JP2004054072A - 定着装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】記録媒体の先端の全てが同時にニップ部に進入する定着装置を提供する。
【解決手段】フィルムガイド56のうちその長手方向(矢印B方向)両端部であって、ニップ部Nよりも回転方向(矢印C方向)やや上流側部分に、矢印B方向に延びる開口56a,56aを形成した。2つの開口56aそれぞれからには、弛み矯正部材60の長手方向両端部が位置している。この弛み矯正部材60は、薄膜フィルム52のうちその長手方向両端部であってニップ部Nよりも記録媒体搬送方向(矢印A方向)上流側部分を、薄膜フィルム52の内側から外側に向けて押し付けることにより、薄膜フィルム52の弛みを無くすものである。
【選択図】 図1
【解決手段】フィルムガイド56のうちその長手方向(矢印B方向)両端部であって、ニップ部Nよりも回転方向(矢印C方向)やや上流側部分に、矢印B方向に延びる開口56a,56aを形成した。2つの開口56aそれぞれからには、弛み矯正部材60の長手方向両端部が位置している。この弛み矯正部材60は、薄膜フィルム52のうちその長手方向両端部であってニップ部Nよりも記録媒体搬送方向(矢印A方向)上流側部分を、薄膜フィルム52の内側から外側に向けて押し付けることにより、薄膜フィルム52の弛みを無くすものである。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、記録紙などの記録媒体に形成された現像像をこの記録媒体に定着する定着装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
コンピュータやワークステーションの出力装置として、粉体の現像剤(トナー)を用いて記録媒体に画像を形成する電子写真方式の画像形成装置が知られている。画像形成装置では、例えば、画像情報を担持する光(例えばレーザ)を感光ドラムなどの像担持体に照射して静電潜像を形成し、この静電潜像に現像ローラを用いてトナーを供給して現像像を形成し、転写ローラなどを使用してこの現像像を記録媒体に転写して転写像(現像像)を形成する。転写像が形成された記録媒体は搬送ガイドに案内されながら定着装置に搬送される。
【0003】
この定着装置として、熱源が内蔵された定着ローラを用いる熱ローラ方式が一般的である。しかし、この熱ローラ方式の定着装置では、大きな熱容量を要するので、電源投入から画像出力までの装置立ち上がりに時間を要する。そこで、最近では省電力化や、電源投入から画像出力までの時間を短縮させるために、例えば特開昭63−313182号公報、特開平2−157878号公報に記載されているようなフィルム加熱定着方式が採用されている。このフィルム加熱定着方式の定着装置には、内部に加熱体が配置されると共にその周方向に回転する円筒状の薄膜フィルムと、この薄膜フィルムに押し付けられながらその周方向に回転する加圧ローラとが備えられており、薄膜フィルムと加圧ローラとの間に記録媒体を挟持しながら搬送してこの記録媒体に現像像を定着する。
【0004】
図7と図8を参照して、フィルム加熱定着方式の定着装置の構造について説明する。
【0005】
図7は、フィルム加熱定着方式の定着装置を示す模式図である。図8は、長手方向中央部分を省略して一部を切り欠いた加熱体を示す平面図である。
【0006】
フィルム加熱定着方式の定着装置10では、最大でA3サイズの記録媒体12を定着できる。定着装置10は、その周方向に回転する円筒状の薄膜フィルム20と、この薄膜フィルム20に押し付けられながらその周方向に回転する加圧ローラ40とを備えている。
【0007】
薄膜フィルム20の内部には、この薄膜フィルム20を加圧ローラ40に押し付けるためのステー22が配置されている。ステー22は剛性・耐熱性を有するものであり、ステー22は、薄膜フィルム20が円筒形を保つように案内するフィルムガイド24と、このフィルムガイド24を加圧ローラ40に向けて押し付ける加圧部材26とで構成されている。フィルムガイド24は、横断面がU字状のものであり薄膜フィルム20の長手方向に延びている。薄膜フィルム20の長手方向とは、図7の紙面に垂直な方向であり、記録媒体の搬送方向(矢印A方向)に直交する方向である。フィルムガイド24のうち薄膜フィルム20に接触する平坦部の表面には、加熱体30が配置されている。なお、加圧部材26も薄膜フィルム20の長手方向に延びている。
【0008】
加熱体30は、矢印A方向に直交する方向に延びる細長い基板32を備えている。基板32は、耐熱性、電気的絶縁性、及び優れた熱伝導性を有するものである。基板32の表面のうち幅方向(矢印A方向)中央部分には、その長手方向に延びる抵抗発熱体34が形成されている。また、基板32の表面は、抵抗発熱体34を保護する耐熱性オーバーコート層36で覆われている。抵抗発熱体34の長手方向両端部には、給電用電極38,38が形成されている。基板32の裏面には、加熱体30の温度を検知するサーミスタ等の検温素子39が配置されている。この加熱体30は全体として小さい容熱量のものである。
【0009】
上記した加熱体30としては、例えば特開平4−44075号公報〜特開平4−44083号公報、特開平4−204980号公報〜特開平4−204984号公報などに開示された所謂テンションレスタイプが知られている。また、加熱体30の基板32は、例えば、アルミナ製や窒化アルミニウム製などであり、その厚さは1mm、幅は10cm、長さは330mmである。また、抵抗発熱体34は、例えばAg/Pd(銀パラジウム)、RuO2、Ta2N等の電気抵抗材料をスクリーン印刷等によって厚さ約10μm、幅1〜3mmの線状若しくは細帯上に塗工して形成したものである。また、給電用電極38,38は、例えばAg等のスクリーン印刷パターン層であり、オーバーコート層36は、例えば厚さ約10μmの耐熱体ガラス層である。
【0010】
加圧ローラ40は、加熱体30との間に薄膜フィルム20を挟んで圧接ニップ部(定着ニップ部)Nを形成する。この圧接ニップ部Nは幅WNを有する。また、加圧ローラ40は、薄膜フィルム20の外周面に接触して薄膜フィルム20を回転駆動させる。加圧ローラ40は、芯金40aと、シリコンゴム等よりなる弾性体層40bと、最外層の離型層40cから構成されている。芯金40aの長手方向両端部は軸受(図示せず)に回転自在に支持されている。この軸受は、加圧ローラ40が薄膜フィルム20に押し付けられるように例えばコイルばね(図示せず)によって付勢されている。この加圧ローラ40はモータ42によって回転駆動し、加圧ローラ40と薄膜フィルム20の外周面との摩擦力でこの薄膜フィルム20に搬送力を与える。
【0011】
抵抗発熱体34の長手方向両端部に配置された給電用電極38,38に給電することにより抵抗発熱体34が長手方向の全長に渡って発熱し、これにより加熱体30が昇温する。この昇温した温度が検温素子39で検知される。その検温素子39の出力はA/D変換されてCPU44に送信される。CPU44に送信された温度情報に基づいて、抵抗発熱体34に通電するAC電源48のAC電圧をトライアック46によって位相、周波数制御する。このように制御することにより、加熱体30に通電する電力を制御して加熱体30の温度を制御する。この結果、検温素子39の検知した温度が所定の設定温度よりも低いときは加熱体30が昇温するように通電が制御される。一方、検温素子39の検知した温度が所定の設定温度よりも高いときは、加熱体30が降温するように通電が制御される。このように制御されることにより、定着の際に加熱体30は一定の温度に調整される。
【0012】
上記したフィルム加熱定着方式の定着装置10の動作を、図9から図13までを参照して説明する。
【0013】
図9は、大サイズの記録媒体を定着している薄膜フィルムと加圧ローラの長手方向端部を示す模式図である。図10は、大サイズの記録媒体を定着している薄膜フィルムと加圧ローラの長手方向中央部を示す模式図である。図11は、小サイズの記録媒体を定着している薄膜フィルムと加圧ローラの長手方向端部を示す模式図である。図12は、小サイズの記録媒体を定着している薄膜フィルムと加圧ローラの長手方向中央部を示す模式図である。図13は、弛んだ薄膜フィルムを示す模式図である。
【0014】
記録媒体に現像剤を定着する際は、加熱体30が所定温度に達し、且つ、加圧ローラ40の回転に伴って薄膜フィルム20の回転周速度が定常化した状態において、加熱体30と加圧ローラ40とで形成されるニップ部Nの間に記録媒体12が搬送されてくる。記録媒体12が薄膜フィルム20と共にニップ部Nで挟持されながら搬送されることにより、加熱体30の熱が薄膜フィルム20を介して記録媒体12に伝導し、記録媒体12上の未定着像(現像像)Tが記録媒体12の面に加熱定着される。ニップ部Nを通過した記録媒体12は薄膜フィルム20から分離されて搬送される。なお、定着の際は、記録媒体12は中央基準(薄膜フィルム20の長手方向中央と記録媒体12の幅方向中央が一致するように)で通紙される。
【0015】
薄膜フィルム20は、その周長が余裕を持つように(ルーズに)フィルムガイド24の外周面に接触している。このため、記録媒体12がニップ部Nに到達する前(進入する前)において、薄膜フィルム20の長手方向端部では、薄膜フィルム20とフィルムガイド24が、図9に示すように、間隔S0を保っている。また、薄膜フィルム20の長手方向中央部においても、薄膜フィルム20とフィルムガイド24が、図10に示すように、間隔S0を保っている。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、定着装置10では、薄膜フィルム20の長さLよりも幅の短い記録媒体(小サイズの記録媒体)に現像像を定着することもある。このような場合、例えば2L/3程度の幅の記録媒体12を中央基準で連続的にニップ部Nを通過させたとき、薄膜フィルム20の長手方向両端部には記録媒体12が接触しない。このため、薄膜フィルム20の長手方向両端部は非通紙部となり、この非通紙部には、加熱体30の熱を伝導する記録媒体12が存在しない。この結果、加圧ローラ40のうち非通紙部に接触する部分(非通紙部分)は加熱体30の熱が多量に伝導されることとなる。従って、この部分の温度は、加圧ローラ40のうち記録媒体12が通過する部分(通紙部分)よりも高温となる。このため、熱膨張によって、加圧ローラ40の非通紙部分の外径は通紙部分の外径よりも大きくなる。
【0017】
外径が大きい部分の外周面の周速は、外径が小さい部分の外周面の周速よりも速くなる。即ち、加圧ローラ40の非通紙部分の外周面の周速は、通紙部分の外周面の周速よりも速くなる。従って、ニップ部Nにおける薄膜フィルム20の搬送速度は、通紙部よりも非通紙部の方が速くなって、薄膜フィルム20の長手方向両端部と長手方向中央部とでは速度差が生じる。この結果、薄膜フィルム20の通紙部と非通紙部でねじれ力が作用する。このねじれ力によって、ニップ部Nの直前(矢印A方向上流側)において薄膜フィルム20とフィルムガイド24の間の隙間量が、長手方向両端部では、図11に示すように、小さい隙間S1となり、一方、長手方向中央部では、図12に示すように、大きい隙間S2になる。このようにS2>S0>S1という関係になるので、図13に示すように、ニップ部Nの直前で薄膜フィルム20に弛み20’が生じる。
【0018】
このような弛み20’が生じた状態で記録媒体12がニップ部Nに進入してきた場合、記録媒体12の先端のうち長手方向中央部分は弛み20’に衝突して進入抵抗を受ける。一方、薄膜フィルム20の長手方向両端部には弛み20’が生じていないので、記録媒体12の先端のうち薄膜フィルム20の長手方向両端部分は侵入抵抗を受けない。この結果、記録媒体12の先端がニップ部Nに進入するタイミングは、薄膜フィルム20の長手方向中央部と長手方向両端部とにおいて相違してばらつきが生じるので、記録媒体12に皺が発生するという問題がある。
【0019】
本発明は、上記事情に鑑み、記録媒体の先端の全てが同時にニップ部に進入する定着装置を提供することを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明の定着装置は、記録媒体に現像像を形成してこの現像像を定着させることにより記録媒体に画像を形成する画像形成装置における、内部に加熱体が配置されると共にその周方向に回転する円筒状の薄膜フィルム及びこの薄膜フィルムに押し付けられながらその周方向に回転する加圧ローラ双方の間に記録媒体を挟持しながら搬送してこの記録媒体に現像像を定着する定着装置において、
(1)前記薄膜フィルムの所定部分をその内側から外側に向けて押し付けることにより該薄膜フィルムの弛みを矯正する弛み矯正手段を備えたことを特徴とするものである。
【0021】
ここで、
(2)前記弛み矯正手段は、前記薄膜フィルムの長手方向両端部をその内側から外側に向けて押し付けるものであってもよい。
【0022】
また、
(3)前記弛み矯正手段は、前記薄膜フィルムのうち、該薄膜フィルムと前記加圧ローラが記録媒体を挟持するニップ部よりも記録媒体進入方向上流側の部分を、該薄膜フィルムの内側から外側に向けて押し付けるものであってもよい。
【0023】
さらに、
(4)前記弛み矯正手段は、前記薄膜フィルムをその内側から外側に張り出させることにより、該薄膜フィルムの弛みを矯正するものであってもよい。
【0024】
さらにまた、
(5)前記弛み矯正手段は、前記薄膜フィルム、前記加圧ローラ、及び前記加熱体のうちのいずれかの温度に基づいて、張り出させる量を変更するものであってもよい。
【0025】
さらにまた、
(6)前記弛み矯正手段は、連続して定着した記録媒体の枚数に基づいて、張り出させる量を変更するものであってもよい。
【0026】
【発明の実施の形態】
[第1実施形態]
【0027】
図1から図4までを参照して、本発明の定着装置の第1実施形態を説明する。
【0028】
図1は、定着装置の第1実施形態を示す斜視図である。図2(a)は、図1の薄膜フィルムとステーを示す正面図であり、(b)は、弛み矯正部材を示す正面図である。図3は、弛み矯正部材によって弛みが矯正された薄膜フィルムを示す斜視図である。図4は、弛み矯正部材の制御を表すグラフである。これらの図では、図7に示された構成要素と同一の構成要素には同一の符号が付されている。
【0029】
定着装置50は、その周方向に回転する円筒状の薄膜フィルム52を備えている。この薄膜フィルム52には、加圧ローラ40が押し付けられながらその周方向に回転する。薄膜フィルム52の内部には、薄膜フィルム52を加圧ローラ40に押し付けるためのステー54が配置されている。ステー54は剛性及び耐熱性を有するものである。ステー54には、薄膜フィルム52が円筒形を保つように案内するフィルムガイド56と、このフィルムガイド56を加圧ローラ40に向けて押し付ける加圧部材58とが備えられている。
【0030】
フィルムガイド56は、横断面がU字状のものであって、薄膜フィルム52の長手方向(矢印B方向)に延びている。この長手方向は、記録媒体の搬送方向(矢印A方向)に直交する方向である。フィルムガイド56のうち薄膜フィルム52に接触する平坦部の表面には、加熱体30が配置されている。加圧部材58の横断面はコ字状であり、この加圧部材58は薄膜フィルム52の長手方向に延びている。なお、加熱体30の構造は、図8を参照して説明した加熱体30と同じ構造である。
【0031】
薄膜フィルム52は、横断面が円形の耐熱性フィルムである。この薄膜フィルム52の内周長さは、加熱体30を含むステー54の外周長さよりも例えば3mm程度長い。このため、薄膜フィルム52にはステー54がルーズに挿入された状態になっている。ステー54が薄膜フィルム52を加圧ローラ40に押し付けるので、薄膜フィルム52と加圧ローラ40はそれらの長手方向(矢印B方向)に延びるニップ部Nを形成する。
【0032】
薄膜フィルム52の熱容量を小さくして定着装置50のクイックスタート性を向上させるために、薄膜フィルム52の膜厚は100μm以下、好ましくは50μm以下20μm以上である。また、薄膜フィルム52は、耐熱性を有するPTFE、PFA、FEPなどの単層フィルム、若しくは、ポリイミド、ポリアミドイミド、PEEK、PES、PPS等のフィルムの外周面にPTFE、PFA、FEPなどをコーティングした複合層フィルムから構成されている。
【0033】
フィルムガイド56のうちその長手方向(矢印B方向)両端部であって、ニップ部Nよりも回転方向(矢印C方向)やや上流側部分には、矢印B方向に延びる開口56a,56aが形成されている。2つの開口56aそれぞれからには、弛み矯正部材60(本発明にいう弛み矯正手段の一例である)の長手方向両端部が位置している。この弛み矯正部材60は、薄膜フィルム52のうちその長手方向両端部であってニップ部Nよりも記録媒体搬送方向(矢印A方向)上流側部分を、薄膜フィルム52の内側から外側に向けて押し付けることにより、薄膜フィルム52の弛みを無くすものである。
【0034】
弛み矯正部材60は細長い円柱状のものであり、矢印B方向に延びている。弛み矯正部材60の長手方向両端部には4つの凸部が形成されている。これら4つの凸部は互いに円周方向に等間隔離れて形成されており、一番高い第1凸部62、二番目に高い第2凸部64、三番目に高い第3凸部66、一番低い第4凸部68からなる。弛み矯正部材60のうちこれらの凸部62,64,66,68が形成されている部分は、図1に示される領域Tで示される部分である。
【0035】
また、弛み矯正部材60の長手方向一端部は薄膜フィルム52から飛出ており、この飛出た部分にはギア70が固定されている。ギア70にはギア72が噛み合っており、このギア72はステッピングモータ等の駆動モータ(図示せず)の回転軸に固定されている。従って、駆動モータが駆動してギア72が所定角度だけ回転することによりギア70も所定角度だけ回転する。ギア70の回転によって弛み矯正部材60も所定角度だけ回転する。
【0036】
弛み矯正部材60を回転させることによって、凸部62,64,66,68のいずれか一つを開口56aから突出させられる。また、凸部62,64,66,68のいずれか一つを開口56aから突出させることに代えて、弛み矯正部材60の外周面60aを開口56aに位置させることもできる。凸部62,64,66,68のどれを開口56aから突出させるか、若しくは、外周面60aを開口56aに位置させるかは、後述するように、定着装置50で定着する記録媒体の幅(矢印B方向の長さ)に基づいて決定する。
【0037】
凸部62,64,66,68のいずれか一つを開口56aから突出させた状態で定着装置50を駆動させた場合、薄膜フィルム52の長手方向両端部52aが凸部によって外側に押し出されるので、図3に示すように、薄膜フィルム52の長手方向中央部52bが回転中心方向に向かってややへこんだ状態となる。ところで、薄膜フィルム52の長さよりも幅の短い記録媒体(例えば2L/3程度の幅の記録媒体)に現像像を定着する場合、この記録媒体を中央基準で連続的にニップ部Nを通過させたときは、図13を参照して説明したように、ニップ部Nよりも記録媒体搬送方向(矢印A方向)やや上流側において薄膜フィルム52の長手方向中央部が弛むことがある。しかし、上記のように、凸部62,64,66,68のいずれか一つを開口56aから突出させた状態で定着装置50を駆動させることにより、薄膜フィルム52の長手方向両端部52aが凸部によって外側に押し出される(張り出される)ので、薄膜フィルム52の長手方向中央部における弛みを抑制できる。この弛み量は、薄膜フィルム52の長手方向両端部52aと長手方向中央部52bの温度差が大きくなるほど増える。そこで、この温度差に基づいて、いずれの凸部62,64,66,68を開口56aから突出させるかを決めた。この点について、図4を参照して説明する。
【0038】
図4の縦軸は、薄膜フィルム52の長手方向両端部52aと長手方向中央部52bの温度差を表し、横軸は、連続して定着した記録媒体の枚数(プリント枚数)を表す。
【0039】
ここでは、最大通紙幅W(図1参照)の記録紙(A3サイズ)よりも小さいA4サイズの記録紙を縦送りで定着した場合を例に挙げて説明する。
【0040】
A4サイズの記録紙に現像像を連続して定着装置50で定着した場合、薄膜フィルム52の長手方向両端部52aの温度が長手方向中央部52bの温度よりも徐々に高くなる。これにより、薄膜フィルム52の長手方向両端部52aの回転速度が長手方向中央部52bの回転速度よりも徐々に速くなって、長手方向中央部52bが弛んでくる。そこで、薄膜フィルム52の長手方向両端部52aと長手方向中央部52bとの温度差に基づいて、4つの凸部62,64,66,68のいずれかを択一的に開口56aから突出させた。
【0041】
ここでは、上記の温度差が0℃から約10℃までの範囲内では、一番低い凸部68を開口56aから突出させた。この程度の温度差では長手方向中央部52bの弛み量は非常に少ないので、一番低い凸部68によって長手方向両端部52aを外側に押し出すことにより、薄膜フィルム52の弛みが解消される(矯正される)。
【0042】
上記の温度差が約10℃から約30℃までの範囲内では、二番目に低い凸部66を開口56aから突出させた。この温度差では長手方向中央部52bの弛み量はやや少ないので、二番目に低い凸部66によって長手方向両端部52aを外側に押し出すことにより、薄膜フィルム52の弛みが解消される。
【0043】
上記の温度差が約30℃から約80℃までの範囲内では、二番目に高い凸部64を開口56aから突出させた。この温度差では長手方向中央部52bの弛み量はやや多いので、二番目に高い凸部64によって長手方向両端部52aを外側に押し出すことにより、薄膜フィルム52の弛みが解消される。
【0044】
上記の温度差が約80℃を超えた範囲では、一番に高い凸部62を開口56aから突出させた。この温度差では長手方向中央部52bの弛み量は多いので、一番高い凸部62によって長手方向両端部52aを外側に押し出すことにより、薄膜フィルム52の弛みが解消される。
【0045】
上記のようにして薄膜フィルム52の弛みを矯正するので、薄膜フィルム52が弛んだ状態で回転することは無い。このため、薄膜フィルム52と加圧ローラ40のニップ部Nに記録媒体が進入したときに、記録媒体の進入方向(搬送方向)先端の全てが同時にニップ部Nに進入し始める。この結果、記録媒体に皺が発生しない。
【0046】
上記の例では、薄膜フィルム52の長手方向両端部52aと長手方向中央部52bとの温度差に基づいて、4つの凸部62,64,66,68のいずれかを択一的に開口56aから突出させた。しかし、温度差ではなくて、記録媒体のサイズごとに決められるプリント枚数に基づいて温度差が予測されるので、このプリント枚数に基づいて、4つの凸部62,64,66,68のいずれかを択一的に開口56aから突出させてもよい。なお、薄膜フィルム52の長手方向両端部52aと長手方向中央部52bとの温度差を検知ためには、加熱体30(図1参照)や加圧ローラ40(図1参照)にサーミスタ等の温度検知素子を当接させて温度を検知したり、通紙枚数とプリント速度に基づいて温度差を推定したりする方法があるので、温度差検知方法は適宜に選択すればよい。
[第2実施形態]
【0047】
図5と図6を参照して、本発明の定着装置の第2実施形態を説明する。
【0048】
図5は、第2実施形態の定着装置が有する薄膜フィルムの内部を示す模式図である。図6は、図5の薄膜フィルムの内部を示す正面図である。これらの図では、図1と図2に示された構成要素と同一の構成要素には同一の符号が付されている。
【0049】
第2実施形態では、薄膜フィルム52の長手方向(矢印B方向)に移動する弛み矯正ユニット80(本発明にいう弛み矯正手段の一例である)を備えた点に特徴がある。また、第2実施形態では、フィルムガイド56の開口56aから、弛み矯正ユニット80のばね状突起部材82が突出する。
【0050】
弛み矯正ユニット80は、薄膜フィルム52の内部をその長手方向に延びる棒状部材84を有する。この棒状部材84の外周面には螺旋状の溝が形成されている。また、棒状部材84の長手方向一端部は薄膜フィルム52の内部から飛出ており、この飛出た部分にはギア86が噛み合っている。このギア86は駆動モータ88の回転軸88aに固定されている。また、棒状部材84の長手方向両端部それぞれには、移動部材90が移動自在に固定されている。移動部材90には、開口56aから突出するばね状突起部材82が固定されている。
【0051】
駆動モータ88を駆動させることによりギア86が回転して棒状部材84も回転し、これにより、2つの移動部材90が矢印B方向に移動する。この移動の際に、ばね状突起部材82が開口56aの位置に到達したときは、ばね状突起部材82が開口56aから突出して(82’で示すように突出して)薄膜フィルム52を外側に押し付ける。また、ばね状突起部材82が開口56aの位置から外れたときは、ばね状突起部材82はフィルムガイド56の内周面に接触しており、開口56aから突出しない。
【0052】
第2実施形態の定着装置の最大通紙幅がA3サイズであるとした場合、定着する記録媒体がA4R以上の幅を有するときは、移動部材90を実線で示す位置に配置させておく。従って、ばね状突起部材82はフィルムガイド56の内周面に接触しており、開口56aから突出していない。一方、定着される記録媒体がA4Rサイズ未満のときは、記録媒体を連続して定着する枚数に基づいてばね状突起部材82を開口56aから突出させる。ここでは、記録媒体を連続して例えば20枚定着するまでは、ばね状突起部材82をフィルムガイド56の内周面に接触させて開口56aから突出させないが、20枚を定着した時点で駆動モータ88を駆動させて、ばね状突起部材82が開口56aから突出するように、破線で示す90’の位置に移動部材90を移動させる。この結果、第1実施形態と同様に、薄膜フィルム52の弛みが矯正されるので、薄膜フィルム52が弛んだ状態で回転することは無い。このため、薄膜フィルム52と加圧ローラ40のニップ部N(図1参照)に記録媒体が進入したときに、記録媒体の進入方向(搬送方向)先端の全てが同時にニップ部Nに進入し始める。この結果、記録媒体に皺が発生しない。
【0053】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の定着装置では、薄膜フィルムの一部に弛みが生じても、弛み矯正手段によってこの弛みが矯正される。従って、薄膜フィルムが弛んだ状態で回転することは無い。このため、薄膜フィルムと加圧ローラのニップ部に記録媒体が進入したときに、記録媒体の進入方向(搬送方向)先端の全てが同時にニップ部に進入し始める。この結果、記録媒体に皺が発生しない。
【0054】
ここで、前記弛み矯正手段は、前記薄膜フィルムの長手方向両端部をその内側から外側に向けて押し付けるものである場合は、定着する記録媒体のサイズが小さいときは、薄膜フィルムの長手方向両端部(円筒状の高さ方向両端部)の温度が長手方向中央部の温度よりも高くなって、加圧ローラの長手方向両端部が長手方向中央部よりも膨張することがあり、このため、薄膜フィルムの長手方向両端部では長手方向中央部よりも回転速度が速くなって、薄膜フィルムの長手方向中央部が弛もうとするが、弛み矯正手段によってこの弛みが矯正される。従って、薄膜フィルムと加圧ローラのニップ部に記録媒体が進入したときに、記録媒体の進入方向(搬送方向)先端の全てが同時にニップ部に進入し始めるので、記録媒体に皺が発生しない。
【0055】
また、前記弛み矯正手段は、前記薄膜フィルムのうち、該薄膜フィルムと前記加圧ローラが記録媒体を挟持するニップ部よりも記録媒体進入方向上流側の部分を、該薄膜フィルムの内側から外側に向けて押し付けるものである場合は、記録媒体がニップ部にいっそう円滑に進入できる。
【0056】
さらに、前記弛み矯正手段は、前記薄膜フィルムをその内側から外側に張り出させることにより、該薄膜フィルムの弛みを矯正するものである場合は、簡易な構造の弛み矯正手段が得られる。
【0057】
さらにまた、前記弛み矯正手段は、前記薄膜フィルム、前記加圧ローラ、及び前記加熱体のうちのいずれかの温度に基づいて、張り出させる量を変更するものである場合は、これらの温度によって薄膜フィルムの弛み量が変わることがあるので、弛みをいっそう適切に矯正できる。
【0058】
さらにまた、前記弛み矯正手段は、連続して定着した記録媒体の枚数に基づいて、張り出させる量を変更するものである場合は、連続して定着した記録媒体の枚数によって薄膜フィルムの弛む量が変わることがあるので、弛みをいっそう適切に矯正できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】定着装置の第1実施形態を示す斜視図である。
【図2】(a)は、図1の薄膜フィルムとステーを示す正面図であり、(b)は、弛み矯正部材を示す正面図である。
【図3】弛み矯正部材によって弛みが矯正された薄膜フィルムを示す斜視図である。
【図4】弛み矯正部材の制御を表すグラフである。
【図5】第2実施形態の定着装置が有する薄膜フィルムの内部を示す模式図である。
【図6】図5の薄膜フィルムの内部を示す正面図である。
【図7】フィルム加熱定着方式の定着装置を示す模式図である。
【図8】長手方向中央部分を省略して一部を切り欠いた加熱体を示す平面図である。
【図9】大サイズの記録媒体を定着している薄膜フィルムと加圧ローラの長手方向端部を示す模式図である。
【図10】大サイズの記録媒体を定着している薄膜フィルムと加圧ローラの長手方向中央部を示す模式図である。
【図11】小サイズの記録媒体を定着している薄膜フィルムと加圧ローラの長手方向端部を示す模式図である。
【図12】小サイズの記録媒体を定着している薄膜フィルムと加圧ローラの長手方向中央部を示す模式図である。
【図13】弛んだ薄膜フィルムを示す模式図である。
【符号の説明】
40 加圧ローラ
50 定着装置
52 薄膜フィルム
60 弛み矯正部材
80 弛み矯正ユニット
【発明の属する技術分野】
本発明は、記録紙などの記録媒体に形成された現像像をこの記録媒体に定着する定着装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
コンピュータやワークステーションの出力装置として、粉体の現像剤(トナー)を用いて記録媒体に画像を形成する電子写真方式の画像形成装置が知られている。画像形成装置では、例えば、画像情報を担持する光(例えばレーザ)を感光ドラムなどの像担持体に照射して静電潜像を形成し、この静電潜像に現像ローラを用いてトナーを供給して現像像を形成し、転写ローラなどを使用してこの現像像を記録媒体に転写して転写像(現像像)を形成する。転写像が形成された記録媒体は搬送ガイドに案内されながら定着装置に搬送される。
【0003】
この定着装置として、熱源が内蔵された定着ローラを用いる熱ローラ方式が一般的である。しかし、この熱ローラ方式の定着装置では、大きな熱容量を要するので、電源投入から画像出力までの装置立ち上がりに時間を要する。そこで、最近では省電力化や、電源投入から画像出力までの時間を短縮させるために、例えば特開昭63−313182号公報、特開平2−157878号公報に記載されているようなフィルム加熱定着方式が採用されている。このフィルム加熱定着方式の定着装置には、内部に加熱体が配置されると共にその周方向に回転する円筒状の薄膜フィルムと、この薄膜フィルムに押し付けられながらその周方向に回転する加圧ローラとが備えられており、薄膜フィルムと加圧ローラとの間に記録媒体を挟持しながら搬送してこの記録媒体に現像像を定着する。
【0004】
図7と図8を参照して、フィルム加熱定着方式の定着装置の構造について説明する。
【0005】
図7は、フィルム加熱定着方式の定着装置を示す模式図である。図8は、長手方向中央部分を省略して一部を切り欠いた加熱体を示す平面図である。
【0006】
フィルム加熱定着方式の定着装置10では、最大でA3サイズの記録媒体12を定着できる。定着装置10は、その周方向に回転する円筒状の薄膜フィルム20と、この薄膜フィルム20に押し付けられながらその周方向に回転する加圧ローラ40とを備えている。
【0007】
薄膜フィルム20の内部には、この薄膜フィルム20を加圧ローラ40に押し付けるためのステー22が配置されている。ステー22は剛性・耐熱性を有するものであり、ステー22は、薄膜フィルム20が円筒形を保つように案内するフィルムガイド24と、このフィルムガイド24を加圧ローラ40に向けて押し付ける加圧部材26とで構成されている。フィルムガイド24は、横断面がU字状のものであり薄膜フィルム20の長手方向に延びている。薄膜フィルム20の長手方向とは、図7の紙面に垂直な方向であり、記録媒体の搬送方向(矢印A方向)に直交する方向である。フィルムガイド24のうち薄膜フィルム20に接触する平坦部の表面には、加熱体30が配置されている。なお、加圧部材26も薄膜フィルム20の長手方向に延びている。
【0008】
加熱体30は、矢印A方向に直交する方向に延びる細長い基板32を備えている。基板32は、耐熱性、電気的絶縁性、及び優れた熱伝導性を有するものである。基板32の表面のうち幅方向(矢印A方向)中央部分には、その長手方向に延びる抵抗発熱体34が形成されている。また、基板32の表面は、抵抗発熱体34を保護する耐熱性オーバーコート層36で覆われている。抵抗発熱体34の長手方向両端部には、給電用電極38,38が形成されている。基板32の裏面には、加熱体30の温度を検知するサーミスタ等の検温素子39が配置されている。この加熱体30は全体として小さい容熱量のものである。
【0009】
上記した加熱体30としては、例えば特開平4−44075号公報〜特開平4−44083号公報、特開平4−204980号公報〜特開平4−204984号公報などに開示された所謂テンションレスタイプが知られている。また、加熱体30の基板32は、例えば、アルミナ製や窒化アルミニウム製などであり、その厚さは1mm、幅は10cm、長さは330mmである。また、抵抗発熱体34は、例えばAg/Pd(銀パラジウム)、RuO2、Ta2N等の電気抵抗材料をスクリーン印刷等によって厚さ約10μm、幅1〜3mmの線状若しくは細帯上に塗工して形成したものである。また、給電用電極38,38は、例えばAg等のスクリーン印刷パターン層であり、オーバーコート層36は、例えば厚さ約10μmの耐熱体ガラス層である。
【0010】
加圧ローラ40は、加熱体30との間に薄膜フィルム20を挟んで圧接ニップ部(定着ニップ部)Nを形成する。この圧接ニップ部Nは幅WNを有する。また、加圧ローラ40は、薄膜フィルム20の外周面に接触して薄膜フィルム20を回転駆動させる。加圧ローラ40は、芯金40aと、シリコンゴム等よりなる弾性体層40bと、最外層の離型層40cから構成されている。芯金40aの長手方向両端部は軸受(図示せず)に回転自在に支持されている。この軸受は、加圧ローラ40が薄膜フィルム20に押し付けられるように例えばコイルばね(図示せず)によって付勢されている。この加圧ローラ40はモータ42によって回転駆動し、加圧ローラ40と薄膜フィルム20の外周面との摩擦力でこの薄膜フィルム20に搬送力を与える。
【0011】
抵抗発熱体34の長手方向両端部に配置された給電用電極38,38に給電することにより抵抗発熱体34が長手方向の全長に渡って発熱し、これにより加熱体30が昇温する。この昇温した温度が検温素子39で検知される。その検温素子39の出力はA/D変換されてCPU44に送信される。CPU44に送信された温度情報に基づいて、抵抗発熱体34に通電するAC電源48のAC電圧をトライアック46によって位相、周波数制御する。このように制御することにより、加熱体30に通電する電力を制御して加熱体30の温度を制御する。この結果、検温素子39の検知した温度が所定の設定温度よりも低いときは加熱体30が昇温するように通電が制御される。一方、検温素子39の検知した温度が所定の設定温度よりも高いときは、加熱体30が降温するように通電が制御される。このように制御されることにより、定着の際に加熱体30は一定の温度に調整される。
【0012】
上記したフィルム加熱定着方式の定着装置10の動作を、図9から図13までを参照して説明する。
【0013】
図9は、大サイズの記録媒体を定着している薄膜フィルムと加圧ローラの長手方向端部を示す模式図である。図10は、大サイズの記録媒体を定着している薄膜フィルムと加圧ローラの長手方向中央部を示す模式図である。図11は、小サイズの記録媒体を定着している薄膜フィルムと加圧ローラの長手方向端部を示す模式図である。図12は、小サイズの記録媒体を定着している薄膜フィルムと加圧ローラの長手方向中央部を示す模式図である。図13は、弛んだ薄膜フィルムを示す模式図である。
【0014】
記録媒体に現像剤を定着する際は、加熱体30が所定温度に達し、且つ、加圧ローラ40の回転に伴って薄膜フィルム20の回転周速度が定常化した状態において、加熱体30と加圧ローラ40とで形成されるニップ部Nの間に記録媒体12が搬送されてくる。記録媒体12が薄膜フィルム20と共にニップ部Nで挟持されながら搬送されることにより、加熱体30の熱が薄膜フィルム20を介して記録媒体12に伝導し、記録媒体12上の未定着像(現像像)Tが記録媒体12の面に加熱定着される。ニップ部Nを通過した記録媒体12は薄膜フィルム20から分離されて搬送される。なお、定着の際は、記録媒体12は中央基準(薄膜フィルム20の長手方向中央と記録媒体12の幅方向中央が一致するように)で通紙される。
【0015】
薄膜フィルム20は、その周長が余裕を持つように(ルーズに)フィルムガイド24の外周面に接触している。このため、記録媒体12がニップ部Nに到達する前(進入する前)において、薄膜フィルム20の長手方向端部では、薄膜フィルム20とフィルムガイド24が、図9に示すように、間隔S0を保っている。また、薄膜フィルム20の長手方向中央部においても、薄膜フィルム20とフィルムガイド24が、図10に示すように、間隔S0を保っている。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、定着装置10では、薄膜フィルム20の長さLよりも幅の短い記録媒体(小サイズの記録媒体)に現像像を定着することもある。このような場合、例えば2L/3程度の幅の記録媒体12を中央基準で連続的にニップ部Nを通過させたとき、薄膜フィルム20の長手方向両端部には記録媒体12が接触しない。このため、薄膜フィルム20の長手方向両端部は非通紙部となり、この非通紙部には、加熱体30の熱を伝導する記録媒体12が存在しない。この結果、加圧ローラ40のうち非通紙部に接触する部分(非通紙部分)は加熱体30の熱が多量に伝導されることとなる。従って、この部分の温度は、加圧ローラ40のうち記録媒体12が通過する部分(通紙部分)よりも高温となる。このため、熱膨張によって、加圧ローラ40の非通紙部分の外径は通紙部分の外径よりも大きくなる。
【0017】
外径が大きい部分の外周面の周速は、外径が小さい部分の外周面の周速よりも速くなる。即ち、加圧ローラ40の非通紙部分の外周面の周速は、通紙部分の外周面の周速よりも速くなる。従って、ニップ部Nにおける薄膜フィルム20の搬送速度は、通紙部よりも非通紙部の方が速くなって、薄膜フィルム20の長手方向両端部と長手方向中央部とでは速度差が生じる。この結果、薄膜フィルム20の通紙部と非通紙部でねじれ力が作用する。このねじれ力によって、ニップ部Nの直前(矢印A方向上流側)において薄膜フィルム20とフィルムガイド24の間の隙間量が、長手方向両端部では、図11に示すように、小さい隙間S1となり、一方、長手方向中央部では、図12に示すように、大きい隙間S2になる。このようにS2>S0>S1という関係になるので、図13に示すように、ニップ部Nの直前で薄膜フィルム20に弛み20’が生じる。
【0018】
このような弛み20’が生じた状態で記録媒体12がニップ部Nに進入してきた場合、記録媒体12の先端のうち長手方向中央部分は弛み20’に衝突して進入抵抗を受ける。一方、薄膜フィルム20の長手方向両端部には弛み20’が生じていないので、記録媒体12の先端のうち薄膜フィルム20の長手方向両端部分は侵入抵抗を受けない。この結果、記録媒体12の先端がニップ部Nに進入するタイミングは、薄膜フィルム20の長手方向中央部と長手方向両端部とにおいて相違してばらつきが生じるので、記録媒体12に皺が発生するという問題がある。
【0019】
本発明は、上記事情に鑑み、記録媒体の先端の全てが同時にニップ部に進入する定着装置を提供することを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明の定着装置は、記録媒体に現像像を形成してこの現像像を定着させることにより記録媒体に画像を形成する画像形成装置における、内部に加熱体が配置されると共にその周方向に回転する円筒状の薄膜フィルム及びこの薄膜フィルムに押し付けられながらその周方向に回転する加圧ローラ双方の間に記録媒体を挟持しながら搬送してこの記録媒体に現像像を定着する定着装置において、
(1)前記薄膜フィルムの所定部分をその内側から外側に向けて押し付けることにより該薄膜フィルムの弛みを矯正する弛み矯正手段を備えたことを特徴とするものである。
【0021】
ここで、
(2)前記弛み矯正手段は、前記薄膜フィルムの長手方向両端部をその内側から外側に向けて押し付けるものであってもよい。
【0022】
また、
(3)前記弛み矯正手段は、前記薄膜フィルムのうち、該薄膜フィルムと前記加圧ローラが記録媒体を挟持するニップ部よりも記録媒体進入方向上流側の部分を、該薄膜フィルムの内側から外側に向けて押し付けるものであってもよい。
【0023】
さらに、
(4)前記弛み矯正手段は、前記薄膜フィルムをその内側から外側に張り出させることにより、該薄膜フィルムの弛みを矯正するものであってもよい。
【0024】
さらにまた、
(5)前記弛み矯正手段は、前記薄膜フィルム、前記加圧ローラ、及び前記加熱体のうちのいずれかの温度に基づいて、張り出させる量を変更するものであってもよい。
【0025】
さらにまた、
(6)前記弛み矯正手段は、連続して定着した記録媒体の枚数に基づいて、張り出させる量を変更するものであってもよい。
【0026】
【発明の実施の形態】
[第1実施形態]
【0027】
図1から図4までを参照して、本発明の定着装置の第1実施形態を説明する。
【0028】
図1は、定着装置の第1実施形態を示す斜視図である。図2(a)は、図1の薄膜フィルムとステーを示す正面図であり、(b)は、弛み矯正部材を示す正面図である。図3は、弛み矯正部材によって弛みが矯正された薄膜フィルムを示す斜視図である。図4は、弛み矯正部材の制御を表すグラフである。これらの図では、図7に示された構成要素と同一の構成要素には同一の符号が付されている。
【0029】
定着装置50は、その周方向に回転する円筒状の薄膜フィルム52を備えている。この薄膜フィルム52には、加圧ローラ40が押し付けられながらその周方向に回転する。薄膜フィルム52の内部には、薄膜フィルム52を加圧ローラ40に押し付けるためのステー54が配置されている。ステー54は剛性及び耐熱性を有するものである。ステー54には、薄膜フィルム52が円筒形を保つように案内するフィルムガイド56と、このフィルムガイド56を加圧ローラ40に向けて押し付ける加圧部材58とが備えられている。
【0030】
フィルムガイド56は、横断面がU字状のものであって、薄膜フィルム52の長手方向(矢印B方向)に延びている。この長手方向は、記録媒体の搬送方向(矢印A方向)に直交する方向である。フィルムガイド56のうち薄膜フィルム52に接触する平坦部の表面には、加熱体30が配置されている。加圧部材58の横断面はコ字状であり、この加圧部材58は薄膜フィルム52の長手方向に延びている。なお、加熱体30の構造は、図8を参照して説明した加熱体30と同じ構造である。
【0031】
薄膜フィルム52は、横断面が円形の耐熱性フィルムである。この薄膜フィルム52の内周長さは、加熱体30を含むステー54の外周長さよりも例えば3mm程度長い。このため、薄膜フィルム52にはステー54がルーズに挿入された状態になっている。ステー54が薄膜フィルム52を加圧ローラ40に押し付けるので、薄膜フィルム52と加圧ローラ40はそれらの長手方向(矢印B方向)に延びるニップ部Nを形成する。
【0032】
薄膜フィルム52の熱容量を小さくして定着装置50のクイックスタート性を向上させるために、薄膜フィルム52の膜厚は100μm以下、好ましくは50μm以下20μm以上である。また、薄膜フィルム52は、耐熱性を有するPTFE、PFA、FEPなどの単層フィルム、若しくは、ポリイミド、ポリアミドイミド、PEEK、PES、PPS等のフィルムの外周面にPTFE、PFA、FEPなどをコーティングした複合層フィルムから構成されている。
【0033】
フィルムガイド56のうちその長手方向(矢印B方向)両端部であって、ニップ部Nよりも回転方向(矢印C方向)やや上流側部分には、矢印B方向に延びる開口56a,56aが形成されている。2つの開口56aそれぞれからには、弛み矯正部材60(本発明にいう弛み矯正手段の一例である)の長手方向両端部が位置している。この弛み矯正部材60は、薄膜フィルム52のうちその長手方向両端部であってニップ部Nよりも記録媒体搬送方向(矢印A方向)上流側部分を、薄膜フィルム52の内側から外側に向けて押し付けることにより、薄膜フィルム52の弛みを無くすものである。
【0034】
弛み矯正部材60は細長い円柱状のものであり、矢印B方向に延びている。弛み矯正部材60の長手方向両端部には4つの凸部が形成されている。これら4つの凸部は互いに円周方向に等間隔離れて形成されており、一番高い第1凸部62、二番目に高い第2凸部64、三番目に高い第3凸部66、一番低い第4凸部68からなる。弛み矯正部材60のうちこれらの凸部62,64,66,68が形成されている部分は、図1に示される領域Tで示される部分である。
【0035】
また、弛み矯正部材60の長手方向一端部は薄膜フィルム52から飛出ており、この飛出た部分にはギア70が固定されている。ギア70にはギア72が噛み合っており、このギア72はステッピングモータ等の駆動モータ(図示せず)の回転軸に固定されている。従って、駆動モータが駆動してギア72が所定角度だけ回転することによりギア70も所定角度だけ回転する。ギア70の回転によって弛み矯正部材60も所定角度だけ回転する。
【0036】
弛み矯正部材60を回転させることによって、凸部62,64,66,68のいずれか一つを開口56aから突出させられる。また、凸部62,64,66,68のいずれか一つを開口56aから突出させることに代えて、弛み矯正部材60の外周面60aを開口56aに位置させることもできる。凸部62,64,66,68のどれを開口56aから突出させるか、若しくは、外周面60aを開口56aに位置させるかは、後述するように、定着装置50で定着する記録媒体の幅(矢印B方向の長さ)に基づいて決定する。
【0037】
凸部62,64,66,68のいずれか一つを開口56aから突出させた状態で定着装置50を駆動させた場合、薄膜フィルム52の長手方向両端部52aが凸部によって外側に押し出されるので、図3に示すように、薄膜フィルム52の長手方向中央部52bが回転中心方向に向かってややへこんだ状態となる。ところで、薄膜フィルム52の長さよりも幅の短い記録媒体(例えば2L/3程度の幅の記録媒体)に現像像を定着する場合、この記録媒体を中央基準で連続的にニップ部Nを通過させたときは、図13を参照して説明したように、ニップ部Nよりも記録媒体搬送方向(矢印A方向)やや上流側において薄膜フィルム52の長手方向中央部が弛むことがある。しかし、上記のように、凸部62,64,66,68のいずれか一つを開口56aから突出させた状態で定着装置50を駆動させることにより、薄膜フィルム52の長手方向両端部52aが凸部によって外側に押し出される(張り出される)ので、薄膜フィルム52の長手方向中央部における弛みを抑制できる。この弛み量は、薄膜フィルム52の長手方向両端部52aと長手方向中央部52bの温度差が大きくなるほど増える。そこで、この温度差に基づいて、いずれの凸部62,64,66,68を開口56aから突出させるかを決めた。この点について、図4を参照して説明する。
【0038】
図4の縦軸は、薄膜フィルム52の長手方向両端部52aと長手方向中央部52bの温度差を表し、横軸は、連続して定着した記録媒体の枚数(プリント枚数)を表す。
【0039】
ここでは、最大通紙幅W(図1参照)の記録紙(A3サイズ)よりも小さいA4サイズの記録紙を縦送りで定着した場合を例に挙げて説明する。
【0040】
A4サイズの記録紙に現像像を連続して定着装置50で定着した場合、薄膜フィルム52の長手方向両端部52aの温度が長手方向中央部52bの温度よりも徐々に高くなる。これにより、薄膜フィルム52の長手方向両端部52aの回転速度が長手方向中央部52bの回転速度よりも徐々に速くなって、長手方向中央部52bが弛んでくる。そこで、薄膜フィルム52の長手方向両端部52aと長手方向中央部52bとの温度差に基づいて、4つの凸部62,64,66,68のいずれかを択一的に開口56aから突出させた。
【0041】
ここでは、上記の温度差が0℃から約10℃までの範囲内では、一番低い凸部68を開口56aから突出させた。この程度の温度差では長手方向中央部52bの弛み量は非常に少ないので、一番低い凸部68によって長手方向両端部52aを外側に押し出すことにより、薄膜フィルム52の弛みが解消される(矯正される)。
【0042】
上記の温度差が約10℃から約30℃までの範囲内では、二番目に低い凸部66を開口56aから突出させた。この温度差では長手方向中央部52bの弛み量はやや少ないので、二番目に低い凸部66によって長手方向両端部52aを外側に押し出すことにより、薄膜フィルム52の弛みが解消される。
【0043】
上記の温度差が約30℃から約80℃までの範囲内では、二番目に高い凸部64を開口56aから突出させた。この温度差では長手方向中央部52bの弛み量はやや多いので、二番目に高い凸部64によって長手方向両端部52aを外側に押し出すことにより、薄膜フィルム52の弛みが解消される。
【0044】
上記の温度差が約80℃を超えた範囲では、一番に高い凸部62を開口56aから突出させた。この温度差では長手方向中央部52bの弛み量は多いので、一番高い凸部62によって長手方向両端部52aを外側に押し出すことにより、薄膜フィルム52の弛みが解消される。
【0045】
上記のようにして薄膜フィルム52の弛みを矯正するので、薄膜フィルム52が弛んだ状態で回転することは無い。このため、薄膜フィルム52と加圧ローラ40のニップ部Nに記録媒体が進入したときに、記録媒体の進入方向(搬送方向)先端の全てが同時にニップ部Nに進入し始める。この結果、記録媒体に皺が発生しない。
【0046】
上記の例では、薄膜フィルム52の長手方向両端部52aと長手方向中央部52bとの温度差に基づいて、4つの凸部62,64,66,68のいずれかを択一的に開口56aから突出させた。しかし、温度差ではなくて、記録媒体のサイズごとに決められるプリント枚数に基づいて温度差が予測されるので、このプリント枚数に基づいて、4つの凸部62,64,66,68のいずれかを択一的に開口56aから突出させてもよい。なお、薄膜フィルム52の長手方向両端部52aと長手方向中央部52bとの温度差を検知ためには、加熱体30(図1参照)や加圧ローラ40(図1参照)にサーミスタ等の温度検知素子を当接させて温度を検知したり、通紙枚数とプリント速度に基づいて温度差を推定したりする方法があるので、温度差検知方法は適宜に選択すればよい。
[第2実施形態]
【0047】
図5と図6を参照して、本発明の定着装置の第2実施形態を説明する。
【0048】
図5は、第2実施形態の定着装置が有する薄膜フィルムの内部を示す模式図である。図6は、図5の薄膜フィルムの内部を示す正面図である。これらの図では、図1と図2に示された構成要素と同一の構成要素には同一の符号が付されている。
【0049】
第2実施形態では、薄膜フィルム52の長手方向(矢印B方向)に移動する弛み矯正ユニット80(本発明にいう弛み矯正手段の一例である)を備えた点に特徴がある。また、第2実施形態では、フィルムガイド56の開口56aから、弛み矯正ユニット80のばね状突起部材82が突出する。
【0050】
弛み矯正ユニット80は、薄膜フィルム52の内部をその長手方向に延びる棒状部材84を有する。この棒状部材84の外周面には螺旋状の溝が形成されている。また、棒状部材84の長手方向一端部は薄膜フィルム52の内部から飛出ており、この飛出た部分にはギア86が噛み合っている。このギア86は駆動モータ88の回転軸88aに固定されている。また、棒状部材84の長手方向両端部それぞれには、移動部材90が移動自在に固定されている。移動部材90には、開口56aから突出するばね状突起部材82が固定されている。
【0051】
駆動モータ88を駆動させることによりギア86が回転して棒状部材84も回転し、これにより、2つの移動部材90が矢印B方向に移動する。この移動の際に、ばね状突起部材82が開口56aの位置に到達したときは、ばね状突起部材82が開口56aから突出して(82’で示すように突出して)薄膜フィルム52を外側に押し付ける。また、ばね状突起部材82が開口56aの位置から外れたときは、ばね状突起部材82はフィルムガイド56の内周面に接触しており、開口56aから突出しない。
【0052】
第2実施形態の定着装置の最大通紙幅がA3サイズであるとした場合、定着する記録媒体がA4R以上の幅を有するときは、移動部材90を実線で示す位置に配置させておく。従って、ばね状突起部材82はフィルムガイド56の内周面に接触しており、開口56aから突出していない。一方、定着される記録媒体がA4Rサイズ未満のときは、記録媒体を連続して定着する枚数に基づいてばね状突起部材82を開口56aから突出させる。ここでは、記録媒体を連続して例えば20枚定着するまでは、ばね状突起部材82をフィルムガイド56の内周面に接触させて開口56aから突出させないが、20枚を定着した時点で駆動モータ88を駆動させて、ばね状突起部材82が開口56aから突出するように、破線で示す90’の位置に移動部材90を移動させる。この結果、第1実施形態と同様に、薄膜フィルム52の弛みが矯正されるので、薄膜フィルム52が弛んだ状態で回転することは無い。このため、薄膜フィルム52と加圧ローラ40のニップ部N(図1参照)に記録媒体が進入したときに、記録媒体の進入方向(搬送方向)先端の全てが同時にニップ部Nに進入し始める。この結果、記録媒体に皺が発生しない。
【0053】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の定着装置では、薄膜フィルムの一部に弛みが生じても、弛み矯正手段によってこの弛みが矯正される。従って、薄膜フィルムが弛んだ状態で回転することは無い。このため、薄膜フィルムと加圧ローラのニップ部に記録媒体が進入したときに、記録媒体の進入方向(搬送方向)先端の全てが同時にニップ部に進入し始める。この結果、記録媒体に皺が発生しない。
【0054】
ここで、前記弛み矯正手段は、前記薄膜フィルムの長手方向両端部をその内側から外側に向けて押し付けるものである場合は、定着する記録媒体のサイズが小さいときは、薄膜フィルムの長手方向両端部(円筒状の高さ方向両端部)の温度が長手方向中央部の温度よりも高くなって、加圧ローラの長手方向両端部が長手方向中央部よりも膨張することがあり、このため、薄膜フィルムの長手方向両端部では長手方向中央部よりも回転速度が速くなって、薄膜フィルムの長手方向中央部が弛もうとするが、弛み矯正手段によってこの弛みが矯正される。従って、薄膜フィルムと加圧ローラのニップ部に記録媒体が進入したときに、記録媒体の進入方向(搬送方向)先端の全てが同時にニップ部に進入し始めるので、記録媒体に皺が発生しない。
【0055】
また、前記弛み矯正手段は、前記薄膜フィルムのうち、該薄膜フィルムと前記加圧ローラが記録媒体を挟持するニップ部よりも記録媒体進入方向上流側の部分を、該薄膜フィルムの内側から外側に向けて押し付けるものである場合は、記録媒体がニップ部にいっそう円滑に進入できる。
【0056】
さらに、前記弛み矯正手段は、前記薄膜フィルムをその内側から外側に張り出させることにより、該薄膜フィルムの弛みを矯正するものである場合は、簡易な構造の弛み矯正手段が得られる。
【0057】
さらにまた、前記弛み矯正手段は、前記薄膜フィルム、前記加圧ローラ、及び前記加熱体のうちのいずれかの温度に基づいて、張り出させる量を変更するものである場合は、これらの温度によって薄膜フィルムの弛み量が変わることがあるので、弛みをいっそう適切に矯正できる。
【0058】
さらにまた、前記弛み矯正手段は、連続して定着した記録媒体の枚数に基づいて、張り出させる量を変更するものである場合は、連続して定着した記録媒体の枚数によって薄膜フィルムの弛む量が変わることがあるので、弛みをいっそう適切に矯正できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】定着装置の第1実施形態を示す斜視図である。
【図2】(a)は、図1の薄膜フィルムとステーを示す正面図であり、(b)は、弛み矯正部材を示す正面図である。
【図3】弛み矯正部材によって弛みが矯正された薄膜フィルムを示す斜視図である。
【図4】弛み矯正部材の制御を表すグラフである。
【図5】第2実施形態の定着装置が有する薄膜フィルムの内部を示す模式図である。
【図6】図5の薄膜フィルムの内部を示す正面図である。
【図7】フィルム加熱定着方式の定着装置を示す模式図である。
【図8】長手方向中央部分を省略して一部を切り欠いた加熱体を示す平面図である。
【図9】大サイズの記録媒体を定着している薄膜フィルムと加圧ローラの長手方向端部を示す模式図である。
【図10】大サイズの記録媒体を定着している薄膜フィルムと加圧ローラの長手方向中央部を示す模式図である。
【図11】小サイズの記録媒体を定着している薄膜フィルムと加圧ローラの長手方向端部を示す模式図である。
【図12】小サイズの記録媒体を定着している薄膜フィルムと加圧ローラの長手方向中央部を示す模式図である。
【図13】弛んだ薄膜フィルムを示す模式図である。
【符号の説明】
40 加圧ローラ
50 定着装置
52 薄膜フィルム
60 弛み矯正部材
80 弛み矯正ユニット
Claims (6)
- 記録媒体に現像像を形成してこの現像像を定着させることにより記録媒体に画像を形成する画像形成装置における、内部に加熱体が配置されると共にその周方向に回転する円筒状の薄膜フィルム及びこの薄膜フィルムに押し付けられながらその周方向に回転する加圧ローラ双方の間に記録媒体を挟持しながら搬送してこの記録媒体に現像像を定着する定着装置において、
前記薄膜フィルムの所定部分をその内側から外側に向けて押し付けることにより該薄膜フィルムの弛みを矯正する弛み矯正手段を備えたことを特徴とする定着装置。 - 前記弛み矯正手段は、
前記薄膜フィルムの長手方向両端部をその内側から外側に向けて押し付けるものであることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。 - 前記弛み矯正手段は、
前記薄膜フィルムのうち、該薄膜フィルムと前記加圧ローラが記録媒体を挟持するニップ部よりも記録媒体進入方向上流側の部分を、該薄膜フィルムの内側から外側に向けて押し付けるものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の定着装置。 - 前記弛み矯正手段は、
前記薄膜フィルムをその内側から外側に張り出させることにより、該薄膜フィルムの弛みを矯正するものであることを特徴とする請求項1,2,又は3に記載の定着装置。 - 前記弛み矯正手段は、
前記薄膜フィルム、前記加圧ローラ、及び前記加熱体のうちのいずれかの温度に基づいて、張り出させる量を変更するものであることを特徴とする請求項4に記載の定着装置。 - 前記弛み矯正手段は、
連続して定着した記録媒体の枚数に基づいて、張り出させる量を変更するものであることを特徴とする請求項4に記載の定着装置。
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