JP2004135252A - 符号化処理方法、符号化装置及び復号化装置 - Google Patents
符号化処理方法、符号化装置及び復号化装置 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】符号化効率を低下させることなく、符号化処理における処理負荷を低減する。
【解決手段】本発明は、MBタイプの種類ごとにそれぞれ割り当てられたコード番号の割り当てを、量子化パラメータ値QPに応じて適応的に切り換えるようにしたことにより、2値化テーブルを用いることなく2値化することができると共に、8画素MBタイプの発生頻度の増減にかかわらず、符号化効率を低下させるこなく符号化処理の処理負荷を低減することができる。
【選択図】 図3
【解決手段】本発明は、MBタイプの種類ごとにそれぞれ割り当てられたコード番号の割り当てを、量子化パラメータ値QPに応じて適応的に切り換えるようにしたことにより、2値化テーブルを用いることなく2値化することができると共に、8画素MBタイプの発生頻度の増減にかかわらず、符号化効率を低下させるこなく符号化処理の処理負荷を低減することができる。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は符号化処理方法、符号化装置及び復号化装置に関し、例えば衛星放送やインターネット等のネットワークを介して画像圧縮情報を送受信する送受信システムに適用して好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、送受信システムは、符号化装置では、例えば動画像信号をディジタル化することにより得られる動画像データに対して、所定の画像符号化方式に準拠した符号化処理を施すことにより画像圧縮情報を生成し、これをネットワークを介して画像復号化装置に送信する。
【0003】
一方、復号化装置では、符号化装置から送信された画像圧縮情報を受信し、その画像圧縮情報に対して、当該符号化装置と同一の画像符号化方式に準拠した復号化処理を施すことにより動画像データを復元するようになされている。
【0004】
かかる画像符号化方式としては、ISO/IECの符号化専門家グループ(MPEG)により汎用画像の符号化を目的として標準化されたMPEGと呼ばれる画像符号化方式と、ITU団体によりテレビ会議用画像の符号化を目的として標準化されたH.26と呼ばれる画像符号化方式とが知られている。
【0005】
また近年における携帯電話機等の携帯端末装置の普及により、一段と高い符号化効率を実現するための画像符号化方式の必要性が示唆されており、これに対応すべく現在では、MPEGとITU団体とによって、JVT(Joint Model of Enhanced−Compression Video Coding)と呼ばれる画像符号化方式(以下、これをJVT符号化方式と呼ぶ)の標準化が進められている。
【0006】
このJVT符号化方式においては、縦横16×16画素の画素ブロックであるマクロブロックについて、図14に示すように、縦横16×16画素でなる1組の区割領域AR1、縦横8×16画素に区割りされた2組の区割領域AR2及びAR3、縦横16×8画素に区割りされた2組の区割領域AR4及びAR5、縦横8×8画素に区割りされた4組の区割領域AR6、AR7、AR8及びAR9でなる4種類の区割パターンTP1〜TP4のいずれかを指定することが可能である。
【0007】
またマクロブロックについて4組の区割領域AR6、AR7、AR8及びAR9でなる区割パターンを指定した際には、当該4組の区割領域AR6、AR7、AR8及びAR9それぞれについて縦横8×8画素でなる1組の区割領域AR10、縦横4×8画素に区割りされた2組の区割領域AR11及びAR12、縦横8×4画素に区割りされた2組の区割領域AR13及びAR14、縦横4×4画素に区割りされた4組の区割領域AR15、AR16、AR17及びAR18でなる4種類のサブ区割パターンTP5〜TP8のいずれかを指定するようになされている。
【0008】
この場合、JVT符号化方式においては、1つのマクロブロックについて、区割パターンTP1〜TP3のいずれかを指定するか、あるいは8画素MBタイプとサブ区割パターンTP5〜TP8のいずれかとの組み合わせを指定することにより得られる区割領域AR1〜AR18ごとに、それぞれ独立して動きベクトルを持つことができる。
【0009】
これに伴ってJVT符号化方式においては、かかる区割領域AR1〜AR9と、当該区割領域AR1〜AR9に対する予測モードとの組み合わせを表すマクロブロックタイプ(以下、これをMBタイプと呼ぶ)の種類に応じて、それぞれ異なるバイナリ列を対応付けた2値化テーブルがピクチャタイプごとに詳細に規定されている。
【0010】
また区割領域AR10〜AR18と、当該区割領域AR10〜AR18に対する予測モードとの組み合わせを表すサブマクロブロックタイプ(以下、これをサブMBタイプと呼ぶ)の種類に応じて、それぞれ異なるバイナリ列を対応付けた2値化テーブルもピクチャタイプごとに詳細に規定されている。
【0011】
ここで、Pピクチャ、SPピクチャ及びBピクチャにおけるMBタイプの2値化テーブルを表1に示すと共に、サブMBタイプの2値化テーブルを表2に示す。
【0012】
【表1】
【0013】
【表2】
【0014】
表1のMBタイプ項目(Value of mb_type)及び表2のサブMBタイプ項目(Value of sub_mb_type)において、「0」、「1」……はコード番号を表し、当該コード番号に続くかっこ内は、予測モードの態様と区割領域AR1、AR2、……、又はAR18のサイズとを表している。
【0015】
実際上、符号化装置では、JVT符号化方式に規定される符号化処理手法として例えばCABAC(Context−based Variable Length Coding)と呼ばれる2値適応算術手法に従い、任意のマクロブロックについて動き予測補償処理が行われた結果得られるMBタイプ情報がPピクチャ、SPピクチャ及びBピクチャである場合、まずは表1におけるMBタイプの2値化テーブルを参照し、当該MBタイプに該当するコード番号に対応するバイナリ列に従って2値化する。
【0016】
そして符号化装置は、表1においてMBタイプに該当するコード番号が「4」又は「22」である場合、すなわち8画素MBタイプであった場合には、さらに表2におけるサブMBタイプの2値化テーブルを参照し、当該サブMBタイプに該当するコード番号に対応するバイナリ列に従って2値化した後、出現確率を用いた算術符号化処理を行うことにより符号化データを生成するようになされている(例えば非特許文献1参照)。
【0017】
【非特許文献1】
DRAFT ISO/IEC 14496−10:2002(E)
【0018】
ここで、かかる非特許文献1におけるJVT符号化方式の2値化に関する部分の日本語訳を記載する。
【0019】
JVT符号化方式に定められているCABACの符号化方式について説明する。画像圧縮情報における任意のシンタスク要素に関して、まず、過去の履歴に応じて、シンボルに対する適切なモデルが選択される。隣接するシンボルの状態に応じたモデル化をコンテキストモデル化と呼ぶ。
【0020】
次に、シンボルが2値化されていないものに関しては、2値化が行われる。2値化されたシンボルは、確率推計を用いた適応算術符号化が施される。符号化処理が行われた後、関連するモデルの更新が行われるため、それぞれのモデルは実際の画像圧縮情報の統計に応じた符号化処理を行うことが可能なのである。
【0021】
以下では、JVT符号化方式において規定されている2値化処理(binarization)について述べる。
【0022】
unary codeによるbinarizationの最初の5symbolに対する表を表3に示す。
【0023】
【表3】
【0024】
Code symbol Cに対しては、C個‘1’の最後に‘0’を付けたbinary列が対応する。binの最初のbitにはbin number=1が対応し、2番目のbitにはbin number=2、と、最後のbitに行くに従って対応するbin numberは増えていく。
【0025】
Truncated unary(TU)binarizationは有限個のシンボル〔0,……,Cmax〕に対して適用される。SymbolC<Cmax;に対しては表3で規定されたunary binarizationを行い、シンボルCmaxにはCmax個の1を割り当てる。Bin numberの割り振り方はunary binarizationの場合と同じである。
【0026】
Concatenated unary/kth−order Exp−Golomb(UEGk)binarizationは、Cmax=Ucoff(Ucoff.Cut off parameter)としたtruncated unary binarization code(prefix code)とk次のExp−Golomb符号(suffix code)とが連接されたものが変換後のbinary列となる。SymbolCがC<Ucoffの場合suffix codeは無く、C≧Ucoffの場合suffix codeはSymbolC−Ucoffに対するExp−Golomb符号となる。
【0027】
SymbolSに対するk次のExp−Golomb codeは表4のように構成される:
【0028】
【表4】
【0029】
Bin numberは、unary codeの第1ビット目をbin_num=1として、Exp−Golomb符号のLSBに向かって1ずつ増えていく。
【0030】
有限個のシンボル〔0,……,Cmax〕に対し、L−bit(L=log2|Cmax|+1)のbinarizationを適用する。Bin numberはLSBをbin_num=1とし、MSBに向かって増えていく。
【0031】
次に、上記の方法により2値化が行われるbinに対するコンテキストモデルについて述べる。
【0032】
一般的なcontext variableの設定方法を説明するためにFigure9−2を用いる。ブロックCに対して隣接する左ブロックと上ブロックにおける同一シンタクス要素のsymbolまたはbinがA,Bとして図示されている。
【0033】
コンテキストを決める式の第一番目は以下の通りとなる。
【0034】
【数1】
【0035】
この他に、3つのテンプレートが以下のように定義される。
【0036】
【数2】
【0037】
表5において2つの隣接シンボルからのコンテキスト変数の求め方を示す。
【0038】
【表5】
【0039】
ctx_cbp4は表7に示される6つのblock type(Luma−DC,Luma−AC,Chroma−U−DC,Chroma−V−DC,Chroma−U−AC,Chroma−V−AC)によって決定される。
【0040】
ctx−abs−mvd−h[1]及びctx−abs−mvd−v[1]の定義は以下の式により与えられる。
【0041】
【数3】
【0042】
compは水平成分(h)又は垂直成分(v)を意味する。隣接ブロックは異なるマクロブロック分割に属する可能性がある為、以下のような隣接ブロックを特定する為の方法が規定されている。最初に4x4blockの動きベクトルはoversampleされている、つまり、対応するブロックがより粗く分割されていた場合、quadtreeにおける親ブロックの動きベクトルを継承しているとみなす。逆に、block Cが隣接blockより粗く分割されていた場合、隣接blockの左上のsub−blockの動きベクトルを対応動きベクトルとする。これらの処理によっり隣接blockにおける対応する値を求めた後、式(3)を用いてコンテキスト変数を得る。
【0043】
(b1,……,bN)がsymbolCのbinarizationに相当すると仮定した場合、Cのk番目のbinに対応するコンテキスト変数は以下のように規定される。
【0044】
【数4】
【0045】
ただし、1<k≦Nとする。表6において、この種のコンテキスト変数の与え方の一覧を示す。
【0046】
【表6】
【0047】
変換係数の条件付けの為には、さらに3つの異なるコンテキスト識別子が追加で用いられる。これらのコンテキスト識別子は表7で示されるcontext_categoryに依存して決まる。
【0048】
【表7】
【0049】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、かかるJVT符号化方式を適用した符号化装置においては、数多くのコード番号を有する2値化テーブルを常時参照しながらMBタイプを2値化しているのみならず、当該MBタイプが8画素MBタイプの領域サイズ(縦横8×8画素)であった場合には、表1におけるMBタイプの2値化テーブルを参照して2値化した後に、再び表2におけるサブMBタイプの2値化テーブルを参照して2値化していることにより、符号化処理における処理負荷が増大してしまうという問題があった。
【0050】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、符号化効率を低下させるこなく符号化処理の処理負荷を低減し得る符号化処理方法、符号化装置及び復号化装置を提案しようとするものである。
【0051】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決するため本発明においては、画素ブロックについて所定の区割パターンが指定されることにより得られる区割領域と、当該区割領域に対する予測モードとの組み合わせを表すマクロブロックタイプに対して2値算術符号化処理を施す符号化処理方法であって、マクロブロックタイプの種類ごとにそれぞれ割り当てられたコード番号に2値コードを適用し、コード番号の割り当てを量子化パラメータ値に応じて切り換えるようにする。
【0052】
従って、2値化テーブルを用いることなく2値コードによって2値化することができると共に、量子化パラメータ値の変動によってマクロブロックタイプの発生頻度が増加した場合であっても、マクロブロックタイプの種類ごとにそれぞれ割り当てられたコード番号を量子化パラメータ値に応じて切り換えるので、当該増加したマクロブロックタイプへ割り当てられるコード番号に、データ長の長い2値コードが対応してしまうことを回避することができる。
【0053】
【発明の実施の形態】
以下図面について、本発明の一実施の形態を詳述する。
【0054】
(1)送受信システムの構成
図1において、1は全体として送受信システムを示し、送信対象の画像符号化装置2と、受信対象の画像復号化装置3とがインターネット等のネットワーク4を介して接続されることにより構築される。
【0055】
画像符号化装置2は、JVT符号化方式の規定に従って符号化処理を実行し、画像復号化装置3は、当該画像符号化装置2と同様のJVT符号化方式の規定に従って復号化処理を実行し得るようになされている。
【0056】
(2)本発明を適用した画像符号化装置の構成
(2−1)画像符号化装置の全体構成
図2に示すように、画像符号化装置2は、外部から供給される動画像信号S1をA/D変換部5を介して動画像データD1を生成し、これを画像並替バッファ6に一旦記憶する。
【0057】
そして画像符号化装置2は、画像並替バッファ6において動画像データD1をフレーム画像単位で圧縮符号化順に並び替え、当該並び替えたフレーム画像をフレームデータD2として後段の各回路部に順次送出する。
【0058】
この場合、画像符号化装置2は、送出対象のフレームデータD2がIピクチャである場合には加算器7だけに送出すると共に、当該フレームデータD2がIピクチャ以外の画像タイプである場合には加算器7及び動き予測補償部8に送出するようになされている。
【0059】
動き予測補償部8は、画像並替バッファ6から与えられるフレームデータD2を縦横16×16画素の画素ブロックでなるマクロブロックに分割した後、これらマクロブロックについて、図14において上述したようにJVT符号化方式に規定される区割パターンTP1〜TP3、及び8画素MBタイプとサブ区割パターンTP5〜TP8との組み合わせのうち例えば区割パターンTP2を指定する。
【0060】
次いで動き予測補償部8は、かかる指定によって得られる区割領域AR2及びAR3について、当該領域AR2及びAR3に対して時間的に過去及び又は未来の参照用ピクチャとのブロックマッチング法により当該領域AR2及びAR3ごとにそれぞれ動きベクトルD3aを検出する。
【0061】
そして動き予測補償部8は、動きベクトルD3aに基づいて予測モードを決定し、当該決定した予測モードを実行することにより、フレームメモリ14に記憶されている参照用ピクチャを動きベクトルD3aに応じて動き補償し、その結果得られる予測データD4を加算器7及び13に送出する。
【0062】
このとき動き予測補償部8は、動きベクトルD3aを可逆符号化処理部17に送出すると共に、マクロブロックについて指定した例えば区割パターンTP2と、当該区割パターンTP2に対して実行した予測モードの種類とに基づいてMBタイプ情報D3bを生成して可逆符号化処理部17に送出するようになされている。
【0063】
このように動き予測補償部8は、従来の符号化方式には規定されていないブロックサイズ(区割パターンTP2、TP3及びTP5〜TP8)に基づく動き予測補償を実行し得るようになされている。
【0064】
加算器7は、動き予測補償部8から予測データD4が与えられる場合には、画像並替バッファ6より与えられるフレームデータD2(Iピクチャ以外の画像タイプ)から当該予測データD4を減算することにより、予測残差である差分データD5として直交変換部9に送出する。
【0065】
これに対して加算器7は、予測データD4が与えられない場合には、画像並替バッファ6より与えられるフレームデータD2(Iピクチャ)をそのまま差分データD5として直交変換部9に送出する。
【0066】
直交変換部9は、差分データD5に対して離散コサイン変換等の直交変換処理を施すことにより直交変換係数データD6を生成し、これを量子化部10に送出する。
【0067】
量子化部10は、直交変換係数データD6に対して量子化処理を施すことにより量子化データD7を生成し、これを逆量子化部11及び可逆符号化処理部17にそれぞれ送出する。
【0068】
この場合、量子化部10においては、量子化パラメータ値を決定づけるための量子化制御データD8がレート制御部16によるフィードバック制御に従って与えられており、当該量子化制御データD8の量子化パラメータ値に応じて量子化データD7を生成し得るようになされている。
【0069】
逆量子化部11は、量子化部10から与えられる量子化データD7に対して逆量子化処理を施すことにより、直行変換係数データD6に相当する直交変換係数データD9を復元し、これを逆直交変換部12に送出する。
【0070】
逆直交変換部12は、逆量子化部11から与えられる直交変換係数データD9に対して逆直交変換処理を施すことにより、差分データD5に相当する差分データD10を復元し、これを加算器13に送出する。
【0071】
加算器13は、動き予測補償部8から予測データD4が与えられる場合には、逆直行変換部11より与えられる差分データD10に当該予測データD4を加算することにより、フレームデータD2に相当するフレームデータD11を復元し、これをデブロックフィルタ14に送出する。
【0072】
これに対して加算器13は、動き予測補償部8から予測データD4が与えられない場合には、逆直行変換部11より与えられる差分データD10をそのままフレームデータD11としてデブロックフィルタ14に送出する。
【0073】
デブロックフィルタ14は、加算器13から与えられるフレームデータD11のうち互いに隣接するマクロブロック間に歪みが生じている場合には、当該歪み部分をフィルタリングすることにより滑らかにした後、必要に応じて参照用ピクチャとしてフレームメモリ15に記憶する。
【0074】
これに対してデブロックフィルタ14は、フレームデータD11のうち互いに隣接するマクロブロック間に歪みが生じていない場合には、当該フレームデータD11を必要に応じて参照用ピクチャとしてフレームメモリ15に記憶する。
【0075】
一方、可逆符号化処理部17は、量子化部10から与えられる量子化データD7、動き予測補償部8から与えられる動きベクトルD3a及びMBタイプ情報D3bに対してそれぞれ2値適応算術符号化処理を施すことにより量子化符号化データD13、動きベクトル符号化データD14及びMBタイプ符号化データD15をそれぞれ生成する。
【0076】
そして可逆符号化処理部17は、量子化符号化データD13、動きベクトル符号化データD14及びMBタイプ符号化データD15を蓄積バッファ18に蓄積した後、これらを画像圧縮情報D16として送信部(図示せず)及びインターネット4(図1)を順次介して画像復号化装置3に送信するようになされている。
【0077】
かかる構成に加えて、セマンティクス制御部19は、量子化部10から与えられる量子化制御データD8に示される所定の量子化パラメータ値(後述する)に応じて、可逆符号化処理部17において用いられるユナリコード(Unary Code)の割り当てを切換制御するためのコード切換データD17を生成し、これを可逆符号化処理部17に送出し得るようになされている。
【0078】
(2−2)可逆符号化処理部の構成
次に、可逆符号化処理部17の具体的な回路構成について説明する。但し、可逆符号化処理部17は、量子化データD7、動きベクトルD3a及びMBタイプ情報D3b(図2)に対してそれぞれ別々の処理系列で2値適応算術符号化処理を実行するが、ここでは本発明に係るMBタイプ情報D3bに対する処理系列の回路構成について説明する。
【0079】
図3に示すように、可逆符号化処理部17は、コンテキストモデル部20と、2値化部21と、適応2値算術符号化器22とによって構成される。
【0080】
コンテキストモデル部20は、既に符号化された過去のMBタイプ情報に基づいて、動き予測補償部8から与えられる符号化対象のMBタイプ情報D3bに対する符号化モードを選択し、当該選択した符号化モードに応じてそれぞれ異なる処理系列に振り分ける。但し、ここでは説明の便宜上、同系列で行うものとして当該MBタイプ情報D3bを2値化部21に送出する。
【0081】
2値化部21は、コンテキストモデル部20から与えられるMBタイプ情報D3bについて、表1及び表2に示した2値化テーブルに代えて、表3に示したユナリコードを適用して2値化する。
【0082】
このユナリコードにおいては、上述したように、n番目のユナリコードシンボルに対して、n個の‘1,の最後に‘0,を付加してなる単純な規則性を有するバイナリ列が生成される。
【0083】
実際上、2値化部21は、コンテキストモデル部20から供給されるMBタイプ情報D3bがPピクチャである場合、図4(A)に示すように、当該MBタイプの種類に対応させて予め割り当てられているコード番号に、ユナリコードを対応付けた状態(以下、これをPタイプ第1割当状態と呼ぶ)で、PピクチャにおけるMBタイプの種類を2値化するようになされている。
【0084】
従って2値化部21は、表1に示したPピクチャにおけるMBタイプの2値化テーブルを参照することなくMBタイプの種類に応じて2値化することができ、これによりPピクチャにおけるMBタイプの2値化テーブルを参照しない分だけ処理負荷を低減し得るようになされている。
【0085】
因みに、図4(A)中に示される「Intra」については、イントラ符号化を表しており、区割パターンTP1〜TP4のいずれもが該当し得る。
【0086】
ここで、JVT符号化方式に規定されているPピクチャのテスト画像に対してJVT符号化方式の規定に則って符号化した際に、量子化パラメータ値に応じたMBタイプの発生頻度を図5に示す。
【0087】
図5に示されているように、量子化パラメータ値QPの減少に応じて、コード番号「4」(図4(A))に割り当てられている縦横8×8画素でなるMBタイプ(以下、これを8画素MBタイプと呼ぶ)の発生頻度が極端に増加しているのが分かる。これは、量子化パラメータ値QPが小さいほど転送レートが高くなるので発生符号量を多く割り当てることができることによるものである。
【0088】
従って、2値化部21は、量子化パラメータ値QPが小さいとき(即ち8画素MBタイプの発生頻度が高いとき)にPタイプ第1割当状態(図4(A))で2値化し続けると、コード番号「4」に最もデータ長の長いユナリコードが対応していることにより、表1における2値化テーブルを用いて2値化した際に得られるバイナリ列のデータ長よりも長くなってしまうことになり、後段の2値適応算術符号化器22で算術符号化処理を実行する際の符号化効率が低下してしまう。
【0089】
ここで、量子化パラメータ値QPと、8画素MBタイプと、ユナリコードのデータ長との関係をまとめてみると、量子化パラメータ値QP(図5)が大きければ8画素MBタイプの発生頻度が低くなり、当該発生頻度が低ければ8画素MBタイプに対するユナリコードのデータ長が長くても符号化効率の低下しない関係にある。
【0090】
これに対して量子化パラメータ値QP(図5)が小さければ8画素MBタイプの発生頻度が高くなり、当該発生頻度が高ければ8画素MBタイプに対するユナリコードのデータ長が長いと符号化効率の低下してしまう関係にある。
【0091】
すなわち、8画素MBタイプの発生頻度と、当該8画素MBタイプに対するユナリコードのデータ長とにおける増減に所定の相関関係が成立しており、従って図5中において、8画素MBタイプに対する発生頻度のほぼ中間にあたる量子化パラメータ値「32」を指標とすれば、コード番号「4」に対してユナリコードにより生成されるデータ長が符号化効率の低下に起因するか否かの指標とし得る。
【0092】
また、量子化パラメータ値の変動に応じて、MBタイプの種類ごとの発生頻度がそれぞれ変化しているので、切換後におけるMBタイプの種類ごとの発生頻度に応じた全体としてのユナリコードのデータ長に比して、切換前におけるMBタイプの種類ごとの発生頻度に応じた全体としてのユナリコードのデータ長のほうが短くなる場合もある。
【0093】
かかる関係の平均的な値となる量子化パラメータ値Qとして「32」を指標とする。
【0094】
また、量子化パラメータ値QP(図5)が小さいとき、量子化パラメータ値QPの変動に応じて発生頻度の増減が大きい縦横16×8画素でなるMBタイプの発生頻度については、低くなっているのが分かる。つまり、8画素MBタイプの発生頻度が高くなれば、縦横16×8画素でなるMBタイプの発生頻度が低くなっており、この増減の相関関係の中間となる量子化パラメータ値QPとして「32」を指標とする。
【0095】
そこで、2値化部21は、量子化パラメータ値QPとして「32」未満の場合には、8画素MBタイプに割り当てられていたコード番号「4」(図4(A))の割り当てを、図4(B)に示すように「1」に切り換え、これに伴ってコード番号「1」及び「2」の割り当てをそれぞれ「2」及び「4」(図5(B))に切り換えた状態(以下、これをPピクチャ第2割当状態と呼ぶ)とし、当該コード番号「4」に対するユナリコードのデータ長を変更する。
【0096】
従って2値化部21は、量子化パラメータ値QPが「32」未満であっても、8画素MBタイプに割り当てられたコード番号「4」に対応するユナリコードのデータ長が極端に長くなることを回避することができ、その結果、当該8画素MBタイプにを符号化する際における符号化効率の低下を防止し得るようになされている。
【0097】
このように2値化部21は、量子化パラメータQPが「32」以上の場合にはPピクチャ第1割当状態に従ってMBタイプ情報D3bを2値化し、これに対して「32」未満の場合にはPピクチャ第2割当状態に従ってMBタイプ情報D3bを2値化することにより、MBタイプTP4の発生頻度に係わらず、2値化処理自体の処理負荷を低減し、かつ符号化効率の低下を防止し得るようになされている。
【0098】
一方、2値化部21は、コンテキストモデル部20から供給されるMBタイプ情報D3bがBピクチャである場合、Pピクチャと同様に、図6に示すように、当該MBタイプの種類に対応させて予め割り当てられているコード番号に、ユナリコードを割り当てた状態(以下、これをBタイプ第1割当状態と呼ぶ)で、PピクチャにおけるMBタイプの種類を2値化する。
【0099】
従って2値化部21は、表1に示したBピクチャのMBタイプに対する2値化テーブルを参照しない分だけ処理負荷を低減し得るようになされている。
【0100】
この場合、2値化部21は、Pピクチャよりもはるかにコード数が多いBピクチャのMBタイプの2値化テーブルを参照しない分だけ、Pピクチャよりも一段と処理負荷を低減し得るようになされている。
【0101】
ここで、図7に示すように、Pピクチャと同様に、量子化パラメータ値QPの減少に応じて、コード番号「22」(図6)に割り当てられている8画素MBタイプの発生頻度が極端に増加しているのが分かる。
【0102】
従って2値化部21は、Pピクチャと同様に、量子化パラメータ値QPが「32」未満の場合には、8画素MBタイプに割り当てられていたコード番号「22」(図6)の割り当てを、図8に示すようにコード番号「4」へ切り換え、これに伴ってMBタイプTP2及びTP3に対応するユナリコードシンボルの割り当てを1つずつ繰り下げた状態(以下、これをBタイプ第2割当状態と呼ぶ)とし、当該コード番号「22」に対応するユナリコードのデータ長を変更するようになされている。
【0103】
そして2値化部21は、かかる割当状態(以下、これをBタイプ第2割当状態と呼ぶ)で2値化処理を実行することにより、BピクチャにおけるMBタイプの種類に応じたバイナリ列を生成する。
【0104】
この場合、2値化部21は、Bタイプ第1割当状態(図6)における8画素MBタイプに対するユナリコードのデータ長と、Bタイプ第1割当状態(図8)における8画素MBタイプに対するユナリコードのデータ長との差分が大きいので、当該Bタイプ第1割当状態からBタイプ第2割当状態へ切り換えることにより、8画素MBタイプに対するユナリコードのデータ長を極端に短くすることができ、その結果、当該ユナリコードを符号化する際の符号化効率の低下をPピクチャに比して一段と防止し得るようになされている。
【0105】
また、2値化部21は、コンテキストモデル部20から供給されるMBタイプ情報D3bがPピクチャ又はBピクチャにおけるサブMBタイプTP5〜TP8を示している場合には、当該サブMBタイプの種類に対応させて予め割り当てられているコード番号(表2)に、ユナリコードを割り当てることによりサブMBタイプの種類を2値化する。
【0106】
従って2値化部21は、表2におけるサブMBタイプの2値化テーブルを参照することなく、サブMBタイプTP5〜TP8を2値化することができ、これにより当該2値化テーブルを参照しない分だけ処理負荷を低減し得るようになされている。
【0107】
ここで、Pピクチャ及びBピクチャにおける量子化パラメータ値QPに応じたサブMBタイプの発生頻度について図9及び図10に示すように、MBタイプ(図5及び図7)とは異なり、量子化パラメータ値に変動があっても、コード番号「3」(図10)及び「12」(図10)に相当する縦横4×4画素でなるサブMBタイプの発生頻度の増減差が小さいのが分かる。
【0108】
従って2値化部21は、サブMBタイプについては、量子化パラメータ値QPに応じてサブMBタイプの種類にそれぞれ予め割り当てられているコード番号をあえて切り換えなくても、縦横4×4画素でなるサブMBタイプに対するユナリコードのデータ長が極端に長くはならないので、符号化効率の低下を招くことなく符号化し得るようになされている。
【0109】
このようにして2値化部21は、コンテックスモデル部20から供給されるMBタイプ情報D3bに対してユナリコードに基づく2値化処理を施すことにより2値化データD21生成し、これを2値適応算術符号化器22に送出する。
【0110】
実際上、2値化部21は、セマンティクス制御部19(図2)から供給されるコード切換データD17に基づいて、量子化パラメータ値QP「32」を境界としてコード番号の割り当てを切り換えるようになされている。
【0111】
2値適応算術符号化器22は、2値化部21から供給された2値化データD21に対して、例えばアルスメディックコーディングと呼ばれる2値適応算術符号化処理を施すことによりMBタイプ符号化データD22を生成し、これを蓄積バッファ18(図2)に送出する。
【0112】
因みに、可逆符号化処理部17においては、Pピクチャ及びBピクチャにおけるMBタイプとサブMBタイプとをそれぞれ別々の処理系列でコンテキストモデル化処理、2値化処理及び2値適応算術符号化処理を行っているので、同一のユナリコードを共用しても誤認等がおこらないようになされている。
【0113】
(2−3)符号化処理手順
次に、可逆符号化処理部17における符号化処理手順について図11に示すフローチャートを用いて説明するが、ここでは本発明に係るPピクチャ及びBピクチャのMBタイプのうち、Pピクチャ及びBピクチャのMBタイプについて説明する。すなわち可逆符号化処理部17は、ルーチンRT1の開始ステップから続くステップSP1へ移る。
【0114】
ステップSP1において可逆符号化処理部17は、符号化対象のPピクチャにおけるMBタイプ情報D3bを受け付けたか否かを判断する。ここで否定結果が得られると、当該MBタイプ情報D3bを待ち受ける。
【0115】
これに対して肯定結果が得られると、このことはPピクチャにおけるMBタイプ情報D3bを受け付けたこと、即ちPピクチャにおけるMBタイプ情報D3bを、対応する処理系列に入力したことを表しており、このとき可逆符号化処理部17は、次のステップSP2へ移る。
【0116】
ステップSP2において可逆符号化処理部17は、PピクチャにおけるMBタイプ情報D3bに対してコンテキストモデル化処理を施すことにより符号化モードを選択し、次のステップSP3へ移る。
【0117】
ステップSP3において可逆符号化処理部17は、セマンティクス制御回路19(図2)から与えられるコード切換データD17を受け取ったか否かを判断する。
【0118】
ここで否定結果が得られると、このことはレート制御部16から供給される量子化制御データD8(図2)の量子化パラメータ値QP(図5)が「32」以上の状態から「32」未満の状態へ移行していない、あるいは「32」未満の状態から「32」以上の状態へ移行していないことを表しており、このとき可逆符号化処理部17は、次のステップSP5へ移る。
【0119】
これに対して肯定結果が得られると、このことはレート制御部16から供給される量子化制御データD8(図2)の量子化パラメータ値QP(図5)が「32」以上の状態から「32」未満の状態へ移行した、あるいは「32」未満の状態から「32」以上の状態へ移行したことを表しており、このとき可逆符号化処理部17は、次のステップSP4へ移る。
【0120】
ステップSP4において可逆符号化処理部17は、MBタイプの各種類に対するコード番号の割り当て状態がPピクチャ第1割当状態(図4(A))であった場合には、当該割り当てをPピクチャ第2割当状態(図4(B))に切り換え、これに対してPピクチャ第2割当状態(図4(B))であった場合には、当該割り当てをPピクチャ第1割当状態(図4(B))に切り換え、次のステップSP5へ移る。
【0121】
ステップSP5において可逆符号化処理部17は、今現在MBタイプの種類ごとに割り当てられている割当状態で2値化処理を実行することにより、PピクチャにおけるMBタイプの種類に応じたユナリコードを2値化データD21として生成し、次のステップSP6へ移る。
【0122】
ステップSP6において可逆符号化処理部17は、ステップSP5で生成した2値化データD21に対して2値適応算術符号化処理を実行することによりMBタイプ符号化データD22を生成し、これを蓄積バッファ18に送出した後、ステップSP1に戻る。
【0123】
このように可逆符号化処理部17は、コード切換データD17に応じてMBタイプに対するコード番号の割り当てを適応的に切り換えることにより、符号化処理の処理負荷を低減し、かつ、符号化効率の低下を防止し得るようになされている。
【0124】
(3)本発明を適用した画像復号化装置の構成
(3−1)画像復号化装置の全体構成
図12に示すように、画像復号化装置3は、インターネット(図1)及び受信部(図示せず)を順次介して受信した画像圧縮情報D16(図2)を蓄積バッファ37に蓄積し、当該蓄積した画像圧縮情報D16を参照することにより量子化制御データD8を認識し、これをセマンティクス制御部32に送出する。
【0125】
セマンティクス制御部32は、蓄積バッファ31から与えられる量子化制御データD8の量子化パラメータ値に応じてコード切換データD24を生成し、これを復号側可逆符号化処理部33に送出し得るようになされている。
【0126】
復号側可逆符号化処理部33は、蓄積バッファ31に蓄積された画像圧縮情報D16を量子化符号化データD13、動きベクトル符号化データD14及びMBタイプ符号化データD15としてそれぞれ読み出す。
【0127】
次いで復号側可逆符号化処理部33は、量子化符号化データD13、動きベクトル符号化データD14及びMBタイプ符号化データD15に対して2値適応算術符号化処理を施すことにより、量子化データD7、動きベクトルD3a及びMBタイプ情報D3b(図2)に相当する量子化データD25、動きベクトル情報D26及びMBタイプ情報D27をそれぞれ復元する。
【0128】
そして復号側可逆符号化処理部33、量子化データD25を逆量子化部34に送出すると共に、動きベクトル情報D26及びMBタイプ情報D27を動き予測補償部37に送出する。
【0129】
逆量子化部34は、復号側可逆符号化処理部33から与えられる量子化データD25に対して逆量子化処理を施すことにより、直交変換係数データD6(図2)に相当する直交変換係数データD28を復元し、これを逆直交変換部35に送出する。
【0130】
逆直交変換部35は、逆量子化部34から与えられる直交変換係数データD28に対して逆直交変換処理を施すことにより、差分データD5(図2)に相当する差分データD29を復元し、これを加算器36に送出する。
【0131】
一方、動き予測補償部37は、復号側可逆符号化処理部33から与えられる動きベクトル情報D26及びMBタイプ情報D27に基づいて予測モードを実行することにより、フレームメモリ38に記憶されている参照用ピクチャを動きベクトルに応じて動き補償し、その結果得られる予測データD30を加算器36に送出する。
【0132】
加算器36は、動き予測補償部37から予測データD30が与えられる場合には、逆直行変換部35より与えられる差分データD29に当該予測データD30を加算することにより、フレームデータD2(図2)に相当するフレームデータD31を復元し、これをデブロックフィルタ39に送出する。
【0133】
これに対して加算器36は、動き予測補償部37から予測データD30が与えられない場合には、逆直行変換部35より与えられる差分データD29をそのままフレームデータD31としてデブロックフィルタ39に送出する。
【0134】
デブロックフィルタ39は、加算器36から与えられるフレームデータD31のうち互いに隣接するマクロブロック間に歪みが生じている場合には、当該歪み部分をフィルタリングすることにより滑らかにし、その結果得られる補正フレームデータD32を生成し、これを画像並替バッファ40に一旦記憶すると共に、当該補正フレームデータD32を参照用ピクチャとして必要に応じてフレームメモリ38に記憶する。
【0135】
これに対してデブロックフィルタ39は、フレームデータD31のうち互いに隣接するマクロブロック間に歪みが生じていない場合には、当該フレームデータD31を補正フレームデータD32として画像並替バッファ40に一旦記憶すると共に、当該フレームデータD31を必要に応じて参照用ピクチャとしてフレームメモリ38に記憶する。
【0136】
画像復号化装置3は、画像並替バッファ40に順次記憶された補正フレームデータD32を送出順に並び替えた後、動画像データD33としてD/A変換部41に送出し、当該D/A変換部41を介して得られる動画像信号S2を外部に送出するようになされている。
【0137】
(3−2)復号側可逆符号化処理部の構成
次に、図13に示す復号側可逆復号化処理部33の回路構成について説明するが、上述した可逆符号化処理部17と同様の処理を行っていることにより、ここでは簡単に説明する。
【0138】
但し、復号側可逆復号化処理部33は、量子化符号化データD13、動きベクトル符号化データD14及びMBタイプ符号化データD15(図12)に対してそれぞれ別々の処理系列で2値適応算術符号化処理を実行するが、ここでは本発明に係るMBタイプ情報D3bに対する処理系列の回路構成について説明する。
【0139】
復号側可逆符号化処理部33は、MBタイプ符号化データD15に対して2値適応算術符号化処理を実行することにより、2値化データD21(図3)に相当する2値化データD35を生成し、これを2値化部51に送出する。
【0140】
2値化部51は、復号側可逆符号化処理部33から与えられる2値化データD21に対してユナリコードに基づく逆2値化処理を施すことにより、MBタイプ情報D3b(図3)に相当するMBタイプ情報D36を生成し、これをコンテキストモデル部52を介してMBタイプ情報D27として動き予測補償部37に送出するようになされている。
【0141】
ここで、2値化部51は、セマンティクス制御回路19から与えられるコード切換データD51を受け取ると、量子化パラメータ値QPに応じてMBタイプに対するユナリコードのコード番号の割り当てを適応的に切り換えることにより、当該2値化処理自体の負荷処理を低減し、かつ符号化効率の低下を防止し得るようになされている。
【0142】
以上の構成において、画像符号化装置2は、動き予測補償部8から与えられるMBタイプ情報D3bを2値化する際に、当該MBタイプ情報D3bに示されるMBタイプと、当該MBタイプTP1〜TP4をさらに細分するサブMBタイプとの各タイプに分けて2値化する。
【0143】
この場合、画像符号化装置2は、MBタイプ及びサブMBタイプに定められているコード番号に、JVT符号化方式において本来MBタイプ情報D3b以外に用いられているユナリコードを割り当てることにより2値化するようにした。
【0144】
これにより画像符号化装置2は、JVT符号化方式で規定されている表1及び表2に示した2値化テーブルを参照しない分だけ処理負荷を低減することができ、また、特にMBタイプについては表2における2値化テーブルを用いて2値化する場合に比して極端にデータ列の短い状態で2値化することができるので、当該サブMBタイプを符号化する際の符号化効率を向上し得るようになされている。
【0145】
さらに、画像符号化装置2は、MBタイプについて2値化する際には、量子化パラメータ値QPとして「32」指標として、8画素MBタイプに割り当てるコード番号を、第1割当状態(図4(A)又は図6)から第2割当状態(図4(B)又は図8)あるいは第2割当状態から第1割当状態へ適応的に切り換えることにより、当該コード番号に対するユナリコードのデータ長を変更し、当該8画素MBタイプの発生頻度の増減にかかわらず、符号化効率を低下させるこなく符号化処理の処理負荷を低減することができる。
【0146】
以上の構成によれば、MBタイプの種類ごとにそれぞれ割り当てられたコード番号の割り当てを、量子化パラメータ値QPに応じて適応的に切り換えるようにしたことにより、2値化テーブルを用いることなく2値化することができると共に、8画素MBタイプの発生頻度の増減にかかわらず、符号化効率を低下させるこなく符号化処理の処理負荷を低減することができる。
【0147】
なお上述の実施の形態においては、画像としての動画像信号を圧縮符号化することにより得られる画像圧縮情報を送受信する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、静止画像信号を圧縮符号化することにより得られる画像圧縮情報を送受信するようにしても良い。
【0148】
また上述の実施の形態においては、所定の区割パターンとして4種類の区割パターンTP1〜TP4に従ってマクロブロックを区割りする場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えばマクロブロックを縦横16×4画素に区割りされた4組の領域等、この他種々の領域に区割りされた区割パターンに従ってマクロブロックを区割りするようにしても良い。
【0149】
さらに上述の実施の形態においては、2値コードとしてのユナリコードを用いる場合について述べたが、本発明はこれに限らず、単純な生成則であればこの他種々の2値コードを用いるようにしても良い。
【0150】
さらに上述の実施の形態においては、符号化装置としての可逆符号化処理部17及びが図3について上述したハードウェア構成によって符号化処理を実行する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、当該ハードウェア構成に代えて、図11について上述した符号化処理手順を実行する符号化処理プログラムによって符号化処理を実行するようにしても良い。
【0151】
この場合、可逆符号化処理部17は、内部ROM(図示せず)等に格納した符号化処理プログラムを内部RAM(図示せず)に展開することにより符号化処理手順を実行するようにしても良く、また当該符号化処理プログラムが格納されたプログラム媒体をインストールすることにより符号化処理手順を実行するようにしても良い。
【0152】
かかるプログラム媒体としては、CD−ROM(Compact Disc−Read Only Memory)やDVD(Digital Versatile Disc)等のパッケージメディアのみならず、半導体メモリや磁気ディスク等で実現しても良い。またこれらプログラム媒体にプログラムを格納する手段としては、ローカルエリアネットワークやインターネット、ディジタル衛星放送等の有線又は無線通信媒体を利用してもよく、ルータやモデム等の各種インターフェイスを介して格納するようにしても良い。
【0153】
【発明の効果】
上述のように本発明によれば、画素ブロックについて所定の区割パターンが指定されることにより得られる区割領域と、当該区割領域に対する予測モードとの組み合わせを表すマクロブロックタイプに対して2値算術符号化処理を施す符号化処理方法であって、マクロブロックタイプの種類ごとにそれぞれ割り当てられたコード番号に2値コードを適用し、コード番号の割り当てを量子化パラメータ値に応じて切り換えるようにした。
【0154】
従って、2値化テーブルを用いることなく2値コードによって2値化することができると共に、量子化パラメータ値の変動によってマクロブロックタイプの発生頻度が増加した場合であっても、マクロブロックタイプの種類ごとにそれぞれ割り当てられたコード番号を量子化パラメータ値に応じて切り換えるので、当該増加したマクロブロックタイプへ割り当てられるコード番号に、データ長の長い2値コードが対応してしまうことを回避することができ、かくして、符号化効率を低下させることなく符号化処理の処理負荷を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】画像送受信システムの構成を示すブロック図である。
【図2】画像符号化装置の構成を示すブロック図である。
【図3】可逆符号化処理部の構成を示すブロック図である。
【図4】PピクチャのMBタイプに対するユナリコードの割当状態を示す略線図である。
【図5】Pピクチャにおける量子化パラメータに応じたMBタイプの発生頻度を示す略線図である。
【図6】BピクチャのMBタイプに対するユナリコードの割当状態(1)を示す略線図である。
【図7】Bピクチャにおける量子化パラメータに応じたMBタイプの発生頻度を示す略線図である。
【図8】BピクチャのMBタイプに対するユナリコードの割当状態(2)を示す略線図である。
【図9】Pピクチャにおける量子化パラメータに応じたサブMBタイプの発生頻度を示す略線図である。
【図10】Bピクチャにおける量子化パラメータに応じたサブMBタイプの発生頻度を示す略線図である。
【図11】符号化処理手順を示すフローチャートである。
【図12】画像復号化装置の構成を示すブロック図である。
【図13】復号側符号化処理部の構成を示すブロック図である。
【図14】区割タイプを示す略線図である。
【符号の説明】
2……画像符号化装置、3……画像復号化装置、8、37……動き予測補償部、17、33……可逆符号化処理部、19、32……セマンティクス制御部、20、52……コンテキストモデル部、21、51……2値化部、22、50……適応2値算術符号化部。
【発明の属する技術分野】
本発明は符号化処理方法、符号化装置及び復号化装置に関し、例えば衛星放送やインターネット等のネットワークを介して画像圧縮情報を送受信する送受信システムに適用して好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、送受信システムは、符号化装置では、例えば動画像信号をディジタル化することにより得られる動画像データに対して、所定の画像符号化方式に準拠した符号化処理を施すことにより画像圧縮情報を生成し、これをネットワークを介して画像復号化装置に送信する。
【0003】
一方、復号化装置では、符号化装置から送信された画像圧縮情報を受信し、その画像圧縮情報に対して、当該符号化装置と同一の画像符号化方式に準拠した復号化処理を施すことにより動画像データを復元するようになされている。
【0004】
かかる画像符号化方式としては、ISO/IECの符号化専門家グループ(MPEG)により汎用画像の符号化を目的として標準化されたMPEGと呼ばれる画像符号化方式と、ITU団体によりテレビ会議用画像の符号化を目的として標準化されたH.26と呼ばれる画像符号化方式とが知られている。
【0005】
また近年における携帯電話機等の携帯端末装置の普及により、一段と高い符号化効率を実現するための画像符号化方式の必要性が示唆されており、これに対応すべく現在では、MPEGとITU団体とによって、JVT(Joint Model of Enhanced−Compression Video Coding)と呼ばれる画像符号化方式(以下、これをJVT符号化方式と呼ぶ)の標準化が進められている。
【0006】
このJVT符号化方式においては、縦横16×16画素の画素ブロックであるマクロブロックについて、図14に示すように、縦横16×16画素でなる1組の区割領域AR1、縦横8×16画素に区割りされた2組の区割領域AR2及びAR3、縦横16×8画素に区割りされた2組の区割領域AR4及びAR5、縦横8×8画素に区割りされた4組の区割領域AR6、AR7、AR8及びAR9でなる4種類の区割パターンTP1〜TP4のいずれかを指定することが可能である。
【0007】
またマクロブロックについて4組の区割領域AR6、AR7、AR8及びAR9でなる区割パターンを指定した際には、当該4組の区割領域AR6、AR7、AR8及びAR9それぞれについて縦横8×8画素でなる1組の区割領域AR10、縦横4×8画素に区割りされた2組の区割領域AR11及びAR12、縦横8×4画素に区割りされた2組の区割領域AR13及びAR14、縦横4×4画素に区割りされた4組の区割領域AR15、AR16、AR17及びAR18でなる4種類のサブ区割パターンTP5〜TP8のいずれかを指定するようになされている。
【0008】
この場合、JVT符号化方式においては、1つのマクロブロックについて、区割パターンTP1〜TP3のいずれかを指定するか、あるいは8画素MBタイプとサブ区割パターンTP5〜TP8のいずれかとの組み合わせを指定することにより得られる区割領域AR1〜AR18ごとに、それぞれ独立して動きベクトルを持つことができる。
【0009】
これに伴ってJVT符号化方式においては、かかる区割領域AR1〜AR9と、当該区割領域AR1〜AR9に対する予測モードとの組み合わせを表すマクロブロックタイプ(以下、これをMBタイプと呼ぶ)の種類に応じて、それぞれ異なるバイナリ列を対応付けた2値化テーブルがピクチャタイプごとに詳細に規定されている。
【0010】
また区割領域AR10〜AR18と、当該区割領域AR10〜AR18に対する予測モードとの組み合わせを表すサブマクロブロックタイプ(以下、これをサブMBタイプと呼ぶ)の種類に応じて、それぞれ異なるバイナリ列を対応付けた2値化テーブルもピクチャタイプごとに詳細に規定されている。
【0011】
ここで、Pピクチャ、SPピクチャ及びBピクチャにおけるMBタイプの2値化テーブルを表1に示すと共に、サブMBタイプの2値化テーブルを表2に示す。
【0012】
【表1】
【0013】
【表2】
【0014】
表1のMBタイプ項目(Value of mb_type)及び表2のサブMBタイプ項目(Value of sub_mb_type)において、「0」、「1」……はコード番号を表し、当該コード番号に続くかっこ内は、予測モードの態様と区割領域AR1、AR2、……、又はAR18のサイズとを表している。
【0015】
実際上、符号化装置では、JVT符号化方式に規定される符号化処理手法として例えばCABAC(Context−based Variable Length Coding)と呼ばれる2値適応算術手法に従い、任意のマクロブロックについて動き予測補償処理が行われた結果得られるMBタイプ情報がPピクチャ、SPピクチャ及びBピクチャである場合、まずは表1におけるMBタイプの2値化テーブルを参照し、当該MBタイプに該当するコード番号に対応するバイナリ列に従って2値化する。
【0016】
そして符号化装置は、表1においてMBタイプに該当するコード番号が「4」又は「22」である場合、すなわち8画素MBタイプであった場合には、さらに表2におけるサブMBタイプの2値化テーブルを参照し、当該サブMBタイプに該当するコード番号に対応するバイナリ列に従って2値化した後、出現確率を用いた算術符号化処理を行うことにより符号化データを生成するようになされている(例えば非特許文献1参照)。
【0017】
【非特許文献1】
DRAFT ISO/IEC 14496−10:2002(E)
【0018】
ここで、かかる非特許文献1におけるJVT符号化方式の2値化に関する部分の日本語訳を記載する。
【0019】
JVT符号化方式に定められているCABACの符号化方式について説明する。画像圧縮情報における任意のシンタスク要素に関して、まず、過去の履歴に応じて、シンボルに対する適切なモデルが選択される。隣接するシンボルの状態に応じたモデル化をコンテキストモデル化と呼ぶ。
【0020】
次に、シンボルが2値化されていないものに関しては、2値化が行われる。2値化されたシンボルは、確率推計を用いた適応算術符号化が施される。符号化処理が行われた後、関連するモデルの更新が行われるため、それぞれのモデルは実際の画像圧縮情報の統計に応じた符号化処理を行うことが可能なのである。
【0021】
以下では、JVT符号化方式において規定されている2値化処理(binarization)について述べる。
【0022】
unary codeによるbinarizationの最初の5symbolに対する表を表3に示す。
【0023】
【表3】
【0024】
Code symbol Cに対しては、C個‘1’の最後に‘0’を付けたbinary列が対応する。binの最初のbitにはbin number=1が対応し、2番目のbitにはbin number=2、と、最後のbitに行くに従って対応するbin numberは増えていく。
【0025】
Truncated unary(TU)binarizationは有限個のシンボル〔0,……,Cmax〕に対して適用される。SymbolC<Cmax;に対しては表3で規定されたunary binarizationを行い、シンボルCmaxにはCmax個の1を割り当てる。Bin numberの割り振り方はunary binarizationの場合と同じである。
【0026】
Concatenated unary/kth−order Exp−Golomb(UEGk)binarizationは、Cmax=Ucoff(Ucoff.Cut off parameter)としたtruncated unary binarization code(prefix code)とk次のExp−Golomb符号(suffix code)とが連接されたものが変換後のbinary列となる。SymbolCがC<Ucoffの場合suffix codeは無く、C≧Ucoffの場合suffix codeはSymbolC−Ucoffに対するExp−Golomb符号となる。
【0027】
SymbolSに対するk次のExp−Golomb codeは表4のように構成される:
【0028】
【表4】
【0029】
Bin numberは、unary codeの第1ビット目をbin_num=1として、Exp−Golomb符号のLSBに向かって1ずつ増えていく。
【0030】
有限個のシンボル〔0,……,Cmax〕に対し、L−bit(L=log2|Cmax|+1)のbinarizationを適用する。Bin numberはLSBをbin_num=1とし、MSBに向かって増えていく。
【0031】
次に、上記の方法により2値化が行われるbinに対するコンテキストモデルについて述べる。
【0032】
一般的なcontext variableの設定方法を説明するためにFigure9−2を用いる。ブロックCに対して隣接する左ブロックと上ブロックにおける同一シンタクス要素のsymbolまたはbinがA,Bとして図示されている。
【0033】
コンテキストを決める式の第一番目は以下の通りとなる。
【0034】
【数1】
【0035】
この他に、3つのテンプレートが以下のように定義される。
【0036】
【数2】
【0037】
表5において2つの隣接シンボルからのコンテキスト変数の求め方を示す。
【0038】
【表5】
【0039】
ctx_cbp4は表7に示される6つのblock type(Luma−DC,Luma−AC,Chroma−U−DC,Chroma−V−DC,Chroma−U−AC,Chroma−V−AC)によって決定される。
【0040】
ctx−abs−mvd−h[1]及びctx−abs−mvd−v[1]の定義は以下の式により与えられる。
【0041】
【数3】
【0042】
compは水平成分(h)又は垂直成分(v)を意味する。隣接ブロックは異なるマクロブロック分割に属する可能性がある為、以下のような隣接ブロックを特定する為の方法が規定されている。最初に4x4blockの動きベクトルはoversampleされている、つまり、対応するブロックがより粗く分割されていた場合、quadtreeにおける親ブロックの動きベクトルを継承しているとみなす。逆に、block Cが隣接blockより粗く分割されていた場合、隣接blockの左上のsub−blockの動きベクトルを対応動きベクトルとする。これらの処理によっり隣接blockにおける対応する値を求めた後、式(3)を用いてコンテキスト変数を得る。
【0043】
(b1,……,bN)がsymbolCのbinarizationに相当すると仮定した場合、Cのk番目のbinに対応するコンテキスト変数は以下のように規定される。
【0044】
【数4】
【0045】
ただし、1<k≦Nとする。表6において、この種のコンテキスト変数の与え方の一覧を示す。
【0046】
【表6】
【0047】
変換係数の条件付けの為には、さらに3つの異なるコンテキスト識別子が追加で用いられる。これらのコンテキスト識別子は表7で示されるcontext_categoryに依存して決まる。
【0048】
【表7】
【0049】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、かかるJVT符号化方式を適用した符号化装置においては、数多くのコード番号を有する2値化テーブルを常時参照しながらMBタイプを2値化しているのみならず、当該MBタイプが8画素MBタイプの領域サイズ(縦横8×8画素)であった場合には、表1におけるMBタイプの2値化テーブルを参照して2値化した後に、再び表2におけるサブMBタイプの2値化テーブルを参照して2値化していることにより、符号化処理における処理負荷が増大してしまうという問題があった。
【0050】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、符号化効率を低下させるこなく符号化処理の処理負荷を低減し得る符号化処理方法、符号化装置及び復号化装置を提案しようとするものである。
【0051】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決するため本発明においては、画素ブロックについて所定の区割パターンが指定されることにより得られる区割領域と、当該区割領域に対する予測モードとの組み合わせを表すマクロブロックタイプに対して2値算術符号化処理を施す符号化処理方法であって、マクロブロックタイプの種類ごとにそれぞれ割り当てられたコード番号に2値コードを適用し、コード番号の割り当てを量子化パラメータ値に応じて切り換えるようにする。
【0052】
従って、2値化テーブルを用いることなく2値コードによって2値化することができると共に、量子化パラメータ値の変動によってマクロブロックタイプの発生頻度が増加した場合であっても、マクロブロックタイプの種類ごとにそれぞれ割り当てられたコード番号を量子化パラメータ値に応じて切り換えるので、当該増加したマクロブロックタイプへ割り当てられるコード番号に、データ長の長い2値コードが対応してしまうことを回避することができる。
【0053】
【発明の実施の形態】
以下図面について、本発明の一実施の形態を詳述する。
【0054】
(1)送受信システムの構成
図1において、1は全体として送受信システムを示し、送信対象の画像符号化装置2と、受信対象の画像復号化装置3とがインターネット等のネットワーク4を介して接続されることにより構築される。
【0055】
画像符号化装置2は、JVT符号化方式の規定に従って符号化処理を実行し、画像復号化装置3は、当該画像符号化装置2と同様のJVT符号化方式の規定に従って復号化処理を実行し得るようになされている。
【0056】
(2)本発明を適用した画像符号化装置の構成
(2−1)画像符号化装置の全体構成
図2に示すように、画像符号化装置2は、外部から供給される動画像信号S1をA/D変換部5を介して動画像データD1を生成し、これを画像並替バッファ6に一旦記憶する。
【0057】
そして画像符号化装置2は、画像並替バッファ6において動画像データD1をフレーム画像単位で圧縮符号化順に並び替え、当該並び替えたフレーム画像をフレームデータD2として後段の各回路部に順次送出する。
【0058】
この場合、画像符号化装置2は、送出対象のフレームデータD2がIピクチャである場合には加算器7だけに送出すると共に、当該フレームデータD2がIピクチャ以外の画像タイプである場合には加算器7及び動き予測補償部8に送出するようになされている。
【0059】
動き予測補償部8は、画像並替バッファ6から与えられるフレームデータD2を縦横16×16画素の画素ブロックでなるマクロブロックに分割した後、これらマクロブロックについて、図14において上述したようにJVT符号化方式に規定される区割パターンTP1〜TP3、及び8画素MBタイプとサブ区割パターンTP5〜TP8との組み合わせのうち例えば区割パターンTP2を指定する。
【0060】
次いで動き予測補償部8は、かかる指定によって得られる区割領域AR2及びAR3について、当該領域AR2及びAR3に対して時間的に過去及び又は未来の参照用ピクチャとのブロックマッチング法により当該領域AR2及びAR3ごとにそれぞれ動きベクトルD3aを検出する。
【0061】
そして動き予測補償部8は、動きベクトルD3aに基づいて予測モードを決定し、当該決定した予測モードを実行することにより、フレームメモリ14に記憶されている参照用ピクチャを動きベクトルD3aに応じて動き補償し、その結果得られる予測データD4を加算器7及び13に送出する。
【0062】
このとき動き予測補償部8は、動きベクトルD3aを可逆符号化処理部17に送出すると共に、マクロブロックについて指定した例えば区割パターンTP2と、当該区割パターンTP2に対して実行した予測モードの種類とに基づいてMBタイプ情報D3bを生成して可逆符号化処理部17に送出するようになされている。
【0063】
このように動き予測補償部8は、従来の符号化方式には規定されていないブロックサイズ(区割パターンTP2、TP3及びTP5〜TP8)に基づく動き予測補償を実行し得るようになされている。
【0064】
加算器7は、動き予測補償部8から予測データD4が与えられる場合には、画像並替バッファ6より与えられるフレームデータD2(Iピクチャ以外の画像タイプ)から当該予測データD4を減算することにより、予測残差である差分データD5として直交変換部9に送出する。
【0065】
これに対して加算器7は、予測データD4が与えられない場合には、画像並替バッファ6より与えられるフレームデータD2(Iピクチャ)をそのまま差分データD5として直交変換部9に送出する。
【0066】
直交変換部9は、差分データD5に対して離散コサイン変換等の直交変換処理を施すことにより直交変換係数データD6を生成し、これを量子化部10に送出する。
【0067】
量子化部10は、直交変換係数データD6に対して量子化処理を施すことにより量子化データD7を生成し、これを逆量子化部11及び可逆符号化処理部17にそれぞれ送出する。
【0068】
この場合、量子化部10においては、量子化パラメータ値を決定づけるための量子化制御データD8がレート制御部16によるフィードバック制御に従って与えられており、当該量子化制御データD8の量子化パラメータ値に応じて量子化データD7を生成し得るようになされている。
【0069】
逆量子化部11は、量子化部10から与えられる量子化データD7に対して逆量子化処理を施すことにより、直行変換係数データD6に相当する直交変換係数データD9を復元し、これを逆直交変換部12に送出する。
【0070】
逆直交変換部12は、逆量子化部11から与えられる直交変換係数データD9に対して逆直交変換処理を施すことにより、差分データD5に相当する差分データD10を復元し、これを加算器13に送出する。
【0071】
加算器13は、動き予測補償部8から予測データD4が与えられる場合には、逆直行変換部11より与えられる差分データD10に当該予測データD4を加算することにより、フレームデータD2に相当するフレームデータD11を復元し、これをデブロックフィルタ14に送出する。
【0072】
これに対して加算器13は、動き予測補償部8から予測データD4が与えられない場合には、逆直行変換部11より与えられる差分データD10をそのままフレームデータD11としてデブロックフィルタ14に送出する。
【0073】
デブロックフィルタ14は、加算器13から与えられるフレームデータD11のうち互いに隣接するマクロブロック間に歪みが生じている場合には、当該歪み部分をフィルタリングすることにより滑らかにした後、必要に応じて参照用ピクチャとしてフレームメモリ15に記憶する。
【0074】
これに対してデブロックフィルタ14は、フレームデータD11のうち互いに隣接するマクロブロック間に歪みが生じていない場合には、当該フレームデータD11を必要に応じて参照用ピクチャとしてフレームメモリ15に記憶する。
【0075】
一方、可逆符号化処理部17は、量子化部10から与えられる量子化データD7、動き予測補償部8から与えられる動きベクトルD3a及びMBタイプ情報D3bに対してそれぞれ2値適応算術符号化処理を施すことにより量子化符号化データD13、動きベクトル符号化データD14及びMBタイプ符号化データD15をそれぞれ生成する。
【0076】
そして可逆符号化処理部17は、量子化符号化データD13、動きベクトル符号化データD14及びMBタイプ符号化データD15を蓄積バッファ18に蓄積した後、これらを画像圧縮情報D16として送信部(図示せず)及びインターネット4(図1)を順次介して画像復号化装置3に送信するようになされている。
【0077】
かかる構成に加えて、セマンティクス制御部19は、量子化部10から与えられる量子化制御データD8に示される所定の量子化パラメータ値(後述する)に応じて、可逆符号化処理部17において用いられるユナリコード(Unary Code)の割り当てを切換制御するためのコード切換データD17を生成し、これを可逆符号化処理部17に送出し得るようになされている。
【0078】
(2−2)可逆符号化処理部の構成
次に、可逆符号化処理部17の具体的な回路構成について説明する。但し、可逆符号化処理部17は、量子化データD7、動きベクトルD3a及びMBタイプ情報D3b(図2)に対してそれぞれ別々の処理系列で2値適応算術符号化処理を実行するが、ここでは本発明に係るMBタイプ情報D3bに対する処理系列の回路構成について説明する。
【0079】
図3に示すように、可逆符号化処理部17は、コンテキストモデル部20と、2値化部21と、適応2値算術符号化器22とによって構成される。
【0080】
コンテキストモデル部20は、既に符号化された過去のMBタイプ情報に基づいて、動き予測補償部8から与えられる符号化対象のMBタイプ情報D3bに対する符号化モードを選択し、当該選択した符号化モードに応じてそれぞれ異なる処理系列に振り分ける。但し、ここでは説明の便宜上、同系列で行うものとして当該MBタイプ情報D3bを2値化部21に送出する。
【0081】
2値化部21は、コンテキストモデル部20から与えられるMBタイプ情報D3bについて、表1及び表2に示した2値化テーブルに代えて、表3に示したユナリコードを適用して2値化する。
【0082】
このユナリコードにおいては、上述したように、n番目のユナリコードシンボルに対して、n個の‘1,の最後に‘0,を付加してなる単純な規則性を有するバイナリ列が生成される。
【0083】
実際上、2値化部21は、コンテキストモデル部20から供給されるMBタイプ情報D3bがPピクチャである場合、図4(A)に示すように、当該MBタイプの種類に対応させて予め割り当てられているコード番号に、ユナリコードを対応付けた状態(以下、これをPタイプ第1割当状態と呼ぶ)で、PピクチャにおけるMBタイプの種類を2値化するようになされている。
【0084】
従って2値化部21は、表1に示したPピクチャにおけるMBタイプの2値化テーブルを参照することなくMBタイプの種類に応じて2値化することができ、これによりPピクチャにおけるMBタイプの2値化テーブルを参照しない分だけ処理負荷を低減し得るようになされている。
【0085】
因みに、図4(A)中に示される「Intra」については、イントラ符号化を表しており、区割パターンTP1〜TP4のいずれもが該当し得る。
【0086】
ここで、JVT符号化方式に規定されているPピクチャのテスト画像に対してJVT符号化方式の規定に則って符号化した際に、量子化パラメータ値に応じたMBタイプの発生頻度を図5に示す。
【0087】
図5に示されているように、量子化パラメータ値QPの減少に応じて、コード番号「4」(図4(A))に割り当てられている縦横8×8画素でなるMBタイプ(以下、これを8画素MBタイプと呼ぶ)の発生頻度が極端に増加しているのが分かる。これは、量子化パラメータ値QPが小さいほど転送レートが高くなるので発生符号量を多く割り当てることができることによるものである。
【0088】
従って、2値化部21は、量子化パラメータ値QPが小さいとき(即ち8画素MBタイプの発生頻度が高いとき)にPタイプ第1割当状態(図4(A))で2値化し続けると、コード番号「4」に最もデータ長の長いユナリコードが対応していることにより、表1における2値化テーブルを用いて2値化した際に得られるバイナリ列のデータ長よりも長くなってしまうことになり、後段の2値適応算術符号化器22で算術符号化処理を実行する際の符号化効率が低下してしまう。
【0089】
ここで、量子化パラメータ値QPと、8画素MBタイプと、ユナリコードのデータ長との関係をまとめてみると、量子化パラメータ値QP(図5)が大きければ8画素MBタイプの発生頻度が低くなり、当該発生頻度が低ければ8画素MBタイプに対するユナリコードのデータ長が長くても符号化効率の低下しない関係にある。
【0090】
これに対して量子化パラメータ値QP(図5)が小さければ8画素MBタイプの発生頻度が高くなり、当該発生頻度が高ければ8画素MBタイプに対するユナリコードのデータ長が長いと符号化効率の低下してしまう関係にある。
【0091】
すなわち、8画素MBタイプの発生頻度と、当該8画素MBタイプに対するユナリコードのデータ長とにおける増減に所定の相関関係が成立しており、従って図5中において、8画素MBタイプに対する発生頻度のほぼ中間にあたる量子化パラメータ値「32」を指標とすれば、コード番号「4」に対してユナリコードにより生成されるデータ長が符号化効率の低下に起因するか否かの指標とし得る。
【0092】
また、量子化パラメータ値の変動に応じて、MBタイプの種類ごとの発生頻度がそれぞれ変化しているので、切換後におけるMBタイプの種類ごとの発生頻度に応じた全体としてのユナリコードのデータ長に比して、切換前におけるMBタイプの種類ごとの発生頻度に応じた全体としてのユナリコードのデータ長のほうが短くなる場合もある。
【0093】
かかる関係の平均的な値となる量子化パラメータ値Qとして「32」を指標とする。
【0094】
また、量子化パラメータ値QP(図5)が小さいとき、量子化パラメータ値QPの変動に応じて発生頻度の増減が大きい縦横16×8画素でなるMBタイプの発生頻度については、低くなっているのが分かる。つまり、8画素MBタイプの発生頻度が高くなれば、縦横16×8画素でなるMBタイプの発生頻度が低くなっており、この増減の相関関係の中間となる量子化パラメータ値QPとして「32」を指標とする。
【0095】
そこで、2値化部21は、量子化パラメータ値QPとして「32」未満の場合には、8画素MBタイプに割り当てられていたコード番号「4」(図4(A))の割り当てを、図4(B)に示すように「1」に切り換え、これに伴ってコード番号「1」及び「2」の割り当てをそれぞれ「2」及び「4」(図5(B))に切り換えた状態(以下、これをPピクチャ第2割当状態と呼ぶ)とし、当該コード番号「4」に対するユナリコードのデータ長を変更する。
【0096】
従って2値化部21は、量子化パラメータ値QPが「32」未満であっても、8画素MBタイプに割り当てられたコード番号「4」に対応するユナリコードのデータ長が極端に長くなることを回避することができ、その結果、当該8画素MBタイプにを符号化する際における符号化効率の低下を防止し得るようになされている。
【0097】
このように2値化部21は、量子化パラメータQPが「32」以上の場合にはPピクチャ第1割当状態に従ってMBタイプ情報D3bを2値化し、これに対して「32」未満の場合にはPピクチャ第2割当状態に従ってMBタイプ情報D3bを2値化することにより、MBタイプTP4の発生頻度に係わらず、2値化処理自体の処理負荷を低減し、かつ符号化効率の低下を防止し得るようになされている。
【0098】
一方、2値化部21は、コンテキストモデル部20から供給されるMBタイプ情報D3bがBピクチャである場合、Pピクチャと同様に、図6に示すように、当該MBタイプの種類に対応させて予め割り当てられているコード番号に、ユナリコードを割り当てた状態(以下、これをBタイプ第1割当状態と呼ぶ)で、PピクチャにおけるMBタイプの種類を2値化する。
【0099】
従って2値化部21は、表1に示したBピクチャのMBタイプに対する2値化テーブルを参照しない分だけ処理負荷を低減し得るようになされている。
【0100】
この場合、2値化部21は、Pピクチャよりもはるかにコード数が多いBピクチャのMBタイプの2値化テーブルを参照しない分だけ、Pピクチャよりも一段と処理負荷を低減し得るようになされている。
【0101】
ここで、図7に示すように、Pピクチャと同様に、量子化パラメータ値QPの減少に応じて、コード番号「22」(図6)に割り当てられている8画素MBタイプの発生頻度が極端に増加しているのが分かる。
【0102】
従って2値化部21は、Pピクチャと同様に、量子化パラメータ値QPが「32」未満の場合には、8画素MBタイプに割り当てられていたコード番号「22」(図6)の割り当てを、図8に示すようにコード番号「4」へ切り換え、これに伴ってMBタイプTP2及びTP3に対応するユナリコードシンボルの割り当てを1つずつ繰り下げた状態(以下、これをBタイプ第2割当状態と呼ぶ)とし、当該コード番号「22」に対応するユナリコードのデータ長を変更するようになされている。
【0103】
そして2値化部21は、かかる割当状態(以下、これをBタイプ第2割当状態と呼ぶ)で2値化処理を実行することにより、BピクチャにおけるMBタイプの種類に応じたバイナリ列を生成する。
【0104】
この場合、2値化部21は、Bタイプ第1割当状態(図6)における8画素MBタイプに対するユナリコードのデータ長と、Bタイプ第1割当状態(図8)における8画素MBタイプに対するユナリコードのデータ長との差分が大きいので、当該Bタイプ第1割当状態からBタイプ第2割当状態へ切り換えることにより、8画素MBタイプに対するユナリコードのデータ長を極端に短くすることができ、その結果、当該ユナリコードを符号化する際の符号化効率の低下をPピクチャに比して一段と防止し得るようになされている。
【0105】
また、2値化部21は、コンテキストモデル部20から供給されるMBタイプ情報D3bがPピクチャ又はBピクチャにおけるサブMBタイプTP5〜TP8を示している場合には、当該サブMBタイプの種類に対応させて予め割り当てられているコード番号(表2)に、ユナリコードを割り当てることによりサブMBタイプの種類を2値化する。
【0106】
従って2値化部21は、表2におけるサブMBタイプの2値化テーブルを参照することなく、サブMBタイプTP5〜TP8を2値化することができ、これにより当該2値化テーブルを参照しない分だけ処理負荷を低減し得るようになされている。
【0107】
ここで、Pピクチャ及びBピクチャにおける量子化パラメータ値QPに応じたサブMBタイプの発生頻度について図9及び図10に示すように、MBタイプ(図5及び図7)とは異なり、量子化パラメータ値に変動があっても、コード番号「3」(図10)及び「12」(図10)に相当する縦横4×4画素でなるサブMBタイプの発生頻度の増減差が小さいのが分かる。
【0108】
従って2値化部21は、サブMBタイプについては、量子化パラメータ値QPに応じてサブMBタイプの種類にそれぞれ予め割り当てられているコード番号をあえて切り換えなくても、縦横4×4画素でなるサブMBタイプに対するユナリコードのデータ長が極端に長くはならないので、符号化効率の低下を招くことなく符号化し得るようになされている。
【0109】
このようにして2値化部21は、コンテックスモデル部20から供給されるMBタイプ情報D3bに対してユナリコードに基づく2値化処理を施すことにより2値化データD21生成し、これを2値適応算術符号化器22に送出する。
【0110】
実際上、2値化部21は、セマンティクス制御部19(図2)から供給されるコード切換データD17に基づいて、量子化パラメータ値QP「32」を境界としてコード番号の割り当てを切り換えるようになされている。
【0111】
2値適応算術符号化器22は、2値化部21から供給された2値化データD21に対して、例えばアルスメディックコーディングと呼ばれる2値適応算術符号化処理を施すことによりMBタイプ符号化データD22を生成し、これを蓄積バッファ18(図2)に送出する。
【0112】
因みに、可逆符号化処理部17においては、Pピクチャ及びBピクチャにおけるMBタイプとサブMBタイプとをそれぞれ別々の処理系列でコンテキストモデル化処理、2値化処理及び2値適応算術符号化処理を行っているので、同一のユナリコードを共用しても誤認等がおこらないようになされている。
【0113】
(2−3)符号化処理手順
次に、可逆符号化処理部17における符号化処理手順について図11に示すフローチャートを用いて説明するが、ここでは本発明に係るPピクチャ及びBピクチャのMBタイプのうち、Pピクチャ及びBピクチャのMBタイプについて説明する。すなわち可逆符号化処理部17は、ルーチンRT1の開始ステップから続くステップSP1へ移る。
【0114】
ステップSP1において可逆符号化処理部17は、符号化対象のPピクチャにおけるMBタイプ情報D3bを受け付けたか否かを判断する。ここで否定結果が得られると、当該MBタイプ情報D3bを待ち受ける。
【0115】
これに対して肯定結果が得られると、このことはPピクチャにおけるMBタイプ情報D3bを受け付けたこと、即ちPピクチャにおけるMBタイプ情報D3bを、対応する処理系列に入力したことを表しており、このとき可逆符号化処理部17は、次のステップSP2へ移る。
【0116】
ステップSP2において可逆符号化処理部17は、PピクチャにおけるMBタイプ情報D3bに対してコンテキストモデル化処理を施すことにより符号化モードを選択し、次のステップSP3へ移る。
【0117】
ステップSP3において可逆符号化処理部17は、セマンティクス制御回路19(図2)から与えられるコード切換データD17を受け取ったか否かを判断する。
【0118】
ここで否定結果が得られると、このことはレート制御部16から供給される量子化制御データD8(図2)の量子化パラメータ値QP(図5)が「32」以上の状態から「32」未満の状態へ移行していない、あるいは「32」未満の状態から「32」以上の状態へ移行していないことを表しており、このとき可逆符号化処理部17は、次のステップSP5へ移る。
【0119】
これに対して肯定結果が得られると、このことはレート制御部16から供給される量子化制御データD8(図2)の量子化パラメータ値QP(図5)が「32」以上の状態から「32」未満の状態へ移行した、あるいは「32」未満の状態から「32」以上の状態へ移行したことを表しており、このとき可逆符号化処理部17は、次のステップSP4へ移る。
【0120】
ステップSP4において可逆符号化処理部17は、MBタイプの各種類に対するコード番号の割り当て状態がPピクチャ第1割当状態(図4(A))であった場合には、当該割り当てをPピクチャ第2割当状態(図4(B))に切り換え、これに対してPピクチャ第2割当状態(図4(B))であった場合には、当該割り当てをPピクチャ第1割当状態(図4(B))に切り換え、次のステップSP5へ移る。
【0121】
ステップSP5において可逆符号化処理部17は、今現在MBタイプの種類ごとに割り当てられている割当状態で2値化処理を実行することにより、PピクチャにおけるMBタイプの種類に応じたユナリコードを2値化データD21として生成し、次のステップSP6へ移る。
【0122】
ステップSP6において可逆符号化処理部17は、ステップSP5で生成した2値化データD21に対して2値適応算術符号化処理を実行することによりMBタイプ符号化データD22を生成し、これを蓄積バッファ18に送出した後、ステップSP1に戻る。
【0123】
このように可逆符号化処理部17は、コード切換データD17に応じてMBタイプに対するコード番号の割り当てを適応的に切り換えることにより、符号化処理の処理負荷を低減し、かつ、符号化効率の低下を防止し得るようになされている。
【0124】
(3)本発明を適用した画像復号化装置の構成
(3−1)画像復号化装置の全体構成
図12に示すように、画像復号化装置3は、インターネット(図1)及び受信部(図示せず)を順次介して受信した画像圧縮情報D16(図2)を蓄積バッファ37に蓄積し、当該蓄積した画像圧縮情報D16を参照することにより量子化制御データD8を認識し、これをセマンティクス制御部32に送出する。
【0125】
セマンティクス制御部32は、蓄積バッファ31から与えられる量子化制御データD8の量子化パラメータ値に応じてコード切換データD24を生成し、これを復号側可逆符号化処理部33に送出し得るようになされている。
【0126】
復号側可逆符号化処理部33は、蓄積バッファ31に蓄積された画像圧縮情報D16を量子化符号化データD13、動きベクトル符号化データD14及びMBタイプ符号化データD15としてそれぞれ読み出す。
【0127】
次いで復号側可逆符号化処理部33は、量子化符号化データD13、動きベクトル符号化データD14及びMBタイプ符号化データD15に対して2値適応算術符号化処理を施すことにより、量子化データD7、動きベクトルD3a及びMBタイプ情報D3b(図2)に相当する量子化データD25、動きベクトル情報D26及びMBタイプ情報D27をそれぞれ復元する。
【0128】
そして復号側可逆符号化処理部33、量子化データD25を逆量子化部34に送出すると共に、動きベクトル情報D26及びMBタイプ情報D27を動き予測補償部37に送出する。
【0129】
逆量子化部34は、復号側可逆符号化処理部33から与えられる量子化データD25に対して逆量子化処理を施すことにより、直交変換係数データD6(図2)に相当する直交変換係数データD28を復元し、これを逆直交変換部35に送出する。
【0130】
逆直交変換部35は、逆量子化部34から与えられる直交変換係数データD28に対して逆直交変換処理を施すことにより、差分データD5(図2)に相当する差分データD29を復元し、これを加算器36に送出する。
【0131】
一方、動き予測補償部37は、復号側可逆符号化処理部33から与えられる動きベクトル情報D26及びMBタイプ情報D27に基づいて予測モードを実行することにより、フレームメモリ38に記憶されている参照用ピクチャを動きベクトルに応じて動き補償し、その結果得られる予測データD30を加算器36に送出する。
【0132】
加算器36は、動き予測補償部37から予測データD30が与えられる場合には、逆直行変換部35より与えられる差分データD29に当該予測データD30を加算することにより、フレームデータD2(図2)に相当するフレームデータD31を復元し、これをデブロックフィルタ39に送出する。
【0133】
これに対して加算器36は、動き予測補償部37から予測データD30が与えられない場合には、逆直行変換部35より与えられる差分データD29をそのままフレームデータD31としてデブロックフィルタ39に送出する。
【0134】
デブロックフィルタ39は、加算器36から与えられるフレームデータD31のうち互いに隣接するマクロブロック間に歪みが生じている場合には、当該歪み部分をフィルタリングすることにより滑らかにし、その結果得られる補正フレームデータD32を生成し、これを画像並替バッファ40に一旦記憶すると共に、当該補正フレームデータD32を参照用ピクチャとして必要に応じてフレームメモリ38に記憶する。
【0135】
これに対してデブロックフィルタ39は、フレームデータD31のうち互いに隣接するマクロブロック間に歪みが生じていない場合には、当該フレームデータD31を補正フレームデータD32として画像並替バッファ40に一旦記憶すると共に、当該フレームデータD31を必要に応じて参照用ピクチャとしてフレームメモリ38に記憶する。
【0136】
画像復号化装置3は、画像並替バッファ40に順次記憶された補正フレームデータD32を送出順に並び替えた後、動画像データD33としてD/A変換部41に送出し、当該D/A変換部41を介して得られる動画像信号S2を外部に送出するようになされている。
【0137】
(3−2)復号側可逆符号化処理部の構成
次に、図13に示す復号側可逆復号化処理部33の回路構成について説明するが、上述した可逆符号化処理部17と同様の処理を行っていることにより、ここでは簡単に説明する。
【0138】
但し、復号側可逆復号化処理部33は、量子化符号化データD13、動きベクトル符号化データD14及びMBタイプ符号化データD15(図12)に対してそれぞれ別々の処理系列で2値適応算術符号化処理を実行するが、ここでは本発明に係るMBタイプ情報D3bに対する処理系列の回路構成について説明する。
【0139】
復号側可逆符号化処理部33は、MBタイプ符号化データD15に対して2値適応算術符号化処理を実行することにより、2値化データD21(図3)に相当する2値化データD35を生成し、これを2値化部51に送出する。
【0140】
2値化部51は、復号側可逆符号化処理部33から与えられる2値化データD21に対してユナリコードに基づく逆2値化処理を施すことにより、MBタイプ情報D3b(図3)に相当するMBタイプ情報D36を生成し、これをコンテキストモデル部52を介してMBタイプ情報D27として動き予測補償部37に送出するようになされている。
【0141】
ここで、2値化部51は、セマンティクス制御回路19から与えられるコード切換データD51を受け取ると、量子化パラメータ値QPに応じてMBタイプに対するユナリコードのコード番号の割り当てを適応的に切り換えることにより、当該2値化処理自体の負荷処理を低減し、かつ符号化効率の低下を防止し得るようになされている。
【0142】
以上の構成において、画像符号化装置2は、動き予測補償部8から与えられるMBタイプ情報D3bを2値化する際に、当該MBタイプ情報D3bに示されるMBタイプと、当該MBタイプTP1〜TP4をさらに細分するサブMBタイプとの各タイプに分けて2値化する。
【0143】
この場合、画像符号化装置2は、MBタイプ及びサブMBタイプに定められているコード番号に、JVT符号化方式において本来MBタイプ情報D3b以外に用いられているユナリコードを割り当てることにより2値化するようにした。
【0144】
これにより画像符号化装置2は、JVT符号化方式で規定されている表1及び表2に示した2値化テーブルを参照しない分だけ処理負荷を低減することができ、また、特にMBタイプについては表2における2値化テーブルを用いて2値化する場合に比して極端にデータ列の短い状態で2値化することができるので、当該サブMBタイプを符号化する際の符号化効率を向上し得るようになされている。
【0145】
さらに、画像符号化装置2は、MBタイプについて2値化する際には、量子化パラメータ値QPとして「32」指標として、8画素MBタイプに割り当てるコード番号を、第1割当状態(図4(A)又は図6)から第2割当状態(図4(B)又は図8)あるいは第2割当状態から第1割当状態へ適応的に切り換えることにより、当該コード番号に対するユナリコードのデータ長を変更し、当該8画素MBタイプの発生頻度の増減にかかわらず、符号化効率を低下させるこなく符号化処理の処理負荷を低減することができる。
【0146】
以上の構成によれば、MBタイプの種類ごとにそれぞれ割り当てられたコード番号の割り当てを、量子化パラメータ値QPに応じて適応的に切り換えるようにしたことにより、2値化テーブルを用いることなく2値化することができると共に、8画素MBタイプの発生頻度の増減にかかわらず、符号化効率を低下させるこなく符号化処理の処理負荷を低減することができる。
【0147】
なお上述の実施の形態においては、画像としての動画像信号を圧縮符号化することにより得られる画像圧縮情報を送受信する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、静止画像信号を圧縮符号化することにより得られる画像圧縮情報を送受信するようにしても良い。
【0148】
また上述の実施の形態においては、所定の区割パターンとして4種類の区割パターンTP1〜TP4に従ってマクロブロックを区割りする場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えばマクロブロックを縦横16×4画素に区割りされた4組の領域等、この他種々の領域に区割りされた区割パターンに従ってマクロブロックを区割りするようにしても良い。
【0149】
さらに上述の実施の形態においては、2値コードとしてのユナリコードを用いる場合について述べたが、本発明はこれに限らず、単純な生成則であればこの他種々の2値コードを用いるようにしても良い。
【0150】
さらに上述の実施の形態においては、符号化装置としての可逆符号化処理部17及びが図3について上述したハードウェア構成によって符号化処理を実行する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、当該ハードウェア構成に代えて、図11について上述した符号化処理手順を実行する符号化処理プログラムによって符号化処理を実行するようにしても良い。
【0151】
この場合、可逆符号化処理部17は、内部ROM(図示せず)等に格納した符号化処理プログラムを内部RAM(図示せず)に展開することにより符号化処理手順を実行するようにしても良く、また当該符号化処理プログラムが格納されたプログラム媒体をインストールすることにより符号化処理手順を実行するようにしても良い。
【0152】
かかるプログラム媒体としては、CD−ROM(Compact Disc−Read Only Memory)やDVD(Digital Versatile Disc)等のパッケージメディアのみならず、半導体メモリや磁気ディスク等で実現しても良い。またこれらプログラム媒体にプログラムを格納する手段としては、ローカルエリアネットワークやインターネット、ディジタル衛星放送等の有線又は無線通信媒体を利用してもよく、ルータやモデム等の各種インターフェイスを介して格納するようにしても良い。
【0153】
【発明の効果】
上述のように本発明によれば、画素ブロックについて所定の区割パターンが指定されることにより得られる区割領域と、当該区割領域に対する予測モードとの組み合わせを表すマクロブロックタイプに対して2値算術符号化処理を施す符号化処理方法であって、マクロブロックタイプの種類ごとにそれぞれ割り当てられたコード番号に2値コードを適用し、コード番号の割り当てを量子化パラメータ値に応じて切り換えるようにした。
【0154】
従って、2値化テーブルを用いることなく2値コードによって2値化することができると共に、量子化パラメータ値の変動によってマクロブロックタイプの発生頻度が増加した場合であっても、マクロブロックタイプの種類ごとにそれぞれ割り当てられたコード番号を量子化パラメータ値に応じて切り換えるので、当該増加したマクロブロックタイプへ割り当てられるコード番号に、データ長の長い2値コードが対応してしまうことを回避することができ、かくして、符号化効率を低下させることなく符号化処理の処理負荷を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】画像送受信システムの構成を示すブロック図である。
【図2】画像符号化装置の構成を示すブロック図である。
【図3】可逆符号化処理部の構成を示すブロック図である。
【図4】PピクチャのMBタイプに対するユナリコードの割当状態を示す略線図である。
【図5】Pピクチャにおける量子化パラメータに応じたMBタイプの発生頻度を示す略線図である。
【図6】BピクチャのMBタイプに対するユナリコードの割当状態(1)を示す略線図である。
【図7】Bピクチャにおける量子化パラメータに応じたMBタイプの発生頻度を示す略線図である。
【図8】BピクチャのMBタイプに対するユナリコードの割当状態(2)を示す略線図である。
【図9】Pピクチャにおける量子化パラメータに応じたサブMBタイプの発生頻度を示す略線図である。
【図10】Bピクチャにおける量子化パラメータに応じたサブMBタイプの発生頻度を示す略線図である。
【図11】符号化処理手順を示すフローチャートである。
【図12】画像復号化装置の構成を示すブロック図である。
【図13】復号側符号化処理部の構成を示すブロック図である。
【図14】区割タイプを示す略線図である。
【符号の説明】
2……画像符号化装置、3……画像復号化装置、8、37……動き予測補償部、17、33……可逆符号化処理部、19、32……セマンティクス制御部、20、52……コンテキストモデル部、21、51……2値化部、22、50……適応2値算術符号化部。
Claims (5)
- 画素ブロックについて所定の区割パターンが指定されることにより得られる区割領域と、当該区割領域に対する予測モードとの組み合わせを表すマクロブロックタイプに対して2値算術符号化処理を施す符号化処理方法であって、
上記マクロブロックタイプの種類ごとにそれぞれ割り当てられたコード番号に、2値コードを適用する2値コード適用ステップと、
上記コード番号の割り当てを、量子化パラメータ値に応じて切り換える切換ステップと
を具えることを特徴とする符号化処理方法。 - 上記量子化パラメータ値は、最も小さい最小区割領域の発生頻度と、当該最小区割領域に係るマクロブロックタイプに割り当てられたコード番号に対する上記2値コードのデータ長とにおける増減の相関関係がほぼ中間となる値である
ことを特徴とする請求項1に記載の符号化処理方法。 - 上記量子化パラメータ値は、「32」である
ことを特徴とする請求項2に記載の符号化処理方法。 - 画素ブロックについて所定の区割パターンが指定されることにより得られる区割領域と、当該区割領域に対する予測モードとの組み合わせを表すマクロブロックタイプに対して2値算術符号化処理を施す符号化装置であって、
上記マクロブロックタイプの種類ごとにそれぞれ割り当てられたコード番号に、2値コードを適用する2値コード適用手段と、
上記コード番号の割り当てを、量子化パラメータ値に応じて切り換える切換手段と
を具えることを特徴とする符号化装置。 - 画素ブロックについて所定の区割パターンが指定されることにより得られる区割領域と、当該区割領域に対する予測モードとの組み合わせを表すマクロブロックタイプに対して2値算術符号化処理を施す復号化装置であって、
所定の2値コードに基づいて、上記マクロブロックタイプのコード番号に割り当てられた上記マクロブロックタイプの種類に変換する変換手段と、
上記コード番号の割り当てを、量子化パラメータ値に応じて切り換える切換手段と
を具えることを特徴とする復号化装置。
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