JP2004075950A - 固型洗浄剤組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は固型洗浄剤組成物に関し、より詳しくは、洗浄成分として脂肪酸のN−メチルタウリンアルカリ塩を含有する固型洗浄剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
最近、泡立ちが良好で、しっとり感も十分であることから、脂肪酸のN−メチルタウリンアルカリ塩が洗浄成分として洗浄剤に配合されている。(特開平9−157688号公報等)。
【0003】
固型の洗浄剤は、成形、熟成(必要に応じて)、整型の工程を経て製品化されるのが一般的であるが、脂肪酸のN−メチルタウリンアルカリ塩を配合した固型洗浄剤は、整型後、高温下で長期間保存すると、脂肪酸のN−メチルタウリンアルカリ塩に起因して著しく褐変するという問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の問題点を解決しようとするものであり、その目的は、泡立ちが良好で、しっとり感も十分であると共に、高温下で長期間保存しても褐変が抑制された保存安定性に優れた固型洗浄剤組成物を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題に対し、鋭意検討した結果、脂肪酸のN−メチルタウリンアルカリ塩に対して、イオウ含有水溶性還元剤を配合することにより、高温で長期間保存した場合でも褐変が抑制され、従って保存安定性に優れ、同時に脂肪酸のN−メチルタウリンアルカリ塩が本来有する特性(泡立ちが良好で、しっとり感が十分)も維持された固型洗浄剤組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
即ち、本発明は、(a)洗浄成分としての、下記一般式(I):
【0007】
【化2】
【0008】
(式中、Rは炭素数7〜23のアルキル基または炭素数7〜23のアルケニル基を表し、Xはアルカリ金属、アルカリ土類金属または有機アルカリを表す。)
で表される、少なくとも1つの脂肪酸のN−メチルタウリンアルカリ塩、
および
(b)少なくとも1つのイオウ含有水溶性還元剤、
を含有することを特徴とする固型洗浄剤組成物である。
【0009】
好適な態様として、イオウ含有水溶性還元剤は、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩およびピロ亜硫酸塩から選択され(ピロ亜硫酸塩が特に好ましい)、また、その含有量は0.0001〜0.1重量%であることが好ましい。
【0010】
別の好適な態様として、(c)ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体および脂肪酸ポリオキシエチレングリセリルからなる群より選択される少なくとも1つの非イオン性界面活性剤をさらに含有することが好ましい。ここで、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体の平均分子量は1500以上で、かつエチレンオキサイドの含有量は20〜70%であることが好ましい。脂肪酸ポリオキシエチレングリセリルは、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油であり、そのエチレンオキサイドの付加モル数は、10〜200モルであることが好ましい。脂肪酸ポリオキシエチレングリセリルの親水親油平衡(HLB)は10以上であることが好ましい。上記非イオン界面活性剤の含有量は0.5〜25重量%であることが好ましい。さらに、上記非イオン性界面活性剤と共に、グリセリン、ポリグリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコールおよびポリプロピレングリコールから選択される少なくとも1つの多価アルコールをさらに含有することが好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】
<成分(a)>
本発明の固型洗浄剤組成物は、洗浄成分として、上記一般式(I)で表される、少なくとも1つの脂肪酸のN−メチルタウリンアルカリ塩(a)を含有する。
【0012】
上記一般式(I)において、Rの「炭素数7〜23のアルキル基」は、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、好ましくは炭素数は11〜17である。また、Rの「炭素原子数7〜23のアルケニル基」は、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、好ましくは炭素数は11〜17である。
【0013】
好適な脂肪酸の具体例としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸等や、それらの混合物である牛脂脂肪酸、ヤシ油脂肪酸、パーム核油脂肪酸等が挙げられる。
【0014】
上記一般式(I)において、Xの「アルカリ金属」としては、ナトリウム、カリウム等が挙げられ、「アルカリ土類金属」としては、カルシウム、マグネシウム等が挙げられ、「有機アミン」としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等が挙げられる。本発明においては、Xはナトリウム、カリウムが好適である。
【0015】
脂肪酸のN−メチルタウリンアルカリ塩の好適な具体例としては、ラウリン酸N−メチルタウリンナトリウム塩、ミリスチン酸N−メチルタウリンナトリウム塩、パルミチン酸N−メチルタウリンナトリウム塩、ステアリン酸N−メチルタウリンナトリウム塩、イソステアリン酸N−メチルタウリンナトリウム塩、オレイン酸N−メチルタウリンナトリウム塩、牛脂脂肪酸N−メチルタウリンナトリウム塩、ヤシ油脂肪酸N−メチルタウリンナトリウム塩、パーム核油脂肪酸N−メチルタウリンナトリウム塩;ラウリン酸N−メチルタウリンカリウム塩、ミリスチン酸N−メチルタウリンカリウム塩、パルミチン酸N−メチルタウリンカリウム塩、ステアリン酸N−メチルタウリンカリウム塩、イソステアリン酸N−メチルタウリンカリウム塩、オレイン酸N−メチルタウリンカリウム塩、牛脂脂肪酸N−メチルタウリンカリウム塩、ヤシ油脂肪酸N−メチルタウリンカリウム塩、パーム核油脂肪酸N−メチルタウリンカリウム塩等が挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、2つ以上を混合して使用してもよい。
【0016】
本発明においては、組成物中の上記一般式(I)の脂肪酸のN−メチルタウリンアルカリ塩の含有量は5〜30重量%が好ましい。この含有量が5重量%未満であると、泡立ちやしっとり感が劣り、逆に30重量%を超えると、低温下で長時間保存すると、脂肪酸のN−メチルタウリンアルカリ塩が結晶化して、発粉が生じるおそれがあるので、好ましくない。
【0017】
<成分(b)>
本発明の固型洗浄剤組成物は、成分(a)である上記一般式(I)の脂肪酸のN−メチルタウリンアルカリ塩と共に、少なくとも1つのイオウ含有水溶性還元剤(b)を含有する。これにより、高温下で長期間保存した時の、脂肪酸のN−メチルタウリンアルカリ塩に起因する褐変を抑制することができる。
【0018】
本発明で使用されるイオウ含有水溶性還元剤としては、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、ピロ亜硫酸塩、チオ硫酸塩、ハイドロサルファイト等が挙げられ、これらの中でも、褐変の抑制効果がより高い点から、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、ピロ亜硫酸塩、特にピロ亜硫酸塩が好ましい。これらの塩の塩基としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属類;カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属類;エタノールアミン、アミノメチルプロパノール等の有機アミン等が挙げられる。
【0019】
組成物中のイオウ含有水溶性還元剤の含有量は、その種類や併用する上記一般式(I)の脂肪酸のN−メチルタウリンアルカリ塩の種類や量にもよるが、0.0001〜0.1重量%、特に0.005〜0.05重量%が好ましい。この含有量が0.0001重量%未満であると、高温下で長期間保存した時の褐変の抑制効果が不十分となり、逆に、0.1重量%を超えると、高温下で長期間保存した時に、イオウ臭が発生するおそれがあり、好ましくない。
【0020】
<成分(c)>
また、本発明の固型洗浄剤組成物は、成分(a)である上記一般式(I)の脂肪酸のN−メチルタウリンアルカリ塩と、成分(b)である上記イオウ含有水溶性還元剤と共に、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体(c1)、およびポリオキシエチレン脂肪酸エステル(c2)からなる群より選択される少なくとも1つの非イオン性界面活性剤(c)をさらに含有してもよい。これにより、組成物中の上記脂肪酸のN−メチルタウリンアルカリ塩の結晶性が低下するので、低温下で長時間保存した時に、その表面に生じる、上記塩の結晶析出に起因する発粉を抑制できる。
【0021】
成分(c 1 )
本発明では、非イオン性界面活性剤として、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体が使用され得る。
【0022】
当該共重合体においては、平均分子量が1500以上で、かつエチレンオキサイドの含有量が20〜70%が好ましく、平均分子量が2000以上で、かつエチレンオキサイドの含有量が30〜50%が特に好ましい。平均分子量が1500未満であると組成物の固化性が低下するおそれがある。エチレンオキサイドの含有量が20%未満であると、上記脂肪酸のN−メチルタウリンアルカリ塩を、組成物中で相溶させることができず、低温下で長時間保存した時に結晶化して、発粉が生じるおそれがあり、逆に、70モル%を超えると、融点が高すぎて溶解性が劣り、また組成物の外観も劣るおそれがある。
【0023】
ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体の好適な具体例としては、
ポリオキシエチレン(20)−ポリオキシプロピレン(20)ブロック共重合体(平均分子量2200、EO含有率40%)、
ポリオキシエチレン(25)−ポリオキシプロピレン(30)ブロック共重合体(平均分子量2900、EO含有率40%)、
ポリオキシエチレン(35)−ポリオキシプロピレン(40)ブロック共重合体(平均分子量4200、EO含有率40%)、
ポリオキシエチレン(50)−ポリオキシプロピレン(40)ブロック共重合体(平均分子量4600、EO含有率50%)
等が挙げられ、中でも、
ポリオキシエチレン(25)−ポリオキシプロピレン(30)ブロック共重合体(平均分子量2900、EO含有率40%)、
ポリオキシエチレン(35)−ポリオキシプロピレン(40)ブロック共重合体(平均分子量4200、EO含有率40%)
が特に好適である。
【0024】
成分(c 2 )
本発明では、非イオン性界面活性剤として、脂肪酸ポリオキシエチレングリセリルも使用され得る。
【0025】
この脂肪酸ポリオキシエチレングリセリルは、親水親油平衡(HLB)が高すぎると溶解性が劣り、低すぎると、上記脂肪酸のN−メチルタウリンアルカリ塩を、組成物中で相溶させることができず、低温下で長時間保存した時に結晶化して、発粉が生じるおそれがあるので、10以上が好ましく、10〜30がより好ましく、10〜20が特に好ましい。
【0026】
脂肪酸ポリオキシエチレングリセリルとしては、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンモノステアリン酸グリセリル、ポリオキシエチレントリステアリン酸グリセリル、ポリオキシエチレンモノイソステアリン酸グリセリル等が挙げられ、中でも、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンモノイソステアリン酸グリセリルが好ましい。
【0027】
脂肪酸ポリオキシエチレングリセリルにおけるエチレンオキサイドの付加モル数は、10〜200、特に30〜100が好ましい。この付加モル数が10未満であると、上記脂肪酸のN−メチルタウリンアルカリ塩を、組成物中で相溶させることができず、低温下で長時間保存した時に結晶化して、発粉が生じるおそれがあり、逆に、200を超えると、溶解性が劣るおそれがあるので、好ましくない。
【0028】
脂肪酸ポリオキシエチレングリセリルの好適な具体例としては、ポリオキシエチレン(100)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(60)モノステアリン酸グリセリル、ポリオキシエチレンモノイソステアリン酸グリセリル等が挙げられ、中でも、ポリオキシエチレン(100)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油が特に好適である。
【0029】
上記非イオン性界面活性剤の含有量は、組成物中、0.5〜25重量%、特に3〜15重量%が好ましい。当該含有量が、0.5重量%未満であると、上記非イオン性界面活性剤による効果が得られにくく、逆に、25重量%を超えると、組成物の固化性が低下するおそれがあるので、好ましくない。
【0030】
本発明の固型洗浄剤組成物においては、成分(c)による効果、即ち、成分(a)である上記一般式(I)の脂肪酸のN−メチルタウリンアルカリ塩の結晶性の低下をより有効に発揮させるために、グリセリン、ポリグリセリン(ジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリン、ヘキサグリセリン等)、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ポリプロピレングリコール等の多価アルコールを成分(c)と併用することが好ましい。上記の多価アルコールの含有量は、組成物中、10〜25重量%が好ましい。当該含有量が25重量%を超えると、組成物の固化性が劣るので好ましくない。
【0031】
本発明の固型洗浄剤組成物は、成分(a)である上記一般式(I)の脂肪酸のN−メチルタウリンアルカリ塩および成分(b)である上記イオウ含有水溶性還元剤、さらには成分(c)である上記非イオン性界面活性剤や上記の多価アルコールと共に、本発明の目的を逸脱しない範囲で、必要に応じて他の公知の成分を含有してもよい。そのような公知成分としては、例えば、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤の界面活性剤;殺菌剤;保湿剤(ショ糖、ピロリドンカルボン酸、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、ヒアルロン酸、ポリオキシエチレンアルキルグルコシドエーテル等);油分;香料;色素;キレート剤;紫外線吸収剤;酸化防止剤;生薬等の天然抽出物(レシチン、サポニン、アロエ、オオバク、カミツレ等);非イオン、カチオンもしくはアニオン性の水溶性高分子;乳酸エステル等の使用性向上剤;ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩等の起泡性向上剤等が挙げられる。
【0032】
本発明の固型洗浄剤組成物を製造するには、通常の製造方法が採用される。即ち、成分(a)である上記一般式(I)の脂肪酸のN−メチルタウリンアルカリ塩および成分(b)である上記イオウ含有水溶性還元剤、さらには成分(c)である上記非イオン性界面活性剤や上記の多価アルコールと共に、その他の成分を混合し、通常の機械練り法または枠練り法により石鹸膠を得て、これを用いて、通常の成形工程、熟成工程(必要に応じて)、整型工程を行なうことにより、固型洗浄剤が得られる。なお、この製造工程中に、脂肪酸からそれらのN−メチルタウリンアルカリ塩を調製してもよく、その場合は、上記の石鹸膠を得る工程中で行われる。
【0033】
【実施例】
以下、本発明を実施例を挙げてより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0034】
脂肪酸ナトリウム塩の調製
ラウリン酸15部、ミリスチン酸30部、パルミチン酸20部、ステアリン酸30部、イソステアリン酸5部を混合し、これに、アルコール100部、イオン交換水100部を加えて50℃で溶解した後、苛性ソーダ(48%水溶液)34.5部で中和した。その後、この溶液を真空乾燥機で70℃で48時間乾燥し、ヘンシェルミキサーで粉砕して、粉末状の脂肪酸ナトリウム塩を得た。
【0035】
脂肪酸のN−メチルタウリンナトリウム塩の調製
ラウリン酸15部、ミリスチン酸30部、パルミチン酸20部、ステアリン酸30部、イソステアリン酸5部を混合し、これに、アルコール200部、イオン交換水200部を加えて50℃で溶解した後、N−メチルタウリンナトリウム(50%水溶液)185部で中和した。その後、この溶液を真空乾燥機で70℃で72時間乾燥し、ヘンシェルミキサーで粉砕して、粉末状の脂肪酸のN−メチルタウリンナトリウム塩を得た。
【0036】
試料1−1〜試料7−10の調製(固型洗浄剤)
各成分を表1〜表7に示す割合で配合し、次の方法により試料を調製した。脂肪酸ナトリウム塩、脂肪酸のN−メチルタウリンナトリウム塩(表中では脂肪酸NMT−Naと表記)、グリセリン、フロストT、ターピナル4NL、食塩、ソルビット、非イオン性界面活性剤、精製糖、カミツレ抽出液BG、アイオノール、ピロ亜硫酸ナトリウム(表2、4では配合なし)、香料およびイオン交換水を混合し、これを70℃で加熱溶解して、直径70mmのステンレス製パイプに流し込み、24時間放置後、パイプより取り出し、100gとなるように切断して、試料とした。各試料に対し、以下の評価を行なった。その結果を表1〜表5に示す。なお、表中のNMT−NaはN−メチルタウリンナトリウム、POEはポリオキシエチレン、POPはポリオキシプロピレンを表す。
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【0039】
【表3】
【0040】
【表4】
【0041】
【表5】
【0042】
【表6】
【0043】
【表7】
【0044】
<評価方法>
1.外観
以下の基準により、目視により判断した。
【0045】
◎:極めて透明
○:透明
△:半透明
×:不透明。
【0046】
2.硬度
硬度は、カードメーター(飯尾電気株式会社製)を用い、25℃下、針太さ1mmφに800gの荷重を試料に作用させ、以下の判断基準により、硬度を判断した。
【0047】
◎:適度な硬さ(20〜30)
○:やや軟らかいが使用上問題なし(10〜20)
△:軟らかい(5〜10)
×:半固化状態(5以下)。
【0048】
3.泡立ち
試料の1%水溶液を炭素カルシウム70ppmの人工硬水により調製し、これを40℃で所定回転数のミキサーにより一定時間攪拌し、発生した泡の量を測定した。この測定した起泡量を以下の判断基準により、泡立ちを判断した。
【0049】
◎:起泡量が2200ml以上
○:起泡量が2000ml以上2200ml未満
△:起泡量が1800ml以上2000ml未満
×:起泡量が1800ml未満。
【0050】
4.しっとり感
女性パネラー(20〜30才代)20名により、通常の洗顔時の態様でサンプルを手に取り、泡立てて洗顔し、洗顔後の状態から以下の基準により、30分後のしっとり感を判断した。
【0051】
◎:しっとり感が極めて高いとき
○:しっとり感が得られたとき
△:しっとり感が普通のとき
×:つっぱり感があるとき。
【0052】
5.ヌメリ感
女性パネラー(20〜30才代)20名により、通常の洗顔時の態様でサンプルを手に取り、泡立てて洗顔し、洗顔後の状態から以下の基準により、30分後のヌメリ感を判断した。
【0053】
◎:全くヌメリ感なし
○:ヌメリ感なし
△:ややヌメリ感あり
×:かなりヌメリ感あり。
【0054】
6.発粉
整型、ピロー包装(材質:ポリプロピレン)された試料を、−5℃(12時間)と0℃(12時間)、または−5℃(12時間)と25℃(12時間)のサイクルに設定された恒温槽に1ヶ月放置し、その後、試料表面の発粉状態を目視により観察し、以下の判断基準に発粉を評価した。
【0055】
◎:発粉現象が全くないとき
○:発粉現象が極くわずかのとき(問題なし)
△:発粉現象がわずかのとき(問題あり)
×:発粉現象が多いとき。
【0056】
7.色調
各試料を40℃で1ヶ月保存した。保存後の各試料について、−5℃で4週間保存した試料を標準品として、専門のパネラー5名により、以下の判断基準により色調が評価された。
◎:標準品と比較して全く変化なし
○:標準品と比較して僅かに差異が認められる(問題なし)
△:標準品と比較して差異が認められる(問題あり)
×:標準品と比較して著しく差異が認められる。
【0057】
表1〜4より、イオウ含有水溶性還元剤であるピロ亜硫酸ナトリウムを配合した試料(表1、表3)は、未配合の試料(表2、4)と比較して、脂肪酸のN−メチルタウリンアルカリ塩の配合量が多くなっても、色調の変化が見られず褐変が抑制されており、また脂肪酸のN−メチルタウリンアルカリ塩が本来有する泡立ちやしっとり感も維持されていることがわかる。また、非イオン界面活性剤であるPOE(35)−POP(40)やPOE(100)硬化ヒマシ油を配合すると、脂肪酸のN−メチルタウリンアルカリ塩の配合量が多くなっても、発粉が抑制されていることがわかる。
【0058】
表5より、ピロ亜硫酸ナトリウムは0.001〜0.1重量%程度の配合により、効果的に発粉を抑制することがわかる。
【0059】
また、表6より、POE(35)−POP(40)は3〜24重量%程度の配合により、表7より、POE(100)硬化ヒマシ油は3〜24重量%程度の配合により、それぞれ効果的に発粉を抑制することがわかる。
【0060】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、本発明によれば、脂肪酸のN−メチルタウリンアルカリ塩に対して、イオウ含有水溶性還元剤を配合することにより、高温で長期間保存した場合でも褐変が抑制される。また、特定の非イオン界面活性剤をさらに配合することにより、低温下で長期間保存した場合でも発粉が抑制される。このように、本発明の固型洗浄剤組成物は、長期保存した場合でも安定性に優れ、また同時に脂肪酸のN−メチルタウリンアルカリ塩が本来有する特性(泡立ちが良好で、しっとり感が十分)も維持されたものである。
【発明の属する技術分野】
本発明は固型洗浄剤組成物に関し、より詳しくは、洗浄成分として脂肪酸のN−メチルタウリンアルカリ塩を含有する固型洗浄剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
最近、泡立ちが良好で、しっとり感も十分であることから、脂肪酸のN−メチルタウリンアルカリ塩が洗浄成分として洗浄剤に配合されている。(特開平9−157688号公報等)。
【0003】
固型の洗浄剤は、成形、熟成(必要に応じて)、整型の工程を経て製品化されるのが一般的であるが、脂肪酸のN−メチルタウリンアルカリ塩を配合した固型洗浄剤は、整型後、高温下で長期間保存すると、脂肪酸のN−メチルタウリンアルカリ塩に起因して著しく褐変するという問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の問題点を解決しようとするものであり、その目的は、泡立ちが良好で、しっとり感も十分であると共に、高温下で長期間保存しても褐変が抑制された保存安定性に優れた固型洗浄剤組成物を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題に対し、鋭意検討した結果、脂肪酸のN−メチルタウリンアルカリ塩に対して、イオウ含有水溶性還元剤を配合することにより、高温で長期間保存した場合でも褐変が抑制され、従って保存安定性に優れ、同時に脂肪酸のN−メチルタウリンアルカリ塩が本来有する特性(泡立ちが良好で、しっとり感が十分)も維持された固型洗浄剤組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
即ち、本発明は、(a)洗浄成分としての、下記一般式(I):
【0007】
【化2】
【0008】
(式中、Rは炭素数7〜23のアルキル基または炭素数7〜23のアルケニル基を表し、Xはアルカリ金属、アルカリ土類金属または有機アルカリを表す。)
で表される、少なくとも1つの脂肪酸のN−メチルタウリンアルカリ塩、
および
(b)少なくとも1つのイオウ含有水溶性還元剤、
を含有することを特徴とする固型洗浄剤組成物である。
【0009】
好適な態様として、イオウ含有水溶性還元剤は、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩およびピロ亜硫酸塩から選択され(ピロ亜硫酸塩が特に好ましい)、また、その含有量は0.0001〜0.1重量%であることが好ましい。
【0010】
別の好適な態様として、(c)ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体および脂肪酸ポリオキシエチレングリセリルからなる群より選択される少なくとも1つの非イオン性界面活性剤をさらに含有することが好ましい。ここで、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体の平均分子量は1500以上で、かつエチレンオキサイドの含有量は20〜70%であることが好ましい。脂肪酸ポリオキシエチレングリセリルは、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油であり、そのエチレンオキサイドの付加モル数は、10〜200モルであることが好ましい。脂肪酸ポリオキシエチレングリセリルの親水親油平衡(HLB)は10以上であることが好ましい。上記非イオン界面活性剤の含有量は0.5〜25重量%であることが好ましい。さらに、上記非イオン性界面活性剤と共に、グリセリン、ポリグリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコールおよびポリプロピレングリコールから選択される少なくとも1つの多価アルコールをさらに含有することが好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】
<成分(a)>
本発明の固型洗浄剤組成物は、洗浄成分として、上記一般式(I)で表される、少なくとも1つの脂肪酸のN−メチルタウリンアルカリ塩(a)を含有する。
【0012】
上記一般式(I)において、Rの「炭素数7〜23のアルキル基」は、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、好ましくは炭素数は11〜17である。また、Rの「炭素原子数7〜23のアルケニル基」は、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、好ましくは炭素数は11〜17である。
【0013】
好適な脂肪酸の具体例としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸等や、それらの混合物である牛脂脂肪酸、ヤシ油脂肪酸、パーム核油脂肪酸等が挙げられる。
【0014】
上記一般式(I)において、Xの「アルカリ金属」としては、ナトリウム、カリウム等が挙げられ、「アルカリ土類金属」としては、カルシウム、マグネシウム等が挙げられ、「有機アミン」としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等が挙げられる。本発明においては、Xはナトリウム、カリウムが好適である。
【0015】
脂肪酸のN−メチルタウリンアルカリ塩の好適な具体例としては、ラウリン酸N−メチルタウリンナトリウム塩、ミリスチン酸N−メチルタウリンナトリウム塩、パルミチン酸N−メチルタウリンナトリウム塩、ステアリン酸N−メチルタウリンナトリウム塩、イソステアリン酸N−メチルタウリンナトリウム塩、オレイン酸N−メチルタウリンナトリウム塩、牛脂脂肪酸N−メチルタウリンナトリウム塩、ヤシ油脂肪酸N−メチルタウリンナトリウム塩、パーム核油脂肪酸N−メチルタウリンナトリウム塩;ラウリン酸N−メチルタウリンカリウム塩、ミリスチン酸N−メチルタウリンカリウム塩、パルミチン酸N−メチルタウリンカリウム塩、ステアリン酸N−メチルタウリンカリウム塩、イソステアリン酸N−メチルタウリンカリウム塩、オレイン酸N−メチルタウリンカリウム塩、牛脂脂肪酸N−メチルタウリンカリウム塩、ヤシ油脂肪酸N−メチルタウリンカリウム塩、パーム核油脂肪酸N−メチルタウリンカリウム塩等が挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、2つ以上を混合して使用してもよい。
【0016】
本発明においては、組成物中の上記一般式(I)の脂肪酸のN−メチルタウリンアルカリ塩の含有量は5〜30重量%が好ましい。この含有量が5重量%未満であると、泡立ちやしっとり感が劣り、逆に30重量%を超えると、低温下で長時間保存すると、脂肪酸のN−メチルタウリンアルカリ塩が結晶化して、発粉が生じるおそれがあるので、好ましくない。
【0017】
<成分(b)>
本発明の固型洗浄剤組成物は、成分(a)である上記一般式(I)の脂肪酸のN−メチルタウリンアルカリ塩と共に、少なくとも1つのイオウ含有水溶性還元剤(b)を含有する。これにより、高温下で長期間保存した時の、脂肪酸のN−メチルタウリンアルカリ塩に起因する褐変を抑制することができる。
【0018】
本発明で使用されるイオウ含有水溶性還元剤としては、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、ピロ亜硫酸塩、チオ硫酸塩、ハイドロサルファイト等が挙げられ、これらの中でも、褐変の抑制効果がより高い点から、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、ピロ亜硫酸塩、特にピロ亜硫酸塩が好ましい。これらの塩の塩基としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属類;カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属類;エタノールアミン、アミノメチルプロパノール等の有機アミン等が挙げられる。
【0019】
組成物中のイオウ含有水溶性還元剤の含有量は、その種類や併用する上記一般式(I)の脂肪酸のN−メチルタウリンアルカリ塩の種類や量にもよるが、0.0001〜0.1重量%、特に0.005〜0.05重量%が好ましい。この含有量が0.0001重量%未満であると、高温下で長期間保存した時の褐変の抑制効果が不十分となり、逆に、0.1重量%を超えると、高温下で長期間保存した時に、イオウ臭が発生するおそれがあり、好ましくない。
【0020】
<成分(c)>
また、本発明の固型洗浄剤組成物は、成分(a)である上記一般式(I)の脂肪酸のN−メチルタウリンアルカリ塩と、成分(b)である上記イオウ含有水溶性還元剤と共に、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体(c1)、およびポリオキシエチレン脂肪酸エステル(c2)からなる群より選択される少なくとも1つの非イオン性界面活性剤(c)をさらに含有してもよい。これにより、組成物中の上記脂肪酸のN−メチルタウリンアルカリ塩の結晶性が低下するので、低温下で長時間保存した時に、その表面に生じる、上記塩の結晶析出に起因する発粉を抑制できる。
【0021】
成分(c 1 )
本発明では、非イオン性界面活性剤として、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体が使用され得る。
【0022】
当該共重合体においては、平均分子量が1500以上で、かつエチレンオキサイドの含有量が20〜70%が好ましく、平均分子量が2000以上で、かつエチレンオキサイドの含有量が30〜50%が特に好ましい。平均分子量が1500未満であると組成物の固化性が低下するおそれがある。エチレンオキサイドの含有量が20%未満であると、上記脂肪酸のN−メチルタウリンアルカリ塩を、組成物中で相溶させることができず、低温下で長時間保存した時に結晶化して、発粉が生じるおそれがあり、逆に、70モル%を超えると、融点が高すぎて溶解性が劣り、また組成物の外観も劣るおそれがある。
【0023】
ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体の好適な具体例としては、
ポリオキシエチレン(20)−ポリオキシプロピレン(20)ブロック共重合体(平均分子量2200、EO含有率40%)、
ポリオキシエチレン(25)−ポリオキシプロピレン(30)ブロック共重合体(平均分子量2900、EO含有率40%)、
ポリオキシエチレン(35)−ポリオキシプロピレン(40)ブロック共重合体(平均分子量4200、EO含有率40%)、
ポリオキシエチレン(50)−ポリオキシプロピレン(40)ブロック共重合体(平均分子量4600、EO含有率50%)
等が挙げられ、中でも、
ポリオキシエチレン(25)−ポリオキシプロピレン(30)ブロック共重合体(平均分子量2900、EO含有率40%)、
ポリオキシエチレン(35)−ポリオキシプロピレン(40)ブロック共重合体(平均分子量4200、EO含有率40%)
が特に好適である。
【0024】
成分(c 2 )
本発明では、非イオン性界面活性剤として、脂肪酸ポリオキシエチレングリセリルも使用され得る。
【0025】
この脂肪酸ポリオキシエチレングリセリルは、親水親油平衡(HLB)が高すぎると溶解性が劣り、低すぎると、上記脂肪酸のN−メチルタウリンアルカリ塩を、組成物中で相溶させることができず、低温下で長時間保存した時に結晶化して、発粉が生じるおそれがあるので、10以上が好ましく、10〜30がより好ましく、10〜20が特に好ましい。
【0026】
脂肪酸ポリオキシエチレングリセリルとしては、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンモノステアリン酸グリセリル、ポリオキシエチレントリステアリン酸グリセリル、ポリオキシエチレンモノイソステアリン酸グリセリル等が挙げられ、中でも、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンモノイソステアリン酸グリセリルが好ましい。
【0027】
脂肪酸ポリオキシエチレングリセリルにおけるエチレンオキサイドの付加モル数は、10〜200、特に30〜100が好ましい。この付加モル数が10未満であると、上記脂肪酸のN−メチルタウリンアルカリ塩を、組成物中で相溶させることができず、低温下で長時間保存した時に結晶化して、発粉が生じるおそれがあり、逆に、200を超えると、溶解性が劣るおそれがあるので、好ましくない。
【0028】
脂肪酸ポリオキシエチレングリセリルの好適な具体例としては、ポリオキシエチレン(100)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(60)モノステアリン酸グリセリル、ポリオキシエチレンモノイソステアリン酸グリセリル等が挙げられ、中でも、ポリオキシエチレン(100)硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油が特に好適である。
【0029】
上記非イオン性界面活性剤の含有量は、組成物中、0.5〜25重量%、特に3〜15重量%が好ましい。当該含有量が、0.5重量%未満であると、上記非イオン性界面活性剤による効果が得られにくく、逆に、25重量%を超えると、組成物の固化性が低下するおそれがあるので、好ましくない。
【0030】
本発明の固型洗浄剤組成物においては、成分(c)による効果、即ち、成分(a)である上記一般式(I)の脂肪酸のN−メチルタウリンアルカリ塩の結晶性の低下をより有効に発揮させるために、グリセリン、ポリグリセリン(ジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリン、ヘキサグリセリン等)、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ポリプロピレングリコール等の多価アルコールを成分(c)と併用することが好ましい。上記の多価アルコールの含有量は、組成物中、10〜25重量%が好ましい。当該含有量が25重量%を超えると、組成物の固化性が劣るので好ましくない。
【0031】
本発明の固型洗浄剤組成物は、成分(a)である上記一般式(I)の脂肪酸のN−メチルタウリンアルカリ塩および成分(b)である上記イオウ含有水溶性還元剤、さらには成分(c)である上記非イオン性界面活性剤や上記の多価アルコールと共に、本発明の目的を逸脱しない範囲で、必要に応じて他の公知の成分を含有してもよい。そのような公知成分としては、例えば、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤の界面活性剤;殺菌剤;保湿剤(ショ糖、ピロリドンカルボン酸、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、ヒアルロン酸、ポリオキシエチレンアルキルグルコシドエーテル等);油分;香料;色素;キレート剤;紫外線吸収剤;酸化防止剤;生薬等の天然抽出物(レシチン、サポニン、アロエ、オオバク、カミツレ等);非イオン、カチオンもしくはアニオン性の水溶性高分子;乳酸エステル等の使用性向上剤;ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩等の起泡性向上剤等が挙げられる。
【0032】
本発明の固型洗浄剤組成物を製造するには、通常の製造方法が採用される。即ち、成分(a)である上記一般式(I)の脂肪酸のN−メチルタウリンアルカリ塩および成分(b)である上記イオウ含有水溶性還元剤、さらには成分(c)である上記非イオン性界面活性剤や上記の多価アルコールと共に、その他の成分を混合し、通常の機械練り法または枠練り法により石鹸膠を得て、これを用いて、通常の成形工程、熟成工程(必要に応じて)、整型工程を行なうことにより、固型洗浄剤が得られる。なお、この製造工程中に、脂肪酸からそれらのN−メチルタウリンアルカリ塩を調製してもよく、その場合は、上記の石鹸膠を得る工程中で行われる。
【0033】
【実施例】
以下、本発明を実施例を挙げてより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0034】
脂肪酸ナトリウム塩の調製
ラウリン酸15部、ミリスチン酸30部、パルミチン酸20部、ステアリン酸30部、イソステアリン酸5部を混合し、これに、アルコール100部、イオン交換水100部を加えて50℃で溶解した後、苛性ソーダ(48%水溶液)34.5部で中和した。その後、この溶液を真空乾燥機で70℃で48時間乾燥し、ヘンシェルミキサーで粉砕して、粉末状の脂肪酸ナトリウム塩を得た。
【0035】
脂肪酸のN−メチルタウリンナトリウム塩の調製
ラウリン酸15部、ミリスチン酸30部、パルミチン酸20部、ステアリン酸30部、イソステアリン酸5部を混合し、これに、アルコール200部、イオン交換水200部を加えて50℃で溶解した後、N−メチルタウリンナトリウム(50%水溶液)185部で中和した。その後、この溶液を真空乾燥機で70℃で72時間乾燥し、ヘンシェルミキサーで粉砕して、粉末状の脂肪酸のN−メチルタウリンナトリウム塩を得た。
【0036】
試料1−1〜試料7−10の調製(固型洗浄剤)
各成分を表1〜表7に示す割合で配合し、次の方法により試料を調製した。脂肪酸ナトリウム塩、脂肪酸のN−メチルタウリンナトリウム塩(表中では脂肪酸NMT−Naと表記)、グリセリン、フロストT、ターピナル4NL、食塩、ソルビット、非イオン性界面活性剤、精製糖、カミツレ抽出液BG、アイオノール、ピロ亜硫酸ナトリウム(表2、4では配合なし)、香料およびイオン交換水を混合し、これを70℃で加熱溶解して、直径70mmのステンレス製パイプに流し込み、24時間放置後、パイプより取り出し、100gとなるように切断して、試料とした。各試料に対し、以下の評価を行なった。その結果を表1〜表5に示す。なお、表中のNMT−NaはN−メチルタウリンナトリウム、POEはポリオキシエチレン、POPはポリオキシプロピレンを表す。
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【0039】
【表3】
【0040】
【表4】
【0041】
【表5】
【0042】
【表6】
【0043】
【表7】
【0044】
<評価方法>
1.外観
以下の基準により、目視により判断した。
【0045】
◎:極めて透明
○:透明
△:半透明
×:不透明。
【0046】
2.硬度
硬度は、カードメーター(飯尾電気株式会社製)を用い、25℃下、針太さ1mmφに800gの荷重を試料に作用させ、以下の判断基準により、硬度を判断した。
【0047】
◎:適度な硬さ(20〜30)
○:やや軟らかいが使用上問題なし(10〜20)
△:軟らかい(5〜10)
×:半固化状態(5以下)。
【0048】
3.泡立ち
試料の1%水溶液を炭素カルシウム70ppmの人工硬水により調製し、これを40℃で所定回転数のミキサーにより一定時間攪拌し、発生した泡の量を測定した。この測定した起泡量を以下の判断基準により、泡立ちを判断した。
【0049】
◎:起泡量が2200ml以上
○:起泡量が2000ml以上2200ml未満
△:起泡量が1800ml以上2000ml未満
×:起泡量が1800ml未満。
【0050】
4.しっとり感
女性パネラー(20〜30才代)20名により、通常の洗顔時の態様でサンプルを手に取り、泡立てて洗顔し、洗顔後の状態から以下の基準により、30分後のしっとり感を判断した。
【0051】
◎:しっとり感が極めて高いとき
○:しっとり感が得られたとき
△:しっとり感が普通のとき
×:つっぱり感があるとき。
【0052】
5.ヌメリ感
女性パネラー(20〜30才代)20名により、通常の洗顔時の態様でサンプルを手に取り、泡立てて洗顔し、洗顔後の状態から以下の基準により、30分後のヌメリ感を判断した。
【0053】
◎:全くヌメリ感なし
○:ヌメリ感なし
△:ややヌメリ感あり
×:かなりヌメリ感あり。
【0054】
6.発粉
整型、ピロー包装(材質:ポリプロピレン)された試料を、−5℃(12時間)と0℃(12時間)、または−5℃(12時間)と25℃(12時間)のサイクルに設定された恒温槽に1ヶ月放置し、その後、試料表面の発粉状態を目視により観察し、以下の判断基準に発粉を評価した。
【0055】
◎:発粉現象が全くないとき
○:発粉現象が極くわずかのとき(問題なし)
△:発粉現象がわずかのとき(問題あり)
×:発粉現象が多いとき。
【0056】
7.色調
各試料を40℃で1ヶ月保存した。保存後の各試料について、−5℃で4週間保存した試料を標準品として、専門のパネラー5名により、以下の判断基準により色調が評価された。
◎:標準品と比較して全く変化なし
○:標準品と比較して僅かに差異が認められる(問題なし)
△:標準品と比較して差異が認められる(問題あり)
×:標準品と比較して著しく差異が認められる。
【0057】
表1〜4より、イオウ含有水溶性還元剤であるピロ亜硫酸ナトリウムを配合した試料(表1、表3)は、未配合の試料(表2、4)と比較して、脂肪酸のN−メチルタウリンアルカリ塩の配合量が多くなっても、色調の変化が見られず褐変が抑制されており、また脂肪酸のN−メチルタウリンアルカリ塩が本来有する泡立ちやしっとり感も維持されていることがわかる。また、非イオン界面活性剤であるPOE(35)−POP(40)やPOE(100)硬化ヒマシ油を配合すると、脂肪酸のN−メチルタウリンアルカリ塩の配合量が多くなっても、発粉が抑制されていることがわかる。
【0058】
表5より、ピロ亜硫酸ナトリウムは0.001〜0.1重量%程度の配合により、効果的に発粉を抑制することがわかる。
【0059】
また、表6より、POE(35)−POP(40)は3〜24重量%程度の配合により、表7より、POE(100)硬化ヒマシ油は3〜24重量%程度の配合により、それぞれ効果的に発粉を抑制することがわかる。
【0060】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、本発明によれば、脂肪酸のN−メチルタウリンアルカリ塩に対して、イオウ含有水溶性還元剤を配合することにより、高温で長期間保存した場合でも褐変が抑制される。また、特定の非イオン界面活性剤をさらに配合することにより、低温下で長期間保存した場合でも発粉が抑制される。このように、本発明の固型洗浄剤組成物は、長期保存した場合でも安定性に優れ、また同時に脂肪酸のN−メチルタウリンアルカリ塩が本来有する特性(泡立ちが良好で、しっとり感が十分)も維持されたものである。
Claims (11)
- イオウ含有水溶性還元剤が、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩およびピロ亜硫酸塩から選択される、請求項1記載の固型洗浄剤組成物。
- イオウ含有水溶性還元剤がピロ亜硫酸塩である、請求項1記載の固型洗浄剤組成物。
- イオウ含有水溶性還元剤の含有量が0.0001〜0.1重量%である、請求項1記載の固型洗浄剤組成物。
- (c)ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体および脂肪酸ポリオキシエチレングリセリルからなる群より選択される少なくとも1つの非イオン性界面活性剤をさらに含有する、請求項1記載の固型洗浄剤組成物。
- ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体の平均分子量が1500以上であり、かつエチレンオキサイドの含有量が20〜70%である、請求項5記載の固型洗浄剤組成物。
- 脂肪酸ポリオキシエチレングリセリルの親水親油平衡(HLB)が10以上である、請求項5記載の固型洗浄剤組成物。
- 脂肪酸ポリオキシエチレングリセリルがポリオキシエチレン硬化ヒマシ油である、請求項5記載の固型洗浄剤組成物。
- 脂肪酸ポリオキシエチレングリセリルにおけるエチレンオキサイドの付加モル数が10〜200モルである、請求項5記載の固型洗浄剤組成物。
- 非イオン界面活性剤の含有量が0.5〜25重量%である、請求項5記載の固型洗浄剤組成物。
- グリセリン、ポリグリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコールおよびポリプロピレングリコールから選択される少なくとも1つの多価アルコールをさらに含有する、請求項5記載の固型洗浄剤組成物。
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