JP2004061230A - ジフェニルアントラセン測定用前処理方法及びそれを用いたジフェニルアントラセンの測定方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】DPA測定用試料を活性炭と接触させることを特徴とする当該試料の前処理方法、及び、前記前処理方法により処理した試料について、液体クロマトグラフィーによるDPA測定を行うことを特徴とする、試料中のDPAの測定方法。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ジフェニルアントラセン測定用試料に含有される、当該測定に影響を与える夾雑物を効率よく除去するための前処理方法並びに該前処理方法により処理された試料を用いるジフェニルアントラセンの測定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ジフェニルアントラセン(以下、DPAと略記する場合がある。)は従来から有機エレクトロルミネッセンス(EL)材料または電子写真材料等に用いられている有用なものであり、その製造方法、測定方法については種々の研究がなされている。その測定方法の一つに、疎水性充填剤が充填されたカラムを用いる液体クロマトグラフィーによる方法がある。しかしながら、この方法では、DPAを測定する際にDPAと類似のリテンションタイムを有する蛍光性化合物が試料中に共存すると、当該化合物の蛍光によりDPAのみを測定することが困難となるという問題があった。そのため、試料中のこのような化合物を簡便且つ迅速に取り除く方法の開発が望まれていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記した如き状況に鑑みなされたもので、DPAの測定を簡単且つ高感度に行うためのDPA測定用試料の前処理方法及び該前処理方法を用いたDPAの測定方法の提供をその課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決する目的でなされたものであり、「ジフェニルアントラセン測定用試料を活性炭と接触させることを特徴とする当該試料の前処理方法」及び「前記処理方法により処理した試料について、液体クロマトグラフィーによるジフェニルアントラセン測定を行うことを特徴とする、試料中のジフェニルアントラセンの測定方法」に関する。
【0005】
即ち、本発明者らは、上記した如き状況に鑑み、鋭意研究を重ね、試料を活性炭と接触させるという前処理に付すことによりDPA測定に影響を与える夾雑物を効率よく取り除くことができ、更に当該前処理に付した試料を液体クロマトグラフィーで測定すればDPAを高精度且つ高感度に測定できるようになることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
本発明に係る活性炭としては、例えば塩化亜鉛、水蒸気等により賦活化された粉末炭、例えば破砕炭、顆粒炭、造粒炭、球状炭等の粒状炭等が挙げられるが、中でも粒径が小さく夾雑物除去効果が高い、水蒸気を用いて賦活化された粉末炭等が好ましい。また、これら活性炭は、市販品を用いても、自体公知の方法により調製したものを用いてもよい。
【0007】
本発明に係る液体クロマトグラフィーで用いられるカラムに充填される充填剤(以下、本発明に係る充填剤と略記する場合がある。)としては、DPAを吸着又は分配し、分離できるものであれば何れでもよいが、好ましくは疎水性の充填剤であり、例えばカーボン、チタニア、ジルコニア、並びに疎水性基を導入したシリカ化合物及び有機合成高分子化合物等が挙げられる。中でも、疎水性基を導入したシリカ化合物が、分離性能の点で特に好ましい。また、ここでいう疎水性基としては、例えばオクタデシル基、オクチル基、ブチル基、フェニル基、シアノプロピル基、アミノプロピル基等が挙げられ、好ましくはオクタデシル基等である。また、上記疎水性基と、シリカ化合物又は有機合成高分子化合物との好ましい組み合わせとしては、オクタデシル基、オクチル基、ブチル基、フェニル基、シアノプロピル基又はアミノプロピル基とシリカ化合物との組み合わせ、オクタデシル基又はアミノプロピル基と有機高分子化合物との組み合わせ等が挙げられ、中でもオクタデシル基とシリカ化合物との組み合わせが特に好ましい。
【0008】
上記シリカ化合物としては、疎水性基を導入し得るものであれば特に限定されないが、例えばシリカゲル等のケイ酸、二酸化ケイ素等が挙げられ、中でもシリカゲル等が好ましい。尚、これらシリカ化合物は、市販品を用いても自体公知の方法により調製したものを用いてもよい。
【0009】
上記有機合成高分子化合物としては、ポリオレフィン等の重合性二重結合を有するモノマーの重合体、ポリアミド、ポリエステル、ポリエーテル、エポキシ樹脂やノボラック樹脂等の縮合重合体、デンドリマー等が挙げられ、中でもポリオレフィン等の重合性二重結合を有するモノマーの重合体、ポリエステル、エポキシ樹脂やノボラック樹脂等の縮合重合体等が好ましい。
【0010】
本発明に係る有機合成高分子化合物に於けるポリオレフィンとしては、例えば下記一般式[1]
【0011】
(式中、R1は水素原子、低級アルキル基、カルボキシル基、カルボキシアルキル基、アルキルオキシカルボニル基、シアノ基又はアルデヒド基を表し、R2は水素原子、低級アルキル基、カルボキシル基、アルキルオキシカルボニル基、シアノ基又はハロゲン原子を表し、R3及びR4は夫々独立して水素原子、低級アルキル基、ハロアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、脂肪族ヘテロ環基、芳香族ヘテロ環基、ハロゲン原子、アルキルオキシカルボニル基、シアノ基、含シアノアルキル基、アシルオキシ基、カルボキシル基、カルボキシアルキル基、アルデヒド基、カルバモイル基、若しくはN−アルキルカルバモイル基、アミノ基、アミノアリル基又はアミノアルキル基を表す。また、R1とR2とが結合し、隣接する−C=C−と一緒になって脂肪族環を形成していてもよい。)で示される化合物(α、β−エチレン性不飽和モノマー)を常法により重合或いは共重合して得られるもの等が挙げられる。
【0012】
一般式[1]に於いて、R1〜R4で示される低級アルキル基としては、直鎖状、分枝状或いは環状の何れでもよく、通常炭素数1〜6のものが挙げられ、具体的には、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、sec−ペンチル基、tert−ペンチル基、ネオペンチル基、2−メチルブチル基、1−エチルプロピル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、sec−ヘキシル基、tert−ヘキシル基、ネオヘキシル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、1,2−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
【0013】
R1、R3及びR4で示されるカルボキシアルキル基としては、例えば上記した如き低級アルキル基の水素原子の一部がカルボキシル基に置換されたもの等が挙げられ、具体的には、例えばカルボキシメチル基、カルボキシエチル基、カルボキシプロピル基、カルボキシブチル基、カルボキシペンチル基、カルボキシヘキシル基等が挙げられる。
【0014】
R1〜R4で示されるアルキルオキシカルボニル基としては、通常炭素数2〜11のものが挙げられ、具体的には例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル、n−ブトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、sec−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、n−ペンチルオキシカルボニル基、イソペンチルオキシカルボニル基、sec−ペンチルオキシカルボニル基、tert−ペンチルオキシカルボニル基、ネオペンチルオキシカルボニル基、n−ヘキシルオキシカルボニル基、イソヘキシルオキシカルボニル基、sec−ヘキシルオキシカルボニル基、tert−ヘキシルオキシカルボニル基、ネオヘキシルオキシカルボニル基、n−ヘプチルオキシカルボニル基、イソヘプチルオキシカルボニル基、sec−ヘプチルオキシカルボニル基、tert−ヘプチルオキシカルボニル基、ネオヘプチルオキシカルボニル基、n−オクチルオキシカルボニル基、イソオクチルオキシカルボニル基、sec−オクチルオキシカルボニル基、tert−オクチルオキシカルボニル基、ネオオクチルオキシカルボニル基、2−エチルヘキシルオキシカルボニル基、n−ノニルオキシカルボニル基、イソノニルオキシカルボニル基、sec−ノニルオキシカルボニル基、tert−ノニルオキシカルボニル基、ネオノニルオキシカルボニル基、n−デシルオキシカルボニル基、イソデシルオキシカルボニル基、sec−デシルオキシカルボニル基、tert−デシルオキシカルボニル基、ネオデシルオキシカルボニル基等が挙げられる。
【0015】
R2、R3及びR4で示されるハロゲン原子としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
【0016】
R3及びR4で示されるハロアルキル基としては、例えば上記した如き低級アルキル基がハロゲン化(例えばフッ素化、塩素化、臭素化、ヨウ素化等。)された炭素数1〜6のものが挙げられ、具体的には、フルオロメチル基、クロロメチル基、ブロモメチル基、ヨードメチル基、ジフルオロメチル基、ジクロロメチル基、ジトリフルオロメチル基、トリクロロメチル基、トリブロモメチル基、トリヨードメチル基、フルオロエチル基、クロロエチル基、トリフルオロエチル基、トリクロロエチル基、フルオロプロピル基、クロロプロピル基、トリフルオロプロピル基、トリクロロプロピル基、トリフルオロブチル基、トリクロロブチル基、トリフルオロペンチル基、トリクロロペンチル基、トリフルオロヘキシル基、トリクロロヘキシル基等が挙げられる。
【0017】
R3及びR4で示される置換基を有してもよいアリール基のアリール基としては、例えばフェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等が挙げらる。また、当該置換基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基等の低級アルキル基、例えばメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基等の低級アルコキシ基、例えばアミノメチル基、アミノエチル基、アミノプロピル基、アミノブチル基、アミノペンチル基等のアミノアルキル基、例えばクロロスルホニル基等のハロスルホニル基、例えばクロロスルホニルメチル基、クロロスルホニルエチル基、クロロスルホニルプロピル基、クロロスルホニルブチル基、クロロスルホニルペンチル基等のハロスルホニルアルキル基、アミノ基、ヒドロキシル基、ハロゲン等が挙げられる。置換基を有するアリール基の具体例としては、例えばメトキシフェニル基、tert−ブトキシフェニル基、アミノメチルフェニル基、アミノエチルフェニル基、アミノプロピルフェニル基、アミノブチルフェニル基、アミノペンチルフェニル基、クロロスルホニルフェニル基、クロロスルホニルメチルフェニル基、クロロスルホニルエチルフェニル基、クロロスルホニルプロピルフェニル基、クロロスルホニルブチルフェニル基、クロロスルホニルペンチルフェニル基、フェノール基等が好ましいものとして挙げられる。
【0018】
R3及びR4で示される脂肪族ヘテロ環基としては、例えば5員環又は6員環であり、ヘテロ原子として1〜3個の例えば窒素原子,酸素原子,硫黄原子等を含んでいるもの等が好ましく挙げられ、具体例としては、例えばピラニル基、ピロリジニル基、ピロリニル基、イミダゾリニル基、ピラゾリジニル基、ピラゾリニル基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、モルホリニル基、キヌクリジニル基等が挙げられる。
【0019】
R3及びR4で示される芳香族ヘテロ環基としては、例えば5員環又は6員環であり、異性原子として1〜3個の例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を含んでいるもの等が好ましく挙げられ、具体例としては、例えばイミダゾリル基、ピラゾリル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、チエニル基、フリル基、ピロリル基、ピリジル基、インドリル基、プリニル基、キノリル基等が挙げられる。
【0020】
R3及びR4で示される含シアノアルキル基としては、例えば上記した如き低級アルキル基の水素原子の一部がシアノ基に置換されたものが挙げられ、具体的には、例えばシアノメチル基,2−シアノエチル基,2−シアノプロピル基,3−シアノプロピル基,2−シアノブチル基,4−シアノブチル基,5−シアノペンチル基,6−シアノヘキシル基等が挙げられる。
【0021】
R3及びR4で示されるアシルオキシ基としては、通常炭素数2〜20のカルボン酸由来のものが挙げられ、具体的には、例えばアセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基、イソブチリルオキシ基、バレリルオキシ基、イソバレリルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ヘキサノイルオキシ基、ヘプタノイルオキシ基、オクタノイルオキシ基、ノナノイルオキシ基、デカノイルオキシ基、ドデカノイルオキシ基、トリデカノイルオキシ基、テトラデカノイルオキシ基、ペンタデカノイルオキシ基、ヘキサデカノイルオキシ基、ヘプタデカノイルオキシ基、オクタデカノイルオキシ基、ノナデカノイルオキシ基、イコサノイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等が挙げられる。
【0022】
R3及びR4で示されるN−アルキルカルバモイル基としては、カルバモイル基の水素原子の一部が上記した如き低級アルキル基で置換されたものが挙げられ、具体的には、例えばN−メチルカルバモイル基,N−エチルカルバモイル基,N−n−プロピルカルバモイル基,N−イソプロピルカルバモイル基,N−n−ブチルカルバモイル基,N−イソブチルカルバノイル基、N−sec−ブチルカルバモイル基、N−tert−ブチルカルバモイル基、N−n−ペンチルカルバモイル基、N−イソペンチルカルバモイル基、N−sec−ペンチルカルバモイル基、N−tert−ペンチルカルバモイル基、N−ネオペンチルカルバモイル基、N−n−ヘキシルカルバモイル基、N−イソヘキシルカルバモイル基、N−sec−ヘキシルカルバモイル基、N−tert−ヘキシルカルバモイル基、N−ネオヘキシルカルバモイル基等が挙げられる。
【0023】
R3及びR4で示されるアミノアルキル基としては、例えば上記した如き低級アルキル基の水素原子の一部がアミノ基に置換されたものが挙げられ、具体的には、例えばアミノメチル基,2−アミノエチル基,2−アミノプロピル基,3−アミノプロピル基,2−アミノブチル基,4−アミノブチル基,5−アミノペンチル基,6−アミノヘキシル基等が挙げられる。
【0024】
R1とR2とが結合し、隣接する−C=C−と一緒になって脂肪族環を形成している場合としては、炭素数5〜10の不飽和脂肪族環を形成している場合が挙げられ、環は単環でも多環でもよい。これら環の具体的なものとしては、例えばノルボルネン環、シクロペンテン環、シクロヘキセン環、シクロオクテン環、シクロデセン環等が挙げられる。
【0025】
一般式[1]で示される化合物の具体例としては、例えばエチレン,プロピレン,ブチレン,イソブチレン等の炭素数2〜20のエチレン性不飽和脂肪族炭化水素類、例えばスチレン,4−メチルスチレン,4−エチルスチレン,ジビニルベンゼン、クロロスルホニルスチレン、アミノスチレン、アミノメチルスチレン、アミノエチルスチレン、アミノプロピルスチレン、アミノブチルスチレン、アミノペンチルスチレン、ヒドロキシスチレン等の炭素数8〜20のエチレン性不飽和芳香族炭化水素類、例えばギ酸ビニル,酢酸ビニル,プロピオン酸ビニル,酢酸イソプロペニル等の炭素数3〜20のアルケニルエステル類、例えば塩化ビニル,塩化ビニリデン,フッ化ビニリデン,テトラフルオロエチレン等の炭素数2〜20の含ハロゲンエチレン性不飽和化合物類、例えばアクリル酸,メタクリル酸,イタコン酸,マレイン酸,フマル酸,クロトン酸,ビニル酢酸,アリル酢酸,ビニル安息香酸等の炭素数3〜20のエチレン性不飽和カルボン酸類(これら酸類は、例えばナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩やアンモニウム塩等、塩の形になっているものでもよい。)、例えばメタクリル酸メチル,メタクリル酸エチル,メタクリル酸プロピル,メタクリル酸ブチル,メタクリル酸−2−エチルヘキシル,アクリル酸メチル,アクリル酸エチル,アクリル酸プロピル,アクリル酸ブチル,アクリル酸2−エチルヘキシル,メタクリル酸ラウリル,アクリル酸ステアリル,イタコン酸メチル,イタコン酸エチル,マレイン酸メチル,マレイン酸エチル,フマル酸メチル,フマル酸エチル,クロトン酸メチル,クロトン酸エチル,3−ブテン酸メチル等のエチレン性不飽和カルボン酸エステル類、例えばアクリロニトリル,メタクリロニトリル,シアン化アリル等の炭素数3〜20の含シアノエチレン性不飽和化合物類、例えばアクリルアミド,メタクリルアミド、アリルアミン等の炭素数3〜20のエチレン性不飽和アミド化合物類、例えばアクロレイン,クロトンアルデヒド等の炭素数3〜20のエチレン性不飽和アルデヒド類、例えばN−ビニルピロリドン,ビニルピペリジン等の炭素数5〜20のエチレン性不飽和脂肪族ヘテロ環状アミン類、例えばビニルピリジン、1−ビニルイミダゾール等の炭素数5〜20のエチレン性不飽和芳香族ヘテロ環状アミン類等が挙げられ、好ましくはスチレン,4−メチルスチレン,4−エチルスチレン,ジビニルベンゼン,クロロスルホニルスチレン、アミノスチレン、アミノメチルスチレン、アミノエチルスチレン、アミノプロピルスチレン、アミノブチルスチレン、アミノペンチルスチレン、ヒドロキシスチレン等の炭素数8〜20のエチレン性不飽和芳香族炭化水素類、アクリルアミド,メタクリルアミド、アリルアミン等の炭素数3〜20のエチレン性不飽和アミド化合物類等である。
【0026】
本発明に係る有機合成高分子化合物に於けるポリアミドとしては、ジカルボキシ化合物とジアミノ化合物との縮重合によって得られるポリマー等が挙げられ、例えば一般式[2]
【0027】
(式中、R5は例えばメチレン基,エチレン基,トリメチレン基,プロピレン基,メチルメチレン基,メチルエチレン基,エチルメチレン基,テトラメチレン基,ペンタメチレン基,ヘキサメチレン基,シクロプロピレン基,シクロペンチレン基,シクロヘキシレン基等の直鎖状、分枝状又は環状の炭素数1〜6の低級アルキレン基、例えばフェニレン基等の炭素数6〜9のアリーレン基又はフェニルメチレン基,フェニルエチレン基等の炭素数7〜12のアリール低級アルキレン基を表し、R6は例えばビニレン基,プロペニレン基,1−ブテニレン基,2−ブテニレン基,1−ペンテニレン基,2−ペンテニレン基,3−ペンテニレン基,1−ヘキセニレン基,2−ヘキセニレン基,3−ヘキセニレン基,2,4−ヘキサジエニレン基,1−メチル−2−ブテニレン基,3−シクロヘキセン−1,2−イレン基,2,5−シクロヘキサジエン−1,4−イレン基等の直鎖状、分枝状又は環状の炭素数2〜6のアルケニレン基を表し、rは通常10〜2000、好ましくは50〜1000を表す。)で示される化合物等が好ましい。
【0028】
また、ジカルボキシ化合物とジアミノ化合物とを反応させる際、飽和脂肪族ジカルボン酸を併用してもよい。
【0029】
ジカルボキシ化合物の代表例としては、例えばマレイン酸、フマル酸、イタコン酸、メサコン酸、シトラコン酸、クロトン酸等が挙げられ、ジアミノ化合物としては、例えばエチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン等が挙げられる。
【0030】
飽和脂肪族ジカルボン酸の代表例としては、例えばアジピン酸、コハク酸、セバシン酸等が挙げられる。
【0031】
本発明に係る有機合成高分子化合物に於けるポリエステルとしては、例えばジカルボキシ化合物とジヒドロキシ化合物との縮重合によって得られるポリマー等が挙げられ、例えば下記一般式[3]
【0032】
(式中、R7は例えばメチレン基,エチレン基,トリメチレン基,プロピレン基,メチルメチレン基,メチルエチレン基,エチルメチレン基,テトラメチレン基,ペンタメチレン基,ヘキサメチレン基,シクロプロピレン基,シクロペンチレン基,シクロヘキシレン基等の直鎖状、分枝状又は環状の炭素数1〜6の低級アルキレン基、例えばフェニレン基等の炭素数6〜9のアリーレン基又はフェニルメチレン基,フェニルエチレン基等の炭素数7〜12のアリール低級アルキレン基を表し、R8は例えばビニレン基,プロペニレン基,1−ブテニレン基,2−ブテニレン基,1−ペンテニレン基,2−ペンテニレン基,3−ペンテニレン基,1−ヘキセニレン基,2−ヘキセニレン基,3−ヘキセニレン基,2,4−ヘキサジエニレン基,1−メチル−2−ブテニレン基,3−シクロヘキセン−1,2−イレン基,2,5−シクロヘキサジエン−1,4−イレン基等の直鎖状、分枝状又は環状の炭素数2〜6のアルケニレン基を表し、mは通常10〜2000、好ましくは50〜1000を表す。)で示される化合物等が好ましい。
【0033】
また、ジカルボキシ化合物とジヒドロキシ化合物とを反応させる際、飽和脂肪族ジカルボン酸を併用してもよい。
【0034】
ジヒドロキシ化合物の代表例としては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール等が挙げられ、また、ジカルボキシ化合物及び飽和脂肪族ジカルボン酸の代表例としては、上記ポリアミドを得る際に用いられるものと同じものが挙げられる。
【0035】
本発明に係る有機合成高分子化合物に於けるポリエーテルとしては、エチレンオキシド、テトラヒドロフラン等の環状エーテルの開環イオン重合で得られる下記一般式[4]
【0036】
(式中、R9は水素原子、低級アルキル基、ハロアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、脂肪族ヘテロ環基、芳香族ヘテロ環基、ハロゲン原子、アルキルオキシカルボニル基、シアノ基、含シアノアルキル基、アシルオキシ基、カルボキシル基、カルボキシアルキル基、アルデヒド基、カルバモイル基、若しくはN−アルキルカルバモイル基、アミノ基又はアミノアルキル基を表し、nは通常1〜100、好ましくは1〜30の整数を表す)で示される化合物等が好ましい。
【0037】
上記一般式[4]においてR9で示される低級アルキル基、ハロアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、脂肪族ヘテロ環基、芳香族ヘテロ環基、ハロゲン原子、アルキルオキシカルボニル基、シアノ基、含シアノアルキル基、アシルオキシ基、カルボキシル基、カルボキシアルキル基、アルデヒド基、カルバモイル基、若しくはN−アルキルカルバモイル基、アミノ基又はアミノアルキル基の具体例としては、上記一般式[1]中のR3と同じものが挙げられる。
【0038】
本発明に係る有機合成高分子化合物に於けるエポキシ樹脂としては、対応するエピハロヒドリンとビフェノール化合物とから得られる下記一般式[5]
【0039】
(式中、R10及びR11は夫々独立して水素原子又は直鎖状、分枝状若しくは環状の炭素数1〜6の低級アルキル基を表し、Zは例えばメチレン基,エチレン基,トリメチレン基,プロピレン基,メチルメチレン基,メチルエチレン基,エチルメチレン基,テトラメチレン基,ペンタメチレン基,ヘキサメチレン基,シクロプロピレン基,シクロペンチレン基,シクロヘキシレン基等の直鎖状、分枝状又は環状の炭素数1〜6の低級アルキレン基を表し、nは通常1〜100、好ましくは1〜30の整数を表し、Qは下記一般式[6]
【0040】
[式中、Tは結合手或いは例えばメチレン基,エチレン基,トリメチレン基,プロピレン基,メチルメチレン基,メチルエチレン基,エチルメチレン基,テトラメチレン基,ペンタメチレン基,ヘキサメチレン基,シクロプロピレン基,シクロペンチレン基,シクロヘキシレン基等の直鎖状、分枝状又は環状の炭素数1〜6の低級アルキレン基を表す。]で示される基を表す。)で示される化合物等が好ましい。
【0041】
本発明に係る有機合成高分子化合物に於けるノボラック樹脂としては、例えばホルムアルデヒドとフェノールとから得られる下記一般式[7]
【0042】
(lは通常2〜100、好ましくは2〜30を表す。)で示される化合物等が好ましい。
【0043】
本発明に係る有機合成高分子化合物に於けるデンドリマーとしては、コアを中心にして規則的な枝分かれ構造からなる樹木状多分岐高分子で理想的には単一分子量の有機高分子であれば特に限定はされないが、例えばポリ(アミドアミン)デンドリマー、ポリ(アリールエーテル)デンドリマー、ポリ(アリールエステル)デンドリマー等が挙げられる。また、これらデンドリマーの合成方法としては、例えば現代化学1998年6月号20〜27頁、J. Am. Chem. Soc.,112,7638(1990)、Chem. Commum., 1996. 2143等に記載の自体公知の方法に準じて行えばよい。また、デンドリマーの具体例及びデンドリマー合成用のビルディングブロック(構成単位)としては、上記文献に記載されているものが挙げられる。
【0044】
上記有機合成高分子化合物の中でも、好ましくはスチレンポリマー,4−メチルスチレンポリマー,4−エチルスチレンポリマー,ジビニルベンゼンポリマー,クロロスルホニルスチレンポリマー、アミノスチレンポリマー、アミノメチルスチレンポリマー、アミノエチルスチレンポリマー、アミノプロピルスチレンポリマー、アミノブチルスチレンポリマー、アミノペンチルスチレンポリマー、ヒドロキシスチレンポリマー等の炭素数8〜20のエチレン性不飽和芳香族炭化水素を重合した化合物類、アクリルアミドポリマー,メタクリルアミドポリマー、アリルアミンポリマー等の炭素数3〜20のエチレン性不飽和アミド化合物を重合した化合物類等が好ましく、より好ましくはクロロスルホニルスチレンポリマー、アミノスチレンポリマー、アミノメチルスチレンポリマー、アミノエチルスチレンポリマー、アミノプロピルスチレンポリマー、アミノブチルスチレンポリマー、アミノペンチルスチレンポリマー、ヒドロキシスチレンポリマー、ポリアリルアミン等であり、中でもアミノプロピルスチレンポリマーが最も好ましい。
【0045】
尚、上記有機合成高分子化合物は、市販品を用いても自体公知の方法により調製したものを用いてもよい。
【0046】
疎水性基を導入したシリカ化合物及び有機合成高分子化合物は、市販品を用いても自体公知の方法により調製したものを用いてもよく、調製したものを用いる場合で例えばシリカ化合物としてシリカゲルを用い、疎水性基としてオクタデシル基を導入する場合には、例えばオクタデシルクロロシランとシリカゲルとを用い、自体公知の方法、例えば逆相高速液体クロマトグラフィー(A.M.KRSTULOVIC・P.R.BROWN著、波多野博行・牧野圭祐・中野勝之訳)81頁に記載の方法に準じて合成すればよい。
【0047】
本発明に係るジフェニルアントラセン測定の前処理方法としては、本発明に係る活性炭を試料と接触させることによりなされるが、具体的には例えば本発明に係る活性炭をカラム等に充填しそのカラムに試料を通液等により適用させることにより、また、例えばビーカー等の容器に試料及び本発明に係る活性炭を入れ、一定時間放置することによりなされる。尚、本発明に係る活性炭をカラム等に充填して用いる場合、必要に応じて加圧や吸引をしてもよく、更に液体クロマトグラフィー用のカラムと連結して用いてもよい。上記した前処理方法の中でも、処理後の試料の取り扱いの点、処理の容易さの点から、本発明に係る活性炭をカラム等に充填して用いるのが好ましい。また、試料を本発明に係る活性炭と接触させる際には、試料を一定量ずつ接触させ、2回目以降に接触させた試料をジフェニルアントラセンの測定に付すことが好ましい。具体的には、例えば試料を本発明に係る活性炭と適当量(例えば1ml)ずつ接触させる場合、2回目以降に接触させた試料をジフェニルアントラセンの測定に付すことが好ましく、中でも3回目に接触させた試料をジフェニルアントラセンの測定に付すことがより好ましい。これは、本発明に係る活性炭の吸着力が大きいために、本発明に係る活性炭に最初に接触させた試料に於いてはDPAも吸着される可能性があり、それを回避するためになされるものである。尚、本発明に係る活性炭をカラム等に充填して用いる場合には、カラムを通液した試料を適当量(例えば1ml)ずつ採取し、2回目以降に採取した通液試料を用いればよい。
【0048】
試料と接触させる際に用いられる、本発明に係る活性炭の量としては、接触させる方法等により多少異なるが、試料1mlに対して通常0.01〜10g、好ましくは0.1〜5gである。
【0049】
本発明に係るジフェニルアントラセン測定の前処理方法で用いられる試料としては、DPAを含むものであれば特に限定はされないが、例えばDPAを含む、重油、灯油、軽油等の石油、例えばDPAを含む有機溶媒等が挙げられる。尚、ここでいう有機溶媒としては、有機溶媒にアセトニトリル、THF(テトラヒドロフラン)、アセトン、ベンゼン、1−ブタノール、t−ブチルメチルエーテル、四塩化炭素、クロロホルム、シクロヘキサン、o−ジクロロベンゼン、1,2−ジクロロエタン、ジクロロメタン、DMF(N,N−ジメチルフォルムアミド)、1,4−ジオキサン、エタノール、酢酸エチル、ヘプタン、ヘキサン、メタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、トルエン、1,2,4−トリクロロベンゼン、2,2,4−トリメチルペンタン等が挙げられる。
【0050】
本発明に係るジフェニルアントラセンの測定方法としては、上記前処理法に付した試料を、例えば上記した如き本発明に係る充填剤を充填したカラムを用いる液体クロマトグラフィーにより分離を行い、適当な検出器により測定を行えばよい。上記液体クロマトグラフィーの具体的な条件としては、流速は通常0.1〜5ml/分、好ましくは0.2〜2ml/分であり、移動層としては、通常この分野で用いられているものでDPAの分離ができるものであればいずれでもよいが、例えばアセトニトリル、THF(テトラヒドロフラン)、アセトン、ベンゼン、1−ブタノール、t−ブチルメチルエーテル、四塩化炭素、クロロホルム、シクロヘキサン、o−ジクロロベンゼン、1,2−ジクロロエタン、ジクロロメタン、DMF(N,N−ジメチルフォルムアミド)、1,4−ジオキサン、エタノール、酢酸エチル、ヘプタン、ヘキサン、メタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、トルエン、1,2,4−トリクロロベンゼン、2,2,4−トリメチルペンタン、水等が挙げられ、中でもアセトニトリル、THF(テトラヒドロフラン)等が好ましい。また、グラジエントにより移動層を変化させてもよい。検出器としては、通常この分野で用いられているものを用いればよく、例えばUV検出器、蛍光検出器等が挙げられる。尚、UV検出器を用いる場合の検出波長としては、通常200〜550nm、好ましくは250〜450nmであり、また、蛍光検出器を用いる場合の励起波長及び蛍光波長としては、夫々通常200〜550nm及び200〜550nmであり、好ましくは350〜450nm及び350〜450nmである。
【0051】
上記のように、本発明に係るDPAの前処理方法は、DPA測定時に影響を与える試料中の夾雑物を効果的に除去し得るものであり、また、活性炭に接触させるという、非常に簡便な方法でもある。該前処理に付した試料を用いてDPAを測定することにより、高精度且つ高感度にDPAを測定し得るという効果をも奏するものである。
【0052】
以下実施例によって本発明を説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。
【0053】
実験例1
各種吸着剤における軽油中の蛍光分析時の夾雑物除去能力について検討した。試料:軽油5mlに濃硫酸5mlを加え30秒間撹拌し、2分間静置後、上層(軽油層)3mlをWakogel P28(和光純薬工業(株)製)600mgを充填したカラムに通液し得られたろ液を試料とした。
操作:表1に記載の各種吸着剤400mgを充填したカラムに上記試料2mlを通液した。得られたろ液の蛍光強度を蛍光分光光度計(励起波長:Ex:400nm、蛍光波長:200〜550nm)で測定した。得られた蛍光強度の最大値を表1に示す。
【0054】
【表1】
【0055】
上記結果から、各種吸着剤の中でも、活性炭が、最も試料の蛍光値を減らすことができることが分かった。即ち、活性炭を吸着剤として用いることで、軽油中に含まれる蛍光測定時の夾雑物を効率よく除去できることが分かった。
【0056】
実施例1 活性炭の性能評価
各種活性炭における軽油中の夾雑物除去能力とDPAの回収率について検討した。
試料:50ppbのDPAを含む軽油
操作:上記試料を各種吸着剤1.0gを充填したカラムに加圧しながら通過させ、通過液を1.0gごとに分取した。尚、得られた1.0gの通過液を夫々順にフラクション1、2、3、4及び5とした。次いで、各フラクションの通過液1.0gのうち0.4mlを取り出し、イソプロピルアルコール(IPA)0.4mlと混和し、下記条件で高速液体クロマトグラフィー(HPLC)にて蛍光成分の分析を行った。その結果を表2に示す。尚、表中の数字はHPLCによるDPAのピーク面積を示す。また、50ppbDPA(ブランク)は、DPAの50ppb IPA溶液をIPAで2倍希釈したものをHPLCにより測定した値である。
【0057】
HPLC条件:
カラム: Wakosil 5C18(和光純薬工業(株)製),
流 速: 1分/min,
移動層: 0〜20分 アセトニトリル/水=75/25〜85/15(グラジエント)
20〜21分 アセトニトリル/水=85/15
21〜26分 アセトニトリル=85/15〜75/25(グラジエント)
26〜30分 アセトニトリル/水=75/25
検出器: 蛍光分光光度計(Ex:373nm, Em:426nm),
注入量: 5μl
【0058】
【表2】
【0059】
表2から明らかなように、試料を一定量通液した後に得られるフラクションに於けるDPAのピーク面積の比較から、充填剤として活性炭(水蒸気賦活化粉末炭及び顆粒炭)を用いることにより、活性炭埋蔵シリカゲルやアルカリ及び酸洗浄により活性炭を処理した充填剤等を用いた場合と比較して、ピーク面積値がDPAのブランクのピーク面積値に近い測定値が得られた。また、中でも白鷺Aの測定値が、DPAのブランクのピーク面積値に近い測定値であった。更に、明細書中では示していないが、DPAのピーク形状も活性炭を吸着剤として用いたものの方がシャープであった。これらのことから、活性炭は、酸やアルカリ等による洗浄やシリカゲル中に埋蔵させることによりその吸着物除去効果が落ちるかDPAも吸着してしまうという欠点を有するが、水蒸気賦活化粉末炭及び顆粒炭を用いることでDPA以外の夾雑物を効率よく除去し得ることが分かった。また、フラクション1よりもフラクション2以降の方がより高精度な値が得られることも分かった。
【0060】
実施例2 活性炭(白鷺A)の各種油に対する性能評価
活性炭(白鷺A)の軽油、灯油、重油中での夾雑物除去能力とDPAの回収率について検討した。
試料:50ppbのDPAを含む軽油(15D, 22D)、重油及び灯油
操作:活性炭(白鷺A)500mgが充填されたカラムに各種試料を加圧しながら通過させ、通過液を1.0gごとに分取した。尚、得られた1.0gの通過液を夫々順にフラクション1、2、3、4及び5とした。次いで、各フラクションの通過液1.0gのうち0.4mlを取り出し、IPA(0.4ml)と混和し、実施例1と同条件でHPLCにて測定を行った。得られた結果を表3に示す。尚、表中の数字はHPLCによるDPAのピーク面積を示す。また、50ppbDPAとは、DPAの50ppb IPA溶液をIPAで2倍希釈したものを、HPLCにより測定したピーク面積値である。
【0061】
【表3】
【0062】
表3の結果から、軽油及び重油はフラクション2〜5で、灯油はフラクション3〜5でほぼスタンダードの値に近い結果が得られることが分かった。即ち、フラクション3以降であれば、活性炭によりDPAは吸着されずその夾雑物のみが除去され、DPAを精度よく測定し得るようになることが分かった。
【0063】
実施例3 活性炭(白鷺A)の混合油に対する性能評価
軽油、灯油、重油が混合された場合の活性炭(白鷺A)の夾雑物除去能力とDPAの回収率について検討した。
試料:1ppm(1000ppb)のDPAを含む重油(4種)及び灯油(1種)を表3に記載の混入率で軽油に混入したもの
活性炭(白鷺A):500mg
【0064】
操作:活性炭を充填したカラムに各種試料を加圧しながら通過させ、通過液を1.0gごとに分取した。尚、得られた1.0gの通過液を夫々順にフラクション1、2、3、4及び5とした。次いで、各フラクションの通過液1.0gから0.4mlを取り出して、IPA(0.4ml)と混和し、実施例1と同条件でHPLCにて測定を行った。得られた結果を回収率として表4及び表5に示す。尚、表中の値は、HPLCで測定したブランク値を100として、得られたピーク面積値を換算したものであり、回収率(%)を表す。また、ブランク値とは1000ppbDPAのIPA溶液をIPAで2倍希釈したものを、HPLCで測定したピーク面積値を表す。
【0065】
【表4】
【0066】
【表5】
【0067】
表4及び表5の結果から、DPAを含む重油を混入した軽油は、その混入率を変化させても、フラクション2,3及び4に於いて、精度良くDPAを測定できることが分かった。また、DPAを含む重油を混入した軽油では、混入率が50%以下のものについてはフラクション2,3及び4で、混入率が50%以上のものについてはフラクション3及び4で、精度良くDPAを測定できることが分かった。即ち、灯油や重油の混入量によりDPA測定は多少の影響を受けるが、フラクションを操作することにより、DPAをより精度良く測定できることが分かった。
【0068】
【発明の効果】
以上述べたとおり、本発明は、ジフェニルアントラセン測定用試料を活性炭と接触させることを特徴とする当該試料の前処理方法及び該前処理方法により処理した試料について、液体クロマトグラフィーによるジフェニルアントラセン測定を行うことを特徴とする、試料中のジフェニルアントラセンの測定方法を提供するものであり、これを用いれば試料又は溶液中に存在するDPA測定に影響を与える夾雑物を容易に且つ高効率に除去し得、また、高精度且つ高感度にDPAを測定し得るという効果を奏する。
Claims (13)
- ジフェニルアントラセン測定用試料を活性炭と接触させることを特徴とする、当該試料の前処理方法。
- 試料を活性炭と接触させる方法が、活性炭を充填したカラムに試料を適用させることである、請求項1に記載の前処理方法。
- 活性炭を充填したカラムにジフェニルアントラセン測定用試料を適用させた後、一定量の試料が流出した後の流出分を採取し、これをジフェニルアントラセン測定に使用するものとする、請求項2に記載の前処理方法。
- 活性炭が粉末炭である、請求項1〜3の何れかに記載の前処理方法。
- 粉末炭が水蒸気により賦活化されたものである、請求項4に記載の前処理方法。
- 液体クロマトグラフィーにより行われるジフェニルアントラセン測定に於ける試料の前処理として用いられる、請求項1〜5の何れかに記載の前処理方法。
- 請求項1〜5の何れかに記載の前処理方法により処理した試料について、液体クロマトグラフィーによりジフェニルアントラセン測定を行うことを特徴とする、試料中のジフェニルアントラセンの測定方法。
- 活性炭を充填したカラムによる試料の前処理と液体クロマトグラフィーによるジフェニルアントラセン測定が連続してなされる請求項7に記載の方法。
- 液体クロマトグラフィーで用いられるカラムの充填剤が、疎水性である請求項7又は8に記載の方法。
- 充填剤が、オクタデシル基、オクチル基、ブチル基、フェニル基、シアノプロピル基又はアミノプロピル基が担体に導入されたものである、請求項9に記載の方法。
- 充填剤が、担体にオクタデシル基が導入されたものである、請求項10に記載の方法。
- 担体がシリカ化合物、有機合成高分子化合物、カーボン化合物、チタニア、又はジルコニアである、請求項11に記載の方法。
- 担体がシリカ化合物である、請求項11に記載の方法。
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