JP2004075463A - インジウム含有塩化第二鉄エッチンク廃液からのインジウムの除去方法および回収方法 - Google Patents

インジウム含有塩化第二鉄エッチンク廃液からのインジウムの除去方法および回収方法 Download PDF

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Abstract

【課題】スズを含有することもあるインジウム含有塩化第二鉄エッチンク廃液からインジウムを除去し、インジウム濃度の低い塩化第二鉄水溶液を得る方法を提供するものであり、スズを含有することもあるインジウム含有塩化第二鉄エッチンク廃液からのインジウムの回収にも関する。
【解決手段】スズを含有することもあるインジウム含有塩化第二鉄エッチンク廃液に、鉄および2価のニッケルを添加することにより、ニッケルを析出させるとともにインジウムを析出させ、インジウム濃度の低い塩化鉄水溶液を得る方法であり、析出物からはインジウムなどを回収できることを見出し、本発明を完成させたのである。なお、スズが含有する場合は、インジウム含有塩化第二鉄エッチンク廃液から事前にスズを除去しておいても、インジウム除去/回収処理と同時に行っても良い。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、スズを含有しても良いインジウム含有塩化第二鉄エッチンク廃液からのインジウム或いはインジウムおよびスズの除去/回収に関するものであり、塩化第二鉄水溶液のリサイクルに関するものである。スズを含有しても良いインジウム含有塩化第二鉄エッチンク廃液は、主にインジウム或いはインジウムおよびスズを含有する物質に対し塩化第二鉄溶液を用いてエッチングした後のエッチング廃液(塩化第二鉄エッチンク廃液)である。
【0002】
【従来の技術】
塩化第二鉄水溶液は、無機系凝集剤として使用される他、各種の金属をエッチングするためのエッチング剤の成分として用いられている。
この塩化第二鉄水溶液の製造方法としては、鉄を塩酸に溶解して得られた塩化第一鉄水溶液に塩素ガスを吹き込むなどの酸化反応による方法が挙げられる。
別の塩化第二鉄水溶液の製造方法としては、各種金属をエッチングした後の廃液の再生が挙げられる。例えば、鉄材または銅材の塩化第二鉄液または塩化第二鉄液と塩酸との混合液によるエッチング廃液や、鉄鋼の酸洗廃液に鉄(例えばくず鉄)を投入した後、塩素を吹き込み塩化第二鉄水溶液とするなどの廃棄物のリサイクルによって得られる。この場合、処理したもの由来の不純物が含まれている。例えば、液晶表示用に用いられるITO(スズドープ酸化インジウム)膜を塩化第二鉄水溶液または塩化第二鉄液と塩酸との混合液によりエッチングした場合の廃液には、塩化第二鉄、塩化第一鉄、塩酸、インジウム化合物およびスズ化合物などが含まれている。
【0003】
従来、各種金属を含有した合金をエッチングした塩化第二鉄エッチング廃液を再生する方法としては、鉄材または/および鉄粉を利用する方法が一般的である。例えば特開昭62−191428には、含有金属としてニッケルについて記載されている。即ち、当該塩化第二鉄エッチング廃液と鉄とを反応させると、下記の反応により金属ニッケルが析出すると共に、塩化第一鉄水溶液が得られる。
NiCl+Fe→Ni↓+FeCl
2FeCl+Fe→3FeCl
また、鉄粉を分割して加えることにより効率良いリサイクル方法が特開平05−263273に記載されている。
このようにして得られた塩化第一鉄水溶液は、塩素ガスを吹き込むなどの公知の方法による酸化反応で、塩化第二鉄水溶液として再生することができる。
【0004】
インジウム或いはインジウムとスズとを含む塩化第二鉄エッチンク廃液の再生において鉄を利用してインジウムを除去することは、鉄とインジウムとの電位差が小さいことから目的とする濃度まで除去することが困難であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、スズを含有することもあるインジウム含有塩化第二鉄エッチンク廃液からインジウムを除去し、インジウム濃度の低い塩化第二鉄水溶液を得る方法を提供するものであり、スズを含有することもあるインジウム含有塩化第二鉄エッチンク廃液からのインジウムの回収にも関する。
【0006】
【課題を解決するための手段】
発明者らは、前記課題を解決するため鋭意検討した結果、スズを含有することもあるインジウム含有塩化第二鉄エッチンク廃液に、鉄および2価のニッケルを添加することにより、ニッケルを析出させるとともにインジウムを析出させ、インジウム濃度の低い塩化鉄水溶液を得る方法であり、析出物からはインジウムなどを回収できることを見出し、本発明を完成させたのである。なお、スズが含有する場合は、インジウム含有塩化第二鉄エッチンク廃液から事前にスズを除去しておいても、インジウム除去/回収処理と同時に行っても良い。
【発明の実施の形態】
【0007】
本発明のスズを含有することもあるインジウム含有塩化第二鉄エッチンク廃液からインジウム除去/回収方法および低インジウム濃度の塩化鉄水溶液を得る方法について詳細に説明する。なお、インジウム含有塩化第二鉄エッチンク廃液にスズが含まれるときは、鉄で塩化第二鉄を塩化第一鉄に還元するときにスズの水酸化物が生成し、これにより沈殿することからろ過などの方法で除去することができる。なお、インジウム含有塩化第二鉄エッチンク廃液中にコバルトなどが更に含まれていても、本発明の方法は適用することができる。また、本発明の方法は、インジウム含有廃液の廃液処理にも適用できる。
【0008】
スズを含有することもあるインジウム含有塩化第二鉄エッチンク廃液の処理は、塩酸などの強酸分を処理する工程、塩化第二鉄を鉄で塩化第一鉄にする工程、スズが含まれる場合のスズ除去工程、2価のニッケルを含有させる工程、鉄によるインジウム除去/回収を行う工程、塩化第一鉄を塩化第二鉄へと酸化する工程などがあり、当該廃液中の成分および処理目的などにより適宜これらを個別に一緒に或いは一部省いて行っても良い。
【0009】
○インジウム含有塩化第二鉄エッチンク廃液
当該廃液は、スズを含有いていても良く、鉄、ニッケルおよびコバルトなどの他の金属を更に含有していてもよい。インジウム含有塩化第二鉄エッチンク廃液中の塩化鉄は、塩化第一鉄または/および塩化第二鉄である。なお、塩化第一鉄または塩化第二鉄として特定できない場合およびこれらが混在している場合は、塩化鉄と称する。
インジウム含有塩化第二鉄エッチンク廃液としては、液晶表示用などに用いられるITO(スズドープ酸化インジウム)膜を塩化第二鉄含有溶液でエッチングしたもの、ITO膜を有する液晶パネルや透明導電板などの廃棄物から得られるものを例示できるが、これらに限定されるのもではない。
インジウム含有エッチンク廃液には、ITO膜を希王水で処理したような塩化鉄を含まないものがある。このような場合は、塩化第二鉄または塩化第一鉄を加えることにより、本発明の方法を適用することができる。
【0010】
○塩化鉄
本発明で使用する塩化鉄は、塩化第一鉄または/および塩化第二鉄である。塩化鉄は、インジウム含有塩化第二鉄エッチンク廃液中に含んでいるものを用いても、鉄と塩酸を加えて得ても良く、また塩化第一鉄または/および塩化第二鉄を添加しても良い。
【0011】
○鉄
スズを含有することもあるインジウム含有塩化第二鉄エッチンク廃液に添加する鉄としては、鉄塊、鉄片、鉄材、鉄線または鉄粉など金属の鉄であればいずれのものも使用できる。なお、インジウム含有塩化第二鉄エッチンク廃液に含まれる金属の種類および処理などにより、当該廃液への鉄の添加量および添加時期は、それらに対応して行うことになる。下記のその代表的なものを例示するが、本発明の方法はこれらに限定されるものではない。また、インジウム含有塩化第二鉄エッチンク廃液に塩酸などの強酸および塩化第二鉄が含まれているとして例示するが、強酸または/および塩化第二鉄が含まれていない場合は、それらの処理に必要な鉄の量および処理を除外して行えば良い。なお、強酸の処理には、鉄でなくアルカリなどによる他の手段を用いても良い。
このように、インジウム含有塩化第二鉄エッチンク廃液に対し本発明の方法を用いる場合の鉄の量は、当該廃液に含まれる塩化第二鉄や塩酸などの強酸量、スズの量、2価のニッケル量など鉄を消費する量および工程などを考慮して決めればよい。
【0012】
・インジウム含有塩化第二鉄エッチンク廃液の処理について
当該廃液中の強酸と鉄との反応および塩化第二鉄を鉄により塩化第一鉄へとする反応において使用する鉄の量は、それらに対応する化学当量以上存在すれば良い。この化学当量について鉄と塩酸との例で説明する。鉄と塩酸とを反応させると下記の化学式のようになる。
Fe+2HCl→H↑+FeCl
即ち、1モルの鉄は、2モルの塩酸と反応して1モルの塩化第一鉄と水素ガスとになる。このことから、1化学当量の鉄(1モルの鉄)に対応する1化学当量の塩酸とは、2モルの塩酸である。
なお、過剰の鉄を加えた場合は、それらの反応完結までの時間短縮をはかることができるとともに、この過剰の鉄は、新たなインジウム含有塩化第二鉄エッチンク廃液の処理に使用することもできる。例えば、鉄が入っているタンクにインジウム含有塩化第二鉄エッチンク廃液に入れて撹拌し、例えば溶液のpHが1.5以上、好ましくはpHが2以上になった時点で溶液を次の工程へと移動させる。タンク内に残った鉄は、新たなインジウム含有塩化第二鉄エッチンク廃液中の強酸などの処理に使用することができる。
インジウム含有塩化第二鉄エッチンク廃液における強酸および塩化第二鉄の処理が終わった後、当該液に、2価のニッケルおよび鉄を入れて、インジウム除去/回収を実施する。
【0013】
・スズを含有するインジウム含有塩化第二鉄エッチンク廃液の処理について
インジウム含有塩化第二鉄エッチンク廃液にスズが含有されていても、当該廃液中の強酸と鉄との反応および塩化第二鉄を鉄により塩化第一鉄にする反応において使用する鉄の量は、それらに対応する化学当量以上存在すればよく、過剰に鉄が存在した場合は、上記記載のように実施すれば良い。この操作により、スズは沈殿する。沈殿したスズは、この時点で沈殿を除く操作を行っても、2価のニッケルおよび鉄を入れて行うインジウム除去/回収工程へそのまま移行させても良い。
【0014】
・2価のニッケルを含有するインジウム含有塩化第二鉄エッチンク廃液の処理について
インジウム含有塩化第二鉄エッチンク廃液に2価のニッケルが含有されている場合は、当該廃液中において強酸と鉄との反応、塩化第二鉄を鉄により塩化第一鉄にする反応、ニッケルの析出およびインジウムの析出が同時に進行することになる。このことから、当該廃液中の2価のニッケル含量、回収金属および処理設備などから処理方法を決定すれば良い。例えば、インジウム除去/回収工程で必要となる2価のニッケル量に比べ当該廃液中の含量が不足する場合は、添加してインジウム除去/回収工程と一括に処理しても、添加せずそのまま処理した後、インジウム除去/回収工程へ移行させても良い。当該廃液中の含量が多い場合は、そのままインジウム除去/回収工程と一括に処理しても、2価のニッケルを含まないインジウム含有塩化第二鉄エッチンク廃液または水で希釈し、適量濃度としてから処理しても良い。
【0015】
・スズおよび2価のニッケルを含有するインジウム含有塩化第二鉄エッチンク廃液の処理について
インジウム含有塩化第二鉄エッチンク廃液にスズとともに2価のニッケルが含有されている場合は、当該廃液中において強酸と鉄との反応、塩化第二鉄を鉄により塩化第一鉄にする反応、スズが沈殿する反応、ニッケルの析出およびインジウムの析出が同時に進行することになる。このことから、当該廃液中の2価のニッケル含量、回収金属および処理設備などから処理方法を決定すれば良い。例えば、インジウム除去/回収工程で必要となる2価のニッケル量に比べ当該廃液中の含量が不足する場合は、添加してインジウム除去/回収工程と一括に処理しても、添加せずそのまま処理した後、インジウム除去/回収工程へ移行させても良い。当該廃液中の含量が多い場合は、そのままインジウム除去/回収工程と一括に処理しても、2価のニッケルを含まないインジウム含有塩化第二鉄エッチンク廃液または水で希釈して処理しても良い。このように、当該廃液中にスズが含有していても、処理に大きな影響を与えることはなく、沈殿したスズをどの時点で除くかは、処理の仕方で決定すれば良い。
【0016】
○使用する鉄について
強酸と鉄との反応および塩化第二鉄を鉄により塩化第一鉄へとする反応において使用する鉄は、何でも良く、鉄塊、鉄片、鉄材、鉄線、鉄粉などから選定すれば良い。
インジウム除去/回収工程において使用する鉄は、反応速度を考慮し、鉄の大きさとして細かいものが良く、好ましくは鉄粉である。粒径としては、100メッシュパス以上が好ましく、150〜350メッシュがより好ましい。また、比表面積として1m/g以上を有するものを使用することが、インジウムなどの除去効率が良いため好ましい。
【0017】
○強酸と塩化第二鉄に対する鉄の使用量
鉄の使用量としては、塩酸などの強酸と鉄とが反応する化学当量以上、塩化第二鉄を鉄により塩化第一鉄にする化学当量以上あれば問題はない。過剰に添加/存在した場合は、上記に記載したように新しいインジウム含有塩化第二鉄エッチンク廃液の処理に用いることができる。
【0018】
○インジウム除去/回収工程における鉄の使用量
鉄は、2価のニッケルに対し1〜10倍モルが好ましく、更に2〜8倍モルが好ましく、3〜6倍モルが特に好ましい。この鉄の量は、添加するニッケル化合物の10倍モルを超えて用いてもインジウムおよびニッケルの回収量が上がらず、逆に鉄に付着するインジウム量が変わらないことから鉄の含有比率が高くなり、経済的に好ましくない。また、等モル未満では、インジウムの除去・回収が不十分となり好ましくない。
【0019】
○2価のニッケル
本発明における2価のニッケルは、インジウム含有塩化第二鉄エッチンク廃液中で2価のニッケルとなるものであれば何れのものも使用でき、当該廃液中に初めから溶解しているものを用いても良い。当該ニッケルは、金属ニッケル、酸化ニッケル、塩化ニッケル、硫酸ニッケルおよび硝酸ニッケルなどを挙げることができ、塩化ニッケル、硫酸ニッケルおよび硝酸ニッケルなどが好ましく、これらの混合物であっても良く、塩化第二鉄としてリサイクル使用する事を考慮すると特に好ましくは塩化ニッケルである。また、アンバー材やアロイ材などの鉄ニッケル合金を塩化第二鉄水溶液でエッチングした液を用いても良い。
【0020】
2価のニッケルの添加量は、処理液中の2価のニッケル量を考慮し決定すればよい。即ち、インジウム含有塩化第二鉄エッチンク廃液に対し2価のニッケル濃度が0.02〜2%(200〜20000ppm)が適当であり、好ましくは0.1〜1.5%であり、特に好ましくは0.3〜1%である。この量より少ないとインジウムの除去が不十分な場合があり、多すぎてもインジウムの除去率が上がることがなく、且つ使用する鉄の量が多くなるため経済的に不利となるためである。
【0021】
○強酸と塩化第二鉄の処理工程
塩酸などの強酸と鉄との処理工程、塩化第二鉄を鉄により塩化第一鉄へとする処理工程について説明する。なお、スズが含まれる場合のスズ除去工程をここで行っても良い。
インジウム含有塩化第二鉄エッチンク廃液に鉄を添加して、当該廃液中の強酸例えば塩酸を鉄と反応させて塩化第一鉄に変換させるとともに塩化第二鉄を鉄により塩化第一鉄に変換させる。なお、過剰の鉄が存在する場合は、鉄が入っているタンクにインジウム含有塩化第二鉄エッチンク廃液に入れて撹拌し、例えば溶液のpHが1.5以上、好ましくはpHが2以上になった時点で溶液をインジウム除去/回収工程へと移動させる。タンク内に残った鉄は、新たなインジウム含有塩化第二鉄エッチンク廃液の処理に使用することができる。
【0022】
○インジウム除去/回収工程
強酸と塩化第二鉄の処理工程が終了したインジウム含有塩化第二鉄エッチンク廃液に対し2価のニッケルと鉄とで処理し、インジウム除去/回収する工程について説明する。なお、前記強酸と塩化第二鉄の処理工程を行わずにインジウム含有塩化第二鉄エッチンク廃液を直接インジウム除去/回収の工程を行っても良く、この場合の鉄の使用量は、強酸と塩化第二鉄などの処理量を考慮して決定する。
当該廃液にニッケル化合物を添加し(初めから必要量を含んでいる場合は添加しなくて良い)、鉄を加え、撹拌加熱して、ニッケルを析出させるとともにインジウムを析出させる。このことから,当該廃液中からインジウムを除去することができる。即ち、沈殿物から、インジウムを回収することができ、上清からは塩化第二鉄へと変換することができる。
【0023】
○析出物の分離
インジウム含有塩化第二鉄エッチンク廃液に鉄を添加して析出したインジウムおよびニッケルなどからなる混合物は、鉄に付着していることから沈殿物として溶液から簡単に分離することができる。当該沈殿物の分離方法としては、重力式沈降、ろ過やサイクロンなどの遠心力を利用する方法を挙げることができる。このとき、インジウム含有塩化第二鉄エッチンク廃液に、スズやコバルトなどの金属を含んでいる場合に本発明の方法で処理したときは、強酸と塩化第二鉄の処理工程でスズの沈殿物を生ずる。このことからこの時点でスズの除去操作を行った後、インジウム除去/回収工程を行っても、沈殿物をそのままにしてインジウム除去/回収工程を行っても除去効果に差は認められない。分離装置をコンパクトにするには同時に除去する事が好ましく、金属類を分別回収したい場合は個別に分別を行えばよい。
【0024】
○反応温度と時間
反応温度としては、常温〜100℃が好ましく、より好ましくは40〜100℃であり、特に好ましくは50〜90℃である。反応時間は、反応条件により種々の時間を選択できるが、反応温度が80℃では1時間〜50時間が好ましく、より好ましくは2〜24時間であり、更に好ましくは4〜10時間である。反応の雰囲気は窒素雰囲気でも、空気雰囲気でも可能であり、当該廃液をエアーレーションすることもできる。エアーレーションを行った場合は、鉄の一部がフェライト化し、これにニッケルなどが取り込まれることがある。
【0025】
○リサイクル
スズを含有することもあるインジウム含有塩化第二鉄エッチンク廃液に本発明の除去方法を用いると、インジウム濃度を10ppm以下にすることができる。このことから、当該廃液に対し本発明の方法を適用してインジウムなどを除去し、その後、溶液を酸化することにより(例えば、塩素で実施すると
2FeCl+Cl→2FeCl
の化学式のようになる)、塩化第二鉄として再利用することができる。なお、本発明の方法において塩化ニッケルなどの塩化物を主体とし使用することにより、純度の高い塩化第二鉄を得ることができる。
また、本発明の方法によりスズを含有することもあるインジウム含有塩化第二鉄エッチンク廃液からインジウムを効率良く析出させることができることから、インジウムを回収することができる。
【0026】
○実施の形態
スズを含有することもあるインジウム含有塩化第二鉄エッチンク廃液に鉄を入れて強酸を消費させる工程(スズを含有していた場合は、ここで沈殿する)、ニッケル化合物と鉄とでインジウムを析出/沈殿する工程からなるインジウム除去/回収方法。
スズを含有することもあるインジウム含有塩化第二鉄エッチンク廃液に鉄を入れて強酸を消費させる工程(スズを含有していた場合は、ここで沈殿する)、ニッケル化合物と鉄とでインジウムを析出/沈殿する工程からなる塩化鉄の製造方法。
スズを含有することもあるインジウム含有塩化第二鉄エッチンク廃液中の3価の鉄を鉄で還元して2価の鉄とし、当該2価鉄により2価のニッケルからニッケルを析出させるとともにインジウムを析出させることを特徴とするインジウム除去/回収方法。
スズを含有することもあるインジウム含有塩化第二鉄エッチンク廃液に、鉄、ニッケル化合物を添加して加熱し、沈殿物を除去し、当該上清から塩化第一鉄水溶液を得る方法。
スズを含有することもあるインジウム含有塩化第二鉄エッチンク廃液にニッケル化合物および鉄を加えて処理することによる、スズおよびインジウムの除去/回収方法。
【0027】
【実施例】
以下、実施例および比較例を挙げて本発明をより詳細に説明する。但し、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
【0028】
<実施例1>
インジウムを190ppm含有する37質量%塩化第一鉄水溶液1300gに塩化ニッケルを添加し(ニッケル分として7000ppmとなるように加える)、この溶液を、冷却管、温度計、攪拌棒を取り付けた2Lの3つ口フラスコに仕込み、攪拌しつつ80℃に昇温後、100メッシュパスの鉄粉を34.6g添加し6時間反応させた。その後、反応液をろ過した。
得られたろ液中のニッケルは230ppm(除去率は97%)、インジウムは10ppm以下(除去率は95%以上)であった。
【0029】
<実施例2>
インジウムを330ppm含有する37質量%塩化第一鉄水溶液400gに塩化ニッケル(ニッケル分として7000ppmとなるように加える)および塩化コバルト(コバルト分として300ppmとなるように加える)を添加し、この溶液を冷却管、温度計、攪拌棒を取り付けた1Lの3つ口フラスコに仕込み、攪拌しつつ80℃に昇温後、100メッシュパスの鉄粉を10.65g添加し6時間反応させた。この反応液をろ過した。得られたろ液中のニッケルは190ppm(除去率は97%)、コバルトは210ppm(除去率は30%)、インジウムは10ppm以下(除去率は97%以上)であった。
【0030】
<実施例3>
インジウムを204ppmおよびスズを43ppm含有する34.3質量%塩化第一鉄水溶液800gに塩化ニッケル(ニッケル分として9615ppmとなるように加える)を添加し、この溶液を冷却管、温度計、攪拌棒を取り付けた1Lの3つ口フラスコに仕込み、攪拌しつつ80℃に昇温後、100メッシュパスの鉄粉を21.3g添加し、経時的に濃度とpHを測定した。この結果を表1(ppm表示、下段に除去率)に記載した。
【0031】
【表1】
Figure 2004075463
【0032】
<比較例1>
インジウムを120ppm含有する37質量%塩化第一鉄水溶液1300gを冷却管、温度計、攪拌棒を取り付けた2Lの3つ口フラスコに仕込み、攪拌しつつ80℃に昇温後、100メッシュパスの鉄粉を34.6g添加し、実施例2と同様に6時間反応させた。この後、反応液をろ過し、得られたろ液中のインジウムを分析したところ、インジウム濃度は120ppmであった。
【0033】
<比較例2>
冷却管、温度計、攪拌棒を取り付けた2Lの3つ口フラスコにスズを含有するインジウム含有水溶液(塩化第二鉄エッチンク廃液であり、組成:FeCl 21.7質量%、HCl 11.57質量%、インジウム 340ppm、スズ32ppm)1000gを入れ、更に水175gを加えた後、鉄材263gを投入し、80℃で10時間に加温した。この反応により塩化第二鉄は塩化第一鉄となる。沈殿物をろ過除去した。ろ液のpHは、3.4であり、スズの含量率は7ppm(除去率は74%)、インジウムの含量率は287ppm(除去率は1%)であった。
【0034】
実施例3で示したように、インジウムおよびスズを含有する塩化第二鉄エッチンク廃液に鉄を加えて処理することにより、スズが存在していても、インジウムを効率良く除くことができる。
実施例1および2で示したように、インジウム含有塩化第一鉄水溶液にニッケル化合物および鉄を加えて処理することにより、効率良くインジウムを除去/回収することができる。コバルトが廃液中に存在していても、インジウムの除去率に大きな影響を与えないことが判明した。
スズを含有するインジウム含有水溶液を比較例2のように処理してスズを除いてから実施例1および2ような方法でインジウムを除去/回収しても、実施例3のようにインジウムを除去/回収と同時に行っても除去率に大きな差は認められなかった。
【0035】
【発明の効果】
本発明の方法を用いることにより、スズを含有することもあるインジウム含有塩化第二鉄エッチンク廃液から効率良くインジウムを除去/回収することができる。このことから、スズを含有することもあるインジウム含有塩化第二鉄エッチンク廃液を塩化第二鉄エッチング液へとリサイクルすることが可能となる。また、貴金属であるインジウムを回収することができる。このようなことから、本発明の方法を用いることにより、リサイクルおよび廃棄物の減量にも貢献でき、産業上非常に有用なものである。

Claims (4)

  1. スズを含有しても良いインジウム含有塩化第二鉄エッチンク廃液に鉄、ニッケル化合物を添加することを特徴とするインジウム除去/回収方法。
  2. スズを含有するインジウム含有塩化第二鉄エッチンク廃液に鉄、ニッケル化合物を添加してスズの除去も同時に行うことを特徴とする、請求項1に記載のインジウム除去/回収方法。
  3. スズを含有するインジウム含有塩化第二鉄エッチンク廃液において、鉄を加えることにより当該廃液中の3価の鉄を2価の鉄に還元するとともにスズを除去した後、かかる処理後の溶液を用いることを特徴とする請求項1に記載のインジウム除去/回収方法。
  4. 請求項1〜3記載のインジウム除去/回収方法によってなるスズを含有しても良いインジウム含有塩化第二鉄エッチンク廃液からの塩化第二鉄溶液の製造方法。
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