JP2004099383A - 希土類酸化物蛍光体の製造法 - Google Patents

希土類酸化物蛍光体の製造法 Download PDF

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Takeshi Kijima
木島 剛
Mitsunori Yada
矢田 光徳
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Abstract

【課題】電子部品の微小化・高性能化に対応するため、微粉体を均一に分散させる必要性が高まっている。特に、粒径が小さく、且つ分散性に優れた希土類酸化物が求められている。本発明はこのニーズに応えられる希土類酸化物とその製造方法を提供しようと言うものである。
【解決手段】希土類金属塩、有機硫黄酸塩、尿素、水からなる反応混合物、又はこれに遷移金属塩を加えた反応混合物から出発して、ナノチューブ構造、六方構造、あるいは層状の希土類酸化物複合体を生成し、これを有機硫黄酸基ないしはその置換陰イオン基が熱分解する温度で焼成処理し、希土類酸化物ないしは発光特性等に寄与する金属がドープされた希土類酸化物を生成する。
【選択図】    図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、希土類イオンの光学的および化学特性を利用した演算・メモリ素子、発光素子、センサ素子等のフォトニクス・エレクトロニクス・情報技術用基礎素材または機能素子、各種化学反応に対する触媒などとして使用される希土類酸化物の製造法に関する。特にナノチューブ構造、六方構造、もしくは層状構造を有する希土類酸化物複合体を前駆体として誘導された高性能の希土類酸化物の製造方法及び希土類酸化物に関する。ここに、本発明において言う希土類酸化物は、高純度の希土類酸化物は勿論、他の金属がドープしてなるものまでも含むものである。
【0002】
【従来の技術】
希土類元素は、その4f電子に起因する特異な磁性や分光学的および化学的性質を有し、従来より、高性能磁石、発光材料、触媒などとして広く用いられてきた。中でも、希土類酸化物の(Y、Eu)と酸化硫化物の(Y,Eu)Sは代表的な赤色蛍光体であり、各々蛍光ランプ及びカラーテレビブラウン管用蛍光体として用いられている。前者は、例えば、酸化イットリウムと酸化ユーロピウムの硝酸溶液にシュウ酸水溶液を加えてできるシュウ酸塩共沈物を1200℃で焼成することにより、後者は、例えば、Y,Eu,S,NaCOの混合物を1100−1300℃で焼成し、遊離のNaSを水洗除去することにより製造される(荒井康夫、セラミックスの材料化学、大日本図書、昭和6年、P300)。
【0003】
これらの蛍光体材料の多くは、従来粒径数ミクロン程度の微粒子として使用されてきたが、近年、電子部品の微小化・高性能化が進む中で微粉体を均一に分散させる必要性が高まり、粒径が小さく、かつ分散性に優れた希土類酸化物が求められている(西須佳宏、資源環境技術総合研究所NIREニュース、1995年1月)。さらに材料の機能やその性能は、粒子形状や大きさのみならず、母体の組成、構造に敏感に依存することが指摘されている〔足立吟也、「希土類の化学」14章、化学同人編(1999)〕。
そのため、尿素の分解反応を利用して均質で緻密な単分散微粒子を調製する均一沈殿法等が開発されているが、従来技術は球状もしくは不定形の超微粒子を提供するに留まっており、多成分系材料中の元素分布等の微細構造をナノメートルスケールで制御する技術を確立するには至っていない。
【0004】
一方、ナノスケールの新規構造をもつ無機物質合成法として、1993年にMobil社により界面活性剤を鋳型として2〜8nmのハニカム状メソ細孔を有するメソボーラスシリカを創製する手法が開発され〔C.T.Kresgeほか4名、Nature、359、p.710〜712(1992)〕、その後、同様の手法により、シリカ以外の種々の金属酸化物や硫化物、単体金属を骨格成分とするメソ多孔体が相次いで合成された〔木島剛ほか1名、J.Soc.Inorg.Mater、8、p.3〜16(2001)〕。
【0005】
さらに、最近、この鋳型合成法が無機ナノチューブの合成にも応用され、酸化バナジウム〔M.E.Spahrほか5名、Angew.Chem.Int.Ed、37、p.1263〜65(1998)〕、シリカ〔M.Adachiほか2名、Langmuir、15、(1999)〕、チタニア〔H.Imaiほか4名、J.Mater.Chem、9、2971、(1999)〕などの酸化物系ナノチューブが報告されている。
【0006】
その間、本発明者等のグループにおいても、ドデシル硫酸イオンを鋳型として、尿素を用いる均一沈殿法により、アルミニウム系〔M.Yadaほか4名、Inorg.Chem、36、5565〜69(1997)〕、イットリウム系〔M.Yadaほか3名、Inorg.Chem、37、6470〜75(1998)〕、ランタノイド系〔M.Yadaほか4名、Angew.Chem.Int.Ed、38、3506〜09(1999)〕などの各種六方構造型酸化物メソ複合体及び層状構造複合体を合成し〔M.Yadaほか1名、Recent Res.Devel.Inorg.Chem、2、25〜39(2000)〕、さらに希土類酸化物ナノチューブの合成にも成功している〔M.Yadaほか4名、Adv.Mater.、25〜39(2002)〕。
また、希土類酸化物系については、鋳型イオンを酢酸イオンで交換することにより多孔体化できることを初めて見出している〔前記Inorg.Chem、37、6470〜75(1998)〕、Angew.Chem.Int.Ed、38、3506〜09(1999)〕。
【0007】
界面活性剤を鋳型として得られる上記無機ナノ構造体は、いずれもナノチューブ、ハニカム状もしくは層状の長周期構造を有するとともに、その骨格をなす構成原子が結晶のような規則的配列をとらず、非晶質構造にやや近い特有の秩序度をとっていることに特徴がある〔木島剛ほか1名、J.Soc.Inorg.Mater、8、p.3〜16(2001)〕。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、以上、従来技術において紹介、列挙した希土類酸化物ならびに無機ナノ構造体の合成法に関する多岐にわたる研究報告、先行技術を念頭に置きつつ、これらとは異なる新規な組成、構造を有するナノ構造体を中間体として新規な性能を有する希土類酸化物の製造方法を提供しようというものである。特に、その骨格に光活性な希土類イオンを効果的に組み込むことにより優れた発光特性を有する希土類酸化物発光体を提供しようというものである。また、これによって、電子、情報、環境分野の技術革新に寄与する新規素材を提供しようとするものである。
【0009】
上記従来技術に示した先行技術に開示された中、本発明に関連のある知見として、ナノチューブ、ハニカム状もしくは層状の長周期構造を有する希土類酸化物に関する報告があげられるが、複数の希土類成分を基本骨格として導入することないしは導入しうることについては、全く開示、言及されておらず、ましてやこれらを中間体として、新規な構造や性能を有する希土類酸化物を製造する方法については提案も示唆もされてはいない。また、この点は、その他の先行文献においても同様である。
【0010】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者は、前記目的を達成すべく、用いる希土類元素の種類と反応条件についてさらに鋭意研究を進めた結果、本発明に到達しえたものである。
特に、有機硫黄酸基を含みナノチューブ状、ハニカム状もしくは層状構造を有する希土類酸化物複合体を前駆体として、常法により焼成することにより、従来方法で作製したものに比べて格段に高性能の希土類酸化物を製造できることを見出した。
【0011】
すなわち、本発明者等は、鋭意研究をした結果、前示課題を以下(1)ないし(14)に記載する技術的構成を講ずることによって解決することに成功したものである。
【0012】
その第1の解決手段は、(1)一種又は二種以上の希土類金属塩、有機硫黄酸塩、尿素、水からなる反応混合物、又はこれに一種又は二種以上の遷移金属塩を加えた反応混合物を調製し、次いでこの反応混合物を反応させて、前記希土類成分を含む複合酸化物を主成分、炭酸基ならびに有機硫黄酸基を副成分とする骨格から成り、外径約5〜7nm、内径約2〜4nm、長さ10nm以上のナノチューブ構造、格子定数5〜7nmの六方構造、もしくは層間距離3〜6nmの層状構造を有する希土類酸化物複合体を生成し、次いで該希土類酸化物複合体をその中の少なくとも有機硫黄酸基が熱分解する温度で焼成処理を行うか、あるいは、該希土類酸化物複合体を短鎖長有機酸塩及び無機酸塩の何れか一種を含むアルコール溶液と反応させ、該希土類酸化物複合体中の有機硫黄酸基を該溶液中の陰イオンと置換せしめた後、該希土類酸化物複合体中の少なくとも置換陰イオン基が熱分解する温度で焼成処理を行うことを特徴とする希土類酸化物の製造方法である。
【0013】
また、第2の発明から第6の解決手段は、第1の解決手段から派生したものであり、第2の解決手段は、(2)前記出発反応混合物がユーロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)を含むランタイノド元素の1種、またはマンガン、銅を少なくとも一部含有してなるものであり、これによって骨格内希土類サイトに該金属が一部ドープされた、希土類成分を含む複合酸化物を主成分、炭酸基ならびに有機硫黄酸基を副成分とする骨格から成り、外径約5〜7nm、内径約2〜4nm、長さ10nm以上のナノチューブ構造、格子定数5〜7nmの六方構造、もしくは層間距離3〜6nmの層状構造を有する希土類酸化物複合体を生成し、次いで該希土類酸化物複合体をその中の少なくとも有機硫黄酸基が熱分解する温度で焼成処理を行うか、あるいは、該希土類酸化物複合体を短鎖長有機酸塩及び無機酸塩の何れか一種を含むアルコール溶液と反応させ、該希土類酸化物複合体中の有機硫黄酸基を該溶液中の陰イオンと置換せしめた後、該希土類酸化物複合体中の少なくとも置換陰イオン基が熱分解する温度で焼成処理を行い、希土類酸化物の骨格内希土類サイトに該金属が一部ドープされている生成物を得ることを特徴とするユーロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)を含むランタイノド元素の1種、またはマンガン、銅が少なくともドープされている前記(1)項に記載の希土類酸化物の製造方法。
【0014】
第3の解決手段は、(3)前記焼成処理が、酸化性雰囲気中450℃以上で行われることを特徴とする前記(1)項に記載の希土類酸化物の製造方法。
(4) 前記焼成処理が、酸化性雰囲気中450℃以上で行われることを特徴とする前記(2)項に記載の希土類酸化物の製造方法。
(5) 前記焼成処理が、酸化性雰囲気中600℃以下で希土類酸化物複合体を構成する有機硫黄酸基または置換陰イオン基を分解させる前焼成と、次いで還元性雰囲気中600℃以上で行う後焼成とによる、2段階工程によって行われることを特徴とする前記(1)項に記載の希土類酸化物の製造方法。
(6) 前記焼成処理が、酸化性雰囲気中600℃以下で希土類酸化物複合体を構成する有機硫黄酸基または置換陰イオン基を分解させる前焼成と、次いで還元性雰囲気中600℃以上で行う後焼成とによる、2段階工程によって行われることを特徴とする前記(2)項に記載の希土類酸化物の製造方法。
【0015】
第7ないし第12の解決手段は、第1から第6までの各製造方法によって得られてなる希土類酸化物自体に係るものである。
すなわち、(7)一種又は二種以上の希土類金属塩、有機硫黄酸塩、尿素、水からなる反応混合物、又はこれに一種又は二種以上の遷移金属塩を加えた反応混合物を調製し、次いでこの反応混合物を反応させて、前記希土類成分を含む複合酸化物を主成分、炭酸基ならびに有機硫黄酸基を副成分とする骨格から成り、外径約5〜7nm、内径約2〜4nm、長さ10nm以上のナノチューブ構造、格子定数5〜7nmの六方構造、もしくは層間距離3〜6nmの層状構造を有する希土類酸化物複合体を生成し、次いで該希土類酸化物複合体をその中の少なくとも有機硫黄酸基が熱分解する温度で焼成処理を行うか、あるいは、該希土類酸化物複合体を短鎖長有機酸塩及び無機酸塩の何れか一種を含むアルコール溶液と反応させ、該希土類酸化物複合体中の有機硫黄酸基を該溶液中の陰イオンと置換せしめた後、該希土類酸化物複合体中の少なくとも置換陰イオン基が熱分解する温度で焼成処理を行う、以上のプロセスによって得られてなることを特徴とする希土類酸化物。
【0016】
(8)前記出発反応混合物がユーロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)を含むランタイノド元素の1種、またはマンガン、銅を少なくとも一部含有してなるものであり、これによって骨格内希土類サイトに該金属が一部ドープされた、希土類成分を含む複合酸化物を主成分、炭酸基ならびに有機硫黄酸基を副成分とする骨格から成り、外径約5〜7nm、内径約2〜4nm、長さ10nm以上のナノチューブ構造、格子定数5〜7nmの六方構造、もしくは層間距離3〜6nmの層状構造を有する希土類酸化物複合体を生成し、次いで該希土類酸化物複合体をその中の少なくとも有機硫黄酸基が熱分解する温度で焼成処理を行うか、あるいは、該希土類酸化物複合体を短鎖長有機酸塩及び無機酸塩の何れか一種を含むアルコール溶液と反応させ、該希土類酸化物複合体中の有機硫黄酸基を該溶液中の陰イオンと置換せしめた後、該希土類酸化物複合体中の少なくとも置換陰イオン基が熱分解する温度で焼成処理を行い、希土類酸化物の骨格内希土類サイトに該金属が一部ドープされている生成物を得る、以上のプロセスによって得られてなることを特徴とするユーロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)を含むランタイノド元素の1種、またはマンガン、銅が少なくともドープされている前記(7)項に記載の希土類酸化物。
【0017】
(9)前記焼成処理が、酸化性雰囲気中450℃以上で行われることを特徴とする前記(7)項に記載の希土類酸化物。
(10)前記焼成処理が、酸化性雰囲気中450℃以上で行われることを特徴とする前記(8)項に記載の希土類酸化物。
(11)前記焼成処理が、酸化性雰囲気中600℃以下で希土類酸化物複合体を構成する有機硫黄酸基または置換陰イオン基を分解させる前焼成と、次いで還元性雰囲気中600℃以上で行う後焼成とによる、2段階工程によって行われることを特徴とする前記(7)項に記載の希土類酸化物。
(12) 前記焼成処理が、酸化性雰囲気中600℃以下で希土類酸化物複合体を構成する有機硫黄酸基または置換陰イオン基を分解させる前焼成と、次いで還元性雰囲気中600℃以上で行う後焼成とによる、2段階工程によって行われることを特徴とする前記(8)項に記載の希土類酸化物。
【0018】
第13番目、第14番目の解決手段は、前記希土類酸化物を蛍光体材料及び触媒材料として供するものである。
すなわち、13番目の解決手段は、(13)前記(7)ないし(12)の何れか1項に記載の希土類酸化物を用いてなることを特徴とする蛍光体材料である。また、14番目の解決手段は、(14)前記(7)ないし(12)の何れか1項に記載の希土類酸化物を用いてなることを特徴とする触媒材料である。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明は、ナノチューブ構造、六方構造、もしくは層状構造を有する希土類酸化物複合体を前駆体として誘導された高性能の希土類酸化物の製造方法及び希土類酸化物を提供するところにあることは、前述したとおりである。前駆体となる希土類酸化物複合体は、一種以上の特定希土類等の金属酸化物を主成分とし、炭酸基と有機硫黄酸基を副成分とする骨格から成る特定寸法のナノチューブ構造体、六方構造体、もしくは層状構造体であり、その構成成分は、主要成分、副成分自体に関しても、組成的に多様な組み合わせを許容するものであることに加え、主成分サイト、副成分サイトは、イオン交換操作によって、他の希土類金属元素、遷移金属元素、あるいは他の有機酸陰イオン、無機酸陰イオンによって二次的に置換されることから、実に多様な組み合わせを含むものである。したがってまた、これらの希土類酸化物複合体を焼成処理することによって誘導される希土類酸化物の含有成分と構造も同様に多様な組み合わせを含むことはいうまでもない。さらに、以下に提示する実施例は、本発明に対して、あくまでもその一態様例を示すものにすぎず、本発明をこの実施例によって限定されるべきではない。
【0020】
本発明に係わる希土類金属塩は、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、及びユーロピウム(Eu)、テリビウム(Tb)、ガドリニウム(Gd)を含むランタノイド元素の硝酸塩、塩化物等、マンガン(Mn)、銅(Cu)を含む遷移金属の硝酸塩、塩化物等の希土類金属塩及び遷移金属塩をいずれか1種以上使用する。2種以上の希土類金属塩のうち、いずれか1種はイットリウム(Y)、イッテリビウム(Yb)またはルテチウム(Lu)の硝酸塩、塩化物等を用いることが望ましい。
【0021】
本発明に係わる有機硫黄酸塩としては、例えば、ドデシル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。
【0022】
本発明に係わる短鎖長有機酸塩としては、例えば、酢酸塩、マロン酸塩等が挙げられる。
【0023】
本発明に係わる無機酸塩としては、例えば、過ヨウ素酸塩、三ヨウ化物塩等が挙げられる。
【0024】
以下、本発明を図面及び実施例に基づいて説明する。但し、これらの実施例は、本発明を理解するための一助として具体例を以て示すものであり、本発明は、この実施例に限定されないし、限定されることはない。
【0025】
図1(a)は、本発明の実施例1で得られた中間体であるナノチューブ構造のイットリウム、イッテリビウム及びルテチウム系酸化物複合体のX線回折図である。図1(b)は、その透過形電子顕微鏡による観察写真であり、これによると、本発明の希土類酸化物化合物は中空のチューブ状構造を呈していることが観察される。図2(a)は、実施例1においてナノチューブ状複合体を前駆体として得られた3%ユーロピウムドープ酸化イットリウム3%Eu/NT(Y)(1000℃焼成)と、従来法の均一沈殿法で得られた3%Euドープ酸化イットリウム3%Eu/Bulk(Y)(1000℃焼成)との発光スペクトルを対比して示した図である。図2(b)は、前者試料の透過形電子顕微鏡による観察写真である。
【0026】
また、図3(a)は実施例2で得られた中間体であるヘキサゴナル構造型イットリウム系酸化物複合体のX線回折図であり、各ユーロピウム(Eu)含有量ごとに示している。図3(b)は、同じく5%Euドープ試料の透過形電子顕微鏡写真であり、これによるとヘキサゴナル構造特有のパターンが認められる。図3(c)は、従来法の均一沈殿法で得られた3%Euドープ酸化イットリウムの透過形電子顕微鏡写真であり、バルク状形態が認められる。
【0027】
図4(a)は、実施例2においてヘキサゴナル構造複合体を前駆体として得られた3%及び5%Euドープ酸化イットリウムの各X線回折図を示し、図4(b)は同じく5%Euドープ試料の透過形電子顕微鏡写真である。そして、図4(c)は、実施例2において得られた1%、3%及び5%Euドープした酸化イットリウムと、均一沈殿法で得られた3%Euドープ酸化イットリウムとの発光スペクトル(励起波長395nm)を対比して示した図である。
【0028】
実施例1
硝酸イットリウム、塩化ユーロピウム、ドデシル硫酸ナトリウム、尿素、および水を0.97:0.03:2:30:60のモル比で混合し反応混合物を調製した。得られた反応混合物を加熱反応容器に入れ、40℃で1時間攪拌した後、80℃で100時間反応させた。反応液中に生成した微細な固相が析出した。これを遠心分離後、水洗し、40℃で乾燥して中間体である複合体を得た。同様な操作により、硝酸イットリウムの代わりに硝酸ルテチウムと硝酸イットリビウムを用いた試料も各々作製した。
次いで、この複合体を、空気中、1000℃で3時間焼成し、最終生成物である酸化ユーロピウムイットリウムを得た。また、界面活性剤を添加しない同様の反応によって得られた沈殿物を同じ条件で焼成し、酸化物を得た。
まず、中間体としての複合体は、ナノチューブ構造の001、002、003回折線に相当するd=6.3nm、2.9nmおよび1.9nmの3本の長周期ピークで特徴づけられるX線回折図形を与えた〔図1(a)〕。
また、透過型電子顕微鏡による観察により、外径6nm、内径3nm、チューブ状生成物であることも確認された〔図1(b)〕。さらに、赤外吸収(FT−IR)スペクトルより、ドデシル硫酸基の存在が確認され、EDXから求めたEuのドープ量と仕込み量との比率は約58%であった。
得られた焼成体は、酸化イットリウムと同型の結晶構造を有していることがX線回折分析によって確認された〔その回折パターンは図4(a)に同様であった〕。 その粉末の形態は、バルク状形態をもつことが観察された〔図2(b)〕。
図2(a)は、上述の方法で得られた希土類酸化物と、界面活性剤を添加しない従来法で得られた希土類酸化物の発光スペクトルを示す。同図より明らかなように、本発明によるある希土類酸化物は、従来法による希土類酸化物の約2倍の発光強度を示し、その性能が飛躍的に向上していることが理解される。
【0029】
実施例2
硝酸イットリウム、塩化ユーロピウム、ドデシル硫酸ナトリウム、尿素、および水を0.95:0.05:2:30:60のモル比で混合し反応混合物を調製した。得られた反応混合物を加熱反応容器に入れ、40℃で1時間攪拌した後、80℃で20時間反応させた。反応液中に生成した微細な固相が析出した。これを遠心分離後、水洗し、40℃で乾燥して中間体である複合体を得た。
次いで、この複合体を、空気中、1000℃で5時間焼成し、最終生成物である酸化ユーロピウム・イットリウムを得た。また、界面活性剤を添加しない同様の反応によって得られた沈殿物を同じ条件で焼成し、酸化物を得た。
まず、中間体としての複合体は、そのX線回折図形〔図3(a)〕と透過型電子顕微鏡像〔図3(b)〕より、格子定数5.4nmのヘキサゴナル構造を持つメソ構造体であるここが確認された。さらに、赤外吸収(FT−IR)スペクトルより、ドデシル硫酸基の存在が確認され、EDXから求めたEDXから求めたEuのドープ量と仕込み量との比率は約44%であった。なお、図3(c)は、従来法による沈殿法で得られたEuドープ酸化イットリウムの透過型電子顕微鏡写真であり、これによればバルク状形態が観察される。
焼成体は、バルク状を呈し〔図4(b)〕、酸化イットリウムと同型の結晶構造を有していることがX線回折図形より確認された〔図4(a)〕。図4(c)は、上述の方法で得られた希土類酸化物と、界面活性剤を添加しない従来法で得られた希土類酸化物の発光スペクトルを示す。チューブ状複合体を中間体として作製した場合と同様に、ヘキサゴナル構造複合体を経て得られた希土類酸化物も、従来法による希土類酸化物の約2倍の発光強度を示し、その性能が飛躍的に向上していることが分かる。
【0030】
本発明は、以上の実施例に加え、多岐にわたる実験例を積み重ね、得られたデータを整理した結果、有機硫黄酸基を含みナノチューブ構造、ヘキサゴナル構造もしくは層状構造を有する希土類酸化物複合体を前駆体として、常法により焼成することにより、従来方法で作製したものに比べて格段に高性能の希土類酸化物を製造できることが確認されたものである。本発明にかかる希土類酸化物の性能が優れる理由は現時点では明確でないが、上記のようなナノ構造を経由することにより、希土類酸化物結晶中のユーロピウムイオン等の分布の均一性が増し、その結果該元素の励起エネルギーが有効に発光に利用されることによるものと推測される。
【0031】
本発明は、希土類元素を有する特異結晶構造の希土類酸化物の新規な製造方法を開発することに成功したものであり、その工業的意義は極めて大である。その詳細な物性や、諸特性及び各種技術分野における作用効果に関する具体的データ等の開示、及びこれに関漣して誘導される新たな技術的可能性、発展性等の研究開発は、今後の研究に待つところ大であり、委ねられているものであるが、その組成と特異結晶構造からして、諸分野において優れた作用効果を奏しうることが期待される。
【0032】
すなわち、紫外線・可視光線照射時の発光強度と発光効率に優れてなる光変換素子機能、各種反応における触媒機能などの各種有用な機能を有し、これら有用機能の発現によって期待される各種用途に供することのできる希土類酸化物を得るのに成功したものである。
【0033】
ここに、この希土類酸化物の製造法は、前記実施例で具体的、個別的に開示したところであるが、これを、反応混合物の調製から実施する場合の製造方法における反応条件について言及、要約すると、以下の通りである。
先ず、中間体である希土類酸化物複合体の製造方法は、▲1▼イットリウム(Y)、イッテリビウム(Yb)またはルテチウム(Lu)の硝酸塩、塩化物等の金属塩をいずれか1種、ユーロピウム(Eu)、テリビウム(Tb)、ガトリニウム(Gd)を含むランタノイド元素の硝酸塩、塩化物等、マンガン(Mn)、銅(Cu)を含む遷移金属の硝酸塩、塩化物等の希土類金属塩及び遷移金属塩をいずれか1種以上、有機硫黄酸塩、尿素、水を混合し、一定時間反応させることによりナノチューブ構造、六方構造、もしくは層状構造を有する希土類酸化物複合体を製造する方法、及び▲2▼前項で得られた複合体をさらに短鎖長有機酸塩及び無機酸塩の何れか一種を含むアルコール溶液と反応させ、該複合体中の有機硫黄酸基を該溶液中の陰イオンと置換せしめた希土類酸化物複合体を製造する方法に大別される。
【0034】
その反応条件は、例示的に要約すると以下の通りである。
すなわち、▲1▼イットリウムとユーロピウムを希土類成分とするチューブ状化複合体は、硝酸イットリウム0.95モル、硝酸ユーロピウム0.5モルに対し、ドデシル硫酸ナトリウムを1〜3モル好ましくは2モル、尿素を20〜50モル好ましくは30モル、水を40から80モル好ましくは60モルを加えて混合し、40℃で1時間攪拌した後、70〜85℃で50時間以上、好ましくは80℃で100時間保持することにより製造する。▲2▼イットリウムとユーロピウムを希土類成分とする六方構造複合体は、▲1▼と同様に調製した反応混合物を70〜85℃で10〜30時間好ましくは80℃で20時間保持することにより製造する。▲3▼イットリウムとユーロピウムを希土類成分とする層状構造複合体は、▲1▼と同様に調製した反応混合物を70〜85℃で3〜5時間好ましくは80℃で4時間保持することにより製造する。
【0035】
上記の▲1▼ ▲3▼の反応により得られた固体生成物を液より分離し、水洗後、30〜40℃で12〜24時間乾燥すると、各々、希土類元素を骨格成分とするナノチューブ構造、六方構造及び層状構造を有する複合体から得られる。これらの化合物は、各々、希土類酸化物骨格中に炭素基と有機硫黄酸基(アルキル硫酸基)が取り込まれた外径約6nm、内径3nmのチューブ状構造、格子定数6nmの六方構造、層間距離4nmの層状構造を有することが明らかとなった。
【0036】
また、各複合体の有機硫黄酸基(アルキル硫酸基)含有チューブ化合物を酢酸、マロン酸等の有機酸、もしくは過ヨウ素酸、三ヨウ化合物イオン等の無機酸を含むアルコール溶液と反応させることにより化合物中の該有機硫黄酸基のサイトがアルコール溶液中に含まれている。
有機酸イオン、無機酸イオンによって置換された希土類酸化物ナノチューブを得ることができることは、如上の通りである。
この置換による製造方法における反応条件について、以下、例示的に言及、要約する。例えば、アルキル硫酸基含有チューブ状化合物0.5gを酢酸ナトリウムの0.05mol/lエタノール溶液40mlに分散させ、40℃で1時間反応させることにより母体中のアルキル硫酸イオンと外部溶液中の酢酸イオンとの陰イオン交換が起こり、チューブの内径はイオン交換処理前の約2.5nmから約3nmに増大し、目的物が製造し得られる。アルキル硫酸基含有六方構造化合物及びアルキル硫酸基含有層状構造化合物についても、同様の処理によりイオン置換体が得られる。
【0037】
次いで、得られたナノチューブ構造、六方構造及び層状構造を有する複合体を各々酸化性雰囲気中450〜600℃好ましくは500℃で、1〜10時間の前焼成を行う。さらに、少なくとも800℃以上好ましくは1000〜1200℃で後焼成を行い、希土類酸化物を得る。
【0038】
また、後焼成の段階で、硫黄含有化合物を単独または、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の融剤と共に、共存させることにより、発光性能をより改善した希土類酸化硫化物を得ることができる。
【0039】
【発明の効果】
本発明は、特定の反応混合物から出発して、有機硫黄酸基を含みナノチューブ構造、ヘキサゴナル構造もしくは層状構造を呈してなる特定構造の希土類酸化物複合体を生成し、この生成した複合体を焼成することにより得るものであり、従来方法で作製したものに比べて、ナノメートルスケールにて厳密に制御された均一な粉末特性を有してなる希土類酸化物粉末を製造することができ、従来法に比し格段に高性能の希土類酸化物を製造できるため、次のような効果が期待できる。
(1)これを演算・メモリ素子用蛍光体として用いた場合、その格子効果により希土類イオンの発光強度が飛躍的に増大し、希土類イオンの室温で永続的ホールバーニング効果に基づく光メモリ・光演算機能の発現に効果的に作用することとなる。
(2)これを蛍光ランプ用蛍光体として用いた場合、その格子効果により希土類イオンの発光強度が飛躍的に増大し、極めて高性能の照明ランプが提供される。
(3)これをカラーテレビブラウン管用蛍光体として用いた場合、その格子効果により希土類イオンの発光強度が飛躍的に増大し、極めて高性能のカラーテレビブラウン管が提供される。
(4)これをプラズマディスプレイ用蛍光体として用いた場合、その格子効果により希土類イオンの発光強度が飛躍的に増大し、極めて高性能のプラズマディスプレイが提供される。
(5)これを酸化還元あるいは酸塩基触媒として用いた場合、活性サイトが均一かつナノメートルスケールで分散しているため、従来の材料に比べて格段に高い触媒効果が発揮し得られ、触媒材料として優れたものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は実施例1で得られた中間体であるナノチューブ状イットリウム、イッテリビウム、及びルテチウム系酸化物複合体のX線回折図。
(b)は、同じくイットリウム系酸化物複合体の透過形電子顕微鏡写真。
【図2】(a)は実施例1においてナノチューブ状複合体を前駆体として得られた3%ユーロピウムドープ酸化イットリウム3%Eu/NT(Y)及び従来法の均一沈殿法で得られた3%Euドープ酸化イットリウム3%Eu/Bulk(Y)の発光スペクトル。
(b)は、前者試料の透過形電子顕微鏡写真。
【図3】(a)は実施例2で得られた中間体であるヘキサゴナル構造型イットリウム系酸化物複合体のX線回折図。
(b)は同じく5%Euドープ試料の透過形電子顕微鏡写真。ヘキサゴナル構造特有のパターンが認められる。
(c)は従来法の均一沈殿法で得られた3%Euドープ酸化イットリウムの透過形電子顕微鏡写真。バルク状形態が認められる。
【図4】(a)は実施例2においてヘキサゴナル構造複合体を前駆体として得られた3%及び5%Euドープ酸化イットリウムのX線回折図。
(b)は同じく5%Euドープ試料の透過形電子顕微鏡写真である。(c)は、同じく1%、3%及び5%Euドープ酸化イットリウムと均一沈殿法で得られた3%Euドープした酸化イットリウムの発光スペクトル(励起波長395nm)。]

Claims (14)

  1. 一種又は二種以上の希土類金属塩、有機硫黄酸塩、尿素、水からなる反応混合物、又はこれに一種又は二種以上の遷移金属塩を加えた反応混合物を調製し、次いでこの反応混合物を反応させて、前記希土類成分を含む複合酸化物を主成分、炭酸基ならびに有機硫黄酸基を副成分とする骨格から成り、外径約5〜7nm、内径約2〜4nm、長さ10nm以上のナノチューブ構造、格子定数5〜7nmの六方構造、もしくは層間距離3〜6nmの層状構造を有する希土類酸化物複合体を生成し、次いで該希土類酸化物複合体をその中の少なくとも有機硫黄酸基が熱分解する温度で焼成処理を行うか、あるいは、該希土類酸化物複合体を短鎖長有機酸塩及び無機酸塩の何れか一種を含むアルコール溶液と反応させ、該希土類酸化物複合体中の有機硫黄酸基を該溶液中の陰イオンと置換せしめた後、該希土類酸化物複合体中の少なくとも置換陰イオン基が熱分解する温度で焼成処理を行うことを特徴とする希土類酸化物の製造方法。
  2. 前記出発反応混合物がユーロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)を含むランタイノド元素の1種、またはマンガン、銅を少なくとも一部含有してなるものであり、この反応混合物を使用することによって骨格内希土類サイトに該金属が一部ドープされた、希土類成分を含む複合酸化物を主成分、炭酸基ならびに有機硫黄酸基を副成分とする骨格から成り、外径約5〜7nm、内径約2〜4nm、長さ10nm以上のナノチューブ構造、格子定数5〜7nmの六方構造、もしくは層間距離3〜6nmの層状構造を有する希土類酸化物複合体を生成し、次いで該希土類酸化物複合体をその中の少なくとも有機硫黄酸基が熱分解する温度で焼成処理を行うか、あるいは、該希土類酸化物複合体を短鎖長有機酸塩及び無機酸塩の何れか一種を含むアルコール溶液と反応させ、該希土類酸化物複合体中の有機硫黄酸基を該溶液中の陰イオンと置換せしめた後、該希土類酸化物複合体中の少なくとも置換陰イオン基が熱分解する温度で焼成処理を行い、希土類酸化物の骨格内希土類サイトに該金属が一部ドープされている希土類酸化物を生成することを特徴とするユーロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)を含むランタイノド元素の1種、またはマンガン、銅が少なくともドープされている請求項1記載の希土類酸化物の製造方法。
  3. 前記焼成処理が、酸化性雰囲気中450℃以上で行われることを特徴とする請求項1に記載の希土類酸化物の製造方法。
  4. 前記焼成処理が、酸化性雰囲気中450℃以上で行われることを特徴とする請求項2に記載の希土類酸化物の製造方法。
  5. 前記焼成処理が、酸化性雰囲気中600℃以下で希土類酸化物複合体を構成する有機硫黄酸基または置換陰イオン基を分解させる前焼成と、次いで還元性雰囲気中600℃以上で行う後焼成とによる、2段階工程によって行われることを特徴とする請求項1に記載の希土類酸化物の製造方法。
  6. 前記焼成処理が、酸化性雰囲気中600℃以下で希土類酸化物複合体を構成する有機硫黄酸基または置換陰イオン基を分解させる前焼成と、次いで還元性雰囲気中600℃以上で行う後焼成とによる、2段階工程によって行われることを特徴とする請求項2に記載の希土類酸化物の製造方法。
  7. 一種又は二種以上の希土類金属塩、有機硫黄酸塩、尿素、水からなる反応混合物、又はこれに一種又は二種以上の遷移金属塩を加えた反応混合物を調製し、次いでこの反応混合物を反応させて、前記希土類成分を含む複合酸化物を主成分、炭酸基ならびに有機硫黄酸基を副成分とする骨格から成り、外径約5〜7nm、内径約2〜4nm、長さ10nm以上のナノチューブ構造、格子定数5〜7nmの六方構造、もしくは層間距離3〜6nmの層状構造を有する希土類酸化物複合体を生成し、次いで該希土類酸化物複合体をその中の少なくとも有機硫黄酸基が熱分解する温度で焼成処理を行うか、あるいは、該希土類酸化物複合体を短鎖長有機酸塩及び無機酸塩の何れか一種を含むアルコール溶液と反応させ、該希土類酸化物複合体中の有機硫黄酸基を該溶液中の陰イオンと置換せしめた後、該希土類酸化物複合体中の少なくとも置換陰イオン基が熱分解する温度で焼成処理を行う、以上のプロセスによって得られてなることを特徴とする希土類酸化物。
  8. 前記出発反応混合物がユーロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)を含むランタイノド元素の1種、またはマンガン、銅を少なくとも一部含有してなるものであり、これによって骨格内希土類サイトに該金属が一部ドープされた、希土類成分を含む複合酸化物を主成分、炭酸基ならびに有機硫黄酸基を副成分とする骨格から成り、外径約5〜7nm、内径約2〜4nm、長さ10nm以上のナノチューブ構造、格子定数5〜7nmの六方構造、もしくは層間距離3〜6nmの層状構造を有する希土類酸化物複合体を生成し、次いで該希土類酸化物複合体をその中の少なくとも有機硫黄酸基が熱分解する温度で焼成処理を行うか、あるいは、該希土類酸化物複合体を短鎖長有機酸塩及び無機酸塩の何れか一種を含むアルコール溶液と反応させ、該希土類酸化物複合体中の有機硫黄酸基を該溶液中の陰イオンと置換せしめた後、該希土類酸化物複合体中の少なくとも置換陰イオン基が熱分解する温度で焼成処理を行い、希土類酸化物の骨格内希土類サイトに該金属が一部ドープされている生成物を得る、以上のプロセスによって得られてなることを特徴とするユーロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)を含むランタイノド元素の1種、またはマンガン、銅が少なくともドープされている請求項7記載の希土類酸化物。
  9. 前記焼成処理が、酸化性雰囲気中450℃以上で行われることを特徴とする請求項7に記載の希土類酸化物。
  10. 前記焼成処理が、酸化性雰囲気中450℃以上で行われることを特徴とする請求項8に記載の希土類酸化物。
  11. 前記焼成処理が、酸化性雰囲気中600℃以下で希土類酸化物複合体を構成する有機硫黄酸基または置換陰イオン基を分解させる前焼成と、次いで還元性雰囲気中600℃以上で行う後焼成とによる、2段階工程によって行われることを特徴とする請求項7に記載の希土類酸化物。
  12. 前記焼成処理が、酸化性雰囲気中600℃以下で希土類酸化物複合体を構成する有機硫黄酸基または置換陰イオン基を分解させる前焼成と、次いで還元性雰囲気中600℃以上で行う後焼成とによる、2段階工程によって行われることを特徴とする請求項8に記載の希土類酸化物。
  13. 請求項7乃至12の何れか1項に記載の希土類酸化物を用いてなることを特徴とする蛍光体材料。
  14. 請求項7乃至12の何れか1項に記載の希土類酸化物を用いてなることを特徴とする触媒材料。
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