JP2004059735A - ポリエステル、それからなるポリエステル組成物およびその製造方法 - Google Patents

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Yoshinao Matsui
松井 義直
Yasuki Nakai
仲井 保樹
Takahiro Nakajima
中嶋 孝宏
Shoichi Gyobu
形舞 祥一
Yoshitaka Eto
衛藤 嘉孝
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Abstract

【課題】触媒活性に優れ、かつその触媒を用いて製造されたポリエステルの成形時のフィルター詰まりの問題や成形体の品質の問題、特に結晶化速度が改善されたポリエステル組成物、及びその触媒を用いたポリエステルの製造方法を提供する。
【解決手段】アルミニウム化合物にフェノール系化合物、リン化合物又はフェノール部を同一分子内に有するリン化合物を組合せ、さらにゲルマニウムおよびその化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種を共存したポリエステル重合触媒として用いて製造したポリエステル組成物、ならびに該製造方法。

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はポリエステル重合触媒を用いて重合されたポリエステル、および、そのポリエステルを用いて製造された成形体に関するものであり、詳しくは、アルミニウムもしくはアルミニウム化合物のうちから選ばれた少なくとも1種とゲルマニウムもしくはゲルマニウム化合物から選ばれた1種、及びフェノールもしくはリン化合物から選ばれた新規のポリエステル重合触媒用いて重合されたポリエステル組成物からなり、該ポリエステルを成形する時のフィルター詰まりの問題や、結晶化速度が高度に制御されたポリエステル組成物およびその製造方法、またそのポリエステルを用いて製造された中空成形体、シート状成形体をはじめとする成形体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等に代表されるポリエステルは、機械的特性、及び化学的特性に優れており、それぞれのポリエステルの特性に応じて、例えば衣料用や産業資材用の繊維、包装用や磁気テープ用などのフィルムやシート、中空成形品であるボトル、電気・電子部品のケーシング、その他エンジニアリングプラスチック成形品等の広範な分野において使用されている。
【0003】
代表的なポリエステルである芳香族ジカルボン酸とアルキレングリコールを主構成成分とするポリエステルは、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)の場合には、テレフタル酸もしくはテレフタル酸ジメチルとエチレングリコールとのエステル化もしくはエステル交換によってビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートを製造し、これを高温、真空下で触媒を用いて重縮合する重縮合法等により、工業的に製造されている。
【0004】
従来から、このようなポリエステルの重縮合時に用いられるポリエステル重合触媒としては、三酸化アンチモンが広く用いられている。三酸化アンチモンは、安価で、かつ優れた触媒活性をもつ触媒であるが、これを主成分、即ち、実用的な重合速度が発揮される程度の添加量にて使用すると、重縮合時に金属アンチモンが析出するため、ポリエステルに黒ずみや異物が発生するという問題点を有している。このような経緯でアンチモンを触媒主成分として含まないポリエステルが望まれている。
【0005】
なおポリエステル中の上記の異物は例えば以下のような問題を起こす。
(1)フィルム用のポリエステルにおいては、金属アンチモンの析出は、ポリエステル中の異物となり、溶融押し出し時の口金汚れの原因になるだけでなく、フィルムの表面欠点の原因にもなる。また、中空の成形品等の原料とした場合には、透明性の優れた中空成形品を得ることが困難である。
(2)繊維用のポリエステル中の異物は、繊維中に強度低下をもたらす異物となり、製糸時の口金汚れの原因となる。ポリエステル繊維の製造においては、主に操業性の観点から、異物の発生のないポリエステル重合触媒が求められる。
【0006】
上記の問題を解決する方法として、触媒として三酸化アンチモンを用いて、かつPETの黒ずみや異物の発生を抑制する試みが行われている。例えば、特許第2666502号においては、重縮合触媒として三酸化アンチモンとビスマスおよびセレンの化合物を用いることで、PET中の黒色異物の生成を抑制している。また、特開平9−291141号においては、重縮合触媒としてナトリウムおよび鉄の酸化物を含有する三酸化アンチモンを用いると、金属アンチモンの析出が抑制されることを述べている。ところが、これらの重縮合触媒では、結局ポリエステル中のアンチモンの含有量を低減するという目的は達成できない。
【0007】
またポリエチレンテレフタレートはその優れた透明性、機械的強度、耐熱性、ガスバリヤー性、衛生性などの特性により炭酸飲料、ジュース、ミネラルウォータなどの清涼飲料容器、醤油、食用油等の調味料容器、及び目薬、化粧品容器の素材として広く使用されている。
【0008】
これらの用途のなかで特に果汁飲料、ミネラルウォーターやウーロン茶、緑茶、紅茶等の飲料ではポリエステル製ボトルに高温で殺菌した飲料を熱充填する方法や、また飲料充填後に高温で殺菌処理が施されることが多い。しかし通常のポリエステル製ボトルでは、このような熱充填処理時等に容器の収縮、変形が起こり問題となる為、ポリエステル製ボトルの耐熱性を向上させる方法としてプリフォーム又はボトル口栓部を熱処理して結晶化する方法(特開昭55−79237号公報、特開昭58−110221号公報等に記載の方法)や、延伸ブローしたボトルを熱固定処理(ヒートセット処理)しボトル胴部等の結晶化度を高め耐熱性を付与させたりする方法(特公昭59−6216号公報)が提案されている。
【0009】
口栓部の結晶化不足やまた結晶化度のばらつきが大きい場合には、耐熱性不足による変形が生じキャップとの密封性の低下し内容物の漏れ等が生ずることがある。またボトル胴部のヒートセット処理が不十分であると胴部が変形することがあり問題となる。
【0010】
このような口栓部、胴部を熱処理して耐熱性を向上させる方法は、結晶化処理をする時間・温度が生産性に大きく影響し、低温でかつ短時間で処理できる、結晶化速度が速いPETであることが好ましい。しかし、一方で結晶化速度が早すぎても口部結晶化処理による収縮率が変動し結晶化後の口部寸法が規定値から外れ、キャップとの密閉性が低下し内容物の漏れ等が生ずることがある。また、ボトルの口部以外の部分についてはガラスライクの透明性が要求されるが、ポリエステルの結晶化速度が速すぎると、プリフォームを延伸温度まで加熱する過程でプリフォームが結晶化し、延伸ブロー成形したボトルの外観が白濁する問題が生じる事がある。
従って、ポリエステルの結晶化速度は、早すぎても、遅すぎても問題が生じるおそれがあり、ある範囲内にコントロールすることが必要不可欠となる。
【0011】
また、ボトル胴部の耐熱性を向上させるため、延伸ブロ−金型の温度を高温にして熱処理する方法が採られるが、このような方法によって同一ブロー金型を用いて多数のボトル成形を続けると、長時間の運転に伴って得られるボトルが白化して透明性が低下し、商品価値のないボトルしか得られなくなる。これはブロー金型表面にPETに起因する付着物が付き、その結果金型汚れとなり、この金型汚れがボトルの表面に転写するためであることが分かった。特に、近年では、ボトルの小型化とともに成形速度が高速化されてきており、生産性の面から口栓部の結晶化のための加熱時間短縮や金型汚れはより大きな問題となってきている。
【0012】
PETボトル等の透明性が要求される用途について、アンチモン触媒の有する問題点を解決する方法として、例えば特開平6−279579号公報では、アンチモン化合物とリン化合物の使用量比を規定することにより透明性を改良される方法が開示されている。しかしながら、この方法で得られたポリエステルからの中空成形品は透明性が十分なものとはいえない。
【0013】
また、特開平10−36495号公報には、三酸化アンチモン、リン酸およびスルホン酸化合物を使用した透明性に優れたポリエステルの連続製造法が開示されている。しかしながら、このような方法で得られたポリエステルは熱安定性が悪く、得られた中空成形品のアセトアルデヒド含量が高くなるという問題を有している。
【0014】
三酸化アンチモン等のアンチモン系触媒に代わる重縮合触媒の検討も行われており、テトラアルコキシチタネートに代表されるチタン化合物やスズ化合物がすでに提案されているが、これらを用いて製造されたポリエステルは溶融成形時に熱劣化を受けやすく、またポリエステルが著しく着色するという問題点を有する。
【0015】
このような、チタン化合物を重縮合触媒として用いたときの問題点を克服する試みとして、例えば、特開昭55−116722号では、テトラアルコキシチタネートをコバルト塩およびカルシウム塩と同時に用いる方法が提案されている。また、特開平8−73581号によると、重縮合触媒としてテトラアルコキシチタネートをコバルト化合物と同時に用い、かつ蛍光増白剤を用いる方法が提案されている。ところが、これらの技術では、テトラアルコキシチタネートを重縮合触媒として用いたときのPETの着色は低減されるものの、PETの熱分解を効果的に抑制することは達成されていない。
チタン化合物を触媒として用いて重合したポリエステルの溶融成形時の熱劣化を抑制する他の試みとして、例えば、特開平10−259296号では、チタン化合物を触媒としてポリエステルを重合した後にリン系化合物を添加する方法が開示されている。しかし、重合後のポリマーに添加剤を効果的に混ぜ込むことは技術的に困難であるばかりでなく、コストアップにもつながり実用化されていないのが現状である。
【0016】
アルミニウム化合物にアルカリ金属化合物を添加して十分な触媒活性を有するポリエステル重合触媒とする技術も公知である。かかる公知の触媒を使用すると熱安定性に優れたポリエステルが得られるが、このアルカリ金属化合物を併用した触媒は、実用的な触媒活性を得ようとするとそれらの添加量が多く必要であり、その結果、得られたポリエステル重合体の色調が悪化する、すなわち重合体が黄色く着色するという問題が発生し、フイルム等に使用したときに成形品の色調が悪化するという問題が発生する。また得られたポリエステル重合対中のアルカリ金属に起因する異物量が多くなり、繊維に使用したときには製糸性や糸物性が、またフイルムに使用したときはフイルム物性などが悪化する他に、ポリエステル重合体の耐加水分解性の低下などの問題も発生する。
【0017】
一方、アルミニウム化合物とコバルト化合物を併用することで、触媒活性を持たせ、かつポリエステル重合体の黄みを抑える技術があるが、コバルト化合物を十分な触媒活性を有する程度や十分に黄みを抑える程度に添加すると、得られるポリエステル重合体に黒ずみが発生し、重合体の明るさが低下するという問題が発生し、フイルム等に使用したときに成形品の色調が悪化するという問題が発生する。また、コバルト化合物を十分な触媒活性を有する程度に添加すると得られるポリエステル重合体の熱安定性や耐加水分解性が低下するという問題も発生する。
【0018】
アンチモン化合物以外で優れた触媒活性を有しかつ上記の問題を有しないポリエステルを与える触媒としてはゲルマニウム化合物がすでに実用化されている。ゲルマニウム触媒の析出がないために口元結晶化及びボトル外観の透明性確保に対してバランスの良い結晶化速度を持っている。また衛生的に問題がないというポリエステル製造、中空容器製造、及び中空容器物性に対し優れた特徴を持っている。しかしゲルマニウム触媒は重合中に反応系から外へ流出しやすいため反応系の触媒濃度が変化し易く、高度な重合の制御技術が必要とされる上に、触媒自体が非常に高価であることからポリエステルも高価になる問題を有している。
【0019】
また、ポリエステルの溶融成形時の熱劣化を抑制する方法として、ポリエステルから触媒を除去する方法も挙げられる。ポリエステルから触媒を除去する方法としては、例えば特開平10−251394号公報には、酸性物質の存在下にポリエステル樹脂と超臨界流体である抽出剤とを接触させる方法が開示されている。しかし、このような超臨界流体を用いる方法は技術的に困難である上にコストアップにもつながるので好ましくない。
【0020】
以上のような経緯で触媒活性に優れ、かつ製造されたポリエステルに上記のような問題が見られないポリエステルを与える重合触媒が望まれている。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は触媒活性に優れ、その触媒を用いて製造されたポリエステルを成形する時に上記したような問題が生じない品質に優れたポリエステルを与える重合触媒を用いて製造されたポリエステル組成物を提供することを目的としている。
【0022】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題の解決を目指して鋭意検討を重ねた結果、アルミニウム化合物にフェノール系化合物、リン化合物又はフェノール部を同一分子内に有するリン化合物を組合せ、さらにゲルマニウムおよびその化合物から選択される少なくとも一種を共存させることによって、もともと触媒活性に劣るアルミニウム化合物が重縮合触媒として十分な活性をもつようになるとともに、ポリエステルに不溶性の異物の生成が効果的に抑える事により、ポリエステルを成形する時のフィルター詰まり等の問題や結晶化速度を含む成形体の品質が改善されることを見いだし本発明に到達した。本発明のポリエステル重合触媒は触媒活性に優れるとともに、その触媒を用いると品質に優れたポリステルを得ることができる。
すなわち、本発明は上記課題の解決法として、以下の手段を採用したものである。
【0023】
1.芳香族ジカルボン酸又はそのエステル形成誘導体を主成分とするジカルボン酸成分と、ジオールまたはそのエステル形成性誘導体とのエステル化反応またはエステル交換反応により得られる生成物を重縮合して得られたポリエステルであって、アルミニウムもしくはアルミニウム化合物のうち少なくともいずれか一種と、ゲルマニウムもしくはゲルマニウム化合物より選ばれる少なくとも一種と、フェノール系化合物から選択される少なくとも一種とを含有する触媒によって合成されるとともに、示差走査型熱量計により測定した、前記ポリエステルから得られた成形体非晶部もしくは非晶化した成形体の昇温時結晶化温度が、150〜175℃の範囲であることを特徴とするポリエステル組成物。
【0024】
2.芳香族ジカルボン酸又はそのエステル形成誘導体を主成分とするジカルボン酸成分と、ジオールまたはそのエステル形成性誘導体とのエステル化反応またはエステル交換反応により得られる生成物を重縮合して得られたポリエステルであって、アルミニウムもしくはアルミニウム化合物のうち少なくともいずれか一種と、ゲルマニウムもしくはゲルマニウム化合物より選ばれる少なくとも一種と、リン化合物から選択される少なくとも一種とを含有する触媒によって合成されるとともに、示差走査型熱量計により測定した、前記ポリエステルから得られた成形体非晶部もしくは非晶化した成形体の昇温時結晶化温度が、150〜175℃の範囲であることを特徴とするポリエステル組成物。
【0025】
3.触媒としてさらにリン化合物から選択される少なくとも一種を用いることを特徴とする上記1に記載のポリエステル組成物。
【0026】
4.リン化合物が、ホスホン酸系化合物、ホスフィン酸系化合物、ホスフィンオキサイド系化合物、亜ホスホン酸系化合物、亜ホスフィン酸系化合物、ホスフィン系化合物から選択されることを特徴とする上記2〜3に記載のポリエステル組成物。
【0027】
5.リン化合物が、下記一般式化8〜化10で表される化合物から選択されることを特徴とする上記2〜4のいずれかに記載のポリエステル組成物。
【0028】
【化8】
Figure 2004059735
【化9】
Figure 2004059735
【化10】
Figure 2004059735
【0029】
(化8〜化10中、R、R、R、Rはそれぞれ独立に水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはハロゲン基またはアルコキシル基またはアミノ基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。
、Rはそれぞれ独立に水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。ただし、炭化水素基は脂環構造や芳香環構造を含んでいてもよい。)
【0030】
6.リン化合物がフェノール部を同一分子内に有し、且つ下記一般式化11〜化13で表される化合物から選択されることを特徴とする上記2〜5に記載のポリエステル組成物。
【0031】
【化11】
Figure 2004059735
【化12】
Figure 2004059735
【化13】
Figure 2004059735
【0032】
(化11〜化13中、Rはフェノール部を含む炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはハロゲン基またはアルコキシル基またはアミノ基およびフェノール部を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。
,R,Rはそれぞれ独立に水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはハロゲン基またはアルコキシル基またはアミノ基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。R,Rはそれぞれ独立に水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。ただし、炭化水素基は分岐構造や脂環構造や芳香環構造を含んでいてもよい。RとRの末端どうしは結合していてもよい。)
【0033】
7.芳香族ジカルボン酸又はそのエステル形成誘導体を主成分とするジカルボン酸成分と、ジオールまたはそのエステル形成性誘導体とのエステル化反応またはエステル交換反応により得られる生成物を重縮合して得られたポリエステルであって、リン化合物のアルミニウム塩から選択される少なくとも一種と、ゲルマニウムもしくはゲルマニウム化合物より選ばれる少なくとも一種を含有する触媒によって合成されるとともに、示差走査型熱量計により測定した、前記ポリエステルから得られた成形体非晶部もしくは非晶化した成形体の昇温時結晶化温度が、150〜175℃の範囲であることを特徴とするポリエステル組成物。
【0034】
8.芳香族ジカルボン酸又はそのエステル形成誘導体を主成分とするジカルボン酸成分と、ジオールまたはそのエステル形成性誘導体とのエステル化反応またはエステル交換反応により得られる生成物を重縮合して得られたポリエステルであって、下記一般式化14で表される化合物から選択される少なくとも一種と、ゲルマニウムもしくはゲルマニウム化合物より選ばれる少なくとも一種を含有する触媒によって合成されるとともに、示差走査型熱量計により測定した、前記ポリエステルから得られた成形体非晶部もしくは非晶化した成形体の昇温時結晶化温度が、150〜175℃の範囲であることを特徴とするポリエステル組成物。
【0035】
【化14】
Figure 2004059735
(化14中、R、Rはそれぞれ独立に水素、炭素数1〜30の炭化水素基を表す。Rは、水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。R4は、水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基またはカルボニルを含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。lは1以上の整数、mは0または1以上の整数を表し、l+mは3である。nは1以上の整数を表す。炭化水素基は脂環構造や分岐構造や芳香環構造を含んでいてもよい。)
【0036】
9.前記芳香族ジカルボン酸が主としてテレフタル酸又はナフタレンジカルボン酸であり、ジオール成分が主としてエチレングリコールである上記1〜8のいずれかに記載のポリエステル組成物。
【0037】
10.前記芳香族ジカルボン酸がイソフタル酸および/またはナフタレンジカルボン酸を0〜15モル%含有することを特徴とする上記1〜9のいずれかに記載のポリエステル組成物。
【0038】
11.前記ポリエステル中において、ジエチレングリコ−ル成分の含有量が、前記ポリエステルを構成するグリコ−ル成分の0.5〜5.0モル%であることを特徴とする上記1〜10のいずれかに記載のポリエステル。
【0039】
12.前記ポリエステルの極限粘度が、0.6〜1.5デシリットル/グラムであることを特徴とする上記1〜11のいずれかに記載のポリエステル。
【0040】
13.上記1〜12のいずれかに記載のポリエステルの製造方法。
【0041】
14.上記1〜12のいずれかに記載のポリエステルを射出成形あるいは押出成形してなることを特徴とする成形体
【0042】
15.上記1〜12のいずれかに記載の成形体を更に少なくとも1軸方向以上に延伸加工してなることを特徴とする延伸成形体。
【0043】
16.上記1〜12のいずれかに記載のポリエステルを成形してなることを特徴とする中空成形体。
【0044】
17.上記1〜12のいずれかに記載のポリエステルを成形してなることを特徴とするシート状物質。
【0045】
18.上記1〜12のいずれかに記載のポリエステルを成形してなることを特徴とするフィルム状物質。
【0046】
【発明の実施の形態】
本発明は、優れた触媒活性を有する新規の重縮合触媒を用いて製造された品位に優れたポリエステル組成物を提供するものである。本発明に係るポリエステル成形体を製造するのに使用される重縮合触媒は、アルミニウム化合物とゲルマニウム化合物及びリン化合物またはフェノール系化合物、特にフェノール部を同一分子内に有するリン化合物とからなるポリエステル重合触媒を用いて製造されたポリエステル組成物に関するものである。
【0047】
本発明に係るポリエステルを製造するのに使用される重縮合触媒を構成するアルミニウムないしアルミニウム化合物としては、金属アルミニウムのほか、公知のアルミニウム化合物は限定なく使用できる。
【0048】
なお、本発明に係るポリエステルでは触媒組成を本発明の範囲に規定することにより、結晶核剤と成りうる触媒由来による異物の発生が飛躍的に低減されているため、該ポリエステルから得られた成形体の昇温時結晶化温度が、150〜175℃の範囲に制御可能となり、成形品の加工性、品位が優れたポリエステルが得られる。
又、触媒組成を本発明の範囲に規定した処方に加え、ポリエチレンなどのポリオレフィン樹脂、ナイロン樹脂やポリアセタール樹脂などの結晶性熱可塑性樹脂をポリエステル樹脂に配合する方法や、カオリン、タルクなどの無機核剤をポリエステル樹脂に配合する方法や、モンタン酸ワックスなどの有機核剤をポリエステル樹脂に配合する方法や、イセチオン酸誘導体を共重合してもよい。
【0049】
アルミニウム化合物としては、具体的には、ギ酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、塩基性酢酸アルミニウム、プロピオン酸アルミニウム、蓚酸アルミニウム、アクリル酸アルミニウム、ラウリン酸アルミニウム、ステアリン酸アルミニウム、安息香酸アルミニウム、トリクロロ酢酸アルミニウム、乳酸アルミニウム、酒石酸アルミニウム、クエン酸アルミニウム、サリチル酸アルミニウムなどのカルボン酸塩、塩化アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化塩化アルミニウム、炭酸アルミニウム、リン酸アルミニウム、ホスホン酸アルミニウムなどの無機酸塩、アルミニウムメトキサイド、アルミニウムエトキサイド、アルミニウムn−プロポキサイド、アルミニウムiso−プロポキサイド、アルミニウムn−ブトキサイド、アルミニウムt−ブトキサイドなどアルミニウムアルコキサイド、アルミニウムアセチルアセトネート、アルミニウムアセチルアセテート、アルミニウムエチルアセトアセテート、アルミニウムエチルアセトアセテートジiso−プロポキサイドなどのアルミニウムキレート化合物、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物およびこれらの部分加水分解物、酸化アルミニウム、金属アルミニウムなどが挙げられる。これらのうちカルボン酸塩、無機酸塩およびキレート化合物を用いるとポリエステル品質の観点などから好ましい。またこれらの中でもさらに塩基性酢酸アルミニウム、乳酸アルミニウム、塩化アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化塩化アルミニウムおよびアルミニウムアセチルアセトネートを用いるとポリエステル品質の観点などからとくに好ましい。
【0050】
本発明のアルミニウムないしアルミニウム化合物の使用量としては、得られるポリエステルのジカルボン酸や多価カルボン酸などのカルボン酸成分の全構成ユニットのモル数に対して0.001〜0.05モル%が好ましく、さらに好ましくは、0.005〜0.02モル%である。使用量が0.001モル%未満であると触媒活性が十分に発揮されない場合があり、使用量が0.05モル%以上になると、熱安定性や熱酸化安定性の低下、アルミニウムに起因する異物の発生や着色の増加が問題になる場合が発生する。
またアルミニウム化合物は、重合して得られるポリエステル中に残存するアルミニウム原子の残存量として1〜60ppmになることが好ましい。さらに好ましくは5〜25ppmである。アルミニウム原子の残存量が60ppmより多くなると、熱安定性や熱酸化安定性の低下、アルミニウムに起因する異物の発生や着色の増加が問題になる場合が発生する。
【0051】
この様にアルミニウム成分の添加量が少なくても本発明の重合触媒は十分な触媒活性を示す点に大きな特徴を有する。その結果熱安定性や熱酸化安定性が優れ、アルミニウムに起因する異物や着色が低減される。
【0052】
本発明の重縮合触媒を構成するフェノール系化合物としては、フェノール構造を有する化合物であれば特に限定はされないが、例えば、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール、2,6−ジシクロヘキシル−4−メチルフェノール、2,6−ジイソプロピル−4−エチルフェノール、2,6−ジ−tert−アミル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−tert−オクチル−4−n−プロピルフェノール、2,6−ジシクロヘキシル−4−n−オクチルフェノール、2−イソプロピル−4−メチル−6−tert−ブチルフェノール、2−tert−ブチル−2−エチル−6−tert−オクチルフェノール、2−イソブチル−4−エチル−6−tert−ヘキシルフェノール、2−シクロヘキシル−4−n−ブチル−6−イソプロピルフェノール、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−tert−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2−チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4,4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナミド)、1,3,5−トリス(2,6−ジメチル−3−ヒドロキシ−4−tert−ブチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス[(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル]イソシアヌレート、トリス(4−tert−ブチル−2,6−ジメチル−3−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、2,4−ビス(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、テトラキス[メチレン(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ)ヒドロシンナメート]メタン、ビス[(3,3−ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ブチリックアシッド)グリコールエステル、N,N’−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヒドラジン、2,2’−オギザミドビス[エチル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ビス[2−tert−ブチル−4−メチル−6−(3−tert−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシベンジル)フェニル]テレフタレート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、3,9−ビス[1,1−ジメチル2−{β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、2,2−ビス[4−(2−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシシンナモイルオキシ))エトキシフェニル]プロパン、β−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸アルキルエステル、テトラキス−[メチル−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、チオジエチレンービス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート]、ヘキサメチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、トリエチレングリコール−ビス−[−3−(3’−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)]プロピオネート、1,1,3−トリス[2−メチル−4−[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−5−tert−ブチルフェニル]ブタンなどを挙げることができる。これらは同時に二種以上を併用することもできる。これらのうち、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−[メチル−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、チオジエチレンービス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]が好ましい。
【0053】
これらのフェノール系化合物をポリエステルの重合時に添加することによってアルミニウム化合物の触媒活性が向上するとともに、重合したポリエステルの熱安定性も向上する。
【0054】
本発明のフェノール系化合物の使用量としては、得られるポリエステルのジカルボン酸や多価カルボン酸などのカルボン酸成分の全構成ユニットのモル数に対して5×10−7〜0.01モルが好ましく、更に好ましくは1×10−6〜0.005モルである。
【0055】
本発明の重縮合触媒は、フェノール系化合物に加えてさらにリン化合物をともに用いることが好ましい。
【0056】
本発明の重縮合触媒を構成するリン化合物としては特に限定はされないが、ホスホン酸系化合物、ホスフィン酸系化合物、ホスフィンオキサイド系化合物、亜ホスホン酸系化合物、亜ホスフィン酸系化合物、ホスフィン系化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物を用いると触媒活性の向上効果が大きく好ましい。これらの中でも、少なくとも一種のホスホン酸系化合物を用いると触媒活性の向上効果がとくに大きく好ましい。
【0057】
本発明で言うホスホン酸系化合物、ホスフィン酸系化合物、ホスフィンオキサイド系化合物、亜ホスホン酸系化合物、亜ホスフィン酸系化合物、ホスフィン系化合物とは、それぞれ下記式化15〜化20で表される構造を有する化合物のことを言う。
【0058】
【化15】
Figure 2004059735
【化16】
Figure 2004059735
【化17】
Figure 2004059735
【化18】
Figure 2004059735
【化19】
Figure 2004059735
【化20】
Figure 2004059735
【0059】
本発明のホスホン酸系化合物としては、例えば、メチルホスホン酸ジメチル、メチルホスホン酸ジフェニル、フェニルホスホン酸ジメチル、フェニルホスホン酸ジエチル、フェニルホスホン酸ジフェニル、ベンジルホスホン酸ジメチル、ベンジルホスホン酸ジエチルなどが挙げられる。本発明のホスフィン酸系化合物としては、例えば、ジフェニルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸メチル、ジフェニルホスフィン酸フェニル、フェニルホスフィン酸、フェニルホスフィン酸メチル、フェニルホスフィン酸フェニルなどが挙げられる。本発明のホスフィンオキサイド系化合物としては、例えば、ジフェニルホスフィンオキサイド、メチルジフェニルホスフィンオキサイド、トリフェニルホスフィンオキサイドなどが挙げられる。
【0060】
ホスフィン酸系化合物、ホスフィンオキサイド系化合物、亜ホスホン酸系化合物、亜ホスフィン酸系化合物、ホスフィン系化合物の中では、本発明のリン化合物としては、下記式化21〜26で表される化合物を用いることが好ましい。
【0061】
【化21】
Figure 2004059735
【化22】
Figure 2004059735
【化23】
Figure 2004059735
【化24】
Figure 2004059735
【化25】
Figure 2004059735
【化26】
Figure 2004059735
【0062】
上記したリン化合物の中でも、芳香環構造を有する化合物を用いると触媒活性の向上効果が大きく好ましい。
【0063】
また、本発明の重縮合触媒を構成するリン化合物としては、下記一般式化27〜29で表される化合物を用いると特に触媒活性の向上効果が大きく好ましい。
【0064】
【化27】
Figure 2004059735
【化28】
Figure 2004059735
【化29】
Figure 2004059735
【0065】
(化27〜化29中、R、R、R、Rはそれぞれ独立に水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはハロゲン基またはアルコキシル基またはアミノ基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。R、Rはそれぞれ独立に水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。ただし、炭化水素基はシクロヘキシル等の脂環構造やフェニルやナフチル等の芳香環構造を含んでいてもよい。)
【0066】
本発明の重縮合触媒を構成するリン化合物としては、上記式(20)〜(22)中、R、R、R、Rが芳香環構造を有する基である化合物がとくに好ましい。
【0067】
本発明の重縮合触媒を構成するリン化合物としては、例えば、メチルホスホン酸ジメチル、メチルホスホン酸ジフェニル、フェニルホスホン酸ジメチル、フェニルホスホン酸ジエチル、フェニルホスホン酸ジフェニル、ベンジルホスホン酸ジメチル、ベンジルホスホン酸ジエチル、ジフェニルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸メチル、ジフェニルホスフィン酸フェニル、フェニルホスフィン酸、フェニルホスフィン酸メチル、フェニルホスフィン酸フェニル、ジフェニルホスフィンオキサイド、メチルジフェニルホスフィンオキサイド、トリフェニルホスフィンオキサイドなどが挙げられる。これらのうちで、フェニルホスホン酸ジメチル、ベンジルホスホン酸ジエチルがとくに好ましい。
【0068】
本発明の重縮合触媒を構成するリン化合物としてはフェノール部を同一分子内に有するリン化合物を用いることが好ましい。フェノール部を同一分子内に有するリン化合物としては、フェノール構造を有するリン化合物であれば特に限定はされないが、フェノール部を同一分子内に有する、ホスホン酸系化合物、ホスフィン酸系化合物、ホスフィンオキサイド系化合物、亜ホスホン酸系化合物、亜ホスフィン酸系化合物、ホスフィン系化合物からなる群より選ばれる一種または二種以上の化合物を用いると触媒活性の向上効果が大きく好ましい。これらの中でも、一種または二種以上のフェノール部を同一分子内に有するホスホン酸系化合物を用いると触媒活性の向上効果がとくに大きく好ましい。
また、本発明の重縮合触媒を構成するフェノール部を同一分子内に有するリン化合物としては、下記一般式化30〜32で表される化合物を用いると特に触媒活性が向上するため好ましい。
【0069】
【化30】
Figure 2004059735
【化31】
Figure 2004059735
【化32】
Figure 2004059735
【0070】
(化30〜化32中、Rはフェノール部を含む炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはハロゲン基またはアルコキシル基またはアミノ基などの置換基およびフェノール部を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。R,R,Rはそれぞれ独立に水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはハロゲン基またはアルコキシル基またはアミノ基などの置換基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。R,Rはそれぞれ独立に水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基などの置換基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。ただし、炭化水素基は分岐構造やシクロヘキシル等の脂環構造やフェニルやナフチル等の芳香環構造を含んでいてもよい。RとRの末端どうしは結合していてもよい。)
【0071】
本発明のフェノール部を同一分子内に有するリン化合物としては、例えば、p−ヒドロキシフェニルホスホン酸、p−ヒドロキシフェニルホスホン酸ジメチル、p−ヒドロキシフェニルホスホン酸ジエチル、p−ヒドロキシフェニルホスホン酸ジフェニル、ビス(p−ヒドロキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(p−ヒドロキシフェニル)ホスフィン酸メチル、ビス(p−ヒドロキシフェニル)ホスフィン酸フェニル、p−ヒドロキシフェニルフェニルホスフィン酸、p−ヒドロキシフェニルフェニルホスフィン酸メチル、p−ヒドロキシフェニルフェニルホスフィン酸フェニル、p−ヒドロキシフェニルホスフィン酸、p−ヒドロキシフェニルホスフィン酸メチル、p−ヒドロキシフェニルホスフィン酸フェニル、ビス(p−ヒドロキシフェニル)ホスフィンオキサイド、トリス(p−ヒドロキシフェニル)ホスフィンオキサイド、ビス(p−ヒドロキシフェニル)メチルホスフィンオキサイド、および下記式化33〜化36で表される化合物などが挙げられる。これらのうちで、下記式化35で表される化合物およびp−ヒドロキシフェニルホスホン酸ジメチルがとくに好ましい。
【0072】
【化33】
Figure 2004059735
【化34】
Figure 2004059735
【化35】
Figure 2004059735
【化36】
Figure 2004059735
【0073】
上記の化35にて示される化合物としては、SANKO−220(三光株式会社製)があり、使用可能である。
【0074】
これらのフェノール部を同一分子内に有するリン化合物をポリエステルの重合時に添加することによってアルミニウム化合物の触媒活性が向上するとともに、重合したポリエステルの熱安定性も向上する。
【0075】
本発明では、リン化合物としてリンの金属塩化合物を用いることが好ましい。リンの金属塩化合物とは、リン化合物の金属塩であれば特に限定はされないが、ホスホン酸系化合物の金属塩を用いると触媒活性の向上効果が大きく好ましい。リン化合物の金属塩としては、モノ金属塩、ジ金属塩、トリ金属塩などが含まれる。
【0076】
また、上記したリン化合物の中でも、金属塩の金属部分が、Li、Na、K、Be、Mg、Sr、Ba、Mn、Ni、Cu、Znから選択されたものを用いると触媒活性の向上効果が大きく好ましい。これらのうち、Li、Na、Mgがとくに好ましい。
【0077】
本発明の重合触媒を構成するリンの金属塩化合物としては、下記一般式化37で表される化合物から選択される少なくとも一種を用いると触媒活性の向上効果が大きく好ましい。
【化37】
Figure 2004059735
(化37中、Rは水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはハロゲン基またはアルコキシル基またはアミノ基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。Rは、水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。R3は、水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基またはカルボニルを含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。lは1以上の整数、mは0または1以上の整数を表し、l+mは4以下である。Mは(l+m)価の金属カチオンを表す。nは1以上の整数を表す。炭化水素基はシキロヘキシル等の脂環構造や分岐構造やフェニルやナフチル等の芳香環構造を含んでいてもよい。)
【0078】
上記のRとしては、例えば、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、9−アンスリル、4−ビフェニル、2−ビフェニルなどが挙げられる。上記のRとしては例えば、水素、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、長鎖の脂肪族基、フェニル基、ナフチル基、置換されたフェニル基やナフチル基、−CHCHOHで表される基などが挙げられる。RO−としては例えば、水酸化物イオン、アルコラートイオン、アセテートイオンやアセチルアセトンイオンなどが挙げられる。
【0079】
上記一般式化37で表される化合物の中でも、下記一般式化38で表される化合物から選択される少なくとも一種を用いることが好ましい。
【0080】
【化38】
Figure 2004059735
(化38中、Rは水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはハロゲン基またはアルコキシル基またはアミノ基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。Rは、水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基またはカルボニルを含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。lは1以上の整数、mは0または1以上の整数を表し、l+mは4以下である。Mは(l+m)価の金属カチオンを表す。炭化水素基はシキロヘキシル等の脂環構造や分岐構造やフェニルやナフチル等の芳香環構造を含んでいてもよい。)
【0081】
上記のRとしては、例えば、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、9−アンスリル、4−ビフェニル、2−ビフェニルなどが挙げられる。RO−としては例えば、水酸化物イオン、アルコラートイオン、アセテートイオンやアセチルアセトンイオンなどが挙げられる。
【0082】
上記したリン化合物の中でも、芳香環構造を有する化合物を用いると触媒活性の向上効果が大きく好ましい。
【0083】
上記化38の中でも、Mが、Li,Na、K、Be、Mg、Sr、Ba、Mn、Ni、Cu、Znから選択されたものを用いると触媒活性の向上効果が大きく好ましい。これらのうち、Li、Na、Mgがとくに好ましい。
【0084】
本発明のリンの金属塩化合物としては、リチウム[(1−ナフチル)メチルホスホン酸エチル]、ナトリウム[(1−ナフチル)メチルホスホン酸エチル]、マグネシウムビス[(1−ナフチル)メチルホスホン酸エチル]、カリウム[(2−ナフチル)メチルホスホン酸エチル]、マグネシウムビス[(2−ナフチル)メチルホスホン酸エチル]、リチウム[ベンジルホスホン酸エチル]、ナトリウム[ベンジルホスホン酸エチル]、マグネシウムビス[ベンジルホスホン酸エチル]、ベリリウムビス[ベンジルホスホン酸エチル]、ストロンチウムビス[ベンジルホスホン酸エチル]、マンガンビス[ベンジルホスホン酸エチル]、ベンジルホスホン酸ナトリウム、マグネシウムビス[ベンジルホスホン酸]、ナトリウム[(9−アンスリル)メチルホスホン酸エチル]、マグネシウムビス[(9−アンスリル)メチルホスホン酸エチル]、ナトリウム[4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル]、マグネシウムビス[4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル]、ナトリウム[4−クロロベンジルホスホン酸フェニル]、マグネシウムビス[4−クロロベンジルホスホン酸エチル]、ナトリウム[4−アミノベンジルホスホン酸メチル]、マグネシウムビス[4−アミノベンジルホスホン酸メチル]、フェニルホスホン酸ナトリウム、マグネシウムビス[フェニルホスホン酸エチル]、亜鉛ビス[フェニルホスホン酸エチル]などが挙げられる。これらの中で、リチウム[(1−ナフチル)メチルホスホン酸エチル]、ナトリウム[(1−ナフチル)メチルホスホン酸エチル]、マグネシウムビス[(1−ナフチル)メチルホスホン酸エチル]、リチウム[ベンジルホスホン酸エチル]、ナトリウム[ベンジルホスホン酸エチル]、マグネシウムビス[ベンジルホスホン酸エチル]、ベンジルホスホン酸ナトリウム、マグネシウムビス[ベンジルホスホン酸]がとくに好ましい。
【0085】
本発明の重合触媒を構成する別の好ましいリン化合物であるリンの金属塩化合物は、下記一般式化39で表される化合物から選択される少なくとも一種からなるものである。
【0086】
【化39】
Figure 2004059735
(化39中、R、Rはそれぞれ独立に水素、炭素数1〜30の炭化水素基を表す。Rは、水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。Rは、水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基またはカルボニルを含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。RO−としては例えば、水酸化物イオン、アルコラートイオン、アセテートイオンやアセチルアセトンイオンなどが挙げられる。lは1以上の整数、mは0または1以上の整数を表し、l+mは4以下である。Mは(l+m)価の金属カチオンを表す。nは1以上の整数を表す。炭化水素基はシキロヘキシル等の脂環構造や分岐構造やフェニルやナフチル等の芳香環構造を含んでいてもよい。)
【0087】
これらの中でも、下記一般式化40で表される化合物から選択される少なくとも一種を用いることが好ましい。
【0088】
【化40】
Figure 2004059735
(化40中、Mn+はn価の金属カチオンを表す。nは1,2,3または4を表す。)
【0089】
上記化39または化40の中でも、Mが、Li,Na、K、Be、Mg、Sr、Ba、Mn、Ni、Cu、Znから選択されたものを用いると触媒活性の向上効果が大きく好ましい。これらのうち、Li、Na、Mgがとくに好ましい。
【0090】
本発明の特定のリンの金属塩化合物としては、リチウム[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル]、ナトリウム[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル]、ナトリウム[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸]、カリウム[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル]、マグネシウムビス[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル]、マグネシウムビス[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸]、ベリリウムビス[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸メチル]、ストロンチウムビス[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル]、バリウムビス[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸フェニル]、マンガンビス[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル]、ニッケルビス[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル]、銅ビス[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル]、亜鉛ビス[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル]などが挙げられる。これらの中で、リチウム[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル]、ナトリウム[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル]、マグネシウムビス[3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル]がとくに好ましい。
【0091】
本発明の別の実施形態は、リン化合物のアルミニウム塩から選択される少なくとも一種、ならびにゲルマニウムおよびその化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種を含むことを特徴とするポリエステル重合触媒を用いて重合されたポリエステルである。リン化合物のアルミニウム塩に他のアルミニウム化合物やリン化合物やフェノール系化合物などを組み合わせて使用しても良い。
【0092】
該重合触媒を用いることにより、触媒活性に優れ、かつポリエステルに不溶性の異物の生成が効果的に抑えられ、ポリエステルを成形する時のフィルター詰まり等の問題が改善されることを見いだしたことも本発明の特徴である。
【0093】
本発明のリン化合物のアルミニウム塩とは、アルミニウム部を有するリン化合物であれば特に限定はされないが、ホスホン酸系化合物のアルミニウム塩を用いると触媒活性の向上効果が大きく好ましい。リン化合物のアルミニウム塩としては、モノアルミニウム塩、ジアルミニウム塩、トリアルミニウム塩などが含まれる。
【0094】
上記したリン化合物のアルミニウム塩の中でも、芳香環構造を有する化合物を用いると触媒活性の向上効果が大きく好ましい。
【0095】
本発明の重合触媒を構成するリン化合物のアルミニウム塩としては、下記一般式か41で表される化合物から選択される少なくとも一種を用いると触媒活性の向上効果が大きく好ましい。
【0096】
【化41】
Figure 2004059735
(化41中、Rは水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはハロゲン基またはアルコキシル基またはアミノ基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。Rは、水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。Rは、水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基またはカルボニルを含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。lは1以上の整数、mは0または1以上の整数を表し、l+mは3である。nは1以上の整数を表す。炭化水素基はシキロヘキシル等の脂環構造や分岐構造やフェニルやナフチル等の芳香環構造を含んでいてもよい。)
【0097】
上記のRとしては、例えば、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、9−アンスリル、4−ビフェニル、2−ビフェニルなどが挙げられる。上記のR2としては例えば、水素、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、長鎖の脂肪族基、フェニル基、ナフチル基、置換されたフェニル基やナフチル基、−CHCHOHで表される基などが挙げられる。上記のRO−としては例えば、水酸化物イオン、アルコラートイオン、エチレングリコラートイオン、アセテートイオンやアセチルアセトンイオンなどが挙げられる。
【0098】
本発明のリン化合物のアルミニウム塩としては、(1−ナフチル)メチルホスホン酸エチルのアルミニウム塩、(1−ナフチル)メチルホスホン酸のアルミニウム塩、(2−ナフチル)メチルホスホン酸エチルのアルミニウム塩、ベンジルホスホン酸エチルのアルミニウム塩、ベンジルホスホン酸のアルミニウム塩、(9−アンスリル)メチルホスホン酸エチルのアルミニウム塩、4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチルのアルミニウム塩、2−メチルベンジルホスホン酸エチルのアルミニウム塩、4−クロロベンジルホスホン酸フェニルのアルミニウム塩、4−アミノベンジルホスホン酸メチルのアルミニウム塩、4−メトキシベンジルホスホン酸エチルのアルミニウム塩、フェニルホスホン酸エチルのアルミニウム塩などが挙げられる。これらの中で、(1−ナフチル)メチルホスホン酸エチルのアルミニウム塩、ベンジルホスホン酸エチルのアルミニウム塩がとくに好ましい。
【0099】
本発明の別の実施形態は、下記一般式化42で表される特定のリン化合物のアルミニウム塩から選択される少なくとも一種と、ゲルマニウムおよびその化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種とからなるポリエステル重合触媒を用いて重合されたポリエステルである。リン化合物のアルミニウム塩に、他のアルミニウム化合物やリン化合物やフェノール系化合物などを組み合わせて使用しても良い。
【0100】
該重合触媒を用いることにより、触媒活性に優れ、かつポリエステルに不溶性の異物の生成が効果的に抑えられ、ポリエステルを成形する時のフィルター詰まり等の問題が改善されることを見いだしたことも本発明の特徴である。
【0101】
本発明の重合触媒を構成する特定のリン化合物のアルミニウム塩とは、下記一般式化42で表される化合物から選択される少なくとも一種からなるもののことを言う。
【0102】
【化42】
Figure 2004059735
(化42中、R、Rはそれぞれ独立に水素、炭素数1〜30の炭化水素基を表す。Rは、水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。Rは、水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基またはカルボニルを含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。lは1以上の整数、mは0または1以上の整数を表し、l+mは3である。nは1以上の整数を表す。炭化水素基はシキロヘキシル等の脂環構造や分岐構造やフェニルやナフチル等の芳香環構造を含んでいてもよい。)
【0103】
これらの中でも、下記一般式化43で表される化合物から選択される少なくとも一種を用いることが好ましい。
【0104】
【化43】
Figure 2004059735
(化43中、Rは、水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。R4は、水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基またはカルボニルを含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。lは1以上の整数、mは0または1以上の整数を表し、l+mは3である。炭化水素基はシキロヘキシル等の脂環構造や分岐構造やフェニルやナフチル等の芳香環構造を含んでいてもよい。)
【0105】
上記のR3としては例えば、水素、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、長鎖の脂肪族基、フェニル基、ナフチル基、置換されたフェニル基やナフチル基、−CHCHOHで表される基などが挙げられる。上記のRO−としては例えば、水酸化物イオン、アルコラートイオン、エチレングリコラートイオン、アセテートイオンやアセチルアセトンイオンなどが挙げられる。
【0106】
本発明の特定のリン化合物のアルミニウム塩としては、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチルのアルミニウム塩、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸メチルのアルミニウム塩、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸イソプロピルのアルミニウム塩、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸フェニルのアルミニウム塩、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸のアルミニウム塩などが挙げられる。これらの中で、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチルのアルミニウム塩、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸メチルのアルミニウム塩がとくに好ましい。
【0107】
本発明では、リン化合物としてP−OH結合を少なくとも一つ有するリン化合物を用いることが好ましい。P−OH結合を少なくとも一つ有するリン化合物とは、分子内にP−OHを少なくとも一つ有するリン化合物であれば特に限定はされない。これらのリン化合物の中でも、P−OH結合を少なくとも一つ有するホスホン酸系化合物を用いると触媒活性の向上効果が大きく好ましい。
【0108】
上記したリン化合物の中でも、芳香環構造を有する化合物を用いると触媒活性の向上効果が大きく好ましい。
【0109】
本発明の重合触媒を構成するP−OH結合を少なくとも一つ有するリン化合物としては、下記一般式化44で表される化合物から選択される少なくとも一種を用いると触媒活性の向上効果が大きく好ましい。
【0110】
【化44】
Figure 2004059735
(化44中、Rは水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはハロゲン基またはアルコキシル基またはアミノ基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。Rは、水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。nは1以上の整数を表す。炭化水素基はシキロヘキシル等の脂環構造や分岐構造やフェニルやナフチル等の芳香環構造を含んでいてもよい。)
【0111】
上記のRとしては、例えば、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、9−アンスリル、4−ビフェニル、2−ビフェニルなどが挙げられる。上記のRとしては例えば、水素、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、長鎖の脂肪族基、フェニル基、ナフチル基、置換されたフェニル基やナフチル基、−CHCHOHで表される基などが挙げられる。
【0112】
上記したリン化合物の中でも、芳香環構造を有する化合物を用いると触媒活性の向上効果が大きく好ましい。
【0113】
本発明のP−OH結合を少なくとも一つ有するリン化合物としては、(1−ナフチル)メチルホスホン酸エチル、(1−ナフチル)メチルホスホン酸、(2−ナフチル)メチルホスホン酸エチル、ベンジルホスホン酸エチル、ベンジルホスホン酸、(9−アンスリル)メチルホスホン酸エチル、4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル、2−メチルベンジルホスホン酸エチル、4−クロロベンジルホスホン酸フェニル、4−アミノベンジルホスホン酸メチル、4−メトキシベンジルホスホン酸エチルなどが挙げられる。これらの中で、(1−ナフチル)メチルホスホン酸エチル、ベンジルホスホン酸エチルがとくに好ましい。
【0114】
また本発明で用いられる好ましいリン化合物としては、P−OH結合を少なくとも一つ有する特定のリン化合物が挙げられる。P−OH結合を少なくとも一つ有する特定のリン化合物とは、下記一般式化45で表される化合物から選択される少なくとも一種の化合物のことを言う。
【0115】
【化45】
Figure 2004059735
(化45中、R、Rはそれぞれ独立に水素、炭素数1〜30の炭化水素基を表す。R3は、水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。nは1以上の整数を表す。炭化水素基はシキロヘキシル等の脂環構造や分岐構造やフェニルやナフチル等の芳香環構造を含んでいてもよい。)
【0116】
これらの中でも、下記一般式化46で表される化合物から選択される少なくとも一種を用いることが好ましい。
【0117】
【化46】
Figure 2004059735
(化46中、Rは、水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。炭化水素基はシキロヘキシル等の脂環構造や分岐構造やフェニルやナフチル等の芳香環構造を含んでいてもよい。)
【0118】
上記のRとしては例えば、水素、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、長鎖の脂肪族基、フェニル基、ナフチル基、置換されたフェニル基やナフチル基、−CHCHOHで表される基などが挙げられる。
【0119】
本発明のP−OH結合を少なくとも一つ有する特定のリン化合物としては、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸メチル、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸イソプロピル、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸フェニル、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸オクタデシル、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸などが挙げられる。これらの中で、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸メチルがとくに好ましい。
【0120】
好ましいリン化合物としては、化47であらわされるリン化合物が挙げられる。
【0121】
【化47】
Figure 2004059735
(化47中、Rは炭素数1〜49の炭化水素基、または水酸基またはハロゲン基またはアルコキシル基またはアミノ基を含む炭素数1〜49の炭化水素基を表し、R,Rはそれぞれ独立に水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。炭化水素基は脂環構造や分岐構造や芳香環構造を含んでいてもよい。)
【0122】
また、更に好ましくは、化47中のR,R,Rの少なくとも一つが芳香環構造を含む化合物である。
【0123】
本発明に使用するリン化合物の具体例を以下に示す。
【化48】
Figure 2004059735
【化49】
Figure 2004059735
【化50】
Figure 2004059735
【化51】
Figure 2004059735
【化52】
Figure 2004059735
【化53】
Figure 2004059735
【0124】
また、本発明に用いるリン化合物は、分子量が大きいものの方が重合時に留去されにくいため効果が大きく好ましい。
【0125】
本発明の重縮合触媒として使用する事が望ましい別のリン化合物は、下記一般式化54で表される化合物から選ばれる少なくとも一種のリン化合物である。
【0126】
【化54】
Figure 2004059735
(化54中、R、Rはそれぞれ独立に水素、炭素数1〜30の炭化水素基を表す。R、Rはそれぞれ独立に水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。nは1以上の整数を表す。炭化水素基はシクロヘキシル等の脂環構造や分岐構造やフェニルやナフチル等の芳香環構造を含んでいてもよい。)
【0127】
上記一般式化54の中でも、下記一般式化55で表される化合物から選択される少なくとも一種を用いると触媒活性の向上効果が高く好ましい。
【0128】
【化55】
Figure 2004059735
(化55中、R、Rはそれぞれ独立に水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。炭化水素基はシクロヘキシル等の脂環構造や分岐構造やフェニルやナフチル等の芳香環構造を含んでいてもよい。)
【0129】
上記のR3、R4としては例えば、水素、メチル基、ブチル基等の短鎖の脂肪族基、オクタデシル等の長鎖の脂肪族基、フェニル基、ナフチル基、置換されたフェニル基やナフチル基等の芳香族基、−CHCHOHで表される基などが挙げられる。
【0130】
本発明の特定のリン化合物としては、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸ジイソプロピル、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸ジ−n−ブチル、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸ジオクタデシル、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸ジフェニルなどが挙げられる。これらの中で、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸ジオクタデシル、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸ジフェニルがとくに好ましい。
【0131】
本発明で使用する事が望ましい別のリン化合物は、化56、化57で表される化合物から選ばれる少なくとも一種のリン化合物である。
【0132】
【化56】
Figure 2004059735
【化57】
Figure 2004059735
化56にて示される化合物としては、Irganox1222(チバ・スペシャルティーケミカルズ社製)が市販されており、また化57にて示される化合物としてはIrganox1425(チバ・スペシャルティーケミカルズ社製)が市販されており、使用可能である。
【0133】
本発明のリン化合物を併用することにより、ポリエステル重合触媒中のアルミニウムとしての添加量が少量でも十分な触媒効果を発揮する触媒が得られる。
【0134】
本発明のリン化合物の使用量としては、得られるポリエステルのポリカルボン酸成分の全構成ユニットのモル数に対して0.0001〜0.1モル%が好ましく、0.005〜0.05モル%であることがさらに好ましい。リン化合物の添加量が0.0001モル%未満の場合には添加効果が発揮されない場合があり、0.1モル%を超えて添加すると逆にポリエステル重合触媒としての触媒活性が低下する場合があり、その低下の傾向は、アルミニウムの使用量等により変化する。
また、リン化合物は、重合して得られるポリエステル中に残存するリン原子の残存量として1〜140ppmの範囲になることが好ましい。さらに好ましくは7〜70ppmであるである。
【0135】
本発明の重合触媒を構成するゲルマニウム化合物としては、特に限定はされないが、具体的には、ゲルマニウムのギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、蓚酸などの飽和脂肪族カルボン酸塩、アクリル酸、メタクリル酸などの不飽和脂肪族カルボン酸塩、安息香酸などの芳香族カルボン酸塩、トリクロロ酢酸などのハロゲン含有カルボン酸塩、乳酸、クエン酸、サリチル酸などのヒドロキシカルボン酸塩、炭酸、硫酸、硝酸、リン酸、ホスホン酸、炭酸水素、リン酸水素、硫化水素、亜硫酸、チオ硫酸、塩酸、臭化水素酸、塩素酸、臭素酸などの無機酸塩、1−プロパンスルホン酸、1−ペンタンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸などの有機スルホン酸塩、ラウリル硫酸などの有機硫酸塩、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、iso−プロポキシ、n−ブトキシ、tert−ブトキシなどのアルコキサイド、アセチルアセトネートなどとのキレート化合物、水素化物、酸化物、水酸化物などが挙げられる。
【0136】
これらのうち二酸化ゲルマニウム、四塩化ゲルマニウムが好ましく、これらのうち二酸化ゲルマニウムがとくに好ましい。二酸化ゲルマニウムとしては結晶性のものと非晶性のものの両方が使用できる。
【0137】
本発明の重合触媒を構成するゲルマニウムおよびその化合物の使用量は、ポリエステルを構成する全ポリカルボン酸ユニットのモル数に対してゲルマニウム原子として0.015モル%以下の量で添加することが好ましい。より好ましくは0.01モル%以下の量で添加することであり、さらに好ましくは0.005モル%以下の量で添加することである。添加量を0.015モル%より多くすると、コスト的に不利となるため好ましくない。
また、ゲルマニウム化合物は、重合して得られるポリエステル中に残存するゲルマニウム原子の残存量として80ppm以下になることが好ましい。より好ましくは50ppm以下であり、さらに好ましくは30ppm以下である。ゲルマニウム原子の残存量として80ppmより多くなるとコスト的に不利になるため好ましくない。
【0138】
リン化合物やフェノール系化合物あるいはフェノール部を同一分子内に有するリン化合物を使用せず、アルミニウム化合物を主たる触媒成分とする技術であって、アルミニウム化合物を使用し、さらにコバルト化合物を添加してアルミニウム化合物を主触媒とした場合の熱安定性の低下による着色を防止する技術があるが、コバルト化合物を十分な触媒活性を有する程度に添加するとやはり熱安定性が低下する。従って、この技術では両者を両立することは困難である。なおかつ、アルミニウム化合物の使用量が多く必要なため、ポリエステルに不溶性の異物が多く発生し、成形時のフィルター詰まり等の問題が発生する。
【0139】
本発明によれば、アルミニウム化合物に上述したようなフェノール系化合物、リン化合物又はフェノール部を同一分子内に有するリン化合物を組合せ、さらにゲルマニウムおよびその化合物からなる群より選択される少なくとも一種を共存させることによって、もともと触媒活性に劣るアルミニウム化合物が重縮合触媒として十分な活性をもつようになるとともに、ポリエステルに不溶性の異物の生成が効果的に抑えられ、ポリエステルを成形する時のフィルター詰まりや成形体の品質の問題などが改善されることを見いだしたことが本発明の特徴である。
【0140】
上述の特定の化学構造を有するリン化合物に代えてリン酸やトリメチルリン酸等のリン酸エステルを添加しても添加効果が少ないため、好ましくない。また、本発明のフェノール系化合物、リン化合物又はフェノール部を同一分子内に有するリン化合物を本発明の添加量の範囲で従来のアンチモン化合物、チタン化合物、スズ化合物、ゲルマニウム化合物等の金属含有ポリエステル重合触媒と組み合わせて使用しても、溶融重合反応を促進する効果は認められない。
【0141】
本発明の重合触媒は、アンチモン、チタン、スズ、コバルト、マンガン、亜鉛、ニオブ、タンタル、タングステン、インジウム、ジルコニウム、ハフニウム、ケイ素、鉄、ニッケル、ガリウムおよびそれらの化合物から選択される少なくとも一種を含んでも良い。これらの中でも、アンチモン、チタン、スズ、コバルト、マンガン、亜鉛およびそれらの化合物から選択される少なくとも一種が、触媒活性や重合して得られるポリエステルの品質の観点から好ましい。これらの中で、チタンもしくはコバルトあるいはこれらの化合物を用いると重合して得られるポリエステルの熱安定性が低下するため好ましくない。従って、アンチモン、スズ、マンガン、亜鉛およびそれらの化合物から選択される少なくとも一種を用いることが好ましい。これらの中でもアンチモン、マンガンおよびそれらの化合物から選択される少なくとも一種を用いることがとくに好ましい。
【0142】
本発明の重合触媒にさらに含んでも良いチタン化合物としては特に限定はされないが、テトラ−n−プロピルチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネート、テトライソブチルチタネート、テトラ−tert−ブチルチタネート、テトラシクロヘキシルチタネート、テトラフェニルチタネート、テトラベンジルチタネート、蓚酸チタン酸リチウム、蓚酸チタン酸カリウム、蓚酸チタン酸アンモニウム、酸化チタン、チタンとケイ素やジルコニウムやアルカリ金属やアルカリ土類金属などとの複合酸化物、チタンのオルトエステルまたは縮合オルトエステル、チタンのオルトエステルまたは縮合オルトエステルとヒドロキシカルボン酸からなる反応生成物、チタンのオルトエステルまたは縮合オルトエステルとヒドロキシカルボン酸とリン化合物からなる反応生成物、チタンのオルトエステルまたは縮合オルトエステルと少なくとも2個のヒドロキシル基を有する多価アルコール、2−ヒドロキシカルボン酸および塩基からなる反応生成物などが挙げられ、このうちチタンとケイ素の複合酸化物、チタンとマグネシウムの複合酸化物、チタンのオルトエステルまたは縮合オルトエステルとヒドロキシカルボン酸とリン化合物からなる反応生成物が好ましい。
【0143】
アンチモン化合物としては、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、酢酸アンチモン、アンチモングリコキサイドが好ましく、これらのうち三酸化アンチモンがとくに好ましい。
【0144】
スズ化合物としては、ジブチルスズオキサイド、メチルフェニルスズオキサイド、テトラエチルスズ、ヘキサエチルジスズオキサイド、トリエチルスズハイドロオキサイド、モノブチルヒドロキシスズオキサイド、トリイソブチルスズアデテート、ジフェニルスズジラウレート、モノブチルスズトリクロライド、ジブチルスズサルファイド、ジブチルヒドロキシスズオキサイド、メチルスタンノン酸、エチルスタンノン酸などが好ましく、特にモノブチルヒドロキシスズオキサイドの使用が好ましい。
【0145】
コバルト化合物としては、酢酸コバルト、硝酸コバルト、塩化コバルト、コバルトアセチルアセトネート、ナフテン酸コバルトおよびそれらの水和物等の使用が好ましく、その中でも特に酢酸コバルト四水塩が好ましい。
【0146】
マンガン化合物としては、酢酸マンガン、硝酸マンガン、塩化マンガン、マンガンアセチルアセトネート、ナフテン酸マンガンおよびそれらの水和物等の使用が好ましく、その中でも特に酢酸マンガン四水塩が好ましい。
【0147】
亜鉛化合物としては、酢酸亜鉛、硝酸亜鉛、塩化亜鉛、亜鉛アセトネート、ナフテン酸亜鉛およびそれらの水和物等の使用が好ましく、その中でも特に酢酸亜鉛二水塩が好ましい。
【0148】
本発明の重合触媒にさらに含んでも良い金属の使用量は、ポリエステルを構成する全ポリカルボン酸ユニットのモル数に対して、金属原子として1×10−5以上0.1モル%以下であることが好ましく、より好ましくは5×10−5〜0.05モル%であり、さらに好ましくは1×10−4〜0.03モル%であり、特に好ましくは、1×10−4〜0.01モル%である。添加量が0.1モル%を越えると、得られるポリエステルの熱安定性や色調などの品質が低下するため好ましくない。添加量が1×10−6モル%未満では、添加してもその効果が明確ではない。
【0149】
このうちチタン化合物としては、ポリエステルを構成する全ポリカルボン酸ユニットのモル数に対してチタン原子として0.005モル%以下の量で添加することが好ましい。より好ましくは0.003モル%以下の量で添加することであり、さらに好ましくは0.001モル%以下の量で添加することである。添加量を0.005モル%より多くすると、得られるレジンの熱安定性が著しく低下するため好ましくない。またチタン化合物は、重合して得られるポリエステル中に残存するチタン原子の残存量として10ppm以下になることが好ましい。より好ましくは5ppm以下である。チタン原子の残存量として10ppmを超えると重合活性は十分発揮するが、耐熱性および色調の面で問題が生じるため好ましくない。
【0150】
アンチモン化合物としては、ポリエステルを構成する全ポリカルボン酸ユニットのモル数に対してアンチモン原子として0.02モル%以下の量で添加することが好ましい。より好ましくは0.01モル%以下の量で添加することである。添加量を0.02モル%より多くすると、金属アンチモンの析出が起こり、ポリエステルに黒ずみや異物が発生するため好ましくない。またアンチモン化合物は、重合して得られるポリエステル中に残存するアンチモン原子の残存量として150ppm以下になることが好ましい。より好ましくは100ppm以下で、さらに好ましくは50ppm以下である。アンチモン原子の残存量が150ppmより多くなると、金属アンチモンの析出が起こり、ポリエステルに黒ずみや異物が発生するため好ましくない。
【0151】
マンガン化合物としては、ポリエステルを構成する全ポリカルボン酸ユニットのモル数に対してマンガン原子として0.02モル%以下の量で添加することが好ましい。より好ましくは0.01モル%以下の量で添加することであり、さらに好ましくは0.005モル%以下の量で添加することである。添加量を0.02モル%より多くすると、得られるレジンの熱安定性や色調が低下するため好ましくない。またマンガン化合物は、重合して得られるポリエステル中に残存するマンガン原子の残存量として50ppm以下になることが好ましい。より好ましくは25ppm以下である。マンガン原子の残存量が50ppmより多くなると、ポリエステルの熱安定性や色調が低下するため好ましくない。
【0152】
亜鉛化合物としては、ポリエステルを構成する全ポリカルボン酸ユニットのモル数に対して亜鉛原子として0.02モル%以下の量で添加することが好ましい。より好ましくは0.01モル%以下の量で添加することであり、さらに好ましくは0.005モル%以下の量で添加することである。添加量を0.02モル%より多くすると、得られるレジンの熱安定性が低下するため好ましくない。また亜鉛化合物は、重合して得られるポリエステル中に残存する亜鉛原子の残存量として60ppm以下になることが好ましい。より好ましくは30ppm以下である。マンガン原子の残存量が50ppmより多くなると、ポリエステルの熱安定性が低下するため好ましくない。
【0153】
コバルト化合物としては、ポリエステルを構成する全ポリカルボン酸ユニットのモル数に対してコバルト原子として0.02モル%以下の量で添加することが好ましい。より好ましくは0.005モル%以下の量で添加することであり、さらに好ましくは0.001モル%以下の量で添加することである。添加量を0.02モル%より多くすると、得られるレジンの熱安定性や明るさの低下が顕著になるため好ましくない。またコバルト化合物は、重合して得られるポリエステル中に残存するコバルト原子の残存量として50ppm以下になることが好ましい。より好ましくは15ppm以下であり、さらに好ましくは5ppm以下である。50ppmを超えると触媒活性は向上するが、得られたポリエステルの色調や熱安定性が低下するため好ましくない。
【0154】
本発明のポリエステル重合触媒は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、もしくはこれらの化合物を含まないものであることが好ましい。
【0155】
また一方で本発明の重合触媒にさらに少量のアルカリ金属、アルカリ土類金属並びにその化合物から選択される少なくとも一種を共存させることが好ましい態様である。かかる成分を触媒系に共存させることは、ジエチレングリコールの生成を抑制する効果に加えて触媒活性を高め、従って反応速度をより高めた触媒成分が得られ、生産性向上に有効である。
【0156】
アルミニウム化合物にアルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物を添加して十分な触媒活性を有する触媒とする技術は公知である。かかる公知の触媒を使用すると熱安定性に優れたポリエステルが得られるが、アルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物を併用した公知の触媒は、実用的な触媒活性を得ようとするとそれらの添加量が多く必要であり、アルカリ金属化合物を使用したときはそれに起因する異物量が多くなり、繊維に使用したときには製糸性や糸物性が、またフイルムに使用したときはフイルム物性、透明性、熱安定性、熱酸化安定性、耐加水分解性などが悪化する。さらには繊維やフイルム等の溶融成形品の色調が悪化する。またアルカリ土類金属化合物を併用した場合には、実用的な活性を得ようとすると得られたポリエステルの熱安定性、熱酸化安定性が低下し、加熱による着色が大きく、異物の発生量も多くなり、繊維に使用したときには製糸性や糸物性が、またフイルムに使用したときはフイルム物性、透明性、熱安定性、熱酸化安定性、耐加水分解性などが悪化する。
【0157】
アルカリ金属、アルカリ土類金属並びにその化合物を添加する場合、その使用量M(モル%)は、ポリエステルを構成する全ポリカルボン酸ユニットのモル数に対して、金属原子として1×10−6以上0.1モル%未満であることが好ましく、より好ましくは5×10−6〜0.05モル%であり、さらに好ましくは1×10−5〜0.03モル%であり、特に好ましくは、1×10−5〜0.01モル%である。アルカリ金属、アルカリ土類金属の添加量が少量であるため、熱安定性低下、異物の発生、着色等の問題を発生させることなく、反応速度を高めることが可能である。また、耐加水分解性の低下等の問題を発生させることなく、反応速度を高めることが可能である。アルカリ金属、アルカリ土類金属並びにその化合物の使用量Mが0.1モル%以上になると熱安定性の低下、異物発生や着色の増加、耐加水分解性の低下等が製品加工上問題となる場合が発生する。Mが1×10−6モル%未満では、添加してもその効果が明確ではない。
【0158】
本発明の重合触媒にさらに含んでも良いアルカリ金属、アルカリ土類金属およびそれらの化合物としては、Li,Na,K,Rb,Cs,Be,Mg,Ca,Sr,Baから選択される少なくとも一種の金属およびそれらの化合物であることが好ましく、アルカリ金属ないしその化合物の使用がより好ましい。アルカリ金属ないしその化合物を使用する場合、特にLi,Na,Kの使用が好ましい。アルカリ金属やアルカリ土類金属の化合物としては、例えば、これら金属のギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、蓚酸などの飽和脂肪族カルボン酸塩、アクリル酸、メタクリル酸などの不飽和脂肪族カルボン酸塩、安息香酸などの芳香族カルボン酸塩、トリクロロ酢酸などのハロゲン含有カルボン酸塩、乳酸、クエン酸、サリチル酸などのヒドロキシカルボン酸塩、炭酸、硫酸、硝酸、リン酸、ホスホン酸、炭酸水素、リン酸水素、硫化水素、亜硫酸、チオ硫酸、塩酸、臭化水素酸、塩素酸、臭素酸などの無機酸塩、1−プロパンスルホン酸、1−ペンタンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸などの有機スルホン酸塩、ラウリル硫酸などの有機硫酸塩、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、iso−プロポキシ、n−ブトキシ、tert−ブトキシなどのアルコキサイド、アセチルアセトネートなどとのキレート化合物、水素化物、酸化物、水酸化物などが挙げられる。
【0159】
これらのアルカリ金属、アルカリ土類金属またはそれらの化合物のうち、水酸化物等のアルカリ性の強いものを用いる場合、これらはエチレングリコール等のジオールもしくはアルコール等の有機溶媒に溶解しにくい傾向があるため、水溶液で重合系に添加しなければならず重合工程上問題となる場合が有る。さらに、水酸化物等のアルカリ性の強いものを用いた場合、重合時にポリエステルが加水分解等の副反応を受け易くなるとともに、重合したポリエステルは着色し易くなる傾向があり、耐加水分解性も低下する傾向がある。従って、本発明のアルカリ金属またはそれらの化合物あるいはアルカリ土類金属またはそれらの化合物として好適なものは、アルカリ金属あるいはアルカリ土類金属の飽和脂肪族カルボン酸塩、不飽和脂肪族カルボン酸塩、芳香族カルボン塩、ハロゲン含有カルボン酸塩、ヒドロキシカルボン酸塩、硫酸、硝酸、リン酸、ホスホン酸、リン酸水素、硫化水素、亜硫酸、チオ硫酸、塩酸、臭化水素酸、塩素酸、臭素酸から選ばれる無機酸塩、有機スルホン酸塩、有機硫酸塩、キレート化合物、および酸化物である。これらの中でもさらに、取り扱い易さや入手のし易さ等の観点から、アルカリ金属あるいはアルカリ土類金属の飽和脂肪族カルボン酸塩、特に酢酸塩の使用が好ましい。
【0160】
本発明によるポリエステルの製造は、触媒として本発明のポリエステル重合触媒を用いる点以外は従来公知の工程を備えた方法で行うことができる。例えば、PETを製造する場合は、テレフタル酸とエチレングリコ−ル及び必要により他の共重合成分を直接反応させて水を留去しエステル化した後、減圧下に重縮合を行う直接エステル化法、または、テレフタル酸ジメチルとエチレングリコ−ル及び必要により他の共重合成分を反応させてメチルアルコ−ルを留去しエステル交換させた後、減圧下に重縮合を行うエステル交換法により製造される。さらに必要に応じて極限粘度を増大させる為に固相重合を行ってもよい。固相重合前の結晶化促進のため、溶融重合ポリエステルを吸湿させたあと加熱結晶化させたり、また水蒸気を直接ポリエステルチップに吹きつけて加熱結晶化させたりしてもよい。
【0161】
前記溶融重縮合反応は、回分式反応装置で行っても良いし、また連続式反応装置で行っても良い。これらいずれの方式においても、エステル化反応、あるいはエステル交換反応は1段階で行っても良いし、また多段階に分けて行っても良い。溶融重縮合反応も1段階で行っても良いし、また多段階に分けて行っても良い。固相重合反応は、溶融重縮合反応と同様、回分式装置や連続式装置で行うことが出来る。溶融重縮合と固相重合は連続で行っても良いし、分割して行ってもよい。 以下にはPETを例にして連続方式での好ましい製造方法の一例について説明する。
【0162】
まず、エステル化反応により低重合体を製造する場合について説明する。テレフタル酸またはそのエステル誘導体1モルに対して1.02〜2.3モル、好ましくは1.03〜1.8モルのエチレングリコ−ルが含まれたスラリ−を調整し、これをエステル化反応工程に連続的に供給する。
【0163】
エステル化反応は、1〜3個のエステル化反応器を直列に連結した多段式装置を用いてエチレングリコ−ルが還流する条件下で、反応によって生成した水またはアルコ−ルを精留塔で系外に除去しながら実施する。第1段目のエステル化反応の温度は240〜270℃、好ましくは245〜265℃、圧力は0.2〜3kg/cmG、好ましくは0.5〜2kg/cmGである。最終段目のエステル化反応の温度は通常250〜290℃好ましくは255〜275℃であり、圧力は通常0〜1.5kg/cmG、好ましくは0〜1.3kg/cmGである。3段階以上で実施する場合には、中間段階のエステル化反応の反応条件は、上記第1段目の反応条件と最終段目の反応条件の間の条件である。これらのエステル化反応の反応率の上昇は、それぞれの段階で滑らかに分配されることが好ましい。最終的にはエステル化反応率は90%以上、好ましくは93%以上に達することが望ましい。これらのエステル化反応により分子量500〜5000程度の低次縮合物が得られる。
【0164】
上記エステル化反応は原料としてテレフタル酸を用いる場合は、テレフタル酸の酸としての触媒作用により無触媒でも反応させることができるが重縮合触媒の共存下に実施してもよい。
【0165】
また、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルアミン、ベンジルジメチルアミンなどの第3級アミン、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラ−n−ブチルアンモニウム、水酸化トリメチルベンジルアンモニウムなどの水酸化第4級アンモニウムおよび炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、酢酸ナトリウムなどの塩基性化合物を少量添加して実施すると、ポリエチレンテレフタレ−トの主鎖中のジオキシエチレンテレフタレ−ト成分単位の割合を比較的低水準(全ジオ−ル成分に対して5モル%以下)に保持できるので好ましい。
【0166】
次に、エステル交換反応によって低重合体を製造する場合は、テレフタル酸ジメチル1モルに対して1.1〜1.9モル、好ましくは1.2〜1.5モルのエチレングリコ−ルが含まれた溶液を調整し、これをエステル交換反応工程に連続的に供給する。
【0167】
エステル交換反応は、1〜2個のエステル交換反応器を直列に連結した装置を用いてエチレングリコ−ルが還留する条件下で、反応によって生成したメタノ−ルを精留塔で系外に除去しながら実施する。第1段目のエステル交換反応の温度は180〜250℃、好ましくは200〜240℃である。最終段目のエステル交換反応の温度は通常230〜270℃、好ましくは240〜265℃であり、エステル交換触媒として本発明の触媒は、エステル交換反応にも触媒活性を有するが、Zn,Cd,Mg,Mn,Co,Ca,Baなどの脂肪酸塩、炭酸塩やPb,Zn,Sb,Ge酸化物等をさらに用いても良い。これらのエステル交換反応により分子量約200〜500程度の低次縮合物が得られる。
【0168】
次いで得られた低次縮合物は多段階の液相縮重合工程に供給される。重縮合反応条件は、第1段階目の重縮合の反応温度は250〜290℃、好ましくは260〜280℃であり、圧力は500〜20Torr、好ましくは200〜30Torrで、最終段階の重縮合反応の温度は265〜300℃、好ましくは275〜295℃であり、圧力は10〜0.1Torr、好ましくは5〜0.5Torrである。3段階以上で実施する場合には、中間段階の重縮合反応の反応条件は、上記第1段目の反応条件と最終段目の反応条件の間の条件である。これらの重縮合反応工程の各々において到達される極限粘度の上昇の度合は滑らかに分配されることが好ましい。
【0169】
また、低フレ−バ−飲料やミネラルウォ−タ−用耐熱中空成形体のように低アセトアルデヒド含有量や低環状3量体含有量を要求される場合などにおいては、このようにして得られた溶融重縮合されたポリエステルは固相重合される。前記のポリエステルを従来公知の方法によって固相重合する。まず固相重合に供される前記のポリエステルは、不活性ガス下または減圧下あるいは水蒸気または水蒸気含有不活性ガス雰囲気下において、100〜210℃の温度で1〜6時間加熱して予備結晶化される。次いで不活性ガス雰囲気下または減圧下に190〜235℃の温度で1〜50時間の固相重合を行う。
【0170】
本発明の触媒は、重合反応のみならずエステル化反応およびエステル交換反応にも触媒活性を有する。例えば、テレフタル酸ジメチルなどのジカルボン酸のアルキルエステルとエチレングリコールなどのグリコールとのエステル交換反応の際に本発明の触媒を用いることもできる。また、本発明の触媒は、溶融重合のみならず固相重合や溶液重合においても触媒活性を有しており、いずれの方法によってもポリエステルを製造することが可能である。
【0171】
本発明の重合触媒は、重合反応の任意の段階で反応系に添加することができる。例えばエステル化反応もしくはエステル交換反応の開始前および反応途中の任意の段階あるいは重縮合反応の開始直前あるいは重縮合反応途中の任意の段階で反応系への添加することが出きる。特に、アルミニウムないしその化合物は重縮合反応の開始直前に添加することが好ましい。
【0172】
本発明の重縮合触媒の添加方法は、粉末状もしくはニート状での添加であってもよいし、エチレングリコールなどの溶媒のスラリー状もしくは溶液状での添加であってもよく、特に限定されない。また、本発明の触媒の構成成分を予め混合したものを添加してもよいし、これらを別々に添加してもよい。また、本発明の触媒の構成成分を同じ添加時期に重合系に添加しても良いし、それぞれを異なる添加時期に添加してもよい。また、触媒の全量を一度に添加してもよいし、複数回に分けて添加してもよい
【0173】
ポリエステルペレットの形状は、シリンダー型、角型、球状または扁平な板状などの何れでもよく、その平均粒子径は、通常1.5〜5mm、好ましくは1.6〜4.5mm、さらに好ましくは1.8〜4.0mmの範囲である。例えば、シリンダー型の場合は、長さ1.5〜4.0mm程度であるのが実用的である。球状粒子の場合は、最大粒子径が平均粒子径の1.1〜2.0倍、最小粒子径が平均粒子径の0.7倍以上であるのが実用的である。また、ペレットの重量は10〜40mg/粒の範囲が実用的である。
【0174】
本発明に言うポリエステルとは、芳香族ジカルボン酸又はそのエステル形成誘導体を主成分とするジカルボン酸成分と、ジオールまたはそのエステル形成性誘導体とのエステル化反応またはエステル交換反応により得られる生成物を重縮合して得られたポリエステルから成るものをいう。
【0175】
芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、5ー(アルカリ金属)スルホイソフタル酸、ジフェニン酸、1,3ーナフタレンジカルボン酸、1,4ーナフタレンジカルボン酸、1,5ーナフタレンジカルボン酸、2,6ーナフタレンジカルボン酸、2,7ーナフタレンジカルボン酸、4、4’ービフェニルジカルボン酸、4、4’ービフェニルスルホンジカルボン酸、4、4’ービフェニルエーテルジカルボン酸、1,2ービス(フェノキシ)エタンーp,p’ージカルボン酸、パモイン酸、アントラセンジカルボン酸などに例示される芳香族ジカルボン酸またはこれらのエステル形成性誘導体が挙げられる。
【0176】
上記の芳香族ジカルボン酸のうちテレフタル酸およびナフタレンジカルボン酸とくに2,6ーナフタレンジカルボン酸が、得られるポリエステルの物性等の点で好ましく、必要に応じて他のジカルボン酸を構成成分とする。
【0177】
芳香族ジカルボン酸以外のジカルボン酸としては、蓚酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、 テトラデカンジカルボン酸、ヘキサデカンジカルボン酸、1,3ーシクロブタンジカルボン酸、1,3ーシクロペンタンジカルボン酸、1,2ーシクロヘキサンジカルボン酸、1,3ーシクロヘキサンジカルボン酸、1,4ーシクロヘキサンジカルボン酸、2,5ーノルボルナンジカルボン酸、ダイマー酸などに例示される飽和脂肪族ジカルボン酸またはこれらのエステル形成性誘導体、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸などに例示される不飽和脂肪族ジカルボン酸またはこれらのエステル形成性誘導体が挙げられる。
【0178】
これらジカルボン酸以外の多価カルボン酸として、エタントリカルボン酸、プロパントリカルボン酸、ブタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、トリメシン酸、3、4、3’、4’ービフェニルテトラカルボン酸、およびこれらのエステル形成性誘導体などが挙げられる。
【0179】
グリコールとしてはエチレングリコール、1、2ープロピレングリコール、1、3ープロピレングリコール、ジエチレングリ コール、トリエチレングリコール、1、2ーブチレングリコール、1、3ーブチレングリコール、2、3ーブチレングリコール、1,4ーブチレングリコール、1、5ーペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6ーヘキサンジオー ル、1,2ーシクロヘキサンジオール、1,3ーシクロヘキサンジオール、1,4ーシクロヘキサンジオール、1,2ーシクロヘキサンジメタノール、1,3ーシクロヘキサンジメタノール、1,4ーシクロヘキサンジメタノール、1,4ーシクロヘキサンジエタノール、1,10ーデカメチレングリコール、1、12ードデカンジオール、ポリエチレングリコール、ポリトリメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどに例示される脂肪族グリコール、ヒドロキノン、4, 4’ージヒドロキシビスフェノール、1,4ービス(βーヒドロキシエトキシ)ベン ゼン、1,4ービス(βーヒドロキシエトキシフェニル)スルホン、ビス(p−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(p−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(p−ヒドロキシフェニル)メタン、1、2ービス(p−ヒドロキシフェニル)エタン、ビスフェノールA、ビスフェノールC、2,5ーナフタレンジオール、これらのグリコールにエチレンオキシドが付加したグリコール、などに例示される芳香族グリコールが挙げられる。
【0180】
上記のグリコールの仲でも、特に、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールが好適である。
【0181】
本発明で用いられるポリエステルは主たる酸成分がテレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体もしくはナフタレンジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体であり、主たるグリコール成分がアルキレングリコールであるポリエステルが好ましい。
【0182】
主たる酸成分がテレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体もしくはナフタレンジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体であるポリエステルとは、全酸成分に対してテレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体とナフタレンジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体を合計して70モル%以上含有するポリエステルであることが好ましく、より好ましくは80モル%以上含有するポリエステルであり、さらに好ましくは90モル%以上含有するポリエステルである。
【0183】
主たるグリコール成分がアルキレングリコールであるポリエステルとは、全グリコール成分に対してアルキレングリコールを合計して70モル%以上含有するポリエステルであることが好ましく、より好ましくは80モル%以上含有するポリエステルであり、さらに好ましくは90モル%以上含有するポリエステルである。ここで言うアルキレングリコールは、分子鎖中に置換基や脂環構造を含んでいても良い。
【0184】
本発明で用いられるナフタレンジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体としては、1,3ーナフタレンジカルボン酸、1,4ーナフタレンジカルボン酸、1,5ーナフタレンジカルボン酸、2,6ーナフタレンジカルボン酸、2,7ーナフタレンジカルボン酸、またはこれらのエステル形成性誘導体が好ましい。
【0185】
本発明で用いられるアルキレングリコールとしては、エチレングリコール、1、2ープロピレングリコール、1、3ープロピレングリコール、1、2ーブチレングリコール、1、3ーブチレングリコール、2、3ーブチレングリコール、1,4ーブチレングリコール、1、5ーペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6ーヘキサンジオー ル、1,2ーシクロヘキサンジオール、1,3ーシクロヘキサンジオール、1,4ーシクロヘキサンジオール、1,2ーシクロヘキサンジメタノール、1,3ーシクロヘキサンジメタノール、1,4ーシクロヘキサンジメタノール、1,4ーシクロヘキサンジエタノール、1,10ーデカメチレングリコール、1、12ードデカンジオール等があげられる。これらは同時に二種以上を使用しても良い。
【0186】
本発明のポリエステルとしてはポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリ(1,4ーシクロヘキサンジメチレンテレフタレート)、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリプロピレンナフタレートおよびこれらの共重合体が好ましく、これらのうちポリエチレンテレフタレートおよびこの共重合体が特に好ましい。
【0187】
本発明にかかるポリエチレンテレフタレートとは、前述の芳香族ジカルボン酸成分を主たる酸成分とアルキレングリコールを主たるジオール成分からなるポリエステルの中で、本発明でさらに好ましいポリエステルは、ジカルボン酸成分がテレフタル酸又はそのエステル形成誘導体であり、グリコール成分がエチレングリコールからなる主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレートであるポリエステルであり、好ましくはエチレンテレフタレート単位を70モル%以上含む線状ポリエステルであり、さらに好ましくは80モル%以上、特に好ましくは90%モル以上含む線状ポリエステルである。
【0188】
前記ポリエステルが共重合体である場合に使用される共重合成分としてのジカルボン酸としては、オルソフタル酸、イソフタル酸、1,3−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニル―4,4―ジカルボン酸、4,4’−ビフェニルエーテルジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン―p,p’―ジカルボン酸、パモイン酸、アントラセンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸およびその機能的誘導体、乳酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、ヒドロキシ酢酸、3−ヒドロキシ酪酸、p−ヒドロキシ安息香酸、p−(2−ヒドロキシエトキシ)安息香酸、4−ヒドロキシシクロヘキサンカルボン酸、またはその機能的誘導体、蓚酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、テトラデカンジカルボン酸などの脂肪族ジカルボン酸およびその機能的誘導体、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸およびその機能的誘導体などがあげられる。
【0189】
前記ポリエステルが共重合体である場合に使用される共重合成分としてのグリコールとしては、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、2,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,10−デカメチレングリコール、1,12−ドデカンジオール、ポリエチレングリコール、ポリトリメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどの脂肪族グリコール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジエタノールなどの脂環族グリコール、ヒドロキノン、4,4’−ジヒドロキシビスフェノール、1,4−ビス(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,4−ビス(β−ヒドロキシエトキシフェニル)スルホン、ビス(p−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(p−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(p−ヒドロキシフェニル)メタン、1,2−ビス(p−ヒドロキシフェニル)エタン、ビスフェノールA、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物などの芳香族グリコールなどが挙げられる。
【0190】
前記ポリエステルの共重合に使用される環状エステルとしては、ε−カプロラクトン、β−プロピオンラクトン、β−メチル−β−プロピオンラクトン、γ−バレロラクトン、グリコリド、ラクチドなどが挙げられる。
さらに、前記ポリエステルが共重合体である場合に使用される共重合成分としての多官能化合物としては、酸成分として、トリメリット酸、ピロメリット酸などをあげることができ、グリコール成分としてグリセリン、ペンタエリスリトールを挙げることができる。以上の共重合成分の使用量は、ポリエステルが実質的に線状を維持する程度でなければならない。また、単官能化合物、たとえば安息香酸、ナフトエ酸などを共重合させてもよい。
【0191】
また、本発明のポリエステルには公知のリン化合物を共重合成分として含むことができる。リン系化合物としては二官能性リン系化合物が好ましく、例えば(2−カルボキシルエチル)メチルホスフィン酸、(2−カルボキシエチル)フェニルホスフィン酸、9,10−ジヒドロ−10−オキサ−(2,3−カルボキシプロピル)−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイドなどが挙げられる。これらのリン系化合物を共重合成分として含むことで、得られるポリエステルの難燃性等を向上させることが可能である。
【0192】
なお、本発明に係るポリエステルでは触媒組成を本発明の範囲に規定することにより、結晶核剤と成りうる触媒由来による異物の発生が飛躍的に低減されるため、該ポリエステルから得られた成形体の昇温時結晶化温度が、150〜175℃の範囲に制御可能となり、成形品の加工性、品位が優れたポリエステルが得られる。
又、触媒組成を本発明の範囲に規定した処方に加え、ポリエチレンなどのポリオレフィン樹脂、ナイロン樹脂やポリアセタール樹脂などの結晶性熱可塑性樹脂をポリエステル樹脂に配合する方法や、カオリン、タルクなどの無機核剤をポリエステル樹脂に配合する方法や、モンタン酸ワックスなどの有機核剤をポリエステル樹脂に配合する方法や、イセチオン酸誘導体を共重合してもよい。
【0193】
ここで成形体の結晶化温度は、射出成形や押出成形により得られた実質的に結晶化の進んでいない非晶成形品を測定試料とし示差走査熱量計(DSC)を用いて測定するのが一般的である。示差走査熱量計により測定されるDSC曲線について室温からの昇温過程に観察される結晶化による発熱ピークの頂点温度を昇温結晶化温度(Tc1)とし、結晶が融解する吸熱ピークの頂点温度を融点(Tm)とする。またポリエステルが融解した高温領域から降温過程で観察される結晶化発熱ピークの頂点温度を降温結晶化温度(Tc2)とした。
また、本発明に係る結晶化温度は、前述の非晶成形品を測定試料とする事が前提である。しかし繊維、二軸延伸フィルムやボトルの様な配向結晶化した試料、また耐熱ボトルの結晶化処理した耐熱ボトルの口栓部の様な試料の場合、試料の結晶化が既に進んでいる為にそのまま示差走査熱量計で測定しても昇温結晶化ピークが観察されない事が多い。この様な結晶化が進んでいる試料について昇温結晶化温度を測定する際には、試料を示差走査熱量計を用いて融解温度以上で加熱溶融し、引き続き融解状態から即座に液体窒素中で急冷することで非晶状態の測定試料を得ることが可能となる。この非晶化した試料について、示差走査熱量計を用いて、昇温結晶化温度(Tc1)、融点(Tm)及び降温結晶化温度(Tc2)を測定することが可能となる。
【0194】
本発明において用いられるポリオレフィン樹脂としては、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、またはα−オレフィン系樹脂が挙げられる。
【0195】
本発明において用いられるポリエチレン系樹脂としては、例えば、エチレンの単独重合体、エチレンと、プロピレン、ブテン−1、3−メチルブテン−1、ペンテン−1、4−メチルペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、デセン−1等の炭素数2〜20程度の他のα−オレフィンや、酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン、不飽和エポキシ化合物等のビニル化合物との共重合体等が挙げられる。具体的には、例えば、超低・低・中・高密度ポリエチレン等(分岐状又は直鎖状)のエチレン単独重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン−1共重合体、エチレン−4−メチルペンテン−1共重合体、エチレン−ヘキセン−1共重合体、エチレン−オクテン−1共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体等のエチレン系樹脂が挙げられる。
【0196】
また本発明において用いられるポリプロピレン系樹脂としては、例えば、プロピレンの単独重合体、プロピレンと、エチレン、ブテン−1、3−メチルブテン−1、ペンテン−1、4−メチルペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、デセン−1等の炭素数2〜20程度の他のα−オレフィンや、酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン等のビニル化合物との共重合体、あるいはヘキサジエン、オクタジエン、デカジエン、ジシクロペンタジエン等のジエンとの共重合体等が挙げられる。具体的には、例えば、プロピレン単独重合体(アタクチック、アイソタクチック、シンジオタクチックポリプロピレン)、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−エチレン−ブテン−1共重合体等のプロピレン系樹脂が挙げられる。
【0197】
また本発明において用いられるα−オレフィン系樹脂としては、4−メチルペンテン−1等の炭素数2〜8程度のα−オレフィンの単独重合体、それらのα−オレフィンと、エチレン、プロピレン、ブテン−1、3−メチルブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、デセン−1等の炭素数2〜20程度の他のα−オレフィンとの共重合体等が挙げられる。具体的には、例えば、ブテン−1単独重合体、4−メチルペンテン−1単独重合体、ブテン−1−エチレン共重合体、ブテン−1−プロピレン共重合体等のブテン−1系樹脂や4−メチルペンテン−1とC2〜C18のα−オレフィンとの共重合体、等が挙げられる。
【0198】
また、本発明において用いられるポリアミド樹脂としては、例えば、ブチロラクタム、δ−バレロラクタム、ε−カプロラクタム、エナントラクタム、ω−ラウロラクタム等のラクタムの重合体、6−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸等のアミノカルボン酸の重合体、ヘキサメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、2,2,4−又は2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン等の脂肪族ジアミン、1,3−又は1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ビス(p−アミノシクロヘキシルメタン)等の脂環式ジアミン、m−又はp−キシリレンジアミン等の芳香族ジアミン等のジアミン単位と、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸等のジカルボン酸単位との重縮合体、及びこれらの共重合体等が挙げられ、具体的には、例えば、ナイロン4、ナイロン6、ナイロン7、ナイロン8、ナイロン9、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン66、ナイロン69、ナイロン610、ナイロン611、ナイロン612、ナイロン6T、ナイロン6I、ナイロンMXD6、ナイロン6/66、ナイロン6/610、ナイロン6/12、ナイロン6/6T、ナイロン6I/6T等が挙げられる。
【0199】
また、本発明において用いられるポリアセタ−ル樹脂としては、例えばポリアセタ−ル単独重合体や共重合体が挙げられる。ポリアセタ−ル単独重合体としては、ASTM−D792の測定法により測定した密度が1.40〜1.42g/cm、ASTMD−1238の測定法により、190℃、荷重2160gで測定したメルトインデックス(MI)が0.5〜50g/10分の範囲のポリアセタ−ルが好ましい。
【0200】
また、ポリアセタ−ル共重合体としては、ASTM−D792の測定法により測定した密度が1.38〜1.43g/cm、ASTMD−1238の測定法により、190℃、荷重2160gで測定したメルトインデックス(MI)が0.4〜50g/10分の範囲のポリアセタ−ル共重合体が好ましい。これらの共重合成分としては、エチレンオキサイドや環状エ−テルが挙げられる。
【0201】
本発明のポリエステルの極限粘度は0.60〜0.90デシリットル/グラム、好ましくは0.61〜0.88デシリットル/グラム、さらに好ましくは0.62〜0.85デシリットル/グラムの範囲である。極限粘度が0.60デシリットル/グラム未満では、得られた成形体等の機械的特性が悪い。また、0.90デシリットル/グラムを越える場合は、成形機等による溶融時に樹脂温度が高くなって熱分解が激しくなり、保香性に影響を及ぼす遊離の低分子量化合物が増加したり、成形体が黄色に着色する等の問題が起こる。
【0202】
また、本発明のポリエステルのアセトアルデヒド含有量は、50ppm以下、好ましくは30ppm以下、より好ましくは10ppm以下、さらに好ましくは5ppm以下、ホルムアルデヒド含有量は、20ppm以下、好ましくは10ppm以下、より好ましくは8ppm以下、さらに好ましくは4ppm以下である。アセトアルデヒド含有量が50ppm以上および/またはホルムアルデヒド含有量が20ppm以上の場合は、このポリエステルから成形された容器等の内容物の風味や臭い等が悪くなる。
【0203】
また本発明のポリエステル中に共重合されたジエチレングリコ−ル量は該ポリエステルを構成するグリコ−ル成分の好ましくは0.5〜5.0モル%、より好ましくは1.0〜4.5モル%、さらに好ましくは1.5〜4.0モル%である。ジエチレングリコ−ル量が5.0モル%を越える場合は、熱安定性が悪くなり、成形時に分子量低下が大きくなったり、またアセトアルデヒド含有量やホルムアルデヒド含有量の増加量が大となり好ましくない。またジエチレングリコ−ル含有量が0.5モル%未満の場合は、得られた成形体の透明性が悪くなる。
【0204】
また本発明のポリエステルの環状3量体の含有量は好ましくは0.50重量%以下、より好ましくは0.45重量%以下、さらに好ましくは0.40重量%以下である。本発明のポリエステル組成物から耐熱性の中空成形体等を成形する場合は加熱金型内で熱処理を行うが、環状3量体の含有量が0.50重量%以上含有する場合には、加熱金型表面へのオリゴマ−付着が急激に増加し、得られた中空成形体等の透明性が非常に悪化する。
【0205】
本発明の方法に従ってポリエステル重合をした後に、このポリエステルから触媒を除去するか、またはリン系化合物などの添加によって触媒を失活させることによって、ポリエステルの熱安定性をさらに高めることができる。
例示する方法に限定されないが、例えばポリエステルを加温した水又は水蒸気と接触させ、樹脂中の残存金属触媒の少なくとも一部を失活させる方法、又はポリエステルをリン化合物の存在下で加温した水又は水蒸気と接触させ、樹脂中の残存金属触媒の少なくとも一部を失活させることにより、成形時のオリゴマーやアセトアルデヒドの副生を抑制させることが可能である。該接触処理の方法としては、通常40〜120℃程度の水に樹脂を浸漬させてもよいし、同様の加熱水蒸気を樹脂と接触させてもよい。
【0206】
本発明のポリエステルの色調を改善するために、色調改善剤を用いることもできる。色調改善剤とは添加することで色調を変化させる物質のことをいう。本発明の色調改善剤としては特に限定はされないが、無機および有機の顔料、染料、蛍光増白剤などが好ましい。
【0207】
顔料または染料を使用する場合、使用量が増えると、結果重合体の明るさが低下するという問題が発生する。そのため多くの用途で許容できなくなるという問題が発生する。そのため顔料および染料の総使用量は得られるポリエステルに対して20ppm以下であることが好ましく、より好ましくは10ppm以下、さらに好ましくは5ppm以下である。かかる領域では重合体の明るさを低下させることなく着色を効果的に消去できる。
【0208】
さらに蛍光増白剤を単独もしくは他の色調改善剤と併用して用いると、色調が良好になり、例えば使用する顔料または染料の量が少なくてよいので好ましい。蛍光増白剤は一般に用いられている物を1種だけ使用してもよくもしくは2種以上を併用してもよい。添加量は得られるポリエステルに対して50ppm以下であることが好ましく、5〜25ppmであることがさらに好ましい。
【0209】
本発明の無機顔料としては、色調を変化できるものであれば特に規定はされないが、例えば二酸化チタン、カーボンブラック、鉄黒、ニッケルチタンイエロー、黄色酸化鉄、カドミウムイエロー、黄鉛、クロムチタンイエロー、亜鉛フェライト顔料、弁柄、カドミウムレッド、モリブデンレッド、酸化クロム、スピネルグリーン、クロムオレンジ、カドミウムオレンジ、群青、紺青、コバルトブルー、などが挙げられる。このうち酸化クロム、群青、紺青、コバルトブルーが好ましく、群青、コバルトブルーがさらに好ましい。またこれら無機顔料の一種もしくは二種以上を必要に応じて組み合わせて使用しても良い。
【0210】
本発明の有機顔料および染料としては、色調を変化できるものであれば規定はされないが、例えばカラーインデックスで表示されているPigment Red 5, 22, 23, 31, 38, 48:1, 48:2, 48:3, 48:4, 52, 53:1, 57:1, 122, 123, 144, 146, 151, 166, 170, 177, 178, 179, 187, 202, 207, 209, 213, 214, 220, 221, 247, 254, 255, 263, 272、Pigment Orange 13, 16, 31, 36, 43, 61, 64, 71、Pigment Brown 23、Pigment Yellow 1, 3, 12, 13, 14, 17, 55, 73, 74, 81, 83,93, 94, 95, 97, 109, 110, 128, 130, 133, 136, 138, 147, 150, 151, 154, 180, 181, 183, 190, 191, 191:1, 199、Pigment Green 7, 36、Pigment Blue 15, 15:1, 15:2, 15:3, 15.4, 15:6, 29, 60, 64, 68、Pigment Violet 19, 23,37, 44、Solvent Red 52, 117, 135, 169, 176、Disperse Red 5、Solvent Orange 63, 67, 68, 72, 78、Solvent Yellow 98, 103, 105, 113, 116、Disperse Yellow 54, 64, 160、Solvent Green 3, 20, 26、Solvent Blue 35, 45, 78, 90, 94, 95, 104, 122, 132、Solvent Violet 31、などが挙げられる。またその他のアンスラキノン系、フタロシアニン系、キナクリドン系、イソインドリノン系、ジオキサジン系、キノフタロン系、ペリレン系、ペリノン系、ベンズイミダゾロン系、ジアリライド系、バット系、インジゴ系、キノフタロン系、ジケトピロロピロール系、アントラピロリドン系の染料/顔料等を挙げることができる。
【0211】
このうちPigment Red 187, 263、Pigment Blue 15:1, 15:3, 29,60、PigmentViolet 19、Solvent Red 135、Solvent Blue 45, 90,104, 122、およびアンスラキノン系とフタロシアニン系の染料/顔料が好ましい。さらにアンスラキノン系とフタロシアニン系の染料/顔料は特に好ましい。
【0212】
選択される顔料および/または染料は下記の条件を満たす物が好ましい。まず顔料および染料は最大限の安全性をもたらすために重合体から非抽出性であること。また日光に対しておよび広範囲の温度および湿度条件に対して安定であること。さらにポリエステルの製造の間に遭遇する極めて高い温度の結果として昇華や、色相の変化を生じないことである。更にこの顔料および染料はポリエステルポリマーの物理的性質に悪影響を及ぼさないものが好ましい。
【0213】
これらの条件を満たす顔料および/または染料でポリエステルの色調を改善するものであれは特に限定されないが、例えば特表2000−511211ではある種の青色1,4−ビス(2,6−ジアルキルアニリノ)アントラキノンを主に用い赤色アンスラキノンおよびアントラピリドン(3H−ジベンゾ[fi,j]イソキノリン−2,7−ジオン)化合物を色相に応じて組み合わせた色調改善剤などが例示されており、これらを用いることができる。これらの染料は適当な色特性を有し、熱、光、湿度および種々の環境要因に対して安定であると共に重合の合間にポリエステルポリマー構造中に含ませることができ、公知の有機染料で遭遇する問題の多くを克服する。またUV光、高温、解糖および加水分解に対して安定である。更に青色成分および赤色成分の量は、着色度の異なったポリエステルに有効に働くように、必要に応じて変化させることができる。
【0214】
本発明の蛍光増白剤としては一般に用いられているものを単独もしくは組み合わせて使用しても良い。例えばベンズオキサゾリン系蛍光増白剤、好ましくはチバ・スペシャルティーケミカルズ社製のUVITEX OB、UVITEX OB−P、UVITEX OB−ONE、クラリアント社製のHOSTALUX KSや、特開平10−1563に記載のものなどが好ましく使用できる。
【0215】
以上の色調改善剤は無彩色の色相を達成するため、その種類や添加比などを任意に組み合わせ使用することができる。また、色調改善剤の添加時期は重合のどの段階であってもよく、重合反応終了後であっても構わなく、重合反応終了後から成形時までのどの段階であってもかまわない。また添加方法は重合中であれば粉末や、ポリエステルのモノマーの1つに溶解させて添加することが好ましい。さらに重合反応終了後では粉末やマスターバッチとして添加することが好ましい。
【0216】
また顔料等の分散性に問題が生じる場合は、必要に応じて分散剤を使用すると好ましい場合がある。分散剤は顔料の分散を助けるものであれば特に規定はされないが、例えばN,N’−エチレンビスミリスチン酸アミド、N,N’−エチレンビスステアリン酸アミド、N,N’−エチレンビスオレイン酸アミド、N,N’−メチレンビスミリスチン酸アミド、N,N’−メチレンビスステアリン酸アミド、N,N’−メチレンビスオレイン酸アミドなどのN,N’−アルキレンビス脂肪酸アミドなどがある。その中でもN,N’−メチレンビスステアリン酸アミドが好ましい。添加量に関しては性能にも左右されるが、顔料に対して10〜200重量%、好ましくは40〜150重量%添加するのが良い。
【0217】
本発明のポリエステル中には、他の任意の重合体や制電剤、消泡剤、染色性改良剤、染料、顔料、艶消し剤、蛍光増白剤、安定剤、酸化防止剤、その他の添加剤が含有されてもよい。酸化防止剤としては、芳香族アミン系、フェノール系などの酸化防止剤が使用可能であり、安定剤としては、リン酸やリン酸エステル系等のリン系、イオウ系、アミン系などの安定剤が使用可能である。
【0218】
これらの添加剤は、ポリエステルの重合時もしくは重合後、あるいはポリエステルの成形時の任意の段階で添加することが可能であり、どの段階が好適かは化合物の特性やポリエステル成形体の要求性能に応じてそれぞれ異なる。添加剤の添加方法としては、粉体、溶液、あるいはスラリー等のいずれの形態であってもよく、マスターバッチ等の方法であってもよい。
【0219】
本発明のポリエステルは射出成形あるいは押出成形してなることを特徴とする成形体、あるいは前記成形体を更に少なくとも1軸方向以上に延伸加工してなることを特徴とする延伸成形体に好適である。
【0220】
本発明のポリエステルは、中空成形体として好適に用いられる。中空成形体としては、ミネラルウオーター、ジュース、ワインやウイスキー等の飲料容器、ほ乳瓶、瓶詰め食品容器、整髪料や化粧品等の容器、住居および食器用洗剤容器等が挙げられる。
【0221】
これらの中でも、ポリエステルの持つ衛生性及び強度、耐溶剤性を活かした耐圧容器、耐熱耐圧容器、耐アルコール容器として各種飲料用に特に好適である。
【0222】
本発明のポリエステルを用いて中空容器を製造する場合は、一般のポリエチレンテレフタレートの容器で採用される方法がそのまま適用される。例えば、溶融重合や固相重合によって得られたポリエステルチップを真空乾燥法等によって乾燥後、押し出し成形機や射出成形機等の成形機によって成形する方法や、溶融重合後の溶融体を溶融状態のまま成形機に導入して成形する直接成形方法により、有底の予備成形体(以下「プリフォーム」と言うこともある)を得る。さらに、この予備成形体を延伸ブロー成形、ダイレクトブロー成形、押出ブロー成形などのブロー成形法により最終的な中空成形体が得られる。もちろん、上記の押し出し成形機や射出成形機等の成形機によって得られた成形体を最終的な中空容器とすることもできる。
【0223】
前述の内、射出−二軸延伸ブロー法の一種であるコールドパリソン・ブロー成形方法場合の成形温度、具体的には射出成形機のシリンダー各部およびノズルの温度を、通常250〜300℃の範囲である。延伸温度は、通常85〜140℃、好ましくは90〜120℃で、延伸倍率は、縦方向、横方向に各々、通常1.2〜10倍程度で行なわれる。
【0224】
得られた中空容器は、そのまま使用できるが、特に果汁飲料、ウーロン茶などのように熱充填を必要とする内容液の場合には、一般に、さらにブロー金型内で熱固定し、さらに耐熱性を付与して使用される。熱固定は、通常、圧空などによる緊張下、通常120〜200℃で、数秒〜数分間行われることが一般的である。
【0225】
このような中空成形体の製造の際には、製造工程で発生した廃棄樹脂や市場から回収されたポリエステル樹脂を混合することもできる。このようなリサイクル樹脂であっても、本発明のポリエステル樹脂は劣化が少なく、高品質の中空成形品を得ることができる。
【0226】
さらには、このような容器は、中間層にポリビニルアルコールやポリメタキシリレンジアミンアジペートなどのガスバリア性樹脂層、遮光性樹脂層やリサイクルポリエステル層を設けた多層構造をとることも可能である。また、蒸着やCVD(ケミカルベーパーデポジット)等の方法を用いて、容器の内外をアルミニウムなどの金属やダイヤモンド状カーボンの層で被覆することも可能である。
【0227】
なお、中空成形体の口栓部等の結晶性を上げるため、ポリエチレンを初めとする他の樹脂やタルク等の無機核剤を添加することもできる。
【0228】
また、本発明のポリエステルは公知の押し出し機からシ−ト状物に押し出し、シートとすることもできる。このようなシートは、真空成形や圧空成形、型押し等により加工し、食品や雑貨用のトレイや容器、カップ、ブリスタ−パック、電子部品のキャリアテープ、電子部品配送用トレイとして用いる。また、シートは各種カードとして利用することもできる。これら、シートの場合でも、上述のような中間層にガスバリア性樹脂層、遮光性樹脂層やリサイクルポリエステル層を設けた多層構造をとることも可能である。
また、同様にリサイクル樹脂を混合することもできる。さらには、結晶性の耐熱性容器とすることを目的に、ポリエチレンを初めとする他の樹脂やタルク等の無機核剤を添加し、結晶性を高めることできる。
【0229】
本発明のポリエステル重合触媒を用いて重合したポリエステルは、フイルムに用いることができる。
フィルムは公知の方法を用いて、例えば、ポリエステルを溶融押出ししT−ダイスより冷却回転ロール上にシート状に成形して未延伸シートを作成する。又この際、複数の押出し機を用い、コア層、スキン層に各種機能を分担させ、共押出し法により積層フイルムとしても良い
さらに、ポリエステルのガラス転移温度以上結晶化温度未満で、少なくとも一軸方向に1.1〜6倍に延伸することにより配向フィルムを得ることができる。
【0230】
二軸配向ポリエステルフイルムを製造する場合には、縦方向または横方向に一軸延伸を行い、次いで直交方向に延伸する逐次二軸延伸方法、縦方向及び横方向に同時に延伸する同時二軸延伸する方法、さらに同時二軸延伸する際の駆動方法としてリニアモーターを用いる方法のほか、横・縦・縦延伸法、縦・横・縦延伸法、縦・縦・横延伸法な、同一方向に数回に分けて延伸する多段延伸方法を採用することができる。さらに、延伸終了後、フイルムの熱収縮率を低減させるために、(融点−50℃)〜融点未満の温度で30秒以内、好ましくは10秒以内で熱固定処理を行い、0.5〜10%の縦弛緩処理、横弛緩処理などを施すことが好ましい。
【0231】
得られた配向ポリエステルフイルムは、厚みが1μm以上1000μm以下が好ましく、より好ましくは5μm以上500μm以下、より好ましくは10μm以上200μm以下である。1μm未満では腰が無く取り扱いが困難である。また1000μmを超えると硬すぎて取り扱いが困難である。
【0232】
また、接着性、離型性、制電性、赤外線吸収性、抗菌性、耐擦り傷性、などの各種機能を付与するために、配向ポリエステルフイルム表面にコーティング法により高分子樹脂を被覆してもよい。また、被覆層にのみ無機及び/又は有機粒子を含有させて、易滑高透明ポリエステルフイルムとしてもよい。さらに、無機蒸着層を設け酸素、水、オリゴマーなどの各種バリア機能を付与したり、スパッタリング法などで導電層を設け導電性を付与することもできる。
【0233】
また、配向ポリエステルフイルムの滑り性、走行性、耐摩耗性、巻き取り性などのハンドリング特性を向上させるために、ポリエステルの重合工程で、無機及び有機塩粒子又は耐熱性高分子樹脂粒子を添加して、フイルム表面に凹凸を形成させてもよい。また、これらの粒子は無機・有機又は親水・疎水等の表面処理がされたもの、されていないもの、どちらを使っても良いが、例えば分散性を向上させる等の目的で、表面処理した粒子を用いる方が好ましい場合がある。
【0234】
上記不活性粒子を基材フイルムとなるポリエステル中に含有させる方法は、限定されないが、(a)ポリエステル構成成分であるジオール中で不活性粒子をスラリー状に分散処理し、該不活性粒子スラリーをポリエステルの重合反応系へ添加する方法、(b)ポリエステルフイルムの溶融押出し工程においてベント式二軸押出し機で、溶融ポリエステル樹脂に分散処理した不活性粒子の水スラリーを添加する方法、(c)ポリエステル樹脂と不活性粒子を溶融状態で混練する方法(d)ポリエステル樹脂と不活性粒子のマスターレジンを溶融状態で混練する方法などが例示される。
【0235】
これらの添加剤は、ポリエステルの重合時もしくは重合後、あるいはポリエステルフイルムの製膜後の任意の段階で添加することが可能であり、どの段階が好適かは化合物の特性やポリエステルフイルムの要求性能に応じてそれぞれ異なる。
【0236】
また、本発明のポリエステルは熱安定性に優れるため、例えば、本ポリエステルを用いてフイルムなどを作成する際、延伸工程で生ずるフイルムの耳の部分や規格外のフイルムを溶融して再利用するのに適している。
【0237】
本発明の配向ポリエステルフイルムは、好ましくは帯電防止性フイルム、易接着性フイルム、カード用、ダミー缶用、農業用、建材用、化粧材用、壁紙用、OHPフイルム用、印刷用、インクジェット記録用、昇華転写記録用、レーザービームプリンタ記録用、電子写真記録用、熱転写記録用、感熱転写記録用、プリント基板配線用、メンブレンスイッチ用、プラズマディスプレイ用、タッチパネル用、マスキングフィルム用、写真製版用、レントゲンフィルム用、写真ネガフィルム用、位相差フイルム用、偏光フイルム用、偏光膜保護(TAC)用、プロテクトフィルム用、感光性樹脂フイルム用、視野拡大フイルム用、拡散シート用、反射フイルム用、反射防止フイルム用、導電性フイルム用、セパレータ用、紫外線防止用、バックグラインドテープ用などに用いられる。
【0238】
【実施例】
以下、本発明を実施例により説明するが本発明はもとよりこれらの実施例に限定されるものではない。
【0239】
本発明の実施例で用いた評価方法について以下に示す。
【0240】
(1)ポリエステルの固有粘度(IV)
ポリエステルをフェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタンの6/4(重量比)混合溶媒に溶解し、ウベローデ粘度計を用いて、温度30℃で測定した。
【0241】
(2)末端カルボキシル基濃度(酸価)(AV)
ポリエステルを冷凍粉砕し、130℃で12時間以上真空乾燥する。乾燥したポリエステル0.1gを三角フラスコに精秤し、ベンジルアルコール10mlを加えて溶解させる。溶解後、水浴で冷却し、10mlのクロロホルムを添加して、フェノールフタレインを指示薬として、0.1NのNaOHのメタノール/ベンジルアルコール=1/9(容量比)の溶液を使用して滴定を行う。ポリエステル試料を入れずにブランクも同じ測定を行う。酸価(等量/ton)は下記式により算出した。
酸価=(A−B)×0.1×f×1000/W
A=滴定数(ml)、B=ブランクの滴定数(ml)、f=NaOH溶液のファクター、W=試料の重量(g)である。
【0242】
(3)示差走査熱量分析(DSC)
セイコー電子工業株式会社製の示差熱分析計(DSC)、RDC−220型で測定した。ポリエステル試料4mgを同社製オートサンプラー専用アルミ容器に封入し、室温から20℃/分の速度で290℃まで昇温し、290℃に達してから3分間保持した後、10℃/分で240℃まで降温し、引き続き7℃/分で室温まで降温した。昇温過程に観察される結晶化による発熱ピークの頂点温度を昇温時結晶化温度(Tc1)とし、結晶が融解する吸熱ピークの頂点温度を融点(Tm)とし、又降温過程で観察される発熱ピークを降温結晶化温度(Tc2)とした。
ポリエステル試料とは、下記の成形板の2mm厚みのプレ−トの中央部から切り取った試料もしくは、口栓部結晶化処理前のプリフォーム口栓部天面から切り取った試料を約25℃で3日間減圧下で乾燥し、測定試料とした。。
【0243】
(4)カラー測定
溶融重合又は固相重合で得られた長さ約5mm、直径約3mmのシリンダー形状のレジンチップをカラー測定に使用した。カラー測定は、溶融重合して得られたPETレジンチップを用い、色差計(東京電色(株)製MODEL TC−1500MC−88)を使用して、ハンターのL値、a値、b値として測定した。L値は大きくなるほど、白味の強いことを示し、b値は大きいほど黄味が強いことを示す。
【0244】
(5)ポリエステルの環状3量体の含有量(以下「CT含有量」という)
試料300mgをヘキサフルオロイソプロパノ−ル/クロロフォルム混合液(容量比=2/3)3mlに溶解し、さらにクロロフォルム30mlを加えて希釈する。これにメタノ−ル15mlを加えてポリマ−を沈殿させた後、濾過する。濾液を蒸発乾固し、ジメチルフォルムアミド10mlで定容とし、高速液体クロマトグラフ法により環状3量体を定量した。
【0245】
(6)アセトアルデヒド含有量(以下「AA含有量」という)
試料/蒸留水=1グラム/2ccを窒素置換したガラスアンプルに入れた上部を溶封し、160℃で2時間抽出処理を行い、冷却後抽出液中のアセトアルデヒドを高感度ガスクロマトグラフィーで測定し、濃度をppmで表示した。
【0246】
(7)段付成形板の成形
乾燥したポリエステルを名機製作所製M−150C(DM)射出成形機により、シリンダー温度290℃において、10℃の水で冷却した段付平板金型(金型表面温度約22℃)を用い成形する。得られた段付成形板は、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11mmの厚みの約3cm×約5cm角のプレ−トを階段状に備えたもので、1個の重量は約146gである。5mm厚みのプレートはヘイズ(霞度%)測定に使用した。
【0247】
(8)金型汚れの評価
ポリエステルを脱湿窒素を用いた乾燥機で乾燥し、各機製作所製M−150C(DM)射出成形機により樹脂温度295℃でプリフォームを成形した。このプリフォームの口栓部を自家製の口栓部結晶化装置で加熱結晶化させた後、コーポプラスト社製LB−01E延伸ブロー成形機を用いて二軸延伸ブロー成形し、引き続き約140℃に設定した金型内で約7秒間熱固定し、1500ccの中空成形体(胴部は円形)を得た。同様の条件で連続的に延伸ブロー成形し、目視で判断して成形体の透明性が損なわれるまでの成形回数で金型汚れを評価した。また、ヘイズ測定用試料としては、3000回連続成形後の成形体の胴部を供した。
【0248】
(9)密度
硝酸カルシュウム/水混合溶液の密度勾配管で30℃で測定した。
【0249】
(10)ヘイズ(霞度%)
下記(7)の成形体(肉厚5mm)および(8)の中空成形体の胴部(肉厚約0.40mm)より試料を切り取り、日本電色(株)製ヘイズメーター、NDH2000型で測定した。
【0250】
(実施例1)
塩基性酢酸アルミニウムの水/エチレングリコール混合溶液の調製例
塩基性酢酸アルミニウム(ヒドロシキアルミニウムジアセテート;Aldrich社製)1gに対して50mlの割合で脱イオン水を加え12時間常温で攪拌した。その後、約70℃で6時間攪拌してクリアーな水溶液を得た。この水溶液1に対して3倍量(容量比)のエチレングリコールを添加して、室温で6時間攪拌して触媒溶液を得た。
撹拌機、蒸留塔、圧力調整器を備えた重合装置に、高純度テレフタル酸64.8kgとその2倍モル量のエチレングリコール、二酸化ゲルマニウム4.1gを仕込み、トリエチルアミンをポリエステル中の酸成分に対して0.3mol%加え、0.30MPaの加圧下240℃にて水を系外に留去しながらエステル化反応を120分間行いエステル化率が約95%のビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレート(BHET)およびオリゴマーの混合物(以下、BHET混合物という)を得た。このBHET混合物に対して、Irganox1425(チバ・スペシャリティーケミカルズ社製)の100g/lのエチレングリコール溶液をポリエステル中の酸成分に対してIrganox1425として0.01mol%添加し、重縮合触媒として上記塩基性酢酸アルミニウムの水/エチレングリコール混合溶液をポリエステル中の酸成分に対してアルミニウム原子として0.007mol%加えて、窒素雰囲気下常圧にて240℃で10分間攪拌した。次いで75分間を要して275℃まで昇温しつつ反応系の圧力を徐々に下げて13.3Pa(0.1Torr)としてさらに275℃、13.3Paで重縮合反応を行った。溶融ポリマーを吐出ノズルより水中に押し出し、カッターによって、直径約3mm、長さ約5mmの円柱状チップとした。同様にして溶融重合を5回繰り返し得られたポリマーの固有粘度は0.58dl/gであった。
溶融重合で得られたレジンチップを、減圧乾燥(0.1Torr以下、80℃、12時間)した後、引き続き結晶化処理(0.1Torr以下、130℃、3時間、さらに、0.1Torr以下、160℃、3時間)を行った。放冷後のこのレジンチップを固相重合反応器内で、系内を0.1Torr以下、215℃に保ちながら固相重合を行い、IVが0.78dl/g、b値が2.0、アセトアルデヒド含有量が2.8ppm、環状三量体含有量が0.34重量%、密度が1.428g/cmの固相重合ポリエステルを得た。
次いで、上記の(7)方法により、段付成形板による評価を行った。この固相重合ポリエステルを用いて成形した成形板のヘイズは、5.2%、DSCによる昇温結晶化温度(Tc1)は169℃、アセトアルデヒド含有量20ppm、環状三量体含有量が0.37%と問題のない値であった。
【0251】
(実施例2)
実施例1と同様にして作成したBHET混合物に対して、HOSTALUX KS(クラリアント社製)を最終的に得られるポリマーに対して4ppmとなる量をさらに添加すること以外は実施例1と同様の方法を用いてポリエステルを得た。同様にして溶融重合を5回繰り返し得られたポリマーの固有粘度は0.58dl/gであった。次いで実施例1と同様に乾燥、結晶化処理、および固相重合を行い、IVが0.78dl/g、b値が0.2、アセトアルデヒド含有量が2.8ppm、環状三量体含有量が0.33重量%、密度が1.428g/cmの溶融重合ポリエステルを得た。
次いで、上記の(7)方法により、段付成形板による評価を行った。この固相重合ポリエステルを用いて成形した成形板のヘイズは、5.4%、DSCによる昇温結晶化温度(Tc1)は167℃、アセトアルデヒド含有量19ppm、環状三量体含有量が0.36%と問題のない値であった。
【0252】
(実施例3)
撹拌機付きの熱媒循環式ステンレス製オートクレーブに(仕込み温度220℃)、高純度テレフタル酸とその2倍モル量のエチレングリコール、二酸化ゲルマニウムの8g/lの水溶液をポリエステル中の酸成分に対しゲルマニウムとして0.01mol%仕込み、トリエチルアミンをポリエステル中の酸成分に対して0.3mol%加え、0.25MPaの加圧下、30分を要して250℃に昇温した後、250℃にて水を系外に留去しながらエステル化反応を100分間行い、エステル化率が約95%のビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレート(BHET)およびオリゴマーの混合物(以下、BHET混合物という)を得た。このBHET混合物に対して、Irganox1425(チバ・スペシャリティーケミカルズ社製)の100g/lのエチレングリコール溶液をポリエステル中の酸成分に対してIrganox1425として0.0071mol%添加し、重縮合触媒として実施例1と同様の方法で作成した塩基性酢酸アルミニウムの水/エチレングリコール混合溶液をポリエステル中の酸成分に対してアルミニウム原子として0.005mol%加えて、窒素雰囲気下常圧にて250℃で15分間攪拌した。その後、60分間を要して275℃まで昇温しつつ反応系の圧力を徐々に下げて13.3Pa(0.1Torr)としてさらに275℃、13.3Paで重縮合反応を行った。溶融ポリマーを吐出ノズルより水中に押し出し、カッターによって、直径約3mm、長さ約5mmの円柱状チップとした。得られた溶融重合ポリマーの固有粘度は0.54dl/gであった。
同様にして溶融重合を5回繰り返し溶融重合で得られたレジンチップを、減圧乾燥(0.1Torr以下、80℃、12時間)した後、引き続き結晶化処理(0.1Torr以下、130℃、3時間、さらに0.1Torr以下、160℃、3時間)を行った。放冷後のレジンチップを固相重合反応器内で、系内を0.1Torr以下、215℃に保ちながら固相重合を行った。その結果、ポリマーの固有粘度が0.80dl/g、b値が1.8、アセトアルデヒド含有量が3.2ppm、環状三量体含有量が0.31重量%、密度が1.428g/cm3の固相重合ポリエステルを得た。
次いで、上記の(7)方法により、段付成形板による評価を行った。この固相重合ポリエステルを用いて成形した成形板のヘイズは、4.8%、DSCによる昇温結晶化温度(Tc1)は172℃、アセトアルデヒド含有量17ppm、環状三量体含有量が0.33%と問題のない値であった。
【0253】
(実施例4)
二酸化ゲルマニウム、塩基性酢酸アルミニウム、Irganox1425の添加量を表1に示した量に変更する以外は、実施例3と同様の方法でポリエステルを得た。同様にして溶融重合を5回繰り返し得られた溶融重合ポリマーの固有粘度は0.51dl/gであった。
次いで実施例3と同様に乾燥、結晶化処理、および固相重合を行った。ポリマーの固有粘度が0.75dl/g、b値が4.4、アセトアルデヒド含有量が3.0ppm、環状三量体含有量が0.28重量%、密度が1.428g/cm3の固相重合ポリエステルを得た。
次いで、上記の(7)方法により、段付成形板による評価を行った。この固相重合ポリエステルを用いて成形した成形板のヘイズは、7.1%、DSCによる昇温結晶化温度(Tc1)は160℃、アセトアルデヒド含有量21ppm、環状三量体含有量が0.32%と問題のない値であった。
【0254】
(実施例5)
二酸化ゲルマニウム、塩基性酢酸アルミニウム、Irganox1425の添加量を表1に示した量に変更する以外は、実施例3と同様の方法でポリエステルを得た。同様にして溶融重合を5回繰り返し得られた溶融重合ポリマーの固有粘度は0.62dl/gであった。
次いで実施例3と同様に乾燥、結晶化処理、および固相重合を行い、ポリマーの固有粘度が0.75dl/g、b値が1.6、アセトアルデヒド含有量が3.5ppm、環状三量体含有量が0.30重量%、密度が1.428g/cmの固相重合ポリエステルを得た。
次いで、上記の(7)方法により、段付成形板による評価を行った。この固相重合ポリエステルを用いて成形した成形板のヘイズは、4.5%、DSCによる昇温結晶化温度(Tc1)は170℃、アセトアルデヒド含有量17ppm、環状三量体含有量が0.31%と問題のない値であった。
【0255】
(実施例6)
二酸化ゲルマニウム、塩基性酢酸アルミニウム、Irganox1425の添加量を表1に示した量に変更する以外は、実施例3と同様の方法で溶融重合ポリエステルを得た。同様にして溶融重合を5回繰り返し得られた溶融重合ポリマーの固有粘度は0.63dl/gであった。
次いで実施例3と同様に乾燥、結晶化処理、および固相重合を行った。その結果、ポリマーの固有粘度が0.75dl/g、b値が2.1、アセトアルデヒド含有量が4.6ppm、環状3量体含有量は0.45重量%の固相重合ポリエステルを得た。
次いで、上記の(7)方法により、段付成形板による評価を行った。この固相重合ポリエステルを用いて成形した成形板のヘイズは、4.8%、DSCによる昇温結晶化温度(Tc1)は168℃、アセトアルデヒド含有量19ppm、環状三量体含有量が0.47%と問題のない値であった。
【0256】
(参考例1)
撹拌機、蒸留塔、圧力調整器を備えた重合装置に、高純度テレフタル酸64.8kgとその2倍モル量のエチレングリコール、二酸化ゲルマニウム10.2gを仕込み、トリエチルアミンをポリエステル中の酸成分に対して0.3mol%加え、0.30MPaの加圧下240℃にて水を系外に留去しながらエステル化反応を120分間行いエステル化率が95%以上のビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレート(BHET)およびオリゴマーの混合物(以下、BHET混合物という)を得た。このBHET混合物に対して、トリメチルホスフェートの100g/lのエチレングリコール溶液をポリエステル中の酸成分に対してトリメチルホスフェートとして0.037mol%加えて、窒素雰囲気下常圧にて240℃で10分間攪拌した。次いで75分間を要して275℃まで昇温しつつ反応系の圧力を徐々に下げて13.3Pa(0.1Torr)としてさらに275℃、13.3Paで重縮合反応を行った。溶融ポリマーを吐出ノズルより水中に押し出し、カッターによって、直径約3mm、長さ約5mmの円柱状チップとした。同様にして溶融重合を5回繰り返し得られた溶融重合ポリマーの固有粘度は0.55dl/gであった。
次いで実施例1と同様に乾燥、結晶化処理、および固相重合を行った。その結果、ポリマーの固有粘度が0.81dl/g、b値が1.1、アセトアルデヒド含有量が3.2ppm、環状3量体含有量は0.32重量%の固相重合ポリエステルを得た。
次いで、上記の(7)方法により、段付成形板による評価を行った。この固相重合ポリエステルを用いて成形した成形板のヘイズは、4.5%、DSCによる昇温結晶化温度(Tc1)は175℃、アセトアルデヒド含有量20ppm、環状三量体含有量が0.34%と問題のない値であった。
【0257】
(比較例1)
撹拌機、蒸留塔、圧力調整器を備えた重合装置に、高純度テレフタル酸64.8kgとその2倍モル量のエチレングリコール、三酸化アンチモンのエチレングリコール溶液をポリエステル中の全酸性分に対してアンチモン原子として0.33mol%、とリン酸のエチレングリコール溶液をポリエステル中の全酸性分に対して、リン原子として0.02mol%を仕込み、トリエチルアミンをポリエステル中の酸成分に対して0.3mol%加え、0.30MPaの加圧下240℃にて水を系外に留去しながらエステル化反応を120分間行いエステル化率が約95%のビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレート(BHET)およびオリゴマーの混合物(以下、BHET混合物という)を得た。このBHET混合物に対して、酢酸マグネシウム4水和物のエチレングリコール溶液をポリエステル中の酸成分に対してマグネシウム原子として0.026mol%添加し、窒素雰囲気下常圧にて240℃で10分間攪拌した。次いで75分間を要して270℃まで昇温しつつ反応系の圧力を徐々に下げて13.3Pa(0.1Torr)としてさらに270℃、13.3Paで重縮合反応を行った。溶融ポリマーを吐出ノズルより水中に押し出し、カッターによって、直径約3mm、長さ約5mmの円柱状チップとした。同様にして溶融重合を5回繰り返し得られたポリマーの固有粘度は0.55dl/gであった。
溶融重合で得られたレジンチップを、減圧乾燥(0.1Torr以下、80℃、12時間)した後、引き続き結晶化処理(0.1Torr以下、130℃、3時間、さらに、0.1Torr以下、160℃、3時間)を行った。放冷後のこのレジンチップを固相重合反応器内で、系内を0.1Torr以下、205℃に保ちながら固相重合を行い、IVが0.75dl/g、b値が2.0、アセトアルデヒド含有量が4.5ppm、環状三量体含有量が0.45重量%、密度が1.428g/cmの固相重合ポリエステルを得た。
次いで、上記の(7)方法により、段付成形板による評価を行った。この固相重合ポリエステルを用いて成形した成形板のヘイズは、16.2%、DSCによる昇温結晶化温度(Tc1)は135℃、アセトアルデヒド含有量25ppm、環状三量体含有量が0.47%の値になった。
【0258】
(比較例2)
撹拌機、蒸留塔、圧力調整器を備えた重合装置に、高純度テレフタル酸とその2倍モル量のエチレングリコールを仕込み、トリエチルアミンを酸成分に対して0.3mol%加え、0.25Mpaの加圧下245℃にて水を系外に留去しながらエステル化反応を120分間行いエステル化率が95%のオリゴマーを得た。このオリゴマーに対して、三酸化アンチモンのエチレングリコール溶液をポリエステル中の酸成分に対してアンチモン原子として0.05mol%加え、上述のトリメチルフォスフェートのエチレングリコール溶液をポリエステル中の酸成分に対してリン化合物として0.04mol%添加し、窒素雰囲気下常圧にて245℃で10分間攪拌した。次いで50分間を要して275℃まで昇温しつつ反応系の圧力を徐々に下げて0.1Torrとしてさらに275℃、0.1Torrで重縮合反応を行った。溶融ポリマーを吐出ノズルより水中に押し出し、カッターによって、直径約3mm、長さ約5mmの円柱状チップとした。得られた溶融重合ポリマーの固有粘度は0.56dl/gであった。
次いで実施例1と同様に乾燥、結晶化処理、および固相重合を行った。その結果、ポリマーの固有粘度が0.75dl/g、b値が1.0、アセトアルデヒド含有量が3.7ppm、環状3量体含有量は0.32重量%の固相重合ポリエステルを得た。
次いで、上記の(7)方法により、段付成形板による評価を行った。この固相重合ポリエステルを用いて成形した成形板のヘイズは、22.6%、DSCによる昇温結晶化温度(Tc1)は133℃、アセトアルデヒド含有量27ppm、環状三量体含有量が0.36%になった。
【0259】
実施例1〜6及び参考例1、比較例1〜2の結果を表1にまとめた。
【0260】
【表1】
Figure 2004059735
【0261】
実施例7〜10及び参考例2、比較例3〜4を以下に示す。
【0262】
(実施例7)
実施例1で得た固相重合ポリエステルについて、上記(8)の方法により二軸延伸中空成形体による評価を行った。
予備成形体(プリフォーム)のDSCによる昇温結晶化温度は167℃であり、また初期成形時の延伸中空成形体のアセトアルデヒド含有量は23ppm、環状三量体含有量は0.41重量%、ヘイズは1.5%と問題のない値であった。 また、この容器に90℃の温湯を充填し、キャッピング機によりキャッピングをした後ボトルを倒し放置後、口栓部の変形、及び内容物の漏洩を調べたが、問題はなかった。 また3000本以上の連続延伸ブロ−成形を実施したが、金型汚れは認められず、また延伸中空成形体の透明性も良好であった。
【0263】
(実施例8)
実施例2で得た固相重合ポリエステルについて、上記(8)の方法により二軸延伸中空成形体による評価を行った。
予備成形体(プリフォーム)のDSCによる昇温結晶化温度は168℃であり、また初期成形時の延伸中空成形体のアセトアルデヒド含有量は21ppm、環状三量体含有量は0.41重量%、ヘイズは2.1%と問題のない値であった。また、この容器に90℃の温湯を充填し、キャッピング機によりキャッピングをした後ボトルを倒し放置後、口栓部の変形、及び内容物の漏洩を調べたが、問題はなかった。 また3000本以上の連続延伸ブロ−成形を実施したが、金型汚れは認められず、また延伸中空成形体の透明性も良好であった。
【0264】
(実施例9)
高純度テレフタル酸に加え、高純度イソフタル酸が最終的に得られるポリマーの酸成分に対し1.6mol%になるように仕込み、二酸化ゲルマニウムの8g/lの水溶液をポリエステル中の酸性分に対しゲルマニウムとして0.002mol%仕込み、Irganox1425のエチレングリコール溶液をポリエステルの全酸性分に対してIrganox1425として0.025mol%、塩基性酢酸アルミニウムの水/エチレングリコール混合溶液をポリエステル中の酸成分に対してアルミニウム原子として0.014mol%添加し、HOSTALUXKS(クラリアント社製)添加の代わりに酢酸コバルトのエチレングリコール溶液を最終的に得られるポリマーに対してコバルト原子として5ppmとなる量をさらに添加すること以外は、実施例2と同様の方法でポリエステルを得た。同様にして溶融重合を5回繰り返し得られたポリマーの固有粘度は0.55dl/gであった。
次いで実施例1と同様に乾燥、結晶化処理、および固相重合を行った。その結果、ポリマーの固有粘度が0.781dl/g、b値が0.0、アセトアルデヒド含有量が2.4ppm、環状3量体含有量は0.31重量%の固相重合ポリエステルを得た。
次いで、上記(8)の方法により二軸延伸中空成形体による評価を行った。
予備成形体(プリフォーム)のDSCによる昇温結晶化温度は162℃であり、また初期成形時の延伸中空成形体のアセトアルデヒド含有量は20ppm、環状三量体含有量は0.37重量%、ヘイズは0.8%と問題のない値であった。 また3000本以上の連続延伸ブロ−成形を実施したが、金型汚れは認められず、また延伸中空成形体の透明性も良好であった。
【0265】
(実施例10)
実施例1で得た固相重合ポリエステルチップに、ポリエチレン(三菱化学製「UE320」)を予め混練下したポリエチレンテレフタレートマスターバッチを、ポリエチレン含有量が10ppbになるように混合したポリエチレンテレフタレートを得た。
次いで、上記(8)の方法により二軸延伸中空成形体による評価を行った。
予備成形体(プリフォーム)のDSCによる昇温結晶化温度は161℃であり、また初期成形時の延伸中空成形体のアセトアルデヒド含有量は24ppm、環状三量体含有量は0.42重量%、ヘイズは1.7%と問題のない値であった。また、この容器に90℃の温湯を充填し、キャッピング機によりキャッピングをした後ボトルを倒し放置後、口栓部の変形、及び内容物の漏洩を調べたが、問題はなかった。 また3000本以上の連続延伸ブロ−成形を実施したが、金型汚れは認められず、また延伸中空成形体の透明性も良好であった。
【0266】
(参考例2)
参考例1で得た固相重合ポリエステルについて、上記(8)の方法により二軸延伸中空成形体による評価を行った。
予備成形体(プリフォーム)のDSCによる昇温結晶化温度は173℃であり、また初期成形時の延伸中空成形体のアセトアルデヒド含有量は23ppm、環状三量体含有量は0.38重量%、ヘイズは1.5%の値を示した。また、この容器に90℃の温湯を充填し、キャッピング機によりキャッピングをした後ボトルを倒し放置後、口栓部の変形、及び内容物の漏洩を調べたが、問題はなかった。 また3000本以上の連続延伸ブロ−成形を実施したが、金型汚れは認められず、また延伸中空成形体の透明性も良好であった。
【0267】
(比較例3)
比較例1で得た固相重合ポリエステルについて、上記(8)の方法により二軸延伸中空成形体による評価を行った。
予備成形体(プリフォーム)のDSCによる昇温結晶化温度は132℃であり、また初期成形時の延伸中空成形体のアセトアルデヒド含有量は29ppm、環状三量体含有量は0.54重量%、ヘイズは7.2%の値を示した。また、この容器に90℃の温湯を充填し、キャッピング機によりキャッピングをした後ボトルを倒し放置後、口栓部の変形、及び内容物の漏洩があった。また3000本以上の連続延伸ブロ−成形を実施したところ、金型汚れが顕著に認められ、また延伸中空成形体の透明性が低下した。
【0268】
(比較例4)
高純度テレフタル酸に加え、高純度イソフタル酸が最終的に得られるポリマーの酸成分に対し1.6mol%になるように仕込み、三酸化アンチモン、酢酸マグネシウム、リン酸について表2に示すように添加した以外は、比較例1と同様の方法で溶融重合ポリエステルを得た。同様にして溶融重合を5回繰り返し得られたポリマーの固有粘度は0.60dl/gであった。
次いで実施例1と同様に乾燥、結晶化処理、および固相重合を行った。その結果、ポリマーの固有粘度が0.791dl/g、b値が1.6、アセトアルデヒド含有量が4.4ppm、環状3量体含有量は0.38重量%の固相重合ポリエステルを得た。
次いで、上記(8)の方法により二軸延伸中空成形体による評価を行った。
予備成形体(プリフォーム)のDSCによる昇温結晶化温度は148℃であり、また初期成形時の延伸中空成形体のアセトアルデヒド含有量は26ppm、環状三量体含有量は0.48重量%、ヘイズは5.7%との値であった。 また3000本以上の連続延伸ブロ−成形を実施したところ、金型汚れが顕著になり、また延伸中空成形体の透明性が低下した。
【0269】
実施例7〜10及び参考例2、比較例3〜4の結果を表2にまとめた。
【0270】
【表2】
Figure 2004059735
【0271】
【発明の効果】
本発明によって、高価なゲルマニウムの使用量を低減した触媒であって、安価で、触媒活性に優れ、かつその触媒を用いて製造された品質の優れたポリエステル組成物、ならびにその触媒を用いたポリエステルの製造方法を提供することが可能となる。

Claims (18)

  1. 芳香族ジカルボン酸又はそのエステル形成誘導体を主成分とするジカルボン酸成分と、ジオールまたはそのエステル形成性誘導体とのエステル化反応またはエステル交換反応により得られる生成物を重縮合して得られたポリエステルであって、アルミニウムもしくはアルミニウム化合物のうち少なくともいずれか一種と、ゲルマニウムもしくはゲルマニウム化合物より選ばれる少なくとも一種と、フェノール系化合物から選択される少なくとも一種とを含有する触媒によって合成されるとともに、示差走査型熱量計により測定した、前記ポリエステルから得られた成形体非晶部もしくは非晶化した成形体の昇温時結晶化温度が、150〜175℃の範囲であることを特徴とするポリエステル組成物。
  2. 芳香族ジカルボン酸又はそのエステル形成誘導体を主成分とするジカルボン酸成分と、ジオールまたはそのエステル形成性誘導体とのエステル化反応またはエステル交換反応により得られる生成物を重縮合して得られたポリエステルであって、アルミニウムもしくはアルミニウム化合物のうち少なくともいずれか一種と、ゲルマニウムもしくはゲルマニウム化合物より選ばれる少なくとも一種と、リン化合物から選択される少なくとも一種とを含有する触媒によって合成されるとともに、示差走査型熱量計により測定した、前記ポリエステルから得られた成形体非晶部もしくは非晶化した成形体の昇温時結晶化温度が、150〜175℃の範囲であることを特徴とするポリエステル組成物。
  3. 触媒としてさらにリン化合物から選択される少なくとも一種を用いることを特徴とする請求項1に記載のポリエステル組成物。
  4. リン化合物が、ホスホン酸系化合物、ホスフィン酸系化合物、ホスフィンオキサイド系化合物、亜ホスホン酸系化合物、亜ホスフィン酸系化合物、ホスフィン系化合物から選択されることを特徴とする請求項2〜3に記載のポリエステル組成物。
  5. リン化合物が、下記一般式化1〜化3で表される化合物から選択されることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載のポリエステル組成物。
    Figure 2004059735
    Figure 2004059735
    Figure 2004059735
    (化1〜化3中、R、R、R、Rはそれぞれ独立に水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはハロゲン基またはアルコキシル基またはアミノ基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。
    、Rはそれぞれ独立に水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。ただし、炭化水素基は脂環構造や芳香環構造を含んでいてもよい。)
  6. リン化合物が下記一般式化4〜化6で表される化合物から選択されることを特徴とする請求項2〜5に記載のポリエステル組成物。
    Figure 2004059735
    Figure 2004059735
    Figure 2004059735
    (化4〜化6中、Rはフェノール部を含む炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはハロゲン基またはアルコキシル基またはアミノ基およびフェノール部を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。
    ,R,Rはそれぞれ独立に水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはハロゲン基またはアルコキシル基またはアミノ基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。R,Rはそれぞれ独立に水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。ただし、炭化水素基は分岐構造や脂環構造や芳香環構造を含んでいてもよい。RとRの末端どうしは結合していてもよい。)
  7. 芳香族ジカルボン酸又はそのエステル形成誘導体を主成分とするジカルボン酸成分と、ジオールまたはそのエステル形成性誘導体とのエステル化反応またはエステル交換反応により得られる生成物を重縮合して得られたポリエステルであって、リン化合物のアルミニウム塩から選択される少なくとも一種と、ゲルマニウムもしくはゲルマニウム化合物より選ばれる少なくとも一種を含有する触媒によって合成されるとともに、示差走査型熱量計により測定した、前記ポリエステルから得られた成形体非晶部もしくは非晶化した成形体の昇温時結晶化温度が、150〜175℃の範囲であることを特徴とするポリエステル組成物。
  8. 芳香族ジカルボン酸又はそのエステル形成誘導体を主成分とするジカルボン酸成分と、ジオールまたはそのエステル形成性誘導体とのエステル化反応またはエステル交換反応により得られる生成物を重縮合して得られたポリエステルであって、下記一般式化7で表される化合物から選択される少なくとも一種と、ゲルマニウムもしくはゲルマニウム化合物より選ばれる少なくとも一種を含有する触媒によって合成されるとともに、示差走査型熱量計により測定した、前記ポリエステルから得られた成形体非晶部もしくは非晶化した成形体の昇温時結晶化温度が、150〜175℃の範囲であることを特徴とするポリエステル組成物。
    Figure 2004059735
    (化7中、R、Rはそれぞれ独立に水素、炭素数1〜30の炭化水素基を表す。Rは、水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。
    は、水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基またはカルボニルを含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。lは1以上の整数、mは0または1以上の整数を表し、l+mは3である。nは1以上の整数を表す。炭化水素基は脂環構造や分岐構造や芳香環構造を含んでいてもよい。)
  9. 前記芳香族ジカルボン酸が主としてテレフタル酸又はナフタレンジカルボン酸であり、ジオール成分が主としてエチレングリコールである請求項1〜8のいずれかに記載のポリエステル組成物。
  10. 前記芳香族ジカルボン酸がイソフタル酸および/またはナフタレンジカルボン酸を0〜15モル%含有することを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のポリエステル組成物。
  11. 前記ポリエステル中において、ジエチレングリコ−ル成分の含有量が、前記ポリエステルを構成するグリコ−ル成分の0.5〜5.0モル%であることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載のポリエステル。
  12. 前記ポリエステルの極限粘度が、0.6〜1.5デシリットル/グラムであることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載のポリエステル。
  13. 請求項1〜12のいずれかに記載のポリエステルの製造方法。
  14. 請求項1〜12のいずれかに記載のポリエステルを射出成形あるいは押出成形してなることを特徴とする成形体
  15. 請求項14に記載の成形体を更に少なくとも1軸方向以上に延伸加工してなることを特徴とする延伸成形体。
  16. 請求項1〜12のいずれかに記載のポリエステルを成形してなることを特徴とする中空成形体。
  17. 請求項1〜12のいずれかに記載のポリエステルを成形してなることを特徴とするシート状物質。
  18. 請求項1〜12のいずれかに記載のポリエステルを成形してなることを特徴とするフィルム状物質。
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