JP2004122690A - 蛍光発光印刷物の製造方法、蛍光発光印刷物、画像形成材及び真偽検知方法 - Google Patents
蛍光発光印刷物の製造方法、蛍光発光印刷物、画像形成材及び真偽検知方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004122690A JP2004122690A JP2002292810A JP2002292810A JP2004122690A JP 2004122690 A JP2004122690 A JP 2004122690A JP 2002292810 A JP2002292810 A JP 2002292810A JP 2002292810 A JP2002292810 A JP 2002292810A JP 2004122690 A JP2004122690 A JP 2004122690A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- image
- fluorescent
- light
- color
- ultraviolet
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
- 0 CC(C(*)C(*)CS)C(CC(C(F)(F)F)OC(*)(*)*)=O Chemical compound CC(C(*)C(*)CS)C(CC(C(F)(F)F)OC(*)(*)*)=O 0.000 description 1
Images
Landscapes
- Investigating, Analyzing Materials By Fluorescence Or Luminescence (AREA)
- Thermal Transfer Or Thermal Recording In General (AREA)
- Printing Methods (AREA)
- Credit Cards Or The Like (AREA)
Abstract
【課題】偽造防止に優れ、しかも耐光性を備えた昇華感熱転写による蛍光発光フルカラー画像印刷物の製造方法及び画像形成材(色材リボン)を提供し、該印刷物により画像の真偽を検知する。
【解決手段】基材上に、赤、緑及び青の昇華感熱転写性蛍光色素及びバインダー成分を含む各色の色材層を有する蛍光印刷用色材リボンを用いて、昇華感熱転写印刷したフルカラー画像を、特定波長の紫外線を吸収して該画像の紫外線蛍光発光を制御し得る紫外線遮断画像保護層で被覆することによる蛍光発光印刷物の製造方法、該方法で製造した蛍光発光印刷物、同一リボン基材上に各色の色材層及び紫外線遮断画像保護層が面順次に設けられている昇華感熱転写印刷用色材リボン、並びに予め設定された該印刷物の特定波長光に対する発光パターンと被検査画像印刷物の特定波長光照射により発現する発光パターンを対比し、両者の適合性に基づいて真偽を判定する方法。
【選択図】 なし
【解決手段】基材上に、赤、緑及び青の昇華感熱転写性蛍光色素及びバインダー成分を含む各色の色材層を有する蛍光印刷用色材リボンを用いて、昇華感熱転写印刷したフルカラー画像を、特定波長の紫外線を吸収して該画像の紫外線蛍光発光を制御し得る紫外線遮断画像保護層で被覆することによる蛍光発光印刷物の製造方法、該方法で製造した蛍光発光印刷物、同一リボン基材上に各色の色材層及び紫外線遮断画像保護層が面順次に設けられている昇華感熱転写印刷用色材リボン、並びに予め設定された該印刷物の特定波長光に対する発光パターンと被検査画像印刷物の特定波長光照射により発現する発光パターンを対比し、両者の適合性に基づいて真偽を判定する方法。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種証明書及び証券等の偽造防止に好適に用いられる蛍光発光印刷物の製造方法、蛍光発光印刷物、及び該蛍光発光印刷物を得るのに好適に用いられる色材リボンに関するものであり、更には該蛍光発光印刷物の真偽判定方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
各種証明書の偽造防止のために、蛍光物質、多くは蛍光顔料を使用した画像若しくは精細なパターン(以下、「画像」と称することがある)を密かに組み込み、関係者のみが紫外線光(通常、ブラック・ライトと称される)を照射することにより、蛍光画像の発現性等から偽造物であるか否かの判別を容易に可能にならしめてきた。
しかしながら、偽造防止の知識の広まりにつれて、単なる蛍光画像では偽造防止技術としては不十分となり、種々の手法が提案されてきている。
【0003】
特開平7−68946号公報には、情報の表示部の表面上に、絵柄又は文字を熱昇華感熱又は熱溶融転写式で形成するための転写体として、基材上に、剥離層、透明蛍光体又は半透明蛍光体層(以下、蛍光体層という)、紫外線カット性感熱転写層を順次積層した転写体であって、該蛍光体層として所定の絵柄又は文字パターン状にした蛍光体層を用いることが記載されている。また、蛍光体色素として、Brillian Sulfolaviret yellow HG、 Eosine Rhodamine G、Rhodamine B(商品名)等の蛍光色素を用いることが記載されている。
【0004】
そして、情報の表示部の表面上に、この転写体の紫外線カット性感熱性接着剤層面を合わせ、基材側からサーマルヘッドを用いて感熱転写により転写し、その後基材を剥がすことによって情報の表示部の表面上に、紫外線カット性感熱接着剤層を介して蛍光体層(蛍光体画像)が形成される。従って、蛍光体層を剥がして情報の改ざんが行われた場合には、蛍光体層が除かれるので、蛍光体の有無で改ざんを検知することができる。
しかしながら、このような蛍光体の有無による偽造防止は、情報表示部を書き換える際その表示部上に張り付けられた蛍光体画像部が破損されることを前提としているが、蛍光体画像の存在が判り、しかも単色蛍光画像である場合には、高度の改ざん技術を有する熟練者にとって、蛍光体画像の再生は容易になし得ることが予測され、必ずしも高度な偽造防止技術とは言えない。
【0005】
更に、特開平7−68946号公報には、蛍光体層としては、単色で絵柄又は文字を設けることが記載されているのみで、フルカラーで蛍光発光単独画像を形成することについて何等記載されていない。即ち、特開平7−68946号公報に記載された上記有機蛍光色素は、いずれも可視光下でも着色した蛍光色素であり、Brillian Sulfolaviret yellow HGは濁った黄色、 Eosine Rhodamine Gは赤紫、Rhodamine Bは青紫に着色し、非可視性蛍光フルカラー化の3原色に使うことが出来ないものである。その為、これらの色素を使用し、可視光下で視認し難くするためには、単色、かつ低濃度で蛍光色素単独画像を形成し、当該公報の第2図に示されているように、背景に何らかの図柄を設定しておくことが必要とされるのである。又同公報には、他の可視3原色に混ぜて紫外光照射で色相が変化するフルカラー画像に使用し得ることは記載されているが、この場合でも、単独蛍光画像とはならず、フルカラー蛍光色素単独画像を得る事について、記載もなく何等示唆するものもない。
【0006】
特開平10−35089号公報には、1つの基材に、蛍光によって可視光発光する第1の色料を含む第1の画像領域と、蛍光によって第1の分光波長分布とはそれぞれ異なる分光分布波長分布を有する可視光を発光する、第2の色料を含む第2の画像領域、第3の色料を含む第3の画像領域を設けた画像形成体が記載されており、第1〜3の色料として、赤(R)、緑(G)、青(B)[以下、単にR、G、Bと略称することもある)3色を用いること、及び熱転写で画像を形成することも記載されている。
しかしながら、同公報には、熱転写方式に関わる網点印刷の場合につき僅か一行触れているのみで、網点印刷は、色材の転位量が不変の面積濃度諧調印刷、即ち溶融感熱転写が開示されているに過ぎないのである。溶融感熱転写では、RBGの色を重ねることが出来ず、画像を注意深く解析することにより網点と発色濃度の相関性が見破られると、比較的簡単に偽造可能となってしまう。
【0007】
即ち、同公報に記載の発明は、偽造防止のためにRGB3原色の蛍光発色画像とすることにより、単色蛍光発色画像に比べて複雑化してはいるものの、面積濃度諧調画像であるので、画像の詳細解析により網点と発色濃度の相関性が見破られると、比較的簡単に偽造可能となってしまう。
また、昨今のより悪質な偽造に対抗するには、フルカラー蛍光画像による、蛍光画像自体の複雑化だけでは十分とはいえず、一段のセキュリティ性向上が望まれる。
一方、フルカラー蛍光画像を昇華感熱転写印刷により形成する技術を実用化するには、耐光性を確保することが必要とされる。即ち、紫外線の強い光エネルギーによって、有機物質である昇華性蛍光色素は分解されてしまい、十分な耐光性が確保出来ないことが実用化の壁となっていた。
【0008】
前述の特開平10−35089号公報には、画像保護のために保護層を装着することが記載されているが、保護層はアクリル系樹脂など、励起光である紫外線や蛍光インキから発光される可視光の双方に対して透過性であらねばならないと記載されている。即ち、この保護層は、専らフルカラー画像の表面が露出しないように覆う為のもので、高い紫外線透過性が必須とされており、耐光性に対する対策がなされていないのが現状である。なお、当該公報には、紫外線吸収層を設ける記載があるが、該紫外線吸収層は、蛍光画像の下位にある可視画像の褪色を防ぐために設けられるものであり、蛍光発色を阻害しないために、蛍光画像の下で可視画像の上に紫外線吸収層は施される。 この様に、紫外線吸収層は蛍光発光画像のレイアウトの自由度を高めるものであって、蛍光発光画像の表面に形成されていないので、蛍光発光画像の耐光性対策にはならない。
【特許文献1】特開平7−68946号
【特許文献2】特開平10−35089号
【0009】
【本発明が解決しようとする課題】
昇華感熱転写印刷方式による点濃度諧調のように同一の点に複数の原色を濃度を変えて重ねて印字する方式ならば、発色色相・濃度の組合せが数多く在るため、微妙かつ精細な機密性の高い画像が得られ、単純な面積諧調画像に比べ偽造防止に対する抑制効果が高い。そこで、本発明の目的は偽造防止に優れ、しかも実用上充分な耐光性を備えた昇華感熱転写による蛍光発光フルカラー画像の印刷物を提供することにあり、そのための印刷物の製造方法及び色材リボン等の画像形成材も提供するものである。本発明の更なる目的は、複製が容易でなく、偽造防止効果に高いかかるフルカラー蛍光発光印刷物を用いて、偽造物を見極める画像印刷物の真偽検知方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この様な状況下で、本発明者等は、一般に用いられているブラック・ライト機器には、通常365nmを最大強度とするロングウエーブと、254nmを最大強度とするショートウエーブの2種類が装着されている事に着目し、これらの波長光と蛍光色素との組合せにより、特異的な蛍光発色を発現させることが出来ることを見出し、蛍光色素による潜像が発現するこの特異性を利用することにより有効な偽造防止を成し得る事を知得した。
そして、昇華性蛍光色素を用いた昇華感熱転写によるフルカラー画像に、同じ紫外線領域内でも、照射する光の波長の違いにより色調を異ならせ得る紫外線遮断画像保護層を被せることにより、画像の紫外線蛍光発光を複雑に制御し、フルカラー画像の偽造防止効果が一段と向上すると共に、実用化に供し得る耐光性をも達成できる新規な蛍光発光印刷物が得られることを見出し、本発明を達成した。
【0011】
即ち、本願発明の第1の要旨は、基材上に、R、G及びBの昇華感熱転写性蛍光色素の少なくとも1種及びバインダー成分を含む該各色の色材層を有する蛍光印刷用の画像形成材を用いて、昇華感熱転写印刷したフルカラー画像を、特定波長の紫外線を吸収して該画像の紫外線蛍光発光を制御し得る紫外線遮断画像保護層で被覆することを特徴とする蛍光発光印刷物の製造方法に存するものである。
【0012】
本願発明の第2要旨は、基材上に、R、G及びBの昇華感熱転写性蛍光色素の少なくとも1種及びバインダーを含む各色の色材層を有する蛍光印刷用の画像形成材を用いて昇華感熱転写印刷したフルカラー画像を、特定波長の紫外線を吸収して該画像の紫外線蛍光発光を制御し得る紫外線遮断画像保護層で被覆してなる蛍光発光印刷物、或いは基材上に、R、G及びBの昇華感熱転写性蛍光色素を含む色材層及びR、G及びBの可視光で認識可能な昇華感熱転写性着色剤を含む色材層からなる色材層を有する蛍光印刷用画像形成材を用いて昇華感熱転写印刷した、蛍光発光フルカラー画像及び可視光で認識可能なフルカラー画像を、特定波長の紫外線を吸収して該画像の紫外線蛍光発光を制御し得る紫外線遮断画像保護層で被覆してなる蛍光発光印刷物に存する。
【0013】
本発明の第3の要旨は、基材上に、R、G及びBの昇華感熱転写性蛍光色素を含む色材層、必要に応じ更に可視光で認識可能なR、G及びBの昇華感熱転写性着色剤を含む色材層からなる色材層、並びに特定波長の紫外線を吸収して紫外線蛍光発光を制御し得る紫外線遮断画像保護層が面順次に設けられている画像形成材に存する。
【0014】
本発明の第4の要旨は、上記本発明方法で製造された眞の画像印刷物に、250〜400nmの紫外線領域内の少なくとも1種の特定波長光の照射により発現する蛍光画像の色調と、被検査物の画像印刷物に、該照射光と同一波長光を照射した際に発現する画像の色調を照合し、両者の適合性に基づいて真偽を判定することを特徴とする画像印刷物の真偽検知方法に存する。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の蛍光発光印刷物は、本発明の製造方法に従って製造される、基材上に、R、G及びBの昇華感熱転写性蛍光色素を含む色材層を有する蛍光印刷用の画像形成材を用いて昇華感熱転写印刷したフルカラー画像を、特定波長の紫外線を吸収して該画像の紫外線蛍光発光を制御し得る紫外線遮断画像保護層で被覆してなる蛍光発光印刷物である。
又他の蛍光発光印刷物は、基材上に、R、G及びBの昇華感熱転写性蛍光色素を含む色材層及びR、G及びBの可視光で認識可能な昇華感熱転写性着色剤を含む色材層からなる色材層、並び特定波長の紫外線を吸収し得る紫外線遮断画像保護層領域が面順次に設けられている画像形成材を用い、昇華感熱転写印刷によりフルカラー画像を形成し、次いで該画像の紫外線蛍光発光が制御されるように該画像を紫外線遮断画像保護層で被覆してなる蛍光発光印刷物である。
【0016】
<画像形成材>
本発明の蛍光発光印刷物の製造において、昇華感熱転写印刷によるフルカラー画像の形成に用いられる画像形成材(以下、単に色材リボンと称することもある)は、基材上に赤(R)、緑(G)及び青(B)の昇華感熱転写性蛍光色素の少なくとも1種とバインダーを含む色材層を有するものであり、従来の昇華感熱転写印刷(基本的には3原色の減色混合により調色される)に供せられる、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)3色の色材リボンの色材層に含まれる昇華感熱転写性色素を、R、G及びBの蛍光発色性の、通常の可視光では実質無色の蛍光色素に置き換えることにより製造することができる。
ここで、実質無色とは、昇華感熱転写印刷した際に、通常の可視光下で呈する色味が下地の白色度(通常は黄色みがある)と同じ程度の黄色みまでは許容されることを意味し、「許容される黄色み程度」とは、JIS−P8128に準拠した白色度測定で、75%以上の白色度があれば、通常の白い下地とされる程度を表す。
【0017】
色材リボンの基材としては得に限定されず、通常のベースフィルムが用いられ、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリアミドフィルム、アラミドフィルム、ポリイミドフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリフェニレンサルファイドフィルム、ポリスルフォンフィルム、ポリプロピレンフィルム等が挙げられるが、これらの中でもポリエチレンテレフタレートフィルムが機械的強度、耐熱性及び価格の面から多用され、特に、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましい。
ベースフィルムの厚みは、一般に1〜30μm、好ましくは2〜10μmである。
【0018】
ベースフィルムの背面(色材層と反対の面)には、昇華感熱転写ヘッドのスムーズな走行を可能にするための耐熱滑性層を設けることが好ましい。耐熱滑性層としては、通常の昇華感熱転写印刷用の色材リボンに使用される耐熱滑性層の材質を適用することが出来、具体的には、例えば特開平10−138650号公報に記載されているようにノルボルナン、アダマンタン、キュバン等の骨格を有する脂肪族多環式アルコールの(メタ)アクリル酸エステル構成成分として含む高分子化合物に、滑剤、各種添加剤、溶剤等の必要成分を配合し、配合物をベースフィルムに塗工・乾燥することにより形成される。耐熱滑性層の厚みは、通常0.1μm以上、好ましくは1μm以上であり、通常5μm以下、好ましくは3μm以下である。
【0019】
基材上に設けられる色材層は、昇華感熱転写性蛍光色素(以下、単に蛍光色素ということもある)及びバインダー成分を含有するが、蛍光色素としては、公知の蛍光色素、特に有機蛍光色素の中から以下の▲1▼〜▲3▼の特性を満たす色素を選択するのが望ましい。
▲1▼ 可視光では、実質無色であること。
蛍光発光印刷物の偽造防止のために必要とされる特性で、前述の「実質無色」で定義した白色度をみたすことである。
このためには、蛍光色素は、その分子中に共役系が存し、且つ分子中で共役系をなす炭素原子系が側鎖の共役系を有しない構造、つまり、環状の共役系とそれを繋ぐ直線共役系とで構成される構造を有するものを選ぶのが好ましい。
▲2▼ 強い蛍光を発光すること。
通常の紫外線光領域(400nm〜250nm)の波長を有する励起光により、発光する蛍光スペクトルの強度が比較的強く、例えば光量子効率が3%程度以上のものが好ましい。
▲3▼ 鮮明なRGBの蛍光を呈すること。
蛍光色素の励起光に対する蛍光スペクトルの形状においてその最大ピークの巾が狭く尖鋭であることによりフルカラーの蛍光画像は鮮明に現出し得る。
【0020】
本発明における上記特性を満足する蛍光色素としては、チオフェン系、β−キノフタロン系、クマリン系、ビススチリルベンゼン系、オキサゾール系及びユーロピウム錯体系の昇華感熱転写性蛍光色素から選ばれ、簡便には市販品の中から適宜選択使用することが出来る。以下にこれらの色素につき、更に具体的に説明する。
(I)チオフェン系蛍光色素
当該色素は下記一般式Iで示される。
【化7】
一般式I中、Rは、それぞれ独立して、水素原子;メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素数1〜6の直鎖又は分岐アルキル基;塩化メチル基、トリフルオロメチル基等の炭素数1〜6のハロゲン化アルキル基;メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基を表す。これらの中、好ましくは水素原子、t−ブチル基、メトキシ基及びトリフルオロメチル基を表す。
チオフェン系蛍光色素の具体例を以下に示す。
【0021】
【化8】
【0022】
(II)β−キノフタロン系蛍光色素
当該色素は、下記一般式IIで表される。
【化9】
一般式II中、Xは水素原子;塩素、臭素等のハロゲン原子;フェニル、ナフチル、トリル等の置換基を有し得るアリール基を表し、好ましくは水素原子及び臭素原子を表す。Yは水素原子;水酸基;メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基を表し、好ましくは水素原子及び水酸基を表す。Zは水素原子;塩化メチル基、トリフルオロメチル基等の炭素数1〜6のハロゲン化アルキル基、メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基を表し、好ましくは水素原子及びトリフルオロメチル基を表す。
β−キノフタロン系蛍光色素の具体例を以下に示す。
【0023】
【化10】
【0024】
(III)クマリン系蛍光色素
当該色素は、下記一般式IIIで表される。
【化11】
一般式III中、R1及びR2は、互いに独立して水素原子;メチル基、エチル基等の炭素数1〜6のアルキル基;フェニル、ナフチル、トリル等の置換基を有し得るアリール基を表し、これらの中、好ましくは互いに独立して水素原子、メチル基、エチル基を表す。X及びYは、互いに独立して水素原子;メチル基、エチル基等の炭素数1〜6のアルキル基;塩化メチル基、トリフルオロメチル基等の炭素数1〜6のハロゲン化アルキル基を表し、これらの中、好ましくは水素原子、メチル基及びトリフルオロメチル基を表す。
クマリン系蛍光色素の具体例を以下に示す。
【0025】
【化12】
【0026】
(IV)ビススチリルベンゼン系蛍光色素
当該色素は、下記一般式IVで表される。
【化13】
一般式IV中、R1及びR2は、互いに独立して、水素原子;メチル基、エチル基等の炭素数1〜6のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;塩化メチル基、トリフルオロメチル基等の炭素数1〜6のハロゲン化アルキル基を表し、これらの中、好ましくは互いに独立してメチル基、メトキシ基、トリフルオロメチル基を表す。
ビススチリルベンゼン系蛍光色素の具体例を以下に示す。
【0027】
【化14】
【0028】
(V)オキサゾール系蛍光色素
当該色素は、下記一般式Vで表される。
【化15】
一般式V中、X及びYは、互いに独立して水素原子;メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基、;塩化メチル基、トリフルオロメチル基等の炭素数1〜6のハロゲン化アルキル基を表し、これらの中、好ましくは互いに独立して水素原子、メトキシ基、トリフルオロメチル基を表す。
オキサゾール系蛍光色素の具体例を以下に示す。
【0029】
【化16】
【0030】
(VI)ユーロピウム錯体系蛍光色素
当該色素は、下記一般式VIで表される。
【化17】
一般式中、R1及びR2は、互いに独立して、水素原子;メチル基、エチル基等の炭素数1〜6のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基を表し、これらの中、好ましくは互いに独立して水素原子、メチル基、メトキシ基を表す。R3〜R5は、それぞれ独立して炭素数4以上の鎖状アルキル基、環状アルキル基、を表し、これらの中、好ましくは互いに独立してブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基等の炭素数4〜8のアルキル基を表す。
ユーロピウム錯体系蛍光色素の具体例を以下に示す。
【0031】
【化18】
【0032】
本発明において、色材層の形成に使用する蛍光色素は上記の蛍光色素から選ばれるが、その際、色材層を構成するバインダーや有機溶媒との、相溶性・溶解性、更には塗工性等を考慮して選ばれ、通常、蛍光色素としてはメチルエチルケトンに少なくとも5重量%溶解するものが好ましい。
【0033】
色材層に使用するバインダー成分としては、特に制限はなく、昇華型熱転写用色材リボンに通常使用されているバインダー樹脂から適宜選ばれる。具体的には、ポリカーボネート樹脂、ポリスルフォン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアセタール樹脂、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエステル樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体樹脂及びセルロース系樹脂などのバインダー樹脂が挙げられる。これらの中でも、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアセタール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂が蛍光色素との相溶性の点で好ましい。
【0034】
本発明の蛍光色素を含有する色材層には、蛍光色素の長期保存による分解を抑制する目的で安定剤を含有させておくのが好ましい。安定剤としては、昇華感熱転写の際、被転写材の染着層(受容層)へ蛍光色素が移行するのと共に移行するものが望ましく、このような性質を満たす限り特に制限はない。安定剤は、蛍光色素,バインダー樹脂、溶剤、その他の添加剤等色材層を構成する成分に応じ、塗工性等も考慮して適宜市販品の中から選ぶことが出来、例えば、ヒンダードアミン系安定剤、ヒンダードフェノール系安定剤が挙げられる。これらの安定剤の具体例を下記に示す。
【0035】
【化19】
【0036】
本発明の色材層には、更に昇華感熱転写印刷後、色材リボンと被転写材の染着層との剥離性を改善するために、潤滑成分、例えばシリコーン樹脂、アミノ変性或いはエーテル変性の変性シリコーン樹脂、シリコーン変性アクリル樹脂等を添加しても良い。
また、本発明の色材リボンにおいては、基材と色材層との間に、基材と色材層の固着を強めるために易接着層を設けてもよい。易接着層を形成する材料としては特に制限はないが、ポリウレタン樹脂、メタミン樹脂等が挙げられる。
【0037】
色材層中における蛍光色素、バインダー成分、安定剤及びその他の成分の割合に関し、蛍光色素は、バインダー成分100重量部に対し、通常0.5〜90重量部、好ましくは0.5〜70重量部であり、その他の成分の合計量100重量部に対し、通常0.3〜80重量部、好ましくは0.3〜50重量部である。また、安定剤は、バインダー成分100重量部に対し、通常、15〜60重量部、好ましくは15〜30重量部である。 蛍光色素や安定剤の量が上記範囲を超えて、多すぎると色材リボンの表面に析出物が生じやすく、昇華感熱転写条件下で色材リボンと被転写材の染着層との融着が起こりやすくなり好ましくない。
【0038】
本発明の蛍光印刷用色材リボンにおける色材層を基材上に形成する方法は、特に制限されず、例えば、上記の蛍光色素、バインダー樹脂、安定剤及びその他必要により添加される成分を適当な溶剤に溶解或いは分散させた塗布液を調製し、この塗布液を基材のベースフィルムに塗布し、次いで乾燥することにより形成することが出来る。
溶剤としては、クロロホルム等の塩素化アルカン系溶剤、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、エタノール、イソプロパノール等のアルコール系溶剤、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶剤,N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド等のアミド系溶剤が挙げられ、これらは単独でも混合物としても使用される。
【0039】
R、G、Bのそれぞれの蛍光色素を含む各色材層は、別々の基材上に設けた各色別のリボンとしても良いし、同一の基材上にR、G、Bの各色材層を面順次に設けることも出来る。その場合、後述する紫外線遮断画像保護層や、可視昇華感熱転写色材層と共にパターン化したり、面順次に配列したりすることも出来る。
【0040】
本発明では、通常の昇華感熱転写プリンターを用い、上記色材リボンの色材層面と被転写材の染着層を重ね合わせ、色材リボンの背面(色材層と反対面)をサーマルヘッドで加熱することによって昇華感熱転写性蛍光色素を染着層に移行させ、フルカラー画像を被転写材に印刷する。
被転写材としては、昇華感熱転写印刷の際、上記色材リボンから昇華感熱転写性蛍光色素が、加熱移行して染着し得る染着性の表面(染着層)を有するものであれば良く、通常の昇華感熱印刷メディアに使用されている受容体も使用することが出来る。
【0041】
被転写材は、通常、基材上に染着層を有するものであり、染着層にはバインダー成分、剥離性付与物質等が含まれている。バインダー成分としては特に制限されず、例えば、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリエステル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、及びこれらの混合樹脂等が挙げられ、剥離性付与物質としては、例えば、シリコーンオイル、変性シリコーンオイル等が挙げられる。染着層の厚みは、通常1〜10μm、望ましくは3〜5μmである。
基材としては特に制限されないが、例えば、芯材(例えば、紙、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル樹脂、望ましくは紙)の両面に多孔質樹脂材を貼り合わせたものが挙げられる。多孔質樹脂材としては、多孔質のポリプロピレン、PET等のシートが挙げられるが、多孔質ポリプロピレンシートが望ましい。芯材の厚みは、50〜150μm(50〜150g/m2)、望ましくは80〜120μm(80〜120g/m2)であり、多孔質樹脂材の厚みは20〜100μm、望ましくは40〜80μmである。
【0042】
昇華感熱転写では、通常、昇華感熱転写プリンターの内部において、R、G、B3原色光加色混合ポジ画像信号(第1図参照)を、Y、M、Cの減色混合画像信号に変換して印刷を行う。本発明で、昇華感熱転写により蛍光画像印刷を行うには、R、G、B3原色光加色混合ネガ画像信号(第2図参照)を、RGBの強度が補色のCYMの強度に置き換わった画像信号として入力し、Yと置換した緑(G)、Mと置換した青(B)、Cと置換した赤(R)で印字させることにより、結果として昇華感熱転写によるフルカラー蛍光加色混合発光画像を得ることが出来る。
【0043】
本発明では、昇華感熱転写印刷により形成されたフルカラー蛍光発光画像の上に、特定波長の紫外線を吸収する紫外線遮断画像保護層を被せ、該画像の紫外線蛍光発光を制御するものである。
蛍光色素は、ブラックライトで発光し、その励起吸収(吸収した光が可視蛍光として放出される)は、通常、250〜400nmにあるが、励起光の波長によりその最大吸収波長、吸収能率、吸収スペクトルの形状は異なる。つまり、蛍光発光画像に対し照射光の波長を変えることによって、紫外線蛍光発光のパターンを変え、色調の異なったフルカラー画像を現出させ得るのである。
【0044】
蛍光色素により形成されたフルカラー画像に、特定波長の紫外線を吸収する紫外線遮断画像保護層を被せることにより、照射光が同じ紫外線領域内であっても、特定波長の照射光は保護層により吸収・遮断されるので、特定波長光と特定波長と異なる波長光を照射した場合では画像の蛍光発光パターンが相違することになる。又、保護層が無い場合、或いは改変等で印刷物に手が加えられ保護層に変化が生じ紫外線遮断画像保護層が変化し特定波長の紫外線吸収の態様が変化した場合には、特定波長光により生ずる蛍光画像の色調も変わることになる。このような照射光の波長の違い、或いは保護層の状況の違いによって生ずる蛍光発光画像間の違いを利用すれば、フルカラー画像の真偽の効果的な判定を可能にする。
【0045】
即ち、少なくとも1種の特定波長の紫外線遮断により生ずる蛍光発光パターン、特に色調を予め設定し、そのために、使用する蛍光色素の種類、色材中における色素濃度、蛍光発光させるブラックライトの波長、保護層の紫外線吸収剤の種類・濃度等の各種要素の組合せにつき、実験的に最適な組合せを選択する。そして、この組合せにより構成された蛍光発光印刷物を眞正品とすれば、被検査物の印刷物に特定波長の照射光(検査光に相当)を照射した場合、眞正品の蛍光発光パターンと相違すれば、その物は偽物と判定されるのである。その場合、予め設定する蛍光発光パターンの特定波長として2種類の波長の照射光を用いれば、より高精度で偽造物の識別を可能にすることが出来、2種類の波長としては、ブラックライトに通常用いられているロングウエーブ(365nm)とショートウエーブ(254nm)を用いるのが有利である。
【0046】
例えば、本発明により原画顔写真(白地バック)を昇華感熱転写により蛍光色素でフルカラー印刷し、紫外線遮断画像保護層で被覆した画像の場合、3画面が重ね印字されるW部(写真の無地背景)は、可視光下で無色であり地色と変わらないが、このW部にブラックライトのロングウエーブ(365nm)を照射すると白く発光する(白色発光に設定)。これに対し、被検査対象とする印刷物に同じロングウエーブ(365nm)を照射した際、白色発光を生じないか、発光しても白色ではない場合、その印刷物は偽造品と判断される。
また、蛍光染料と保護層の紫外線吸収剤の組合せを変えることによりロングウエーブ照射に対し白色発光(白色発光に設定)するが、ショートウエーブ(254nm)照射に対してはグレーバランスを変化させ(白色発光から変化して色味が加わる)、特定の色調(色味)に発光するように設定することも出来る。従って、蛍光発光パターンをこのような2種の特定波長の照射光に対して設定しておけば、被検査対象印刷物に2種の異なる波長光を照射した場合、両照射光による発光パターンは勿論、少なくともいずれか一方の照射光により蛍光パターンが予め設定した発光パターンと相違すれば、その印刷物は偽物と判るのである。
【0047】
本発明は、従来の単色の蛍光発光画像の場合と異なりフルカラーの蛍光発光画像であり、色材層の蛍光色素の種類・濃度、保護層の紫外線吸収剤の種類・濃度、照射光の波長等の各種要素を任意に組合せることにより蛍光発光パターンを種々変化させることが出来るので、この予め設定された蛍光発光パターンの発現要素を解析することは極めて困難である。従って、本発明の蛍光印刷物の偽造物の製造は非常に難しく、偽造防止効果が極めて高い印刷物ということが出来る。
また、可視光で認識可能な昇華感熱転写性色素により印画した可視画像(参照画像)に対し所定の色調で蛍光発光する蛍光色素により非可視画像を同一の受像紙上に印画しておき、特定波長光照射による参照画像とのズレによっても、真偽を判断することが出来る。
更に、本発明では蛍光発光によるフルカラー画像を紫外線遮断画像保護層で被うことにより耐光性をも向上させることができるのである。
【0048】
紫外線遮断画像保護層は紫外線吸収剤とバインダーを含有するが、紫外線吸収剤としては特定波長の紫外線を吸収し画像の紫外線蛍光発光を制御するのに適したものを選択する必要がある。即ち、予め設定する特定波長光を照射した場合の蛍光発光パターンを想定し、使用する蛍光色素の種類、吸収スペクトル、照射光の波長、更には可視光下での着色等の挙動を考慮し、所望の蛍光発光パターンが生じるように紫外線吸収剤を選択するのである。
紫外線吸収剤としては、この様な機能を満たす限り特に制限されないが、通常、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤等から選ばれる。これらの紫外線吸収剤は入手のし易さ、コスト等の点で市販品から選ぶのが簡便である。紫外線吸収剤それ自体は、紫外線を受けても分解せず、紫外線吸収効率が高いものが望ましい。
【0049】
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤として、具体的には、以下の化合物が挙げられる。
【化20】
【0050】
また、トリアジン系紫外線吸収剤及びベンゾフェノン系紫外線吸収剤の具体例として、以下の化合物が挙げられる。
【化21】
【0051】
紫外線遮断画像保護層に含まれるバインダーとしては、特に制限されず、通常ポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、エポキシ樹脂、及びこれらの混合樹脂が挙げられる。
【0052】
紫外線吸収剤は、バインダー樹脂100重量部に対し、通常1〜30重量部、好ましく2〜25重量部である。紫外線吸収剤の使用量が多すぎると、蛍光印刷画像と紫外線遮断画像保護層との融着不良が起こりやすくなり好ましくない。
蛍光印刷画像を被う紫外線遮断画像保護層の厚みは、通常、0.2〜2μm、好ましくは0.5〜1.5μmである。
【0053】
蛍光印刷画像を被う方法は特に制限されず、紫外線遮断画像保護層を蛍光印刷画像の上に密着させることが出来る任意の手法で行うことが出来、例えば、基材のベースフィルム上に設けられた紫外線吸収剤及びバインダーを含有する紫外線遮断画像保護層を、蛍光印刷された画像面上に重ね合わせ、ベースフィルの紫外線遮断画像保護層を有しない側の背面からサーマルヘッド等で加熱することにより、該保護層を画像上に接着、融着させることにより被覆出来る。その場合、ベースフィルムには背面からの加熱を円滑にするために、サーマルヘッド等のスムーズな移行を可能にする背面層を設けておくことが好ましく、また、該保護層を剥離層を介してフィルム上に設け、被覆終了後剥離層を剥がすことにより保護層を形成しても良い。
【0054】
紫外線遮断画像保護層の基材上への形成は、常法により行われ、例えば、バインダー及び紫外線吸収剤を、任意の溶剤に溶解して塗布液を調製し、グラビアコーター、キスコーター、リバースコーター、バーコーター等の通常のコーティング方法を用いて、予め片面に剥離層を反対面に背面層を設けた基材上の剥離層上に塗布液を塗布、乾燥することにより形成される。溶剤としては、紫外線吸収剤及びバインダーを溶解するものであれば特に制限されず、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤、クロロホルム等のハロゲン化アルキル有機溶剤、メチルエチルケトン等のケトン系有機溶剤並びにこれらの混合物から適宜使用される。
【0055】
基材としては、厚さ3〜15μm程度のポリエチレンテレフタレートフィルム等が用いられ、背面層には、変性シリコーン化合物等の通常の昇華感熱転写用色材リボンに施されているものと同等のものが使用される。又、市販されている剥離性の付与されたポリエステルフィルム等を用いて、その上に紫外線遮断画像保護層を設けることことも出来る。
基材上への剥離層の形成及び剥離層の材料は、従来公知の方法及び材料を用いることが出来る。例えば、アクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、セルロース系樹脂、ゴム系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル系樹脂等のホモポリマー、コポリマー或いはこれらの混合物及び必要に応じて剥離性調節剤としてシリコーン樹脂、シリコーングラフトアクリル樹脂並びにシリコーングラフト・ポリエステル樹脂等を添加した有機溶剤溶液或いは分散液を、既知のコーティング方式、例えば、グラビア方式、シルクスクリーン印刷法、ロールコーター法、スプレーコート法、フローコート法、ナイフコート法、エアナイフコート法などにより、一般には乾燥膜厚で0.1ミクロン以上、2ミクロン以下の厚さに塗布して加熱乾燥して形成することが出来る。
【0056】
本発明では、蛍光印刷画像は、昇華感熱転写性蛍光色素を含む色材層を有する色材リボンを用い昇華感熱転写印刷により被転写材の染着層上に形成されるので、画像を被覆する紫外線遮断画像保護層を、色材リボンの色材層と同一面上に面順次に設けることも出来、それによって感熱転写により画像形成後、その上の保護層を形成させることが出来る。
【0057】
更に、本発明では昇華感熱転写印刷方式により画像形成がなされることから、蛍光発光する蛍光色素を含む色材層(不可視昇華感熱転写性色材層)と紫外線遮断画像保護層とを有する色材リボンに、可視光で認識可能な昇華感熱転写性色素を含む色材層(可視昇華感熱転写性色材層)を並存させることにより、可視画像と蛍光発光画像とを同一の被転写材に印刷することを可能にするのである。即ち、同一の昇華感熱転写プリンターで、偽造し難い精細な蛍光画像と参照用の可視昇華感熱転写画像(以下、通常画像ともいう)を、単一の被転写材の染着層上に任意のパターンで形成できるのである。
この様な、単一の色材リボン上に不可視昇華感熱転写性色材層と可視昇華感熱転写性色材層とを設ける例としては、図−3及び図−4に示す如く、R、G及びBのそれぞれの色素からなる不可視昇華感熱転写性色材層と可視昇華感熱転写性色材層とをリボンの長手方向に直列に設けることも出来るし、並列に設けることも出来る。
【0058】
昇華感熱転写プリンターに、通常のR、G、B画像信号とR、G、Bネガ画像信号を組み合わせて送り込み、例えば、図−3に示す形式の色材リボンを用いれば、任意の重なりで通常画像と蛍光画像を単一の染着層に形成することが出来る。又、図−4に示す形式の色材リボンを用いれば、通常画像と蛍光画像を隣接して単一の染着層に形成することが出来る。
【0059】
更に、本発明の色材リボンには、色材層と共に紫外線遮断画像保護層が設けられており、昇華感熱転写により蛍光画像及び通常画像を形成した後、これらの画像を該保護層で熱転写により被覆することが出来る。該保護層には、特定波長の紫外線を吸収し蛍光画像の紫外線蛍光発光を制御する紫外線吸収剤が含まれているので、この保護層は通常画像に対しては、従来行われている紫外線フィルターとしての保護層としての役割を果たすことが出来る。その結果、印刷画像の耐光性も向上させることが出来る。
【0060】
昇華感熱転写印刷で通常行われているように、透明基板上に設けられた染着層に本発明方法により、蛍光画像を要すれば通常画像と共に形成し、紫外線遮断画像保護層を被せたのちに、第2の基材に貼り付けたり、或いは剥離可能な染着層に画像を形成し、紫外線遮断画像保護層を被せたのち、剥離した染着層を第2の基材に貼り付けることも出来る。
【0061】
【実施例】
以下に、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例によって限定されるものではない。
【0062】
[参考例]
(I)蛍光色素、安定剤及び紫外線吸収剤の塗膜性試験
1.最大吸収波長と最大蛍光波長の測定
前述の蛍光色素(No.1〜34)のそれぞれをエタノールに溶かし、10−5mol/L 溶液として、日立F−4500型紫外分光計にて最大吸収波長と最大蛍光波長を測定した。その結果を発光の色の類別(青、緑、赤)と共に表1に示す。尚、表1中、No.は前記蛍光色素番号である。この結果、最大波長は340〜395nmに分布していることが判る。
【0063】
【表1】
【0064】
2.色材層塗布液の塗膜性確認試験
色材リボンに色材層を形成した際の析出物の有無を確認するため、下記組成の色素及び安定剤を用い、塗布試験を行った。なお、色素及び安定剤のNo.は、前記化合物Noと同一である。
表2 蛍光色素混合物
(B、G、Rは、それぞれ青、緑、赤の発光色を表す)
【表2】
【0065】
【表3】
【0066】
上記色素混合物及び安定剤混合物、並びにバインダーとしてのアセタール樹脂(KS−5;積水化学工業社製)を表4に記載の組成割合で用い、クロロホルム2000部に溶解して塗布液を調製した。この塗布液をマイヤーバーにてポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に塗布した後、110℃、30秒オーブンにて乾燥させて1.0μmの塗層を形成した。塗層の表面を目視観察し、加熱印画の際に色材リボンと受像層の融着の原因となる析出物の有無を調べた。その結果を表4に示す。
【0067】
【表4】
【0068】
3.紫外線遮断画像保護層塗布液への塗膜性確認試験
塗工により保護層形成の際、保護層から紫外線吸収剤等の析出物の生起が生じないことを表5に記載の紫外線吸収剤混合物を用いて確認のために試験を行った。なお、紫外線吸収剤の化合物No.は、前記化合物No.と同一である。
【表5】
【0069】
上記紫外線安定剤混合物及びバインダーとしてのアクリル樹脂(Paraloid A−21 ;ロームアンドハース社製)を表6に記載の組成割合で用い、トルエン500部とメチルエチルケトン500部の混合溶剤に溶解して塗布液を調製した。この塗布液をマイヤーバーにてPETフィルム上に塗布した後、110℃、30秒オーブンにて乾燥させて1.0μmの塗層を形成した。塗層の表面を目視観察し、加熱印画と保護層の融着不良の原因となる析出物の有無を調べ、その結果を表6に示す。この結果、紫外線吸収剤は、バインダー樹脂に対して30部以下、好ましくは25部以下であることが判る。
【0070】
【表6】
【0071】
(II)熱転写用リボン等の作成
1.耐熱滑性層付き基材の調製
蛍光色素含有色材層付きリボンの基材として通常PETフィルム(K233E6.5W;三菱ポリエステルフィルム社製)を、紫外線遮断画像保護層付きリボンの基材として、剥離性PETフィルム(AS12;三菱ポリエステルフィルム社製)をそれぞれ使用した。PETフィルムの一面及び剥離性PETフィルムの未処理面側に、次の配合の塗布液をマイヤーバーにて塗布した後、115℃、45秒間オーブンにて乾燥させて1.2μmの耐熱滑性層付きPET基材を形成した。
【0072】
耐熱滑性層塗布液配合
タ゛イヤナールLR−313(アクリル樹脂;三菱レイヨン社製) 80部
M−1002B(アクリル樹脂;綜研化学社製) 20部
BY16−892 (アミノ変性シリコ−ンオイル;東レタ゛ウコーニンク゛社製) 2部
KP0101(アミノ変性シリコ−ンオイル;信越化学社製) 3部
X−22−3701E(カーホ゛キシ変性シリコ−ンオイル;信越化学社製) 5部
MX−180(球状アクリル樹脂;綜研化学社製) 7部
トルエン 300部
メチルエチルケトン 200部
【0073】
2.蛍光色素含有色材層付きリボンの作成
上記表2及び表3に記載の蛍光色素、安定剤混合物及びアセタール樹脂(KS−5;積水化学工業社製)を表7に記載の組成割合で用い、クロロホルム2000部に溶解して色材層用塗布液を調製した。この塗布液を上記1で作成した、耐熱滑性層付き通常PETフィルムの非滑性層面にマイヤーバーにて塗布した後、110℃、30秒間オーブンにて乾燥させて1.0μmの色材層を持つ各蛍光色の各種リボンを作成した。
【0074】
表7 蛍光発光色材リボン
【表7】
【0075】
3.紫外線遮断画像保護層付きリボンの作成
表8に記載の紫外線吸収剤及びアクリル樹脂(Paraloid A−21 ;ロームアンドハース社製)を表7に記載の組成割合で用い、トルエン500部とメチルエチルケトン500部の混合溶剤に溶解して塗布液を調製した。この塗布液を上記1で作成した耐熱滑性層付き剥離性PETフィルムの剥離性面にマイヤーバーにて塗布した後、110℃、30秒オーブンにて乾燥させて1.0μmの塗層を有する保護層付きリボンを作成した。保護層付きリボンにつき、日立F−4500型紫外分光計を用いて紫外スペクトルを測定し、透過率が50%以下となる波長を遮断波長とした。その結果を表8に示す。
【0076】
【表8】
【0077】
4.染着層付き受像紙の作成
コート紙(108g/m2)の両面に接着樹脂層を施して発泡ポリプロピレンフィルム(厚さ50μm)を貼り合わせた基材の片面に、下記の染着層塗布液をマイヤーバーにて、乾燥塗膜厚みが4μmとなるように塗布したのち、乾燥させた。乾燥後、45℃で1週間エージングを行い受像紙とした。この受像紙の地色は白である。
染着層塗布液
ポリビニルフェニルアセタール 10.0部
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂 10.0部
シリコーンオイル 2.0部
イソシアネート 3.0部
メチルエチルケトン 2.0部
トルエン 3.0部
【0078】
[実施例、比較例、参考例]
1.昇華感熱転写印刷
市販の昇華感熱転写印刷プリンター(NV−AP1;松下電器産業(株))を用い、当該プリンター用のオーバーコートタイプ・インクリボン(VW−APLC36;松下電器産業(株))のイエロー画面、マゼンタ画面及びシアン画面、並びに保護層画面の各画面を、それぞれ切り取り、上記(II)2及び3で作成した青(B)蛍光リボン、緑(G)蛍光リボン及び赤(R)蛍光リボン、並びに紫外線遮断画像保護層リボンを切り取った個所にこの順序でそれぞれ繋ぎ印字リボンとした。受像紙は、上記(II)4で作成した受像紙を、当該プリンター用と同一サイズに裁断して用い、印刷は、蛍光発色で図1に示す画像となるように、ネガ画像(図2)データを入力して印画させ蛍光潜像画像を得た。各印刷試験における色材リボンと紫外線遮断画像保護層リボンの組合せ、及び下記の蛍光画像評価試験結果を纏めて表9に示す。
【0079】
2.蛍光画像評価試験
a)白色度(W部画像白色度)
3画面が重ね印字されるW部の白色度を、JIS−P8123に準拠して、色差計(SZ−Σ90;日本電色社製)にて測定した。可視光下での白色度が75%以上であれば充分な白とされるので、白色受像紙を用いた本試験では地色とほとんど変わらない画像と判断される。
【0080】
b)発光試験
ブラックライト(UVGL−25;フナコシ社)照射にて、W部画像の発光状態を観察した。
b−1:ブラックライト照射W部発色(ロングウエーブ)
ロングウエーブ(365nm)紫外線照射にて、赤、青、緑の発色があること並びに3画面が重ね印字されるW部が白く発光(白色発光)することを確認した。
b−2:ブラックライト照射W部発色(ショートウエーブ)
ショートウエーブ(254nm)紫外線照射にて、W部の発色状態の変化(白色〜色味)、即ちグレーバランスを変化を観察した。
【0081】
c)耐光試験(フェード試験後W部発色)
JIS−L0843に準拠し、キセノンフェードメーターにて1時間及び3時間光照射後、ブラックライトにてロングウエーブ(365nm)紫外線照射にて画像の発色があるか否かを確認した。キセノン照射1時間は、室内蛍光灯下に約1ヶ月暴露した状況と判断され、この条件で発色すれば通常の使用に問題無いとと考えられるが、室内蛍光灯下に約3ヶ月暴露した状況と判断されるキセノン照射3時間でも発色するのがより望ましい。
【0082】
表9 印画及び評価結果
【表9】
【0083】
以上の実施例及び比較例の結果は、下記のことを示す。
1)本発明で得られる蛍光画像の白色度は75%以上であり、実質的には地色と差が無く、優れた潜像状態の画像が得られる。
2)参考例及び実施例1から明らかな様に、紫外線遮断保護層の遮断波長が400nm以上では発光しないので、保護層の紫外線吸収剤の選択には遮断波長が400nm未満となるように留意するが、又遮断波長が280nm以下では耐光性に留意し安定剤の選定を要する。
3)紫外線遮断保護層の設置により耐光性が改善されるが(実施例5と比較例3)、色材層に安定剤を添加すると蛍光画像の耐光性が更に改善されことが明らかでる(実施例5と実施例8)。
4)色材層に含有させる蛍光色素は、単独でも2以上混合しても良い(実施例9,10)。
5)同じ紫外線遮断保護層が同じでも各色材リボンの組合せを変える、或いは同一の各色材リボンの組合せでも遮断波長の異なる紫外線遮断保護層を組み合わせることにより、ショートウエーブ照射ではグレーバランスの変化(白色発光から変化して色味が加わる)が生ずることがある。
6)遮断波長が同じ紫外線遮断保護層でも、該保護層に含まれる紫外線吸収剤の種類、配合比率の違いによりショートウエーブ照射でのグレーバランスの変化が生じる(実施例25〜29)。
【0084】
【発明の効果】
本発明によれば、昇華感熱転写性蛍光色素を用いた昇華感熱印刷によるフルカラー画像に、特定波長の紫外線を吸収して該画像の紫外線蛍光発光を制御し得る紫外線遮断画像保護層を被せることにより、特定波長光の照射による蛍光発光画像の色調を変化させることが出来る。よって、本発明で得られる該保護層で被覆されたフルカラー画像の発光は、保護層、蛍光色素、照射波長の組合せにより複雑に制御することが出来るので、フルカラー画像の偽造防止効果が極めて高く、しかも、保護層により実用にも耐え得る耐光性を有するのである。従って、本発明により得られる蛍光発光印刷物は、偽造防止に優れた各種証明書及び証券等に利用することが出来る。更に、本発明は、このような蛍光発光印刷物を得るのに好適な昇華感熱転写印刷用の色材リボンを提供することができるので、工業的価値が高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】赤(R)、緑(G)、青(B)3原色光加色混合ポジ画像の原理を示す説明図
【図2】赤(R)、緑(G)、青(B)3原色光減色混合ネガ画像の原理を示す説明図
【図3】可視昇華感熱転写性色材層領域と不可視昇華感熱転写性蛍光色材層領域とがリボンの長手方法に直列に設けられている色材リボンの説明図
【図4】可視昇華感熱転写性色材層領域と不可視昇華感熱転写性蛍光色材層領域とがリボンの長手方法に並列に設けられている色材リボンの説明図
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種証明書及び証券等の偽造防止に好適に用いられる蛍光発光印刷物の製造方法、蛍光発光印刷物、及び該蛍光発光印刷物を得るのに好適に用いられる色材リボンに関するものであり、更には該蛍光発光印刷物の真偽判定方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
各種証明書の偽造防止のために、蛍光物質、多くは蛍光顔料を使用した画像若しくは精細なパターン(以下、「画像」と称することがある)を密かに組み込み、関係者のみが紫外線光(通常、ブラック・ライトと称される)を照射することにより、蛍光画像の発現性等から偽造物であるか否かの判別を容易に可能にならしめてきた。
しかしながら、偽造防止の知識の広まりにつれて、単なる蛍光画像では偽造防止技術としては不十分となり、種々の手法が提案されてきている。
【0003】
特開平7−68946号公報には、情報の表示部の表面上に、絵柄又は文字を熱昇華感熱又は熱溶融転写式で形成するための転写体として、基材上に、剥離層、透明蛍光体又は半透明蛍光体層(以下、蛍光体層という)、紫外線カット性感熱転写層を順次積層した転写体であって、該蛍光体層として所定の絵柄又は文字パターン状にした蛍光体層を用いることが記載されている。また、蛍光体色素として、Brillian Sulfolaviret yellow HG、 Eosine Rhodamine G、Rhodamine B(商品名)等の蛍光色素を用いることが記載されている。
【0004】
そして、情報の表示部の表面上に、この転写体の紫外線カット性感熱性接着剤層面を合わせ、基材側からサーマルヘッドを用いて感熱転写により転写し、その後基材を剥がすことによって情報の表示部の表面上に、紫外線カット性感熱接着剤層を介して蛍光体層(蛍光体画像)が形成される。従って、蛍光体層を剥がして情報の改ざんが行われた場合には、蛍光体層が除かれるので、蛍光体の有無で改ざんを検知することができる。
しかしながら、このような蛍光体の有無による偽造防止は、情報表示部を書き換える際その表示部上に張り付けられた蛍光体画像部が破損されることを前提としているが、蛍光体画像の存在が判り、しかも単色蛍光画像である場合には、高度の改ざん技術を有する熟練者にとって、蛍光体画像の再生は容易になし得ることが予測され、必ずしも高度な偽造防止技術とは言えない。
【0005】
更に、特開平7−68946号公報には、蛍光体層としては、単色で絵柄又は文字を設けることが記載されているのみで、フルカラーで蛍光発光単独画像を形成することについて何等記載されていない。即ち、特開平7−68946号公報に記載された上記有機蛍光色素は、いずれも可視光下でも着色した蛍光色素であり、Brillian Sulfolaviret yellow HGは濁った黄色、 Eosine Rhodamine Gは赤紫、Rhodamine Bは青紫に着色し、非可視性蛍光フルカラー化の3原色に使うことが出来ないものである。その為、これらの色素を使用し、可視光下で視認し難くするためには、単色、かつ低濃度で蛍光色素単独画像を形成し、当該公報の第2図に示されているように、背景に何らかの図柄を設定しておくことが必要とされるのである。又同公報には、他の可視3原色に混ぜて紫外光照射で色相が変化するフルカラー画像に使用し得ることは記載されているが、この場合でも、単独蛍光画像とはならず、フルカラー蛍光色素単独画像を得る事について、記載もなく何等示唆するものもない。
【0006】
特開平10−35089号公報には、1つの基材に、蛍光によって可視光発光する第1の色料を含む第1の画像領域と、蛍光によって第1の分光波長分布とはそれぞれ異なる分光分布波長分布を有する可視光を発光する、第2の色料を含む第2の画像領域、第3の色料を含む第3の画像領域を設けた画像形成体が記載されており、第1〜3の色料として、赤(R)、緑(G)、青(B)[以下、単にR、G、Bと略称することもある)3色を用いること、及び熱転写で画像を形成することも記載されている。
しかしながら、同公報には、熱転写方式に関わる網点印刷の場合につき僅か一行触れているのみで、網点印刷は、色材の転位量が不変の面積濃度諧調印刷、即ち溶融感熱転写が開示されているに過ぎないのである。溶融感熱転写では、RBGの色を重ねることが出来ず、画像を注意深く解析することにより網点と発色濃度の相関性が見破られると、比較的簡単に偽造可能となってしまう。
【0007】
即ち、同公報に記載の発明は、偽造防止のためにRGB3原色の蛍光発色画像とすることにより、単色蛍光発色画像に比べて複雑化してはいるものの、面積濃度諧調画像であるので、画像の詳細解析により網点と発色濃度の相関性が見破られると、比較的簡単に偽造可能となってしまう。
また、昨今のより悪質な偽造に対抗するには、フルカラー蛍光画像による、蛍光画像自体の複雑化だけでは十分とはいえず、一段のセキュリティ性向上が望まれる。
一方、フルカラー蛍光画像を昇華感熱転写印刷により形成する技術を実用化するには、耐光性を確保することが必要とされる。即ち、紫外線の強い光エネルギーによって、有機物質である昇華性蛍光色素は分解されてしまい、十分な耐光性が確保出来ないことが実用化の壁となっていた。
【0008】
前述の特開平10−35089号公報には、画像保護のために保護層を装着することが記載されているが、保護層はアクリル系樹脂など、励起光である紫外線や蛍光インキから発光される可視光の双方に対して透過性であらねばならないと記載されている。即ち、この保護層は、専らフルカラー画像の表面が露出しないように覆う為のもので、高い紫外線透過性が必須とされており、耐光性に対する対策がなされていないのが現状である。なお、当該公報には、紫外線吸収層を設ける記載があるが、該紫外線吸収層は、蛍光画像の下位にある可視画像の褪色を防ぐために設けられるものであり、蛍光発色を阻害しないために、蛍光画像の下で可視画像の上に紫外線吸収層は施される。 この様に、紫外線吸収層は蛍光発光画像のレイアウトの自由度を高めるものであって、蛍光発光画像の表面に形成されていないので、蛍光発光画像の耐光性対策にはならない。
【特許文献1】特開平7−68946号
【特許文献2】特開平10−35089号
【0009】
【本発明が解決しようとする課題】
昇華感熱転写印刷方式による点濃度諧調のように同一の点に複数の原色を濃度を変えて重ねて印字する方式ならば、発色色相・濃度の組合せが数多く在るため、微妙かつ精細な機密性の高い画像が得られ、単純な面積諧調画像に比べ偽造防止に対する抑制効果が高い。そこで、本発明の目的は偽造防止に優れ、しかも実用上充分な耐光性を備えた昇華感熱転写による蛍光発光フルカラー画像の印刷物を提供することにあり、そのための印刷物の製造方法及び色材リボン等の画像形成材も提供するものである。本発明の更なる目的は、複製が容易でなく、偽造防止効果に高いかかるフルカラー蛍光発光印刷物を用いて、偽造物を見極める画像印刷物の真偽検知方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
この様な状況下で、本発明者等は、一般に用いられているブラック・ライト機器には、通常365nmを最大強度とするロングウエーブと、254nmを最大強度とするショートウエーブの2種類が装着されている事に着目し、これらの波長光と蛍光色素との組合せにより、特異的な蛍光発色を発現させることが出来ることを見出し、蛍光色素による潜像が発現するこの特異性を利用することにより有効な偽造防止を成し得る事を知得した。
そして、昇華性蛍光色素を用いた昇華感熱転写によるフルカラー画像に、同じ紫外線領域内でも、照射する光の波長の違いにより色調を異ならせ得る紫外線遮断画像保護層を被せることにより、画像の紫外線蛍光発光を複雑に制御し、フルカラー画像の偽造防止効果が一段と向上すると共に、実用化に供し得る耐光性をも達成できる新規な蛍光発光印刷物が得られることを見出し、本発明を達成した。
【0011】
即ち、本願発明の第1の要旨は、基材上に、R、G及びBの昇華感熱転写性蛍光色素の少なくとも1種及びバインダー成分を含む該各色の色材層を有する蛍光印刷用の画像形成材を用いて、昇華感熱転写印刷したフルカラー画像を、特定波長の紫外線を吸収して該画像の紫外線蛍光発光を制御し得る紫外線遮断画像保護層で被覆することを特徴とする蛍光発光印刷物の製造方法に存するものである。
【0012】
本願発明の第2要旨は、基材上に、R、G及びBの昇華感熱転写性蛍光色素の少なくとも1種及びバインダーを含む各色の色材層を有する蛍光印刷用の画像形成材を用いて昇華感熱転写印刷したフルカラー画像を、特定波長の紫外線を吸収して該画像の紫外線蛍光発光を制御し得る紫外線遮断画像保護層で被覆してなる蛍光発光印刷物、或いは基材上に、R、G及びBの昇華感熱転写性蛍光色素を含む色材層及びR、G及びBの可視光で認識可能な昇華感熱転写性着色剤を含む色材層からなる色材層を有する蛍光印刷用画像形成材を用いて昇華感熱転写印刷した、蛍光発光フルカラー画像及び可視光で認識可能なフルカラー画像を、特定波長の紫外線を吸収して該画像の紫外線蛍光発光を制御し得る紫外線遮断画像保護層で被覆してなる蛍光発光印刷物に存する。
【0013】
本発明の第3の要旨は、基材上に、R、G及びBの昇華感熱転写性蛍光色素を含む色材層、必要に応じ更に可視光で認識可能なR、G及びBの昇華感熱転写性着色剤を含む色材層からなる色材層、並びに特定波長の紫外線を吸収して紫外線蛍光発光を制御し得る紫外線遮断画像保護層が面順次に設けられている画像形成材に存する。
【0014】
本発明の第4の要旨は、上記本発明方法で製造された眞の画像印刷物に、250〜400nmの紫外線領域内の少なくとも1種の特定波長光の照射により発現する蛍光画像の色調と、被検査物の画像印刷物に、該照射光と同一波長光を照射した際に発現する画像の色調を照合し、両者の適合性に基づいて真偽を判定することを特徴とする画像印刷物の真偽検知方法に存する。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の蛍光発光印刷物は、本発明の製造方法に従って製造される、基材上に、R、G及びBの昇華感熱転写性蛍光色素を含む色材層を有する蛍光印刷用の画像形成材を用いて昇華感熱転写印刷したフルカラー画像を、特定波長の紫外線を吸収して該画像の紫外線蛍光発光を制御し得る紫外線遮断画像保護層で被覆してなる蛍光発光印刷物である。
又他の蛍光発光印刷物は、基材上に、R、G及びBの昇華感熱転写性蛍光色素を含む色材層及びR、G及びBの可視光で認識可能な昇華感熱転写性着色剤を含む色材層からなる色材層、並び特定波長の紫外線を吸収し得る紫外線遮断画像保護層領域が面順次に設けられている画像形成材を用い、昇華感熱転写印刷によりフルカラー画像を形成し、次いで該画像の紫外線蛍光発光が制御されるように該画像を紫外線遮断画像保護層で被覆してなる蛍光発光印刷物である。
【0016】
<画像形成材>
本発明の蛍光発光印刷物の製造において、昇華感熱転写印刷によるフルカラー画像の形成に用いられる画像形成材(以下、単に色材リボンと称することもある)は、基材上に赤(R)、緑(G)及び青(B)の昇華感熱転写性蛍光色素の少なくとも1種とバインダーを含む色材層を有するものであり、従来の昇華感熱転写印刷(基本的には3原色の減色混合により調色される)に供せられる、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)3色の色材リボンの色材層に含まれる昇華感熱転写性色素を、R、G及びBの蛍光発色性の、通常の可視光では実質無色の蛍光色素に置き換えることにより製造することができる。
ここで、実質無色とは、昇華感熱転写印刷した際に、通常の可視光下で呈する色味が下地の白色度(通常は黄色みがある)と同じ程度の黄色みまでは許容されることを意味し、「許容される黄色み程度」とは、JIS−P8128に準拠した白色度測定で、75%以上の白色度があれば、通常の白い下地とされる程度を表す。
【0017】
色材リボンの基材としては得に限定されず、通常のベースフィルムが用いられ、例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリアミドフィルム、アラミドフィルム、ポリイミドフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリフェニレンサルファイドフィルム、ポリスルフォンフィルム、ポリプロピレンフィルム等が挙げられるが、これらの中でもポリエチレンテレフタレートフィルムが機械的強度、耐熱性及び価格の面から多用され、特に、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましい。
ベースフィルムの厚みは、一般に1〜30μm、好ましくは2〜10μmである。
【0018】
ベースフィルムの背面(色材層と反対の面)には、昇華感熱転写ヘッドのスムーズな走行を可能にするための耐熱滑性層を設けることが好ましい。耐熱滑性層としては、通常の昇華感熱転写印刷用の色材リボンに使用される耐熱滑性層の材質を適用することが出来、具体的には、例えば特開平10−138650号公報に記載されているようにノルボルナン、アダマンタン、キュバン等の骨格を有する脂肪族多環式アルコールの(メタ)アクリル酸エステル構成成分として含む高分子化合物に、滑剤、各種添加剤、溶剤等の必要成分を配合し、配合物をベースフィルムに塗工・乾燥することにより形成される。耐熱滑性層の厚みは、通常0.1μm以上、好ましくは1μm以上であり、通常5μm以下、好ましくは3μm以下である。
【0019】
基材上に設けられる色材層は、昇華感熱転写性蛍光色素(以下、単に蛍光色素ということもある)及びバインダー成分を含有するが、蛍光色素としては、公知の蛍光色素、特に有機蛍光色素の中から以下の▲1▼〜▲3▼の特性を満たす色素を選択するのが望ましい。
▲1▼ 可視光では、実質無色であること。
蛍光発光印刷物の偽造防止のために必要とされる特性で、前述の「実質無色」で定義した白色度をみたすことである。
このためには、蛍光色素は、その分子中に共役系が存し、且つ分子中で共役系をなす炭素原子系が側鎖の共役系を有しない構造、つまり、環状の共役系とそれを繋ぐ直線共役系とで構成される構造を有するものを選ぶのが好ましい。
▲2▼ 強い蛍光を発光すること。
通常の紫外線光領域(400nm〜250nm)の波長を有する励起光により、発光する蛍光スペクトルの強度が比較的強く、例えば光量子効率が3%程度以上のものが好ましい。
▲3▼ 鮮明なRGBの蛍光を呈すること。
蛍光色素の励起光に対する蛍光スペクトルの形状においてその最大ピークの巾が狭く尖鋭であることによりフルカラーの蛍光画像は鮮明に現出し得る。
【0020】
本発明における上記特性を満足する蛍光色素としては、チオフェン系、β−キノフタロン系、クマリン系、ビススチリルベンゼン系、オキサゾール系及びユーロピウム錯体系の昇華感熱転写性蛍光色素から選ばれ、簡便には市販品の中から適宜選択使用することが出来る。以下にこれらの色素につき、更に具体的に説明する。
(I)チオフェン系蛍光色素
当該色素は下記一般式Iで示される。
【化7】
一般式I中、Rは、それぞれ独立して、水素原子;メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素数1〜6の直鎖又は分岐アルキル基;塩化メチル基、トリフルオロメチル基等の炭素数1〜6のハロゲン化アルキル基;メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基を表す。これらの中、好ましくは水素原子、t−ブチル基、メトキシ基及びトリフルオロメチル基を表す。
チオフェン系蛍光色素の具体例を以下に示す。
【0021】
【化8】
【0022】
(II)β−キノフタロン系蛍光色素
当該色素は、下記一般式IIで表される。
【化9】
一般式II中、Xは水素原子;塩素、臭素等のハロゲン原子;フェニル、ナフチル、トリル等の置換基を有し得るアリール基を表し、好ましくは水素原子及び臭素原子を表す。Yは水素原子;水酸基;メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基を表し、好ましくは水素原子及び水酸基を表す。Zは水素原子;塩化メチル基、トリフルオロメチル基等の炭素数1〜6のハロゲン化アルキル基、メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基を表し、好ましくは水素原子及びトリフルオロメチル基を表す。
β−キノフタロン系蛍光色素の具体例を以下に示す。
【0023】
【化10】
【0024】
(III)クマリン系蛍光色素
当該色素は、下記一般式IIIで表される。
【化11】
一般式III中、R1及びR2は、互いに独立して水素原子;メチル基、エチル基等の炭素数1〜6のアルキル基;フェニル、ナフチル、トリル等の置換基を有し得るアリール基を表し、これらの中、好ましくは互いに独立して水素原子、メチル基、エチル基を表す。X及びYは、互いに独立して水素原子;メチル基、エチル基等の炭素数1〜6のアルキル基;塩化メチル基、トリフルオロメチル基等の炭素数1〜6のハロゲン化アルキル基を表し、これらの中、好ましくは水素原子、メチル基及びトリフルオロメチル基を表す。
クマリン系蛍光色素の具体例を以下に示す。
【0025】
【化12】
【0026】
(IV)ビススチリルベンゼン系蛍光色素
当該色素は、下記一般式IVで表される。
【化13】
一般式IV中、R1及びR2は、互いに独立して、水素原子;メチル基、エチル基等の炭素数1〜6のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;塩化メチル基、トリフルオロメチル基等の炭素数1〜6のハロゲン化アルキル基を表し、これらの中、好ましくは互いに独立してメチル基、メトキシ基、トリフルオロメチル基を表す。
ビススチリルベンゼン系蛍光色素の具体例を以下に示す。
【0027】
【化14】
【0028】
(V)オキサゾール系蛍光色素
当該色素は、下記一般式Vで表される。
【化15】
一般式V中、X及びYは、互いに独立して水素原子;メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基、;塩化メチル基、トリフルオロメチル基等の炭素数1〜6のハロゲン化アルキル基を表し、これらの中、好ましくは互いに独立して水素原子、メトキシ基、トリフルオロメチル基を表す。
オキサゾール系蛍光色素の具体例を以下に示す。
【0029】
【化16】
【0030】
(VI)ユーロピウム錯体系蛍光色素
当該色素は、下記一般式VIで表される。
【化17】
一般式中、R1及びR2は、互いに独立して、水素原子;メチル基、エチル基等の炭素数1〜6のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基を表し、これらの中、好ましくは互いに独立して水素原子、メチル基、メトキシ基を表す。R3〜R5は、それぞれ独立して炭素数4以上の鎖状アルキル基、環状アルキル基、を表し、これらの中、好ましくは互いに独立してブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基等の炭素数4〜8のアルキル基を表す。
ユーロピウム錯体系蛍光色素の具体例を以下に示す。
【0031】
【化18】
【0032】
本発明において、色材層の形成に使用する蛍光色素は上記の蛍光色素から選ばれるが、その際、色材層を構成するバインダーや有機溶媒との、相溶性・溶解性、更には塗工性等を考慮して選ばれ、通常、蛍光色素としてはメチルエチルケトンに少なくとも5重量%溶解するものが好ましい。
【0033】
色材層に使用するバインダー成分としては、特に制限はなく、昇華型熱転写用色材リボンに通常使用されているバインダー樹脂から適宜選ばれる。具体的には、ポリカーボネート樹脂、ポリスルフォン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアセタール樹脂、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエステル樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体樹脂及びセルロース系樹脂などのバインダー樹脂が挙げられる。これらの中でも、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアセタール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂が蛍光色素との相溶性の点で好ましい。
【0034】
本発明の蛍光色素を含有する色材層には、蛍光色素の長期保存による分解を抑制する目的で安定剤を含有させておくのが好ましい。安定剤としては、昇華感熱転写の際、被転写材の染着層(受容層)へ蛍光色素が移行するのと共に移行するものが望ましく、このような性質を満たす限り特に制限はない。安定剤は、蛍光色素,バインダー樹脂、溶剤、その他の添加剤等色材層を構成する成分に応じ、塗工性等も考慮して適宜市販品の中から選ぶことが出来、例えば、ヒンダードアミン系安定剤、ヒンダードフェノール系安定剤が挙げられる。これらの安定剤の具体例を下記に示す。
【0035】
【化19】
【0036】
本発明の色材層には、更に昇華感熱転写印刷後、色材リボンと被転写材の染着層との剥離性を改善するために、潤滑成分、例えばシリコーン樹脂、アミノ変性或いはエーテル変性の変性シリコーン樹脂、シリコーン変性アクリル樹脂等を添加しても良い。
また、本発明の色材リボンにおいては、基材と色材層との間に、基材と色材層の固着を強めるために易接着層を設けてもよい。易接着層を形成する材料としては特に制限はないが、ポリウレタン樹脂、メタミン樹脂等が挙げられる。
【0037】
色材層中における蛍光色素、バインダー成分、安定剤及びその他の成分の割合に関し、蛍光色素は、バインダー成分100重量部に対し、通常0.5〜90重量部、好ましくは0.5〜70重量部であり、その他の成分の合計量100重量部に対し、通常0.3〜80重量部、好ましくは0.3〜50重量部である。また、安定剤は、バインダー成分100重量部に対し、通常、15〜60重量部、好ましくは15〜30重量部である。 蛍光色素や安定剤の量が上記範囲を超えて、多すぎると色材リボンの表面に析出物が生じやすく、昇華感熱転写条件下で色材リボンと被転写材の染着層との融着が起こりやすくなり好ましくない。
【0038】
本発明の蛍光印刷用色材リボンにおける色材層を基材上に形成する方法は、特に制限されず、例えば、上記の蛍光色素、バインダー樹脂、安定剤及びその他必要により添加される成分を適当な溶剤に溶解或いは分散させた塗布液を調製し、この塗布液を基材のベースフィルムに塗布し、次いで乾燥することにより形成することが出来る。
溶剤としては、クロロホルム等の塩素化アルカン系溶剤、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、エタノール、イソプロパノール等のアルコール系溶剤、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶剤,N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド等のアミド系溶剤が挙げられ、これらは単独でも混合物としても使用される。
【0039】
R、G、Bのそれぞれの蛍光色素を含む各色材層は、別々の基材上に設けた各色別のリボンとしても良いし、同一の基材上にR、G、Bの各色材層を面順次に設けることも出来る。その場合、後述する紫外線遮断画像保護層や、可視昇華感熱転写色材層と共にパターン化したり、面順次に配列したりすることも出来る。
【0040】
本発明では、通常の昇華感熱転写プリンターを用い、上記色材リボンの色材層面と被転写材の染着層を重ね合わせ、色材リボンの背面(色材層と反対面)をサーマルヘッドで加熱することによって昇華感熱転写性蛍光色素を染着層に移行させ、フルカラー画像を被転写材に印刷する。
被転写材としては、昇華感熱転写印刷の際、上記色材リボンから昇華感熱転写性蛍光色素が、加熱移行して染着し得る染着性の表面(染着層)を有するものであれば良く、通常の昇華感熱印刷メディアに使用されている受容体も使用することが出来る。
【0041】
被転写材は、通常、基材上に染着層を有するものであり、染着層にはバインダー成分、剥離性付与物質等が含まれている。バインダー成分としては特に制限されず、例えば、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリエステル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、及びこれらの混合樹脂等が挙げられ、剥離性付与物質としては、例えば、シリコーンオイル、変性シリコーンオイル等が挙げられる。染着層の厚みは、通常1〜10μm、望ましくは3〜5μmである。
基材としては特に制限されないが、例えば、芯材(例えば、紙、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル樹脂、望ましくは紙)の両面に多孔質樹脂材を貼り合わせたものが挙げられる。多孔質樹脂材としては、多孔質のポリプロピレン、PET等のシートが挙げられるが、多孔質ポリプロピレンシートが望ましい。芯材の厚みは、50〜150μm(50〜150g/m2)、望ましくは80〜120μm(80〜120g/m2)であり、多孔質樹脂材の厚みは20〜100μm、望ましくは40〜80μmである。
【0042】
昇華感熱転写では、通常、昇華感熱転写プリンターの内部において、R、G、B3原色光加色混合ポジ画像信号(第1図参照)を、Y、M、Cの減色混合画像信号に変換して印刷を行う。本発明で、昇華感熱転写により蛍光画像印刷を行うには、R、G、B3原色光加色混合ネガ画像信号(第2図参照)を、RGBの強度が補色のCYMの強度に置き換わった画像信号として入力し、Yと置換した緑(G)、Mと置換した青(B)、Cと置換した赤(R)で印字させることにより、結果として昇華感熱転写によるフルカラー蛍光加色混合発光画像を得ることが出来る。
【0043】
本発明では、昇華感熱転写印刷により形成されたフルカラー蛍光発光画像の上に、特定波長の紫外線を吸収する紫外線遮断画像保護層を被せ、該画像の紫外線蛍光発光を制御するものである。
蛍光色素は、ブラックライトで発光し、その励起吸収(吸収した光が可視蛍光として放出される)は、通常、250〜400nmにあるが、励起光の波長によりその最大吸収波長、吸収能率、吸収スペクトルの形状は異なる。つまり、蛍光発光画像に対し照射光の波長を変えることによって、紫外線蛍光発光のパターンを変え、色調の異なったフルカラー画像を現出させ得るのである。
【0044】
蛍光色素により形成されたフルカラー画像に、特定波長の紫外線を吸収する紫外線遮断画像保護層を被せることにより、照射光が同じ紫外線領域内であっても、特定波長の照射光は保護層により吸収・遮断されるので、特定波長光と特定波長と異なる波長光を照射した場合では画像の蛍光発光パターンが相違することになる。又、保護層が無い場合、或いは改変等で印刷物に手が加えられ保護層に変化が生じ紫外線遮断画像保護層が変化し特定波長の紫外線吸収の態様が変化した場合には、特定波長光により生ずる蛍光画像の色調も変わることになる。このような照射光の波長の違い、或いは保護層の状況の違いによって生ずる蛍光発光画像間の違いを利用すれば、フルカラー画像の真偽の効果的な判定を可能にする。
【0045】
即ち、少なくとも1種の特定波長の紫外線遮断により生ずる蛍光発光パターン、特に色調を予め設定し、そのために、使用する蛍光色素の種類、色材中における色素濃度、蛍光発光させるブラックライトの波長、保護層の紫外線吸収剤の種類・濃度等の各種要素の組合せにつき、実験的に最適な組合せを選択する。そして、この組合せにより構成された蛍光発光印刷物を眞正品とすれば、被検査物の印刷物に特定波長の照射光(検査光に相当)を照射した場合、眞正品の蛍光発光パターンと相違すれば、その物は偽物と判定されるのである。その場合、予め設定する蛍光発光パターンの特定波長として2種類の波長の照射光を用いれば、より高精度で偽造物の識別を可能にすることが出来、2種類の波長としては、ブラックライトに通常用いられているロングウエーブ(365nm)とショートウエーブ(254nm)を用いるのが有利である。
【0046】
例えば、本発明により原画顔写真(白地バック)を昇華感熱転写により蛍光色素でフルカラー印刷し、紫外線遮断画像保護層で被覆した画像の場合、3画面が重ね印字されるW部(写真の無地背景)は、可視光下で無色であり地色と変わらないが、このW部にブラックライトのロングウエーブ(365nm)を照射すると白く発光する(白色発光に設定)。これに対し、被検査対象とする印刷物に同じロングウエーブ(365nm)を照射した際、白色発光を生じないか、発光しても白色ではない場合、その印刷物は偽造品と判断される。
また、蛍光染料と保護層の紫外線吸収剤の組合せを変えることによりロングウエーブ照射に対し白色発光(白色発光に設定)するが、ショートウエーブ(254nm)照射に対してはグレーバランスを変化させ(白色発光から変化して色味が加わる)、特定の色調(色味)に発光するように設定することも出来る。従って、蛍光発光パターンをこのような2種の特定波長の照射光に対して設定しておけば、被検査対象印刷物に2種の異なる波長光を照射した場合、両照射光による発光パターンは勿論、少なくともいずれか一方の照射光により蛍光パターンが予め設定した発光パターンと相違すれば、その印刷物は偽物と判るのである。
【0047】
本発明は、従来の単色の蛍光発光画像の場合と異なりフルカラーの蛍光発光画像であり、色材層の蛍光色素の種類・濃度、保護層の紫外線吸収剤の種類・濃度、照射光の波長等の各種要素を任意に組合せることにより蛍光発光パターンを種々変化させることが出来るので、この予め設定された蛍光発光パターンの発現要素を解析することは極めて困難である。従って、本発明の蛍光印刷物の偽造物の製造は非常に難しく、偽造防止効果が極めて高い印刷物ということが出来る。
また、可視光で認識可能な昇華感熱転写性色素により印画した可視画像(参照画像)に対し所定の色調で蛍光発光する蛍光色素により非可視画像を同一の受像紙上に印画しておき、特定波長光照射による参照画像とのズレによっても、真偽を判断することが出来る。
更に、本発明では蛍光発光によるフルカラー画像を紫外線遮断画像保護層で被うことにより耐光性をも向上させることができるのである。
【0048】
紫外線遮断画像保護層は紫外線吸収剤とバインダーを含有するが、紫外線吸収剤としては特定波長の紫外線を吸収し画像の紫外線蛍光発光を制御するのに適したものを選択する必要がある。即ち、予め設定する特定波長光を照射した場合の蛍光発光パターンを想定し、使用する蛍光色素の種類、吸収スペクトル、照射光の波長、更には可視光下での着色等の挙動を考慮し、所望の蛍光発光パターンが生じるように紫外線吸収剤を選択するのである。
紫外線吸収剤としては、この様な機能を満たす限り特に制限されないが、通常、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤等から選ばれる。これらの紫外線吸収剤は入手のし易さ、コスト等の点で市販品から選ぶのが簡便である。紫外線吸収剤それ自体は、紫外線を受けても分解せず、紫外線吸収効率が高いものが望ましい。
【0049】
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤として、具体的には、以下の化合物が挙げられる。
【化20】
【0050】
また、トリアジン系紫外線吸収剤及びベンゾフェノン系紫外線吸収剤の具体例として、以下の化合物が挙げられる。
【化21】
【0051】
紫外線遮断画像保護層に含まれるバインダーとしては、特に制限されず、通常ポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、エポキシ樹脂、及びこれらの混合樹脂が挙げられる。
【0052】
紫外線吸収剤は、バインダー樹脂100重量部に対し、通常1〜30重量部、好ましく2〜25重量部である。紫外線吸収剤の使用量が多すぎると、蛍光印刷画像と紫外線遮断画像保護層との融着不良が起こりやすくなり好ましくない。
蛍光印刷画像を被う紫外線遮断画像保護層の厚みは、通常、0.2〜2μm、好ましくは0.5〜1.5μmである。
【0053】
蛍光印刷画像を被う方法は特に制限されず、紫外線遮断画像保護層を蛍光印刷画像の上に密着させることが出来る任意の手法で行うことが出来、例えば、基材のベースフィルム上に設けられた紫外線吸収剤及びバインダーを含有する紫外線遮断画像保護層を、蛍光印刷された画像面上に重ね合わせ、ベースフィルの紫外線遮断画像保護層を有しない側の背面からサーマルヘッド等で加熱することにより、該保護層を画像上に接着、融着させることにより被覆出来る。その場合、ベースフィルムには背面からの加熱を円滑にするために、サーマルヘッド等のスムーズな移行を可能にする背面層を設けておくことが好ましく、また、該保護層を剥離層を介してフィルム上に設け、被覆終了後剥離層を剥がすことにより保護層を形成しても良い。
【0054】
紫外線遮断画像保護層の基材上への形成は、常法により行われ、例えば、バインダー及び紫外線吸収剤を、任意の溶剤に溶解して塗布液を調製し、グラビアコーター、キスコーター、リバースコーター、バーコーター等の通常のコーティング方法を用いて、予め片面に剥離層を反対面に背面層を設けた基材上の剥離層上に塗布液を塗布、乾燥することにより形成される。溶剤としては、紫外線吸収剤及びバインダーを溶解するものであれば特に制限されず、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤、クロロホルム等のハロゲン化アルキル有機溶剤、メチルエチルケトン等のケトン系有機溶剤並びにこれらの混合物から適宜使用される。
【0055】
基材としては、厚さ3〜15μm程度のポリエチレンテレフタレートフィルム等が用いられ、背面層には、変性シリコーン化合物等の通常の昇華感熱転写用色材リボンに施されているものと同等のものが使用される。又、市販されている剥離性の付与されたポリエステルフィルム等を用いて、その上に紫外線遮断画像保護層を設けることことも出来る。
基材上への剥離層の形成及び剥離層の材料は、従来公知の方法及び材料を用いることが出来る。例えば、アクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、セルロース系樹脂、ゴム系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル系樹脂等のホモポリマー、コポリマー或いはこれらの混合物及び必要に応じて剥離性調節剤としてシリコーン樹脂、シリコーングラフトアクリル樹脂並びにシリコーングラフト・ポリエステル樹脂等を添加した有機溶剤溶液或いは分散液を、既知のコーティング方式、例えば、グラビア方式、シルクスクリーン印刷法、ロールコーター法、スプレーコート法、フローコート法、ナイフコート法、エアナイフコート法などにより、一般には乾燥膜厚で0.1ミクロン以上、2ミクロン以下の厚さに塗布して加熱乾燥して形成することが出来る。
【0056】
本発明では、蛍光印刷画像は、昇華感熱転写性蛍光色素を含む色材層を有する色材リボンを用い昇華感熱転写印刷により被転写材の染着層上に形成されるので、画像を被覆する紫外線遮断画像保護層を、色材リボンの色材層と同一面上に面順次に設けることも出来、それによって感熱転写により画像形成後、その上の保護層を形成させることが出来る。
【0057】
更に、本発明では昇華感熱転写印刷方式により画像形成がなされることから、蛍光発光する蛍光色素を含む色材層(不可視昇華感熱転写性色材層)と紫外線遮断画像保護層とを有する色材リボンに、可視光で認識可能な昇華感熱転写性色素を含む色材層(可視昇華感熱転写性色材層)を並存させることにより、可視画像と蛍光発光画像とを同一の被転写材に印刷することを可能にするのである。即ち、同一の昇華感熱転写プリンターで、偽造し難い精細な蛍光画像と参照用の可視昇華感熱転写画像(以下、通常画像ともいう)を、単一の被転写材の染着層上に任意のパターンで形成できるのである。
この様な、単一の色材リボン上に不可視昇華感熱転写性色材層と可視昇華感熱転写性色材層とを設ける例としては、図−3及び図−4に示す如く、R、G及びBのそれぞれの色素からなる不可視昇華感熱転写性色材層と可視昇華感熱転写性色材層とをリボンの長手方向に直列に設けることも出来るし、並列に設けることも出来る。
【0058】
昇華感熱転写プリンターに、通常のR、G、B画像信号とR、G、Bネガ画像信号を組み合わせて送り込み、例えば、図−3に示す形式の色材リボンを用いれば、任意の重なりで通常画像と蛍光画像を単一の染着層に形成することが出来る。又、図−4に示す形式の色材リボンを用いれば、通常画像と蛍光画像を隣接して単一の染着層に形成することが出来る。
【0059】
更に、本発明の色材リボンには、色材層と共に紫外線遮断画像保護層が設けられており、昇華感熱転写により蛍光画像及び通常画像を形成した後、これらの画像を該保護層で熱転写により被覆することが出来る。該保護層には、特定波長の紫外線を吸収し蛍光画像の紫外線蛍光発光を制御する紫外線吸収剤が含まれているので、この保護層は通常画像に対しては、従来行われている紫外線フィルターとしての保護層としての役割を果たすことが出来る。その結果、印刷画像の耐光性も向上させることが出来る。
【0060】
昇華感熱転写印刷で通常行われているように、透明基板上に設けられた染着層に本発明方法により、蛍光画像を要すれば通常画像と共に形成し、紫外線遮断画像保護層を被せたのちに、第2の基材に貼り付けたり、或いは剥離可能な染着層に画像を形成し、紫外線遮断画像保護層を被せたのち、剥離した染着層を第2の基材に貼り付けることも出来る。
【0061】
【実施例】
以下に、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例によって限定されるものではない。
【0062】
[参考例]
(I)蛍光色素、安定剤及び紫外線吸収剤の塗膜性試験
1.最大吸収波長と最大蛍光波長の測定
前述の蛍光色素(No.1〜34)のそれぞれをエタノールに溶かし、10−5mol/L 溶液として、日立F−4500型紫外分光計にて最大吸収波長と最大蛍光波長を測定した。その結果を発光の色の類別(青、緑、赤)と共に表1に示す。尚、表1中、No.は前記蛍光色素番号である。この結果、最大波長は340〜395nmに分布していることが判る。
【0063】
【表1】
【0064】
2.色材層塗布液の塗膜性確認試験
色材リボンに色材層を形成した際の析出物の有無を確認するため、下記組成の色素及び安定剤を用い、塗布試験を行った。なお、色素及び安定剤のNo.は、前記化合物Noと同一である。
表2 蛍光色素混合物
(B、G、Rは、それぞれ青、緑、赤の発光色を表す)
【表2】
【0065】
【表3】
【0066】
上記色素混合物及び安定剤混合物、並びにバインダーとしてのアセタール樹脂(KS−5;積水化学工業社製)を表4に記載の組成割合で用い、クロロホルム2000部に溶解して塗布液を調製した。この塗布液をマイヤーバーにてポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に塗布した後、110℃、30秒オーブンにて乾燥させて1.0μmの塗層を形成した。塗層の表面を目視観察し、加熱印画の際に色材リボンと受像層の融着の原因となる析出物の有無を調べた。その結果を表4に示す。
【0067】
【表4】
【0068】
3.紫外線遮断画像保護層塗布液への塗膜性確認試験
塗工により保護層形成の際、保護層から紫外線吸収剤等の析出物の生起が生じないことを表5に記載の紫外線吸収剤混合物を用いて確認のために試験を行った。なお、紫外線吸収剤の化合物No.は、前記化合物No.と同一である。
【表5】
【0069】
上記紫外線安定剤混合物及びバインダーとしてのアクリル樹脂(Paraloid A−21 ;ロームアンドハース社製)を表6に記載の組成割合で用い、トルエン500部とメチルエチルケトン500部の混合溶剤に溶解して塗布液を調製した。この塗布液をマイヤーバーにてPETフィルム上に塗布した後、110℃、30秒オーブンにて乾燥させて1.0μmの塗層を形成した。塗層の表面を目視観察し、加熱印画と保護層の融着不良の原因となる析出物の有無を調べ、その結果を表6に示す。この結果、紫外線吸収剤は、バインダー樹脂に対して30部以下、好ましくは25部以下であることが判る。
【0070】
【表6】
【0071】
(II)熱転写用リボン等の作成
1.耐熱滑性層付き基材の調製
蛍光色素含有色材層付きリボンの基材として通常PETフィルム(K233E6.5W;三菱ポリエステルフィルム社製)を、紫外線遮断画像保護層付きリボンの基材として、剥離性PETフィルム(AS12;三菱ポリエステルフィルム社製)をそれぞれ使用した。PETフィルムの一面及び剥離性PETフィルムの未処理面側に、次の配合の塗布液をマイヤーバーにて塗布した後、115℃、45秒間オーブンにて乾燥させて1.2μmの耐熱滑性層付きPET基材を形成した。
【0072】
耐熱滑性層塗布液配合
タ゛イヤナールLR−313(アクリル樹脂;三菱レイヨン社製) 80部
M−1002B(アクリル樹脂;綜研化学社製) 20部
BY16−892 (アミノ変性シリコ−ンオイル;東レタ゛ウコーニンク゛社製) 2部
KP0101(アミノ変性シリコ−ンオイル;信越化学社製) 3部
X−22−3701E(カーホ゛キシ変性シリコ−ンオイル;信越化学社製) 5部
MX−180(球状アクリル樹脂;綜研化学社製) 7部
トルエン 300部
メチルエチルケトン 200部
【0073】
2.蛍光色素含有色材層付きリボンの作成
上記表2及び表3に記載の蛍光色素、安定剤混合物及びアセタール樹脂(KS−5;積水化学工業社製)を表7に記載の組成割合で用い、クロロホルム2000部に溶解して色材層用塗布液を調製した。この塗布液を上記1で作成した、耐熱滑性層付き通常PETフィルムの非滑性層面にマイヤーバーにて塗布した後、110℃、30秒間オーブンにて乾燥させて1.0μmの色材層を持つ各蛍光色の各種リボンを作成した。
【0074】
表7 蛍光発光色材リボン
【表7】
【0075】
3.紫外線遮断画像保護層付きリボンの作成
表8に記載の紫外線吸収剤及びアクリル樹脂(Paraloid A−21 ;ロームアンドハース社製)を表7に記載の組成割合で用い、トルエン500部とメチルエチルケトン500部の混合溶剤に溶解して塗布液を調製した。この塗布液を上記1で作成した耐熱滑性層付き剥離性PETフィルムの剥離性面にマイヤーバーにて塗布した後、110℃、30秒オーブンにて乾燥させて1.0μmの塗層を有する保護層付きリボンを作成した。保護層付きリボンにつき、日立F−4500型紫外分光計を用いて紫外スペクトルを測定し、透過率が50%以下となる波長を遮断波長とした。その結果を表8に示す。
【0076】
【表8】
【0077】
4.染着層付き受像紙の作成
コート紙(108g/m2)の両面に接着樹脂層を施して発泡ポリプロピレンフィルム(厚さ50μm)を貼り合わせた基材の片面に、下記の染着層塗布液をマイヤーバーにて、乾燥塗膜厚みが4μmとなるように塗布したのち、乾燥させた。乾燥後、45℃で1週間エージングを行い受像紙とした。この受像紙の地色は白である。
染着層塗布液
ポリビニルフェニルアセタール 10.0部
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂 10.0部
シリコーンオイル 2.0部
イソシアネート 3.0部
メチルエチルケトン 2.0部
トルエン 3.0部
【0078】
[実施例、比較例、参考例]
1.昇華感熱転写印刷
市販の昇華感熱転写印刷プリンター(NV−AP1;松下電器産業(株))を用い、当該プリンター用のオーバーコートタイプ・インクリボン(VW−APLC36;松下電器産業(株))のイエロー画面、マゼンタ画面及びシアン画面、並びに保護層画面の各画面を、それぞれ切り取り、上記(II)2及び3で作成した青(B)蛍光リボン、緑(G)蛍光リボン及び赤(R)蛍光リボン、並びに紫外線遮断画像保護層リボンを切り取った個所にこの順序でそれぞれ繋ぎ印字リボンとした。受像紙は、上記(II)4で作成した受像紙を、当該プリンター用と同一サイズに裁断して用い、印刷は、蛍光発色で図1に示す画像となるように、ネガ画像(図2)データを入力して印画させ蛍光潜像画像を得た。各印刷試験における色材リボンと紫外線遮断画像保護層リボンの組合せ、及び下記の蛍光画像評価試験結果を纏めて表9に示す。
【0079】
2.蛍光画像評価試験
a)白色度(W部画像白色度)
3画面が重ね印字されるW部の白色度を、JIS−P8123に準拠して、色差計(SZ−Σ90;日本電色社製)にて測定した。可視光下での白色度が75%以上であれば充分な白とされるので、白色受像紙を用いた本試験では地色とほとんど変わらない画像と判断される。
【0080】
b)発光試験
ブラックライト(UVGL−25;フナコシ社)照射にて、W部画像の発光状態を観察した。
b−1:ブラックライト照射W部発色(ロングウエーブ)
ロングウエーブ(365nm)紫外線照射にて、赤、青、緑の発色があること並びに3画面が重ね印字されるW部が白く発光(白色発光)することを確認した。
b−2:ブラックライト照射W部発色(ショートウエーブ)
ショートウエーブ(254nm)紫外線照射にて、W部の発色状態の変化(白色〜色味)、即ちグレーバランスを変化を観察した。
【0081】
c)耐光試験(フェード試験後W部発色)
JIS−L0843に準拠し、キセノンフェードメーターにて1時間及び3時間光照射後、ブラックライトにてロングウエーブ(365nm)紫外線照射にて画像の発色があるか否かを確認した。キセノン照射1時間は、室内蛍光灯下に約1ヶ月暴露した状況と判断され、この条件で発色すれば通常の使用に問題無いとと考えられるが、室内蛍光灯下に約3ヶ月暴露した状況と判断されるキセノン照射3時間でも発色するのがより望ましい。
【0082】
表9 印画及び評価結果
【表9】
【0083】
以上の実施例及び比較例の結果は、下記のことを示す。
1)本発明で得られる蛍光画像の白色度は75%以上であり、実質的には地色と差が無く、優れた潜像状態の画像が得られる。
2)参考例及び実施例1から明らかな様に、紫外線遮断保護層の遮断波長が400nm以上では発光しないので、保護層の紫外線吸収剤の選択には遮断波長が400nm未満となるように留意するが、又遮断波長が280nm以下では耐光性に留意し安定剤の選定を要する。
3)紫外線遮断保護層の設置により耐光性が改善されるが(実施例5と比較例3)、色材層に安定剤を添加すると蛍光画像の耐光性が更に改善されことが明らかでる(実施例5と実施例8)。
4)色材層に含有させる蛍光色素は、単独でも2以上混合しても良い(実施例9,10)。
5)同じ紫外線遮断保護層が同じでも各色材リボンの組合せを変える、或いは同一の各色材リボンの組合せでも遮断波長の異なる紫外線遮断保護層を組み合わせることにより、ショートウエーブ照射ではグレーバランスの変化(白色発光から変化して色味が加わる)が生ずることがある。
6)遮断波長が同じ紫外線遮断保護層でも、該保護層に含まれる紫外線吸収剤の種類、配合比率の違いによりショートウエーブ照射でのグレーバランスの変化が生じる(実施例25〜29)。
【0084】
【発明の効果】
本発明によれば、昇華感熱転写性蛍光色素を用いた昇華感熱印刷によるフルカラー画像に、特定波長の紫外線を吸収して該画像の紫外線蛍光発光を制御し得る紫外線遮断画像保護層を被せることにより、特定波長光の照射による蛍光発光画像の色調を変化させることが出来る。よって、本発明で得られる該保護層で被覆されたフルカラー画像の発光は、保護層、蛍光色素、照射波長の組合せにより複雑に制御することが出来るので、フルカラー画像の偽造防止効果が極めて高く、しかも、保護層により実用にも耐え得る耐光性を有するのである。従って、本発明により得られる蛍光発光印刷物は、偽造防止に優れた各種証明書及び証券等に利用することが出来る。更に、本発明は、このような蛍光発光印刷物を得るのに好適な昇華感熱転写印刷用の色材リボンを提供することができるので、工業的価値が高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】赤(R)、緑(G)、青(B)3原色光加色混合ポジ画像の原理を示す説明図
【図2】赤(R)、緑(G)、青(B)3原色光減色混合ネガ画像の原理を示す説明図
【図3】可視昇華感熱転写性色材層領域と不可視昇華感熱転写性蛍光色材層領域とがリボンの長手方法に直列に設けられている色材リボンの説明図
【図4】可視昇華感熱転写性色材層領域と不可視昇華感熱転写性蛍光色材層領域とがリボンの長手方法に並列に設けられている色材リボンの説明図
Claims (27)
- 基材上に、赤(R)、緑(G)及び青(B)の昇華感熱転写性蛍光色素の少なくとも1種及びバインダー成分を含む該各色の色材層を有する蛍光印刷用の画像形成材を用いて、昇華感熱転写印刷したフルカラー画像を、特定波長の紫外線を吸収して該画像の紫外線蛍光発光を制御し得る紫外線遮断画像保護層で被覆することを特徴とする蛍光発光印刷物の製造方法。
- 紫外線遮断画像保護層は、紫外線領域の特定波長光の透過率が50%以下であることを特徴とする請求項1に記載の蛍光発光印刷物の製造方法。
- 紫外線領域の特定波長光の波長が280nm以上、400nm未満であることを特徴とする請求項1又は2に記載の蛍光発光印刷物の製造方法。
- 画像形成材の各色の色材層は、ヒンダードアミン系及びヒンダードフェノール系から選ばれる少なくとも1種の安定剤を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の蛍光発光印刷物の製造方法。
- 紫外線遮断画像保護層は、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系及びベンゾフェノン系からなる群から選ばれる少なくとも1種の紫外線吸収剤を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の蛍光発光印刷物の製造方法。
- R、G及びBの昇華感熱転写性蛍光色素は、その最大吸収波長が340〜395nm(エタノール中)の範囲に存することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の蛍光発光印刷物の製造方法。
- R、G及びBの昇華感熱転写性蛍光色素は、それぞれチオフェン系、β−キノフタロン系、クマリン系、ビススチリルベンゼン系、オキサゾール系及びユーロピウム錯体系の昇華感熱転写性蛍光色素から選ばれる少なくとも1種であり、且つ分子中で共役系をなす炭素原子系が側鎖の共役系を有しない色素であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の蛍光発光印刷物の製造方法。
- 画像形成材には、基材上に、R、G及びBの昇華感熱転写性蛍光色素を含む各色の色材層及び紫外線遮断画像保護層が面順次に設けられていることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載の蛍光発光印刷物の製造方法。
- 画像形成材には、基材上に、R、G及びBの昇華感熱転写性蛍光色素を含む各色の色材層に更に可視光で認識可能なR、G及びBの昇華感熱転写性着色剤を含む各色の色材層が併設されてなることを特徴とする請求項14に記載の蛍光発光印刷物の製造方法。
- 基材上に、R、G及びBの昇華感熱転写性蛍光色素の少なくとも1種及びバインダーを含む各色の色材層を有する蛍光印刷用の画像形成材を用いて昇華感熱転写印刷したフルカラー画像を、特定波長の紫外線を吸収して該画像の紫外線蛍光発光を制御し得る紫外線遮断画像保護層で被覆してなる蛍光発光印刷物。
- 請求項14に記載の画像形成材を用い、昇華感熱転写により印刷したフルカラー画像を、感熱転写により紫外線遮断画像保護層で被覆してなる蛍光発光印刷物。
- 請求項15に記載の画像形成材を用い、昇華感熱転写により印刷した蛍光発光フルカラー画像及び可視光で認識可能なフルカラー画像を、感熱転写により紫外線遮断画像保護層で被覆してなる蛍光発光印刷物。
- 基材上に、R、G及びBの昇華感熱転写性蛍光色素を含む色材層及び可視光で認識可能なR、G及びBの昇華感熱転写性着色剤を含む色材層からなる色材層領域、並びに特定波長の紫外線を吸収して紫外線蛍光発光を制御し得る紫外線遮断画像保護層領域が面順次に設けられている画像形成材。
- R、G及びBの昇華感熱転写性蛍光色素は、請求項7に記載の色素から選ばれることを特徴とする請求項17に記載の画像形成材。
- R、G及びBの昇華感熱転写性蛍光色素を含む色材層は、ヒンダードアミン系及びヒンダードフェノール系から選ばれる少なくとも1種の安定剤を含有することを特徴とする請求項19又は20に記載の画像形成材。
- 紫外線遮断画像保護層は、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系及びベンゾフェノン系からなる群から選ばれる少なくとも1種の紫外線吸収剤を含有することを特徴とする請求項19〜21のいずれか1項に記載の画像形成材。
- 基材上の色材領域において、可視光で認識可能なR、G及びBの昇華感熱転写性着色剤を含む色材層とR、G及びBの昇華感熱転写性蛍光色素を含む色材層とが、基材リボンの長手方向に直列に設けられていることを特徴とする請求項19〜22のいずれか1項に記載の画像形成材。
- 基材上の色材領域において、可視光で認識可能なR、G及びBの昇華感熱転写性着色剤を含む色材層とR、G及びBの昇華感熱転写性蛍光色素を含む色材層とが、基材リボンの長手方向に並列に設けられていることを特徴とする請求項19〜23のいずれか1項に記載の画像形成材。
- 請求項1乃至14に記載の何れかの方法で製造された眞の画像印刷物に、250〜400nmの紫外線領域内の少なくとも1種の特定波長光の照射により発現する蛍光画像の色調と、被検査物の画像印刷物に、該照射光と同一波長光を照射した際に発現する画像の色調を照合し、両者の適合性に基づいて真偽を判定することを特徴とする画像印刷物の真偽検知方法。
- 特定波長光として長波長光と短波長光の2種の照射光を用い、眞の画像印刷物と被検査画像印刷物に対する各波長の照射により発現する画像同士の色調を照合することを特徴とする請求項25に記載の画像印刷物の真偽検知方法。
- 特定波長光として、365nm及び/又は254nmの紫外線光を使用することを特徴とする請求項25又は26に記載の画像印刷物の真偽検知方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002292810A JP2004122690A (ja) | 2002-10-04 | 2002-10-04 | 蛍光発光印刷物の製造方法、蛍光発光印刷物、画像形成材及び真偽検知方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002292810A JP2004122690A (ja) | 2002-10-04 | 2002-10-04 | 蛍光発光印刷物の製造方法、蛍光発光印刷物、画像形成材及び真偽検知方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004122690A true JP2004122690A (ja) | 2004-04-22 |
Family
ID=32283955
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002292810A Pending JP2004122690A (ja) | 2002-10-04 | 2002-10-04 | 蛍光発光印刷物の製造方法、蛍光発光印刷物、画像形成材及び真偽検知方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004122690A (ja) |
Cited By (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007245526A (ja) * | 2006-03-16 | 2007-09-27 | Dainippon Printing Co Ltd | 電子ペン専用用紙 |
EP2009516A2 (en) | 2007-06-19 | 2008-12-31 | Dainippon Printing Co., Ltd. | Volume hologram transfer foil, volume hologram laminate, and production method thereof |
US8054550B2 (en) | 2007-09-20 | 2011-11-08 | Toppan Printing Co., Ltd. | Optical device, laminate and labeled article |
JP2014098626A (ja) * | 2012-11-14 | 2014-05-29 | Horiba Ltd | 着色剤同定方法、及び着色剤同定装置 |
KR20160045789A (ko) | 2014-03-05 | 2016-04-27 | 한국조폐공사 | 보안 필름 |
JP2020044813A (ja) * | 2018-09-21 | 2020-03-26 | 凸版印刷株式会社 | 熱転写インクリボンおよび間接熱転写記録方法 |
CN111481164A (zh) * | 2019-01-25 | 2020-08-04 | 宏碁股份有限公司 | 用以获取荧光眼底图的方法及其装置 |
CN111683818A (zh) * | 2019-01-11 | 2020-09-18 | 中钞光华印制有限公司 | 多色荧光制品制作方法、多色荧光制品以及荧光工艺品 |
-
2002
- 2002-10-04 JP JP2002292810A patent/JP2004122690A/ja active Pending
Cited By (14)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007245526A (ja) * | 2006-03-16 | 2007-09-27 | Dainippon Printing Co Ltd | 電子ペン専用用紙 |
EP3244268A1 (en) | 2007-06-19 | 2017-11-15 | Dai Nippon Printing Co., Ltd. | Volume hologram transfer foil, volume hologram laminate, and production method thereof |
EP2009516A2 (en) | 2007-06-19 | 2008-12-31 | Dainippon Printing Co., Ltd. | Volume hologram transfer foil, volume hologram laminate, and production method thereof |
EP2309340A1 (en) | 2007-06-19 | 2011-04-13 | Dai Nippon Printing Co., Ltd. | Volume hologram transfer foil, volume hologram laminate, and production method thereof |
US8861056B2 (en) | 2007-06-19 | 2014-10-14 | Dai Nippon Printing Co., Ltd. | Volume hologram transfer foil, volume hologram laminate, and production method thereof |
US8054550B2 (en) | 2007-09-20 | 2011-11-08 | Toppan Printing Co., Ltd. | Optical device, laminate and labeled article |
JP2014098626A (ja) * | 2012-11-14 | 2014-05-29 | Horiba Ltd | 着色剤同定方法、及び着色剤同定装置 |
KR20160045789A (ko) | 2014-03-05 | 2016-04-27 | 한국조폐공사 | 보안 필름 |
JP2020044813A (ja) * | 2018-09-21 | 2020-03-26 | 凸版印刷株式会社 | 熱転写インクリボンおよび間接熱転写記録方法 |
JP7206738B2 (ja) | 2018-09-21 | 2023-01-18 | 凸版印刷株式会社 | 熱転写インクリボンおよび間接熱転写記録方法 |
CN111683818A (zh) * | 2019-01-11 | 2020-09-18 | 中钞光华印制有限公司 | 多色荧光制品制作方法、多色荧光制品以及荧光工艺品 |
CN111683818B (zh) * | 2019-01-11 | 2022-03-18 | 中钞光华印制有限公司 | 多色荧光制品制作方法、多色荧光制品以及荧光工艺品 |
CN111481164A (zh) * | 2019-01-25 | 2020-08-04 | 宏碁股份有限公司 | 用以获取荧光眼底图的方法及其装置 |
CN111481164B (zh) * | 2019-01-25 | 2023-04-07 | 宏碁股份有限公司 | 用以获取荧光眼底图的方法及其装置 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4276864B2 (ja) | セキュリティ要素、熱転写シート、中間転写記録媒体及びセキュリティ要素の形成方法 | |
CA1272419A (en) | Prints and production method thereof | |
US7829162B2 (en) | Thermal transfer ribbon | |
EP0407615B2 (en) | Thermal transfer recording medium | |
CA2507900C (en) | Security device and its production method | |
JPH06219037A (ja) | 不法な複写に対して安全対策が講じられた基質およびその製造法 | |
JP2005507451A (ja) | インクセット、印刷された物品、印刷方法及び着色剤の使用 | |
JP2004122690A (ja) | 蛍光発光印刷物の製造方法、蛍光発光印刷物、画像形成材及び真偽検知方法 | |
JP4120965B2 (ja) | 偽造防止インキおよび偽造防止印刷物 | |
JP2004053884A (ja) | 真贋判定機能を付与することができる転写箔 | |
JP2009023341A (ja) | 中間転写記録媒体 | |
JP4440713B2 (ja) | 画像形成方法及び印画物 | |
JP2000141863A (ja) | 蛍光体印刷物 | |
RU2335404C2 (ru) | Оттиск, способ записи, способ распознавания информации и система распознавания информации | |
JPH03154187A (ja) | 近赤外線による識別ができる記録物 | |
JP3153024U (ja) | 感熱転写シート | |
JPH11301121A (ja) | 蛍光剤入り感熱転写記録媒体及び画像形成方法 | |
JP2003025736A (ja) | 熱転写シートおよび印画物 | |
US20040192549A1 (en) | Image-formed object, method for image formation, and thermal transfer sheet for preparation of said image-formed object | |
JPH07257059A (ja) | 熱転写シート | |
JP5533484B2 (ja) | 潜像画像を有する印刷物 | |
JP2001232955A (ja) | 溶融型熱転写インクリボン、印刷物及び印刷装置 | |
US7286150B2 (en) | Thermal transfer printing | |
JPH0416069B2 (ja) | ||
JP2004050754A (ja) | 感熱転写リボンおよびこの感熱転写リボンを使用した感熱転写方法 |