7.  前記液体試料とDNAプローブとを接触させる工程において、液体試料を間欠的に30〜200回流動させることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の遺伝子発現解析方法。
  8.  前記液体試料とDNAプローブとを接触させる工程後に、0.1〜6倍の塩濃度のSSPE溶液をマイクロアレイ内外で流動させて、非特異的ハイブリッド及び未反応の液体試料を取り除くことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の遺伝子発現解析方法。
  9.  前記非特異的ハイブリッド及び未反応の溶液を取り除くための洗浄溶液のpHが6〜8であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の遺伝子発現解析方法。
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