JP2004132915A - 微生物電極、微生物電極用酸素電極及びそれを用いる測定装置 - Google Patents

微生物電極、微生物電極用酸素電極及びそれを用いる測定装置 Download PDF

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Ryuzo Hayashi
林 隆造
Yoshiharu Isoda
五十田 義晴
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Abstract

【課題】酸素透過膜を薄くして電極の応答速度を速くできるようにする。
【解決手段】酸素電極はその先端に内外を隔離する酸素透過膜5を備え、電極内部にはカソード1とアノード3を備えている。カソード1は酸素透過膜5に接触しており、カソード1とアノード3との間には内部液9が介在している。さらに、電極内部にカソード1の側方を包囲するカソード保護体12が設けられ、カソード保護体12の先端位置はカソード1の先端位置とほぼ同一面になるように配置されている。カソード保護体12の先端も酸素透過膜5に接触している。微生物膜は多孔膜13、14を接着剤又は両面粘着テープ15で張り合わせ、微生物16を固定化したものである。酸素電極の酸素透過膜5を介してカソード1を微生物固定化膜に圧接させて使用する。
【選択図】   図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、環境分析などに好適な固定化微生物電極、それに用いるガルバニ型酸素電極、及びその微生物電極を利用した測定装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
環境汚染防止を目的として、工業排水、河川水などの検水中の各種化学物質の定量を高精度で実施することは非常に重要である。また集中的な水処理を行う下水道システムにおいて化学物質濃度の正確な把握は、効率的な施設運用を行う上で経済的にも意味がある。これらの分析では連続して汚染状況を監視する必要があり、可能な限り自動分析が望まれる。
【0003】
これらの検水に対する代表的な分析の項目としては、溶存酸素、pH、化学的酸素要求量(COD)、全有機体炭素(TOC)、生物化学的酸素要求量(BOD)などがある。これらの分析方法自体は数多くの方法が知られている。
【0004】
近年、酵素、抗体、遺伝子、微生物など生体由来の物質、あるいは生物そのものを素子として利用したいわゆるバイオセンサを環境分析に応用する試みがなされている。バイオセンサの利点は以下のようなものである。
【0005】
(1)他の分析方法に比べて生物あるいは生体物質の有する選択性を利用することにより生分解性有機物の検知や生物毒性の検知が可能であること、
(2)構成が比較的簡単であり自動化が容易であること、
(3)分析廃水が有害な金属や有機物を含む可能性が低くクリーンアナリシスを実現できること。
【0006】
すでに日本工業規格 K3602においては、特定の微生物を利用した生物化学的酸素要求量(BOD)センサが規定され、実用的に多く用いられている。この規格に規定される装置は、微生物を固定化した固定化微生物膜に酸素電極を圧接し、検水を接触させた際に消費される酸素量を酸素電極で検知している。
【0007】
類似の構成を有する装置に鉄イオウ細菌や硝化菌を固定化した固定化微生物膜を組み込み、検水中の毒性物質を検知する装置も実用化されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照。)。
【0008】
これらの装置において各種の酸素電極が利用されている。酸素電極は、少なくとも溶存酸素を電気化学的に還元するカソード、対応するアノード、酸素を選択的に透過する酸素透過膜から構成される。その電気回路の構成から、一定の外部電圧により駆動される電気化学反応を利用するポーラロ型酸素電極と、一種の電池反応を用いるガルバニ型酸素電極に大別される(例えば、非特許文献1参照。)。
【0009】
前者のポーラロ型酸素電極は白金のカソードと、銀のアノードで構成され、白金カソードに対アノード−0.6ボルト程度の電圧を印加し、酸素の還元電流を検出する。酸素透過膜とカソード及びアノードの間に塩化カリウムなどの電解液があれば動作するため比較的小型のものを作りやすい。ただし外部電圧を印加した際に、カソードに用いる白金の表面で酸化白金の還元反応が起き、安定した出力が得られるまでに時間がかかることと、低酸素濃度でのベース電流(残余電流)が大きく、測定範囲が限定される点が大きな問題点である。
【0010】
一方、ガルバニ型酸素電極は構成が少し複雑にはなるが、安定性に優れ、残余電流が小さい点でバイオセンサに適している。
従来のガルバニ型酸素電極の概要を図3に示す。外部と酸素透過膜5により隔離された電極内部には、白金又は金からなるカソード1と、鉛からなるアノード3とを備え、内部液9にアルカリ水溶液などを使用する。カソード1は先端が酸素透過膜5に接触し、周囲がガラスなどの絶縁体10に封入されている。酸素透過膜5にはフッ素樹脂、ポリエチレンなどの樹脂フィルムが使用される。酸素は酸素透過膜5を通り抜ける。内部液9の漏れ出しや、外部からの液の浸入を防ぐために、酸素透過膜5、外筒7及び先端部材6の間にシール材8及び11が挿入されている。カソード1の表面では酸素の還元が起き、アノード3の表面では鉛の酸化が進む。その結果、カソード1のリード線2とアノード3のリード線4の間には酸素濃度に比例する電流が流れる。
【0011】
微生物を固定化してその微生物による酸素消費を酸素電極で検出するためには、酸素透過膜を介してカソード1を微生物に極力近づけることが必要である。そのためにはカソード1と接触している部分の酸素透過膜5を先端部材6から突出させること、酸素透過膜5をできる限り薄くすることが必要となる。
しかし、突出量を大きくすると酸素透過膜5は延伸されて破れやすくなる。また酸素透過膜5を薄くすることも困難となる。酸素透過膜5が破れると当然外部の液と内部液9が混合し、正確な測定が不可能になる。同時に内部液9が微生物に悪影響を及ぼす。
【0012】
そのため、微生物による酸素消費を検出するための酸素透過膜5としては、厚さが50μm〜1000μmのものが主として使用されている。
そして、このように酸素透過膜5の薄さに制限があるため、電極の応答速度が遅くなり、ひいては分析速度の向上を阻む原因となっていた。
【0013】
【特許文献1】
特開2002−90360号公報
【特許文献2】
特開平2−190763号公報
【非特許文献1】
「電気化学測定法」,技報堂出版,1984年刊
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はガルバニ型酸素電極を対象とするものであるが、従来の技術では固定化微生物を利用した分析装置に適した酸素電極は得られていない。
本発明の第1の目的は、酸素透過膜を薄くして電極の応答速度を速くすることの容易な構造の酸素電極を提供することである。
本発明の第2の目的は、そのような酸素電極を備えた微生物電極を提供することである。
本発明の第3の目的は、そのような微生物電極を備えた測定装置を提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明の酸素電極は、先端に内外を隔離する酸素透過膜を備え、内部にはカソードとアノードを備え、カソードを酸素透過膜に接触させるとともに、カソードとアノードとの間には内部液を介在させたガルバニ型酸素電極に関するものであり、この電極内部にカソードの側方を包囲するカソード保護体を設け、このカソード保護体の先端位置をカソードの先端位置とほぼ同一面になるように配置し、このカソード保護体の先端も酸素透過膜に接触させたことを特徴とするものである。
【0016】
酸素透過膜は保護体及びカソードでほぼ水平に保たれているため、酸素透過膜に無理な力がかかっておらず、酸素透過膜を微生物膜に圧接しても破損しにくい。そのため、酸素透過膜の膜厚を薄くすることができる。
【0017】
酸素透過膜としては、例えば樹脂フィルムで、膜厚が8μmから1000μmの範囲にあるものを使用することができる。応答速度を速くする観点からは酸素透過膜の膜厚は薄い方が好ましく、例えば50μm以下とすることが好ましい。
【0018】
カソード、アノード及び内部液としては、従来から使用されているものを使用することもできるが、カソードが白金又は金からなり、アノードがアルミニウムであり、内部液が少なくとも二塩基酸又はその塩類を含む溶液からなるようにすることが好ましい。
【0019】
アノードに鉛を使用した場合には、酸素電極内部における反応でアノードの鉛は酸化鉛となり、沈殿を生じる。この沈殿形成が起きると電極の応答速度に悪影響を及ぼすと共にカソードと酸素透過膜の間に沈殿が入り込み、正常な応答値が得られないことになる。そのため、この形式の酸素電極では1ヶ月から3ヶ月に1回の頻度で内部液交換などのメンテナンスが必要となり分析者に多大の負担を強いることになる。
【0020】
アルカリ水溶液が漏れ出すことによる悪影響を除くこともあって、内部液に酢酸塩類を用いた電極が開発されてきたが、酸化鉛及び酢酸鉛の沈殿が生じることを防ぐことはできず本質的解決ではなかった。また酸化鉛、酢酸鉛の沈殿は重金属塩であるからその処理に注意を払う必要がある点でも大きな問題があった。
鉛をアノードとして用いる場合に比べると、アルミニウムは比較的毒性の低い軽金属であり内部液の交換などにより有害廃棄物が出ない点が優れている。
【0021】
そして、アノードとしてアルミニウムを用い、内部液として少なくとも二塩基酸又はその塩を含む溶液を用いると沈殿が生成せず、長期間安定な測定が可能になる。
二塩基酸又はその塩は安価であると共に、揮発性が低いために酢酸などの酸に比べて臭気がない、長時間安定であるなどの利点もある。
【0022】
カソードに白金、アノードにアルミニウムを用い、内部液に塩化カリウムを使用する電極も開発されてきたが、その電極は信号に雑音が乗りやすく、高精度測定には用いにくかった。しかし、アノードとしてアルミニウムを用い、内部液として二塩基酸又はその塩を用いるとノイズが小さくするという利点もある。
【0023】
本発明の微生物電極は、多孔膜に微生物を固定化した微生物固定化膜と、酸素透過膜がその微生物固定化膜に接触させられ電気化学的に酸素濃度を検出する酸素電極とを備え、微生物固定化膜の酸素電極と接する面とは逆の面に試料を接触させて試料中の化学物質を前記多孔膜を透過させ、微生物が試料中の化学物質を生物変換する際に消費される酸素の吸収を前記酸素電極により検知して化学物質濃度を測定するものであり、その酸素電極として上に述べた本発明の酸素電極を使用するものである。
【0024】
本発明の測定装置は、測定対象試料、洗浄液、標準液を切り替える機構と、各液を吸引する機構と、別途緩衝液を送液する機構を備え、切り替えられたいずれかの液に緩衝液を混合し、混合された液に空気を送り、その気液混合物を微生物電極に接触させて化学物質濃度を測定するものであり、その微生物電極として上に述べた本発明の微生物電極を使用するものである。
【0025】
【発明の実施の形態】
図1を用いて、本発明の微生物電極の概要を説明する。
図の下部に記載されているのは微生物を固定した微生物膜、図の上部に記載されているのは酸素電極で、酸素電極の酸素透過膜が微生物膜に接触するように組み合わされて微生物電極となる。
【0026】
酸素電極はその先端に内外を隔離する酸素透過膜5を備え、電極内部にはカソード1とアノード3を備えている。カソード1は酸素透過膜5に接触しており、カソード1とアノード3との間には内部液9が介在している。さらに、電極内部にカソード1の側方を包囲するカソード保護体12が設けられ、カソード保護体12の先端位置はカソード1の先端位置とほぼ同一面になるように配置されている。カソード保護体12の先端も酸素透過膜5に接触している。
【0027】
カソード1は白金又は金を用いる。金の場合、カソード絶縁体10はエポキシ樹脂、フッ素樹脂などのプラスチックで構成することが望ましい。白金の場合はカソード絶縁体10をガラスとし、白金を封入して用いることができる。これは白金とガラスの熱膨張率が近く密着性が良いことと、ガラスに封入する際の熱加工温度に白金が耐えるためである。
【0028】
アノード3にはアルミニウムを用いる。アルミニウムの形状は棒材であってもよいが、管材をカソード絶縁体10の周りに配置して用いると比較的狭い空間にアノード3を作ることができるので望ましい。アルミニウムは比較的毒性の低い軽金属であり内部液の交換などにより有害廃棄物が出ない点が優れている。また鉛をアノードとして用いる場合は加工時の作業環境に注意を払う必要があるが、アルミニウムの場合は粉塵の発生を防げばよい。
【0029】
内部液9には二塩基酸又はその塩を用いることが望ましい。二塩基酸としてはクエン酸、乳酸、リンゴ酸などの有機酸を例示できる。これらの有機酸は安価であると共に、揮発性が低いために酢酸などの酸に比べて臭気がない、長時間安定であるなどの利点がある。特にクエン酸は溶解度も高く、試薬で保管する際の安定性に優れるため好適である。二塩基酸に防菌の目的でアジ化ナトリウムなどの制菌剤を添加することができる。
【0030】
二塩基酸の濃度としては10mMから1M程度の濃度が望ましい。あまり低い濃度ではアルミニウムとの反応で酸が消費されてしまい長期間の安定性が確保できない。逆に濃すぎると塩が析出しやすく不適である。
【0031】
また従来白金と他の卑金属を組み合わせたガルバニ型酸素電極の内部液としては塩化カリウムが用いられる例が多かったが、塩化カリウムを用いた場合は、ノイズが大きくなる傾向があり、高精度計測に不適である。二塩基酸を用いることにより長期間安定な測定が可能である理由は、まず沈殿が生成しないことが挙げられる。これは二塩基酸がアルミニウムのキレート剤として作用することによると考えられる。
【0032】
また、アルカリ性の内部液では二酸化炭素が溶解することにより内部液pHが変動して精度の低下をもたらすことがある。一方、二塩基酸を用いた場合は、溶液のpHが酸性となり、微生物の酸素消費と同時に発生する二酸化炭素が溶解しないため、影響を受けにくい点も利点である。
さらに、二塩基酸又はその塩と、塩化ナトリウムや塩化カリウムなどの電解質を併用することもできる。電解質を共存させることにより、酸素以外のガスの溶解度を制限し、さらに精度を向上することができる。
【0033】
酸素透過膜5はフッ素樹脂、ポリエチレンなどの樹脂フィルムが利用される。酸素透過膜5はカソード1の周囲を包囲する保護体12の上から被せられ、外筒7の先端部材6との間にOリングからなるシール材8が挿入されて固定されている。
【0034】
カソード1の表面では酸素の還元が起き、アノード3の表面ではアルミニウムの酸化が進む。その結果、カソード1のリード線2とアノード3のリード線4の間には酸素濃度に比例する電流が流れる。
【0035】
この構造を採ることにより、図3の従来型酸素電極に比べて酸素透過膜5に無理な力がかからないため、膜厚を薄くすることが可能である。酸素透過膜の膜厚は8μmから1000μm程度の範囲で変えることができるが、取り扱いの容易さと応答速度を勘案し、10〜50μm程度の厚みが望ましい。25μm厚みのフッ素樹脂膜を用いた場合に、空気飽和の蒸留水中で安定化し、窒素ガスで除酸素した蒸留水に浸漬した場合の、出力値がゼロになるまでの応答時間は25℃で約10秒であった。
【0036】
同様に、50μm厚みの酸素透過膜を用いた場合の応答時間は約40秒、100μm厚みの酸素透過膜では約2分、200μm厚みの酸素透過膜では約5分となった。微生物の酸素吸収に正確に追従するには応答時間が1分以内であることが望ましい。
【0037】
微生物膜は多孔膜13、14を接着剤又は両面粘着テープ15で張り合わせ、微生物16を固定化する。この微生物を置く場合に、その移動を妨ぐためにガラス繊維などから成る充填材を配置しても良いし、接着剤又は両面粘着テープ15の厚みを薄くすることにより微生物の移動を防ぐ程度に2枚の多孔膜を近接させてもよい。
【0038】
多孔膜は内部に置かれた微生物が漏れ出さず、かつ試料側から他の微生物が混入しない程度の孔径を有するものを利用するが、孔径が0.1〜1μmの範囲のものが望ましい。多孔膜の材質は、再生セルロース、アセチルセルロース、フッ素樹脂、ポリフッ化ビニリデン、ポリスルホンなどの各種の材質を用いることができるが、有機物の付着が少なく、親水性に富むポリフッ化ビニリデン、ポリスルホンを用いることが望ましい。
【0039】
この微生物電極は、酸素電極の酸素透過膜5を介してカソード1を微生物固定化膜に圧接させる。この構成では保護体12が微生物膜に押し当てられ、保護体12及びカソード1でほぼ水平に保たれた酸素透過膜5が微生物16の固定化部分に接触することになる。従来の酸素電極では酸素透過膜に無理な力がかかっているため微生物膜と圧接することにより膜が破損して内部液が漏れることがあったが、本発明の酸素電極ではその可能性は少ない。
【0040】
この酸素電極を利用し固定化微生物膜と組み合わせた微生物電極は、測定装置で利用することができる。そのような測定装置の一例は、測定対象試料、洗浄液、標準液を切り替える機構と、各液を吸引する機構と、別途緩衝液を送液する機構を備え、切り替えられたいずれかの液に緩衝液を混合し、混合された液に空気を送り、その気液混合物を微生物電極に接触させ、洗浄液の送液されている際の酸素電極指示値と、標準液又は試料が送液されている酸素電極指示値の差を記憶し、標準液と試料に対する酸素電極指示値の差を比較演算する機能を有する。
【0041】
図2を用いてその測定装置の概要を説明する。装置全体は筐体34に組み込まれている。緩衝液20はポンプ24を用い一定速度で吸引されている。もうひとつのポンプ25も一定速度で動作している。試料水17、洗浄液18、標準液19はチューブでポンプ25とつながれるが、ポンプと各液はバルブ21、22、及び23で区切られている。基本的にこのバルブのどれか1つが開放され、その結果、試料水、洗浄液、標準液のいずれかが合流点26で緩衝液と合流する。合流後、恒温槽35中に配置されたチューブ28に流入する。エアポンプ27で空気を吹き込み、気液混合体が微生物電極29に流れ込む。酸素電極30の出力は電気回路32でデジタル化後解析され、プリンター33に出力される。分析後の廃水は廃水ボトル31に廃棄される。
【0042】
各部をつなぐチューブは、シリコン、フッ素樹脂、ポリエチレンなどの樹脂チューブを使用できる。その内径は0.5〜5mm程度を利用できるが、細すぎると試料中の不溶物が詰まる可能性があり、太すぎると試料が通過するのに時間がかかりすぎるので1.0〜3mm程度のものが望ましい。用いるポンプ24,25は分析中に安定な流量が得られればよいが、試料中の不溶物が詰まりにくいチューブポンプが好適である。流量は0.1〜10mL/分程度で分析する場合が多いが、分析時間と試料、緩衝液などの消費量を考え、0.5〜4mL/分程度が好適である。
【0043】
同様にバルブ21,22,23もチューブを挟み込むことにより閉鎖されるピンチバルブが不溶物が詰まることによる故障を避ける意味で好適である。
緩衝液20は使用する微生物に合わせてリン酸塩、ホウ酸塩などを利用し、各種pHの一般的組成のものが使用できる。ただし、試料中の有機物を測定する場合は、微生物により利用される有機物を含む緩衝液を利用することはできない。
【0044】
恒温槽35の温度は微生物に合わせて変化させる。特にその微生物の至適生育温度を利用すると酸素消費量が最大になる場合が多い。場合により加温ではなく冷却が必要になる場合がある。
【0045】
【実施例】
以下に実施例を挙げて、本発明の内容をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0046】
(実施例1)
(1)酸素電極
図1の酸素電極において、カソード1は直径2mmの白金棒からなり、外径4mmの軟質ガラスからなるカソード絶縁体10に封入されている。アノード3は内径4mm、外径6mmのアルミニウム管からカソード絶縁体10の周りに配置されている。内部液9として0.5Mのクエン酸溶液を用いた。酸素透過膜5は厚み25μmのフッ素樹脂膜を用いた。
【0047】
(2)微生物膜の作成方法
Trichosporon cutaneum(IFO−10466株)を培養し、固定化した。培養液の濁度を660nmで測定し、濁度2の培養液50・Lを固定化に用いた。固定化に用いる多孔膜13,14としては、孔径0.45μmの親水性Durapore膜(ミリポア社製)を直径18mmに打ち抜いたものを用いた。2枚の多孔膜13,14を貼り合わせるために、両面粘着テープ15としてポリエステルベース両面接着テープ(日東電工製)を用いた。
【0048】
(3)測定装置
図2の装置に前記微生物固定化膜と前記酸素電極を装着した。恒温槽35の温度を35℃とし、緩衝液20として100mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)を流量0.5mL/分で送液した。標準液19としてグルコース/グルタミン酸混合液を用いた。その濃度はBOD値として20mg/Lとした。洗浄液18には蒸留水を用いた。試料17として、標準液と同じくグルコース/グルタミン酸混合液を用い、その濃度はBOD値として10mg/Lとした。これらの標準液、洗浄液、試料の流量は1.5mL/分とした。
標準液を5分間流した後、15分間洗浄を行い、試料を各々1、3、及び5分間送液する。標準液に対する応答値Aを試料に対する応答値Bを比較して試料の濃度Cを計算した。つまりC=20×(B/A)として算出した。
【0049】
(4)測定結果
もし充分に電極の応答速度が早ければ試料濃度は正しく計算されるはずであるが、逆に遅ければ低めの値になるはずである。その結果を表1に示す。表1よりほぼ3分間の送液で一定値が得られていることが分かる。
【0050】
(比較例1)
電極として図2の構造を有し、カソードが白金であり、アノードが鉛であり、内部液に1%水酸化ナトリウムを用い、酸素透過膜の厚みが100μmのフッ素樹脂を用いた以外、実施例1と同様構造として、同じ条件で測定を行った。
その結果も表1に合わせて示す。比較例1では、5分間の送液を行っても正しい値が得られず応答速度に著しい差異があることが分かった。
【0051】
【表1】
Figure 2004132915
【0052】
(実施例2)
実施例1記載の電極及び装置を用い、35℃で連続的に運転を行った。1ヶ月毎に電極を取り出し、25℃における空気飽和水と窒素ガスにより酸素を除いた水に交互に電極を浸漬し、その応答速度を評価した。その結果を表2に示す。
6ヶ月まで応答速度に変化がないことが分かった。この結果から本発明の電極は応答速度及び安定性の点で優れることが分かった。
【0053】
(比較例2)
比較例1記載の電極及び装置を用い、35℃で連続的に運転を行った。1ヶ月毎に電極を取り出し、25℃における空気飽和水と窒素ガスにより酸素を除いた水に交互に電極を浸漬し、その応答速度を評価した。その結果も表2に示す。
応答時間自体が実施例2に比べて遅いが、3ヶ月目までは大きな変化はなかった。しかし4ヶ月目で著しく遅くなり、6ヶ月目では出力自体が小さくなって測定不能となった。この状態で分解すると内部液自体が酸化鉛の沈殿で濁っており、その結果、正常な動作ができなくなったものと考えられる。
【0054】
【表2】
Figure 2004132915
【0055】
【発明の効果】
本発明の酸素電極は、電極内部にカソードの側方を包囲するカソード保護体を設け、このカソード保護体の先端位置をカソードの先端位置とほぼ同一面になるように配置し、このカソード保護体の先端も酸素透過膜に接触させたので、酸素透過膜は保護体及びカソードでほぼ水平に保たれることになり、酸素透過膜に無理な力がかからず、酸素透過膜の膜厚を薄くして応答速度を速くすることができる。
アノードとしてアルミニウムを用い、内部液として少なくとも二塩基酸又はその塩を含む溶液を用いる場合には、沈殿が生成せず、長期間安定な測定が可能になり、またノイズも小さい。
本発明の酸素電極を備えた微生物電極、さらにその微生物電極を備えた測定装置は、応答速度を速くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施例の微生物電極を示す概略断面図である。
【図2】一実施例の測定装置を示す流路図である。
【図3】従来の酸素電極を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1   カソード
3   アノード
5   酸素透過膜
9   内部液
10   カソード絶縁体
12   保護体
13,14   多孔膜
16   微生物
17   試料水
18   洗浄液
19   標準液
20   緩衝液
21,22,23   バルブ
25   ポンプ
27   エアポンプ
29   微生物電極
30   酸素電極
35   恒温槽

Claims (6)

  1. 先端に内外を隔離する酸素透過膜を備え、内部にはカソードとアノードを備え、前記カソードを前記酸素透過膜に接触させるとともに、前記カソードとアノードとの間には内部液を介在させたガルバニ型酸素電極において、
    この電極内部に前記カソードの側方を包囲するカソード保護体を設け、このカソード保護体の先端位置を前記カソードの先端位置とほぼ同一面になるように配置し、このカソード保護体の先端も前記酸素透過膜に接触させたことを特徴とする酸素電極。
  2. 前記カソードが白金又は金からなり、前記アノードがアルミニウムからなる請求項1記載の酸素電極。
  3. 前記酸素透過膜は膜厚が8μmから50μmの範囲にある請求項1又は2に記載の酸素電極。
  4. 前記内部液が少なくとも二塩基酸又はその塩類を含む溶液からなる請求項1,2又は3に記載の酸素電極。
  5. 多孔膜に微生物を固定化した微生物固定化膜と、酸素透過膜が前記微生物固定化膜に接触させられ電気化学的に酸素濃度を検出する酸素電極とを備え、前記微生物固定化膜の酸素電極と接する面とは逆の面に試料を接触させて試料中の化学物質を前記多孔膜を透過させ、微生物が試料中の化学物質を生物変換する際に消費される酸素の吸収を前記酸素電極により検知して化学物質濃度を測定する微生物電極において、
    前記酸素電極が請求項1から4のいずれかに記載の酸素電極であることを特徴とする微生物電極。
  6. 測定対象試料、洗浄液、標準液を切り替える機構と、各液を吸引する機構と、別途緩衝液を送液する機構を備え、前記切り替えられたいずれかの液に緩衝液を混合し、混合された液に空気を送り、該気液混合物を微生物電極に接触させて化学物質濃度を測定する測定装置において、
    前記微生物電極が請求項5に記載の微生物電極であることを特徴とする測定装置。
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