JP2004109952A - ポリゴンミラースキャナ - Google Patents

Abstract

【課題】軸受の寿命が尽きても簡易に交換でき、かつ高精度の品質が維持できるポリゴンミラースキャナを提供することにある。
【解決手段】ロータ３を正角柱に形成して、このロータ３の正角柱の各側面を鏡面としてポリゴンミラーを構成し、前記ロータ３にマグネット４を装着した回転子１０と、この回転子１０を回転自在に支持し、ラジアル軸受２１、スラスト軸受２２およびステータヨーク２３を含んでいる軸受装置２０および前記マグネット４に所定距離離間して対向する巻線コイル３１を備えた固定子３０とを備えたポリゴンミラースキャナにおいて、前記軸受装置２０の内周面に有する各軸受２１，２２が交換可能であるポリゴンミラースキャナ。
【選択図】　　　図１

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明はデジタル複写機、ページプリンタ等に使用される光書き込み用のポリゴンミラースキャナに関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
図４は従来のポリゴンミラースキャナの断面図である。回転多面鏡（ポリゴンミラー）１は、平面視正多角形（ここでは正六角形）の盤状体であり、回転多面鏡１の下面側に形成された円筒状のロータ３と、回転多面鏡１の上面側中央に形成された先端部１ａと、回転多面鏡１の外側周方向に６つの側面部１ｂを有する。
また、回転多面鏡１の外側周方向に設けた６つの側面部１ｂは、鏡面加工された平滑な光反射面（ミラー面）である。先端部１ａの中央で上記正六角形の重心位置には嵌合穴が設けられ、回転軸２はその嵌合穴に嵌合されて回転多面鏡１に取り付けられる。また、回転軸２の両端には曲面２ａが形成されている。
マグネット４はその外径がロータ３の内径と略同径の円筒状を呈し、ロータ３の内側に回転軸２と同心となるように固着され、ポリゴンミラースキャナ装置の回転子１０を構成する。
回転子１０の回転軸２を支持している軸受装置２０は、回転軸２を支持するラジアル軸受２１と、回転軸２のスラスト荷重を受けるスラスト軸受２２、ラジアル軸受２１を支持するステータヨーク２３とが一緒に組み付けけられ、軸受装置２０を構成する。前記ラジアル軸受２１は、すべり軸受から構成され、例えば含油軸受等が使用され、ステータヨーク２３の内周面に圧入または接着により固定されている。
また、スラスト軸受２２は、すべり軸受から構成され、例えば、摺動性、耐磨耗性の良いポリイミド等の樹脂板からなり、ステータヨーク２３の内周面の下側にある凹部に圧入または接着により固定されている。モータ駆動制御を行う制御基板３２の基板平面に対して軸受装置２０が垂直に固定され、軸受装置２０の外周面に巻線コイル３１が固定されて固定子３０を構成する。
巻線コイル３１は、制御基板３２に固定されても良い。また、巻線コイル３１の外周の円筒面は、マグネット４の内周の円筒面と、所定間隔を保ちつつ対向している。制御基板３２から巻線コイル３１への通電を切り換えることにより、回転軸２を回転中心として、回転多面鏡１が回転駆動する。
【０００３】
従来、複写機等のポリゴンミラースキャナ装置に用いる回転多面鏡は、回転可能な平面状の部材の周方向に鏡面を有する構成であり、鏡面加工を施された回転多面鏡は、ロータやマグネットと一緒に組み付けられ、スキャナモータのロータを構成し、ポリゴンミラースキャナ装置の回転子となる。回転多面鏡は、回転軸、ロータヨーク、マグネット等とともに組み付けられ、ポリゴンミラースキャナ装置の回転子を構成する。
固定子としては、ロータ内に装着されたマグネットに所定距離離間して対向する巻線コイルを配置するとともに、巻線コイルの通電を切り換える制御装置を配置した基板上にその回転軸を支持させ、回転多面鏡を回転駆動し、光ビームを走査するためのモータとして機能する。
近年の環境問題への関心の高まりによって、電気・機械製品の再利用・再生利用が重要な課題となってきた。このため、デジタル複写機、ページプリンタ等においても個々の部品について再利用・再生利用に対応することが必要となっている。
このため、デジタル複写機、ページプリンタ等に使用される光書き込み用のポリゴンミラースキャナの回転軸や軸受部は、長時間の使用による磨耗・破損が避けられないため、金属材料に戻しての再生利用か、廃棄処分のいずれかの処分方法しかないと言われてきた。
しかし、光書き込み用のポリゴンミラースキャナの回転多面鏡、回転軸、ロータおよびマグネットが一体の構造で形成されている回転子は、回転軸の経時変化が少なく、長時間の使用による磨耗・破損することが少ない。しかし、軸受は長時間の使用により、磨耗・破損が避けられない。
このため、軸受の寿命が尽きると寿命に達していない部品があるのにもかかわらず、ポリゴンミラースキャナ単位で交換する必要がある。また、この回転子の回転多面鏡は、高精度な加工に多くの時間とエネルギーが必要であり、再利用する必要性がある。
特開２０００−４１３５９公報に記載されたものは、回転軸だけをモータフレームから取り外し、その他の部材をリサイクルできるようにしたものである。
【特許文献１】特開２０００−４１３５９公報
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来技術の光書き込み用ポリゴンミラースキャナにおいて、回転中心となる回転軸は軸受より硬い材質であるため、回転駆動開始時および回転駆動停止時に回転軸が軸受に接触すると軸受が削られ、磨耗してしまう。
また、長時間の使用により、回転への負荷を低減するための油が劣化および油量の低下で、潤滑性が悪くなり、高速安定領域までの立ち上がり時間の遅延、高速到達後の回転ムラが発生し、消費電力を増大させる等のポリゴンミラースキャナの品質特性を悪化させる問題がある。
このため、軸受の寿命が尽きると寿命に達していない構成部品があるのにもかかわらず、ポリゴンミラースキャナ単位で交換してしまうため、ポリゴンミラースキャナとしての寿命が短くなる。
また、軸受が圧入されているステータヨークごと交換してしまうと、取り付け方法、締結方法によりモータ回路基板底面に対するステータヨークの垂直精度が崩れ、高速化、高性能化（高画質化）の要求精度を確保することが難しく、ポリゴンミラースキャナの品質特性を悪化させる問題がある。
そこで本発明の目的は、軸受の寿命が尽きても簡易に交換でき、かつ高精度の品質が維持できるポリゴンミラースキャナを提供することにある。
【０００５】
【課題を解決するための手段】
前記の課題を解決するために、請求項１記載の発明では、ロータを正角柱に形成して、ロータの正角柱の各側面を鏡面としてポリゴンミラーを構成し、そのロータにマグネットを装着した回転子と、この回転子を回転自在に支持し、ラジアル軸受、スラスト軸受およびステータヨークを含んでいる軸受装置および前記マグネットに所定距離離間して対向する巻線コイルを備えた固定子とを備えたポリゴンミラースキャナにおいて、前記軸受装置の内周面に有する各軸受が交換可能であるポリゴンミラースキャナを最も主要な特徴とする。
請求項２記載の発明では、前記ラジアル軸受を、簡易に取り付け、取り外しできるように別部材で固定する請求項１記載のポリゴンミラースキャナを主要な特徴とする。
請求項３記載の発明では、前記ラジアル軸受を、簡易に取り付け、取り外しできるように前記ラジアル軸受の外周面に軸受ネジ山を設ける請求項１記載のポリゴンミラースキャナを主要な特徴とする。
請求項４記載の発明では、前記別部材の外周面がネジ山を有し、前記別部材を前記ステータヨーク下側に螺合させて前記ラジアル軸受を固定する請求項２記載のポリゴンミラースキャナを主要な特徴とする。
請求項５記載の発明では、前記ステータヨークに前記回転軸と同心かつ軸方向に円筒形状の中心孔を設け、この中心孔の上側内周面にネジ山を備え、この内周ネジ山に前記ラジアル軸受を螺合させて固定する請求項３記載のポリゴンミラースキャナを主要な特徴とする。
請求項６記載の発明では、前記ステータヨークの前記内周ネジ山に前記ラジアル軸受を螺合させて固定するために、前記ラジアル軸受上面に組付け溝が形成されている請求項３記載のポリゴンミラースキャナを主要な特徴とする。
請求項７記載の発明では、制御基板の基板平面に対して前記ラジアル軸受の垂直精度を確保する基準部を備えた請求項１記載のポリゴンミラースキャナを主要な特徴とする。
請求項８記載の発明では、前記ステータヨークの前記中心孔の下側内周面の上面部が前記基準部である請求項７記載のポリゴンミラースキャナを主要な特徴とする。
請求項９記載の発明では、前記ラジアル軸受の下側に一体形成された鍔部が前記基準部である請求項７記載のポリゴンミラースキャナを主要な特徴とする。
請求項１０記載の発明では、前記ラジアル軸受の下側外周面に鍔部を周方向に備える請求項７および請求項９記載のポリゴンミラースキャナを主要な特徴とする。
請求項１１記載の発明では、前記ステータヨークの前記中心孔の下面が前記基準部である請求項３および請求項７記載のポリゴンミラースキャナを主要な特徴とする。
請求項１２記載の発明では、前記ステータヨークの前記中心孔の内周面に鍔部が周方向に形成されている請求項４および請求項７記載のポリゴンミラースキャナを主要な特徴とする。
【０００６】
【発明の実施の形態】
以下、図面により本発明の実施の形態を詳細に説明する。図１は本発明によるポリゴンミラースキャナの第１の実施の形態を示す断面図である。この図の第１の実施の形態においては説明を容易にするために、前述した図４の従来のポリゴンミラースキャナの構成要素と同一部分には同一の参照符号を付して本発明の要部のみを説明する。
軸受装置２０は、凸形状の円筒形状で、回転軸２と同心かつ軸方向に円筒形状の中心孔を有しかつ下側には円筒形状の内周ネジ部分２３ｂが形成されているステータヨーク２３と、軸方向に円筒形状で回転軸２と同心かつ軸方向に円筒形状の中心孔を有しかつ下側の外周面に鍔部２１ａを一体形成しているラジアル軸受２１と、このラジアル軸受２１を固定する円筒形状の固定ネジ４１から構成されている。
また、固定ネジ４１の外周面には外周ネジ部４１ａが形成されており、上面部にはスラスト軸受２２が取付くスラスト溝４１ｂを有している。
ステータヨーク２３に形成されている回転軸２と同心かつ軸方向に延びる円筒形状の中心孔２３Ａに下側からラジアル軸受２１を入れる。このときに制御基板３２の基板平面に対して垂直に固定するため、ステータヨーク２３の内周面に形成されている基準面（基準部）２３ａにラジアル軸受２１と一体形成している鍔部２１ａの上面部（基準部）を突き当てることにより、制御基板３２の基板平面に対する垂直精度を確保できる。
本発明では、各軸受２１，２２がステータヨーク２３から着脱交換可能である点が特徴的である。また、各軸受２１，２２は、ステータヨークの中心孔２３Ａ内に挿入されてから、別部材としての固定ネジ４１外周のネジ山をステータヨーク２３の雌ねじ部に螺着することにより固定される。
【０００７】
図２は図１のポリゴンミラースキャナの第１の実施の形態におけるラジアル軸受固定の変形例を示す断面図である。図２の断面図に示すように、制御基板３２の基板平面に対して垂直にするには、ステータヨーク２３の上側内周面に内周基準部２３ｃを形成し、ラジアル軸受２１上側に上側基準部２１ｂを形成する。
この上側基準部２１ｂをステータヨーク２３の上側内周面の内周基準部２３ｃに突き当てる。内周基準部２３ｃに突き当てることにより、制御基板３２の基板平面に対する垂直精度を確保しても良い。
固定ネジ４１の上面部に設けたスラスト溝４１ｂにスラスト軸受２２を圧入または接着・固定し、ステータヨーク２３の下側に設けた円筒形状の内周ネジ部分２３ｂに固定ネジ４１を螺合させることによって、ラジアル軸受２１が固定される。
図３は本発明によるポリゴンミラースキャナの第２の実施の形態を示す断面図である。この図の第２の実施の形態においては説明を容易にするために、前述した図４の従来のポリゴンミラースキャナの構成要素と同一部分には同一の参照符号を付して本発明の要部のみを説明する。
軸受装置２０は、凸形状部分を有する円筒形状で、回転軸２と同心かつ軸方向に円筒形状の中心孔を有し、上側の中心孔には、周方向に軸受組み付けネジ部分２３ｄが形成されており、また、中心孔の下側にスラスト溝４１ｂを設けたステータヨーク２３と、軸方向に円筒形状で回転軸２と同心かつ軸方向に円筒形状の中心孔を有し、上側の外周面の周方向に軸受ネジ山２１ｃが形成され、上面部に組み付け溝２１ｅを有するラジアル軸受２１と、スラスト溝４１ｂに取り付けるスラスト軸受２２から構成されている。
ステータヨーク２３に形成されている回転軸２と同心かつ軸方向に円筒形状の中心孔に上側からラジアル軸受２１を入れる。ステータヨーク２３の上側に設けた円筒形状の軸受組み付けネジ部分（内周ネジ山）２３ｄに軸受ネジ２１ｃが形成されているラジアル軸受２１を螺合させながら、軸受ストッパ２３ｃまで突き当てる。
軸受ストッパ２３ｃに突き当てることにより制御基板３２の基板平面に対して垂直に組み付けられ、固定できる。また、ラジアル軸受２１の上面部に有する組み付け溝２１ｅは、内周ネジ山２３ｄにラジアル軸受２１を螺合させるときの工具溝である。
ラジアル軸受に設けた各ネジ部分（ネジ山）２１ｃ、２１ｄをステータヨーク２３側に設けたネジ部２３ｄ等に螺合させることにより、ラジアル軸受２１をステータヨーク２３に対して組み付けることにより、着脱が容易となる。
上記各基準部は、基板３２の平面に対してラジアル軸受２１の垂直精度を確保するための手段である。
【０００８】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項１ないし１２によれば、ラジアル軸受等の寿命が尽きてもその軸受のみの交換ができ、交換作業も簡易にできる。
また、制御基板の基板平面に対して垂直精度も確保可能である。しかも、軸受を交換するために部品を追加、廃棄処分する部品点数も少ないため、低コストで再利用可能であるポリゴンミラースキャナを提供する。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明によるポリゴンミラースキャナの第１の実施の形態を示す断面図。
【図２】図１のポリゴンミラースキャナの第１の実施の形態におけるラジアル軸受固定の変形例を示す断面図。
【図３】本発明によるポリゴンミラースキャナの第２の実施の形態を示す断面図。
【図４】従来のポリゴンミラースキャナの断面図。
【符号の説明】
１　回転多面鏡（ポリゴンミラー）、２　回転軸、３　ロータ、４　マグネット、１０　回転子、２０　軸受装置、２１　ラジアル軸受、２１ａ　ラジアル軸受の鍔部、２１ｂ　ラジアル軸受の上側基準部、２１ｃ　ラジアル軸受の軸受ネジ山、２１ｄ　ラジアル軸受の組み付けネジ部分、２１ｅ　ラジアル軸受の組み付け溝、２３　ステータヨーク、２３ａ　基準部、２３ｂ　内周ネジ山、２３ｃ軸受ストッパ、２３ｄ　ステータヨークの中心孔、３０　固定子、３１　巻線コイル、３２　制御基板、４１　固定ネジ（別部材）、４１ａ　固定ネジの外周ネジ山

Claims (12)

1. 正角柱の各側面を鏡面としてポリゴンミラーとしたロータにマグネットを装着した回転子と、この回転子を回転自在に支持すると共に、ラジアル軸受、スラスト軸受およびステータヨークを有した軸受装置、および前記マグネットに所定距離離間して対向する巻線コイルを備えた固定子と、を備えたポリゴンミラースキャナにおいて、前記軸受装置の内周面に位置する各軸受が交換可能であることを特徴とするポリゴンミラースキャナ。
2. 前記ラジアル軸受を、簡易に取り付け、取り外しできるように別部材で固定することを特徴とする請求項１記載のポリゴンミラースキャナ。
3. 前記ラジアル軸受を、簡易に取り付け、取り外しできるように前記ラジアル軸受の外周面に軸受ネジ山を設けることを特徴とする請求項１記載のポリゴンミラースキャナ。
4. 前記別部材の外周面にネジ山を有し、前記別部材を前記ステータヨーク下側に螺合させて前記ラジアル軸受を固定することを特徴とする請求項２記載のポリゴンミラースキャナ。
5. 前記ステータヨークに前記回転軸と同心かつ軸方向に延びる円筒形状の中心孔を設け、この中心孔の上側内周面にネジ山を備え、この内周ネジ山に前記ラジアル軸受を螺合させて固定することを特徴とする請求項３記載のポリゴンミラースキャナ。
6. 前記ステータヨークの前記内周ネジ山に前記ラジアル軸受を螺合させて固定するために、前記ラジアル軸受上面に組付け溝が形成されていることを特徴とする請求項３記載のポリゴンミラースキャナ。
7. 制御基板の基板平面に対して前記ラジアル軸受の垂直精度を確保する基準部を備えたことを特徴とする請求項１記載のポリゴンミラースキャナ。
8. 前記ステータヨークの前記中心孔の下側内周面の上面部が前記基準部であることを特徴とする請求項７記載のポリゴンミラースキャナ。
9. 前記ラジアル軸受の下側に一体形成された鍔部が前記基準部であることを特徴とする請求項７記載のポリゴンミラースキャナ。
10. 前記ラジアル軸受の下側外周面に鍔部を周方向に備えることを特徴とする請求項７および請求項９記載のポリゴンミラースキャナ。
11. 前記ステータヨークの前記中心孔の下面が前記基準部であることを特徴とする請求項３および請求項７記載のポリゴンミラースキャナ。
12. 前記ステータヨークの前記中心孔の内周面に鍔部が周方向に形成されていることを特徴とする請求項４および請求項７記載のポリゴンミラースキャナ。

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