JP2004085759A - ハーフトーン型位相シフトマスク用ブランクス及びハーフトーン型位相シフトマスク - Google Patents
ハーフトーン型位相シフトマスク用ブランクス及びハーフトーン型位相シフトマスク Download PDFInfo
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Abstract
【課題】位相シフトマスクとして露光光での屈折率及び消衰係数が満たされ、露光光での反射率や検査波長での透過率が制御され、正確なパターニングがされたハーフトーン型位相シフト膜を有するハーフトーン型位相シフトマスクの製造に好適なハーフトーン型位相シフトマスク用ブランクス、及びハーフトーン型位相シフトマスクを提供すること。
【解決手段】半透明領域106が単層もしくは2層以上で構成されており、少なくとも1層以上がタンタル化合物膜102であること。半透明領域膜の1層は、タンタルを主成分としシリコンを含まない層であり、他の層は遷移金属及びシリコン及び酸素もしくは窒素を主成分とする層であること。
【選択図】図1
【解決手段】半透明領域106が単層もしくは2層以上で構成されており、少なくとも1層以上がタンタル化合物膜102であること。半透明領域膜の1層は、タンタルを主成分としシリコンを含まない層であり、他の層は遷移金属及びシリコン及び酸素もしくは窒素を主成分とする層であること。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、LSI、超LSI等の高密度集積回路の製造に用いられるフォトマスク及びそのフォトマスクを製造するためのフォトマスク用ブランクスに関するものであり、特に、微細寸法の投影像が得られるハーフトーン型位相シフトマスク、及びこれを製造するためのハーフトーン型位相シフトマスク用ブランクスに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のフォトマスクでは微細なパターンの投影露光に際し、近接したパターンはマスクの光透過部を通過した光が回折し、干渉することによってパターン境界部での光強度を強め合いフォトレジストが感光するため、ウエハー上に転写されたパターンが分離解像しないという問題が起きていた。
この現象は露光波長に近い微細なパターンほどその傾向が強く、原理的には従来のフォトマスクと露光光学系では光の波長以下の微細なパターンを分離解像することは不可能であった。
【0003】
そこで、隣接するパターンを透過する投影光の位相差を互いに180度にすることによって微細なパターンの解像力を向上させるという、位相シフト技術を使用した位相シフトマスクが開発された。
すなわち、隣接する開口部の片側に位相シフト部を設けることにより、透過光が回折し干渉し合う際、位相が反転しているために境界部の光強度は弱め合い、その結果、転写パターンは分離解像する。この関係は焦点前後でも成り立っているため、焦点が多少ずれていても解像度は従来のものより向上する。
【0004】
上記のような位相シフト法はIBMのLevensonらによって提唱され、特開昭58−173744号公報や、原理では特公昭62−50811号公報に記載されている。
パターンを遮光層で形成する場合には、遮光パターンに隣接する開口部の片側に位相シフト部を設けて位相を反転させるが、遮光層が完全な遮光性を持たず、かつ、この半透明遮光層によって位相を反転させる場合にも、同様な解像度向上効果が得られ、この場合は特に孤立パターンの解像度向上に有効である。これをハーフトーン型位相シフトマスクという。
【0005】
ここで、ハーフトーン型位相シフトマスクを図に従って簡単に説明する。図4は、ハーフトーン型位相シフトリソグラフィの原理を示す説明図である。また、図5は、従来法の原理を示す説明図である。
図4(a)及び図5(a)はフォトマスクの断面図、図4(b)及び図5(b)はフォトマスク上での光の振幅、図4(c)及び図5(c)はウエハー上での光の振幅、図4(d)及び図5(d)はウエハー上での光の強度をそれぞれ示し、401及び501は透明基板、402はハーフトーン型位相シフト膜、502は遮光膜、403及び503は入射光である。
【0006】
ここで、ハーフトーン位相シフト膜とは、透過する露光光の位相を同光路長の空気を通る露光光の位相に対して反転し、かつその強度を減衰させる機能を持つ膜であり、単層または多層により形成される。
従来法においては図5(a)に示すように、石英ガラスからなる透明基板501上にクロム等からなる遮光層502を形成し、パターンの光透過部を形成してあるだけであり、ウエハー上の光強度分布は、図5(d)に示すように、裾広がりとなり、解像度は劣ってしまう。一方、ハーフトーン型位相シフトリソグラフィは、半透明膜であるハーフトーン型位相シフト膜402を透過した光と、その開口部を透過した光とでは位相が実質上反転するので、図4(d)に示すように、ウエハー上でパターン境界部の光強度が0となり、その裾広がりを抑えることができ、よって、解像度が向上する。
【0007】
さて、一般的に、ハーフトーン型位相シフトマスクの位相差に関しては180度が最適値になるが、透過率に関しても、適正値は2%〜20%(開口部100%)の範囲にあり、転写するパターン、転写する条件等によって最適値が決まる。ハーフトーン型位相シフトマスクに関しては、位相差、透過率共にその適正値に作製することが要求され、適正値からずれた場合には、最適露光量等が変化し、寸法精度の低下、焦点裕度の低下等に至ってしまう。したがって、ハーフトーン型位相シフト膜を形成する単層及び多層の膜の屈折率、消衰係数及び、膜厚の精度、安定性は重要である。
【0008】
また、ハーフトーン型位相シフトマスクにおいては、露光波長での反射率も、フォトリソグラフィの工程でのマスクとレンズ間での多重散乱等の影響を抑えるため、低反射であることが望まれ20%以下が適正値である。さらに、マスク上に形成されるパターンの外観、位置精度等を保証するために、マスク製造工程で使用される各種の検査、測定装置で使用する波長での透過率は35%以下が適正値である。
【0009】
ところで、ハーフトーン型位相シフト膜の成膜は、金属系材料をターゲットとして用いた反応性スパッタで行う場合が多い。膜の屈折率、消衰係数、膜厚の精度、安定性は基本的に成膜工程で決定される。次に、位相シフトマスクのパターニング工程で実際に位相シフト膜をエッチングする工程には、主にリアクティブイオンエッチング等のドライエッチングが用いられる。さらに、近年形成されるパターンの微細化に伴い、エッチングによるパターニングのより厳しい寸法精度が要求されるが、それを満たすためにはハーフトーン型位相シフト膜の膜厚は薄いほうが好ましい。
【0010】
また、位相シフトマスクの製造工程では、その清浄度を向上させるため、洗浄が繰り返し行われる。この時、膜質の洗浄薬液に対する耐性が必要となる。
【0011】
以上、ハーフトーン型位相シフトマスクに使用するハーフトーン型位相シフト膜は、最適な位相差、透過率が実現でき、かつ安定な屈折率、消衰係数を有し、さらに、膜厚を薄くすることが出来、洗浄液耐性のある材料の開発が要求される。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の要求を鑑みなされたものであり、位相シフトマスクとして露光光での屈折率及び消衰係数が満たされ、かつ露光光での反射率や検査波長での透過率が制御され、さらにエッチングによって正確なパターニングがされたハーフトーン型位相シフト膜を有するハーフトーン型位相シフトマスクの製造に好適なハーフトーン型位相シフトマスク用ブランクス、及びそれを用いて製造したハーフトーン型位相シフトマスクを提供することを課題とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、透明基板上に露光光に対して透明領域と半透明領域が存在するハーフトーン型位相シフトマスクの製造に用いるハーフトーン型位相シフトマスク用ブランクスにおいて、該半透明領域が単層もしくは2層以上で構成されており、少なくとも1層以上がタンタル化合物膜であることを特徴とするハーフトーン型位相シフトマスク用ブランクスである。
【0014】
また、本発明は、上記発明によるハーフトーン型位相シフトマスク用ブランクスにおいて、前記半透明領域の透過率が2%〜20%の範囲にあることを特徴とするハーフトーン型位相シフトマスク用ブランクスである。
【0015】
また、本発明は、上記発明によるハーフトーン型位相シフトマスク用ブランクスにおいて、前記半透明領域膜の1層は、タンタルを主成分としシリコンを含まない層であり、他の層は遷移金属及びシリコン及び酸素もしくは窒素を主成分とする層であることを特徴とするハーフトーン型位相シフトマスク用ブランクスである。
【0016】
また、本発明は、上記発明によるハーフトーン型位相シフトマスク用ブランクスにおいて、前記タンタルを主成分としシリコンを含まない層が、酸素もしくは窒素を含むことを特徴とするハーフトーン型位相シフトマスク用ブランクスである。
【0017】
また、本発明は、上記発明によるハーフトーン型位相シフトマスク用ブランクスにおいて、前記タンタルを主成分としシリコンを含まない層が、酸素は15〜40atomic%もしくは窒素は20〜30atomic%であることを特徴とするハーフトーン型位相シフトマスク用ブランクスである。
【0018】
また、本発明は、上記発明によるハーフトーン型位相シフトマスク用ブランクスにおいて、前記タンタルを主成分としシリコンを含まない層の屈折率が、1.5以上であることを特徴とするハーフトーン型位相シフトマスク用ブランクスである。
【0019】
また、本発明は、上記発明によるハーフトーン型位相シフトマスク用ブランクスをパターン化して、透明基板上に露光光に対して透明領域と半透明領域を存在させたことを特徴とするハーフトーン型位相シフトマスクである。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1(a)は、本発明によるハーフトーン型位相シフトマスク用ブランクスを用いて製造したハーフトーン型位相シフトマスクの一実施例の断面図である。また、図1(b)は、他の例の断面図である。
【0021】
図1(a)に示すように、ハーフトーン型位相シフトマスクは、透明基板101上に露光光に対して透明領域105と半透明領域106を有し、半透明領域106はタンタル化合物膜102の単層である。
また、図1(b)は、半透明領域106が3層で、タンタル化合物膜102が遷移金属シリサイド化合物膜103と遷移金属シリサイド化合物膜104との間に形成されたものである。タンタル化合物膜102は、図1(b)に示す位置に限らず、最上層もしくは透明基板101に接した最下層であってもよい。
【0022】
タンタル化合物膜102としては、例えば、タンタル・酸素の化合物、タンタル・窒素の化合物、タンタル・酸素・窒素の化合物、タンタル・ハロゲン元素の化合物、タンタル・酸素・ハロゲン化合物の化合物、タンタル・窒素・ハロゲン元素の化合物、タンタル・酸素・窒素・ハロゲン元素の化合物からなる膜を挙げることができる。
【0023】
透過率に関しては2%〜20%に最適値があり、この範囲外の場合には適正露光量等が変化し、寸法精度、焦点裕度の低下等が起こってしまう。従って、最適値を達成するために、ハーフトーン位相シフト膜を形成する単層又は多層の膜の屈折率、消衰係数及び膜厚に基づいて最適な膜設計を行う。
また、成膜にはスパッタリング法を用いることが多いが、シリコンを含まないことで成膜時にピンホール、パーティクルといった膜欠陥を減らすことができる。
また、酸素もしくは窒素を含むことによって、膜の屈折率を大きくすることができ膜厚をより薄くすることが可能である。
【0024】
上記のように、本発明においては、半透明領域を透過する露光光の透過率は2%〜20%、半透明領域を透過する露光光の反射率は20%以下、透明領域を通過する光との位相差は180度といった、ハーフトーン型位相シフトマスクとして満足すべき光学定数の他に、検査波長での透過率35%以下とし、露光転写時のパターン解像度の向上とマスクの欠陥及び寸法検査の向上を図ることが出来る。
【0025】
また、本発明は、タンタルを主成分とし実質的にシリコンを含まない層の屈折率が、1.5以上であることを特徴とするものである。タンタル化合物膜の屈折率を1.5以上にすることにより、ハーフターン型位相シフト膜の膜厚を加工精度上問題にならない100nm以下にすることが出来、マスクの寸法精度の向上が図られる。
【0026】
【実施例】
以下に、本発明を実施例により詳細に説明する。
本発明を提案するにあたり、タンタル窒化膜及びタンタル酸化膜の屈折率、消衰係数、薬液に対する耐性、組成を調べた。
まず、DCスパッタリング装置を用いて、チャンバー内にアルゴンガス及び窒素ガスを導入し、金属タンタルターゲットを用いたスパッタリングにより、透明石英ガラスからなる透明基板上にタンタル窒化膜を成膜した。この時の成膜条件を表1に示す。また、これら試料A0〜A5のArFエキシマレーザーでの波長(193nm)、KrFエキシマレーザーでの波長(248nm)、検査波長(365nm)での屈折率、消衰係数を表2に示す。
【0027】
【表1】
【0028】
【表2】
【0029】
次に、DCスパッタリング装置を用いて、チャンバー内にアルゴンガス及び酸素ガスを導入し、金属タンタルターゲットを用いたスパッタリングにより、透明石英ガラスからなる透明基板上にタンタル酸化膜を成膜した。
この時の成膜条件を表3に示す。また、これら試料B1〜B4のArFエキシマレーザーでの波長(193nm)、KrFエキシマレーザーでの波長(248nm)、検査波長(365nm)での屈折率、消衰係数を表4に示す。
【0030】
【表3】
【0031】
【表4】
【0032】
また、試料A0〜A5及び試料B1〜B4について薬液に対する耐性を調べた。使用した薬液は、▲1▼硫酸:96%、70℃、▲2▼アンモニア水:2%、室温である。これらに1時間浸漬させ、その前後での透過率変化値(193nm)を調べた。その結果を表5に示す。この結果からはタンタル化合物膜が十分な薬液にたいする耐性を示す。
【0033】
【表5】
【0034】
また、試料A0〜A5及び試料B1〜B4の組成について調べた。その結果を表6に示す。
【0035】
【表6】
【0036】
次に、シミュレーションによってハーフトーン型位相シフト膜の光学設計を行った。図2に示すように、膜は透明基板201上の2層構成のハーフトーン型位相シフト膜202で、下層に前記タンタル化合物膜(試料A0〜A5及び試料B1〜B4のいずれか)203を、上層にジルコニウムシリサイド化合物膜(C1)204を用いた。
上層に用いたジルコニウムシリサイド化合物膜C1のArFレーザーの露光波長である193nmにおける屈折率nは2.080、消衰係数kは0.193である。
【0037】
光学設計は193nmにおいて2層膜で透過率6%、位相差180度の条件で行った。その結果を表6及び表7に示す。T,Rはそれぞれの波長での透過率、反射率である。表6、表7及び表8から分かるように総膜厚が100nm以下とするためにはタンタル化合物膜の組成が、酸素は15〜40atomic%もしくは窒素は20〜30atomic%であり、屈折率は1.5以上であることが望ましい。(表2中、A3、A4、A5、及び表4中、B3、B4、参照)
【0038】
【表7】
【0039】
【表8】
【0040】
<実施例1>
表6中、D3を実施例1とし、図2に示すようなブランクスを作製した。まず、DCスパッタリング装置を用いて、チャンバー内にアルゴンガス及び窒素ガスを導入し、金属タンタルターゲットを用いたスパッタリングにより、透明石英ガラスからなる透明基板201上にタンタル窒化膜203(試料A3)を成膜した。つぎに、チャンバー内にアルゴンガス及び窒素ガスを導入し、ジルコニウムシリサイドターゲットを用いたスパッタリングにより、タンタル窒化膜203上にジルコニウムシリサイド化合物膜(C1)204を成膜し、ブランクスを作製した。
【0041】
この時の成膜条件は以下のものであった。
・タンタル窒化膜
電力:400W
圧力:0.38Pa
ガス及び流量:アルゴンガス15sccm、窒素ガス5 sccm
・ジルコニウムシリサイド化合物膜
電力:400W
圧力:0.40Pa
ガス及び流量:アルゴンガス30sccm、窒素ガス10sccm
【0042】
上記成膜条件で成膜した位相シフトマスク用ブランクスのの分光透過率特性及び分光反射率特性を測定した。ArFエキシマレーザーの露光波長である193nmにおける透過率は6.3%を示し、検査波長365nmでの透過率は22.9%となって、検査時のコントラストは十分に得ることが出来る。
また、露光光の波長193nmにおける反射率は19.8%であり、露光時の多重反射の影響を防止できる。
【0043】
次に、上記ハーフトーン型位相シフトマスク用ブランクスを用いてフォトマスクを製造した。図3(a)に示すように、透明基板301上にハーフトーン型位相シフト膜302を形成した上記ブランクスに電子線レジスト膜305を塗布し、電子線描画した後、図3(b)に示すように現像を行い、電子線レジスト膜305をパターニングし、図3(c)に示すようにジルコニウムシリサイド化合物膜304、タンタル窒化膜303をエッチングした後、さらに図3(d)に示すように電子線レジスト膜305を剥膜する一連のパタ−ニングプロセスを経て本発明のハーフトーン型位相シフトマスクを得た。
【0044】
<実施例2>
表7中、E3を実施例2とし、図2に示すようなブランクスを作製した。まず、DCスパッタリング装置を用いて、チャンバー内にアルゴンガス及び酸素ガスを導入し、金属タンタルターゲットを用いたスパッタリングにより、透明石英ガラスからなる透明基板201上にタンタル酸化膜(試料B3)203を成膜した。つぎに、チャンバー内にアルゴンガス及び窒素ガスを導入し、ジルコニウムシリサイドターゲットを用いたスパッタリングにより、タンタル酸化膜203上にジルコニウムシリサイド化合物膜204を成膜し、ブランクスを作製した。
【0045】
この時の成膜条件は以下のものであった。
・タンタル窒化膜
電力:400W
圧力:0.38Pa
ガス及び流量:アルゴンガス15sccm、窒素ガス5 sccm
・ジルコニウムシリサイド化合物膜
電力:400W
圧力:0.40Pa
ガス及び流量:アルゴンガス30sccm、窒素ガス10sccm
【0046】
上記成膜条件で成膜した位相シフトマスク用ブランクスのの分光透過率特性及び分光反射率特性を測定した。ArFエキシマレーザーの露光波長である193nmにおける透過率は6.2%を示し、検査波長365nmでの透過率は23.7%となって、検査時のコントラストは十分に得ることが出来る。
また、露光光の波長193nmにおける反射率は16.8%であり、露光時の多重反射の影響を防止できる。
【0047】
次に、上記ハーフトーン型位相シフトマスク用ブランクスを用いてフォトマスクを製造した。図3(a)に示すように、透明基板301上にハーフトーン型位相シフト膜302を形成した上記ブランクスに電子線レジスト膜305を塗布し、電子線描画した後、図3(b)に示すように現像を行い、電子線レジスト膜305をパターニングし、図3(c)に示すようにジルコニウムシリサイド化合物膜304、タンタル窒化膜303をエッチングした後、さらに図3(d)に示すように電子線レジスト膜305を剥膜する一連のパタ−ニングプロセスを経て本発明のハーフトーン型位相シフトマスクを得た。
【0048】
【発明の効果】
ハーフトーン型位相シフトマスク用ブランクス及び位相シフトマスクにおいて、半透明領域に金属タンタル化合物膜を用いることにより、位相シフトマスクとしての光学定数の他に露光光での反射率や検査波長での透過率を容易に制御できる。すなわち、本発明のハーフトーン型位相シフトマスクはエキシマレーザー露光時においても位相シフトマスクとして適応が可能であり、さらに長波長での透過率が抑えられているため検査波長において透過率35%以下を示し、検査時のコントラストは十分得られる。
また、半透明領域は露光波長に対して反射率は低く、多重反射の影響を受けないため、反射防止層は必要ない。さらに、露光光での屈折率を1.5以上にすることで薄膜化することにより高いパターン形成精度を有し、かつパターン形状再現性に優れている。さらに、洗浄工程において十分な耐性を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は、本発明によるハーフトーン型位相シフトマスク用ブランクスを用いて製造したハーフトーン型位相シフトマスクの一実施例の断面図である。(b)は、ハーフトーン型位相シフトマスクの他の例の断面図である。
【図2】実施例における2層構成のハーフトーン型位相シフト膜の断面図である。
【図3】実施例におけるハーフトーン型位相シフトマスクの製造工程の説明図である。
【図4】(a)〜(d)は、ハーフトーン型位相シフトリソグラフィの原理を示す説明図である。
【図5】(a)〜(d)は、従来法の原理を示す説明図である。
【符号の説明】
101、201、301、401、501・・・透明基板
102・・・タンタル化合物膜
103、104・・・遷移金属シリサイド化合物膜
105・・・透明領域
106・・・半透明領域
201、302、402・・・ハーフトーン型位相シフト膜
203、303・・・タンタル化合物膜(タンタル酸化膜またはタンタル窒化膜)
204、304・・・ジルコニウムシリサイド化合物膜
305・・・電子線レジスト膜
403、503・・・入射光
502・・・遮光膜
【発明の属する技術分野】
本発明は、LSI、超LSI等の高密度集積回路の製造に用いられるフォトマスク及びそのフォトマスクを製造するためのフォトマスク用ブランクスに関するものであり、特に、微細寸法の投影像が得られるハーフトーン型位相シフトマスク、及びこれを製造するためのハーフトーン型位相シフトマスク用ブランクスに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のフォトマスクでは微細なパターンの投影露光に際し、近接したパターンはマスクの光透過部を通過した光が回折し、干渉することによってパターン境界部での光強度を強め合いフォトレジストが感光するため、ウエハー上に転写されたパターンが分離解像しないという問題が起きていた。
この現象は露光波長に近い微細なパターンほどその傾向が強く、原理的には従来のフォトマスクと露光光学系では光の波長以下の微細なパターンを分離解像することは不可能であった。
【0003】
そこで、隣接するパターンを透過する投影光の位相差を互いに180度にすることによって微細なパターンの解像力を向上させるという、位相シフト技術を使用した位相シフトマスクが開発された。
すなわち、隣接する開口部の片側に位相シフト部を設けることにより、透過光が回折し干渉し合う際、位相が反転しているために境界部の光強度は弱め合い、その結果、転写パターンは分離解像する。この関係は焦点前後でも成り立っているため、焦点が多少ずれていても解像度は従来のものより向上する。
【0004】
上記のような位相シフト法はIBMのLevensonらによって提唱され、特開昭58−173744号公報や、原理では特公昭62−50811号公報に記載されている。
パターンを遮光層で形成する場合には、遮光パターンに隣接する開口部の片側に位相シフト部を設けて位相を反転させるが、遮光層が完全な遮光性を持たず、かつ、この半透明遮光層によって位相を反転させる場合にも、同様な解像度向上効果が得られ、この場合は特に孤立パターンの解像度向上に有効である。これをハーフトーン型位相シフトマスクという。
【0005】
ここで、ハーフトーン型位相シフトマスクを図に従って簡単に説明する。図4は、ハーフトーン型位相シフトリソグラフィの原理を示す説明図である。また、図5は、従来法の原理を示す説明図である。
図4(a)及び図5(a)はフォトマスクの断面図、図4(b)及び図5(b)はフォトマスク上での光の振幅、図4(c)及び図5(c)はウエハー上での光の振幅、図4(d)及び図5(d)はウエハー上での光の強度をそれぞれ示し、401及び501は透明基板、402はハーフトーン型位相シフト膜、502は遮光膜、403及び503は入射光である。
【0006】
ここで、ハーフトーン位相シフト膜とは、透過する露光光の位相を同光路長の空気を通る露光光の位相に対して反転し、かつその強度を減衰させる機能を持つ膜であり、単層または多層により形成される。
従来法においては図5(a)に示すように、石英ガラスからなる透明基板501上にクロム等からなる遮光層502を形成し、パターンの光透過部を形成してあるだけであり、ウエハー上の光強度分布は、図5(d)に示すように、裾広がりとなり、解像度は劣ってしまう。一方、ハーフトーン型位相シフトリソグラフィは、半透明膜であるハーフトーン型位相シフト膜402を透過した光と、その開口部を透過した光とでは位相が実質上反転するので、図4(d)に示すように、ウエハー上でパターン境界部の光強度が0となり、その裾広がりを抑えることができ、よって、解像度が向上する。
【0007】
さて、一般的に、ハーフトーン型位相シフトマスクの位相差に関しては180度が最適値になるが、透過率に関しても、適正値は2%〜20%(開口部100%)の範囲にあり、転写するパターン、転写する条件等によって最適値が決まる。ハーフトーン型位相シフトマスクに関しては、位相差、透過率共にその適正値に作製することが要求され、適正値からずれた場合には、最適露光量等が変化し、寸法精度の低下、焦点裕度の低下等に至ってしまう。したがって、ハーフトーン型位相シフト膜を形成する単層及び多層の膜の屈折率、消衰係数及び、膜厚の精度、安定性は重要である。
【0008】
また、ハーフトーン型位相シフトマスクにおいては、露光波長での反射率も、フォトリソグラフィの工程でのマスクとレンズ間での多重散乱等の影響を抑えるため、低反射であることが望まれ20%以下が適正値である。さらに、マスク上に形成されるパターンの外観、位置精度等を保証するために、マスク製造工程で使用される各種の検査、測定装置で使用する波長での透過率は35%以下が適正値である。
【0009】
ところで、ハーフトーン型位相シフト膜の成膜は、金属系材料をターゲットとして用いた反応性スパッタで行う場合が多い。膜の屈折率、消衰係数、膜厚の精度、安定性は基本的に成膜工程で決定される。次に、位相シフトマスクのパターニング工程で実際に位相シフト膜をエッチングする工程には、主にリアクティブイオンエッチング等のドライエッチングが用いられる。さらに、近年形成されるパターンの微細化に伴い、エッチングによるパターニングのより厳しい寸法精度が要求されるが、それを満たすためにはハーフトーン型位相シフト膜の膜厚は薄いほうが好ましい。
【0010】
また、位相シフトマスクの製造工程では、その清浄度を向上させるため、洗浄が繰り返し行われる。この時、膜質の洗浄薬液に対する耐性が必要となる。
【0011】
以上、ハーフトーン型位相シフトマスクに使用するハーフトーン型位相シフト膜は、最適な位相差、透過率が実現でき、かつ安定な屈折率、消衰係数を有し、さらに、膜厚を薄くすることが出来、洗浄液耐性のある材料の開発が要求される。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の要求を鑑みなされたものであり、位相シフトマスクとして露光光での屈折率及び消衰係数が満たされ、かつ露光光での反射率や検査波長での透過率が制御され、さらにエッチングによって正確なパターニングがされたハーフトーン型位相シフト膜を有するハーフトーン型位相シフトマスクの製造に好適なハーフトーン型位相シフトマスク用ブランクス、及びそれを用いて製造したハーフトーン型位相シフトマスクを提供することを課題とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、透明基板上に露光光に対して透明領域と半透明領域が存在するハーフトーン型位相シフトマスクの製造に用いるハーフトーン型位相シフトマスク用ブランクスにおいて、該半透明領域が単層もしくは2層以上で構成されており、少なくとも1層以上がタンタル化合物膜であることを特徴とするハーフトーン型位相シフトマスク用ブランクスである。
【0014】
また、本発明は、上記発明によるハーフトーン型位相シフトマスク用ブランクスにおいて、前記半透明領域の透過率が2%〜20%の範囲にあることを特徴とするハーフトーン型位相シフトマスク用ブランクスである。
【0015】
また、本発明は、上記発明によるハーフトーン型位相シフトマスク用ブランクスにおいて、前記半透明領域膜の1層は、タンタルを主成分としシリコンを含まない層であり、他の層は遷移金属及びシリコン及び酸素もしくは窒素を主成分とする層であることを特徴とするハーフトーン型位相シフトマスク用ブランクスである。
【0016】
また、本発明は、上記発明によるハーフトーン型位相シフトマスク用ブランクスにおいて、前記タンタルを主成分としシリコンを含まない層が、酸素もしくは窒素を含むことを特徴とするハーフトーン型位相シフトマスク用ブランクスである。
【0017】
また、本発明は、上記発明によるハーフトーン型位相シフトマスク用ブランクスにおいて、前記タンタルを主成分としシリコンを含まない層が、酸素は15〜40atomic%もしくは窒素は20〜30atomic%であることを特徴とするハーフトーン型位相シフトマスク用ブランクスである。
【0018】
また、本発明は、上記発明によるハーフトーン型位相シフトマスク用ブランクスにおいて、前記タンタルを主成分としシリコンを含まない層の屈折率が、1.5以上であることを特徴とするハーフトーン型位相シフトマスク用ブランクスである。
【0019】
また、本発明は、上記発明によるハーフトーン型位相シフトマスク用ブランクスをパターン化して、透明基板上に露光光に対して透明領域と半透明領域を存在させたことを特徴とするハーフトーン型位相シフトマスクである。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1(a)は、本発明によるハーフトーン型位相シフトマスク用ブランクスを用いて製造したハーフトーン型位相シフトマスクの一実施例の断面図である。また、図1(b)は、他の例の断面図である。
【0021】
図1(a)に示すように、ハーフトーン型位相シフトマスクは、透明基板101上に露光光に対して透明領域105と半透明領域106を有し、半透明領域106はタンタル化合物膜102の単層である。
また、図1(b)は、半透明領域106が3層で、タンタル化合物膜102が遷移金属シリサイド化合物膜103と遷移金属シリサイド化合物膜104との間に形成されたものである。タンタル化合物膜102は、図1(b)に示す位置に限らず、最上層もしくは透明基板101に接した最下層であってもよい。
【0022】
タンタル化合物膜102としては、例えば、タンタル・酸素の化合物、タンタル・窒素の化合物、タンタル・酸素・窒素の化合物、タンタル・ハロゲン元素の化合物、タンタル・酸素・ハロゲン化合物の化合物、タンタル・窒素・ハロゲン元素の化合物、タンタル・酸素・窒素・ハロゲン元素の化合物からなる膜を挙げることができる。
【0023】
透過率に関しては2%〜20%に最適値があり、この範囲外の場合には適正露光量等が変化し、寸法精度、焦点裕度の低下等が起こってしまう。従って、最適値を達成するために、ハーフトーン位相シフト膜を形成する単層又は多層の膜の屈折率、消衰係数及び膜厚に基づいて最適な膜設計を行う。
また、成膜にはスパッタリング法を用いることが多いが、シリコンを含まないことで成膜時にピンホール、パーティクルといった膜欠陥を減らすことができる。
また、酸素もしくは窒素を含むことによって、膜の屈折率を大きくすることができ膜厚をより薄くすることが可能である。
【0024】
上記のように、本発明においては、半透明領域を透過する露光光の透過率は2%〜20%、半透明領域を透過する露光光の反射率は20%以下、透明領域を通過する光との位相差は180度といった、ハーフトーン型位相シフトマスクとして満足すべき光学定数の他に、検査波長での透過率35%以下とし、露光転写時のパターン解像度の向上とマスクの欠陥及び寸法検査の向上を図ることが出来る。
【0025】
また、本発明は、タンタルを主成分とし実質的にシリコンを含まない層の屈折率が、1.5以上であることを特徴とするものである。タンタル化合物膜の屈折率を1.5以上にすることにより、ハーフターン型位相シフト膜の膜厚を加工精度上問題にならない100nm以下にすることが出来、マスクの寸法精度の向上が図られる。
【0026】
【実施例】
以下に、本発明を実施例により詳細に説明する。
本発明を提案するにあたり、タンタル窒化膜及びタンタル酸化膜の屈折率、消衰係数、薬液に対する耐性、組成を調べた。
まず、DCスパッタリング装置を用いて、チャンバー内にアルゴンガス及び窒素ガスを導入し、金属タンタルターゲットを用いたスパッタリングにより、透明石英ガラスからなる透明基板上にタンタル窒化膜を成膜した。この時の成膜条件を表1に示す。また、これら試料A0〜A5のArFエキシマレーザーでの波長(193nm)、KrFエキシマレーザーでの波長(248nm)、検査波長(365nm)での屈折率、消衰係数を表2に示す。
【0027】
【表1】
【0028】
【表2】
【0029】
次に、DCスパッタリング装置を用いて、チャンバー内にアルゴンガス及び酸素ガスを導入し、金属タンタルターゲットを用いたスパッタリングにより、透明石英ガラスからなる透明基板上にタンタル酸化膜を成膜した。
この時の成膜条件を表3に示す。また、これら試料B1〜B4のArFエキシマレーザーでの波長(193nm)、KrFエキシマレーザーでの波長(248nm)、検査波長(365nm)での屈折率、消衰係数を表4に示す。
【0030】
【表3】
【0031】
【表4】
【0032】
また、試料A0〜A5及び試料B1〜B4について薬液に対する耐性を調べた。使用した薬液は、▲1▼硫酸:96%、70℃、▲2▼アンモニア水:2%、室温である。これらに1時間浸漬させ、その前後での透過率変化値(193nm)を調べた。その結果を表5に示す。この結果からはタンタル化合物膜が十分な薬液にたいする耐性を示す。
【0033】
【表5】
【0034】
また、試料A0〜A5及び試料B1〜B4の組成について調べた。その結果を表6に示す。
【0035】
【表6】
【0036】
次に、シミュレーションによってハーフトーン型位相シフト膜の光学設計を行った。図2に示すように、膜は透明基板201上の2層構成のハーフトーン型位相シフト膜202で、下層に前記タンタル化合物膜(試料A0〜A5及び試料B1〜B4のいずれか)203を、上層にジルコニウムシリサイド化合物膜(C1)204を用いた。
上層に用いたジルコニウムシリサイド化合物膜C1のArFレーザーの露光波長である193nmにおける屈折率nは2.080、消衰係数kは0.193である。
【0037】
光学設計は193nmにおいて2層膜で透過率6%、位相差180度の条件で行った。その結果を表6及び表7に示す。T,Rはそれぞれの波長での透過率、反射率である。表6、表7及び表8から分かるように総膜厚が100nm以下とするためにはタンタル化合物膜の組成が、酸素は15〜40atomic%もしくは窒素は20〜30atomic%であり、屈折率は1.5以上であることが望ましい。(表2中、A3、A4、A5、及び表4中、B3、B4、参照)
【0038】
【表7】
【0039】
【表8】
【0040】
<実施例1>
表6中、D3を実施例1とし、図2に示すようなブランクスを作製した。まず、DCスパッタリング装置を用いて、チャンバー内にアルゴンガス及び窒素ガスを導入し、金属タンタルターゲットを用いたスパッタリングにより、透明石英ガラスからなる透明基板201上にタンタル窒化膜203(試料A3)を成膜した。つぎに、チャンバー内にアルゴンガス及び窒素ガスを導入し、ジルコニウムシリサイドターゲットを用いたスパッタリングにより、タンタル窒化膜203上にジルコニウムシリサイド化合物膜(C1)204を成膜し、ブランクスを作製した。
【0041】
この時の成膜条件は以下のものであった。
・タンタル窒化膜
電力:400W
圧力:0.38Pa
ガス及び流量:アルゴンガス15sccm、窒素ガス5 sccm
・ジルコニウムシリサイド化合物膜
電力:400W
圧力:0.40Pa
ガス及び流量:アルゴンガス30sccm、窒素ガス10sccm
【0042】
上記成膜条件で成膜した位相シフトマスク用ブランクスのの分光透過率特性及び分光反射率特性を測定した。ArFエキシマレーザーの露光波長である193nmにおける透過率は6.3%を示し、検査波長365nmでの透過率は22.9%となって、検査時のコントラストは十分に得ることが出来る。
また、露光光の波長193nmにおける反射率は19.8%であり、露光時の多重反射の影響を防止できる。
【0043】
次に、上記ハーフトーン型位相シフトマスク用ブランクスを用いてフォトマスクを製造した。図3(a)に示すように、透明基板301上にハーフトーン型位相シフト膜302を形成した上記ブランクスに電子線レジスト膜305を塗布し、電子線描画した後、図3(b)に示すように現像を行い、電子線レジスト膜305をパターニングし、図3(c)に示すようにジルコニウムシリサイド化合物膜304、タンタル窒化膜303をエッチングした後、さらに図3(d)に示すように電子線レジスト膜305を剥膜する一連のパタ−ニングプロセスを経て本発明のハーフトーン型位相シフトマスクを得た。
【0044】
<実施例2>
表7中、E3を実施例2とし、図2に示すようなブランクスを作製した。まず、DCスパッタリング装置を用いて、チャンバー内にアルゴンガス及び酸素ガスを導入し、金属タンタルターゲットを用いたスパッタリングにより、透明石英ガラスからなる透明基板201上にタンタル酸化膜(試料B3)203を成膜した。つぎに、チャンバー内にアルゴンガス及び窒素ガスを導入し、ジルコニウムシリサイドターゲットを用いたスパッタリングにより、タンタル酸化膜203上にジルコニウムシリサイド化合物膜204を成膜し、ブランクスを作製した。
【0045】
この時の成膜条件は以下のものであった。
・タンタル窒化膜
電力:400W
圧力:0.38Pa
ガス及び流量:アルゴンガス15sccm、窒素ガス5 sccm
・ジルコニウムシリサイド化合物膜
電力:400W
圧力:0.40Pa
ガス及び流量:アルゴンガス30sccm、窒素ガス10sccm
【0046】
上記成膜条件で成膜した位相シフトマスク用ブランクスのの分光透過率特性及び分光反射率特性を測定した。ArFエキシマレーザーの露光波長である193nmにおける透過率は6.2%を示し、検査波長365nmでの透過率は23.7%となって、検査時のコントラストは十分に得ることが出来る。
また、露光光の波長193nmにおける反射率は16.8%であり、露光時の多重反射の影響を防止できる。
【0047】
次に、上記ハーフトーン型位相シフトマスク用ブランクスを用いてフォトマスクを製造した。図3(a)に示すように、透明基板301上にハーフトーン型位相シフト膜302を形成した上記ブランクスに電子線レジスト膜305を塗布し、電子線描画した後、図3(b)に示すように現像を行い、電子線レジスト膜305をパターニングし、図3(c)に示すようにジルコニウムシリサイド化合物膜304、タンタル窒化膜303をエッチングした後、さらに図3(d)に示すように電子線レジスト膜305を剥膜する一連のパタ−ニングプロセスを経て本発明のハーフトーン型位相シフトマスクを得た。
【0048】
【発明の効果】
ハーフトーン型位相シフトマスク用ブランクス及び位相シフトマスクにおいて、半透明領域に金属タンタル化合物膜を用いることにより、位相シフトマスクとしての光学定数の他に露光光での反射率や検査波長での透過率を容易に制御できる。すなわち、本発明のハーフトーン型位相シフトマスクはエキシマレーザー露光時においても位相シフトマスクとして適応が可能であり、さらに長波長での透過率が抑えられているため検査波長において透過率35%以下を示し、検査時のコントラストは十分得られる。
また、半透明領域は露光波長に対して反射率は低く、多重反射の影響を受けないため、反射防止層は必要ない。さらに、露光光での屈折率を1.5以上にすることで薄膜化することにより高いパターン形成精度を有し、かつパターン形状再現性に優れている。さらに、洗浄工程において十分な耐性を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は、本発明によるハーフトーン型位相シフトマスク用ブランクスを用いて製造したハーフトーン型位相シフトマスクの一実施例の断面図である。(b)は、ハーフトーン型位相シフトマスクの他の例の断面図である。
【図2】実施例における2層構成のハーフトーン型位相シフト膜の断面図である。
【図3】実施例におけるハーフトーン型位相シフトマスクの製造工程の説明図である。
【図4】(a)〜(d)は、ハーフトーン型位相シフトリソグラフィの原理を示す説明図である。
【図5】(a)〜(d)は、従来法の原理を示す説明図である。
【符号の説明】
101、201、301、401、501・・・透明基板
102・・・タンタル化合物膜
103、104・・・遷移金属シリサイド化合物膜
105・・・透明領域
106・・・半透明領域
201、302、402・・・ハーフトーン型位相シフト膜
203、303・・・タンタル化合物膜(タンタル酸化膜またはタンタル窒化膜)
204、304・・・ジルコニウムシリサイド化合物膜
305・・・電子線レジスト膜
403、503・・・入射光
502・・・遮光膜
Claims (7)
- 透明基板上に露光光に対して透明領域と半透明領域が存在するハーフトーン型位相シフトマスクの製造に用いるハーフトーン型位相シフトマスク用ブランクスにおいて、該半透明領域が単層もしくは2層以上で構成されており、少なくとも1層以上がタンタル化合物膜であることを特徴とするハーフトーン型位相シフトマスク用ブランクス。
- 前記半透明領域の透過率が2%〜20%の範囲にあることを特徴とする請求項1記載のハーフトーン型位相シフトマスク用ブランクス。
- 前記半透明領域膜の1層は、タンタルを主成分としシリコンを含まない層であり、他の層は遷移金属及びシリコン及び酸素もしくは窒素を主成分とする層であることを特徴とする請求項1、又は請求項2記載のハーフトーン型位相シフトマスク用ブランクス。
- 前記タンタルを主成分としシリコンを含まない層が、酸素もしくは窒素を含むことを特徴とする請求項3記載のハーフトーン型位相シフトマスク用ブランクス。
- 前記タンタルを主成分としシリコンを含まない層が、酸素は15〜40atomic%もしくは窒素は20〜30atomic%であることを特徴とする請求項4記載のハーフトーン型位相シフトマスク用ブランクス。
- 前記タンタルを主成分としシリコンを含まない層の屈折率が、1.5以上であることを特徴とする請求項3、請求項4、又は請求項5記載のハーフトーン型位相シフトマスク用ブランクス。
- 請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のハーフトーン型位相シフトマスク用ブランクスをパターン化して、透明基板上に露光光に対して透明領域と半透明領域を存在させたことを特徴とするハーフトーン型位相シフトマスク。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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KR100744705B1 (ko) * | 2004-11-26 | 2007-08-02 | 엔이씨 엘씨디 테크놀로지스, 엘티디. | 액티브 매트릭스형 표시장치용 포토마스크 및 그 제조방법 |
JP2008310091A (ja) * | 2007-06-15 | 2008-12-25 | Shin Etsu Chem Co Ltd | ハーフトーン型位相シフトマスク |
JP2016085466A (ja) * | 2015-12-21 | 2016-05-19 | 大日本印刷株式会社 | フォトマスクおよびフォトマスクブランクス |
-
2002
- 2002-08-26 JP JP2002244745A patent/JP2004085759A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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