JP2004107631A - インクジェット記録用水性顔料インク - Google Patents
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Abstract
【課題】目詰まりや不吐出を生じることなく、固化したインクによってワイピング等のメンテナンス系統に負担がかかることなく、紙への固着性が良好なインクジェット記録用水性顔料インクを提供する。
【解決手段】顔料、水及び水溶性有機溶剤を含有するインクジェット記録用水性顔料インクであって、前記水が蒸発すると固化して固形物となり、かつ、前記固形物は、固化していないインクジェット記録用水性顔料インクに再溶解するインクジェット記録用水性顔料インク。
【選択図】 なし
【解決手段】顔料、水及び水溶性有機溶剤を含有するインクジェット記録用水性顔料インクであって、前記水が蒸発すると固化して固形物となり、かつ、前記固形物は、固化していないインクジェット記録用水性顔料インクに再溶解するインクジェット記録用水性顔料インク。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、目詰まりや不吐出を生じることなく、固化したインクによってワイピング等のメンテナンス系統に負担がかかることなく、紙への固着性が良好なインクジェット記録用水性顔料インクに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録方式は、例えば、静電吸引方式;圧電素子を用いてインクに機械的振動又は変位を与える方式;インクを加熱することにより気泡を発生させ、その時に発生する圧力を利用する方式等のインク吐出方式によりインク小滴を形成し、それらの一部又は全部を紙等の被記録材に付着させて記録を行うものである。
【0003】
このようなインクジェット記録方式に使用するインクジェット記録用インクとしては、各種の水溶性の染料又は顔料を、水又は水と水溶性有機溶剤とからなる液媒体に溶解又は分散させたものが使用されている。このインクジェット記録用インクには、例えば、長期間使用されなくても沈澱や凝集を生じないこと、インクジェットプリンターのヘッドの先端部及びインク流路内で目詰まりしないこと、印字品質が良好なこと、耐候性が優れていること等が要求される。
【0004】
ここで、染料と顔料とを比較すると、染料は、水又は水と水溶性有機溶剤とからなるインク媒体中に完全に溶解するため耐水性が悪く、その化学構造上、耐光性もかなり劣る。これに対して、顔料はインク媒体中に溶解せずに分散させるので、耐水性を含めた耐候性は極めて良好である。特に顔料インクは水分の蒸発後に固化しやすく、一旦紙面上で固化すると、顔料と紙の間で強固な結合が生じるので、染料インクよりも紙への固着性に優れている。また、顔料インク中に分散剤やバインダーとして樹脂を含有させている場合には、更にこの作用が助長される。そのため近年のインクジェット記録用インクは染料インクから顔料インクへと移行しつつある。
【0005】
しかし、顔料インクは、インク中の水分が蒸発して固化すると、固化したまま再溶解しないため、インクジェットヘッドのノズル先端部等で目詰まりの原因となり、インクの不吐出を生じさせていた。また、キャップ、ワイプ部分等でインクが固化すると、ワイピング等が困難となり、メンテナンス系に負担がかかるという問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、目詰まりや不吐出を生じることなく、固化したインクによってワイピング等のメンテナンス系統に負担がかかることなく、紙への固着性が良好なインクジェット記録用水性顔料インクを提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、顔料、水及び水溶性有機溶剤を含有するインクジェット記録用水性顔料インクであって、前記水が蒸発すると固化して固形物となり、かつ、前記固形物は、固化していないインクジェット記録用水性顔料インクに再溶解するインクジェット記録用水性顔料インクである。
以下に本発明を詳述する。
【0008】
本発明のインクジェット記録用水性顔料インクは、含有される水が蒸発すると固化して固形物となり、かつ、上記固形物は、固化していない本発明のインクジェット記録用水性顔料インクに再溶解するものである。このように、本発明のインクジェット記録用水性顔料インクは、一旦固化してしまっても、新たにノズルから供給される固化していない本発明のインクジェット記録用水性顔料インクと接触することによって、これに再溶解するので、インクジェットヘッドのノズル先端部等で目詰まりによる不吐出を生じることなく、ワイピング等のメンテナンス系統に対して負担がかからないものである。
【0009】
本発明のインクジェット記録用水性顔料インクは、顔料、水及び水溶性有機溶剤を含有する。
上記顔料としては特に限定されず、無機顔料及び有機顔料のいずれも使用することができる。
白黒記録用としては、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック類;酸化チタン等の金属酸化物;オルトニトロアニリンブラック等の有機顔料等を挙げることができる。カラー記録用としては、例えば、トルイジンレッド、パーマネントカーミンFB、ファーストイエローAAA、ジスアゾオレンジPMP、レーキレッドC、ブリリアントカーミン6B、フタロシアニンブルー、キナクリドンレッド、ジオキサンバイオレット、ピクトリアピュアブルー、アルカリブルートナー、ファーストイエロー10G、ジスアゾイエローAAOT、ジスアゾイエローAAMX、ジスアゾイエローHR、ジスアゾイエローAAOA、黄色酸化鉄、オルトニトロアニリンオレンジ、ジニトロアニリンオレンジ、バルカンオレンジ、トルイジンレッド、塩素化パラレッド、ブリリアントファーストカーレット、ナフトールレッド23、ピラゾロンレッド、バリウムレッド2B、カルシウムレッド2B、ストロンチウムレッド2B、マンガンレッド2B、バリウムリソームレッド、ピグメントスカーレッド3Bレーキ、レーキボルドー10B、アンソシン3Bレーキ、アンソシン5Bレーキ、ローダミン6Gレーキ、エオシンレーキ、ベンガラ、ファフトールレッドFGR、ローダミンBレーキ、メチルバイオレッドレーキ、ジオキサジンバイオレッド、ベーシックブルー5Bレーキ、ベーシックブルー6Gレーキ、ファーストスカイブルー、アルカリブルーRトナー、ピーコックブルーレーキ、紺青、群青、レフレックスブルー2G、レフレックスブルーR、ブリリアントグリーンレーキ、ダイアモンドグリーンチオフラビンレーキ、フタロシアニングリーンG、グリーンゴールド、フタロシアニングリーンY、酸化鉄、さびこ、亜鉛華、酸化チタン、炭酸カルシウム、クレー、硫酸バリウム、アルミナホワイト、アルミニウム、ブロンズ、昼光蛍光顔料、パール顔料、ナフトールカーミンFB、ナフトールレッドM、パーマネントカーミンFB、ファーストイエローG、ジスアゾイエローAAA、アルカリブルーGトナー等、及び、表面を特定の官能基で処理した表面改質顔料等を挙げることができる。
【0010】
上記顔料の配合量は、所望の印字濃度や色彩に応じて決定されるが、10重量%以下でも充分な着色力と高い鮮明性を得ることができる。好ましくは本発明のインクジェット記録用水性顔料インク全量に対して1〜20重量%であり、より好ましくは1〜15重量%である。
【0011】
上記水としては、種々のイオンを含有する一般の水ではなく、脱イオン水を使用することが好ましい。
上記水の配合量は、水以外の溶剤成分の種類や組成、及び、所望されるインクの特性に応じて広い範囲で決定される。好ましくは本発明のインクジェット記録用水性顔料インク全量に対して10〜90重量%であり、より好ましくは15〜80重量%である。
【0012】
上記水溶性有機溶剤は、主として有する効果により、本発明のインクジェット記録用水性顔料インクの再溶解性を向上させる効果を有するもの、湿潤剤としてインクジェットヘッドの先端部におけるインクの乾燥を防止する効果を有するもの、浸透剤として紙面上での乾燥速度を速くする効果を有するものに分類できる。なかでも、本発明のインクジェット記録用水性顔料インクの再溶解性を向上させる効果を有する水溶性有機溶剤が配合されていることが好ましい。これらの水溶性有機溶剤は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0013】
本発明のインクジェット記録用水性顔料インクの再溶解性を向上させる効果を有する水溶性有機溶剤としては、常温常圧で液状であるポリエチレングリコール、ジグリセリンを挙げることができる。上記常温常圧で液状であるポリエチレングリコールとしては、例えば、平均分子量200〜400のものを挙げることができ、なかでも、市販されているものとしては、例えば、ポリエチレングリコール♯200等を挙げることができる。上記常温常圧で液状であるポリエチレングリコール及びジグリセリンは、それぞれ単独で用いられてもよく、併用されてもよい。
上記常温常圧で液状であるポリエチレングリコール及び/又はジグリセリンの配合量は、水溶性有機溶剤全量に対して10重量%以上であることが好ましい。10重量%未満であると、本発明のインクジェット記録用水性顔料インクの再溶解性を充分なものとすることができないことがある。
【0014】
上記インクの乾燥を防止する効果を有する水溶性有機溶剤としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール等の低級アルコール類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;アセトン、ジアセトンアルコール等のケトン類又はケトアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ポリプロピレングリコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール等のアルキレングリコール類;グリセリン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等を挙げることができる。なかでも、一般的には多価アルコール類が使用されることが多く、グリセリン、ジエチレングリコール等のアルキレングリコール類が好ましい。
【0015】
上記紙面上での乾燥速度を速くする効果を有する水溶性有機溶剤としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノプロピルエーテル等のグリコール系エーテル類を挙げることができる。
【0016】
上記顔料に対する上記水溶性有機溶剤の配合量は重量比で3以下であることが好ましい。3を超えると、本発明のインクジェット記録用水性顔料インクは、グリセリン等の極めて蒸発しにくい水溶性有機溶剤を含有する場合には、水が蒸発した際に完全に固化せず、紙に対する顔料の固着性が低くなるため、印刷後に印字面を触ることにより印字画像が乱れたり、インクが手に付着したりすることがある。3以下であれば、本発明のインクジェット記録用水性顔料インクは、水が蒸発した際に固化し、紙への固着性に優れたものとなる。
【0017】
本発明のインクジェット記録用水性顔料インクは、必要に応じて分散剤を含有していてもよい。
上記分散剤としては特に限定されず、例えば、高分子量ポリウレタン、ポリエステル、顔料に強い親和性のあるカルボニル基やアミノ基等の官能基を有する高分子共重合物等を挙げることができる。
【0018】
本発明のインクジェット記録用水性顔料インクの基本組成は以上の通りであるが、必要に応じて、粘度調整剤、表面張力調整剤、防黴剤等の従来公知の各種添加剤を含有していてもよい。
上記粘度調整剤としては特に限定されず、例えば、ポリビニルアルコール、セルロース類、水溶性樹脂等を挙げることができる。
【0019】
本発明のインクジェット記録用水性顔料インクは、含有される水が蒸発すると固化するので紙への固着性が良好であり、一方、インクジェットヘッドのノズル先端部等で一旦固化しても、新たにノズルから供給される固化していない本発明のインクジェット記録用水性顔料インクと接触することによってこれに再溶解するので、目詰まりによる不吐出を生じることがなく、固化したインクによってワイピング等のメンテナンス系統に対して負担をかけないものである。
【0020】
【実施例】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0021】
<顔料ミルベースの作製>
純水84重量部、ポリビニルピロリドン(BASF社製、コリドン12PF)4重量部、トリエタノールアミン2重量部を10分間攪拌混合した後、カーボンブラック(キャボット社製、MONARCH880)を10重量部添加して更に30分間攪拌混合し、混合物を得た。
【0022】
顔料分散機(ビック・ケミー社製、DISPERMAT CV)の水冷式分散容器(ダブルベッセルタイプ、容積1リットル)に、直径1mmのジルコニアビーズ700gを充填した後、得られた混合物100gを入れ、パールミルインペラーMINIを使用し、5000rpmで1時間分散処理を行った。得られた分散物を金属メッシュ(アドバンテック東洋社製、サポートスクリーン)で吸引濾過し、ブラック顔料ミルベースを80g得た。
【0023】
<インクジェット記録用水性顔料インクの作製>
(実施例1)
純水73量部、グリセリン14量部、トリエタノールアミン1重量部、ジプロピレングリコールプロピルエーテル4重量部、及び、ポリエチレングリコール#200(分子量200)8重量部を10分間攪拌混合し、レットダウン用溶媒を作製した。
ブラック顔料ミルベース50gを攪拌しながらレットダウン用溶媒50gを添加してレットダウンし、30分間攪拌混合した後に、孔径1μmのメンブランフィルターにて濾過し、ブラックインクK1を得た。
【0024】
(実施例2)
純水79重量部、グリセリン6重量部、トリエタノールアミン1重量部、ジプロピレングリコールプロピルエーテル4重量部、及び、ジグリセリン10重量部を10分間攪拌混合し、レットダウン用溶媒を作製した。その後、実施例1と同様にしてレットダウン・濾過を行い、ブラックインクK2を得た。
【0025】
(実施例3)
純水75重量部、トリエタノールアミン1重量部、ジプロピレングリコールプロピルエーテル4重量部、及び、ジグリセリン20重量部を10分間攪拌混合し、レットダウン用溶媒を作製した。その後、実施例1と同様にしてレットダウン・濾過を行い、ブラックインクK3を得た。
【0026】
(実施例4)
純水69重量部、グリセリン22重量部、トリエタノールアミン1重量部、ジプロピレングリコールプロピルエーテル4重量部、ポリエチレングリコール#200の2重量部、及び、ジグリセリン2重量部を10分間攪拌混合し、レットダウン用溶媒を作製した。その後、実施例1と同様にしてレットダウン・濾過を行い、ブラックインクK4を得た。
【0027】
(実施例5)
純水81重量部、グリセリン16重量部、トリエタノールアミン1重量部、及び、ポリエチレングリコール#200の2重量部を10分間攪拌混合し、レットダウン用溶媒を作製した。その後、実施例1と同様にしてレットダウン・濾過を行い、ブラックインクK5を得た。
【0028】
(比較例1)
純水67量部、グリセリン32量部、及び、トリエタノールアミン1重量部を10分間攪拌混合し、レットダウン用溶媒を作製した。その後、実施例1と同様にしてレットダウン・濾過を行い、ブラックインクK6を得た。
【0029】
(比較例2)
純水75重量部、グリセリン14重量部、トリエタノールアミン1重量部、ジプロピレングリコールプロピルエーテル4重量部、及び、2−ピロリドン6重量部を10分間攪拌混合し、レットダウン用溶媒を作製した。その後、実施例1と同様にしてレットダウン・濾過を行い、ブラックインクK7を得た。
【0030】
(比較例3)
純水75重量部、グリセリン12重量部、トリエタノールアミン1重量部、ジプロピレングリコールプロピルエーテル4重量部、及び、ジエチレングリコール8重量部を10分間攪拌混合し、レットダウン用溶媒を作製した。その後、実施例1と同様にしてレットダウン・濾過を行い、ブラックインクK8を得た。
【0031】
(参考例1)
純水77重量部、グリセリン16重量部、トリエタノールアミン1重量部、ジプロピレングリコールプロピルエーテル4重量部、及び、ジグリセリン2重量部を10分間攪拌混合し、レットダウン用溶媒を作製した。その後、実施例1と同様にしてレットダウン・濾過を行い、ブラックインクK9を得た。
【0032】
(参考例2)
純水65重量部、トリエタノールアミン1重量部、及び、ジグリセリン34重量部を10分間攪拌混合し、レットダウン用溶媒を作製した。その後、実施例1と同様にしてレットダウン・濾過を行い、ブラックインクK10を得た。
【0033】
<インクジェット記録用水性顔料インクの評価>
得られたブラックインクK1〜10は、以下の方法により評価した。
(評価1)
ブラックインクをプレパラート上に滴下して薄い膜状に伸ばし、温度40℃、湿度30%の恒温槽内に24時間放置してブラックインク中の水分を完全に蒸発させ、ブラックインクの固化状態を確認した。完全に固化した場合を○とし、完全に固化しなかった場合を×とした。更に完全に固化した場合には、固化したブラックインクに、固化していない同じ種類のブラックインクを接触させて再溶解するかどうかを倍率200倍の光学顕微鏡で観察した。再溶解した(完全に溶解して固形分が見えなくなった)場合を○とし、再溶解しなかった(一部固形分が残った)場合を×とした。
【0034】
(評価2)
米国特許第6,070,310号明細書に開示されている、アクチュエータ基板に形成された噴射チャンネル内のインクに噴射エネルギーを与える複数のエネルギー発生手段を駆動して複数の噴射チャンネルよりインクを噴射するせん断モード型のインクジェットヘッドを、米国特許第6,247,782B1号明細書に開示されている、インク供給路がインク供給源に接続され、複数のインク供給口がなす列のほぼ中央に対向する接続部と、この接続部から複数のインク供給口がなす列の両端に向かってそれぞれほぼテーパ状に広がり、複数のインク供給口を覆う拡大部とを有し、拡大部が、複数のインク供給口がなす複数の列の間に、入り込む張出壁を有しているインクジェットプリンターに搭載して、1分間任意に間欠吐出を行うことと、任意の吐出を行った後、1週間放置して再度吐出を行い、吐出性を確認した。吐出が良好であり、インクジェットヘッドの先端部で目詰まりすることなく印刷できた場合を○とし、吐出が不安定で良好な印字ができなかった場合を×とした。
【0035】
(評価3)
評価2における吐出性の確認のための印刷の後に、インクジェットプリンターのノズル、キャップ、ワイピング周りを目視観察し、固形分が付着していない場合を○とし、固形分が付着していた場合を×とした。
【0036】
(評価4)
評価2で目詰まりすることなく印刷できた場合について、印刷して1分後に印字部分を指でこすり、ブラックインクの紙に対する固着性を確認した。ブラックインクが指に付着せず、印字部分が汚れなかった場合を○とし、ブラックインクが指に付着したり、印字部分が汚れたりした場合を×とした。
【0037】
ブラックインクK1〜10の組成とその評価結果を表1に示した。
【0038】
【表1】
【0039】
実施例1〜5で作製したブラックインクK1〜5は、いずれも含有される水が蒸発した際に固化して固形物となり、かつ、上記固形物は、固化していない同じ種類のブラックインクと接触した際に再溶解し、目詰まりや不吐出を生じることがなく、吐出性が良好であった。また、紙に対する固着性も良好であった。
これに対し、比較例1〜3及び参考例1〜2で作製したブラックインクK6〜10は、吐出性が悪かったり、紙への固着性が悪かったりして、いずれかの評価において劣るものであった。
【0040】
【発明の効果】
本発明によれば、目詰まりや不吐出を生じることなく、固化したインクによってワイピング等のメンテナンス系統に負担がかかることなく、紙への固着性が良好なインクジェット記録用水性顔料インクを提供することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、目詰まりや不吐出を生じることなく、固化したインクによってワイピング等のメンテナンス系統に負担がかかることなく、紙への固着性が良好なインクジェット記録用水性顔料インクに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録方式は、例えば、静電吸引方式;圧電素子を用いてインクに機械的振動又は変位を与える方式;インクを加熱することにより気泡を発生させ、その時に発生する圧力を利用する方式等のインク吐出方式によりインク小滴を形成し、それらの一部又は全部を紙等の被記録材に付着させて記録を行うものである。
【0003】
このようなインクジェット記録方式に使用するインクジェット記録用インクとしては、各種の水溶性の染料又は顔料を、水又は水と水溶性有機溶剤とからなる液媒体に溶解又は分散させたものが使用されている。このインクジェット記録用インクには、例えば、長期間使用されなくても沈澱や凝集を生じないこと、インクジェットプリンターのヘッドの先端部及びインク流路内で目詰まりしないこと、印字品質が良好なこと、耐候性が優れていること等が要求される。
【0004】
ここで、染料と顔料とを比較すると、染料は、水又は水と水溶性有機溶剤とからなるインク媒体中に完全に溶解するため耐水性が悪く、その化学構造上、耐光性もかなり劣る。これに対して、顔料はインク媒体中に溶解せずに分散させるので、耐水性を含めた耐候性は極めて良好である。特に顔料インクは水分の蒸発後に固化しやすく、一旦紙面上で固化すると、顔料と紙の間で強固な結合が生じるので、染料インクよりも紙への固着性に優れている。また、顔料インク中に分散剤やバインダーとして樹脂を含有させている場合には、更にこの作用が助長される。そのため近年のインクジェット記録用インクは染料インクから顔料インクへと移行しつつある。
【0005】
しかし、顔料インクは、インク中の水分が蒸発して固化すると、固化したまま再溶解しないため、インクジェットヘッドのノズル先端部等で目詰まりの原因となり、インクの不吐出を生じさせていた。また、キャップ、ワイプ部分等でインクが固化すると、ワイピング等が困難となり、メンテナンス系に負担がかかるという問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、目詰まりや不吐出を生じることなく、固化したインクによってワイピング等のメンテナンス系統に負担がかかることなく、紙への固着性が良好なインクジェット記録用水性顔料インクを提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、顔料、水及び水溶性有機溶剤を含有するインクジェット記録用水性顔料インクであって、前記水が蒸発すると固化して固形物となり、かつ、前記固形物は、固化していないインクジェット記録用水性顔料インクに再溶解するインクジェット記録用水性顔料インクである。
以下に本発明を詳述する。
【0008】
本発明のインクジェット記録用水性顔料インクは、含有される水が蒸発すると固化して固形物となり、かつ、上記固形物は、固化していない本発明のインクジェット記録用水性顔料インクに再溶解するものである。このように、本発明のインクジェット記録用水性顔料インクは、一旦固化してしまっても、新たにノズルから供給される固化していない本発明のインクジェット記録用水性顔料インクと接触することによって、これに再溶解するので、インクジェットヘッドのノズル先端部等で目詰まりによる不吐出を生じることなく、ワイピング等のメンテナンス系統に対して負担がかからないものである。
【0009】
本発明のインクジェット記録用水性顔料インクは、顔料、水及び水溶性有機溶剤を含有する。
上記顔料としては特に限定されず、無機顔料及び有機顔料のいずれも使用することができる。
白黒記録用としては、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック類;酸化チタン等の金属酸化物;オルトニトロアニリンブラック等の有機顔料等を挙げることができる。カラー記録用としては、例えば、トルイジンレッド、パーマネントカーミンFB、ファーストイエローAAA、ジスアゾオレンジPMP、レーキレッドC、ブリリアントカーミン6B、フタロシアニンブルー、キナクリドンレッド、ジオキサンバイオレット、ピクトリアピュアブルー、アルカリブルートナー、ファーストイエロー10G、ジスアゾイエローAAOT、ジスアゾイエローAAMX、ジスアゾイエローHR、ジスアゾイエローAAOA、黄色酸化鉄、オルトニトロアニリンオレンジ、ジニトロアニリンオレンジ、バルカンオレンジ、トルイジンレッド、塩素化パラレッド、ブリリアントファーストカーレット、ナフトールレッド23、ピラゾロンレッド、バリウムレッド2B、カルシウムレッド2B、ストロンチウムレッド2B、マンガンレッド2B、バリウムリソームレッド、ピグメントスカーレッド3Bレーキ、レーキボルドー10B、アンソシン3Bレーキ、アンソシン5Bレーキ、ローダミン6Gレーキ、エオシンレーキ、ベンガラ、ファフトールレッドFGR、ローダミンBレーキ、メチルバイオレッドレーキ、ジオキサジンバイオレッド、ベーシックブルー5Bレーキ、ベーシックブルー6Gレーキ、ファーストスカイブルー、アルカリブルーRトナー、ピーコックブルーレーキ、紺青、群青、レフレックスブルー2G、レフレックスブルーR、ブリリアントグリーンレーキ、ダイアモンドグリーンチオフラビンレーキ、フタロシアニングリーンG、グリーンゴールド、フタロシアニングリーンY、酸化鉄、さびこ、亜鉛華、酸化チタン、炭酸カルシウム、クレー、硫酸バリウム、アルミナホワイト、アルミニウム、ブロンズ、昼光蛍光顔料、パール顔料、ナフトールカーミンFB、ナフトールレッドM、パーマネントカーミンFB、ファーストイエローG、ジスアゾイエローAAA、アルカリブルーGトナー等、及び、表面を特定の官能基で処理した表面改質顔料等を挙げることができる。
【0010】
上記顔料の配合量は、所望の印字濃度や色彩に応じて決定されるが、10重量%以下でも充分な着色力と高い鮮明性を得ることができる。好ましくは本発明のインクジェット記録用水性顔料インク全量に対して1〜20重量%であり、より好ましくは1〜15重量%である。
【0011】
上記水としては、種々のイオンを含有する一般の水ではなく、脱イオン水を使用することが好ましい。
上記水の配合量は、水以外の溶剤成分の種類や組成、及び、所望されるインクの特性に応じて広い範囲で決定される。好ましくは本発明のインクジェット記録用水性顔料インク全量に対して10〜90重量%であり、より好ましくは15〜80重量%である。
【0012】
上記水溶性有機溶剤は、主として有する効果により、本発明のインクジェット記録用水性顔料インクの再溶解性を向上させる効果を有するもの、湿潤剤としてインクジェットヘッドの先端部におけるインクの乾燥を防止する効果を有するもの、浸透剤として紙面上での乾燥速度を速くする効果を有するものに分類できる。なかでも、本発明のインクジェット記録用水性顔料インクの再溶解性を向上させる効果を有する水溶性有機溶剤が配合されていることが好ましい。これらの水溶性有機溶剤は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0013】
本発明のインクジェット記録用水性顔料インクの再溶解性を向上させる効果を有する水溶性有機溶剤としては、常温常圧で液状であるポリエチレングリコール、ジグリセリンを挙げることができる。上記常温常圧で液状であるポリエチレングリコールとしては、例えば、平均分子量200〜400のものを挙げることができ、なかでも、市販されているものとしては、例えば、ポリエチレングリコール♯200等を挙げることができる。上記常温常圧で液状であるポリエチレングリコール及びジグリセリンは、それぞれ単独で用いられてもよく、併用されてもよい。
上記常温常圧で液状であるポリエチレングリコール及び/又はジグリセリンの配合量は、水溶性有機溶剤全量に対して10重量%以上であることが好ましい。10重量%未満であると、本発明のインクジェット記録用水性顔料インクの再溶解性を充分なものとすることができないことがある。
【0014】
上記インクの乾燥を防止する効果を有する水溶性有機溶剤としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール等の低級アルコール類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;アセトン、ジアセトンアルコール等のケトン類又はケトアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ポリプロピレングリコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール等のアルキレングリコール類;グリセリン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等を挙げることができる。なかでも、一般的には多価アルコール類が使用されることが多く、グリセリン、ジエチレングリコール等のアルキレングリコール類が好ましい。
【0015】
上記紙面上での乾燥速度を速くする効果を有する水溶性有機溶剤としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノプロピルエーテル等のグリコール系エーテル類を挙げることができる。
【0016】
上記顔料に対する上記水溶性有機溶剤の配合量は重量比で3以下であることが好ましい。3を超えると、本発明のインクジェット記録用水性顔料インクは、グリセリン等の極めて蒸発しにくい水溶性有機溶剤を含有する場合には、水が蒸発した際に完全に固化せず、紙に対する顔料の固着性が低くなるため、印刷後に印字面を触ることにより印字画像が乱れたり、インクが手に付着したりすることがある。3以下であれば、本発明のインクジェット記録用水性顔料インクは、水が蒸発した際に固化し、紙への固着性に優れたものとなる。
【0017】
本発明のインクジェット記録用水性顔料インクは、必要に応じて分散剤を含有していてもよい。
上記分散剤としては特に限定されず、例えば、高分子量ポリウレタン、ポリエステル、顔料に強い親和性のあるカルボニル基やアミノ基等の官能基を有する高分子共重合物等を挙げることができる。
【0018】
本発明のインクジェット記録用水性顔料インクの基本組成は以上の通りであるが、必要に応じて、粘度調整剤、表面張力調整剤、防黴剤等の従来公知の各種添加剤を含有していてもよい。
上記粘度調整剤としては特に限定されず、例えば、ポリビニルアルコール、セルロース類、水溶性樹脂等を挙げることができる。
【0019】
本発明のインクジェット記録用水性顔料インクは、含有される水が蒸発すると固化するので紙への固着性が良好であり、一方、インクジェットヘッドのノズル先端部等で一旦固化しても、新たにノズルから供給される固化していない本発明のインクジェット記録用水性顔料インクと接触することによってこれに再溶解するので、目詰まりによる不吐出を生じることがなく、固化したインクによってワイピング等のメンテナンス系統に対して負担をかけないものである。
【0020】
【実施例】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0021】
<顔料ミルベースの作製>
純水84重量部、ポリビニルピロリドン(BASF社製、コリドン12PF)4重量部、トリエタノールアミン2重量部を10分間攪拌混合した後、カーボンブラック(キャボット社製、MONARCH880)を10重量部添加して更に30分間攪拌混合し、混合物を得た。
【0022】
顔料分散機(ビック・ケミー社製、DISPERMAT CV)の水冷式分散容器(ダブルベッセルタイプ、容積1リットル)に、直径1mmのジルコニアビーズ700gを充填した後、得られた混合物100gを入れ、パールミルインペラーMINIを使用し、5000rpmで1時間分散処理を行った。得られた分散物を金属メッシュ(アドバンテック東洋社製、サポートスクリーン)で吸引濾過し、ブラック顔料ミルベースを80g得た。
【0023】
<インクジェット記録用水性顔料インクの作製>
(実施例1)
純水73量部、グリセリン14量部、トリエタノールアミン1重量部、ジプロピレングリコールプロピルエーテル4重量部、及び、ポリエチレングリコール#200(分子量200)8重量部を10分間攪拌混合し、レットダウン用溶媒を作製した。
ブラック顔料ミルベース50gを攪拌しながらレットダウン用溶媒50gを添加してレットダウンし、30分間攪拌混合した後に、孔径1μmのメンブランフィルターにて濾過し、ブラックインクK1を得た。
【0024】
(実施例2)
純水79重量部、グリセリン6重量部、トリエタノールアミン1重量部、ジプロピレングリコールプロピルエーテル4重量部、及び、ジグリセリン10重量部を10分間攪拌混合し、レットダウン用溶媒を作製した。その後、実施例1と同様にしてレットダウン・濾過を行い、ブラックインクK2を得た。
【0025】
(実施例3)
純水75重量部、トリエタノールアミン1重量部、ジプロピレングリコールプロピルエーテル4重量部、及び、ジグリセリン20重量部を10分間攪拌混合し、レットダウン用溶媒を作製した。その後、実施例1と同様にしてレットダウン・濾過を行い、ブラックインクK3を得た。
【0026】
(実施例4)
純水69重量部、グリセリン22重量部、トリエタノールアミン1重量部、ジプロピレングリコールプロピルエーテル4重量部、ポリエチレングリコール#200の2重量部、及び、ジグリセリン2重量部を10分間攪拌混合し、レットダウン用溶媒を作製した。その後、実施例1と同様にしてレットダウン・濾過を行い、ブラックインクK4を得た。
【0027】
(実施例5)
純水81重量部、グリセリン16重量部、トリエタノールアミン1重量部、及び、ポリエチレングリコール#200の2重量部を10分間攪拌混合し、レットダウン用溶媒を作製した。その後、実施例1と同様にしてレットダウン・濾過を行い、ブラックインクK5を得た。
【0028】
(比較例1)
純水67量部、グリセリン32量部、及び、トリエタノールアミン1重量部を10分間攪拌混合し、レットダウン用溶媒を作製した。その後、実施例1と同様にしてレットダウン・濾過を行い、ブラックインクK6を得た。
【0029】
(比較例2)
純水75重量部、グリセリン14重量部、トリエタノールアミン1重量部、ジプロピレングリコールプロピルエーテル4重量部、及び、2−ピロリドン6重量部を10分間攪拌混合し、レットダウン用溶媒を作製した。その後、実施例1と同様にしてレットダウン・濾過を行い、ブラックインクK7を得た。
【0030】
(比較例3)
純水75重量部、グリセリン12重量部、トリエタノールアミン1重量部、ジプロピレングリコールプロピルエーテル4重量部、及び、ジエチレングリコール8重量部を10分間攪拌混合し、レットダウン用溶媒を作製した。その後、実施例1と同様にしてレットダウン・濾過を行い、ブラックインクK8を得た。
【0031】
(参考例1)
純水77重量部、グリセリン16重量部、トリエタノールアミン1重量部、ジプロピレングリコールプロピルエーテル4重量部、及び、ジグリセリン2重量部を10分間攪拌混合し、レットダウン用溶媒を作製した。その後、実施例1と同様にしてレットダウン・濾過を行い、ブラックインクK9を得た。
【0032】
(参考例2)
純水65重量部、トリエタノールアミン1重量部、及び、ジグリセリン34重量部を10分間攪拌混合し、レットダウン用溶媒を作製した。その後、実施例1と同様にしてレットダウン・濾過を行い、ブラックインクK10を得た。
【0033】
<インクジェット記録用水性顔料インクの評価>
得られたブラックインクK1〜10は、以下の方法により評価した。
(評価1)
ブラックインクをプレパラート上に滴下して薄い膜状に伸ばし、温度40℃、湿度30%の恒温槽内に24時間放置してブラックインク中の水分を完全に蒸発させ、ブラックインクの固化状態を確認した。完全に固化した場合を○とし、完全に固化しなかった場合を×とした。更に完全に固化した場合には、固化したブラックインクに、固化していない同じ種類のブラックインクを接触させて再溶解するかどうかを倍率200倍の光学顕微鏡で観察した。再溶解した(完全に溶解して固形分が見えなくなった)場合を○とし、再溶解しなかった(一部固形分が残った)場合を×とした。
【0034】
(評価2)
米国特許第6,070,310号明細書に開示されている、アクチュエータ基板に形成された噴射チャンネル内のインクに噴射エネルギーを与える複数のエネルギー発生手段を駆動して複数の噴射チャンネルよりインクを噴射するせん断モード型のインクジェットヘッドを、米国特許第6,247,782B1号明細書に開示されている、インク供給路がインク供給源に接続され、複数のインク供給口がなす列のほぼ中央に対向する接続部と、この接続部から複数のインク供給口がなす列の両端に向かってそれぞれほぼテーパ状に広がり、複数のインク供給口を覆う拡大部とを有し、拡大部が、複数のインク供給口がなす複数の列の間に、入り込む張出壁を有しているインクジェットプリンターに搭載して、1分間任意に間欠吐出を行うことと、任意の吐出を行った後、1週間放置して再度吐出を行い、吐出性を確認した。吐出が良好であり、インクジェットヘッドの先端部で目詰まりすることなく印刷できた場合を○とし、吐出が不安定で良好な印字ができなかった場合を×とした。
【0035】
(評価3)
評価2における吐出性の確認のための印刷の後に、インクジェットプリンターのノズル、キャップ、ワイピング周りを目視観察し、固形分が付着していない場合を○とし、固形分が付着していた場合を×とした。
【0036】
(評価4)
評価2で目詰まりすることなく印刷できた場合について、印刷して1分後に印字部分を指でこすり、ブラックインクの紙に対する固着性を確認した。ブラックインクが指に付着せず、印字部分が汚れなかった場合を○とし、ブラックインクが指に付着したり、印字部分が汚れたりした場合を×とした。
【0037】
ブラックインクK1〜10の組成とその評価結果を表1に示した。
【0038】
【表1】
【0039】
実施例1〜5で作製したブラックインクK1〜5は、いずれも含有される水が蒸発した際に固化して固形物となり、かつ、上記固形物は、固化していない同じ種類のブラックインクと接触した際に再溶解し、目詰まりや不吐出を生じることがなく、吐出性が良好であった。また、紙に対する固着性も良好であった。
これに対し、比較例1〜3及び参考例1〜2で作製したブラックインクK6〜10は、吐出性が悪かったり、紙への固着性が悪かったりして、いずれかの評価において劣るものであった。
【0040】
【発明の効果】
本発明によれば、目詰まりや不吐出を生じることなく、固化したインクによってワイピング等のメンテナンス系統に負担がかかることなく、紙への固着性が良好なインクジェット記録用水性顔料インクを提供することができる。
Claims (4)
- 顔料、水及び水溶性有機溶剤を含有するインクジェット記録用水性顔料インクであって、
前記水が蒸発すると固化して固形物となり、かつ、前記固形物は、固化していないインクジェット記録用水性顔料インクに再溶解する
ことを特徴とするインクジェット記録用水性顔料インク。 - 顔料に対する水溶性有機溶剤の配合量が重量比で3以下であることを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録用水性顔料インク。
- 水溶性有機溶剤は、少なくとも常温常圧で液状であるポリエチレングリコール及び/又はジグリセリンを含有することを特徴とする請求項1又は2記載のインクジェット記録用水性顔料インク。
- 常温常圧で液状であるポリエチレングリコール及び/又はジグリセリンの配合量は、水溶性有機溶剤全量に対して10重量%以上であることを特徴とする請求項3記載のインクジェット記録用水性顔料インク。
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