JP2004071340A - 非水電解液及び非水電解質二次電池 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】正極2及び負極3と非水電解質とを具備してなり、更に第4級アンモニウム塩が含まれてなることを特徴とする非水電解質二次電池1を採用する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、非水電解液及び非水電解質二次電池に関するものであり、特に、電力貯蔵装置、電気自動車、屋外UPS等の電源として使用可能な非水電解質二次電池の温度上昇を防止する技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
最近のエネルギー問題、環境問題の高まりを背景に、高性能の非水電解質二次電池の開発が急がれている。種々の非水電解質二次電池のうち、金属酸化物を正極活物質に用い、炭素材料を負極活物質に用いた非水電解質二次電池は、高いエネルギー密度を有する点で最近では最も広く用いられている。
この従来の非水電解質二次電池の電解質には、非水電解液やポリマー電解質等が用いられている。非水電解液はポリマー電解質と比べて一般的にイオン伝導度が高く、高率の充放電が可能であることから、高い放電電流が要求される用途の電源として広く適用されている。非水電解液は、一般に、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネートのような高粘度で高誘電率を示す環状炭酸エステルに、ジメチルカーボネートやジエチルカーボネートのような低粘度で低誘電率を示す鎖状炭酸エステルを混合し、更にLiPF6等の溶質を添加することにより構成されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の非水電解質二次電池では、何らかの原因で正極と負極とが短絡すると、電池の温度が上昇し、これに伴って非水電解液が負極と反応して熱分解を引き起こし、これにより電池温度が更に上昇する可能性があった。
特に、リチウム二次電池が電力貯蔵装置等の電源として使用される場合には、電池サイズを大型化する必要があるが、電池の大型化に伴って電池自体の放熱性が低下するため、熱が電池内部に溜まりやすくなり、短絡時の電池温度の高温化が促進されるおそれがあった。
【0004】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、正、負極同士の短絡が生じた場合でも、電池の温度を比較的低温に維持することが可能な非水電解液及びこの非水電解液(非水電解質)を用いた非水電解質二次電池を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明は以下の構成を採用した。
本発明の非水電解質二次電池は、正極及び負極と非水電解質とを具備してなり、更に第4級アンモニウム塩が含まれてなることを特徴とする。
係る非水電解質二次電池によれば、正極及び負極並びに非水電解質の他に、第4級アンモニウム塩が含まれているため、正極と負極が短絡した場合でも非水電解質と負極との反応が抑制されるので、電池の温度を低く抑えることができる。
【0006】
また本発明の非水電解質二次電池は、先に記載の非水電解質二次電池であり、前記第4級アンモニウム塩の少なくとも一部が前記負極に付着してなることを特徴とする。尚、負極表面に第4級アンモニウム塩からなる皮膜が形成されることが好ましい。この第4級アンモニウム塩は、非水電解質中で解離し、そのうちのカチオンが負極上に吸着して被膜を形成するものと考えられる。
係る非水電解質二次電池によれば、第4級アンモニウム塩の少なくとも一部が負極に付着して被膜が形成されるので、非水電解質と負極との反応が抑制され、電池の温度を低く抑えることができる。
【0007】
また本発明の非水電解質二次電池では、前記第4級アンモニウム塩の少なくとも一部が非水電解質中に含まれていてもよい。
【0008】
また本発明の非水電解質二次電池においては、前記第4級アンモニウム塩として、R4NX(ただし、RはCH3、C2H5、C3H7、C4H9、C5H11のうちのいずれか1種以上のアルキル基であり、XはF、Cl、Br、I、PF6、BF4、N(SO2CF3)3のうちのいずれかである。)で表されるものを用いることが好ましい。また、アルキル基は直鎖のアルキル基であることがより好ましい。更に、第4級アンモニウム塩を構成する陰イオン(上記X)は、非水電解質に添加される溶質(リチウム塩)の陰イオンと同じものであることが好ましい。
特に、第4級アンモニウム塩として、(C2H5)4N(BF4)、(n−C4H9)4NCl、(n−C4H9)4N(N(SO2CF3)3)のいずれかが好ましい。
【0009】
係る非水電解質二次電池によれば、上記の第4級アンモニウム塩を用いることにより、電池の充放電特性に特に影響を及ぼすことなく、電池の温度上昇を少なくすることができる。
【0010】
また本発明の非水電解質二次電池では、前記非水電解質に、環状炭酸エステルまたは鎖状炭酸エステルのいずれか一方または両方が含まれ、更に溶質が含まれることが好ましい。
【0011】
環状炭酸エステルとしては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート等を例示でき、鎖状炭酸エステルとしては、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、メチルイソプロピルカーボネート、エチルブチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、ジイソプロピルカーボネート、ジブチルカーボネート、酢酸エステル等を例示でき、溶質としては、LiPF6、LiBF4、LiAsF6、LiClO4、LiCF3SO3、LiC4F9SO3、LiCF3CO2、Li2C2F4(SO3)2、LiN(CF3SO2)2、LiN(C2F5SO2)2、LiN(CF3SO2)(C4F9SO2)、LiN(RfSO2)2、LiC(RfSO2)3、LiCnF2n+1SO3(n≧2)、LiN(RfOSO2)2[ここでRfはフルオロアルキル基]等のリチウム塩を例示できる。
【0012】
上記の環状炭酸エステルまたは鎖状炭酸エステル並びに上記の溶質を用いることにより、第4級アンモニウム塩を溶解させることができ、電池の温度上昇を少なくすることができる。
【0013】
また本発明の非水電解質二次電池では、前記第4級アンモニウム塩の添加量が、前記非水電解質に対して0.01〜0.1モル/Lの範囲であることが好ましい。
第4級アンモニウム塩の添加量を上記の範囲にすることで、電池の温度上昇の抑制効果を十分に発揮させることができる。
【0014】
次に本発明の非水電解液は、少なくとも第4級アンモニウム塩が含まれてなることを特徴とする。
また本発明の非水電解液は、先に記載の非水電解液であり、前記第4級アンモニウム塩が、R4NX(ただし、RはCH3、C2H5、C3H7、C4H9、C5H11のうちのいずれか1種以上のアルキル基であり、XはF、Cl、Br、I、PF6、BF4、N(SO2CF3)3のうちのいずれかである。)で表されることを特徴とする。
また本発明の非水電解液は、先に記載の非水電解液であり、環状炭酸エステルまたは鎖状炭酸エステルのいずれか一方または両方が含まれ、更に溶質が含まれることを特徴とする。
また本発明の非水電解液は、先に記載の非水電解液であり、前記第4級アンモニウム塩の添加量が0.01〜0.1モル/Lの範囲であることを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1には、本発明の実施形態である非水電解質二次電池の一例を示す。この非水電解質二次電池1は、いわゆる角型と呼ばれるもので、複数の正極電極(正極)2…と、複数の負極電極(負極)3…と、正極電極2と負極電極3との間にそれぞれ配置されたセパレータ4…と、非水電解液(非水電解質)とを主体として構成され、更に第4級アンモニウム塩が添加されてなるものである。
第4級アンモニウム塩は、少なくとも一部が負極電極3の表面に付着した状態で添加されている。また第4級アンモニウム塩の一部が非水電解液(非水電解質)にも含まれる場合がある。
【0016】
正極電極2…、負極電極3…及びセパレータ4…並びに非水電解液は、ステンレス等からなる電池ケース5に収納されている。そして電池ケース5の上部には封口板6が取り付けられている。この封口板6のほぼ中央には電池の内圧上昇を防止する安全弁9が設けられている。また、セパレータ4には、ポリエチレン、ポリプロピレン等の多孔性高分子材料膜、ガラス繊維、各種高分子繊維からなる不織布等が用いられる。
【0017】
正極電極2…の一端には正極タブ12…が形成され、正極タブ12a…の上部には該正極タブ12a…を連結する正極リード12bが取り付けられている。この正極リード12bには、封口板6を貫通する正極端子7が取り付けられている。同様に、負極電極3…の一端には負極タブ13a…が形成され、負極タブ13a…の上部には該負極タブ13a…を連結する負極リード13bが取り付けられている。この負極リード13bには、封口板6を貫通する負極端子8が取り付けられている。上記構成により、正極端子7及び負極端子8から電流を取り出せるようになっている。
【0018】
次に図2に示すように負極電極3は、Cu箔等からなる負極集電体3aと、この負極集電体3a上に成膜された負極電極膜3bとから構成されている。負極集電体3aの一端に前述の負極タブ13aが形成されている。負極電極膜3bは、例えば、リチウムを電気化学的に脱挿入する黒鉛等の負極活物質粉末とポリフッ化ビニリデン等の結着剤とが混合されて形成されている。尚、負極電極膜3bにカーボンブラック等の導電助材粉末が添加される場合もある。
【0019】
負極活物質としては、黒鉛の他に、コークス、熱分解炭素、ガラス状炭素、無定形炭素、黒鉛化炭素繊維、各種高分子材料の焼成体、メソカーボンマイクロピーズ、活性炭等の各種炭素材料を用いることができる。また、比較的低い電位で充放電できるSi,Sn,Inなどの合金あるいは金属酸化物・窒化物などを用いても良い。また、負極電極3の結着剤としては、ポリフッ化ビニリデンの他に、ポリイミド等を用いることができる。
【0020】
また、負極電極3の表面には、第4アンモニウム塩の少なくとも一部が付着している。第4級アンモニウム塩は、非水電解液中で解離してカチオンを生成し、このカチオンが主に負極活物質の表面に吸着されて皮膜を形成しているものと考えられる。
負極活物質の表面に被膜が形成されることで、非水電解液と負極活物質との直接的な接触が少なくなり、非水電解液が高温になった場合でも負極表面での非水電解液の分解反応が抑制され、電池の温度上昇を抑えることができる。
【0021】
正極電極2は、例えばAl箔等からなる正極集電体(集電体)2aと、正極集電体2a上に成膜された正極電極膜(電極膜)2bとから構成されている。正極集電体2aの一端に前述の正極タブ12aが突出して形成されている。正極電極膜2bは、正極活物質粉末と導電助材粉末と結着剤とが混合されて膜状に成形されている。
【0022】
正極活物質粉末としては、リチウムを電気化学的に脱挿入できるものが好ましく、例えば、マンガン酸リチウム、コバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム、鉄酸リチウム、酸化バナジウム、バナジン酸リチウム等を使用できる。また、従来から非水電解質二次電池の正極活物質として知られているものを用いてもよい。また、導電助材粉末としては、例えば、カーボンブラック、アセチレンブラック、黒鉛、炭素繊維等の炭素質材料を用いることができる。更に結着剤としては、例えば、ポリフッ化ビニリデンや、ポリ4フッ化エチレン、ポリイミド、スチレンブタジエンゴム等を用いることができる。
更に正極電極膜2bにポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリイミダゾール等の導電性高分子材料を添加しても良い。これらの導電性高分子材料は電気化学的に安定であり、しかも電子伝導性に優れているため、正極電極膜2bの内部抵抗を低減する効果がある。
尚、正極集電体2aとしては、金属箔、金属網、エキスパンドメタル等を用いることができ、またこれらの材質はAlの他、Ti、ステンレス等でもよい。
【0023】
そして図2に示すように、正極電極層2bと負極電極層3bがセパレータ4を介して対向している。なお、図2においては説明を簡略にするために、各集電体2a、3aの片面に各電極膜2b、3bを成膜した形態を示しているが、各電極膜2b、3bを各集電体2a、3aの両面に成膜してもよいのはもちろんである。
【0024】
次に非水電解液(非水電解質)は、環状炭酸エステルまたは鎖状炭酸エステルのいずれか一方または両方が含まれ、更に溶質が含まれて構成されている。特に、環状炭酸エステル及び鎖状炭酸エステルの両方が混合されたものに、溶質が溶解されてなるものが好ましい。
更に、非水電解液中に第4級アンモニウム塩の一部が解離した状態で含まれる場合もある。
【0025】
環状炭酸エステルとしては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート等を例示できる。また鎖状炭酸エステルとしては、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、メチルイソプロピルカーボネート、エチルブチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、ジイソプロピルカーボネート、ジブチルカーボネート、酢酸エステル等を例示できる。
尚、環状炭酸エステル及び鎖状炭酸エステルは上記に列挙したものに限らず、溶質及び第4級アンモニウム塩を解離できるものであれば、どのようなものでも用いることができる。
更に、1,2−ジメトキシエタン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等のエーテル類を用いても良い。
【0026】
また、溶質としては、LiPF6、LiBF4、LiAsF6、LiClO4、LiCF3SO3、LiC4F9SO3、LiCF3CO2、Li2C2F4(SO3)2、LiN(CF3SO2)2、LiN(C2F5SO2)2、LiN(CF3SO2)(C4F9SO2)、LiN(RfSO2)2、LiC(RfSO2)3、LiCnF2n+1SO3(n≧2)、LiN(RfOSO2)2[ここでRfはフルオロアルキル基]等のリチウム塩を例示できる。
【0027】
更に、上記の非水電解液に代えて、固体電解質(非水電解質)を用いることもできる。固体電解質としては、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリフッ化ビニリデン、ポリアクリロニトリル等の高分子マトリックスに上記非水電解液を含浸させてなるゲル電解質等を例示できる。また、固体電解質を用いる場合は、セパレータ4を省略してもよい。
【0028】
第4級アンモニウム塩としては、R4NX(ただし、RはCH3、C2H5、C3H7、C4H9、C5H11のうちのいずれか1種以上のアルキル基であり、XはF、Cl、Br、I、PF6、BF4、N(SO2CF3)3のうちのいずれかである。)で表されるものを用いることが好ましい。また、アルキル基は直鎖のアルキル基であることがより好ましい。更に、第4級アンモニウム塩を構成する陰イオン(上記X)は、非水電解液に添加される溶質(リチウム塩)の陰イオンと同種のものが好ましい。
特に、第4級アンモニウム塩として、(C2H5)4N(BF4)、(n−C4H9)4NCl、(n−C4H9)4N(N(SO2CF3)3)のいずれかが好ましい。
【0029】
上記に示す第4級アンモニウム塩は、いずれも本実施形態の非水電解液に溶解できるものであり、電池の充放電特性に特に影響を及ぼすことなく、電池の温度上昇を少なくすることができる。
【0030】
また第4級アンモニウム塩の添加量は、非水電解液に対して0.01〜0.1モル/Lの範囲に対応する量とするのが好ましい。第4級アンモニウム塩の添加量を上記の範囲に設定することで、電池の温度上昇の抑制効果を十分に発揮させることができる。
尚、第4級アンモニウム塩の添加量が0.01モル/L未満では電池の温度上昇の抑制効果が不十分になるので好ましくなく、また、0.1モル/Lを超えて添加しても、一部が非水電解液に溶けきらずに析出し、被膜形成に関与しなくなるので、添加量に見合う効果が得られない。
【0031】
尚、本実施形態の非水電解質二次電池1は、非水電解液に第4級アンモニウム塩を添加すること以外は従来の非水電解質二次電池の製造方法とほぼ同じ手順で製造される。
即ち、例えば、図1に示した電池ケース5に、正極電極2…と負極電極3…とセパレータ4…とを積層した状態で収納し、更に封口板6を載せて正極リード12b及び負極リード13bをそれぞれ封口板5bの正極端子7及び負極端子8に接続する。そして、電池ケース5と封口板6をレーザー溶接等で接合する。
【0032】
次に、封口板5bに備えた図示略の注液口から、予め第4級アンモニウム塩を添加した非水電解液を注液した後に注液口を封止する。その後、数回の充放電を行って電池の活性化を行うことで、本実施形態の非水電解質二次電池1が得られる。
尚、第4級アンモニウム塩は、非水電解液に添加されたときに4級アルキルアンモニウムイオンと陰イオンとに解離し、初回の充電時に4級アルキルアンモニウムイオンの少なくとも一部が負極表面に移動して被膜を形成する。一度形成された被膜は、その後に充放電を繰り返したとしても安定に存在し、破壊されることがない。
【0033】
また、第4級アンモニウム塩を予め添加した前処理用の非水電解液を用意し、この非水電解液に負極を浸積し、金属リチウムからなる対極との間でリチウムの挿入・脱離反応を行わせることで、負極表面に第4級アンモニウム塩からなる被膜を形成してもよい。
この場合、被膜を形成させた負極電極に、セパレート及び正極電極を積層した状態で、これらを電池容器に収納し、第4級アンモニウム塩が無添加の非水電解液を注液することで、非水電解質二次電池が製造される。
【0034】
上記の非水電解質二次電池によれば、第4級アンモニウム塩が負極表面で被膜を形成し、この被膜によって非水電解液の分解が抑えられるので、正極と負極が短絡した場合でも非水電解質と負極との分解反応が抑制され、電池の温度を低く抑えることができる。
【0035】
【実施例】
(実験例1)
天然黒鉛とポリフッ化ビニリデンを質量比95:5の割合で混合し、更にNMP(N−メチルピロリドン)を添加してスラリーとし、このスラリーを銅箔に塗布して乾燥し、更にプレスすることにより、天然黒鉛95質量%、ポリフッ化ビニリデン5質量%を含む炭素電極(負極)を製造した。尚、炭素電極の大きさは、直径1.6mm,銅箔を除く厚さ約0.2mmの平面視略円盤状のものとした。
また、直径1.6mm,厚さ0.2mmの金属リチウム箔からなる対極(正極)を用意した。
【0036】
炭素電極と対極との間に多孔性ポリプロピレンからなるセパレータを配置して,更に非水電解液を注液し,図3に示すようなコイン型電池を製作した。非水電解液には、エチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)の混合溶媒に対してLiPF6を1モル/Lの濃度となるように添加し、更に(C2H5)4NBF4を0.05モル/Lの濃度となるように添加したものを用いた。ECとDMCの体積比はEC:DMC=1:1とした。
このようにして、実施例1のコイン型電池を製造した。
尚、図3において、符号11は電池ケース、符号12は電池ケースと嵌合する封口板、符号13は炭素電極(負極)、符号14は金属リチウムからなる対極(正極)、符号15はガラスウール濾紙、符号16はセパレータ、符号17は電池ケース11と封口板12の間に配置されるガスケットである。
【0037】
次に、(C2H5)4NBF4を添加しないこと以外は上記の実施例1と同様にして、比較例1のコイン型電池を製造した。
【0038】
実施例1及び比較例1のコイン型電池について、充放電電流密度0.2mA/cm2、0.01V〜1.0V(vs.Li)の電圧の範囲で充放電を繰り返し行い、5回目の放電容量を測定した。
また、充放電を合計で20回行った後、テストセルを分解して負極電極と非水電解液を取り出し、非水電解液の共存下で負極電極のDSC測定(示差走査熱量測定)を100〜200℃の範囲で行い、非水電解液の分解による発熱量を調べた。
【0039】
その結果、放電容量については、実施例1、比較例1のテストセル間で大きな差はなく、双方とも負極活物質当たり300mAh/gの放電容量を得た。
また、発熱量については、実施例1、比較例1ともに、270℃付近のDSC曲線上に吸熱ピークが確認され、この吸熱ピークの面積から発熱量をそれぞれ求めたところ、実施例1が280J/gを示し、比較例1が560J/gを示した。
【0040】
上記結果から明らかなように、放電容量に関しては第4級アンモニウム塩の添加の有無による差は見られず、0.05モル/L程度の添加では、電池性能にほとんど影響しないことがわかる。
また、発熱量については、実施例1の方が比較例1より少なくなっており、(C2H5)4NBF4の添加によって非水電解液と負極との反応に伴う発熱量を低減できることが分かる。
【0041】
(実験例2)
炭酸リチウムと四酸化三コバルトを3:2のモル比で混合・粉砕して混合物とし、次にこの混合物を500℃で5時間の仮焼成を行った後に更に850℃で24時間の本焼成を行うことにより、LiCoO2を得た。尚、粉末X線回折よりLiCoO2であることを確認した。
LiCoO2とアセチレンブラック(AB)とポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を重量比70:25:5で混合し、更にNMPを添加してスラリーとし、このスラリーをアルミニウム箔に塗布して乾燥し、更にプレスすることにより、LiCoO2を70質量%、ABを25質量%、PTFEを5質量%含む正極電極を製造した。尚、正極電極の大きさは、直径1.6mm、アルミニウム箔を除く厚さが約2.5mmの平面視略円盤状のものとした。
【0042】
また、天然黒鉛とポリフッ化ビニリデンを質量比95:5の割合で混合し、更にNMP(N−メチルピロリドン)を添加してスラリーとし、このスラリーを銅箔に塗布して乾燥し、更にプレスすることにより、天然黒鉛95質量%、ポリフッ化ビニリデン5質量%の組成の負極電極を製造した。尚、負極電極の大きさは、直径1.6mm、銅箔を除く厚さ約0.2mmの平面視略円盤状のものとした。
【0043】
正極電極と負極電極との間に多孔性ポリプロピレンからなるセパレータを配置して、非水電解液を注液し,図3に示すようなコイン型電池を製作した。非水電解液には、ECとDMCの混合溶媒に対してLiPF6を1モル/Lの濃度となるように添加し、更に(C2H5)4NBF4を0.05モル/Lの濃度となるように添加したものを用いた。ECとDMCの体積比はEC:DMC=1:1とした。このようにして、実施例2のコイン型電池を製造した。
【0044】
次に、(C2H5)4NBF4を添加しないこと以外は上記の実施例2と同様にして、比較例2のコイン型電池を製造した。
【0045】
実施例2及び比較例2のコイン型電池について、充放電電流密度0.2mA/cm2、の定電流で3.5V〜4.2Vの電圧範囲で充放電を繰り返し行い、5回目の放電容量を測定した。
【0046】
その結果、実施例2、比較例2のコイン型電池間で放電容量に大きな差はなく、双方とも負極活物質当たり300mAh/gの放電容量を得られた。
上記結果から明らかなように、第4級アンモニウム塩の添加の有無による放電容量の差は見られず、0.05モル/L程度の添加では、電池性能にほとんど影響しないことがわかる。
【0047】
(実験例3)
マンガン酸リチウムの合成には、出発原料として炭酸リチウムと二酸化マンガンを用いた。これらの出発原料を十分に粉砕してからLi/Mn=1/2(原子比)となるように混合し、酸素雰囲気中850℃で焼成することにより、平均粒径15μmのLiMn2O4なる組成のマンガン酸リチウム粉末を得た。このマンガン酸リチウム90重量部に対し、導電助材としてカーボンブラックを10重量部添加して混合物とし、この混合物に、予めポリフッ化ビニリデンを溶解させたNMP(N−メチルピロリドン)を混合してスラリーとし、このスラリーをアルミニウム箔に塗布して乾燥し、更にプレスすることにより、正極電極膜を形成した。このようにして、正極活物質が82質量%、カーボンブラックが9質量%、ポリフッ化ビニリデンが9質量%の組成の正極電極を製造した。
【0048】
次に、天然黒鉛に、予めポリフッ化ビニリデンを溶解させたNMP(N−メチルピロリドン)を混合してスラリーとし、このスラリーを銅箔に塗布して乾燥し、更にプレスすることにより、負極電極膜を形成した。このようにして、天然黒鉛が90質量%、ポリフッ化ビニリデンが10質量%の組成の負極電極を製造した。
【0049】
正極電極と負極電極との間に多孔質ポリプロピレン製のセパレータを配置して筒状に巻回し、これを電池容器に収納し、更に非水電解液を注液し、最後に封口することにより、直径18mm、高さ650mmの円筒形の非水電解質二次電池を製造した。尚、非水電解液には、ECとDMCの混合溶媒に対してLiPF6を1モル/Lの濃度となるように添加し、更に第4級アンモニウム塩を0.05モル/Lの濃度となるように添加したものを用いた。ECとDMCの体積比はEC:DMC=1:2とした。
【0050】
得られた非水電解質二次電池に対して5回の充放電を行って満充電状態とし、この電池に対して直径2mm、長さ50mmの釘を打ち込むことによって釘刺し試験を行い、電池表面の最高到達温度を測定した。結果を表1に示す。尚、表1には、添加した第4級アンモニウム塩の組成式を合わせて示す。
【0051】
【表1】
【0052】
表1に示すように、塩素(Cl)並びに臭素(Br)を含むアンモニウム塩を用いた場合(試料1〜10の電池)では、電池温度がいずれも100℃以下に抑えられていることが分かる。一方、第4級アンモニウム塩を添加しなかった試料11の電池では、電池温度が300℃を超える結果となり、電池温度の上昇を防止できていないことが分かる。
【0053】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明の非水電解質二次電池によれば、正極及び負極並びに非水電解質の他に、第4級アンモニウム塩が含まれているため、正極と負極が短絡した場合でも非水電解質と負極との反応が抑制されるので、電池の温度を低く抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態である非水電解質二次電池の一例を示す斜視図である。
【図2】図1に示す非水電解質二次電池の要部を示す斜視図である。
【図3】実施例で用いたコイン型電池を示す断面模式図である。
【符号の説明】
1 非水電解質二次電池
2 正極電極(正極)
2a 正極集電体
2b 正極電極膜
3 負極電極(負極)
3a 負極集電体
3b 負極電極膜
4 セパレータ
5 電池ケース
6 封口板
Claims (10)
- 正極及び負極と非水電解質とを具備してなり、更に第4級アンモニウム塩が含まれてなることを特徴とする非水電解質二次電池。
- 前記第4級アンモニウム塩の少なくとも一部が前記負極に付着してなることを特徴とする請求項1に記載の非水電解質二次電池。
- 前記第4級アンモニウム塩の少なくとも一部が非水電解質に含まれてなることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の非水電解質二次電池。
- 前記第4級アンモニウム塩が、R4NX(ただし、RはCH3、C2H5、C3H7、C4H9、C5H11のうちのいずれか1種以上のアルキル基であり、XはF、Cl、Br、I、PF6、BF4、N(SO2CF3)3のうちのいずれかである。)で表されることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の非水電解質二次電池。
- 前記非水電解質に、環状炭酸エステルまたは鎖状炭酸エステルのいずれか一方または両方が含まれ、更に溶質が含まれることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の非水電解質二次電池。
- 前記非水電解質に対する前記第4級アンモニウム塩の添加量が、0.01〜0.1モル/Lの範囲であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の非水電解質二次電池。
- 少なくとも第4級アンモニウム塩が含まれてなることを特徴とする非水電解液。
- 前記第4級アンモニウム塩が、R4NX(ただし、RはCH3、C2H5、C3H7、C4H9、C5H11のうちのいずれか1種以上のアルキル基であり、XはF、Cl、Br、I、PF6、BF4、N(SO2CF3)3のうちのいずれかである。)で表されることを特徴とする請求項7に記載の非水電解液。
- 環状炭酸エステルまたは鎖状炭酸エステルのいずれか一方または両方が含まれ、更に溶質が含まれることを特徴とする請求項7または請求項8に記載の非水電解液。
- 前記第4級アンモニウム塩の添加量が0.01〜0.1モル/Lの範囲であることを特徴とする請求項7乃至請求項9のいずれかに記載の非水電解液。
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-
2002
- 2002-08-06 JP JP2002228740A patent/JP2004071340A/ja active Pending
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