JP2004113394A - プロテクタ - Google Patents
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Abstract
【課題】簡単な操作で使用後の針体の針先を覆うことができ、廃棄処理等に際し安全性の高いプロテクタを提供すること。
【解決手段】プロテクタ1は、金属材料からなる板状のプロテクタ本体2を有する。プロテクタ本体2は、針体100が貫通する第1の孔11が形成された第1の部位21と、第2の孔12が形成された第2の部位22と、第1の部位21の一端と第2の部位22とを連結する第3の部位23と、第1の部位21の他端からほぼ先端方向に延びるように形成された第4の部位24とを有する。プロテクタ1は、針先101を覆った状態では、第1の部位21の針体100に対する傾斜角度が小さくなることにより、第1の孔11と針体100との間の摩擦力が発生または増大して針体100に対し停止する。この状態では、第4の部位24は、その先端側の部分ほど針体100の中心軸線との距離が近くなるように、針体100に対し傾斜した姿勢になる。
【選択図】図2
【解決手段】プロテクタ1は、金属材料からなる板状のプロテクタ本体2を有する。プロテクタ本体2は、針体100が貫通する第1の孔11が形成された第1の部位21と、第2の孔12が形成された第2の部位22と、第1の部位21の一端と第2の部位22とを連結する第3の部位23と、第1の部位21の他端からほぼ先端方向に延びるように形成された第4の部位24とを有する。プロテクタ1は、針先101を覆った状態では、第1の部位21の針体100に対する傾斜角度が小さくなることにより、第1の孔11と針体100との間の摩擦力が発生または増大して針体100に対し停止する。この状態では、第4の部位24は、その先端側の部分ほど針体100の中心軸線との距離が近くなるように、針体100に対し傾斜した姿勢になる。
【選択図】図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば輸液や採血の際に血管等に穿刺して使用される針体の針先を覆うことができるプロテクタに関する。
【0002】
【従来の技術】
患者に対し輸液、採血、薬液の投与などを行う際には、例えば中空の注射針のような医療用の針体が使用される。使用後の針体は、廃棄に供されるが、そのまま廃棄すると、廃棄作業者等が誤って針先で指等を刺すという事故が起きるおそれがある。特に、針体の表面や内部には、血液が付着、残留しているため、このような誤刺により、感染を起こすおそれもある。
【0003】
現状では、誤刺を防止するため、使用済みの針体は、キャップを被せて破棄するなどの対策がとられているが、針体にキャップを被せる作業に際しても、針先で作業者の手を刺したりしないようにするために、細心の注意を払わねばならず、使用後の針体の廃棄処理に多大な手間を要するという問題がある。
【0004】
そこで、使用後の針体の針先を安全に覆うことができるプロテクタとして、針体の使用時には針体の途中の部分に装着されており、使用後に針先に移動して針先を覆うプロテクタが提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0005】
しかしながら、特許文献1、特許文献2に記載されたプロテクタでは、針先を覆ったプロテクタが針先から離脱するのを防止するためには、針体にプロテクタとの係合部(凹部または凸部)を設けたり、針体の基端側に設置されたハブとプロテクタとをヒモや糸などで連結したりするなどの、特別な(別個の)手段が必要になるという問題があった。
【0006】
この問題を解決するため、針体の途中の部分に装着されている姿勢では針体の長手方向に沿って摺動可能であり、針先を覆う姿勢になると針体に対しブレーキをかけるようにして針体の長手方向に沿った移動が禁止されるよう構成したプロテクタが提案されている(特許文献3参照)。この特許文献3に記載のプロテクタは、針先に向かって先端方向に移動させたプロテクタを針先の位置で停止させるための特別な手段が不要であるという利点がある。
【0007】
しかしながら、特許文献3に記載のプロテクタでは、針先を覆った状態でプロテクタが手指で掴まれたような場合、針体に対するブレーキが緩むことがあった。例えば、特許文献3の図2に示す状態でプロテクタ1を上下から指でつまむと、前方接続部35が下方向の力を受けて下側に変位し、これに伴って第1の部位31は、その下端部付近を回動中心として時計回りに回動するように変位し、この変位により、第1の部位31の針管20(針体)に対する傾斜角度θ1’が大きくなって、ブレーキが緩む。このようなブレーキの緩みが生じると、プロテクタ1が先端方向に移動して針先21から離脱するおそれがある。
【0008】
【特許文献1】
特開平9−99068号公報
【特許文献2】
国際公開第99/08742号パンフレット
【特許文献3】
特開2002−210005号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、簡単な操作で使用後の針体の針先を覆うことができ、廃棄処理等に際し安全性の高いプロテクタを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
このような目的は、下記(1)〜(4)の本発明により達成される。また、下記(5)〜(8)であるのが好ましい。
【0011】
(1) 先端に鋭利な針先を有する針体の長手方向に沿って相対的に移動可能な第1の姿勢と、前記針体の針先を覆った状態で、前記針体の長手方向に沿った相対的な移動が禁止される第2の姿勢とに変位可能なプロテクタであって、
金属材料で構成された弾性を有する板状部材を変形してなり、前記針体が貫通する第1の孔が形成された第1の部位と、該第1の部位より基端側に位置し、前記針体が貫通する第2の孔が形成された第2の部位と、前記第1の部位の一端と前記第2の部位とを連結する第3の部位と、前記第1の部位の他端からほぼ先端方向に延びるように形成された第4の部位とを有し、前記第1の姿勢および前記第2の姿勢において前記第1の部位の前記針体に対する傾斜角度を小さくするように作用するような弾性力を発揮するプロテクタ本体と、
前記プロテクタ本体の前記第4の部位側に設けられ、前記第1の姿勢のとき前記針体の外周面に当接することにより前記第1の部位の前記針体に対する傾斜角度が変化することを防止する機能を有する針体当接部とを備え、
前記第1の姿勢から、前記針体に対して相対的に先端方向に移動し、前記針体当接部が前記針先を通過することにより、前記プロテクタ本体の弾性力によって前記針体に対する前記第1の部位の傾斜角度が前記第1の姿勢のときより小さくなるように変形して前記第2の姿勢となり、これにより前記第1の孔の内周面と前記針体の外周面との間の摩擦力が発生または増大して前記針体の長手方向に沿った相対的な移動が禁止されるよう構成され、
前記第2の姿勢のとき、前記第4の部位は、その先端側の部分ほど前記針体の中心軸線との距離が近くなるように、前記針体に対し傾斜した姿勢になることを特徴とするプロテクタ。
【0012】
(2) 前記第2の姿勢のとき、前記第4の部位を前記針体に近づけるように押圧したとき、前記針体に対する前記第1の部位の傾斜角度をより小さくするような力が作用するよう構成されている上記(1)に記載のプロテクタ。
【0013】
(3) 前記プロテクタ本体の少なくとも一部を覆うカバー部を備える上記(1)または(2)に記載のプロテクタ。
【0014】
(4) 前記カバー部は、前記第4の部位を外側から覆うように位置する部分を有し、前記第2の姿勢において前記部分を前記針体に近づけるように押圧したとき、前記部分の内面が前記第1の部位と前記第4の部位との間の屈曲部付近に当接する上記(3)に記載のプロテクタ。
【0015】
(5) 前記第2の姿勢において、前記針先を先端側から覆う針先受け部を有する上記(1)ないし(4)のいずれかに記載のプロテクタ。
【0016】
(6) 前記針体当接部は、樹脂材料で構成されている上記(1)ないし(5)のいずれかに記載のプロテクタ。
【0017】
(7) 前記第2の姿勢のとき、前記第4の部位の前記針体に対する傾斜角度が3〜10°である上記(1)ないし(6)のいずれかに記載のプロテクタ。
【0018】
(8) 前記第2の姿勢のとき、前記プロテクタ本体の前記第1の部位と前記第4の部位とがなす角の大きさが50〜70°である上記(1)ないし(7)のいずれかに記載のプロテクタ。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のプロテクタを添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0020】
図1は、本発明のプロテクタの実施形態(第1の姿勢)を示す断面側面図、図2は、本発明のプロテクタの実施形態(第2の姿勢)を示す断面側面図である。なお、以下では、図1および図2中の左側を「先端」、右側を「基端」、下側を「一端」、上側を「他端」として説明する。
【0021】
これらの図に示すプロテクタ1は、医療用の針体(針管)100に装着して使用されるものであり、針体100の使用後にその針先101を収納する(覆う)ことにより、誤刺等を防止するものである。
【0022】
後述するように、このプロテクタ1は、針体100の長手方向(軸方向)に沿って相対的に移動可能な第1の姿勢(図1に示す姿勢)と、針体100の針先101を覆った状態で、針体100の長手方向に沿った相対的な移動が禁止される第2の姿勢(図2に示す姿勢)に変位(変形)可能になっている。
【0023】
針体100は、中空針であり、例えば、ステンレス鋼、アルミニウムまたはアルミニウム合金、チタンまたはチタン合金のような金属材料で構成されている。生体(患者の血管)に穿刺した針体100を介して、例えば血液の採取や薬液の注入等が行われる。
【0024】
針体100の先端部には、鋭利な針先101が形成されている。この針先101は、針体100の中心軸線に対し所定角度傾斜した刃面102を有する形状をなしている。
【0025】
プロテクタ1は、金属材料で構成された弾性を有する板状部材を変形して(曲げ加工して)形成されたプロテクタ本体2と、該プロテクタ本体2に固定(固着)されたプラスチック部材3とを有している。
【0026】
図1に示すように、プロテクタ本体2は、第1の孔11が形成された第1の部位(ブレーキ部)21と、該第1の部位21の基端側(針元側)に設けられ、第2の孔12が形成された第2の部位22と、第1の部位21の一端と第2の部位22の一端とを連結する第3の部位23とを有している。
【0027】
換言すれば、第3の部位23は、第1の部位21の一端部と第2の部位22の一端部との間に位置している。そして、側面視において、第1の部位21と、第2の部位22と、第3の部位23とは、それら全体として略「コ」字状(または略「C」字状)をなすように形成されている。
【0028】
第1の孔11および第2の孔12には、針体100が貫通している。第1の孔11の形状は、円形であることが好ましい。
【0029】
また、プロテクタ本体2は、第1の部位21の他端から屈曲部(または湾曲部)27を介してほぼ先端方向に延びるように形成された(設けられた)第4の部位24をさらに有している。第1の姿勢および第2の姿勢において、第4の部位24と第1の部位21とは、鋭角をなすように配置されている。
【0030】
また、プロテクタ本体2は、第4の部位24の先端から屈曲部(または湾曲部)を介して図中の下側に延びるように形成された(設けられた)第5の部位25をさらに有している。図示の構成では、第5の部位25は、第4の部位24に対しほぼ垂直に設けられている。
【0031】
第4の部位24と第5の部位25との間の屈曲部(または湾曲部)を含むその付近の部分には、針体100を挿通する切欠き(または孔)26が形成されている。第1の姿勢のとき、針体100は、この切欠き26を挿通(貫通)している。
【0032】
このようなプロテクタ本体2は、金属材料で構成されている。これにより、第2の姿勢において、第1の孔11の内周面(内周部)と、針体100の外周面(表面)との摩擦力が十分に大きくなり、第1の部位21(ブレーキ部)のブレーキ作用が確実に発揮される。プロテクタ本体2を構成する金属材料としては、特に限定されないが、例えば、ステンレス鋼、アルミニウムまたはアルミニウム合金、チタンまたはチタン合金、銅または銅系合金等が挙げられる。
【0033】
なお、本実施形態では、プロテクタ本体2は、その各部が一体的に形成されたものとなっているが、本発明では、プロテクタ本体2が2以上の部品で構成されていてもよい。
【0034】
プロテクタ本体2の第4の部位24側には、プラスチック部材3が設置されている。第4の部位24および第5の部位25と、プラスチック部材3との固定方法は、いかなる方法でもよく、例えば、カシメ、凹凸による係合、接着剤による接着、融着などが挙げられる。
【0035】
プラスチック部材3は、第4の部位24に対しほぼ垂直に配置されるとともに針体100を間に挟むように位置する一対の第1壁部31と、第4の部位24に対し針体100を挟んで反対側に位置する第2壁部32と、プラスチック部材3の先端部に位置する第3壁部33とを有している。第3壁部33は、第5の部位25とほぼ平行に配置され、第5の部位25の内面に接触するように位置している。
【0036】
プラスチック部材3の内側には、これらの壁部に囲まれるようにして、針先収納空間34が形成されている。図2に示すように、第2の姿勢のとき、針体100の針先101は、この針先収納空間34に収納される。
【0037】
このようなプラスチック部材3は、プロテクタ1の姿勢変化において、第4の部位24および第5の部位25と一体となって変位(移動)する。
【0038】
第3壁部33の図中の上端部は、第1の姿勢のときに針体100に図中の下側から当接する針体当接部35となっている。針体当接部35の針体100に対する接触面は、平面になっていてもよく、また、針体100の外周面に対応するような円弧状の湾曲面になっていてもよい。
【0039】
第1の姿勢のとき、プラスチック部材3は、プロテクタ本体2の弾性(バネ性)により、図1中の時計回りに回動するような方向に付勢されており、この付勢力により、第1の姿勢のとき、針体当接部35は、針体100に圧接された状態になっている。
【0040】
なお、プラスチック部材3は、図示のような構成に限らず、例えば、針体当接部を孔として有する筒状の形状をなすようなものであってもよい。
【0041】
本実施形態では、針体当接部35を含むプラスチック部材3は、樹脂材料(合成樹脂材料)で構成されている。これにより、第1の姿勢において、針体当接部35と針体100の外周面との間の摩擦抵抗が軽減され、プロテクタ1の針体100に対する摺動抵抗がより小さくなる。その結果、プロテクタ1は、第1の姿勢のとき、針体100の長手方向(軸方向)に沿って円滑に(比較的小さい操作力で)移動することができる。
【0042】
プラスチック部材3(針体当接部35)を構成する樹脂材料としては、特に限定されないが、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエステル、ABS樹脂、AS樹脂、フッ素系樹脂、ポリアセタール等の各種樹脂材料が挙げられる。
【0043】
なお、針体当接部35の針体100に対する接触面は、例えば「V」字状、「コ」字状などであってもよい。
【0044】
このようなプロテクタ1は、針体100の使用時(生体などに穿刺するとき)には、第1の姿勢で、針体100の途中の部分(または基端側の部分)に位置した状態とされる。第1の姿勢においては、針体100は、第2の孔12、第1の孔11、切欠き26を挿通(貫通)して、プロテクタ1の先端から突出する。
【0045】
プロテクタ1は、第1の姿勢から針体100に対し相対的に先端方向に移動することにより、図2に示す第2の姿勢に変位(変形)して針先101を覆う。この第2の姿勢においては、プロテクタ本体2における第1の部位21と第3の部位23とのなす角度が第1の姿勢のときよりも小さくなる。すなわち、プロテクタ1は、第1の部位21と第3の部位23とが閉じるように(第1の部位21が第3の部位23に近づくように)変形することにより、第1の姿勢から第2の姿勢に変位(変形)する。
【0046】
プロテクタ本体2は、第1の姿勢および第2の姿勢において、第1の部位21の針体100に対する傾斜角度を小さくするように作用するような弾性力を発揮する。これにより、第1の姿勢から第2の姿勢への変位(変形)は、プロテクタ本体2(主に第3の部位23を含むその付近の部分)の弾性(弾性力)によって生じるようになっている。
【0047】
すなわち、プロテクタ1に外力を付与しない自然状態(プロテクタ1を針体100に装着していない状態)においては、第1の部位21と第3の部位23とのなす角度は、図2に示す状態よりもさらに小さくなっており、プロテクタ1は、このような自然状態から第1の部位21と第3の部位23とが開くように(第1の部位21が第3の部位23から遠ざかるように)変形(弾性変形)した状態とされて針体100に装着されている。
【0048】
このような構成により、プロテクタ1が針体100に装着された状態では、第1の部位21は、針体100に対する傾斜角度(図1中のθおよび図2中のθ’で示す角度)が小さくなるような方向に付勢されている。すなわち、プロテクタ本体2の第3の部位23を含むその付近の部位は、その弾性によって第1の部位21の針体100に対する傾斜角度が小さくなるような方向に第1の部位21を付勢する付勢手段となっている。
【0049】
ここで、第1の部位21の針体100に対する傾斜角度は、第1の部位21と針体100とがなす角のどちら側を選択するかによって2つの大きさで表すことができるが、本明細書において「第1の部位21の針体100に対する傾斜角度」とは、第2の姿勢のときに90°未満になる角(小さい方の角)の角度を指すものとする。すなわち、本実施形態においては、図1中のθおよび図2中のθ’で示す角度である。この角度を以下、「第1の部位傾斜角度」と言う。
【0050】
図1に示すように、第1の姿勢においては、針体当接部35が針体100の外周面に当接していることにより、前記付勢手段の付勢力によって第1の部位傾斜角度が小さくなるようにプロテクタ1が変形することが阻止されており、これにより、前述したように第1の姿勢における第1の部位傾斜角度θは、比較的大きい角度(図示の構成では90°に近い角度)に保たれている。
【0051】
よって、第1の姿勢では、第1の孔11と、針体100との間には、隙間が形成されており、第1の孔11の内周面と、針体100の外周面との間の摩擦力は、実質的に作用していないか、または、比較的小さい状態になっている。すなわち、第1の姿勢では、第1の部位21がブレーキ作用を生じないようになっている。
【0052】
このように、針体当接部35は、第1の姿勢のとき針体100に当接することにより、第1の部位傾斜角度が小さくなる(変化する)ことを防止して、第1の部位21のブレーキ作用を留保する機能を有している。すなわち、第1の姿勢では、プロテクタ1は、針体当接部35が針体100に当接することにより、ブレーキ作用留保状態になっている。
【0053】
このように、第1の姿勢では、針体当接部35は、前記付勢手段の付勢力により、針体100の外周面に圧接された状態となっている。本実施形態では、前述したように針体当接部35が樹脂材料で構成されていることから、プロテクタ1は、針体100に対しより円滑に(比較的小さい操作力で)移動可能になっている。
【0054】
第1の姿勢から、プロテクタ1を針体100に対し相対的に先端方向に移動させていき、針体当接部35が針先101の最先端部103を通過し、針体当接部35が針体100に接触しなくなると、プロテクタ1は、ブレーキ作用留保状態が解除され、前記付勢手段の付勢力によって、弾性的に第2の姿勢に変位(変形)する。
【0055】
第2の姿勢では、プロテクタ1は、第1の姿勢のときと比べ、第1の部位21が第3の部位23(針体100)に対し図中の時計回りに回動するように変位(変形)している。これにより、図2に示すように、第1の部位傾斜角度は、第1の姿勢のときより小さくなっており、θ’<θなるθ’となっている。
【0056】
第1の部位21の姿勢変化に伴なって、第4の部位24、第5の部位25およびプラスチック部材3も、第3の部位23(針体100)に対し図中の時計回りに変位(回動)する。この変位により、プラスチック部材3の第3壁部33は、針体100(針先101)に接近し、針先101の最先端部103を先端側から覆うような位置に移動する。換言すれば、第3壁部33が、針先101に対し図中の下側から閉じて、針先101の最先端部103を先端側から覆う。このように、プラスチック部材3の第3壁部33は、第2の姿勢のとき、針先101を先端側から覆う針先受け部を構成するものである。
【0057】
このような第2の姿勢においては、プロテクタ1の第1の部位21が針体100に対してブレーキとして機能することにより、プロテクタ1は、針体100の長手方向に沿った相対的な移動が禁止(阻止)される。すなわち、前記付勢手段の付勢力によって第1の部位傾斜角度が第1の姿勢のときより小さくなることにより、第1の孔11の内周面(内周部)が針体100の外周面(表面)に圧接され、第1の孔11の内周面と針体100の外周面との間の摩擦力が発生または増大する。この摩擦力が、プロテクタ1に制動力として作用し、針体100の長手方向に沿ったプロテクタ1の移動を禁止(阻止)する。
【0058】
このような構成により、針先101が針先収納空間34に収納される(第2の姿勢になる)と、針先101は、プロテクタ1を超えて突出することがない。
【0059】
第1の姿勢における第1の部位傾斜角度θは、特に限定されないが、60°以上であるのが好ましい。
【0060】
また、第1の孔11の内径は、針体100の外径によってもその好ましい大きさは異なるが、通常、針体100の外径より0.01〜1mm程度大きいのが好ましく、0.05〜0.2mm程度大きいのがより好ましい。これにより、第2の姿勢において、第1の孔11の内周面と針体100の外周面との間の摩擦力(プロテクタ1に作用する制動力)が大きくなり、針体100の長手方向に沿った相対的な移動がより確実に禁止(阻止)される。
【0061】
なお、本発明においては、第1の孔11は、周方向の一部が欠損したもの(C字状のものなど)であってもよい(第2の孔12についても同様)。
【0062】
また、第2の孔12の形状は、針体100に対し摺動可能であれば円形に限らないが、円形である場合には、その内径は、第1の姿勢における摺動抵抗を軽減する観点から、針体100の外径より0.05〜1mm程度大きいのが好ましい。
【0063】
また、本発明では、第2の孔12の近傍の部位(針体100との接触面)を前述したような樹脂材料で構成したり、曲げ加工を施すこと等により針体100との接触面を滑らかにしてもよい。これにより、第2の孔12の内面と、針体100の外周面との間の摩擦力が軽減される。よって、第1の姿勢におけるプロテクタ1の針体100に対する摺動抵抗をより軽減することができ、その結果、プロテクタ1を針体100に対し相対的に先端方向に移動する操作(プロテクタ1で針先101を覆う操作)をさらに容易、円滑に行うことができる。
【0064】
プロテクタ本体2を構成する板状部材(特に、第1の部位21)の厚さは、その構成材料や針体100の外径等によってもその好ましい値は異なるが、通常、0.05〜2mm程度であるのが好ましく、0.06〜0.2mm程度であるのがより好ましい。前記範囲において、比較的厚いものとした場合には、第2の姿勢においてプロテクタ1に作用する制動力や針先101の保護性が特に優れたものとなり、比較的薄いものとした場合には、加工性や第1の姿勢における針体100に対する摺動のし易さが特に優れたものとなる。
【0065】
さて、このようなプロテクタ1では、図2に示す第2の姿勢のとき、第4の部位24は、その先端側の部分ほど針体100の中心軸線との距離が近くなるように、針体100に対し傾斜した姿勢になっている。すなわち、第2の姿勢のとき、第4の部位24は、図中で左下がりになるように、針体100に対し傾斜した姿勢になっている。これに伴い、第2の姿勢のとき、第1の部位21と第4の部位24とがなす角の大きさβは、比較的小さく(鋭角に)なっている。本発明では、このような構成により、次のような効果が得られる。
【0066】
後述するカバー部6が設けられていないとした場合、第2の姿勢のときにプロテクタ1を図中の上下から例えば手指等で掴む(つまむ)と、第4の部位24が前記のように傾斜していることにより、第4の部位24に対する押圧力は、図2中の矢印Aで示すような方向に作用し、第4の部位24を針体100に近づけるよう押圧する。この押圧力Aの方向、および、前記角度βが比較的小さいことにより、前記押圧力Aは、前記角度βをさらに小さくするように作用するとともに、第1の部位傾斜角度θ’をより小さくするように作用する。これにより、第1の部位21(第1の孔11)による制動力(ブレーキ作用)がより大きくなり、プロテクタ1が針体100の長手方向に移動するのをより強固に禁止(阻止)する。したがって、本発明では、後述するカバー部6が無くても、針先101を覆って第2の姿勢となったプロテクタ1を故意に手指等で掴んで先端方向に引っ張ったような場合であっても、プロテクタ1が針先101から離脱するのを確実に防止することができる。
【0067】
第2の姿勢のときに第1の部位21と第4の部位24とがなす角度βは、特に限定されないが、上記のような効果をより向上させる観点からは、50〜70°であるのが好ましい。同様に、第2の姿勢のときの、第4の部位24の針体100に対する傾斜角度αは、特に限定されないが、上記のような効果をより向上させる観点からは、3〜10°であるのが好ましい。
【0068】
また、このようなプロテクタ1では、第2の姿勢において、第5の部位25またはプラスチック部材3等が基端方向に押圧されたとき、第1の部位21(第1の孔11近傍の板状部材)に対し、第1の部位傾斜角度θ’がより小さくなるような力を作用する手段を有する。
【0069】
すなわち、第2の姿勢において、例えば第5の部位25またはプラスチック部材3の先端に対し基端方向に押圧力を加えたとき、この押圧力は、第4の部位24を介して第1の部位21に伝達され、第1の部位傾斜角度θ’が小さくなるように作用する。これにより、第1の孔11の内周面と針体100の外周面との間の摩擦力(プロテクタ1に作用する制動力)がさらに増大して前記押圧力に対抗し、プロテクタ1の移動をより確実に禁止(阻止)する。
【0070】
また、特に強い押圧力が作用して、プロテクタ1が万一基端方向に僅かに移動した場合にも、針先101の最先端部103は、第3壁部33(針先受け部)に当接するため、針先101がプロテクタ1を超えて突出することが確実に防止される。
【0071】
また、本実施形態のプロテクタ1は、さらに、プロテクタ本体2およびプラスチック部材3の少なくとも一部を覆うカバー部6を有している。カバー部6は、第2の部位22の他端(図中の上端部)からほぼ先端方向に延び、第4の部位24の外側を覆うように位置する第1カバー部61と、第1カバー部61の両方の側部からそれぞれ図中の下方向に延びるように設けられ、プロテクタ本体2およびプラスチック部材3の側方を覆う一対の第2カバー部62とで構成されている。
【0072】
このようなカバー部6は、第2の姿勢のときに針体当接部35近傍の部位を先端方向に移動させる操作を妨げる機能を有する。例えば、プラスチック部材3を指でつまんで先端方向に引っ張ろうとしたとき、プラスチック部材3の先端部は、その側方がカバー部6に覆われているため、これを指などで触れることはできず、よって、この操作を行うことはできない。これにより、本実施形態のプロテクタ1では、例えば、故意に針体100から離脱させようとしたような場合であっても、針体100からの分離を防止することができ、特に安全性が高い。
【0073】
また、このようなカバー部6では、第2の姿勢において、第1カバー部61を針体100に近づけるように押圧したとき、第1カバー部61の内面は、第1の部位21と第4の部位24との間の屈曲部27付近に当接する。これにより、カバー部6は、第2の姿勢のときにプロテクタ1を図中の上下から例えば手指等で掴んだ(つまんだ)場合に、第1の部位21(第1の孔11)による制動力(ブレーキ作用)が緩むのをより確実に防止するようにも作用する。
【0074】
すなわち、手指等で掴むことにより第1カバー部61に図2中の矢印で示す図中の下方向への押圧力Bが作用したとき、この押圧力Bは、屈曲部27付近を図中の下方向に押圧するよう作用し、その結果、第1の部位傾斜角度θ’をより小さくなるように作用する。よって、第1の部位21(第1の孔11)による制動力(ブレーキ作用)がより大きくなり、プロテクタ1が針体100の長手方向に移動するのをさらに強固に禁止(阻止)する。したがって、プロテクタ1を故意に手指等で掴んで先端方向に引っ張ったような場合であっても、プロテクタ1が針先101から離脱するのをさらに確実に防止することができる。
【0075】
次に、プロテクタ1の使用方法の一例について、詳細に説明する。
[1] 第1の姿勢にあるプロテクタ1を針体100の途中または基端側に位置させた状態で、針体100を患者の血管(生体)等に穿刺し、血液の採取、薬液の注入等を行う。
【0076】
[2] 血液の採取あるいは薬液の注入を終了したら、針体100を患者の血管から抜き取る。
【0077】
[3] 次いで、例えば手指またはピンセット等を用いて、プロテクタ1を針体100に対し先端方向に移動させる。このとき、本実施形態では、前述したように、針体当接部35が樹脂材料で構成されていることにより、プロテクタ1を比較的小さい操作力で針体100に対し先端方向に移動させることができ、この操作を円滑、迅速かつ容易に行うことができる。
【0078】
[4] プロテクタ1の先端方向への移動により、針体当接部35が針先101の最先端部103を通過すると、プロテクタ1は、弾性的に(自身の弾性により)変形して、図2に示す第2の姿勢となる。プロテクタ1が第2の姿勢となると、第1の部位21のブレーキ作用(制動力)によって、プロテクタ1は、針体100の長手方向に沿った移動が禁止(阻止)され、針先101が第1の孔11に到達する前に針体100に対し停止(静止)する。
【0079】
このように、プロテクタ1は、針先101を覆う位置まで移動すると、第1の部位21のブレーキ作用によって針体100に対し停止し、針先101から離脱することはない。よって、プロテクタ1が針先101を通り越して針先101から離脱するのを防止するための特別な構造(例えば、針体100の外径を局所的に太くしたり、針体100の外周部に凸部または凹部を設けたり、針体100の基端側に設置されたハブとプロテクタ1とをヒモまたは糸で連結したりするような構造)が不要である。これにより、構造の簡素化が図れるとともに、針体100の先端部を特別な加工等を施さない円滑な外周面を有するものとすることができ、強度低下や刺通抵抗の増大等を招くことがない。また、プロテクタ1は、特別な構造を持たない既存の針体100と組み合わせて使用することができ、汎用性が高い。
【0080】
[5] 針体100の針先101がプロテクタ1内に収納されたら、これらは、廃棄に供される。このとき、前述したように、針先101の最先端部103は、第3壁部33(針先受け部)により先端側から覆われるので、針先101がプロテクタ1を超えて突出することがなく、また、第2の部位21のブレーキ作用により、プロテクタ1が針先101から離脱することもない。これにより、廃棄処理等に際し、針先101で誤って手指等を刺すという事故が防止される。
【0081】
以上、本発明のプロテクタを図示の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、プロテクタを構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。
【0082】
また、本発明では、プロテクタ本体の少なくとも一部を覆うカバー部は、なくてもよい。
【0083】
また、プロテクタ本体は、複数の部品で構成されるようなものであってもよい。例えば、板状のブレーキ部と、該ブレーキ部を針体に対する傾斜角度が小さくなる方向に付勢する付勢部材(バネ)とが別部品で構成されるようなものでもよい。
【0084】
また、本発明のプロテクタは、各種注射針に限らず、例えば、留置針(外針)と組み合わせて用いる留置針組立体に装着して使用することもできる。
【0085】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、簡単な操作で、迅速かつ安全に、使用後の針体の針先をプロテクタで覆うことができ、廃棄処理等に際し、誤って針先で手指等を刺すという事故がなく、衛生面、安全面で極めて優れた穿刺具を提供することができる。
【0086】
特に、針先を覆ったプロテクタを例えば手指等で掴んだような場合であっても、プロテクタの針体に対する制動力が緩むことがなく、よって、プロテクタが針先から離脱するようなことをより確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のプロテクタの実施形態(第1の姿勢)を示す断面側面図である。
【図2】本発明のプロテクタの実施形態(第2の姿勢)を示す断面側面図である。
【符号の説明】
1 プロテクタ
11 第1の孔
12 第2の孔
2 プロテクタ本体
21 第1の部位
22 第2の部位
23 第3の部位
24 第4の部位
25 第5の部位
26 切欠き
27 屈曲部
3 プラスチック部材
31 第1壁部
32 第2壁部
33 第3壁部
34 針先収納空間
35 針体当接部
6 カバー部
61 第1カバー部
62 第2カバー部
100 針体
101 針先
102 刃面
103 最先端部
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば輸液や採血の際に血管等に穿刺して使用される針体の針先を覆うことができるプロテクタに関する。
【0002】
【従来の技術】
患者に対し輸液、採血、薬液の投与などを行う際には、例えば中空の注射針のような医療用の針体が使用される。使用後の針体は、廃棄に供されるが、そのまま廃棄すると、廃棄作業者等が誤って針先で指等を刺すという事故が起きるおそれがある。特に、針体の表面や内部には、血液が付着、残留しているため、このような誤刺により、感染を起こすおそれもある。
【0003】
現状では、誤刺を防止するため、使用済みの針体は、キャップを被せて破棄するなどの対策がとられているが、針体にキャップを被せる作業に際しても、針先で作業者の手を刺したりしないようにするために、細心の注意を払わねばならず、使用後の針体の廃棄処理に多大な手間を要するという問題がある。
【0004】
そこで、使用後の針体の針先を安全に覆うことができるプロテクタとして、針体の使用時には針体の途中の部分に装着されており、使用後に針先に移動して針先を覆うプロテクタが提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0005】
しかしながら、特許文献1、特許文献2に記載されたプロテクタでは、針先を覆ったプロテクタが針先から離脱するのを防止するためには、針体にプロテクタとの係合部(凹部または凸部)を設けたり、針体の基端側に設置されたハブとプロテクタとをヒモや糸などで連結したりするなどの、特別な(別個の)手段が必要になるという問題があった。
【0006】
この問題を解決するため、針体の途中の部分に装着されている姿勢では針体の長手方向に沿って摺動可能であり、針先を覆う姿勢になると針体に対しブレーキをかけるようにして針体の長手方向に沿った移動が禁止されるよう構成したプロテクタが提案されている(特許文献3参照)。この特許文献3に記載のプロテクタは、針先に向かって先端方向に移動させたプロテクタを針先の位置で停止させるための特別な手段が不要であるという利点がある。
【0007】
しかしながら、特許文献3に記載のプロテクタでは、針先を覆った状態でプロテクタが手指で掴まれたような場合、針体に対するブレーキが緩むことがあった。例えば、特許文献3の図2に示す状態でプロテクタ1を上下から指でつまむと、前方接続部35が下方向の力を受けて下側に変位し、これに伴って第1の部位31は、その下端部付近を回動中心として時計回りに回動するように変位し、この変位により、第1の部位31の針管20(針体)に対する傾斜角度θ1’が大きくなって、ブレーキが緩む。このようなブレーキの緩みが生じると、プロテクタ1が先端方向に移動して針先21から離脱するおそれがある。
【0008】
【特許文献1】
特開平9−99068号公報
【特許文献2】
国際公開第99/08742号パンフレット
【特許文献3】
特開2002−210005号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、簡単な操作で使用後の針体の針先を覆うことができ、廃棄処理等に際し安全性の高いプロテクタを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
このような目的は、下記(1)〜(4)の本発明により達成される。また、下記(5)〜(8)であるのが好ましい。
【0011】
(1) 先端に鋭利な針先を有する針体の長手方向に沿って相対的に移動可能な第1の姿勢と、前記針体の針先を覆った状態で、前記針体の長手方向に沿った相対的な移動が禁止される第2の姿勢とに変位可能なプロテクタであって、
金属材料で構成された弾性を有する板状部材を変形してなり、前記針体が貫通する第1の孔が形成された第1の部位と、該第1の部位より基端側に位置し、前記針体が貫通する第2の孔が形成された第2の部位と、前記第1の部位の一端と前記第2の部位とを連結する第3の部位と、前記第1の部位の他端からほぼ先端方向に延びるように形成された第4の部位とを有し、前記第1の姿勢および前記第2の姿勢において前記第1の部位の前記針体に対する傾斜角度を小さくするように作用するような弾性力を発揮するプロテクタ本体と、
前記プロテクタ本体の前記第4の部位側に設けられ、前記第1の姿勢のとき前記針体の外周面に当接することにより前記第1の部位の前記針体に対する傾斜角度が変化することを防止する機能を有する針体当接部とを備え、
前記第1の姿勢から、前記針体に対して相対的に先端方向に移動し、前記針体当接部が前記針先を通過することにより、前記プロテクタ本体の弾性力によって前記針体に対する前記第1の部位の傾斜角度が前記第1の姿勢のときより小さくなるように変形して前記第2の姿勢となり、これにより前記第1の孔の内周面と前記針体の外周面との間の摩擦力が発生または増大して前記針体の長手方向に沿った相対的な移動が禁止されるよう構成され、
前記第2の姿勢のとき、前記第4の部位は、その先端側の部分ほど前記針体の中心軸線との距離が近くなるように、前記針体に対し傾斜した姿勢になることを特徴とするプロテクタ。
【0012】
(2) 前記第2の姿勢のとき、前記第4の部位を前記針体に近づけるように押圧したとき、前記針体に対する前記第1の部位の傾斜角度をより小さくするような力が作用するよう構成されている上記(1)に記載のプロテクタ。
【0013】
(3) 前記プロテクタ本体の少なくとも一部を覆うカバー部を備える上記(1)または(2)に記載のプロテクタ。
【0014】
(4) 前記カバー部は、前記第4の部位を外側から覆うように位置する部分を有し、前記第2の姿勢において前記部分を前記針体に近づけるように押圧したとき、前記部分の内面が前記第1の部位と前記第4の部位との間の屈曲部付近に当接する上記(3)に記載のプロテクタ。
【0015】
(5) 前記第2の姿勢において、前記針先を先端側から覆う針先受け部を有する上記(1)ないし(4)のいずれかに記載のプロテクタ。
【0016】
(6) 前記針体当接部は、樹脂材料で構成されている上記(1)ないし(5)のいずれかに記載のプロテクタ。
【0017】
(7) 前記第2の姿勢のとき、前記第4の部位の前記針体に対する傾斜角度が3〜10°である上記(1)ないし(6)のいずれかに記載のプロテクタ。
【0018】
(8) 前記第2の姿勢のとき、前記プロテクタ本体の前記第1の部位と前記第4の部位とがなす角の大きさが50〜70°である上記(1)ないし(7)のいずれかに記載のプロテクタ。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のプロテクタを添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0020】
図1は、本発明のプロテクタの実施形態(第1の姿勢)を示す断面側面図、図2は、本発明のプロテクタの実施形態(第2の姿勢)を示す断面側面図である。なお、以下では、図1および図2中の左側を「先端」、右側を「基端」、下側を「一端」、上側を「他端」として説明する。
【0021】
これらの図に示すプロテクタ1は、医療用の針体(針管)100に装着して使用されるものであり、針体100の使用後にその針先101を収納する(覆う)ことにより、誤刺等を防止するものである。
【0022】
後述するように、このプロテクタ1は、針体100の長手方向(軸方向)に沿って相対的に移動可能な第1の姿勢(図1に示す姿勢)と、針体100の針先101を覆った状態で、針体100の長手方向に沿った相対的な移動が禁止される第2の姿勢(図2に示す姿勢)に変位(変形)可能になっている。
【0023】
針体100は、中空針であり、例えば、ステンレス鋼、アルミニウムまたはアルミニウム合金、チタンまたはチタン合金のような金属材料で構成されている。生体(患者の血管)に穿刺した針体100を介して、例えば血液の採取や薬液の注入等が行われる。
【0024】
針体100の先端部には、鋭利な針先101が形成されている。この針先101は、針体100の中心軸線に対し所定角度傾斜した刃面102を有する形状をなしている。
【0025】
プロテクタ1は、金属材料で構成された弾性を有する板状部材を変形して(曲げ加工して)形成されたプロテクタ本体2と、該プロテクタ本体2に固定(固着)されたプラスチック部材3とを有している。
【0026】
図1に示すように、プロテクタ本体2は、第1の孔11が形成された第1の部位(ブレーキ部)21と、該第1の部位21の基端側(針元側)に設けられ、第2の孔12が形成された第2の部位22と、第1の部位21の一端と第2の部位22の一端とを連結する第3の部位23とを有している。
【0027】
換言すれば、第3の部位23は、第1の部位21の一端部と第2の部位22の一端部との間に位置している。そして、側面視において、第1の部位21と、第2の部位22と、第3の部位23とは、それら全体として略「コ」字状(または略「C」字状)をなすように形成されている。
【0028】
第1の孔11および第2の孔12には、針体100が貫通している。第1の孔11の形状は、円形であることが好ましい。
【0029】
また、プロテクタ本体2は、第1の部位21の他端から屈曲部(または湾曲部)27を介してほぼ先端方向に延びるように形成された(設けられた)第4の部位24をさらに有している。第1の姿勢および第2の姿勢において、第4の部位24と第1の部位21とは、鋭角をなすように配置されている。
【0030】
また、プロテクタ本体2は、第4の部位24の先端から屈曲部(または湾曲部)を介して図中の下側に延びるように形成された(設けられた)第5の部位25をさらに有している。図示の構成では、第5の部位25は、第4の部位24に対しほぼ垂直に設けられている。
【0031】
第4の部位24と第5の部位25との間の屈曲部(または湾曲部)を含むその付近の部分には、針体100を挿通する切欠き(または孔)26が形成されている。第1の姿勢のとき、針体100は、この切欠き26を挿通(貫通)している。
【0032】
このようなプロテクタ本体2は、金属材料で構成されている。これにより、第2の姿勢において、第1の孔11の内周面(内周部)と、針体100の外周面(表面)との摩擦力が十分に大きくなり、第1の部位21(ブレーキ部)のブレーキ作用が確実に発揮される。プロテクタ本体2を構成する金属材料としては、特に限定されないが、例えば、ステンレス鋼、アルミニウムまたはアルミニウム合金、チタンまたはチタン合金、銅または銅系合金等が挙げられる。
【0033】
なお、本実施形態では、プロテクタ本体2は、その各部が一体的に形成されたものとなっているが、本発明では、プロテクタ本体2が2以上の部品で構成されていてもよい。
【0034】
プロテクタ本体2の第4の部位24側には、プラスチック部材3が設置されている。第4の部位24および第5の部位25と、プラスチック部材3との固定方法は、いかなる方法でもよく、例えば、カシメ、凹凸による係合、接着剤による接着、融着などが挙げられる。
【0035】
プラスチック部材3は、第4の部位24に対しほぼ垂直に配置されるとともに針体100を間に挟むように位置する一対の第1壁部31と、第4の部位24に対し針体100を挟んで反対側に位置する第2壁部32と、プラスチック部材3の先端部に位置する第3壁部33とを有している。第3壁部33は、第5の部位25とほぼ平行に配置され、第5の部位25の内面に接触するように位置している。
【0036】
プラスチック部材3の内側には、これらの壁部に囲まれるようにして、針先収納空間34が形成されている。図2に示すように、第2の姿勢のとき、針体100の針先101は、この針先収納空間34に収納される。
【0037】
このようなプラスチック部材3は、プロテクタ1の姿勢変化において、第4の部位24および第5の部位25と一体となって変位(移動)する。
【0038】
第3壁部33の図中の上端部は、第1の姿勢のときに針体100に図中の下側から当接する針体当接部35となっている。針体当接部35の針体100に対する接触面は、平面になっていてもよく、また、針体100の外周面に対応するような円弧状の湾曲面になっていてもよい。
【0039】
第1の姿勢のとき、プラスチック部材3は、プロテクタ本体2の弾性(バネ性)により、図1中の時計回りに回動するような方向に付勢されており、この付勢力により、第1の姿勢のとき、針体当接部35は、針体100に圧接された状態になっている。
【0040】
なお、プラスチック部材3は、図示のような構成に限らず、例えば、針体当接部を孔として有する筒状の形状をなすようなものであってもよい。
【0041】
本実施形態では、針体当接部35を含むプラスチック部材3は、樹脂材料(合成樹脂材料)で構成されている。これにより、第1の姿勢において、針体当接部35と針体100の外周面との間の摩擦抵抗が軽減され、プロテクタ1の針体100に対する摺動抵抗がより小さくなる。その結果、プロテクタ1は、第1の姿勢のとき、針体100の長手方向(軸方向)に沿って円滑に(比較的小さい操作力で)移動することができる。
【0042】
プラスチック部材3(針体当接部35)を構成する樹脂材料としては、特に限定されないが、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエステル、ABS樹脂、AS樹脂、フッ素系樹脂、ポリアセタール等の各種樹脂材料が挙げられる。
【0043】
なお、針体当接部35の針体100に対する接触面は、例えば「V」字状、「コ」字状などであってもよい。
【0044】
このようなプロテクタ1は、針体100の使用時(生体などに穿刺するとき)には、第1の姿勢で、針体100の途中の部分(または基端側の部分)に位置した状態とされる。第1の姿勢においては、針体100は、第2の孔12、第1の孔11、切欠き26を挿通(貫通)して、プロテクタ1の先端から突出する。
【0045】
プロテクタ1は、第1の姿勢から針体100に対し相対的に先端方向に移動することにより、図2に示す第2の姿勢に変位(変形)して針先101を覆う。この第2の姿勢においては、プロテクタ本体2における第1の部位21と第3の部位23とのなす角度が第1の姿勢のときよりも小さくなる。すなわち、プロテクタ1は、第1の部位21と第3の部位23とが閉じるように(第1の部位21が第3の部位23に近づくように)変形することにより、第1の姿勢から第2の姿勢に変位(変形)する。
【0046】
プロテクタ本体2は、第1の姿勢および第2の姿勢において、第1の部位21の針体100に対する傾斜角度を小さくするように作用するような弾性力を発揮する。これにより、第1の姿勢から第2の姿勢への変位(変形)は、プロテクタ本体2(主に第3の部位23を含むその付近の部分)の弾性(弾性力)によって生じるようになっている。
【0047】
すなわち、プロテクタ1に外力を付与しない自然状態(プロテクタ1を針体100に装着していない状態)においては、第1の部位21と第3の部位23とのなす角度は、図2に示す状態よりもさらに小さくなっており、プロテクタ1は、このような自然状態から第1の部位21と第3の部位23とが開くように(第1の部位21が第3の部位23から遠ざかるように)変形(弾性変形)した状態とされて針体100に装着されている。
【0048】
このような構成により、プロテクタ1が針体100に装着された状態では、第1の部位21は、針体100に対する傾斜角度(図1中のθおよび図2中のθ’で示す角度)が小さくなるような方向に付勢されている。すなわち、プロテクタ本体2の第3の部位23を含むその付近の部位は、その弾性によって第1の部位21の針体100に対する傾斜角度が小さくなるような方向に第1の部位21を付勢する付勢手段となっている。
【0049】
ここで、第1の部位21の針体100に対する傾斜角度は、第1の部位21と針体100とがなす角のどちら側を選択するかによって2つの大きさで表すことができるが、本明細書において「第1の部位21の針体100に対する傾斜角度」とは、第2の姿勢のときに90°未満になる角(小さい方の角)の角度を指すものとする。すなわち、本実施形態においては、図1中のθおよび図2中のθ’で示す角度である。この角度を以下、「第1の部位傾斜角度」と言う。
【0050】
図1に示すように、第1の姿勢においては、針体当接部35が針体100の外周面に当接していることにより、前記付勢手段の付勢力によって第1の部位傾斜角度が小さくなるようにプロテクタ1が変形することが阻止されており、これにより、前述したように第1の姿勢における第1の部位傾斜角度θは、比較的大きい角度(図示の構成では90°に近い角度)に保たれている。
【0051】
よって、第1の姿勢では、第1の孔11と、針体100との間には、隙間が形成されており、第1の孔11の内周面と、針体100の外周面との間の摩擦力は、実質的に作用していないか、または、比較的小さい状態になっている。すなわち、第1の姿勢では、第1の部位21がブレーキ作用を生じないようになっている。
【0052】
このように、針体当接部35は、第1の姿勢のとき針体100に当接することにより、第1の部位傾斜角度が小さくなる(変化する)ことを防止して、第1の部位21のブレーキ作用を留保する機能を有している。すなわち、第1の姿勢では、プロテクタ1は、針体当接部35が針体100に当接することにより、ブレーキ作用留保状態になっている。
【0053】
このように、第1の姿勢では、針体当接部35は、前記付勢手段の付勢力により、針体100の外周面に圧接された状態となっている。本実施形態では、前述したように針体当接部35が樹脂材料で構成されていることから、プロテクタ1は、針体100に対しより円滑に(比較的小さい操作力で)移動可能になっている。
【0054】
第1の姿勢から、プロテクタ1を針体100に対し相対的に先端方向に移動させていき、針体当接部35が針先101の最先端部103を通過し、針体当接部35が針体100に接触しなくなると、プロテクタ1は、ブレーキ作用留保状態が解除され、前記付勢手段の付勢力によって、弾性的に第2の姿勢に変位(変形)する。
【0055】
第2の姿勢では、プロテクタ1は、第1の姿勢のときと比べ、第1の部位21が第3の部位23(針体100)に対し図中の時計回りに回動するように変位(変形)している。これにより、図2に示すように、第1の部位傾斜角度は、第1の姿勢のときより小さくなっており、θ’<θなるθ’となっている。
【0056】
第1の部位21の姿勢変化に伴なって、第4の部位24、第5の部位25およびプラスチック部材3も、第3の部位23(針体100)に対し図中の時計回りに変位(回動)する。この変位により、プラスチック部材3の第3壁部33は、針体100(針先101)に接近し、針先101の最先端部103を先端側から覆うような位置に移動する。換言すれば、第3壁部33が、針先101に対し図中の下側から閉じて、針先101の最先端部103を先端側から覆う。このように、プラスチック部材3の第3壁部33は、第2の姿勢のとき、針先101を先端側から覆う針先受け部を構成するものである。
【0057】
このような第2の姿勢においては、プロテクタ1の第1の部位21が針体100に対してブレーキとして機能することにより、プロテクタ1は、針体100の長手方向に沿った相対的な移動が禁止(阻止)される。すなわち、前記付勢手段の付勢力によって第1の部位傾斜角度が第1の姿勢のときより小さくなることにより、第1の孔11の内周面(内周部)が針体100の外周面(表面)に圧接され、第1の孔11の内周面と針体100の外周面との間の摩擦力が発生または増大する。この摩擦力が、プロテクタ1に制動力として作用し、針体100の長手方向に沿ったプロテクタ1の移動を禁止(阻止)する。
【0058】
このような構成により、針先101が針先収納空間34に収納される(第2の姿勢になる)と、針先101は、プロテクタ1を超えて突出することがない。
【0059】
第1の姿勢における第1の部位傾斜角度θは、特に限定されないが、60°以上であるのが好ましい。
【0060】
また、第1の孔11の内径は、針体100の外径によってもその好ましい大きさは異なるが、通常、針体100の外径より0.01〜1mm程度大きいのが好ましく、0.05〜0.2mm程度大きいのがより好ましい。これにより、第2の姿勢において、第1の孔11の内周面と針体100の外周面との間の摩擦力(プロテクタ1に作用する制動力)が大きくなり、針体100の長手方向に沿った相対的な移動がより確実に禁止(阻止)される。
【0061】
なお、本発明においては、第1の孔11は、周方向の一部が欠損したもの(C字状のものなど)であってもよい(第2の孔12についても同様)。
【0062】
また、第2の孔12の形状は、針体100に対し摺動可能であれば円形に限らないが、円形である場合には、その内径は、第1の姿勢における摺動抵抗を軽減する観点から、針体100の外径より0.05〜1mm程度大きいのが好ましい。
【0063】
また、本発明では、第2の孔12の近傍の部位(針体100との接触面)を前述したような樹脂材料で構成したり、曲げ加工を施すこと等により針体100との接触面を滑らかにしてもよい。これにより、第2の孔12の内面と、針体100の外周面との間の摩擦力が軽減される。よって、第1の姿勢におけるプロテクタ1の針体100に対する摺動抵抗をより軽減することができ、その結果、プロテクタ1を針体100に対し相対的に先端方向に移動する操作(プロテクタ1で針先101を覆う操作)をさらに容易、円滑に行うことができる。
【0064】
プロテクタ本体2を構成する板状部材(特に、第1の部位21)の厚さは、その構成材料や針体100の外径等によってもその好ましい値は異なるが、通常、0.05〜2mm程度であるのが好ましく、0.06〜0.2mm程度であるのがより好ましい。前記範囲において、比較的厚いものとした場合には、第2の姿勢においてプロテクタ1に作用する制動力や針先101の保護性が特に優れたものとなり、比較的薄いものとした場合には、加工性や第1の姿勢における針体100に対する摺動のし易さが特に優れたものとなる。
【0065】
さて、このようなプロテクタ1では、図2に示す第2の姿勢のとき、第4の部位24は、その先端側の部分ほど針体100の中心軸線との距離が近くなるように、針体100に対し傾斜した姿勢になっている。すなわち、第2の姿勢のとき、第4の部位24は、図中で左下がりになるように、針体100に対し傾斜した姿勢になっている。これに伴い、第2の姿勢のとき、第1の部位21と第4の部位24とがなす角の大きさβは、比較的小さく(鋭角に)なっている。本発明では、このような構成により、次のような効果が得られる。
【0066】
後述するカバー部6が設けられていないとした場合、第2の姿勢のときにプロテクタ1を図中の上下から例えば手指等で掴む(つまむ)と、第4の部位24が前記のように傾斜していることにより、第4の部位24に対する押圧力は、図2中の矢印Aで示すような方向に作用し、第4の部位24を針体100に近づけるよう押圧する。この押圧力Aの方向、および、前記角度βが比較的小さいことにより、前記押圧力Aは、前記角度βをさらに小さくするように作用するとともに、第1の部位傾斜角度θ’をより小さくするように作用する。これにより、第1の部位21(第1の孔11)による制動力(ブレーキ作用)がより大きくなり、プロテクタ1が針体100の長手方向に移動するのをより強固に禁止(阻止)する。したがって、本発明では、後述するカバー部6が無くても、針先101を覆って第2の姿勢となったプロテクタ1を故意に手指等で掴んで先端方向に引っ張ったような場合であっても、プロテクタ1が針先101から離脱するのを確実に防止することができる。
【0067】
第2の姿勢のときに第1の部位21と第4の部位24とがなす角度βは、特に限定されないが、上記のような効果をより向上させる観点からは、50〜70°であるのが好ましい。同様に、第2の姿勢のときの、第4の部位24の針体100に対する傾斜角度αは、特に限定されないが、上記のような効果をより向上させる観点からは、3〜10°であるのが好ましい。
【0068】
また、このようなプロテクタ1では、第2の姿勢において、第5の部位25またはプラスチック部材3等が基端方向に押圧されたとき、第1の部位21(第1の孔11近傍の板状部材)に対し、第1の部位傾斜角度θ’がより小さくなるような力を作用する手段を有する。
【0069】
すなわち、第2の姿勢において、例えば第5の部位25またはプラスチック部材3の先端に対し基端方向に押圧力を加えたとき、この押圧力は、第4の部位24を介して第1の部位21に伝達され、第1の部位傾斜角度θ’が小さくなるように作用する。これにより、第1の孔11の内周面と針体100の外周面との間の摩擦力(プロテクタ1に作用する制動力)がさらに増大して前記押圧力に対抗し、プロテクタ1の移動をより確実に禁止(阻止)する。
【0070】
また、特に強い押圧力が作用して、プロテクタ1が万一基端方向に僅かに移動した場合にも、針先101の最先端部103は、第3壁部33(針先受け部)に当接するため、針先101がプロテクタ1を超えて突出することが確実に防止される。
【0071】
また、本実施形態のプロテクタ1は、さらに、プロテクタ本体2およびプラスチック部材3の少なくとも一部を覆うカバー部6を有している。カバー部6は、第2の部位22の他端(図中の上端部)からほぼ先端方向に延び、第4の部位24の外側を覆うように位置する第1カバー部61と、第1カバー部61の両方の側部からそれぞれ図中の下方向に延びるように設けられ、プロテクタ本体2およびプラスチック部材3の側方を覆う一対の第2カバー部62とで構成されている。
【0072】
このようなカバー部6は、第2の姿勢のときに針体当接部35近傍の部位を先端方向に移動させる操作を妨げる機能を有する。例えば、プラスチック部材3を指でつまんで先端方向に引っ張ろうとしたとき、プラスチック部材3の先端部は、その側方がカバー部6に覆われているため、これを指などで触れることはできず、よって、この操作を行うことはできない。これにより、本実施形態のプロテクタ1では、例えば、故意に針体100から離脱させようとしたような場合であっても、針体100からの分離を防止することができ、特に安全性が高い。
【0073】
また、このようなカバー部6では、第2の姿勢において、第1カバー部61を針体100に近づけるように押圧したとき、第1カバー部61の内面は、第1の部位21と第4の部位24との間の屈曲部27付近に当接する。これにより、カバー部6は、第2の姿勢のときにプロテクタ1を図中の上下から例えば手指等で掴んだ(つまんだ)場合に、第1の部位21(第1の孔11)による制動力(ブレーキ作用)が緩むのをより確実に防止するようにも作用する。
【0074】
すなわち、手指等で掴むことにより第1カバー部61に図2中の矢印で示す図中の下方向への押圧力Bが作用したとき、この押圧力Bは、屈曲部27付近を図中の下方向に押圧するよう作用し、その結果、第1の部位傾斜角度θ’をより小さくなるように作用する。よって、第1の部位21(第1の孔11)による制動力(ブレーキ作用)がより大きくなり、プロテクタ1が針体100の長手方向に移動するのをさらに強固に禁止(阻止)する。したがって、プロテクタ1を故意に手指等で掴んで先端方向に引っ張ったような場合であっても、プロテクタ1が針先101から離脱するのをさらに確実に防止することができる。
【0075】
次に、プロテクタ1の使用方法の一例について、詳細に説明する。
[1] 第1の姿勢にあるプロテクタ1を針体100の途中または基端側に位置させた状態で、針体100を患者の血管(生体)等に穿刺し、血液の採取、薬液の注入等を行う。
【0076】
[2] 血液の採取あるいは薬液の注入を終了したら、針体100を患者の血管から抜き取る。
【0077】
[3] 次いで、例えば手指またはピンセット等を用いて、プロテクタ1を針体100に対し先端方向に移動させる。このとき、本実施形態では、前述したように、針体当接部35が樹脂材料で構成されていることにより、プロテクタ1を比較的小さい操作力で針体100に対し先端方向に移動させることができ、この操作を円滑、迅速かつ容易に行うことができる。
【0078】
[4] プロテクタ1の先端方向への移動により、針体当接部35が針先101の最先端部103を通過すると、プロテクタ1は、弾性的に(自身の弾性により)変形して、図2に示す第2の姿勢となる。プロテクタ1が第2の姿勢となると、第1の部位21のブレーキ作用(制動力)によって、プロテクタ1は、針体100の長手方向に沿った移動が禁止(阻止)され、針先101が第1の孔11に到達する前に針体100に対し停止(静止)する。
【0079】
このように、プロテクタ1は、針先101を覆う位置まで移動すると、第1の部位21のブレーキ作用によって針体100に対し停止し、針先101から離脱することはない。よって、プロテクタ1が針先101を通り越して針先101から離脱するのを防止するための特別な構造(例えば、針体100の外径を局所的に太くしたり、針体100の外周部に凸部または凹部を設けたり、針体100の基端側に設置されたハブとプロテクタ1とをヒモまたは糸で連結したりするような構造)が不要である。これにより、構造の簡素化が図れるとともに、針体100の先端部を特別な加工等を施さない円滑な外周面を有するものとすることができ、強度低下や刺通抵抗の増大等を招くことがない。また、プロテクタ1は、特別な構造を持たない既存の針体100と組み合わせて使用することができ、汎用性が高い。
【0080】
[5] 針体100の針先101がプロテクタ1内に収納されたら、これらは、廃棄に供される。このとき、前述したように、針先101の最先端部103は、第3壁部33(針先受け部)により先端側から覆われるので、針先101がプロテクタ1を超えて突出することがなく、また、第2の部位21のブレーキ作用により、プロテクタ1が針先101から離脱することもない。これにより、廃棄処理等に際し、針先101で誤って手指等を刺すという事故が防止される。
【0081】
以上、本発明のプロテクタを図示の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、プロテクタを構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。
【0082】
また、本発明では、プロテクタ本体の少なくとも一部を覆うカバー部は、なくてもよい。
【0083】
また、プロテクタ本体は、複数の部品で構成されるようなものであってもよい。例えば、板状のブレーキ部と、該ブレーキ部を針体に対する傾斜角度が小さくなる方向に付勢する付勢部材(バネ)とが別部品で構成されるようなものでもよい。
【0084】
また、本発明のプロテクタは、各種注射針に限らず、例えば、留置針(外針)と組み合わせて用いる留置針組立体に装着して使用することもできる。
【0085】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、簡単な操作で、迅速かつ安全に、使用後の針体の針先をプロテクタで覆うことができ、廃棄処理等に際し、誤って針先で手指等を刺すという事故がなく、衛生面、安全面で極めて優れた穿刺具を提供することができる。
【0086】
特に、針先を覆ったプロテクタを例えば手指等で掴んだような場合であっても、プロテクタの針体に対する制動力が緩むことがなく、よって、プロテクタが針先から離脱するようなことをより確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のプロテクタの実施形態(第1の姿勢)を示す断面側面図である。
【図2】本発明のプロテクタの実施形態(第2の姿勢)を示す断面側面図である。
【符号の説明】
1 プロテクタ
11 第1の孔
12 第2の孔
2 プロテクタ本体
21 第1の部位
22 第2の部位
23 第3の部位
24 第4の部位
25 第5の部位
26 切欠き
27 屈曲部
3 プラスチック部材
31 第1壁部
32 第2壁部
33 第3壁部
34 針先収納空間
35 針体当接部
6 カバー部
61 第1カバー部
62 第2カバー部
100 針体
101 針先
102 刃面
103 最先端部
Claims (4)
- 先端に鋭利な針先を有する針体の長手方向に沿って相対的に移動可能な第1の姿勢と、前記針体の針先を覆った状態で、前記針体の長手方向に沿った相対的な移動が禁止される第2の姿勢とに変位可能なプロテクタであって、
金属材料で構成された弾性を有する板状部材を変形してなり、前記針体が貫通する第1の孔が形成された第1の部位と、該第1の部位より基端側に位置し、前記針体が貫通する第2の孔が形成された第2の部位と、前記第1の部位の一端と前記第2の部位とを連結する第3の部位と、前記第1の部位の他端からほぼ先端方向に延びるように形成された第4の部位とを有し、前記第1の姿勢および前記第2の姿勢において前記第1の部位の前記針体に対する傾斜角度を小さくするように作用するような弾性力を発揮するプロテクタ本体と、
前記プロテクタ本体の前記第4の部位側に設けられ、前記第1の姿勢のとき前記針体の外周面に当接することにより前記第1の部位の前記針体に対する傾斜角度が変化することを防止する機能を有する針体当接部とを備え、
前記第1の姿勢から、前記針体に対して相対的に先端方向に移動し、前記針体当接部が前記針先を通過することにより、前記プロテクタ本体の弾性力によって前記針体に対する前記第1の部位の傾斜角度が前記第1の姿勢のときより小さくなるように変形して前記第2の姿勢となり、これにより前記第1の孔の内周面と前記針体の外周面との間の摩擦力が発生または増大して前記針体の長手方向に沿った相対的な移動が禁止されるよう構成され、
前記第2の姿勢のとき、前記第4の部位は、その先端側の部分ほど前記針体の中心軸線との距離が近くなるように、前記針体に対し傾斜した姿勢になることを特徴とするプロテクタ。 - 前記第2の姿勢のとき、前記第4の部位を前記針体に近づけるように押圧したとき、前記針体に対する前記第1の部位の傾斜角度をより小さくするような力が作用するよう構成されている請求項1に記載のプロテクタ。
- 前記プロテクタ本体の少なくとも一部を覆うカバー部を備える請求項1または2に記載のプロテクタ。
- 前記カバー部は、前記第4の部位を外側から覆うように位置する部分を有し、前記第2の姿勢において前記部分を前記針体に近づけるように押圧したとき、前記部分の内面が前記第1の部位と前記第4の部位との間の屈曲部付近に当接する請求項3に記載のプロテクタ。
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A521 | Written amendment |
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A02 | Decision of refusal |
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