JP2004083534A - 新規な金属ヒドリドクラスターアニオン - Google Patents

新規な金属ヒドリドクラスターアニオン Download PDF

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鈴木 寛治
Masato Ohashi
大橋 理人
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Abstract

【課題】窒素の水素化や炭酸ガスの水素化を触媒作用する新規な金属ヒドリドクラスターアニオンを提供する。この金属ヒドリドクラスターアニオンは従来の触媒に比べて遥かに高い活性を有する。
【解決手段】本発明は、下式(1)
Figure 2004083534

又は下式(2)
Figure 2004083534

(式中、Rは、それぞれ同じであっても異なってもよく、アルキル基を表し、X、X及びXは、それぞれ同じであっても異なってもよく、Ru、Ir、Rh、Os、Fe、Co、Re、Mo、W、Ti、Zr及びHfから成る群から選択される金属を表し、kは4、5、6又は7、lは2、3、4又は5であって、金属の電子数によって定まる整数を表す。)のいずれかで表される金属ヒドリドクラスターアニオンである。
【選択図】  なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、窒素の水素化や炭酸ガスの水素化等のプロセスに有用なルテニウム等の金属ヒドリドクラスターアニオンに関する。
【0002】
【従来の技術】
現在の工業的な窒素固定(N→NH)プロセスや炭酸ガスの水素化プロセスは莫大なエネルギーを浪費するものであり、温暖化対策や省エネルギーの点でより効率的なプロセスの開発が急務である。
一方、ポリヒドリドクラスターは、反応基質を複数の金属中心を通して捕捉し、さらに基質との間で多電子をやり取りする機能を有するため、これまで有機合成に幅広く用いられてきた単核の遷移金属錯体をはるかに凌駕する反応性を発揮するものと期待される(Europian Journal of Inorganic Chemistry, 2002, 1009−1023.)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、窒素の水素化や炭酸ガスの水素化を触媒作用する新規な金属ヒドリドクラスターアニオンを提供することを目的とする。この金属ヒドリドクラスターアニオンは従来の触媒に比べて遥かに高い活性を有することを特徴とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らはこのような技術課題を解決するために新規な金属ヒドリドクラスターアニオンを合成した。このような一群の金属ヒドリドクラスターアニオンはその分子構造中に電子吸引性の支持配位子を持たないクラスターアニオンであり、複数の金属から成るクラスターは電子を豊富に持っていることや、ヒドリド(プロトン)源をクラスター自身が持っていることから、外部のヒドリド(プロトン)源を用いることなく、窒素の水素化や炭酸ガスの還元に非常に有用であると考えられる。
【0005】
即ち、本発明は、
下式(1)
Figure 2004083534
又は下式(2)
Figure 2004083534
(式中、R、X、X及びX、並びにk及びlについては後述する。)のいずれかで表される金属ヒドリドクラスターアニオンである。
また本発明は、この金属ヒドリドクラスターアニオンを触媒として用いて窒素の水素化反応又は二酸化炭素の水素化反応を行なう方法である。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の式(1)
Figure 2004083534
で表される三核金属ヒドリドクラスターアニオンにおいて、Cは5員環を形成しており、金属部分(X)とその環状部分で結合し錯体を形成している。
Rはそれぞれ同じであっても異なってもよいアルキル基であり、その炭素数は3以下が好ましい。金属部分(X)は、それぞれ同じであっても異なってもよく、Ru、Ir、Rh、Os、Fe、Co、Re、Mo、W、Ti、Zr及びHfから成る群から選択される金属であり、この金属の組み合わせは、Ru、RuIr、RuRh、RuOs、RuOs、Os、Fe、RuRe、RuMo、RuW、RuW、TiIr、ZrIr、HfIr等が挙げられる。これらX、X及びXはそれぞれ好ましくはRu、Ir、Rh、Os及びFeから成る群から選択される金属であり、より好ましくは少なくともひとつ(例えば、X)がRuであり、最も好ましくはX、X及びXが全てRuである。
【0007】
式(1)はより詳細には下式(3)で表される。
Figure 2004083534
式(1)のkは4、5、6又は7であって、金属(X)の電子数によって定まる整数であり、k=m+n+pを満たし、具体的には下記の数字となる。
(a) X=X=X=Fe、Ru又はOsの場合、m=3, n=1, p=0
(b) X=X=Ru,X=Fe又はOsの場合、m=3, n=1, p=0
(c) X=X=Fe,X=Ru又はOsの場合、m=3, n=1, p=0
(d) X=X=Os,X=Fe又はRuの場合、m=3, n=1, p=0
(e) X=X=Ru,X=Co、Rh又はIrの場合、m=3, n=0又は2, p=0
(f) X=X=Ru,X=Reの場合、m=3, n=0又は2, p=0
(g) X=X=Re,X=Ruの場合、m=3, n=1, p=0
(h) X=X=Ru,X=Mo又はWの場合、m=6, n=0, p=0又はm=4, n=2,p=0
(i) X=X=Mo又はW,X=Ruの場合、m=6, n=p= 0又はm=5, n=1, p=0又はm=5, n=0, p=1
【0008】
また、μ−Hは2つの金属に結合する水素原子であり、μ−Hは同じく2つの金属に結合し、更にカチオンと結合しうる結合手を有する水素原子である。
【0009】
本発明の式(2)
Figure 2004083534
で表される二核金属ヒドリドクラスターアニオンにおいて、各構成要素は式(1)と同様であるが、金属部分(X)の組み合わせとして、Ru、Fe、RuIr、RuRh、RuOs、RuRe、RuMo、RuW、TiIr、ZrIr、HfIr等が挙げられる。
【0010】
式(2)はより詳細には下式(4)で表される。
Figure 2004083534
式(2)のlは2、3、4又は5であって、金属(X)の電子数によって定まる整数であり、l=m+pを満たし、具体的には下記の数字となる。
(a) X=X=Fe又はRu又はOsの場合、m=3, p=0
(b) X=Fe,X=Ru又はOsの場合、m=3, p=0
(c) X=Ru,X=Osの場合、m=3, p=0
(d) X=Ru,X=Rh又はIrの場合、m=2又は4, p=0
(e) X=Ru,X=Reの場合、m=3, p=1
(f) X=Ru,X=Mo又はWの場合、m=3, p=2
【0011】
本発明の金属ヒドリドクラスターアニオンは次の2段階で製造できる。
(1)二核金属ジクロライドダイマーを低温でLiAlH等の還元剤を用いて還元し、精製して二核金属テトラヒドリド錯体を得ることができる。更に、この二核金属テトラヒドリド錯体を硫酸エーテル等の酸化剤と反応させ、アルコラート等により脱水素し、精製して、三核金属ペンタヒドリド錯体を得ることができる。
(2)(1)で得た錯体を、カチオン部となりうる化合物又はその前駆体と加熱混合することにより、この錯体アニオンとカチオンの反応物が得られる。適切なカチオンを選択すればこの化合物は安定であり、使用する際には、極性溶媒にこの反応物を溶解させアニオンを解離させることができる。
【0012】
本発明の金属ヒドリドクラスターアニオンはカチオンとの反応物を形成することにより安定化することができる。このカチオンとしては、アルカリ金属イオン(Li、Na、K)、クラウンエーテル、PPN([PhP=N=PPh)等が挙げられるが、クラウンエーテルやPPNが好ましい。クラウンエーテルとしては[Y(CO)(式中、Yはアルカリ金属を表し、nは4〜6の整数を表す。)で表される金属クラウンエーテルが挙げられる。
【0013】
本発明の金属ヒドリドクラスターアニオンは、窒素の水素化や炭酸ガスの水素化等のプロセスの触媒として用いることができる。例えば、DFT計算(密度汎関数法)を用いて中性のルテニウムヒドリドクラスター{(CMe)Ru}(H)と窒素の反応、およびアニオン性のルテニウムヒドリドクラスターと窒素の反応を検討したところ、中性のクラスターは窒素の配位、水素化に対してほとんど活性を示さないのに対して、クラスターをアニオン性にすると窒素分子が錯体反応場に取り込まれた後μ−η配位し、ついでルテニウム上から窒素上にヒドリドが移動することによって窒素−窒素結合の切断が達成されることが明らかになった。クラスターと窒素を反応させ、窒素−窒素結合を切断するためにはクラスターをアニオン性にすることが肝要である。
【0014】
本発明の金属ヒドリドクラスターアニオンは以下のようにして窒素の水素化反応に用いることができる。まず、このアニオン錯体をテトラヒドロフラン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジオキサンなどの極性溶媒中に溶解させる。極性溶媒中のアニオンの濃度は0.001〜0.01M程度である。これを窒素置換した耐圧反応容器に移した後、さらに窒素と水素の混合ガスを導入する。この混合ガス中の窒素:水素のモル比は1:1から1:20程度であり、その圧力は1〜200気圧程度である。これを室温から120℃程度の反応温度で反応させる。
また、本発明の金属ヒドリドクラスターアニオンは以下のようにして二酸化炭素の水素化反応に用いることができる。まず、このアニオン錯体をテトラヒドロフラン、ジオキサン、エーテルなどの極性溶媒中に溶解させる。極性溶媒中のアニオンの濃度は0.001〜0.01M程度である。これを耐圧反応容器に移した後、二酸化炭素を導入する。その圧力は1〜200気圧程度である。これを室温から120℃程度の反応温度で反応させる。
【0015】
【実施例】
以下、実施例にて本発明を例証するが、本発明を限定することを意図するものではない。
製造例1
三核ルテニウムペンタヒドリド錯体 [(η−CMe)Ru(μ−H)](μ−H) を、既報 (Eur. J. Inorg. Chem. 2002, 1909−1023) に従って、以下のように作製した。
テトラヒドロフラン中に懸濁させた二核テトラヒドリド錯体 [(η−CMe)Ru(μ−H) (合成法は製造例2に詳述) に硫酸エーテル溶液を室温で加え3時間攪拌することによって得られるカチオン性三核ヘキサヒドリド錯体 [{(η−CMe)Ru}(μ−H)・1/2 (SO 2− + HSO) (1.21 g, 1.41 mmol) をメタノールに溶解し、そこへNaOMe (302 mg, 5.60 mmol) を室温で加えた。10分後、減圧下で溶媒を留去した後に得られる暗褐色固体からテトラヒドロフランで抽出される成分を、アルミナを充填したカラムに通すことにより精製した。得られた溶液から溶媒を減圧下で留去することにより、三核ルテニウムペンタヒドリド錯体 [(η−CMe)Ru(μ−H)](μ−H) (964 mg, 96%)を暗褐色固体として得た。
また、CMeEt基を支持配位子として有するものは、上記メチルの一部をエチル基に変えて同様に作製した。
【0016】
製造例2
二核ルテニウムテトラヒドリド錯体 [(η−CMe)Ru(μ−H) を、既報 (Organometallics 1984, 3, 1129−1146) に従って、以下のように作製した。
乾燥ジエチルエーテル中に懸濁させた二核ルテニウムジクロライドダイマー [(η−CMe)RuCl (5.04 g, 8.21 mmol) にLiAlH (1.41 g, 37.1 mmol) を−78℃で加えた。冷浴をはずしゆっくり室温まで昇温させると懸濁液の色は次第に黄色へと変化した。室温で5時間攪拌した後に、再び−78℃に冷却した黄色懸濁液に対しEtOH (35 mL) を滴下した。冷浴をはずして室温まで昇温、そのまま12時間攪拌すると、溶液の色は暗褐色に変化した。減圧下で溶媒を留去した後に、トルエン (150 mL×5) を加えて抽出される成分をセライト、及びアルミナを充填したカラムに通し不溶物を除去した。得られたトルエン溶液を100 mLまで濃縮し、アルミナを充填したカラムクロマトグラフィーで精製する事により、二核ルテニウムテトラヒドリド錯体[(η−CMe)Ru(μ−H) (2.57 g, 66 %) を赤色結晶性固体として得た。
また、CMeEt基を支持配位子として有するものは、上記メチルの一部をエチル基に変えて同様に作製した。
【0017】
製造例3
MeEt基を支持配位子とする四核ルテニウムヘキサヒドリド錯体 [(η−CMeEt)Ru](μ−H) を以下のように作製した。
製造例2で作製した二核ルテニウムテトラヒドリド錯体 [(η−CMeEt)Ru(μ−H) (557 mg, 1.10 mmol) をペンタン (20 mL) に溶解し、室温でHBF・OEt (0.3 mL, 1.73mmol) を加えた。2時間攪拌した後に、無色の上澄みを除去し、得られた暗緑色沈殿をトルエンで洗浄 (10 mL×3) した。減圧下で十分乾燥させた後に、テトラヒドロフラン (20 mL) 中に懸濁させ、室温でLiAlH (71.4 mg, 1.88 mmol) を加えたところ、激しく水素を発生し、溶液は赤紫色に変化した。1.5時間攪拌後、減圧下で溶媒を留去することにより得られる赤紫色固体残渣から、ペンタンで抽出できる成分をセライト・アルミナを充填した濾過管を通すことにより精製した。減圧下で溶媒を留去することにより、四核ルテニウムヘキサヒドリド錯体 [(η−CMeEt)Ru](μ−H) (384 mg, 69 %)を赤紫色固体として得た。
【0018】
実施例1
本実施例では、CMe基を支持配位子とする三核クラスターアニオンを合成した。この反応を下式で示す。
Figure 2004083534
製造例1で作製した三核ルテニウムペンタヒドリド錯体 [(η−CMe)Ru(μ−H)](μ−H) (1.048 g, 1.47 mmol)、クラウンエーテル(CO)(Aldrich社製18−crown−6)(0.351 g, 1.33 mmol)、KH (0.080 g, 1.99 mmol) をそれぞれ秤量し、THF 30 mLとともにフッ素樹脂製コック付のガラス製密閉容器に入れて、80 ℃で4日間加熱した。
反応終了後、生成物の結晶性固体をTHFに再溶解させグラスフィルターを通ずることにより未反応のKHを濾別した。得られた濾液を減圧下で留去した後に、ペンタンで洗浄することにより、アニオン性三核テトラヒドリド錯体 [{(η−CMe)Ru(μ−H)}−−−(μ−H)]−−−[K(18−−−crown−6)] を褐色固体として得た (1.341 g, 99 %)。得られた錯体の分析値を下表1に示す。
【表1】
Figure 2004083534
【0019】
実施例2
本実施例では、CMeEt基を支持配位子とする三核クラスターアニオンを合成した。この反応を下式で示す。
Figure 2004083534
製造例1で作製したCMeEt基を支持配位子として有する三核ルテニウムペンタヒドリド錯体 [(η−CMeEt)Ru(μ−H)](μ−H) (0.343 g, 0.45 mmol)、18−crown−6 (0.111 g, 0.42 mmol)、KH (0.040 g, 1.00 mmol) をそれぞれ秤量し、THF 20 mLとともにフッ素樹脂製コック付のガラス製密閉容器に入れて、80 ℃で4日間加熱した。
反応終了後、生成物の結晶性固体をTHFに再溶解させグラスフィルターを通ずることにより未反応のKHを濾別した。得られた濾液を減圧下で留去した後に、ペンタンで洗浄することにより、アニオン性三核テトラヒドリド錯体 [{(η−CMeEt)Ru(μ−H)}−−−(μ−H)]−−−[K(18−−−crown−6)] を褐色固体として得た (0.457 g, 103 %)。収率が100 % を越えているのは、溶媒として用いたTHFが完全に除去できていないためである。得られた錯体の分析値を下表2に示す。
【表2】
Figure 2004083534
【0020】
実施例3
本実施例では、実施例1で得られたCMe基を支持配位子とする三核クラスターアニオンのカチオン交換した。この反応を下式で示す。
Figure 2004083534
実施例1で得られた[K(18−−−crown−6)] を対カチオンとする三核クラスターアニオン [{(η−CMe)−−−Ru(μ−H)}−−−(μ−H)]−−−[K(18−−−crown−6)] (0.210 g, 0.21 mmol) と [PhP=N=PPh]Cl (Aldrich社製、PPNCl; 0.111 g, 0.44 mmol) をそれぞれシュレンクチューブに量り取り、THF 10 mLを加えて室温で16時間攪拌した。
反応終了後、THFを減圧下で留去して得られる褐色残渣に、改めてTHFを少量ずつ加えて溶解した成分のみをグラスフィルターに通すことにより、白色の塩を濾別した。得られた濾液からTHFを減圧下で留去した後に、トルエン/ペンタン混合溶媒 (体積比1:4, 20 mL)、EtO (5 mL×3回)、ペンタン(5 mL×3回) の順序で洗浄、減圧下で乾燥することにより、対カチオンとしてPPN を有するアニオン性三核テトラヒドリド錯体 [{(η−CMe)Ru(μ−H)}−−−(μ−H)]−−−(PPN)+  を褐色固体として得た(0.238 g, 92 %)。得られた錯体の分析値を下表3に示す。
【表3】
Figure 2004083534
【0021】
実施例4
本実施例では、CMe基を支持配位子とする二核クラスターアニオンを合成した。この反応を下式で示す。
Figure 2004083534
製造例2で作製した二核ルテニウムテトラヒドリド錯体 [(η−CMe)Ru(μ−H) (0.261 g, 0.55 mmol)、等モルの18−crown−6 (0.145 g, 0.55 mmol)をそれぞれ秤量し、過剰量のKH 、ならびにTHF 20 mLとともにフッ素樹脂製コック付のガラス製密閉容器に入れて、80 ℃で24時間加熱した。
反応終了後、THFに溶解する成分を抽出し、グラスフィルターで濾過することにより未反応のKHを濾別した。得られた濾液を減圧下で留去した後に、ペンタン, EtOで洗浄することにより、アニオン性二核トリヒドリド錯体 [{(μ−CMe)Ru}(μ−H) [K(18−crown−6)] を朱色固体として得た(0.223 g, 52 %)。得られた錯体の分析値を下表4に示す。
【表4】
Figure 2004083534
【0022】
実施例5
本実施例では、CMeEt基を支持配位子とする二核クラスターアニオンを合成した。この反応を下式で示す。
Figure 2004083534
製造例2で作製したCMeEt基を支持配位子として有する二核ルテニウムテトラヒドリド錯体 [(μ−CMeEt)Ru(μ−H) (0.102 g, 0.20 mmol)、等モルの18−crown−6 (0.053 g, 0.20 mmol) をそれぞれ秤量し、過剰量のKH、および THF 10 mLとともにフッ素樹脂製コック付のガラス製密閉容器に入れて、80 ℃で46時間加熱した。
反応終了後、THFに溶解する成分を抽出し、グラスフィルターで濾過することにより未反応のKHを濾別した。得られた濾液を減圧下で留去した後に、ペンタン, EtOで洗浄することにより、アニオン性二核トリヒドリド錯体 [{(η−CMeEt)Ru}(μ−H) [K(18−crown−6)] を朱色固体として得た(0.099 g, 61 %)。得られた錯体の分析値を下表5に示す。
【表5】
Figure 2004083534
【0023】
実施例6
本実施例では、CMeEt基を支持配位子とするルテニウム四核クラスターを出発原料とした二核クラスターアニオンを合成した。この反応を下式で示す。
Figure 2004083534
製造例3で作製したCMeEt基を支持配位子として有する四核ルテニウムヘキサヒドリド錯体 {(η−CMeEt)Ru}(μ−H) (0.042g, 0.042 mmol)、18−crown−6 (0.021 g, 0.080 mmol) をそれぞれ秤量し、過剰量のKH、および THF 10 mLとともにフッ素樹脂製コック付のガラス製密閉容器に入れて、120 ℃で11日間加熱した。時間の経過にともなって、反応溶液は紫色懸濁液から濃赤色に変化した。加熱終了後、THFに溶解する成分を抽出し、グラスフィルターで濾過することにより未反応のKHを濾別した。得られた濾液を減圧下で留去した後に、ペンタン, EtOで洗浄することにより、アニオン性二核トリヒドリド錯体 [{(η−CMeEt)Ru}(μ−H) [K(18−crown−6)] を朱色固体として得た (0.051 g, 66 %)。得られた錯体は実施例5で得られた錯体と同一でありその分析値は表5に示したとうりである。
なお、反応を80℃、5日間の条件で行うと反応は進行せず、原料が回収される。
また、CMe基を支持配位子とするルテニウム四核クラスター{(η−CMe)Ru}(μ−H) を出発原料とした場合、原料の溶解性が低いため、反応は進行しなかった。

Claims (6)

  1. 下式(1)
    Figure 2004083534
    又は下式(2)
    Figure 2004083534
    (式中、Rは、それぞれ同じであっても異なってもよく、アルキル基を表し、X、X及びXは、それぞれ同じであっても異なってもよく、Ru、Ir、Rh、Os、Fe、Co、Re、Mo、W、Ti、Zr及びHfから成る群から選択される金属を表し、kは4、5、6又は7、lは2、3、4又は5であって、金属の電子数によって定まる整数を表す。)のいずれかで表される金属ヒドリドクラスターアニオン。
  2. 前記XがRuである請求項1に記載の金属ヒドリドクラスターアニオン。
  3. 前記式(1)においてX〜Xが全てが、前記式(2)においてX及びXが、Ruである請求項1に記載の金属ヒドリドクラスターアニオン。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の金属ヒドリドクラスターアニオンを触媒として用いて窒素の水素化反応又は二酸化炭素の水素化反応を行なう方法。
  5. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の金属ヒドリドクラスターアニオンとカチオンとの反応物。
  6. 前記カチオンが[Y(CO)(式中、Yはアルカリ金属を表し、nは4〜6の整数を表す。)で表される金属クラウンエーテル又はPPN([PhP=N=PPh)である請求項5に記載の反応物。
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