JP2004082353A - 熱転写記録媒体及び記録方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】耐溶剤性及び耐水性に優れ、精細性の高い画像を形成できる熱転写記録媒体を提供する。
【解決手段】本発明は、支持体上に剥離層、着色剤を含有するインク層を順次積層した熱転写記録媒体において、該インク層がシラノール基を有するポリビニルアルコールと粒径が8〜200nmのシリカ及び/又はアルミナを含有することを特徴とする。特定のポリビニルアルコールとシリカ及び/又はアルミナを用いることにより、ポリビニルアルコールのシラノール基とシリカ及び/又はアルミナが反応して、耐水性及び耐溶剤性が向上する。
【選択図】 なし
【解決手段】本発明は、支持体上に剥離層、着色剤を含有するインク層を順次積層した熱転写記録媒体において、該インク層がシラノール基を有するポリビニルアルコールと粒径が8〜200nmのシリカ及び/又はアルミナを含有することを特徴とする。特定のポリビニルアルコールとシリカ及び/又はアルミナを用いることにより、ポリビニルアルコールのシラノール基とシリカ及び/又はアルミナが反応して、耐水性及び耐溶剤性が向上する。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は熱転写記録媒体に関し、詳しくは転写画像が耐溶剤性、耐水性及び画像精細性に優れる熱転写記録媒体と記録方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
感熱記録方式のうち、加熱によって溶融したインクを剥離して受容体に転写する、溶融型熱転写記録は、プリンターやファクシミリを中心に用いられてきた。このような溶融型熱転写記録に用いる熱転写記録媒体は、熱感度が良好で、さらに、トルエン、アセトンやエタノールのような有機溶剤を使用する環境で使用される場合、転写された画像がこれらの有機溶剤によって消去されないことが要求される。
【0003】
トルエン、アセトンやエタノールに対する耐性を得るために、特許第3168371号や特開平11−240259号公報には、インク樹脂として特定のポリオレフィン樹脂を用いることが例示されている。また、特開平4−347688号公報にはインク層と受容層にポリアミド樹脂を用いることが例示されている。しかし、いずれの樹脂も溶剤に可溶なものであり、得られる耐溶剤性には限界がある。
【0004】
これに対して、一般的に耐溶剤性に優れる樹脂としてポリビニルアルコールが挙げられる。ポリビニルアルコールをインク樹脂として用いることは特開昭60−9798、特開昭62−41087、特開平2−63792、特開平7−314903号公報等に示されている。しかし、これらの従来技術は、実使用においては未だ到底耐溶剤性に優れるとは言えず、また画像の耐水性もない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明では、感熱記録に用いる熱転写記録媒体として、得られる画像の耐溶剤性及び耐水性に優れる熱転写記録媒体を提供することを目的とする。さらには、そのような熱転写記録媒体を用いた、耐溶剤性および耐水性に優れた画像の得られる記録方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討の結果、熱転写記録媒体のインク層が特定のポリビニルアルコールとシリカ及び/又はアルミナを含有させることで上記の課題を解決できることを見出した。すなわち、本発明によれば、支持体上に剥離層、着色剤を含有するインク層を順次積層した熱転写記録媒体において、該インク層がシラノール基を有するポリビニルアルコールと粒径が8〜200nmのシリカ及び/又はアルミナを含有することを特徴とする熱転写記録媒体が提供される。
【0007】
以下に本発明を詳細に説明する。上述のように、本発明の熱転写記録媒体では、インク層にシラノール基を有するポリビニルアルコールと特定の粒径のシリカ及び/又はアルミナを組み合わせて含有させる。これにより、転写された画像が、トルエン、アセトンやエタノールなどの溶剤に対して優れた耐性を有するばかりでなく、耐水性や画像精細性に優れる熱転写記録媒体が得られる。
【0008】
本発明で用いるインク層にシラノール基を有するポリビニルアルコールとしては、このようなポリビニルアルコールのなかでも、ケン化度が95〜99.5%のものを用いるのが好ましい。95%未満では耐溶剤性が低下する。このようなシラノール基を有するポリビニルアルコールとしてクラレ製のRS1130、RS2105、RS2130等が挙げられる。更には20℃における4%水溶液の粘度が2〜10CPS(2×10−3〜10×10−3Pa・s)のものを用いるのが好ましい。一般的に水溶液の粘度はポリビニルアルコールの重合度が大きくなるにしたがって高くなる。従って、2CPS未満のものは重合度が低く、所望の耐溶剤性が得られない。10CPSを超えるものは重合度が大きすぎて熱で軟化しにくく転写性に劣る。
【0009】
本発明では、シラノール基を有するポリビニルアルコールとともに、粒径が8〜200nmのシリカ及び/又はアルミナを含有させる。本発明者の研究により、ポリビニルアルコールのシラノール基とシリカ又はアルミナが反応して、耐水性、耐溶剤性が向上することが分かった。シリカ及びアルミナは単独又は混合して用いる。シリカやアルミナの粒径が8〜200nmであるとシラノール基を有するポリビニルアルコールとともに均一で強靭なインク層を形成し耐溶剤性や耐水性に優れ、かつ転写時にはインク層のせん断力が低くなるためシャープで精細性の高い画像が得られる。シリカやアルミナの粒径が8nm未満では異常凝集が発生してインク層を形成するインク液の作製が難しい。シリカやアルミナの粒径が200nmを超えるとインク層の均一性が低下し所望の耐溶剤性や耐水性が得られなくなる。本発明で用いられるシリカやアルミナは一般にコロイダルシリカやアルミナゾルとして製品化されているものを用いることができる。
【0010】
本発明においてシラノール基を有するポリビニルアルコールとシリカ及び/又はアルミナの混合比率は6:4〜2:8であるのが好ましい。6:4よりもシラノール基を有するポリビニルアルコールが多いと画像精細性や耐水性が低下する。また2:8よりもシリカ及び/又はアルミナが多いと、インク層の成膜性が低下して画像が摩擦に対して弱くなる。
【0011】
シラノール基を有するポリビニルアルコールとシリカ及び/又はアルミナは合わせてインク層中に30〜90重量%となるように添加するのが好ましい。30重量%未満では所望の耐溶剤性が得られず、また90重量%を超えると着色剤等の添加が制限されてしまう。
【0012】
本発明では、シラノール基を有するポリビニルアルコールとシリカ及び/又はアルミナのほかに必要に応じて、その他の水溶性樹脂や非水溶性樹脂を添加することもできる。
水溶性樹脂の例としては部分ケン化ポリビニルアルコール、完全ケン化ポリビニルアルコール、カルボキシル基、スルホン酸Na基、アセトアセチル基、カチオン基などで変性されたポリビニルアルコール等のポリビニルアルコール類、澱粉及びその誘導体、メトキシセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロースなどのセルロース誘導体、ポリアクリル酸ソーダ、ポリビニルピロリドン、アクリルアミド/アクリル酸エステル共重合体、アクリルアミド/アクリル酸エステル/メタクリル酸三元共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体アルカリ塩、イソブチレン/無水マレイン酸共重合体アルカリ塩、ポリアクリルアミド、アルギン酸ソーダ、ゼラチン、カゼインなどが挙げられる。
【0013】
非水溶性樹脂の例としては、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、スチレン/ブタジエン共重合体、アクリロニトリル/ブタジエン共重合体、スチレン/ブタジエン/アクリル系共重合体、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル/アクリル酸共重合体、エチレン/酢酸ビニル/アクリル酸共重合体、ウレタン変性ポリエチレン、アクリル酸変性ポリエチレン、スチレン/アクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル(共)重合体、塩化ビニリデン(共)重合体、エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/塩化ビニル共重合体、酢酸ビニル/エチレン/塩化ビニル共重合体、ポリエステル等のエマルジョンや水分散体等が挙げられる。
【0014】
本発明のインク層には、熱転写性や解像度の向上を目的として、必要に応じて各種の添加物質が添加されてよい。例えば、ワックス状の脂肪酸アミド、各種滑剤、パラフィンワックスのような合成ワックス類、キャンデリラワックスやカルナバワックス等の天然ワックス類等の添加によって熱転写性や解像度を向上させることができる。なお、この場合の滑剤にはリン酸エステル等のほか、シリコーン樹脂や四フッ化エチレン樹脂やフロロアルキルエーテル樹脂等の樹脂粒子類も使用可能である。
【0015】
本発明で用いられる着色剤としては、要求される色調などに応じて、カーボンブラック、有機顔料、無機顔料又は各種染料から適当なものを選択して用いることができる。
【0016】
本発明では支持体とインク層の間に剥離層を設ける。剥離層はバインダーとワックスを主成分とするのが好ましい。
本発明の剥離層のバインダーとしては、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、エチレンプロピレンゴム、ブチルゴム、ニトリルゴム等が用いられる。
【0017】
本発明では剥離層にワックスを添加してもよい。この場合、ワックスとしては、例えば、蜜ろう、鯨ろう、木ろう、米ぬかろう、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、モンタンワックス、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、酸変性ポリエチレンワックス、マイクロクリスタリンワックス、酸ワックス、オゾケライト、セレシン、エステルワックス、マルガリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、フロイン酸、べへニン酸、ステアリルアルコール、べへニルアルコール、ソルビタン、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド等が挙げられる。
【0018】
支持体は公知のフィルムや紙をそのまま使用すればよく、例えばポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリカーボネート、トリアセチルセルロース、ナイロン、ポリイミド等のように比較的耐熱性のよいプラスチックフィルム;セロハン;硫酸紙等が好ましく使用される。
【0019】
また本発明の熱転写記録媒体には必要に応じて支持体の裏面に保護層を設けてもよい。保護層はサーマルヘッドによる熱印加時に支持体を高温から保護するための層であり、耐熱性の高い熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂のほか、紫外線硬化性樹脂や電子線硬化性樹脂も使用可能である。なお、保護層形成に好適な樹脂はフッ素樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂等であり、これらの樹脂を薄膜状で使用すればよい。また、保護層の設置によって支持体の耐熱性を著しく向上させることができるため、該層の設置によって従来は不適とされていた支持体を用いることもできる。
【0020】
以上に詳記した熱転写層は、ホットメルト塗工法、溶媒を用いた塗工法等で支持体上に積層して設けることができる。このような塗工法で設けられる熱転写層は、全体の厚さを0.1〜10μm、好ましくは0.5〜6.0μmにすればよい。また、各層の層厚としてインク層は0.5〜6.0μm、好ましくは0.8〜3.0μm、剥離層は0.2〜3.0μm、好ましくは1.0〜2.0μmとすれば良い。
【0021】
また、本発明の熱転写記録媒体を用いる記録方法で使用する受容体は、支持体上にポリビニルアルコールと耐水化剤を含む受容層を形成してなる受容体である。
【0022】
受容層のポリビニルアルコールとしては、例えば部分ケン化ポリビニルアルコール、完全ケン化ポリビニルアルコール、カルボキシル基、スルホン酸Na基、アセトアセチル基、カチオン基などで変性されたポリビニルアルコール等が用いられる。受容層に添加する耐水化剤の例としては、メチロール化合物、エポキシ化合物、アジリジン化合物、ホルマリン、メラミン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドエピクロルヒドリン樹脂、ケトンアルデヒド樹脂、ポリエチレンイミン樹脂、グリオキザール及びその誘導体、アジリジン、グルタルアルデヒド、イソシアネート化合物、ジルコニウム系金属架橋剤、ホウ酸、ホウ砂等が挙げられる。
【0023】
受容層にはポリビニルアルコール、耐水化剤の他に必要に応じて添加剤を加えることもできる。添加剤としては例えば、シリカ、酸化亜鉛、酸化チタン、水酸化アルミニウム、水酸化亜鉛、硫酸バリウム、クレー、カオリン、焼成カオリン、タルク、表面処理されたシリカ等の無機系微粉末やステアリン酸アミド、パルミチン酸アミド等の脂肪酸アミド類、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、パルミチン酸亜鉛、ベヘン酸亜鉛等の脂肪酸金属塩類や界面活性剤等を用いることができる。
【0024】
受容層は、1〜20μm程度の厚みで形成するのが好ましい。また受容層表面の平滑度は100〜30000秒(JIS P 8119)とするのが好ましい。100秒未満では画像の白ぬけなどが発生してしまう。また30000秒を超えると、ロール状に加工したときに、背面とブロッキングが発生しやすくなる。
【0025】
受容体の支持体としては例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、ナイロン、ビニロン、ポリオレフィン合成紙等のプラスチックフィルムや紙、不織布等が用いられる。
【0026】
また、本発明の熱転写記録媒体を用いる別の態様の記録方法で使用する受容体は、エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルムである。エチレン−ビニルアルコール共重合体は適度な極性と熱変形性を有しているので、インクが熱転写されたときの定着性に優れる。
【0027】
本発明ではエチレン−ビニルアルコール共重合体フィルムはインクが定着する表面に露出していればよい。すなわち、受容体がエチレン−ビニルアルコール共重合体フィルムそのものであってもよく、インクが定着する反対側に紙、ポリエチレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ナイロンフィルム等の支持体を貼り合わせて用いることもできる。
【0028】
【発明の実施の形態】
次に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。なお、ここでの部は固形分重量基準である。
【0029】
〔実施例1〕
(1)熱転写記録媒体の作製
支持体としては4.5μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルムを用意し、熱転写記録層(剥離層及びインク層)を塗工する側の反対側にシリコーンゴム(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製SD7226)を、乾燥後の塗工量が0.2g/m2となるように塗布乾燥して、耐熱滑性層を有する支持体を作製した。
【0030】
剥離層処方
カルナバワックスのトルエン分散液(固形分10%) 90部
エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂のトルエン溶液(固形分10%)10部
上記処方の剥離液を、支持体の上記シリコーンゴムの耐熱滑性層と反対側の面に厚みが約1.0μmとなるように塗布乾燥して剥離層を設けた。
【0031】
インク層処方
シラノール基を有するポリビニルアルコール(クラレ製 RS1130)の水溶液(固形分10%) 10部
アルミナゾル(日産化学製 アルミナゾル−520 固形分20%)28部
カーボンブラックの水分散体 (固形分38%) 9部
水 53部
(RS1130の20℃における4%水溶液の粘度は25CPS
(25×10−3Pa・s)、アルミナゾル−520の粒径は15nm)
上記組成のインク液を前記剥離層上に厚みが約1.0μmとなるように塗布乾燥し、インク層を設け、熱転写記録媒体を作製した。
【0032】
(2)受容体の作製
受容層処方
ポリビニルアルコール(日本合成化学製 Z−200)
の水溶液(固形分10%) 92部
グリオキザール(固形分40%) 2部
水 6部
上記組成の受容層液を厚さ70μmのポリプロピレン系合成紙に厚さが約8μmとなるように塗布乾燥し受容層を形成した。受容体表面の平滑度は700秒であった。
【0033】
上記により得られた熱転写記録媒体及び受容体について、下記条件により印字し、以下の方法による評価テストを行った。評価結果は、後掲の表1に後述する実施例2、3及び比較例1〜6と併せて示した。
(印字条件)
プリンター:Zebra社製 140Xi
印字速度 :3インチ(約7.6cm)/秒
【0034】
評価した諸特性は、以下の画像精細性及び耐溶剤性/耐水性である。
1.画像精細性
目視にて画像精細性を以下の4つの基準で評価した。
4 精細性が良い
3 やや精細性が良い
2 やや精細性が悪い
1 精細性が悪い
【0035】
2.耐溶剤性/耐水性(ラブテスト)
溶剤又は水0.5ccを綿棒に含ませて転写画像に塗布後、このサンプルについて10g/mm2の荷重をかけて10回擦り、画像を観察し以下の基準で評価した。溶剤はトルエン、アセトン及びエタノールを用いた。
5 ラブテストの結果、テスト前と変化なし。
4 ラブテストの結果、画像の判読は可能だがやや傷ができる。
3 ラブテストの結果、画像の判読は可能だが傷ができる。
2 ラブテストの結果、画像は残るが判読は不可能になる。
1 ラブテストの結果、画像が消去してしまう。
【0036】
〔実施例2〕
実施例1において、インク層処方として下記のものを用いた以外は、実施例1と同様にして熱転写記録媒体を作製した。
上記組成のインク液を前記剥離層上に厚みが約1.0μmとなるように塗布乾燥し、インク層を設け、熱転写記録媒体を作製した。受容体には実施例1と同じものを用いた。その後、実施例1と同様にして印字し、評価結果を後掲の表1に示す。
【0037】
〔実施例3〕
実施例2において、受容体としてエチレン−ビニルアルコール共重合体フィルム(クラレ製 エバールフィルム 厚さ30μm)を用いた以外は実施例2と同様にして印字し、評価を行なった。評価結果は後掲の表1に示す。
【0038】
〔比較例1〕
実施例1において、インク層処方として下記のものを用いた以外は、実施例1と同様にして熱転写記録媒体を作製した。その後、実施例1と同様にして印字し、評価結果は後掲の表1に示す。
受容体には実施例1と同じものを用いた。
【0039】
〔比較例2〕
実施例1において、インク層処方として下記のものを用いた以外は、実施例1と同様にして熱転写記録媒体を作製し印字評価した。評価結果は後掲の表1に示す。
受容体には実施例1と同じものを用いた。
【0040】
〔比較例3〕
実施例1において、インク層処方として下記のものを用いた以外は、実施例1と同様にして熱転写記録媒体を作製し印字評価した。下記の完全ケン化ポリビニルアルコールはシラノール基を全く含んでいない。評価結果は後掲の表1に示す。
受容体には実施例1と同じものを用いた。
【0041】
〔比較例4〕
実施例1において、インク層処方として下記のものを用いた以外は、実施例1と同様にして熱転写記録媒体を作製し印字評価した。下記の完全ケン化ポリビニルアルコールは、シラノール基を全く含んでいない。評価結果は後掲の表1に示す。
受容体には実施例1と同じものを用いた。
【0042】
〔比較例5〕
実施例1において、インク層処方として下記のものを用いた以外は、実施例1と同様にして熱転写記録媒体を作製し印字評価した。下記のスルホン酸変性ポリビニルアルコールは、シラノール基を全く含んでいない。評価結果は後掲の表1に示す。
受容体には実施例1と同じものを用いた。
【0043】
〔比較例6〕
実施例1において、インク層処方として下記のものを用いた以外は、実施例1と同様にして熱転写記録媒体を作製した。実施例1と同様にして印字評価し、評価結果を後掲の表1に示す。
インク層処方
ポリエステル(東洋紡製 バイロン200)のMEK溶液(固形分20%)33部
カーボンブラックのMEK分散体(固形分20%) 18部
MEK 49部
受容体には白色ポリエステルラベル(リンテック製 FR1415)を用いた。
【0044】
【表1】
【0045】
表1から、実施例の熱転写記録媒体及び記録方法を用いると、耐溶剤性と耐水性が両立し画像精細性に優れた画像が得られることが分かる。
【0046】
【発明の効果】
記録媒体において、本発明の提供する、インク層がシラノール基を有するポリビニルアルコールと粒径が8〜200nmのシリカ及び/又はアルミナを含有する熱転写記録媒体は、その転写画像の精細性が高く、トルエンやアセトン、エタノールのような溶剤に対しての耐溶剤性及び耐水性に優れている。
【発明の属する技術分野】
本発明は熱転写記録媒体に関し、詳しくは転写画像が耐溶剤性、耐水性及び画像精細性に優れる熱転写記録媒体と記録方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
感熱記録方式のうち、加熱によって溶融したインクを剥離して受容体に転写する、溶融型熱転写記録は、プリンターやファクシミリを中心に用いられてきた。このような溶融型熱転写記録に用いる熱転写記録媒体は、熱感度が良好で、さらに、トルエン、アセトンやエタノールのような有機溶剤を使用する環境で使用される場合、転写された画像がこれらの有機溶剤によって消去されないことが要求される。
【0003】
トルエン、アセトンやエタノールに対する耐性を得るために、特許第3168371号や特開平11−240259号公報には、インク樹脂として特定のポリオレフィン樹脂を用いることが例示されている。また、特開平4−347688号公報にはインク層と受容層にポリアミド樹脂を用いることが例示されている。しかし、いずれの樹脂も溶剤に可溶なものであり、得られる耐溶剤性には限界がある。
【0004】
これに対して、一般的に耐溶剤性に優れる樹脂としてポリビニルアルコールが挙げられる。ポリビニルアルコールをインク樹脂として用いることは特開昭60−9798、特開昭62−41087、特開平2−63792、特開平7−314903号公報等に示されている。しかし、これらの従来技術は、実使用においては未だ到底耐溶剤性に優れるとは言えず、また画像の耐水性もない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明では、感熱記録に用いる熱転写記録媒体として、得られる画像の耐溶剤性及び耐水性に優れる熱転写記録媒体を提供することを目的とする。さらには、そのような熱転写記録媒体を用いた、耐溶剤性および耐水性に優れた画像の得られる記録方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討の結果、熱転写記録媒体のインク層が特定のポリビニルアルコールとシリカ及び/又はアルミナを含有させることで上記の課題を解決できることを見出した。すなわち、本発明によれば、支持体上に剥離層、着色剤を含有するインク層を順次積層した熱転写記録媒体において、該インク層がシラノール基を有するポリビニルアルコールと粒径が8〜200nmのシリカ及び/又はアルミナを含有することを特徴とする熱転写記録媒体が提供される。
【0007】
以下に本発明を詳細に説明する。上述のように、本発明の熱転写記録媒体では、インク層にシラノール基を有するポリビニルアルコールと特定の粒径のシリカ及び/又はアルミナを組み合わせて含有させる。これにより、転写された画像が、トルエン、アセトンやエタノールなどの溶剤に対して優れた耐性を有するばかりでなく、耐水性や画像精細性に優れる熱転写記録媒体が得られる。
【0008】
本発明で用いるインク層にシラノール基を有するポリビニルアルコールとしては、このようなポリビニルアルコールのなかでも、ケン化度が95〜99.5%のものを用いるのが好ましい。95%未満では耐溶剤性が低下する。このようなシラノール基を有するポリビニルアルコールとしてクラレ製のRS1130、RS2105、RS2130等が挙げられる。更には20℃における4%水溶液の粘度が2〜10CPS(2×10−3〜10×10−3Pa・s)のものを用いるのが好ましい。一般的に水溶液の粘度はポリビニルアルコールの重合度が大きくなるにしたがって高くなる。従って、2CPS未満のものは重合度が低く、所望の耐溶剤性が得られない。10CPSを超えるものは重合度が大きすぎて熱で軟化しにくく転写性に劣る。
【0009】
本発明では、シラノール基を有するポリビニルアルコールとともに、粒径が8〜200nmのシリカ及び/又はアルミナを含有させる。本発明者の研究により、ポリビニルアルコールのシラノール基とシリカ又はアルミナが反応して、耐水性、耐溶剤性が向上することが分かった。シリカ及びアルミナは単独又は混合して用いる。シリカやアルミナの粒径が8〜200nmであるとシラノール基を有するポリビニルアルコールとともに均一で強靭なインク層を形成し耐溶剤性や耐水性に優れ、かつ転写時にはインク層のせん断力が低くなるためシャープで精細性の高い画像が得られる。シリカやアルミナの粒径が8nm未満では異常凝集が発生してインク層を形成するインク液の作製が難しい。シリカやアルミナの粒径が200nmを超えるとインク層の均一性が低下し所望の耐溶剤性や耐水性が得られなくなる。本発明で用いられるシリカやアルミナは一般にコロイダルシリカやアルミナゾルとして製品化されているものを用いることができる。
【0010】
本発明においてシラノール基を有するポリビニルアルコールとシリカ及び/又はアルミナの混合比率は6:4〜2:8であるのが好ましい。6:4よりもシラノール基を有するポリビニルアルコールが多いと画像精細性や耐水性が低下する。また2:8よりもシリカ及び/又はアルミナが多いと、インク層の成膜性が低下して画像が摩擦に対して弱くなる。
【0011】
シラノール基を有するポリビニルアルコールとシリカ及び/又はアルミナは合わせてインク層中に30〜90重量%となるように添加するのが好ましい。30重量%未満では所望の耐溶剤性が得られず、また90重量%を超えると着色剤等の添加が制限されてしまう。
【0012】
本発明では、シラノール基を有するポリビニルアルコールとシリカ及び/又はアルミナのほかに必要に応じて、その他の水溶性樹脂や非水溶性樹脂を添加することもできる。
水溶性樹脂の例としては部分ケン化ポリビニルアルコール、完全ケン化ポリビニルアルコール、カルボキシル基、スルホン酸Na基、アセトアセチル基、カチオン基などで変性されたポリビニルアルコール等のポリビニルアルコール類、澱粉及びその誘導体、メトキシセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロースなどのセルロース誘導体、ポリアクリル酸ソーダ、ポリビニルピロリドン、アクリルアミド/アクリル酸エステル共重合体、アクリルアミド/アクリル酸エステル/メタクリル酸三元共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体アルカリ塩、イソブチレン/無水マレイン酸共重合体アルカリ塩、ポリアクリルアミド、アルギン酸ソーダ、ゼラチン、カゼインなどが挙げられる。
【0013】
非水溶性樹脂の例としては、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、スチレン/ブタジエン共重合体、アクリロニトリル/ブタジエン共重合体、スチレン/ブタジエン/アクリル系共重合体、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル/アクリル酸共重合体、エチレン/酢酸ビニル/アクリル酸共重合体、ウレタン変性ポリエチレン、アクリル酸変性ポリエチレン、スチレン/アクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル(共)重合体、塩化ビニリデン(共)重合体、エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/塩化ビニル共重合体、酢酸ビニル/エチレン/塩化ビニル共重合体、ポリエステル等のエマルジョンや水分散体等が挙げられる。
【0014】
本発明のインク層には、熱転写性や解像度の向上を目的として、必要に応じて各種の添加物質が添加されてよい。例えば、ワックス状の脂肪酸アミド、各種滑剤、パラフィンワックスのような合成ワックス類、キャンデリラワックスやカルナバワックス等の天然ワックス類等の添加によって熱転写性や解像度を向上させることができる。なお、この場合の滑剤にはリン酸エステル等のほか、シリコーン樹脂や四フッ化エチレン樹脂やフロロアルキルエーテル樹脂等の樹脂粒子類も使用可能である。
【0015】
本発明で用いられる着色剤としては、要求される色調などに応じて、カーボンブラック、有機顔料、無機顔料又は各種染料から適当なものを選択して用いることができる。
【0016】
本発明では支持体とインク層の間に剥離層を設ける。剥離層はバインダーとワックスを主成分とするのが好ましい。
本発明の剥離層のバインダーとしては、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、エチレンプロピレンゴム、ブチルゴム、ニトリルゴム等が用いられる。
【0017】
本発明では剥離層にワックスを添加してもよい。この場合、ワックスとしては、例えば、蜜ろう、鯨ろう、木ろう、米ぬかろう、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、モンタンワックス、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、酸変性ポリエチレンワックス、マイクロクリスタリンワックス、酸ワックス、オゾケライト、セレシン、エステルワックス、マルガリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、フロイン酸、べへニン酸、ステアリルアルコール、べへニルアルコール、ソルビタン、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド等が挙げられる。
【0018】
支持体は公知のフィルムや紙をそのまま使用すればよく、例えばポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリカーボネート、トリアセチルセルロース、ナイロン、ポリイミド等のように比較的耐熱性のよいプラスチックフィルム;セロハン;硫酸紙等が好ましく使用される。
【0019】
また本発明の熱転写記録媒体には必要に応じて支持体の裏面に保護層を設けてもよい。保護層はサーマルヘッドによる熱印加時に支持体を高温から保護するための層であり、耐熱性の高い熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂のほか、紫外線硬化性樹脂や電子線硬化性樹脂も使用可能である。なお、保護層形成に好適な樹脂はフッ素樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂等であり、これらの樹脂を薄膜状で使用すればよい。また、保護層の設置によって支持体の耐熱性を著しく向上させることができるため、該層の設置によって従来は不適とされていた支持体を用いることもできる。
【0020】
以上に詳記した熱転写層は、ホットメルト塗工法、溶媒を用いた塗工法等で支持体上に積層して設けることができる。このような塗工法で設けられる熱転写層は、全体の厚さを0.1〜10μm、好ましくは0.5〜6.0μmにすればよい。また、各層の層厚としてインク層は0.5〜6.0μm、好ましくは0.8〜3.0μm、剥離層は0.2〜3.0μm、好ましくは1.0〜2.0μmとすれば良い。
【0021】
また、本発明の熱転写記録媒体を用いる記録方法で使用する受容体は、支持体上にポリビニルアルコールと耐水化剤を含む受容層を形成してなる受容体である。
【0022】
受容層のポリビニルアルコールとしては、例えば部分ケン化ポリビニルアルコール、完全ケン化ポリビニルアルコール、カルボキシル基、スルホン酸Na基、アセトアセチル基、カチオン基などで変性されたポリビニルアルコール等が用いられる。受容層に添加する耐水化剤の例としては、メチロール化合物、エポキシ化合物、アジリジン化合物、ホルマリン、メラミン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドエピクロルヒドリン樹脂、ケトンアルデヒド樹脂、ポリエチレンイミン樹脂、グリオキザール及びその誘導体、アジリジン、グルタルアルデヒド、イソシアネート化合物、ジルコニウム系金属架橋剤、ホウ酸、ホウ砂等が挙げられる。
【0023】
受容層にはポリビニルアルコール、耐水化剤の他に必要に応じて添加剤を加えることもできる。添加剤としては例えば、シリカ、酸化亜鉛、酸化チタン、水酸化アルミニウム、水酸化亜鉛、硫酸バリウム、クレー、カオリン、焼成カオリン、タルク、表面処理されたシリカ等の無機系微粉末やステアリン酸アミド、パルミチン酸アミド等の脂肪酸アミド類、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、パルミチン酸亜鉛、ベヘン酸亜鉛等の脂肪酸金属塩類や界面活性剤等を用いることができる。
【0024】
受容層は、1〜20μm程度の厚みで形成するのが好ましい。また受容層表面の平滑度は100〜30000秒(JIS P 8119)とするのが好ましい。100秒未満では画像の白ぬけなどが発生してしまう。また30000秒を超えると、ロール状に加工したときに、背面とブロッキングが発生しやすくなる。
【0025】
受容体の支持体としては例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、ナイロン、ビニロン、ポリオレフィン合成紙等のプラスチックフィルムや紙、不織布等が用いられる。
【0026】
また、本発明の熱転写記録媒体を用いる別の態様の記録方法で使用する受容体は、エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルムである。エチレン−ビニルアルコール共重合体は適度な極性と熱変形性を有しているので、インクが熱転写されたときの定着性に優れる。
【0027】
本発明ではエチレン−ビニルアルコール共重合体フィルムはインクが定着する表面に露出していればよい。すなわち、受容体がエチレン−ビニルアルコール共重合体フィルムそのものであってもよく、インクが定着する反対側に紙、ポリエチレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ナイロンフィルム等の支持体を貼り合わせて用いることもできる。
【0028】
【発明の実施の形態】
次に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。なお、ここでの部は固形分重量基準である。
【0029】
〔実施例1〕
(1)熱転写記録媒体の作製
支持体としては4.5μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルムを用意し、熱転写記録層(剥離層及びインク層)を塗工する側の反対側にシリコーンゴム(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製SD7226)を、乾燥後の塗工量が0.2g/m2となるように塗布乾燥して、耐熱滑性層を有する支持体を作製した。
【0030】
剥離層処方
カルナバワックスのトルエン分散液(固形分10%) 90部
エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂のトルエン溶液(固形分10%)10部
上記処方の剥離液を、支持体の上記シリコーンゴムの耐熱滑性層と反対側の面に厚みが約1.0μmとなるように塗布乾燥して剥離層を設けた。
【0031】
インク層処方
シラノール基を有するポリビニルアルコール(クラレ製 RS1130)の水溶液(固形分10%) 10部
アルミナゾル(日産化学製 アルミナゾル−520 固形分20%)28部
カーボンブラックの水分散体 (固形分38%) 9部
水 53部
(RS1130の20℃における4%水溶液の粘度は25CPS
(25×10−3Pa・s)、アルミナゾル−520の粒径は15nm)
上記組成のインク液を前記剥離層上に厚みが約1.0μmとなるように塗布乾燥し、インク層を設け、熱転写記録媒体を作製した。
【0032】
(2)受容体の作製
受容層処方
ポリビニルアルコール(日本合成化学製 Z−200)
の水溶液(固形分10%) 92部
グリオキザール(固形分40%) 2部
水 6部
上記組成の受容層液を厚さ70μmのポリプロピレン系合成紙に厚さが約8μmとなるように塗布乾燥し受容層を形成した。受容体表面の平滑度は700秒であった。
【0033】
上記により得られた熱転写記録媒体及び受容体について、下記条件により印字し、以下の方法による評価テストを行った。評価結果は、後掲の表1に後述する実施例2、3及び比較例1〜6と併せて示した。
(印字条件)
プリンター:Zebra社製 140Xi
印字速度 :3インチ(約7.6cm)/秒
【0034】
評価した諸特性は、以下の画像精細性及び耐溶剤性/耐水性である。
1.画像精細性
目視にて画像精細性を以下の4つの基準で評価した。
4 精細性が良い
3 やや精細性が良い
2 やや精細性が悪い
1 精細性が悪い
【0035】
2.耐溶剤性/耐水性(ラブテスト)
溶剤又は水0.5ccを綿棒に含ませて転写画像に塗布後、このサンプルについて10g/mm2の荷重をかけて10回擦り、画像を観察し以下の基準で評価した。溶剤はトルエン、アセトン及びエタノールを用いた。
5 ラブテストの結果、テスト前と変化なし。
4 ラブテストの結果、画像の判読は可能だがやや傷ができる。
3 ラブテストの結果、画像の判読は可能だが傷ができる。
2 ラブテストの結果、画像は残るが判読は不可能になる。
1 ラブテストの結果、画像が消去してしまう。
【0036】
〔実施例2〕
実施例1において、インク層処方として下記のものを用いた以外は、実施例1と同様にして熱転写記録媒体を作製した。
上記組成のインク液を前記剥離層上に厚みが約1.0μmとなるように塗布乾燥し、インク層を設け、熱転写記録媒体を作製した。受容体には実施例1と同じものを用いた。その後、実施例1と同様にして印字し、評価結果を後掲の表1に示す。
【0037】
〔実施例3〕
実施例2において、受容体としてエチレン−ビニルアルコール共重合体フィルム(クラレ製 エバールフィルム 厚さ30μm)を用いた以外は実施例2と同様にして印字し、評価を行なった。評価結果は後掲の表1に示す。
【0038】
〔比較例1〕
実施例1において、インク層処方として下記のものを用いた以外は、実施例1と同様にして熱転写記録媒体を作製した。その後、実施例1と同様にして印字し、評価結果は後掲の表1に示す。
受容体には実施例1と同じものを用いた。
【0039】
〔比較例2〕
実施例1において、インク層処方として下記のものを用いた以外は、実施例1と同様にして熱転写記録媒体を作製し印字評価した。評価結果は後掲の表1に示す。
受容体には実施例1と同じものを用いた。
【0040】
〔比較例3〕
実施例1において、インク層処方として下記のものを用いた以外は、実施例1と同様にして熱転写記録媒体を作製し印字評価した。下記の完全ケン化ポリビニルアルコールはシラノール基を全く含んでいない。評価結果は後掲の表1に示す。
受容体には実施例1と同じものを用いた。
【0041】
〔比較例4〕
実施例1において、インク層処方として下記のものを用いた以外は、実施例1と同様にして熱転写記録媒体を作製し印字評価した。下記の完全ケン化ポリビニルアルコールは、シラノール基を全く含んでいない。評価結果は後掲の表1に示す。
受容体には実施例1と同じものを用いた。
【0042】
〔比較例5〕
実施例1において、インク層処方として下記のものを用いた以外は、実施例1と同様にして熱転写記録媒体を作製し印字評価した。下記のスルホン酸変性ポリビニルアルコールは、シラノール基を全く含んでいない。評価結果は後掲の表1に示す。
受容体には実施例1と同じものを用いた。
【0043】
〔比較例6〕
実施例1において、インク層処方として下記のものを用いた以外は、実施例1と同様にして熱転写記録媒体を作製した。実施例1と同様にして印字評価し、評価結果を後掲の表1に示す。
インク層処方
ポリエステル(東洋紡製 バイロン200)のMEK溶液(固形分20%)33部
カーボンブラックのMEK分散体(固形分20%) 18部
MEK 49部
受容体には白色ポリエステルラベル(リンテック製 FR1415)を用いた。
【0044】
【表1】
【0045】
表1から、実施例の熱転写記録媒体及び記録方法を用いると、耐溶剤性と耐水性が両立し画像精細性に優れた画像が得られることが分かる。
【0046】
【発明の効果】
記録媒体において、本発明の提供する、インク層がシラノール基を有するポリビニルアルコールと粒径が8〜200nmのシリカ及び/又はアルミナを含有する熱転写記録媒体は、その転写画像の精細性が高く、トルエンやアセトン、エタノールのような溶剤に対しての耐溶剤性及び耐水性に優れている。
Claims (6)
- 支持体上に剥離層、着色剤を含有するインク層を順次積層した熱転写記録媒体において、該インク層がシラノール基を有するポリビニルアルコールと粒径が8〜200nmのシリカ及び/又はアルミナを含有することを特徴とする熱転写記録媒体。
- 上記シラノール基を有するポリビニルアルコールとシリカ及び/又はアルミナの重量比率が6:4〜2:8であることを特徴とする請求項1に記載の熱転写記録媒体。
- 上記シラノール基を有するポリビニルアルコールの20℃における4%水溶液の粘度が2〜10CPSであることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱転写記録媒体。
- 熱転写記録媒体を用いて受容体に印字する記録方法において、熱転写記録媒体として請求項1〜3のいずれか一項に記載の熱転写記録媒体を用い、受容体として支持体上にポリビニルアルコールと耐水化剤を含む受容層を形成してなる受容体を用いることを特徴とする記録方法。
- 熱転写記録媒体を用いて受容体に印字する記録方法において、請求項1〜3のいずれか一項に記載の熱転写記録媒体を用い、受容体としてエチレン−ビニルアルコール共重合体フィルムを用いることを特徴とする記録方法。
- 請求項4又は5の印字方法を用いて、受容体に画像を形成した記録体。
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