JP2004088929A - 電圧不平衡低減装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】電圧不平衡状態において、電圧不平衡電圧を打ち消すような不平衡電圧を出力することで電力系統の電圧不平衡状態を低減することにある。
【解決手段】3相系統の3相各相間に接続された3台の調整用変圧器2a〜2cと、これら各調整用変圧器にそれぞれ接続され該調整用変圧器の2次巻線に有するタップを切換えるタップ切換器2a〜2cと、3相系統の各相線路にそれぞれ直列に設けられた3台の直列変圧器3a〜3cとを備え、これら各直列変圧器の2次巻線を該直列変圧器が設けられる相以外の相間に設けられた調整用変圧器側のタップ切換器に接続する構成とし、且つ3相系統入力側の3相各相の電圧を検出して3相ベクトルを生成し、この3相ベクトルを基準ベクトルと比較してその電圧差を求めると共に、その電圧差に応じた各相のタップ切換器のタップ値を求めて前記タップ切換器にタップ切換指令を与えるタップ切換制御器4を備える。
【選択図】 図1
【解決手段】3相系統の3相各相間に接続された3台の調整用変圧器2a〜2cと、これら各調整用変圧器にそれぞれ接続され該調整用変圧器の2次巻線に有するタップを切換えるタップ切換器2a〜2cと、3相系統の各相線路にそれぞれ直列に設けられた3台の直列変圧器3a〜3cとを備え、これら各直列変圧器の2次巻線を該直列変圧器が設けられる相以外の相間に設けられた調整用変圧器側のタップ切換器に接続する構成とし、且つ3相系統入力側の3相各相の電圧を検出して3相ベクトルを生成し、この3相ベクトルを基準ベクトルと比較してその電圧差を求めると共に、その電圧差に応じた各相のタップ切換器のタップ値を求めて前記タップ切換器にタップ切換指令を与えるタップ切換制御器4を備える。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電力系統の線路に設けられ、3相不平衡電圧を低減し、負荷に対して平衡状態に近い3相電圧を与えることが可能な電圧不平衡低減装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電力系統から負荷に3相電圧を与える場合、負荷の状態によって3相電圧が不平衡になることがあるため、電力系統と負荷とを結ぶ電路に系統電圧を制御する電圧調整装置が設けられている。
【0003】
従来、この電圧調整装置としては、タップ切換手段、例えば機械的位置によりタップ切換を行うステップ式自動電圧調整装置SVRやサイリスタ式自動電圧調整装置TVRなどがある。
【0004】
ここではサイリスタ式自動電圧調整装置TVRを例に従来技術を説明する。
【0005】
図14は従来のサイリスタ式自動電圧調整装置TVRの一例を示す構成図である。
【0006】
図14において、U1,V1,W1は3相の電力系統の各相に接続される入力端子で、これら各相の入力端子U1,V1,W1に直列変圧器502A,502B,502Cの1次側巻線を介して出力端子U2,V2,W2にそれぞれ接続されている。この出力端子U2,V2,W2には、3相負荷が接続される。
【0007】
これら直列変圧器502Aの1次巻線及び出力端子U2を結ぶ電路と直列変圧器502Bの1次巻線及び出力端子V2を結ぶ電路との間には、タップ付調整用変圧器504Aの1次巻線が、直列変圧器502Bの1次巻線及び出力端子V2を結ぶ電路と直列変圧器502Cの1次巻線及び出力端子W2を結ぶ電路との間には、タップ付調整用変圧器504Bの1次巻線がそれぞれ接続され、その各2次巻線に有する複数のタップ端子はサイリスタスイッチ回路503A,503Bの入力端にそれぞれ接続されている。
【0008】
また、サイリスタスイッチ回路503A,503Bの出力端は、直列変圧器502A,502B,502Cの2次巻線を介して共通に接続されている。この場合、サイリスタスイッチ回路503Aと503BのV相側の出力端が共通に接続されると共に接地されている。
【0009】
さらに、出力端子U2,V2間には、電圧検出器509Aが接続されている。
【0010】
一方、図15はサイリスタスイッチ回路503A,503Bの制御装置534の構成例を示す回路図で、この制御装置534は電圧検出器509Aで検出された端子電圧Vtと電圧設定値Vrefとの差を求める減算器531、不感帯回路532、タップ切換回路533及びドライブ回路518から構成されている。
【0011】
このような構成のサイリスタ式自動電圧調整装置TVRにおいて、電力系統の特定の相間電圧Vtと相間電圧設定値Vrefとの差分を減算器531により求め、その差分が不感帯回路532の不感帯の範囲を超えると、タップ切換回路533では相間電圧Vtが相間電圧設定値Vrefより小さいとき相間電圧を上げるように、また相間電圧Vtが相間電圧設定値Vrefより大きいとき相間電圧を下げるようなタップ値を出力するサイリスタスイッチ503A,503Bのスイッチパターンが生成される。
【0012】
このスイッチパターンに応じてドライブ回路518はサイリスタスイッチ503A,503Bをオン、オフ制御する。これにより直列変圧器502A,502B,502Cの2次側電圧が制御されることで1次側の誘起電圧が変化し、電圧設定値Vrefに近い電力系統の線間電圧が調整される。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
このようなサイリスタ式自動電圧調整装置においては、特定の相間に多くの負荷が偏在した場合や大きな負荷が接続された場合には、3相電圧の振幅が等しく、それぞれの位相差が120度である平衡状態が崩れ、不平衡電圧が発生することがある。
【0014】
しかしながら、不平衡電圧が発生した場合でも、従来の電圧調整装置は、電圧検出器により検出された特定の相間電圧を電圧指令値に近付けようとタップ制御が行なわれる。その結果、電圧調整器により検出された相間電圧が不平衡電圧で電圧指令値より低い場合、3相それぞれのタップ値は同一値に制御され、電圧調整器により検出された相間電圧は電圧指令値に近くなるが、その他の相間電圧は電圧指令値以上に高くなる。
【0015】
また、逆に電圧調整装置が検出した相間電圧が不平衡電圧で電圧指令値より高い場合、電圧検出器で検出した相間電圧が電圧指令値に近くなるように電圧を下げる3相同一値のタップが選択され、電圧検出器で検出した相間電圧は電圧指令値に近くなるが、その他の相間電圧は指令値以下に低くなる。
【0016】
このように従来の電圧調整装置は、平衡電圧状態時の電圧調整は可能であるが、電圧不平衡を低減化する電圧調整は困難であった。一方、パワーエレクトロクスニクス技術を用いて無効電力を補償する静止型無効電力補償SVCによる電圧不平衡低減化が可能であるが、装置構成が複雑でコスト高となる欠点があった。
【0017】
本発明は上記のような事情に鑑みてなされたもので、電圧不平衡状態において、電圧不平衡電圧を打ち消すような不平衡電圧を出力することで電力系統の電圧不平衡状態を低減可能で、装置構成が簡易な電圧不平衡低減装置を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記の目的を達成するため、次のような手段により電圧不平衡低減装置を構成する。
【0019】
請求項1に対応する発明は、3相系統の3相各相間に接続され2次巻線に複数のタップを有する3台の調整用変圧器と、これら各調整用変圧器にそれぞれ接続され該調整用変圧器の2次巻線に有するタップを切換えるタップ切換器と、前記3相系統の各相線路にそれぞれ直列に設けられた3台の直列変圧器とを備え、これら各直列変圧器の2次巻線を該直列変圧器が設けられる相以外の相間に設けられた前記調整用変圧器側のタップ切換器に接続する構成とし、且つ3相系統入力側の3相各相の電圧を検出して3相ベクトルを生成し、この3相ベクトルを基準ベクトルと比較してその電圧差を求めると共に、その電圧差に応じた各相のタップ切換器のタップ値を求めて前記タップ切換器にタップ切換指令を与えるタップ切換制御器を備える。
【0020】
請求項2に対応する発明は、3相系統の3相各相間に接続され2次巻線に複数のタップを有する3台の調整用変圧器と、これら各調整用変圧器にそれぞれ接続され該調整用変圧器の2次巻線に有するタップを切換えるタップ切換器と、前記3相系統の各相線路にそれぞれ直列に設けられた3台の直列変圧器とを備え、1つの直列変圧器の2次巻線を該直列変圧器が設けられる相以外の相間に設けられた前記調整用変圧器に接続された1つのタップ切換器に接続し、残り2つの直列変圧器の2次巻線を該直列変圧器が設置される相が含まれる相間で且つ前記1つのタップ切換器以外のタップ切換器に接続する構成とし、且つ3相系統の3つの相間電圧を検出する相間電圧検出部、この相間電圧検出部により検出された3つの相間電圧値から正相量と逆相量を算出する正逆相変換部、前記逆相量を異符号に変換する符号変換部、前記正逆相変換器が出力する正相量を基準とした符号変換器が出力する逆相量の位相からタップ切換器のタップ値を算出してタップ切換指令を出力するタップ切換指令部からなるタップ切換制御器を備える。
【0021】
請求項3に対応する発明は、3相系統の2相の線間に接続されそれぞれ複数のタップを有する2つの2次巻線を持つ第1の調整用変圧器と、この第1の調整用変圧器の1次巻線に有する中間タップから残りの1相に接続され2次巻線に複数のタップを有する第2の調整用変圧器と、前記第1の調整用変圧器の2つの2次巻線に有するタップを個別に切換える2つの第1のタップ切換器と、前記第2の調整用変圧器の2次巻線に有するタップを切換える第2のタップ切換器と、前記2相の線路各々に直列に設けられ各々の2次巻線がそれぞれ対応する前記第1のタップ切換器に接続される2つの第1の直列変圧器と、前記残りの1相に直列に設けられ2次巻線が前記第2のタップ切換器に接続される第2の直列変圧器とを設ける構成とし、且つ3相系統の相電圧を検出する相電圧検出部、この相電圧検出部により検出された3相の電圧値を3相2相変換する3相2相変換部、この3相2相変換部が出力する2相の交流波形の振幅及び位相差から前記第1及び第2のタップ切換器のタップ値を算出してタップ切換指令を出力するタップ切換指令部からなるタップ切換制御器を備える。
【0022】
請求項4に対応する発明は、3相系統の2相の線間に接続され2次巻線に複数のタップを有する第1の調整用変圧器と、この第1の調整用変圧器の1次巻線に有する中間タップから残りの1相に接続され2次巻線に複数のタップを有する第2の調整用変圧器と、前記第1の調整用変圧器の2次巻線に有するタップを切換える第1のタップ切換器と、前記第2の調整用変圧器の2次巻線に有するタップを切換える第2のタップ切換器と、前記残りの1相の線路に直列に設けられ2次巻線が前記第1のタップ切換器に接続された第1の直列変圧器と、前記残りの1相の線路に直列に設けられ2次巻線が前記第2のタップ切換器に接続された第2の直列変圧器とから構成され、且つ3相系統入力側の3相各相の電圧を検出して3相ベクトルを生成し、この3相ベクトルを基準ベクトルと比較してその電圧差を求めると共に、その電圧差に応じて前記第1の直列変圧器の入力電圧の位相を変化させる前記第1のタップ切換器のタップ値及び前記第2の直列変圧器の入力電圧の大きさを変化させる前記第2のタップ切換器のタップ値をそれぞれ求めて前記第1及び第2のタップ切換器にタップ切換指令を与えるタップ切換制御器を備える。
【0023】
請求項5に対応する発明は、3相系統の2相の線間に接続され2次巻線に複数のタップを有する第1の調整用変圧器と、この第1の調整用変圧器の1次巻線に有する中間タップから残りの1相に接続され2次巻線に複数のタップを有する第2の調整用変圧器と、前記第1の調整用変圧器の2次巻線に有するタップを切換える第1のタップ切換器と、前記第2の調整用変圧器の2次巻線に有するタップを切換える第2のタップ切換器と、前記2相の線路にそれぞれ直列に設けられ各々の2次巻線が前記第1のタップ切換器に接続された2つの第1の直列変圧器と、前記残りの1相の線路に直列に設けられ2次巻線が前記第2のタップ切換器に接続された第2の直列変圧器とから構成され、
且つ3相系統入力側の3相各相の電圧を検出して3相ベクトルを生成し、この3相ベクトルを基準ベクトルと比較してその電圧差を求めると共に、その電圧差に応じて前記第1の調整用変圧器により入力した線間電圧を変化させる第1のタップ切換器のタップ値及び前記第2の調整用変圧器により入力した電圧の大きさを変化させる第2のタップ切換器のタップ値を求めて前記第1及び第2のタップ切換器にタップ切換指令を与えるタップ切換制御器を備える。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0025】
図1は本発明による電圧不平衡低減装置の第1の実施形態を示す回路構成図である。
【0026】
図1において、U1,V1,W1は電力系統の3相各相に対応する線路に接続される電圧不平衡低減装置の入力端子、U2,V2,W2は負荷の3相各相に対応する線路に接続される電圧不平衡低減装置の出力端子である。
【0027】
1a,1b,1cは、U相、V相、W相の各相間UV、VW、WU間に1次側巻線が接続され、相間電圧を取出す調整用変圧器である。2a,2b,2cは、この調整用変圧器1a,1b,1cの2次巻線12a,12b,12cにそれぞれ接続され、該2次巻線より導出されたタップをそれぞれ切換えるタップ切換器である。
【0028】
この場合、タップ切換器2a,2b,2cは、図示の容易さから機械式のタップ切換をイメージした図として示しているが、タップ切換をサイリスタスイッチで行っても作用、効果に変りはない。
【0029】
このタップ切換器2a,2b,2cは、タップ切換制御器4からの指示によりタップ切換を行い、調整用変圧器1a,1b,1cで取出した電圧の大きさ、極性をタップ値に合わせて変化させた出力を取出す。したがって、タップ点数が多いほど小さな変化分の電圧出力が可能となるが、ここではタップ数については正、0、負の3つ以上のタップがあればよい。
【0030】
また、3a,3b,3cは、入出力端子間の3相各相に対応する線路に1次側巻線が直列に接続される直列変圧器であり、相電圧に2次巻線32a,32b,32cから印加される電圧が重畳される。
【0031】
上記では直列変圧器3a,3b,3cから見て電圧不平衡低減装置の出力端子U2,V2,W2側に調整用変圧器1a,1b,1cを設けたが、直列変圧器3a,3b,3cから見て電圧不平衡低減装置の入力端子U1,V1,W1側に調整用変圧器1a,1b,1cを設けてもよい。
【0032】
3つの直列変圧器3a,3b,3cの2次巻線32a,32b,32cと、3つのタップ切換器2a,2b,2cは1対1の関係で接続されるが、3つの直列変圧器3a,3b,3cの2次巻線32a,32b,32cは、それぞれの直列変圧器3a,3b,3cが接続される相以外の相間に設けられた調整用変圧器1b,1c,1aの2次側巻線12b,12c,12aのタップを切換えるタップ切換器2b,2c,2aに接続される。
【0033】
例えば、U相に設けられた直列変圧器3aの2次巻線32aは、U相が含まれないVW相間に設けられた調整用変圧器1bの2次巻線12bにつながるタップ切換器2bと接続される。同様にV相の直列変圧器3bはWU相間のタップ切換器2cと、W相の直列変圧器3cはUV相間のタップ切換器2aと接続されている。
【0034】
図2は、上記タップ切換制御器4の構成例を示す機能ブロックである。
【0035】
このタップ制御器4は、図2に示すように電圧不平衡低減装置の入力端子U1,V1,W1に印加される3相各相の電圧を検出する電圧検出部41、この電圧検出部41により検出された3相各相の電圧からベクトルを生成する3相ベクトル生成部42、この3相ベクトル生成部42で生成された3相ベクトルと基準ベクトルとを比較するベクトル比較部43、ベクトル比較部43で求められた3相各相に対する基準ベクトルと電圧ベクトルとの電圧差ΔVをそれぞれ算出する第1の演算部44、この第1の演算部44により算出された電圧差ΔVに応じたタップ値を計算する第2の演算部45およびこの第2の演算部45で求められたタップ値に基づいて該当するタップ切換器2a,2b,2cにタップ切換指令を出力するタップ切換指令部46から構成されている。
【0036】
次に上記のように構成された電圧不平衡低減装置の作用を図3に示す電圧ベクトル図を参照しながら説明する。
【0037】
いま、タップ切換制御器4により3相系統入力側の3相各相の電圧を検出して3相ベクトルを生成し、この3相ベクトルを基準ベクトルと比較してその電圧差を求めると共に、その電圧差に応じた各相のタップ切換器のタップ値を求めてタップ切換器2a,2b,2cにタップ切換指令が与えられるものとする。
【0038】
UV相に設けられた調整用変圧器1aによってUV相のU2,V2端子間の相間電圧EU2V2を取出し、その電圧は2次巻線12aに出力される。
【0039】
この相間電圧EU2V2は、タップ切換制御器4から出力されるタップ切換指令によりタップ切換器1aがタップ切換制御器4で求められたタップ値にしたがって切換られると、このタップ切換器2aより相間電圧EU2V2の極性とその大きさを変化させたΔW電圧として取出され、W相の直列変圧器3cの2次巻線32cに与えられる。
【0040】
W相の直列変圧器3cでは、W相の入力端子W1の相電圧EW1にΔW電圧をベクトル加算し、出力端子W2の相電圧EW2はEW1+ΔWになる。この場合、ΔW電圧は、図3に示すように相間電圧EU2V2と比例したものである。
【0041】
同様にVW相に設けられた調整用変圧器1bによって取出された相間電圧EV2W2は、タップ切換器2bよりU相の直列変圧器3aの2次巻線32aにEV2W2電圧に比例したΔU電圧として与えられ、U相の直列変圧器3aではU相の入力端子U1の相電圧EU1にΔU電圧を加算し、出力端子U2の相電圧EU2はEU2=EU1+ΔUになる。また、WU相に設けられた調整用変圧器1cによって取出された相間電圧EW2U2は、タップ切換器2cよりV相の直列変圧器3bの2次巻線32bに相間電圧EW2U2に比例したΔV電圧として与えられ、V相の直列変圧器3bではV相の入力端子V1の相電圧EV1にΔV電圧を加算し、出力端子V2の相電圧EV2はEV2=EV1+ΔVとなる。
【0042】
タップ切換器2a,2b,2cは、各相間に3つ設置されているので、それぞれのタップ値は個別に動かすことが可能であり、ΔUとΔVとΔWの大きさは等しくなくても良い。
【0043】
この動作により電圧不平衡低減装置の出力端子であるU2,V2,W2の相間電圧は、図3に示すように入力電圧EU1,EV1,EW1の相電圧から各相毎にその大きさと位相を変化させたものが出力される。
【0044】
図3に示す電圧不平衡低減装置の入力端子の相電圧EU1,EV1,EW1は大きさが不一致であり、また位相差も120度ではない電圧不平衡状態であるが、各相電圧にΔU,ΔV,ΔW電圧を加算した出力であるEU2,EV2,EW2の電圧は大きさがほぼ等価であり、位相差も120度に近く各相電圧の不平衡状態は低減されて平衡状態に近くなっている。
【0045】
なお、ΔU,ΔV,ΔW電圧は調整用変圧器の2次巻線のタップが多いほど、タップ切換器が出力する1タップ当りの電圧変化は小さな量となり、決めこまやかな調整が可能であることは明白である。
【0046】
このように本実施形態の電圧不平衡低減装置によれば、3相各相に対応する入力電圧に対し、タップ切換器2a,2b,2cのタップ値の設定により、各相個別に電圧の大きさ、位相を変化させることが可能となるので、電力系統の線路において、3相各相の電圧の大きさが不平等になったり、各相間の位相差120度が崩れたり、あるいは3相各相の電圧の大きさが不平等で各相間の位相差120度が崩れて電圧不平衡状態になった場合でも、その電圧不平衡を打ち消す各相電圧を直列変圧器を通して印加でき、電圧不平衡を低減することが可能となる。
【0047】
図4は、本発明による電圧不平衡低減装置の第2実施形態を示す回路構成図である。
【0048】
図4において、U1,V1,W1は電力系統の3相各相に対応する線路に接続される電圧不平衡低減装置の入力端子、U2,V2,W2は負荷の3相各相に対応する線路に接続される電圧不平衡低減装置の出力端子である。
【0049】
第2の実施形態では、電圧不平衡低減装置を構成する調整用変圧器1a,1b,1c、タップ切換器2a,2b,2c、直列変圧器3a,3b,3cは第1の実施形態と同一なので、その説明を省略し、ここでは異なる点について述べる。
【0050】
第2の実施形態において、タップ切換器2a,2b,2cと直列変圧器3a,3b,3cの2次巻線32a,32b,32cとの接続を次のような構成とするものである。
【0051】
図4に示すように3相のうち、1相分の直列変圧器3bの2次巻線32bはこの直列変圧器が設けられる相以外の相間に設けられた調整用変圧器1cと接続された1つのタップ切換器2cに接続され、残り2つの直列変圧器3a,3cの2次巻線32a,32cは、該直列変圧器が設けられる相が含まれる相間で且つ前記1つのタップ切換器2c以外のタップ切換器2a,2bに接続される。
【0052】
図4の構成では、V相に接続された直列変圧器3bは、3相の各相間であるUVとVWとWUから唯一V相を含まない相間WUに設けられた調整用変圧器1cの2次巻線12cに接続されるタップ切換器2cに接続されている。
【0053】
残り2つの直列変圧器3a,3cに該当するU相の直列変圧器3aの2次巻線32aは、U相が含まれる相間UV,WUのうちV相の直列変圧器3bと接続していないUV相間の調整用変圧器1aの2次巻線12aとつながれたタップ切換器2aと接続され、W相の直列変圧器3cの2次巻線32cは、W相が含まれる相間VW,WUのうちV相及びU相の直列変圧器3aと接続されていないVW相間の調整用変圧器1bの2次巻線12bとつながれたタップ切換器2bと接続されている。
【0054】
一方、5はタップ切換器2a,2b,2cにタップ切換指令を与えるタップ切換制御器である。
【0055】
このタップ切換制御器5は、図5に示すように相間電圧検出部51、正逆相変換部52、符号変換部53及びタップ切換指令部54から構成されている。
【0056】
上記相間電圧検出部51は、電圧不平衡低減装置の入力端子U1,V1,W1に接続され電力系統の3相各相間の電圧を検出するものである。正逆相変換部52は、相間電圧検出部51より入力される3つの相間電圧から正相量と逆相量を算出するものである。符号変換部53は、正逆相変換部52で求められた逆相量が入力され、その符号を反転するものである。タップ切換指令部54は、正逆相変換部52より入力される正相量と符号変換部53より入力される符号反転された逆相量に基づいてタップ値を決定し、タップ切換器2a,2b,2cにタップ切換指令を出力するものである。
【0057】
次に本実施形態の作用を図6に示す電圧ベクトル図を参照しながら説明する。
【0058】
いま、タップ切換制御器5において、3つの相間電圧値から正相量と逆相量を算出し、正相量を基準として符号変換された逆相量の位相からタップ切換器のタップ値を算出して、各タップ切換器2a,2b,2cにタップ切換指令が与えられるものとする。なお、このタップ切換制御器5の詳細な作用については後述する。
【0059】
UV相間に設けた調整用変圧器1aで入力した電圧EU2V2は、調整用変圧器1aの2次巻線12aを通してタップ切換器2aで選択されたタップ値に応じた大きさと極性に変換されてΔU電圧となる。このΔU電圧はタップ切換器2aと接続されたU相の直列変圧器3aを通してU相の相電圧EU1とベクトル加算され、U相の電圧不平衡低減装置の出力電圧はEU2=EU1+ΔUとなる。
【0060】
同様にVW相の電圧EV2W2は調整用変圧器1bで検出され、タップ切換器2bでそのタップ値に応じた大きさと極性に変換されてΔW電圧となり、W相の直列変圧器3cの2次巻線32cに出力される。W相の直列変圧器3cでは、W相の相電圧EW1にΔW電圧がベクトル加算され、電圧不平衡低減装置のW相出力電圧EW2はEW2=EW1+ΔWとなる。
【0061】
さらに、WU相の電圧EW2U2は調整用変圧器1cで検出され、調整用変圧器1cに接続されるタップ切換器2cでそのタップ値に応じた大きさと極性に変換されてΔV電圧となる。このΔV電圧は、直列変圧器3bの2次巻線32bによりV相の相電圧EW1にベクトル加算され、調整用変圧器1bのV相出力端子の相電圧EV2はEV1+ΔVとなる。
【0062】
図6は電圧不平衡低減装置の入力端子と出力端子の相電圧EU1とEV1とEW1及びEU2とEV2とEW2のベクトル関係を表すものである。
【0063】
図4を用いて説明した作用と図6から相電圧ΔUが相間電圧EU2V2に比例し、相電圧ΔVが相間電圧EU2V2に比例し、また相電圧ΔWが相間電圧EU2V2に比例していることが確認できる。
【0064】
図6により本実施形態の具体的に説明する。
【0065】
図6に示すように、電圧不平衡低減装置の入力端子側の相電圧EU1,EV1,EW1は各大きさが不一致であったり、位相関係が120度でなかったり、あるいは大きさが不一致で且つ位相関係が120度でない電圧不平衡状態にある。
【0066】
このとき、3相の各相間電圧の位相順はUV相から120度遅れてVW相、VW相から120度遅れてWU相である。
【0067】
3相不平衡電圧は、零相電圧と正相電圧と逆相電圧で構成され、3相平衡電圧は正相電圧のみから構成される。
【0068】
一般に電力系統の不平衡電圧のうち問題となるのは逆相電圧である。3相不平衡電圧の場合には、UV相の正相電圧を基準とすると、UV相の逆相電圧は同位相、VW相の逆相電圧は240度遅れ、WU相の逆相電圧は120度遅れである。
【0069】
よって、3相の各相間電圧から逆相分電圧を低減するには、UV相から同位相の成分、VW相からWU相と同位相成分、WU相からVW相と同位相成分を打ち消す電圧を注入すると良い。
【0070】
図6に示した第2の実施形態によるベクトル図では、U相からUV相と同位相のΔU電圧、V相からWU相と同電位のΔV電圧、W相からVW相と同位相のΔW電圧をベクトル加算しているので、電力系統の電圧不平衡の要因である逆相電圧を打ち消す電圧を電圧不平衡低減装置でベクトル加算していることになるので、逆相電圧を低減することにより電圧不平衡を低減することが可能となる。
【0071】
ここで、図5に示すタップ切換制御器5の作用を詳細に図4及び図6を用いて説明する。
【0072】
電圧不平衡低減装置の入力端子U1,V1,W1の3相から入力される相間電圧を相間電圧検出部51により検出する。相間電圧検出の検出方法としては、公知の方法で良い。
【0073】
次に相間電圧検出部51で検出した3相の相間電圧EU1V1,EV1W1,EW1U1は、正逆相変換部52で相間電圧EU1V1,EV1W1,EW1U1値から正相量と逆相量を算出して出力する。ここで正相量E1と逆相量E2は次式により算出される。
【0074】
E1=(EU1V1+a×EV1W1+a×a×EW1U1)
E2=(EU1V1+a×a×EV1W1+a×EW1U1)
但し、a=exp(j2×π/3)
上式で算出した正相量E1は正逆相変換部52からタップ切換指令部54に加えられ、また逆相量E2は正逆相変換部52から符号変換部53に加えられる。符号変換部53では入力された逆相量E2の符号を反転してE22=−E2とし、この符号を反転した電圧E22をタップ切換指令器54に入力する。
【0075】
このタップ切換指令器54では、正逆相変換部52が出力する正相量E1と、符号変換部53の出力電圧E22を入力して正相量E1を位相基準とし、E1の位相が各相で0度又は120度若しくは240度と固定した位相となった時のE22電圧の大きさの電圧を、その位相と固定した該当相で出力可能なタップ値を決定する。
【0076】
このタップ切換指令部54で決定した各相のタップ値を各タップ切換器2a,2b,2cに切換指令として与えることにより、入力した正相量E1を位相基準として、各相で固定した位相に応じたE22電圧に近い大きさを持つ電圧が出力される。
【0077】
上式のE1の式から正相電圧E1の位相基準はEU1V1であるので、正相電圧E1の位相が0度時のE22電圧の大きさをUV相で発生できるタップ値を、正相電圧E1の位相が120度時のE22電圧の大きさをVW相で発生できるタップ値を、正相電圧E1の位相が240度時のE22電圧の大きさをWU相で発生できるタップ値をそれぞれ算出して、UV相に関するタップ値はタップ切換器2aへ、VW相に関するタップ値はタップ切換器2bへ、WU相に関するタップ値はタップ切換器2cへそれぞれ出力する。
【0078】
このようにすれば、それぞれのタップ値に応じてΔU,ΔW,ΔV電圧が出力され、前述したように図6の電圧ベクトル図に示すように電圧不平衡低減装置の出力端子の相電圧は、EU2,EV2,EW2となる。
【0079】
したがって、ΔU電圧は正相電圧E1の位相が0度時のE22電圧に近い大きさ、ΔW電圧は正相電圧E1の位相が120度時のE22電圧に近い大きさ、ΔV電圧は正相電圧E1の位相が240度時のE22電圧に近い大きさである。ここで、近いという表現は、タップ値が離散点であるため全く同一の大きさの電圧を出せない場合があるため、このような表現とした。
【0080】
このように本実施形態によれば、逆相低減タップ切換制御器5の相間電圧検出部51で検出した相間電圧をもとに正相逆相変換部52により正相電圧と逆相電圧を算出し、タップ切換指令部54により正相電圧を基準とした位相で逆相電圧を打消すに必要な各相に注入すべき電圧が発生可能なタップ切換器2a,2b,2cのタップ値を算出して各相のタップ切換器にタップ切換指令を送出するようにしたので、電力系統の不平衡電圧により発生する逆相電圧に対して逆極性で大きさの近い電圧をタップ切換器2a,2b,2cよりそのタップ値に応じて発生させることが可能となり、電力系統に発生する逆相分を打ち消して微小化することで不平衡電圧を低減することができる。
【0081】
図7は本発明による電圧不平衡低減装置の第3の実施形態を示す回路構成図で、図1と同一構成部品には同一符号を付してその説明を省略し、ここでは異なる点について述べる。
【0082】
第3の実施形態では、2つの2次巻線を持つ調整用変圧器10を3相のうちある1つの相間、図7ではUV相間の出力端子U2,V2間に設ける。この調整用変圧器10は、その1次巻線101の中間からタップを引出し、このタップはW相に設けられる他の調整用変圧器1の1次巻線11と結線が可能である。
【0083】
また、調整用変圧器10の2次巻線102a,102bは、同一の2次電圧が出力できるように構成されている。そして、調整用変圧器10の1次巻線101の中間タップから引出した線は、3相のうち調整用変圧器10とつながらない相、図7では残りのW相の出力端子W2に調整用変圧器1の1次巻線11を介して接続される。
【0084】
さらに、調整用変圧器10の2次巻線102a,102bには、それぞれ2次巻線のタップを切換えるタップ切換器2a,2bが接続され、これらのタップ切換器2a,2bは調整用変圧器10の1次巻線101が接続される相に設けられた直列変圧器3a,3bの2次巻線32a,32bにそれぞれ接続される。
【0085】
図7では調整用変圧器10がU,V相に設けられているので、2次巻線102a,102bに接続されるタップ切換器2a,2bはそれぞれU相の直列変圧器3aとV相の直列変圧器3bに接続される。
【0086】
また、調整用変圧器1の2次巻線12に対しては、該2次巻線12のタップを切換えるタップ切換器2cが接続され、このタップ切換器2cの出力端子は残りの相のW相に設けられた直列変圧器3cの2次巻線32cと接続されている。
【0087】
なお、図7ではUV相に調整用変圧器10を、もう1つの調整用変圧器1を残りのW相に設けたが、VW相に調整用変圧器10を設け、U相に調整用変圧器1を設けたり、WU相に調整用変圧器10を設けてV相に調整用変圧器1を設けるようにしてもよい。
【0088】
さらに、直列変圧器3a,3b,3cから見て、出力端子U2,V2,W2側に調整用変圧器10,1を設けたが、直列変圧器3a,3b,3cから見て、入力端子U1,V1,W1側に調整用変圧器10,1を設けるようにしても良い。
【0089】
一方、6は上記タップ切換器2a,2b,2cにタップ切換指令を与えてそのタップ値を設定するタップ切換制御器である。
【0090】
このタップ切換制御器6は、図8に示すように電圧不平衡低減装置の入力端子U1,V1,W1に入力される3相交流の各相電圧を検出する相電圧検出器61、この相電圧検出器61により検出された各相電圧値から演算式に基づき3相2相変換する3相2相変換器62、この3相2相変換器62で変換された2相の交流波形の振幅と位相差から電圧不平衡状態を低減するに効果的なタップ切換器2a,2b,2cのタップ値を算出し、各タップ切換器2a,2b,2cに該当するタップ値を設定すべくタップ切換指令を送出するタップ切換指令器63から構成されている。
【0091】
次に本実施形態の作用を図9に示す電圧ベクトル図を参照しながら説明する。
【0092】
いま、タップ切換制御器6において、各相電圧値が3相2相変換された2相の交流波形の振幅と位相差から電圧不平衡状態を低減するに効果的なタップ切換器のタップ値を算出し、各タップ切換器2a,2b,2cにタップ切換指令が与えられるものとする。なお、このタップ切換制御器6の作用の詳細は後述する。
【0093】
UV相間に設けられた調整用変圧器10は、UV相間電圧が1次巻線101に印加され、2つの2次巻線102a,102bに1次巻線と2次巻線の巻数比に応じた電圧が誘起される。この2次巻線102a,102bは、それぞれ個別にタップ切換器2a,2bにより外部で設定されるタップ値に応じて2次巻線102a,102bの電圧の大きさや極性を変化させて出力する。ここでは、これらタップ切換器2a,2bの出力電圧のうち、U相の直列変圧器3aの2次巻線32aに出力される電圧をΔUと表記し、V相の直列変圧器3bの2次巻線32bに出力される電圧をΔVとする。
【0094】
すなわち、ΔU,ΔVともU2,V2端子間の相間電圧であるEU2V2に関してベクトル方向は同じかまたは逆位相であり、その大きさはそれぞれのタップ切換器2a,2bのタップ値で決まる。
【0095】
また、調整用変圧器1の1次巻線11の一端がW相につながり、他端が2つの2次巻線を持つ調整用変圧器10の1次巻線101の中間点に接続されているので、図9に示すベクトル図のEU2V2の中間点OからW相電圧であるEW2を結ぶベクトルで表される電圧を検出し、2次巻線12に電圧を誘起する。
【0096】
この電圧はタップ切換器2cで設定されるタップ値に応じた電圧ΔWに変化し、直列変圧器3cの2次巻線32cに与えられる。ΔW電圧は、W相と同位相または逆位相であり、大きさはタップ切換器2cのタップ値により決められる。
【0097】
3つの直列変圧器3a,3b,3cでU相の出力端子電圧はEU2=EU1+ΔU、V相の出力端子電圧はEV2=EV1+ΔV、W相の出力端子電圧はEW=EW1+ΔWとなり、図9のベクトル図にように、相電圧EU1,EV1,EW1はそれぞれ電圧EU2,EV2,EW2に変化する。
【0098】
図9のベクトル図では、不平衡電圧である3相電圧EU1,EV1,EW1の不平衡状態が低減され、対称に近い3相電圧EU2,EV2,EW2となる。
【0099】
ここで、図8に示すタップ切換制御器6の作用を図7及び図9を用いて説明する。
【0100】
いま、相電圧検出装置61により電圧不平衡低減装置の入力端子U1,V1,W1の相電圧が検出される。この場合、相電圧の検出は一般に相間電圧の検出に比較して困難さが伴うので、線間電圧を検出して相電圧に変換して出力するようにしてもよい。これらの相電圧の検出や相間電圧から相電圧の変換は公知の技術なので、ここではその説明を省略する。
【0101】
相電圧検出器61で検出された相電圧は3相2相変換器62に入力されると、この3相2相変換器62では3相電圧値をA,B,C、出力する2相量をα,βとすると以下の式により変換する。
【0102】
α=A
β=(B−C)/√3
上式からα,β値は、A,B,Cと基本周波数が同一の交流波である。
【0103】
相電圧検出装置61より出力するU相、V相、W相の相電圧EU1,EV1,EW1と上記A,B,Cの関係は、Aには電圧不平衡低減装置で電圧の大きさを変化させる相に対応する電圧とし、BはAに割り付けた相から120度遅れた相、CはBに割り付けた相からさらに120度遅れた相とする。即ち、図7の構成の場合には、Aには電圧の大きさを変化させられるW相、BにはW相から120度遅れたU相、Cには残りのV相の相電圧を割り付けることになる。
【0104】
このようにA,B,Cに3相各相を割り付けるとαとβは交流波となり、αに一致する交流波はβの交流波に対して進み波形となる。さらに、3相電圧が平衡である場合には、β波形はα波形に対して90度遅れ、αとβの振幅は同一値となる。
【0105】
次に3相2相変換器62より出力した2相量α、βはタップ切換指令器63に取込まれ、α、βの2相量から図7のタップ切換器2a,2b,2cへのタップ値を計算し、タップ切換器2a,2b,2cへタップ切換指令を出力する。タップ切換器2a,2b,2cでは、入力した2相交流量α、βの位相差と振幅比との下記の関係を利用してタップ変更の指針とする。
【0106】
(1)A相に割り付けた相の電圧位相が平衡状態から遅れの場合、αとβの振幅は同じでβはαに対して90度以上遅れ位相である。
【0107】
(2)A相に割り付けた相の電圧位相が平衡状態から進みの場合、αとβの振幅は同じでβはαに対して90度より進み位相である。
【0108】
(3)B相に割り付けた相の電圧位相が平衡状態から遅れの場合、βの振幅はαの振幅より小さくβはαに対して90度以上遅れ位相である。
【0109】
(4)B相に割り付けた相の電圧位相が平衡状態から進みの場合、βの振幅はαの振幅より大きくβはαに対して90度より進み位相である。
【0110】
(5)C相に割り付けた相の電圧位相が平衡状態から遅れの場合、βの振幅はαの振幅より大きくβはαに対して90度以上遅れ位相である。
【0111】
(4)C相に割り付けた相の電圧位相が平衡状態から進みの場合、βの振幅はαの振幅より小さくβはαに対して90度より進み位相である。
【0112】
これらの関係からα、βの2相量のそれぞれの振幅比と位相差から不平衡電圧の原因となる1相を唯一特定できる。なお、図7の電圧不平衡低減装置は、1相の大きさと2相の位相を変えることが可能であり、前述したようにA相は電圧の大きさを、B相とC相は電圧の位相を変化させることができるので、BまたはC相の進み、または遅れ位相の場合は、B相またはC相の進み遅れを打ち消すことができる。
【0113】
現状より進み位相または遅れ位相となるタップ値へ移動させる。その後、A相の大きさをαとβが同一振幅値に近くなるようなタップ値へ変更することで不平衡状態が低減される。
【0114】
なお、A相は大きさのみ可変であるので、A相の位相が進みまたは遅れとなった場合には、B相とC相をA相の位相ずれと逆位相方向でB,C相を同一位相で同時に移相させることで結果的にA相の位相を調整することになる。
【0115】
このように現状のタップ値に対してタップ値を移動すべき方向が判定されるので、タップ値上げまたは下げるというタップ値変更の指令をタップ切換器2a,2b,2cに与えることができる。
【0116】
図7の構成に対応させて説明すると、A相の大きさを変える場合にはタップ切換器2cへ、B相の位相を変える場合にはタップ切換器2aへ、C相の位相を変える場合にはタップ切換器2bへタップ変更指令を出すことになる。
【0117】
このように本実施形態の電圧不平衡低減装置によれば、タップ切換制御器6の相電圧検出部61で検出した3相の相電圧を3相2相変換部62により2相交流量に変換し、タップ切換指令器63により2相交流量の振幅及び位相から不平衡電圧の原因となる相電圧を特定した上で、その特定した相電圧を改善するようにタップ切換器2a,2b,2cへタップ値変更の指令を与えることが可能となるので、3相中のある1相の電圧についてはその位相は変えずに大きさのみを可変し、残りの2相が構成する線間電圧にそれぞれ独立に同位相または逆位相の大きさを可変とした電圧を印加することができる。
【0118】
従って、電力系統に不平衡電圧が発生した場合に、3相中の1相の大きさを変化させ、残り2相の位相を個別に変化させることにより不平衡電圧を打ち消す電圧を与えることが可能となり、不平衡電圧を効果的に低減することができる。
【0119】
図10は本発明による電圧不平衡低減装置の第4の実施形態を示す回路構成図で、図1と同一構成部品には同一符号を付してその説明を省略し、ここでは異なる点について述べる。
【0120】
第4の実施形態では、1次巻線に中間タップを持つ調整用変圧器20、調整用変圧器1、2つのタップ切換器2a,2b及び2つの直列変圧器3a,3bから電圧不平衡低減装置を構成し、これらは次のように接続されている。
【0121】
図10において、調整用変圧器20は3相中の2相間、例えばUV相間に設けられ、その1次巻線201の一端がU相線路に、他端がV相線路に接続される。また、もう一つの調整用変圧器1の1次巻線11の一端がW相線路に接続され、その他端と調整用変圧器20の1次巻線201に有する中間タップとが接続される。
【0122】
また、調整用変圧器20の2次巻線202にタップ切換器2aが、調整用変圧器1の2次巻線12にタップ切換器2bがそれぞれ接続されている。
【0123】
さらに、直列変圧器3a,3bは3相のうち調整用変圧器20が設けられている相間以外の相、ここではW相に1次巻線を直列に接続して設けられ、直列変圧器3aの2次巻線32aにタップ切換器2aの出力端子が接続され、また直列変圧器3bの2次巻線32bにタップ切換器2bの出力端子が接続されている。
【0124】
上記タップ切換器2a,2bは、図2と同様に構成されたタップ切換制御器4より出されるタップ切換指令に基づいて調整用変圧器20,1の2次巻線202,12より導出されたタップが切換選択される。
【0125】
なお、上記では調整用変圧器20,1を直列変圧器3a,3bからみて装置の出力端子U2,V2,W2側に設けたが、これら調整用変圧器20,1を直列変圧器3a,3bからみて装置の入力端子U1,V1,W1側に設けても良い。
【0126】
次にこのように構成された電圧不平衡低減装置の作用を図11に示す電圧ベクトル図を参照しながら説明する。
【0127】
いま、タップ切換制御器4において、3相系統入力側の3相各相の電圧を検出して3相ベクトルを生成し、この3相ベクトルを基準ベクトルと比較してその電圧差を求めると共に、その電圧差に応じて直列変圧器3aの入力電圧の位相を変化させるタップ切換器2aのタップ値及び直列変圧器3bの入力電圧の大きさを変化させるタップ切換器2bのタップ値をそれぞれ求めてタップ切換器2a,2bにタップ切換指令を与えるものとする。
【0128】
入力端子U1,V1,W1より入力された各相電圧EU1,EV1は、調整用変圧器20の1次巻線201に、UV相間の電圧EU1V1=EU2V2として入力される。また、調整用変圧器1の1次巻線11には、調整用変圧器20の1次巻線201に入力された電圧EU1V1の中間電圧である図11のO点に対するW相電圧EW2が入力される。
【0129】
調整用変圧器20で検出された電圧EU2V2により2次巻線202が誘起され、タップ切換器2aにより切換選択されたタップよりタップ切換制御器4で設定された大きさ及び極性の電圧ΔW2が直列変圧器3aの2次巻線32aに与えられる。
【0130】
同様に調整用変圧器1の1次巻線11に入力した電圧EW2により2次巻線12が誘起され、タップ切換器2bにより切換選択されたタップよりタップ切換制御器4で設定された大きさ及び極性の電圧ΔW1が直列変圧器3bの2次巻線32bに与えられる。
【0131】
一方、入力端子W1から入力された電圧EW1は、直列変圧器3aで電圧ΔW2がベクトル加算され、さらに直列変圧器3bで電圧ΔW1がベクトル加算されてW相の出力端子W2に出力される。
【0132】
したがって、W相の出力端子W2から出力される相電圧EW2は、図11に示すようにEW1にΔW2とΔW1を加算した電圧となる。ここで、電圧ΔW2は調整用変圧器20より入力した電圧EU2V2に比例し、電圧ΔW1は調整用変圧器1より入力したW相電圧EW2に比例している。
【0133】
図11に示すようにW相の入力端子W1に入力される電圧EW1に電圧ΔW1とΔW2を加算することで、W相の出力端子W2の電圧は大きさと位相が改善された電圧EW2となり、不平衡電圧である入力電圧EU1,EV1,EW1は平衡電圧に近い出力電圧EU2,EV2,EW2に改善される。
【0134】
このように本実施形態の電圧不平衡低減装置によれば、調整用変圧器20より入力した線間電圧の大きさをタップ切換器2aを通して変化させ、この調整用変圧器20が設置された線間のUV相以外のW相の相電圧に直列変圧器3aにより印加して該相電圧の位相を変化させると共に、調整変圧器1より入力した電圧の大きさをタップ切換器2bを通して変化させ、前記W相の相電圧に直列変圧器3bにより印加して、3相中の1相の相電圧の大きさと位相を変化させることにより、簡易な構成で電力系統に発生する電圧不平衡を打消す不平衡電圧を発生させることができる。
【0135】
図12は本発明による電圧不平衡低減装置の第5の実施形態を示す回路構成図で、図1と同一構成部品には同一符号を付してその説明を省略し、ここでは異なる点について述べる。
【0136】
第5の実施形態では、1次巻線に中間タップを持つ調整用変圧器20、調整用変圧器1、2つのタップ切換器2a,2b及び3つの直列変圧器3a,3b,3cから電圧不平衡低減装置を構成し、これらは次のように接続されている。
【0137】
図12において、調整用変圧器20は3相中の2相間、例えばUV相間に設けられ、その1次巻線201の一端がU相線路に、他端がV相線路に接続される。また、もう一つの調整用変圧器1の1次巻線11の一端がW相線路に接続され、その他端と調整用変圧器20の1次巻線201に有する中間タップとが接続される。
【0138】
また、調整用変圧器20の2次巻線202にタップ切換器2aが、調整用変圧器1の2次巻線12にタップ切換器2bがそれぞれ接続されている。
【0139】
さらに、直列変圧器3a,3b,3cは、3相各相に対応する線路に1次巻線31a,31b,31cをそれぞれ接続して設けられ、直列変圧器3a,3bの2次巻線32a,32bを直列接続してタップ切換器2aの出力端子が接続され、また直列変圧器3cの2次巻線32cにタップ切換器2bの出力端子が接続されている。
【0140】
上記タップ切換器2a,2bは、図2と同様に構成されたタップ切換制御器4より出されるタップ切換指令に基づいて調整用変圧器20,1の2次巻線202,12より導出されたタップが切換選択される。
【0141】
なお、上記では調整用変圧器20,1を直列変圧器3a,3b,3cからみて装置の出力端子U2,V2,W2側に設けたが、これら調整用変圧器20,1を直列変圧器3a,3b,3cからみて装置の入力端子U1,V1,W1側に設けても良い。
【0142】
次にこのように構成された電圧不平衡低減装置の作用を図13に示す電圧ベクトル図を参照しながら説明する。
【0143】
いま、タップ切換制御器4において、3相系統入力側の3相各相の電圧を検出して3相ベクトルを生成し、この3相ベクトルを基準ベクトルと比較してその電圧差を求めると共に、その電圧差に応じて調整用変圧器20により入力した線間電圧を変化させるタップ切換器2aのタップ値及び調整用変圧器2bにより入力した電圧の大きさを変化させるタップ切換器2bのタップ値を求めてタップ切換器2a,2bにタップ切換指令を与えるものとする。
【0144】
入力端子U1,V1,W1より各相電圧EU1,EV1,EW1が入力されているものとすると、調整用変圧器20の1次巻線201にUV相間の電圧EU2V2が与えられ、2次巻線202に電圧が誘起される。この2次巻線202の誘起電圧は、タップ切換器2aにより切換選択されたタップよりタップ切換制御器4で設定された大きさ及び極性の電圧として直列変圧器3a,3bの2次巻線32a,32bに与えられる。この場合、直列変圧器3a,3bの2次巻線32a,32bは直列接続され、1次巻線31a,31bには同一位相で同一の大きさの電圧が出力されるように2次巻線32a,32Bの極性が設定されている。
【0145】
したがって、図13のベクトル図のように、U相、V相の出力端子の電圧EU2,EV2は、直列変圧器3a,3bによりそれぞれ調整用変圧器20より入力した電圧EU2V2に比例した電圧ΔUVを同位相、同一大きさでU相、V相の入力電圧EU1,EV1に加算されたものとなる。
【0146】
また、調整用変圧器1の1次巻線11に入力された電圧EW2は、2次巻線12に出力され、この2次巻線12につながるタップ切換器2bにより切換選択されたタップよりタップ切換制御器4で設定された大きさ及び極性の電圧ΔWを直列変圧器1の2次巻線32cに出力する。
【0147】
W相の入力端子W1に入力された電圧EW1に直列変圧器3cで電圧ΔWがベクトル加算された電圧EW2が出力端子W2から出力される。したがって、出力端子W2から出力される相電圧EW2は、図13に示すようにEW1にΔWを加算したものであり、すなわち相電圧の大きさのみを可変した電圧となる。
【0148】
このように本実施形態の電圧不平衡低減装置によれば、調整用変圧器20により入力したUV相の線間電圧の大きさをタップ切換器2aを通して変化させ、調整用変圧器20を設置した線間のU相、V相に設置された2つの直列変圧器3a,3bを通して相電圧を印加し、また調整用変圧器1により入力した電圧の大きさをタップ切換器2bを通して変化させ、上記2相以外の残りのW相に設置した直列変圧器3cを通して相電圧に印加して、3相中の2相の相電圧を同位相分変化させると共に、残り1相の相電圧の大きさを変化させることが可能となるので、簡易な構成にして電力系統で発生する電圧不平衡を打ち消す不平衡電圧を発生させることができる。したがって、3相中の1相の電圧が不平衡電圧を打ち消すように相電圧の大きさと位相を変化させることと等価になるので、不平衡電圧を低減できる。
【0149】
また、図12に示すように3相線路に1つずつ直列変圧器が設置され、そのインピーダンスは等しいので、入力端子U1,V1,W1から平衡電圧が入力された場合に各相に設けられた直列変圧器のインピーダンス値の相違による不平衡状態が発生しにくいという効果もある。
【0150】
【発明の効果】
以上述べたように本発明によれば、電圧不平衡状態において、電圧不平衡電圧を打ち消すような不平衡電圧を出力することで電力系統の電圧不平衡状態を低減可能で、装置構成が簡易な電圧不平衡低減装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による電圧不平衡低減装置の第1の実施形態を示す回路構成図。
【図2】同実施形態におけるタップ切換制御器を示すブロック回路図。
【図3】同実施形態における作用を説明するための電圧ベクトル図。
【図4】本発明による電圧不平衡低減装置の第2の実施形態を示す回路構成図。
【図5】同実施形態におけるタップ切換制御器を示すブロック回路図。
【図6】同実施形態における作用を説明するための電圧ベクトル図。
【図7】本発明による電圧不平衡低減装置の第3の実施形態を示す回路構成図。
【図8】同実施形態におけるタップ切換制御器を示すブロック回路図。
【図9】同実施形態における作用を説明するための電圧ベクトル図。
【図10】本発明による電圧不平衡低減装置の第4の実施形態を示す回路構成図。
【図11】同実施形態における作用を説明するための電圧ベクトル図。
【図12】本発明による電圧不平衡低減装置の第5の実施形態を示す回路構成図。
【図13】同実施形態における作用を説明するための電圧ベクトル図。
【図14】従来の電圧不平衡低減装置を示す回路構成図。
【図15】同電圧不平衡低減装置のタップ切換制御器を示すブロック回路図。
【符号の説明】
1a,1b,1c…調整用変圧器
2a,2b,2c…タップ切換器
3a,3b,3c…直列変圧器
4,5,6,…タップ切換制御器
11…調整用変圧器の1次巻線
12a,12b,12c…調整用変圧器の2次巻線
31a,31b,31c…直列変圧器の1次巻線
32a,32b,32c…直列変圧器の2次巻線
10…2つの2次巻線を持つ調整用変圧器
101…2つの2次巻線を持つ調整用変圧器の1次巻線
102a,102b…2つの2次巻線を持つ調整用変圧器の2次巻線
20…1次巻線に中間タップを持つ調整用変圧器
201…1次巻線に中間タップを持つ調整用変圧器の1次巻線
41…3相電圧検出部
42…3相ベクトル生成部
43…ベクトル比較部
44…第1の演算部
45…第2の演算部
46…タップ切換指令部
51…相間電圧検出部
52…正逆相変換部
53…逆相量反転部
54…タップ切換指令部
61…相電圧検出部
62…3相2相変換部
63…タップ切換指令部
【発明の属する技術分野】
本発明は、電力系統の線路に設けられ、3相不平衡電圧を低減し、負荷に対して平衡状態に近い3相電圧を与えることが可能な電圧不平衡低減装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電力系統から負荷に3相電圧を与える場合、負荷の状態によって3相電圧が不平衡になることがあるため、電力系統と負荷とを結ぶ電路に系統電圧を制御する電圧調整装置が設けられている。
【0003】
従来、この電圧調整装置としては、タップ切換手段、例えば機械的位置によりタップ切換を行うステップ式自動電圧調整装置SVRやサイリスタ式自動電圧調整装置TVRなどがある。
【0004】
ここではサイリスタ式自動電圧調整装置TVRを例に従来技術を説明する。
【0005】
図14は従来のサイリスタ式自動電圧調整装置TVRの一例を示す構成図である。
【0006】
図14において、U1,V1,W1は3相の電力系統の各相に接続される入力端子で、これら各相の入力端子U1,V1,W1に直列変圧器502A,502B,502Cの1次側巻線を介して出力端子U2,V2,W2にそれぞれ接続されている。この出力端子U2,V2,W2には、3相負荷が接続される。
【0007】
これら直列変圧器502Aの1次巻線及び出力端子U2を結ぶ電路と直列変圧器502Bの1次巻線及び出力端子V2を結ぶ電路との間には、タップ付調整用変圧器504Aの1次巻線が、直列変圧器502Bの1次巻線及び出力端子V2を結ぶ電路と直列変圧器502Cの1次巻線及び出力端子W2を結ぶ電路との間には、タップ付調整用変圧器504Bの1次巻線がそれぞれ接続され、その各2次巻線に有する複数のタップ端子はサイリスタスイッチ回路503A,503Bの入力端にそれぞれ接続されている。
【0008】
また、サイリスタスイッチ回路503A,503Bの出力端は、直列変圧器502A,502B,502Cの2次巻線を介して共通に接続されている。この場合、サイリスタスイッチ回路503Aと503BのV相側の出力端が共通に接続されると共に接地されている。
【0009】
さらに、出力端子U2,V2間には、電圧検出器509Aが接続されている。
【0010】
一方、図15はサイリスタスイッチ回路503A,503Bの制御装置534の構成例を示す回路図で、この制御装置534は電圧検出器509Aで検出された端子電圧Vtと電圧設定値Vrefとの差を求める減算器531、不感帯回路532、タップ切換回路533及びドライブ回路518から構成されている。
【0011】
このような構成のサイリスタ式自動電圧調整装置TVRにおいて、電力系統の特定の相間電圧Vtと相間電圧設定値Vrefとの差分を減算器531により求め、その差分が不感帯回路532の不感帯の範囲を超えると、タップ切換回路533では相間電圧Vtが相間電圧設定値Vrefより小さいとき相間電圧を上げるように、また相間電圧Vtが相間電圧設定値Vrefより大きいとき相間電圧を下げるようなタップ値を出力するサイリスタスイッチ503A,503Bのスイッチパターンが生成される。
【0012】
このスイッチパターンに応じてドライブ回路518はサイリスタスイッチ503A,503Bをオン、オフ制御する。これにより直列変圧器502A,502B,502Cの2次側電圧が制御されることで1次側の誘起電圧が変化し、電圧設定値Vrefに近い電力系統の線間電圧が調整される。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
このようなサイリスタ式自動電圧調整装置においては、特定の相間に多くの負荷が偏在した場合や大きな負荷が接続された場合には、3相電圧の振幅が等しく、それぞれの位相差が120度である平衡状態が崩れ、不平衡電圧が発生することがある。
【0014】
しかしながら、不平衡電圧が発生した場合でも、従来の電圧調整装置は、電圧検出器により検出された特定の相間電圧を電圧指令値に近付けようとタップ制御が行なわれる。その結果、電圧調整器により検出された相間電圧が不平衡電圧で電圧指令値より低い場合、3相それぞれのタップ値は同一値に制御され、電圧調整器により検出された相間電圧は電圧指令値に近くなるが、その他の相間電圧は電圧指令値以上に高くなる。
【0015】
また、逆に電圧調整装置が検出した相間電圧が不平衡電圧で電圧指令値より高い場合、電圧検出器で検出した相間電圧が電圧指令値に近くなるように電圧を下げる3相同一値のタップが選択され、電圧検出器で検出した相間電圧は電圧指令値に近くなるが、その他の相間電圧は指令値以下に低くなる。
【0016】
このように従来の電圧調整装置は、平衡電圧状態時の電圧調整は可能であるが、電圧不平衡を低減化する電圧調整は困難であった。一方、パワーエレクトロクスニクス技術を用いて無効電力を補償する静止型無効電力補償SVCによる電圧不平衡低減化が可能であるが、装置構成が複雑でコスト高となる欠点があった。
【0017】
本発明は上記のような事情に鑑みてなされたもので、電圧不平衡状態において、電圧不平衡電圧を打ち消すような不平衡電圧を出力することで電力系統の電圧不平衡状態を低減可能で、装置構成が簡易な電圧不平衡低減装置を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記の目的を達成するため、次のような手段により電圧不平衡低減装置を構成する。
【0019】
請求項1に対応する発明は、3相系統の3相各相間に接続され2次巻線に複数のタップを有する3台の調整用変圧器と、これら各調整用変圧器にそれぞれ接続され該調整用変圧器の2次巻線に有するタップを切換えるタップ切換器と、前記3相系統の各相線路にそれぞれ直列に設けられた3台の直列変圧器とを備え、これら各直列変圧器の2次巻線を該直列変圧器が設けられる相以外の相間に設けられた前記調整用変圧器側のタップ切換器に接続する構成とし、且つ3相系統入力側の3相各相の電圧を検出して3相ベクトルを生成し、この3相ベクトルを基準ベクトルと比較してその電圧差を求めると共に、その電圧差に応じた各相のタップ切換器のタップ値を求めて前記タップ切換器にタップ切換指令を与えるタップ切換制御器を備える。
【0020】
請求項2に対応する発明は、3相系統の3相各相間に接続され2次巻線に複数のタップを有する3台の調整用変圧器と、これら各調整用変圧器にそれぞれ接続され該調整用変圧器の2次巻線に有するタップを切換えるタップ切換器と、前記3相系統の各相線路にそれぞれ直列に設けられた3台の直列変圧器とを備え、1つの直列変圧器の2次巻線を該直列変圧器が設けられる相以外の相間に設けられた前記調整用変圧器に接続された1つのタップ切換器に接続し、残り2つの直列変圧器の2次巻線を該直列変圧器が設置される相が含まれる相間で且つ前記1つのタップ切換器以外のタップ切換器に接続する構成とし、且つ3相系統の3つの相間電圧を検出する相間電圧検出部、この相間電圧検出部により検出された3つの相間電圧値から正相量と逆相量を算出する正逆相変換部、前記逆相量を異符号に変換する符号変換部、前記正逆相変換器が出力する正相量を基準とした符号変換器が出力する逆相量の位相からタップ切換器のタップ値を算出してタップ切換指令を出力するタップ切換指令部からなるタップ切換制御器を備える。
【0021】
請求項3に対応する発明は、3相系統の2相の線間に接続されそれぞれ複数のタップを有する2つの2次巻線を持つ第1の調整用変圧器と、この第1の調整用変圧器の1次巻線に有する中間タップから残りの1相に接続され2次巻線に複数のタップを有する第2の調整用変圧器と、前記第1の調整用変圧器の2つの2次巻線に有するタップを個別に切換える2つの第1のタップ切換器と、前記第2の調整用変圧器の2次巻線に有するタップを切換える第2のタップ切換器と、前記2相の線路各々に直列に設けられ各々の2次巻線がそれぞれ対応する前記第1のタップ切換器に接続される2つの第1の直列変圧器と、前記残りの1相に直列に設けられ2次巻線が前記第2のタップ切換器に接続される第2の直列変圧器とを設ける構成とし、且つ3相系統の相電圧を検出する相電圧検出部、この相電圧検出部により検出された3相の電圧値を3相2相変換する3相2相変換部、この3相2相変換部が出力する2相の交流波形の振幅及び位相差から前記第1及び第2のタップ切換器のタップ値を算出してタップ切換指令を出力するタップ切換指令部からなるタップ切換制御器を備える。
【0022】
請求項4に対応する発明は、3相系統の2相の線間に接続され2次巻線に複数のタップを有する第1の調整用変圧器と、この第1の調整用変圧器の1次巻線に有する中間タップから残りの1相に接続され2次巻線に複数のタップを有する第2の調整用変圧器と、前記第1の調整用変圧器の2次巻線に有するタップを切換える第1のタップ切換器と、前記第2の調整用変圧器の2次巻線に有するタップを切換える第2のタップ切換器と、前記残りの1相の線路に直列に設けられ2次巻線が前記第1のタップ切換器に接続された第1の直列変圧器と、前記残りの1相の線路に直列に設けられ2次巻線が前記第2のタップ切換器に接続された第2の直列変圧器とから構成され、且つ3相系統入力側の3相各相の電圧を検出して3相ベクトルを生成し、この3相ベクトルを基準ベクトルと比較してその電圧差を求めると共に、その電圧差に応じて前記第1の直列変圧器の入力電圧の位相を変化させる前記第1のタップ切換器のタップ値及び前記第2の直列変圧器の入力電圧の大きさを変化させる前記第2のタップ切換器のタップ値をそれぞれ求めて前記第1及び第2のタップ切換器にタップ切換指令を与えるタップ切換制御器を備える。
【0023】
請求項5に対応する発明は、3相系統の2相の線間に接続され2次巻線に複数のタップを有する第1の調整用変圧器と、この第1の調整用変圧器の1次巻線に有する中間タップから残りの1相に接続され2次巻線に複数のタップを有する第2の調整用変圧器と、前記第1の調整用変圧器の2次巻線に有するタップを切換える第1のタップ切換器と、前記第2の調整用変圧器の2次巻線に有するタップを切換える第2のタップ切換器と、前記2相の線路にそれぞれ直列に設けられ各々の2次巻線が前記第1のタップ切換器に接続された2つの第1の直列変圧器と、前記残りの1相の線路に直列に設けられ2次巻線が前記第2のタップ切換器に接続された第2の直列変圧器とから構成され、
且つ3相系統入力側の3相各相の電圧を検出して3相ベクトルを生成し、この3相ベクトルを基準ベクトルと比較してその電圧差を求めると共に、その電圧差に応じて前記第1の調整用変圧器により入力した線間電圧を変化させる第1のタップ切換器のタップ値及び前記第2の調整用変圧器により入力した電圧の大きさを変化させる第2のタップ切換器のタップ値を求めて前記第1及び第2のタップ切換器にタップ切換指令を与えるタップ切換制御器を備える。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0025】
図1は本発明による電圧不平衡低減装置の第1の実施形態を示す回路構成図である。
【0026】
図1において、U1,V1,W1は電力系統の3相各相に対応する線路に接続される電圧不平衡低減装置の入力端子、U2,V2,W2は負荷の3相各相に対応する線路に接続される電圧不平衡低減装置の出力端子である。
【0027】
1a,1b,1cは、U相、V相、W相の各相間UV、VW、WU間に1次側巻線が接続され、相間電圧を取出す調整用変圧器である。2a,2b,2cは、この調整用変圧器1a,1b,1cの2次巻線12a,12b,12cにそれぞれ接続され、該2次巻線より導出されたタップをそれぞれ切換えるタップ切換器である。
【0028】
この場合、タップ切換器2a,2b,2cは、図示の容易さから機械式のタップ切換をイメージした図として示しているが、タップ切換をサイリスタスイッチで行っても作用、効果に変りはない。
【0029】
このタップ切換器2a,2b,2cは、タップ切換制御器4からの指示によりタップ切換を行い、調整用変圧器1a,1b,1cで取出した電圧の大きさ、極性をタップ値に合わせて変化させた出力を取出す。したがって、タップ点数が多いほど小さな変化分の電圧出力が可能となるが、ここではタップ数については正、0、負の3つ以上のタップがあればよい。
【0030】
また、3a,3b,3cは、入出力端子間の3相各相に対応する線路に1次側巻線が直列に接続される直列変圧器であり、相電圧に2次巻線32a,32b,32cから印加される電圧が重畳される。
【0031】
上記では直列変圧器3a,3b,3cから見て電圧不平衡低減装置の出力端子U2,V2,W2側に調整用変圧器1a,1b,1cを設けたが、直列変圧器3a,3b,3cから見て電圧不平衡低減装置の入力端子U1,V1,W1側に調整用変圧器1a,1b,1cを設けてもよい。
【0032】
3つの直列変圧器3a,3b,3cの2次巻線32a,32b,32cと、3つのタップ切換器2a,2b,2cは1対1の関係で接続されるが、3つの直列変圧器3a,3b,3cの2次巻線32a,32b,32cは、それぞれの直列変圧器3a,3b,3cが接続される相以外の相間に設けられた調整用変圧器1b,1c,1aの2次側巻線12b,12c,12aのタップを切換えるタップ切換器2b,2c,2aに接続される。
【0033】
例えば、U相に設けられた直列変圧器3aの2次巻線32aは、U相が含まれないVW相間に設けられた調整用変圧器1bの2次巻線12bにつながるタップ切換器2bと接続される。同様にV相の直列変圧器3bはWU相間のタップ切換器2cと、W相の直列変圧器3cはUV相間のタップ切換器2aと接続されている。
【0034】
図2は、上記タップ切換制御器4の構成例を示す機能ブロックである。
【0035】
このタップ制御器4は、図2に示すように電圧不平衡低減装置の入力端子U1,V1,W1に印加される3相各相の電圧を検出する電圧検出部41、この電圧検出部41により検出された3相各相の電圧からベクトルを生成する3相ベクトル生成部42、この3相ベクトル生成部42で生成された3相ベクトルと基準ベクトルとを比較するベクトル比較部43、ベクトル比較部43で求められた3相各相に対する基準ベクトルと電圧ベクトルとの電圧差ΔVをそれぞれ算出する第1の演算部44、この第1の演算部44により算出された電圧差ΔVに応じたタップ値を計算する第2の演算部45およびこの第2の演算部45で求められたタップ値に基づいて該当するタップ切換器2a,2b,2cにタップ切換指令を出力するタップ切換指令部46から構成されている。
【0036】
次に上記のように構成された電圧不平衡低減装置の作用を図3に示す電圧ベクトル図を参照しながら説明する。
【0037】
いま、タップ切換制御器4により3相系統入力側の3相各相の電圧を検出して3相ベクトルを生成し、この3相ベクトルを基準ベクトルと比較してその電圧差を求めると共に、その電圧差に応じた各相のタップ切換器のタップ値を求めてタップ切換器2a,2b,2cにタップ切換指令が与えられるものとする。
【0038】
UV相に設けられた調整用変圧器1aによってUV相のU2,V2端子間の相間電圧EU2V2を取出し、その電圧は2次巻線12aに出力される。
【0039】
この相間電圧EU2V2は、タップ切換制御器4から出力されるタップ切換指令によりタップ切換器1aがタップ切換制御器4で求められたタップ値にしたがって切換られると、このタップ切換器2aより相間電圧EU2V2の極性とその大きさを変化させたΔW電圧として取出され、W相の直列変圧器3cの2次巻線32cに与えられる。
【0040】
W相の直列変圧器3cでは、W相の入力端子W1の相電圧EW1にΔW電圧をベクトル加算し、出力端子W2の相電圧EW2はEW1+ΔWになる。この場合、ΔW電圧は、図3に示すように相間電圧EU2V2と比例したものである。
【0041】
同様にVW相に設けられた調整用変圧器1bによって取出された相間電圧EV2W2は、タップ切換器2bよりU相の直列変圧器3aの2次巻線32aにEV2W2電圧に比例したΔU電圧として与えられ、U相の直列変圧器3aではU相の入力端子U1の相電圧EU1にΔU電圧を加算し、出力端子U2の相電圧EU2はEU2=EU1+ΔUになる。また、WU相に設けられた調整用変圧器1cによって取出された相間電圧EW2U2は、タップ切換器2cよりV相の直列変圧器3bの2次巻線32bに相間電圧EW2U2に比例したΔV電圧として与えられ、V相の直列変圧器3bではV相の入力端子V1の相電圧EV1にΔV電圧を加算し、出力端子V2の相電圧EV2はEV2=EV1+ΔVとなる。
【0042】
タップ切換器2a,2b,2cは、各相間に3つ設置されているので、それぞれのタップ値は個別に動かすことが可能であり、ΔUとΔVとΔWの大きさは等しくなくても良い。
【0043】
この動作により電圧不平衡低減装置の出力端子であるU2,V2,W2の相間電圧は、図3に示すように入力電圧EU1,EV1,EW1の相電圧から各相毎にその大きさと位相を変化させたものが出力される。
【0044】
図3に示す電圧不平衡低減装置の入力端子の相電圧EU1,EV1,EW1は大きさが不一致であり、また位相差も120度ではない電圧不平衡状態であるが、各相電圧にΔU,ΔV,ΔW電圧を加算した出力であるEU2,EV2,EW2の電圧は大きさがほぼ等価であり、位相差も120度に近く各相電圧の不平衡状態は低減されて平衡状態に近くなっている。
【0045】
なお、ΔU,ΔV,ΔW電圧は調整用変圧器の2次巻線のタップが多いほど、タップ切換器が出力する1タップ当りの電圧変化は小さな量となり、決めこまやかな調整が可能であることは明白である。
【0046】
このように本実施形態の電圧不平衡低減装置によれば、3相各相に対応する入力電圧に対し、タップ切換器2a,2b,2cのタップ値の設定により、各相個別に電圧の大きさ、位相を変化させることが可能となるので、電力系統の線路において、3相各相の電圧の大きさが不平等になったり、各相間の位相差120度が崩れたり、あるいは3相各相の電圧の大きさが不平等で各相間の位相差120度が崩れて電圧不平衡状態になった場合でも、その電圧不平衡を打ち消す各相電圧を直列変圧器を通して印加でき、電圧不平衡を低減することが可能となる。
【0047】
図4は、本発明による電圧不平衡低減装置の第2実施形態を示す回路構成図である。
【0048】
図4において、U1,V1,W1は電力系統の3相各相に対応する線路に接続される電圧不平衡低減装置の入力端子、U2,V2,W2は負荷の3相各相に対応する線路に接続される電圧不平衡低減装置の出力端子である。
【0049】
第2の実施形態では、電圧不平衡低減装置を構成する調整用変圧器1a,1b,1c、タップ切換器2a,2b,2c、直列変圧器3a,3b,3cは第1の実施形態と同一なので、その説明を省略し、ここでは異なる点について述べる。
【0050】
第2の実施形態において、タップ切換器2a,2b,2cと直列変圧器3a,3b,3cの2次巻線32a,32b,32cとの接続を次のような構成とするものである。
【0051】
図4に示すように3相のうち、1相分の直列変圧器3bの2次巻線32bはこの直列変圧器が設けられる相以外の相間に設けられた調整用変圧器1cと接続された1つのタップ切換器2cに接続され、残り2つの直列変圧器3a,3cの2次巻線32a,32cは、該直列変圧器が設けられる相が含まれる相間で且つ前記1つのタップ切換器2c以外のタップ切換器2a,2bに接続される。
【0052】
図4の構成では、V相に接続された直列変圧器3bは、3相の各相間であるUVとVWとWUから唯一V相を含まない相間WUに設けられた調整用変圧器1cの2次巻線12cに接続されるタップ切換器2cに接続されている。
【0053】
残り2つの直列変圧器3a,3cに該当するU相の直列変圧器3aの2次巻線32aは、U相が含まれる相間UV,WUのうちV相の直列変圧器3bと接続していないUV相間の調整用変圧器1aの2次巻線12aとつながれたタップ切換器2aと接続され、W相の直列変圧器3cの2次巻線32cは、W相が含まれる相間VW,WUのうちV相及びU相の直列変圧器3aと接続されていないVW相間の調整用変圧器1bの2次巻線12bとつながれたタップ切換器2bと接続されている。
【0054】
一方、5はタップ切換器2a,2b,2cにタップ切換指令を与えるタップ切換制御器である。
【0055】
このタップ切換制御器5は、図5に示すように相間電圧検出部51、正逆相変換部52、符号変換部53及びタップ切換指令部54から構成されている。
【0056】
上記相間電圧検出部51は、電圧不平衡低減装置の入力端子U1,V1,W1に接続され電力系統の3相各相間の電圧を検出するものである。正逆相変換部52は、相間電圧検出部51より入力される3つの相間電圧から正相量と逆相量を算出するものである。符号変換部53は、正逆相変換部52で求められた逆相量が入力され、その符号を反転するものである。タップ切換指令部54は、正逆相変換部52より入力される正相量と符号変換部53より入力される符号反転された逆相量に基づいてタップ値を決定し、タップ切換器2a,2b,2cにタップ切換指令を出力するものである。
【0057】
次に本実施形態の作用を図6に示す電圧ベクトル図を参照しながら説明する。
【0058】
いま、タップ切換制御器5において、3つの相間電圧値から正相量と逆相量を算出し、正相量を基準として符号変換された逆相量の位相からタップ切換器のタップ値を算出して、各タップ切換器2a,2b,2cにタップ切換指令が与えられるものとする。なお、このタップ切換制御器5の詳細な作用については後述する。
【0059】
UV相間に設けた調整用変圧器1aで入力した電圧EU2V2は、調整用変圧器1aの2次巻線12aを通してタップ切換器2aで選択されたタップ値に応じた大きさと極性に変換されてΔU電圧となる。このΔU電圧はタップ切換器2aと接続されたU相の直列変圧器3aを通してU相の相電圧EU1とベクトル加算され、U相の電圧不平衡低減装置の出力電圧はEU2=EU1+ΔUとなる。
【0060】
同様にVW相の電圧EV2W2は調整用変圧器1bで検出され、タップ切換器2bでそのタップ値に応じた大きさと極性に変換されてΔW電圧となり、W相の直列変圧器3cの2次巻線32cに出力される。W相の直列変圧器3cでは、W相の相電圧EW1にΔW電圧がベクトル加算され、電圧不平衡低減装置のW相出力電圧EW2はEW2=EW1+ΔWとなる。
【0061】
さらに、WU相の電圧EW2U2は調整用変圧器1cで検出され、調整用変圧器1cに接続されるタップ切換器2cでそのタップ値に応じた大きさと極性に変換されてΔV電圧となる。このΔV電圧は、直列変圧器3bの2次巻線32bによりV相の相電圧EW1にベクトル加算され、調整用変圧器1bのV相出力端子の相電圧EV2はEV1+ΔVとなる。
【0062】
図6は電圧不平衡低減装置の入力端子と出力端子の相電圧EU1とEV1とEW1及びEU2とEV2とEW2のベクトル関係を表すものである。
【0063】
図4を用いて説明した作用と図6から相電圧ΔUが相間電圧EU2V2に比例し、相電圧ΔVが相間電圧EU2V2に比例し、また相電圧ΔWが相間電圧EU2V2に比例していることが確認できる。
【0064】
図6により本実施形態の具体的に説明する。
【0065】
図6に示すように、電圧不平衡低減装置の入力端子側の相電圧EU1,EV1,EW1は各大きさが不一致であったり、位相関係が120度でなかったり、あるいは大きさが不一致で且つ位相関係が120度でない電圧不平衡状態にある。
【0066】
このとき、3相の各相間電圧の位相順はUV相から120度遅れてVW相、VW相から120度遅れてWU相である。
【0067】
3相不平衡電圧は、零相電圧と正相電圧と逆相電圧で構成され、3相平衡電圧は正相電圧のみから構成される。
【0068】
一般に電力系統の不平衡電圧のうち問題となるのは逆相電圧である。3相不平衡電圧の場合には、UV相の正相電圧を基準とすると、UV相の逆相電圧は同位相、VW相の逆相電圧は240度遅れ、WU相の逆相電圧は120度遅れである。
【0069】
よって、3相の各相間電圧から逆相分電圧を低減するには、UV相から同位相の成分、VW相からWU相と同位相成分、WU相からVW相と同位相成分を打ち消す電圧を注入すると良い。
【0070】
図6に示した第2の実施形態によるベクトル図では、U相からUV相と同位相のΔU電圧、V相からWU相と同電位のΔV電圧、W相からVW相と同位相のΔW電圧をベクトル加算しているので、電力系統の電圧不平衡の要因である逆相電圧を打ち消す電圧を電圧不平衡低減装置でベクトル加算していることになるので、逆相電圧を低減することにより電圧不平衡を低減することが可能となる。
【0071】
ここで、図5に示すタップ切換制御器5の作用を詳細に図4及び図6を用いて説明する。
【0072】
電圧不平衡低減装置の入力端子U1,V1,W1の3相から入力される相間電圧を相間電圧検出部51により検出する。相間電圧検出の検出方法としては、公知の方法で良い。
【0073】
次に相間電圧検出部51で検出した3相の相間電圧EU1V1,EV1W1,EW1U1は、正逆相変換部52で相間電圧EU1V1,EV1W1,EW1U1値から正相量と逆相量を算出して出力する。ここで正相量E1と逆相量E2は次式により算出される。
【0074】
E1=(EU1V1+a×EV1W1+a×a×EW1U1)
E2=(EU1V1+a×a×EV1W1+a×EW1U1)
但し、a=exp(j2×π/3)
上式で算出した正相量E1は正逆相変換部52からタップ切換指令部54に加えられ、また逆相量E2は正逆相変換部52から符号変換部53に加えられる。符号変換部53では入力された逆相量E2の符号を反転してE22=−E2とし、この符号を反転した電圧E22をタップ切換指令器54に入力する。
【0075】
このタップ切換指令器54では、正逆相変換部52が出力する正相量E1と、符号変換部53の出力電圧E22を入力して正相量E1を位相基準とし、E1の位相が各相で0度又は120度若しくは240度と固定した位相となった時のE22電圧の大きさの電圧を、その位相と固定した該当相で出力可能なタップ値を決定する。
【0076】
このタップ切換指令部54で決定した各相のタップ値を各タップ切換器2a,2b,2cに切換指令として与えることにより、入力した正相量E1を位相基準として、各相で固定した位相に応じたE22電圧に近い大きさを持つ電圧が出力される。
【0077】
上式のE1の式から正相電圧E1の位相基準はEU1V1であるので、正相電圧E1の位相が0度時のE22電圧の大きさをUV相で発生できるタップ値を、正相電圧E1の位相が120度時のE22電圧の大きさをVW相で発生できるタップ値を、正相電圧E1の位相が240度時のE22電圧の大きさをWU相で発生できるタップ値をそれぞれ算出して、UV相に関するタップ値はタップ切換器2aへ、VW相に関するタップ値はタップ切換器2bへ、WU相に関するタップ値はタップ切換器2cへそれぞれ出力する。
【0078】
このようにすれば、それぞれのタップ値に応じてΔU,ΔW,ΔV電圧が出力され、前述したように図6の電圧ベクトル図に示すように電圧不平衡低減装置の出力端子の相電圧は、EU2,EV2,EW2となる。
【0079】
したがって、ΔU電圧は正相電圧E1の位相が0度時のE22電圧に近い大きさ、ΔW電圧は正相電圧E1の位相が120度時のE22電圧に近い大きさ、ΔV電圧は正相電圧E1の位相が240度時のE22電圧に近い大きさである。ここで、近いという表現は、タップ値が離散点であるため全く同一の大きさの電圧を出せない場合があるため、このような表現とした。
【0080】
このように本実施形態によれば、逆相低減タップ切換制御器5の相間電圧検出部51で検出した相間電圧をもとに正相逆相変換部52により正相電圧と逆相電圧を算出し、タップ切換指令部54により正相電圧を基準とした位相で逆相電圧を打消すに必要な各相に注入すべき電圧が発生可能なタップ切換器2a,2b,2cのタップ値を算出して各相のタップ切換器にタップ切換指令を送出するようにしたので、電力系統の不平衡電圧により発生する逆相電圧に対して逆極性で大きさの近い電圧をタップ切換器2a,2b,2cよりそのタップ値に応じて発生させることが可能となり、電力系統に発生する逆相分を打ち消して微小化することで不平衡電圧を低減することができる。
【0081】
図7は本発明による電圧不平衡低減装置の第3の実施形態を示す回路構成図で、図1と同一構成部品には同一符号を付してその説明を省略し、ここでは異なる点について述べる。
【0082】
第3の実施形態では、2つの2次巻線を持つ調整用変圧器10を3相のうちある1つの相間、図7ではUV相間の出力端子U2,V2間に設ける。この調整用変圧器10は、その1次巻線101の中間からタップを引出し、このタップはW相に設けられる他の調整用変圧器1の1次巻線11と結線が可能である。
【0083】
また、調整用変圧器10の2次巻線102a,102bは、同一の2次電圧が出力できるように構成されている。そして、調整用変圧器10の1次巻線101の中間タップから引出した線は、3相のうち調整用変圧器10とつながらない相、図7では残りのW相の出力端子W2に調整用変圧器1の1次巻線11を介して接続される。
【0084】
さらに、調整用変圧器10の2次巻線102a,102bには、それぞれ2次巻線のタップを切換えるタップ切換器2a,2bが接続され、これらのタップ切換器2a,2bは調整用変圧器10の1次巻線101が接続される相に設けられた直列変圧器3a,3bの2次巻線32a,32bにそれぞれ接続される。
【0085】
図7では調整用変圧器10がU,V相に設けられているので、2次巻線102a,102bに接続されるタップ切換器2a,2bはそれぞれU相の直列変圧器3aとV相の直列変圧器3bに接続される。
【0086】
また、調整用変圧器1の2次巻線12に対しては、該2次巻線12のタップを切換えるタップ切換器2cが接続され、このタップ切換器2cの出力端子は残りの相のW相に設けられた直列変圧器3cの2次巻線32cと接続されている。
【0087】
なお、図7ではUV相に調整用変圧器10を、もう1つの調整用変圧器1を残りのW相に設けたが、VW相に調整用変圧器10を設け、U相に調整用変圧器1を設けたり、WU相に調整用変圧器10を設けてV相に調整用変圧器1を設けるようにしてもよい。
【0088】
さらに、直列変圧器3a,3b,3cから見て、出力端子U2,V2,W2側に調整用変圧器10,1を設けたが、直列変圧器3a,3b,3cから見て、入力端子U1,V1,W1側に調整用変圧器10,1を設けるようにしても良い。
【0089】
一方、6は上記タップ切換器2a,2b,2cにタップ切換指令を与えてそのタップ値を設定するタップ切換制御器である。
【0090】
このタップ切換制御器6は、図8に示すように電圧不平衡低減装置の入力端子U1,V1,W1に入力される3相交流の各相電圧を検出する相電圧検出器61、この相電圧検出器61により検出された各相電圧値から演算式に基づき3相2相変換する3相2相変換器62、この3相2相変換器62で変換された2相の交流波形の振幅と位相差から電圧不平衡状態を低減するに効果的なタップ切換器2a,2b,2cのタップ値を算出し、各タップ切換器2a,2b,2cに該当するタップ値を設定すべくタップ切換指令を送出するタップ切換指令器63から構成されている。
【0091】
次に本実施形態の作用を図9に示す電圧ベクトル図を参照しながら説明する。
【0092】
いま、タップ切換制御器6において、各相電圧値が3相2相変換された2相の交流波形の振幅と位相差から電圧不平衡状態を低減するに効果的なタップ切換器のタップ値を算出し、各タップ切換器2a,2b,2cにタップ切換指令が与えられるものとする。なお、このタップ切換制御器6の作用の詳細は後述する。
【0093】
UV相間に設けられた調整用変圧器10は、UV相間電圧が1次巻線101に印加され、2つの2次巻線102a,102bに1次巻線と2次巻線の巻数比に応じた電圧が誘起される。この2次巻線102a,102bは、それぞれ個別にタップ切換器2a,2bにより外部で設定されるタップ値に応じて2次巻線102a,102bの電圧の大きさや極性を変化させて出力する。ここでは、これらタップ切換器2a,2bの出力電圧のうち、U相の直列変圧器3aの2次巻線32aに出力される電圧をΔUと表記し、V相の直列変圧器3bの2次巻線32bに出力される電圧をΔVとする。
【0094】
すなわち、ΔU,ΔVともU2,V2端子間の相間電圧であるEU2V2に関してベクトル方向は同じかまたは逆位相であり、その大きさはそれぞれのタップ切換器2a,2bのタップ値で決まる。
【0095】
また、調整用変圧器1の1次巻線11の一端がW相につながり、他端が2つの2次巻線を持つ調整用変圧器10の1次巻線101の中間点に接続されているので、図9に示すベクトル図のEU2V2の中間点OからW相電圧であるEW2を結ぶベクトルで表される電圧を検出し、2次巻線12に電圧を誘起する。
【0096】
この電圧はタップ切換器2cで設定されるタップ値に応じた電圧ΔWに変化し、直列変圧器3cの2次巻線32cに与えられる。ΔW電圧は、W相と同位相または逆位相であり、大きさはタップ切換器2cのタップ値により決められる。
【0097】
3つの直列変圧器3a,3b,3cでU相の出力端子電圧はEU2=EU1+ΔU、V相の出力端子電圧はEV2=EV1+ΔV、W相の出力端子電圧はEW=EW1+ΔWとなり、図9のベクトル図にように、相電圧EU1,EV1,EW1はそれぞれ電圧EU2,EV2,EW2に変化する。
【0098】
図9のベクトル図では、不平衡電圧である3相電圧EU1,EV1,EW1の不平衡状態が低減され、対称に近い3相電圧EU2,EV2,EW2となる。
【0099】
ここで、図8に示すタップ切換制御器6の作用を図7及び図9を用いて説明する。
【0100】
いま、相電圧検出装置61により電圧不平衡低減装置の入力端子U1,V1,W1の相電圧が検出される。この場合、相電圧の検出は一般に相間電圧の検出に比較して困難さが伴うので、線間電圧を検出して相電圧に変換して出力するようにしてもよい。これらの相電圧の検出や相間電圧から相電圧の変換は公知の技術なので、ここではその説明を省略する。
【0101】
相電圧検出器61で検出された相電圧は3相2相変換器62に入力されると、この3相2相変換器62では3相電圧値をA,B,C、出力する2相量をα,βとすると以下の式により変換する。
【0102】
α=A
β=(B−C)/√3
上式からα,β値は、A,B,Cと基本周波数が同一の交流波である。
【0103】
相電圧検出装置61より出力するU相、V相、W相の相電圧EU1,EV1,EW1と上記A,B,Cの関係は、Aには電圧不平衡低減装置で電圧の大きさを変化させる相に対応する電圧とし、BはAに割り付けた相から120度遅れた相、CはBに割り付けた相からさらに120度遅れた相とする。即ち、図7の構成の場合には、Aには電圧の大きさを変化させられるW相、BにはW相から120度遅れたU相、Cには残りのV相の相電圧を割り付けることになる。
【0104】
このようにA,B,Cに3相各相を割り付けるとαとβは交流波となり、αに一致する交流波はβの交流波に対して進み波形となる。さらに、3相電圧が平衡である場合には、β波形はα波形に対して90度遅れ、αとβの振幅は同一値となる。
【0105】
次に3相2相変換器62より出力した2相量α、βはタップ切換指令器63に取込まれ、α、βの2相量から図7のタップ切換器2a,2b,2cへのタップ値を計算し、タップ切換器2a,2b,2cへタップ切換指令を出力する。タップ切換器2a,2b,2cでは、入力した2相交流量α、βの位相差と振幅比との下記の関係を利用してタップ変更の指針とする。
【0106】
(1)A相に割り付けた相の電圧位相が平衡状態から遅れの場合、αとβの振幅は同じでβはαに対して90度以上遅れ位相である。
【0107】
(2)A相に割り付けた相の電圧位相が平衡状態から進みの場合、αとβの振幅は同じでβはαに対して90度より進み位相である。
【0108】
(3)B相に割り付けた相の電圧位相が平衡状態から遅れの場合、βの振幅はαの振幅より小さくβはαに対して90度以上遅れ位相である。
【0109】
(4)B相に割り付けた相の電圧位相が平衡状態から進みの場合、βの振幅はαの振幅より大きくβはαに対して90度より進み位相である。
【0110】
(5)C相に割り付けた相の電圧位相が平衡状態から遅れの場合、βの振幅はαの振幅より大きくβはαに対して90度以上遅れ位相である。
【0111】
(4)C相に割り付けた相の電圧位相が平衡状態から進みの場合、βの振幅はαの振幅より小さくβはαに対して90度より進み位相である。
【0112】
これらの関係からα、βの2相量のそれぞれの振幅比と位相差から不平衡電圧の原因となる1相を唯一特定できる。なお、図7の電圧不平衡低減装置は、1相の大きさと2相の位相を変えることが可能であり、前述したようにA相は電圧の大きさを、B相とC相は電圧の位相を変化させることができるので、BまたはC相の進み、または遅れ位相の場合は、B相またはC相の進み遅れを打ち消すことができる。
【0113】
現状より進み位相または遅れ位相となるタップ値へ移動させる。その後、A相の大きさをαとβが同一振幅値に近くなるようなタップ値へ変更することで不平衡状態が低減される。
【0114】
なお、A相は大きさのみ可変であるので、A相の位相が進みまたは遅れとなった場合には、B相とC相をA相の位相ずれと逆位相方向でB,C相を同一位相で同時に移相させることで結果的にA相の位相を調整することになる。
【0115】
このように現状のタップ値に対してタップ値を移動すべき方向が判定されるので、タップ値上げまたは下げるというタップ値変更の指令をタップ切換器2a,2b,2cに与えることができる。
【0116】
図7の構成に対応させて説明すると、A相の大きさを変える場合にはタップ切換器2cへ、B相の位相を変える場合にはタップ切換器2aへ、C相の位相を変える場合にはタップ切換器2bへタップ変更指令を出すことになる。
【0117】
このように本実施形態の電圧不平衡低減装置によれば、タップ切換制御器6の相電圧検出部61で検出した3相の相電圧を3相2相変換部62により2相交流量に変換し、タップ切換指令器63により2相交流量の振幅及び位相から不平衡電圧の原因となる相電圧を特定した上で、その特定した相電圧を改善するようにタップ切換器2a,2b,2cへタップ値変更の指令を与えることが可能となるので、3相中のある1相の電圧についてはその位相は変えずに大きさのみを可変し、残りの2相が構成する線間電圧にそれぞれ独立に同位相または逆位相の大きさを可変とした電圧を印加することができる。
【0118】
従って、電力系統に不平衡電圧が発生した場合に、3相中の1相の大きさを変化させ、残り2相の位相を個別に変化させることにより不平衡電圧を打ち消す電圧を与えることが可能となり、不平衡電圧を効果的に低減することができる。
【0119】
図10は本発明による電圧不平衡低減装置の第4の実施形態を示す回路構成図で、図1と同一構成部品には同一符号を付してその説明を省略し、ここでは異なる点について述べる。
【0120】
第4の実施形態では、1次巻線に中間タップを持つ調整用変圧器20、調整用変圧器1、2つのタップ切換器2a,2b及び2つの直列変圧器3a,3bから電圧不平衡低減装置を構成し、これらは次のように接続されている。
【0121】
図10において、調整用変圧器20は3相中の2相間、例えばUV相間に設けられ、その1次巻線201の一端がU相線路に、他端がV相線路に接続される。また、もう一つの調整用変圧器1の1次巻線11の一端がW相線路に接続され、その他端と調整用変圧器20の1次巻線201に有する中間タップとが接続される。
【0122】
また、調整用変圧器20の2次巻線202にタップ切換器2aが、調整用変圧器1の2次巻線12にタップ切換器2bがそれぞれ接続されている。
【0123】
さらに、直列変圧器3a,3bは3相のうち調整用変圧器20が設けられている相間以外の相、ここではW相に1次巻線を直列に接続して設けられ、直列変圧器3aの2次巻線32aにタップ切換器2aの出力端子が接続され、また直列変圧器3bの2次巻線32bにタップ切換器2bの出力端子が接続されている。
【0124】
上記タップ切換器2a,2bは、図2と同様に構成されたタップ切換制御器4より出されるタップ切換指令に基づいて調整用変圧器20,1の2次巻線202,12より導出されたタップが切換選択される。
【0125】
なお、上記では調整用変圧器20,1を直列変圧器3a,3bからみて装置の出力端子U2,V2,W2側に設けたが、これら調整用変圧器20,1を直列変圧器3a,3bからみて装置の入力端子U1,V1,W1側に設けても良い。
【0126】
次にこのように構成された電圧不平衡低減装置の作用を図11に示す電圧ベクトル図を参照しながら説明する。
【0127】
いま、タップ切換制御器4において、3相系統入力側の3相各相の電圧を検出して3相ベクトルを生成し、この3相ベクトルを基準ベクトルと比較してその電圧差を求めると共に、その電圧差に応じて直列変圧器3aの入力電圧の位相を変化させるタップ切換器2aのタップ値及び直列変圧器3bの入力電圧の大きさを変化させるタップ切換器2bのタップ値をそれぞれ求めてタップ切換器2a,2bにタップ切換指令を与えるものとする。
【0128】
入力端子U1,V1,W1より入力された各相電圧EU1,EV1は、調整用変圧器20の1次巻線201に、UV相間の電圧EU1V1=EU2V2として入力される。また、調整用変圧器1の1次巻線11には、調整用変圧器20の1次巻線201に入力された電圧EU1V1の中間電圧である図11のO点に対するW相電圧EW2が入力される。
【0129】
調整用変圧器20で検出された電圧EU2V2により2次巻線202が誘起され、タップ切換器2aにより切換選択されたタップよりタップ切換制御器4で設定された大きさ及び極性の電圧ΔW2が直列変圧器3aの2次巻線32aに与えられる。
【0130】
同様に調整用変圧器1の1次巻線11に入力した電圧EW2により2次巻線12が誘起され、タップ切換器2bにより切換選択されたタップよりタップ切換制御器4で設定された大きさ及び極性の電圧ΔW1が直列変圧器3bの2次巻線32bに与えられる。
【0131】
一方、入力端子W1から入力された電圧EW1は、直列変圧器3aで電圧ΔW2がベクトル加算され、さらに直列変圧器3bで電圧ΔW1がベクトル加算されてW相の出力端子W2に出力される。
【0132】
したがって、W相の出力端子W2から出力される相電圧EW2は、図11に示すようにEW1にΔW2とΔW1を加算した電圧となる。ここで、電圧ΔW2は調整用変圧器20より入力した電圧EU2V2に比例し、電圧ΔW1は調整用変圧器1より入力したW相電圧EW2に比例している。
【0133】
図11に示すようにW相の入力端子W1に入力される電圧EW1に電圧ΔW1とΔW2を加算することで、W相の出力端子W2の電圧は大きさと位相が改善された電圧EW2となり、不平衡電圧である入力電圧EU1,EV1,EW1は平衡電圧に近い出力電圧EU2,EV2,EW2に改善される。
【0134】
このように本実施形態の電圧不平衡低減装置によれば、調整用変圧器20より入力した線間電圧の大きさをタップ切換器2aを通して変化させ、この調整用変圧器20が設置された線間のUV相以外のW相の相電圧に直列変圧器3aにより印加して該相電圧の位相を変化させると共に、調整変圧器1より入力した電圧の大きさをタップ切換器2bを通して変化させ、前記W相の相電圧に直列変圧器3bにより印加して、3相中の1相の相電圧の大きさと位相を変化させることにより、簡易な構成で電力系統に発生する電圧不平衡を打消す不平衡電圧を発生させることができる。
【0135】
図12は本発明による電圧不平衡低減装置の第5の実施形態を示す回路構成図で、図1と同一構成部品には同一符号を付してその説明を省略し、ここでは異なる点について述べる。
【0136】
第5の実施形態では、1次巻線に中間タップを持つ調整用変圧器20、調整用変圧器1、2つのタップ切換器2a,2b及び3つの直列変圧器3a,3b,3cから電圧不平衡低減装置を構成し、これらは次のように接続されている。
【0137】
図12において、調整用変圧器20は3相中の2相間、例えばUV相間に設けられ、その1次巻線201の一端がU相線路に、他端がV相線路に接続される。また、もう一つの調整用変圧器1の1次巻線11の一端がW相線路に接続され、その他端と調整用変圧器20の1次巻線201に有する中間タップとが接続される。
【0138】
また、調整用変圧器20の2次巻線202にタップ切換器2aが、調整用変圧器1の2次巻線12にタップ切換器2bがそれぞれ接続されている。
【0139】
さらに、直列変圧器3a,3b,3cは、3相各相に対応する線路に1次巻線31a,31b,31cをそれぞれ接続して設けられ、直列変圧器3a,3bの2次巻線32a,32bを直列接続してタップ切換器2aの出力端子が接続され、また直列変圧器3cの2次巻線32cにタップ切換器2bの出力端子が接続されている。
【0140】
上記タップ切換器2a,2bは、図2と同様に構成されたタップ切換制御器4より出されるタップ切換指令に基づいて調整用変圧器20,1の2次巻線202,12より導出されたタップが切換選択される。
【0141】
なお、上記では調整用変圧器20,1を直列変圧器3a,3b,3cからみて装置の出力端子U2,V2,W2側に設けたが、これら調整用変圧器20,1を直列変圧器3a,3b,3cからみて装置の入力端子U1,V1,W1側に設けても良い。
【0142】
次にこのように構成された電圧不平衡低減装置の作用を図13に示す電圧ベクトル図を参照しながら説明する。
【0143】
いま、タップ切換制御器4において、3相系統入力側の3相各相の電圧を検出して3相ベクトルを生成し、この3相ベクトルを基準ベクトルと比較してその電圧差を求めると共に、その電圧差に応じて調整用変圧器20により入力した線間電圧を変化させるタップ切換器2aのタップ値及び調整用変圧器2bにより入力した電圧の大きさを変化させるタップ切換器2bのタップ値を求めてタップ切換器2a,2bにタップ切換指令を与えるものとする。
【0144】
入力端子U1,V1,W1より各相電圧EU1,EV1,EW1が入力されているものとすると、調整用変圧器20の1次巻線201にUV相間の電圧EU2V2が与えられ、2次巻線202に電圧が誘起される。この2次巻線202の誘起電圧は、タップ切換器2aにより切換選択されたタップよりタップ切換制御器4で設定された大きさ及び極性の電圧として直列変圧器3a,3bの2次巻線32a,32bに与えられる。この場合、直列変圧器3a,3bの2次巻線32a,32bは直列接続され、1次巻線31a,31bには同一位相で同一の大きさの電圧が出力されるように2次巻線32a,32Bの極性が設定されている。
【0145】
したがって、図13のベクトル図のように、U相、V相の出力端子の電圧EU2,EV2は、直列変圧器3a,3bによりそれぞれ調整用変圧器20より入力した電圧EU2V2に比例した電圧ΔUVを同位相、同一大きさでU相、V相の入力電圧EU1,EV1に加算されたものとなる。
【0146】
また、調整用変圧器1の1次巻線11に入力された電圧EW2は、2次巻線12に出力され、この2次巻線12につながるタップ切換器2bにより切換選択されたタップよりタップ切換制御器4で設定された大きさ及び極性の電圧ΔWを直列変圧器1の2次巻線32cに出力する。
【0147】
W相の入力端子W1に入力された電圧EW1に直列変圧器3cで電圧ΔWがベクトル加算された電圧EW2が出力端子W2から出力される。したがって、出力端子W2から出力される相電圧EW2は、図13に示すようにEW1にΔWを加算したものであり、すなわち相電圧の大きさのみを可変した電圧となる。
【0148】
このように本実施形態の電圧不平衡低減装置によれば、調整用変圧器20により入力したUV相の線間電圧の大きさをタップ切換器2aを通して変化させ、調整用変圧器20を設置した線間のU相、V相に設置された2つの直列変圧器3a,3bを通して相電圧を印加し、また調整用変圧器1により入力した電圧の大きさをタップ切換器2bを通して変化させ、上記2相以外の残りのW相に設置した直列変圧器3cを通して相電圧に印加して、3相中の2相の相電圧を同位相分変化させると共に、残り1相の相電圧の大きさを変化させることが可能となるので、簡易な構成にして電力系統で発生する電圧不平衡を打ち消す不平衡電圧を発生させることができる。したがって、3相中の1相の電圧が不平衡電圧を打ち消すように相電圧の大きさと位相を変化させることと等価になるので、不平衡電圧を低減できる。
【0149】
また、図12に示すように3相線路に1つずつ直列変圧器が設置され、そのインピーダンスは等しいので、入力端子U1,V1,W1から平衡電圧が入力された場合に各相に設けられた直列変圧器のインピーダンス値の相違による不平衡状態が発生しにくいという効果もある。
【0150】
【発明の効果】
以上述べたように本発明によれば、電圧不平衡状態において、電圧不平衡電圧を打ち消すような不平衡電圧を出力することで電力系統の電圧不平衡状態を低減可能で、装置構成が簡易な電圧不平衡低減装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による電圧不平衡低減装置の第1の実施形態を示す回路構成図。
【図2】同実施形態におけるタップ切換制御器を示すブロック回路図。
【図3】同実施形態における作用を説明するための電圧ベクトル図。
【図4】本発明による電圧不平衡低減装置の第2の実施形態を示す回路構成図。
【図5】同実施形態におけるタップ切換制御器を示すブロック回路図。
【図6】同実施形態における作用を説明するための電圧ベクトル図。
【図7】本発明による電圧不平衡低減装置の第3の実施形態を示す回路構成図。
【図8】同実施形態におけるタップ切換制御器を示すブロック回路図。
【図9】同実施形態における作用を説明するための電圧ベクトル図。
【図10】本発明による電圧不平衡低減装置の第4の実施形態を示す回路構成図。
【図11】同実施形態における作用を説明するための電圧ベクトル図。
【図12】本発明による電圧不平衡低減装置の第5の実施形態を示す回路構成図。
【図13】同実施形態における作用を説明するための電圧ベクトル図。
【図14】従来の電圧不平衡低減装置を示す回路構成図。
【図15】同電圧不平衡低減装置のタップ切換制御器を示すブロック回路図。
【符号の説明】
1a,1b,1c…調整用変圧器
2a,2b,2c…タップ切換器
3a,3b,3c…直列変圧器
4,5,6,…タップ切換制御器
11…調整用変圧器の1次巻線
12a,12b,12c…調整用変圧器の2次巻線
31a,31b,31c…直列変圧器の1次巻線
32a,32b,32c…直列変圧器の2次巻線
10…2つの2次巻線を持つ調整用変圧器
101…2つの2次巻線を持つ調整用変圧器の1次巻線
102a,102b…2つの2次巻線を持つ調整用変圧器の2次巻線
20…1次巻線に中間タップを持つ調整用変圧器
201…1次巻線に中間タップを持つ調整用変圧器の1次巻線
41…3相電圧検出部
42…3相ベクトル生成部
43…ベクトル比較部
44…第1の演算部
45…第2の演算部
46…タップ切換指令部
51…相間電圧検出部
52…正逆相変換部
53…逆相量反転部
54…タップ切換指令部
61…相電圧検出部
62…3相2相変換部
63…タップ切換指令部
Claims (5)
- 3相系統の3相各相間に接続され2次巻線に複数のタップを有する3台の調整用変圧器と、これら各調整用変圧器にそれぞれ接続され該調整用変圧器の2次巻線に有するタップを切換えるタップ切換器と、前記3相系統の各相線路にそれぞれ直列に設けられた3台の直列変圧器とを備え、これら各直列変圧器の2次巻線を該直列変圧器が設けられる相以外の相間に設けられた前記調整用変圧器側のタップ切換器に接続する構成とし、
且つ3相系統入力側の3相各相の電圧を検出して3相ベクトルを生成し、この3相ベクトルを基準ベクトルと比較してその電圧差を求めると共に、その電圧差に応じた各相のタップ切換器のタップ値を求めて前記タップ切換器にタップ切換指令を与えるタップ切換制御器を備えたことを特徴とする電圧不平衡低減装置。 - 3相系統の3相各相間に接続され2次巻線に複数のタップを有する3台の調整用変圧器と、これら各調整用変圧器にそれぞれ接続され該調整用変圧器の2次巻線に有するタップを切換えるタップ切換器と、前記3相系統の各相線路にそれぞれ直列に設けられた3台の直列変圧器とを備え、1つの直列変圧器の2次巻線を該直列変圧器が設けられる相以外の相間に設けられた前記調整用変圧器に接続された1つのタップ切換器に接続し、残り2つの直列変圧器の2次巻線を該直列変圧器が設置される相が含まれる相間で且つ前記1つのタップ切換器以外のタップ切換器に接続する構成とし、
且つ3相系統の3つの相間電圧を検出する相間電圧検出部、この相間電圧検出部により検出された3つの相間電圧値から正相量と逆相量を算出する正逆相変換部、前記逆相量を異符号に変換する符号変換部、前記正逆相変換器が出力する正相量を基準とした符号変換器が出力する逆相量の位相からタップ切換器のタップ値を算出してタップ切換指令を出力するタップ切換指令部からなるタップ切換制御器を備えたことを特徴とする電圧不平衡低減装置。 - 3相系統の2相の線間に接続されそれぞれ複数のタップを有する2つの2次巻線を持つ第1の調整用変圧器と、この第1の調整用変圧器の1次巻線に有する中間タップから残りの1相に接続され2次巻線に複数のタップを有する第2の調整用変圧器と、前記第1の調整用変圧器の2つの2次巻線に有するタップを個別に切換える2つの第1のタップ切換器と、前記第2の調整用変圧器の2次巻線に有するタップを切換える第2のタップ切換器と、前記2相の線路各々に直列に設けられ各々の2次巻線がそれぞれ対応する前記第1のタップ切換器に接続される2つの第1の直列変圧器と、前記残りの1相に直列に設けられ2次巻線が前記第2のタップ切換器に接続される第2の直列変圧器とを設ける構成とし、
且つ3相系統の相電圧を検出する相電圧検出部、この相電圧検出部により検出された3相の電圧値を3相2相変換する3相2相変換部、この3相2相変換部が出力する2相の交流波形の振幅及び位相差から前記第1及び第2のタップ切換器のタップ値を算出してタップ切換指令を出力するタップ切換指令部からなるタップ切換制御器を備えたことを特徴とする電圧不平衡低減装置。 - 3相系統の2相の線間に接続され2次巻線に複数のタップを有する第1の調整用変圧器と、この第1の調整用変圧器の1次巻線に有する中間タップから残りの1相に接続され2次巻線に複数のタップを有する第2の調整用変圧器と、前記第1の調整用変圧器の2次巻線に有するタップを切換える第1のタップ切換器と、前記第2の調整用変圧器の2次巻線に有するタップを切換える第2のタップ切換器と、前記残りの1相の線路に直列に設けられ2次巻線が前記第1のタップ切換器に接続された第1の直列変圧器と、前記残りの1相の線路に直列に設けられ2次巻線が前記第2のタップ切換器に接続された第2の直列変圧器とから構成され、
且つ3相系統入力側の3相各相の電圧を検出して3相ベクトルを生成し、この3相ベクトルを基準ベクトルと比較してその電圧差を求めると共に、その電圧差に応じて前記第1の直列変圧器の入力電圧の位相を変化させる前記第1のタップ切換器のタップ値及び前記第2の直列変圧器の入力電圧の大きさを変化させる前記第2のタップ切換器のタップ値をそれぞれ求めて前記第1及び第2のタップ切換器にタップ切換指令を与えるタップ切換制御器を備えたことを特徴とする電圧不平衡低減装置。 - 3相系統の2相の線間に接続され2次巻線に複数のタップを有する第1の調整用変圧器と、この第1の調整用変圧器の1次巻線に有する中間タップから残りの1相に接続され2次巻線に複数のタップを有する第2の調整用変圧器と、前記第1の調整用変圧器の2次巻線に有するタップを切換える第1のタップ切換器と、前記第2の調整用変圧器の2次巻線に有するタップを切換える第2のタップ切換器と、前記2相の線路にそれぞれ直列に設けられ各々の2次巻線が前記第1のタップ切換器に接続された2つの第1の直列変圧器と、前記残りの1相の線路に直列に設けられ2次巻線が前記第2のタップ切換器に接続された第2の直列変圧器とから構成され、
且つ3相系統入力側の3相各相の電圧を検出して3相ベクトルを生成し、この3相ベクトルを基準ベクトルと比較してその電圧差を求めると共に、その電圧差に応じて前記第1の調整用変圧器により入力した線間電圧を変化させる第1のタップ切換器のタップ値及び前記第2の調整用変圧器により入力した電圧の大きさを変化させる第2のタップ切換器のタップ値を求めて前記第1及び第2のタップ切換器にタップ切換指令を与えるタップ切換制御器を備えたことを特徴とする電圧不平衡低減装置。
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