JP2004087058A - 磁気記録媒体 - Google Patents

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脇 幸吉
Koji Hattori
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Abstract

【課題】高い表面平滑性を維持しながら良好なサーボ機能を発揮し、高い保磁力を有する磁気記録媒体を提供する。
【解決手段】支持体上に、少なくとも、光サーボ色素層および強磁性金属ナノ粒子を含有する磁性層を有することを特徴とする磁気記録媒体である。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気記録媒体に関し、特に、光サーボ機能を発揮する層を有する磁気記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
磁性層に含有される磁性体の粒子サイズを小さくすることは、磁気記録密度を高くする上で必要である。たとえば、ビデオテープ、コンピュータテープ、ディスクなどとして広く用いられている磁気記録媒体では、強磁性体の質量が同じ場合、粒子サイズを小さくしていった方がノイズは下がる。
CuAu型あるいはCuAu型強磁性規則合金は、規則化時に発生する歪みのために、結晶磁気異方性が大きく、粒子サイズを小さくし、いわゆる金属ナノ粒子といわれる状態としても強磁性を示すことから、磁気記録密度向上に有望な素材である。
【0003】
CuAu型あるいはCuAu型合金を形成しうる金属ナノ粒子の合成法としては、沈殿法で分類すると、▲1▼1級アルコールを用いるアルコール還元法、▲2▼2級、3級、2価または3価のアルコールを用いるポリオール還元法、▲3▼熱分解法、▲4▼超音波分解法、▲5▼強力還元剤還元法、などがある。
また、反応系で分類すると、▲6▼高分子存在法、▲7▼高沸点溶媒法、▲8▼正常ミセル法、▲9▼逆ミセル法、などがある。
【0004】
上記方法で合成された金属ナノ粒子の構造は、面心立方晶となる。面心立方晶は通常、軟磁性あるいは常磁性を示す。軟磁性あるいは常磁性では記録媒体用には適していない。磁気記録媒体に必要な95.5kA/m(1200Oe)以上の保磁力を有する強磁性規則合金を得るには、不規則相から規則相へ変態する変態温度以上でアニール処理を施す必要がある。
【0005】
液相法で調製された金属ナノ粒子は、通常、有機分散剤やポリマーで安定化され、有機溶媒中に分散した状態で存在する。このような状態の金属ナノ粒子を支持体上に塗布し、不活性ガス中において変態温度以上で熱処理して磁性層を形成すると、金属ナノ粒子が強磁性となる一方で、有機分散剤やポリマーは炭化される。この炭化は、金属ナノ粒子間の磁化を独立させるために好ましい。さらに、支持体と磁性層との密着を良くし、磁性層の膜強度を高く保つために、金属酸化物などのマトリックス剤を存在させることが有効な方法として用いられる。
【0006】
ところで、現在使用されている磁気記録媒体には、記録再生位置を検出するために、磁性層の一部をマーキングしこのマーキング位置を検出しながら記録再生を行うサーボ機能が具備されている。この方式では、高密度記録にするほどサーボ機能のための領域が多く必要になるという欠点を有している。そこで、このような欠点を無くし、磁性層を記録だけに使用しながら、光でサーボ機能を行う方式がいくつか提案されている。
例えば、特開平6−176354号には、光サーボ情報として、保護層の表面に溝を形成し、それをレーザ光で検出する方法が開示されている。また、特開平7−334891号には、支持体基板上または裏面に凹凸を付けたものを光サーボ情報とし、裏面からレーザ光で位置検出する方法が開示されている。さらに、特開平11−161928号および特開2001−291347号には、磁気ヘッドに光サーボ機能を付与して一体化したものが開示されている。
【0007】
しかし、磁気記録媒体の記録密度を高くするに従い、ヘッドを高性能にして小さくする必要がある。また、ヘッドの浮上量は10nm以下が要求されるようになり、磁気記録媒体の平滑化が必須となる(日経エレクトロニクス,2001.2.26,P176)。
かかる観点から、上記の開示された磁気記録媒体では、サーボ情報としての凹凸が平滑性を悪化させ、ヘッドとの接触で磁性層が破壊される危険性がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
以上から本発明は、高い表面平滑性を維持しながら良好なサーボ機能を発揮し、高い保磁力を有する磁気記録媒体を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決すべく鋭意検討の結果、本発明者は、以下に示す本発明により上記課題を解決できることを見出した。すなわち、本発明は、
支持体上に、少なくとも、光サーボ色素層および強磁性金属ナノ粒子を含有する磁性層を有することを特徴とする磁気記録媒体である。
なお、前記磁性層と前記光サーボ色素層はそれぞれ、支持体の同一側(支持体の一方の面側)に形成させてもよく、また、一方を支持体の上側に形成し他方を下側に形成するように、支持体を挟んで反対側に形成してもよい。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の磁気記録媒体は、支持体上に、少なくとも、光サーボ色素層および強磁性金属ナノ粒子を含有する磁性層を有する。
前記光サーボ色素層は、後述するようにレーザ光の照射により反射率が変化する色素を含有し、サーボ機能を発揮し得る層である。かかる層を磁性層とは独立して設けることで、サーボ機能のための領域を磁性層に形成する必要がなくなる。また、支持体上に凹凸を付与するものではないため、磁気記録媒体の表面平滑性を高い状態に維持することが可能で、ヘッドとの接触により磁性層が破壊されることがない。
また、磁性層に強磁性金属ナノ粒子を含有させることで、高い保磁力を有する磁性層とすることができる。
【0011】
本発明における磁気記録媒体としては、下記の構成がある。
すなわち、▲1▼支持体上に、磁性層、非磁性層、光サーボ色素層が順次形成された構成、▲2▼支持体上に、光サーボ色素層、非磁性層、磁性層が順次形成された構成、▲3▼支持体上に磁性層が形成され、当該磁性層が形成された側とは反対側の支持体上に非磁性層、光サーボ色素層が順次形成された構成、である。
上記構成によれば、本発明の効果を充分に発揮することが可能であるが、実用上、ヘッドを一体化して小さくし、操作性を良くする点で上記構成の中でも▲1▼および▲2▼の構成が好ましい。
【0012】
上記のように、強磁性金属ナノ粒子を含有する磁性層と光サーボ色素層とが支持体の同一側にある場合は、磁性層と光サーボ色素層との間に非磁性層を設置することが好ましい。また、強磁性金属ナノ粒子磁性層と光サーボ色素層とが支持体の反対側にある場合は、支持体と光サーボ色素層との間に、非磁性層を設置することが好ましい。
非磁性層を設置することで、光サーボ色素層にサーボパターンを記録したときの熱変形を防止し、平滑性をより高めることができる。
【0013】
非磁性層の材料としては、SiO、SiO、ZnO、SnO、Al、TiO、In、MgO、ZrOなどの金属酸化物;Si、AlN、TiN、BN、ZrNなどの金属窒化物;ZnS、In、TaSなどの金属硫化物;SiC、TaC、BC、WC、TiC、ZrCなどの金属炭化物;ダイヤモンド状カーボン;Si系ポリマーおよびTi系ポリマー;などを単独で使用、または2種以上を併用することができる。上記材料の中でも、透過率の高い材料として、金属酸化物、Si系ポリマー、Ti系ポリマーが好ましい。
非磁性層の作製法としては、真空蒸着法、スパッタ法、プラズマCVD法、光CVD法、イオンプレーティング法、電子ビーム蒸着法、スピンコート法などが用いられる。
【0014】
上記▲1▼〜▲3▼に示した構成で、各層の上にさらに、導電層、保護膜および潤滑剤を付与した層を適宜形成することが好ましい。
【0015】
光サーボ色素層へのサーボパターンの記録は、まず、サーボパターンを開けたマスク材を、光サーボ色素層の上(光サーボ色素層上に保護層もしくは潤滑剤層が形成されている場合はそれら上)に、100〜500nmの間隔を空けて重ね合わせる。そして、そのマスク材の上から、長軸100〜300μm、短軸1〜3μmの楕円状スポットのレーザ光を光サーボ色素層にフォーカスし、媒体を回転させながら、中心から半径方向の外側に移動させて、レーザ光を照射する。
サーボパターン部の色素はレーザ光の照射で分解し、その分解部分の反射率が低下する。この反射率の低下により記録再生位置が検出される。
上記のようにして短時間でサーボパターンを光サーボ色素層に記録できる。使用するレーザ光は400〜850nmの中から、色素の光吸収に合った波長のものが選ばれる。レーザ光の種類としては、気体レーザ(例えば、He−Ne、Ar、Kr、CO)、固体レーザ(例えば、ルビー、YAG)、半導体レーザなどが挙げられる。
【0016】
光サーボ色素層は、400〜850nmの範囲で光吸収を有する色素が利用できる。色素の例としては、特許第2588422号、特開平10−226170号、特開2000−355659号、特開2001−225557号、特開2001−277718号、特開2001−287456号、特開2001−328351号、特開2002−52825号、特開2002−128753号などが挙げられる。
光サーボ色素層は、上記各公報に記載された方法で当該色素をスピンコートして形成される。
【0017】
磁性層は、強磁性金属ナノ粒子を含有するため、透過率が非常に高い。従って、非磁性層の透過率を高くすることで、光サーボ色素層へレーザ光を到達させることが可能となり、磁気ヘッドと同一側に光サーボ機能を設置することができる。
【0018】
本発明の磁気記録媒体の磁性層に含有される強磁性金属ナノ粒子は、CuAu型あるいはCuAu型強磁性規則合金相を有していることが好ましい。かかる合金相は、強磁性を示すため、磁気記録媒体に好適に使用することができる。
【0019】
当該CuAu型強磁性規則合金としては、FeNi、FePd、FePt、CoPt、CoAuなどが挙げられ、なかでもFePd、FePt、CoPtであることが好ましい。
また、CuAu型強磁性規則合金としては、NiFe、FePd、FePt、FePt、CoPt、NiPt、CrPt、NiMnが挙げられ、なかでもFePd、FePt、CoPt、FePd、FePt、CoPtが好ましい。
【0020】
アニールした後、すなわち規則化された強磁性金属ナノ粒子の保磁力は、95.5〜636.8kA/m(1200〜8000Oe)であることが好ましく、磁気記録媒体への適用を考慮し記録ヘッドが対応できるという観点から、95.5〜398kA/m(1200〜5000Oe)であることがより好ましい。
【0021】
強磁性を発揮し得る金属ナノ粒子は、気相法や液相法により製造することができる。液相法としては、従来から知られている種々の方法を適用することができるが、これらに改良を加えた逆ミセル法や還元法を適用することが好ましい。
以下、金属ナノ粒子の製造方法を、逆ミセル法を例に説明する。
【0022】
上記逆ミセル法は、少なくとも、(1)2種以上の逆ミセル溶液を混合して還元反応を行う還元工程と、(2)還元反応後に所定温度で熟成する熟成工程と、を有する。
以下、各工程について説明する。
【0023】
(1)還元工程:
まず、界面活性剤を含有する非水溶性有機溶媒と金属塩水溶液とを混合した逆ミセル溶液(I)を調製する。
【0024】
前記界面活性剤としては、油溶性界面活性剤が用いられる。具体的には、スルホン酸塩型(例えば、エーロゾルOT(和光純薬製))、4級アンモニウム塩型(例えば、セチルトリメチルアンモニウムブロマイド)、エーテル型(例えば、ペンタエチレングリコールドデシルエーテル)などが挙げられる。
非水溶性有機溶媒中の界面活性剤量は、20〜200g/リットルであることが好ましい。
【0025】
前記界面活性剤を溶解する非水溶性有機溶媒として好ましいものは、アルカン、エーテルおよびアルコール等が挙げられる。
アルカンとしては、炭素数7〜12のアルカン類であることが好ましい。具体的には、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン等が好ましい。
エーテルとしては、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル等が好ましい。
アルコールとしては、エトキシエタノール、エトキシプロパノール等が好ましい。
【0026】
金属塩水溶液に含有される金属塩としては、作製しようとする金属ナノ粒子がCuAu型あるいはCuAu型強磁性規則合金を形成し得るように、適宜選択することが好ましい。
具体的には、HPtCl、KPtCl、Pt(CHCOCHCOCH、NaPdCl、Pd(OCOCH、PdCl、Pd(CHCOCHCOCH、HAuCl、Fe(SO、Fe(NO、(NHFe(C、Fe(CHCOCHCOCH、NiSO、CoCl、Co(OCOCHなどが挙げられる。
【0027】
金属塩水溶液中の濃度(金属塩濃度として)は、0.1〜2000μモル/mlであることが好ましく、1〜500μモル/mlであることがより好ましい。
【0028】
ここで、逆ミセル溶液(I)溶液中の水と界面活性剤との質量比(水/界面活性剤)は、20以下となるようにすることが好ましい。質量比が20を超えると、沈殿が起きやすく、粒子も不揃いとなりやすいといった問題が生じることがある。質量比は、15以下とすることが好ましく、0.5〜10とすることがより好ましい。
【0029】
上記とは別に、界面活性剤を含有する非水溶性有機溶媒と還元剤水溶液とを混合した逆ミセル溶液(II)を調製する。
界面活性剤および非水溶性有機溶媒の条件(使用する物質、濃度など)については、逆ミセル溶液(I)と同様である。なお、界面活性剤種および水と界面活性剤との質量比は、逆ミセル溶液(I)と同じでも、異なっていてもよい。
金属塩および還元剤を複数種使用する場合、逆ミセル溶液を、例えば、(I’)、(I’’)、(II’)、(II’’)などとして分けても良い。その場合の界面活性剤種および水と界面活性剤との質量比も、逆ミセル溶液(I)と同じでも、異なっていてもよい。
ここで、逆ミセル溶液(I)、(I’)、(I’’)・・等は、既述の界面活性剤を含有する非水溶性有機溶媒と金属塩水溶液とを混合した溶液である。また、逆ミセル溶液(II)、(II’)、(II’’)・・等は、界面活性剤を含有する非水溶性有機溶媒と還元剤水溶液とを混合した溶液である。
【0030】
還元剤水溶液中の還元剤としては、アルコール類;ポリアルコール類;H;HCHO、S 2−、HPO 、BH 、N 、HPO などを含む化合物;を単独で使用、または2種以上を併用することが好ましい。
水溶液中の還元剤量は、金属塩1モルに対して、3〜50モルであることが好ましい。
【0031】
前記金属塩を適宜選択することで、卑な金属と貴な金属とが合金を形成したCuAu型もしくはCuAu型強磁性規則合金を形成し得る金属ナノ粒子が作製される。
【0032】
金属ナノ粒子をアニールすることによって合金相を不規則相から規則相へ変態させる必要があるが、当該変態温度を下げるために、前記2元系合金に、Sb、Pb、Bi、Cu、Ag、Zn、Inなどの第三元素を加えることが好ましい。これらの第三元素は、それぞれの第三元素の前駆体を、前記金属塩溶液に予め添加しておくことが好ましい。添加量としては、2元系合金に対し、1〜30at%であることが好ましく、5〜20at%であることがより好ましい。
【0033】
以上のようにして調製した逆ミセル溶液(I)と(II)とを混合する。混合方法としては、特に限定されるものではないが、還元の均一性を考慮して、逆ミセル溶液(I)を撹拌しながら、逆ミセル溶液(II)を添加していって混合することが好ましい。混合終了後、還元反応を進行させることになるが、その際の温度は、−5〜30℃の範囲で、一定の温度とすることが好ましい。
還元温度が−5℃未満では、水相が凝結して還元反応が不均一になるといった問題が生じ、30℃を超えると、凝集または沈殿が起こりやすく系が不安定となることがある。好ましい還元温度は0〜25℃であり、より好ましくは5〜25℃である。
ここで、前記「一定温度」とは、設定温度をT(℃)とした場合、当該TがT±3℃の範囲にあることをいう。なお、このようにした場合であっても、当該Tの上限および下限は、上記還元温度(−5〜30℃)の範囲にあるものとする。
【0034】
逆ミセル溶液(I)、(II)以外の逆ミセル溶液(I’)、(I’’)(II’)、(II’’)等は、条件に応じて添加することができる。組み合わせは特に限定されるものではないが、例えば、(I)と(II)とを混合した後、(II’’)を添加したり、(I)と(II)とを混合した後、(I’’)を添加したり、(I)と(I’)とを混合した後、(II)を添加したりすることができる。
【0035】
還元反応の時間は、逆ミセル溶液の量等により適宜設定する必要があるが、1〜30分とすることが好ましく、5〜20分とすることがより好ましい。
【0036】
還元反応は、粒径分布の単分散性に大きな影響を与えるため、できるだけ高速攪拌しながら行うことが好ましい。
好ましい攪拌装置は高剪断力を有する攪拌装置であり、詳しくは、攪拌羽根が基本的にタービン型あるいはパドル型の構造を有し、さらに、その羽根の端もしくは、羽根と接する位置に鋭い刃を付けた構造であり、羽根をモーターで回転させる攪拌装置である。具体的には、ディゾルバー(特殊機化工業製)、オムニミキサー(ヤマト科学製)、ホモジナイザー(SMT製)などの装置が有用である。これらの装置を用いることにより、単分散な金属ナノ粒子を安定な分散液として合成することができる。
【0037】
前記逆ミセル溶液(I)および(II)の少なくともいずれかに、アミノ基またはカルボキシ基を1〜3個有する少なくとも1種の分散剤を、作製しようとする金属ナノ粒子1モル当たり、0.001〜10モル添加することが好ましい。
【0038】
かかる分散剤を添加することで、より単分散で、凝集の無い金属ナノ粒子を得ることが可能となる。
添加量が、0.001モル未満では、金属ナノ粒子の単分散性をより向上させることできない場合があり、10モルを超えると凝集が起こる場合がある。
【0039】
前記分散剤としては、金属ナノ粒子表面に吸着する基を有する有機化合物が好ましい。具体的には、アミノ基、カルボキシ基、スルホン酸基またはスルフィン酸基を1〜3個有するものであり、これらを単独または併用して用いることができる。
構造式としては、R−NH、NH−R−NH、NH−R(NH)−NH、R−COOH、COOH−R−COOH、COOH−R(COOH)−COOH、R−SOH、SOH−R−SOH、SOH−R(SOH)−SOH、R−SOH、SOH−R−SOH、SOH−R(SOH)−SOHで表される化合物であり、式中のRは直鎖、分岐または環状の飽和、不飽和の炭化水素である。
【0040】
分散剤として特に好ましい化合物はオレイン酸である。オレイン酸はコロイドの安定化において周知の界面活性剤であり、鉄ナノ粒子を保護するのに用いられてきた。オレイン酸の比較的長い(たとえば、オレイン酸は18炭素鎖を有し長さは〜20オングストローム(〜2nm)である。オレイン酸は脂肪族ではなく二重結合が1つある)鎖は粒子間の強い磁気相互作用を打ち消す重要な立体障害を与える。
エルカ酸やリノール酸など類似の長鎖カルボン酸もオレイン酸同様に(たとえば、8〜22の間の炭素原子を有する長鎖有機酸を単独でまたは組み合わせて用いることができる)用いられる。オレイン酸は(オリーブ油など)容易に入手できる安価な天然資源であるので好ましい。また、オレイン酸から誘導されるオレイルアミンもオレイン酸と同様に有用な分散剤である。
【0041】
以上のような還元工程では、CuAu型あるいはCuAu型強磁性規則合金相中のCo、Fe、Ni、Cr等の酸化還元電位が卑な金属(−0.2V(vs.N.H.E)程度以下の金属)が還元され、極小サイズで単分散な状態で析出するものと考えられる。その後、昇温段階および後述する熟成工程において、析出した卑な金属を核とし、その表面で、Pt、Pd、Rh等の酸化還元電位が貴な金属(−0.2V(vs.N.H.E)程度以上の金属)が卑な金属で還元されて置換、析出する。イオン化した卑な金属は還元剤で再度還元されて析出すると考えられる。このような繰返しによって、CuAu型あるいはCuAu型強磁性規則合金を形成し得る金属ナノ粒子が得られる。
【0042】
(2)熟成工程:
還元反応終了後、反応後の溶液を熟成温度まで昇温する。
前記熟成温度は、30〜90℃で一定の温度とすることが好ましく、その温度は、前記還元反応の温度より高くする。また、熟成時間は、5〜180分とすることが好ましい。熟成温度および時間が上記範囲より高温長時間側にずれると、凝集または沈殿が起きやすく、逆に低温短時間側にずれると、反応が完結しなくなり組成が変化することがある。好ましい熟成温度および時間は40〜80℃および10〜150分であり、より好ましい熟成温度および時間は40〜70℃および20〜120分である。
【0043】
ここで、前記「一定温度」とは、還元反応の温度の場合と同義(但し、この場合、「還元温度」は「熟成温度」となる)であるが、特に、上記熟成温度の範囲(30〜90℃)内で、前記還元反応の温度より5℃以上高いことが好ましく、10℃以上高いことがより好ましい。5℃未満では、処方通りの組成が得られないことがある。
【0044】
以上のような熟成工程では、還元工程で還元析出した卑な金属上に貴な金属が析出する。
すなわち、卑な金属上でのみ貴な金属の還元が起こり、卑な金属と貴な金属とが別々に析出することが無いため、効率良くCuAu型あるいはCuAu型強磁性規則合金を形成し得る金属ナノ粒子を、高収率で処方組成比どおりに作製することが可能で、所望の組成に制御することができる。また、熟成の際の温度の撹拌速度を適宜調整することで、得られる金属ナノ粒子の粒径を所望なものとすることができる。
【0045】
前記熟成を行った後は、水と1級アルコールとの混合溶液で前記熟成後の溶液を洗浄し、その後、1級アルコールで沈殿化処理を施して沈殿物を生成させ、該沈殿物を有機溶媒で分散させる洗浄・分散工程を設けることが好ましい。
かかる洗浄工程を設けることで、不純物が除去され、磁気記録媒体の磁性層を塗布により形成する際の塗布性をより向上させることができる。
上記洗浄および分散は、少なくともそれぞれ1回、好ましくは、それぞれ2回以上行う。
【0046】
洗浄で用いる前記1級アルコールとしては、特に限定されるものではないが、メタノール、エタノール等が好ましい。体積混合比(水/1級アルコール)は、10/1〜2/1の範囲にあることが好ましく、5/1〜3/1の範囲にあることがより好ましい。
水の比率が高いと、界面活性剤が除去されにくくなることがあり、逆に1級アルコールの比率が高いと、凝集を起こしてしまうことがある。
【0047】
以上のようにして、溶液中に分散した金属ナノ粒子(金属ナノ粒子分散液)が得られる。
当該金属ナノ粒子は、単分散であるため、支持体に塗布しても、これらが凝集することなく均一に分散した状態を保つことができる。従って、アニール処理を施しても、それぞの金属ナノ粒子が凝集することがないため、効率良く強磁性化することが可能で、塗布適性に優れる。
【0048】
アニール前の金属ナノ粒子の粒径は、一般に、1〜20nmであることが好ましく、3〜10nmであることがより好ましい。磁気記録媒体として用いるには金属ナノ粒子を最密充填することが記録容量を高くする上で好ましい。そのためには、金属ナノ粒子の変動係数は10%未満が好ましく、より好ましくは5%以下である。粒子サイズが小さすぎると、熱ゆらぎのため超常磁性となり好ましくない。構成元素によって最小安定粒径が異なるが、必要な粒径を得るために、HO/界面活性剤質量比を変化させて合成することが有効である。
【0049】
調製した金属ナノ粒子の粒径評価には透過型電子顕微鏡(TEM)を用いることができる。加熱により強磁性化した金属ナノ粒子の結晶系を決めるにはTEMによる電子線回折でもよいが、精度高く行うにはX線回折を用いた方が良い。強磁性化した金属ナノ粒子の内部の組成分析には電子線を細く絞ることができるFE−TEMにEDAXを付け評価することが好ましい。強磁性化した金属ナノ粒子の磁気的性質の評価はVSMを用いて行うことができる。
【0050】
本発明の磁気記録媒体における磁性層は、既述の金属ナノ粒子分散液に既述のマトリックス剤や必要に応じて種々の添加剤を添加して、磁性層を形成するための塗布液(磁性層塗布液)を調製し、該塗布液を支持体上に塗布して、アニール処理を施して形成して製造される。
ここで、上記塗布液中の金属ナノ粒子の含有量は、5〜50mg/mlとすることが好ましい。
また、マトリックス剤は、既述のものを1種以上添加し、その含有量が、0.007〜1.0μg/mlなるようにすることが好ましく、0.01〜0.7μg/mlとなるようにすることがより好ましい。
【0051】
また、既述のように、必要に応じて磁性層と支持体との間に非磁性層やバック層等を設けてもよい。例えば、本発明の磁気記録媒体が磁気ディスクの場合、支持体の反対側の面にも同様に磁性層、必要に応じ磁性層と非磁性層を設けることが好ましい。本発明の磁気記録媒体が磁気テープの場合、磁性層の反対側の支持体面上にはバック層を設けることが好ましい。非磁性層やバック層はスパッタ膜でも、また、塗布膜のいずれでもよい。
【0052】
本発明の磁気記録媒体に使用される支持体としては、無機物および有機物のいずれも適用することが可能で、厚さは3〜800μmのものを使用することが好ましい。
【0053】
無機物の支持体としては、Al;Al−Mg合金;Mg−Al−ZnなどのMg合金;ガラス;石英;カーボン;シリコン;セラミックス;などが挙げられる。
これらの支持体は耐衝撃性に優れ、また薄型化や高速回転に適した剛性を有する。また、有機物支持体に対し熱に強い特徴を有している。
【0054】
有機物の支持体としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル類;ポリオレフィン類;セルロ−ストリアセテート;ポリカ−ボネート;ポリアミド(脂肪族ポリアミドやアラミド等の芳香族ポリアミドを含む);ポリイミド;ポリアミドイミド;ポリスルフォン;ポリベンゾオキサゾール;などが挙げられる。
【0055】
塗布液を支持体上に塗布して下層塗布層あるいは磁性層を形成する際、その磁性層の乾燥後の層厚は、5〜200nmの範囲内にあることが好ましく、5〜50nmの範囲内より好ましい。
ここで、複数の磁性層塗布液を逐次あるいは同時に重層塗布してもよく、下層塗布液と磁性層塗布液とを逐次あるいは同時に重層塗布してもよい。
上記磁性塗布液もしくは下層塗布液を塗布する塗布方法としては、エアードクターコート、ブレードコート、ロッドコート、押出しコート、エアナイフコート、スクイズコート、含浸コート、リバースロールコート、トランスファーロールコート、グラビヤコート、キスコート、キャストコート、スプレイコート、スピンコートなどが利用できる。
【0056】
液相法などで調製した直後の金属ナノ粒子(金属ナノ粒子分散液中の金属ナノ粒子)は不規則相である。規則相を得るためにアニールする必要がある。アニールは、粒子の融着を防止するため、支持体に塗布液を塗布した後に行うことが好ましい。
【0057】
アニール温度は示差熱分析(DTA)を用い、金属ナノ粒子を構成する合金の規則不規則変態温度を求め、その温度より上の温度で行うことが必要である。変態温度は元素組成によって、また、第三元素の添加によって変化する。
有機物支持体を用いる場合は、支持体の耐熱温度以下の変態温度を有する金属ナノ粒子を用いるか、パルスレーザによる磁性層のみのアニールが有効である。
【0058】
以上のようにして形成された磁性層は、金属酸化物マトリックスの存在により支持体との密着性だけでなく耐傷性にも優れたものになっているが、上記磁性層上に非常に薄い保護膜を形成することで耐磨耗性を改善し、さらにその上に潤滑剤を塗布して滑り性を高めることによって、十分な信頼性を確保することが可能となる。
【0059】
保護膜としては、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化コバルト、酸化ニッケルなどの酸化物;窒化チタン、窒化ケイ素、窒化ホウ素などの窒化物;炭化ケイ素、炭化クロム、炭化ホウ素等の炭化物;グラファイト、無定型カーボンなどの炭素;からなる保護膜があげられるが、好ましくは、炭素からなるカーボン保護膜である。また、カーボン保護膜でも、一般にダイヤモンドライクカーボンと呼ばれる硬質の非晶質カーボンが特に好ましい。
カーボン保護膜の製造方法として、ハードディスクにおいては、スパッタ法が一般的であるが、ビデオテープ等の連続成膜を行う必要のある製品ではより成膜速度の高いプラズマCVDを用いる方法が多数提案されている。中でもプラズマインジェクションCVD(PI−CVD)法は成膜速度が非常に高く、得られるカーボン保護膜も硬質かつピンホールが少ない良質な保護膜が得られると報告されている(例えば、特開昭61−130487、特開昭63−279426、特開平3−113824等)。
【0060】
カーボン保護膜はビッカース硬度で1000Kg/mm以上、好ましくは2000Kg/mm以上の硬質の炭素膜である。また、その結晶構造はアモルファス構造であり、かつ非導電性である。そして、カーボン保護膜として、ダイヤモンド状炭素膜を使用した場合、その構造をラマン光分光分析によって測定した場合には、1520〜1560cm−1にピークが検出されることによって確認することができる。膜の構造がダイヤモンド状構造からずれてくるとラマン光分光分析により検出されるピークが上記範囲からずれるとともに、膜の硬度も低下する。
【0061】
カーボン保護膜を作製するための原料としては、メタン、エタン、プロパン、ブタン等のアルカン;エチレン、プロピレン等のアルケン;アセチレン等のアルキン;をはじめとした炭素含有化合物を用いることができる。また、必要に応じてアルゴンなどのキャリアガスや膜質改善のための水素や窒素などの添加ガスを加えることができる。
【0062】
カーボン保護膜の膜厚が厚いと電磁変換特性の悪化や磁性層に対する密着性の低下が生じ、膜厚が薄いと耐磨耗性が不足するため、膜厚は2.5〜20nmが好ましく、5〜10nmが特に好ましい。
【0063】
磁性層は電磁変換特性を改善するため重層構成としたり、非磁性下地層や中間層を有していてもよい。
【0064】
本発明の磁気記録媒体において、走行耐久性および耐食性を改善するため、上記磁性層もしくは保護膜上に潤滑剤や防錆剤を付与することが好ましい。
添加する潤滑剤としては公知の炭化水素系潤滑剤、フッ素系潤滑剤、極圧添加剤などが使用できる。
【0065】
炭化水素系潤滑剤としては、ステアリン酸、オレイン酸等のカルボン酸類;ステアリン酸ブチル等のエステル類;オクタデシルスルホン酸等のスルホン酸類;リン酸モノオクタデシル等のリン酸エステル類;ステアリルアルコール、オレイルアルコール等のアルコール類;ステアリン酸アミド等のカルボン酸アミド類;ステアリルアミン等のアミン類;などが挙げられる。
【0066】
フッ素系潤滑剤としては、上記炭化水素系潤滑剤のアルキル基の一部または全部をフルオロアルキル基もしくはパーフルオロポリエーテル基で置換した潤滑剤が挙げられる。
パーフルオロポリエーテル基としては、パーフルオロメチレンオキシド重合体、パーフルオロエチレンオキシド重合体、パーフルオロ−n−プロピレンオキシド重合体(CFCFCFO)n、パーフルオロイソプロピレンオキシド重合体(CF(CF)CFO)nまたはこれらの共重合体等が挙げられる。また、末端や分子内に水酸基、エステル基、カルボキシル基などの極性官能基を有する化合物が摩擦力を低減する効果が高く好適である。この分子量は500〜5000であることが好ましく、1000〜3000であることがより好ましい。上記範囲未満では揮発性が高くなり、潤滑性が低くなることがある。また、上記範囲を超えると粘度が高くなるため、スライダーとディスクが吸着しやすく、走行停止やヘッドクラッシュなどを発生しやすくなる。
このパーフルオロポリエーテルで置換した潤滑剤の具体例としては、アウジモンド社からFOMBLIN、デュポン社からKRYTOXなどの商品名で市販されている。
【0067】
極圧添加剤としては、リン酸トリラウリル等のリン酸エステル類、亜リン酸トリラウリル等の亜リン酸エステル類、トリチオ亜リン酸トリラウリル等のチオ亜リン酸エステルやチオリン酸エステル類、二硫化ジベンジル等の硫黄系極圧剤などが挙げられる。
【0068】
上記潤滑剤は単独もしくは複数を併用して使用される。これらの潤滑剤を磁性層もしくは保護膜上に付与する方法としては、潤滑剤を有機溶剤に溶解し、ワイヤーバー法、グラビア法、スピンコート法、ディップコート法等で塗布するか、真空蒸着法によって付着させればよい。
【0069】
防錆剤としては、ベンゾトリアゾール、ベンズイミダゾール、プリン、ピリミジン等の窒素含有複素環類およびこれらの母核にアルキル側鎖等を導入した誘導体、ベンゾチアゾール、2−メルカプトンベンゾチアゾール、テトラザインデン環化合物、チオウラシル化合物等の窒素および硫黄含有複素環類およびこの誘導体等が挙げられる。
【0070】
本発明で用いる支持体の磁性層が形成されていない面にバックコート層(バッキング層)を設ける場合の当該バックコート層は、支持体の磁性層が形成されていない面に、研磨材、帯電防止剤などの粒状成分と結合剤とを有機溶剤に分散したバックコート層形成塗料を塗布して設けることができる。
粒状成分としては、各種の無機顔料やカーボンブラックを使用することができ、また結合剤としてはニトロセルロース、フェノキシ樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリウレタン等の樹脂を単独またはこれらを混合して使用することができる。
なお、支持体のナノ粒子の分散液およびバックコート層形成塗料の塗布面に接着剤層が設けられていてもよい。
【0071】
本発明の磁気記録媒体は、表面の中心線平均粗さが、カットオフ値0.25mmにおいて0.1〜5nm、好ましくは1〜4nmの範囲という極めて優れた平滑性を有する表面であることが高密度記録用の磁気記録媒体として好ましい。かかる表面とするには、磁性層を塗布した後にカレンダー処理を施せばよい。また、バーニッシュ処理を施してもよい。
【0072】
以上のようにして得られた磁気記録媒体は、打ち抜き機で打ち抜くか、裁断機などを使用して所望の大きさに裁断して使用することができる。
【0073】
本発明の磁気記録媒体の具体例としては、フロッピー(R)ディスク、ハードディスク等の磁気記録媒体や、MRAM等の磁気記録媒体が挙げられる。
【0074】
本発明の磁気記録媒体を記録再生するために、前記の特開平11−161928号および特開2001−291347号などに記載されたような、磁気ヘッドに光サーボ機能を付与して一体化したものを用いることができる。
【0075】
【実施例】
以下、実施例をもとに本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0076】
〔実施例1〕
高純度Nガス中で下記の操作を行った。
三シュウ酸三アンモニウム鉄(Fe(NH(C)(和光純薬製)0.35gと塩化白金酸カリウム(KPtCl)(和光純薬製)0.35gとをHO(脱酸素処理済(以下、単に「脱酸素」と記す))24mlに溶解した金属塩水溶液に、エーロゾルOT 10.8gをデカン80mlに溶解したアルカン溶液を添加、混合して逆ミセル溶液(I)を調製した。
【0077】
NaBH(和光純薬製)0.57gをHO(脱酸素)12mlに溶解した還元剤水溶液に、エーロゾルOT(和光純薬製)5.4gとオレイルアミン(東京化成製)2mlとをデカン(和光純薬製)40mlに溶解したアルカン溶液を添加、混合して逆ミセル溶液(II)を調製した。
【0078】
アスコルビン酸(和光純薬製)0.88gをHO(脱酸素)12mlに溶解した還元剤水溶液に、エーロゾルOT(和光純薬製)5.4gをデカン(和光純薬製)40mlに溶解したアルカン溶液を添加、混合して逆ミセル溶液(II’)を調製した。
【0079】
逆ミセル溶液(I)を22℃でオムニミキサー(ヤマト科学製)で高速攪拌しながら、逆ミセル溶液(II)を瞬時に添加した。10分後、マグネチックスターラー攪拌に変更して、40℃に昇温した後、逆ミセル溶液(II’)を添加して、120分間熟成した。
室温に冷却後、オレイン酸(和光純薬製)2mlを添加、混合して、大気中に取出した。逆ミセルを破壊するために、HO200mlとメタノール200mlとの混合液を添加して水相と油相とに分離した。油相側に金属ナノ粒子が分散した状態が得られた。油相側をHO600ml+メタノール200mlで5回洗浄した。その後、メタノールを1300ml添加して金属ナノ粒子にフロキュレーションを起こさせて沈降させた。上澄み液を除去して、ヘプタン(和光純薬製)20mlを添加して再分散した。さらに、メタノール100ml添加による沈降とヘプタン20ml分散を2回繰り返して、最後にオクタン(和光純薬製)5mlを添加して、FePtの金属ナノ粒子分散液を得た。得られた金属ナノ粒子の分析により以下の結果を得た。
なお、組成および収率は分散液を蒸発乾固後、濃硫酸で有機物を分解した後、王水に溶解して、ICP分光分析(誘導結合高周波プラズマ分光分析)で測定した。数平均粒径と分布は、TEM撮影した粒子を計測して統計処理して出した。また、保磁力測定は東英工業製の高感度磁化ベクトル測定機と同社製DATA処理装置を使用し、印加磁場1273.3KA/m(16KOe)で測定した。測定ナノ粒子は、ナノ粒子分散液を蒸発乾固後、赤外線加熱炉(アルバック理工製)により、Ar+H(5%)混合ガス中で550℃30分アニールしたものを使用した。
【0080】
組成:Pt49.0at%のFePt合金、収率:80%
数平均粒径:5.1nm、変動係数:5%
保磁力:525.3KA/m(6600Oe)
【0081】
(磁性層の形成)
支持体であるガラス基板(厚さ600μm)上に、前記FePt金属ナノ粒子分散液にシリコーン樹脂(東レ製、トレフィルR910)を5体積%添加した塗布液をスピンコートした。塗布量はFePtで0.1g/mであった。
さらに、赤外線加熱炉(アルバック理工製)により、Ar+H(5%)混合ガス中で、450℃30分アニールして、数平均粒径5.1nmを維持した強磁性金属ナノ粒子を含有する磁性層(膜厚:約30nm)を形成した。保磁力は278.5KA/m(3500Oe)であった。
【0082】
(非磁性層の形成)
スパッタ装置(芝浦メカトロニクス製)を使用して、磁性層上に、SiOからなる厚さ20nmの非磁性層を形成した。
【0083】
(光サーボ色素層の形成)
下記化学式で表される色素を含有する2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール溶液(色素含有量:1質量%)をスピンコートし、膜厚50nmの光サーボ色素層を形成した。
【0084】
【化1】
Figure 2004087058
【0085】
(保護膜の形成)
スパッタ装置(芝浦メカトロニクス製)を使用して、光サーボ色素層上に、カーボンからなる厚さ10nmの保護膜を形成した。
【0086】
(潤滑剤層の形成)
保護層の上に、潤滑剤(FOMBLIN:AUSIMONT社製)をスピンコート法で約5nmの厚みに塗布し、潤滑剤を付与した潤滑剤層を形成し、磁気記録媒体を作製した。
【0087】
サーボパターンを開けたマスク材を、磁気記録媒体の潤滑剤層の上に、約300nm離して固定した。磁気記録媒体とマスク材とを同じ線速度で回転させ、レーザ光の位置を中心から半径方向の外側に移動させ、マスク材の上から波長830nmの半導体レーザ(GaAlAs)を光サーボ色素層に照射した。また当該照射は、レーザ光の出力を300mWとし、100μm×1.5μmの楕円状スポットを色素層にフォーカスして行った。
【0088】
上記の磁気記録媒体について、磁気ヘッドに光サーボ色素層のサーボパターンを読み取る光サーボ機能を取り付け、サーボ性と磁気記録性を評価した。
その結果、サーボパターンを十分読み取った上で磁気記録できた。
【0089】
〔実施例2〕
ガラス基板上に、光サーボ色素層、非磁性層、磁性層、保護層、潤滑剤層を順次形成した層構成とした以外は実施例1と同様にして磁気記録媒体を作製した。作製した磁気記録媒体の保磁力は302.4kA/mであった。
【0090】
サーボパターンを開けたマスク材を、磁気記録媒体のガラス基板面に固定し、磁気記録媒体とマスク材を同じ線速度で回転させた。レーザ光の位置を中心から半径方向の外側に移動させながら、マスク材の上から波長830nmの半導体レーザ(GaAlAs)を、出力300mWに設定し、100×1.5μmの楕円状スポットを光サーボ色素層にフォーカスして照射した。
実施例1と同様のサーボ性と磁気記録性を評価した結果、サーボパターンを十分読み取った上で磁気記録できた。
【0091】
〔実施例3〕
ガラス基板上に、磁性層、保護層、潤滑剤層を順次形成し、磁性層が形成されていない側のガラス基板上に非磁性層、光サーボ色素層を順次形成した層構成とした以外は、実施例1と同様にして磁気記録媒体を作製した。作製した磁気記録媒体の保磁力は298.4kA/mであった。
【0092】
サーボパターンを開けたマスク材を、磁気記録媒体の光サーボ色素層側に、約300nm離して固定した。磁気記録媒体とマスク材を同じ線速度で回転させ、レーザ光の位置を中心から半径方向の外側に移動させながら、マスク材の上から波長830nmの半導体レーザ(GaAlAs)を、出力300mWに設定し、100×1.5μmの楕円状スポットを光サーボ色素層にフォーカスして照射した。
実施例1と同様のサーボ性と磁気記録性を評価した結果、サーボパターンを十分読み取った上で磁気記録できた。
【0093】
実施例1〜3の結果より、本発明の磁気記録媒体は、支持体表面に凹凸を付与するものではないため、表面平滑性に優れ良好なサーボ機能を発揮することができることがわかった。
また、磁性層に記録再生位置を特定するマーキングを行うものではないため、記録密度の高い磁気記録媒体とすることも可能である。
さらに、実施例1〜3で作製された磁気記録媒体はいずれも278.5kA/m以上の高い保磁力を有していた。
【0094】
【発明の効果】
以上、本発明によれば、高い表面平滑性を維持しながら良好なサーボ機能を発揮し、高い保磁力を有する磁気記録媒体を提供することができる。

Claims (1)

  1. 支持体上に、少なくとも、光サーボ色素層および強磁性金属ナノ粒子を含有する磁性層を有することを特徴とする磁気記録媒体。
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