JP2004103207A - 情報記録媒体並びにその再生装置及び再生方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】録音、再生形態、又は符号化方式等が異なる複数のオーディオ情報をディスクに記録する場合であっても、混乱を生じる事のない再生装置を得る。
【解決手段】複数のセルから構成されていると共に記録方式の異なる複数のオーディオ情報を含む物理的なオーディオ情報AOB#1、#2と、複数のセルから構成される論理的なプログラムを再生するための再生制御情報と、を記録したDVDであって、一の記録方式のオーディオ情報AOB#1を構成する前記セルと、他の前記記録方式の前記オーディオ情報AOB#2を構成するセルと、が当該DVD上における異なる位置に記録されており、プログラムは、一の記録方式のオーディオ情報AOB#1を構成するセルと、他の記録方式のオーディオ情報AOB#2を構成するセルと、の双方で定義されており、一の記録方式のオーディオ情報AOB#1と他の記録方式のオーディオ情報AOB#2とは同一内容で構成される。
【選択図】図10
【解決手段】複数のセルから構成されていると共に記録方式の異なる複数のオーディオ情報を含む物理的なオーディオ情報AOB#1、#2と、複数のセルから構成される論理的なプログラムを再生するための再生制御情報と、を記録したDVDであって、一の記録方式のオーディオ情報AOB#1を構成する前記セルと、他の前記記録方式の前記オーディオ情報AOB#2を構成するセルと、が当該DVD上における異なる位置に記録されており、プログラムは、一の記録方式のオーディオ情報AOB#1を構成するセルと、他の記録方式のオーディオ情報AOB#2を構成するセルと、の双方で定義されており、一の記録方式のオーディオ情報AOB#1と他の記録方式のオーディオ情報AOB#2とは同一内容で構成される。
【選択図】図10
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、録音形態又は再生形態もしくは符号化方式の異なる音楽等の音情報が記録されたDVDディスク等の情報記録媒体と、この情報記録媒体から音情報を再生する再生装置の技術分野に属するものである。
【0002】
【従来の技術】
映画などの映像情報を記録する記録媒体としてビデオDVD(DVD−Video規格に準拠したディスク)が知られている。ビデオDVDはその大容量性から映画などの映像情報の記録媒体として広く使用されている。
【0003】
また、映画などの映像情報ではなく、音楽などのオーディオ情報のみを記録することを念頭においたオーディオDVD(DVD−Audio規格に準拠したディスク)も開発されている。このオーディオDVDにはDVDとしての大容量性から複数のCD(コンパクトディスク)に相当するオーディオ情報を1枚のオーディオDVDに記録することが可能となる。また、映画などの映像情報に加えて、その映画のサウンドトラック版の音楽CDに相当するようなオーディオ情報を記録することも可能である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
オーディオDVDは、主に音楽などのオーディオ情報を記録することを目的とし、今までにないマルチチャンネルの再生を可能にしようとしている。また、マルチチャンネルだけでなく2chステレオ再生としても、今までにない高品位な再生を可能にしようとしている。
【0005】
このようなDVDオーディオディスクにおいて、マルチチャンネルのオーディオ情報しか記録されていない場合、2ch専用の再生装置を持っている人は、その一部の音しか聞くことができない、又はまったく再生できないといった問題を生じる。
【0006】
そこで、2ch専用の再生装置しか持っていない人でも、このディスクを楽しめるようにするには、マルチチャンネルのオーディオ情報と共に2ch再生用のオーディオ情報を、ディスク上に記録する必要がある。
【0007】
しかし、この場合、この2種類のオーディオ情報は、当然同じタイトル、同じ曲を録音したものである。従ってこの2種類のオーディオ情報をこのまま、ディスク上に記録したのでは、同名のタイトル、同名の曲が2種類存在することとなりユーザの混乱を招くという第1の問題がある。この第1の問題は、チャンネル等の再生形態が異なる場合だけでなく、バイノーラル録音等の録音形態が異なる場合、あるいはAC−3等の符号化方式が異なる場合、更にはこれらの再生形態、録音形態、または符号化方式の組み合わせが異なる場合に同様に生じる問題であった。
【0008】
次に、既に規格化された、DVDビデオフォーマットでは、画像情報と共に複数のオーディオ情報を同時に記録することができる。例えば、ある映画に対して、オリジナルの言語の音声と日本語吹き替えの音声を切り換えることができる。また同様に同一タイトルの中でLPCMステレオ音声とAC−3マルチチャンネル音声を切り換えることも可能である。従って複数のオーディオ情報を同一のタイトル、同一の曲として扱うことができ、オーディオストリームを変更することで、再生したいオーディオ情報の種類を変更することができるようになっている。
【0009】
一方、オーディオDVDにも画像情報を記録したいという要求もあり、メニューや付加情報的な映像情報の記録を可能にしようとしている。この場合、DVDビデオフォーマットと異なる方法で絵を記録したのでは、ビデオフォーマットと互換を取ることができない。現在市場にあるビデオプレーヤでも、オーディオディスクの絵がついた部分の再生ができることが望ましい。
【0010】
従ってこれらの観点からも、画像を伴った場合の実体情報を記録する構造は、DVDビデオフォーマットと同じ構造にする必要がある。
【0011】
しかし、このためには、複数種類のオーディオ情報を多重し、一つのオブジェクトとしてディスク上に記録する必要がある。また複数のストリームを管理するため、データ中にも管理情報を置くことが必要となる。従ってビデオフォーマットと同じ構造を持つことになった場合、再生装置による再生時の切り替えに必要な処理が少ない反面、記録時の処理が複雑になるという不具合を生じる。
【0012】
オーディオフォーマットには、録音用としての機能や、現在使用されているスタジオ機器との整合性を重視し、特に記録時の処理が複雑でないことが求められており、特にデータ中に管理情報を置かない構造が必要とされる。
【0013】
従って、オーディオ情報しか記録しない場合のDVDオーディオフォーマット独自の構造と、画像を伴った場合のDVDビデオフォーマットに準拠した構造の2種類の構造が必要となる。このように2種類の構造のデータに対して、音声情報だけを再生しようとする場合、その再生制御情報は、共通な論理構造としないと、全く違った2種類のフォーマットが存在することとなり再生装置の処理が重くなり、統一的な操作を提供できないため、ユーザの混乱を生ずるという第2の問題がある。
【0014】
本発明は、以上の点に鑑みてなされたものであり、録音形態、再生形態、又は符号化方式等が異なる複数のオーディオ情報をディスクに記録する場合であっても、ユーザに対して混乱を与えることなく、夫々のオーディオ情報を適切に再生させることのできる情報記録媒体及び当該情報記録媒体により夫々のオーディオ情報を適切に再生することのできる再生装置を提供することを第1の課題としている。
【0015】
また、オーディオ情報しか記録しない場合のDVDオーディオフォーマット独自の構造と、画像を伴った場合のDVDビデオフォーマットに準拠した構造の2種類の構造を有する場合でも、夫々のディスクの構造の相違を意識することなく統一的な操作で複数種類のオーディオ情報を選択する環境を提供することのできる情報記録媒体、更にその適切な再生を可能とする再生装置を提供することを第2の課題としている。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、複数のセルから構成されていると共に記録方式の異なる複数のオーディオ情報を含む物理的なオーディオ情報と、前記複数のセルから構成される論理的なプログラムを再生するための再生制御情報と、を記録した情報記録媒体であって、一の前記記録方式の前記オーディオ情報を構成する前記セルと、他の前記記録方式の前記オーディオ情報を構成するセルと、が当該情報記録媒体上における異なる位置に記録されており、前記プログラムは、前記一の記録方式の前記オーディオ情報を構成する前記セルと、前記他の記録方式の前記オーディオ情報を構成する前記セルと、の双方で定義されており、前記一の記録方式の前記オーディオ情報と前記他の記録方式の前記オーディオ情報とは同一内容であるように構成される。
【0017】
上記の課題を解決するために、請求項5に記載の発明は、複数のセルから構成されていると共に記録方式の異なる複数のオーディオ情報を含む物理的なオーディオ情報と、前記複数のセルから構成される論理的なプログラムを再生するための再生制御情報と、を記録した情報記録媒体であって、一の記録方式の前記オーディオ情報を構成する前記セルと、他の記録方式の前記オーディオ情報を構成する前記セルと、が当該情報記録媒体上における異なる位置に記録されており、前記プログラムは、前記一の記録方式の前記オーディオ情報を構成する前記セルと、前記他の記録方式の前記オーディオ情報を構成するセルと、の双方で定義されており、前記一の記録方式の前記オーディオ情報と前記他の記録方式の前記オーディオ情報とは同一内容である情報記録媒体から情報を再生する再生装置であって、情報を読み取る読取手段と、前記オーディオ情報を再生する再生手段と、前記再生制御情報と、予め設定された再生すべき前記オーディオ情報の記録方式と、に基づいて、前記再生手段を制御する制御手段と、を備える。
【0018】
上記の課題を解決するために、請求項9に記載の発明は、複数のセルから構成されていると共に記録方式の異なる複数のオーディオ情報を含む物理的なオーディオ情報と、前記複数のセルから構成される論理的なプログラムを再生するための再生制御情報と、を記録した情報記録媒体であって、一の記録方式の前記オーディオ情報を構成する前記セルと、他の記録方式の前記オーディオ情報を構成する前記セルと、が当該情報記録媒体上における異なる位置に記録されており、前記プログラムは、前記一の記録方式の前記オーディオ情報を構成する前記セルと、前記他の記録方式の前記オーディオ情報を構成するセルと、の双方で定義されており、前記一の記録方式の前記オーディオ情報と前記他の記録方式の前記オーディオ情報とは同一内容である情報記録媒体から情報を再生する再生方法であって、情報を読み取る読取工程と、前記オーディオ情報を再生する再生工程と、前記再生制御情報と、予め設定された再生すべき前記オーディオ情報の記録方式と、に基づいて、前記再生手段を制御する用に構成される。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について説明する。
【0020】
(1)DVDビデオフォーマット
始めに、映像情報及び音声情報(音楽情報も含む。以下、同じ)のビデオDVD上における記録フォーマット(物理的記録フォーマット)について、図1を用いて説明する。
【0021】
(1.1)物理フォーマット
図1に示すように、ビデオDVD1は、その最内周部にリードインエリアLIを有すると共にその最外周部にリードアウトエリアLOを有しており、その間がビデオゾーンであり、映像情報及び音声情報が、夫々にID(識別)番号を有する複数のVTS(Video Title Set )4(VTS#1乃至VTS#n)に分割されて記録されている。ここで、VTSとは、関連する(それに含まれる音声情報及び副映像情報の数や、仕様、対応言語等の属性が同じ)タイトル(映画等の、製作者が視聴者に提示しようとする一つの作品)を一まとめにしたセット(まとまり)である。リードインエリアLIのすぐ外周には当該ディスク内に記録されるファイルのフォーマットを管理する情報を有するUDF(Universal Disk Format)2が記録され、それに続いてVMG(Video Manager)3が記録される。このVMG3として記録される情報は、例えば、ユーザに対する選択項目を示すメニューや、違法コピー防止のための情報、又は夫々のタイトルにアクセスするためのアクセステーブル等、当該ビデオDVD1に記録される映像情報及び音声情報の全体に係わる管理情報である。
【0022】
一のVTS4は、VTSI(Video Title Set Information)11を先頭として、夫々にID番号を有する複数のVOB(Video OBject)10に分割されて記録されている。ここで、複数のVOB10により構成されている部分をVOBセット(VOBS)という。
【0023】
VTS4の先頭に記録されるVTSI11には、複数のセル(セルについては後述する。)を組み合わせた論理的区分であるプログラムチェインに関する種々の情報であるPGCI(Program Chain Information)等の情報が記録される。また、各VOB10には、映像情報及び音声情報の実体部分が記録される。
【0024】
一のVOB10は、夫々にID番号を有する複数のセル20により構成されている。一のセル20は、夫々にID番号を有する複数のVOBユニット(VOBU)30により構成される。ここで、VOBU30とは、映像情報、音声情報及び副映像情報(映画における字幕等の副映像の情報をいう。)のいずれか又は後述のナビパックのみにより構成される一つの単位である。
【0025】
一のVOBU30は、VOBU30に含まれる映像情報等を制御対象とする制御情報が格納されているナビパック41と、映像情報としてのビデオデータを含むビデオパック42と、音声情報としてのオーディオデータを含むオーディオパック43と、副映像情報としてのサブピクチャデータを含むサブピクチャパック44とにより構成されている。ここで、ビデオデータとしては映像データのみが記録され、オーディオデータとしては音声データのみが記録される。また、サブピクチャデータとしては副映像としての文字や図形等のグラフィックデータのみが記録される。
【0026】
各パックPの先頭に記録されるパックヘッダには、夫々のパックPに含まれているデータを後述の再生装置におけるトラックバッファから読み出して夫々のバッファへの入力を開始すべき再生時間軸上の読み出し開始時刻を示すSCR(System Clock Reference)と呼ばれる読み出し開始時刻情報や、パックPの開始であることを示すスタートコード等が記録される。
【0027】
ナビパック41は、再生表示させたい映像又は音声等を検索するための検索情報(具体的には、当該再生表示させたい映像又は音声等が記録されているDVD1上のアドレス等)であるDSI(Data Search Information)データ51と、DSIデータ51に基づいて検索された映像又は音声を再生表示する際の再生表示制御に関する情報であるPCI(Presentation Control Information)データ50とにより構成される。
【0028】
一のVOBU30に含まれている全てのビデオパック42は、一又は複数のGOP(Group Of Picture)により構成されている。上記GOPは、本実施の形態におけるDVD1に映像情報を記録する際に採用されている画像圧縮方式であるMPEG2(Moving Picture Experts Group 2)方式の規格において定められている単独で再生可能な最小の画像単位である。
【0029】
以上説明した図1に示す階層構造の記録フォーマットにおいて、夫々の区分は、DVD1内に記録させる記録情報の製作者(以下、単に製作者という。)がその意図に応じて自在に区分設定をして記録させるものである。これらの区分毎に後述の論理構造に基づいて再生することにより、変化に富んだ種々の再生が可能となる。
【0030】
(1.2)論理フォーマット
次に、図1に示す物理的な区分により記録された情報を組み合わせた論理的フォーマット(論理構造)について図2を用いて説明する。なお、図2に示す論理構造は、その構造で実際にDVD1上に情報が記録されているのではなく、図2に示す論理構造で図1に示す各データ(特にセル20)を組み合わせて再生するための再生制御情報(アクセス情報又は時間情報等)がDVD1上の、特にVTSI11の中に記録されているものである。
【0031】
説明の便宜上、図2の下位の階層から説明していくと、上記図1において説明した物理構造のうち、複数のセル20を選択して組み合わせることにより、一のプログラム60が論理上構成される。なお、このプログラム60を一又は複数個纏めたものを視聴者が自由に選択して視聴することができる最小単位として製作者が定義することもでき、この単位をPTT(Part of Title)という。
【0032】
ここで、一のセル20の番号については、当該セル20を図1に示す物理フォーマットにおいて取り扱う際にはセルID番号として取り扱われ(図1中、セルID#と示す。)、図2に示す論理フォーマットにおいて取り扱う際には後述のPGCI中の記述順にセル番号として取り扱われる。
【0033】
複数のプログラム60を組み合わせて一のPGC(Program Chain)61が論理上構成される。このPGC61の単位で、前述したPGCIが定義され、当該PGCIには、夫々のプログラム60を再生する際の各プログラム60毎のセル20の再生順序(この再生順序により、プログラム60毎に固有のプログラム番号が割当てられる。)、夫々のセル20のDVD1上の記録位置であるアドレス、一のプログラム60における再生すべき先頭セル20の番号、などが含まれている。
【0034】
一のPGC61には、上記PGCIの他に、実体的な映像及び音声等のデータがプログラム60の組み合わせとして(換言すれば、セル20の組み合わせとして)含まれることとなる。
【0035】
一又は複数のPGC61により、一のタイトル62が論理上構成される。このタイトル62は、例えば、映像情報で言えば映画一本に相当する単位であり、製作者がDVD1の視聴者に対して提供する完結した情報である。
【0036】
一又は複数のタイトル62により、一のVTS63が論理上構成される。
【0037】
図2に示す一のVTS63に相当する情報は、図1に示す一のVTS4に含まれている情報に対応している。すなわち、DVD1には、図2に示すVTS63内に論理上含まれる全ての情報が一のVTS4として纏めて記録されていることとなる。
【0038】
以上説明した論理フォーマットに基づいて、物理構造において区分された情報を製作者が指定することにより、視聴者が見るべき映像又は音楽が形成される。
【0039】
(2)DVDオーディオフォーマット
次にオーディオ情報(音楽及び音声情報をも含む。以下、同じ)のオーディオDVD上における記録フォーマット(物理的記録フォーマット)について、図3を用いて説明する。
【0040】
(2.1)物理フォーマット
始めに、オーディオDVD上における物理フォーマット(物理的記録フォーマット)について、図3を用いて説明する。
【0041】
先ず、図3に示すように、実施形態のオーディオDVD200は、その最内周部にリードインエリアLIを有すると共にその最外周部にリードアウトエリアLOを有し、その間は、一のボリュームスペースとなっている。この中に、必ずオーディオゾーンが記録される。このオーディオゾーンに、音声情報が、夫々にID(識別)番号を有する複数のATS(Audio Title Set)203(ATS#1〜ATS#n)に分割されて記録されている。オーディオゾーンの先頭には簡易再生(2チャンネル再生など)のための再生制御情報としてのSAPPT(Simple Audio Play Pointer Table )204が記録されている。このSAPPTはオーディオゾーンを有する全てのDVDディスクに記録されている。なお、SAPPT204はリードインエリアLIや後述のAMG202中に記録しておいても良い。
【0042】
リードインエリアLIのすぐ外周部には、当該ディスク内に記録されるファイルのフォーマットを管理する情報を有するUDF(Universal Disk Format)201が記録され、UDF201に続いてSAPPT204が記録され、続いてAMG(Audio Manager)202が記録される。しかし、UDF201,SAPPT204,その他のファイルの配置は、必ずこの順でなくてはならないというものではない。
【0043】
このSAPPT204に記録される情報は、LPCMデータを2chで再生するのに必要な情報である。またAMG202として記録される情報は、例えば、ユーザに対して項目選択を促すためのメニューや、違法コピー防止のための情報、又は夫々のタイトルにアクセスするためのアクセステーブル等、当該オーディオDVD200に記録されている音声情報の全体に係わる管理情報である。
【0044】
一のATS203は、ATSI(Audio Title Set Information)211を先頭として、夫々にID番号を有する複数のAOB(Audio Object)210から構成される。
【0045】
ここで、複数のAOB210により構成されている部分をAOBセット(AOBS)という。このAOBセットは音声情報の実体部分である。
【0046】
ATS203の先頭に記録されるATSI211には、複数のセル(セルについては後述する。)を組み合わせた論理的区分であるプログラムチェインに関する種々の情報である再生制御情報としてのAPGCI(Audio Program Chain Information)等の情報が記録される。また、各AOB210には、音声情報の実体部分が記録される。一のAOB210は、夫々にID番号を有する複数のセル220により構成されている。
【0047】
一のセル220は、夫々パック化された複数のオーディオパック230または、オーディオパックとリアルタイム情報パック(Real Time Information Pack)231により構成される。オーディオパック230は、オーディオDVDに記録されるべき音声情報を所定の大きさ毎にパック化したものであり、例えばリニアPCMなどによりデジタル化されたオーディオ情報が含まれる。リアルタイム情報パック231には、テキスト情報、BPM(Beat Per Minutes)、拍情報、等が含まれる。
【0048】
以上説明した図3に示す階層構造の記録フォーマットにおいて、夫々の区分は、オーディオDVD200内に記録させる記録情報の製作者(以下、単に製作者という。)がその意図に応じて自在に区分設定をして記録できるものである。これらの区分毎に後述の論理構造に基づいて再生することにより、変化に富んだ種々の再生が可能となる。
【0049】
(2.2)論理フォーマット
次に、図3に示す物理的な区分により記録された情報を組み合わせた論理的フォーマット(論理構造)について図4を用いて説明する。
【0050】
なお、図4に示す論理構造は、その構造で実際にオーディオDVD200上に情報が記録されているのではない。オーディオDVD上にはあくまで図3に示す物理フォーマットで音声情報が記録されており、この音声情報を再生するための情報が図4に示す論理フォーマットで、前述したSAPPT204、AMG202、ATSI211に記録されているのである。
【0051】
説明の便宜上図4の下位の階層から説明していくと、上記図3において説明した物理構造のうち、一のセルまたは複数のセル220を選択して組み合わせることにより、インデックス259を構成する。インデックスは、曲番としても使うことができ、ユーザによって、アクセス可能な最小の単位である。
【0052】
一の又は複数のインデックス259により一のトラック260が論理上構成される。このトラック260は一つの曲に相当する情報単位である。ユーザは任意のトラック(曲)を選択し、ダイレクトにアクセスすることができる。
【0053】
ここで、一のセル220の番号については、当該セル220を図3に示す物理フォーマットにおいて取り扱う際にはセルID番号として取り扱い(図3中、セルID#と示す。)、図4に示す論理フォーマットにおいて取り扱う際には後述のAPGCI中の記述順にセル番号として取り扱う。
【0054】
トラック260(曲)は、複数のセルを含む情報単位であり、ある共通の属性などを有するセルの集合である。すなわちトラック内の全てのセルの属性は、すべて同一である。また、トラックに含まれる全てのセルは、同一のオブジェクト内に、隣接して記録される。
【0055】
一の又は複数のトラック260を組み合わせて一のタイトル261が論理上構成される。但し、ユーザから、このタイトル自体が、アクセスの単位として認識されることはない。従って、タイトル番号を指定して任意のタイトルにアクセスすることはできない。
【0056】
オーディオDVDでは、タイトル261を構成する各トラック260の属性を最大8パターンの中で独立に定義することができる。すなわち各トラック(曲)毎に、チャンネル数、量子化方法、サンプリング周波数など音声情報としての属性を変更してもよい。
【0057】
このタイトル261の単位で、前述したAPGCIが定義され、当該APGCIには、各トラックの属性、夫々のトラック260を再生する際の各トラック260毎のセル220の再生順序、夫々のセル220のオーディオDVD200上の記録位置であるアドレス、一のトラック260における再生すべき先頭セル220の番号、各トラック260の再生方式及び各種コマンドが含まれている。
【0058】
一のタイトル261には、上記APGCIの他に、実体的な音声情報がトラック(曲)260の組み合わせとして(換言すれば、セル220の組み合わせとして)含まれることとなる。
【0059】
一又は複数のタイトル261により、一のタイトルグループ262が論理上構成される。また、タイトルグループ262は、ユーザがアクセスできる最大の単位で、1ボリューム中、最大9個まで定義することができる。このタイトルグループ262は、ある一定の関連性に基づいて集合された1又は複数のタイトル261により構成され、タイトルグループ内の全てのタイトルは、連続的に再生される。例えば、ある歌手、作曲家の曲集などを一つのタイトルグループとして集合させることができる。
【0060】
一又は複数のタイトルグループ262により、一のボリューム263が論理上構成される。このボリューム263は一枚のアルバム(DVD)に相当する情報単位である。
【0061】
図4に示す一のタイトルに含まれる実際の音声情報は、オーディオDVD上では図3に示すいずれか一のATS203内に記録されていることになる。
【0062】
以上説明した論理フォーマットに基づいて、物理構造において区分された情報を製作者が指定することにより、視聴者が聞く音楽が形成される。
【0063】
(3)DVDの種類
次に、DVDにおけるディスクの種類について説明する。なお、以下の説明においては、DVD上に記録される情報に関し、映画のように映像と音声の両方を含む情報を「AV情報」と呼ぶことがあり、その映像部分のみの情報を「ビデオ(又は映像)情報」と呼ぶ。また、映画などのAV情報の音声部分のみ及び音楽のような音声情報のみの情報を「オーディオ(又は音声)情報」と呼ぶ。
【0064】
また、これらの各種のDVDディスクを再生するDVDプレーヤとしては、DVDビデオフォーマットによるAV情報の再生が可能なビデオDVDプレーヤ(以下、「ビデオプレーヤ」と呼ぶ。)、DVDオーディオフォーマットによるオーディオ情報を各種再生形態で再生するオーディオDVDプレーヤ(以下、「オーディオプレーヤ」と呼ぶ。)、DVDオーディオフォーマットによるLPCMオーディオ情報を2chで再生する簡易オーディオDVDプレーヤ(以下、「簡易オーディオプレーヤ」と呼ぶ。)、及び、DVDビデオフォーマットのAV情報とDVDオーディオフォーマットのオーディオ情報のどちらも再生可能なコンパチブルDVDプレーヤ(以下、「コンパチブルプレーヤ」と呼ぶ。)の4種類がある。それぞれのDVDプレーヤについては後で詳細に説明する。
【0065】
AV情報またはオーディオ情報を記録するDVDとして、ビデオDVD、オーディオナビゲーション付きビデオDVD、オーディオオンリーDVD、オーディオ・ビデオ両用DVDの4種類のディスクが存在する。図5に、4種類のDVDの物理フォーマットを概略的に示す。
【0066】
なお、これらのDVDはディスク形状や情報記録方式(変調方法、トラツクピッチ、ピットサイズ等)は全て同一であり、情報の内容(コンテンツ)が異なるだけである。
【0067】
(3.1)ビデオDVD
図5において最上段に示すのは、ビデオDVDである。このディスクにはDVDビデオフォーマットにしたがった映画などのビデオ情報及びそれと同時に再生されるオーディオ情報(即ち、AV情報)が記録されている。従って、リードインエリアLIとリードアウトエリアLOとの間の記録領域には、ビデオゾーンしか存在せず、再生制御情報、ビデオ情報及びオーディオ情報が複数のVTSに含めて記録され、それらVTSの管理情報を含むVMGが記録されている。図1を参照して説明したように、ビデオ情報はビデオパックとして、オーディオ情報はオーディオパックとして記録される。
【0068】
このビデオDVDは、VMGに記録されている管理情報の中に含まれるナビゲーション情報(再生のための制御情報を規定する情報。後に詳述する。)に基づいてビデオプレーヤ及びコンパチプルプレーヤにより再生される。しかし、DVDオーディオフォーマットによるナビゲーション情報が記録されていないため、オーディオプレーヤでは再生できない。
【0069】
(3.2)オーディオナビゲーション付きビデオDVD
2段目に示すのはオーディオナビゲーション付きビデオDVDと呼ばれるビデオディスクの一種である。このオーディオナビゲーション付きビデオDVDは、ビデオプレーヤでDVDビデオフォーマットによる映画などのビデオ情報(付随するオーディオ情報を含む)の再生が可能なことに加え、DVDオーディオフォーマットによるナビゲーション情報も記録したことにより、オーディオプレーヤで、VTS内のVOBのAV情報のオーディオ情報のみを再生することを可能にしたディスクである。また、オーディオプレーヤによりオーディオ情報のみを再生することが可能なAV情報の部分をオーディオプレイパートと呼ぶ。
【0070】
オーディオナビゲーション付きビデオDVDの記録形態は、図1に示すDVDビデオフォーマットに準拠して、ビデオゾーン内にAV情報が複数のVTSの形態で記録されている。これに加え、オーディオナビゲーション付きビデオDVDは、オーディオゾーンとしてビデオゾーンの前方に、DVDオーディオフォーマットに準拠した、VTS内のオーディオ情報のみを再生するために必要な再生制御情報を含むATSIがATSとして記録され、ATSの管理情報としてのAMGが記録されている。ATS内にはオーディオ情報の実体部分であるAOBは記録されない。即ち、このAMG及びATSIには、オーディオナビゲーション付きビデオDVD内の各VTSに含まれるオーディオ情報(具体的には、各VOB内のオーディオプレイパートオーディオパック(図1参照))をオーディオプレーヤで再生するためのナビゲーション情報が記述されている。
【0071】
また、オーディオゾーンの先頭にはSAPPTが記録されている。このSAPPTには、VTSに含まれるLPCMオーディオ情報を2chで再生するためのナビゲーション情報が記述されている。
【0072】
このオーディオナビゲーション付きビデオDVDは、VMGに記録されているナビゲーション情報に基づいてビデオプレーヤ及びコンパチブルプレーヤで再生される。また、AMG内に記録されているナビゲーション情報に基づいてオーディオプレーヤでオーディオプレイパートのオーディオ情報がプレーヤの能力に応じて各種再生形態で再生される。また、SAPPTに記録されているナビゲーション情報に基づいて簡易オーディオプレーヤでオーディオプレイパートのLPCM情報が2chで再生される。
【0073】
(3.3)オーディオオンリーDVD
3段目に示すのは、オーディオオンリーDVDである。このディスクには、若干の静止画像やテキスト情報を除いてオーディオ情報のみが記録されている。従って、リードインエリアLIとリードアウトエリアLOとの間の記録領域には、オーディオゾーンしか存在せず、ATSI、AOBが複数のATSとして記録され、それらATSの管理情報を含むAMGが記録されている。さらにリードインエリアLI又はオーディオゾーンにはSAPPTが記録されている。
【0074】
また、各ATSはオーディオ情報の実体部分である1又は複数のAOBを含んでいる。このオーディオオンリーDVDは、AMGに記録されているナビゲーション情報に基づいてオーディオプレーヤ及びコンパチブルプレーヤでオーディオゾーン内のオーディオ情報がプレーヤの能力に応じて各種再生形態で再生される。また、SAPPTに記録されているナビゲーション情報に基づいて簡易オーディオプレーヤでオーディオゾーン内のLPCM情報が2chで再生される。しかし、DVDビデオフォーマットによるナビゲーション情報が記録されていないため、ビデオプレーヤでは再生できない。
【0075】
(3.4)オーディオ・ビデオ両用DVD
図5の最下段に示すのはオーディオ・ビデオ両用DVDと呼ばれるものである。リードインエリアLIとリードアウトLOの間には、オーディオゾーンとビデオゾーンがある。ビデオゾーンにはビデオDVDと同様にDVDビデオフォーマットに準拠して、VMG、再生制御情報及び実体としてのAV情報(VOB)を含むVTSが記録されている。リードインエリアLI又はオーディオゾーンにはSAPPTが記録されている。
【0076】
オーディオゾーンにはオーディオオンリーDVDと同様に、DVDオーディオフォーマットに準拠して、SAPPT,AMG、再生制御情報及び実体としてのオーディオ情報を含む複数のATS(図ではATS#1、#2)が記録される。さらに、ビデオゾーンのVTS内のVOBのオーディオ情報のみを再生するための再生制御情報だけを含むATS(図ではATS#3)も記録されている。すなわち、オーディオ・ビデオ両用DVDにおいては、DVDビデオフォーマットによるAV情報とDVDオーディオフォーマットによるオーディオ情報は、別々の領域に記録される。
【0077】
オーディオ・ビデオ両用DVDの場合は、AMGはオーディオゾーン内の全てのATSの管理情報を含んでいるだけでなく、オーディオゾーンとビデオゾーン内の全てのATS及びVTSを絡めた管理情報を含んでいる。またSAPPTも、オーディオゾーンとビデオゾーン内の全てのATS及びVTSを絡めた管理情報を含んでいる。但し、その管理情報は、両ゾーンの2chで再生できるLPCMデータに関するものだけである。
【0078】
ここで、オーディオ・ビデオ両用DVDがオーディオナビゲーション付きビデオディスク及びオーディオオンリーDVDと異なる点は、ディスクの記録領域がオーディオゾーンとビデオゾーンに区分され、夫々にDVDビデオフォーマットによるAV情報とDVDオーディオフォーマットによるオーディオ情報が記録されているという点と、オーディオゾーンに記録されるAMG、及びSAPPTがディスク内の全てのATSおよびVTSを絡めた管理情報を含んでいるという点である。
【0079】
より詳しく説明すると、オーディオナビゲーション付きビデオディスクでは、オーディオ情報は、DVDビデオフォーマットに基づいて、VOBの中にパック単位にビデオ情報と多重されて記録されている。そして、VOB内に記録されたオーディオ情報を再生するための再生制御情報であるAPGCIがATSIとしてATSが構成され、これらのATSだけをAMGにより管理する。AMGにはビデオゾーン内のタイトルの管理情報は記録されない。同様にSAPPTにもビデオゾーンのオーディオプレイパートに関するナビゲーション情報が記述される。
【0080】
これに対し、オーディオ・ビデオ両用DVDではDVDオーディオフォーマットによるオーディオ情報とDVDビデオフォーマットによるAV情報の記録される領域が別個に存在する。オーディオゾーンには、図3に示したDVDオーディオフォーマットによりオーディオ情報の実体部分が複数のAOBとして各ATSに記録される。さらに、各ATS内のオーディオ情報の再生制御情報であるAPGCIをATSI内に記録したATSだけでなく、ビデオゾーンのVTS内のVOBに記録されたオーディオ情報の再生制御情報をAPGCIとしてATSI内に記録したATS(オーディオ実体情報がビデオ領域内にあり、ナビゲーション情報であるATSIのみがATSとして存在している。)の二種類のATSが記録されている。すなわちゾーンに関わらずオーディオ情報の再生に関わる再生制御情報の全てをATSをAMGにより管理する。さらに、全てのATS,VTSに記録されているLPCMオーディオ情報の再生に関わる再生制御情報のうち2chで再生することのできるトラックに関する情報がSAPPTに記録されている。
【0081】
一方、ビデオゾーン内は、AV情報が複数のVTSとして記録され、さらに各VTS内のAV情報の再生制御情報をPGCIとしてVTSI内に記録し、これらVTS全てをVMGで管理している。一方、AMGでもビデオゾーンのAV情報再生に関する再生制御情報の全てを管理している。
【0082】
具体的には、オーディオオンリーDVD、オーディオ・ビデオ両用DVDの場合には、AMGが総合管理情報となり、ビデオDVDの場合には、VMGが主たる管理情報となる。オーディオナビゲーション付きビデオDVDの場合、AMGはオーディオプレーヤによるVOB内のオーディオ情報だけの再生についてのみ管理しており、ビデオタイトルの管理は行わない。
【0083】
またオーディオオンリーDVD、オーディオ・ビデオ両用DVDの場合には、SAPPTは、例えば簡易型、ポータブル型オーディオプレーヤ等による、LPCMオーディオ情報を2chで再生するための総合管理情報となる。ビデオDVDの場合には、SAPPTが無いためLPCMで記録されていても、簡易プレーヤによる、オーディオ情報だけの再生を行うことはない。オーディオナビゲーション付きビデオDVDの場合、SAPPTは簡易オーディオプレーヤによるVOB内のオーディオプレイパートのLPCMオーディオ情報(オーディオオンリータイトル)の再生についてのみ管理しており、ビデオタイトルの管理は行わない。
【0084】
このような構造をとることで、再生装置の能力に応じて最適な再生ができ、なおかつ各ディスクと各再生装置との間で整合性のある互換性が、実現されている。
【0085】
(4)タイトルの再生制御
次に、タイトルの再生制御についてさらに詳しく説明する。ここで、タイトルとは、DVDに記録されるAV情報、オーディオ情報等の実体情報と、その再生手順を示す再生制御情報とから構成される、再生形態の共通な一連の作品(プレゼンテーション)または作品の一部を指す。オーディオDVDの物理及び論理フォーマットで述べたように、ユーザは、直接タイトルを選択し再生を開始するようプレーヤに指示することはない。ユーザは、1つ又は、複数のタイトルから成るタイトルグループを選択し、再生を開始する。しかしプレーヤは、指示されたタイトルグループが、どのようなタイトルから構成されるかをAMG及びATSI内のナビゲーション情報から判断し、各タイトルの再生を連続的に行うことにより、タイトルグループの再生を行っている。従ってDVDプレーヤにおいては、タイトルの再生が基本となる。そこでDVDオーディオフォーマットにおけるタイトル、及びタイトルの再生制御についてオーディオ・ビデオ両用ディスクを例に説明する。
【0086】
(4.1)タイトルの種類
まず、DVDオーディオフォーマットにおけるタイトル(図4のタイトル261)は、オーディオ領域内の音声情報の再生により構成されるオーディオタイトル(以後「AOTT(Audio Only Title)」とも呼ぶ)と、ビデオ領域内のAV情報の再生により構成されるビデオタイトルとに分類される。またビデオタイトルは、画像専用タイトル(以後「AVTT(Audio Video Title)」とも呼ぶ)と、画像音声両用タイトル(以後「AVTT/AOTT(Audio Video Title / Audio Only Title)」とも呼ぶ)の2種類に分類される。なお、DVDビデオフォーマットの場合は画像専用タイトルのみである。
【0087】
AOTTは、オーディオ情報のみが再生されるタイトルであり、その実体情報はオーディオゾーン内のAOBに記録されたオーディオ情報により構成される。
【0088】
AVTTは、オーディオ情報が必ずビデオ情報を伴って再生されるタイトルであり、その実体情報はビデオゾーン内のVOBに記録されたAV情報により構成される。AVTTではオーディオ情報のみの再生は認められず、ビデオ情報と共に再生することが必須となる。
【0089】
AVTT/AOTTは、オーディオ情報のみでも再生することもでき、AV情報としてビデオ情報と共にオーディオ情報を再生することもできるタイトル(即ち、両用タイトルということができる)であり、いずれの場合もその実体情報はビデオゾーン内のVOBに記録されたAV情報により構成される。
【0090】
このAVTT/AOTTが、AV情報、オーディオ情報のどちらとして再生されるかは、再生装置の能力に依存する。すなわち、AV情報の再生能力を有しない再生装置(オーディオプレーヤ)ではAVTT/AOTTをオーディオ情報のみで再生し、AV情報の再生能力を有する再生装置(ビデオプレーヤ及びコンパチブルプレーヤ)ではAVTT/AOTTをビデオ情報と共にオーディオ情報を伴って再生する。
【0091】
ところで、AMGには、オーディオプレーヤ用のナビゲーション情報と、コンパチブルプレーヤ用のナビゲーション情報の2つのナビゲーション情報を別個に記録している。オーディオプレーヤ用のナビゲーション情報は、オーディオゾーンのAOB内のオーディオ情報により構成されるオーディオタイトル(AOTT)及びビデオゾーンのVOB内のAV情報により構成される両用タイトルの音声情報だけを再生するためのナビゲーション情報を記述したオーディオオンリータイトルサーチポインタであり、これはオーディオオンリータイトルサーチポインタテーブル(AOTT_SR)に記録される。一方、全ての種類のタイトルを再生可能なコンパチブルプレーヤ用のナビゲーション情報であるオーディオタイトルサーチポインタは、オーディオタイトルサーチポインタテーブル(ATT_SR)に記録される。これらのナビゲーション情報については図8の説明にてさらに詳述する。
【0092】
このオーディオ・ビデオ両用DVDをビデオプレーヤで再生する場合には、ビデオゾーン内のVMG及びVTSIに記録されているビデオプレーヤ用のナビゲーション情報に従って各VTS内のAV情報を再生する。
【0093】
また、このオーディオ・ビデオ両用DVDをオーディオプレーヤで再生する場合には、オーディオゾーン内のAMG内のAOTT_SRを参照し、ATSIに記録されているオーディオプレーヤ用の再生制御情報に従ってオーディオ情報を再生する。オーディオプレーヤによりオーディオ情報を再生する場合には、2つの場合がある。一つは、オーディオゾーンのAMG及びATS内のナビゲーション情報であるATSI、APGCIに従ってAOB内のオーディオ情報を再生する場合であり、もう一つは、オーディオナビゲーション付きビデオディスクと同様に、AMG及びATSI、APGCIに従ってビデオゾーン内のVTSに記録されたオーディオ情報を再生する場合である。後者の場合は、同じオブジェクトに対して、ビデオプレーヤでは画像を伴うAV情報として再生し、オーディオプレーヤではオーディオ情報のみを再生する。
【0094】
さらに、このオーディオ・ビデオ両用DVDをコンパチブルプレーヤで再生する場合には、オーディオゾーン内のAMG内のコンパチブルプレーヤ用のナビゲーション情報であるATT_SRを参照し、ATSI、VTSIに記録されている再生制御情報に従って、オーディオゾーン内のオーディオ情報及びビデオゾーン内のAV情報が統合的に再生される。
【0095】
オーディオ・ビデオ両用DVDにおけるタイトルは、全てAMGにより管理されており、DVDオーディオフォーマットの上記3種類のタイトルのいずれかに分類される。今、DVDオーディオフォーマット及びDVDビデオフォーマットの両方の再生能力を有するコンパチブルプレーヤを使用して図6に示す論理フォーマット例を有するオーディオ・ビデオ両用DVDを再生する場合を考える。このオーディオ・ビデオ両用DVDにおいて、ボリユームは#1〜#7の7つのタイトルグループから構成されており、各タイトルグループは1つのタイトルにより構成されているものとする。1つのタイトルには1又は複数のトラックが含まれている。図6において、左列はコンパチプルプレーヤ用のナビゲーション情報(ATT_SR)、中央の列はビデオプレーヤ用のナビゲーション情報(TT_SR)、右の列はオーディオプレーヤ用のナビゲーション情報(AOTT_SR)のイメージを示したものである。
【0096】
タイトル#2及び#5はAOTTであるので、これらのタイトルの再生時にはオーディオ・ビデオ両用DVDのオーディオゾーン内のAOBに記録されたオーディオ情報のみが再生される。
【0097】
タイトル#4、#6及び#7はAVTTであるので、オーディオ・ビデオ両用DVDのビデオゾーン内のVOB内に記録されたAV情報が再生される。従って、必ず映像及び音声が再生されることになる。
【0098】
また、タイトル#1及び#3はAVTT/AOTTであるので、コンパチブルプレーヤはオーディオ・ビデオ両用のDVDのビデオゾーン内のVOBに記録されたビデオ及びオーディオ情報に基づき、音声と映像の両方を再生する。なお、ビデオ情報の再生能力を有しないオーディオプレーヤを使用した場合は、タイトル#1及び#3では、オーディオ・ビデオ両用DVDのビデオゾーン内のVOBに記録されたオーディオ情報のみが再生される(図6の右列参照)。即ち、AVTT/AOTTタイトルは、当該DVDディスクを再生しようとする再生装置の能力に応じて、その能力を最大限に発揮できる方法で記録情報を再生するように作成されている。
【0099】
なお、タイトルグループ再生時の混乱を無くすため、AVTTは他の種類のタイトル(AOTT、AVTT/AOTT)とタイトルグループを構成することができないことが約束されている。
【0100】
(4.2)VOBの二重管理
次に、オーディオ・ビデオ両用DVDのビデオゾーン内のVOBに関して規定されるPGCI及びAPGCIの概念について説明しておく。VOB内には、ビデオ情報及びオーディオ情報が多重された形で記録されている。VOBをAV情報として再生する場合には、PGCIに従って再生することとなり、これは、ビデオDVDの場合と同様の概念である。このようにオーディオDVDにおけるAV情報の記録及び再生の仕方をビデオフォーマットに合わせたため、ビデオプレーヤとの互換性が保たれることになった。これに対しVOB内のオーディオ情報のみを再生する場合にはAPGCIに従って再生を行うが、このAPGCIはPGCIとは独立に規定される。これについて、図7を参照して説明する。
【0101】
図7はある一つのVOBを、PGCIに従ってAV情報として再生する場合と、APGCIに従ってオーディオ情報のみとして再生する場合のプログラムの概念を示している。図7において、VOBにはビデオデータ、サプピクチャデータ及びオーディオデータが含まれている。このVOBをAV情報として再生する場合には、その再生制御はPGCIに基づいて行われる。PGCIでは、当該VOBを6個のビデオセル#1−#6に分割し、ビデオセル#1によりビデオプログラム#1を、ビデオセル#2−#4によりビデオプログラム#2を、ビデオセル#6によりビデオプログラム#3を構成している。AVTT/AOTTの如き、ビデオプレーヤやコンパチプレーヤでAV情報を再生する場合は、このようなPGCIに従って再生が行われる。
【0102】
一方、同一のVOBからオーディオプレーヤがオーディオ情報のみを再生する場合には、APGCIに従って再生が行われる。APGCIにより規定されるオーディオプログラムは夫々1又は2以上のオーディオセルにより構成される。ここで、同一のオブジェクト(VOB)に対してであっても、オーディオセルがビデオセルと異なるように(独立に)規定することができる(もちろん一致するように規定することも可能である)。即ち、各オーディオセルの開始位置、終了位置などは、いずれのビデオセルとも独立に設定することができる。また、APGCIにより規定されるオーディオセルの再生順序は、PGCIにより規定されるビデオセルの再生順序と独立に規定することが可能である。
【0103】
図7の例では、オーディオプログラム#1はオーディオセル#1及び#2により構成され、オーディオプログラム#2はオーディオセル#3により構成される。APGCIは、これらオーディオプログラムに含まれるオーディオセルの記録位置、再生順序などの情報を含んでおり、これに基づいてオーディオ情報の再生が行われる。
【0104】
このように、オーディオセルをビデオセルと独立に規定することができるようにした理由は、オーディオ情報をAV情報と独立に管理するためである。こうすることにより、VOB内のオーディオ情報のみを再生する場合にAV情報とは独立に時間管理などを行うことが可能となる。また、AV情報に含まれるオーディオ情報のうち、オーディオ情報のみで再生しても意味のある部分のみの再生が可能となる。もちろん同一セルとして定義することであっても良い。
【0105】
(4.3)タイトルサーチポインタ
次にオーディオ・ビデオ両用DVDにおける、タイトルサーチポインタを用いた、上述の各タイトルの再生について、図6及び図8を参照して説明する。
【0106】
図8に、オーディオ・ビデオ両用DVDのナビゲーション情報の例を示す。前述のように、オーディオ・ビデオ両用DVDは、DVDビデオフォーマットに従うビデオゾーン及びDVDオーディオフォーマットに従うオーディオゾーンを有する。オーディオ・ビデオ両用DVDから再生可能な情報は、映画などのAV情報(音声付き映像情報)とオーディオ情報とである。そして、それぞれの情報を各種プレーヤで再生したとき、混乱や矛盾が生じないようにするためのナビゲーション情報が、各プレーヤに対応して別個にオーディオ・ビデオ両用DVD上に記録されている。
【0107】
(4.3.1)AMG、ATSI、タイトルサーチポインタテーブル
図8において、オーディオ・ビデオ両用DVDはオーディオゾーンとビデオゾーンとを有する。オーディオゾーンはAMG202とATS#1、ATS#2、ATS#3から構成され、ATS#1はATSI211と、AOB210とから構成され、ATS#3はATSI212だけから構成される。また、ビデオゾーンはVMG3とVTS#1、VTS#2から構成され、VTS#1は、VTSI11と、VOB10とから構成される。
【0108】
AMG202は、ナビゲーション情報の実体部分であるAMGI(AMG Information)240を含む。AMGI240は、AMGI240のファイルサイズや記録アドレスなどの情報を含むAMGIマネージメントテーブル241と、ATTサーチポインタテーブル242と、AOTTサーチポインタテーブル243と、を含む。ここでATTとは、オーディオ情報のみから構成されるオーディオオンリータイトル(AOTT)、AV情報から構成される画像専用タイトル(AVTT)及びAV情報から構成される画像音声両用タイトル(AVTT/AOTT)の総称である。
【0109】
ここで、サーチポインタとは、各タイトルの再生制御情報(ここでは、APGCI、PGCIのことを指す。)のDVD上の記録位置を示すポインタである。前述のように、各タイトルは、オーディオ情報、AV情報などの実体情報と、それらの実体情報を組み合わせて再生するための再生制御情報により構成される。この再生制御情報は、ATS内のATSI又はVTS内のVTSIに記録されている。サーチポインタは、各タイトルの再生制御情報のATSI又はVTSI内の記録位置を示すポインタである。なお、ナビゲーション情報は、各タイトルの再生を管理するための情報であり、本実施形態では上記サーチポインタを含む概念である。
【0110】
ATTサーチポインタテーブル242は、当該オーディオ・ビデオ両用DVDの各タイトルをコンパチブルプレーヤで再生する場合のナビゲーション情報を記述したテーブルである。一方、AOTTサーチポインタテーブル243は、当該オーディオ・ビデオ両用DVDの各タイトルをオーディオプレーヤで再生する場合のナビゲーション情報を記述したテーブルである。また、ATTサーチポインタテーブル242と、AOTTサーチポインタテーブル243とは1:1対応しておりATTサーチポインタテーブル内に記述されるサーチポインタの数は当該オーディオ・ビデオ両用DVDに含まれる全てのタイトルの数と一致する。例えば、図6に示すように、当該オーディオ・ビデオ両用DVDに合計7個のタイトルが含まれていれば、ATTサーチポインタテーブル242内にはその7個のタイトルに対応するサーチポインタが記述され、そのタイトルの種類に関わらずAOTTサーチポインタテーブル243にも7個のサーチポインタを記述する枠が用意される。そしてそれぞれのテーブルの枠は1:1に対応している。
【0111】
(4.3.1.1)ATT_SRP
オーディオタイトルサーチポインタ(ATT_SRP)は、オーディオ・ビデオ両用DVDをコンパチブルプレーヤで再生する際に使用するナビゲーション情報である。従って、オーディオ・ビデオ両用DVDがセットされると、コンパチブルプレーヤはこのATT_SRPを参照して各タイトルの再生を行う。
【0112】
図8に示すナビゲーション情報の例は、図6に示すオーディオ・ビデオ両用DVDの例に対応するものであり、タイトル#1、#3が画像音声両用タイトル(AVTT/AOTT)、タイトル#2、#5がオーディオオンリータイトル(AOTT)、タイトル#4、#6、#7が画像専用タイトル(AVTT)である。
【0113】
既に述べたように、オーディオ・ビデオ両用DVDには3種類のタイトル(AOTT、AVTT/AOTT、AVTT)を記録することができる。よって、オーディオ・ビデオ両用DVDでは、AMGのATTサーチポインタテーブル242に、3種類全てのタイトル(AOTT、AVTT/AOTT、AVTT)に関するサーチポインタが記述される。
【0114】
しかしながら、図8のATTサーチポインタテーブル242に実際に書かれるタイトルサーチポインタ245は、オーディオオンリータイトルサーチポインタ(AOTT_SRP)または画像専用タイトルサーチポインタ(AVTT_SRP)のみであり、画像音声両用タイトル(AVTT/AOTT)についてのタイトルサーチポインタは画像専用タイトルサーチポインタ(AVTT_SRP)として記述される(実際の記述を図8のテーブル中に括弧書きで示している)。これは、コンパチブルプレーヤにとっては画像音声両用タイトル(AVTT/AOTT)と画像専用タイトル(AVTT)を区別する必要が無いからである。即ち、コンパチブルプレーヤは、DVDビデオフォーマットの再生能力を有しており、全ての画像音声両用タイトルをAV情報として再生するので、ナビゲーション情報上もビデオサーチポインタ(AVTT_SRP)と区別する必要が無いからである。従って、画像の再生を伴うタイトルに関しては、全て画像専用タイトルサーチポインタ(AVTT_SRP)として共通の書式で記述される。
【0115】
従って、図6の左列と図8のオーディオタイトルサーチポインタテーブル245とを対比すると分かるように、コンパチブルプレーヤ用のナビゲーション情報を記述するATTサーチポインタテーブル242では、画像専用タイトル(タイトル#4、6、7)及び画像音声両用タイトル(タイトル#1、3)については画像専用タイトルサーチポインタ(AVTT_SRP)が記述され、オーディオオンリータイトル(タイトル#2、5)についてはAOTTサーチポインタ(AOTT_SRP)が記述される。コンパチブルプレーヤは、このテーブル242を参照し、図6の左列に示すように、タイトル#1、3、4、6、7をAV情報として再生し、タイトル#2、#5をオーディオ情報として再生する。
【0116】
(4.3.1.2)AOTT_SRP
一方、AOTTサーチポインタテーブル243には、オーディオプレーヤ用のナビゲーション情報が記述されている。よって、オーディオ・ビデオ両用DVDがセットされると、オーディオプレーヤはこのAOTTサーチポインタテーブル243を参照して再生を行う。
【0117】
このテーブルには、オーディオタイトル(AOTT)及び画像音声両用タイトル(AVTT/AOTT)に関するサーチポインタが記述される。オーディオプレーヤはAV情報の再生能力を有しないので、画像専用タイトル(AVTT)についてのサーチポインタの記述は必要が無い。しかし、このテーブルに実際に書かれるサーチポインタは、AOTTサーチポインタ(AOTT_SRP)だけである。オーディオプレーヤにとっては、音声のみを再生できるタイトルであるか否かについての情報だけがあれば良く、オーディオタイトル(AOTT)と画像音声両用タイトル(AVTT/AOTT)を区別する必要が無い。従って、オーディオオンリータイトルサーチポインタテーブル(AOTT_SRPT)243上では、オーディオタイトル(AOTT)と画像音声両用タイトル(AVTT/AOTT)を区別せず、全てAOTTサーチポインタ(AOTT_SRP)として共通な書式で記述される。
【0118】
従って、画像音声両用タイトル(AVTT/AOTT)については、上記のATTサーチポインタテーブル242内では画像専用タイトルサーチポインタ(AVTT_SRP)が記述されるが、AOTTサーチポインタテーブル243内ではオーディオオンリータイトルサーチポインタ(AOTT_SRP)が記述されることになる。
【0119】
なお、画像専用タイトル(AVTT)については、タイトルサーチポインタを書く枠だけが用意されているものの、実体的な情報は記述されないか、若しくは、このタイトルはAOTT_SRPを持っていない(音声だけの再生はできない)旨が記述される。AOTTサーチポインタテーブル243はオーディオプレーヤ用のナビゲーション情報を記述するものであり、オーディオプレーヤはAV情報の再生は不能だからである。よって、オーディオプレーヤはこのタイトルを再生できないと判断し、この記述を無視する。
【0120】
以上のように記述されたAOTTタイトルサーチポインタテーブル243を参照して、オーディオプレーヤは図6の右列に示す再生を行う。即ち、画像専用タイトル#4、6、7を無視し、タイトル#1、2、3、5についてオーディオ情報を再生する。
【0121】
(4.3.2)VMG、VTSI、タイトルサーチポインタ
VMG3は、ナビゲーション情報の実体部分であるVMGI(VMG Information)を含む。VMGIは、VMGIのファイルサイズや記録アドレスなどの情報を含むVMGIマネージメントテーブル250と、タイトルサーチポインタテーブル(TT_SRPT)251とを含む。タイトルサーチポインタテーブル251は、ビデオプレーヤについてのナビゲーション情報を記述したテーブルである。よって、ビデオプレーヤは、このタイトルサーチポインタテーブル(TT_SRPT)251を参照し、従来のビデオフォーマットで決められた手順に従ってタイトルの再生を行う。従って、ここでいうタイトルは、画像音声両用タイトル(AVTT/AOTT)と画像専用タイトル(AVTT)の2種類であるが、タイトルサーチポインタテーブル(TT_SRPT)251には、この2つを区別することなく、全てTT_SRPとして記述されるということになる。
【0122】
このように、オーディオ・ビデオ両用DVDでは、オーディオプレーヤ、ビデオプレーヤ、コンパチブルプレーヤそれぞれにとって、最適なナビゲーション情報を準備し、3つの別個のタイトルサーチポインタテーブルとして記録している。これにより、各再生装置の能力に応じて最適な再生が行うことができる。
【0123】
(4.4)サーチポインタテーブルの構造
次にサーチポインタテーブルの構造についてさらに詳しく説明する。
【0124】
(4.4.1)ATT_SRP、AOTT_SRP、TT_SRP
ATTサーチポインタテーブル242は、ATTサーチポインタの数などの情報を含むATTサーチポインタ情報244と、複数のATTサーチポインタ245とを含む。なお、図8において、各ATTサーチポインタの括弧内は、実際に当該サーチポインタとして記載されるサーチポインタの種類を示す。前述したようにATTサーチポインタテーブル242に書かれるサーチポインタは、AOTT_SRP又はAVTT_SRPのいずれかである。
【0125】
AOTTサーチポインタテーブル243は、同様にAOTTサーチポインタの数などの情報を含むAOTTサーチポインタ情報246と、複数のAOTTサーチポインタ247とを含む。図8において、各AOTTサーチポインタの括孤内も、実際に当該サーチポインタとして記述されるサーチポインタの種類を示す。前述のように、AOTTサーチポインタテーブルに書かれるサーチポインタは、全てAOTT_SRPである。
【0126】
同一のタイトルを指定するATTサーチポインタとAOTTサーチポインタの各サーチポインタテーブル上における位置は、同じでなくてはならない。即ち、ATTサーチポインタテーブル242上のATTサーチポインタと、AOTTサーチポインタテーブル243上のAOTTサーチポインタとは、1:1で対応しており、ATT_SRP#1とAOTT_SRP#1は同一のタイトルを指定する。
【0127】
TTサーチポインタテーブル251は、同様にTTサーチポインタの数などの情報を含むTTサーチポインタ情報252と、複数のTTサーチポインタ254とを含む。
【0128】
ATTサーチポインタ245とAOTTサーチポインタ247とは1:1で対応しているが、両者とTTサーチポインタとの間には必ずしも1:1の対応関係は存在しない。しかし、TTサーチポインタも、対象となるタイトルを論理的に構成するPGCを示すことでその再生手順を示しているという点ではATTサーチポインタ、AOTTサーチポインタと同じである。
【0129】
(4.5)各タイトルの再生方法
次に、図6及び8を参照し、オーディオ・ビデオ両用DVDに記録可能な3種類のタイトルの各々の再生方法について、それらタイトルを再生可能なプレーヤ毎に分類して説明する。
【0130】
(4.5.1)オーディオオンリータイトル(AOTT)の再生方法
AOTTを再生できるのは、オーディオプレーヤとコンパチブルプレーヤである。AOTTは、オーディオ情報再生のためのタイトルである。また、本発明で実現しようとしている、もしくは関連のある、オーディオオンリータイトルの主な再生形態(機能)には、以下のものがある。但し画像音声両用タイトル(AVTT/AOTT)のオーディオプレーヤでの再生において、実現できる再生形態も含む。
【0131】
マルチチャンネル再生:
DVDオーディオフォーマットにおいて、ビデオゾーンのLPCMオーディオ情報は、最大8ch可能。ディスクリートマルチチャンネルとしては、最大6ch可能。この場合、各チャンネルに対して前方3チャンネル+後方2チャンネル+サブウーハの組み合わせのから11パターンが、またディスクリートマルチチャンネルの部分と2ch再生用の信号との組み合わせから13パターン計24パターンの設定が可能。オーディオゾーンのLPCMオーディオ情報は、最大6チャンネル可能、各チャンネルに対して前方3チャンネル+後方2チャンネル+サブウーハの組み合わせの中で21パターンが可能。
【0132】
2ch再生:
2ch以下のLPCMオーディオ情報は、そのまま再生。ビデオゾーンのマルチチャンネルLPCMオーディオ情報は、CH0,CH1の2chのみ再生、オーディオゾーンのマルチチャンネルLPCMオーディオ情報は、トラック単位で別々に定義されるダウンミックス係数に基づいて2chにダウンミックスし2chとして再生する。
【0133】
オーディオセレクション:
DVDでは、2つの異なった再生形態のオーディオ情報を一つのタイトルとして定義し、ユーザが選択することができる。この機能をオーディオセレクションと呼ぶ。具体的には、ユーザが同一の曲に対して2chとマルチチャンネルの異なった再生形態を選択することができる。また2chとマルチチャンネル以外の選択としては、同一の曲に対してLPCM記録のオーディオ情報と他のコーディング方式(圧縮音声や1ビット音声など)で記録されたオーディオ情報とを選択し聞くこともできる。
【0134】
オーディオコーディングモード(リニアPCM、ドルビーAC3、MPEGオーディオ、DTS、SDDS):
オーディオ情報を記録する際の符号化方式の種類を示す。CDにも使われているLPCMがよく知られている。他は圧縮符号化方式の一つである。
【0135】
マルチチャンネルタイプ:
DVDオーディオフォーマットにおける、LPCMのマルチチャンネル記録の種類を示す。タイプ1の場合には、最大6chまで設定可能。各チャンネルにとスピーカ配置の関係も、前方3チャンネル+後方2チャンネル+サブウーハの組み合わせの中で設定可能。
【0136】
チャンネルアサイメント(チャンネル数、スピーカ配置):
LPCMのマルチチャンネルにおける、チャンネル数、各チャンネルと出力スピーカ配置との関係、及び各チャンネルとチャンネルグループとの関係を示す。例えば、3chの信号が記録されている場合、CH0は、Left Front speaker:左前から出力する信号でチャンネルグループ1に含まれる、CH1は、Right Front speaker:右前から出力する信号でチャンネルグループ1に含まれる、 CH2は、Surround speaker:後方から出力する信号で、チャンネルグループ2に含まれる、といった関係であることを示す。前述したように、マルチチャンネルタイプが、タイプ1の場合には、前方3チャンネル+後方2チャンネル+サブウーハの組み合わせの中で21パターンの設定が可能で、チャンネルアサイメント情報がこの21パターンのうちどの組み合わせであるかを示す。
【0137】
マルチストリーム:
DVDオーディオフォーマットにおけるオーディオ領域に記録されるオーディオの実体情報は、AOBの中に、唯一のオーディオストリームとして記録されるが、ビデオ領域に記録されるオーディオの実体情報は、VOBの中に、映像のストリームと共に、パック毎に多重して記録される。またVOBは、限られた転送レートの範囲内であれば、複数のオーディオストリームを多重することができる。例えば2ch/LPCMオーディオストリームとマルチチャンネル/LPCMオーディオストリームを多重したり、2ch/LPCMオーディオストリームとAC−3圧縮音声ストリームを多重することも可能である。これらの再生形態の異なる2つのオーディオストリームは、オーディオセレクションの値を指定することにより、ユーザが選択することができる。
【0138】
(4.5.1.1)オーディオプレーヤの場合
最初に、オーディオプレーヤがAOTTを再生する方法について説明する。前述のように、オーディオプレーヤはナビゲーション情報としてAOTT_SRPT243のみを参照する。従って、タイトル#2を再生しようとすると、AOTT_SRP#2を参照し、当該タイトルが含まれる、ATS番号(この場合は、ATS#1)とそのATS内でのタイトル番号を読み出す(図8、「P2A(1)」で示すパスを参照)。次に該当するATS#1のATSI211を参照し(図8、「P2A(2)」で示すパスを参照)、先のATS内でのタイトル番号から当該タイトルが対応するA(Audio)PGCIを読み出す。従って、再生時にはAOTT_SRP#2が指定するAPGCIに従ってAOB210内のオーディオパック43を再生することによりオーディオ情報を再生する(図8、「P2A(3)」で示すパスを参照)。
【0139】
(4.5.1.2)コンパチブルプレーヤの場合
次に、コンパチブルプレーヤがAOTTを再生する方法ついて説明する。コンパチブルプレーヤはナビゲーション情報としてATT_SRPT242を参照する。従って、タイトル#2を再生しようとすると、ATT_SRP#2を参照し、それがAOTT_SRPであるので、当該タイトルがAOTTであることを認識する。以後、オーディオプレーヤと同様に、当該タイトルが含まれる、ATS番号(この場合は、ATS#1)とそのATS内でのタイトル番号を読み出す(図8、「P2C(1)」で示すパスを参照)。次に該当するATS#1のATSI211を参照し(図8、「P2C(2)」で示すパスを参照)、先のATS内でのタイトル番号から当該タイトルが対応するAPGCIを読み出す。従って、再生時にはATT_SRP#2が指定するAPGCIに従ってAOB210内のオーディオパック43を再生することによりオーディオ情報を再生することができる(図8、「P2C(3)」で示すパスを参照)。
【0140】
(4.5.2)画像専用タイトル(AVTT)
次に、画像専用タイトルの再生のパスを説明する。画像専用タイトルは、ビデオプレーヤとコンパチブルプレーヤが再生することができる。
【0141】
(4.5.2.1)ビデオプレーヤの場合
ビデオプレーヤは、ナビゲーション情報としてTT_SRPT(タイトルサーチポインタテーブル)251を参照し、ビデオフォーマットの再生手順に従って処理を行う。従って、まずVMG3のタイトルサーチポインタテーブル251を参照する。ここでオーディオナビゲーション上で対応するタイトルの各タイトルサーチポインタテーブル242、243上のサーチポインタの記述位置と、VMG3のタイトルサーチポインタテーブル251上のタイトルサーチポインタの記述位置は、1:1に対応していなくてもよい。即ち、AMGIのATTサーチポインタテーブル242とVMGIのTTサーチポインタテーブル251において、その内容及び順番を、独立に定義することができる。ただし、混乱を避けるため、タイトルサーチポインタテーブル251内に、VMGIのTT_SRP254に対応するタイトルがない場合には、原則としてTTサーチポインタテーブル上で枠を詰めて記述することとする。従ってタイトル番号は、図8で示すように異なる場合がある。即ち、図6に示す例のオーディオ・ビデオ両用DVDには7個のタイトルが存在するが、ビデオプレーヤはAOTTであるタイトル#2及び#5は再生しないので、これらを省いた残りの5個のタイトル(タイトル#1、#3、#4、#6、#7)についてのTT_SRPをタイトルサーチポインタテーブル251内に記述している。よって、タイトルサーチポインタテーブル251内のTT_SRP#1−#5は、夫々図6に示す各タイトル#1、#3、#4、#6、#7に対応している。
【0142】
TT_SRP254は、対象となるタイトルを論理的に構成するPGCを示している。従ってビデオプレーヤは、このサーチポインタから当該タイトルが含まれるVTS番号(この場合は、VTS#1)とそのVTS内でのタイトル番号を読み出す(図8、「P3V(1)」で示すパスを参照)。次に該当するVTS#1のVTSI11を参照し(図8、「P3V(2)」で示すパスを参照)、先のVTS内でのタイトル番号から当該タイトルが対応するPGCIを読み出す。よって、ビデオプレーヤは、このPGCIを取得し、VOB内のビデオパック、オーディオパックなどを使用して当該タイトルをAV情報として再生する(図8、「P3V(3)」で示すパスを参照)。
【0143】
(4.5.2.2)コンパチブルプレーヤの場合
次に、コンパチブルプレーヤが画像専用タイトル(AVTT)を再生する場合のパスについて説明する。コンパチブルプレーヤはナビゲーション情報としてATT_SRPT242のみを参照する。従って、このATT_SRP#4を参照し、それがAVTT_SRPであるので、当該タイトルが画像専用タイトルであることを認識する。前述したように、ビデオプレーヤにおけるタイトル番号とは一致しない。しかし以後は、ビデオプレーヤがTT_SRPTから読み出したのと同様に、ATT_SRP245から、当該タイトルが含まれる、VTS番号(この場合は、VTS#1)とそのVTS内でのタイトル番号を読み出す(図8、「P4C(1)」で示すパスを参照)。次に該当するVTS#1のVTSI11を参照し(図8、「P4C(2)」で示すパスを参照)、先のVTS内でのタイトル番号から当該タイトルが対応するPGCIを読み出す。よって、コンパチブルプレーヤも、このPGCIを取得し、VOB内のビデオパック、オーディオパックなどを使用して当該タイトルをAV情報として再生する(図8、「P4C(3)」で示すパスを参照)。
【0144】
(4.5.2.3)オーディオプレーヤの場合
次に、オーディオプレーヤの場合について説明する。オーディオプレーヤはナビゲーション情報としてAOTT_SRPT243のみを参照する。従ってAOTT_SPR#4を読み出すが、ここには該当するAOTTは無いと書かれているため、再生を中止する。
【0145】
(4.5.3)画像音声両用タイトル(AVTT/AOTT)の場合
画像音声両用タイトルは、オーディオプレーヤ、ビデオプレーヤ、コンパチブルプレーヤ全てのプレーヤで再生される。従ってこの順に説明する。
【0146】
(4.5.3.1)オーディオプレーヤの場合
最初に、オーディオブレーヤが画像音声両用タイトルを再生する方法について説明する。オーディオプレーヤはナビゲーション情報としてAOTT_SRPT243しか参照しない。従って、AOTT_SRP#1を参照し、当該タイトルが含まれるATS番号(この場合は、ATS#3)とそのATS内でのタイトル番号を読み出す(図8、「P1A(1)」で示すパスを参照)。次に該当するATS#3のATSI212を参照し(図8、「P1A(2)」で示すパスを参照)、先のATS内でのタイトル番号から当該タイトルが対応するAPGCIを読み出す。但し、このATS#3は、実体としてのオーディオデータを含まず、このAPGCIはVTS#1のVOB10に対する再生手順を示すものである。従って、再生時にはこのAPGCIに従ってVOB10内のオーディオパック43だけを再生することによりオーディオ情報のみを再生する(図8「P1A(3)」で示すパスを参照)。
【0147】
(4.5.3.2)ビデオプレーヤの場合
次にビデオプレーヤが画像音声両用タイトル再生する方法について説明する。前述したように、ビデオプレーヤは、ディスクの種類に関わらず、ビデオフォーマットの再生手順に従って処理を行う。従って、まず最初にVMG3のタイトルサーチポインタテーブル251を参照する。ここでのタイトル番号は#1であり、オーディオナビゲーション上のタイトル番号と一致する。以後のパスは、(5.2.1)の場合と同様であるので説明を省略する(図8、「P1V(1)、(2)、(3)」で示すパスを参照)。
【0148】
(4.5.3.3)コンパチブルプレーヤの場合
次に、コンパチブルプレーヤが画像音声両用タイトルを再生する方法について説明する。コンパチブルプレーヤはナビゲーション情報としてATT_SRPT242のみを参照する。従って、このATT_SRP#1を参照し、AVTTであることを認識する。以後は、ビデオプレーヤがTT_SRPT251から読み出したのと同様に、ATT_SRP245から、当該タイトルが含まれるVTS番号(この場合も、VTS#1)とそのVTS内でのタイトル番号を読み出す(図8、「P1C(1)」で示すパスを参照)。以後のパスは、ビデオプレーヤの場合と同様であるので説明を省略する(図8、「P1C(2)、P1C(3)で示すパスを参照」。
【0149】
以上説明したように、ビデオ用のナビゲーション情報とオーディオ用のナビゲーション情報を持つだけでなく、それらを統合する情報を持ち、又はそれらを関連づける情報を持つことで、各種再生形態が異なるタイトルを、再生能力が異なる各種プレーヤで再生した際の矛盾と混乱をなくすことができる。
【0150】
(5)タイトルの管理情報
今まで述べてきたようにユーザは、所望のタイトルグループ又はそこに含まれるトラックを選択し、再生を指示する。再生装置は、指示されたタイトルグループを構成する、タイトル又は指示されたトラックが含まれるタイトルを、再生装置の能力に応じて自動的に選択し再生を開始する。
【0151】
さらに、DVDオーディオフォーマットでは、オーディオタイトル(AOTT)又は画像音声両用タイトル(AVTT/AOTT)をオーディオプレーヤで再生する場合、オーディオ情報を選択することができる論理構造となっている。この機能を実現するための構造について、最初にそのナビゲーション情報を図9に基づいて説明する。図9は、図3又は図8に示したATS203の構造を詳細に示したブロック図である。
【0152】
(5.1)ATSI
ATS203は、前述したようにナビゲーション情報としてのATSI211とオーディオ実体情報(AOTT_AOB210)の纏まりとしてのAOTT_AOBS10’及びATSI211のバックアップとしてのATSI_BUP213から構成されている。
【0153】
また、ATSI211は図9に示すように、管理情報としてのATSI_MAT270と再生制御情報のテーブルであるATS_PGCIT271から構成されている。
【0154】
(5.1.1)ATSI_MAT
管理情報のATSI_MAT270には、各種テーブルのアドレス情報やオーディオ実体情報に関する属性情報やダウンミックス係数等が記述される。
【0155】
(5.1.1.1)属性情報
属性情報には、AOTT_AOBS210’に含まれるAOTT_AOB210に関して、各AOTT_AOB210毎に、その符号化方式、標本化周波数、量子化ビット数、チャンネル数、マルチチャンネルタイプ、チャンネルアサイメント等が、記述される。このようにATS203に、AOTT_AOBS210’が在る場合には、複数種類のオーディオ情報は、別のAOTT_AOB210としてAOTT_AOBS210’の中に個々に分かれて記録されることなる。また、ATS203には、AOTT_AOBS210’を持たないものもあり、この場合の属性情報には、ビデオゾーンに記録されたVOB(AOTT_VOB,
AVTT_VOB
)10のオーディオストリームに関する属性情報が、記述される。従ってVOB10に複数種類のオーディオ情報が、複数のストリームとしてVOBに記録されている場合、各ストリーム毎にそのストリーム番号とその属性情報がここに記述される。
【0156】
(5.1.2)ATS_PGCIT
ATS_PGCIT271は、再生制御テーブル全体に関する情報を記述する、ATS_PGCITI272とタイトルに対応する再生制御情報を探すためのサーチポインタ(ATS_PGCI_SRP)275のテーブル275と再生制御情報(ATS_PGCI)276そのもののテーブル274から構成される。
【0157】
(5.1.2.1)ATS_PGCI_SRP
本発明では、種類の異なる複数のオーディオ情報をディスクに記録すると共に、原則として録音対象が共通なオーディオ情報については、同じ作品、同じ曲として取り扱うために、図10及び図11に示すように、管理情報としてのPGC300を導入し、一つのタイトル261に種類の異なる複数のオーディオ情報を関係付けている。このPGC300を用いたオーディオ情報の管理方法の詳細については後述するが、本発明においては、一つのタイトル261に種類の異なる複数のオーディオ情報を関係付ける場合には、PGC300をブロック化した論理構造を有している。
【0158】
そして、このPGC300により管理されるオーディオ実体情報の再生制御情報がATS_PGCI276であり、ATS_PGCI_SRP275には、各タイトル621に対応するATS_PGCI276を探すための情報が記述される。例えば、各ATS_PGCI276毎にそのPGC300がエントリーであるかどうかが記述される。エントリーとは、PGCブロックを代表するPGC300であることを示す情報である。また、
ATS_PGCI_SRP275には、ATS203内のタイトル番号、PGCブロックを形成しているかどうか、またPGCブロックの中での関係(先頭、ブロック中、最後)、ブロックタイプ、チャンネル数、符号化方式、
ATS_PGCI276の開始アドレス等が記述される。
【0159】
前述したように、タイトル再生開始時には、AMG202のAOTT_SRP247でATS番号とATSタイトル番号をもって、対応するATS_PGCI276を取得すると説明してきたが、対応する番号のATS203の、ATS_PGCI_SRP275を見ると、ATSタイトル番号に対応するATS_PGCI276の記録されている場所がわかる。
【0160】
また、複数のオーディオ情報が一つのタイトルに対応している場合には、同じATSタイトル番号を持ったATS_PGCI_SRP275が複数存在することとなる。この場合には、他の情報(ブロックタイプ、チャンネル数、符号化方式)とあわせ判断し最適な、PGC300を選択し、再生を開始することとなる。
【0161】
(5.1.2.2)ATS_PGCI
サーチポインタのテーブルに続いて、各タイトルに対応した再生制御情報としてのATS_PGCI276が並び、テーブルを構成している。
【0162】
本発明では、PGC300によりオーディオ実体情報を管理するために、図10又は図11に示すように、プログラム301という区分情報を用いている。プログラム301は、前述したセル220を、一曲等の再生単位で区分する情報であり、トラック260に対応した情報である。従って、タイトル261に対応するPGC300は、一又は複数のプログラム301を管理することになり、この情報がATS_PGCI276に記述される。
【0163】
一つのATS_PGCI276は、PGC300全体に関する情報(ATS_PGC_GI)290と、そのPGC300を構成する各プログラム301に関する情報を集めたテーブルATS_PGIT291、さらにプログラム301を構成する各セル220に関する情報を集めたテーブルATS_C_PBIT292から構成される。
【0164】
(5.1.2.2.1)ATS_PGC_GI
ATS_PGC_GI290には、当PGC300全体に関する情報として、プログラム数、セル数、PGC再生時間、この情報の後に続く各テーブルのスタートアドレス等、が記述されている。
【0165】
(5.1.2.2.2)ATS_PGIT
ATS_PGC_GI290に続いて、当PGC300を構成するプログラム301に関する情報ATS_PGIが、その再生順にプログラム数だけ並び、テーブルATS_PGIT291を形成している。一つのATS_PGIには、連続再生のための情報、当プログラムが再生するオーディオ実体情報(AOB)の属性を特定するための情報、ダウンミックス係数を特定するための情報、プログラム先頭に対応するセル番号、スタートPTS、プログラム再生時間、等の情報が記述される。
【0166】
このATS_PGIの属性を特定する情報とは、前述した、ATSI_MAT270中に具体的に書かれているオーディオ実体情報の属性情報を属性番号ということで特定し、両者を対応させることで初めて当プログラムの詳細な属性情報を得ることができる。この属性番号をプログラム毎に定義できる構造としているため、DVDオーディオフォーマットでは、曲毎に属性が変更できる構造となっている。
【0167】
しかし、ATS_PGCI_SRP275の中でも属性に関する情報がある。ATS_PGCI_SRP275に記述される属性情報は、種類の異なるオーディオ実体情報を選択するための情報であり、各プログラム301に共通な属性情報のみの記述となる。逆にいえば、プログラム単位で属性を自由に設定することができるといっても、符号化方式は共通でなければならない。またPGCブロックを組んだ場合は、PGC300内の全てのプログラム301はチャンネル数も2ch以下で統一する又は3ch以上で統一する、という制限を守る必要がある。
【0168】
また、プログラム先頭に対応するセル番号により、当プログラム301がどのセル220と対応しているかがわかる。
【0169】
(5.1.2.2.3)ATS_C_PBIT
ATS_PGIT291に続いて、当PGC300を構成するセルに関する情報ATS_C_PBIが、その再生順にセル数だけ並びテーブルATS_C_PBIT292を形成している。一つのATS_C_PBIは、インデックス番号、セルタイプ、スタートアドレス、エンドアドレス等が記録される。ここで初めてタイトル261に対応するオーディオ実体情報のディスク上のアドレスがわかる。
【0170】
例えば、ユーザがあるタイトルグループ262の3曲目を指示したとする。このタイトルグループ262は1つのタイトル261から構成されているとする。タイトル261に対応するATS_PGCIの取得は前述したとおりである。3曲目なのでプログラム#3に対応する3番目のATS_PGIT291を読み、その中の先頭セル番号#nを取得する。プログラム301(#3)はセル220(#n)から開始することがわかったので、n番目のATS_C_PBIを読み取り、ここに記述されている、スタートアドレスを取得し、そこへジャンプし3曲目の再生を開始することとなる。
【0171】
(5.2)オーディオ情報の記録方法
次に、本実施形態において、複数の種類の異なるオーディオ情報がどのように記録されるかについて説明する。
【0172】
各オーディオディスクの物理構造の説明で述べたように、ATS203,VTS3には、それぞれ、オーディオ実体情報としてのAOB210、AV実体情報としてのVOB10が含まれる。さらにオーディオタイトルとして再生される実体情報をそれぞれ、AOTT_AOB,AOTT_VOBとも呼ぶ。複数のAOTT_AOB,AOTT_VOBを一つの纏まりとしたものが、それぞれAOTT_AOBS,AOTT_VOBSである。
【0173】
複数の種類の異なるオーディオ情報とは、 具体的に以下に示す3種類に分類される。
【0174】
a.録音状況が異なる複数のオーディオ情報(たとえば、通常録音とバイノーラル録音、ホール前方での録音とS席での録音、ワンポイント録音とマルチマイクによる録音、等々)
b.符号化方式が異なる複数のオーディオ情報(たとえば、LPCMとMPEG,Dolby AC−3,SDDS,DTS、等々)
c.再生形態(チャンネル数が2ch以下又は3ch以上)が、異なる複数のオーディオ情報
録音状況、符号化方式、再生形態、は、それぞれ独立に決めることができる。しかしここで対象とする、種類の異なる複数のオーディオ情報とは、原則として録音対象が共通なオーディオ情報であり、同じ作品(タイトル)、同じ曲(トラック)として扱われるべきものである。これらの種類の異なる複数のオーディオ情報は、ディスク上に2種類の異なった方法で記録される。
【0175】
(5.2.1)複数のオーディオストリームを有したAOTT_VOBS
DVDオーディオフォーマットであっても、画像情報の伴った場合のオーディオ情報の記録方式は、DVDビデオフォーマットと互換を取るためDVDビデオフォーマットと同じ記録方式とした。そこで、画像情報と共に種類の異なる複数のオーディオ情報を記録する場合には、同一の実体情報(AOTT_VOB)に、別ストリームとして、多重し、記録することとした。ビデオフォーマットのところでも述べたように、VOB10には、画像情報やオーディオ情報を始め副映像情報等がそれぞれ別なストリームとして定義され、それぞれパック単位(2048Bytes)に分割され、この単位で多重され一つのシステムストリームとして、ディスク上に記録される。
【0176】
ここでオーディオ情報としては、最大8種類まで定義できるので、種類の異なるオーディオ情報をそれぞれ、異なったストリーム番号を持つ別ストリームとして記録することができる。このような記録方法を取った場合には、DVDビデオフォーマットと互換を取ることができる。また、再生装置が再生時に処理するストリームを変更するだけで簡単にオーディオ情報の種類を変更することができる、といったメリットがある。さらに、ビデオタイトルとして見た場合、一つの実体情報に記録しているので、当然、同一タイトル、同一トラックとして扱うことができる。従って、チャンネル数等の異なる複数のオーディオ情報を、ユーザへ混乱を与えることなく、適切に記録できる。
【0177】
但し、このようなストリームの多重方式は、オーディオフォーマットに対しては不適切である。DVDディスクにおいては、全てのストリームのデータ転送レートの合計が10.08Mbps以下でなくてはならないという制限がある。従って、以下の表1に示すような二つのストリームを多重することができない。
【0178】
【表1】
【0179】
オーディオDVDでは、非圧縮のLPCM音声を必ず記録する必要があるので、標本化周波数が高い場合、もしくはチャンネル数が多い場合、必要とされるデータ転送レートが高い。従ってオーディオ情報を主体とし、主に非圧縮のLPCM音声を複数記録しようとする場合には、このストリームの多重方式は、不適当といえる。
【0180】
また、オーディオフォーマットには、録音用としての機能や、現在使用されているスタジオ機器との整合性を重視し、特に記録時の処理が簡単なことが求められている。DVDビデオフォーマットのようにビデオストリームを始めとし、複数の可変レートのストリームを多重する構造を持つことになると、データ中に管理情報を置かなくてはならない。また、この管理情報には、前後数分のデータに関するアドレス情報を記述する構造となっており、録音装置として考えると、前後の数分のデータがそろわないとディスクに記録することができない。従って簡易な録音機を構成できないといった問題を生じる。また、現在のスタジオ機器以外に、新たなオーサリング装置が必要となる。といった問題もある。
【0181】
(5.2.2)複数のブロックAOTT_AOBS
オーディオ情報だけを記録する場合は、上記の問題点を解決することを、より重要な課題とし、オーディオフォーマットとして求められる構造を採ることとした。そこで、一つの実体情報(AOTT_AOB)には、1種類のオーディオストリームしか記録しないこととし、種類の異なる複数のオーディオ情報を記録する場合には、別の実体情報(AOTT_AOB)としてディスク上別のエリアに分離して記録することとした。このようにすることで、一つのオーディオ情報のデータ転送レートが、10.08Mbps以下であれば、いくつでも記録できる構造となる。また1種類のオーディオストリームしか記録しないため、そのオーディオ情報が非圧縮のLPCMのように固定レートのデータで在れば、データ中に管理情報を置く必要もなく、記録時の処理も簡単なものとなる。
【0182】
また2chのオーディオ情報とマルチチャンネルのオーディオ情報とを同時に再生する必要はなく、また瞬時に切り換える必要性もあまりない。従って別の実体情報に分離して記録した場合には、再生時の切り換えに伴う処理が、複雑なものになるが、大きな問題ではないといえる。
【0183】
しかし、この場合、複数の実体情報を、同一のタイトルとして扱う仕組みが必要となる。また同じ仕組みで、AOTT_VOBに複数のストリームとして記録されたオーディオ情報も統一的に扱う必要がある。
【0184】
(5.3)オーディオセレクション
以上のように、種類の異なる複数のオーディオ情報を記録する方法には、大きく分けて2つの方法があるが、夫々において問題がある。そこで、本発明は、再生制御情報に次のような論理構造を持たせることにより、夫々の方法における問題を解決し、適切なオーディオセレクションを可能にした。ここで、オーディオセレクションとは、同一タイトルとして扱う必要がある、ディスク上の異なるエリアに記録されている種類の異なる複数のオーディオ情報を切り換えるこという。
【0185】
まず、種類の異なる複数のオーディオ情報を、別の実体情報(AOTT_AOB)としてディスク上別のエリアに分離して記録する方法を採る場合には、図10に示すように、オーディオ実体情報の記録方式(図10の場合には、録音形態:2chとマルチch)の異なる複数の各オーディオ実体情報(この場合はオーディオタイトルであるので、AOTT_AOB210(AOB#1,AOB#2))の再生に対して、夫々のAOB210を構成するセル220を、第2区分単位としてのプラグラム301の単位に区分する。また、夫々のプログラム301を、第2区分情報としてのプログラム番号(#1,#2,#3,…)により識別する。このプログラム301とは、トラック260に対応した再生単位であり、例えば1曲分に相当する。従って、夫々のオーディオ実体情報(AOTT_AOB210(AOB#1,AOB#2))は、記録方式が異なるものの、内容は同一であるから、夫々のオーディオ実体情報についてのプログラム301の数及び順序は等しくなる。図10の場合は、夫々、プログラム#1,#2,#3で構成されることになる。
【0186】
次に、夫々のプログラム301(プログラム#1,#2,#3)を、管理情報としてのブロック化された夫々別のPGC300(PGC#1,PGC#2)によりまとめる。そして、これらのPGC300(PGC#1,PGC#2)を、同一のトラック261(図10の場合はトラック#1)に対応させることにより、同一のトラック260(#1)に対して、夫々の記録方式の異なるオーディオ実体情報を含むプログラム301(プログラム#1,#2,#3)を関係付けている。つまり、本発明は、第2区分情報としてのプログラム番号により識別されるプログラム単位のオーディオ実体情報であって、夫々記録方式の異なるオーディオ実体情報を、第1区分情報としてのトラック番号(#1,#2,#3,…)により識別される第1区分単位としてのトラック261であって、同一のトラック番号を有する同一のトラック261に、管理情報としてのブロック化された別々のPGC300を用いて関係付けている。
【0187】
このようにすることにより、種類の異なる複数のオーディオ情報を、別の実体情報(AOTT_AOB)としてディスク上別のエリアに分離して記録する方法を採る場合でも、ユーザからは、同一のタイトル、同一の曲と認識され、ユーザの指示又は再生装置の能力にあった記録方式のオーディオ実体情報を管理するPGC300を選択することで、種類の異なる複数のオーディオ実体情報を統一的に扱うことができる。
【0188】
次に、ビデオフォーマットの記録領域に、ストリーム多重方式により記録方式の異なるオーディオ実体情報を記録する方法を採る場合には、図11に示すように、
オーディオ実体情報AOTT_VOB10(図11の場合はVOB#1)を、ブロック化され、かつ夫々の記録方式(図11の場合には録音形態:2chとマルチch)ごとに設けられた別々のPGC300(図11の場合はPGC#1,#2)を用いて、同一のトラック261(図11の場合はトラック#1)に関係つける。なお、夫々のPGC300が、プログラム301(図11の場合はプログラム#1,#2,#3)を管理する点は、図10の場合と同様である。
【0189】
このような論理構造を採ることにより、夫々のPGC300により、夫々のオーディオ実体情報の記録方式が管理されているので、オーディオストリーム内のナビゲーション情報を直接参照することなく、PGC300を記録方式に応じて選択するだけで、所望の記録方式のオーディオ情報を適切に再生することができる。つまり、本発明によれば、ビデオフォーマットで記録されたオーディオ情報を、オーディオフォーマットの制御情報で管理することができる。勿論、この場合でも、ユーザからは、同一のタイトル、同一の曲と認識される。従って、ユーザの指示又は再生装置の能力にあったPGCを選択することで、種類の異なる複数のオーディオ情報を統一的に扱うことができる。
【0190】
以上のように、本発明によれば、オーディオ情報が、AOTT_AOBに記録されている場合(オーディオタイトルを再生する場合)でも、AOTT_VOBに記録されている場合(画像音声両用タイトルを再生する場合)でも、同じ仕組みでオーディオセレクションを行うことができ、本発明は、オーディオタイトル(AOTT)又は、画像音声両用タイトル(AVTT/AOTT)をオーディオプレーヤで再生する場合に有効である。
【0191】
さらに図12,13を用いて具体的な例で、このオーディオセレクションがどのように行われるかを説明する。
【0192】
(5.3.1)オーディオタイトルにおけるオーディオセレクション
最初に、オーディオタイトルをオーディオプレーヤ又はコンパチプレーヤで再生する場合を説明する。ここで、全てのタイトルグループは、1つのタイトルで構成されているものとする。再生装置が2ch専用であるか、ユーザが2ch再生を選択するように設定しているとする。また、ユーザがタイトルグループ262(#j)の再生を指示したとする。
【0193】
前述したように、タイトルグループ262に対応するタイトルのATS番号とATSタイトル番号がAOTT_SRP247を参照し取得する(図8参照)。その結果ATS番号は#2、ATSタイトル番号は#3だったとする。ここまでの流れは(4.5.1.1)オーディオプレーヤの場合、及び(4.5.1.2)コンパチブルプレーヤの場合、で説明したとおりである。
【0194】
次にATS#2のATSI211を読み取り、ATSI_MAT270に書かれている属性情報を記憶する(図12、「P12(1)」で示すパスを参照)。この段階では、再生しようとしているタイトルの各トラックの属性を特定することはできない。とりあえず全ての属性情報を記憶しておく。
【0195】
続いてATS_PGCIT271を読み、この中のPGCIサーチポインタ(ATS_PGCI_SRP)273を読みにいく(図12、「P12(2)」で示すパスを参照)。このテーブルの中でATSタイトル番号(ATS_TTN)が#3のATS_PGCI_SRP273を探す。この場合、第1区分情報としてのATSタイトル番号が#3のATS_PGCI_SRP273が二つあり(#3と#4)、PGCブロックを構成していることがわかる。そこで、どちらのPGC300を選択するかを判断する。この場合、再生装置が2ch専用であるか、又はユーザが2ch再生を選択するように設定されているので、ブロックタイプの項目を見る。ここに、チャンネル数の違いによりPGCブロックを組んでいると書かれているので、次にAudio channelsの項目284(図9及び図12参照)をみて2ch以下と書かれている方のPGC300を選択する。そして選択したPGC300の再生制御情報ATS_PGCI276の書かれているアドレス(この場合は16384)を取得し、そこへジャンプし、再生制御情報を読み取り、記憶する(図12、「P12(3)」で示すパスを参照)。
【0196】
再生制御情報の中には、トラック260に対応する、プログラム301に関する情報テーブルと、セル220に関する情報テーブルとがある。タイトル先頭から再生を開始する場合には、プログラム#1のATS_PGIを見て、プログラム#1の属性を特定する情報と先に記憶した属性情報を使い、プログラム#1の属性を特定する。この属性に従ってオーディオデコーダをセットする。次にATS_PGIから、プログラム#1の先頭セル番号を読み(この場合、再生しようとしているのがプログラム#1なので、当然その先頭セル番号も#1である。)、その番号に対応するATS_C_PBIからセル220の記録されているアドレスを読み取り、そこへジャンプし再生を開始する(図12、「P12(4)」で示すパスを参照)。
【0197】
通常再生の場合は、次のプログラムになるまで、再生中のメモリに記憶されているATS_C_PBIを使ってセルの再生を続ける。プログラムの再生が終わったら、これもメモリ中のATS_PGIと属性情報を使って、次のプログラム再生のための一連の処理を行い再生を開始する。この動作をタイトル終了まで繰り返す。従って前述したように、管理情報内の全ての属性情報と再生制御情報ATS_PGCIを記憶していなければならない。
【0198】
次に、再生装置がマルチチャンネル再生に対応していて、なおかつユーザがマルチチャンネル再生を選択するように設定しているとする。また、ユーザがタイトルグループ262(#j)の再生を指示したとする。
【0199】
タイトルグループ262に対応するタイトルのATS番号#2とATSタイトル番号#3を取得し、ATS#2のATSI211を読みに行く。ここまでは2ch再生を選択した場合と同じである(図12、「P1M(1)」で示すパスを参照)。また、ATSI211のATSI_MAT270に書かれている属性情報を記憶し、ATS_PGCIT271を読み、この中のATS_PGCサーチポインタ273を読みにいく(図12、「P1M(2)」で示すパスを参照)。ここまでの処理も2ch再生を選択した場合と変わりはない。
【0200】
このテーブルの中でATSタイトル番号(ATS_TTN)が#3のATS_PGC_SRP273を探す。この場合ATSタイトル番号が#3のATS_PGCI_SRPが二つあり(#3と#4)PGCブロックを構成していることがわかる。そこで、どちらのPGC300を選択するかを判断する。この場合、再生装置がマルチチャンネル再生に対応していて、なおかつユーザがマルチチャンネル再生を選択するように設定しているので、ブロックタイプの項目を見る。ここに、チャンネル数の違いによりPGCブロックを組んでいると書かれているので、次にAudio channelsの項目284をみて3ch以上と書かれている方のPGC300を選択する。そして選択したPGC300の再生制御情報ATS_PGCI276の書かれているアドレス(この場合は24576)を取得し、そこへジャンプし、再生制御情報を読み取り、記憶する(図12、「P1M(3)」で示すパスを参照)。
【0201】
以後の処理は、処理するPGC300が異なり、再生する実体情報が異なる以外、2ch再生を選択した場合と基本的に同じである。再生制御情報の中の、プログラムに関する情報テーブルからプログラム#1のATS_PGIを見て、プログラム#1の属性を特定し、オーディオデコーダをセットする。次にATS_PGIから、プログラム#1の先頭セル番号#1のATS_C_PBIを読み、セル#1の記録されているアドレスを読み取り、そこへジャンプし再生を開始する(図12、「P1M(4)」で示すパスを参照)。
【0202】
(5.3.2)画像音声両用タイトルにおけるオーディオセレクション
画像音声両用タイトルをオーディオプレーヤで再生する場合を説明する。ここで、全てのタイトルグループ262は、1つのタイトルで構成されているものとする。再生装置がLPCM専用であるか、ユーザがLPCMの再生を選択するように設定しているとする。また、ユーザがタイトルグループ262(#j)の再生を指示したとする。
【0203】
前述したように、タイトルグループ262に対応するタイトル261のATS番号とATSタイトル番号をAOTT_SRP247を参照し、取得する。その結果ATS番号は#2、ATSタイトル番号は、#4だったとする。ここまでの流れは(4.5.3.1)オーディオプレーヤの場合で説明したとおりである。
【0204】
次にATS#2のATSI212を読み取り、ATSI_MAT270に書かれている属性情報を記憶する(図13、「P2L(1)」で示すパスを参照)。この段階では、再生しようとしているタイトルの各トラックの属性を特定することはできない。とりあえず全ての属性情報を記憶しておく。また、この場合、画像音声両用タイトルを再生しようとしているので、対応するATS203は、実体情報の無い、ナビゲーション情報だけのATSとなっている。
【0205】
続いてATS_PGCIT271を読み、この中のPGCIサーチポインタ273を読みにいく(図13、「P2L(2)」で示すパスを参照)。このテーブルの中でATSタイトル番号(ATS_TTN)が#4のATS_PGCI_SRP273を探す。この場合ATSタイトル番号が#4のATS_PGCI_SRP273が二つあり(#4と#5)PGCブロックを構成していることがわかる。そこで、どちらのPGC300を選択するか判断する。
【0206】
この場合、再生装置がLPCM専用であるか、ユーザがLPCMの再生を選択するように設定しているので、ブッロクタイプの項目を見る。ここに、チャンネル数及び符号化方式の違いによりPGCブロックを組んでいると書かれているので、次にAudio coding modeの項目285をみてLPCMと書かれている方のPGC300を選択する。
【0207】
次に、選択したPGCの再生制御情報ATS_PGCI276の書かれているアドレス(この場合は24576)を取得し、そこへジャンプし、再生制御情報を読み取り、記憶する(図13、「P2L(3)」で示すパスを参照)。
【0208】
再生制御情報の中には、トラック261に対応する、プログラム301に関する情報テーブルと、セル220に関する情報テーブルとがある。タイトル先頭から再生を開始する場合には、プログラム#1のATS_PGIを見て、プログラム#1の属性を特定する情報と先に記憶した属性情報を使って、プログラム#1の属性を特定する。この属性に従ってオーディオデコーダをセットする。次にATS_PGIから、プログラム#1の先頭セル番号を読み(この場合、再生しようとしているのがプログラム#1なので、当然その先頭セル番号も#1である。)、その番号に対応するATS_C_PBIからセルの記録されているアドレスを読み取り、そこへジャンプし再生を開始する(図13、「P2L(4)」で示すパスを参照)。
【0209】
通常再生の場合は、次のプログラムになるまで、再生中のメモリに記憶されているATS_C_PBIを使ってセルの再生を続ける。プログラムの再生が終わったら、これもメモリ中のATS_PGIと属性情報を使って、次のプログラム再生のための一連の処理を行い再生を開始する。この動作をタイトル終了まで繰り返す。従って前述したように、管理情報内の全ての属性情報と再生制御情報ATS_PGCIを記憶していなければならない。
【0210】
次に、再生装置が、マルチチャンネル再生及びAC−3(符号化方式の一種:Dolby Digital)に対応していて、ユーザがAC−3の再生を選択するように設定しているとする。また、ユーザがタイトルグループ262(#j)の再生を指示したとする。
【0211】
タイトルグループ262に対応するタイトル261のATS番号#2とATSタイトル番号#4を取得し、ATS#2のATSI211を読みに行く。ここまではLPCM再生を選択した場合と同じである(図13、「P2A(1)」で示すパスを参照)。また、ATSI211のATS_MAT270に書かれている属性情報を記憶し、ATS_PGCIT271を読み、この中のATS_PGCサーチポインタ273を読みにいく(図13、「P2A(2)」で示すパスを参照)。ここまでの処理もLPCM再生を選択した場合と変わりはない。
【0212】
このテーブルの中でATSタイトル番号(ATS_TTN)が#4のPGC300を探す。この場合ATSタイトル番号が#4のPGCが二つありPGCブロックを構成していることがわかる。そこで、どちらのPGC300を選択するか判断する。
【0213】
この場合、再生装置がマルチチャンネル再生及びAC−3に対応していて、ユーザがAC−3の再生を選択するように設定しているとするので、ブロックタイプの項目を見る。ここに、チャンネル数及び符号化方式の違いによりPGCブロックを組んでいると書かれているので、次にAudio coding modeの項目285をみてAC−3と書かれている方のPGCを選択する。そして選択したPGCの再生制御情報ATS_PGCI276の書かれているアドレス(この場合は32768)を取得し、そこへジャンプし、再生制御情報を読み取り、記憶する(図13、「P2A(3)」で示すパスを参照)。
【0214】
以後の処理は、処理するPGCが異なり、再生するストリームが異なる以外、LPCM再生を選択した場合と基本的に同じである。再生制御情報の中の、プログラムに関する情報テーブルからプログラム#1のATS_PGIを見て、PG#1の属性を特定し、オーディオデコーダをセットする。次にATS_PGIから、プログラム#1の先頭セル番号#1のATS_C_PBIを読み、セル#1の記録されているアドレスを読み取り、そこへジャンプし再生を開始する(図13、「P2A(4)」で示すパスを参照)。但し、この場合再生する実体情報(AOTT VOB)が同じなので、ジャンプ先のアドレスも、LPCMの再生を選択した場合と同じとなる。
【0215】
(6)再生装置
(6.1)ビデオDVDプレーヤ
図14に示すように、実施の形態に係るビデオDVDプレーヤは、ピックアップ80と、復調訂正部81と、ストリームスイッチ82及び84と、トラックバッファ83と、システムバッファ85と、デマルチプレクサ86と、VBV(Video Buffer Verifier )バッファ87と、ビデオデコーダ88と、サブピクチャバッファ89と、サブピクチャデコーダ90と、混合器91と、オーディオバッファ92と、オーディオデコーダ93と、入力部98と、ディスプレイ99と、システムコントローラ100と、ドライブコントローラ101と、スピンドルモータ102と、スライダモータ103とにより構成されている。なお、図14に示す構成は、ビデオDVDプレーヤの構成のうち、映像及び音声の再生に関する部分のみを記載したものであり、ピックアップ80及びスピンドルモータ102並びにスライダモータ103等をサーボ制御するためのサーボ回路等は従来技術と同様であるので、記載及び細部説明を省略する。
【0216】
次に、動作を説明する。
【0217】
ピックアップ80は、図示しないレーザダイオード、ビームスプリッタ、対物レンズ、光検出器等を含み、DVD1に対して再生光としての光ビームBを照射すると共に、当該光ビームBのDVD1からの反射光を受光し、DVD1上に形成されている情報ピットに対応する検出信号Spを出力する。このとき、光ビームBがDVD1上の情報トラックに対して正確に照射されると共に、DVD1上の情報記録面で正確に焦点を結ぶように、図示しない対物レンズに対して従来技術と同様の方法によりトラッキングサーボ制御及びフォーカスサーボ制御が施されている。
【0218】
ピックアップ80から出力された検出信号Spは、復調訂正部81に入力され、復調処理及び誤り訂正処理が行われて復調信号Sdmが生成され、ストリームスイッチ82及びシステムバッファ85に出力される。
【0219】
復調信号Sdmが入力されたストリームスイッチ82は、ドライブコントローラ101からのスイッチ信号Ssw1によりその開閉が制御され、閉のときには、入力された復調信号Sdmをそのままスルーしてトラックバッファ83に出力する。一方、ストリームスイッチ82が開のときには、復調信号Sdmは出力されず、不要な情報(信号)がトラックバッファ83に入力されることがない。
【0220】
復調信号Sdmが入力されるトラックバッファ83は、FIFO(First In First Out)メモリ等により構成され、入力された復調信号Sdmを一時的に記憶すると共に、ストリームスイッチ84が閉とされているときには、記憶した復調信号Sdmを連続的に出力する。
【0221】
連続的に復調信号Sdmが入力されるストリームスイッチ84は、デマルチプレクサ86における分離処理において、後段の各種バッファがオーバーフローしたり、逆に空になってデコード処理が中断することがないように、システムコントローラ100からのスイッチ信号Ssw2により開閉が制御される。
【0222】
一方、トラックバッファ83と並行して復調信号Sdmが入力されるシステムバッファ85は、DVD1をローディングしたときに最初に検出され、DVD1に記録されている情報全体に関する管理情報(VMG2等)又はVTS3毎のVTS11を蓄積して制御情報Scとしてシステムコントローラ100に出力すると共に、再生中にナビパック41毎のDSIデータ51を一時的に蓄積し、システムコントローラ100に制御情報Scとして出力する。
【0223】
ストリームスイッチ84を介して復調信号Sdmが連続的に入力されたデマルチプレクサ86においては、当該復調信号Sdmから各パック毎にビデオデータ、オーディオデータ、サブピクチャデータ及びナビパック毎のPCIデータを抽出し、ビデオ信号Sv、副映像信号Ssp、オーディオ信号Sad並びにPCI信号Spcとして、夫々VBVバッファ87、サブピクチャバッファ89、及びオーディオバッファ92に出力する。
【0224】
このとき、デマルチプレクサ86は、各パック(オーディオパック43を含む。)及びパケットからパックヘッダ及びパケットヘッダ等を抽出し、夫々に含まれる情報をヘッダ信号Shdとしてシステムコントローラ100に出力する。
【0225】
ビデオ信号Sv が入力されるVBVバッファ87は、FIFOメモリ等により構成され、ビデオ信号Svを一時的に蓄積し、ビデオデコーダ88に出力する。VBVバッファ87は、MPEG2方式により圧縮されているビデオ信号Svにおける各ピクチャ(図2参照)毎のデータ量のばらつきを補償するためのものである。そして、データ量のばらつきが補償されたビデオ信号Svがビデオデコーダ88に入力され、MPEG2方式により復調が行われて復調ビデオ信号Svdとして混合器91に出力される。
【0226】
一方、副映像信号Sspが入力されるサブピクチャバッファ89は、入力された副映像信号Sspを一時的に蓄積し、サブピクチャデコーダ90に出力する。サブピクチャバッファ89は、副映像信号Sspに含まれるサブピクチャデータ44を、当該サブピクチャデータ44に対応するビデオデータ42と同期して出力するためのものである。そして、ビデオデータ42との同期が取られた副映像信号Sspがサブピクチャデコーダ90に入力され、復調が行われて復調副映像信号Sspdとして混合器91に出力される。
【0227】
ビデオデコーダ88から出力された復調ビデオ信号Svd及びサブピクチャデコーダ90から出力された復調副映像信号Sspd(対応する復調ビデオ信号Svdとの同期が取れている。)は、混合器91により混合され、最終的な表示すべき映像信号Svpとして図示しないCRT(Cathod Ray Tube)等の表示部に出力される。
【0228】
オーディオ信号Sadが入力されるオーディオバッファ92は、FIFOメモリ等により構成され、入力されたオーディオ信号Sadを一時的に蓄積し、オーディオデコーダ93に出力する。オーディオバッファ92は、システムコントローラ100から出力されるヘッダ制御信号Shcに基づいて、オーディオ信号Sadを対応する映像情報を含むビデオ信号Sv又は副映像信号Sspに同期して出力させるためのものであり、対応する映像情報の出力状況に応じてオーディオ信号Sadを遅延させる。そして、対応する映像情報と同期するように時間調整されたオーディオ信号Sadは、オーディオデコーダ93に出力され、システムコントローラ100から出力されるヘッダ制御信号Shcに基づいて、リニアPCM方式における再生処理が施されて復調オーディオ信号Saddとして図示しないスピーカ等に出力される。なお、音楽情報のみを含むオーディオDVDにおいては、映像情報との同期処理は不要である。
【0229】
(6.2)オーディオDVDプレーヤ
次に、上述のオーディオDVDプレーヤについて図15を参照して説明する。図15に示すように、オーディオDVDプレーヤは図14に示すビデオDVDプレーヤと比較して、デマルチプレクサ86の後段の構成が異なるが、それ以外は同一の構成を有する。従って、デマルチプレクサ86以降の構成部分について説明する。
【0230】
ストリームスイッチ84を介して復調信号Sdmが連続的に入力されたデマルチプレクサ86においては、当該復調信号Sdmから各パック毎にオーディオ情報を抽出し、オーディオ信号Sadとしてオーディオバッファ92に出力する。
【0231】
オーディオ信号Sadが入力されるオーディオバッファ92は、FIFOメモリ等により構成され、入力されたオーディオ信号Sadを一時的に蓄積し、オーディオデコーダ93に出力する。オーディオ信号Sadは、オーディオデコーダ93に入力され、システムコントローラ100から出力される制御信号Shcに基づいて、リニアPCM方式における再生処理等が施されて復調オーディオ信号Saddとして図示しないスピーカ等に出力される。
【0232】
例えば、リアルタイムテキスト等のリアルタイム情報は、デマルチプレクサからRTIバッファに出力される。RTIバッファに一時的に蓄積されたデータは、システムコントローラ100から出力される制御信号Shcに基づいて、RTIデコーダへと出力され、図示しない表示装置に歌詞等の表示を行う。
【0233】
所望の情報へのアクセス直後の再生等において一時的に音声を中断する(ポーズする)必要があることが検出された場合には、システムコントローラ100からポーズ信号Scaがオーディオデコーダ93に出力され、当該オーディオデコーダ93は一時的に復調オーディオ信号Saddの出力を停止する。
【0234】
図16にオーディオデコーダ93の構成を示す。図示のように、オーディオデコーダ93は、デジタルフィルタなどを含む信号処理部120と、D/Aコンバータ121と、アンプなどを含むアナログ出力回路122と、デジタル出力回路123と、RAM124aを含むシステムマイコン124と、クロック回路125と、を備える。
【0235】
システムマイコン124は、システムコントローラ100との間で制御信号Scaを交換し、クロック回路125、信号処理部120、D/Aコンバータ121、アナログ出力回路122の動作制御を行う。システムマイコン124は、内部にRAM124aを有する。RAM124aは、システムコントローラ100から制御信号Scaとして供給されるオーディオ属性情報を一時的に記憶する。システムマイコン124は、RAM124a内に記憶されたオーディオ属性情報を参照し、その内容をクロック回路125及び信号処理部120へ供給する。具体的には、システムマイコン124は、オーディオ属性情報中のサンプリング周波数情報をクロック回路125へ供給する。クロック回路125は発振器を有し、指示されたサンプリング周波数に対応するクロック信号fsを信号処理部120へ供給する。また、システムマイコン124は、オーディオ属性情報中のサンプリング周波数、量子化ビット数、チャンネル数、エンファシスの有無の情報を信号処理部120へ供給し、D/Aコンバータ121へチャンネル数情報を提供する。さらに、システムマイコン124はアナログ出力回路122へ、各チャンネルの信号の増幅度などの情報を供給する。各チャンネル毎の増幅度の情報は、オーディオ属性情報に含めて、システムコントローラ100から供給することができる。
【0236】
信号処理部120は、クロック回路125からのクロック信号fsを使用し、システムマイコン124から得た符号化方式(リニアPCMまたはドルビーAC3など)、サンプリング周波数、量子化ビット数などの情報に従って、オーディオバッファ92から供給されるオーディオ信号の復号か、帯域制限などの処理を行い、さらに、エンファシスの有無の情報に従ってディエンファシス処理を行い、D/Aコンバータ121へ出力する。D/Aコンバータ121は、システムマイコン124から得たチャンネル情報に従って、入力された信号をチャンネル毎に分割し、さらに各チャンネル毎のアナログ信号としてアナログ出力回路122へ出力する。また、信号処理部120は、デジタル出力回路123を介してデジタルオーディオ信号Saddを外部へ出力する。
【0237】
(6.3)コンパチブルDVDプレーヤ
コンパチブルDVDプレーヤは、図示しないが、図15に示すオーディオDVDプレーヤに、図14に示すビデオDVDプレーヤにおけるVBVバッファ87、ビデオデコーダ88、サブピクチァバッファ89、サブピクチァデコーダ90、及び混合器91を備えると共に、システムコントローラ100を、ビデオフォーマットとオーディオフォーマットの両方の再生が可能なように構成したものである。
【0238】
(7)再生装置におけるオーディオセレクション
再生装置におけるオーディオセレクションとは、オーディオプレーヤがオーディオタイトル又は画像音声両用タイトルを再生する場合に、再生するオーディオ情報の種類を切り換えることをいう。
【0239】
オーディオ情報の種類としては、(5.2)オーディオ情報の記録方法で、説明したように主に以下の3種類に分類される。
【0240】
a.録音状況
b.符号化方式
c.再生形態
(7.1)録音状況(バイノーラル)によりブロックを組んだ場合
録音状況が異なる場合は、装置の能力に関係なくユーザの好みに応じて、常時切り換えればよく、初期設定等の必要はない。またバイノーラル録音のような場合には、以下に示すような切り換え方式を再生装置が実施することも可能である。
【0241】
ここで、バイノーラル再生を実現するためのバイノーラル録音について詳しく説明する。
【0242】
まず通常のステレオ信号をヘッドホンで再生した場合を考える。例えば、図 (A)に示すように、二つのマイクロホンをコンサートホールの所定位置に配置し、これらのマイクロホンの出力をヘッドホンで再生する。この場合、再生音場は図17(A)に斜線で示すように聴取者の後頭部にできてしまう。これは、スピーカを用いた通常のステレオ再生信号音場では、音像が完全に一方のスピーカに定位されるために、左右のスピーカのレベル差は約25dB必要となるのに対し、ヘッドホン聴取の場合には、約10dBのレベル差で完全に一方の耳に定位してしまうためである。このように、通常のステレオ録音された音楽をヘッドホンで聴くと、ステレオ感が強く出過ぎ、自然な臨場感が得られないという問題がある。
【0243】
これに対し、バイノーラル再生では、実際の人間とほぼ等しい音響インピーダンス及び等しい特性を持つダミーヘッドを用意し、このダミーヘッドの両耳の外耳道周辺にマイクロホンを仕込み、図17(B)に示すように、例えばこのダミーヘッドをコンサートホールの客席に置き、ダミーヘッド内のマイクロホンの出力をヘッドホンで再生する。このようなバイノーラル再生を行うと、聴取者の頭の周囲に再生される音場は、図17(A)の斜線で示した範囲となる。従って、ヘッドホンあるいはイヤホン等による受聴においてより自然な臨場感を得ることができる。
【0244】
このようなバイノーラル再生を実現するために、上述のようなダミーヘッドを用いて音楽の録音を行うのがバイノーラル録音であり、このようなバイノーラル録音された作品と、ステレオ録音された作品の両方を、例えば図18に示すように、多重してDVDディスクに記録しておくことにより、聴取形態に応じた適切な再生を行うことができる。なお、記録方法は多重方式に限られるものではなく、ステレオ録音されたオーディオ実体情報と、バイノーラル録音されたオーディオ実体情報を、夫々別のAOB210に記録するようにしても良い。
【0245】
バイノーラル再生を行うか否かの判定は、再生装置に例えば図15に点線で示すようにヘッドホンジャック400を設け、このヘッドホンジャック400にヘッドホンのプラグが挿入されたか否かにより行うこととした。
【0246】
このヘッドホンジャック400は、例えば図19のような回路構成となっており、ヘッドホンのプラグとの当接により押し上げられるスイッチ部401が、プラグの上部と下部の両方に設けられている。そして、これらのスイッチ部401が押し上げられることによって、スイッチ部401が開状態となり、プラグが挿入されたことを検出することができる。
【0247】
このような構成により、ヘッドホンジャック400にヘッドホンのプラグが挿入され、ある曲の指定がユーザにより行われると、上述したような手順により、バイノーラル録音されたオーディオ実体情報を管理するPGC300が選択され、バイノーラル録音されたオーディオ実体情報が自動的に再生される。
【0248】
従って、ユーザは、単にヘッドホンジャック400にヘッドホンのプラグを挿入するだけで、バイノーラル録音された所望の曲を聴くことができる。
【0249】
なお、ヘッドホンジャック400にヘッドホンのプラグが挿入されたか否かの検出は、再生開始時、再生中等の適宜のタイミングで行うことができる。また、ヘッドホンジャック400にヘッドホンのプラグが挿入された時に常に倍ノーラル録音されたオーディオ実体情報を選択するのではなく、図15に示す入力部98による設定操作により、ユーザが優先順位を設定するように構成しても良い。例えば、ステレオ録音の再生に高い優先順位を設定していた時には、ユーザはヘッドホンでステレオ録音されたオーディオ実体情報を聞くことができる。
【0250】
(7.2)符号化方式によりブロックを組んだ場合
符号化方式が異なる場合は、ディスクに記録されているオーディオ情報の符号化方式に、再生装置が対応していないと(対応するデコーダを持っていないと)、音を聞くことができない。このような状態ではユーザが混乱する。従って、全てのディスクでLPCMのオーディオ情報を記録することと、全ての再生装置がLPCMの再生ができること、とが決められている。従ってユーザは、どのようなオーディオDVDディスクであっても、LPCM記録されたオーディオ情報だけは、再生することができる。
【0251】
一方、現在各種の符号化方式が実用化されている。これらの多くが圧縮符号化方式であり、特にマルチチャンネルを記録する場合に、データを有効に使うことができるといった特徴を持つ。このように目的に応じて各種符号化方式によって記録されたオーディオ情報がある場合、再生装置が対応するデコーダを持っている場合のみ、その中から選択、再生することができる。この場合、再生装置は、ユーザによる一時的な設定、ユーザによる初期設定、再生装置による設定に従って、先に説明したATS_PGCI_SRP273の中のAudio coding modeの項目285に書かれている符号化方式を示す情報から判断し、図19に示すフローチャートに従って最適なオーディオ情報を選択し、再生を行う。
【0252】
なお、各設定処理は、図14または図15に示す入力部98により行うように構成することができる。更に、設定した情報は、システムコントローラ100内のメモリに記憶されるように構成することができる。
【0253】
また、DVDディスクを再生装置にセットした際、あるいは再生を開始しようとする際等に、上述したようにDVDディスクに記録された制御情報を、システムコントローラ100によって読み取り、そのDVDディスクに記録されたオーディオ実体情報の録音形態、再生形態、又は符号化方式等を、ディスプレイ99に表示するように構成することもできる。このような構成により、ユーザは、そしてDVDディスクにおいて選択可能な設定を適切に知ることができ、適切な選択動作を行うことができる。
【0254】
以下、図19に示すフローチャートに従って、符号化方式を示す情報からPGCを選択する処理の一例を説明する。
【0255】
まず、選択処理が開始されると(ステップS1)、ATS_PGCI_SRP273の読み取りが行われ(ステップS2)、ATS_PGCI_SRP273の中に記述されている Audio coding modeの項目285に書かれている符号化方式を読み取る(ステップS3)。次に、再生装置が、読み取った符号化方式による再生を行う能力があるか否かについて判定する(ステップS4)。その結果、再生装置には、読み取った符号化方式による再生を行う能力がない場合には(ステップS4;No)、再びATS_PGCI_SRP273の読み取りからの処理を繰り返す(ステップS2〜)。一方、再生装置が、読み取った符号化方式による再生を行う能力がある場合には(ステップS4;Yes)、読み取った符号化方式を、ユーザが一時的な設定として選択しているか否かを判定する(ステップS5)。この設定は、例えばリモートコントロール装置等により、再生を開始する際に、あるいは再生中に行われるもので、例えば特定の曲については、既存の設定とは異なる符号化方式により再生しようとする場合に行われる。前記判定の結果、読み取った符号化方式を、ユーザが一時的な設定として選択している場合には(ステップS5;Yes)、選択処理を終了し、当該ATS_PGCI_SRP273の示すPGC300を選択し、再生を開始する(ステップS8)。
【0256】
しかし、読み取った符号化方式を、ユーザが一時的な設定として選択していない場合には(ステップS5;No)、読み取った符号化方式を、ユーザが初期設定として選択しているか否かを判定する(ステップS6)。この初期設定は、再生装置の基本的な符号化方式を、ユーザ自信の好み等に応じて行うものであり、この初期設定を行うと、上述した一時的な設定が行われない限り、全ての曲が初期設定された符号化方式により再生されることになる。つまり、読み取った符号化方式を、ユーザが初期設定として選択している場合には(ステップS6;Yes)、選択処理を終了し、当該ATS_PGCI_SRP273の示すPGC300を選択し、再生を開始する(ステップS8)。
【0257】
また、読み取った符号化方式を、ユーザが初期設定として選択していない場合には(ステップS6;No)、読み取った符号化方式が、再生装置の設定として選択しているか否かを判定する(ステップS7)。この設定は、再生装置の製造段階において行われるもので、ユーザによる上述した種々の設定が行われない限り、全ての曲がこの設定された符号化方式により再生されることになる。つまり、読み取った符号化方式が、再生装置の設定として選択している場合には(ステップS7;Yes)、選択処理を終了し、当該ATS_PGCI_SRP273の示すPGCを選択し、再生を開始する(ステップS8)。
【0258】
なお、読み取りデータのエラー等により、読み取った符号化方式が、再生装置の設定としても選択されていない場合には(ステップS7;No)、再びATS_PGCI_SRP273の読み取りからの処理を繰り返す(ステップ2〜)。
【0259】
(7.2)再生形態によりブロックを組んだ場合
ここでいう再生形態の選択とは、2ch(ステレオ)再生を行うか、又はマルチチャンネル再生を行うかを選択することを意味する。再生装置がマルチチャンネルに対応している場合、マルチチャンネル記録のオーディオ情報を選択し再生することができる。しかし、ユーザがマルチチャンネルを再生できるシステム(複数のアンプとスピーカ)を持っており、そのシステムに当再生装置が接続されている場合のみ、本来のマルチチャンネルとしての再生を行うことができる。従ってこの場合も、ユーザによる一時的な設定、ユーザによる初期設定、再生装置による設定に従って、先に説明したATS_PGCI_SRP273に記述されているAudio channelsの項目284に書かれているチャンネル数を示す情報から判断し、先に示したフローチャートと同様な流れに従って、最適なオーディオ情報を選択し、再生を行う。
【0260】
(7.3)符号化方式と再生形態によりブロックを組んだ場合
図12の例でも示したように、ブロック内のオーディオ情報の種類の違いとして、符号化方式と再生形態の両方が異なる場合がある。このような場合には以下のような処理が必要となる。
【0261】
再生装置が処理することができる各符号化方式と各再生形態の全ての組み合わせに対して優先順位を設定する。例を表2に示す。このような設定を必要に応じて、ユーザによる一時的な設定、ユーザによる初期設定、再生装置による設定の各設定で可能なようにしておく。
【0262】
【表2】
【0263】
なお、表2においては、表の中の数字が小さいほど優先順位が高いことを意味する。
【0264】
この優先順位設定に従って、図21に示すフローチャートのように最適なオーディオ情報を選択し、再生を行う。以下、図21に示すフローチャートに従って、最適なオーディオ情報を選択し、再生を行う処理の一例について説明する。
【0265】
まず、選択処理が開始されると(ステップS10)、ATS_PGCI_SRP273を取得し(ステップS11)、ブロックタイプに応じて、ATS_PGCI_SRP273の中のAudio coding modeの項目285に記述されている符号化方式と、Audio channelsの項目284に記述されている再生形態を読み取る(ステップS12)。次に、再生装置が、読み取った符号化方式及び再生形態の組み合わせによる再生を行う能力があるか否かについて判定する(ステップS13)。その結果、再生装置には、読み取った符号化方式及び再生形態の組み合わせによる再生を行う能力がない場合には(ステップS13;No)、再びATS_PGCI_SRP273の読み取りからの処理を繰り返す(ステップS11〜)。一方、再生装置が、読み取った符号化方式及び再生装置の組み合わせによる再生を行う能力がある場合には(ステップS13;Yes)、読み取った符号化方式及び再生装置の組み合わせに対して、ユーザによる一時的な設定として選択することに優先順位が設定されているか否かを判定する(ステップS14)。当該優先順位が設定されている場合には(ステップS14;Yes)、読み取った符号化方式及び再生装置の組み合わせに対して、ユーザによる一時的な設定として選択することに優先順位を、優先順位番号として設定する(ステップS15)。そして、この設定した優先順位番号がブロック内で最も小さいか否かを判定し(ステップS19)、最も小さい場合には(ステップS19;Yes)、選択処理を終了し、当該ATS_PGCI_SRP273の示すPGC300を選択し、再生を開始する(ステップS20)。
【0266】
しかし、設定した優先順位番号がブロック内で最も小さい番号ではない場合には(ステップS19;No)、当該ブロックの次のATS_PGCI_SRP273の取得からの処理を繰り返す(ステップS11〜)。そして、次の符号化方式及び再生形態の組み合わせについて、上述したように、再生装置に再生能力があるか否かの判定と、ユーザによる一時的な設定として優先順位が設定されているか否かの判定とを行い、判定結果に応じた処理を行う(ステップS13,14,15)。
【0267】
一方、次の符号化方式及び再生形態の組み合わせについて、ユーザによる一時的な設定として優先順位が設定されていない場合には(ステップS14;No)、当該組み合わせについてユーザによる初期設定として優先順位が設定されているか否かを判定する(ステップS16)。当該優先順位が設定されている場合には(ステップS16;Yes)、読み取った符号化方式及び再生装置の組み合わせに対して、ユーザによる初期設定としての優先順位を、優先順位番号として設定する(ステップS17)。そして、この設定した優先順位番号がブロック内で最も小さいか否かを判定し(ステップS19)、最も小さい場合には(ステップS19;Yes)、選択処理を終了し、当該ATS_PGCI_SRP273の示すPGC300を選択し、再生を開始する(ステップS20)。
【0268】
しかし、設定した優先順位番号がブロック内で最も小さい番号ではない場合には(ステップS19;No)、当該ブロックの次のATS_PGCI_SRP273の取得からの処理を繰り返す(ステップS11〜)。そして、次の符号化方式及び再生形態の組み合わせについて、上述したように、再生装置に再生能力があるか否かの判定と、ユーザによる一時的な設定として優先順位が設定されているか否かの判定と、ユーザによる初期設定としての優先順位が設定されているか否かの判定とを行い、判定結果に応じた処理を行う(ステップS13,14,15,16,17)。
【0269】
一方、次の符号化方式及び再生形態の組み合わせについて、ユーザによる初期設定として優先順位が設定されていない場合には(ステップS16;No)、当該組み合わせについて再生装置の当初からの初期設定の優先順位を、優先順位番号として設定する(ステップS18)。そして、この設定した優先順位番号がブロック内で最も小さいか否かを判定し(ステップS19)、最も小さい場合には(ステップS19;Yes)、選択処理を終了し、当該ATS_PGCI_SRP273の示すPGC300を選択し、再生を開始する(ステップS20)。
【0270】
以上のように、符号化方式と再生形態の組み合わせに対して、優先順位が設定されている場合には、設定された優先順位の中で最も小さい番号の設定態様として、当該組み合わせに基づくPGC300の選択と、当該組み合わせによる再生を行う。
【0271】
以上説明したように、各符号化方式、各再生形態の組み合わせに対し、必要に応じて、ユーザによる一時的な設定、ユーザによる初期設定、再生装置による設定、の各設定で優先順位を決めることが可能なようにしておくことにより、種類の異なる複数のオーディオ情報が記録された場合でも、いちいちユーザがその種類を選択することなく、最適なオーディオ情報を選択し再生することができる。
【0272】
なお、図20と図21を用いて説明した例において、再生装置による再生能力にも適合しておらず、また、何れの設定も選択されていないような指定が行われた場合には、ディスプレイ99等の表示手段により、警告表示を行うように構成しても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】ビデオDVDの物理的構造(物理フォーマット)を示す図である。
【図2】ビデオDVDの論理的構造(論理フォーマット)を示す図である。
【図3】オーディオDVDの物理的構造(物理フォーマット)を示す図である。
【図4】オーディオDVDの論理的構造(論理フォーマット)を示す図である。
【図5】DVDの種類を示す図である。
【図6】オーディオ・ビデオ両用DVDの一例を示す図である。
【図7】同一オブジェクトの2重管理の概念を示す図である。
【図8】図6に示すオーディオ・ビデオ両用DVDについて規定されたナビゲーション情報の例を示す図である。
【図9】ATSに記録される情報を示す図である。
【図10】オーディオタイトル再生時のユーザの認識とナビゲーション情報と実体情報の関係を示す図である。
【図11】画像音声両用タイトル再生時のユーザの認識とナビゲーション情報と実体情報の関係を示す図である。
【図12】オーディオフォーマットで記録されたDVDディスクのATSIに記録される情報を示す図である。
【図13】オーディオフォーマット及びビデオフォーマットで記録されたDVDディスクのATSIに記録される情報を示す図である。
【図14】ビデオDVDプレーヤの概略構成を示す図である。
【図15】オーディオDVDプレーヤの概略構成を示す図である。
【図16】図15のオーディオDVDプレーヤにおけるオーディオデコーダの構成を示す図である。
【図17】(A)は通常のステレオ再生された音楽情報をヘッドホンで再生した場合に形成される音場を示す図、(B)はバイノーラル再生された音楽情報をヘッドホンで再生した場合に形成される音場を示す図である。
【図18】ステレオ方式により2チャンネル録音されたオーディオパックとバイノーラル方式により2チャンネル録音されたオーディオパックが多重化されていることを示す概念図である。
【図19】ヘッドホンジャックの回路構成の一例を示す図である。
【図20】符号化方式を示す情報からPGCを選択する処理の一例を示すフローチャートである。
【図21】符号化方式と再生形態を組み合わせた情報からPGCを選択する処理の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
3…VMG
10…VOB
11…VTSI
202…AMG
204…SAPPT
210…AOB
211…ATSI
240…AMGI
242…ATTサーチポインタテーブル
243…AOTTサーチポインタテーブル
245…ATTサーチポインタ
247…AOTTサーチポインタ
251…TTサーチポインタテーブル
254…TTサーチポインタ
261…タイトル
300…PGC
301…プログラム
【発明の属する技術分野】
本発明は、録音形態又は再生形態もしくは符号化方式の異なる音楽等の音情報が記録されたDVDディスク等の情報記録媒体と、この情報記録媒体から音情報を再生する再生装置の技術分野に属するものである。
【0002】
【従来の技術】
映画などの映像情報を記録する記録媒体としてビデオDVD(DVD−Video規格に準拠したディスク)が知られている。ビデオDVDはその大容量性から映画などの映像情報の記録媒体として広く使用されている。
【0003】
また、映画などの映像情報ではなく、音楽などのオーディオ情報のみを記録することを念頭においたオーディオDVD(DVD−Audio規格に準拠したディスク)も開発されている。このオーディオDVDにはDVDとしての大容量性から複数のCD(コンパクトディスク)に相当するオーディオ情報を1枚のオーディオDVDに記録することが可能となる。また、映画などの映像情報に加えて、その映画のサウンドトラック版の音楽CDに相当するようなオーディオ情報を記録することも可能である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
オーディオDVDは、主に音楽などのオーディオ情報を記録することを目的とし、今までにないマルチチャンネルの再生を可能にしようとしている。また、マルチチャンネルだけでなく2chステレオ再生としても、今までにない高品位な再生を可能にしようとしている。
【0005】
このようなDVDオーディオディスクにおいて、マルチチャンネルのオーディオ情報しか記録されていない場合、2ch専用の再生装置を持っている人は、その一部の音しか聞くことができない、又はまったく再生できないといった問題を生じる。
【0006】
そこで、2ch専用の再生装置しか持っていない人でも、このディスクを楽しめるようにするには、マルチチャンネルのオーディオ情報と共に2ch再生用のオーディオ情報を、ディスク上に記録する必要がある。
【0007】
しかし、この場合、この2種類のオーディオ情報は、当然同じタイトル、同じ曲を録音したものである。従ってこの2種類のオーディオ情報をこのまま、ディスク上に記録したのでは、同名のタイトル、同名の曲が2種類存在することとなりユーザの混乱を招くという第1の問題がある。この第1の問題は、チャンネル等の再生形態が異なる場合だけでなく、バイノーラル録音等の録音形態が異なる場合、あるいはAC−3等の符号化方式が異なる場合、更にはこれらの再生形態、録音形態、または符号化方式の組み合わせが異なる場合に同様に生じる問題であった。
【0008】
次に、既に規格化された、DVDビデオフォーマットでは、画像情報と共に複数のオーディオ情報を同時に記録することができる。例えば、ある映画に対して、オリジナルの言語の音声と日本語吹き替えの音声を切り換えることができる。また同様に同一タイトルの中でLPCMステレオ音声とAC−3マルチチャンネル音声を切り換えることも可能である。従って複数のオーディオ情報を同一のタイトル、同一の曲として扱うことができ、オーディオストリームを変更することで、再生したいオーディオ情報の種類を変更することができるようになっている。
【0009】
一方、オーディオDVDにも画像情報を記録したいという要求もあり、メニューや付加情報的な映像情報の記録を可能にしようとしている。この場合、DVDビデオフォーマットと異なる方法で絵を記録したのでは、ビデオフォーマットと互換を取ることができない。現在市場にあるビデオプレーヤでも、オーディオディスクの絵がついた部分の再生ができることが望ましい。
【0010】
従ってこれらの観点からも、画像を伴った場合の実体情報を記録する構造は、DVDビデオフォーマットと同じ構造にする必要がある。
【0011】
しかし、このためには、複数種類のオーディオ情報を多重し、一つのオブジェクトとしてディスク上に記録する必要がある。また複数のストリームを管理するため、データ中にも管理情報を置くことが必要となる。従ってビデオフォーマットと同じ構造を持つことになった場合、再生装置による再生時の切り替えに必要な処理が少ない反面、記録時の処理が複雑になるという不具合を生じる。
【0012】
オーディオフォーマットには、録音用としての機能や、現在使用されているスタジオ機器との整合性を重視し、特に記録時の処理が複雑でないことが求められており、特にデータ中に管理情報を置かない構造が必要とされる。
【0013】
従って、オーディオ情報しか記録しない場合のDVDオーディオフォーマット独自の構造と、画像を伴った場合のDVDビデオフォーマットに準拠した構造の2種類の構造が必要となる。このように2種類の構造のデータに対して、音声情報だけを再生しようとする場合、その再生制御情報は、共通な論理構造としないと、全く違った2種類のフォーマットが存在することとなり再生装置の処理が重くなり、統一的な操作を提供できないため、ユーザの混乱を生ずるという第2の問題がある。
【0014】
本発明は、以上の点に鑑みてなされたものであり、録音形態、再生形態、又は符号化方式等が異なる複数のオーディオ情報をディスクに記録する場合であっても、ユーザに対して混乱を与えることなく、夫々のオーディオ情報を適切に再生させることのできる情報記録媒体及び当該情報記録媒体により夫々のオーディオ情報を適切に再生することのできる再生装置を提供することを第1の課題としている。
【0015】
また、オーディオ情報しか記録しない場合のDVDオーディオフォーマット独自の構造と、画像を伴った場合のDVDビデオフォーマットに準拠した構造の2種類の構造を有する場合でも、夫々のディスクの構造の相違を意識することなく統一的な操作で複数種類のオーディオ情報を選択する環境を提供することのできる情報記録媒体、更にその適切な再生を可能とする再生装置を提供することを第2の課題としている。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、複数のセルから構成されていると共に記録方式の異なる複数のオーディオ情報を含む物理的なオーディオ情報と、前記複数のセルから構成される論理的なプログラムを再生するための再生制御情報と、を記録した情報記録媒体であって、一の前記記録方式の前記オーディオ情報を構成する前記セルと、他の前記記録方式の前記オーディオ情報を構成するセルと、が当該情報記録媒体上における異なる位置に記録されており、前記プログラムは、前記一の記録方式の前記オーディオ情報を構成する前記セルと、前記他の記録方式の前記オーディオ情報を構成する前記セルと、の双方で定義されており、前記一の記録方式の前記オーディオ情報と前記他の記録方式の前記オーディオ情報とは同一内容であるように構成される。
【0017】
上記の課題を解決するために、請求項5に記載の発明は、複数のセルから構成されていると共に記録方式の異なる複数のオーディオ情報を含む物理的なオーディオ情報と、前記複数のセルから構成される論理的なプログラムを再生するための再生制御情報と、を記録した情報記録媒体であって、一の記録方式の前記オーディオ情報を構成する前記セルと、他の記録方式の前記オーディオ情報を構成する前記セルと、が当該情報記録媒体上における異なる位置に記録されており、前記プログラムは、前記一の記録方式の前記オーディオ情報を構成する前記セルと、前記他の記録方式の前記オーディオ情報を構成するセルと、の双方で定義されており、前記一の記録方式の前記オーディオ情報と前記他の記録方式の前記オーディオ情報とは同一内容である情報記録媒体から情報を再生する再生装置であって、情報を読み取る読取手段と、前記オーディオ情報を再生する再生手段と、前記再生制御情報と、予め設定された再生すべき前記オーディオ情報の記録方式と、に基づいて、前記再生手段を制御する制御手段と、を備える。
【0018】
上記の課題を解決するために、請求項9に記載の発明は、複数のセルから構成されていると共に記録方式の異なる複数のオーディオ情報を含む物理的なオーディオ情報と、前記複数のセルから構成される論理的なプログラムを再生するための再生制御情報と、を記録した情報記録媒体であって、一の記録方式の前記オーディオ情報を構成する前記セルと、他の記録方式の前記オーディオ情報を構成する前記セルと、が当該情報記録媒体上における異なる位置に記録されており、前記プログラムは、前記一の記録方式の前記オーディオ情報を構成する前記セルと、前記他の記録方式の前記オーディオ情報を構成するセルと、の双方で定義されており、前記一の記録方式の前記オーディオ情報と前記他の記録方式の前記オーディオ情報とは同一内容である情報記録媒体から情報を再生する再生方法であって、情報を読み取る読取工程と、前記オーディオ情報を再生する再生工程と、前記再生制御情報と、予め設定された再生すべき前記オーディオ情報の記録方式と、に基づいて、前記再生手段を制御する用に構成される。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について説明する。
【0020】
(1)DVDビデオフォーマット
始めに、映像情報及び音声情報(音楽情報も含む。以下、同じ)のビデオDVD上における記録フォーマット(物理的記録フォーマット)について、図1を用いて説明する。
【0021】
(1.1)物理フォーマット
図1に示すように、ビデオDVD1は、その最内周部にリードインエリアLIを有すると共にその最外周部にリードアウトエリアLOを有しており、その間がビデオゾーンであり、映像情報及び音声情報が、夫々にID(識別)番号を有する複数のVTS(Video Title Set )4(VTS#1乃至VTS#n)に分割されて記録されている。ここで、VTSとは、関連する(それに含まれる音声情報及び副映像情報の数や、仕様、対応言語等の属性が同じ)タイトル(映画等の、製作者が視聴者に提示しようとする一つの作品)を一まとめにしたセット(まとまり)である。リードインエリアLIのすぐ外周には当該ディスク内に記録されるファイルのフォーマットを管理する情報を有するUDF(Universal Disk Format)2が記録され、それに続いてVMG(Video Manager)3が記録される。このVMG3として記録される情報は、例えば、ユーザに対する選択項目を示すメニューや、違法コピー防止のための情報、又は夫々のタイトルにアクセスするためのアクセステーブル等、当該ビデオDVD1に記録される映像情報及び音声情報の全体に係わる管理情報である。
【0022】
一のVTS4は、VTSI(Video Title Set Information)11を先頭として、夫々にID番号を有する複数のVOB(Video OBject)10に分割されて記録されている。ここで、複数のVOB10により構成されている部分をVOBセット(VOBS)という。
【0023】
VTS4の先頭に記録されるVTSI11には、複数のセル(セルについては後述する。)を組み合わせた論理的区分であるプログラムチェインに関する種々の情報であるPGCI(Program Chain Information)等の情報が記録される。また、各VOB10には、映像情報及び音声情報の実体部分が記録される。
【0024】
一のVOB10は、夫々にID番号を有する複数のセル20により構成されている。一のセル20は、夫々にID番号を有する複数のVOBユニット(VOBU)30により構成される。ここで、VOBU30とは、映像情報、音声情報及び副映像情報(映画における字幕等の副映像の情報をいう。)のいずれか又は後述のナビパックのみにより構成される一つの単位である。
【0025】
一のVOBU30は、VOBU30に含まれる映像情報等を制御対象とする制御情報が格納されているナビパック41と、映像情報としてのビデオデータを含むビデオパック42と、音声情報としてのオーディオデータを含むオーディオパック43と、副映像情報としてのサブピクチャデータを含むサブピクチャパック44とにより構成されている。ここで、ビデオデータとしては映像データのみが記録され、オーディオデータとしては音声データのみが記録される。また、サブピクチャデータとしては副映像としての文字や図形等のグラフィックデータのみが記録される。
【0026】
各パックPの先頭に記録されるパックヘッダには、夫々のパックPに含まれているデータを後述の再生装置におけるトラックバッファから読み出して夫々のバッファへの入力を開始すべき再生時間軸上の読み出し開始時刻を示すSCR(System Clock Reference)と呼ばれる読み出し開始時刻情報や、パックPの開始であることを示すスタートコード等が記録される。
【0027】
ナビパック41は、再生表示させたい映像又は音声等を検索するための検索情報(具体的には、当該再生表示させたい映像又は音声等が記録されているDVD1上のアドレス等)であるDSI(Data Search Information)データ51と、DSIデータ51に基づいて検索された映像又は音声を再生表示する際の再生表示制御に関する情報であるPCI(Presentation Control Information)データ50とにより構成される。
【0028】
一のVOBU30に含まれている全てのビデオパック42は、一又は複数のGOP(Group Of Picture)により構成されている。上記GOPは、本実施の形態におけるDVD1に映像情報を記録する際に採用されている画像圧縮方式であるMPEG2(Moving Picture Experts Group 2)方式の規格において定められている単独で再生可能な最小の画像単位である。
【0029】
以上説明した図1に示す階層構造の記録フォーマットにおいて、夫々の区分は、DVD1内に記録させる記録情報の製作者(以下、単に製作者という。)がその意図に応じて自在に区分設定をして記録させるものである。これらの区分毎に後述の論理構造に基づいて再生することにより、変化に富んだ種々の再生が可能となる。
【0030】
(1.2)論理フォーマット
次に、図1に示す物理的な区分により記録された情報を組み合わせた論理的フォーマット(論理構造)について図2を用いて説明する。なお、図2に示す論理構造は、その構造で実際にDVD1上に情報が記録されているのではなく、図2に示す論理構造で図1に示す各データ(特にセル20)を組み合わせて再生するための再生制御情報(アクセス情報又は時間情報等)がDVD1上の、特にVTSI11の中に記録されているものである。
【0031】
説明の便宜上、図2の下位の階層から説明していくと、上記図1において説明した物理構造のうち、複数のセル20を選択して組み合わせることにより、一のプログラム60が論理上構成される。なお、このプログラム60を一又は複数個纏めたものを視聴者が自由に選択して視聴することができる最小単位として製作者が定義することもでき、この単位をPTT(Part of Title)という。
【0032】
ここで、一のセル20の番号については、当該セル20を図1に示す物理フォーマットにおいて取り扱う際にはセルID番号として取り扱われ(図1中、セルID#と示す。)、図2に示す論理フォーマットにおいて取り扱う際には後述のPGCI中の記述順にセル番号として取り扱われる。
【0033】
複数のプログラム60を組み合わせて一のPGC(Program Chain)61が論理上構成される。このPGC61の単位で、前述したPGCIが定義され、当該PGCIには、夫々のプログラム60を再生する際の各プログラム60毎のセル20の再生順序(この再生順序により、プログラム60毎に固有のプログラム番号が割当てられる。)、夫々のセル20のDVD1上の記録位置であるアドレス、一のプログラム60における再生すべき先頭セル20の番号、などが含まれている。
【0034】
一のPGC61には、上記PGCIの他に、実体的な映像及び音声等のデータがプログラム60の組み合わせとして(換言すれば、セル20の組み合わせとして)含まれることとなる。
【0035】
一又は複数のPGC61により、一のタイトル62が論理上構成される。このタイトル62は、例えば、映像情報で言えば映画一本に相当する単位であり、製作者がDVD1の視聴者に対して提供する完結した情報である。
【0036】
一又は複数のタイトル62により、一のVTS63が論理上構成される。
【0037】
図2に示す一のVTS63に相当する情報は、図1に示す一のVTS4に含まれている情報に対応している。すなわち、DVD1には、図2に示すVTS63内に論理上含まれる全ての情報が一のVTS4として纏めて記録されていることとなる。
【0038】
以上説明した論理フォーマットに基づいて、物理構造において区分された情報を製作者が指定することにより、視聴者が見るべき映像又は音楽が形成される。
【0039】
(2)DVDオーディオフォーマット
次にオーディオ情報(音楽及び音声情報をも含む。以下、同じ)のオーディオDVD上における記録フォーマット(物理的記録フォーマット)について、図3を用いて説明する。
【0040】
(2.1)物理フォーマット
始めに、オーディオDVD上における物理フォーマット(物理的記録フォーマット)について、図3を用いて説明する。
【0041】
先ず、図3に示すように、実施形態のオーディオDVD200は、その最内周部にリードインエリアLIを有すると共にその最外周部にリードアウトエリアLOを有し、その間は、一のボリュームスペースとなっている。この中に、必ずオーディオゾーンが記録される。このオーディオゾーンに、音声情報が、夫々にID(識別)番号を有する複数のATS(Audio Title Set)203(ATS#1〜ATS#n)に分割されて記録されている。オーディオゾーンの先頭には簡易再生(2チャンネル再生など)のための再生制御情報としてのSAPPT(Simple Audio Play Pointer Table )204が記録されている。このSAPPTはオーディオゾーンを有する全てのDVDディスクに記録されている。なお、SAPPT204はリードインエリアLIや後述のAMG202中に記録しておいても良い。
【0042】
リードインエリアLIのすぐ外周部には、当該ディスク内に記録されるファイルのフォーマットを管理する情報を有するUDF(Universal Disk Format)201が記録され、UDF201に続いてSAPPT204が記録され、続いてAMG(Audio Manager)202が記録される。しかし、UDF201,SAPPT204,その他のファイルの配置は、必ずこの順でなくてはならないというものではない。
【0043】
このSAPPT204に記録される情報は、LPCMデータを2chで再生するのに必要な情報である。またAMG202として記録される情報は、例えば、ユーザに対して項目選択を促すためのメニューや、違法コピー防止のための情報、又は夫々のタイトルにアクセスするためのアクセステーブル等、当該オーディオDVD200に記録されている音声情報の全体に係わる管理情報である。
【0044】
一のATS203は、ATSI(Audio Title Set Information)211を先頭として、夫々にID番号を有する複数のAOB(Audio Object)210から構成される。
【0045】
ここで、複数のAOB210により構成されている部分をAOBセット(AOBS)という。このAOBセットは音声情報の実体部分である。
【0046】
ATS203の先頭に記録されるATSI211には、複数のセル(セルについては後述する。)を組み合わせた論理的区分であるプログラムチェインに関する種々の情報である再生制御情報としてのAPGCI(Audio Program Chain Information)等の情報が記録される。また、各AOB210には、音声情報の実体部分が記録される。一のAOB210は、夫々にID番号を有する複数のセル220により構成されている。
【0047】
一のセル220は、夫々パック化された複数のオーディオパック230または、オーディオパックとリアルタイム情報パック(Real Time Information Pack)231により構成される。オーディオパック230は、オーディオDVDに記録されるべき音声情報を所定の大きさ毎にパック化したものであり、例えばリニアPCMなどによりデジタル化されたオーディオ情報が含まれる。リアルタイム情報パック231には、テキスト情報、BPM(Beat Per Minutes)、拍情報、等が含まれる。
【0048】
以上説明した図3に示す階層構造の記録フォーマットにおいて、夫々の区分は、オーディオDVD200内に記録させる記録情報の製作者(以下、単に製作者という。)がその意図に応じて自在に区分設定をして記録できるものである。これらの区分毎に後述の論理構造に基づいて再生することにより、変化に富んだ種々の再生が可能となる。
【0049】
(2.2)論理フォーマット
次に、図3に示す物理的な区分により記録された情報を組み合わせた論理的フォーマット(論理構造)について図4を用いて説明する。
【0050】
なお、図4に示す論理構造は、その構造で実際にオーディオDVD200上に情報が記録されているのではない。オーディオDVD上にはあくまで図3に示す物理フォーマットで音声情報が記録されており、この音声情報を再生するための情報が図4に示す論理フォーマットで、前述したSAPPT204、AMG202、ATSI211に記録されているのである。
【0051】
説明の便宜上図4の下位の階層から説明していくと、上記図3において説明した物理構造のうち、一のセルまたは複数のセル220を選択して組み合わせることにより、インデックス259を構成する。インデックスは、曲番としても使うことができ、ユーザによって、アクセス可能な最小の単位である。
【0052】
一の又は複数のインデックス259により一のトラック260が論理上構成される。このトラック260は一つの曲に相当する情報単位である。ユーザは任意のトラック(曲)を選択し、ダイレクトにアクセスすることができる。
【0053】
ここで、一のセル220の番号については、当該セル220を図3に示す物理フォーマットにおいて取り扱う際にはセルID番号として取り扱い(図3中、セルID#と示す。)、図4に示す論理フォーマットにおいて取り扱う際には後述のAPGCI中の記述順にセル番号として取り扱う。
【0054】
トラック260(曲)は、複数のセルを含む情報単位であり、ある共通の属性などを有するセルの集合である。すなわちトラック内の全てのセルの属性は、すべて同一である。また、トラックに含まれる全てのセルは、同一のオブジェクト内に、隣接して記録される。
【0055】
一の又は複数のトラック260を組み合わせて一のタイトル261が論理上構成される。但し、ユーザから、このタイトル自体が、アクセスの単位として認識されることはない。従って、タイトル番号を指定して任意のタイトルにアクセスすることはできない。
【0056】
オーディオDVDでは、タイトル261を構成する各トラック260の属性を最大8パターンの中で独立に定義することができる。すなわち各トラック(曲)毎に、チャンネル数、量子化方法、サンプリング周波数など音声情報としての属性を変更してもよい。
【0057】
このタイトル261の単位で、前述したAPGCIが定義され、当該APGCIには、各トラックの属性、夫々のトラック260を再生する際の各トラック260毎のセル220の再生順序、夫々のセル220のオーディオDVD200上の記録位置であるアドレス、一のトラック260における再生すべき先頭セル220の番号、各トラック260の再生方式及び各種コマンドが含まれている。
【0058】
一のタイトル261には、上記APGCIの他に、実体的な音声情報がトラック(曲)260の組み合わせとして(換言すれば、セル220の組み合わせとして)含まれることとなる。
【0059】
一又は複数のタイトル261により、一のタイトルグループ262が論理上構成される。また、タイトルグループ262は、ユーザがアクセスできる最大の単位で、1ボリューム中、最大9個まで定義することができる。このタイトルグループ262は、ある一定の関連性に基づいて集合された1又は複数のタイトル261により構成され、タイトルグループ内の全てのタイトルは、連続的に再生される。例えば、ある歌手、作曲家の曲集などを一つのタイトルグループとして集合させることができる。
【0060】
一又は複数のタイトルグループ262により、一のボリューム263が論理上構成される。このボリューム263は一枚のアルバム(DVD)に相当する情報単位である。
【0061】
図4に示す一のタイトルに含まれる実際の音声情報は、オーディオDVD上では図3に示すいずれか一のATS203内に記録されていることになる。
【0062】
以上説明した論理フォーマットに基づいて、物理構造において区分された情報を製作者が指定することにより、視聴者が聞く音楽が形成される。
【0063】
(3)DVDの種類
次に、DVDにおけるディスクの種類について説明する。なお、以下の説明においては、DVD上に記録される情報に関し、映画のように映像と音声の両方を含む情報を「AV情報」と呼ぶことがあり、その映像部分のみの情報を「ビデオ(又は映像)情報」と呼ぶ。また、映画などのAV情報の音声部分のみ及び音楽のような音声情報のみの情報を「オーディオ(又は音声)情報」と呼ぶ。
【0064】
また、これらの各種のDVDディスクを再生するDVDプレーヤとしては、DVDビデオフォーマットによるAV情報の再生が可能なビデオDVDプレーヤ(以下、「ビデオプレーヤ」と呼ぶ。)、DVDオーディオフォーマットによるオーディオ情報を各種再生形態で再生するオーディオDVDプレーヤ(以下、「オーディオプレーヤ」と呼ぶ。)、DVDオーディオフォーマットによるLPCMオーディオ情報を2chで再生する簡易オーディオDVDプレーヤ(以下、「簡易オーディオプレーヤ」と呼ぶ。)、及び、DVDビデオフォーマットのAV情報とDVDオーディオフォーマットのオーディオ情報のどちらも再生可能なコンパチブルDVDプレーヤ(以下、「コンパチブルプレーヤ」と呼ぶ。)の4種類がある。それぞれのDVDプレーヤについては後で詳細に説明する。
【0065】
AV情報またはオーディオ情報を記録するDVDとして、ビデオDVD、オーディオナビゲーション付きビデオDVD、オーディオオンリーDVD、オーディオ・ビデオ両用DVDの4種類のディスクが存在する。図5に、4種類のDVDの物理フォーマットを概略的に示す。
【0066】
なお、これらのDVDはディスク形状や情報記録方式(変調方法、トラツクピッチ、ピットサイズ等)は全て同一であり、情報の内容(コンテンツ)が異なるだけである。
【0067】
(3.1)ビデオDVD
図5において最上段に示すのは、ビデオDVDである。このディスクにはDVDビデオフォーマットにしたがった映画などのビデオ情報及びそれと同時に再生されるオーディオ情報(即ち、AV情報)が記録されている。従って、リードインエリアLIとリードアウトエリアLOとの間の記録領域には、ビデオゾーンしか存在せず、再生制御情報、ビデオ情報及びオーディオ情報が複数のVTSに含めて記録され、それらVTSの管理情報を含むVMGが記録されている。図1を参照して説明したように、ビデオ情報はビデオパックとして、オーディオ情報はオーディオパックとして記録される。
【0068】
このビデオDVDは、VMGに記録されている管理情報の中に含まれるナビゲーション情報(再生のための制御情報を規定する情報。後に詳述する。)に基づいてビデオプレーヤ及びコンパチプルプレーヤにより再生される。しかし、DVDオーディオフォーマットによるナビゲーション情報が記録されていないため、オーディオプレーヤでは再生できない。
【0069】
(3.2)オーディオナビゲーション付きビデオDVD
2段目に示すのはオーディオナビゲーション付きビデオDVDと呼ばれるビデオディスクの一種である。このオーディオナビゲーション付きビデオDVDは、ビデオプレーヤでDVDビデオフォーマットによる映画などのビデオ情報(付随するオーディオ情報を含む)の再生が可能なことに加え、DVDオーディオフォーマットによるナビゲーション情報も記録したことにより、オーディオプレーヤで、VTS内のVOBのAV情報のオーディオ情報のみを再生することを可能にしたディスクである。また、オーディオプレーヤによりオーディオ情報のみを再生することが可能なAV情報の部分をオーディオプレイパートと呼ぶ。
【0070】
オーディオナビゲーション付きビデオDVDの記録形態は、図1に示すDVDビデオフォーマットに準拠して、ビデオゾーン内にAV情報が複数のVTSの形態で記録されている。これに加え、オーディオナビゲーション付きビデオDVDは、オーディオゾーンとしてビデオゾーンの前方に、DVDオーディオフォーマットに準拠した、VTS内のオーディオ情報のみを再生するために必要な再生制御情報を含むATSIがATSとして記録され、ATSの管理情報としてのAMGが記録されている。ATS内にはオーディオ情報の実体部分であるAOBは記録されない。即ち、このAMG及びATSIには、オーディオナビゲーション付きビデオDVD内の各VTSに含まれるオーディオ情報(具体的には、各VOB内のオーディオプレイパートオーディオパック(図1参照))をオーディオプレーヤで再生するためのナビゲーション情報が記述されている。
【0071】
また、オーディオゾーンの先頭にはSAPPTが記録されている。このSAPPTには、VTSに含まれるLPCMオーディオ情報を2chで再生するためのナビゲーション情報が記述されている。
【0072】
このオーディオナビゲーション付きビデオDVDは、VMGに記録されているナビゲーション情報に基づいてビデオプレーヤ及びコンパチブルプレーヤで再生される。また、AMG内に記録されているナビゲーション情報に基づいてオーディオプレーヤでオーディオプレイパートのオーディオ情報がプレーヤの能力に応じて各種再生形態で再生される。また、SAPPTに記録されているナビゲーション情報に基づいて簡易オーディオプレーヤでオーディオプレイパートのLPCM情報が2chで再生される。
【0073】
(3.3)オーディオオンリーDVD
3段目に示すのは、オーディオオンリーDVDである。このディスクには、若干の静止画像やテキスト情報を除いてオーディオ情報のみが記録されている。従って、リードインエリアLIとリードアウトエリアLOとの間の記録領域には、オーディオゾーンしか存在せず、ATSI、AOBが複数のATSとして記録され、それらATSの管理情報を含むAMGが記録されている。さらにリードインエリアLI又はオーディオゾーンにはSAPPTが記録されている。
【0074】
また、各ATSはオーディオ情報の実体部分である1又は複数のAOBを含んでいる。このオーディオオンリーDVDは、AMGに記録されているナビゲーション情報に基づいてオーディオプレーヤ及びコンパチブルプレーヤでオーディオゾーン内のオーディオ情報がプレーヤの能力に応じて各種再生形態で再生される。また、SAPPTに記録されているナビゲーション情報に基づいて簡易オーディオプレーヤでオーディオゾーン内のLPCM情報が2chで再生される。しかし、DVDビデオフォーマットによるナビゲーション情報が記録されていないため、ビデオプレーヤでは再生できない。
【0075】
(3.4)オーディオ・ビデオ両用DVD
図5の最下段に示すのはオーディオ・ビデオ両用DVDと呼ばれるものである。リードインエリアLIとリードアウトLOの間には、オーディオゾーンとビデオゾーンがある。ビデオゾーンにはビデオDVDと同様にDVDビデオフォーマットに準拠して、VMG、再生制御情報及び実体としてのAV情報(VOB)を含むVTSが記録されている。リードインエリアLI又はオーディオゾーンにはSAPPTが記録されている。
【0076】
オーディオゾーンにはオーディオオンリーDVDと同様に、DVDオーディオフォーマットに準拠して、SAPPT,AMG、再生制御情報及び実体としてのオーディオ情報を含む複数のATS(図ではATS#1、#2)が記録される。さらに、ビデオゾーンのVTS内のVOBのオーディオ情報のみを再生するための再生制御情報だけを含むATS(図ではATS#3)も記録されている。すなわち、オーディオ・ビデオ両用DVDにおいては、DVDビデオフォーマットによるAV情報とDVDオーディオフォーマットによるオーディオ情報は、別々の領域に記録される。
【0077】
オーディオ・ビデオ両用DVDの場合は、AMGはオーディオゾーン内の全てのATSの管理情報を含んでいるだけでなく、オーディオゾーンとビデオゾーン内の全てのATS及びVTSを絡めた管理情報を含んでいる。またSAPPTも、オーディオゾーンとビデオゾーン内の全てのATS及びVTSを絡めた管理情報を含んでいる。但し、その管理情報は、両ゾーンの2chで再生できるLPCMデータに関するものだけである。
【0078】
ここで、オーディオ・ビデオ両用DVDがオーディオナビゲーション付きビデオディスク及びオーディオオンリーDVDと異なる点は、ディスクの記録領域がオーディオゾーンとビデオゾーンに区分され、夫々にDVDビデオフォーマットによるAV情報とDVDオーディオフォーマットによるオーディオ情報が記録されているという点と、オーディオゾーンに記録されるAMG、及びSAPPTがディスク内の全てのATSおよびVTSを絡めた管理情報を含んでいるという点である。
【0079】
より詳しく説明すると、オーディオナビゲーション付きビデオディスクでは、オーディオ情報は、DVDビデオフォーマットに基づいて、VOBの中にパック単位にビデオ情報と多重されて記録されている。そして、VOB内に記録されたオーディオ情報を再生するための再生制御情報であるAPGCIがATSIとしてATSが構成され、これらのATSだけをAMGにより管理する。AMGにはビデオゾーン内のタイトルの管理情報は記録されない。同様にSAPPTにもビデオゾーンのオーディオプレイパートに関するナビゲーション情報が記述される。
【0080】
これに対し、オーディオ・ビデオ両用DVDではDVDオーディオフォーマットによるオーディオ情報とDVDビデオフォーマットによるAV情報の記録される領域が別個に存在する。オーディオゾーンには、図3に示したDVDオーディオフォーマットによりオーディオ情報の実体部分が複数のAOBとして各ATSに記録される。さらに、各ATS内のオーディオ情報の再生制御情報であるAPGCIをATSI内に記録したATSだけでなく、ビデオゾーンのVTS内のVOBに記録されたオーディオ情報の再生制御情報をAPGCIとしてATSI内に記録したATS(オーディオ実体情報がビデオ領域内にあり、ナビゲーション情報であるATSIのみがATSとして存在している。)の二種類のATSが記録されている。すなわちゾーンに関わらずオーディオ情報の再生に関わる再生制御情報の全てをATSをAMGにより管理する。さらに、全てのATS,VTSに記録されているLPCMオーディオ情報の再生に関わる再生制御情報のうち2chで再生することのできるトラックに関する情報がSAPPTに記録されている。
【0081】
一方、ビデオゾーン内は、AV情報が複数のVTSとして記録され、さらに各VTS内のAV情報の再生制御情報をPGCIとしてVTSI内に記録し、これらVTS全てをVMGで管理している。一方、AMGでもビデオゾーンのAV情報再生に関する再生制御情報の全てを管理している。
【0082】
具体的には、オーディオオンリーDVD、オーディオ・ビデオ両用DVDの場合には、AMGが総合管理情報となり、ビデオDVDの場合には、VMGが主たる管理情報となる。オーディオナビゲーション付きビデオDVDの場合、AMGはオーディオプレーヤによるVOB内のオーディオ情報だけの再生についてのみ管理しており、ビデオタイトルの管理は行わない。
【0083】
またオーディオオンリーDVD、オーディオ・ビデオ両用DVDの場合には、SAPPTは、例えば簡易型、ポータブル型オーディオプレーヤ等による、LPCMオーディオ情報を2chで再生するための総合管理情報となる。ビデオDVDの場合には、SAPPTが無いためLPCMで記録されていても、簡易プレーヤによる、オーディオ情報だけの再生を行うことはない。オーディオナビゲーション付きビデオDVDの場合、SAPPTは簡易オーディオプレーヤによるVOB内のオーディオプレイパートのLPCMオーディオ情報(オーディオオンリータイトル)の再生についてのみ管理しており、ビデオタイトルの管理は行わない。
【0084】
このような構造をとることで、再生装置の能力に応じて最適な再生ができ、なおかつ各ディスクと各再生装置との間で整合性のある互換性が、実現されている。
【0085】
(4)タイトルの再生制御
次に、タイトルの再生制御についてさらに詳しく説明する。ここで、タイトルとは、DVDに記録されるAV情報、オーディオ情報等の実体情報と、その再生手順を示す再生制御情報とから構成される、再生形態の共通な一連の作品(プレゼンテーション)または作品の一部を指す。オーディオDVDの物理及び論理フォーマットで述べたように、ユーザは、直接タイトルを選択し再生を開始するようプレーヤに指示することはない。ユーザは、1つ又は、複数のタイトルから成るタイトルグループを選択し、再生を開始する。しかしプレーヤは、指示されたタイトルグループが、どのようなタイトルから構成されるかをAMG及びATSI内のナビゲーション情報から判断し、各タイトルの再生を連続的に行うことにより、タイトルグループの再生を行っている。従ってDVDプレーヤにおいては、タイトルの再生が基本となる。そこでDVDオーディオフォーマットにおけるタイトル、及びタイトルの再生制御についてオーディオ・ビデオ両用ディスクを例に説明する。
【0086】
(4.1)タイトルの種類
まず、DVDオーディオフォーマットにおけるタイトル(図4のタイトル261)は、オーディオ領域内の音声情報の再生により構成されるオーディオタイトル(以後「AOTT(Audio Only Title)」とも呼ぶ)と、ビデオ領域内のAV情報の再生により構成されるビデオタイトルとに分類される。またビデオタイトルは、画像専用タイトル(以後「AVTT(Audio Video Title)」とも呼ぶ)と、画像音声両用タイトル(以後「AVTT/AOTT(Audio Video Title / Audio Only Title)」とも呼ぶ)の2種類に分類される。なお、DVDビデオフォーマットの場合は画像専用タイトルのみである。
【0087】
AOTTは、オーディオ情報のみが再生されるタイトルであり、その実体情報はオーディオゾーン内のAOBに記録されたオーディオ情報により構成される。
【0088】
AVTTは、オーディオ情報が必ずビデオ情報を伴って再生されるタイトルであり、その実体情報はビデオゾーン内のVOBに記録されたAV情報により構成される。AVTTではオーディオ情報のみの再生は認められず、ビデオ情報と共に再生することが必須となる。
【0089】
AVTT/AOTTは、オーディオ情報のみでも再生することもでき、AV情報としてビデオ情報と共にオーディオ情報を再生することもできるタイトル(即ち、両用タイトルということができる)であり、いずれの場合もその実体情報はビデオゾーン内のVOBに記録されたAV情報により構成される。
【0090】
このAVTT/AOTTが、AV情報、オーディオ情報のどちらとして再生されるかは、再生装置の能力に依存する。すなわち、AV情報の再生能力を有しない再生装置(オーディオプレーヤ)ではAVTT/AOTTをオーディオ情報のみで再生し、AV情報の再生能力を有する再生装置(ビデオプレーヤ及びコンパチブルプレーヤ)ではAVTT/AOTTをビデオ情報と共にオーディオ情報を伴って再生する。
【0091】
ところで、AMGには、オーディオプレーヤ用のナビゲーション情報と、コンパチブルプレーヤ用のナビゲーション情報の2つのナビゲーション情報を別個に記録している。オーディオプレーヤ用のナビゲーション情報は、オーディオゾーンのAOB内のオーディオ情報により構成されるオーディオタイトル(AOTT)及びビデオゾーンのVOB内のAV情報により構成される両用タイトルの音声情報だけを再生するためのナビゲーション情報を記述したオーディオオンリータイトルサーチポインタであり、これはオーディオオンリータイトルサーチポインタテーブル(AOTT_SR)に記録される。一方、全ての種類のタイトルを再生可能なコンパチブルプレーヤ用のナビゲーション情報であるオーディオタイトルサーチポインタは、オーディオタイトルサーチポインタテーブル(ATT_SR)に記録される。これらのナビゲーション情報については図8の説明にてさらに詳述する。
【0092】
このオーディオ・ビデオ両用DVDをビデオプレーヤで再生する場合には、ビデオゾーン内のVMG及びVTSIに記録されているビデオプレーヤ用のナビゲーション情報に従って各VTS内のAV情報を再生する。
【0093】
また、このオーディオ・ビデオ両用DVDをオーディオプレーヤで再生する場合には、オーディオゾーン内のAMG内のAOTT_SRを参照し、ATSIに記録されているオーディオプレーヤ用の再生制御情報に従ってオーディオ情報を再生する。オーディオプレーヤによりオーディオ情報を再生する場合には、2つの場合がある。一つは、オーディオゾーンのAMG及びATS内のナビゲーション情報であるATSI、APGCIに従ってAOB内のオーディオ情報を再生する場合であり、もう一つは、オーディオナビゲーション付きビデオディスクと同様に、AMG及びATSI、APGCIに従ってビデオゾーン内のVTSに記録されたオーディオ情報を再生する場合である。後者の場合は、同じオブジェクトに対して、ビデオプレーヤでは画像を伴うAV情報として再生し、オーディオプレーヤではオーディオ情報のみを再生する。
【0094】
さらに、このオーディオ・ビデオ両用DVDをコンパチブルプレーヤで再生する場合には、オーディオゾーン内のAMG内のコンパチブルプレーヤ用のナビゲーション情報であるATT_SRを参照し、ATSI、VTSIに記録されている再生制御情報に従って、オーディオゾーン内のオーディオ情報及びビデオゾーン内のAV情報が統合的に再生される。
【0095】
オーディオ・ビデオ両用DVDにおけるタイトルは、全てAMGにより管理されており、DVDオーディオフォーマットの上記3種類のタイトルのいずれかに分類される。今、DVDオーディオフォーマット及びDVDビデオフォーマットの両方の再生能力を有するコンパチブルプレーヤを使用して図6に示す論理フォーマット例を有するオーディオ・ビデオ両用DVDを再生する場合を考える。このオーディオ・ビデオ両用DVDにおいて、ボリユームは#1〜#7の7つのタイトルグループから構成されており、各タイトルグループは1つのタイトルにより構成されているものとする。1つのタイトルには1又は複数のトラックが含まれている。図6において、左列はコンパチプルプレーヤ用のナビゲーション情報(ATT_SR)、中央の列はビデオプレーヤ用のナビゲーション情報(TT_SR)、右の列はオーディオプレーヤ用のナビゲーション情報(AOTT_SR)のイメージを示したものである。
【0096】
タイトル#2及び#5はAOTTであるので、これらのタイトルの再生時にはオーディオ・ビデオ両用DVDのオーディオゾーン内のAOBに記録されたオーディオ情報のみが再生される。
【0097】
タイトル#4、#6及び#7はAVTTであるので、オーディオ・ビデオ両用DVDのビデオゾーン内のVOB内に記録されたAV情報が再生される。従って、必ず映像及び音声が再生されることになる。
【0098】
また、タイトル#1及び#3はAVTT/AOTTであるので、コンパチブルプレーヤはオーディオ・ビデオ両用のDVDのビデオゾーン内のVOBに記録されたビデオ及びオーディオ情報に基づき、音声と映像の両方を再生する。なお、ビデオ情報の再生能力を有しないオーディオプレーヤを使用した場合は、タイトル#1及び#3では、オーディオ・ビデオ両用DVDのビデオゾーン内のVOBに記録されたオーディオ情報のみが再生される(図6の右列参照)。即ち、AVTT/AOTTタイトルは、当該DVDディスクを再生しようとする再生装置の能力に応じて、その能力を最大限に発揮できる方法で記録情報を再生するように作成されている。
【0099】
なお、タイトルグループ再生時の混乱を無くすため、AVTTは他の種類のタイトル(AOTT、AVTT/AOTT)とタイトルグループを構成することができないことが約束されている。
【0100】
(4.2)VOBの二重管理
次に、オーディオ・ビデオ両用DVDのビデオゾーン内のVOBに関して規定されるPGCI及びAPGCIの概念について説明しておく。VOB内には、ビデオ情報及びオーディオ情報が多重された形で記録されている。VOBをAV情報として再生する場合には、PGCIに従って再生することとなり、これは、ビデオDVDの場合と同様の概念である。このようにオーディオDVDにおけるAV情報の記録及び再生の仕方をビデオフォーマットに合わせたため、ビデオプレーヤとの互換性が保たれることになった。これに対しVOB内のオーディオ情報のみを再生する場合にはAPGCIに従って再生を行うが、このAPGCIはPGCIとは独立に規定される。これについて、図7を参照して説明する。
【0101】
図7はある一つのVOBを、PGCIに従ってAV情報として再生する場合と、APGCIに従ってオーディオ情報のみとして再生する場合のプログラムの概念を示している。図7において、VOBにはビデオデータ、サプピクチャデータ及びオーディオデータが含まれている。このVOBをAV情報として再生する場合には、その再生制御はPGCIに基づいて行われる。PGCIでは、当該VOBを6個のビデオセル#1−#6に分割し、ビデオセル#1によりビデオプログラム#1を、ビデオセル#2−#4によりビデオプログラム#2を、ビデオセル#6によりビデオプログラム#3を構成している。AVTT/AOTTの如き、ビデオプレーヤやコンパチプレーヤでAV情報を再生する場合は、このようなPGCIに従って再生が行われる。
【0102】
一方、同一のVOBからオーディオプレーヤがオーディオ情報のみを再生する場合には、APGCIに従って再生が行われる。APGCIにより規定されるオーディオプログラムは夫々1又は2以上のオーディオセルにより構成される。ここで、同一のオブジェクト(VOB)に対してであっても、オーディオセルがビデオセルと異なるように(独立に)規定することができる(もちろん一致するように規定することも可能である)。即ち、各オーディオセルの開始位置、終了位置などは、いずれのビデオセルとも独立に設定することができる。また、APGCIにより規定されるオーディオセルの再生順序は、PGCIにより規定されるビデオセルの再生順序と独立に規定することが可能である。
【0103】
図7の例では、オーディオプログラム#1はオーディオセル#1及び#2により構成され、オーディオプログラム#2はオーディオセル#3により構成される。APGCIは、これらオーディオプログラムに含まれるオーディオセルの記録位置、再生順序などの情報を含んでおり、これに基づいてオーディオ情報の再生が行われる。
【0104】
このように、オーディオセルをビデオセルと独立に規定することができるようにした理由は、オーディオ情報をAV情報と独立に管理するためである。こうすることにより、VOB内のオーディオ情報のみを再生する場合にAV情報とは独立に時間管理などを行うことが可能となる。また、AV情報に含まれるオーディオ情報のうち、オーディオ情報のみで再生しても意味のある部分のみの再生が可能となる。もちろん同一セルとして定義することであっても良い。
【0105】
(4.3)タイトルサーチポインタ
次にオーディオ・ビデオ両用DVDにおける、タイトルサーチポインタを用いた、上述の各タイトルの再生について、図6及び図8を参照して説明する。
【0106】
図8に、オーディオ・ビデオ両用DVDのナビゲーション情報の例を示す。前述のように、オーディオ・ビデオ両用DVDは、DVDビデオフォーマットに従うビデオゾーン及びDVDオーディオフォーマットに従うオーディオゾーンを有する。オーディオ・ビデオ両用DVDから再生可能な情報は、映画などのAV情報(音声付き映像情報)とオーディオ情報とである。そして、それぞれの情報を各種プレーヤで再生したとき、混乱や矛盾が生じないようにするためのナビゲーション情報が、各プレーヤに対応して別個にオーディオ・ビデオ両用DVD上に記録されている。
【0107】
(4.3.1)AMG、ATSI、タイトルサーチポインタテーブル
図8において、オーディオ・ビデオ両用DVDはオーディオゾーンとビデオゾーンとを有する。オーディオゾーンはAMG202とATS#1、ATS#2、ATS#3から構成され、ATS#1はATSI211と、AOB210とから構成され、ATS#3はATSI212だけから構成される。また、ビデオゾーンはVMG3とVTS#1、VTS#2から構成され、VTS#1は、VTSI11と、VOB10とから構成される。
【0108】
AMG202は、ナビゲーション情報の実体部分であるAMGI(AMG Information)240を含む。AMGI240は、AMGI240のファイルサイズや記録アドレスなどの情報を含むAMGIマネージメントテーブル241と、ATTサーチポインタテーブル242と、AOTTサーチポインタテーブル243と、を含む。ここでATTとは、オーディオ情報のみから構成されるオーディオオンリータイトル(AOTT)、AV情報から構成される画像専用タイトル(AVTT)及びAV情報から構成される画像音声両用タイトル(AVTT/AOTT)の総称である。
【0109】
ここで、サーチポインタとは、各タイトルの再生制御情報(ここでは、APGCI、PGCIのことを指す。)のDVD上の記録位置を示すポインタである。前述のように、各タイトルは、オーディオ情報、AV情報などの実体情報と、それらの実体情報を組み合わせて再生するための再生制御情報により構成される。この再生制御情報は、ATS内のATSI又はVTS内のVTSIに記録されている。サーチポインタは、各タイトルの再生制御情報のATSI又はVTSI内の記録位置を示すポインタである。なお、ナビゲーション情報は、各タイトルの再生を管理するための情報であり、本実施形態では上記サーチポインタを含む概念である。
【0110】
ATTサーチポインタテーブル242は、当該オーディオ・ビデオ両用DVDの各タイトルをコンパチブルプレーヤで再生する場合のナビゲーション情報を記述したテーブルである。一方、AOTTサーチポインタテーブル243は、当該オーディオ・ビデオ両用DVDの各タイトルをオーディオプレーヤで再生する場合のナビゲーション情報を記述したテーブルである。また、ATTサーチポインタテーブル242と、AOTTサーチポインタテーブル243とは1:1対応しておりATTサーチポインタテーブル内に記述されるサーチポインタの数は当該オーディオ・ビデオ両用DVDに含まれる全てのタイトルの数と一致する。例えば、図6に示すように、当該オーディオ・ビデオ両用DVDに合計7個のタイトルが含まれていれば、ATTサーチポインタテーブル242内にはその7個のタイトルに対応するサーチポインタが記述され、そのタイトルの種類に関わらずAOTTサーチポインタテーブル243にも7個のサーチポインタを記述する枠が用意される。そしてそれぞれのテーブルの枠は1:1に対応している。
【0111】
(4.3.1.1)ATT_SRP
オーディオタイトルサーチポインタ(ATT_SRP)は、オーディオ・ビデオ両用DVDをコンパチブルプレーヤで再生する際に使用するナビゲーション情報である。従って、オーディオ・ビデオ両用DVDがセットされると、コンパチブルプレーヤはこのATT_SRPを参照して各タイトルの再生を行う。
【0112】
図8に示すナビゲーション情報の例は、図6に示すオーディオ・ビデオ両用DVDの例に対応するものであり、タイトル#1、#3が画像音声両用タイトル(AVTT/AOTT)、タイトル#2、#5がオーディオオンリータイトル(AOTT)、タイトル#4、#6、#7が画像専用タイトル(AVTT)である。
【0113】
既に述べたように、オーディオ・ビデオ両用DVDには3種類のタイトル(AOTT、AVTT/AOTT、AVTT)を記録することができる。よって、オーディオ・ビデオ両用DVDでは、AMGのATTサーチポインタテーブル242に、3種類全てのタイトル(AOTT、AVTT/AOTT、AVTT)に関するサーチポインタが記述される。
【0114】
しかしながら、図8のATTサーチポインタテーブル242に実際に書かれるタイトルサーチポインタ245は、オーディオオンリータイトルサーチポインタ(AOTT_SRP)または画像専用タイトルサーチポインタ(AVTT_SRP)のみであり、画像音声両用タイトル(AVTT/AOTT)についてのタイトルサーチポインタは画像専用タイトルサーチポインタ(AVTT_SRP)として記述される(実際の記述を図8のテーブル中に括弧書きで示している)。これは、コンパチブルプレーヤにとっては画像音声両用タイトル(AVTT/AOTT)と画像専用タイトル(AVTT)を区別する必要が無いからである。即ち、コンパチブルプレーヤは、DVDビデオフォーマットの再生能力を有しており、全ての画像音声両用タイトルをAV情報として再生するので、ナビゲーション情報上もビデオサーチポインタ(AVTT_SRP)と区別する必要が無いからである。従って、画像の再生を伴うタイトルに関しては、全て画像専用タイトルサーチポインタ(AVTT_SRP)として共通の書式で記述される。
【0115】
従って、図6の左列と図8のオーディオタイトルサーチポインタテーブル245とを対比すると分かるように、コンパチブルプレーヤ用のナビゲーション情報を記述するATTサーチポインタテーブル242では、画像専用タイトル(タイトル#4、6、7)及び画像音声両用タイトル(タイトル#1、3)については画像専用タイトルサーチポインタ(AVTT_SRP)が記述され、オーディオオンリータイトル(タイトル#2、5)についてはAOTTサーチポインタ(AOTT_SRP)が記述される。コンパチブルプレーヤは、このテーブル242を参照し、図6の左列に示すように、タイトル#1、3、4、6、7をAV情報として再生し、タイトル#2、#5をオーディオ情報として再生する。
【0116】
(4.3.1.2)AOTT_SRP
一方、AOTTサーチポインタテーブル243には、オーディオプレーヤ用のナビゲーション情報が記述されている。よって、オーディオ・ビデオ両用DVDがセットされると、オーディオプレーヤはこのAOTTサーチポインタテーブル243を参照して再生を行う。
【0117】
このテーブルには、オーディオタイトル(AOTT)及び画像音声両用タイトル(AVTT/AOTT)に関するサーチポインタが記述される。オーディオプレーヤはAV情報の再生能力を有しないので、画像専用タイトル(AVTT)についてのサーチポインタの記述は必要が無い。しかし、このテーブルに実際に書かれるサーチポインタは、AOTTサーチポインタ(AOTT_SRP)だけである。オーディオプレーヤにとっては、音声のみを再生できるタイトルであるか否かについての情報だけがあれば良く、オーディオタイトル(AOTT)と画像音声両用タイトル(AVTT/AOTT)を区別する必要が無い。従って、オーディオオンリータイトルサーチポインタテーブル(AOTT_SRPT)243上では、オーディオタイトル(AOTT)と画像音声両用タイトル(AVTT/AOTT)を区別せず、全てAOTTサーチポインタ(AOTT_SRP)として共通な書式で記述される。
【0118】
従って、画像音声両用タイトル(AVTT/AOTT)については、上記のATTサーチポインタテーブル242内では画像専用タイトルサーチポインタ(AVTT_SRP)が記述されるが、AOTTサーチポインタテーブル243内ではオーディオオンリータイトルサーチポインタ(AOTT_SRP)が記述されることになる。
【0119】
なお、画像専用タイトル(AVTT)については、タイトルサーチポインタを書く枠だけが用意されているものの、実体的な情報は記述されないか、若しくは、このタイトルはAOTT_SRPを持っていない(音声だけの再生はできない)旨が記述される。AOTTサーチポインタテーブル243はオーディオプレーヤ用のナビゲーション情報を記述するものであり、オーディオプレーヤはAV情報の再生は不能だからである。よって、オーディオプレーヤはこのタイトルを再生できないと判断し、この記述を無視する。
【0120】
以上のように記述されたAOTTタイトルサーチポインタテーブル243を参照して、オーディオプレーヤは図6の右列に示す再生を行う。即ち、画像専用タイトル#4、6、7を無視し、タイトル#1、2、3、5についてオーディオ情報を再生する。
【0121】
(4.3.2)VMG、VTSI、タイトルサーチポインタ
VMG3は、ナビゲーション情報の実体部分であるVMGI(VMG Information)を含む。VMGIは、VMGIのファイルサイズや記録アドレスなどの情報を含むVMGIマネージメントテーブル250と、タイトルサーチポインタテーブル(TT_SRPT)251とを含む。タイトルサーチポインタテーブル251は、ビデオプレーヤについてのナビゲーション情報を記述したテーブルである。よって、ビデオプレーヤは、このタイトルサーチポインタテーブル(TT_SRPT)251を参照し、従来のビデオフォーマットで決められた手順に従ってタイトルの再生を行う。従って、ここでいうタイトルは、画像音声両用タイトル(AVTT/AOTT)と画像専用タイトル(AVTT)の2種類であるが、タイトルサーチポインタテーブル(TT_SRPT)251には、この2つを区別することなく、全てTT_SRPとして記述されるということになる。
【0122】
このように、オーディオ・ビデオ両用DVDでは、オーディオプレーヤ、ビデオプレーヤ、コンパチブルプレーヤそれぞれにとって、最適なナビゲーション情報を準備し、3つの別個のタイトルサーチポインタテーブルとして記録している。これにより、各再生装置の能力に応じて最適な再生が行うことができる。
【0123】
(4.4)サーチポインタテーブルの構造
次にサーチポインタテーブルの構造についてさらに詳しく説明する。
【0124】
(4.4.1)ATT_SRP、AOTT_SRP、TT_SRP
ATTサーチポインタテーブル242は、ATTサーチポインタの数などの情報を含むATTサーチポインタ情報244と、複数のATTサーチポインタ245とを含む。なお、図8において、各ATTサーチポインタの括弧内は、実際に当該サーチポインタとして記載されるサーチポインタの種類を示す。前述したようにATTサーチポインタテーブル242に書かれるサーチポインタは、AOTT_SRP又はAVTT_SRPのいずれかである。
【0125】
AOTTサーチポインタテーブル243は、同様にAOTTサーチポインタの数などの情報を含むAOTTサーチポインタ情報246と、複数のAOTTサーチポインタ247とを含む。図8において、各AOTTサーチポインタの括孤内も、実際に当該サーチポインタとして記述されるサーチポインタの種類を示す。前述のように、AOTTサーチポインタテーブルに書かれるサーチポインタは、全てAOTT_SRPである。
【0126】
同一のタイトルを指定するATTサーチポインタとAOTTサーチポインタの各サーチポインタテーブル上における位置は、同じでなくてはならない。即ち、ATTサーチポインタテーブル242上のATTサーチポインタと、AOTTサーチポインタテーブル243上のAOTTサーチポインタとは、1:1で対応しており、ATT_SRP#1とAOTT_SRP#1は同一のタイトルを指定する。
【0127】
TTサーチポインタテーブル251は、同様にTTサーチポインタの数などの情報を含むTTサーチポインタ情報252と、複数のTTサーチポインタ254とを含む。
【0128】
ATTサーチポインタ245とAOTTサーチポインタ247とは1:1で対応しているが、両者とTTサーチポインタとの間には必ずしも1:1の対応関係は存在しない。しかし、TTサーチポインタも、対象となるタイトルを論理的に構成するPGCを示すことでその再生手順を示しているという点ではATTサーチポインタ、AOTTサーチポインタと同じである。
【0129】
(4.5)各タイトルの再生方法
次に、図6及び8を参照し、オーディオ・ビデオ両用DVDに記録可能な3種類のタイトルの各々の再生方法について、それらタイトルを再生可能なプレーヤ毎に分類して説明する。
【0130】
(4.5.1)オーディオオンリータイトル(AOTT)の再生方法
AOTTを再生できるのは、オーディオプレーヤとコンパチブルプレーヤである。AOTTは、オーディオ情報再生のためのタイトルである。また、本発明で実現しようとしている、もしくは関連のある、オーディオオンリータイトルの主な再生形態(機能)には、以下のものがある。但し画像音声両用タイトル(AVTT/AOTT)のオーディオプレーヤでの再生において、実現できる再生形態も含む。
【0131】
マルチチャンネル再生:
DVDオーディオフォーマットにおいて、ビデオゾーンのLPCMオーディオ情報は、最大8ch可能。ディスクリートマルチチャンネルとしては、最大6ch可能。この場合、各チャンネルに対して前方3チャンネル+後方2チャンネル+サブウーハの組み合わせのから11パターンが、またディスクリートマルチチャンネルの部分と2ch再生用の信号との組み合わせから13パターン計24パターンの設定が可能。オーディオゾーンのLPCMオーディオ情報は、最大6チャンネル可能、各チャンネルに対して前方3チャンネル+後方2チャンネル+サブウーハの組み合わせの中で21パターンが可能。
【0132】
2ch再生:
2ch以下のLPCMオーディオ情報は、そのまま再生。ビデオゾーンのマルチチャンネルLPCMオーディオ情報は、CH0,CH1の2chのみ再生、オーディオゾーンのマルチチャンネルLPCMオーディオ情報は、トラック単位で別々に定義されるダウンミックス係数に基づいて2chにダウンミックスし2chとして再生する。
【0133】
オーディオセレクション:
DVDでは、2つの異なった再生形態のオーディオ情報を一つのタイトルとして定義し、ユーザが選択することができる。この機能をオーディオセレクションと呼ぶ。具体的には、ユーザが同一の曲に対して2chとマルチチャンネルの異なった再生形態を選択することができる。また2chとマルチチャンネル以外の選択としては、同一の曲に対してLPCM記録のオーディオ情報と他のコーディング方式(圧縮音声や1ビット音声など)で記録されたオーディオ情報とを選択し聞くこともできる。
【0134】
オーディオコーディングモード(リニアPCM、ドルビーAC3、MPEGオーディオ、DTS、SDDS):
オーディオ情報を記録する際の符号化方式の種類を示す。CDにも使われているLPCMがよく知られている。他は圧縮符号化方式の一つである。
【0135】
マルチチャンネルタイプ:
DVDオーディオフォーマットにおける、LPCMのマルチチャンネル記録の種類を示す。タイプ1の場合には、最大6chまで設定可能。各チャンネルにとスピーカ配置の関係も、前方3チャンネル+後方2チャンネル+サブウーハの組み合わせの中で設定可能。
【0136】
チャンネルアサイメント(チャンネル数、スピーカ配置):
LPCMのマルチチャンネルにおける、チャンネル数、各チャンネルと出力スピーカ配置との関係、及び各チャンネルとチャンネルグループとの関係を示す。例えば、3chの信号が記録されている場合、CH0は、Left Front speaker:左前から出力する信号でチャンネルグループ1に含まれる、CH1は、Right Front speaker:右前から出力する信号でチャンネルグループ1に含まれる、 CH2は、Surround speaker:後方から出力する信号で、チャンネルグループ2に含まれる、といった関係であることを示す。前述したように、マルチチャンネルタイプが、タイプ1の場合には、前方3チャンネル+後方2チャンネル+サブウーハの組み合わせの中で21パターンの設定が可能で、チャンネルアサイメント情報がこの21パターンのうちどの組み合わせであるかを示す。
【0137】
マルチストリーム:
DVDオーディオフォーマットにおけるオーディオ領域に記録されるオーディオの実体情報は、AOBの中に、唯一のオーディオストリームとして記録されるが、ビデオ領域に記録されるオーディオの実体情報は、VOBの中に、映像のストリームと共に、パック毎に多重して記録される。またVOBは、限られた転送レートの範囲内であれば、複数のオーディオストリームを多重することができる。例えば2ch/LPCMオーディオストリームとマルチチャンネル/LPCMオーディオストリームを多重したり、2ch/LPCMオーディオストリームとAC−3圧縮音声ストリームを多重することも可能である。これらの再生形態の異なる2つのオーディオストリームは、オーディオセレクションの値を指定することにより、ユーザが選択することができる。
【0138】
(4.5.1.1)オーディオプレーヤの場合
最初に、オーディオプレーヤがAOTTを再生する方法について説明する。前述のように、オーディオプレーヤはナビゲーション情報としてAOTT_SRPT243のみを参照する。従って、タイトル#2を再生しようとすると、AOTT_SRP#2を参照し、当該タイトルが含まれる、ATS番号(この場合は、ATS#1)とそのATS内でのタイトル番号を読み出す(図8、「P2A(1)」で示すパスを参照)。次に該当するATS#1のATSI211を参照し(図8、「P2A(2)」で示すパスを参照)、先のATS内でのタイトル番号から当該タイトルが対応するA(Audio)PGCIを読み出す。従って、再生時にはAOTT_SRP#2が指定するAPGCIに従ってAOB210内のオーディオパック43を再生することによりオーディオ情報を再生する(図8、「P2A(3)」で示すパスを参照)。
【0139】
(4.5.1.2)コンパチブルプレーヤの場合
次に、コンパチブルプレーヤがAOTTを再生する方法ついて説明する。コンパチブルプレーヤはナビゲーション情報としてATT_SRPT242を参照する。従って、タイトル#2を再生しようとすると、ATT_SRP#2を参照し、それがAOTT_SRPであるので、当該タイトルがAOTTであることを認識する。以後、オーディオプレーヤと同様に、当該タイトルが含まれる、ATS番号(この場合は、ATS#1)とそのATS内でのタイトル番号を読み出す(図8、「P2C(1)」で示すパスを参照)。次に該当するATS#1のATSI211を参照し(図8、「P2C(2)」で示すパスを参照)、先のATS内でのタイトル番号から当該タイトルが対応するAPGCIを読み出す。従って、再生時にはATT_SRP#2が指定するAPGCIに従ってAOB210内のオーディオパック43を再生することによりオーディオ情報を再生することができる(図8、「P2C(3)」で示すパスを参照)。
【0140】
(4.5.2)画像専用タイトル(AVTT)
次に、画像専用タイトルの再生のパスを説明する。画像専用タイトルは、ビデオプレーヤとコンパチブルプレーヤが再生することができる。
【0141】
(4.5.2.1)ビデオプレーヤの場合
ビデオプレーヤは、ナビゲーション情報としてTT_SRPT(タイトルサーチポインタテーブル)251を参照し、ビデオフォーマットの再生手順に従って処理を行う。従って、まずVMG3のタイトルサーチポインタテーブル251を参照する。ここでオーディオナビゲーション上で対応するタイトルの各タイトルサーチポインタテーブル242、243上のサーチポインタの記述位置と、VMG3のタイトルサーチポインタテーブル251上のタイトルサーチポインタの記述位置は、1:1に対応していなくてもよい。即ち、AMGIのATTサーチポインタテーブル242とVMGIのTTサーチポインタテーブル251において、その内容及び順番を、独立に定義することができる。ただし、混乱を避けるため、タイトルサーチポインタテーブル251内に、VMGIのTT_SRP254に対応するタイトルがない場合には、原則としてTTサーチポインタテーブル上で枠を詰めて記述することとする。従ってタイトル番号は、図8で示すように異なる場合がある。即ち、図6に示す例のオーディオ・ビデオ両用DVDには7個のタイトルが存在するが、ビデオプレーヤはAOTTであるタイトル#2及び#5は再生しないので、これらを省いた残りの5個のタイトル(タイトル#1、#3、#4、#6、#7)についてのTT_SRPをタイトルサーチポインタテーブル251内に記述している。よって、タイトルサーチポインタテーブル251内のTT_SRP#1−#5は、夫々図6に示す各タイトル#1、#3、#4、#6、#7に対応している。
【0142】
TT_SRP254は、対象となるタイトルを論理的に構成するPGCを示している。従ってビデオプレーヤは、このサーチポインタから当該タイトルが含まれるVTS番号(この場合は、VTS#1)とそのVTS内でのタイトル番号を読み出す(図8、「P3V(1)」で示すパスを参照)。次に該当するVTS#1のVTSI11を参照し(図8、「P3V(2)」で示すパスを参照)、先のVTS内でのタイトル番号から当該タイトルが対応するPGCIを読み出す。よって、ビデオプレーヤは、このPGCIを取得し、VOB内のビデオパック、オーディオパックなどを使用して当該タイトルをAV情報として再生する(図8、「P3V(3)」で示すパスを参照)。
【0143】
(4.5.2.2)コンパチブルプレーヤの場合
次に、コンパチブルプレーヤが画像専用タイトル(AVTT)を再生する場合のパスについて説明する。コンパチブルプレーヤはナビゲーション情報としてATT_SRPT242のみを参照する。従って、このATT_SRP#4を参照し、それがAVTT_SRPであるので、当該タイトルが画像専用タイトルであることを認識する。前述したように、ビデオプレーヤにおけるタイトル番号とは一致しない。しかし以後は、ビデオプレーヤがTT_SRPTから読み出したのと同様に、ATT_SRP245から、当該タイトルが含まれる、VTS番号(この場合は、VTS#1)とそのVTS内でのタイトル番号を読み出す(図8、「P4C(1)」で示すパスを参照)。次に該当するVTS#1のVTSI11を参照し(図8、「P4C(2)」で示すパスを参照)、先のVTS内でのタイトル番号から当該タイトルが対応するPGCIを読み出す。よって、コンパチブルプレーヤも、このPGCIを取得し、VOB内のビデオパック、オーディオパックなどを使用して当該タイトルをAV情報として再生する(図8、「P4C(3)」で示すパスを参照)。
【0144】
(4.5.2.3)オーディオプレーヤの場合
次に、オーディオプレーヤの場合について説明する。オーディオプレーヤはナビゲーション情報としてAOTT_SRPT243のみを参照する。従ってAOTT_SPR#4を読み出すが、ここには該当するAOTTは無いと書かれているため、再生を中止する。
【0145】
(4.5.3)画像音声両用タイトル(AVTT/AOTT)の場合
画像音声両用タイトルは、オーディオプレーヤ、ビデオプレーヤ、コンパチブルプレーヤ全てのプレーヤで再生される。従ってこの順に説明する。
【0146】
(4.5.3.1)オーディオプレーヤの場合
最初に、オーディオブレーヤが画像音声両用タイトルを再生する方法について説明する。オーディオプレーヤはナビゲーション情報としてAOTT_SRPT243しか参照しない。従って、AOTT_SRP#1を参照し、当該タイトルが含まれるATS番号(この場合は、ATS#3)とそのATS内でのタイトル番号を読み出す(図8、「P1A(1)」で示すパスを参照)。次に該当するATS#3のATSI212を参照し(図8、「P1A(2)」で示すパスを参照)、先のATS内でのタイトル番号から当該タイトルが対応するAPGCIを読み出す。但し、このATS#3は、実体としてのオーディオデータを含まず、このAPGCIはVTS#1のVOB10に対する再生手順を示すものである。従って、再生時にはこのAPGCIに従ってVOB10内のオーディオパック43だけを再生することによりオーディオ情報のみを再生する(図8「P1A(3)」で示すパスを参照)。
【0147】
(4.5.3.2)ビデオプレーヤの場合
次にビデオプレーヤが画像音声両用タイトル再生する方法について説明する。前述したように、ビデオプレーヤは、ディスクの種類に関わらず、ビデオフォーマットの再生手順に従って処理を行う。従って、まず最初にVMG3のタイトルサーチポインタテーブル251を参照する。ここでのタイトル番号は#1であり、オーディオナビゲーション上のタイトル番号と一致する。以後のパスは、(5.2.1)の場合と同様であるので説明を省略する(図8、「P1V(1)、(2)、(3)」で示すパスを参照)。
【0148】
(4.5.3.3)コンパチブルプレーヤの場合
次に、コンパチブルプレーヤが画像音声両用タイトルを再生する方法について説明する。コンパチブルプレーヤはナビゲーション情報としてATT_SRPT242のみを参照する。従って、このATT_SRP#1を参照し、AVTTであることを認識する。以後は、ビデオプレーヤがTT_SRPT251から読み出したのと同様に、ATT_SRP245から、当該タイトルが含まれるVTS番号(この場合も、VTS#1)とそのVTS内でのタイトル番号を読み出す(図8、「P1C(1)」で示すパスを参照)。以後のパスは、ビデオプレーヤの場合と同様であるので説明を省略する(図8、「P1C(2)、P1C(3)で示すパスを参照」。
【0149】
以上説明したように、ビデオ用のナビゲーション情報とオーディオ用のナビゲーション情報を持つだけでなく、それらを統合する情報を持ち、又はそれらを関連づける情報を持つことで、各種再生形態が異なるタイトルを、再生能力が異なる各種プレーヤで再生した際の矛盾と混乱をなくすことができる。
【0150】
(5)タイトルの管理情報
今まで述べてきたようにユーザは、所望のタイトルグループ又はそこに含まれるトラックを選択し、再生を指示する。再生装置は、指示されたタイトルグループを構成する、タイトル又は指示されたトラックが含まれるタイトルを、再生装置の能力に応じて自動的に選択し再生を開始する。
【0151】
さらに、DVDオーディオフォーマットでは、オーディオタイトル(AOTT)又は画像音声両用タイトル(AVTT/AOTT)をオーディオプレーヤで再生する場合、オーディオ情報を選択することができる論理構造となっている。この機能を実現するための構造について、最初にそのナビゲーション情報を図9に基づいて説明する。図9は、図3又は図8に示したATS203の構造を詳細に示したブロック図である。
【0152】
(5.1)ATSI
ATS203は、前述したようにナビゲーション情報としてのATSI211とオーディオ実体情報(AOTT_AOB210)の纏まりとしてのAOTT_AOBS10’及びATSI211のバックアップとしてのATSI_BUP213から構成されている。
【0153】
また、ATSI211は図9に示すように、管理情報としてのATSI_MAT270と再生制御情報のテーブルであるATS_PGCIT271から構成されている。
【0154】
(5.1.1)ATSI_MAT
管理情報のATSI_MAT270には、各種テーブルのアドレス情報やオーディオ実体情報に関する属性情報やダウンミックス係数等が記述される。
【0155】
(5.1.1.1)属性情報
属性情報には、AOTT_AOBS210’に含まれるAOTT_AOB210に関して、各AOTT_AOB210毎に、その符号化方式、標本化周波数、量子化ビット数、チャンネル数、マルチチャンネルタイプ、チャンネルアサイメント等が、記述される。このようにATS203に、AOTT_AOBS210’が在る場合には、複数種類のオーディオ情報は、別のAOTT_AOB210としてAOTT_AOBS210’の中に個々に分かれて記録されることなる。また、ATS203には、AOTT_AOBS210’を持たないものもあり、この場合の属性情報には、ビデオゾーンに記録されたVOB(AOTT_VOB,
AVTT_VOB
)10のオーディオストリームに関する属性情報が、記述される。従ってVOB10に複数種類のオーディオ情報が、複数のストリームとしてVOBに記録されている場合、各ストリーム毎にそのストリーム番号とその属性情報がここに記述される。
【0156】
(5.1.2)ATS_PGCIT
ATS_PGCIT271は、再生制御テーブル全体に関する情報を記述する、ATS_PGCITI272とタイトルに対応する再生制御情報を探すためのサーチポインタ(ATS_PGCI_SRP)275のテーブル275と再生制御情報(ATS_PGCI)276そのもののテーブル274から構成される。
【0157】
(5.1.2.1)ATS_PGCI_SRP
本発明では、種類の異なる複数のオーディオ情報をディスクに記録すると共に、原則として録音対象が共通なオーディオ情報については、同じ作品、同じ曲として取り扱うために、図10及び図11に示すように、管理情報としてのPGC300を導入し、一つのタイトル261に種類の異なる複数のオーディオ情報を関係付けている。このPGC300を用いたオーディオ情報の管理方法の詳細については後述するが、本発明においては、一つのタイトル261に種類の異なる複数のオーディオ情報を関係付ける場合には、PGC300をブロック化した論理構造を有している。
【0158】
そして、このPGC300により管理されるオーディオ実体情報の再生制御情報がATS_PGCI276であり、ATS_PGCI_SRP275には、各タイトル621に対応するATS_PGCI276を探すための情報が記述される。例えば、各ATS_PGCI276毎にそのPGC300がエントリーであるかどうかが記述される。エントリーとは、PGCブロックを代表するPGC300であることを示す情報である。また、
ATS_PGCI_SRP275には、ATS203内のタイトル番号、PGCブロックを形成しているかどうか、またPGCブロックの中での関係(先頭、ブロック中、最後)、ブロックタイプ、チャンネル数、符号化方式、
ATS_PGCI276の開始アドレス等が記述される。
【0159】
前述したように、タイトル再生開始時には、AMG202のAOTT_SRP247でATS番号とATSタイトル番号をもって、対応するATS_PGCI276を取得すると説明してきたが、対応する番号のATS203の、ATS_PGCI_SRP275を見ると、ATSタイトル番号に対応するATS_PGCI276の記録されている場所がわかる。
【0160】
また、複数のオーディオ情報が一つのタイトルに対応している場合には、同じATSタイトル番号を持ったATS_PGCI_SRP275が複数存在することとなる。この場合には、他の情報(ブロックタイプ、チャンネル数、符号化方式)とあわせ判断し最適な、PGC300を選択し、再生を開始することとなる。
【0161】
(5.1.2.2)ATS_PGCI
サーチポインタのテーブルに続いて、各タイトルに対応した再生制御情報としてのATS_PGCI276が並び、テーブルを構成している。
【0162】
本発明では、PGC300によりオーディオ実体情報を管理するために、図10又は図11に示すように、プログラム301という区分情報を用いている。プログラム301は、前述したセル220を、一曲等の再生単位で区分する情報であり、トラック260に対応した情報である。従って、タイトル261に対応するPGC300は、一又は複数のプログラム301を管理することになり、この情報がATS_PGCI276に記述される。
【0163】
一つのATS_PGCI276は、PGC300全体に関する情報(ATS_PGC_GI)290と、そのPGC300を構成する各プログラム301に関する情報を集めたテーブルATS_PGIT291、さらにプログラム301を構成する各セル220に関する情報を集めたテーブルATS_C_PBIT292から構成される。
【0164】
(5.1.2.2.1)ATS_PGC_GI
ATS_PGC_GI290には、当PGC300全体に関する情報として、プログラム数、セル数、PGC再生時間、この情報の後に続く各テーブルのスタートアドレス等、が記述されている。
【0165】
(5.1.2.2.2)ATS_PGIT
ATS_PGC_GI290に続いて、当PGC300を構成するプログラム301に関する情報ATS_PGIが、その再生順にプログラム数だけ並び、テーブルATS_PGIT291を形成している。一つのATS_PGIには、連続再生のための情報、当プログラムが再生するオーディオ実体情報(AOB)の属性を特定するための情報、ダウンミックス係数を特定するための情報、プログラム先頭に対応するセル番号、スタートPTS、プログラム再生時間、等の情報が記述される。
【0166】
このATS_PGIの属性を特定する情報とは、前述した、ATSI_MAT270中に具体的に書かれているオーディオ実体情報の属性情報を属性番号ということで特定し、両者を対応させることで初めて当プログラムの詳細な属性情報を得ることができる。この属性番号をプログラム毎に定義できる構造としているため、DVDオーディオフォーマットでは、曲毎に属性が変更できる構造となっている。
【0167】
しかし、ATS_PGCI_SRP275の中でも属性に関する情報がある。ATS_PGCI_SRP275に記述される属性情報は、種類の異なるオーディオ実体情報を選択するための情報であり、各プログラム301に共通な属性情報のみの記述となる。逆にいえば、プログラム単位で属性を自由に設定することができるといっても、符号化方式は共通でなければならない。またPGCブロックを組んだ場合は、PGC300内の全てのプログラム301はチャンネル数も2ch以下で統一する又は3ch以上で統一する、という制限を守る必要がある。
【0168】
また、プログラム先頭に対応するセル番号により、当プログラム301がどのセル220と対応しているかがわかる。
【0169】
(5.1.2.2.3)ATS_C_PBIT
ATS_PGIT291に続いて、当PGC300を構成するセルに関する情報ATS_C_PBIが、その再生順にセル数だけ並びテーブルATS_C_PBIT292を形成している。一つのATS_C_PBIは、インデックス番号、セルタイプ、スタートアドレス、エンドアドレス等が記録される。ここで初めてタイトル261に対応するオーディオ実体情報のディスク上のアドレスがわかる。
【0170】
例えば、ユーザがあるタイトルグループ262の3曲目を指示したとする。このタイトルグループ262は1つのタイトル261から構成されているとする。タイトル261に対応するATS_PGCIの取得は前述したとおりである。3曲目なのでプログラム#3に対応する3番目のATS_PGIT291を読み、その中の先頭セル番号#nを取得する。プログラム301(#3)はセル220(#n)から開始することがわかったので、n番目のATS_C_PBIを読み取り、ここに記述されている、スタートアドレスを取得し、そこへジャンプし3曲目の再生を開始することとなる。
【0171】
(5.2)オーディオ情報の記録方法
次に、本実施形態において、複数の種類の異なるオーディオ情報がどのように記録されるかについて説明する。
【0172】
各オーディオディスクの物理構造の説明で述べたように、ATS203,VTS3には、それぞれ、オーディオ実体情報としてのAOB210、AV実体情報としてのVOB10が含まれる。さらにオーディオタイトルとして再生される実体情報をそれぞれ、AOTT_AOB,AOTT_VOBとも呼ぶ。複数のAOTT_AOB,AOTT_VOBを一つの纏まりとしたものが、それぞれAOTT_AOBS,AOTT_VOBSである。
【0173】
複数の種類の異なるオーディオ情報とは、 具体的に以下に示す3種類に分類される。
【0174】
a.録音状況が異なる複数のオーディオ情報(たとえば、通常録音とバイノーラル録音、ホール前方での録音とS席での録音、ワンポイント録音とマルチマイクによる録音、等々)
b.符号化方式が異なる複数のオーディオ情報(たとえば、LPCMとMPEG,Dolby AC−3,SDDS,DTS、等々)
c.再生形態(チャンネル数が2ch以下又は3ch以上)が、異なる複数のオーディオ情報
録音状況、符号化方式、再生形態、は、それぞれ独立に決めることができる。しかしここで対象とする、種類の異なる複数のオーディオ情報とは、原則として録音対象が共通なオーディオ情報であり、同じ作品(タイトル)、同じ曲(トラック)として扱われるべきものである。これらの種類の異なる複数のオーディオ情報は、ディスク上に2種類の異なった方法で記録される。
【0175】
(5.2.1)複数のオーディオストリームを有したAOTT_VOBS
DVDオーディオフォーマットであっても、画像情報の伴った場合のオーディオ情報の記録方式は、DVDビデオフォーマットと互換を取るためDVDビデオフォーマットと同じ記録方式とした。そこで、画像情報と共に種類の異なる複数のオーディオ情報を記録する場合には、同一の実体情報(AOTT_VOB)に、別ストリームとして、多重し、記録することとした。ビデオフォーマットのところでも述べたように、VOB10には、画像情報やオーディオ情報を始め副映像情報等がそれぞれ別なストリームとして定義され、それぞれパック単位(2048Bytes)に分割され、この単位で多重され一つのシステムストリームとして、ディスク上に記録される。
【0176】
ここでオーディオ情報としては、最大8種類まで定義できるので、種類の異なるオーディオ情報をそれぞれ、異なったストリーム番号を持つ別ストリームとして記録することができる。このような記録方法を取った場合には、DVDビデオフォーマットと互換を取ることができる。また、再生装置が再生時に処理するストリームを変更するだけで簡単にオーディオ情報の種類を変更することができる、といったメリットがある。さらに、ビデオタイトルとして見た場合、一つの実体情報に記録しているので、当然、同一タイトル、同一トラックとして扱うことができる。従って、チャンネル数等の異なる複数のオーディオ情報を、ユーザへ混乱を与えることなく、適切に記録できる。
【0177】
但し、このようなストリームの多重方式は、オーディオフォーマットに対しては不適切である。DVDディスクにおいては、全てのストリームのデータ転送レートの合計が10.08Mbps以下でなくてはならないという制限がある。従って、以下の表1に示すような二つのストリームを多重することができない。
【0178】
【表1】
【0179】
オーディオDVDでは、非圧縮のLPCM音声を必ず記録する必要があるので、標本化周波数が高い場合、もしくはチャンネル数が多い場合、必要とされるデータ転送レートが高い。従ってオーディオ情報を主体とし、主に非圧縮のLPCM音声を複数記録しようとする場合には、このストリームの多重方式は、不適当といえる。
【0180】
また、オーディオフォーマットには、録音用としての機能や、現在使用されているスタジオ機器との整合性を重視し、特に記録時の処理が簡単なことが求められている。DVDビデオフォーマットのようにビデオストリームを始めとし、複数の可変レートのストリームを多重する構造を持つことになると、データ中に管理情報を置かなくてはならない。また、この管理情報には、前後数分のデータに関するアドレス情報を記述する構造となっており、録音装置として考えると、前後の数分のデータがそろわないとディスクに記録することができない。従って簡易な録音機を構成できないといった問題を生じる。また、現在のスタジオ機器以外に、新たなオーサリング装置が必要となる。といった問題もある。
【0181】
(5.2.2)複数のブロックAOTT_AOBS
オーディオ情報だけを記録する場合は、上記の問題点を解決することを、より重要な課題とし、オーディオフォーマットとして求められる構造を採ることとした。そこで、一つの実体情報(AOTT_AOB)には、1種類のオーディオストリームしか記録しないこととし、種類の異なる複数のオーディオ情報を記録する場合には、別の実体情報(AOTT_AOB)としてディスク上別のエリアに分離して記録することとした。このようにすることで、一つのオーディオ情報のデータ転送レートが、10.08Mbps以下であれば、いくつでも記録できる構造となる。また1種類のオーディオストリームしか記録しないため、そのオーディオ情報が非圧縮のLPCMのように固定レートのデータで在れば、データ中に管理情報を置く必要もなく、記録時の処理も簡単なものとなる。
【0182】
また2chのオーディオ情報とマルチチャンネルのオーディオ情報とを同時に再生する必要はなく、また瞬時に切り換える必要性もあまりない。従って別の実体情報に分離して記録した場合には、再生時の切り換えに伴う処理が、複雑なものになるが、大きな問題ではないといえる。
【0183】
しかし、この場合、複数の実体情報を、同一のタイトルとして扱う仕組みが必要となる。また同じ仕組みで、AOTT_VOBに複数のストリームとして記録されたオーディオ情報も統一的に扱う必要がある。
【0184】
(5.3)オーディオセレクション
以上のように、種類の異なる複数のオーディオ情報を記録する方法には、大きく分けて2つの方法があるが、夫々において問題がある。そこで、本発明は、再生制御情報に次のような論理構造を持たせることにより、夫々の方法における問題を解決し、適切なオーディオセレクションを可能にした。ここで、オーディオセレクションとは、同一タイトルとして扱う必要がある、ディスク上の異なるエリアに記録されている種類の異なる複数のオーディオ情報を切り換えるこという。
【0185】
まず、種類の異なる複数のオーディオ情報を、別の実体情報(AOTT_AOB)としてディスク上別のエリアに分離して記録する方法を採る場合には、図10に示すように、オーディオ実体情報の記録方式(図10の場合には、録音形態:2chとマルチch)の異なる複数の各オーディオ実体情報(この場合はオーディオタイトルであるので、AOTT_AOB210(AOB#1,AOB#2))の再生に対して、夫々のAOB210を構成するセル220を、第2区分単位としてのプラグラム301の単位に区分する。また、夫々のプログラム301を、第2区分情報としてのプログラム番号(#1,#2,#3,…)により識別する。このプログラム301とは、トラック260に対応した再生単位であり、例えば1曲分に相当する。従って、夫々のオーディオ実体情報(AOTT_AOB210(AOB#1,AOB#2))は、記録方式が異なるものの、内容は同一であるから、夫々のオーディオ実体情報についてのプログラム301の数及び順序は等しくなる。図10の場合は、夫々、プログラム#1,#2,#3で構成されることになる。
【0186】
次に、夫々のプログラム301(プログラム#1,#2,#3)を、管理情報としてのブロック化された夫々別のPGC300(PGC#1,PGC#2)によりまとめる。そして、これらのPGC300(PGC#1,PGC#2)を、同一のトラック261(図10の場合はトラック#1)に対応させることにより、同一のトラック260(#1)に対して、夫々の記録方式の異なるオーディオ実体情報を含むプログラム301(プログラム#1,#2,#3)を関係付けている。つまり、本発明は、第2区分情報としてのプログラム番号により識別されるプログラム単位のオーディオ実体情報であって、夫々記録方式の異なるオーディオ実体情報を、第1区分情報としてのトラック番号(#1,#2,#3,…)により識別される第1区分単位としてのトラック261であって、同一のトラック番号を有する同一のトラック261に、管理情報としてのブロック化された別々のPGC300を用いて関係付けている。
【0187】
このようにすることにより、種類の異なる複数のオーディオ情報を、別の実体情報(AOTT_AOB)としてディスク上別のエリアに分離して記録する方法を採る場合でも、ユーザからは、同一のタイトル、同一の曲と認識され、ユーザの指示又は再生装置の能力にあった記録方式のオーディオ実体情報を管理するPGC300を選択することで、種類の異なる複数のオーディオ実体情報を統一的に扱うことができる。
【0188】
次に、ビデオフォーマットの記録領域に、ストリーム多重方式により記録方式の異なるオーディオ実体情報を記録する方法を採る場合には、図11に示すように、
オーディオ実体情報AOTT_VOB10(図11の場合はVOB#1)を、ブロック化され、かつ夫々の記録方式(図11の場合には録音形態:2chとマルチch)ごとに設けられた別々のPGC300(図11の場合はPGC#1,#2)を用いて、同一のトラック261(図11の場合はトラック#1)に関係つける。なお、夫々のPGC300が、プログラム301(図11の場合はプログラム#1,#2,#3)を管理する点は、図10の場合と同様である。
【0189】
このような論理構造を採ることにより、夫々のPGC300により、夫々のオーディオ実体情報の記録方式が管理されているので、オーディオストリーム内のナビゲーション情報を直接参照することなく、PGC300を記録方式に応じて選択するだけで、所望の記録方式のオーディオ情報を適切に再生することができる。つまり、本発明によれば、ビデオフォーマットで記録されたオーディオ情報を、オーディオフォーマットの制御情報で管理することができる。勿論、この場合でも、ユーザからは、同一のタイトル、同一の曲と認識される。従って、ユーザの指示又は再生装置の能力にあったPGCを選択することで、種類の異なる複数のオーディオ情報を統一的に扱うことができる。
【0190】
以上のように、本発明によれば、オーディオ情報が、AOTT_AOBに記録されている場合(オーディオタイトルを再生する場合)でも、AOTT_VOBに記録されている場合(画像音声両用タイトルを再生する場合)でも、同じ仕組みでオーディオセレクションを行うことができ、本発明は、オーディオタイトル(AOTT)又は、画像音声両用タイトル(AVTT/AOTT)をオーディオプレーヤで再生する場合に有効である。
【0191】
さらに図12,13を用いて具体的な例で、このオーディオセレクションがどのように行われるかを説明する。
【0192】
(5.3.1)オーディオタイトルにおけるオーディオセレクション
最初に、オーディオタイトルをオーディオプレーヤ又はコンパチプレーヤで再生する場合を説明する。ここで、全てのタイトルグループは、1つのタイトルで構成されているものとする。再生装置が2ch専用であるか、ユーザが2ch再生を選択するように設定しているとする。また、ユーザがタイトルグループ262(#j)の再生を指示したとする。
【0193】
前述したように、タイトルグループ262に対応するタイトルのATS番号とATSタイトル番号がAOTT_SRP247を参照し取得する(図8参照)。その結果ATS番号は#2、ATSタイトル番号は#3だったとする。ここまでの流れは(4.5.1.1)オーディオプレーヤの場合、及び(4.5.1.2)コンパチブルプレーヤの場合、で説明したとおりである。
【0194】
次にATS#2のATSI211を読み取り、ATSI_MAT270に書かれている属性情報を記憶する(図12、「P12(1)」で示すパスを参照)。この段階では、再生しようとしているタイトルの各トラックの属性を特定することはできない。とりあえず全ての属性情報を記憶しておく。
【0195】
続いてATS_PGCIT271を読み、この中のPGCIサーチポインタ(ATS_PGCI_SRP)273を読みにいく(図12、「P12(2)」で示すパスを参照)。このテーブルの中でATSタイトル番号(ATS_TTN)が#3のATS_PGCI_SRP273を探す。この場合、第1区分情報としてのATSタイトル番号が#3のATS_PGCI_SRP273が二つあり(#3と#4)、PGCブロックを構成していることがわかる。そこで、どちらのPGC300を選択するかを判断する。この場合、再生装置が2ch専用であるか、又はユーザが2ch再生を選択するように設定されているので、ブロックタイプの項目を見る。ここに、チャンネル数の違いによりPGCブロックを組んでいると書かれているので、次にAudio channelsの項目284(図9及び図12参照)をみて2ch以下と書かれている方のPGC300を選択する。そして選択したPGC300の再生制御情報ATS_PGCI276の書かれているアドレス(この場合は16384)を取得し、そこへジャンプし、再生制御情報を読み取り、記憶する(図12、「P12(3)」で示すパスを参照)。
【0196】
再生制御情報の中には、トラック260に対応する、プログラム301に関する情報テーブルと、セル220に関する情報テーブルとがある。タイトル先頭から再生を開始する場合には、プログラム#1のATS_PGIを見て、プログラム#1の属性を特定する情報と先に記憶した属性情報を使い、プログラム#1の属性を特定する。この属性に従ってオーディオデコーダをセットする。次にATS_PGIから、プログラム#1の先頭セル番号を読み(この場合、再生しようとしているのがプログラム#1なので、当然その先頭セル番号も#1である。)、その番号に対応するATS_C_PBIからセル220の記録されているアドレスを読み取り、そこへジャンプし再生を開始する(図12、「P12(4)」で示すパスを参照)。
【0197】
通常再生の場合は、次のプログラムになるまで、再生中のメモリに記憶されているATS_C_PBIを使ってセルの再生を続ける。プログラムの再生が終わったら、これもメモリ中のATS_PGIと属性情報を使って、次のプログラム再生のための一連の処理を行い再生を開始する。この動作をタイトル終了まで繰り返す。従って前述したように、管理情報内の全ての属性情報と再生制御情報ATS_PGCIを記憶していなければならない。
【0198】
次に、再生装置がマルチチャンネル再生に対応していて、なおかつユーザがマルチチャンネル再生を選択するように設定しているとする。また、ユーザがタイトルグループ262(#j)の再生を指示したとする。
【0199】
タイトルグループ262に対応するタイトルのATS番号#2とATSタイトル番号#3を取得し、ATS#2のATSI211を読みに行く。ここまでは2ch再生を選択した場合と同じである(図12、「P1M(1)」で示すパスを参照)。また、ATSI211のATSI_MAT270に書かれている属性情報を記憶し、ATS_PGCIT271を読み、この中のATS_PGCサーチポインタ273を読みにいく(図12、「P1M(2)」で示すパスを参照)。ここまでの処理も2ch再生を選択した場合と変わりはない。
【0200】
このテーブルの中でATSタイトル番号(ATS_TTN)が#3のATS_PGC_SRP273を探す。この場合ATSタイトル番号が#3のATS_PGCI_SRPが二つあり(#3と#4)PGCブロックを構成していることがわかる。そこで、どちらのPGC300を選択するかを判断する。この場合、再生装置がマルチチャンネル再生に対応していて、なおかつユーザがマルチチャンネル再生を選択するように設定しているので、ブロックタイプの項目を見る。ここに、チャンネル数の違いによりPGCブロックを組んでいると書かれているので、次にAudio channelsの項目284をみて3ch以上と書かれている方のPGC300を選択する。そして選択したPGC300の再生制御情報ATS_PGCI276の書かれているアドレス(この場合は24576)を取得し、そこへジャンプし、再生制御情報を読み取り、記憶する(図12、「P1M(3)」で示すパスを参照)。
【0201】
以後の処理は、処理するPGC300が異なり、再生する実体情報が異なる以外、2ch再生を選択した場合と基本的に同じである。再生制御情報の中の、プログラムに関する情報テーブルからプログラム#1のATS_PGIを見て、プログラム#1の属性を特定し、オーディオデコーダをセットする。次にATS_PGIから、プログラム#1の先頭セル番号#1のATS_C_PBIを読み、セル#1の記録されているアドレスを読み取り、そこへジャンプし再生を開始する(図12、「P1M(4)」で示すパスを参照)。
【0202】
(5.3.2)画像音声両用タイトルにおけるオーディオセレクション
画像音声両用タイトルをオーディオプレーヤで再生する場合を説明する。ここで、全てのタイトルグループ262は、1つのタイトルで構成されているものとする。再生装置がLPCM専用であるか、ユーザがLPCMの再生を選択するように設定しているとする。また、ユーザがタイトルグループ262(#j)の再生を指示したとする。
【0203】
前述したように、タイトルグループ262に対応するタイトル261のATS番号とATSタイトル番号をAOTT_SRP247を参照し、取得する。その結果ATS番号は#2、ATSタイトル番号は、#4だったとする。ここまでの流れは(4.5.3.1)オーディオプレーヤの場合で説明したとおりである。
【0204】
次にATS#2のATSI212を読み取り、ATSI_MAT270に書かれている属性情報を記憶する(図13、「P2L(1)」で示すパスを参照)。この段階では、再生しようとしているタイトルの各トラックの属性を特定することはできない。とりあえず全ての属性情報を記憶しておく。また、この場合、画像音声両用タイトルを再生しようとしているので、対応するATS203は、実体情報の無い、ナビゲーション情報だけのATSとなっている。
【0205】
続いてATS_PGCIT271を読み、この中のPGCIサーチポインタ273を読みにいく(図13、「P2L(2)」で示すパスを参照)。このテーブルの中でATSタイトル番号(ATS_TTN)が#4のATS_PGCI_SRP273を探す。この場合ATSタイトル番号が#4のATS_PGCI_SRP273が二つあり(#4と#5)PGCブロックを構成していることがわかる。そこで、どちらのPGC300を選択するか判断する。
【0206】
この場合、再生装置がLPCM専用であるか、ユーザがLPCMの再生を選択するように設定しているので、ブッロクタイプの項目を見る。ここに、チャンネル数及び符号化方式の違いによりPGCブロックを組んでいると書かれているので、次にAudio coding modeの項目285をみてLPCMと書かれている方のPGC300を選択する。
【0207】
次に、選択したPGCの再生制御情報ATS_PGCI276の書かれているアドレス(この場合は24576)を取得し、そこへジャンプし、再生制御情報を読み取り、記憶する(図13、「P2L(3)」で示すパスを参照)。
【0208】
再生制御情報の中には、トラック261に対応する、プログラム301に関する情報テーブルと、セル220に関する情報テーブルとがある。タイトル先頭から再生を開始する場合には、プログラム#1のATS_PGIを見て、プログラム#1の属性を特定する情報と先に記憶した属性情報を使って、プログラム#1の属性を特定する。この属性に従ってオーディオデコーダをセットする。次にATS_PGIから、プログラム#1の先頭セル番号を読み(この場合、再生しようとしているのがプログラム#1なので、当然その先頭セル番号も#1である。)、その番号に対応するATS_C_PBIからセルの記録されているアドレスを読み取り、そこへジャンプし再生を開始する(図13、「P2L(4)」で示すパスを参照)。
【0209】
通常再生の場合は、次のプログラムになるまで、再生中のメモリに記憶されているATS_C_PBIを使ってセルの再生を続ける。プログラムの再生が終わったら、これもメモリ中のATS_PGIと属性情報を使って、次のプログラム再生のための一連の処理を行い再生を開始する。この動作をタイトル終了まで繰り返す。従って前述したように、管理情報内の全ての属性情報と再生制御情報ATS_PGCIを記憶していなければならない。
【0210】
次に、再生装置が、マルチチャンネル再生及びAC−3(符号化方式の一種:Dolby Digital)に対応していて、ユーザがAC−3の再生を選択するように設定しているとする。また、ユーザがタイトルグループ262(#j)の再生を指示したとする。
【0211】
タイトルグループ262に対応するタイトル261のATS番号#2とATSタイトル番号#4を取得し、ATS#2のATSI211を読みに行く。ここまではLPCM再生を選択した場合と同じである(図13、「P2A(1)」で示すパスを参照)。また、ATSI211のATS_MAT270に書かれている属性情報を記憶し、ATS_PGCIT271を読み、この中のATS_PGCサーチポインタ273を読みにいく(図13、「P2A(2)」で示すパスを参照)。ここまでの処理もLPCM再生を選択した場合と変わりはない。
【0212】
このテーブルの中でATSタイトル番号(ATS_TTN)が#4のPGC300を探す。この場合ATSタイトル番号が#4のPGCが二つありPGCブロックを構成していることがわかる。そこで、どちらのPGC300を選択するか判断する。
【0213】
この場合、再生装置がマルチチャンネル再生及びAC−3に対応していて、ユーザがAC−3の再生を選択するように設定しているとするので、ブロックタイプの項目を見る。ここに、チャンネル数及び符号化方式の違いによりPGCブロックを組んでいると書かれているので、次にAudio coding modeの項目285をみてAC−3と書かれている方のPGCを選択する。そして選択したPGCの再生制御情報ATS_PGCI276の書かれているアドレス(この場合は32768)を取得し、そこへジャンプし、再生制御情報を読み取り、記憶する(図13、「P2A(3)」で示すパスを参照)。
【0214】
以後の処理は、処理するPGCが異なり、再生するストリームが異なる以外、LPCM再生を選択した場合と基本的に同じである。再生制御情報の中の、プログラムに関する情報テーブルからプログラム#1のATS_PGIを見て、PG#1の属性を特定し、オーディオデコーダをセットする。次にATS_PGIから、プログラム#1の先頭セル番号#1のATS_C_PBIを読み、セル#1の記録されているアドレスを読み取り、そこへジャンプし再生を開始する(図13、「P2A(4)」で示すパスを参照)。但し、この場合再生する実体情報(AOTT VOB)が同じなので、ジャンプ先のアドレスも、LPCMの再生を選択した場合と同じとなる。
【0215】
(6)再生装置
(6.1)ビデオDVDプレーヤ
図14に示すように、実施の形態に係るビデオDVDプレーヤは、ピックアップ80と、復調訂正部81と、ストリームスイッチ82及び84と、トラックバッファ83と、システムバッファ85と、デマルチプレクサ86と、VBV(Video Buffer Verifier )バッファ87と、ビデオデコーダ88と、サブピクチャバッファ89と、サブピクチャデコーダ90と、混合器91と、オーディオバッファ92と、オーディオデコーダ93と、入力部98と、ディスプレイ99と、システムコントローラ100と、ドライブコントローラ101と、スピンドルモータ102と、スライダモータ103とにより構成されている。なお、図14に示す構成は、ビデオDVDプレーヤの構成のうち、映像及び音声の再生に関する部分のみを記載したものであり、ピックアップ80及びスピンドルモータ102並びにスライダモータ103等をサーボ制御するためのサーボ回路等は従来技術と同様であるので、記載及び細部説明を省略する。
【0216】
次に、動作を説明する。
【0217】
ピックアップ80は、図示しないレーザダイオード、ビームスプリッタ、対物レンズ、光検出器等を含み、DVD1に対して再生光としての光ビームBを照射すると共に、当該光ビームBのDVD1からの反射光を受光し、DVD1上に形成されている情報ピットに対応する検出信号Spを出力する。このとき、光ビームBがDVD1上の情報トラックに対して正確に照射されると共に、DVD1上の情報記録面で正確に焦点を結ぶように、図示しない対物レンズに対して従来技術と同様の方法によりトラッキングサーボ制御及びフォーカスサーボ制御が施されている。
【0218】
ピックアップ80から出力された検出信号Spは、復調訂正部81に入力され、復調処理及び誤り訂正処理が行われて復調信号Sdmが生成され、ストリームスイッチ82及びシステムバッファ85に出力される。
【0219】
復調信号Sdmが入力されたストリームスイッチ82は、ドライブコントローラ101からのスイッチ信号Ssw1によりその開閉が制御され、閉のときには、入力された復調信号Sdmをそのままスルーしてトラックバッファ83に出力する。一方、ストリームスイッチ82が開のときには、復調信号Sdmは出力されず、不要な情報(信号)がトラックバッファ83に入力されることがない。
【0220】
復調信号Sdmが入力されるトラックバッファ83は、FIFO(First In First Out)メモリ等により構成され、入力された復調信号Sdmを一時的に記憶すると共に、ストリームスイッチ84が閉とされているときには、記憶した復調信号Sdmを連続的に出力する。
【0221】
連続的に復調信号Sdmが入力されるストリームスイッチ84は、デマルチプレクサ86における分離処理において、後段の各種バッファがオーバーフローしたり、逆に空になってデコード処理が中断することがないように、システムコントローラ100からのスイッチ信号Ssw2により開閉が制御される。
【0222】
一方、トラックバッファ83と並行して復調信号Sdmが入力されるシステムバッファ85は、DVD1をローディングしたときに最初に検出され、DVD1に記録されている情報全体に関する管理情報(VMG2等)又はVTS3毎のVTS11を蓄積して制御情報Scとしてシステムコントローラ100に出力すると共に、再生中にナビパック41毎のDSIデータ51を一時的に蓄積し、システムコントローラ100に制御情報Scとして出力する。
【0223】
ストリームスイッチ84を介して復調信号Sdmが連続的に入力されたデマルチプレクサ86においては、当該復調信号Sdmから各パック毎にビデオデータ、オーディオデータ、サブピクチャデータ及びナビパック毎のPCIデータを抽出し、ビデオ信号Sv、副映像信号Ssp、オーディオ信号Sad並びにPCI信号Spcとして、夫々VBVバッファ87、サブピクチャバッファ89、及びオーディオバッファ92に出力する。
【0224】
このとき、デマルチプレクサ86は、各パック(オーディオパック43を含む。)及びパケットからパックヘッダ及びパケットヘッダ等を抽出し、夫々に含まれる情報をヘッダ信号Shdとしてシステムコントローラ100に出力する。
【0225】
ビデオ信号Sv が入力されるVBVバッファ87は、FIFOメモリ等により構成され、ビデオ信号Svを一時的に蓄積し、ビデオデコーダ88に出力する。VBVバッファ87は、MPEG2方式により圧縮されているビデオ信号Svにおける各ピクチャ(図2参照)毎のデータ量のばらつきを補償するためのものである。そして、データ量のばらつきが補償されたビデオ信号Svがビデオデコーダ88に入力され、MPEG2方式により復調が行われて復調ビデオ信号Svdとして混合器91に出力される。
【0226】
一方、副映像信号Sspが入力されるサブピクチャバッファ89は、入力された副映像信号Sspを一時的に蓄積し、サブピクチャデコーダ90に出力する。サブピクチャバッファ89は、副映像信号Sspに含まれるサブピクチャデータ44を、当該サブピクチャデータ44に対応するビデオデータ42と同期して出力するためのものである。そして、ビデオデータ42との同期が取られた副映像信号Sspがサブピクチャデコーダ90に入力され、復調が行われて復調副映像信号Sspdとして混合器91に出力される。
【0227】
ビデオデコーダ88から出力された復調ビデオ信号Svd及びサブピクチャデコーダ90から出力された復調副映像信号Sspd(対応する復調ビデオ信号Svdとの同期が取れている。)は、混合器91により混合され、最終的な表示すべき映像信号Svpとして図示しないCRT(Cathod Ray Tube)等の表示部に出力される。
【0228】
オーディオ信号Sadが入力されるオーディオバッファ92は、FIFOメモリ等により構成され、入力されたオーディオ信号Sadを一時的に蓄積し、オーディオデコーダ93に出力する。オーディオバッファ92は、システムコントローラ100から出力されるヘッダ制御信号Shcに基づいて、オーディオ信号Sadを対応する映像情報を含むビデオ信号Sv又は副映像信号Sspに同期して出力させるためのものであり、対応する映像情報の出力状況に応じてオーディオ信号Sadを遅延させる。そして、対応する映像情報と同期するように時間調整されたオーディオ信号Sadは、オーディオデコーダ93に出力され、システムコントローラ100から出力されるヘッダ制御信号Shcに基づいて、リニアPCM方式における再生処理が施されて復調オーディオ信号Saddとして図示しないスピーカ等に出力される。なお、音楽情報のみを含むオーディオDVDにおいては、映像情報との同期処理は不要である。
【0229】
(6.2)オーディオDVDプレーヤ
次に、上述のオーディオDVDプレーヤについて図15を参照して説明する。図15に示すように、オーディオDVDプレーヤは図14に示すビデオDVDプレーヤと比較して、デマルチプレクサ86の後段の構成が異なるが、それ以外は同一の構成を有する。従って、デマルチプレクサ86以降の構成部分について説明する。
【0230】
ストリームスイッチ84を介して復調信号Sdmが連続的に入力されたデマルチプレクサ86においては、当該復調信号Sdmから各パック毎にオーディオ情報を抽出し、オーディオ信号Sadとしてオーディオバッファ92に出力する。
【0231】
オーディオ信号Sadが入力されるオーディオバッファ92は、FIFOメモリ等により構成され、入力されたオーディオ信号Sadを一時的に蓄積し、オーディオデコーダ93に出力する。オーディオ信号Sadは、オーディオデコーダ93に入力され、システムコントローラ100から出力される制御信号Shcに基づいて、リニアPCM方式における再生処理等が施されて復調オーディオ信号Saddとして図示しないスピーカ等に出力される。
【0232】
例えば、リアルタイムテキスト等のリアルタイム情報は、デマルチプレクサからRTIバッファに出力される。RTIバッファに一時的に蓄積されたデータは、システムコントローラ100から出力される制御信号Shcに基づいて、RTIデコーダへと出力され、図示しない表示装置に歌詞等の表示を行う。
【0233】
所望の情報へのアクセス直後の再生等において一時的に音声を中断する(ポーズする)必要があることが検出された場合には、システムコントローラ100からポーズ信号Scaがオーディオデコーダ93に出力され、当該オーディオデコーダ93は一時的に復調オーディオ信号Saddの出力を停止する。
【0234】
図16にオーディオデコーダ93の構成を示す。図示のように、オーディオデコーダ93は、デジタルフィルタなどを含む信号処理部120と、D/Aコンバータ121と、アンプなどを含むアナログ出力回路122と、デジタル出力回路123と、RAM124aを含むシステムマイコン124と、クロック回路125と、を備える。
【0235】
システムマイコン124は、システムコントローラ100との間で制御信号Scaを交換し、クロック回路125、信号処理部120、D/Aコンバータ121、アナログ出力回路122の動作制御を行う。システムマイコン124は、内部にRAM124aを有する。RAM124aは、システムコントローラ100から制御信号Scaとして供給されるオーディオ属性情報を一時的に記憶する。システムマイコン124は、RAM124a内に記憶されたオーディオ属性情報を参照し、その内容をクロック回路125及び信号処理部120へ供給する。具体的には、システムマイコン124は、オーディオ属性情報中のサンプリング周波数情報をクロック回路125へ供給する。クロック回路125は発振器を有し、指示されたサンプリング周波数に対応するクロック信号fsを信号処理部120へ供給する。また、システムマイコン124は、オーディオ属性情報中のサンプリング周波数、量子化ビット数、チャンネル数、エンファシスの有無の情報を信号処理部120へ供給し、D/Aコンバータ121へチャンネル数情報を提供する。さらに、システムマイコン124はアナログ出力回路122へ、各チャンネルの信号の増幅度などの情報を供給する。各チャンネル毎の増幅度の情報は、オーディオ属性情報に含めて、システムコントローラ100から供給することができる。
【0236】
信号処理部120は、クロック回路125からのクロック信号fsを使用し、システムマイコン124から得た符号化方式(リニアPCMまたはドルビーAC3など)、サンプリング周波数、量子化ビット数などの情報に従って、オーディオバッファ92から供給されるオーディオ信号の復号か、帯域制限などの処理を行い、さらに、エンファシスの有無の情報に従ってディエンファシス処理を行い、D/Aコンバータ121へ出力する。D/Aコンバータ121は、システムマイコン124から得たチャンネル情報に従って、入力された信号をチャンネル毎に分割し、さらに各チャンネル毎のアナログ信号としてアナログ出力回路122へ出力する。また、信号処理部120は、デジタル出力回路123を介してデジタルオーディオ信号Saddを外部へ出力する。
【0237】
(6.3)コンパチブルDVDプレーヤ
コンパチブルDVDプレーヤは、図示しないが、図15に示すオーディオDVDプレーヤに、図14に示すビデオDVDプレーヤにおけるVBVバッファ87、ビデオデコーダ88、サブピクチァバッファ89、サブピクチァデコーダ90、及び混合器91を備えると共に、システムコントローラ100を、ビデオフォーマットとオーディオフォーマットの両方の再生が可能なように構成したものである。
【0238】
(7)再生装置におけるオーディオセレクション
再生装置におけるオーディオセレクションとは、オーディオプレーヤがオーディオタイトル又は画像音声両用タイトルを再生する場合に、再生するオーディオ情報の種類を切り換えることをいう。
【0239】
オーディオ情報の種類としては、(5.2)オーディオ情報の記録方法で、説明したように主に以下の3種類に分類される。
【0240】
a.録音状況
b.符号化方式
c.再生形態
(7.1)録音状況(バイノーラル)によりブロックを組んだ場合
録音状況が異なる場合は、装置の能力に関係なくユーザの好みに応じて、常時切り換えればよく、初期設定等の必要はない。またバイノーラル録音のような場合には、以下に示すような切り換え方式を再生装置が実施することも可能である。
【0241】
ここで、バイノーラル再生を実現するためのバイノーラル録音について詳しく説明する。
【0242】
まず通常のステレオ信号をヘッドホンで再生した場合を考える。例えば、図 (A)に示すように、二つのマイクロホンをコンサートホールの所定位置に配置し、これらのマイクロホンの出力をヘッドホンで再生する。この場合、再生音場は図17(A)に斜線で示すように聴取者の後頭部にできてしまう。これは、スピーカを用いた通常のステレオ再生信号音場では、音像が完全に一方のスピーカに定位されるために、左右のスピーカのレベル差は約25dB必要となるのに対し、ヘッドホン聴取の場合には、約10dBのレベル差で完全に一方の耳に定位してしまうためである。このように、通常のステレオ録音された音楽をヘッドホンで聴くと、ステレオ感が強く出過ぎ、自然な臨場感が得られないという問題がある。
【0243】
これに対し、バイノーラル再生では、実際の人間とほぼ等しい音響インピーダンス及び等しい特性を持つダミーヘッドを用意し、このダミーヘッドの両耳の外耳道周辺にマイクロホンを仕込み、図17(B)に示すように、例えばこのダミーヘッドをコンサートホールの客席に置き、ダミーヘッド内のマイクロホンの出力をヘッドホンで再生する。このようなバイノーラル再生を行うと、聴取者の頭の周囲に再生される音場は、図17(A)の斜線で示した範囲となる。従って、ヘッドホンあるいはイヤホン等による受聴においてより自然な臨場感を得ることができる。
【0244】
このようなバイノーラル再生を実現するために、上述のようなダミーヘッドを用いて音楽の録音を行うのがバイノーラル録音であり、このようなバイノーラル録音された作品と、ステレオ録音された作品の両方を、例えば図18に示すように、多重してDVDディスクに記録しておくことにより、聴取形態に応じた適切な再生を行うことができる。なお、記録方法は多重方式に限られるものではなく、ステレオ録音されたオーディオ実体情報と、バイノーラル録音されたオーディオ実体情報を、夫々別のAOB210に記録するようにしても良い。
【0245】
バイノーラル再生を行うか否かの判定は、再生装置に例えば図15に点線で示すようにヘッドホンジャック400を設け、このヘッドホンジャック400にヘッドホンのプラグが挿入されたか否かにより行うこととした。
【0246】
このヘッドホンジャック400は、例えば図19のような回路構成となっており、ヘッドホンのプラグとの当接により押し上げられるスイッチ部401が、プラグの上部と下部の両方に設けられている。そして、これらのスイッチ部401が押し上げられることによって、スイッチ部401が開状態となり、プラグが挿入されたことを検出することができる。
【0247】
このような構成により、ヘッドホンジャック400にヘッドホンのプラグが挿入され、ある曲の指定がユーザにより行われると、上述したような手順により、バイノーラル録音されたオーディオ実体情報を管理するPGC300が選択され、バイノーラル録音されたオーディオ実体情報が自動的に再生される。
【0248】
従って、ユーザは、単にヘッドホンジャック400にヘッドホンのプラグを挿入するだけで、バイノーラル録音された所望の曲を聴くことができる。
【0249】
なお、ヘッドホンジャック400にヘッドホンのプラグが挿入されたか否かの検出は、再生開始時、再生中等の適宜のタイミングで行うことができる。また、ヘッドホンジャック400にヘッドホンのプラグが挿入された時に常に倍ノーラル録音されたオーディオ実体情報を選択するのではなく、図15に示す入力部98による設定操作により、ユーザが優先順位を設定するように構成しても良い。例えば、ステレオ録音の再生に高い優先順位を設定していた時には、ユーザはヘッドホンでステレオ録音されたオーディオ実体情報を聞くことができる。
【0250】
(7.2)符号化方式によりブロックを組んだ場合
符号化方式が異なる場合は、ディスクに記録されているオーディオ情報の符号化方式に、再生装置が対応していないと(対応するデコーダを持っていないと)、音を聞くことができない。このような状態ではユーザが混乱する。従って、全てのディスクでLPCMのオーディオ情報を記録することと、全ての再生装置がLPCMの再生ができること、とが決められている。従ってユーザは、どのようなオーディオDVDディスクであっても、LPCM記録されたオーディオ情報だけは、再生することができる。
【0251】
一方、現在各種の符号化方式が実用化されている。これらの多くが圧縮符号化方式であり、特にマルチチャンネルを記録する場合に、データを有効に使うことができるといった特徴を持つ。このように目的に応じて各種符号化方式によって記録されたオーディオ情報がある場合、再生装置が対応するデコーダを持っている場合のみ、その中から選択、再生することができる。この場合、再生装置は、ユーザによる一時的な設定、ユーザによる初期設定、再生装置による設定に従って、先に説明したATS_PGCI_SRP273の中のAudio coding modeの項目285に書かれている符号化方式を示す情報から判断し、図19に示すフローチャートに従って最適なオーディオ情報を選択し、再生を行う。
【0252】
なお、各設定処理は、図14または図15に示す入力部98により行うように構成することができる。更に、設定した情報は、システムコントローラ100内のメモリに記憶されるように構成することができる。
【0253】
また、DVDディスクを再生装置にセットした際、あるいは再生を開始しようとする際等に、上述したようにDVDディスクに記録された制御情報を、システムコントローラ100によって読み取り、そのDVDディスクに記録されたオーディオ実体情報の録音形態、再生形態、又は符号化方式等を、ディスプレイ99に表示するように構成することもできる。このような構成により、ユーザは、そしてDVDディスクにおいて選択可能な設定を適切に知ることができ、適切な選択動作を行うことができる。
【0254】
以下、図19に示すフローチャートに従って、符号化方式を示す情報からPGCを選択する処理の一例を説明する。
【0255】
まず、選択処理が開始されると(ステップS1)、ATS_PGCI_SRP273の読み取りが行われ(ステップS2)、ATS_PGCI_SRP273の中に記述されている Audio coding modeの項目285に書かれている符号化方式を読み取る(ステップS3)。次に、再生装置が、読み取った符号化方式による再生を行う能力があるか否かについて判定する(ステップS4)。その結果、再生装置には、読み取った符号化方式による再生を行う能力がない場合には(ステップS4;No)、再びATS_PGCI_SRP273の読み取りからの処理を繰り返す(ステップS2〜)。一方、再生装置が、読み取った符号化方式による再生を行う能力がある場合には(ステップS4;Yes)、読み取った符号化方式を、ユーザが一時的な設定として選択しているか否かを判定する(ステップS5)。この設定は、例えばリモートコントロール装置等により、再生を開始する際に、あるいは再生中に行われるもので、例えば特定の曲については、既存の設定とは異なる符号化方式により再生しようとする場合に行われる。前記判定の結果、読み取った符号化方式を、ユーザが一時的な設定として選択している場合には(ステップS5;Yes)、選択処理を終了し、当該ATS_PGCI_SRP273の示すPGC300を選択し、再生を開始する(ステップS8)。
【0256】
しかし、読み取った符号化方式を、ユーザが一時的な設定として選択していない場合には(ステップS5;No)、読み取った符号化方式を、ユーザが初期設定として選択しているか否かを判定する(ステップS6)。この初期設定は、再生装置の基本的な符号化方式を、ユーザ自信の好み等に応じて行うものであり、この初期設定を行うと、上述した一時的な設定が行われない限り、全ての曲が初期設定された符号化方式により再生されることになる。つまり、読み取った符号化方式を、ユーザが初期設定として選択している場合には(ステップS6;Yes)、選択処理を終了し、当該ATS_PGCI_SRP273の示すPGC300を選択し、再生を開始する(ステップS8)。
【0257】
また、読み取った符号化方式を、ユーザが初期設定として選択していない場合には(ステップS6;No)、読み取った符号化方式が、再生装置の設定として選択しているか否かを判定する(ステップS7)。この設定は、再生装置の製造段階において行われるもので、ユーザによる上述した種々の設定が行われない限り、全ての曲がこの設定された符号化方式により再生されることになる。つまり、読み取った符号化方式が、再生装置の設定として選択している場合には(ステップS7;Yes)、選択処理を終了し、当該ATS_PGCI_SRP273の示すPGCを選択し、再生を開始する(ステップS8)。
【0258】
なお、読み取りデータのエラー等により、読み取った符号化方式が、再生装置の設定としても選択されていない場合には(ステップS7;No)、再びATS_PGCI_SRP273の読み取りからの処理を繰り返す(ステップ2〜)。
【0259】
(7.2)再生形態によりブロックを組んだ場合
ここでいう再生形態の選択とは、2ch(ステレオ)再生を行うか、又はマルチチャンネル再生を行うかを選択することを意味する。再生装置がマルチチャンネルに対応している場合、マルチチャンネル記録のオーディオ情報を選択し再生することができる。しかし、ユーザがマルチチャンネルを再生できるシステム(複数のアンプとスピーカ)を持っており、そのシステムに当再生装置が接続されている場合のみ、本来のマルチチャンネルとしての再生を行うことができる。従ってこの場合も、ユーザによる一時的な設定、ユーザによる初期設定、再生装置による設定に従って、先に説明したATS_PGCI_SRP273に記述されているAudio channelsの項目284に書かれているチャンネル数を示す情報から判断し、先に示したフローチャートと同様な流れに従って、最適なオーディオ情報を選択し、再生を行う。
【0260】
(7.3)符号化方式と再生形態によりブロックを組んだ場合
図12の例でも示したように、ブロック内のオーディオ情報の種類の違いとして、符号化方式と再生形態の両方が異なる場合がある。このような場合には以下のような処理が必要となる。
【0261】
再生装置が処理することができる各符号化方式と各再生形態の全ての組み合わせに対して優先順位を設定する。例を表2に示す。このような設定を必要に応じて、ユーザによる一時的な設定、ユーザによる初期設定、再生装置による設定の各設定で可能なようにしておく。
【0262】
【表2】
【0263】
なお、表2においては、表の中の数字が小さいほど優先順位が高いことを意味する。
【0264】
この優先順位設定に従って、図21に示すフローチャートのように最適なオーディオ情報を選択し、再生を行う。以下、図21に示すフローチャートに従って、最適なオーディオ情報を選択し、再生を行う処理の一例について説明する。
【0265】
まず、選択処理が開始されると(ステップS10)、ATS_PGCI_SRP273を取得し(ステップS11)、ブロックタイプに応じて、ATS_PGCI_SRP273の中のAudio coding modeの項目285に記述されている符号化方式と、Audio channelsの項目284に記述されている再生形態を読み取る(ステップS12)。次に、再生装置が、読み取った符号化方式及び再生形態の組み合わせによる再生を行う能力があるか否かについて判定する(ステップS13)。その結果、再生装置には、読み取った符号化方式及び再生形態の組み合わせによる再生を行う能力がない場合には(ステップS13;No)、再びATS_PGCI_SRP273の読み取りからの処理を繰り返す(ステップS11〜)。一方、再生装置が、読み取った符号化方式及び再生装置の組み合わせによる再生を行う能力がある場合には(ステップS13;Yes)、読み取った符号化方式及び再生装置の組み合わせに対して、ユーザによる一時的な設定として選択することに優先順位が設定されているか否かを判定する(ステップS14)。当該優先順位が設定されている場合には(ステップS14;Yes)、読み取った符号化方式及び再生装置の組み合わせに対して、ユーザによる一時的な設定として選択することに優先順位を、優先順位番号として設定する(ステップS15)。そして、この設定した優先順位番号がブロック内で最も小さいか否かを判定し(ステップS19)、最も小さい場合には(ステップS19;Yes)、選択処理を終了し、当該ATS_PGCI_SRP273の示すPGC300を選択し、再生を開始する(ステップS20)。
【0266】
しかし、設定した優先順位番号がブロック内で最も小さい番号ではない場合には(ステップS19;No)、当該ブロックの次のATS_PGCI_SRP273の取得からの処理を繰り返す(ステップS11〜)。そして、次の符号化方式及び再生形態の組み合わせについて、上述したように、再生装置に再生能力があるか否かの判定と、ユーザによる一時的な設定として優先順位が設定されているか否かの判定とを行い、判定結果に応じた処理を行う(ステップS13,14,15)。
【0267】
一方、次の符号化方式及び再生形態の組み合わせについて、ユーザによる一時的な設定として優先順位が設定されていない場合には(ステップS14;No)、当該組み合わせについてユーザによる初期設定として優先順位が設定されているか否かを判定する(ステップS16)。当該優先順位が設定されている場合には(ステップS16;Yes)、読み取った符号化方式及び再生装置の組み合わせに対して、ユーザによる初期設定としての優先順位を、優先順位番号として設定する(ステップS17)。そして、この設定した優先順位番号がブロック内で最も小さいか否かを判定し(ステップS19)、最も小さい場合には(ステップS19;Yes)、選択処理を終了し、当該ATS_PGCI_SRP273の示すPGC300を選択し、再生を開始する(ステップS20)。
【0268】
しかし、設定した優先順位番号がブロック内で最も小さい番号ではない場合には(ステップS19;No)、当該ブロックの次のATS_PGCI_SRP273の取得からの処理を繰り返す(ステップS11〜)。そして、次の符号化方式及び再生形態の組み合わせについて、上述したように、再生装置に再生能力があるか否かの判定と、ユーザによる一時的な設定として優先順位が設定されているか否かの判定と、ユーザによる初期設定としての優先順位が設定されているか否かの判定とを行い、判定結果に応じた処理を行う(ステップS13,14,15,16,17)。
【0269】
一方、次の符号化方式及び再生形態の組み合わせについて、ユーザによる初期設定として優先順位が設定されていない場合には(ステップS16;No)、当該組み合わせについて再生装置の当初からの初期設定の優先順位を、優先順位番号として設定する(ステップS18)。そして、この設定した優先順位番号がブロック内で最も小さいか否かを判定し(ステップS19)、最も小さい場合には(ステップS19;Yes)、選択処理を終了し、当該ATS_PGCI_SRP273の示すPGC300を選択し、再生を開始する(ステップS20)。
【0270】
以上のように、符号化方式と再生形態の組み合わせに対して、優先順位が設定されている場合には、設定された優先順位の中で最も小さい番号の設定態様として、当該組み合わせに基づくPGC300の選択と、当該組み合わせによる再生を行う。
【0271】
以上説明したように、各符号化方式、各再生形態の組み合わせに対し、必要に応じて、ユーザによる一時的な設定、ユーザによる初期設定、再生装置による設定、の各設定で優先順位を決めることが可能なようにしておくことにより、種類の異なる複数のオーディオ情報が記録された場合でも、いちいちユーザがその種類を選択することなく、最適なオーディオ情報を選択し再生することができる。
【0272】
なお、図20と図21を用いて説明した例において、再生装置による再生能力にも適合しておらず、また、何れの設定も選択されていないような指定が行われた場合には、ディスプレイ99等の表示手段により、警告表示を行うように構成しても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】ビデオDVDの物理的構造(物理フォーマット)を示す図である。
【図2】ビデオDVDの論理的構造(論理フォーマット)を示す図である。
【図3】オーディオDVDの物理的構造(物理フォーマット)を示す図である。
【図4】オーディオDVDの論理的構造(論理フォーマット)を示す図である。
【図5】DVDの種類を示す図である。
【図6】オーディオ・ビデオ両用DVDの一例を示す図である。
【図7】同一オブジェクトの2重管理の概念を示す図である。
【図8】図6に示すオーディオ・ビデオ両用DVDについて規定されたナビゲーション情報の例を示す図である。
【図9】ATSに記録される情報を示す図である。
【図10】オーディオタイトル再生時のユーザの認識とナビゲーション情報と実体情報の関係を示す図である。
【図11】画像音声両用タイトル再生時のユーザの認識とナビゲーション情報と実体情報の関係を示す図である。
【図12】オーディオフォーマットで記録されたDVDディスクのATSIに記録される情報を示す図である。
【図13】オーディオフォーマット及びビデオフォーマットで記録されたDVDディスクのATSIに記録される情報を示す図である。
【図14】ビデオDVDプレーヤの概略構成を示す図である。
【図15】オーディオDVDプレーヤの概略構成を示す図である。
【図16】図15のオーディオDVDプレーヤにおけるオーディオデコーダの構成を示す図である。
【図17】(A)は通常のステレオ再生された音楽情報をヘッドホンで再生した場合に形成される音場を示す図、(B)はバイノーラル再生された音楽情報をヘッドホンで再生した場合に形成される音場を示す図である。
【図18】ステレオ方式により2チャンネル録音されたオーディオパックとバイノーラル方式により2チャンネル録音されたオーディオパックが多重化されていることを示す概念図である。
【図19】ヘッドホンジャックの回路構成の一例を示す図である。
【図20】符号化方式を示す情報からPGCを選択する処理の一例を示すフローチャートである。
【図21】符号化方式と再生形態を組み合わせた情報からPGCを選択する処理の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
3…VMG
10…VOB
11…VTSI
202…AMG
204…SAPPT
210…AOB
211…ATSI
240…AMGI
242…ATTサーチポインタテーブル
243…AOTTサーチポインタテーブル
245…ATTサーチポインタ
247…AOTTサーチポインタ
251…TTサーチポインタテーブル
254…TTサーチポインタ
261…タイトル
300…PGC
301…プログラム
Claims (12)
- 複数のセルから構成されていると共に記録方式の異なる複数のオーディオ情報を含む物理的なオーディオ情報と、
前記複数のセルから構成される論理的なプログラムを再生するための再生制御情報と、
を記録した情報記録媒体であって、
一の前記記録方式の前記オーディオ情報を構成する前記セルと、他の前記記録方式の前記オーディオ情報を構成するセルと、が当該情報記録媒体上における異なる位置に記録されており、
前記プログラムは、前記一の記録方式の前記オーディオ情報を構成する前記セルと、前記他の記録方式の前記オーディオ情報を構成する前記セルと、の双方で定義されており、前記一の記録方式の前記オーディオ情報と前記他の記録方式の前記オーディオ情報とは同一内容であることを特徴とする情報記録媒体。 - 前記再生制御情報には、前記プログラムが前記記録方式の異なる複数の前記オーディオ情報から構成されていることを示す識別情報が記録されていることを特徴とする請求項1に記載の情報記録媒体。
- 前記再生制御情報は、前記セル毎に定義され、少なくとも前記セルのセルタイプ、スタートアドレス及びエンドアドレスを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の情報記録媒体。
- 前記一の記録方式の前記オーディオ情報は、リニアPCM(Pulse Code Modulation)方式による前記オーディオ情報であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1に記載の情報記録媒体。
- 複数のセルから構成されていると共に記録方式の異なる複数のオーディオ情報を含む物理的なオーディオ情報と、前記複数のセルから構成される論理的なプログラムを再生するための再生制御情報と、を記録した情報記録媒体であって、一の記録方式の前記オーディオ情報を構成する前記セルと、他の記録方式の前記オーディオ情報を構成する前記セルと、が当該情報記録媒体上における異なる位置に記録されており、前記プログラムは、前記一の記録方式の前記オーディオ情報を構成する前記セルと、前記他の記録方式の前記オーディオ情報を構成するセルと、の双方で定義されており、前記一の記録方式の前記オーディオ情報と前記他の記録方式の前記オーディオ情報とは同一内容である情報記録媒体から情報を再生する再生装置であって、
情報を読み取る読取手段と、
前記オーディオ情報を再生する再生手段と、
前記再生制御情報と、予め設定された再生すべき前記オーディオ情報の記録方式と、に基づいて、前記再生手段を制御する制御手段と、を備えることを特徴とする再生装置。 - 前記再生制御情報には、前記プログラムが前記記録方式の異なる複数の前記オーディオ情報から構成されていることを示す識別情報が記録されていることを特徴とする請求項5に記載の再生装置。
- 前記再生制御情報は、前記セル毎に定義され、少なくとも前記セルのセルタイプ、スタートアドレス及びエンドアドレスを含むことを特徴とする請求項5又は6に記載の再生装置。
- 前記一の記録方式の前記オーディオ情報はリニアPCMによる前記オーディオ情報であることを特徴とする請求項5乃至7のいずれか1に記載の再生装置。
- 複数のセルから構成されていると共に記録方式の異なる複数のオーディオ情報を含む物理的なオーディオ情報と、前記複数のセルから構成される論理的なプログラムを再生するための再生制御情報と、を記録した情報記録媒体であって、一の記録方式の前記オーディオ情報を構成する前記セルと、他の記録方式の前記オーディオ情報を構成する前記セルと、が当該情報記録媒体上における異なる位置に記録されており、前記プログラムは、前記一の記録方式の前記オーディオ情報を構成する前記セルと、前記他の記録方式の前記オーディオ情報を構成するセルと、の双方で定義されており、前記一の記録方式の前記オーディオ情報と前記他の記録方式の前記オーディオ情報とは同一内容である情報記録媒体から情報を再生する再生方法であって、
情報を読み取る読取工程と、
前記オーディオ情報を再生する再生工程と、
前記再生制御情報と、予め設定された再生すべき前記オーディオ情報の記録方式と、に基づいて、前記再生手段を制御することを特徴とする再生方法。 - 前記再生制御情報には、前記プログラムが前記記録方式の異なる複数の前記オーディオ情報から構成されていることを示す識別情報が記録されていることを特徴とする請求項9に記載の再生方法。
- 前記再生制御情報は、前記セル毎に定義され、少なくとも前記セルのセルタイプ、スタートアドレス及びエンドアドレスを含むことを特徴とする請求項9又は10に記載の再生方法。
- 前記一の記録方式の前記オーディオ情報はリニアPCMによる前記オーディオ情報であることを特徴とする請求項9乃至11のいずれか1に記載の再生方法。
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-
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- 2003-06-19 JP JP2003174928A patent/JP2004103207A/ja active Pending
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