JP2004074646A - 金型用部材および金型 - Google Patents
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Abstract
【課題】非粘着性、耐久性、耐摩耗性、耐傷付き性などに優れ、また、簡易な手入れだけで、長時間使用しても使用初期の優れた特性を維持することのできる金型用部材および金型を提供する。
【解決手段】成形面に、下塗り塗膜層、中塗り塗膜層および上塗り塗膜層を順次形成してなり、該下塗り塗膜層が固形分として無機微粒子を20〜60重量%およびフッ素樹脂を50〜10重量%含有し、該中塗り塗膜層が固形分として無機微粒子を10〜50重量%およびフッ素樹脂を60〜20重量%含有し、該上塗り塗膜層が固形分としてフッ素樹脂を60重量%以上含有してなる金型用部材;ならびに該金型用部材を備えてなる金型。
【選択図】 なし
【解決手段】成形面に、下塗り塗膜層、中塗り塗膜層および上塗り塗膜層を順次形成してなり、該下塗り塗膜層が固形分として無機微粒子を20〜60重量%およびフッ素樹脂を50〜10重量%含有し、該中塗り塗膜層が固形分として無機微粒子を10〜50重量%およびフッ素樹脂を60〜20重量%含有し、該上塗り塗膜層が固形分としてフッ素樹脂を60重量%以上含有してなる金型用部材;ならびに該金型用部材を備えてなる金型。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ゴムや樹脂の成形に使用する金型用部材および金型に関する。
【0002】
【従来の技術】
ゴム成形用金型や樹脂成形用金型等を用いて成形を行う場合には、成形するゴムや樹脂と金型との離型性が求められる。例えば、押し出し成形の場合は滑り性が必要であり、直圧プレス式の場合は剥がれ易さが求められる。
【0003】
現在の金型は、クロムめっき等により硬度を向上させ、残留付着物の除去等の手入れに際しては、金ブラシ等でこするという手法が一般的にとられている。
【0004】
しかしながら、環境面からクロムフリー化が求められており、また、簡易な手入れですむことも求められている。そこで、残留付着物の除去等を容易にするために、金型部材の成形面にフッ素樹脂を含有する塗料を塗布することが種々提案されている。例えば、1コートまたは2コートタイプのフッ素樹脂塗料を塗布したものが提案されている。
【0005】
しかしながら、上記フッ素樹脂塗料を塗布した金型は、使用初期の段階では、ある程度の非粘着性は確保されるが、塗膜自体の強度が不十分であるため、汚れ除去のための手入れの際に塗膜が損傷し易く、比較的短時間で塗膜特性が失われてしまうという問題があった。
【0006】
そこで、塗膜の硬度と耐久性を高めるため、補強剤として特定の骨材(フィラー)を添加したフッ素樹脂塗料が市販されているが、補強剤として添加している骨材(フィラー)は非粘着性がないため、骨材の添加量が多くなると塗膜の非粘着性が低下する。よって、骨材の添加量には自ずと限界があり、塗膜の硬度および耐久性の向上はあまり望めないという問題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、非粘着性、耐久性、耐摩耗性、耐傷付き性などに優れ、また、簡易な手入れだけで、長時間使用しても使用初期の優れた特性を維持することのできる金型用部材および金型を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、従来技術の問題点に鑑みて、鋭意研究を進めた結果、三層構造のフッ素樹脂含有塗膜を金型の成形面(金型内面)に形成させることにより、上記目的が達成されることを見出した。
【0009】
すなわち、本発明は、下記に示すとおりの金型用部材および金型を提供するものである。
項1. 成形面に、下塗り塗膜層、中塗り塗膜層および上塗り塗膜層を順次形成してなり、該下塗り塗膜層が固形分として無機微粒子を20〜60重量%およびフッ素樹脂を50〜10重量%含有し、該中塗り塗膜層が固形分として無機微粒子を10〜50重量%およびフッ素樹脂を60〜20重量%含有し、該上塗り塗膜層が固形分としてフッ素樹脂を60重量%以上含有してなる金型用部材。
項2. フッ素樹脂が、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体およびテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体からなる群より選択される少なくとも1種である項1に記載の金型用部材。
項3. 無機微粒子が、アルミナ微粒子、シリカ微粒子、チタニア微粒子および炭化ケイ素微粒子からなる群より選択される少なくとも1種である項1または2に記載の金型用部材。
項4. 無機微粒子の平均粒径が10μm以下である項1〜3のいずれかに記載の金型用部材。
項5. 金型用部材が、ゴム成形金型用部材、樹脂成形金型用部材、プレス金型用部材、インジェクション金型用部材、CD成形金型用部材、DVD成形金型用部材またはMD成形金型用部材である項1〜4のいずれかに記載の金型用部材。
項6. 項1〜5のいずれかに記載の金型用部材を備えてなる金型。
項7. 金型が、ゴム成形金型、樹脂成形金型、プレス金型、インジェクション金型、CD成形金型、DVD成形金型またはMD成形金型である項6に記載の金型。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の金型用部材は、金型基材の成形面上に、下塗り塗膜層(第1層)、中塗り塗膜層(第2層)および上塗り塗膜層(第3層)を順次形成し、該下塗り塗膜層(第1層)が固形分として無機微粒子を20〜60重量%およびフッ素樹脂を50〜10重量%含有し、該中塗り塗膜層(第2層)が固形分として無機微粒子を10〜50重量%およびフッ素樹脂を60〜20重量%含有し、該上塗り塗膜層(第3層)が固形分としてフッ素樹脂を60重量%以上含有することを特徴とする。
【0011】
すなわち、フッ素樹脂と無機微粒子との含有割合が異なる三層のフッ素樹脂塗膜を、金型基材の成形面上に形成したものである。
【0012】
下塗り塗膜層(第1層)には、補強剤としての無機微粒子および中塗り塗膜層(第2層)との密着性を高めるためのフッ素樹脂を含有させる。中塗り塗膜層(第2層)には、補強剤としての無機微粒子および上塗り塗膜層(第3層)との密着性を高めるためのフッ素樹脂を含有させる。そして、上塗り塗膜層(第3層)には、非粘着性を高めるため、補強剤を含有させずにフッ素樹脂を含有させる。
【0013】
下塗り塗膜層(第1層)は固形分として無機微粒子を25〜55重量%およびフッ素樹脂を45〜15重量%含有するのが好ましく、中塗り塗膜層(第2層)は固形分として無機微粒子を15〜45重量%およびフッ素樹脂を55〜25重量%含有するのが好ましく、上塗り塗膜層(第3層)は固形分としてフッ素樹脂を70重量%以上含有するのが好ましい。
【0014】
塗膜の硬度と塗膜表面の非粘着性の両方を高めるため、無機微粒子の含有量は、下塗り塗膜層(第1層)を中塗り塗膜層(第2層)より多くするのが好ましい。また、フッ素樹脂の含有量は、下塗り塗膜層(第1層)から上塗り塗膜層(第3層)にかけて順次増加させるのが好ましい。
【0015】
フッ素樹脂としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、ポリビニリデンフルオライト(PVDF)、エチレンクロロトリフルオロエチレン(ECTFE)、フッ化ポリプロピレン(FLPP)などが挙げられるが、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)が好ましい。これらのフッ素樹脂は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0016】
無機微粒子としては、例えば、アルミナ微粒子、シリカ微粒子、チタニア微粒子、炭化ケイ素微粒子、ジルコニア微粒子、硫化タンタル微粒子、ゼオライト微粒子などが挙げられるが、アルミナ微粒子、シリカ微粒子、チタニア微粒子、炭化ケイ素微粒子が好ましい。これらの無機微粒子は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0017】
なお、下塗り塗膜層(第1層)と中塗り塗膜層(第2層)には、バインダー成分として、ポリアミドイミド、ポリフェニルスルフィド、ポリエーテルスルホンなどが含まれているのが好ましい。
【0018】
各塗膜層の厚さは、金型基材の材質および形状により異なるが、10〜100μm程度であるのが好ましく、15〜70μm程度であるのがより好ましい。また、三層の塗膜層全体の厚さは、30〜300μm程度であるのが好ましく、45〜210μm程度であるのがより好ましい。
【0019】
無機微粒子の平均粒径は、塗膜層の厚さを考慮して定めれば良いが、10μm以下であるのが好ましく、5μm以下であるのがより好ましく、0.5〜1μmであるのが特に好ましい。なお、塗膜中での無機微粒子の分散の均一性を確保するために、粒径が30μm以上の粗大粒子を含まないことが望ましい。
【0020】
本発明における金型基材の材質としては、銅、ステンレス鋼、一般鋼、アルミニウム、アルミニウム合金などの金属類などが用いられる。
【0021】
金型基材の成形面上に塗膜層を形成するには、本発明の固形分組成からなる下塗り塗料、中塗り塗料、上塗り塗料を調製し、これらの塗料をスプレー、刷毛塗り、浸漬などの公知の手段で、順次塗装すればよい。各塗料を塗装した後に、それぞれ乾燥と加熱処理を行ってもよいし、順次、塗装と乾燥を行った後に、二層または三層をまとめて加熱処理してもよい。
【0022】
塗料には、必要に応じて希釈剤としての溶媒を配合する。溶媒としては、n−メチルピロリドン、ジアセトンアルコール、メタノール、エタノール、アセトン、THFなどが挙げられ、n−メチルピロリドン、ジアセトンアルコールが好ましい。これらの溶媒は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0023】
加熱処理の温度は、100〜400℃が好ましく、300〜400℃がより好ましい。加熱処理の時間は、15〜90分が好ましく、20〜50分がより好ましい。
【0024】
本発明の金型は、上記金型用部材からなる。
【0025】
本発明が適用できる金型としては、特に限定されないが、ゴム成形金型、樹脂成形金型、プレス金型、インジェクション金型、CD成形金型、DVD成形金型、MD成形金型などが好ましい。
【0026】
【発明の効果】
本発明により金型基材の成形面上に形成された塗膜は、フッ素樹脂の固有の特性と無機微粒子の固有の特性とを兼ね備えているだけでなく、それらが相乗的に働く。
【0027】
従って、本発明の金型用部材および金型は、フッ素樹脂に由来する高度の潤滑性、耐摩耗性、防汚性、耐焦げ付き性などを有し、さらに、特に優れた耐久性、耐熱性、耐薬品性、撥油性、撥水性などを発揮する。しかも、無機微粒子に由来する高硬度、高強度特性などを備えるので、特に優れた耐久性、耐摩耗性、耐傷つき性などを発揮する。
【0028】
【実施例】
以下に実施例および比較例を示し、本発明の特徴とするところをより一層明確にする。
【0029】
なお、物性の測定は、塗膜を形成したテストピースを用いて下記の方法により行った。
【0030】
(1)接触角
接触角計(協和界面科学(株)製、「CA−A型」)を用いて、液滴法により、水の接触角を測定した。
【0031】
(2)密着力試験(JIS K5400)
サンプルに1cm2当たり100個のごばん目を入れ、下記の各条件下に放置した後、常温に戻し、セロファン粘着テープにより、圧着剥離試験を行った。
(a)250℃で2時間放置
(b)−10℃で2時間放置
(c)(200℃で1時間→−10℃で1時間)×10サイクル
表1の密着力を示す結果において、「100/100」とあるのは、剥離がなかったことを示し、「50/100」とあるのは、ごばん目の半数が剥離したことを示す。
【0032】
(3)衝撃変形試験(JIS K5400)
20℃でデュポン方式により衝撃試験を行って、変形させた部分の塗面の損傷を確認した。
おもり:500g、落下高さ:500mm。
【0033】
(4)耐薬品性試験
サンプルに1cm2当たり100個のごばん目を入れ、下記の薬品乃至材料に96時間浸漬し、4時間毎にサンプルを取り出し、水洗いを行った後、変色および剥がれがないか否かを確認し、セロファン粘着テープにより、圧着剥離試験を行った。
(a)ラッカーシンナー
(b)界面活性剤(商標「ファミリーフレッシュ」、花王(株)製)
(c)台所用漂白剤(商標「キッチンハイター」、花王(株)製)15%
(d)台所用漂白剤(商標「キッチンハイター」、花王(株)製)100%
結果の判定については、上記(2)の場合と同様である。
【0034】
(5)耐摩耗性試験
先端にナイロンたわしを取り付けた棒を600rpmで回転させながら、加重500gで1分間押しつけた後、傷の有無を肉眼で調べた。
【0035】
(6)EPDMゴム離型性試験
サンプル2枚の間に加硫前のEPDMゴム(30mm×30mm×1mm)をはさみ、300g/cm2の荷重をかけた状態で180℃の空気雰囲気下で20分加硫した後、2枚のサンプルを引き剥がした。これを5000回繰り返し、1回目および5000回目にサンプルを引き剥がすのに必要な力をテンションゲージを用いて測定した。
【0036】
なお、以下の実施例および比較例において、PTFEはポリテトラフルオロエチレンを示し、PFAはテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体を示し、FEPはテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体を示す。
【0037】
実施例1
塗装材料として、テストピース(材質:SUS430、寸法:50mm×50mm×1mm)を用いた。
【0038】
まず、塗装材料にショットブラスト処理を行った。次いで、アルカリ脱脂液に、50℃で5分間浸漬して脱脂処理を行い、水洗して乾燥させた。
【0039】
下記の組成の固形分を25重量%含む下塗り塗料(溶媒はn−メチルピロリドンとジアセトンアルコールの2:1混合溶剤)を調製し、塗装材料に、加熱処理後の膜厚が20±5μmとなるまでスプレー塗装を行い、乾燥させた。
<下塗り塗料の固形分組成>
ポリエーテルスルホン 30重量%
PTFE 20重量%
アルミナ微粒子(平均粒径1μm) 40重量%
シリカ微粒子(平均粒径1μm) 10重量%。
【0040】
次に、下記の組成の固形分を43重量%含む中塗り塗料(溶媒はn−メチルピロリドンとジアセトンアルコールの2:1混合溶剤)を調製し、下塗り塗膜の上に、加熱処理後の膜厚が20±5μmとなるまでスプレー塗装を行い、乾燥させた。
<中塗り塗料の固形分組成>
ポリエーテルスルホン 30重量%
PTFE 40重量%
アルミナ微粒子(平均粒径1μm) 20重量%
シリカ微粒子(平均粒径1μm) 10重量%。
【0041】
次に、下記の組成の固形分を45重量%含む上塗り塗料(界面活性剤「トリトンX100」を2重量%添加した水系ディスパージョン)を調製し、中塗り塗膜の上に、加熱処理後の膜厚が20±5μmとなるまでスプレー塗装を行い、乾燥させた。
<上塗り塗料の固形分組成>
PTFE 50重量%
PFA 50重量%。
【0042】
上記の三層の塗膜が完成した後、380℃で30分間加熱処理を行った。
【0043】
塗膜が形成されたテストピースについて、上記(1)〜(6)の試験を行った。結果を表1、2に示す。
【0044】
実施例2
下塗り塗料、中塗り塗料、上塗り塗料の固形分組成を下記のように変更した以外は実施例1と同様にして、塗装材料に塗装と加熱処理を行った。
<下塗り塗料の固形分組成>
ポリエーテルスルホン 30重量%
PTFE 20重量%
アルミナ微粒子(平均粒径1μm) 40重量%
シリカ微粒子(平均粒径1μm) 10重量%
<中塗り塗料の固形分組成>
ポリエーテルスルホン 30重量%
PTFE 40重量%
アルミナ微粒子(平均粒径1μm) 20重量%
シリカ微粒子(平均粒径1μm) 10重量%
<上塗り塗料の固形分組成>
PTFE 50重量%
PFA 40重量%
FEP 10重量%。
【0045】
塗膜が形成されたテストピースについて、上記(1)〜(6)の試験を行った。結果を表1、2に示す。
【0046】
実施例3
下塗り塗料、中塗り塗料、上塗り塗料の固形分組成を下記のように変更した以外は実施例1と同様にして、塗装材料に塗装と加熱処理を行った。
<下塗り塗料の固形分組成>
ポリエーテルスルホン 30重量%
PTFE 20重量%
アルミナ微粒子(平均粒径1μm) 30重量%
シリカ微粒子(平均粒径1μm) 10重量%
チタニア微粒子(平均粒径1μm) 10重量%
<中塗り塗料の固形分組成>
ポリエーテルスルホン 30重量%
PTFE 40重量%
アルミナ微粒子(平均粒径1μm) 20重量%
シリカ微粒子(平均粒径1μm) 5重量%
チタニア微粒子(平均粒径1μm) 5重量%
<上塗り塗料の固形分組成>
PTFE 50重量%
PFA 50重量%。
【0047】
塗膜が形成されたテストピースについて、上記(1)〜(6)の試験を行った。結果を表1、2に示す。
【0048】
実施例4
下塗り塗料、中塗り塗料、上塗り塗料の固形分組成を下記のように変更した以外は実施例1と同様にして、塗装材料に塗装と加熱処理を行った。
<下塗り塗料の固形分組成>
ポリエーテルスルホン 30重量%
PTFE 20重量%
アルミナ微粒子(平均粒径1μm) 30重量%
シリカ微粒子(平均粒径1μm) 10重量%
チタニア微粒子(平均粒径1μm) 10重量%
<中塗り塗料の固形分組成>
ポリエーテルスルホン 30重量%
PTFE 40重量%
アルミナ微粒子(平均粒径1μm) 20重量%
シリカ微粒子(平均粒径1μm) 5重量%
チタニア微粒子(平均粒径1μm) 5重量%
<上塗り塗料の固形分組成>
PTFE 50重量%
PFA 40重量%
FEP 10重量%。
【0049】
塗膜が形成されたテストピースについて、上記(1)〜(6)の試験を行った。結果を表1、2に示す。
【0050】
実施例5
下塗り塗料、中塗り塗料、上塗り塗料の固形分組成を下記のように変更した以外は実施例1と同様にして、塗装材料に塗装と加熱処理を行った。
<下塗り塗料の固形分組成>
ポリエーテルスルホン 30重量%
PTFE 20重量%
炭化ケイ素微粒子(平均粒径1μm)25重量%
チタニア微粒子(平均粒径1μm) 25重量%
<中塗り塗料の固形分組成>
ポリエーテルスルホン 30重量%
PTFE 40重量%
炭化ケイ素微粒子(平均粒径1μm)15重量%
チタニア微粒子(平均粒径1μm) 15重量%
<上塗り塗料の固形分組成>
PTFE 50重量%
PFA 50重量%。
【0051】
塗膜が形成されたテストピースについて、上記(1)〜(6)の試験を行った。結果を表1、2に示す。
【0052】
実施例6
下塗り塗料、中塗り塗料、上塗り塗料の固形分組成を下記のように変更した以外は実施例1と同様にして、塗装材料に塗装と加熱処理を行った。
<下塗り塗料の固形分組成>
ポリエーテルスルホン 30重量%
PTFE 20重量%
炭化ケイ素微粒子(平均粒径1μm)25重量%
チタニア微粒子(平均粒径1μm) 25重量%
<中塗り塗料の固形分組成>
ポリエーテルスルホン 30重量%
PTFE 40重量%
炭化ケイ素微粒子(平均粒径1μm)15重量%
チタニア微粒子(平均粒径1μm) 15重量%
<上塗り塗料の固形分組成>
PTFE 50重量%
PFA 40重量%
FEP 10重量%。
【0053】
塗膜が形成されたテストピースについて、上記(1)〜(6)の試験を行った。結果を表1、2に示す。
【0054】
比較例1
下塗り塗料、中塗り塗料、上塗り塗料の固形分組成を下記のように変更した以外は実施例1と同様にして、塗装材料に塗装と加熱処理を行った。
<下塗り塗料の固形分組成>
ポリエーテルスルホン 80重量%
PTFE 20重量%
<中塗り塗料の固形分組成>
ポリエーテルスルホン 60重量%
PTFE 40重量%
<上塗り塗料の固形分組成>
PTFE 50重量%
PFA 50重量%。
【0055】
塗膜が形成されたテストピースについて、上記(1)〜(6)の試験を行った。結果を表1、2に示す。
【0056】
比較例2
下塗り塗料、中塗り塗料、上塗り塗料の固形分組成を下記のように変更した以外は実施例1と同様にして、塗装材料に塗装と加熱処理を行った。
<下塗り塗料の固形分組成>
ポリエーテルスルホン 50重量%
アルミナ微粒子(平均粒径1μm) 40重量%
シリカ微粒子(平均粒径1μm) 10重量%
<中塗り塗料の固形分組成>
ポリエーテルスルホン 70重量%
アルミナ微粒子(平均粒径1μm) 20重量%
シリカ微粒子(平均粒径1μm) 10重量%
<上塗り塗料の固形分組成>
PTFE 50重量%
PFA 50重量%。
【0057】
塗膜が形成されたテストピースについて、上記(1)〜(6)の試験を行った。結果を表1、2に示す。
【0058】
【表1】
【0059】
【表2】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ゴムや樹脂の成形に使用する金型用部材および金型に関する。
【0002】
【従来の技術】
ゴム成形用金型や樹脂成形用金型等を用いて成形を行う場合には、成形するゴムや樹脂と金型との離型性が求められる。例えば、押し出し成形の場合は滑り性が必要であり、直圧プレス式の場合は剥がれ易さが求められる。
【0003】
現在の金型は、クロムめっき等により硬度を向上させ、残留付着物の除去等の手入れに際しては、金ブラシ等でこするという手法が一般的にとられている。
【0004】
しかしながら、環境面からクロムフリー化が求められており、また、簡易な手入れですむことも求められている。そこで、残留付着物の除去等を容易にするために、金型部材の成形面にフッ素樹脂を含有する塗料を塗布することが種々提案されている。例えば、1コートまたは2コートタイプのフッ素樹脂塗料を塗布したものが提案されている。
【0005】
しかしながら、上記フッ素樹脂塗料を塗布した金型は、使用初期の段階では、ある程度の非粘着性は確保されるが、塗膜自体の強度が不十分であるため、汚れ除去のための手入れの際に塗膜が損傷し易く、比較的短時間で塗膜特性が失われてしまうという問題があった。
【0006】
そこで、塗膜の硬度と耐久性を高めるため、補強剤として特定の骨材(フィラー)を添加したフッ素樹脂塗料が市販されているが、補強剤として添加している骨材(フィラー)は非粘着性がないため、骨材の添加量が多くなると塗膜の非粘着性が低下する。よって、骨材の添加量には自ずと限界があり、塗膜の硬度および耐久性の向上はあまり望めないという問題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、非粘着性、耐久性、耐摩耗性、耐傷付き性などに優れ、また、簡易な手入れだけで、長時間使用しても使用初期の優れた特性を維持することのできる金型用部材および金型を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、従来技術の問題点に鑑みて、鋭意研究を進めた結果、三層構造のフッ素樹脂含有塗膜を金型の成形面(金型内面)に形成させることにより、上記目的が達成されることを見出した。
【0009】
すなわち、本発明は、下記に示すとおりの金型用部材および金型を提供するものである。
項1. 成形面に、下塗り塗膜層、中塗り塗膜層および上塗り塗膜層を順次形成してなり、該下塗り塗膜層が固形分として無機微粒子を20〜60重量%およびフッ素樹脂を50〜10重量%含有し、該中塗り塗膜層が固形分として無機微粒子を10〜50重量%およびフッ素樹脂を60〜20重量%含有し、該上塗り塗膜層が固形分としてフッ素樹脂を60重量%以上含有してなる金型用部材。
項2. フッ素樹脂が、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体およびテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体からなる群より選択される少なくとも1種である項1に記載の金型用部材。
項3. 無機微粒子が、アルミナ微粒子、シリカ微粒子、チタニア微粒子および炭化ケイ素微粒子からなる群より選択される少なくとも1種である項1または2に記載の金型用部材。
項4. 無機微粒子の平均粒径が10μm以下である項1〜3のいずれかに記載の金型用部材。
項5. 金型用部材が、ゴム成形金型用部材、樹脂成形金型用部材、プレス金型用部材、インジェクション金型用部材、CD成形金型用部材、DVD成形金型用部材またはMD成形金型用部材である項1〜4のいずれかに記載の金型用部材。
項6. 項1〜5のいずれかに記載の金型用部材を備えてなる金型。
項7. 金型が、ゴム成形金型、樹脂成形金型、プレス金型、インジェクション金型、CD成形金型、DVD成形金型またはMD成形金型である項6に記載の金型。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の金型用部材は、金型基材の成形面上に、下塗り塗膜層(第1層)、中塗り塗膜層(第2層)および上塗り塗膜層(第3層)を順次形成し、該下塗り塗膜層(第1層)が固形分として無機微粒子を20〜60重量%およびフッ素樹脂を50〜10重量%含有し、該中塗り塗膜層(第2層)が固形分として無機微粒子を10〜50重量%およびフッ素樹脂を60〜20重量%含有し、該上塗り塗膜層(第3層)が固形分としてフッ素樹脂を60重量%以上含有することを特徴とする。
【0011】
すなわち、フッ素樹脂と無機微粒子との含有割合が異なる三層のフッ素樹脂塗膜を、金型基材の成形面上に形成したものである。
【0012】
下塗り塗膜層(第1層)には、補強剤としての無機微粒子および中塗り塗膜層(第2層)との密着性を高めるためのフッ素樹脂を含有させる。中塗り塗膜層(第2層)には、補強剤としての無機微粒子および上塗り塗膜層(第3層)との密着性を高めるためのフッ素樹脂を含有させる。そして、上塗り塗膜層(第3層)には、非粘着性を高めるため、補強剤を含有させずにフッ素樹脂を含有させる。
【0013】
下塗り塗膜層(第1層)は固形分として無機微粒子を25〜55重量%およびフッ素樹脂を45〜15重量%含有するのが好ましく、中塗り塗膜層(第2層)は固形分として無機微粒子を15〜45重量%およびフッ素樹脂を55〜25重量%含有するのが好ましく、上塗り塗膜層(第3層)は固形分としてフッ素樹脂を70重量%以上含有するのが好ましい。
【0014】
塗膜の硬度と塗膜表面の非粘着性の両方を高めるため、無機微粒子の含有量は、下塗り塗膜層(第1層)を中塗り塗膜層(第2層)より多くするのが好ましい。また、フッ素樹脂の含有量は、下塗り塗膜層(第1層)から上塗り塗膜層(第3層)にかけて順次増加させるのが好ましい。
【0015】
フッ素樹脂としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、ポリビニリデンフルオライト(PVDF)、エチレンクロロトリフルオロエチレン(ECTFE)、フッ化ポリプロピレン(FLPP)などが挙げられるが、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)が好ましい。これらのフッ素樹脂は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0016】
無機微粒子としては、例えば、アルミナ微粒子、シリカ微粒子、チタニア微粒子、炭化ケイ素微粒子、ジルコニア微粒子、硫化タンタル微粒子、ゼオライト微粒子などが挙げられるが、アルミナ微粒子、シリカ微粒子、チタニア微粒子、炭化ケイ素微粒子が好ましい。これらの無機微粒子は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0017】
なお、下塗り塗膜層(第1層)と中塗り塗膜層(第2層)には、バインダー成分として、ポリアミドイミド、ポリフェニルスルフィド、ポリエーテルスルホンなどが含まれているのが好ましい。
【0018】
各塗膜層の厚さは、金型基材の材質および形状により異なるが、10〜100μm程度であるのが好ましく、15〜70μm程度であるのがより好ましい。また、三層の塗膜層全体の厚さは、30〜300μm程度であるのが好ましく、45〜210μm程度であるのがより好ましい。
【0019】
無機微粒子の平均粒径は、塗膜層の厚さを考慮して定めれば良いが、10μm以下であるのが好ましく、5μm以下であるのがより好ましく、0.5〜1μmであるのが特に好ましい。なお、塗膜中での無機微粒子の分散の均一性を確保するために、粒径が30μm以上の粗大粒子を含まないことが望ましい。
【0020】
本発明における金型基材の材質としては、銅、ステンレス鋼、一般鋼、アルミニウム、アルミニウム合金などの金属類などが用いられる。
【0021】
金型基材の成形面上に塗膜層を形成するには、本発明の固形分組成からなる下塗り塗料、中塗り塗料、上塗り塗料を調製し、これらの塗料をスプレー、刷毛塗り、浸漬などの公知の手段で、順次塗装すればよい。各塗料を塗装した後に、それぞれ乾燥と加熱処理を行ってもよいし、順次、塗装と乾燥を行った後に、二層または三層をまとめて加熱処理してもよい。
【0022】
塗料には、必要に応じて希釈剤としての溶媒を配合する。溶媒としては、n−メチルピロリドン、ジアセトンアルコール、メタノール、エタノール、アセトン、THFなどが挙げられ、n−メチルピロリドン、ジアセトンアルコールが好ましい。これらの溶媒は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0023】
加熱処理の温度は、100〜400℃が好ましく、300〜400℃がより好ましい。加熱処理の時間は、15〜90分が好ましく、20〜50分がより好ましい。
【0024】
本発明の金型は、上記金型用部材からなる。
【0025】
本発明が適用できる金型としては、特に限定されないが、ゴム成形金型、樹脂成形金型、プレス金型、インジェクション金型、CD成形金型、DVD成形金型、MD成形金型などが好ましい。
【0026】
【発明の効果】
本発明により金型基材の成形面上に形成された塗膜は、フッ素樹脂の固有の特性と無機微粒子の固有の特性とを兼ね備えているだけでなく、それらが相乗的に働く。
【0027】
従って、本発明の金型用部材および金型は、フッ素樹脂に由来する高度の潤滑性、耐摩耗性、防汚性、耐焦げ付き性などを有し、さらに、特に優れた耐久性、耐熱性、耐薬品性、撥油性、撥水性などを発揮する。しかも、無機微粒子に由来する高硬度、高強度特性などを備えるので、特に優れた耐久性、耐摩耗性、耐傷つき性などを発揮する。
【0028】
【実施例】
以下に実施例および比較例を示し、本発明の特徴とするところをより一層明確にする。
【0029】
なお、物性の測定は、塗膜を形成したテストピースを用いて下記の方法により行った。
【0030】
(1)接触角
接触角計(協和界面科学(株)製、「CA−A型」)を用いて、液滴法により、水の接触角を測定した。
【0031】
(2)密着力試験(JIS K5400)
サンプルに1cm2当たり100個のごばん目を入れ、下記の各条件下に放置した後、常温に戻し、セロファン粘着テープにより、圧着剥離試験を行った。
(a)250℃で2時間放置
(b)−10℃で2時間放置
(c)(200℃で1時間→−10℃で1時間)×10サイクル
表1の密着力を示す結果において、「100/100」とあるのは、剥離がなかったことを示し、「50/100」とあるのは、ごばん目の半数が剥離したことを示す。
【0032】
(3)衝撃変形試験(JIS K5400)
20℃でデュポン方式により衝撃試験を行って、変形させた部分の塗面の損傷を確認した。
おもり:500g、落下高さ:500mm。
【0033】
(4)耐薬品性試験
サンプルに1cm2当たり100個のごばん目を入れ、下記の薬品乃至材料に96時間浸漬し、4時間毎にサンプルを取り出し、水洗いを行った後、変色および剥がれがないか否かを確認し、セロファン粘着テープにより、圧着剥離試験を行った。
(a)ラッカーシンナー
(b)界面活性剤(商標「ファミリーフレッシュ」、花王(株)製)
(c)台所用漂白剤(商標「キッチンハイター」、花王(株)製)15%
(d)台所用漂白剤(商標「キッチンハイター」、花王(株)製)100%
結果の判定については、上記(2)の場合と同様である。
【0034】
(5)耐摩耗性試験
先端にナイロンたわしを取り付けた棒を600rpmで回転させながら、加重500gで1分間押しつけた後、傷の有無を肉眼で調べた。
【0035】
(6)EPDMゴム離型性試験
サンプル2枚の間に加硫前のEPDMゴム(30mm×30mm×1mm)をはさみ、300g/cm2の荷重をかけた状態で180℃の空気雰囲気下で20分加硫した後、2枚のサンプルを引き剥がした。これを5000回繰り返し、1回目および5000回目にサンプルを引き剥がすのに必要な力をテンションゲージを用いて測定した。
【0036】
なお、以下の実施例および比較例において、PTFEはポリテトラフルオロエチレンを示し、PFAはテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体を示し、FEPはテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体を示す。
【0037】
実施例1
塗装材料として、テストピース(材質:SUS430、寸法:50mm×50mm×1mm)を用いた。
【0038】
まず、塗装材料にショットブラスト処理を行った。次いで、アルカリ脱脂液に、50℃で5分間浸漬して脱脂処理を行い、水洗して乾燥させた。
【0039】
下記の組成の固形分を25重量%含む下塗り塗料(溶媒はn−メチルピロリドンとジアセトンアルコールの2:1混合溶剤)を調製し、塗装材料に、加熱処理後の膜厚が20±5μmとなるまでスプレー塗装を行い、乾燥させた。
<下塗り塗料の固形分組成>
ポリエーテルスルホン 30重量%
PTFE 20重量%
アルミナ微粒子(平均粒径1μm) 40重量%
シリカ微粒子(平均粒径1μm) 10重量%。
【0040】
次に、下記の組成の固形分を43重量%含む中塗り塗料(溶媒はn−メチルピロリドンとジアセトンアルコールの2:1混合溶剤)を調製し、下塗り塗膜の上に、加熱処理後の膜厚が20±5μmとなるまでスプレー塗装を行い、乾燥させた。
<中塗り塗料の固形分組成>
ポリエーテルスルホン 30重量%
PTFE 40重量%
アルミナ微粒子(平均粒径1μm) 20重量%
シリカ微粒子(平均粒径1μm) 10重量%。
【0041】
次に、下記の組成の固形分を45重量%含む上塗り塗料(界面活性剤「トリトンX100」を2重量%添加した水系ディスパージョン)を調製し、中塗り塗膜の上に、加熱処理後の膜厚が20±5μmとなるまでスプレー塗装を行い、乾燥させた。
<上塗り塗料の固形分組成>
PTFE 50重量%
PFA 50重量%。
【0042】
上記の三層の塗膜が完成した後、380℃で30分間加熱処理を行った。
【0043】
塗膜が形成されたテストピースについて、上記(1)〜(6)の試験を行った。結果を表1、2に示す。
【0044】
実施例2
下塗り塗料、中塗り塗料、上塗り塗料の固形分組成を下記のように変更した以外は実施例1と同様にして、塗装材料に塗装と加熱処理を行った。
<下塗り塗料の固形分組成>
ポリエーテルスルホン 30重量%
PTFE 20重量%
アルミナ微粒子(平均粒径1μm) 40重量%
シリカ微粒子(平均粒径1μm) 10重量%
<中塗り塗料の固形分組成>
ポリエーテルスルホン 30重量%
PTFE 40重量%
アルミナ微粒子(平均粒径1μm) 20重量%
シリカ微粒子(平均粒径1μm) 10重量%
<上塗り塗料の固形分組成>
PTFE 50重量%
PFA 40重量%
FEP 10重量%。
【0045】
塗膜が形成されたテストピースについて、上記(1)〜(6)の試験を行った。結果を表1、2に示す。
【0046】
実施例3
下塗り塗料、中塗り塗料、上塗り塗料の固形分組成を下記のように変更した以外は実施例1と同様にして、塗装材料に塗装と加熱処理を行った。
<下塗り塗料の固形分組成>
ポリエーテルスルホン 30重量%
PTFE 20重量%
アルミナ微粒子(平均粒径1μm) 30重量%
シリカ微粒子(平均粒径1μm) 10重量%
チタニア微粒子(平均粒径1μm) 10重量%
<中塗り塗料の固形分組成>
ポリエーテルスルホン 30重量%
PTFE 40重量%
アルミナ微粒子(平均粒径1μm) 20重量%
シリカ微粒子(平均粒径1μm) 5重量%
チタニア微粒子(平均粒径1μm) 5重量%
<上塗り塗料の固形分組成>
PTFE 50重量%
PFA 50重量%。
【0047】
塗膜が形成されたテストピースについて、上記(1)〜(6)の試験を行った。結果を表1、2に示す。
【0048】
実施例4
下塗り塗料、中塗り塗料、上塗り塗料の固形分組成を下記のように変更した以外は実施例1と同様にして、塗装材料に塗装と加熱処理を行った。
<下塗り塗料の固形分組成>
ポリエーテルスルホン 30重量%
PTFE 20重量%
アルミナ微粒子(平均粒径1μm) 30重量%
シリカ微粒子(平均粒径1μm) 10重量%
チタニア微粒子(平均粒径1μm) 10重量%
<中塗り塗料の固形分組成>
ポリエーテルスルホン 30重量%
PTFE 40重量%
アルミナ微粒子(平均粒径1μm) 20重量%
シリカ微粒子(平均粒径1μm) 5重量%
チタニア微粒子(平均粒径1μm) 5重量%
<上塗り塗料の固形分組成>
PTFE 50重量%
PFA 40重量%
FEP 10重量%。
【0049】
塗膜が形成されたテストピースについて、上記(1)〜(6)の試験を行った。結果を表1、2に示す。
【0050】
実施例5
下塗り塗料、中塗り塗料、上塗り塗料の固形分組成を下記のように変更した以外は実施例1と同様にして、塗装材料に塗装と加熱処理を行った。
<下塗り塗料の固形分組成>
ポリエーテルスルホン 30重量%
PTFE 20重量%
炭化ケイ素微粒子(平均粒径1μm)25重量%
チタニア微粒子(平均粒径1μm) 25重量%
<中塗り塗料の固形分組成>
ポリエーテルスルホン 30重量%
PTFE 40重量%
炭化ケイ素微粒子(平均粒径1μm)15重量%
チタニア微粒子(平均粒径1μm) 15重量%
<上塗り塗料の固形分組成>
PTFE 50重量%
PFA 50重量%。
【0051】
塗膜が形成されたテストピースについて、上記(1)〜(6)の試験を行った。結果を表1、2に示す。
【0052】
実施例6
下塗り塗料、中塗り塗料、上塗り塗料の固形分組成を下記のように変更した以外は実施例1と同様にして、塗装材料に塗装と加熱処理を行った。
<下塗り塗料の固形分組成>
ポリエーテルスルホン 30重量%
PTFE 20重量%
炭化ケイ素微粒子(平均粒径1μm)25重量%
チタニア微粒子(平均粒径1μm) 25重量%
<中塗り塗料の固形分組成>
ポリエーテルスルホン 30重量%
PTFE 40重量%
炭化ケイ素微粒子(平均粒径1μm)15重量%
チタニア微粒子(平均粒径1μm) 15重量%
<上塗り塗料の固形分組成>
PTFE 50重量%
PFA 40重量%
FEP 10重量%。
【0053】
塗膜が形成されたテストピースについて、上記(1)〜(6)の試験を行った。結果を表1、2に示す。
【0054】
比較例1
下塗り塗料、中塗り塗料、上塗り塗料の固形分組成を下記のように変更した以外は実施例1と同様にして、塗装材料に塗装と加熱処理を行った。
<下塗り塗料の固形分組成>
ポリエーテルスルホン 80重量%
PTFE 20重量%
<中塗り塗料の固形分組成>
ポリエーテルスルホン 60重量%
PTFE 40重量%
<上塗り塗料の固形分組成>
PTFE 50重量%
PFA 50重量%。
【0055】
塗膜が形成されたテストピースについて、上記(1)〜(6)の試験を行った。結果を表1、2に示す。
【0056】
比較例2
下塗り塗料、中塗り塗料、上塗り塗料の固形分組成を下記のように変更した以外は実施例1と同様にして、塗装材料に塗装と加熱処理を行った。
<下塗り塗料の固形分組成>
ポリエーテルスルホン 50重量%
アルミナ微粒子(平均粒径1μm) 40重量%
シリカ微粒子(平均粒径1μm) 10重量%
<中塗り塗料の固形分組成>
ポリエーテルスルホン 70重量%
アルミナ微粒子(平均粒径1μm) 20重量%
シリカ微粒子(平均粒径1μm) 10重量%
<上塗り塗料の固形分組成>
PTFE 50重量%
PFA 50重量%。
【0057】
塗膜が形成されたテストピースについて、上記(1)〜(6)の試験を行った。結果を表1、2に示す。
【0058】
【表1】
【0059】
【表2】
Claims (7)
- 成形面に、下塗り塗膜層、中塗り塗膜層および上塗り塗膜層を順次形成してなり、該下塗り塗膜層が固形分として無機微粒子を20〜60重量%およびフッ素樹脂を50〜10重量%含有し、該中塗り塗膜層が固形分として無機微粒子を10〜50重量%およびフッ素樹脂を60〜20重量%含有し、該上塗り塗膜層が固形分としてフッ素樹脂を60重量%以上含有してなる金型用部材。
- フッ素樹脂が、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体およびテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体からなる群より選択される少なくとも1種である請求項1に記載の金型用部材。
- 無機微粒子が、アルミナ微粒子、シリカ微粒子、チタニア微粒子および炭化ケイ素微粒子からなる群より選択される少なくとも1種である請求項1または2に記載の金型用部材。
- 無機微粒子の平均粒径が10μm以下である請求項1〜3のいずれかに記載の金型用部材。
- 金型用部材が、ゴム成形金型用部材、樹脂成形金型用部材、プレス金型用部材、インジェクション金型用部材、CD成形金型用部材、DVD成形金型用部材またはMD成形金型用部材である請求項1〜4のいずれかに記載の金型用部材。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の金型用部材を備えてなる金型。
- 金型が、ゴム成形金型、樹脂成形金型、プレス金型、インジェクション金型、CD成形金型、DVD成形金型またはMD成形金型である請求項6に記載の金型。
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