【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、縦伸び２０％以上、横伸び２０％以上の成型用紙等に好適な伸張紙の製造方法に関する。
【０００２】
【従来の技術】
従来より、食品や飲料水の容器として天然パルプ紙をプレスして作られた皿や筒状の胴部と底板からなるコップ等の紙製成型物が知られている。かかる紙製成型物、特にプレスして作られる皿は紙基材本来の伸び特性によって浅い形状しか得られなかった。
【０００３】
高い伸び特性を有する伸張紙の製造方法としては、従来からクルパック処理やクレープ処理が知られている。しかしながら、クルパック処理やクレープ処理は縦方向のみに圧縮処理されるため、横方向は殆ど変化せず、縦方向一軸のみの伸び特性付与に止まっている。これらの方法で得られた伸張紙を用いたとしても、成型物の形状も狭い範囲に限定されている。
【０００４】
そこで、近年、コルゲート処理形態の予備成型を施し、更に、硬い物質からなりその表面にリブを有し、もう一方より速い速度で回転するローラと、柔らかい物質からなり平滑な表面を有し、もう一方より遅い速度で回転するローラからなる一組のローラ間で凝縮して縦横の伸び特性を同時に付与する技術が提案されている（特許文献１参照）。
【０００５】
【特許文献１】
特表平１１−５０９２７６号公報
【０００６】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献１に記載された技術では、コルゲート処理形態の予備成型が必要であり、製造方法が繁雑になる問題点がある。また、伸び特性は縦２０％、横１６％程度に止まっており、伸び特性が十分でなく、大きな伸びが要求される深絞り成型には対応できないといった問題点がある。
【０００７】
このような状況に鑑み、本発明者等は先に簡単に縦横同時に収縮付与でき、しかも従来紙の概念を超えた高い伸び特性を有する伸張紙の製造方法を提案（特願２００２−９４３８９）した。この伸張紙の製造方法は、収縮付与手段として、硬質ロールの周速度よりも軟質ロールの周速度を遅くして湿紙シートを通紙することによって縦横同時に収縮処理するものであって、表面に溝が設けてある硬質ロールと軟質ロールの間に介在する湿紙シートは各ロールの周速差で発生する剪断力の作用を受け、それによって湿紙シートの縦方向は硬質ロールの谷溝部分に圧縮され縦収縮が付与され、一方、横方向も縦方向の圧縮に伴って谷溝部分に引きずり込まれ収縮が付与されるものであり、充分な剪断力を湿紙シートに作用させるには硬質ロール／紙層／軟質ロールの各界面の摩擦力を維持することである。
【０００８】
前記摩擦力を発現維持して収縮付与効果を高めるには硬質ロールの溝間隔、深さ、溝形状が紙層との接触面積に影響するため重要な要素であるが、軟質ロールも加圧・周速差によって生じる変形で紙層を変形させるので重要な要素となる。軟質ロールは変形による応力を効率良く紙層に伝播することが重要で摩擦力に加え、接触面積や弾性率が影響し、その指標となる圧縮弾性率が大きく関与すると考えられる。然るに、目的である収縮付与効果の面からは圧縮弾性率の範囲を特定することが必須要件であるが圧縮弾性率だけでは材質が基本的に軟質のため紙との摩擦によって軟質ロール表面の摩耗が顕著になり易く、実用性に欠け、逆に実用性を優先して表面強度を高めると目的の収縮付与効果が低減するといった問題がある。
【０００９】
本発明者等は、かかる問題点を解決すべく鋭意検討した結果、収縮付与効果と耐久性の両者を満足できる軟質ロールを見出し、本発明を完成するに至った。
【００１０】
本発明の目的は、軟質ロールの収縮付与効果と耐久性を改善するとともに、伸び特性が縦伸び２０％以上、横伸び２０％以上である伸張紙を簡単に得ることができる伸張紙の製造方法を提供することにある。
【００１１】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係る伸張紙の製造方法は、ロール周面に周方向に沿った溝をロール幅方向に所定の間隔をあけて設けた硬質ロールとロール周面が平坦な軟質ロールから成る一対のプレスロールを備え、前記軟質ロールは耐摩耗性に優れる材質からなる表面層と加圧変形し易い材質からなる内層部とが一体化された２層構造を有しており、加圧下で前記硬質ロールの周速度に対して前記軟質ロールの周速度を遅くして回転するようにした収縮付与装置に、紙中水分が２０％〜５０％の紙シートを通紙して該紙シートに収縮を与え、その後に乾燥することを特徴とする。
【００１２】
このようにすると、硬質ロールと軟質ロールとの間に通紙された紙中水分が２０％〜５０％の紙シートは、硬質ロールと軟質ロールの周速度差で発生する剪断力の作用を受け、それにより紙シートの縦方向は、硬質ロールと軟質ロールの周速度差に相当する分の紙が圧縮され縦収縮が付与され、一方、横方向は、周速度差による圧縮に伴い、硬質ロールの周方向に沿った溝に紙シートが押し込まれ収縮が付与されることになり、これにより、予備成型を必要とせず、従来得られなかった坪量が５０ｇ／ｍ２〜４５０ｇ／ｍ２で縦横共に２０％以上の伸びを示す伸張紙を簡単に得ることができた。
【００１３】
また、前記紙シートに収縮を付与する、硬質ロールとともに紙シートに収縮を付与する軟質ロールは、耐摩耗性に優れる材質からなる表面層と加圧変形し易い材質からなる内層部とが一体化された２層構造を有しているので、紙シートと軟質ロールとの間に、紙シートに収縮を付与するのに十分な剪断力を生じさせる摩擦力が得られるとともに、必要以上の摩擦力が加わらず、軟質ロールの表面の摩耗が押さえられ耐久性の向上が図れる。
【００１４】
前記軟質ロールは、その表面層が耐摩耗性が０．０５ｃｃ／１０００以下の材質から成り、内層部が０．５ＭＰａの圧力で圧縮した時の圧縮変形量が４％以上の材質から成ることが好ましい。
【００１５】
また、前記軟質ロールの表層部と内層部の厚さの比率が表層部：内層部＝５／９５：３０／７０であることが好適である。表層部分の比率が５未満では表面強度が不充分になり、３０を超えると収縮付与効果が不充分になる。
【００１６】
前記軟質ロールの表層部及び／又は内層部の材質にあっては、ポリウレタンゴム、クロルプレンゴム、ニトリルブタジエンゴム、シリコーンゴム、ポリサルファイドゴム、ニトリルゴム、エピクロルヒドリンゴムのいずれかから成ることが好ましい。
【００１７】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明に係る伸張紙の製造方法の実施の形態を説明する。
図１は本発明に係る伸張紙の製造方法を実施する抄紙機の実施の形態の一例を示す概略構成図、図２は本例の収縮付与装置を示す斜視図、図３は本例の収縮付与装置で用いている硬質ロールの縦断面図、図４は硬質ロールの溝の形状の一例を示す一部拡大断面図、図５は本例の収縮付与装置で用いている軟質ロールの断面図である。
【００１８】
本例の抄紙機では、前工程で作られた湿紙シート１Ａをシリンダードライヤーからなる乾燥装置２で予備乾燥して紙中水分を調整し、該水分調整した紙シート１Ｂを収縮付与装置３で所要の収縮を与えて、収縮を与えた紙シート１Ｃをシリンダードライヤーからなる乾燥装置４で乾燥させて伸張紙１Ｄを得、巻取機で巻き取る。
【００１９】
収縮付与装置３は、ロール周面に周方向に沿った溝５をロール幅方向に所定の間隔をあけて設けた硬質ロール６と、ロール周面が平坦な軟質ロール７とからなる一対のプレスロール８を備え、加圧下で前記硬質ロール６の周速度に対して前記軟質ロール７の周速度を遅くして回転するように調整できる周速度調整手段９を備え、且つ硬質ロール６と軟質ロール７との線圧を調整する加圧力調整手段１０を備えた構造になっている。そして、前記硬質ロール６とともに一対のプレスロール８を構成する軟質ロール７は、金属製芯ロール７ａの外周に、耐摩耗性に優れる材質からなる表面層７ｂと加圧変形し易い材質からなる内層部７ｃとが一体化された２層構造を備えた構造となっている。
【００２０】
本発明に係る伸張紙の製造は次のようにして行う。
前記の収縮付与装置３の加圧力調整手段１０により硬質ロール６と軟質ロール７との線圧を調整し、そして周速度調整手段９により硬質ロール６の周速に対して軟質ロール７の周速が遅くなるように調整したうえで、硬質ロール６と軟質ロール７により構成される一対のプレスロール８に、紙中水分が２０％〜５０％になるように乾燥装置２で予備乾燥して水分調整した紙シート１Ｂを通紙する。
【００２１】
ここで、硬質ロール６と軟質ロール７との間に通紙された紙シート１Ｂは、硬質ロール６と軟質ロール７の周速度差で発生する剪断力の作用を受ける。それによって紙シート１Ｂの縦方向は、硬質ロール６と軟質ロール７の周速度差に相当する分の紙層が圧縮され縦収縮が付与される。一方、横方向は、周速度差による圧縮に伴い、硬質ロール６の周方向に沿った溝５に紙層が押し込まれて横収縮が付与される。その後、収縮が付与された紙シート１Ｃを乾燥装置４で所定の水分まで乾燥させる。これにより、坪量が５０ｇ／ｍ２〜４５０ｇ／ｍ２で縦横共に２０％以上の伸びを示す伸張紙１Ｄを簡単に得ることができた。
【００２２】
更に詳しく説明すると、硬質ロール６と軟質ロール７から成り、硬質ロール６の周速に対して軟質ロール７の周速を遅くし、圧力をかけた一対のプレスロール８に紙中水分が２０％〜５０％になるように調整された紙シート１Ｂを通紙する。
【００２３】
高い伸び特性を有する伸張紙１Ｄを容易に製造するには処理時の紙シート１Ｂ中の水分が前記のように紙シート１Ｂの可塑性に影響する重要な要素となり、本発明では、紙シート１Ｂの紙中水分が２０％〜５０％になるように調整している。
【００２４】
また、前記収縮付与装置３の硬質ロール６とともに紙シート１Ｂに収縮を付与する軟質ロール７にあっては、金属製芯ロール７ａの外周に、耐摩耗性に優れる材質からなる表面層７ｂと加圧変形し易い材質からなる内層部７ｃとが一体化された２層構造を備えた構造となっている。このようにすることにより、紙シート１Ｂと軟質ロール７との間に、紙シート１Ｂに収縮を付与するのに十分な剪断力を生じさせる摩擦力が得られるとともに、必要以上の摩擦力が加わらず、軟質ロールの表面の摩耗が押さえられ耐久性の向上が図れる。
【００２５】
前記軟質ロール７は、その表面層７ｂが、耐摩耗性が０．０５ｃｃ／１０００以下の材質から成り、内層部が０．５ＭＰａの圧力で圧縮した時の圧縮変形量が４％以上の材質から成ることが好ましい。本発明において前記耐摩耗性は、摩耗試験機を用い、試験条件として予備摩耗３０００回、本試験１０００回、荷重２７．０Ｎ、砥石角度１５°の条件で摩耗減容量を測定するものである。また、圧縮変形量は、６０ｍｍ×５０ｍｍ×厚さ１１０ｍｍのゴム試験片を圧縮速度１０ｍｍ／分で１．５ｋＮの応力で圧縮した時の変形量を測定するものである。この時、面積３０００ｍｍ２の試験片に対して１．５ｋＮの圧力がかかっているので、０．５ＭＰａの圧力で試験片を圧縮していることになる。
【００２６】
また、軟質ロール７の表層部７ｂと内層部７ｃの厚さの比率が表層部：内層部＝５／９５：３０／７０であることが好適である。表層部７ｂ分の比率が５未満では表面強度が不充分になり、３０を超えると収縮付与効果が不充分になる。
【００２７】
前記軟質ロールの表層部及び／又は内層部の材質にあっては、ポリウレタンゴム、クロルプレンゴム、ニトリルブタジエンゴム、シリコーンゴム、ポリサルファイドゴム、ニトリルゴム、エピクロルヒドリンゴム等が使用できる。
【００２８】
また、前記収縮付与装置３の硬質ロール６と軟質ロール７の圧力、加圧時の硬質ロール６と軟質ロール７の接触長、硬質ロール６と軟質ロール７の周速度差及び硬質ロール６に設けられた溝５の形状等は、硬質ロール６と軟質ロール７の間で発生する剪断力により紙シート１Ｂに収縮を付与するものとして重要な要素となる。
【００２９】
前記硬質ロール６と軟質ロール７の圧力にあっては、線圧１０ｋｇ／ｃｍ〜７０ｋｇ／ｃｍの範囲の加圧下であることが好ましい。この加圧下で紙シート１Ｂと軟質ロール７との間に、紙シート１Ｂに収縮を付与するのに十分な剪断力を生じさせる摩擦力を得ることができる。
【００３０】
また、硬質ロール６と軟質ロール７の周速度差にあっては、硬質ロール６と軟質ロール７の周速度差で発生する剪断力を効率的に紙シート１Ｂの層に作用させるために重要であり、前記硬質ロール６と軟質ロール７とを線圧１０ｋｇ／ｃｍ〜７０ｋｇ／ｃｍの範囲の加圧下におき、硬質ロール６と軟質ロール７とを、硬質ロール６の周速度１に対して軟質ロール７の周速度を０．９５〜０．５の範囲で回転させることが望ましい。
【００３１】
軟質ロール７の周速度が硬質ロール６の周速度に対して９５％を超えると紙シート１Ｂを収縮させる剪断力が少なく、５０％未満では紙シート１Ｂを収縮させる剪断力は充分得られるが機械的負荷が大きくなり、軟質ロール７の表面の摩耗や破損、動力負荷大を招き、好ましくない。
【００３２】
前記加圧下で、両者の周速度差をもって回転する硬質ロール６と軟質ロール７との間に前記紙シート１Ｂを通紙すると、硬質ロール６と軟質ロール７より得られる剪断力により紙シート１Ｂは収縮される。
【００３３】
また、硬質ロール６に設けられた溝５の形状等にあっては、その溝間隔Ａ、溝幅Ｂ、溝深さＣ、溝形状は、紙シート１Ｂとの接触面積に影響するため、収縮効果を高めるといった点から重要な要素となる。紙シート１Ｂは剪断力で周方向に沿った溝５に押し込まれ、収縮するので、その容積は最も重要な要素となる。しかしながら、単に周方向に沿った溝５の容積を大きくすると、紙シート１Ｂと接触する面積が低減するため十分な摩擦力が得られず、硬質ロール６がスリップを起こし、押し込む剪断力が激減し、収縮付与効果が劣ってしまうといったことが認められる。しかるに、周方向に沿った溝５の容積と剪断力の維持の両者を満足できる領域を特定することによって縦横の伸びを飛躍的に付与することができる。
【００３４】
前記の通り、紙シート１Ｂは硬質ロール６と軟質ロール７の剪断力によって収縮するものであり、この剪断力は、硬質ロール６の溝５の溝間隔Ａと溝幅Ｂによって決定される接触面積に依存する。溝間隔Ａが狭いと刃数が多くなり、接触面積が増大する。また、溝間隔Ａが同一の場合、溝幅Ｂが狭くなると刃幅が広くなり、接触面積が増大する。
【００３５】
本例では、前記各要素のうち、硬質ロール６に設けられた周方向に沿った溝５は、ロール幅方向に溝間隔Ａが０．６ｍｍ〜１．８ｍｍの間隔で、溝幅Ｂが０．３ｍｍ〜１．５ｍｍ、溝深さＣが０．５ｍｍ〜２．０ｍｍの範囲で形成されている。
【００３６】
前記周方向に沿った溝５の溝幅Ｂが０．３ｍｍ未満または周方向に沿った溝５の溝深さＣが０．５ｍｍ未満であると、収縮される紙シート１Ｂの容積が小さくなり、十分な収縮効果が得られない。前記周方向に沿った溝５の溝幅Ｂが１．５ｍｍを超えるか又は周方向に沿った溝５の溝深さＣが２．０ｍｍを超えると、紙シート１Ｂの表面の接触面積が少なくなり、収縮付与処理時の応力がスリップによって低下し、十分な収縮効果が得られない。また、溝５の形状も重要であり、様々な形状が考えられるが、Ｖ字型、Ｕ字型、凹型が特に好ましい。硬質ロール６の材質は、ステンレス、鉄、アルミニウム、銅、真鍮、セラミックス等が使用できる。
【００３７】
また、紙シート１Ａにあっては、使用する原料パルプは、天然パルプであることが好ましい。天然パルプとしては、針葉樹または広葉樹の木材繊維、ミツマタ、コウゾなどの靭皮繊維、バガス、ケナフなどの非木材繊維、木綿繊維、古紙など通常の製紙原料が使用できるが、汎用性などから針葉樹または広葉樹の木材繊維が好適である。
【００３８】
本発明における抄紙機は通常の長網多筒、丸網多筒など一般的な抄紙機が使用できるが本発明の収縮付与装置３からなる収縮付与設備が抄紙工程中に設置出来ることが望ましく、紙シート１Ａの紙中水分が２０％〜５０％の範囲に予備乾燥できる乾燥装置２と通常の紙中水分３〜１０％程度まで乾燥できる乾燥装置４の間に設置することができれば特に限定するものではない。
【００３９】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって詳しく説明するが本発明はこれによって限定されるものではない。各実施例、比較例とも収縮付与装置３の軟質ロール７の構成以外は以下の共通条件で抄紙した。抄紙原料は濾水度３００ｍｌに叩解した汎用のＮ−ＢＫＰパルプを使用し、ワイヤー上の設定坪量を１５０ｇ／ｍ２になるように抄紙した。抄紙機は通常の多筒式長網抄紙機で概略図を図１に示した。収縮付与装置３は十数本のシリンダードライヤーを備えた乾燥装置２，４の概略中間位置に設置した。収縮付与装置３は、溝間隔Ａが１．２ｍｍ、溝幅Ｂが０．８ｍｍ、溝深さＣが１．２ｍｍのＶ字型の円周方向に沿った溝５をロール幅方向に設けたステンレスからなる硬質ロール６と、それぞれ実施例及び比較例に使用した軟質ロール７の組合せで実施した。
【００４０】
前記収縮付与装置３の前段の乾燥装置２で、前工程で作られた湿紙シート１Ａの水分を４０％に調整し、該水分調整した紙シート１Ｂを収縮付与装置３で収縮を与え、収縮した紙シート１Ｃを乾燥装置４で水分が６％になるように乾燥し伸張紙１Ｄを得た。
【００４１】
なお、軟質ロール７の表層部７ｂと内層部７ｃの耐摩耗性、圧縮変形量は以下の方法にて測定した。
・耐摩耗性の測定方法＝アクロン型摩耗試験機によって、試験条件として予備摩耗３０００回、本試験１０００回、荷重２７．０Ｎ、砥石角度１５°の条件で摩耗減容量を測定し、評価した。
・圧縮変形量の測定方法＝６０ｍｍ×５０ｍｍ×厚さ１０ｍｍのゴム試験片を圧縮速度１０ｍｍ／分で１．５ｋＮの応力で圧縮した時の変形量を測定した。すなわち、１．５ｋＮ／３０００ｍｍ２＝０．５ＭＰａの圧力で圧縮した時の変形量を測定している。
【００４２】
［実施例１］
収縮付与装置３は、溝５を設けたステンレスから成る直径２００ｍｍの硬質ロール６と、直径が１８０ｍｍの金属製芯ロール７ａの表面を、耐摩耗性が０．０２ｃｃ／１０００のポリウレタンゴムを２ｍｍ厚で形成した表層部７ｂと、圧縮変形量が８％のニトリルブタジエンゴムを１８ｍｍ厚で形成した内層部７ｃの２層構造で被覆したロール周面が平坦な軟質ロール７とからなるプレスロール８を備えている。該プレスロール８を構成する硬質ロール６と軟質ロール７の間に紙シート１Ｂを通紙し、線圧２５ｋｇ／ｃｍを掛け、硬質ロール６の周速度を収縮付与処理前の乾燥装置２のシリンダードライヤに等しく、軟質ロール７は硬質ロール６の周速度に対して８５％の速度で回転させ収縮付与した。その後、後段の乾燥装置４で水分６％になるように乾燥して伸張紙１Ｄを得た。得られた伸張紙１Ｄの物性を表１に示した。
【００４３】
［実施例２］
収縮付与装置３の軟質ロール７として、直径が１８０ｍｍの金属製芯ロール７ａの表面を、耐摩耗性が０．０４ｃｃ／１０００のニトリルブタジエンゴムを２ｍｍ厚で形成した表層部７ｂと、圧縮変形量が８％のニトリルブタジエンゴムを１８ｍｍ厚で形成した内層部７ｃの２層構造で被覆したロール周面が平坦な軟質ロール７を用いた以外は、実施例１と同様にして伸張紙１Ｄを得た。得られた伸張紙１Ｄの物性を表１に示した。
【００４４】
［実施例３］
収縮付与装置３の軟質ロール７として、直径が１８０ｍｍの金属製芯ロール７ａの表面を、耐摩耗性が０．０２ｃｃ／１０００のポリウレタンゴムを６ｍｍ厚で形成した表層部７ｂと、圧縮変形量が６％のニトリルブタジエンゴムを１４ｍｍ厚で形成した内層部７ｃの２層構造で被覆したロール周面が平坦な軟質ロール７を用いた以外は、実施例１と同様にして伸張紙１Ｄを得た。得られた伸張紙１Ｄの物性を表１に示した。
【００４５】
［比較例１］
収縮付与装置３の軟質ロール７として、直径が１８０ｍｍの金属製芯ロール７ａの表面を、耐摩耗性が０．０２ｃｃ／１０００のポリウレタンゴムを１０ｍｍ厚で形成した表層部７ｂと、圧縮変形量が８％のニトリルブタジエンゴムを１０ｍｍ厚で形成した内層部７ｃの２層構造で被覆したロール周面が平坦な軟質ロール７を用いた以外は、実施例１と同様にして伸張紙１Ｄを得た。得られた伸張紙１Ｄの物性を表１に示した。
【００４６】
［比較例２］
収縮付与装置３の軟質ロール７として、直径が１８０ｍｍの金属製芯ロール７ａの表面を、耐摩耗性が０．１２ｃｃ／１０００のニトリルブタジエンゴムを４ｍｍ厚で形成した表層部７ｂと、圧縮変形量が８％のニトリルブタジエンゴムを１６ｍｍ厚で形成した内層部７ｃの２層構造で被覆したロール周面が平坦な軟質ロール７を用いた以外は、実施例１と同様にして伸張紙１Ｄを得た。得られた伸張紙１Ｄの物性を表１に示した。
【００４７】
［比較例３］
収縮付与装置３の軟質ロール７として、直径が１８０ｍｍの金属製芯ロール７ａの表面を、耐摩耗性が０．０２ｃｃ／１０００で、圧縮変形量が２％のポリウレタンゴムを２０ｍｍ厚で形成した表層部７ｂの単層構造で被覆したロール周面が平坦な軟質ロール７を用いた以外は、実施例１と同様にして伸張紙１Ｄを得た。得られた伸張紙１Ｄの物性を表１に示した。
【００４８】
［比較例４］
収縮付与装置３の軟質ロール７として、直径が１８０ｍｍの金属製芯ロール７ａの表面を、耐摩耗性が０．１７ｃｃ／１０００で、圧縮変形量が８％のニトリルブタジエンゴムを２０ｍｍ厚で形成した表層部７ｂの単層構造で被覆したロール周面が平坦な軟質ロール７を用いた以外は、実施例１と同様にして伸張紙１Ｄを得た。得られた伸張紙１Ｄの物性を表１に示した。
【００４９】
【表１】
実施例１〜３の製造方法にて得られた伸張紙１Ｄは縦横いずれもが２０％以上の高い伸びを示し、軟質ロール７のロール外観に変化は見られなかった。比較例１は軟質ロール７のロール外観変化は見られないが目的の収縮付与効果が劣り、実用には不適であった。比較例２は短時間運転で軟質ロール７のロール表面に撚れ跡が起こり、一部摩耗屑が発生し、実用性に劣っていた。比較例３は軟質ロール７のロール外観に変化は見られないが、スリップ発生が起こり目的の収縮付与効果が劣るため、実用には不適であった。比較例４は短時間運転で軟質ロール７のロール表面から摩耗屑が発生し、実用には不適であった。
【００５０】
【発明の効果】
以上のように、本発明に係る伸張紙の製造方法によれば、ロール周面に周方向に沿った溝をロール幅方向に所定の間隔をあけて設けた硬質ロールとロール周面が平坦な軟質ロールから成る一対のプレスロールを備え、前記軟質ロールは耐摩耗性に優れる材質からなる表面層と加圧変形し易い材質からなる内層部とが一体化された２層構造を有しており、加圧下で前記硬質ロールの周速度に対して前記軟質ロールの周速度を遅くして回転するようにした収縮付与装置に、紙中水分が２０％〜５０％の紙シートを通紙して該紙シートに収縮を与え、その後に乾燥することにより、軟質ロールの収縮付与効果と耐久性を改善することができるとともに、伸び特性が縦伸び２０％以上、横伸び２０％以上である伸張紙を簡単に得ることができ、前記耐久性を改善することができることにより、実用において経済的である。
更に伸張紙を製造する上で汎用の抄紙機に本発明の収縮付与装置を設置するだけですむので設備費が少なくて経済的である。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明に係る伸張紙の製造方法を実施する抄紙機の実施の形態の一例を示す概略構成図である。
【図２】本発明に係る収縮付与装置の実施の形態の一例を示した斜視図である。
【図３】本例の収縮付与装置で用いている硬質ロールの縦断面図である。
【図４】硬質ロールの溝の形状の一例を示す一部拡大断面図である。
【図５】本例の収縮付与装置で用いている軟質ロールの断面図である。
【符号の説明】
１Ａ 湿紙シート
１Ｂ 水分調整した紙シート
１Ｃ 収縮処理した紙シート
１Ｄ 伸張紙
２ 乾燥装置
３ 収縮付与装置
４ 乾燥装置
５ 溝
６ 硬質ロール
７ 軟質ロール
７ａ 金属製芯ロール
７ｂ 表層部
７ｃ 内層部
８ プレスロール
９ 周速度調整手段
１０ 加圧力調整手段[0001]
TECHNICAL FIELD OF THE INVENTION
The present invention relates to a method for producing stretched paper suitable for molded paper having a longitudinal elongation of 20% or more and a lateral elongation of 20% or more.
[0002]
[Prior art]
DESCRIPTION OF RELATED ART Conventionally, as a container of food and drinking water, a molded article made of paper, such as a dish made by pressing natural pulp paper or a cup having a cylindrical body and a bottom plate, has been known. Such a paper-made product, particularly a plate made by pressing, could only obtain a shallow shape due to the inherent elongation characteristics of the paper substrate.
[0003]
As a method for producing a stretched paper having high elongation characteristics, a clupak treatment and a crepe treatment are conventionally known. However, since the clupak process and the crepe process are performed only in the vertical direction, the horizontal direction hardly changes, and only the elongation property is given to one axis in the vertical direction. Even if the stretched paper obtained by these methods is used, the shape of the molded product is limited to a narrow range.
[0004]
Therefore, in recent years, preforming in the form of corrugated processing has been performed, and furthermore, a roller made of a hard material and having a rib on its surface, and rotating at a higher speed than the other, and a roller made of a soft material and having a smooth surface, On the other hand, there has been proposed a technique of condensing between a pair of rollers rotating at a slower speed and simultaneously imparting vertical and horizontal elongation characteristics (see Patent Document 1).
[0005]
[Patent Document 1]
Japanese Unexamined Patent Publication No. Hei 11-509276 [0006]
[Problems to be solved by the invention]
However, the technique described in Patent Literature 1 requires pre-molding in the form of corrugated processing, and has a problem that the manufacturing method becomes complicated. Further, the elongation characteristics are limited to about 20% in length and 16% in width, and there is a problem that the elongation characteristics are not sufficient and cannot be applied to deep drawing which requires large elongation.
[0007]
In view of such a situation, the inventors of the present invention have previously proposed a method for manufacturing stretched paper that can be easily contracted simultaneously in the longitudinal and transverse directions and that has high elongation characteristics beyond the concept of conventional paper (Japanese Patent Application No. 2002-94389). . The method for producing stretched paper is a method for applying shrinkage, in which the circumferential speed of a soft roll is made slower than the circumferential speed of a hard roll, and a wet paper sheet is passed through to perform shrinking processing simultaneously in the vertical and horizontal directions. The wet paper web sheet interposed between the hard roll and the soft roll provided with the groove is subjected to the action of the shearing force generated by the peripheral speed difference of each roll, whereby the longitudinal direction of the wet paper web sheet is a valley groove portion of the hard roll. Is compressed in the longitudinal direction, and on the other hand, the lateral direction is also drawn into the valley groove portion along with the longitudinal compression and contraction is applied, so that sufficient shear force is applied to the wet paper sheet. The purpose is to maintain the frictional force at each interface of the hard roll / paper layer / soft roll.
[0008]
To maintain the frictional force and enhance the shrinkage imparting effect, the groove interval, depth, and groove shape of the hard roll are important factors because they affect the contact area with the paper layer. This is an important factor because the paper layer is deformed by the deformation caused by the peripheral speed difference. It is important for a soft roll to efficiently transmit the stress due to deformation to the paper layer, and in addition to the frictional force, the contact area and the elastic modulus are affected, and it is considered that the compressive elastic modulus, which is an index thereof, is greatly involved. However, it is essential to specify the range of the compression modulus from the viewpoint of the purpose of imparting shrinkage, but the material of the compression roll alone is basically soft, and the surface of the soft roll is worn due to friction with paper. However, there is a problem in that when the surface strength is increased by giving priority to practicality, the desired effect of imparting shrinkage is reduced.
[0009]
The present inventors have conducted intensive studies to solve such problems, and as a result, have found a soft roll that can satisfy both the effect of imparting shrinkage and the durability, and have completed the present invention.
[0010]
SUMMARY OF THE INVENTION An object of the present invention is to provide a method for producing a stretched paper which can improve the effect of imparting shrinkage and durability of a soft roll, and can easily obtain a stretched paper having an elongation property of 20% or more in longitudinal elongation and 20% or more in lateral elongation. Is to provide.
[0011]
[Means for Solving the Problems]
In order to achieve the above object, a method for producing stretched paper according to the present invention is characterized in that a hard roll provided with grooves along the circumferential direction at predetermined intervals in the roll width direction on the roll circumferential surface and the roll circumferential surface is flat. A pair of press rolls made of a soft roll, and the soft roll has a two-layer structure in which a surface layer made of a material having excellent wear resistance and an inner layer made of a material which is easily deformed under pressure are integrated. And passing a paper sheet having a moisture content in the paper of 20% to 50% through a shrinkage imparting device configured to rotate the soft roll at a lower peripheral speed than the peripheral speed of the hard roll under pressure. The paper sheet is shrunk, and then dried.
[0012]
In this way, the paper sheet having a water content of 20% to 50% passed between the hard roll and the soft roll receives the action of the shear force generated by the peripheral speed difference between the hard roll and the soft roll. Therefore, in the longitudinal direction of the paper sheet, the paper corresponding to the peripheral speed difference between the hard roll and the soft roll is compressed and longitudinal shrinkage is given, while in the horizontal direction, the hard roll is compressed due to the peripheral speed difference. paper sheet is pushed into the groove along the circumferential direction will be shrinkage is given by which, without the need for a preformed, basis weight which can not be obtained conventionally by 50g / m 2 ~450g / m 2 Stretched paper showing an elongation of 20% or more in both length and width was easily obtained.
[0013]
In addition, the soft roll, which imparts shrinkage to the paper sheet together with the hard roll, which imparts shrinkage to the paper sheet, has a surface layer made of a material having excellent wear resistance and an inner layer portion made of a material which is easily deformed under pressure. A two-layer structure, a frictional force is generated between the paper sheet and the soft roll, which generates a sufficient shearing force to impart shrinkage to the paper sheet, and a frictional force more than necessary , The wear of the surface of the soft roll is suppressed, and the durability can be improved.
[0014]
The soft roll may have a surface layer made of a material having a wear resistance of 0.05 cc / 1000 or less, and an inner layer made of a material having a compression deformation of 4% or more when compressed at a pressure of 0.5 MPa. preferable.
[0015]
Further, it is preferable that the ratio of the thickness of the surface layer portion to the thickness of the inner layer portion of the soft roll is: surface layer portion: inner layer portion = 5/95: 30/70. If the ratio of the surface layer portion is less than 5, the surface strength becomes insufficient, and if it exceeds 30, the effect of imparting shrinkage becomes insufficient.
[0016]
The material of the surface layer and / or the inner layer of the soft roll is preferably made of any of polyurethane rubber, chloroprene rubber, nitrile butadiene rubber, silicone rubber, polysulfide rubber, nitrile rubber, and epichlorohydrin rubber.
[0017]
BEST MODE FOR CARRYING OUT THE INVENTION
Hereinafter, an embodiment of a method for manufacturing a stretched paper according to the present invention will be described.
FIG. 1 is a schematic configuration diagram showing an example of an embodiment of a paper machine for carrying out a method for producing a stretched paper according to the present invention, FIG. 2 is a perspective view showing a shrinkage applying device of this example, and FIG. FIG. 4 is a longitudinal sectional view of a hard roll used in the application device, FIG. 4 is a partially enlarged cross-sectional view showing an example of a groove shape of the hard roll, and FIG. 5 is a cross-sectional view of a soft roll used in the shrinkage application device of this example. It is.
[0018]
In the paper machine of this example, the wet paper sheet 1A produced in the previous step is pre-dried by a drying device 2 comprising a cylinder dryer to adjust the moisture in the paper, and the moisture-adjusted paper sheet 1B is shrunk by a shrinkage imparting device 3. The shrinked paper sheet 1C given the required shrinkage is dried by the drying device 4 composed of a cylinder drier to obtain an expanded paper 1D, which is taken up by a winder.
[0019]
The shrinkage imparting device 3 includes a pair of presses including a hard roll 6 in which grooves 5 along the circumferential direction are provided on the roll circumferential surface at predetermined intervals in the roll width direction, and a soft roll 7 having a flat roll circumferential surface. A roll 8; and a peripheral speed adjusting means 9 capable of adjusting the peripheral speed of the soft roll 7 to be lower than the peripheral speed of the hard roll 6 under pressure so as to rotate. 7 has a pressure adjusting means 10 for adjusting the linear pressure. The soft roll 7, which forms a pair of press rolls 8 together with the hard roll 6, has a surface layer 7b made of a material having excellent wear resistance and an inner layer made of a material easily deformed under pressure on the outer periphery of a metal core roll 7a. It has a two-layer structure in which the portion 7c is integrated.
[0020]
The production of the stretched paper according to the present invention is performed as follows.
The linear pressure between the hard roll 6 and the soft roll 7 is adjusted by the pressurizing force adjusting means 10 of the shrinkage imparting device 3, and the circumferential speed of the soft roll 7 is compared with the circumferential speed of the hard roll 6 by the circumferential speed adjusting means 9. And the pre-drying is performed by a drying device 2 on a pair of press rolls 8 composed of a hard roll 6 and a soft roll 7 so that the water content in the paper becomes 20% to 50%. The adjusted paper sheet 1B is passed.
[0021]
Here, the paper sheet 1 </ b> B passed between the hard roll 6 and the soft roll 7 is subjected to the action of the shearing force generated by the peripheral speed difference between the hard roll 6 and the soft roll 7. As a result, in the longitudinal direction of the paper sheet 1B, the paper layer corresponding to the peripheral speed difference between the hard roll 6 and the soft roll 7 is compressed, and longitudinal shrinkage is given. On the other hand, in the transverse direction, the paper layer is pushed into the grooves 5 along the circumferential direction of the hard roll 6 due to the compression due to the difference in the peripheral speed, so that the lateral contraction is given. Thereafter, the shrinked paper sheet 1C is dried by the drying device 4 to a predetermined moisture. Thus, the basis weight could be obtained stretched sheet 1D showing the elongation of 20% or more easily vertically and horizontally at 50g / m 2 ~450g / m 2 .
[0022]
More specifically, the sheet is composed of a hard roll 6 and a soft roll 7, and the peripheral speed of the soft roll 7 is made slower than the peripheral speed of the hard roll 6. The paper sheet 1B adjusted to be about 50% is passed.
[0023]
In order to easily produce a stretched paper 1D having high elongation characteristics, the moisture in the paper sheet 1B during processing is an important factor affecting the plasticity of the paper sheet 1B as described above. The water content in the paper is adjusted to be 20% to 50%.
[0024]
In addition, in the case of the soft roll 7 for applying shrinkage to the paper sheet 1B together with the hard roll 6 of the shrinkage applying device 3, a surface layer 7b made of a material having excellent wear resistance is added to the outer periphery of the metal core roll 7a. It has a two-layer structure in which an inner layer 7c made of a material that is easily deformed by pressure is integrated. By doing so, a frictional force is generated between the paper sheet 1B and the soft roll 7 that generates a shearing force sufficient to apply shrinkage to the paper sheet 1B, and an unnecessary frictional force is applied. And the abrasion on the surface of the soft roll is suppressed, and the durability can be improved.
[0025]
The soft roll 7 is made of a material whose surface layer 7b is made of a material having a wear resistance of 0.05 cc / 1000 or less, and whose inner layer portion has a compression deformation of 4% or more when compressed at a pressure of 0.5 MPa. Preferably. In the present invention, the abrasion resistance is measured by using an abrasion tester to measure the abrasion loss capacity under the following conditions: preliminary wear: 3,000 times, main test: 1,000 times, load: 27.0 N, and grindstone angle: 15 °. The amount of compressive deformation is to measure the amount of deformation when a rubber test piece of 60 mm × 50 mm × 110 mm in thickness is compressed at a compression speed of 10 mm / min with a stress of 1.5 kN. At this time, since a pressure of 1.5 kN is applied to the test piece having an area of 3000 mm 2 , the test piece is compressed at a pressure of 0.5 MPa.
[0026]
Further, it is preferable that the ratio of the thickness of the surface layer 7b to the thickness of the inner layer 7c of the soft roll 7 is surface layer: inner layer = 5/95: 30/70. If the ratio of the surface layer portion 7b is less than 5, the surface strength becomes insufficient, and if it exceeds 30, the effect of imparting shrinkage becomes insufficient.
[0027]
As the material of the surface layer and / or the inner layer of the soft roll, polyurethane rubber, chloroprene rubber, nitrile butadiene rubber, silicone rubber, polysulfide rubber, nitrile rubber, epichlorohydrin rubber and the like can be used.
[0028]
Further, the pressure of the hard roll 6 and the soft roll 7 of the shrinkage imparting device 3, the contact length between the hard roll 6 and the soft roll 7 at the time of pressurization, the peripheral speed difference between the hard roll 6 and the soft roll 7, and the provision of the hard roll 6 The shape or the like of the groove 5 is an important factor for imparting shrinkage to the paper sheet 1B by the shearing force generated between the hard roll 6 and the soft roll 7.
[0029]
The pressure of the hard roll 6 and the soft roll 7 is preferably under a linear pressure of 10 kg / cm to 70 kg / cm. Under this pressure, a frictional force can be obtained between the paper sheet 1B and the soft roll 7 to generate a shearing force sufficient to impart shrinkage to the paper sheet 1B.
[0030]
The difference in the peripheral speed between the hard roll 6 and the soft roll 7 is important for efficiently applying the shear force generated by the difference in the peripheral speed between the hard roll 6 and the soft roll 7 to the layer of the paper sheet 1B. The hard roll 6 and the soft roll 7 are placed under a linear pressure of 10 kg / cm to 70 kg / cm, and the hard roll 6 and the soft roll 7 are softened relative to the circumferential speed 1 of the hard roll 6. It is desirable to rotate the roll 7 in the range of 0.95 to 0.5.
[0031]
When the peripheral speed of the soft roll 7 exceeds 95% of the peripheral speed of the hard roll 6, the shearing force for shrinking the paper sheet 1B is small, and when the peripheral speed is less than 50%, the shearing force for shrinking the paper sheet 1B is sufficiently obtained. This leads to an increase in the mechanical load, leading to wear and breakage of the surface of the soft roll 7 and a large power load, which is not preferable.
[0032]
When the paper sheet 1B is passed between the hard roll 6 and the soft roll 7 that rotate with a peripheral speed difference between the two under the pressure, the paper sheet 1B is formed by the shearing force obtained from the hard roll 6 and the soft roll 7. Contracted.
[0033]
In addition, in the shape of the groove 5 provided in the hard roll 6, the groove interval A, the groove width B, the groove depth C, and the groove shape affect the contact area with the paper sheet 1B. This is an important factor in terms of enhancing the effect. Since the paper sheet 1B is pushed into the groove 5 along the circumferential direction by the shearing force and contracts, its volume is the most important factor. However, if the volume of the groove 5 along the circumferential direction is simply increased, the area in contact with the paper sheet 1B is reduced, so that a sufficient frictional force cannot be obtained, the hard roll 6 slips, and the shearing force to be pushed in is drastically reduced. And the effect of imparting shrinkage is inferior. However, by specifying a region that satisfies both the volume of the groove 5 along the circumferential direction and the maintenance of the shearing force, it is possible to dramatically increase the length and width of the groove.
[0034]
As described above, the paper sheet 1B contracts due to the shearing force of the hard roll 6 and the soft roll 7, and the shearing force is determined by the contact area determined by the groove interval A and the groove width B of the groove 5 of the hard roll 6. Depends on. If the groove interval A is small, the number of blades increases, and the contact area increases. When the groove interval A is the same, the blade width increases as the groove width B decreases, and the contact area increases.
[0035]
In the present example, among the above-mentioned elements, the grooves 5 provided along the circumferential direction provided on the hard roll 6 have a groove interval A of 0.6 mm to 1.8 mm in the roll width direction and a groove width B of 0 mm. 0.3 mm to 1.5 mm, and the groove depth C is in the range of 0.5 mm to 2.0 mm.
[0036]
When the groove width B of the groove 5 along the circumferential direction is less than 0.3 mm or the groove depth C of the groove 5 along the circumferential direction is less than 0.5 mm, the volume of the contracted paper sheet 1B becomes small. , A sufficient shrinkage effect cannot be obtained. When the groove width B of the groove 5 along the circumferential direction exceeds 1.5 mm or the groove depth C of the groove 5 along the circumferential direction exceeds 2.0 mm, the contact area of the surface of the paper sheet 1B is small. As a result, the stress at the time of the shrinkage treatment is reduced by the slip, and a sufficient shrinkage effect cannot be obtained. The shape of the groove 5 is also important, and various shapes can be considered, but a V-shape, a U-shape, and a concave shape are particularly preferable. The material of the hard roll 6 can be stainless steel, iron, aluminum, copper, brass, ceramics, or the like.
[0037]
In the paper sheet 1A, the raw pulp to be used is preferably natural pulp. As natural pulp, coniferous or hardwood wood fibers, bast fibers such as mitsumata and mulberry, non-wood fibers such as bagasse and kenaf, cotton fibers, and ordinary papermaking materials such as waste paper can be used. Hardwood wood fibers are preferred.
[0038]
The paper machine in the present invention can use a general paper machine such as a general four-wire multi-cylinder and a round-mesh multi-cylinder, but it is preferable that a shrinkage-imparting device including the shrinkage imparting device 3 of the present invention can be installed during the papermaking process, The paper sheet 1A is particularly limited as long as it can be installed between the drying device 2 capable of pre-drying the water content of the paper sheet 1A in the range of 20% to 50% and the drying device 4 capable of drying the normal paper moisture content of about 3 to 10%. Not something.
[0039]
【Example】
Hereinafter, the present invention will be described in detail with reference to Examples, but the present invention is not limited thereto. In each of the examples and comparative examples, papermaking was performed under the following common conditions except for the configuration of the soft roll 7 of the shrinkage imparting device 3. As a papermaking raw material, a general-purpose N-BKP pulp beaten to a freeness of 300 ml was used to make a paper having a set basis weight on a wire of 150 g / m 2 . The paper machine is a general multi-cylinder fourdrinier paper machine and a schematic diagram is shown in FIG. The shrinkage imparting device 3 was installed at a substantially intermediate position between the drying devices 2 and 4 having dozens of cylinder dryers. The shrinkage imparting device 3 is provided with a V-shaped groove 5 having a groove interval A of 1.2 mm, a groove width B of 0.8 mm, and a groove depth C of 1.2 mm along the circumferential direction of the V-shape in the roll width direction. The test was carried out using a combination of a hard roll 6 made of stainless steel and a soft roll 7 used in each of Examples and Comparative Examples.
[0040]
The moisture of the wet paper sheet 1A produced in the previous step is adjusted to 40% by the drying device 2 at the previous stage of the shrinkage imparting device 3, and the moisture adjusted paper sheet 1B is shrunk by the shrinkage imparting device 3 to shrink. The dried paper sheet 1C was dried by a drying device 4 so that the water content became 6% to obtain a stretched paper 1D.
[0041]
The wear resistance and the amount of compressive deformation of the surface layer 7b and the inner layer 7c of the soft roll 7 were measured by the following methods.
Abrasion resistance measurement method = Abrasion reduction capacity was measured and evaluated using an Akron-type abrasion tester under the following conditions: preliminary wear 3000 times, main test 1000 times, load 27.0 N, and grindstone angle 15 °.
Method of measuring the amount of compressive deformation = The amount of deformation when a rubber test piece of 60 mm × 50 mm × 10 mm in thickness was compressed at a compression speed of 10 mm / min with a stress of 1.5 kN was measured. That is, the amount of deformation when compressed at a pressure of 1.5 kN / 3000 mm 2 = 0.5 MPa is measured.
[0042]
[Example 1]
The shrinkage imparting device 3 is formed by coating a surface of a 200 mm diameter hard roll 6 made of stainless steel having a groove 5 and a 180 mm diameter metal core roll 7 a with a polyurethane rubber having a wear resistance of 0.02 cc / 1000 to a thickness of 2 mm. The press roll 8 is composed of a surface layer 7b formed by the above and a soft roll 7 having a flat roll peripheral surface coated with a two-layer structure of an inner layer 7c formed of nitrile butadiene rubber having a compression deformation of 8% with a thickness of 18 mm. Have. The paper sheet 1B is passed between the hard roll 6 and the soft roll 7 constituting the press roll 8, a linear pressure of 25 kg / cm is applied, and the peripheral speed of the hard roll 6 is reduced by the cylinder of the drying device 2 before the shrinkage treatment. As in the case of the dryer, the soft roll 7 was rotated at a speed of 85% of the peripheral speed of the hard roll 6 and shrunk. Then, it was dried by a drying device 4 at the subsequent stage so as to have a water content of 6% to obtain a stretched paper 1D. Table 1 shows the physical properties of the obtained stretched paper 1D.
[0043]
[Example 2]
As the soft roll 7 of the shrinkage imparting device 3, a surface layer of a metal core roll 7a having a diameter of 180 mm, a nitrile butadiene rubber having a wear resistance of 0.04 cc / 1000 having a thickness of 2 mm, and a compression deformation amount A stretched paper 1D was obtained in the same manner as in Example 1 except that a soft roll 7 having a flat peripheral surface and covered with a two-layer structure of an inner layer 7c formed of nitrile-butadiene rubber having a thickness of 18 mm and having a thickness of 8% was used. Was. Table 1 shows the physical properties of the obtained stretched paper 1D.
[0044]
[Example 3]
As the soft roll 7 of the shrinkage imparting device 3, the surface of a metal core roll 7a having a diameter of 180 mm, a surface layer portion 7b formed of polyurethane rubber having a wear resistance of 0.02 cc / 1000 with a thickness of 6 mm, and a compression deformation amount of A stretched paper 1D was obtained in the same manner as in Example 1 except that a soft roll 7 having a flat peripheral surface and coated with a two-layer structure of an inner layer portion 7c formed of 6% nitrile butadiene rubber with a thickness of 14 mm was used. . Table 1 shows the physical properties of the obtained stretched paper 1D.
[0045]
[Comparative Example 1]
As the soft roll 7 of the shrinkage imparting device 3, the surface of a metal core roll 7a having a diameter of 180 mm, a surface layer portion 7b formed of a 0.02 cc / 1000 polyurethane rubber having a wear resistance of 10 mm thick, and a compression deformation amount of A stretched paper 1D was obtained in the same manner as in Example 1 except that a soft roll 7 having a flat inner surface and a two-layer structure of an inner layer portion 7c formed of 8% nitrile butadiene rubber having a thickness of 10 mm was used. . Table 1 shows the physical properties of the obtained stretched paper 1D.
[0046]
[Comparative Example 2]
As the soft roll 7 of the shrinkage imparting device 3, the surface of a metal core roll 7a having a diameter of 180 mm, a surface layer portion 7b formed of nitrile butadiene rubber having a wear resistance of 0.12 cc / 1000 with a thickness of 4 mm, and the amount of compressive deformation A stretched paper 1D was obtained in the same manner as in Example 1, except that a soft roll 7 having a two-layer structure of an inner layer portion 7c formed of nitrile butadiene rubber having a thickness of 16% and having a thickness of 16% was used. Was. Table 1 shows the physical properties of the obtained stretched paper 1D.
[0047]
[Comparative Example 3]
As a soft roll 7 of the shrinkage imparting device 3, a surface layer of a metal core roll 7a having a diameter of 180 mm and a polyurethane rubber having a wear resistance of 0.02 cc / 1000 and a compression deformation of 2% having a thickness of 20 mm is formed. Extensive paper 1D was obtained in the same manner as in Example 1 except that the roll 7 was covered with the single-layer structure of the portion 7b and the soft roll 7 was used. Table 1 shows the physical properties of the obtained stretched paper 1D.
[0048]
[Comparative Example 4]
As the soft roll 7 of the shrinkage imparting device 3, a surface of a metal core roll 7a having a diameter of 180 mm was formed of a nitrile butadiene rubber having a wear resistance of 0.17 cc / 1000 and a compression deformation of 8% with a thickness of 20 mm. A stretched paper 1D was obtained in the same manner as in Example 1 except that the soft roll 7 having a flat peripheral surface and a flat roll peripheral surface coated with a single-layer structure was used. Table 1 shows the physical properties of the obtained stretched paper 1D.
[0049]
[Table 1]
The stretched paper 1D obtained by the production method of Examples 1 to 3 showed a high elongation of 20% or more in both length and width, and no change was observed in the appearance of the soft roll 7. In Comparative Example 1, the change in roll appearance of the soft roll 7 was not observed, but the desired effect of imparting shrinkage was inferior, and was not suitable for practical use. In Comparative Example 2, twist marks occurred on the roll surface of the soft roll 7 in a short operation, and abrasion chips were partially generated, resulting in poor practicality. Comparative Example 3 showed no change in the roll appearance of the soft roll 7, but was unsuitable for practical use because slip occurred and the desired effect of imparting shrinkage was inferior. In Comparative Example 4, wear debris was generated from the roll surface of the soft roll 7 in a short operation, which was not suitable for practical use.
[0050]
【The invention's effect】
As described above, according to the method for manufacturing stretched paper according to the present invention, the hard roll and the roll peripheral surface which are provided with grooves along the circumferential direction on the roll peripheral surface at predetermined intervals in the roll width direction are flat. It has a pair of press rolls made of a soft roll, and the soft roll has a two-layer structure in which a surface layer made of a material having excellent wear resistance and an inner layer part made of a material easily deformed under pressure are integrated. By passing a paper sheet having a water content of 20% to 50% through a shrinkage-applying device which rotates the peripheral speed of the soft roll with respect to the peripheral speed of the hard roll under pressure so as to rotate. By giving shrinkage to the paper sheet and then drying it, it is possible to improve the effect of imparting shrinkage and durability of the soft roll, and to obtain an elongation paper having elongation characteristics of 20% or more in longitudinal elongation and 20% or more in lateral elongation. Can be easily obtained, The ability to improve the sexual, is economical in practice.
Furthermore, in producing expanded paper, only the shrinkage imparting device of the present invention needs to be installed in a general-purpose paper machine, so that equipment costs are low and economical.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a schematic configuration diagram showing an example of an embodiment of a paper machine for carrying out a method for producing stretched paper according to the present invention.
FIG. 2 is a perspective view showing an example of an embodiment of a shrinkage imparting device according to the present invention.
FIG. 3 is a longitudinal sectional view of a hard roll used in the shrinkage applying device of the present example.
FIG. 4 is a partially enlarged sectional view showing an example of a shape of a groove of a hard roll.
FIG. 5 is a sectional view of a soft roll used in the shrinkage imparting device of the present example.
[Explanation of symbols]
1A Wet paper sheet 1B Moisture adjusted paper sheet 1C Shrink processed paper sheet 1D Stretched paper 2 Drying device 3 Shrinkage applying device 4 Drying device 5 Groove 6 Hard roll 7 Soft roll 7a Metal core roll 7b Surface layer 7c Inner layer 8 Press Roll 9 Circumferential speed adjusting means 10 Pressing force adjusting means
