JP2004070496A - 座標入力装置、座標値処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】絶対座標、相対座標を出力する座標入力装置において、操作性を改善する。
【解決手段】連続的に座標を算出しているかを判定する判定手段と、前述連続期間中に最初に有効となる座標値を記憶する記憶手段と、それ以降前述連続期間中に検出される座標値と前記記憶された座標値の差分値を導出して、出力する手段を有する。
【選択図】 図8
【解決手段】連続的に座標を算出しているかを判定する判定手段と、前述連続期間中に最初に有効となる座標値を記憶する記憶手段と、それ以降前述連続期間中に検出される座標値と前記記憶された座標値の差分値を導出して、出力する手段を有する。
【選択図】 図8
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、表示システムと組み合わせて使用することにより、入出力一体の装置を構成することができる座標入力装置に関する。より詳しくは、ディスプレイの画面に指示具等によって直接座標を入力することにより、外部接続されたコンピュータを制御したり、文字や図形などを書き込むために用いられる座標入力装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、あるいはプロジェクター等の表示装置の表示面に、座標を入力することができる座標入力装置を重ねて配置し、操作者が行ったポインティング、或いは筆記による筆跡をディスプレイに表示し、あたかも、紙と鉛筆のような関係を実現することができる装置が知られている。座標入力装置としては、抵抗膜方式をはじめ、静電方式、ガラス等の座標入力面に超音波を伝播させる超音波方式等、透明な入力板を有するものや、光学式、あるいは空中に音波を放射することで位置を検出する方式、さらには電磁誘導(電磁授受)方式の様に、表示装置の裏側に座標算出のための機構を配置し、表示装置の前面に透明な保護板を配置して、入出力一体の情報機器を構成している物も有る。
【0003】
この様な機器は、携帯性を有する小型の電子手帳に始まって、ペン入力コンピュータ等、表示デバイスの大型化に伴って、比較的大きなサイズの情報機器も見られるようになった他、フロントプロジェクタ、リアプロジェクタ、あるいはPDP等の大型の表示装置と組み合わせて、例えばプレゼンテーション装置、TV会議システム等に利用され始めている。この大型の液晶ディスプレイやPDPディスプレイは、現在も画質の改善、低コスト化が進められている他、衛星放送等のデジタル化に伴い、テレビの仕様形態も過渡期の状態に入りつつある。
【0004】
また、これらの大型表示装置は、例えばオフィスにおいて使われていたホワイトボード、あるいは電子黒板にとって変わり、パソコン内にあらかじめ用意した資料用データを大画面ディスプレイに表示させることで、会議用途、打ち合わせ用途に使われ始めている。その場合、表示用ディスプレイに表示された情報は、ホワイトボードの如く、操作者、あるいは出席者により表示情報を更新するために、直接画面をタッチすることで、パソコンを制御して、例えば表示スクリーンの表示内容を切り替えることができるように構成されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この種の座標入力装置において、抵抗膜方式、静電方式等の座標入力装置は、完全に透明な入力板を構成することが困難であり、表示装置の画像の質を低下させると言う問題が生じる。さらには、ガラス等の伝播体を必要とする超音波方式では、例えば室内で用いる際の蛍光灯の映りこみを防止するために、そのガラスの表面を光学的に処理する必要があり、画像の画質を維持すると言う点で大幅なコストアップが避けられない。また電磁誘導方式は、表示面の裏側にマトリックス上の電極を配置し、入力ペンとの間で電磁的な信号の送受を行うので、表示装置が大型化し装置の厚みが増すと、原理的に座標算出が困難なものとなる上に、会議用途、あるいはプレゼン用途といった大型の座標入力装置を構成する場合には、非常にコストの高い装置となってしまう欠点を有する。
【0006】
また、大型の表示システムを採用した場合には、大勢の聴衆が鑑賞することが想定され、画像の視野角、あるいはコントラスト等は十分な性能が要求される。従って、これらの大型表示システムと座標入力措置を組み合わせる場合には、十分な低コストで精度良く座標算出が可能となるばかりでなく、表示装置の画質を劣化させないと言うことが重要な要件となる。
【0007】
さらには、この種の大型の入出力一体のシステムを考慮した場合、大勢の参加者を想定した打ち合わせ、あるいはネットワーク時代を考慮すれば、操作者が直接画面をタッチすることでパソコンを制御し、操作者が必要な情報を適宜表示したりする事ができる構成は、操作者(プレゼン発表者)にとって、操作性という観点で優位である。また大勢の参加者である聞き手は、操作者が直接画面の情報を操作することで、操作者の指示ポイント、操作者の表情やジェスチャー等の情報を、画面に表示されている情報と共に同時に得られるので、より理解を深める事が可能となる。しかしながらこの種の大型の表示装置に操作者が指示等のアクションを行えば、操作者の移動にともない画面の情報がさえぎられ、特にフロントプロジェクタ、OHP等の投射タイプの表示装置を採用しているシステムでは、画像が大きく歪むことになるので、見難いと言う観点で大きな障害となり得る。
【0008】
こうした光路をさえぎる等の不都合を解消する方法として、操作者が指示具を用いて、その場においてマウス的な動作(絶対座標でなく、相対座標で例えばカーソルを移動する動作)を実行する事で、現状のカーソル位置から所望の位置にカーソルを移動させていく方法がある。この相対座標を入力する方法について詳述すれば、操作者による動作によって、ある時点において例えば座標値(X1、Y1)を検出したと仮定し、その後、指示具を移動させて座標値(X2、Y2)を座標入力装置が検出したとすれば、その移動量は(ΔX、ΔY)である(ΔX=X2−X1、ΔY=Y2−Y1)。この移動量(ΔX、ΔY)分を、現状の任意のカーソル位置からの移動量としてカーソルを移動させれば、操作者の意図(方向とその移動距離が指示具の移動方向と移動量に等しい)に応じてカーソルを移動させる事ができる。つまり大画面の所定位置に直接指示具を位置せしめなくても、操作者がその場にいて、カーソルを所定位置に移動させる事が可能となるのである。
【0009】
もちろん座標入力装置としては、画面を直接タッチする事で文字入力、描画(あたかも紙と鉛筆の様な関係で、指示具を移動させる事でそのエコーバックとしてその移動個所に筆跡が残る構成)、あるいはアイコンをダブルクリックする等の動作によるコマンド生成は重要な機能で有る。つまり、この種のシステムにおいては、絶対座標を出力する動作モードは必須であり、上述した相対的な動作と両立させる事は重要な課題である。このモードを切り替える方法としては、種々の構成が開示されており、例えば特開平4−299724に示されるように表示領域を分割して絶対座標を入力できる領域と相対座標を入力できる領域に分割する方法や、特開平5−298014、或いは特開平10−333817に示されるように相対/絶対座標入力切替手段を設ける方法、アプリケーションに応じて自動的に切り替える方法が開示されている。さらには特開平10−149253に示されるように絶対座標に対するオフセット値を設定する方法や、指示具の移動速度に応じて座標を処理する方法が開示されている。
【0010】
領域を分割、或いはアプリケーションに応じてモードを切り替える方法は、表示領域内の座標検出を前提とし、検出された座標をどの様に処理するかを開示するものであり、例えば相対座標を検出する事ができる領域の領域内に絶対的なポイント指示を行おうとする場合には、設定される領域を再度設定しなおし、その所望のポイント位置の領域を絶対座標検出のための領域に設定しなければならず、無論、アプリケーションによる方法であっても何らかの設定が必要であり、操作が非常にわずらわしい。さらには、切替手段を有する構成、特定操作によってオフセット量を設定する方法は、用途に応じていちいち切替等の特定の動作が発生し、操作性に優れると言う観点で十分な構成とは言いがたい。また指示具の移動速度に基づき座標を処理する方法に有っては、カーソルの大移動を小さな手元動作で実現する事ができる手段であるが、文字を入力したり図形を描くと言う観点で、非常に扱い難い仕様であるといわざるを得ない。
【0011】
一方、この種の大型の入出力一体のシステムを考慮した場合、大勢の参加者を想定した打ち合わせ、あるいはネットワーク時代を考慮すれば、上述したような操作者が直接画面をタッチしたりすることでパソコンを制御するばかりでなく、例えば画面を見ながら発表内容を聞いている会議参加者が、質問、或いは反論のための証拠資料を開示できるように、画面から離れた位置においても、画面を操作したり、必要に応じてネットワークより情報を引き出せるような構成になるのが好ましい形態であると言える。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本願発明は次のような構成からなる。
【0013】
表示装置の表示画面に、指示具であるところの座標入力ペンを操作することによって、表示情報を制御、あるいは情報を追記する事ができる装置の、前記指示具の空間(3次元)位置座標を検出することができる座標入力装置であって、該座標入力装置の座標系を前記表示装置の表示面をXY平面、表示面の垂線方向をZ軸と定義すれば、座標入力装置が検出した座標値(x、y、z)のz軸座標値に基づき、その値が所定値以上であれば、残り2軸の(x、y)座標値を所定の座標値との差分として出力する様に動作する。さらには、検出されたz座標値が前述所定値以下と判定した場合には、検出した(x、y)座標値が表示領域の領域内にあるかをさらに判定し、領域内にある場合には検出した座標値(x、y)を確定値としてそのまま出力する。また領域外と判定した場合には、検出した座標値(x、y)と所定の座標値との差分値として出力する様に動作する。さらには、上記判定結果に基づき出力される座標値が絶対座標なのか相対座標なのかを識別するモード情報を出力する様に構成する。さらには、前述所定の座標値とは、座標入力装置の座標サンプリングレート(単位時間あたりに何点の座標を出力することができるかを示す座標入力装置の能力)に基づき座標算出タイミングを監視することで判定する事が可能となる連続的に座標入力が行われている間の最初に有効となった座標値であって、それ以降、その期間内に検出された座標値と前述所定の座標値との差分を出力する様に構成したものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
【実施例】
図1は本実施例に於ける3次元(空間)座標検出可能な座標入力装置の概略構成を示すものである。図中4は筆記具であるところの座標入力ペンであって、操作者による座標入力動作により空中に音波を発生するように構成されている。発生した音波は複数の検出センサ3(本実施例の場合、4個の検出センサ3_Sa〜Sdを使用する)により検出され、後述する方法により信号波形検出回路2で処理された後、演算制御回路1によって、筆記具4の発信源位置座標(X,Y)を算出するように構成されている。演算制御回路1は装置全体を制御するとともに、得られる座標データを基に、ディスプレイ駆動回路7を介して、ディスプレイ6に表示されているカーソルを移動したり、あるいは筆記等の手書き情報をディスプレイ6に表示、追記できるように構成されている。以上のように、座標入力装置と表示装置を組み合わせることで、あたかも『紙と鉛筆』の様な関係を実現することができるマンマシンインターフェースを提供することが可能となる。
【0015】
以下、図面に基づき、本願発明の詳細を説明する。
【0016】
まず図2を用いて、座標入力ペン4の構成について、その概略を説明する。座標入力ペン4内に内蔵された音波発生源43は、ペン電源46、およびタイマと発振回路、並びに座標入力ペン4に具備されている複数のスイッチ情報を検知して制御する制御回路等で構成された駆動回路45によって駆動される。音波発生源43の駆動信号は、タイマによって発せられる所定の周期で繰り返すパルス信号であって、発振回路により所定のゲインで増幅された後、音波発生源43に印可される。この電気的な駆動信号は音波発生源43によって機械的な振動に変換され、空中にそのエネルーギーを放射することになるが、その一方で、前述音波の放射タイミングと同期した信号を、LED等の発光手段44より出力する。
【0017】
なお本実施例における座標入力ペン4は、筆記具であるところのペン先端部を押圧することで動作するペン先スイッチ(SW)41、並びに座標入力ペン4の筐体に設けられた複数のペンサイドスイッチ(SW)42を具備する。
【0018】
さて、所定周期毎(例えば10msec毎、その場合、1秒間あたりに音波を100回放射するので、本座標入力装置の座標出力サンプリングレートは、100回/秒となる)に駆動回路45は、座標入力ペン4内の音波発生源43を駆動させる信号を出力し、空中に音波とタイミング信号であるところの光信号を放射することになるが、音波は音源と各検出センサ3_Sa〜Sd迄の距離に各々応じて遅延し、到達、検出されることになる。この種の座標入力装置は、座標入力ペン4の音波発信源と各検出センサ3間の距離を、音波の既知の音速と、その到達時間の積により各々導出し、各検出センサの位置情報を用いて幾何学的に前述音波発信源の位置情報を得ることを基本としたシステムである。
【0019】
そこで、この音波の到達時間を検出する方法についてまず説明する。
【0020】
図3は到達時間検出方法を説明するためのタイミングチャートであり、図4はそれを実現するための回路ブロック図である。符号101は座標入力ペン4内の駆動回路45で発生した駆動信号であり、駆動信号101を発生するとともにスタート信号を生成するために赤外LED等の発光手段44から光信号を放出する。この光信号は受光素子5(図1参照)によって受光され、信号波形検出回路内2内の制御信号検出回路211で復調され、振動入力ペンからの音波の放射タイミングをマイクロコンピュータ301に出力して、演算制御回路1内のタイマ303をスタートさせる。一方、空中に放射された音波は、前述音波発生源43と検出センサ3間の距離に応じて遅延し、検出センサ3で検出されることになる。符号102は前置き増幅回路201で所定レベルまで増幅された検出センサ3で検出された検出信号を示す。この信号を絶対値回路及び、低域通過フィルタ等により構成されるエンベロープ検出回路203で処理をし、検出信号のエンベロープ103のみが取り出される。
【0021】
このエンベロープに着目すると、その波形が伝播する音速は群速度Vgであり、このエンベロープの特異な点、例えばエンベロープのピークやエンベロープの変曲点を検出すると、群速度Vgに関わる遅延時間tgが得られる。エンベロープのピーク、あるいは変曲点を検出するエンベロープ特異点検出回路206は微分回路、ゼロクロスコンパレータを用いて容易に検出が可能であり、本実施例では2階微分することによって信号106を形成し、閾値レベル104と信号103で比較されたゲート信号105を参照してエンベロープの変曲点を検出する(信号107)。この信号107を用いて前述したスタート信号により動作しているタイマ303をストップさせれば、群速度Vgに関わる群遅延時間Tgを検出することが可能となる(厳密に言えば、この群遅延時間Tgには、波形処理に関わる回路の遅延分が含まれるが、後述する方法により、その影響は完全に除去される。よって、ここでは説明を簡略化するために、回路遅延時間は無いものとして説明を加える)。従って、音波発生源43と検出センサ3間の距離Lは次式で求めることができる。
【0022】
L=Vg×Tg (1)
一方、より高精度な距離検出を行うための方法について説明すれば、検出センサ3の出力信号103は、帯域通過フィルタ208により余分な周波数成分を除いた後、Tp信号検出回路209に入力される。Tp信号検出回路209は、ゼロクロスコンパレータ、マルチバイブレータ等で構成され、帯域通過フィルタ208によって出力された信号のゼロクロス点に関わる信号109をまず生成し、ゲート信号105の発生期間内において、帯域通過フィルター208で出力される信号波形の位相が、例えば負側から正側にクロスする最初のゼロクロス点を出力する信号110を生成する。同様にして、この信号110を用いて前述したスタート信号により動作しているタイマ303をストップさせれば、位相速度Vpに関わる位相延時間Tpを検出することが可能である(同様に、この群遅延時間Tpには、波形処理に関わる回路の遅延分が含まれるが、後述する方法により、その影響は完全に除去される。よって、ここでは説明を簡略化するために、回路遅延時間は無いものとして説明を加える)。
【0023】
さてここで、エンベロープ検出回路203に基づきゲート信号発生回路205で生成するゲート信号105を用いた場合の留意点について説明する。
【0024】
検出センサ3によって検出される信号レベルは、次の要因によって変動する。1)音波発生源43、検出センサ3の電気−機械変換効率
2)音波発生源43と検出センサ3間の距離
3)音波が伝播する空中の温度、湿度等の環境変動
4)音波発生源43の音波放射に関する指向性、並びに検出センサ3の感度指向性
項目1は、部品公差により発生する要因であり、装置を大量生産する場合には十分な留意が必要である。また項目2は音波の減衰に関する項目であり、音波発生源43と検出センサ3間の距離が大きくなるにつれて、空気中を伝播する音波の信号レベルは指数関数的に減衰することが一般的によく知られている他、その減衰定数も項目3による環境で変化する。さらには、本願発明は座標入力装置として動作するので、筆記具であるところの座標入力ペン4は、操作者による筆記動作で常にその姿勢が変化、つまりペン保持角度が変動することによって音波発信源の音波放射特性(指向性)に起因する検出信号レベルの変動が存在する。さらには、検出センサ3の感度指向性により、座標入力ペン4と検出センサ3の成す角度が変動しても、やはり検出レベルが変動する。この時、例えば検出レベルがより小さくなったと仮定した場合には、前述した閾値レベル(符号104)が固定であるために、ゲート信号発生期間は短くなり(信号111)、例えば信号110であったものが、信号レベルの低下により信号112に変化することは十分に有り得る現象となる。この時信号110と信号112の時間的な差は、信号108の位相周期の整数倍(図示の場合には1周期に相当)であるので、この位相遅延時間Tpを用いて距離を求める式は波の波長λp(=Vp×T=Vp/f:fは周波数)、整数nを用いて次の様になる。
【0025】
L=Vp×Tp+n×λp (2)
しかしながら、式(1)(2)より整数nを求める事は可能であり
n=Int[(Vg×Tg−Vp×Tp)/λp+0.5] (3)
よってこの整数nの値を式(2)に代入する事で、距離Lの導出が高精度に可能となる。
【0026】
図5は本実施例の演算制御回路1の概略構成を示すブロック図で、各構成要素及びその動作概略を以下に説明する。図中301は演算制御回路1及び本座標入力装置全体を制御するマイクロコンピュータであり、内部カウンタ、操作手順を記憶したROM、そして計算等に使用するRAM、定数等を記憶する不揮発性メモリ等によって構成されている。前述した通り、駆動回路44により座標入力ペン4内の音波発生源43の駆動タイミングと同期したスタート信号が、座標入力ペン4に内蔵された赤外LED等により光信号として放射され、その信号を制御信号検出回路211で検波することによって、演算制御回路1内のタイマ303(例えばカウンタなどにより構成されている)をスタートさせる。このように構成することで、座標入力ペン4内の音波発生源43を駆動する駆動タイミングと、演算制御回路1内の例えばタイマとの同期が得られるので、音波発生源43で発生した音波が、音波発生源43から各検出センサ3各々に到達するのに要する時間を測定することが可能となる。
【0027】
信号波形検出回路2より出力される各振動センサ3_Sa〜3_Sdよりの振動到達タイミング信号(符号107の信号、さらにはより高精度な検出を可能とする符号110の信号)は、検出信号入力ポート306を介してラッチ回路304(304_aはTg信号、304_bはTp信号を処理するものとする)に各々入力される。ラッチ回路304_a〜304_bの各々は、対応するセンサよりのタイミング信号を受信すると、その時のタイマ303の計時値をラッチする。この様にして座標検出に必要な全ての検出信号の受信がなされたことを判定回路305が判定すると、マイクロコンピュータ301にその旨の信号を出力する。マイクロコンピュータ301がこの判定回路305からの信号を受信すると、ラッチ回路304_a〜304_bから各々の振動センサまでの振動到達時間をラッチ回路より読み取り、所定の計算を行なって、座標入力ペン4の座標位置を算出することになる(図中、センサ1個分のラッチ回路しか示されていないが、センサの数に応じたラッチ回路が適宜配置されている)。この得られた座標値(絶対座標値)を後述する方法で処理した結果を、I/Oポート307を介してディスプレイ駆動回路7に出力し、ディスプレイ6の対応する位置に、例えばドット等を表示することができる様に構成した。またI/Oポート307を介してインターフェース回路に、座標位置情報を出力することによって、外部機器に座標値を出力することができる様に構成したものである。
【0028】
以上述べた実施例において、検出された時間には、音波発生源43と各検出センサ3まで音波が到達する時間に加えて、回路等による電気的な処理時間も含まれる。従って、ここでは、音波が伝播する時間以外に余分に計測される時間を除去する方法について説明する。前記ラッチ回路によってラッチされた群遅延時間Tg、もしくは位相遅延時間Tpには、各々群回路遅延時間etg、位相回路遅延時間etpを含む。この回路遅延時間は、時間計測毎に同一の値を必ず含む。そこで、ある計測回路によって、音波発生源43と検出センサ3間を伝播する際に計測された時間をt*、その計測回路における回路遅延時間をe、実際に音波が音波発生源43と検出センサ3間を伝播したのに要した時間をtとすれば、
t*=t+e (3)
一方、音波発生源43と検出センサ3間の距離が既知の距離Liniにおける時間計測値をtini*とし、その計測回路における回路遅延時間をe、実際に音波が伝播した時間をtiniとすれば、
tini*=tini+e (4)
よって
t*−tini*=t−tini (5)
今、音波の音速をVとすれば、
V×(t*−tini*)=V×(t−tini)
=V×t−Lini (6)
よって求めるべき任意の音波発生源43と検出センサ3間の距離Lは
L=V×t=V×(t*−tini*)+Lini (7)
上記、既知の距離Lini、及びその距離における時間計測値tini*(群遅延時間Tgini*、もしくは位相遅延時間Tpini*の両者)を、出荷時等に不揮発性メモリ等に記憶することによって、任意の距離における音波発生源43と検出センサ3間の距離を精度良く算出することが可能となる。
【0029】
さて今、図6の様な座標系に検出センサ3_Sa〜3_Sdが配置された時、音波発生源43の位置座標(x、y、z)を求める方法について説明する。上記の方法により正確に求められた振動発生源43と各検出センサ3までの距離を各々La〜Ld、X方向の検出センサ間距離をXs−s、Y方向の検出センサ間距離をYs−sとすれば、
【外1】
【0030】
同様にして
【外2】
【0031】
以上示したように少なくとも3個の振動発生源43と検出センサ3までの距離が測定できれば、容易に音波発生源43の位置座標を求めることが可能となる。本願発明の実施例では、検出センサを4個用いており、例えば、距離が最も遠い情報を使わず(この場合、検出センサ3で出力される信号は、距離が遠いために信号レベルが最も小さくなっている)、残り3個の距離情報のみで、座標を算出することで、信頼性の高い座標算出を可能としている。また、この距離が遠いセンサの情報を活用することで、出力された座標値の信頼性が高いものか判定することも可能である。具体的方法としては、例えば、距離情報La、Lb、Lcで算出された座標値と、距離情報Lb、Lc、Ldで算出された座標値は同一の値を出力するはずであり(距離情報の組み合わせを変更して演算する)、両者が一致しない場合には、いずれかの距離情報が不正、つまり誤検出したことになるので、その場合には、座標値を出力しない、と言った信頼性を向上させる構成も実施可能となる。
【0032】
次に本座標入力装置の動作モードについて説明する。再び図2を用いて説明すれば、指示具であるところの座標入力ペン4は、ペン先SW41、及び2個のペンサイドSW42_a、42_bを具備してなり、各SW(スイッチ)の動作モードについて図12、図7を用いて説明を加える。
【0033】
操作者が、座標入力ペン4を握って座標入力面を押圧することで、ペン先SW41が動作する(ステップS402)。この時、所定周期で駆動回路45により音波発生源43が動作し、所定周期で音波が空中に放射されるように動作する(ペンダウン状態、S406)。この時検出された座標値が、表示領域内の座標値(図6においてx<±Disp_X、y<±Disp_Yの範囲)であれば、通常の紙と鉛筆の様な関係で、指示具4の移動に伴なう軌跡が、表示画面上に出力される事になる。一方、ペン先SW41が動作しているのに、検出された座標値が表示領域外である時には、例えば操作者の手によって無意識のうちにペン先SWが動作してしまっている状態が想定されるので、この場合には、座標出力を禁止するように構成されている。同様にペン先SWが動作している状態は、指示具により座標入力面である表示面を押圧する状態であるから、この時検出されるZ軸座標値は、ほぼ『0』であるはずであり、『0』とならない場合には、やはり操作者による誤操作が想定されるので、この場合も座標出力を禁止するように構成する。
【0034】
一方、ペン先SW41がオフ状態の場合は、操作者により座標入力面を押圧する事で筆記動作している状態にはなっていない。しかしながら、座標入力面近傍、或いは座標入力面であるところの表示ディスプレイから離れた位置で、さらにはディスプレイの表示領域の外側で、例えば表示されているカーソルを移動したり、アイコンをダブルクリック等して、所望の画面操作ができることは非常に利点が大きいい。そのため、ペンサイドSW42のどちらか一方を押圧する(ステップS403〜ステップS405)ことで、音波が空中に放射されるように動作し、カーソルの移動等を可能にする(ペンアップ状態、ステップS407)。また、ペンサイドSW43の両方を押圧する(ステップS403〜ステップS405)ことで、ペン先SW41が動作していなくても、ペンダウン状態となるように構成している(ステップS406)。このペンアップ/ペンダウンを判別する方法としては、前述したスタートタイミング信号(本実施例の場合、スタートタイミング信号を座標入力ペンに内蔵されたLED等により光信号として放射する手段を有する)に重畳させて、制御信号検出回路211で検波する事により、演算制御回路1のその情報を検出力しても良い。さらには、状態に応じて、例えば放射する音波の周波数を変更し、それを検波することで、モードを判定することも可能である。
【0035】
一方、図2に示すように、ペンサイドSW42_aと42_bの両者は、座標入力ペンの断面方向において、約90度方向に配置され、操作者が握ったときに、右利き、左利き関係なく、その一方に親指が、その他方に人差し指が自然に触れるような位置に設定される。そのようにスイッチを配置することと、どちらか一方のみのSWがONすることによって設定される同一の動作モード(本願実施例の場合、ペンアップ状態)と、両者がともにONされる状態のみで動作する動作モード(同様にペンダウン状態)を設定することで、利き腕に関係なく、使い勝手の良い座標入力ペン4を構成している。
【0036】
このペンサイドSWの他の実施例としては、1つのスイッチで2段階の切り替えをするスイッチも有効である。つまり、軽押圧の場合に1段目のスイッチが動作し(ペンアップ状態)、さらに押圧することで2段目のスイッチが動作(ペンダウン状態)する構成であって、この場合も同一のペンで、利き腕に関係なく、使い勝手の良い座標入力ペン4を実現することが可能となる。
【0037】
さて、ペンサイドSWを動作させることで、ディスプレイ6の表示面から離れた位置で座標を入力し、カーソルを移動(ペンアップ状態)したり、あるいは筆記(ペンダウン状態)できる方法について説明したが、この様な場合(直接ディスプレイ6の表面に接触はしていない、ペン先SW41が動作していない状態)において、ディスプレイ6の表示面上、あるいは表示面の近傍(表示面の近くの空中にあって、ペン先SWが動作していない状態)で動作させる場合と、表示面から離れた位置、或いは表示領域の外側で座標入力動作をさせる場合とでは操作上、要求される仕様が異なる。
【0038】
まず、前者の場合、座標入力ペン4を移動することで、例えば表示されているカーソルを直感的に、しかもダイレクトに所望の位置に正確に移動することが要求される。しかし後者の場合においては、例えば表示されているカーソルを所望の位置に移動させるためには、座標入力ペンの移動に応じて、カーソルを相対的に移動させることが要求される。つまり操作者が、大型のディスプレイを使ってプレゼンをしようとする場合、直接画面をタッチ(座標入力)することで、表示情報を制御したり、情報(文字、図形)等を筆記することができる(紙と鉛筆の関係)手段であるとともに、単に情報を指し示す場合に有っては、操作者がその場に行って指し示すのではなく、離れた場所、言い換えれば聞き手側からみて表示されている情報が操作者によって隠されることが無い状態で、所望の画面制御や情報の追加ができるのが好ましい。さらには、この種の大型の入出力一体のシステムを考慮して大勢の参加者を想定した打ち合わせ考えれば、上述したような操作者が直接画面をタッチしたりすることでパソコンを制御するばかりでなく、例えば画面を見ながら発表内容を聞いている会議参加者が、質問、或いは反論のための証拠資料を開示できるように、画面から離れた位置においても、画面を操作したり、必要に応じてネットワークより情報を引き出せるような構成になるのが好ましい形態であると言える。
【0039】
本願発明は、この点を鑑みなされたものであり、本願発明の座標入力装置は、検出された座標値(x、y、z)を基に、その座標値をどのような形態で出力するかを判定する手段を有する。さらには、前述検出された座標値(x、y、z)の情報と、指示具4のスイッチ状態の情報を組み合わせて、座標出力の形態、あるいは出力制御を行うように構成する。
【0040】
具体的に図8を用いて説明すれば、ステップS501にて処理を開始することになるが、ステップS502で座標演算に必要な信号が各検出センサ3、もしくは、スタート信号を受信したかを判定して、有効と判定した場合には、ステップS503で座標入力ペン4の位置座標(x、y、z)を導出する。次に、演算された位置座標(x、y、z)を基に、まずZ軸の値が0、つまり指示具4が座標入力面上に位置して、座標入力が行われたのかを判定する(ステップS505)。仮にZ=0ならばステップs506にて検出された(x、y)座標が表示領域の領域内にあるかを判定し、領域内に有れば、検出された座標値(x、y)を確定値として外部機器等に出力する(ステップS509)。また検出された座標値(x、y)が表示領域の領域外にあると判定された時には、何らかの誤操作によって座標入力が行われたものとして、検出した座標値の出力を中止して処理を修了する。図8のフローチャートには直接は示さないが、例えば指示具4のペン先sw41の情報をスタート信号である光信号に重畳させ、制御信号検出回路211で制御信号として復調すれば、このペン先SW41の情報を用いて、座標算出の信頼性を増すことも可能である。つまりペン先スイッチが動作した状態は、座標入力面であるところの表示領域を押圧してスイッチが動作するのが通常であり、ペン先SW41が動作しているにも関わらず、Z軸の検出値がZ=0とならない場合には、やはり何らかの誤操作によって座標入力が行われたものとして、検出した座標値の出力を中止することが可能となり、誤動作防止と言う観点で、より信頼性の高い構成が得られるようになる(図12参照)。
【0041】
一方、検出された座標値がZ=0でない場合には、ステップS507にてあらかじめ設定された所定値1と比較され、所定値1よりZ軸の値が小さい場合(この場合、指示具4は座標入力面であるところの表示面近傍、あるいは比較的近い位置に位置していると判断できる)、ステップS508で検出された座標値(x、y)が表示領域の領域内にあるかを判定し、領域内あるときはステップS509にて検出された座標値(x、y)をそのまま出力する。この状態は、操作者が比較的表示面に近いところで指示具を操作している状態で、指示具の4の移動動作に伴ない、カーソルを移動したり、文字、図形等の情報を追記したりして、表示情報を制御している状態となる。一方ステップS508にて表示領域内に無いと判定した場合は、操作者は表示面近傍かつ表示領域の脇ににあって、聞き手に対して表示情報をさえぎることなく、表示内容を制御しながらプレゼンテーションしている状態を想定でき、指示具4の動作によりカーソルを相対的に移動できるように構成する。この相対的にカーソルを移動する方法について説明を続ければ、操作者は比較的表示機に近い位置にあって、しかも表示機の脇に位置していると判断されたので、検出された座標値の少なくともx軸、y軸の値を所定の座標値(X1st、Y1st)として記憶する(ステップS510)。次にステップS511にて座標が連続的に入力されているかを判定する。この『連続的に入力されているか』という定義は、この種の座標入力装置は例えば座標出力を50回/秒(座標サンプリングレート)行えるものとすれば、0.02msec毎に座標出力が行われるのであって、この周期を計測することで、連続的に座標入力が行われているかを判定することができる。本願発明の座標入力装置に有っては、例えば制御信号検出回路211のスタート信号(図4参照)の発生タイミングを監視(この場合、サンプリングレートを50回/秒とすれば、0.02秒毎にスタート信号が発生する)しても良いし、直接超音波信号(例えば図3における信号102)の到達間隔(この場合は、指示具4の移動を伴って指示具4とセンサ3の距離が絶えず変化するので、サンプリングレートに基づく時間(サンプリングレートを50回/秒とすれば0.02秒)に距離変化に伴なう音波の伝達時間の差が増減される。従って『約0.02秒程度』の周期(理論的には0〜0.04秒の範囲内に必ず信号が受信される)と言う表現になり、実用上0.02秒以内におけるペンの最大移動量を鑑み、例えば0.03秒以内に信号が受信できたときには連続して座標入力が行われていると判定する)を監視することで実現する。
【0042】
さて、ステップS511にて座標が連続的に入力されていると判定された場合には、ステップS512にて位置座標(x,y、z)を算出し、前述ステップS510にて記憶した所定の座標値(X1st、Y1st)との差分を計算して相対座標(ΔX、ΔY)を導出し、出力する(ステップS513)。その後ふたたびステップS508に戻って、連続入力中かを判定し、連続入力が終了すると、動作を終了する。
【0043】
この時、出力される座標値が絶対座標(x、y)であるか、座標値(Δx,Δy)であるのかを区別するために、別途、その情報を確定座標値と共に出力する構成であってもかまわない。
【0044】
さてステップs507にてステップS502で検出された座標値(x、y、z)があらかじめ設定された所定値1より大きい場合について考えてみる。この状態は指示具4が座標入力面であるところの表示面からZ軸方向に離れた位置にあることを意味、つまりプレゼンテーションを行っている操作者が、表示機よりかなり離れた位置にいるか、もしくはプレゼンテーションを聞いている聞き手によって座標入力が行われたものと想定できる。つまり、遠隔操作によって、表示情報を制御したり、文字、図形等の追記を行おうとしている状態であると言える。
【0045】
この画面から離れた状態について考察してみると、比較的離れた距離が小さい場合(近接入力)、表示面であるところのディスプレイ6と座標入力ペン4のZ軸方向の値は、比較的小さな値であり、座標入力ペン4を移動することで、例えば表示されているカーソルを直感的に、しかもダイレクトに所望の位置に移動することが可能である。もちろん、所望の位置に対するカーソルの位置ずれは、直接ディスプレイ6の表示面に入力する場合(ペン先SW41がON状態)に比べ大きくなるが、十分実用の範囲と言うことができる。しかしながら、表示機との距離が大きくなる(Zの値が大きくなる)につれて、所望の位置に対するカーソルの位置ずれは大きくなり、直感的にダイレクトに所望の位置を指し示す事ができなくなる。つまり離れた位置でカーソルを移動しようとする場合、所望の位置を指し示したと思って指示具4のペンサイドSWを動作させて座標を入力する事になるが、得られた座標値に基づくカーソルの位置は、前述の所望の位置とは異なり、カーソルの位置を視認しながら、操作者が指示具を移動させることによって、所望の位置へカーソルを移動することができるようになる。
【0046】
言い換えれば、遠隔入力(表示装置から離れた位置で座標を入力し、例えばカーソルを移動させる動作)の場合は、操作者による視覚情報に基づき操作者の脳が補正動作を行う(指示具4を移動させる)ループを繰り返して、目的を達成することになるのであって、ダイレクトに所望の位置を指し示すことは困難なのである。
【0047】
この様に、表示装置等に表示されている画像情報(XY平面上に座標系を有する画像情報)に対して、何らかの遠隔入力操作を行おうとする場合、操作者が一連の座標入力を行おうとする際の最初の1点目の座標値と前述の画像情報の座標値は、一致させることができない。このことは、例えばOHP等により表示されている表示画像を指示する道具としてレーザポインタが普及しているが、やはりレーザ発光時の最初の1点目は、どこを指示するか解らず、指示されたポイント位置を見ながら、位置修正動作をして所望の位置にレーザを照射することができる様になることを考えれば明らかである。
【0048】
そこで本願発明では、ステップS507にてz軸の値が所定値以上である場合(遠隔入力)には、まず最初に有効となる座標値を所定座標値(X1st、Y1st)として記憶し(この時、現状映し出されているカーソルの位置は移動しない)、連続入力期間中の指示具4の移動に伴ない、その方向と移動量分だけカーソルが移動するように動作させることで、遠隔操作の場合であっても、優れた操作性を実現できるように構成した。ここで最初に有効となる座標値とは、座標入力装置の検出方法によっては、入力の開始時の座標値の信頼性が低いものがあり、例えば3個目の座標検出値から座標出力する(最初の2点の座標は出力しない)仕様のものも有り、この場合は3個目の座標値を記憶する事になる。
【0049】
図9は表示機と座標入力有効な領域を示すものであり、図8のフローチャートで切り替えられる座標出力モードの範囲を示している。表示領域に比較的近い位置にあって、検出された(x、y)座標が表示領域内にあるときに、ダイレクトに座標を入力できる絶対座標を出力し、聞き手の視野をさえぎらない表示機の脇、或いは遠隔操作を行う場合には、相対座標を出力する様に構成したことを示している。
【0050】
さらに遠隔操作の場合を考えると、直接画面をタッチする事でダイレクトに座標を入力する場合には、大型表示機であることを考慮すれば、画面の端から端までカーソルを移動しようとすると、必ず体の移動を伴なう。しかしながら遠隔操作の場合には、例えば質問者が起立をしてその場で質問するのが通常(大勢の聞き手がいる場合は、必然的に移動は困難)であり、体を移動せずその場において全領域を指し示す事ができることが望まれる。本願構成は、この点についても解決するものであり、図10(A)を用いて説明すれば、相対座標出力範囲(図9参照)において、大勢の聞き手に対して、大画面を有するディスプレイを用いて操作者がプレゼンテーションをしようとしている場面を想定する。カーソルの位置を図面上▲1▼の位置から▲3▼の位置へ移動しようとした場合、従来では座標指示具であるところのペンを▲3▼の位置に持っていって、その位置で座標入力を行えば、カーソルは▲1▼の位置から▲3▼の位置に移動することになる(この場合、操作者は▲3▼の位置を指す事ができる位置にいる)。しかしながら、▲1▼の位置で作業した後(操作者は▲1▼の位置近傍にいる)、▲3▼の位置へ移動しようとする場合には、画面を横断するように操作者が移動するので、多くの聞き手にとっては情報を遮られ、プレゼンの内容理解に支障をきたす。特に大型表示装置がフロントプロジェクション、OHP(投射型の表示装置)等の場合には、その画像が大きく歪むのでなお更である。それに対し操作者が表示装置の脇にあって、カーソルが▲1▼の位置にあったと仮定する。操作者がAに位置指示具4を配置し、ペンサイドSW42の少なくともどちらか一方を動作させることで、指示具4からは音波が放射され、指示具4の位置座標を検出することになる。この時、指示具4は表示画面の表示領域外、或いは表示機より離れた位置(Z>所定値1)にあるので、最初に検出された位置座標は記憶され(図8ステップS510)、カーソルは▲1▼の位置から移動することはない。引き続き、操作者がペンサイドSW42を動作させて、連続的に座標を検出するように動作させ、指示具4をBの位置に移動させた後、ペンサイドSW42の動作をOFFさせたとする。そうすると、操作者の指示具4の移動動作(地点AからBへの移動)にともない、その移動方向と移動距離応じた量だけ、カーソルが▲1▼の位置から▲2▼の位置へ移動することになる。さらに操作者は、指示具4をBの位置からCの位置へ、ペンサイドSW42をOFF状態で移動させた後(この時カーソルは▲2▼の位置で動かない)、ペンサイドSW42の少なくともどちらか一方を動作させて指示具4をDの位置へ移動すれば、ペンサイドSW42が動作して最初に検出された座標値がステップS510にて再度記憶され、その後に検出された座標値と記憶された座標値の差分量だけカーソルが移動して、操作者の指示具4の移動動作(地点CからDへの移動)にともない、その移動方向と移動距離応じた量だけ、カーソルが▲2▼の位置から▲3▼の位置へ移動することになる。
【0051】
以上説明したように、操作者は入力面であるところの表示面から離れた位置、或いは表示機から離れた位置に有っても、現状のカーソルの位置から、スムーズに所望の位置にカーソルを移動することが可能となるばかりでなく、その座標入力が連続して行われている一連の間は、座標入力ペンのX方向の移動量、Y方向の移動量は、カーソルの移動量と1対1に対応しているので、文字や図形を入力したりすることができる優れた効果も得られる。つまり文字を入力しようとする場合、図10(B)を用いて説明すれば、所望の位置へまずカーソルを移動し(ペンサイドSWのどちらか一方を動作させる▲1▼→▲2▼:ペンアップ)、その後ペンサイドSWの両者を動作させてペンダウン状態として、指示具4の移動動作に伴い、その移動方向と移動量に応じた軌跡が画面上に残る(▲2▼→▲3▼)。その後一方のペンサイドSWをOFFして(残りの一方はまだ動作中であり、連続的に座標が算出されている状態は維持されている;ペンアップ状態)所望の位置へカーソルを移動し(▲3▼→▲4▼)、OFFしたペンサイドSWを再び動作させることで、カーソルが移動した地点から再び軌跡が入力されることになるのである(▲4▼→▲5▼)。操作者は、カーソルを視認ながら指示具の移動動作により最初の▲2▼の位置まではカーソルを移動する必要があるが、その後の『い』と言う文字の筆記には、カーソルを視認しなくても指示具4の絶対的な移動量、つまり直感的な手、腕の操作で文字入力が行えるのである。つまり、連続入力期間中の最初の有効な座標値を基準とすることで、その連続期間中に出力される座標は相対的になるが、操作者からみれば、その期間中はカーソルの移動量と手、腕の動作が対応しており、あたかも空間に座標入力面があるが如く、直感的な入力動作で文字入力動作を実現することができる優れた効果を有する。
【0052】
この様に、操作者は自然な動作によって表示情報を制御したり、文字、図形等の情報を追記することが可能であり、また多くの聞き手にとっては、表示情報が遮られること無く、操作者である話し手の意図する内容を効率良く理解することが可能となるのである。さらには本願発明は、大画面を有するシステムの使い勝手を考慮し、絶対座標を出力するモードと相対座標を出力するモードが、算出される座標値によって自動的に切り替わるので、操作者にとって特別な動作(例えば、座標入力装置の出力モードをスイッチ手段等により切り替える)を必要とせず、プレゼンテーションに集中できるという優れた操作環境を提供することが可能となる。
【0053】
また本願発明は、相対座標を出力する状態にあって、検出した座標値との差分を得るための所定の座標値(X1st、Y1st)を、連続入力期間中に最初に有効となる座標値と定義している。この理由を詳述すれば、操作者にとって表示領域近傍においては表示領域の境界を認識するのは容易であるが、表示領域から離れるに従ってこの認識はあいまいなものになる。さらにはZ軸方向の所定値1の値は、操作者が設定可能な数値であってかまわないが、その数値を認識していたとしても、実際の境界を区別するのは困難に近い。一方最初に座標を入力する事によって、操作者が絶対座標の形態で出力が行われているのか、相対座標の形態で出力が行われているのかを認識するのは、例えば指示具4の位置とカーソル位置の関係で容易に理解できる。しかしながら、例えば出力形態が変更となる境界付近で動作させた場合、モードの切替動作が多発すると、出力形態の変更が多発し、操作者にとって扱い難い仕様となってしまう。そこで本願発明では、指示具4から放射されるスタート信号の周期を監視して、連続的に座標入力が行われているのかを判定し、連続入力期間に最初に有効となった座標値を基準座標値とし、連続入力期間中、それ以降に算出された座標値と基準座標値との差分を出力する様に構成したので、ペンサイドsw42のいずれかが(もしくはペン先SW41)動作している限りは、この基準座標が保持され、たとえ切替領域の近傍での座標入力動作であっても、操作者にとっての座標系、及び絶対なのか相対なのかが連続座標入力期間中固定されるので、操作性の良い座標入力装置を構成する事ができる優れた利点を有する。
【0054】
言い換えれば、操作者はまず座標を1点入力する事によって、その座要出力形態を知る事が可能であり、それ以降連続して座標入力動作を行っている間は、そのモードが固定されるので、操作者はそれ以降モード切替のための境界を意識する必要がないのである。
【0055】
さらには、本願発明の座標入力装置が、座標値、または座標モード情報(絶対座標なのか相対座標なのかを示す情報)を外部機器等に出力することを開示るが、絶対座標値のみを出力する座標入力装置であって、その出力結果を受け取るたとえばパーソナルコンピュータ側で、その受け取った座標値と座標値を受け取ったタイミング(連続的に座標入力が行われているか否かを判定する)を監視することで、図8に示すような構成を実現しても同様の効果が得られることは明らかである。
【0056】
また、本願発明の座標入力装置は、超音波を利用して発信源の位置座標を検出するものであるが、この方式に限定されるものでなく、光学式等の他の座標検出方法にも適用できることは言うまでもない。
【0057】
さて本願発明を実施する上で、絶対座標を出力するか、相対座標を出力するかの判定は、検出された座標値に基づき、表示機からの距離、及び表示装置の表示領域内にあるか否かで判定している。従って、本座標入力装置の座標系において、表示領域がどの範囲に有るかを設定できることが好ましい。特に表示装置にフロントプロジェクタを用いた場合には、会議毎に設置の仕方が異なることを考慮すると、表示サイズは常に一定とはならない(フロントプロジェクタの表示サイズはその投射距離に依存する)ので、表示領域を設定する手段が必須となる。もちろん固定された表示画面(例えばリアプロジェクタやプラズマディスプレイ等)を有するシステムであっても、座標入力装置と表示装置の座標系を一致させるのは、組み立て時においてコスト的に不利な調整工程が必要であり、座標入力装置と表示装置を組み合わせた後に、表示領域を設定できるように構成するのは、製造上の利点も大きい。また上述したように、座標入力装置の出力が絶対座標のみであって、その出力を受け取った例えばパーソナルコンピュータが、動作モードを判定する方法にあっては、やはり表示装置が固定されているとは限らないので、パーソナルコンピュータに表示領域を知らしめる手段が必要となる。
【0058】
図11は、この点を鑑みなされた構成であって、表示領域を設定する手順を示すものである。まず定数contを1に設定し、表示領域の隅部において座標を検出する(ステップS603、S604)。この動作を4回繰り返し(ステップS602〜ステップS605)、表示領域の4隅部の座標入力装置の出力座標を記憶する。この様にして、座標入力装置の座標系における表示領域の4隅部の座標値が得られるので、例えば左上隅のx座標値と左下隅部のx座標値を平均化した値を、左側のx方向の境界値と定義したり、あるいは4隅を結んだ4角形の領域を定義して、座標出力形態を決定する条件式とすることが可能となる。また本願発明の実施例では表示領域の4隅部の座標値を記憶する事で、表示領域を導出しているが、これに限定されるものではなく、例えば隅部の3箇所の座標値であってもよく、或いは境界領域をなぞる事で4辺の座標値を検出し、その情報から境界領域を設定しても良い。
【0059】
【発明の効果】
以上説明したように、主に表示装置に重ねて配置した座標入力装置の座標処理方法であって、座標入力ペンの位置座標(x、y、z)データに基づき、表示機からの距離、及び設定されている表示装置の表示領域の内外を判定する事によって、座標入力装置の座標出力モードを設定できるようにしたので、操作者が表示画面上の入力面を直接タッチすることで座標を入力した際には、あたかも紙と鉛筆のような関係で、文字や図形を表示画面上に追記することや、表示画面上に表示されている所定のアイコンをクリック、あるいはダブルクリックすることによって、表示情報を制御したり、あるいは表示装置をコントロールしているたとえばパーソナルコンピュータに特定の動作をするように作用させることができる。さらに、操作者が表示領域の外側、あるいは遠隔操作を行おうとした場合にも、表示面から離れたところで、同様な操作ができるように、座標入力装置の座標出力形態を変更する様に構成したので、操作者である話し手は、このモードの切り替えを意識することなく、話の内容に集中して効率の良いプレゼンテーションが可能となる他、聞き手にとっては、操作者により画面を遮られることが無いので、話し手の内容を画面情報と共に効率良く理解することができる優れた効果が得られるようになった。さらには、モードを切り替える境界領域の近傍であっても、連続入力動作を行っている間は基準となる座標値が固定される、つまり操作者にとって指示具4の位置関係と座標入力装置の座標系、及び出力形態が固定されるので、遠隔操作、或いは表示機の脇で座標を入力する場合であっても、文字や図形を容易に入力する事ができ、また出力形態を座標値に基づき切り替える処理形態を有する場合には、切替領域の近傍での座標入力動作であっても、操作者にとっての座標系、及び絶対なのか相対なのかが連続座標入力期間中固定されるので、操作性の良い座標入力装置を構成する事ができる優れた利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】概略構成図
【図2】座標入力ペン4のブロック図
【図3】信号処理のタイミングチャート
【図4】信号処理のブロック図
【図5】演算制御回路1のブロック図
【図6】座標系を説明する説明図
【図7】ペンSWの動作を説明するフローチャート
【図8】座標出力モードを説明するフローチャート
【図9】表示装置と座標出力形態の範囲を説明する説明図
【図10】操作の一例を示す説明図
【図11】表示領域設定を説明するフローチャート
【図12】各SW(スイッチ)の動作モードに関する表
【符号の説明】
1 演算制御回路
2 信号波形検出回路
3 検出センサ
4 座標入力ペン
6 表示ディスプレイ
41 ペン先SW
42 ペンサイドSW
43 音波発生源
【発明の属する技術分野】
本発明は、表示システムと組み合わせて使用することにより、入出力一体の装置を構成することができる座標入力装置に関する。より詳しくは、ディスプレイの画面に指示具等によって直接座標を入力することにより、外部接続されたコンピュータを制御したり、文字や図形などを書き込むために用いられる座標入力装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、あるいはプロジェクター等の表示装置の表示面に、座標を入力することができる座標入力装置を重ねて配置し、操作者が行ったポインティング、或いは筆記による筆跡をディスプレイに表示し、あたかも、紙と鉛筆のような関係を実現することができる装置が知られている。座標入力装置としては、抵抗膜方式をはじめ、静電方式、ガラス等の座標入力面に超音波を伝播させる超音波方式等、透明な入力板を有するものや、光学式、あるいは空中に音波を放射することで位置を検出する方式、さらには電磁誘導(電磁授受)方式の様に、表示装置の裏側に座標算出のための機構を配置し、表示装置の前面に透明な保護板を配置して、入出力一体の情報機器を構成している物も有る。
【0003】
この様な機器は、携帯性を有する小型の電子手帳に始まって、ペン入力コンピュータ等、表示デバイスの大型化に伴って、比較的大きなサイズの情報機器も見られるようになった他、フロントプロジェクタ、リアプロジェクタ、あるいはPDP等の大型の表示装置と組み合わせて、例えばプレゼンテーション装置、TV会議システム等に利用され始めている。この大型の液晶ディスプレイやPDPディスプレイは、現在も画質の改善、低コスト化が進められている他、衛星放送等のデジタル化に伴い、テレビの仕様形態も過渡期の状態に入りつつある。
【0004】
また、これらの大型表示装置は、例えばオフィスにおいて使われていたホワイトボード、あるいは電子黒板にとって変わり、パソコン内にあらかじめ用意した資料用データを大画面ディスプレイに表示させることで、会議用途、打ち合わせ用途に使われ始めている。その場合、表示用ディスプレイに表示された情報は、ホワイトボードの如く、操作者、あるいは出席者により表示情報を更新するために、直接画面をタッチすることで、パソコンを制御して、例えば表示スクリーンの表示内容を切り替えることができるように構成されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この種の座標入力装置において、抵抗膜方式、静電方式等の座標入力装置は、完全に透明な入力板を構成することが困難であり、表示装置の画像の質を低下させると言う問題が生じる。さらには、ガラス等の伝播体を必要とする超音波方式では、例えば室内で用いる際の蛍光灯の映りこみを防止するために、そのガラスの表面を光学的に処理する必要があり、画像の画質を維持すると言う点で大幅なコストアップが避けられない。また電磁誘導方式は、表示面の裏側にマトリックス上の電極を配置し、入力ペンとの間で電磁的な信号の送受を行うので、表示装置が大型化し装置の厚みが増すと、原理的に座標算出が困難なものとなる上に、会議用途、あるいはプレゼン用途といった大型の座標入力装置を構成する場合には、非常にコストの高い装置となってしまう欠点を有する。
【0006】
また、大型の表示システムを採用した場合には、大勢の聴衆が鑑賞することが想定され、画像の視野角、あるいはコントラスト等は十分な性能が要求される。従って、これらの大型表示システムと座標入力措置を組み合わせる場合には、十分な低コストで精度良く座標算出が可能となるばかりでなく、表示装置の画質を劣化させないと言うことが重要な要件となる。
【0007】
さらには、この種の大型の入出力一体のシステムを考慮した場合、大勢の参加者を想定した打ち合わせ、あるいはネットワーク時代を考慮すれば、操作者が直接画面をタッチすることでパソコンを制御し、操作者が必要な情報を適宜表示したりする事ができる構成は、操作者(プレゼン発表者)にとって、操作性という観点で優位である。また大勢の参加者である聞き手は、操作者が直接画面の情報を操作することで、操作者の指示ポイント、操作者の表情やジェスチャー等の情報を、画面に表示されている情報と共に同時に得られるので、より理解を深める事が可能となる。しかしながらこの種の大型の表示装置に操作者が指示等のアクションを行えば、操作者の移動にともない画面の情報がさえぎられ、特にフロントプロジェクタ、OHP等の投射タイプの表示装置を採用しているシステムでは、画像が大きく歪むことになるので、見難いと言う観点で大きな障害となり得る。
【0008】
こうした光路をさえぎる等の不都合を解消する方法として、操作者が指示具を用いて、その場においてマウス的な動作(絶対座標でなく、相対座標で例えばカーソルを移動する動作)を実行する事で、現状のカーソル位置から所望の位置にカーソルを移動させていく方法がある。この相対座標を入力する方法について詳述すれば、操作者による動作によって、ある時点において例えば座標値(X1、Y1)を検出したと仮定し、その後、指示具を移動させて座標値(X2、Y2)を座標入力装置が検出したとすれば、その移動量は(ΔX、ΔY)である(ΔX=X2−X1、ΔY=Y2−Y1)。この移動量(ΔX、ΔY)分を、現状の任意のカーソル位置からの移動量としてカーソルを移動させれば、操作者の意図(方向とその移動距離が指示具の移動方向と移動量に等しい)に応じてカーソルを移動させる事ができる。つまり大画面の所定位置に直接指示具を位置せしめなくても、操作者がその場にいて、カーソルを所定位置に移動させる事が可能となるのである。
【0009】
もちろん座標入力装置としては、画面を直接タッチする事で文字入力、描画(あたかも紙と鉛筆の様な関係で、指示具を移動させる事でそのエコーバックとしてその移動個所に筆跡が残る構成)、あるいはアイコンをダブルクリックする等の動作によるコマンド生成は重要な機能で有る。つまり、この種のシステムにおいては、絶対座標を出力する動作モードは必須であり、上述した相対的な動作と両立させる事は重要な課題である。このモードを切り替える方法としては、種々の構成が開示されており、例えば特開平4−299724に示されるように表示領域を分割して絶対座標を入力できる領域と相対座標を入力できる領域に分割する方法や、特開平5−298014、或いは特開平10−333817に示されるように相対/絶対座標入力切替手段を設ける方法、アプリケーションに応じて自動的に切り替える方法が開示されている。さらには特開平10−149253に示されるように絶対座標に対するオフセット値を設定する方法や、指示具の移動速度に応じて座標を処理する方法が開示されている。
【0010】
領域を分割、或いはアプリケーションに応じてモードを切り替える方法は、表示領域内の座標検出を前提とし、検出された座標をどの様に処理するかを開示するものであり、例えば相対座標を検出する事ができる領域の領域内に絶対的なポイント指示を行おうとする場合には、設定される領域を再度設定しなおし、その所望のポイント位置の領域を絶対座標検出のための領域に設定しなければならず、無論、アプリケーションによる方法であっても何らかの設定が必要であり、操作が非常にわずらわしい。さらには、切替手段を有する構成、特定操作によってオフセット量を設定する方法は、用途に応じていちいち切替等の特定の動作が発生し、操作性に優れると言う観点で十分な構成とは言いがたい。また指示具の移動速度に基づき座標を処理する方法に有っては、カーソルの大移動を小さな手元動作で実現する事ができる手段であるが、文字を入力したり図形を描くと言う観点で、非常に扱い難い仕様であるといわざるを得ない。
【0011】
一方、この種の大型の入出力一体のシステムを考慮した場合、大勢の参加者を想定した打ち合わせ、あるいはネットワーク時代を考慮すれば、上述したような操作者が直接画面をタッチしたりすることでパソコンを制御するばかりでなく、例えば画面を見ながら発表内容を聞いている会議参加者が、質問、或いは反論のための証拠資料を開示できるように、画面から離れた位置においても、画面を操作したり、必要に応じてネットワークより情報を引き出せるような構成になるのが好ましい形態であると言える。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本願発明は次のような構成からなる。
【0013】
表示装置の表示画面に、指示具であるところの座標入力ペンを操作することによって、表示情報を制御、あるいは情報を追記する事ができる装置の、前記指示具の空間(3次元)位置座標を検出することができる座標入力装置であって、該座標入力装置の座標系を前記表示装置の表示面をXY平面、表示面の垂線方向をZ軸と定義すれば、座標入力装置が検出した座標値(x、y、z)のz軸座標値に基づき、その値が所定値以上であれば、残り2軸の(x、y)座標値を所定の座標値との差分として出力する様に動作する。さらには、検出されたz座標値が前述所定値以下と判定した場合には、検出した(x、y)座標値が表示領域の領域内にあるかをさらに判定し、領域内にある場合には検出した座標値(x、y)を確定値としてそのまま出力する。また領域外と判定した場合には、検出した座標値(x、y)と所定の座標値との差分値として出力する様に動作する。さらには、上記判定結果に基づき出力される座標値が絶対座標なのか相対座標なのかを識別するモード情報を出力する様に構成する。さらには、前述所定の座標値とは、座標入力装置の座標サンプリングレート(単位時間あたりに何点の座標を出力することができるかを示す座標入力装置の能力)に基づき座標算出タイミングを監視することで判定する事が可能となる連続的に座標入力が行われている間の最初に有効となった座標値であって、それ以降、その期間内に検出された座標値と前述所定の座標値との差分を出力する様に構成したものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
【実施例】
図1は本実施例に於ける3次元(空間)座標検出可能な座標入力装置の概略構成を示すものである。図中4は筆記具であるところの座標入力ペンであって、操作者による座標入力動作により空中に音波を発生するように構成されている。発生した音波は複数の検出センサ3(本実施例の場合、4個の検出センサ3_Sa〜Sdを使用する)により検出され、後述する方法により信号波形検出回路2で処理された後、演算制御回路1によって、筆記具4の発信源位置座標(X,Y)を算出するように構成されている。演算制御回路1は装置全体を制御するとともに、得られる座標データを基に、ディスプレイ駆動回路7を介して、ディスプレイ6に表示されているカーソルを移動したり、あるいは筆記等の手書き情報をディスプレイ6に表示、追記できるように構成されている。以上のように、座標入力装置と表示装置を組み合わせることで、あたかも『紙と鉛筆』の様な関係を実現することができるマンマシンインターフェースを提供することが可能となる。
【0015】
以下、図面に基づき、本願発明の詳細を説明する。
【0016】
まず図2を用いて、座標入力ペン4の構成について、その概略を説明する。座標入力ペン4内に内蔵された音波発生源43は、ペン電源46、およびタイマと発振回路、並びに座標入力ペン4に具備されている複数のスイッチ情報を検知して制御する制御回路等で構成された駆動回路45によって駆動される。音波発生源43の駆動信号は、タイマによって発せられる所定の周期で繰り返すパルス信号であって、発振回路により所定のゲインで増幅された後、音波発生源43に印可される。この電気的な駆動信号は音波発生源43によって機械的な振動に変換され、空中にそのエネルーギーを放射することになるが、その一方で、前述音波の放射タイミングと同期した信号を、LED等の発光手段44より出力する。
【0017】
なお本実施例における座標入力ペン4は、筆記具であるところのペン先端部を押圧することで動作するペン先スイッチ(SW)41、並びに座標入力ペン4の筐体に設けられた複数のペンサイドスイッチ(SW)42を具備する。
【0018】
さて、所定周期毎(例えば10msec毎、その場合、1秒間あたりに音波を100回放射するので、本座標入力装置の座標出力サンプリングレートは、100回/秒となる)に駆動回路45は、座標入力ペン4内の音波発生源43を駆動させる信号を出力し、空中に音波とタイミング信号であるところの光信号を放射することになるが、音波は音源と各検出センサ3_Sa〜Sd迄の距離に各々応じて遅延し、到達、検出されることになる。この種の座標入力装置は、座標入力ペン4の音波発信源と各検出センサ3間の距離を、音波の既知の音速と、その到達時間の積により各々導出し、各検出センサの位置情報を用いて幾何学的に前述音波発信源の位置情報を得ることを基本としたシステムである。
【0019】
そこで、この音波の到達時間を検出する方法についてまず説明する。
【0020】
図3は到達時間検出方法を説明するためのタイミングチャートであり、図4はそれを実現するための回路ブロック図である。符号101は座標入力ペン4内の駆動回路45で発生した駆動信号であり、駆動信号101を発生するとともにスタート信号を生成するために赤外LED等の発光手段44から光信号を放出する。この光信号は受光素子5(図1参照)によって受光され、信号波形検出回路内2内の制御信号検出回路211で復調され、振動入力ペンからの音波の放射タイミングをマイクロコンピュータ301に出力して、演算制御回路1内のタイマ303をスタートさせる。一方、空中に放射された音波は、前述音波発生源43と検出センサ3間の距離に応じて遅延し、検出センサ3で検出されることになる。符号102は前置き増幅回路201で所定レベルまで増幅された検出センサ3で検出された検出信号を示す。この信号を絶対値回路及び、低域通過フィルタ等により構成されるエンベロープ検出回路203で処理をし、検出信号のエンベロープ103のみが取り出される。
【0021】
このエンベロープに着目すると、その波形が伝播する音速は群速度Vgであり、このエンベロープの特異な点、例えばエンベロープのピークやエンベロープの変曲点を検出すると、群速度Vgに関わる遅延時間tgが得られる。エンベロープのピーク、あるいは変曲点を検出するエンベロープ特異点検出回路206は微分回路、ゼロクロスコンパレータを用いて容易に検出が可能であり、本実施例では2階微分することによって信号106を形成し、閾値レベル104と信号103で比較されたゲート信号105を参照してエンベロープの変曲点を検出する(信号107)。この信号107を用いて前述したスタート信号により動作しているタイマ303をストップさせれば、群速度Vgに関わる群遅延時間Tgを検出することが可能となる(厳密に言えば、この群遅延時間Tgには、波形処理に関わる回路の遅延分が含まれるが、後述する方法により、その影響は完全に除去される。よって、ここでは説明を簡略化するために、回路遅延時間は無いものとして説明を加える)。従って、音波発生源43と検出センサ3間の距離Lは次式で求めることができる。
【0022】
L=Vg×Tg (1)
一方、より高精度な距離検出を行うための方法について説明すれば、検出センサ3の出力信号103は、帯域通過フィルタ208により余分な周波数成分を除いた後、Tp信号検出回路209に入力される。Tp信号検出回路209は、ゼロクロスコンパレータ、マルチバイブレータ等で構成され、帯域通過フィルタ208によって出力された信号のゼロクロス点に関わる信号109をまず生成し、ゲート信号105の発生期間内において、帯域通過フィルター208で出力される信号波形の位相が、例えば負側から正側にクロスする最初のゼロクロス点を出力する信号110を生成する。同様にして、この信号110を用いて前述したスタート信号により動作しているタイマ303をストップさせれば、位相速度Vpに関わる位相延時間Tpを検出することが可能である(同様に、この群遅延時間Tpには、波形処理に関わる回路の遅延分が含まれるが、後述する方法により、その影響は完全に除去される。よって、ここでは説明を簡略化するために、回路遅延時間は無いものとして説明を加える)。
【0023】
さてここで、エンベロープ検出回路203に基づきゲート信号発生回路205で生成するゲート信号105を用いた場合の留意点について説明する。
【0024】
検出センサ3によって検出される信号レベルは、次の要因によって変動する。1)音波発生源43、検出センサ3の電気−機械変換効率
2)音波発生源43と検出センサ3間の距離
3)音波が伝播する空中の温度、湿度等の環境変動
4)音波発生源43の音波放射に関する指向性、並びに検出センサ3の感度指向性
項目1は、部品公差により発生する要因であり、装置を大量生産する場合には十分な留意が必要である。また項目2は音波の減衰に関する項目であり、音波発生源43と検出センサ3間の距離が大きくなるにつれて、空気中を伝播する音波の信号レベルは指数関数的に減衰することが一般的によく知られている他、その減衰定数も項目3による環境で変化する。さらには、本願発明は座標入力装置として動作するので、筆記具であるところの座標入力ペン4は、操作者による筆記動作で常にその姿勢が変化、つまりペン保持角度が変動することによって音波発信源の音波放射特性(指向性)に起因する検出信号レベルの変動が存在する。さらには、検出センサ3の感度指向性により、座標入力ペン4と検出センサ3の成す角度が変動しても、やはり検出レベルが変動する。この時、例えば検出レベルがより小さくなったと仮定した場合には、前述した閾値レベル(符号104)が固定であるために、ゲート信号発生期間は短くなり(信号111)、例えば信号110であったものが、信号レベルの低下により信号112に変化することは十分に有り得る現象となる。この時信号110と信号112の時間的な差は、信号108の位相周期の整数倍(図示の場合には1周期に相当)であるので、この位相遅延時間Tpを用いて距離を求める式は波の波長λp(=Vp×T=Vp/f:fは周波数)、整数nを用いて次の様になる。
【0025】
L=Vp×Tp+n×λp (2)
しかしながら、式(1)(2)より整数nを求める事は可能であり
n=Int[(Vg×Tg−Vp×Tp)/λp+0.5] (3)
よってこの整数nの値を式(2)に代入する事で、距離Lの導出が高精度に可能となる。
【0026】
図5は本実施例の演算制御回路1の概略構成を示すブロック図で、各構成要素及びその動作概略を以下に説明する。図中301は演算制御回路1及び本座標入力装置全体を制御するマイクロコンピュータであり、内部カウンタ、操作手順を記憶したROM、そして計算等に使用するRAM、定数等を記憶する不揮発性メモリ等によって構成されている。前述した通り、駆動回路44により座標入力ペン4内の音波発生源43の駆動タイミングと同期したスタート信号が、座標入力ペン4に内蔵された赤外LED等により光信号として放射され、その信号を制御信号検出回路211で検波することによって、演算制御回路1内のタイマ303(例えばカウンタなどにより構成されている)をスタートさせる。このように構成することで、座標入力ペン4内の音波発生源43を駆動する駆動タイミングと、演算制御回路1内の例えばタイマとの同期が得られるので、音波発生源43で発生した音波が、音波発生源43から各検出センサ3各々に到達するのに要する時間を測定することが可能となる。
【0027】
信号波形検出回路2より出力される各振動センサ3_Sa〜3_Sdよりの振動到達タイミング信号(符号107の信号、さらにはより高精度な検出を可能とする符号110の信号)は、検出信号入力ポート306を介してラッチ回路304(304_aはTg信号、304_bはTp信号を処理するものとする)に各々入力される。ラッチ回路304_a〜304_bの各々は、対応するセンサよりのタイミング信号を受信すると、その時のタイマ303の計時値をラッチする。この様にして座標検出に必要な全ての検出信号の受信がなされたことを判定回路305が判定すると、マイクロコンピュータ301にその旨の信号を出力する。マイクロコンピュータ301がこの判定回路305からの信号を受信すると、ラッチ回路304_a〜304_bから各々の振動センサまでの振動到達時間をラッチ回路より読み取り、所定の計算を行なって、座標入力ペン4の座標位置を算出することになる(図中、センサ1個分のラッチ回路しか示されていないが、センサの数に応じたラッチ回路が適宜配置されている)。この得られた座標値(絶対座標値)を後述する方法で処理した結果を、I/Oポート307を介してディスプレイ駆動回路7に出力し、ディスプレイ6の対応する位置に、例えばドット等を表示することができる様に構成した。またI/Oポート307を介してインターフェース回路に、座標位置情報を出力することによって、外部機器に座標値を出力することができる様に構成したものである。
【0028】
以上述べた実施例において、検出された時間には、音波発生源43と各検出センサ3まで音波が到達する時間に加えて、回路等による電気的な処理時間も含まれる。従って、ここでは、音波が伝播する時間以外に余分に計測される時間を除去する方法について説明する。前記ラッチ回路によってラッチされた群遅延時間Tg、もしくは位相遅延時間Tpには、各々群回路遅延時間etg、位相回路遅延時間etpを含む。この回路遅延時間は、時間計測毎に同一の値を必ず含む。そこで、ある計測回路によって、音波発生源43と検出センサ3間を伝播する際に計測された時間をt*、その計測回路における回路遅延時間をe、実際に音波が音波発生源43と検出センサ3間を伝播したのに要した時間をtとすれば、
t*=t+e (3)
一方、音波発生源43と検出センサ3間の距離が既知の距離Liniにおける時間計測値をtini*とし、その計測回路における回路遅延時間をe、実際に音波が伝播した時間をtiniとすれば、
tini*=tini+e (4)
よって
t*−tini*=t−tini (5)
今、音波の音速をVとすれば、
V×(t*−tini*)=V×(t−tini)
=V×t−Lini (6)
よって求めるべき任意の音波発生源43と検出センサ3間の距離Lは
L=V×t=V×(t*−tini*)+Lini (7)
上記、既知の距離Lini、及びその距離における時間計測値tini*(群遅延時間Tgini*、もしくは位相遅延時間Tpini*の両者)を、出荷時等に不揮発性メモリ等に記憶することによって、任意の距離における音波発生源43と検出センサ3間の距離を精度良く算出することが可能となる。
【0029】
さて今、図6の様な座標系に検出センサ3_Sa〜3_Sdが配置された時、音波発生源43の位置座標(x、y、z)を求める方法について説明する。上記の方法により正確に求められた振動発生源43と各検出センサ3までの距離を各々La〜Ld、X方向の検出センサ間距離をXs−s、Y方向の検出センサ間距離をYs−sとすれば、
【外1】
【0030】
同様にして
【外2】
【0031】
以上示したように少なくとも3個の振動発生源43と検出センサ3までの距離が測定できれば、容易に音波発生源43の位置座標を求めることが可能となる。本願発明の実施例では、検出センサを4個用いており、例えば、距離が最も遠い情報を使わず(この場合、検出センサ3で出力される信号は、距離が遠いために信号レベルが最も小さくなっている)、残り3個の距離情報のみで、座標を算出することで、信頼性の高い座標算出を可能としている。また、この距離が遠いセンサの情報を活用することで、出力された座標値の信頼性が高いものか判定することも可能である。具体的方法としては、例えば、距離情報La、Lb、Lcで算出された座標値と、距離情報Lb、Lc、Ldで算出された座標値は同一の値を出力するはずであり(距離情報の組み合わせを変更して演算する)、両者が一致しない場合には、いずれかの距離情報が不正、つまり誤検出したことになるので、その場合には、座標値を出力しない、と言った信頼性を向上させる構成も実施可能となる。
【0032】
次に本座標入力装置の動作モードについて説明する。再び図2を用いて説明すれば、指示具であるところの座標入力ペン4は、ペン先SW41、及び2個のペンサイドSW42_a、42_bを具備してなり、各SW(スイッチ)の動作モードについて図12、図7を用いて説明を加える。
【0033】
操作者が、座標入力ペン4を握って座標入力面を押圧することで、ペン先SW41が動作する(ステップS402)。この時、所定周期で駆動回路45により音波発生源43が動作し、所定周期で音波が空中に放射されるように動作する(ペンダウン状態、S406)。この時検出された座標値が、表示領域内の座標値(図6においてx<±Disp_X、y<±Disp_Yの範囲)であれば、通常の紙と鉛筆の様な関係で、指示具4の移動に伴なう軌跡が、表示画面上に出力される事になる。一方、ペン先SW41が動作しているのに、検出された座標値が表示領域外である時には、例えば操作者の手によって無意識のうちにペン先SWが動作してしまっている状態が想定されるので、この場合には、座標出力を禁止するように構成されている。同様にペン先SWが動作している状態は、指示具により座標入力面である表示面を押圧する状態であるから、この時検出されるZ軸座標値は、ほぼ『0』であるはずであり、『0』とならない場合には、やはり操作者による誤操作が想定されるので、この場合も座標出力を禁止するように構成する。
【0034】
一方、ペン先SW41がオフ状態の場合は、操作者により座標入力面を押圧する事で筆記動作している状態にはなっていない。しかしながら、座標入力面近傍、或いは座標入力面であるところの表示ディスプレイから離れた位置で、さらにはディスプレイの表示領域の外側で、例えば表示されているカーソルを移動したり、アイコンをダブルクリック等して、所望の画面操作ができることは非常に利点が大きいい。そのため、ペンサイドSW42のどちらか一方を押圧する(ステップS403〜ステップS405)ことで、音波が空中に放射されるように動作し、カーソルの移動等を可能にする(ペンアップ状態、ステップS407)。また、ペンサイドSW43の両方を押圧する(ステップS403〜ステップS405)ことで、ペン先SW41が動作していなくても、ペンダウン状態となるように構成している(ステップS406)。このペンアップ/ペンダウンを判別する方法としては、前述したスタートタイミング信号(本実施例の場合、スタートタイミング信号を座標入力ペンに内蔵されたLED等により光信号として放射する手段を有する)に重畳させて、制御信号検出回路211で検波する事により、演算制御回路1のその情報を検出力しても良い。さらには、状態に応じて、例えば放射する音波の周波数を変更し、それを検波することで、モードを判定することも可能である。
【0035】
一方、図2に示すように、ペンサイドSW42_aと42_bの両者は、座標入力ペンの断面方向において、約90度方向に配置され、操作者が握ったときに、右利き、左利き関係なく、その一方に親指が、その他方に人差し指が自然に触れるような位置に設定される。そのようにスイッチを配置することと、どちらか一方のみのSWがONすることによって設定される同一の動作モード(本願実施例の場合、ペンアップ状態)と、両者がともにONされる状態のみで動作する動作モード(同様にペンダウン状態)を設定することで、利き腕に関係なく、使い勝手の良い座標入力ペン4を構成している。
【0036】
このペンサイドSWの他の実施例としては、1つのスイッチで2段階の切り替えをするスイッチも有効である。つまり、軽押圧の場合に1段目のスイッチが動作し(ペンアップ状態)、さらに押圧することで2段目のスイッチが動作(ペンダウン状態)する構成であって、この場合も同一のペンで、利き腕に関係なく、使い勝手の良い座標入力ペン4を実現することが可能となる。
【0037】
さて、ペンサイドSWを動作させることで、ディスプレイ6の表示面から離れた位置で座標を入力し、カーソルを移動(ペンアップ状態)したり、あるいは筆記(ペンダウン状態)できる方法について説明したが、この様な場合(直接ディスプレイ6の表面に接触はしていない、ペン先SW41が動作していない状態)において、ディスプレイ6の表示面上、あるいは表示面の近傍(表示面の近くの空中にあって、ペン先SWが動作していない状態)で動作させる場合と、表示面から離れた位置、或いは表示領域の外側で座標入力動作をさせる場合とでは操作上、要求される仕様が異なる。
【0038】
まず、前者の場合、座標入力ペン4を移動することで、例えば表示されているカーソルを直感的に、しかもダイレクトに所望の位置に正確に移動することが要求される。しかし後者の場合においては、例えば表示されているカーソルを所望の位置に移動させるためには、座標入力ペンの移動に応じて、カーソルを相対的に移動させることが要求される。つまり操作者が、大型のディスプレイを使ってプレゼンをしようとする場合、直接画面をタッチ(座標入力)することで、表示情報を制御したり、情報(文字、図形)等を筆記することができる(紙と鉛筆の関係)手段であるとともに、単に情報を指し示す場合に有っては、操作者がその場に行って指し示すのではなく、離れた場所、言い換えれば聞き手側からみて表示されている情報が操作者によって隠されることが無い状態で、所望の画面制御や情報の追加ができるのが好ましい。さらには、この種の大型の入出力一体のシステムを考慮して大勢の参加者を想定した打ち合わせ考えれば、上述したような操作者が直接画面をタッチしたりすることでパソコンを制御するばかりでなく、例えば画面を見ながら発表内容を聞いている会議参加者が、質問、或いは反論のための証拠資料を開示できるように、画面から離れた位置においても、画面を操作したり、必要に応じてネットワークより情報を引き出せるような構成になるのが好ましい形態であると言える。
【0039】
本願発明は、この点を鑑みなされたものであり、本願発明の座標入力装置は、検出された座標値(x、y、z)を基に、その座標値をどのような形態で出力するかを判定する手段を有する。さらには、前述検出された座標値(x、y、z)の情報と、指示具4のスイッチ状態の情報を組み合わせて、座標出力の形態、あるいは出力制御を行うように構成する。
【0040】
具体的に図8を用いて説明すれば、ステップS501にて処理を開始することになるが、ステップS502で座標演算に必要な信号が各検出センサ3、もしくは、スタート信号を受信したかを判定して、有効と判定した場合には、ステップS503で座標入力ペン4の位置座標(x、y、z)を導出する。次に、演算された位置座標(x、y、z)を基に、まずZ軸の値が0、つまり指示具4が座標入力面上に位置して、座標入力が行われたのかを判定する(ステップS505)。仮にZ=0ならばステップs506にて検出された(x、y)座標が表示領域の領域内にあるかを判定し、領域内に有れば、検出された座標値(x、y)を確定値として外部機器等に出力する(ステップS509)。また検出された座標値(x、y)が表示領域の領域外にあると判定された時には、何らかの誤操作によって座標入力が行われたものとして、検出した座標値の出力を中止して処理を修了する。図8のフローチャートには直接は示さないが、例えば指示具4のペン先sw41の情報をスタート信号である光信号に重畳させ、制御信号検出回路211で制御信号として復調すれば、このペン先SW41の情報を用いて、座標算出の信頼性を増すことも可能である。つまりペン先スイッチが動作した状態は、座標入力面であるところの表示領域を押圧してスイッチが動作するのが通常であり、ペン先SW41が動作しているにも関わらず、Z軸の検出値がZ=0とならない場合には、やはり何らかの誤操作によって座標入力が行われたものとして、検出した座標値の出力を中止することが可能となり、誤動作防止と言う観点で、より信頼性の高い構成が得られるようになる(図12参照)。
【0041】
一方、検出された座標値がZ=0でない場合には、ステップS507にてあらかじめ設定された所定値1と比較され、所定値1よりZ軸の値が小さい場合(この場合、指示具4は座標入力面であるところの表示面近傍、あるいは比較的近い位置に位置していると判断できる)、ステップS508で検出された座標値(x、y)が表示領域の領域内にあるかを判定し、領域内あるときはステップS509にて検出された座標値(x、y)をそのまま出力する。この状態は、操作者が比較的表示面に近いところで指示具を操作している状態で、指示具の4の移動動作に伴ない、カーソルを移動したり、文字、図形等の情報を追記したりして、表示情報を制御している状態となる。一方ステップS508にて表示領域内に無いと判定した場合は、操作者は表示面近傍かつ表示領域の脇ににあって、聞き手に対して表示情報をさえぎることなく、表示内容を制御しながらプレゼンテーションしている状態を想定でき、指示具4の動作によりカーソルを相対的に移動できるように構成する。この相対的にカーソルを移動する方法について説明を続ければ、操作者は比較的表示機に近い位置にあって、しかも表示機の脇に位置していると判断されたので、検出された座標値の少なくともx軸、y軸の値を所定の座標値(X1st、Y1st)として記憶する(ステップS510)。次にステップS511にて座標が連続的に入力されているかを判定する。この『連続的に入力されているか』という定義は、この種の座標入力装置は例えば座標出力を50回/秒(座標サンプリングレート)行えるものとすれば、0.02msec毎に座標出力が行われるのであって、この周期を計測することで、連続的に座標入力が行われているかを判定することができる。本願発明の座標入力装置に有っては、例えば制御信号検出回路211のスタート信号(図4参照)の発生タイミングを監視(この場合、サンプリングレートを50回/秒とすれば、0.02秒毎にスタート信号が発生する)しても良いし、直接超音波信号(例えば図3における信号102)の到達間隔(この場合は、指示具4の移動を伴って指示具4とセンサ3の距離が絶えず変化するので、サンプリングレートに基づく時間(サンプリングレートを50回/秒とすれば0.02秒)に距離変化に伴なう音波の伝達時間の差が増減される。従って『約0.02秒程度』の周期(理論的には0〜0.04秒の範囲内に必ず信号が受信される)と言う表現になり、実用上0.02秒以内におけるペンの最大移動量を鑑み、例えば0.03秒以内に信号が受信できたときには連続して座標入力が行われていると判定する)を監視することで実現する。
【0042】
さて、ステップS511にて座標が連続的に入力されていると判定された場合には、ステップS512にて位置座標(x,y、z)を算出し、前述ステップS510にて記憶した所定の座標値(X1st、Y1st)との差分を計算して相対座標(ΔX、ΔY)を導出し、出力する(ステップS513)。その後ふたたびステップS508に戻って、連続入力中かを判定し、連続入力が終了すると、動作を終了する。
【0043】
この時、出力される座標値が絶対座標(x、y)であるか、座標値(Δx,Δy)であるのかを区別するために、別途、その情報を確定座標値と共に出力する構成であってもかまわない。
【0044】
さてステップs507にてステップS502で検出された座標値(x、y、z)があらかじめ設定された所定値1より大きい場合について考えてみる。この状態は指示具4が座標入力面であるところの表示面からZ軸方向に離れた位置にあることを意味、つまりプレゼンテーションを行っている操作者が、表示機よりかなり離れた位置にいるか、もしくはプレゼンテーションを聞いている聞き手によって座標入力が行われたものと想定できる。つまり、遠隔操作によって、表示情報を制御したり、文字、図形等の追記を行おうとしている状態であると言える。
【0045】
この画面から離れた状態について考察してみると、比較的離れた距離が小さい場合(近接入力)、表示面であるところのディスプレイ6と座標入力ペン4のZ軸方向の値は、比較的小さな値であり、座標入力ペン4を移動することで、例えば表示されているカーソルを直感的に、しかもダイレクトに所望の位置に移動することが可能である。もちろん、所望の位置に対するカーソルの位置ずれは、直接ディスプレイ6の表示面に入力する場合(ペン先SW41がON状態)に比べ大きくなるが、十分実用の範囲と言うことができる。しかしながら、表示機との距離が大きくなる(Zの値が大きくなる)につれて、所望の位置に対するカーソルの位置ずれは大きくなり、直感的にダイレクトに所望の位置を指し示す事ができなくなる。つまり離れた位置でカーソルを移動しようとする場合、所望の位置を指し示したと思って指示具4のペンサイドSWを動作させて座標を入力する事になるが、得られた座標値に基づくカーソルの位置は、前述の所望の位置とは異なり、カーソルの位置を視認しながら、操作者が指示具を移動させることによって、所望の位置へカーソルを移動することができるようになる。
【0046】
言い換えれば、遠隔入力(表示装置から離れた位置で座標を入力し、例えばカーソルを移動させる動作)の場合は、操作者による視覚情報に基づき操作者の脳が補正動作を行う(指示具4を移動させる)ループを繰り返して、目的を達成することになるのであって、ダイレクトに所望の位置を指し示すことは困難なのである。
【0047】
この様に、表示装置等に表示されている画像情報(XY平面上に座標系を有する画像情報)に対して、何らかの遠隔入力操作を行おうとする場合、操作者が一連の座標入力を行おうとする際の最初の1点目の座標値と前述の画像情報の座標値は、一致させることができない。このことは、例えばOHP等により表示されている表示画像を指示する道具としてレーザポインタが普及しているが、やはりレーザ発光時の最初の1点目は、どこを指示するか解らず、指示されたポイント位置を見ながら、位置修正動作をして所望の位置にレーザを照射することができる様になることを考えれば明らかである。
【0048】
そこで本願発明では、ステップS507にてz軸の値が所定値以上である場合(遠隔入力)には、まず最初に有効となる座標値を所定座標値(X1st、Y1st)として記憶し(この時、現状映し出されているカーソルの位置は移動しない)、連続入力期間中の指示具4の移動に伴ない、その方向と移動量分だけカーソルが移動するように動作させることで、遠隔操作の場合であっても、優れた操作性を実現できるように構成した。ここで最初に有効となる座標値とは、座標入力装置の検出方法によっては、入力の開始時の座標値の信頼性が低いものがあり、例えば3個目の座標検出値から座標出力する(最初の2点の座標は出力しない)仕様のものも有り、この場合は3個目の座標値を記憶する事になる。
【0049】
図9は表示機と座標入力有効な領域を示すものであり、図8のフローチャートで切り替えられる座標出力モードの範囲を示している。表示領域に比較的近い位置にあって、検出された(x、y)座標が表示領域内にあるときに、ダイレクトに座標を入力できる絶対座標を出力し、聞き手の視野をさえぎらない表示機の脇、或いは遠隔操作を行う場合には、相対座標を出力する様に構成したことを示している。
【0050】
さらに遠隔操作の場合を考えると、直接画面をタッチする事でダイレクトに座標を入力する場合には、大型表示機であることを考慮すれば、画面の端から端までカーソルを移動しようとすると、必ず体の移動を伴なう。しかしながら遠隔操作の場合には、例えば質問者が起立をしてその場で質問するのが通常(大勢の聞き手がいる場合は、必然的に移動は困難)であり、体を移動せずその場において全領域を指し示す事ができることが望まれる。本願構成は、この点についても解決するものであり、図10(A)を用いて説明すれば、相対座標出力範囲(図9参照)において、大勢の聞き手に対して、大画面を有するディスプレイを用いて操作者がプレゼンテーションをしようとしている場面を想定する。カーソルの位置を図面上▲1▼の位置から▲3▼の位置へ移動しようとした場合、従来では座標指示具であるところのペンを▲3▼の位置に持っていって、その位置で座標入力を行えば、カーソルは▲1▼の位置から▲3▼の位置に移動することになる(この場合、操作者は▲3▼の位置を指す事ができる位置にいる)。しかしながら、▲1▼の位置で作業した後(操作者は▲1▼の位置近傍にいる)、▲3▼の位置へ移動しようとする場合には、画面を横断するように操作者が移動するので、多くの聞き手にとっては情報を遮られ、プレゼンの内容理解に支障をきたす。特に大型表示装置がフロントプロジェクション、OHP(投射型の表示装置)等の場合には、その画像が大きく歪むのでなお更である。それに対し操作者が表示装置の脇にあって、カーソルが▲1▼の位置にあったと仮定する。操作者がAに位置指示具4を配置し、ペンサイドSW42の少なくともどちらか一方を動作させることで、指示具4からは音波が放射され、指示具4の位置座標を検出することになる。この時、指示具4は表示画面の表示領域外、或いは表示機より離れた位置(Z>所定値1)にあるので、最初に検出された位置座標は記憶され(図8ステップS510)、カーソルは▲1▼の位置から移動することはない。引き続き、操作者がペンサイドSW42を動作させて、連続的に座標を検出するように動作させ、指示具4をBの位置に移動させた後、ペンサイドSW42の動作をOFFさせたとする。そうすると、操作者の指示具4の移動動作(地点AからBへの移動)にともない、その移動方向と移動距離応じた量だけ、カーソルが▲1▼の位置から▲2▼の位置へ移動することになる。さらに操作者は、指示具4をBの位置からCの位置へ、ペンサイドSW42をOFF状態で移動させた後(この時カーソルは▲2▼の位置で動かない)、ペンサイドSW42の少なくともどちらか一方を動作させて指示具4をDの位置へ移動すれば、ペンサイドSW42が動作して最初に検出された座標値がステップS510にて再度記憶され、その後に検出された座標値と記憶された座標値の差分量だけカーソルが移動して、操作者の指示具4の移動動作(地点CからDへの移動)にともない、その移動方向と移動距離応じた量だけ、カーソルが▲2▼の位置から▲3▼の位置へ移動することになる。
【0051】
以上説明したように、操作者は入力面であるところの表示面から離れた位置、或いは表示機から離れた位置に有っても、現状のカーソルの位置から、スムーズに所望の位置にカーソルを移動することが可能となるばかりでなく、その座標入力が連続して行われている一連の間は、座標入力ペンのX方向の移動量、Y方向の移動量は、カーソルの移動量と1対1に対応しているので、文字や図形を入力したりすることができる優れた効果も得られる。つまり文字を入力しようとする場合、図10(B)を用いて説明すれば、所望の位置へまずカーソルを移動し(ペンサイドSWのどちらか一方を動作させる▲1▼→▲2▼:ペンアップ)、その後ペンサイドSWの両者を動作させてペンダウン状態として、指示具4の移動動作に伴い、その移動方向と移動量に応じた軌跡が画面上に残る(▲2▼→▲3▼)。その後一方のペンサイドSWをOFFして(残りの一方はまだ動作中であり、連続的に座標が算出されている状態は維持されている;ペンアップ状態)所望の位置へカーソルを移動し(▲3▼→▲4▼)、OFFしたペンサイドSWを再び動作させることで、カーソルが移動した地点から再び軌跡が入力されることになるのである(▲4▼→▲5▼)。操作者は、カーソルを視認ながら指示具の移動動作により最初の▲2▼の位置まではカーソルを移動する必要があるが、その後の『い』と言う文字の筆記には、カーソルを視認しなくても指示具4の絶対的な移動量、つまり直感的な手、腕の操作で文字入力が行えるのである。つまり、連続入力期間中の最初の有効な座標値を基準とすることで、その連続期間中に出力される座標は相対的になるが、操作者からみれば、その期間中はカーソルの移動量と手、腕の動作が対応しており、あたかも空間に座標入力面があるが如く、直感的な入力動作で文字入力動作を実現することができる優れた効果を有する。
【0052】
この様に、操作者は自然な動作によって表示情報を制御したり、文字、図形等の情報を追記することが可能であり、また多くの聞き手にとっては、表示情報が遮られること無く、操作者である話し手の意図する内容を効率良く理解することが可能となるのである。さらには本願発明は、大画面を有するシステムの使い勝手を考慮し、絶対座標を出力するモードと相対座標を出力するモードが、算出される座標値によって自動的に切り替わるので、操作者にとって特別な動作(例えば、座標入力装置の出力モードをスイッチ手段等により切り替える)を必要とせず、プレゼンテーションに集中できるという優れた操作環境を提供することが可能となる。
【0053】
また本願発明は、相対座標を出力する状態にあって、検出した座標値との差分を得るための所定の座標値(X1st、Y1st)を、連続入力期間中に最初に有効となる座標値と定義している。この理由を詳述すれば、操作者にとって表示領域近傍においては表示領域の境界を認識するのは容易であるが、表示領域から離れるに従ってこの認識はあいまいなものになる。さらにはZ軸方向の所定値1の値は、操作者が設定可能な数値であってかまわないが、その数値を認識していたとしても、実際の境界を区別するのは困難に近い。一方最初に座標を入力する事によって、操作者が絶対座標の形態で出力が行われているのか、相対座標の形態で出力が行われているのかを認識するのは、例えば指示具4の位置とカーソル位置の関係で容易に理解できる。しかしながら、例えば出力形態が変更となる境界付近で動作させた場合、モードの切替動作が多発すると、出力形態の変更が多発し、操作者にとって扱い難い仕様となってしまう。そこで本願発明では、指示具4から放射されるスタート信号の周期を監視して、連続的に座標入力が行われているのかを判定し、連続入力期間に最初に有効となった座標値を基準座標値とし、連続入力期間中、それ以降に算出された座標値と基準座標値との差分を出力する様に構成したので、ペンサイドsw42のいずれかが(もしくはペン先SW41)動作している限りは、この基準座標が保持され、たとえ切替領域の近傍での座標入力動作であっても、操作者にとっての座標系、及び絶対なのか相対なのかが連続座標入力期間中固定されるので、操作性の良い座標入力装置を構成する事ができる優れた利点を有する。
【0054】
言い換えれば、操作者はまず座標を1点入力する事によって、その座要出力形態を知る事が可能であり、それ以降連続して座標入力動作を行っている間は、そのモードが固定されるので、操作者はそれ以降モード切替のための境界を意識する必要がないのである。
【0055】
さらには、本願発明の座標入力装置が、座標値、または座標モード情報(絶対座標なのか相対座標なのかを示す情報)を外部機器等に出力することを開示るが、絶対座標値のみを出力する座標入力装置であって、その出力結果を受け取るたとえばパーソナルコンピュータ側で、その受け取った座標値と座標値を受け取ったタイミング(連続的に座標入力が行われているか否かを判定する)を監視することで、図8に示すような構成を実現しても同様の効果が得られることは明らかである。
【0056】
また、本願発明の座標入力装置は、超音波を利用して発信源の位置座標を検出するものであるが、この方式に限定されるものでなく、光学式等の他の座標検出方法にも適用できることは言うまでもない。
【0057】
さて本願発明を実施する上で、絶対座標を出力するか、相対座標を出力するかの判定は、検出された座標値に基づき、表示機からの距離、及び表示装置の表示領域内にあるか否かで判定している。従って、本座標入力装置の座標系において、表示領域がどの範囲に有るかを設定できることが好ましい。特に表示装置にフロントプロジェクタを用いた場合には、会議毎に設置の仕方が異なることを考慮すると、表示サイズは常に一定とはならない(フロントプロジェクタの表示サイズはその投射距離に依存する)ので、表示領域を設定する手段が必須となる。もちろん固定された表示画面(例えばリアプロジェクタやプラズマディスプレイ等)を有するシステムであっても、座標入力装置と表示装置の座標系を一致させるのは、組み立て時においてコスト的に不利な調整工程が必要であり、座標入力装置と表示装置を組み合わせた後に、表示領域を設定できるように構成するのは、製造上の利点も大きい。また上述したように、座標入力装置の出力が絶対座標のみであって、その出力を受け取った例えばパーソナルコンピュータが、動作モードを判定する方法にあっては、やはり表示装置が固定されているとは限らないので、パーソナルコンピュータに表示領域を知らしめる手段が必要となる。
【0058】
図11は、この点を鑑みなされた構成であって、表示領域を設定する手順を示すものである。まず定数contを1に設定し、表示領域の隅部において座標を検出する(ステップS603、S604)。この動作を4回繰り返し(ステップS602〜ステップS605)、表示領域の4隅部の座標入力装置の出力座標を記憶する。この様にして、座標入力装置の座標系における表示領域の4隅部の座標値が得られるので、例えば左上隅のx座標値と左下隅部のx座標値を平均化した値を、左側のx方向の境界値と定義したり、あるいは4隅を結んだ4角形の領域を定義して、座標出力形態を決定する条件式とすることが可能となる。また本願発明の実施例では表示領域の4隅部の座標値を記憶する事で、表示領域を導出しているが、これに限定されるものではなく、例えば隅部の3箇所の座標値であってもよく、或いは境界領域をなぞる事で4辺の座標値を検出し、その情報から境界領域を設定しても良い。
【0059】
【発明の効果】
以上説明したように、主に表示装置に重ねて配置した座標入力装置の座標処理方法であって、座標入力ペンの位置座標(x、y、z)データに基づき、表示機からの距離、及び設定されている表示装置の表示領域の内外を判定する事によって、座標入力装置の座標出力モードを設定できるようにしたので、操作者が表示画面上の入力面を直接タッチすることで座標を入力した際には、あたかも紙と鉛筆のような関係で、文字や図形を表示画面上に追記することや、表示画面上に表示されている所定のアイコンをクリック、あるいはダブルクリックすることによって、表示情報を制御したり、あるいは表示装置をコントロールしているたとえばパーソナルコンピュータに特定の動作をするように作用させることができる。さらに、操作者が表示領域の外側、あるいは遠隔操作を行おうとした場合にも、表示面から離れたところで、同様な操作ができるように、座標入力装置の座標出力形態を変更する様に構成したので、操作者である話し手は、このモードの切り替えを意識することなく、話の内容に集中して効率の良いプレゼンテーションが可能となる他、聞き手にとっては、操作者により画面を遮られることが無いので、話し手の内容を画面情報と共に効率良く理解することができる優れた効果が得られるようになった。さらには、モードを切り替える境界領域の近傍であっても、連続入力動作を行っている間は基準となる座標値が固定される、つまり操作者にとって指示具4の位置関係と座標入力装置の座標系、及び出力形態が固定されるので、遠隔操作、或いは表示機の脇で座標を入力する場合であっても、文字や図形を容易に入力する事ができ、また出力形態を座標値に基づき切り替える処理形態を有する場合には、切替領域の近傍での座標入力動作であっても、操作者にとっての座標系、及び絶対なのか相対なのかが連続座標入力期間中固定されるので、操作性の良い座標入力装置を構成する事ができる優れた利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】概略構成図
【図2】座標入力ペン4のブロック図
【図3】信号処理のタイミングチャート
【図4】信号処理のブロック図
【図5】演算制御回路1のブロック図
【図6】座標系を説明する説明図
【図7】ペンSWの動作を説明するフローチャート
【図8】座標出力モードを説明するフローチャート
【図9】表示装置と座標出力形態の範囲を説明する説明図
【図10】操作の一例を示す説明図
【図11】表示領域設定を説明するフローチャート
【図12】各SW(スイッチ)の動作モードに関する表
【符号の説明】
1 演算制御回路
2 信号波形検出回路
3 検出センサ
4 座標入力ペン
6 表示ディスプレイ
41 ペン先SW
42 ペンサイドSW
43 音波発生源
Claims (3)
- 位置座標を検出する座標入力装置であって、
座標入力装置の座標検出が連続的に行われているか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により連続的に座標検出が行われていると判定された期間において最初に有効となった絶対座標値を記憶する記憶手段と、
前記座標検出が連続的に行われている期間及びそれ以降の期間において、検出された絶対座標値と前記記憶手段に記憶された絶対座標値の差分値を導出する導出手段と、
を有することを座標入力装置。 - 前記第1項記載の座標入力装置において、
前記検出された絶対座標値をそのまま出力する絶対座標出力形態と、
前記導出手段により導出された差分座標出力形態とを有することを特徴とする座標入力装置。 - 位置座標を検出して、処理を行う装置の座標処理方法であって、
連続的に座標検出が行われているか否かを判定する判定工程と
前記判定工程で連続的に座標検出が行われていると判定された期間において最初に有効となった絶対座標値を記憶する記憶工程と、
前記座標検出が連続的に行われている期間及びそれ以降の期間において、検出された絶対座標値と前記記憶工程で記憶された絶対座標値の差分値を導出する導出工程と、
を有することを特徴とする座標値処理方法。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2002226163A JP2004070496A (ja) | 2002-08-02 | 2002-08-02 | 座標入力装置、座標値処理方法 |
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Cited By (4)
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---|---|---|---|---|
WO2006049275A1 (ja) * | 2004-11-05 | 2006-05-11 | Ippey Hirano | 座標指示システム及び方法 |
WO2006048948A1 (ja) * | 2004-11-05 | 2006-05-11 | Ippey Hirano | 座標指示システム及び方法 |
JP2009026111A (ja) * | 2007-07-20 | 2009-02-05 | Nec Corp | 位置検出装置及びこれを用いた電気機器、位置検出方法 |
JP2010501945A (ja) * | 2006-08-24 | 2010-01-21 | クゥアルコム・インコーポレイテッド | 音響駆動式テキスト入力を有する移動装置および音響駆動式テキスト入力方法 |
-
2002
- 2002-08-02 JP JP2002226163A patent/JP2004070496A/ja not_active Withdrawn
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