JP2004129625A - カットフルーツの保存方法 - Google Patents

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Yutaka Kiuchi
木内 裕
Katsumi Tanaka
田中 克己
Chiaki Shimabara
島原 千晶
Yoshinori Kushibiki
櫛引 美紀
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Abstract

【課題】簡便な操作により、従来よりも長い期間にわたってカットフルーツを安定に保存することができる方法を提供すること。
【解決手段】Brix糖度が5以上、酸度が0.2以上、pHが4.6以下の果汁を含むカットフルーツを、当該果汁と実質的に同等の糖度、酸度およびpHを有する保存液中に浸漬することを特徴とするカットフルーツの保存方法。
【選択図】   なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はカットフルーツの保存方法に関するものである。また、カットフルーツの効率のよい製造・使用方法にも関するものである。
【0002】
【従来の技術】
パイナップル、グレープフルーツ、キウイ等のフルーツをカットしたカットフルーツが、容器に小分けした形態で広く市販されている。これらの市販されているカットフルーツは、適当なサイズにカットされていてフルーツの皮を取り除く手間がかからないことから、喫食時の利便性が極めて高い。このため、消費者の人気は高く、カットフルーツの売上は堅調である。
【0003】
カットフルーツには、利便性とともに鮮度が高いことが求められており、食するときのジューシーさ、食感、香りが皮を剥いた直後のフルーツと同様であることが要求されている。しかしながら、フルーツはいったん皮を剥くと、すぐに乾燥や褐変が始まり、香りが減少してしまう。このため、皮を剥いた状態で長時間鮮度を維持することは困難であった。すなわち、皮を剥ぐことにより利便性を高めようとすると、鮮度の低下を免れることができないため、このような相反する事項をいかに両立させて長期保存が可能なカットフルーツを提供するかが製造業者にとって大きな課題となっていた。
【0004】
そこで従来は、遠隔地で生産されたフルーツをカットせずに加工工場まで輸送し、加工工場でカットフルーツにして鮮度が落ちないうちに出荷する方法が採られていた。しかしこの方法では、加工工場でフルーツの皮、芯、ヘタなどの廃棄物が多量に生じてしまい、輸送コストと生産量のバランスが悪い。また、カットフルーツの保存性が悪いため、計画生産をすることができず、カットしてから長時間経過したカットフルーツを破棄しなければならなかった。このため、製造コストが高くついてしまうという問題があった。
【0005】
カットフルーツの保存性を改善する方法については、これまでにも幾つかの提案がなされている。例えば、特許文献1には、カットフルーツを酸素難透過性の資材からなる袋に入れ、袋内を脱気して密封したり紫外線を照射したりすることが提案されている。しかしながら、この方法では製造設備に投資が必要で、製造コストがより高くなってしまう。このため、保存性が高いカットフルーツを安価に製造することができ、計画生産を可能にするような方法が求められていた。
【特許文献1】特開平6−90660号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
これらの従来技術の問題点を考慮して、本発明は、簡便な操作により、従来よりも長い期間にわたってカットフルーツを安定に保存することができる方法を提供することを課題とした。また、本発明は、製造コストが低くて、計画生産が可能なカットフルーツの製造・使用方法を提供することも課題とした。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、特定の保存液中にカットフルーツを浸漬することによって優れた効果が得られることを見出し、本発明に到達した。
すなわち本発明は、Brix糖度が5以上、酸度が0.2以上、pHが4.6以下の果汁を含むカットフルーツを、当該果汁と実質的に同等の糖度、酸度およびpHを有する保存液中に浸漬することを特徴とするカットフルーツの保存方法を提供する。
【0008】
本発明で保存するカットフルーツとしては、柑橘類、リンゴ、ブドウ、パイナップル、核果類、西洋ナシ、イチゴ、ベリー類、パッションフルーツ、グアバ、マンゴー、キウイからなる群から選択されるフルーツをカットしたものを例示することができる。また、本発明で用いる保存液は、保存するカットフルーツの果汁を50重量%以上含むことが好ましい。また、保存液の温度は10℃以下であることが好ましい。
【0009】
また本発明は、Brix糖度が5以上、酸度が0.2以上、pHが4.6以下の果汁を含むフルーツの産地またはその近隣にて当該フルーツをカットフルーツの形態にし、当該カットフルーツを当該果汁と実質的に同等の糖度、酸度およびpHを有する保存液中に浸漬した状態で消費地に輸送し、消費地でカットフルーツを保存液から取り出して使用することを特徴とするフルーツの使用方法も提供する。
【0010】
さらに本発明は、Brix糖度が5以上、酸度が0.2以上、pHが4.6以下の果汁を含むカットフルーツを、当該果汁と実質的に同等の糖度、酸度およびpHを有する保存液中に浸漬した後、保存液からカットフルーツを取り出して包装することによりカットフルーツ商品とし、当該カットフルーツ商品を販売する方法において、あらかじめ十分な量のカットフルーツを前記保存液中に浸漬しておき、カットフルーツ商品の販売量に応じて、保存液からカットフルーツを取り出してカットフルーツ商品にする量を制御することを特徴とする方法も提供する。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下において、本発明のカットフルーツの保存方法について詳細に説明する。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
【0012】
本発明のカットフルーツの保存方法は、カットフルーツを、カットフルーツに含まれる果汁と実質的に同等の糖度、酸度およびpHを有する保存液中に浸漬することを特徴とするものである。
【0013】
本発明の方法により保存することができるフルーツは、果汁のBrix糖度が5以上、酸度が0.2以上、pHが4.6以下であるフルーツである。なお、ここでいう果汁とは、保存しようとするカットフルーツに含まれている果汁を意味するものである。カットフルーツに含まれる果汁が一様でなく、部位によって果汁の糖度等が異なる場合は、カットフルーツに含まれる全果汁を均一に攪拌したものをもってここでいう果汁とする。
【0014】
上記の条件を満たすフルーツであれば、その種類を問わずに本発明の保存方法を適用することができる。好ましいフルーツは、pHが4.2以下の果汁を含むフルーツである。具体的には、柑橘類(例えばみかん、オレンジ、グレープフルーツ、レモン)、リンゴ、ブドウ、パイナップル、核果類(例えば桃、杏、プラム、梅)、西洋ナシ、イチゴ、ベリー類(例えばラズベリー、ブルーベリー)、パッションフルーツ、グァバ、マンゴー、キウイなどを挙げることができる。
【0015】
これらのフルーツは、カットフルーツにする前に表皮を洗浄することが好ましい。例えば、ブラシで水洗するなどの方法により、表皮に付着した異物、昆虫、残留農薬などを除去することができる。その後、フルーツの表皮を殺菌することが好ましい。殺菌は、酵母や大腸菌群等を殺菌することができる温水(通常75℃以上)やアルコール製剤、塩素系製剤を用いて行うことができる。このような表皮の洗浄や殺菌を行うことによって、カットフルーツにする際の2次汚染を防止することができる。
【0016】
本発明で保存することができるカットフルーツの形態は特に制限されない。少なくとも果肉が表面に現れている部分が存在するものであれば、本発明でいうカットフルーツの概念に含まれる。したがって、表皮を完全に除去して果肉のみが表面に現れているものの他に、例えば8等分したリンゴのように、表皮が残っている部分と果肉が表面に現れている部分からなるものもカットフルーツの概念に含まれる。また、保存するカットフルーツには、リンゴの芯やブドウの種のように通常は食さない部分が含まれていても構わない。このような種々のカットフルーツの中でも、果肉のみが表面に現れているカットフルーツを保存する場合に、本発明をより効果的に適用し得る。なお、本発明でいうカットフルーツは、必ずしも刃物で切ることによって得られるものに限らず、割ったり、表皮を剥いたり溶かしたりして得られるものであっても構わない。
【0017】
カットフルーツのサイズや形状は特に制限されず、現に流通段階におかれているカットフルーツや消費者向けに販売されているカットフルーツのサイズや形状を採用することができる。例えば、スティック状、シリンダー状、短冊状にすることができ、輪切りにすることもできる。これらのサイズや形状は、目的に応じて適宜決定することができる。
【0018】
本発明によって保存することができるカットフルーツの具体例として、リンゴを芯取りして皮付きのままカットしたもの、イチゴのヘタの部分をカットして除去したもの、オレンジを剥皮したもの、ブドウを剥皮したもの、パイナップルを剥皮し芯取りしてカットしたものなどを挙げることができる。
【0019】
本発明では、このようなカットフルーツを、カットフルーツに含まれる果汁と実質的に同等の糖度、酸度およびpHを有する保存液中に浸漬する。ここでいう実質的に同等の糖度および酸度とは、Brix糖度が5以上であってカットフルーツに含まれる果汁のBrix糖度の±6の範囲内にあり、酸度が0.2以上であってカットフルーツに含まれる果汁の酸度の±0.5の範囲内にあることを意味する。
【0020】
保存液のBrix糖度は、5以上であってカットフルーツに含まれる果汁のBrix糖度の±5の範囲内にあることがより好ましく、5以上であってカットフルーツに含まれる果汁のBrix糖度の±3の範囲内にあることがさらに好ましく、5以上であってカットフルーツに含まれる果汁のBrix糖度の±2の範囲内にあることがさらにより好ましく、5以上であってカットフルーツに含まれる果汁のBrix糖度の±1の範囲内にあることが特に好ましい。
【0021】
保存液の酸度は、0.2以上であってカットフルーツに含まれる果汁の酸度の±0.4の範囲内にあることがより好ましく、0.2以上であってカットフルーツに含まれる果汁の酸度の±0.3の範囲内にあることがより好ましく、0.2以上であってカットフルーツに含まれる果汁の酸度の±0.2の範囲内にあることがさらにより好ましく、0.2以上であってカットフルーツに含まれる果汁の酸度の±0.1の範囲内にあることが特に好ましい。
【0022】
保存液のpHは、保存液の酸度を上記範囲に調整することによって、自ずとカットフルーツの果汁のpHに近い範囲に調整される。保存液のpHは4.6以下であり、4.2以下であることが好ましい。
【0023】
パイナップルのカットフルーツを保存する場合、保存液の糖度は9.0〜17.0の範囲内で選択し、酸度は0.70〜2.50の範囲内で選択することが好ましい。オレンジのカットフルーツを保存する場合、保存液の糖度は9.0〜15.0の範囲内で選択し、酸度は1.00〜2.50の範囲内で選択することが好ましい。グレープフルーツのカットフルーツを保存する場合、保存液の糖度は6.0〜12.0の範囲内で選択し、酸度は1.00〜2.50の範囲内で選択することが好ましい。キウイのカットフルーツを保存する場合、保存液の糖度は11.0〜16.0の範囲内で選択し、酸度は1.50〜2.50の範囲内で選択することが好ましい。マンゴのカットフルーツを保存する場合、保存液の糖度は10.0〜18.0の範囲内で選択し、酸度は0.15〜2.50の範囲内で選択することが好ましい。リンゴのカットフルーツを保存する場合、保存液の糖度は11.0〜15.0の範囲内で選択し、酸度は0.20〜0.80の範囲内で選択することが好ましい。これらの糖度や酸度は、フルーツの産地、収穫時期、品種などにより異なるため、保存しようとするカットフルーツに含まれる果汁の糖度や酸度を測定したうえで保存液を調整することが好ましい。
【0024】
保存液の糖度は、甘みのある糖類を添加することによって調整することができる。甘みのある糖類としては、砂糖、果糖、ぶどう糖、ぶどう糖果糖液糖、果糖ぶどう糖液糖などを例示することができる。
保存液の酸度は、食品に添加しうる酸やアルカリを用いて調整することができる。食品に添加することができる酸としては、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸などの有機酸を例示することができる。
好ましいのは、保存するカットフルーツに含まれている糖や酸と同じ種類の糖や酸を用いて保存液の糖度と酸度を調整する場合である。
【0025】
本発明の方法に用いる保存液には、保存しようとするフルーツの果汁が含まれていることが好ましい。保存しようとするフルーツの果汁は、保存液の50重量%以上含まれていることが好ましく、65重量%以上含まれていることがより好ましく、80重量%以上含まれていることがさらに好ましい。また、保存しようとするフルーツの果汁そのものを、保存液として用いてもよい。使用するフルーツの果汁は、フルーツから搾出した未処理の果汁であってもよいし、濃縮した果汁を希釈して還元した果汁であってもよい。
【0026】
保存液には、種々の添加物を添加することができる。例えば、カットフルーツの褐変防止を目的として酸化防止剤を添加することができる。酸化防止剤としては、例えばアスコルビン酸などを例示することができる。アスコルビン酸は、保存液の0.01〜0.5重量%で添加することが好ましく、0.05〜0.3重量%で添加することが好ましい。アスコルビン酸などの酸化防止剤を添加した保存液にカットフルーツを浸漬しておけば、カットフルーツを保存液から取り出した状態でも果肉の褐変を抑制することができる。したがって、カットフルーツを保存液から取り出して、トレー詰めして市販する場合などに有効である。
【0027】
本発明の方法に用いる保存液は、殺菌または除菌しておくことが好ましい。殺菌や除菌の方法は、通常用いられている方法の中から適宜選択することができる。例えば、加熱殺菌やフィルター濾過などの方法を採用することができる。これによって、一般生菌数と真菌数を300cfu/g未満にしておくことが好ましい。また、処理後の保存液に対して大腸菌群の検出試験を行って、陰性であることを確認しておくことが好ましい。
【0028】
本発明にしたがってカットフルーツを保存液に浸漬するとき、少なくともカットフルーツの果肉部分が完全に保存液に接触するように浸漬することが好ましい。特に、カットフルーツ全体が保存液中に浸かる状態におくことが好ましい。具体的には、カットフルーツを浸漬した保存液を袋や容器に入れ、空気が入らないように密封した状態におくことが好ましい。空気が入らないように密封することによって、微生物の増殖を抑制し、カットフルーツの酸化を防止することができる。カットフルーツと保存液の重量比は特に制限されないが、1:1〜3:1であることが好ましく、1.5:1〜2.5:1であることがより好ましく、約2:1であることがさらにより好ましい。
【0029】
カットフルーツを浸漬した保存液の温度は、10℃以下の未凍結温度にすることが好ましく、1〜5℃にすることがより好ましい。このような低温に制御することによって、カビ、酵母、細菌などの二次汚染菌の増殖を抑制することができる。また、カットフルーツを保存液に浸漬する時間は特に制限されないが、長期間になるとカットフルーツの風味の熟成が進み、鮮度感が低下したり、果肉の食感が軟らかくなる傾向がある。従って、保存するカットフルーツの性状、及び最終製品の目標品質に応じて浸漬する期間を決めることが望ましい。概ね、カットフルーツを保存液に浸漬する期間は、通常20日以内であり、14日以内であることが好ましく、10日以内であることがより好ましい。
【0030】
保存液に浸漬したカットフルーツは、必要に応じて保存液から取り出して使用する。保存液から取り出した後の使用形態は使用目的に応じて適宜決定することができる。例えば、カットフルーツを商品として販売するときは、カットフルーツを容器や袋に詰めて密封し、出荷・販売する。このとき、カットフルーツを入れた容器や袋は冷蔵状態におくことが好ましい。また、必要に応じて、上記特許文献1に記載の技術を適宜採用してもよい。
【0031】
本発明にしたがって、保存液にカットフルーツを浸漬しておくことにより、カットフルーツの鮮度を良好に維持することができ、カットフルーツの賞味期限を延ばすことができる。すなわち、本発明にしたがって保存液に浸漬したカットフルーツは、保存液から取り出して水切りをした後も長時間鮮度を維持することができる。例えば、パイナップルやオレンジのカットフルーツについては、保存液に浸漬することによって水切り後の賞味期間が約2倍に延びることが確認されている。しかも、水切り後の賞味期間が延びる効果は、保存液への浸漬時間の長短によらずほぼ一定であることも確認されている。すなわち、保存液への浸漬時間が短い場合であっても、保存液への浸漬時間が長い場合と同様に、水切り後の賞味期間が延びる。したがって、保存液への浸漬時間の長さを適宜調節することによって、フルーツをカットした後の賞味期間を自由に制御することができる。
【0032】
このような特徴を有することから、本発明のカットフルーツの保存方法は、産業界において様々な形態で利用することができる。特に、カットフルーツを保存液に浸漬した状態で輸送したり保管したりしておき、販売や使用前に保存液から取り出して適宜トレー詰め等を行うことができる点で本発明は極めて有用である。すなわち本発明に寄れば、フルーツの産地やその近隣でカットフルーツの形態にし、これを保存液に浸漬した状態で消費地に輸送し、消費地でカットフルーツを保存液から取り出して利用・販売することが可能になる。このような方式を採用すれば、表皮、芯、ヘタなどを産地で分離し、必要とされるカットフルーツのみを消費地に運ぶことができる。また、カットフルーツにすることによって、輸送時の積荷をかなりコンパクトにすることができる。このため、輸送費用と労力を大幅に削減することが可能である。
【0033】
また、本発明によれば、カットフルーツの効率的な製造販売計画や利用計画を策定しやすいという利点もある。すなわち、カットフルーツを保存液に浸漬しておけば鮮度を維持したまま長期間保存することができるため、必要時にカットフルーツを保存液から取り出して使用・販売すれば効率よくカットフルーツを利用することができる。したがって、十分な量のカットフルーツをあらかじめ保存液中に浸漬しておき、カットフルーツの使用状況や販売状況に応じて、適宜、カットフルーツを保存液から取り出して使用・販売することが可能である。フルーツは季節物であることから、一時期に大量のカットフルーツを製造して保存液中に浸漬保存しておくことができる本発明は極めて有用である。このほかにも、様々な形態で本発明を利用することが可能である。
【0034】
【実施例】
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
【0035】
(実施例1)
パイナップルの表皮をブラシで擦りながら水洗し、80℃の温水に10〜20秒浸漬することによって表皮を殺菌した。その後、パイナップルをトリミングカットして、1個あたり15〜30gのカットフルーツを得た。このパイナップルの果汁を取得して分析したところ、Brix糖度は16、酸度は1.4、pHは3.6であった。
これとは別にパイナップルの果汁を用意し、当該果汁にアスコルビン酸を0.1重量%添加して80〜90℃で30〜60秒殺菌して保存液とした。得られた保存液のBrix糖度は16、酸度は1.1、pHは3.7であった。この保存液の中に、上記のカットフルーツをカット後ただちに浸漬して、空気が入らないように注意しながら袋詰めした。このとき、カットフルーツと保存液の重量比は2:1とした。
保存液中のカットフルーツを袋詰めしたまま5℃で7日間保存した。その後、袋を開けてカットフルーツのみを取り出して保存液を切り、トレーにカットフルーツを詰めて10℃で保存した。
【0036】
(実施例2)
保存液の組成と保存液中でのカットフルーツの浸漬期間を変更して、実施例1と同じ処理を行った。
保存液は、殺菌済みの濃縮還元パイナップル果汁(果汁100%)に0.1重量%のアスコルビン酸を添加したものを用いた。この保存液のBrix糖度は11、酸度は1.0、pHは3.4であった。また、この保存液中におけるカットフルーツの浸漬期間を3日間とした。
【0037】
(実施例3)
保存液の組成を変更して、実施例1と同じ処理を行った。
保存液は、殺菌済みの75重量%パイナップル果汁に上白糖4重量%、クエン酸0.2重量%、アスコルビン酸0.1重量%を添加したものを用いた。この保存液のBrix糖度は15、酸度は1.0、pHは3.5であった。
【0038】
(実施例4)
保存液の組成と保存液中でのカットフルーツの浸漬期間を変更して、実施例1と同じ処理を行った。
保存液は、殺菌済みの濃縮還元パイナップル果汁(果汁100%)に上白糖8重量%、クエン酸0.1重量%、アスコルビン酸0.1重量%を添加したものを用いた。この保存液のBrix糖度は19、酸度は1.1、pHは3.4であった。また、この保存液中におけるカットフルーツの浸漬は5℃で3日間とした。
【0039】
(実施例5)
オレンジの表皮をブラシで擦りながら水洗し、80℃の温水に10〜20秒浸漬することによって表皮を殺菌した。その後、オレンジを8分の1にトリミングカットして、カットフルーツを得た。このオレンジの果汁を取得して分析したところ、Brix糖度は9.6、酸度は1.0、pHは4.0であった。
これとは別に殺菌済み濃縮還元オレンジ果汁(果汁100%)を用意し、当該果汁にアスコルビン酸を0.1重量%添加して保存液とした。得られた保存液のBrix糖度は10、酸度は0.7、pHは4.1であった。この保存液の中に、上記のカットフルーツをカット後ただちに浸漬して、空気が入らないように注意しながら袋詰めした。このとき、カットフルーツと保存液の重量比は2:1とした。
保存液中のカットフルーツを袋詰めしたまま1.5℃で10日間保存した。その後、袋を開けてカットフルーツのみを取り出して保存液を切り、トレーにカットフルーツを詰めて10℃で保存した。
【0040】
(比較例1)
パイナップルの表皮をブラシで擦りながら水洗し、80〜85℃の温水シャワーに15秒あてることによって表皮を殺菌した。その後、パイナップルをトリミングカットして、1個あたり15〜30gのカットフルーツを得た。このカットフルーツをトレーに詰めて10℃で保存した。
【0041】
(比較例2)
オレンジの表皮をブラシで擦りながら水洗し、80℃の温水に10〜20秒浸漬することによって表皮を殺菌した。その後、オレンジを8分の1にトリミングカットして、カットフルーツを得た。このカットフルーツをトレーに詰めて10℃で保存した。
【0042】
(試験例1)
実施例1〜5および比較例1〜2で保存したカットフルーツの賞味期限を以下の方法により調べた。
毎日トレーからカットフルーツを取り出して、一般生菌数と酵母数を測定した。一般生菌数は、常法通り、標準寒天培地で30℃、2日間培養した後に測定し、酵母数は0.01%クロラムフェニコール添加ポテトデキストロース寒天培地で、25℃、3日間培養した後に測定した。これらの測定はサンプルを3つずつ取得して行い、その平均値をもって測定値とした。一般生菌数が1x10cfu/gに到達した日か、あるいは、酵母数が3x10cfu/gに到達した日のいずれか早い方を賞味期限とした。結果は表1に示すとおりであった。
【0043】
(試験例2)
実施例1〜5および比較例1〜2で保存したカットフルーツの官能評価を賞味期限日に行った。
カットフルーツの風味と食感を、賞味期限日に実際に試食することにより評価した。また、カットフルーツの離水率を、果肉とドリップの重量比から以下の式により求めた。離水率は10%以下を良好とした。結果は表1に示すとおりであった。
【0044】
【数1】
Figure 2004129625
【0045】
(試験例3)
実施例1〜5および比較例1〜2で保存したカットフルーツの外観を賞味期限日から2日経過後に行った。
外観観察は目視により行い、褐変の有無、カビや酵母のコロニーの有無について観察した。結果は表1に示すとおりであった。
【0046】
【表1】
Figure 2004129625
【0047】
表1から明らかなように、本発明の保存方法によれば、賞味期限が長くなり、カットフルーツの劣化を抑えることができた。特にトレー詰めをした後の賞味期限は、従来法の倍程度に延ばすことができた。また、本発明の保存方法による場合は、保存液の浸漬期間によらず、トレー詰めをした後の賞味期限は一定であった。したがって、保存液への浸漬期間を適宜調節することによって、カット後の賞味期限を自由に設定することができることが確認された。
【0048】
【発明の効果】
本発明の保存方法によれば、簡便な操作により、カットフルーツを従来よりも長い期間にわたって安定に保存することが可能である。また、保存液への浸漬時間を適宜調節することにより、賞味期限を自由に設定することが可能である。したがって、本発明の保存方法は、カットフルーツの製造段階や流通段階において広範に利用され得るものである。

Claims (6)

  1. Brix糖度が5以上、酸度が0.2以上、pHが4.6以下の果汁を含むカットフルーツを、当該果汁と実質的に同等の糖度、酸度およびpHを有する保存液中に浸漬することを特徴とするカットフルーツの保存方法。
  2. 前記カットフルーツが、柑橘類、リンゴ、ブドウ、パイナップル、核果類、西洋ナシ、イチゴ、ベリー類、パッションフルーツ、グアバ、マンゴー、キウイからなる群から選択されるフルーツをカットしたものである請求項1に記載のカットフルーツの保存方法。
  3. 前記保存液が、前記カットフルーツの果汁を50重量%以上含む請求項1または2に記載のカットフルーツの保存方法。
  4. 前記保存液の温度が10℃以下である請求項1〜3のいずれかに記載のカットフルーツの保存方法。
  5. Brix糖度が5以上、酸度が0.2以上、pHが4.6以下の果汁を含むフルーツの産地またはその近隣にて当該フルーツをカットフルーツの形態にし、当該カットフルーツを当該果汁と実質的に同等の糖度、酸度およびpHを有する保存液中に浸漬した状態で消費地に輸送し、消費地でカットフルーツを保存液から取り出して使用することを特徴とするフルーツの使用方法。
  6. Brix糖度が5以上、酸度が0.2以上、pHが4.6以下の果汁を含むカットフルーツを、当該果汁と実質的に同等の糖度、酸度およびpHを有する保存液中に浸漬した後、保存液からカットフルーツを取り出して包装することによりカットフルーツ商品とし、当該カットフルーツ商品を販売する方法において、
    あらかじめ十分な量のカットフルーツを前記保存液中に浸漬しておき、カットフルーツ商品の販売量に応じて、保存液からカットフルーツを取り出してカットフルーツ商品にする量を制御することを特徴とする方法。
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