JP2004123914A - 有機繊維補強樹脂組成物、その製造方法並びに有機繊維補強樹脂成形品 - Google Patents

有機繊維補強樹脂組成物、その製造方法並びに有機繊維補強樹脂成形品 Download PDF

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名合 聡
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林原 幹也
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Abstract

【課題】耐衝撃性に優れ、サーマルリサイクルが容易な車両、建築・土木、機械部品、電子部品などに好適な繊維補強樹脂成形品を提供することにある。
【解決手段】20℃から300℃の範囲において、示差走査熱量測定による吸熱反応または発熱反応のピークが少なくとも2つ以上存在し、第一の発熱ピークが100℃以下であり、第二の吸熱ピークが150〜200℃であり、第三の吸熱ピークが200〜300℃の間にある繊維補強樹脂組成物を、9.0cN/dtex以上の強度を有する有機繊維に溶融粘度1〜1000Pa・secまでの樹脂を溶融含浸した後に切断し、繊維長3〜50mmのペレットを製造して、これを成形して有機繊維補強樹脂成形品を得る。

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は繊維補強樹脂組成物、その製造方法並びにこれから得られた繊維補強樹脂成形品に関するものであって、更に詳しくは耐衝撃性に優れ、サーマルリサイクルが容易な車両、建築・土木、機械部品、電子部品などに好適な繊維補強樹脂成形品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、ガラス繊維で補強した繊維補強樹脂の廃棄が問題となってきている。この様な繊維補強樹脂は自動車や鉄道車両、機械部品、コンピュータの筐体など種々の構造部品として用いられている。しかしながら、これらガラス繊維補強樹脂はリサイクル、特にサーマルリサイクルを行った場合、ガラス繊維のアッシュ(灰)が産業廃棄物として残るという問題があった。
この様な問題を解決するために、ガラス繊維を有機繊維で代替しようとする試みがなされている。
まず、従来、ポリオレフィンと有機繊維および無機繊維から構成される長繊維含有樹脂組成物が知られている(特許文献1参照)。有機繊維と無機繊維を組み合わせることによって、機械的強度、高い弾性率を有するばかりか、耐衝撃性に優れた繊維強化樹脂組成物を得ることができるとしている。しかし、前述のように無機繊維を含有していることから、その廃棄は難しく、サーマルリサイクル後も、無機繊維のアッシュが残ることに代わりはない。
【0003】
【特許文献1】
特開平4−202545号公報
【0004】
また、融点が170℃以下のポリオレフィンと無機フィラーの混合物に、融点が200℃以上の合成繊維を二軸混練したポリオレフィン樹脂組成物が知られている(特許文献2〜5)。当該発明によれば、例えば板状の無機フィラーをポリオレフィンに添加した後に有機繊維を添加することによって、寸法安定性、表面平滑性、剛性及び硬度を低下させずに、衝撃強度と剛性を向上させる事が出来るとしている。しかしながら、例えば水酸化物や、クレーなどを無機フィラーを最大で38%添加するため、アッシュが残る問題は解決されていない。
【0005】
【特許文献2】
特開平6−306216号公報
【0006】
【特許文献3】
特開平7−62167号公報
【0007】
【特許文献4】
特開平6−228376号公報
【0008】
【特許文献5】
特開平8−151483号公報
【0009】
また、溶融粘度4Pa/s以下で、分子量が1000以上である熱可塑性樹脂を含浸した有機繊維1〜90重量%を含有する有機繊維補強樹脂組成物のマスターバッチが知られている(特許文献6)。当該発明によれば、従来、有機繊維の比重が軽く嵩高であることに起因する混練の難しさや、有機繊維間に存在する空気層(以下ボイドと呼ぶ)が抜けるときに発生する外観不良や強度不足を樹脂粘度と調整することによって解決することが出来るとしている。そして、粘度の高い熱可塑性樹脂を有機繊維に含浸するには、あらかじめ開繊した有機繊維に加熱して低粘度にした熱可塑性樹脂中を通すことによって有機繊維間に存在するボイドを少なくし、欠点の少ないペレットを得ることができるとしている。 当該発明許には、マスターバッチ製造方法の詳細な記載がないが、溶融粘度を規定した200℃の樹脂温度を持つ熱可塑性樹脂に例えばポリエステル繊維などを接触させると加工速度に依存する樹脂と繊維間に働く剪断粘度と繊維にかかるテンションによっては繊維の強度を超えてしまい、操業が出来ないという欠点を有する。
【0010】
【特許文献6】
特開2001−234076号公報
【0011】
更に、繊維補強熱可塑性樹脂組成物中の「ボイド含量」や補強繊維と樹脂の「ぬれ」を定義した繊維補強熱可塑性樹脂組成物が知られている(特許文献7、8)。これら2つの発明の内容はほぼ同義であり、連続補強繊維が収束された連続補強繊維束に熱可塑性樹脂を溶融含浸したときに生じる欠陥を少なくすることを特徴としている。これらの発明にはその実施例に「ガラスのロービングを、溶融したポリマー中と通して、浴中に配置された1つのスプレダーの上を、浴中の30秒の滞留時間を与える30cm/minの速度で、引き抜いた。含浸されたロービングを浴の壁中の直径3mmのダイを通して引き、ついで冷却した」と記載されている。近年、単に強化繊維束を引き揃えて、樹脂浴を通過させる電線被覆では、繊維間への樹脂含浸が向上しないことは良く知られており、これを改善するために様々な開繊手段が提案されている。しかし、これらの発明には補強繊維束を開繊するという思想の開示はない。これら2つの発明においても、その加工速度は30cm/minと非常に遅いものであり、これ以上に加工速度を上げるときには、含浸が不足するものと推定される。
【0012】
【特許文献7】
特開平8−336832号公報
【0013】
【特許文献8】
特開平3−188131号公報
【0014】
最後に、有機繊維補強ポリオレフィン系樹脂組成物が知られている(特許文献9)。本発明によると、ポリオレフィン樹脂よりも融点が50℃以上高い有機繊維を補強材として用い、ポリオレフィン系樹脂を融点よりも40℃以上高い温度に加熱して、その浸漬時間が6秒を超えない範囲で有機繊維に含浸を行っている。本発明によれば、特公平6−25288号、特開昭62−146945号、特開平3−290435号、特開平6−306216号に記載のミキサーで加熱撹拌・混練、ロール、押し出し機、ニーダーなどでの溶融混練と比較して、補強繊維の熱劣化を生じず、折損も少なく、優れた有機繊維補強樹脂組成物を得ることができるとしている。
この発明では、有機繊維をポリオレフィン系樹脂の樹脂浴から引き抜く際に撚りを掛けた状態で引き抜くことにより、補強繊維束中の繊維間へ樹脂含浸が促進され、強度に優れた有機繊維補強樹脂組成物を得ることができるとしている。
しかしながら、この方式では有機繊維補強樹脂組成物中に撚りが残ってしまい、例えば、この有機繊維補強樹脂組成物をペレットとして射出成形に用いる際、補強繊維が撚りの掛かった繊維束状を留めてしまい、成形品中で補強繊維束の分散性が悪くなる可能性を有する。
【0015】
【特許文献9】
特開2001−49012号公報
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、サーマルリサイクルを行っても、無機物のアッシュが残ることのない、強靱で高剛性な有機繊維補強樹脂組成物、ならびにその製造方法と成形品を提供することにある。更に詳しくは耐衝撃性に優れ、サーマルリサイクルが容易な車両、建築・土木、機械部品、電子部品などに好適な繊維補強樹脂成形品を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明の有機繊維補強樹脂組成物、その製造方法並びにこの有機繊維補強樹脂組成物を成形して得られる有機繊維樹脂成形品は下記の構成からなる。
1.有機繊維補強樹脂組成物であって、20℃から300℃の範囲において、示差走査熱量測定による吸熱反応または発熱反応のピークが少なくとも2つ以上存在することを特徴とする有機繊維補強樹脂組成物。
2.第一の発熱ピークが100℃以下であり、第二の吸熱ピークが150〜200℃であり、第三の吸熱ピークが200〜300℃の間にあることを特徴とする上記第1記載の有機繊維補強樹脂組成物。
3.密度が1000〜1200kg/mであることを特徴とする上記第1または2に記載の有機繊維補強樹脂組成物。
4.9.0cN/dtex以上の強度を有する有機繊維に溶融粘度1〜1000Pa・secの樹脂を溶融含浸した後に切断し、繊維長3〜50mmのペレットを得ることを特徴とする有機繊維補強樹脂組成物の製造方法。
5.有機繊維補強樹脂成形品であって、20℃から300℃の範囲において、示差走査熱量測定による吸熱反応または発熱反応のピークが少なくとも2つ以上存在し、第一の発熱ピークが100℃以下であり、第二の吸熱ピークが150〜200℃であり、第三の吸熱ピークが200〜300℃の間にあることを特徴とする有機繊維補強樹脂成形品。
【0018】
以下に本発明を詳述する。
まずはじめに本発明でいう示差走査熱量測定と吸熱または発熱のピークとは、例えば「入門機器分析化学」(庄野ら編著、三共出版、1990年刊)に記載の示差走査熱量測定をいう。一定昇温速度で試料を加熱して、横軸に温度、縦軸に熱量を採ったときに試料の結晶化や溶融によって生じる熱量変化に伴うピークを指す。
次に、本発明でいう有機繊維とは、ポリエチレン系繊維、ポリアミド系繊維、ポリエステル系繊維などの汎用有機繊維を指し、好ましくはポリアミド繊維、より好ましくはポリエステル系繊維、更に好ましくはポリエチレンテレフタレート繊維や、ポリブチレンテレフタレート繊維、ポリエチレンナフタレート繊維、ポリトリメチレンテレフタレート繊維を指す。ポリエチレンテレフタレート繊維は製造方法が確立されており、コスト、性能の両面からもっとも好ましい。
【0019】
この様な有機繊維には、耐候性の改善を目的として、耐加水分解性防止剤、耐熱老化防止剤や紫外線劣化防止剤などの添加がより好ましい。
【0020】
また、本発明でいう樹脂とは、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂など汎用のエンジニアリングプラスチックを指すが、再ペレタイズ後のリユース時の物性保持率や、サーマルリサイクル時に炉を傷めないことから、ポリオレフィン系樹脂が好ましく、コストパフォーマンスに優れるポリプロピレン樹脂が更に好ましい。この様な樹脂には、繊維の場合と同様に、耐紫外線劣化防止剤や、耐熱老化防止剤などが添加されていることが好ましい。また、見た目の問題から、顔料などが添加されていても何ら問題はない。そして、補強繊維との接着性を改善する意味で酸変性や、プラズマ、コロナ処理などが施されていても何ら問題はない。更に、工程上の取り扱い性を確保するために油剤が付与されていても何ら問題はない。
【0021】
本発明でいう第一のピークは例えばポリエチレンテレフタレート繊維の昇温に伴う結晶化の発熱反応によって発現する。このピークは、ポリエチレンテレフタレート繊維の配向結晶化度が低いほど大きくなる。この配向結晶化はポリエチレンテレフタレート繊維中の分子の配向度に依存し、配向結晶化度が高いほどポリエチレンテレフタレート繊維の強度は高くなる。よって、このピークは存在しないことが好ましい。
【0022】
本発明のように、紡糸後の補強繊維を溶融樹脂に接触させ加熱すると、補強繊維中の分子の配向が乱れ、配向結晶化度は低くなり、補強繊維の強度が低下してしまい、補強効果を十分に得られない。よって補強繊維に樹脂を被覆含浸する際には、この配向結晶化度を低下を押さえて行うことが肝要である。
【0023】
次に本発明でいう第二のピークとは、樹脂の溶融による吸熱のピークを指す。また第三のピークは補強繊維の溶融による吸熱のピークを指す。第三のピークは熱量の温度に対するピーク幅が狭い方が好ましい。この幅は、繊維の分子量分布と配向結晶度に依存する。分子量分布が小さいほど、配向結晶化度が大きいほど補強繊維の強度は高くなり、ピークの幅も狭くなる。即ち、このピークの幅が狭いほど、補強繊維の強度は向上し、ひいては、成形品の強度も向上する。
【0024】
有機繊維補強樹脂組成物の密度は、1000〜1200kg/mであることが好ましい。この範囲内では例えばポリエチレンテレフタレート繊維とポリプロピレン樹脂の組み合わせであれば、有機繊維補強樹脂組成物中に占めるポリエチレンテレフタレート繊維の重量割合は、25%〜70%となり、通常の樹脂ペレットから、マスターペレットまで幅広く使うことが出来る。
【0025】
以上、述べたように本発明の有機繊維補強樹脂組成物は、有機繊維の強度を十分に活かした補強効果にするぐれたものである。
この様な有機繊維補強樹脂組成物の製造方法としては、常温で9.0cN/dtex以上の強度を有する補強繊維に剪断速度50〜50000/sec、温度180〜240℃の範囲において、剪断粘度が1〜1000Pa・secである樹脂を溶融含浸することが好ましい。
【0026】
熱可塑性樹脂を有機繊維に含浸する場合、その技術の骨子となるのは次の3点である。
まず第1には、含浸温度を挙げることが出来る。無機繊維は熱可塑性樹脂の溶融温度よりも遙かに高い融点または分解温度を有するため、溶融含浸法で全く問題は生じない。有機繊維を用いる場合には、熱可塑性樹脂の融点または含浸温度が、有機繊維のガラス転移温度を超え、融点または軟化点に近接していることが技術課題の根底にある。つまり、含浸温度付近での有機繊維の強度や、クリープ特性が常温でのそれらよりも低いため、有機繊維が破断しやすい状況にあることが問題である。これを解決するために樹脂温度の調整や、接触時間の調整が必要となる。
【0027】
第2に樹脂粘度を挙げることが出来る。熱可塑性樹脂の粘度は、熱硬化性樹脂のそれと異なって著しく高いこと特徴である。粘度の高い液状物の中を有機繊維がある速度を持って進行する場合、溶融樹脂と有機繊維の間には粘性抵抗が発生し、この粘性抵抗が有機繊維の含浸温度での強度を越えると、有機繊維は破断する。
【0028】
第3に含浸性を挙げることが出来る。補強繊維束の繊維間に隙間なく溶融樹脂を含浸させるには、補強繊維間の空気を効率よく排出することと、粘度の高い樹脂を押し込んでいく必要がある。
よって、含浸温度によって決定される樹脂の粘度と強化繊維の強度を変化させることと、補強繊維間の空気を効率よく廃棄することによって操業性と含浸性を確保した製造方法を得ることができる。
樹脂の粘度を落とすには、樹脂と強化繊維間の剪断速度を大きくする方法を挙げることが出来る。溶融状態の樹脂粘度には剪断速度依存性があり、剪断速度が大きいほど、樹脂の粘度を下げることが出来る。
【0029】
補強繊維の強度向上の方策として、補強繊維に引張荷重を負荷することを挙げることが出来る。補強繊維の結晶の配向度によって決定されるため、補強繊維に引張荷重を負荷することによって、結晶の配向度を上げ、強度を向上させることが出来る。また、わずかではあるが、耐熱性を向上させることもできる。
【0030】
補強繊維間に空気を含んだまま、樹脂浴に進行させると空気は樹脂と接していない進行方向に対して逆の方向にしか抜ける場所がない。補強繊維束が完全に樹脂に覆われてしまうと、樹脂に圧力を掛けても、補強繊維束周りでは静水圧状態となり、繊維間に介在する空気は押し潰されるだけであって、抜けることはない。よって、補強繊維を樹脂に接する際には、空気の抜け道を広く開けておくことが必要である。
これらを踏まえて、種々の検討を行った結果、有機繊維補強樹脂組成物の製造に好適な製造工程の一例を図1に示す。この製造工程は、1)給糸工程、2)開繊工程、3)含浸工程、4)冷却工程、5)切断工程の5つの工程からなる。
【0031】
1)給糸工程:
給糸工程で必要なことは、a)補強繊維に撚りが掛からないように解舒すること、b)給糸テンションを一定にすることの2点である。補強繊維に撚りが入ると、開繊が不十分になり、ひいては樹脂の含浸が不良となる。給糸テンションにばらつきがあると、含浸工程で補強繊維が樹脂の圧力に負けて、「糸が踊る」状態となり、補強繊維の破断が生じる。このときの給糸テンションは補強繊維の繊度の1%から10%程度が好ましい。
これを実現するには、例えばボビンに巻かれた補強繊維をクリルスタンドに掛け、撚りが入らないように横取りし、テンションコントローラーを介して引き出すのがよい。
【0032】
2)開繊工程:
開繊工程では、通常、丸断面または楕円断面に集束された補強繊維を扁平化して、樹脂を含浸する際に空気を抜けやすくするとともに、樹脂が浸透する距離を短くする事が必要である。更に、補強繊維に付着している油剤を除去し、樹脂との濡れ、接着性を向上させることが重要である。
これを実現するための方策として、エアー開繊や、バー開繊などを挙げることが出来るが、油剤除去を考慮するとバー開繊が好ましい。バー開繊の場合は、補強繊維がバーに接触するため、バーと補強繊維間の摩擦により補強繊維にテンションが掛かり、含浸工程で補強繊維の「糸が踊る」ことを防ぐことが出来るため更に効果的である。
【0033】
3)含浸工程:
含浸工程で重要なことは、補強繊維間の空気を押しだし、樹脂との濡れ性を確保することである。本発明では含浸工程を更に3つに分けることが出来る。
a)曲面ダイ;
ボイドをなくすためには図2に示すような曲面ダイを用いることが好ましい。この構造であれば、補強繊維を中心として、樹脂が吐出するスリットの反対側が解放されているため空気が抜けやすい。更に補強繊維にはテンションが掛かっているため、補強繊維を曲面ダイに押しつけることが出来る。この押圧とスリットからの樹脂吐出圧力が空気を押しだして樹脂を補強繊維間に押し込む駆動力になるため、補強繊維間への樹脂の含浸が一層促進される。
また、補強繊維と曲面ダイの間に存在する樹脂層を薄くすることが出来るため、樹脂に大きな剪断速度を掛けることが出来るため、同じ温度でも樹脂の粘度を下げる効果を有し、より補強繊維間への樹脂の含浸が促進される。
b)樹脂浴;
樹脂浴は開繊バー並びに曲面ダイで扁平化された補強繊維束または樹脂含浸補強繊維束が丸断面や、矩形断面に賦形するダイスに至るまでのつなぎになる部分である。開繊し、曲面ダイで補強繊維間に樹脂を含浸しても、これを所望の断面形状に賦形する際に、その内部に空気を含むことがあっては、意味がない。よって、図3に模式的に示すように、曲面ダイ通過後、直ぐに樹脂浴を通過させて樹脂浴中で賦形すれば、空気の混入を未然に防ぐことが出来る。
c)ダイス;
ダイスは樹脂含浸補強繊維束を丸断面や、矩形断面に賦形するだけでなく、含浸においても重要な役割を果たす。ダイスは図4に示すように、導入部と平行部が存在することが好ましい。導入部は扁平な樹脂含浸補強繊維束を連続的に無理なく最終形状に賦形するためにいわゆる「ラッパ口」になっていることが好ましい。平行部はその断面形状と長さ、加工速度によって樹脂の剪断速度、すなわち剪断抵抗を決定するため非常に重要である。また補強繊維と樹脂の付着量を決定するため重要な部分である。
例えばポリエステル繊維とポリプロピレン樹脂の場合、繊維破断を起こさず、含浸性に優れる丸断面の繊維補強樹脂組成物を得るためには、ノズルの直径(d)、平行部長さ(L)とするとL/dは0.5〜10が好ましく、更に好ましくは1〜5である。
【0034】
5)冷却工程:
冷却工程はダイスから引き抜かれた樹脂含浸補強繊維束の樹脂を冷却する役割を果たし、冷却に要する工程を短くすることと、完全に冷却して切断を容易にするという役割を果たす。
【0035】
6)切断工程:
切断工程は、冷却後の連続有機繊維樹脂組成物を所望の長さに切断しするためのものである。注意すべき点として、連続操業を行っていると刃の欠け、摩耗によって、切断端面に強化繊維が「ひげ」状に残ることがあることで、刃のクリアランスや、摩耗は慎重に調整しなければならない。
以上、述べたような製造方法から、含浸に優れた繊維補強樹脂組成物を得ることが出来る。そして、この様な繊維補強樹脂組成物を射出成形、押し出し成形等に供することによって、補強繊維の分散性に優れ、強度・弾性率が高く、靱性を兼ね備えた良好な表面性を有する繊維補強樹脂成形品を得ることが出来る。
【0036】
【実施例】
以下に実施例を示す。
示差走査熱量の測定は、繊維補強樹脂組成物または繊維補強樹脂成形品から10mgを採取して、(株)パーキンエルマージャパン社製パーキンエルマーDSC−7を用い、20℃/分の昇温速度で300℃まで昇温して測定した。
特に、断らない限り本検討には、東洋紡績株式会社製、東洋紡エステル(1670T190−H0T)を補強繊維とし、出光興産株式会社製、IDEMITSU PP J3054HP(MFR=40g/10min)または、株式会社グランドポリマー社製、グランドポリプロ J139とマレイン酸変性MMP006のブレンド物を用いた。
【0037】
(実施例1)
東洋紡エステル(繊度1670dtex、強度9.7cN/dtex)を補強繊維、グランドポリプロのブレンド物(マレイン酸変性率0.1%)を樹脂として、給糸テンション0.2cN/dtexを掛けた東洋紡エステルをφ20mmの開繊バー5本に交互に通した後に樹脂温度が170℃曲面ダイと樹脂浴を通し、φ3.0mm、L/d=1の丸ダイスから引抜いて冷却し、ギロチンカッターで10mm長さに切断して繊維補強樹脂組成物を得た。この繊維補強樹脂組成物は、その断面にボイドが見られず、表面に繊維が浮くことなく、端面は非常に良好で、射出成形用材料として良好なものであった。この樹脂組成物を射出成形し、試験を行った結果を表1に示す。また、この樹脂組成物の示差走査熱量計による測定結果を図5に示す。また、この樹脂のキャピラリーレオメータによる粘度測定結果を図6に示す。
【0038】
(実施例2)
樹脂が出光興産株式会社製、IDEMITSU PP J3054HPであることだけが実施例1と異なる条件で作製した。この繊維補強樹脂組成物は、その断面にボイドが見られず、表面に繊維が浮くことなく、端面にもひげが見られない、射出成形用材料として良好なものであった。この樹脂組成物を射出成形し、試験を行った結果を表1に示す。
【0039】
(実施例3)
樹脂温度が190℃であることだけが実施例2と異なる条件で繊維補強樹脂組成物を作製した。この繊維補強樹脂組成物は、その断面にボイドが見られず、表面に繊維が浮くことなく、端面にもひげが見られない、射出成形用材料として良好なものであった。この樹脂組成物を射出成形し、試験を行った結果を表1に示す。
【0040】
(実施例4)
樹脂温度が210℃であることだけが実施例2と異なる条件で繊維補強樹脂組成物を作製した。この繊維補強樹脂組成物は、その断面にボイドが見られず、表面に繊維が浮くことなく、端面にもひげが見られない、射出成形用材料として良好なものであった。この樹脂組成物を射出成形し、試験を行った結果を表1に示す。
【0041】
(実施例5)
給糸テンションを1.0cN/dtexとしたことだけが実施例2と異なる条件で繊維補強樹脂組成物を作製した。この樹脂組成物を射出成形し、試験を行った結果を表1に示す。
【0042】
(実施例6)
給糸テンションを0.1cN/dtexとしたことだけが実施例2と異なる条件で繊維補強樹脂組成物の作製した。この樹脂組成物を射出成形し、試験を行った結果を表1に示す。
【0043】
(比較例1)
樹脂温度が240℃であることだけが実施例2と異なる条件で繊維補強樹脂組成物を作製した。この繊維補強樹脂組成物は、その断面にボイドが見られず、表面に繊維が浮くことなく、端面にもひげが見られない、射出成形用材料として良好なものであった。この樹脂組成物を射出成形し、試験を行った結果を表1に示す。
【0044】
(比較例2)
樹脂温度が160℃であることだけが実施例2と異なる条件で繊維補強樹脂組成物の作製を試みた。しかし、この条件では樹脂の溶融が不十分であり、操業にならなかった。
【0045】
(比較例3)
樹脂温度が240℃であることだけが実施例2と異なる条件で繊維補強樹脂組成物の作製を試みた。しかし、この条件では曲面ダイでポリエステル繊維の破断が生じ、操業にはならなかった。
【0046】
(比較例4)
クリルスタンドを用いず、補強繊維をボビンから経て取りして、給糸テンションを掛けないことが実施例2と異なる条件で繊維補強樹脂組成物の作製を試みた。その結果、開繊バーや、曲面ダイ上で「糸の踊り」が発生し、補強繊維が破断したため、サンプルが取れなかった。
【0047】
(比較例5)
給糸テンションを0.05cN/dtexとしたことだけが実施例2と異なる条件で繊維補強樹脂組成物の作製を試みた。しかし、この条件では比較例4と同じ結果となった。
【0048】
(比較例6)
給糸テンションを4cN/dtexとしたことだけが実施例2と異なる条件で繊維補強樹脂組成物の作製を試みた。しかし、この条件では比較例4と同じ結果となった。
【0049】
(比較例7)
補強繊維を東洋紡ポリエステルの衣料糸(繊度1670dtex、強度4.8cN/dtex)としたことだけが実施例2と異なる条件で繊維補強樹脂組成物の作製を試みた。しかし、この条件では糸の強度が不足し、開繊バー上での毛羽立ちや、曲面ダイでの補強繊維が破断し、操業できなかった。
【0050】
【表1】
Figure 2004123914
【0051】
【発明の効果】
本発明によれば、耐衝撃性に優れ、サーマルリサイクルが容易な車両、建築・土木、機械部品、電子部品などに好適な繊維補強樹脂成形品を得ることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】製造工程の一例である。
【図2】曲面ダイの一例である。
【図3】樹脂浴中の補強繊維軌跡の模式図である。
【図4】ダイス構造の一例である。
【図5】示差走査熱量計測低結果の一例である。
【図6】キャピラリーレオメータによる粘度測定結果の一例である。
【符号の説明】
1.   押出機
2.   ギアポンプ
3.補強繊維ボビン
4.クリルスタンド
5.開繊バー
6.曲面ダイ
7.樹脂浴
8.ダイス
9.冷却バス
10.引き取りローラー
11.カッター
12.樹脂吐出スリット
13.補強繊維
14.樹脂
15.ダイス
16.導入口
17.平行部長さ(L)
18.ダイス直径(d)
19.平行部

Claims (5)

  1. 有機繊維補強樹脂組成物であって、20℃から300℃の範囲において、示差走査熱量測定による吸熱反応または発熱反応のピークが少なくとも2つ以上存在することを特徴とする有機繊維補強樹脂組成物。
  2. 第一の発熱ピークが100℃以下であり、第二の吸熱ピークが150〜200℃であり、第三の吸熱ピークが200〜300℃の間にあることを特徴とする請求項1記載の有機繊維補強樹脂組成物。
  3. 密度が1000〜1200kg/mであることを特徴とする請求項1または2に記載の有機繊維補強樹脂組成物。
  4. 9.0cN/dtex以上の強度を有する有機繊維に溶融粘度1〜1000Pa・secの樹脂を溶融含浸した後に切断し、繊維長3〜50mmのペレットを得ることを特徴とする有機繊維補強樹脂組成物の製造方法。
  5. 有機繊維補強樹脂成形品であって、20℃から300℃の範囲において、示差走査熱量測定による吸熱反応または発熱反応のピークが少なくとも2つ以上存在し、第一の発熱ピークが100℃以下であり、第二の吸熱ピークが150〜200℃であり、第三の吸熱ピークが200〜300℃の間にあることを特徴とする有機繊維補強樹脂成形品。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US10400091B2 (en) 2014-10-31 2019-09-03 3M Innovative Properties Company Thermoplastic composite, method for preparing thermoplastic composite, and injection-molded product

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