JP2004089127A - タンパク質の製造方法 - Google Patents

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川上 雅之
Atsumi Ueda
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Abstract

【課題】タンパク質の効率的かつ安全な製造方法を提供する。
【解決手段】(a)目的タンパク質、(b)プロテアーゼ切断部位、並びに(c)細胞膜及び/又は細胞壁アンカータンパク質若しくはその一部を含む融合タンパク質を細胞表層にアンカリングした状態で発現させた酵母を該プロテアーゼ切断部位に特異的なプロテアーゼで処理する工程を含む目的タンパク質の製造方法。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、タンパク質の製造方法に関する。目的タンパク質とプロテアーゼ切断部位とを含み酵母の細胞表層にアンカリングした融合タンパク質をプロテアーゼで処理して目的タンパク質を効率的に製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
遺伝子工学技術の発達により、多くの原核生物及び真核生物のタンパク質の生産が可能となった。その生産手法としては、大腸菌(Escherichia coli)をはじめとする微生物に目的タンパク質をコードする遺伝子を導入し、その遺伝子産物を回収する方法が一般的である。近年、多くの効率的な遺伝子発現系が開発されているが、最も重要な問題は、目的タンパク質の単離及び精製である。例えば、細胞内に目的タンパク質を発現させる場合には、多くの場合、封入体(インクルージョンボデイー)と呼ばれる非活性凝集体として目的タンパク質が得られるため、尿素等の処理による再活性化処理(リフォールデイング)が不可欠となる。また細胞外へ分泌生産させる場合には、同時に分泌されるプロテアーゼから目的タンパク質を保護する必要があり、さらに大量の培地成分を濃縮した後、目的タンパク質を精製する工程が必要である。この様な煩雑な単離及び精製工程はタンパク質生産の実用化において問題となっている。
【0003】
上記の問題を回避するために、目的タンパク質を特定のタンパク質やアミノ酸配列との融合タンパク質として発現させ、特定のタンパク質やアミノ酸配列に特異的な精製手段を適用して融合タンパク質を得る方法が開発されている。特定のタンパク質の例としては、グルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)が挙げられ、GSTに特異的な抗体を用いるアフィニテイークロマトグラフィーにより融合タンパク質を精製することが可能である。また、特定のアミノ酸配列の例としては、ヒスチジンの6回繰り返し配列が挙げられ、ニッケル等の金属を固定化したアフィニテイークロマトグラフィーにより融合タンパク質を精製できる。
【0004】
さらに、これらの目的タンパク質と特定のタンパク質やアミノ酸配列との間に、プロテアーゼ認識配列を組み込み、前記の手段により融合タンパク質を精製した後、該プロテアーゼ認識配列を切断可能なプロテアーゼで処理することにより目的タンパク質を得る方法も開発されている。例えば特開昭61−135591号公報には、ファクターXaにより融合タンパク質から目的タンパク質を回収する方法が開示されている。また、この様な融合タンパク質発現、及びプロテアーゼ処理による目的タンパク質の単離及び精製を行うためのキットが発売されている。例えばアマシャムファルマシア社からは、GST融合タンパク質発現用ベクター、GST融合タンパク質精製用アフィニテイーゲル、GST融合タンパク質切断用プロテアーゼが各々キットとして発売されている。しかしながら、細胞内発現におけるリフォールデイング、細胞外発現におけるプロテアーゼからの保護、及び培地からの濃縮操作の問題は依然として残ったままである。
【0005】
これらの問題を解決する目的で、近年、様々な微生物の細胞表層に目的タンパク質を発現させる技術が開発されている。例えば特表平7−502640号公報には、細胞壁または細胞膜タンパク質と目的タンパク質との融合タンパク質をグラム陽性菌の細胞表層に発現させる技術が開示されている。目的タンパク質は細胞壁または細胞膜タンパク質との融合タンパク質として発現されるため、目的タンパク質を発現した細胞を遠心分離処理により容易に得ることが可能である。さらに、この様にして細胞表層に融合タンパク質を発現させた微生物をプロテアーゼで処理して目的タンパク質を回収する技術も開発されている。例えば、特表2000−512121号公報には、細胞壁または細胞膜タンパク質、プロテアーゼ認識アミノ酸配列、及び目的タンパク質から構成される融合タンパク質をグラム陽性菌細胞表層に発現させた後、プロテアーゼで処理して目的タンパク質を得る技術が開示されている。しかしながら、原核生物であるグラム陽性菌では、糖タンパク質等の翻訳後に修飾を受けるタンパク質の発現は不可能であるという問題がある。また、グラム陰性菌を用いる場合、人体への感染も苦慮する必要があるという問題も残されている。
【0006】
そのような問題を解決するためには、発現系として酵母、植物細胞、動物細胞などの真核生物を用いる必要がある。例えば、酵母の細胞表層に目的タンパク質を細胞壁または細胞膜タンパク質との融合タンパク質として発現させる技術が報告されており、植田等はグルコアミラーゼをα−アグルチニンとの融合タンパク質として酵母表層に発現させ、デンプンを唯一の炭素源として生育させ、エタノールを生産することに成功している (Ueda et al, Appl. Environ. Microbiol., 63, 1332−1336, 1997)。しかしながら、これまでに酵母を含む真核生物において、細胞壁または細胞膜タンパク質と目的タンパク質との融合タンパク質を発現させ、かつプロテアーゼ処理により目的タンパク質を回収する技術は知られていなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題及び課題を解決するための手段】
本発明の課題は、目的タンパク質のリフォールデイングや培地からの濃縮工程等の煩雑な単離及び精製工程を必要とせず、簡便かつ効率的に目的タンパク質を製造する方法をすることにある。本発明者らは上記の課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、目的タンパク質とプロテアーゼ切断部位とを含み、かつ酵母の細胞表層にアンカリングした融合タンパク質を調製し、この融合タンパク質をプロテアーゼで処理することにより、目的タンパク質を簡便かつ効率的に製造できることを見出した。また、本発明により、グラム陰性菌に比べて人体への感染等の懸念が少なく安全性のより高い酵母での簡便なタンパク質生産が可能であることを見出した。本発明は上記の知見を基にして完成された。
【0008】
すなわち、本発明は、(a)目的タンパク質、(b)プロテアーゼ切断部位、並びに(c)細胞膜及び/又は細胞壁アンカータンパク質若しくはその一部を含む融合タンパク質を細胞表層にアンカリングした状態で発現させた酵母を該プロテアーゼ切断部位に特異的なプロテアーゼで処理する工程を含む目的タンパク質の製造方法を提供するものである。
【0009】
また、本発明により、目的タンパク質の製造方法であって、下記の工程:
(1)(a)目的タンパク質、(b)プロテアーゼ切断部位、並びに(c)細胞膜及び/又は細胞壁アンカータンパク質若しくはその一部を含む融合タンパク質を酵母の細胞表層にアンカリングした状態で発現させる工程;
(2)上記工程(1)で得られた酵母を培養する工程;及び
(3)工程(2)の培養により得られた酵母を該プロテアーゼ切断部位に特異的なプロテアーゼで処理する工程
を含む方法が提供される。
【0010】
これらの方法の好ましい態様によれば、プロテアーゼがファクターXa,エンテロキナーゼ、及びトロンビンからなる群から選ばれる上記の方法;および細胞膜及び/又は細胞壁アンカータンパク質がa−アグルチニン、α−アグルチニン、及びFLO1からなる群から選ばれる上記の方法が提供される。
【0011】
別の観点からは、本発明により、(a)目的タンパク質、(b)プロテアーゼ切断部位、並びに(c)細胞膜及び/又は細胞壁アンカータンパク質若しくはその一部を含む融合タンパク質を細胞表層にアンカリングした状態で発現させた酵母;目的タンパク質の製造のために用いる上記の酵母;上記の融合タンパク質をコードする遺伝子;上記の融合タンパク質を酵母細胞表層に発現させることができる遺伝子が提供される。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の方法に用いられる酵母は、(a)目的タンパク質、(b)プロテアーゼ切断部位、並びに(c)細胞膜及び/又は細胞壁アンカータンパク質若しくはその一部を含む融合タンパク質を細胞表層にアンカリングした状態で発現していることを特徴としている。上記の融合タンパク質は、一般的には、目的タンパク質をコードする遺伝子配列、プロモーター配列、分泌シグナル配列、並びに細胞膜及び/又は細胞壁アンカータンパク質をコードする配列を含む組換えベクターを酵母に導入して発現させることにより、該酵母の酵母表層にアンカリングした状態で発現させることができる。以下、この構造を有する組換えベクターについて説明するが、本発明の酵母の製造に用いることができる組換えベクターの構造は上記の特定の態様に限定されることはなく、当業者が適宜選択可能であることは言うまでもない。なお、プロテアーゼ切断部位は、目的タンパク質と細胞膜及び/又は細胞壁アンカータンパク質若しくはその一部との間に挿入する必要がある。
【0013】
プロモーターは、酵母での発現に通常利用されるプロモーターであれば特に限定されないが、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)のグリセロアルデヒド3リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)のプロモター(Sawai−Hatanaka, H., T. et al, Biosci. Biotechnol. Biochem., 59, 1221−1228, 1995)、及びガラクトキナーゼ(Galactokinase)のプロモーター(GAL1)(Davis, Mol. Cell Biol., 4, 1440−1448, 1984)、キャンデイダ・トロピカリス(Candida tropicalis)のイソクエン酸リアーゼ(ICL)のプロモーター(UPR−ICL)(Kanai et al, Appl. Microbiol. Biotechnol., 44, 759−765, 1996)などを用いることができる。
【0014】
分泌シグナルとしては、通常の酵母の発現及び分泌に利用されるシグナル領域、例えば、リゾプス・オリザエ(Rhizopus oryzae)由来のグルコアミラーゼ遺伝子の分泌シグナル領域や、酵母のα−ファクターのプレプロ配列(Walker, G. M.,in Yeast Physiology and Biotechnology, p265, John Wiley & Sons Ltd., Chichester, 1998)などを利用できる。これらのプロモーター及び分泌シグナルは、既知の方法、例えば既知配列を基にして作成されたプライマーを用い、前記微生物のゲノムDNAを鋳型にしたPCR法や、Appl. Microbiol. Biotechnol., 51, 65−70 , 1995やAppl. Microbiol. Biotechnol., 57, 697−701, 2001に記載のプラスミドpGA11及びpGPM6を適当な制限酵素反応により切り出す方法などにより得ることができる。
【0015】
細胞膜及び/又は細胞壁アンカータンパク質は、細胞表層に発現する融合タンパク質の機能に悪影響を与えなければいかなる種類のタンパク質であってもよい。細胞膜及び/又は細胞壁アンカータンパク質の一部を用いることもできる。例えば、細胞膜及び/又は細胞壁アンカータンパク質としてa−アグルチニン、α−アグルチニン、FLO1、インベルターゼなどを用いることができ、融合タンパク質の製造のために、これらをコードする遺伝子を含む組換えベクターを調製することができる。
【0016】
例えば、アグルチニン遺伝子またはその断片は酵母から得らことができるが、好ましくはサッカロミセス属に属する酵母(例えばサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae) MT8−1株:Tajima, M., Yeast, 1, 67−77, 1985)に由来するa−アグルチニンのAGA2配列をコードする配列が用いられる。このAGA2は、GPIアンカーを介して細胞壁に固定化されているAGA1に2つのジスルフィド結合で結合することにより細胞表層に固定化される。また、好ましくはサッカロミセス属由来のα−アグルチニンのC末端から320アミノ酸の配列をコードする配列が用いられる。このアミノ酸配列中には4個所の糖鎖結合部位がある。グリコシルフォスファチジルイノシトール(GPI)アンカーがフォスファチジルイノシトール依存性ホスホリパーゼ(PI−PLC)で切断された後に、この糖鎖と細胞壁を構成するペプチドグリカンとが共有結合することにより、α−アグルチニンのC末端配列部分が細胞壁と結合して保持される。上記a−アルグチニンを用いる場合は、AGA1配列の3’末端側に目的タンパク質の配列を融合させることが可能であり、この場合、該タンパク質のN末端がa−アルグチニンに融合する。一方、上記α−アグルチニンを用いる場合には、α−アグルチニンの5’末端側に目的タンパク質配列を融合させることが可能であり、該タンパク質のC末端がα−アルグチニンに融合する。
【0017】
本発明の方法に用いるプロテアーゼの種類は特に限定されないが、選択的な切断を行うために認識配列ができるだけ長く、かつ該認識配列が特異的配列であるプロテアーゼを選択することができる。好ましくは、ファクターXa、エンテロキナーゼ、トロンビンなどのプロテアーゼを用いることができる。例えば、ファクターXaの認識配列としてはIle−Glu−Gly−Argを用いることができ、エンテロキナーゼの認識配列としてはAsp−Asp−Asp−Asp−Lysを用いることができ、トロンビンの認識配列としては(疎水性アミノ酸)−(疎水性アミノ酸)−Pro−Arg/Lysを用いることができる。
【0018】
該融合タンパク質を酵母の細胞表層に発現させるためのDNAはプラスミドの形態又は染色体に組み込まれた形態のいずれの形態で酵母に導入されていてもよい。DNAの取得の簡易化の点からは、大腸菌とのシャトルベクターであることが好ましい。該DNAの出発材料は、例えば、酵母の2μmプラスミドの複製開始点(2μm)とColE1の複製開始点(ori)を有することが好ましく、さらに酵母選択マーカー(例えばTRP、URA3等)及び大腸菌の選択マーカー(薬剤耐性遺伝子等)を有することがさらに好ましい。また、融合タンパク質を効率的に発現させるために、この遺伝子の発現を調節するオペレーター、プロモーター、ターミネーター、及びエンハンサー等のいわゆる調節配列を1種以上含んでいることが望ましい。
【0019】
本発明の方法に用いられる酵母の種類は特に限定されず、いなかる種類の酵母を用いてもよい。例えば、サッカロミセス類、ジゾサッカロミセス属、キャンデイダ属に属する酵母などが挙げられるが、これらのうち、サッカロミセス属に属する酵母を使用することが好ましく、より好ましくはサッカロミセス・セレビシエを用いることができる。特に好ましくはサッカロミセス・セレビシエ・MT8−1株を用いることができる (Tajima, M., Yeast, 1, 67−77, 1985)。
【0020】
発現ベクターによる酵母の形質転換法は特に限定されず、通常用いられる方法に従って行うことができ、例えば、酢酸リチウム法、電気パルス法、又はプロトプラスト法などにより形質転換体を得ることができる。形質転換体の培養方法も公知であり、例えば「M. D. Rose et al,”Method In Yeast Genetics”, Gold SpringHarbar Laboratory Press, 1990」等に記載された方法に従って培養を行うことにより、細胞表層に該融合タンパク質を発現した酵母を含む培養液を得ることができる。培養により得られた酵母は、例えば、遠心分離操作により容易に培地成分から分離することができる。また、凝集性を有する酵母を用いれば、遠心分離操作も必要とせず、自然放置するのみで酵母のみを分離することも可能である。そのような凝集性酵母の例としてはサッカロミセス・セレビシエ・YF207が挙げられる。さらに、このような凝集性酵母はポリウレタンフォーム等の多孔性の菌体保持粒子とともに培養することによって該粒子内に高密度に集積化することも可能であり、工業レベルでの生産に有用である。
【0021】
単離された酵母をプロテアーゼ処理に適するバッファーに懸濁して、プロテアーゼを加えて25−37℃で30分から24時間反応させた後、酵母を遠心分離により除くことにおり、目的タンパク質を含む上清を得ることができる。上清からの目的タンパク質の分離及び精製は常法に従って各種のクロマトグラフィーなどの手段を適宜用いて行うことが可能である。プロテアーゼによる融合タンパク質の処理及び目的タンパク質の分離及び精製については、例えば特表2000−512121号公報に記載された方法を参照することができる。なお、プロテアーゼ処理した酵母を再度培養し、得られた酵母をプロテアーゼ処理することにより目的タンパク質を再度調製することもでき、このような操作を繰り返し行うことも可能である。
【0022】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されることはない。
実施例1:酵母表層に発現させたGFPの回収
A:ファクターXa認識配列を含むプラスミドDNAの作成
配列番号1及び2に示す2つの配列の5’末端リン酸化オリゴDNAをアニーリングさせて、ファクターXaの認識配列Ile−Glu−Gly−Argを含み、かつアミノ酸N末端側が制限酵素Eco52Iで、アミノ酸C末端側が制限酵素BglIIで切断された形態となっている5’末端リン酸化2本鎖オリゴDNAを調製した。プラスミドpICS:GFPuv (Appl. Microbiol. Biotechnol., 54, 90−96, 2000:Green fluolescence protein uv(GFPuv)をα−アグルチニンのC末端320アミノ酸との融合タンパク質として細胞表層に発現させるプラスミドである)のGFPuvをコードする遺伝子の674番目から679番目の配列CTGCTGをCGGCCGに変異させて制限酵素Eco521配列を導入し、このプラスミドのGFPとα−アグルチニンとの融合部位を制限酵素Eco52I及びBglIIで切断したベクターに上記の2本鎖オリゴDNA を挿入し、GFPとα−アグルチニンとの間にファクターXa認識配列を導入したプラスミドDNAを調製した。得られたプラスミドDNA中のファクターXa認識配列はシークエンスにより確認し、このプラスミドをpICS:GFPuv(FatorXa)と命名した。
【0023】
B:pICS:GFPuv(FatorXa)を含む酵母の調製
前記Aにより得られたプラスミドDNA、pICS:GFPuv(FatorXa)を酢酸リチウム法により酵母MT8−1に形質転換し、酵母MT8−1/pICS:GFPuv(FatorXa)を調製した。得られた酵母ゲノム中にpICS:GFPuv(FatorXa)由来の配列が組み込まれていることを配列番号3及び4に記載された2つのプライマーを用いる直接PCR法により確認した。得られた酵母MT8−1/pICS:GFPuv(FatorXa)を0.67% Yeast nitrogen base w/o amino acids、2% グルコース、2% カザミノ酸を含むSD培地で18時間培養した後、得られた酵母を遠心分離 (3000rpm、5分間)により分離し、さらにリン酸バッファー(pH 7.4)で2回洗浄した。
【0024】
C:酵母表層からGFPの回収
前記Bにより得られた酵母MT8−1/pICS:GFPuv(FatorXa)を600nmでの濁度が16になる様に1 mM CaCl, 100 mM NaCl, 50 mM Tris/HCl(pH 8.0) 100μlに懸濁させた。この懸濁液にファクターXa(1μg/μl) 4μlを加え、25℃で24時間反応させた。反応前後の酵母をリン酸バッファー(pH 7.4)で2回洗浄し、1% BSAリン酸バッファー(pH 7.4)300μl中、室温で30分間ブロッキングした。さらにGFPuvに対するポリクローナル抗体1.5μl(クロンテック)を加えて室温で1時間反応させた後、リン酸バッファー(pH 7.4)で洗浄した。これにアルカリフォスファターゼ標識抗ウサギIgGマウスモノクロナール抗体1.5μl(シグマ)を含むリン酸バッファー(pH 7.4)中、室温で1時間反応させた後、リン酸バッファーで洗浄した。得られた酵母に対し、アルカリフォスファターゼの基質であるBM Chemiluminescence ELISA substrate (AP) (Roche)を加え、化学発光強度をAscent(大日本製薬製)により測定した。
【0025】
同様の実験を、実施例のAにおいて示した文献に記載のGFPuvとファクターXa認識配列を含まないプラスミドpICAS1を含む酵母MT8−1/ pICAS1についても行った。また、両酵母に対して、比較のためにファクターXaを添加しない条件で同様の実験を行った。結果を表1に示す。酵母MT8−1/pICS:GFPuv(FatorXa)では、ファクターXa処理により酵母表層からGFPuvが切断されていることが確認された。さらに、得られた上清を凍結乾燥した後、10% SDS−PAGEを用いたウエスタンブロッテイングを行うことにより、約27kDaにGFPuvのバンドが検出されることを確認した〔図1:図中、レーン1及び2はMT8−1/pICAS1(レーン1:6時間、レーン2:24時間)、レーン3及び4はMT8−1/pICS:FVPuv(FactorXa)(レーン3:6時間、レーン4:24時間)、及びレーン5はrGFPuv標品(クロンテック)の結果を示す〕。
【0026】
【表1】
Figure 2004089127
【0027】
【発明の効果】
本発明の方法によればプロテアーゼ処理により目的タンパク質を高濃度かつ簡便に製造することができる。また、本発明の方法では、翻訳後に修飾を受ける糖タンパク質やリン酸化タンパク質等の真核生物由来のタンパク質の製造を安全に行うこともでき、さらに、例えば凝集性酵母を用いることによって酵母の分離が非常に容易になり、高い生産性を必要とする工業レベルでのタンパク質製造が可能になる。
【配列表】
Figure 2004089127
Figure 2004089127

【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1CにおいてファクターXaで処理した上清を凍結乾燥した後、10% SDS−PAGEを用いたウエスタンブロッテイングを行った結果を示した図である。

Claims (6)

  1. (a)目的タンパク質、(b)プロテアーゼ切断部位、並びに(c)細胞膜及び/又は細胞壁アンカータンパク質若しくはその一部を含む融合タンパク質を細胞表層にアンカリングした状態で発現させた酵母を該プロテアーゼ切断部位に特異的なプロテアーゼで処理する工程を含む目的タンパク質の製造方法。
  2. 目的タンパク質の製造方法であって、下記の工程:
    (1)(a)目的タンパク質、(b)プロテアーゼ切断部位、並びに(c)細胞膜及び/又は細胞壁アンカータンパク質若しくはその一部を含むから構成される融合タンパク質を酵母の細胞表層にアンカリングした状態で発現させる工程;
    (2)上記工程(1)で得られた酵母を培養する工程;及び
    (3)工程(2)の培養により得られた酵母を該プロテアーゼ切断部位に特異的なプロテアーゼで処理する工程
    を含む方法。
  3. プロテアーゼがファクターXa,エンテロキナーゼ、及びトロンビンからなる群から選ばれる請求項1又は2に記載の方法。
  4. 細胞膜及び/又は細胞壁アンカータンパク質がa−アグルチニン、α−アグルチニン、及びFLO1からなる群から選ばれる請求項1ないし3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 目的タンパク質の製造に用いるための酵母であって、(a)該目的タンパク質、(b)プロテアーゼ切断部位、並びに(c)細胞膜及び/又は細胞壁アンカータンパク質若しくはその一部を含む融合タンパク質を細胞表層にアンカリングした状態で発現させた酵母。
  6. 請求項5に記載の融合タンパク質を酵母細胞表層に発現させることができる遺伝子。
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