JP2004116600A - ディスクブレーキのロータ - Google Patents
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Abstract
【課題】小さな結合領域でロータ本体と取付部材とを一体的に結合できるとともに、それ等の熱膨張差に起因してロータ本体にクラックが発生することを防止する。
【解決手段】取付部材14の開口部に設けられた複数の突起24がそれぞれロータ本体12の切欠16内に嵌め入れられ、且つその先端部が外側へ曲げ加工されることにより、円筒部26の先端との間でロータ本体12を挟み込んで一体的に結合されているため、ボルトやリベットを用いて結合する場合に比較して、軸方向の結合領域t1 や、径方向の結合領域(C1 −R1 )が小さくなり、その結合領域(C1 −R1 )が小さくなった分だけ外径D1 が小さくなる。また、突起24の曲げ加工による結合部分の剛性が低いため両者の径方向の相対変位が許容され、熱膨張差によりロータ本体12にクラックが発生することが抑制される。
【選択図】 図1
【解決手段】取付部材14の開口部に設けられた複数の突起24がそれぞれロータ本体12の切欠16内に嵌め入れられ、且つその先端部が外側へ曲げ加工されることにより、円筒部26の先端との間でロータ本体12を挟み込んで一体的に結合されているため、ボルトやリベットを用いて結合する場合に比較して、軸方向の結合領域t1 や、径方向の結合領域(C1 −R1 )が小さくなり、その結合領域(C1 −R1 )が小さくなった分だけ外径D1 が小さくなる。また、突起24の曲げ加工による結合部分の剛性が低いため両者の径方向の相対変位が許容され、熱膨張差によりロータ本体12にクラックが発生することが抑制される。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はディスクブレーキのロータに係り、特に、ロータ本体と取付部材とが別体に構成されているロータの結合構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
車両などに広く用いられているディスクブレーキの一種に、(a) 板状で円環形状を成しているロータ本体と、(b) 有底円筒形状を成していて、前記ロータ本体と同心に配設され且つ開口側においてそのロータ本体の内周部に一体的に固設されるとともに、その有底円筒形状の底部において車軸等の所定の回転部材に一体的に取り付けられる取付部材と、から成るロータを有し、(c) 前記ロータ本体の側面にブレーキパッドが押圧されることにより車軸等の回転部材の回転を制動するようになっているものがある。図5のロータ100はその一例で、鋳鉄製のロータ本体102と、鉄板プレス品にて構成されている取付部材104とから成り、リベット或いはボルト等の複数の締結具106によって互いに一体的に固設されており、軽量且つ安価に構成することができる。図5の(a) は(b) におけるA−A断面図で、(b) は正面図であり、取付部材104の底部には複数の取付穴108が設けられている。
【0003】
なお、上記従来技術は、ロールスロイス社の技術資料(写真)に基づくもので、かかる技術を記載した文献情報について本出願人は認識していない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来のロータ100においては、締結具106による結合領域(径方向はC2 −R2 、厚さ方向はt2 )が大きいため、ロータ100としての寸法の制約が厳しく、設計の自由度が小さいとともに、結合領域を確保するために外径D2 が大きくなり、軽量化のメリットを十分に享受できない。また、制動時の摩擦熱による熱膨張時に、ロータ本体102と取付部材104との熱膨張量が異なるため、締結具106による締結部を起点としてロータ本体102にクラックが発生する可能性がある。
【0005】
本発明は以上の事情を背景として為されたもので、その目的とするところは、小さな結合領域でロータ本体と取付部材とを一体的に結合できるとともに、それ等の熱膨張差に起因してロータ本体にクラックが発生することを防止することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するために、本発明は、(a) 板状で円環形状を成しているロータ本体と、(b) 有底円筒形状を成していて、前記ロータ本体と同心に配設され且つ開口側においてそのロータ本体の内周部に一体的に固設されるとともに、その有底円筒形状の底部において所定の回転部材に一体的に取り付けられる取付部材と、を有するディスクブレーキのロータであって、(c) 前記ロータ本体の内周縁には所定間隔で複数の切欠が設けられている一方、前記取付部材の開口部にはその切欠に対応して複数の突起が軸方向へ突き出すように設けられ、その突起がその切欠内に嵌め入れられ且つ先端部が外周側へ曲げ加工されてそのロータ本体を挟み込むことにより、その取付部材がロータ本体に一体的に固設されていることを特徴とする。
【0007】
第2発明は、第1発明のディスクブレーキのロータにおいて、前記ロータ本体の内周部であって前記突起が曲げ加工される側の側面には、その突起の板厚と略同じ深さ寸法で座ぐりが設けられていることを特徴とする。
【0008】
【発明の効果】
このようなディスクブレーキのロータにおいては、取付部材の開口部に設けられた複数の突起がそれぞれロータ本体の切欠内に嵌め入れられ、且つその先端部が外側へ曲げ加工されることにより、ロータ本体を挟み込んで一体的に固設されているため、従来のようにボルトやリベット等の締結具を用いる場合に比較して結合領域が小さくなる。これにより、ロータとしての寸法の制約が緩和され、設計の自由度が高くなるとともに、外径を小さくできて更なる軽量化を図ることができる。また、取付部材の突起をロータ本体の切欠内に嵌め入れて外側へ曲げ加工するだけで良いため、結合が容易で製造コストが低減されるとともに、軸方向および径方向の位置決めを簡単に高い精度で行うことができる。また、突起が曲げ加工されてロータ本体を挟み込んでいるだけであるため、その結合部分の剛性が低くて両者の径方向の相対変位が許容され、熱膨張差によりロータ本体にクラックが発生することが抑制される。
【0009】
第2発明では、ロータ本体の内周部であって突起が曲げ加工される側の側面に、その突起の板厚と略同じ深さ寸法で座ぐりが設けられているため、突起がロータ本体の側面と略一致させられ、軸方向の結合領域がロータ本体の板厚と略同じになってロータの設計の自由度が更に高くなる。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明は車両用のディスクブレーキのロータに好適に適用されるが、車両用以外のディスクブレーキのロータにも適用され得る。ロータ本体としてはねずみ鋳鉄などの鋳鉄が好適に用いられ、取付部材としては鉄板などのプレス品が好適に用いられるが、他の種々の材料を採用することができる。ロータ本体は、通風孔が設けられたベンチレーテッドタイプが望ましいが、中実のソリッドタイプであっても良い。
【0011】
ロータ本体に設けられる切欠、および取付部材に設けられる突起は、それぞれ一定の幅寸法で周方向に等間隔で設けることが望ましい。また、それ等の切欠および突起は、周方向の幅寸法が略同じで、周方向の両側部が互いに略密着するように嵌め入れられるようにすることが望ましい。更に、切欠の深さ、すなわち径方向の寸法は、突起の板厚と略同じか、それより大きいことが望ましい。
【0012】
第2発明では、ロータ本体の側面に座ぐりが設けられ、突起がロータ本体の側面と略一致させられるが、第1発明の実施に際しては座ぐりは必ずしも必要でなく、ロータ本体の側面から突起が突き出していても良い。また、周方向の全域に座ぐりを設ける代わりに、突起に対応する部分にのみ突起と略同じ幅寸法、突起の板厚と略同じ深さ寸法で、複数の収容溝を設けるようにしても良い。
【0013】
取付部材の突起の突出寸法は、少なくともロータ本体の内周縁部における板厚よりも大きく、ロータ本体に座ぐりが設けられている場合は、その座ぐりが設けられた後の板厚よりも大きい寸法で、外周側へ曲げ加工されることにより、円筒部との間で所定の結合強度でロータ本体を挟み込むことができるように定められる。
【0014】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施例であるディスクブレーキのロータ10を示す図で、(a) は(b) におけるA−A断面図、(b) は正面図であり、このロータ10は、鋳鉄製のロータ本体12と、鉄板プレス品にて構成されている取付部材14とから構成されている。ロータ本体12は、図2に単独で示すように、板状で円環形状を成しているとともに、内周縁には一定の幅寸法の切欠16が周方向において一定の間隔で複数(本実施例では8個)設けられているとともに、一方の側面の内周部には取付部材14の板厚と略同じ深さ寸法の座ぐり18が周方向の全域に設けられている。また、切欠16の深さ、すなわち径方向の寸法は、取付部材14の板厚と略同じである。このロータ本体12は、中実のソリッドタイプであっても良いが、多数の通風孔を有するベンチレーテッドタイプのものが好適に用いられる。図2の(a) は(b) におけるA−A断面図で、(b) は正面図である。
【0015】
取付部材14は、絞り加工によって形成されたもので、図3に単独で示すように有底円筒形状を成していて、その底部20には複数の取付孔22が設けられ、その取付孔22を介して車両の車軸等の回転部材に一体的に取り付けられる一方、有底円筒形状の開口部には前記切欠16に対応して複数(本実施例では8個)の突起24が一体に設けられ、その突起24を介して前記ロータ本体12の内周部に一体的に固設されるようになっている。突起24は、周方向の幅寸法が前記切欠16と略同じで、周方向において等間隔で設けられているとともに、その突出寸法はロータ本体12の内周縁部(座ぐり18が設けられた部分)の板厚よりも大きい。また、有底円筒形状の円筒部26の内径はロータ本体12の内径と略同じで、かかる取付部材14は、図4に示すようにロータ本体12と同心に配設され、且つ複数の突起24がそれぞれ切欠16内に嵌め入れられることにより、径方向の位置決めが行われるとともに、突起24および切欠16の周方向の両側部が互いに略密着させられて相対回転が阻止される。取付部材14は、前記座ぐり18が設けられた側と反対側からロータ本体12に嵌合され、図4に示すように円筒部26の先端がロータ本体12に当接させられることにより、軸方向の位置決めが行われるとともに突起24の先端部はロータ本体12の反対側へ突き出し、その状態で図1に示すようにそれ等の突起24の先端部がそれぞれ外周側へ曲げ加工されることにより、円筒部26の先端と突起24との間でロータ本体12が挟まれて軸方向の相対移動が阻止され、一体的に結合される。図3、図4においても、(a) は(b) におけるA−A断面図で、(b) は正面図である。
【0016】
このように、本実施例のロータ10は、取付部材14の開口部に設けられた複数の突起24がそれぞれロータ本体12の切欠16内に嵌め入れられ、且つその先端部が外側へ曲げ加工されることにより、円筒部26の先端との間でロータ本体12を挟み込んで一体的に結合されているため、図5のようにボルトやリベット等の締結具106を用いる場合に比較して結合領域が小さくなる。すなわち、軸方向の結合領域t1 は、リベットやボルトのように頭部が存在しないため前記寸法t2 より小さくなり、本実施例では座ぐり18が設けられて突起24がロータ本体12の側面と略一致させられているため、ロータ本体12の板厚と略同じ寸法になる。また、径方向の結合領域(C1 −R1 )は、突起24の曲げ寸法だけで良いため、前記寸法(C2 −R2 )より小さくでき、寸法R1 =R2 とすれば、結合領域(C1 −R1 )が小さくなった分だけ外径D1 が前記外径D2 より小さくなる。
【0017】
そして、このように結合領域が小さくて済むことから、ロータ10としての寸法の制約が緩和されて設計の自由度が高くなるとともに、外径D1 が小さくなった分だけ更に軽量になる。また、取付部材14の突起24をロータ本体12の切欠16内に嵌め入れて外側へ曲げ加工するだけで良いため、結合が容易で製造コストが低減されるとともに、軸方向および径方向の位置決めを簡単に高い精度で行うことができる。また、突起24が曲げ加工されることによりロータ本体12を挟み込んでいるだけであるため、その結合部分の剛性が低くて両者の径方向の相対変位が許容され、熱膨張差によりロータ本体12にクラックが発生することが抑制される。
【0018】
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、これはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更,改良を加えた態様で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例であるディスクブレーキのロータを示す図で、(a) は(b) におけるA−A断面図、(b) は正面図である。
【図2】図1のロータのロータ本体を示す図で、(a) は(b) におけるA−A断面図、(b) は正面図である。
【図3】図1のロータの取付部材についてロータ本体に結合する前の形状を示す図で、(a) は(b) におけるA−A断面図、(b) は正面図である。
【図4】図2のロータ本体と図3の取付部材とを同心に嵌合した状態を示す図で、(a) は(b) におけるA−A断面図、(b) は正面図である。
【図5】従来のディスクブレーキのロータの一例を示す図で、(a) は(b) におけるA−A断面図、(b) は正面図である。
【符号の説明】
10:ロータ 12:ロータ本体 14:取付部材 16:切欠 18:座ぐり 24:突起
【発明の属する技術分野】
本発明はディスクブレーキのロータに係り、特に、ロータ本体と取付部材とが別体に構成されているロータの結合構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
車両などに広く用いられているディスクブレーキの一種に、(a) 板状で円環形状を成しているロータ本体と、(b) 有底円筒形状を成していて、前記ロータ本体と同心に配設され且つ開口側においてそのロータ本体の内周部に一体的に固設されるとともに、その有底円筒形状の底部において車軸等の所定の回転部材に一体的に取り付けられる取付部材と、から成るロータを有し、(c) 前記ロータ本体の側面にブレーキパッドが押圧されることにより車軸等の回転部材の回転を制動するようになっているものがある。図5のロータ100はその一例で、鋳鉄製のロータ本体102と、鉄板プレス品にて構成されている取付部材104とから成り、リベット或いはボルト等の複数の締結具106によって互いに一体的に固設されており、軽量且つ安価に構成することができる。図5の(a) は(b) におけるA−A断面図で、(b) は正面図であり、取付部材104の底部には複数の取付穴108が設けられている。
【0003】
なお、上記従来技術は、ロールスロイス社の技術資料(写真)に基づくもので、かかる技術を記載した文献情報について本出願人は認識していない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来のロータ100においては、締結具106による結合領域(径方向はC2 −R2 、厚さ方向はt2 )が大きいため、ロータ100としての寸法の制約が厳しく、設計の自由度が小さいとともに、結合領域を確保するために外径D2 が大きくなり、軽量化のメリットを十分に享受できない。また、制動時の摩擦熱による熱膨張時に、ロータ本体102と取付部材104との熱膨張量が異なるため、締結具106による締結部を起点としてロータ本体102にクラックが発生する可能性がある。
【0005】
本発明は以上の事情を背景として為されたもので、その目的とするところは、小さな結合領域でロータ本体と取付部材とを一体的に結合できるとともに、それ等の熱膨張差に起因してロータ本体にクラックが発生することを防止することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するために、本発明は、(a) 板状で円環形状を成しているロータ本体と、(b) 有底円筒形状を成していて、前記ロータ本体と同心に配設され且つ開口側においてそのロータ本体の内周部に一体的に固設されるとともに、その有底円筒形状の底部において所定の回転部材に一体的に取り付けられる取付部材と、を有するディスクブレーキのロータであって、(c) 前記ロータ本体の内周縁には所定間隔で複数の切欠が設けられている一方、前記取付部材の開口部にはその切欠に対応して複数の突起が軸方向へ突き出すように設けられ、その突起がその切欠内に嵌め入れられ且つ先端部が外周側へ曲げ加工されてそのロータ本体を挟み込むことにより、その取付部材がロータ本体に一体的に固設されていることを特徴とする。
【0007】
第2発明は、第1発明のディスクブレーキのロータにおいて、前記ロータ本体の内周部であって前記突起が曲げ加工される側の側面には、その突起の板厚と略同じ深さ寸法で座ぐりが設けられていることを特徴とする。
【0008】
【発明の効果】
このようなディスクブレーキのロータにおいては、取付部材の開口部に設けられた複数の突起がそれぞれロータ本体の切欠内に嵌め入れられ、且つその先端部が外側へ曲げ加工されることにより、ロータ本体を挟み込んで一体的に固設されているため、従来のようにボルトやリベット等の締結具を用いる場合に比較して結合領域が小さくなる。これにより、ロータとしての寸法の制約が緩和され、設計の自由度が高くなるとともに、外径を小さくできて更なる軽量化を図ることができる。また、取付部材の突起をロータ本体の切欠内に嵌め入れて外側へ曲げ加工するだけで良いため、結合が容易で製造コストが低減されるとともに、軸方向および径方向の位置決めを簡単に高い精度で行うことができる。また、突起が曲げ加工されてロータ本体を挟み込んでいるだけであるため、その結合部分の剛性が低くて両者の径方向の相対変位が許容され、熱膨張差によりロータ本体にクラックが発生することが抑制される。
【0009】
第2発明では、ロータ本体の内周部であって突起が曲げ加工される側の側面に、その突起の板厚と略同じ深さ寸法で座ぐりが設けられているため、突起がロータ本体の側面と略一致させられ、軸方向の結合領域がロータ本体の板厚と略同じになってロータの設計の自由度が更に高くなる。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明は車両用のディスクブレーキのロータに好適に適用されるが、車両用以外のディスクブレーキのロータにも適用され得る。ロータ本体としてはねずみ鋳鉄などの鋳鉄が好適に用いられ、取付部材としては鉄板などのプレス品が好適に用いられるが、他の種々の材料を採用することができる。ロータ本体は、通風孔が設けられたベンチレーテッドタイプが望ましいが、中実のソリッドタイプであっても良い。
【0011】
ロータ本体に設けられる切欠、および取付部材に設けられる突起は、それぞれ一定の幅寸法で周方向に等間隔で設けることが望ましい。また、それ等の切欠および突起は、周方向の幅寸法が略同じで、周方向の両側部が互いに略密着するように嵌め入れられるようにすることが望ましい。更に、切欠の深さ、すなわち径方向の寸法は、突起の板厚と略同じか、それより大きいことが望ましい。
【0012】
第2発明では、ロータ本体の側面に座ぐりが設けられ、突起がロータ本体の側面と略一致させられるが、第1発明の実施に際しては座ぐりは必ずしも必要でなく、ロータ本体の側面から突起が突き出していても良い。また、周方向の全域に座ぐりを設ける代わりに、突起に対応する部分にのみ突起と略同じ幅寸法、突起の板厚と略同じ深さ寸法で、複数の収容溝を設けるようにしても良い。
【0013】
取付部材の突起の突出寸法は、少なくともロータ本体の内周縁部における板厚よりも大きく、ロータ本体に座ぐりが設けられている場合は、その座ぐりが設けられた後の板厚よりも大きい寸法で、外周側へ曲げ加工されることにより、円筒部との間で所定の結合強度でロータ本体を挟み込むことができるように定められる。
【0014】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施例であるディスクブレーキのロータ10を示す図で、(a) は(b) におけるA−A断面図、(b) は正面図であり、このロータ10は、鋳鉄製のロータ本体12と、鉄板プレス品にて構成されている取付部材14とから構成されている。ロータ本体12は、図2に単独で示すように、板状で円環形状を成しているとともに、内周縁には一定の幅寸法の切欠16が周方向において一定の間隔で複数(本実施例では8個)設けられているとともに、一方の側面の内周部には取付部材14の板厚と略同じ深さ寸法の座ぐり18が周方向の全域に設けられている。また、切欠16の深さ、すなわち径方向の寸法は、取付部材14の板厚と略同じである。このロータ本体12は、中実のソリッドタイプであっても良いが、多数の通風孔を有するベンチレーテッドタイプのものが好適に用いられる。図2の(a) は(b) におけるA−A断面図で、(b) は正面図である。
【0015】
取付部材14は、絞り加工によって形成されたもので、図3に単独で示すように有底円筒形状を成していて、その底部20には複数の取付孔22が設けられ、その取付孔22を介して車両の車軸等の回転部材に一体的に取り付けられる一方、有底円筒形状の開口部には前記切欠16に対応して複数(本実施例では8個)の突起24が一体に設けられ、その突起24を介して前記ロータ本体12の内周部に一体的に固設されるようになっている。突起24は、周方向の幅寸法が前記切欠16と略同じで、周方向において等間隔で設けられているとともに、その突出寸法はロータ本体12の内周縁部(座ぐり18が設けられた部分)の板厚よりも大きい。また、有底円筒形状の円筒部26の内径はロータ本体12の内径と略同じで、かかる取付部材14は、図4に示すようにロータ本体12と同心に配設され、且つ複数の突起24がそれぞれ切欠16内に嵌め入れられることにより、径方向の位置決めが行われるとともに、突起24および切欠16の周方向の両側部が互いに略密着させられて相対回転が阻止される。取付部材14は、前記座ぐり18が設けられた側と反対側からロータ本体12に嵌合され、図4に示すように円筒部26の先端がロータ本体12に当接させられることにより、軸方向の位置決めが行われるとともに突起24の先端部はロータ本体12の反対側へ突き出し、その状態で図1に示すようにそれ等の突起24の先端部がそれぞれ外周側へ曲げ加工されることにより、円筒部26の先端と突起24との間でロータ本体12が挟まれて軸方向の相対移動が阻止され、一体的に結合される。図3、図4においても、(a) は(b) におけるA−A断面図で、(b) は正面図である。
【0016】
このように、本実施例のロータ10は、取付部材14の開口部に設けられた複数の突起24がそれぞれロータ本体12の切欠16内に嵌め入れられ、且つその先端部が外側へ曲げ加工されることにより、円筒部26の先端との間でロータ本体12を挟み込んで一体的に結合されているため、図5のようにボルトやリベット等の締結具106を用いる場合に比較して結合領域が小さくなる。すなわち、軸方向の結合領域t1 は、リベットやボルトのように頭部が存在しないため前記寸法t2 より小さくなり、本実施例では座ぐり18が設けられて突起24がロータ本体12の側面と略一致させられているため、ロータ本体12の板厚と略同じ寸法になる。また、径方向の結合領域(C1 −R1 )は、突起24の曲げ寸法だけで良いため、前記寸法(C2 −R2 )より小さくでき、寸法R1 =R2 とすれば、結合領域(C1 −R1 )が小さくなった分だけ外径D1 が前記外径D2 より小さくなる。
【0017】
そして、このように結合領域が小さくて済むことから、ロータ10としての寸法の制約が緩和されて設計の自由度が高くなるとともに、外径D1 が小さくなった分だけ更に軽量になる。また、取付部材14の突起24をロータ本体12の切欠16内に嵌め入れて外側へ曲げ加工するだけで良いため、結合が容易で製造コストが低減されるとともに、軸方向および径方向の位置決めを簡単に高い精度で行うことができる。また、突起24が曲げ加工されることによりロータ本体12を挟み込んでいるだけであるため、その結合部分の剛性が低くて両者の径方向の相対変位が許容され、熱膨張差によりロータ本体12にクラックが発生することが抑制される。
【0018】
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、これはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更,改良を加えた態様で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例であるディスクブレーキのロータを示す図で、(a) は(b) におけるA−A断面図、(b) は正面図である。
【図2】図1のロータのロータ本体を示す図で、(a) は(b) におけるA−A断面図、(b) は正面図である。
【図3】図1のロータの取付部材についてロータ本体に結合する前の形状を示す図で、(a) は(b) におけるA−A断面図、(b) は正面図である。
【図4】図2のロータ本体と図3の取付部材とを同心に嵌合した状態を示す図で、(a) は(b) におけるA−A断面図、(b) は正面図である。
【図5】従来のディスクブレーキのロータの一例を示す図で、(a) は(b) におけるA−A断面図、(b) は正面図である。
【符号の説明】
10:ロータ 12:ロータ本体 14:取付部材 16:切欠 18:座ぐり 24:突起
Claims (2)
- 板状で円環形状を成しているロータ本体と、
有底円筒形状を成していて、前記ロータ本体と同心に配設され且つ開口側において該ロータ本体の内周部に一体的に固設されるとともに、該有底円筒形状の底部において所定の回転部材に一体的に取り付けられる取付部材と、
を有するディスクブレーキのロータであって、
前記ロータ本体の内周縁には所定間隔で複数の切欠が設けられている一方、前記取付部材の開口部には該切欠に対応して複数の突起が軸方向へ突き出すように設けられ、該突起が該切欠内に嵌め入れられ且つ先端部が外周側へ曲げ加工されて該ロータ本体を挟み込むことにより、該取付部材が該ロータ本体に一体的に固設されている
ことを特徴とするディスクブレーキのロータ。 - 前記ロータ本体の内周部であって前記突起が曲げ加工される側の側面には、該突起の板厚と略同じ深さ寸法で座ぐりが設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載のディスクブレーキのロータ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002278581A JP2004116600A (ja) | 2002-09-25 | 2002-09-25 | ディスクブレーキのロータ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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