JP2004052598A - ガスタービン排気部のストラット構造 - Google Patents

ガスタービン排気部のストラット構造 Download PDF

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Abstract

【課題】熱応力による低サイクル疲労によって、クラックが発生しないガスタービン排気部のストラット構造を得る。
【解決手段】円筒状の車室壁23と、車室壁23の内側に設けられた円筒状の外側ディフューザ25と、外側ディフューザ25の内側に設けられた円筒状の内側ディフューザ27と、外端が車室壁23に固定され外側ディフューザ25を貫通した内端が内側ディフューザ27の外周に固定されるストラットと、ストラットを覆い、外端と車室壁23、中央部の外周と外側ディフューザ25、内端と内側ディフューザ27のそれぞれが固定されるストラットカバー35とを備えたガスタービン排気部のストラット構造において、車室壁23と外側ディフューザ25との間のストラットカバー35に、軸線方向に伸縮自在な伸縮手段(スライド構造部35a)を設けた。
【選択図】    図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガスタービン排気部のストラット構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
ガスタービンでは、吸気室から吸い込まれた空気が圧縮機におけるロータの回転により圧縮され、高温高圧の状態となって燃焼器に導かれる。燃焼器に導かれた空気は、供給燃料と混合して燃焼され、高温高圧の燃焼ガスとなる。燃焼ガスは、タービン部で膨張し、そのエネルギーがタービンの回転力に変換される。回転力の一部は圧縮機の動力となり、他の一部はガスタービンの出力となる。タービン部で回転力に変換された後の燃焼ガスは、排気部を通過して排気ダクトに排出される。
【0003】
図3に示すように、排気部1は、円筒状に形成された外側の車室壁3と、車室壁3の内側に設けられた円筒状の外側ディフューザ5と、外側ディフューザ5の内側に設けられた円筒状の内側ディフューザ7とを備える。車室壁3は、図示しない台板に支持され、円筒状の内側ディフューザ7の内周側には図示しないロータの軸受が配設されている。従って、それぞれが円筒状となった車室壁3、外側ディフューザ5、内側ディフューザ7は、同心円状に配設されることで、車室壁3と外側ディフューザ5との間に円環状の外周キャビティ9を形成し、外側ディフューザ5と内側ディフューザ7との間に円環状の燃焼ガス通路11を形成している。
【0004】
ところで、内側ディフューザ7は、図示しないストラットを介して車室壁3に支持されている。即ち、ストラットは、外端が車室壁3に固定され、外側ディフューザ5を貫通した内端が内側ディフューザ7の外周に固定されることで内側ディフューザ7を支持する。図例ではタンジェンシャル型ストラット支持を表し、6本のストラットの内端が内側ディフューザ7の外周面に接線方向で接するように接続されている。
【0005】
ストラットは、燃焼ガス通路11を横切って内側ディフューザ7を支持していることから高温の燃焼ガスに曝される。このため、ストラットは、外表面との間に図4に示す空隙13を設けてストラットカバー15で覆い、圧縮機からの圧縮空気の一部をこの空隙13に冷却空気として導入することで、温度上昇を防止し、熱膨張の発生を抑制している。ストラットカバー15は、図5に示すように、外端と車室壁3、中央部の外周と外側ディフューザ5、内端と内側ディフューザ7のそれぞれが、溶接部17により固定されている。即ち、ストラットカバー15は、ストラットを覆うとともに冷却空気の流路を形成し、更には外側ディフューザ5の支持部材としての役割も担っている。なお、ストラットカバー15は、図示の例とは異なり、車室壁3との接続部である外端(付け根)が、外形を大きく膨出させたフレア形状となるものもある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、燃焼ガス通路を流れる排ガス温度は600℃以上になるのに対し、外周キャビティを挟んで燃焼ガス通路と反対側に位置する車室壁はそれより低温となるため、ストラットカバーの温度分布は不均一となる。また、その温度分布は、ガスタービンの起動時と停止時とで異なる。即ち、外側ディフューザ及び内側ディフューザの温度は、起動時に高く、停止時にそれよりも低くなる。一方、車室壁の温度は、起動時に低く、停止時にそれよりも高くなる。従って、ストラットカバーは、それに伴って熱応力が発生し、特にストラットの軸線方向の伸縮が大きくなる。ところが、ストラットカバーは、外端と車室壁、中央部の外周と外側ディフューザ、内端と内側ディフューザのそれぞれが、溶接により固定されているため、特に突っ張りが生じると、構造的に弱い部分(ストラットカバー付け根のフレア部など)に応力が集中し、熱応力による低サイクル(10回)疲労が発生する。この低サイクル疲労は、クラックの要因ともなる。そのため、定期点検ごとに修繕が発生し、補修時間・補修費用がかかるとともに、即応性能(availability)を低下させる要因ともなっていた。
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、熱応力による低サイクル疲労のクラックが発生しないガスタービン排気部のストラット構造を提供し、もって、補修時間・補修費用を低減し、アベイラビリティの低下防止を図ることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明に係る請求項1記載のガスタービン排気部のストラット構造は、円筒状の車室壁と、車室壁の内側に設けられた円筒状の外側ディフューザと、外側ディフューザの内側に設けられた円筒状の内側ディフューザと、外端が車室壁に固定され外側ディフューザを貫通した内端が内側ディフューザの外周に固定されるストラットと、ストラットを覆い、外端と車室壁、中央部の外周と外側ディフューザ、内端と内側ディフューザのそれぞれが固定されるストラットカバーとを備えたガスタービン排気部のストラット構造において、車室壁と外側ディフューザとの間のストラットカバーに、軸線方向に伸縮自在な伸縮手段を設けたことを特徴とする。
【0008】
このガスタービン排気部のストラット構造では、車室壁と外側ディフューザとの間のストラットカバーに、軸線方向に伸縮自在な伸縮手段が設けられ、不均一な温度分布やその変動に伴ってストラットカバーが伸縮しても、その伸縮が伸縮手段によって吸収される。これにより、ストラットカバーの突っ張りがなくなり、熱応力に起因した低サイクル疲労によるクラックが発生しなくなる。
【0009】
請求項2記載のガスタービン排気部のストラット構造は、請求項1記載のガスタービン排気部のストラット構造において、前記伸縮手段が、外側カバーの内端と内側カバーの外端とを軸線方向にスライド自在に嵌合したスライド構造部であることを特徴とする。
【0010】
このガスタービン排気部のストラット構造では、ストラットカバーが軸線方向に伸縮すると、外側カバーと内側カバーの嵌合部がスライドし、その増減長が吸収される。これにより、別部材を用いることなく、簡素な構造で、ストラットカバーの突っ張りをなくし、熱応力に起因する低サイクル疲労が抑止される。
【0011】
請求項3記載のガスタービン排気部のストラット構造は、請求項1記載のガスタービン排気部のストラット構造において、前記伸縮手段が、外側カバーの内端と内側カバーの外端との間に介装した軸線方向に伸縮自在な柔構造部材であることを特徴とする。
【0012】
このガスタービン排気部のストラット構造では、ストラットカバーが軸線方向に伸縮すると、柔構造部材が伸縮し、その増減長が吸収される。これにより、外側カバーと内側カバーとの気密性を確保しながら、ストラットカバーの突っ張りをなくし、熱応力に起因する低サイクル疲労が抑止される。
【0013】
請求項4記載のガスタービン排気部のストラット構造は、請求項1、2又は3記載のガスタービン排気部のストラット構造において、車室壁と外側ディフューザとを相対変位自在に支持するバネ部材を、車室壁と外側ディフューザとに亘って設けたことを特徴とする。
【0014】
このガスタービン排気部のストラット構造では、バネ部材が車室壁と外側ディフューザとに亘って設けられることで、伸縮手段による変位吸収作用を確保しながら、外側ディフューザ、内側ディフューザを支持するだけの剛性がストラットカバーの伸縮手段介装部位に付与される。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るガスタービン排気部のストラット構造の好適な実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明に係るガスタービン排気部のストラット構造を表す要部拡大断面図である。
【0016】
排気部21は、円筒状に形成された外側の車室壁23と、車室壁23の内側に設けられた円筒状の外側ディフューザ25と、外側ディフューザ25の内側に設けられた円筒状の内側ディフューザ27とを備える。車室壁23は、図示しない台板に支持され、円筒状の内側ディフューザ27の内周側には図示しないロータの軸受が配設されている。従って、それぞれが円筒状となった車室壁23、外側ディフューザ25、内側ディフューザ27は、同心円状に配設されることで、車室壁23と外側ディフューザ25との間に円環状の外周キャビティ29を形成し、外側ディフューザ25と内側ディフューザ27との間に円環状の燃焼ガス通路31を形成している。
【0017】
内側ディフューザ27は、図示しないストラットを介して車室壁23に支持されている。即ち、ストラットは、外端が車室壁23に固定され、外側ディフューザ25を貫通した内端が内側ディフューザ27の外周に固定されることで内側ディフューザ27を支持する。
【0018】
ストラットは、外表面との間に空隙33を設けてストラットカバー35で覆い、圧縮機からの圧縮空気の一部をこの空隙33に冷却空気として導入することで、温度上昇を防止し、熱膨張の発生を抑制している。ストラットカバー35は、外端と車室壁23、中央部の外周と外側ディフューザ25、内端と内側ディフューザ27のそれぞれが、溶接部36により固定されている。即ち、ストラットカバー35は、ストラットを覆うとともに冷却空気の流路を形成し、更には外側ディフューザ25の支持部材となっている。
【0019】
ストラットカバー35は、車室壁23と外側ディフューザ25との間に、軸線方向に伸縮自在となった伸縮手段を有している。ストラットカバー35は、外端を車室壁23に固定して内端を車室壁23と外側ディフューザ25との間で開口させる外側カバー37と、内端を内側ディフューザ27に固定し、中央部の外周を外側ディフューザ25に固定するとともに外端を外側カバー37の内端にスライド自在に嵌合させた内側カバー39とからなる。本実施の形態において、伸縮手段は、外側カバー37の内端と内側カバー39の外端とを軸線方向にスライド自在に嵌合したスライド構造部35aとなる。本実施の形態では、外側カバー37の外周側に、内側カバー39の内周側を外挿する例を図示しているが、その逆の嵌合構造であってもよい。
【0020】
また、ストラットカバー35の近傍には、車室壁23と外側ディフューザ25とを相対変位自在に支持するバネ部材(板バネ)40を、車室壁23と外側ディフューザ25とに亘って設けている。板バネ40は、く字形状に形成され、折り曲げ部を中央として、その一端が車室壁23に固定され、他端が外側ディフューザ25に固定される。本実施の形態において、板バネ40は、ストラットカバー35を挟んで左右に一対のものが設けられている。これにより、伸縮手段の左右側で均等な支持剛性が付与できるようになっている。また、図1はガス流の上流側から流下方向を見た正面視であるので、板バネ40は、板面の延在方向がガス流と平行な方向となる。つまり、排気抵抗を増大させない向きで取り付けられている。
【0021】
このように構成されたガスタービン排気部のストラット構造によれば、車室壁23と外側ディフューザ25との間のストラットカバー35に、軸線方向に伸縮自在なスライド構造部35aが設けられ、不均一な温度分布やその変動に伴ってストラットカバー35が伸縮しても、その伸縮がスライド構造部35aによって吸収される。これにより、ストラットカバー35の突っ張りがなくなり、熱応力に起因した低サイクル疲労によるクラックが発生しなくなる。
【0022】
また、ストラットカバー35が軸線方向に伸縮すると、外側カバー37と内側カバー39の嵌合部35aがスライドし、その増減長が吸収される。これにより、別部材を用いることなく、簡素な構造で、ストラットカバー35の突っ張りをなくし、熱応力に起因する低サイクル疲労が抑止される。
【0023】
さらに、このガスタービン排気部のストラット構造では、板バネ40を車室壁23と外側カバー37との間に配設したので、スライド構造部35aによる変位吸収作用を確保しながら、外側ディフューザ25、内側ディフューザ27を支持するだけの剛性をストラットカバー35のスライド構造部35aに付与することができる。
【0024】
次に、本発明に係る他の実施の形態を説明する。
図2は他の実施の形態を表す要部拡大断面図である。なお、図1に示した部材と同一の部材には同一の符号を付し、重複する説明は省略するものとする。
本実施の形態によるガスタービン排気部のストラット構造は、伸縮手段が、外側カバー41の内端と内側カバー43の外端との間に介装した軸線方向に伸縮自在な柔構造部材45となる。柔構造部材45としては、軸線方向に伸縮自在となり外側カバー41の内端と内側カバー43の外端とを接近離反自在に連結する例えば蛇腹管とすることができる。
【0025】
このガスタービン排気部のストラット構造では、ストラットカバー47が軸線方向に伸縮すると、柔構造部材45が伸縮し、その増減長が吸収される。これにより、外側カバー41と内側カバー43との気密性を確保しながら、ストラットカバー47の突っ張りをなくし、熱応力に起因する低サイクル疲労を抑止することができる。
【0026】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明に係る請求項1記載のガスタービン排気部のストラット構造によれば、車室壁と外側ディフューザとの間のストラットカバーに、軸線方向に伸縮自在な伸縮手段を設けたので、不均一な温度分布やその変動に伴ってストラットカバーが伸縮しても、その伸縮を伸縮手段によって吸収することができる。これにより、ストラットカバーの突っ張りがなくなり、熱応力に起因した低サイクル疲労によるクラックが発生しなくなる。この結果、補修時間・補修費用を低減し、アベイラビリティの低下を防止することができる。
【0027】
請求項2記載のガスタービン排気部のストラット構造によれば、伸縮手段が、外側カバーの内端と内側カバーの外端とを軸線方向にスライド自在に嵌合したスライド構造部であるので、ストラットカバーが軸線方向に伸縮すると、外側カバーと内側カバーの嵌合部がスライドし、その増減長を吸収することができる。これにより、別部材を用いることなく、簡素な構造で、ストラットカバーの突っ張りをなくし、熱応力に起因する低サイクル疲労を抑止することができる。
【0028】
請求項3記載のガスタービン排気部のストラット構造によれば、伸縮手段が、外側カバーの内端と内側カバーの外端との間に介装した軸線方向に伸縮自在な柔構造部材であるので、ストラットカバーが軸線方向に伸縮すると、柔構造部材が伸縮し、その増減長を吸収することができる。これにより、外側カバーと内側カバーとの気密性を確保しながら、ストラットカバーの突っ張りをなくし、熱応力に起因する低サイクル疲労を抑止することができる。
【0029】
請求項4記載のガスタービン排気部のストラット構造によれば、車室壁と外側ディフューザとを相対変位自在に支持するバネ部材を、車室壁と外側ディフューザとに亘って設けたので、伸縮手段による変位吸収作用を確保しながら、外側ディフューザ、内側ディフューザを支持するだけの剛性をストラットカバーの伸縮手段介装部位に付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るガスタービン排気部のストラット構造を表す要部拡大断面図である。
【図2】他の実施の形態を表す要部拡大断面図である。
【図3】従来の排気部における軸線直交方向の断面図である。
【図4】従来の排気部における要部拡大断面図である。
【図5】従来の排気部における要部拡大斜視図である。
【符号の説明】
21;排気部
23;車室壁
25;外側ディフューザ
27;内側ディフューザ
35;ストラットカバー
35a;スライド構造部(伸縮手段)
37;外側カバー
39;内側カバー
40;板バネ(バネ部材)
41;外側カバー
43;内側カバー
45;柔構造部材(伸縮手段)
47;ストラットカバー

Claims (4)

  1. 円筒状の車室壁と、車室壁の内側に設けられた円筒状の外側ディフューザと、外側ディフューザの内側に設けられた円筒状の内側ディフューザと、外端が車室壁に固定され外側ディフューザを貫通した内端が内側ディフューザの外周に固定されるストラットと、ストラットを覆い、外端と車室壁、中央部の外周と外側ディフューザ、内端と内側ディフューザのそれぞれが固定されるストラットカバーとを備えたガスタービン排気部のストラット構造において、
    車室壁と外側ディフューザとの間のストラットカバーに、軸線方向に伸縮自在な伸縮手段を設けたことを特徴とするガスタービン排気部のストラット構造。
  2. 請求項1記載のガスタービン排気部のストラット構造において、
    前記伸縮手段が、
    外側カバーの内端と内側カバーの外端とを軸線方向にスライド自在に嵌合したスライド構造部であることを特徴とするガスタービン排気部のストラット構造。
  3. 請求項1記載のガスタービン排気部のストラット構造において、
    前記伸縮手段が、
    外側カバーの内端と内側カバーの外端との間に介装した軸線方向に伸縮自在な柔構造部材であることを特徴とするガスタービン排気部のストラット構造。
  4. 請求項1、2又は3記載のガスタービン排気部のストラット構造において、
    車室壁と外側ディフューザとを相対変位自在に支持するバネ部材を、車室壁と外側ディフューザとに亘って設けたことを特徴とするガスタービン排気部のストラット構造。
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