JP2004050759A - インクジェット記録装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】装置の大型化や消費電力の増加等の問題を生じさせることなく、インクの付着した搬送手段の洗浄及び乾燥を行い、搬送手段に付着したインクにより記録媒体が汚れることを防止して、良好なプリントを得ることの可能なインクジェット記録装置を提供する。
【解決手段】インクの定着性を向上させる目的で、一般的にプリント媒体を加熱する手段として設けられている加熱手段を、洗浄後の搬送手段を乾燥させる手段として用いることとする。具体的には、例えば、搬送ベルト27とプリント媒体(布帛)2との剥離地点近傍に搬送ベルト27を洗浄する洗浄機構部25を配置し、さらに、その近傍であって、洗浄後の搬送ベルト27とプリント媒体(布帛)2とに近接する位置に乾燥機構26を配置する。
【選択図】 図1
【解決手段】インクの定着性を向上させる目的で、一般的にプリント媒体を加熱する手段として設けられている加熱手段を、洗浄後の搬送手段を乾燥させる手段として用いることとする。具体的には、例えば、搬送ベルト27とプリント媒体(布帛)2との剥離地点近傍に搬送ベルト27を洗浄する洗浄機構部25を配置し、さらに、その近傍であって、洗浄後の搬送ベルト27とプリント媒体(布帛)2とに近接する位置に乾燥機構26を配置する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プリント媒体に対してインクを噴射することで記録を行うインクジェット記録装置に関し、より詳しくは、プリント媒体として布帛を用いた場合、或いは、プリント媒体として紙を用いて枠無しプリントを実施した場合等においても、インクの転写によりプリント媒体が汚染されることなく、良好なプリントを得ることのできるインクジェット記録装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、プリント織布の捺染にはスクリーン捺染装置が使用されてきている。また一方で、近年においては、インクジェット記録によるプリント技術の発達に伴い、特開昭50−59108号公報、或いは、特開昭54−18975号公報に記載されるように、インクジェットプリンタを布帛の捺染にも適用しようとする試みがなされている。
【0003】
インクジェットプリンタは、これまで、紙へのプリント装置として多用されてきているものであり、その一般的な構成は、プリント媒体である紙を押さえローラーによって駆動ローラー、或いは、これに懸架された搬送ベルトに押圧して、駆動ローラーの回転により搬送して、プリンタヘッドからのインク噴射によって記録を行うといったものになっている。また、インクの定着性を向上させる目的で、プリンタヘッドにより記録を行う以前に紙を加熱する、或いは、プリンタヘッドにより記録された後の紙を加熱するために加熱装置が設けられている。
【0004】
尚、プリント媒体として紙を用いる場合には、押さえローラー及び駆動ローラーとしては、硬質の弾性材で構成されたローラー(例えば、硬質ゴムローラー)が用いられる。また、搬送ベルトとしては硬質の金属材料で構成されたベルト等が用いられる。
【0005】
ところが、布帛は、絹、ウール、木綿等の天然繊維のものからポリエステル、アクリル、ナイロン等の合成繊維のものまで種類が多く、その織り方や繊維の太さにも多くの種類がある。さらにパイル状に繊維を起毛したもの、或いは、繊維を編んだ(ニット)もの等もある。
【0006】
これらの布帛は、紙と比較すると一般に極めて柔軟でいわゆる「こし」が無く、シワを生じ易い。また織り目(編み目)が外力によって容易に変形するので、不均等な外力が加わった場合布帛の形が歪むいわゆる「つれ」を生じ易い。
【0007】
このようにして、シワやつれ等が生じると、インク噴射による捺染時に布帛の各部分でインクの量が異なったり、本来の位置にインクドットが正しく打たれず、画像品質が低下してしまう問題が生じる。さらに、押さえローラーによる押圧力が部分的に異なると布帛の起毛具合に差が生じ、結果として画像品質が低下してしまう問題が生じる。
【0008】
そこで、プリント媒体として紙に加えて布帛をも用いる場合には、インク噴射によって品質の良い捺染を行うために、プリンタヘッドの下での布帛の精密な搬送を実現するべく、押さえローラーや駆動ローラーとして軟質の弾性材で構成されたローラー(例えば、軟性ゴムローラー)が用いられ、搬送ベルトとして軟質の弾性材が被覆された金属ベルト等が用いられる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、プリント媒体として布帛を用いる場合には、布帛の画質向上の為に、より多くのインクを布帛に供給することが要求されるが、プリンタヘッドより噴射されるインク量が布帛の吸水能を越えたり、或いは、布帛を構成する繊維構造の間隙を通過したりすることにより、布帛の下部に位置する印字テーブルや排紙ローラー、或いは、搬送ベルト上に、過剰のインクが付着し、布帛への再転写等を起こし、印字画質の低下を招くことがしばしば発生する。特に、インクの液滴径が20μm以下という小液滴の場合に、このような印字画質の低下が招かれ易い。
【0010】
また、プリント媒体として紙を用いた場合であっても、紙に対して全面印刷、所謂、枠無しプリントを行う場合には、紙の全幅よりも広範な領域にインクを噴射することが要求され、プリンタヘッドより噴射されるインクが紙の幅外へ噴射されることにより、紙の下部に位置する印字テーブルや排紙ローラー、或いは、搬送ベルト上には、インクが付着し、紙への再転写等を起こし、印字画質の低下を招くことがしばしば発生する。
【0011】
そこで、このような問題を鑑みて、特開2001−347651号公報に記載されるインクジェット記録装置においては、枠無しプリントを行い、記録媒体からはみ出したインクによりプラテンが汚れた場合にも、これを洗浄する洗浄手段を設けることで、インクの再転写等により印字画質の低下を防止するものが開示されている。また、特開平11−10843号公報に記載される加色処理装置においては、皮革にインクジェット記録する場合に、皮革の外形のバラツキによるインクのはみ出しにより搬送手段が汚れた場合にも、これを洗浄する洗浄手段を設けることで、インクの再転写等により印字画質の低下を防止するものが開示されている。
【0012】
しかしながら、これら何れの装置においても、洗浄後の搬送手段を乾燥させる手段は特に設けられておらず、その乾燥方法は自然乾燥によっているため乾燥時間を長く設ける必要があった。
【0013】
たとえ、新たに乾燥手段を設けたとしても、これに伴う装置の大型化や消費電力の増加等の問題が発生することとなった。
【0014】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、従来より、一般的に設けられている記録媒体の加熱手段を、洗浄後の搬送手段を乾燥させる手段としても用いることで、装置の大型化や消費電力の増加等の問題を発生させることなく、インクの付着した搬送手段の洗浄及び乾燥を行い、搬送手段に付着したインクの際転写により記録媒体が汚染されることを防止して、良好なプリントを得ることのできるインクジェット記録装置を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1記載の発明は、記録媒体を搬送する搬送手段と、前記搬送手段により搬送された前記記録媒体にインクを噴射して記録を行う記録ヘッドと、前記記録ヘッドから噴射され、前記搬送手段に付着したインクを洗浄するための洗浄手段と、を含み構成されるインクジェット記録装置であって、前記記録媒体と、前記搬送手段の前記洗浄手段により洗浄された部分とを共に乾燥させる1つの加熱手段を設けたことを特徴としている。
【0016】
また、上記課題を解決するために、請求項2記載の発明は、記録媒体を搬送する搬送手段と、前記搬送手段により搬送された前記記録媒体にインクを噴射して記録を行う記録ヘッドと、前記記録ヘッドから噴射され、前記搬送手段に付着したインクを洗浄するための洗浄手段と、前記記録媒体を加熱するための加熱手段と、を含み構成されるインクジェット記録装置であって、前記加熱手段を、前記搬送手段の前記洗浄手段により洗浄された部分の近傍に設けて、前記記録媒体及び前記搬送手段の前記洗浄手段により洗浄された部分を同時に乾燥させることを特徴としている。
【0017】
また、上記課題を解決するために、請求項3記載の発明は、記録媒体を搬送する搬送手段と、前記搬送手段により搬送された前記記録媒体にインクを噴射して記録を行う記録ヘッドと、前記記録ヘッドから噴射され、前記搬送手段に付着したインクを洗浄するための洗浄手段と、前記記録媒体を加熱するための加熱手段と、を含み構成されるインクジェット記録装置であって、前記加熱手段と前記記録媒体及び前記搬送手段の前記洗浄手段により洗浄された部分とを覆う乾燥室を設けて、前記記録媒体及び前記搬送手段の前記洗浄手段により洗浄された部分を同時に乾燥させることを特徴としている。
【0018】
また、上記課題を解決するために、請求項4記載の発明は、記録媒体を搬送する搬送手段と、前記搬送手段により搬送された前記記録媒体にインクを噴射して記録を行う記録ヘッドと、前記記録ヘッドから噴射され、前記搬送手段に付着したインクを洗浄するための洗浄手段と、前記記録媒体を加熱するための加熱手段と、を含み構成されるインクジェット記録装置であって、前記加熱手段による熱の一部を、前記搬送手段の前記洗浄手段により洗浄された部分へ伝達し乾燥させるための送風手段を設けたことを特徴としている。
【0019】
また、請求項5記載の発明は、請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載のインクジェット記録装置において、前記記録ヘッドは、前記記録媒体に対して枠無しプリントを行うことが可能に構成されていることを特徴としている。
【0020】
また、請求項6記載の発明は、請求項1乃至請求項5の何れか一項に記載のインクジェット記録装置において、前記加熱手段は、前記記録ヘッドにより記録された後の前記記録媒体を加熱するための手段であることを特徴としている。
【0021】
また、請求項7記載の発明は、請求項1乃至請求項6の何れか一項に記載のインクジェット記録装置において、前記記録媒体は、布帛であることを特徴としている。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るインクジェット記録装置の様々な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。尚、本発明に係るインクジェット記録装置は、何れも記録媒体として紙や布帛を用いることが可能に構成されるものであるが、以下においては、記録媒体として布帛を用いた場合を主として説明することにする。
【0023】
[インクジェット記録装置に関連した事項]
まず、本発明に係るインクジェット記録装置に関連した事項について説明する。具体的には、本発明に係るインクジェット記録装置に好適な布帛、染料インクの後処理、記録ヘッドの構成等について説明する。即ち、これらの事項は、後述する様々な実施形態におけるインクジェット記録装置において、共通して好適であるものを例示した内容となっている。
【0024】
(布帛について)
本発明に係るインクジェット記録装置に用いられる布帛としては、特に、次のような条件が満たされるものであることが好ましい。具体的には、インクを十分な濃度に発色させ得ること、インクの染着率が高いこと、インクが布帛上で速やかに乾燥すること、布帛上での不規則なインクのにじみの発生が少ないこと、さらには、装置内での搬送性に優れていること等の条件が満たされることが好ましい。そこで、これらの要求条件を満足させるために、必要に応じて布帛に対して予め前処理を施しておくこととする。このような前処理の具体例としては、例えば、特開昭62−53492号公報においてはインク受容層を有する布帛類が開示されている。また、特公平3−46589号公報においては還元防止剤やアルカリ性物質を含有させた布帛の提案がなされている。このような布帛の例としては、アルカリ性物質、水溶性高分子、合成高分子、水溶性金属塩、尿素およびチオ尿素から選ばれる物質を含有させた布帛を挙げることができる。
【0025】
このように、前処理において上記物質を布帛に含有させる方法は、特に制限されるものではないが、一般に行われる浸漬法として、バッド法、コーティング法、スプレー法等を挙げることができる。
【0026】
(染料インクの後処理について)
このような布帛に付与される染色インクは、布帛上に付与した状態では単に付着しているに過ぎないので、引き続き繊維への染料の反応定着工程(染着工程)を施すことが好ましい。このような反応定着工程としては、従来公知の方法でよく、例えば、スチーミング法、HTスチーミング法、サーモフィックス法、予めアルカリ処理した布帛を用いない場合は、アルカリパッドスチーム法、アルカリブロッチスチーム法、アルカリショック法、アルカリコールドフィック法等を挙げることができる。
【0027】
さらに、未反応の染料の除去および前処理に用いた物質の除去は、上記反応定着工程の後に従来公知の方法に準じ、洗浄により行うことができる。尚、この洗浄の際に従来のフィックス処理を併用することが好ましい。
【0028】
(記録ヘッドの構成について)
本発明に係るインクジェット記録装置に適用されるインクジェット記録方式としては、従来公知の様々な方式を採ることが可能であるが、ここでは、熱エネルギーを利用して飛翔的液滴を形成し記録を行うインクジェット方式を一例として挙げ説明することとする。
【0029】
この熱エネルギーを利用して記録を行うインクジェット方式の代表的な構成や原理については、例えば、米国特許第4,723,129号明細書等に開示されている基本的な原理を用いて行うものが好ましい。この方式は、所謂オンデマンド型、コンティニュアス型の何れにも適用可能であるが、特に、オンデマンド型の場合には、インクが保持されているシートや液路に対応して配置されている電気熱変換体に、記録情報に対応していて核沸騰を越える急速な温度上昇を与える少なくとも一つの駆動信号を印加することによって、電気熱変換体に熱エネルギーを発生せしめ、記録ヘッドの熱作用面に膜沸騰を生じさせて、結果的に個の駆動信号に一対一で対応したインク内の気泡を形成できるので有効である。この気泡の成長、収縮により噴射用開口を介してインクを噴射させて、少なくとも一つの滴を形成する。尚、駆動信号をパルス形状とすると、即時、適切に気泡の成長収縮が行われるので、特に応答性の優れたインクの噴射が達成でき、より好ましい。
【0030】
(染料インクについて)
ところで、以上の説明においては、インクを液体として説明したが、この他にも、例えば室温においては固化するインクであって、室温より高温で軟化するもの、即ち、熱エネルギーによって初めて液化するインク等の使用も適用可能である。このようなインクは、特開昭54−56847号公報、或いは、特開昭60−71260号公報に開示されている。
【0031】
[インクジェット記録装置の構成]
次に、本発明に係るインクジェット記録装置の様々な実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0032】
(第一の実施形態)
図1に、当該第一の実施形態におけるインクジェット布帛捺染装置の概略構成を表す全体構成図を示す。
【0033】
同図において、元巻1から供給された布帛2は、駆動ローラー3及び排紙ローラー4に懸架された搬送ベルト27の回転移動によって、プリントヘッド9及びキャリッジ8の駆動と同期して矢印の方向に搬送される。駆動ローラー3及び排紙ローラー4は円筒形をなしており、軸方向(図1の紙面に垂直な方向)に布帛2の幅を越える長さを持った搬送ベルト27を懸架している。一方、搬送ベルト27は、駆動ローラー3の回転により駆動ローラー3及び排紙ローラー4の周りを回転移動する。尚、駆動ローラー3及び排紙ローラー4は何れも硬質のローラーにて構成される。また、搬送ベルト27は通常の金属ベルト、或いは、軟質の弾性材が被覆された金属ベルト等にて構成される。
【0034】
押さえローラー5は、布帛2を搬送ベルト27及びこれを懸架する駆動ローラー3側に押し付ける構成となっている。押さえローラー5も駆動ローラー3と同じ長さを有する円筒形のローラーであり、支持枠11により支持される。
【0035】
押さえローラー5による押圧力によって、駆動ローラー3の搬送力は搬送ベルト27を介して布帛2に的確に伝えられる。駆動ローラー3、排紙ローラー4、押さえローラー5及び搬送ベルト27による以上の構成は、本発明における「搬送手段」の一実施例である。
【0036】
布帛2は、押さえローラー5の上流において常に適度なたるみを有するようにして元巻1から巻ほどかれる。このたるみを設けることにより、搬送ベルト27による布帛2の搬送に対して元巻1が負荷にならないようにしている。これによって、駆動ローラー3は布帛2の垂下部の重量に打ち勝つ程度の力で搬送ベルト27を回転移動させればよく、布帛2に極力張力をかけずにこれを搬送することができる。これは布帛2に無用な変形を生じさせない意味でも好ましい。布帛2は、本発明における「記録媒体」の一実施例である。
【0037】
布帛2は、駆動ローラー3の回転速度、即ち、搬送ベルト27の回転移動速度に対応した搬送速度で搬送される。排紙ローラー4は、駆動ローラー3と共に搬送ベルト27を懸架し、駆動ローラー3と同じ速度で回転し、布帛2を搬送する。
【0038】
布帛2は、搬送ベルト27によってプリンタヘッド9の直下を搬送される。プリンタヘッド9は、搬送ベルト27の上方で布帛2と対向し、図示省略の制御手段によりキャリッジ8が駆動制御され、布帛2の幅方向(図1の紙面に垂直な方向)に沿って走査されつつインクを噴射することで、布帛2を捺染するようになっている。尚、プリンタヘッド9は、キャリッジ8により布帛2の全幅よりも大きな範囲にわたって走査されることで(或いは、布帛2の全副よりも大きな範囲にわたってインク噴射用のノズルを備えることで)、布帛2の全面に対して記録を行う、所謂、枠無しプリントを行うことが可能に構成されている。プリンタヘッド9は、本発明における「記録ヘッド」の一実施例である。
【0039】
押さえローラー5の外筒は、軟性の弾性材である多孔質体弾性材料6で構成される。
【0040】
この多孔質弾性体材料6の具体例としては、例えばスポンジの1つであるモルトプレン(MTP化成株式会社製)を挙げることができる。
【0041】
このように押さえローラー5の外筒を多孔質弾性体材料6で構成することで、布帛2を押さえローラー5の自重、或いは、図示省略の押圧機構により搬送ベルト27及び駆動ローラー3側に押圧した場合に、押さえローラー5の表面が柔軟に変形して、接触部全体を万遍なく押圧することができる。
【0042】
従って、布帛2が、例えば幅方向の両端部にいわゆる耳とよばれる厚みの厚い部分を有するものであったとしても、耳の部分も生地の部分も厚みの相違に関係なく均一に押圧することができる。また、布帛2が起毛等により全体の厚みが厚くなっているものであっても、多孔質弾性材料6の柔軟性により軸位置を調整することなくそのままで対応することができる。この結果、布帛2の搬送精度が格段に向上する。
【0043】
また、多孔質弾性体材料6を外筒に有する押さえローラー5の編重心により、駆動停止時に起きる駆動系ギアのバックラッシュ内での戻り動作を低減することができる。即ち、本装置においては、押さえローラー5の表面に設けた多孔質弾性体材料6が変形し、布帛2を駆動ローラー3に押圧するので、押さえローラー5の芯出し精度が多少悪くても押さえローラー5の押圧作用に影響を与えない。したがって駆動ローラー3に対する押さえローラー5の芯出し精度、すなわち駆動ローラー3の中心軸に対する押さえローラー5の中心軸の平行度は、硬質の(外筒が固い)押さえローラーを用いる従来の搬送系の場合に比べて大幅に緩和することができる。
【0044】
以上のような構成により、布帛2の幅方向において部分的な進み量の違いが生じることがなく、従って、布帛2に「こし」が無くても搬送中にシワがよるようなことはなく、また織り目(編み目)の変形によるつれが生じず、さらに搬送中に布帛2が幅方向の一方に寄る「より」を生じることもない。
【0045】
また、駆動ローラー3及び排紙ローラー4と、後述する洗浄機構25及び乾燥手段29は、支持枠11に取り付けられている。支持枠11は、例えば図示省略のレール上に搭載されており、操作者によって図1における左方向に引き出すことができるようになっている。
【0046】
尚、元巻1は図示省略の固定支持部に支持されており、また、押さえローラー5は支持部7に支持されているため、支持枠11を引き出しても元巻1と押さえローラー5は元の位置に留まる。
【0047】
布帛2を、当該装置にセットするときは、支持枠11を引き出した状態で、元巻1から布帛2を引き出して、これを搬送ベルト27に懸架することで行う。そして、正しくセットした後に支持枠11を元の位置に押し戻す。
【0048】
この際、布帛2は搬送ベルト27と押さえローラー5とに挟持される状態となる。また、このとき一旦引き出された布帛2がたるんで押さえローラー5の上流側に自然に適度のたるみが形成される。
【0049】
尚、押し戻された状態では支持枠11は図示省略のロック機構によって固定部にロックされ、押さえローラー5及びプリンタヘッド9との位置関係が正しく固定されるようになっている。
【0050】
さて、品質の良いインクジェット記録を行うためには、布帛2の表面はプリンタヘッド9のインク噴射面に対して常に一定の距離を保っていなければならない。この距離の許容誤差は、例えば布帛2の表面とプリンタヘッド9との距離を1.4mmとしたとき、±0.25mm程度である。
【0051】
特に、布帛2はインクを吹きつけるとインクを吸収して膨潤し、それによって表面が浮き上がり、布シワを生じるという現象が起こる。そこで、当該装置には、この発生した布シワの検出手段として距離を測定するセンサーを設けることとする。
【0052】
具体的には、このセンサーは、キャリッジ下部のプリンタヘッド9より上流部側の装備され、センサーと布帛表面との間隙幅を連続的に計測し、一定値以下の間隙幅を検知したときに、それを布シワと認識し、作業者への通知、或いは装置の搬送を自動的に停止するシステムを構成する。
【0053】
例えば、図2に示すように、キャリッジ8の下部で且つプリンタヘッド9に対して搬送方向の上流位置に三角測距法のセンサーを設置する。センサーは、赤外発光ダイオードよりなる赤外発光源12と、布帛2の表面から反射する赤外線を受光する赤外線受光部13により構成され、三角距離測量法に則りセンサー部と布帛2の表面との距離を計測し、その情報を判定した後、測定距離が規定値を超え、異常が発生すると液晶表示或いは警告ランプにより作業者に通達、或いは、自動的に搬送ベルト27による布帛2の搬送を停止するシステムを構成する。
【0054】
また、搬送ベルト27と布帛2とが剥離する地点の近傍には、プリントヘッド9から噴射され、布帛2を通過した過剰インク、或いは、枠無しプリントを実施した際に布帛2よりはみ出したインク等が付着した搬送ベルト27を洗浄する洗浄機構25が設けられている。
【0055】
プリンタヘッド9のインク噴射下にある搬送ベルト27は、布帛2の裏面から付着した過剰インクの転写により、或いは、プリント媒体として布帛2又は紙を用いて枠無しプリントを実施した場合に、これらからはみ出したインクの付着により表面が汚染され、その汚染インクの再転写により布帛2の品質低下を招くため、この汚染インクを除去する目的で、水または洗浄液を包浸した吸水性多孔質体、好ましくはスポンジよりなるブロック、ブラシ又はローラーを有する洗浄機構25を設ける。このスポンジよりなるブロック、ブラシ又はローラーを、常時、或いは一定時間間隔にて搬送ベルト27に押し当てることで、搬送ベルト27の表面を洗浄する。
【0056】
尚、洗浄液としては、特に制限はないが、水を主成分とし、これに水溶性有機溶剤等を混合したものがよい。水溶性有機溶剤としては、水との混合比率が無限大となるものが好ましく、例えば、ケトン類としては、アセトン、アセトニルアセトンなどが挙げられ、エーテル類としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エステル類としては、燐酸トリエチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、アルコール類としては、メチルアルコール、エチルアルコール、エーテルアルコール類としては、ジエチレングリコール、グリコールモノブチルエーテルなどが挙げられる。その他として、ホルムアミド、2−ピロリドンなどの窒素含有溶剤やスルホラン、1,3−プルパンスルホンなどの硫黄含有溶剤やアセトニトリルなどの溶剤を挙げることができるが、水に可溶な有機溶剤でありインクを溶解させることができれば、上記以外の溶剤を使用することができる。
【0057】
また、洗浄液には必要に応じて界面活性剤を入れることができる。使用できる界面活性剤としては、陽イオン性、陰イオン性、両性、非イオン性のいずれも用いることが出来る。陽イオン性界面活性剤としては、脂肪族アミン塩、脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩等が挙げられる。
【0058】
尚、洗浄機構25は、本発明における「洗浄手段」の一実施例である。
【0059】
洗浄機構25の近傍には、洗浄後の搬送ベルト27の表面を速やかに乾燥するために、後述する乾燥機構26が設けられる。このことが当該装置における特徴部分である。
【0060】
以下、当該装置の特徴部分である乾燥機構26周辺部の構成について説明する。乾燥機構26は、本発明における「加熱手段」の一実施例であって、当該装置における乾燥機構26は、記録後の布帛2を加熱することでインクの定着、即ち、乾燥を促進させるものとなっている。具体的には、伝熱線を内蔵した加熱ヒーターや、温風ドライヤーなどにより構成される。さらに、当該装置においては、この乾燥機構26を洗浄後の搬送ベルト27の近傍に設けることで、これを搬送ベルト27の表面を乾燥させる手段としても用いることに特徴がある。
【0061】
具体的には、乾燥機構26は、搬送ベルト27と布帛2の剥離する地点の近傍に設けられる洗浄機構25と隣り合う位置に設けられる。これにより、乾燥機構26によって、従来の通りに布帛2は乾燥されると共に、洗浄機構25により洗浄された後の搬送ベルト27の表面も乾燥されることとなる。
【0062】
このように、本実施形態におけるインクジェット記録装置においては、プリント媒体を加熱する手段として、従来より一般的に設けられている加熱機構26を、その位置調整を行うことのみをもって、プリント媒体を乾燥させると同時に、洗浄後の搬送ベルト27を乾燥させる手段としても用いることができるので、装置の大型化や消費電力の増加等の問題を生じさせることなく、インクの付着した搬送ベルト27の洗浄及び乾燥を行うことができ、これをもって、搬送ベルト27に付着したインクにより記録媒体が汚れることを防止して、良好なプリントを得ることができる。
【0063】
尚、本実施形態におけるインクジェット記録装置においては、乾燥機構26が記録後の布帛2を乾燥させる手段として排紙ローラー4側に設けられているものとしたが、乾燥機構26はこれに限らず、記録前に布帛2を加熱する手段として設けられる場合もあり、このような場合には、例えば、図3に示すように、駆動ローラー3側の対称位置、即ち、搬送ベルト27と布帛2の双方に近接する位置に設けても良い。
【0064】
また、本実施形態におけるインクジェット記録装置においては、布帛2の搬送手段が、駆動ローラー3、排紙ローラー4、及びこれらに懸架される搬送ベルト27等にて構成されるものとしたが、本発明における「搬送手段」としてはこれに限らず、例えば、図4に示すように、駆動ローラー3、排紙ローラー4及び印字テーブル10から構成されるものとしても良い。このような場合においては、乾燥機構26は、同図に示す位置に設けられることが好ましい。さらに、印字テーブル10を洗浄する洗浄手段と、この洗浄手段により洗浄された後の印字テーブルを乾燥させる乾燥手段を別途設けることにしても良い。
【0065】
さらに、本実施形態におけるインクジェット記録装置においては、プリント媒体として布帛が用いられる場合を主として説明したが、プリント媒体として紙を用いることも当然に可能であり、このような場合にも、同様の構成により布帛の場合と同様の効果を得ることができる。
【0066】
(第二の実施形態)
図5に、当該第二の実施形態におけるインクジェット布帛捺染装置の概略構成を表す全体構成図を示す。但し、以下においては、上述の第一の実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0067】
即ち、当該装置の特徴部分である乾燥機構26の周辺部の構成についてのみ説明する。乾燥機構26は、本発明における「加熱手段」の一実施例であって、当該装置における乾燥機構26は、記録後の布帛2を加熱することでインクの定着、即ち、乾燥を促進させるものものである。具体的には、伝熱線を内蔵した加熱ヒーターや、温風ドライヤーなどにより構成される。さらに、当該装置においては、この乾燥機構26と洗浄後の搬送ベルト27を同一の空間に隔離するための乾燥室28を設けることで、乾燥機構26を搬送ベルト27を乾燥させる手段としても用いることに特徴がある。当該装置においては、乾燥室28を設けることで、乾燥機構26からの熱を洗浄後の搬送ベルト27へ伝達することができるので、布帛2又は搬送ベルト27が乾燥機構26から離れた位置にある場合であっても、これを加熱乾燥することができ、布帛2、搬送ベルト27及び乾燥機構26等の配置に自由度を持たせることができる。尚、乾燥室28は、本発明における「乾燥室」の一実施例である。
【0068】
具体的には、乾燥機構26は、搬送ベルト27と布帛2の剥離する地点の近傍に設けられる洗浄機構25と隣り合う位置に設けられ、さらに、この乾燥機構26と洗浄機構25により洗浄された後の搬送ベルト27とを同一の空間内に閉じ込め、他の空間と隔離するための乾燥室27が設けられる。乾燥室27は、断熱素材或いは金属材料等により構成され、さらに、布帛2や搬送ベルト27が通過するための開口部が設けられている。尚、当該乾燥室27が金属材料等にて構成される場合には、その内面に断熱層が設けられることが好ましい。これにより、乾燥機構26によって、効率良く、従来の通りに布帛2は乾燥される同時に、洗浄機構25により洗浄された後の搬送ベルト27はその表面を乾燥されることとなる。
【0069】
このように、本実施形態におけるインクジェット記録装置においては、プリント媒体を加熱する手段として、従来より一般的に設けられている加熱機構26を、乾燥室27を設けることのみによって、プリント媒体を乾燥させると同時に、洗浄後の搬送ベルト27を乾燥させる手段としても用いることができるので、例えば加熱機構26の位置調整を伴わなくとも、前述した第一の実施形態と同様に、装置の大型化や消費電力の増加等の問題を生じさせることなく、インクの付着した搬送ベルト27の洗浄及び乾燥を行うことができ、これをもって、搬送ベルト27に付着したインクにより記録媒体が汚れることを防止して、良好なプリントを得ることができる。
【0070】
尚、本実施形態におけるインクジェット記録装置においては、乾燥機構26が記録後の布帛2を乾燥させる手段として排紙ローラー4側に設けられているものとしたが、乾燥機構26はこれに限らず、記録前に布帛2を加熱する手段として設けられる場合もあり、このような場合には、例えば図6に示すように、乾燥室27は、駆動ローラー3側の対称位置、即ち、搬送ベルト27と布帛2の双方に近接する位置に設けても良い。
【0071】
また、本実施形態におけるインクジェット記録装置においては、布帛2の搬送手段が、駆動ローラー3、排紙ローラー4、及びこれらに懸架される搬送ベルト27等にて構成されるものとしたが、本発明における「搬送手段」としてはこれに限らず、例えば、図7に示すように、駆動ローラー3、排紙ローラー4及び印字テーブル10から構成されるものとしても良い。このような場合においては、乾燥機構26及び乾燥室27は、各々、同図に示す位置に設けられることが好ましい。さらに、印字テーブル10を洗浄する洗浄手段と、この洗浄手段により洗浄された後の印字テーブルを乾燥させる乾燥手段を別途設けることにしても良い。
【0072】
さらに、本実施形態におけるインクジェット記録装置においては、プリント媒体として布帛が用いられる場合を主として説明したが、プリント媒体として紙を用いることも当然に可能であり、このような場合にも、同様の構成により布帛の場合と同様の効果を得ることができる。
【0073】
(第三の実施形態)
図8に、当該第三の実施形態におけるインクジェット布帛捺染装置の概略構成を表す全体構成図を示す。但し、以下においては、上述の第一及び第2の実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0074】
即ち、当該装置の特徴部分である乾燥機構26の周辺部の構成についてのみ説明する。乾燥機構26は、本発明における「加熱手段」の一実施例であって、当該装置における乾燥機構26は、記録後の布帛2を加熱することでインクの定着、即ち、乾燥を促進させるものものである。具体的には、伝熱線を内蔵した加熱ヒーターや、温風ドライヤーなどにより構成される。さらに、当該装置においては、この乾燥機構26が送風手段を持たない(例えば加熱ヒーター等)場合に、乾燥機構26による熱を洗浄後の搬送ベルト27に伝達させるための送風機構29を設けることで、或いは、この乾燥機構26が送風手段を有する(例えば温風ドライヤー等)場合に、その送風を洗浄後の搬送ベルト27に導くことで乾燥機構26を搬送ベルト27を乾燥させる手段としても用いることに特徴がある。当該装置においては、送風機構29を設けることで、或いは、この乾燥機構26が送風手段を有する(例えば温風ドライヤー等)場合に、その送風を洗浄後の搬送ベルト27に導くことで、布帛2又は搬送ベルト27が乾燥機構26から離れた位置にある場合であっても、これを加熱乾燥することができるので、布帛2、搬送ベルト27及び乾燥機構26等の配置に自由度を持たせることができる。尚、送風機構29は、本発明における「送風手段」の一実施例である。
【0075】
例えば、乾燥機構26が送風手段を持たない加熱ヒーター等により構成される場合には、図8に示すように、更に送風機構29を設けて、乾燥機構26による熱を洗浄後の搬送ベルト27にも伝達させるようにする。尚、この送風機構29により乾燥機構26による熱を効率良く搬送ベルト27へ導くために導風板30等が設けられることが好ましい。これにより、乾燥機構26によって、従来の通りに布帛2は乾燥されると共に、洗浄機構25により洗浄された後の搬送ベルト27はその表面を乾燥されることとなる。
【0076】
また、乾燥機構26が送風手段を有する温風ドライヤー等により構成される場合には、図9に示すように、乾燥機構26による送風が布帛2及び洗浄後の搬送ベルト27に当たるように位置調整され、さらに、この乾燥機構26による送風を効率良く布帛2及び搬送ベルト27へ導くために導風板30等が設けられることが好ましい。これにより、乾燥機構26によって、従来の通りに布帛2は乾燥されると共に、洗浄機構25により洗浄された後の搬送ベルト27はその表面を乾燥されることとなる。
【0077】
このように、本実施形態におけるインクジェット記録装置においては、プリント媒体を加熱する手段として、従来より一般的に設けられている加熱機構26を、送風機構29や導風板30のみを設けることによって、プリント媒体を乾燥させると同時に、洗浄後の搬送ベルト27を乾燥させる手段としても用いることができるので、例えば加熱機構26の位置調整を伴わなくとも、前述した第一の実施形態と同様に、装置の大型化や消費電力の増加等の問題を生じさせることなく、インクの付着した搬送ベルト27の洗浄及び乾燥を行うことができ、これをもって、搬送ベルト27に付着したインクにより記録媒体が汚れることを防止して、良好なプリントを得ることができる。
【0078】
尚、本実施形態におけるインクジェット記録装置においては、乾燥機構26が記録後の布帛2を乾燥させる手段として排紙ローラー4側に設けられているものとしたが、乾燥機構26はこれに限らず、記録前に布帛2を加熱する手段として設けられる場合もあり、このような場合には、例えば図10及び図11に示すように、乾燥機構26及び導風板30は、駆動ローラー3側の対称位置、即ち、搬送ベルト27と布帛2の双方に近接する位置に設けても良い。
【0079】
また、本実施形態におけるインクジェット記録装置においては、布帛2の搬送手段が、駆動ローラー3、排紙ローラー4、及びこれらに懸架される搬送ベルト27等にて構成されるものとしたが、本発明における「搬送手段」としてはこれに限らず、例えば、図12及び図13に示すように、駆動ローラー3、排紙ローラー4及び印字テーブル10から構成されるものとしても良い。このような場合においては、乾燥機構26、送風機構29及び導風板30は、各々、同図に示す位置に設けられることが好ましい。さらに、印字テーブル10を洗浄する洗浄手段と、この洗浄手段により洗浄された後の印字テーブルを乾燥させる乾燥手段を別途設けることにしても良い。
【0080】
さらに、本実施形態におけるインクジェット記録装置においては、プリント媒体として布帛が用いられる場合を主として説明したが、プリント媒体として紙を用いることも当然に可能であり、このような場合にも、同様の構成により布帛の場合と同様の効果を得ることができる。
【0081】
尚、本発明に係るインクジェット記録装置は、これら第一乃至第三の実施形態に記載されるものに限定されず、例えば、洗浄機構25、加熱機構26の具体的な構成、設置位置及び設置個数、導風板30の設置の有無等に関しては、他の形態を採るものであっても良い。また、前述のように、搬送手段が、例えば駆動ローラー、排紙ローラー及び印字テーブル等から構成されるものにおいては、印字テーブル10を洗浄する洗浄手段と、この洗浄手段により洗浄された後の印字テーブルを乾燥させる乾燥手段を別途設けることにしても良い。
【0082】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明に係るインクジェット記録装置によれば、プリント媒体を加熱する手段として、従来より一般的に設けられている加熱手段を、洗浄後の搬送手段を乾燥させる手段としても用いることで、装置の大型化や消費電力の増加等の問題を生じさせることなく、インクの付着した搬送手段の洗浄及び乾燥を行うことができ、搬送手段に付着したインクにより記録媒体が汚れることを防止して、良好なプリントを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るインクジェット記録装置の一実施形態における概略構成を示す全体構成図である。
【図2】図1に示すインクジェット記録装置のキャリッジに、布帛のしわを検出するセンサーが設けられた場合の概略構成を示す側面図である。
【図3】図1に示すインクジェット記録装置の他例、加熱機構がプリントヘッドより上流側に設けられた場合の概略構成を示す全体構成図である。
【図4】図1に示すインクジェット記録装置の他例、搬送ベルトが印字テーブルに置換された場合の概略構成を示す全体構成図である。
【図5】図1に示すインクジェット記録装置の他例、加熱機構と洗浄後の搬送ベルトを同一の空間に隔離する乾燥室が設けられた場合の概略構成を示す全体構成図である。
【図6】図5に示すインクジェット記録装置の他例、加熱機構と洗浄後の搬送ベルトを同一の空間に隔離する乾燥室がプリントヘッドより上流側に設けられた場合の概略構成を示す全体構成図である。
【図7】図5に示すインクジェット記録装置の他例、搬送ベルトが印字テーブルに置換された場合の概略構成を示す全体構成図である。
【図8】図1に示すインクジェット記録装置の他例、加熱機構の他に送風機構及び導風板が設けられた場合の概略構成を示す全体構成図である。
【図9】図8に示すインクジェット記録装置の他例、加熱機構の他に導風板が設けられた場合の概略構成を示す全体構成図である。
【図10】図8に示すインクジェット記録装置の他例、加熱機構がプリントヘッドより上流側に設けられた場合の概略構成を示す全体構成図である。
【図11】図9に示すインクジェット記録装置の他例、加熱機構がプリントヘッドより上流側に設けられた場合の概略構成を示す全体構成図である。
【図12】図8に示すインクジェット記録装置の他例、搬送ベルトが印字テーブルに置換された場合の概略構成を示す全体構成図である。
【図13】図9に示すインクジェット記録装置の他例、搬送ベルトが印字テーブルに置換された場合の全体構成を示す概略図である。
【符号の説明】
1 元巻
2 布帛
3 駆動ローラー
4 排紙ローラー
5 押さえローラー
6 多孔質弾性体材料
7 支持部
8 キャリッジ
9 プリンタヘッド
10 印字テーブル
11 支持枠
12 赤外発光源
13 赤外線受光部
25 洗浄機構
26 乾燥機構
27 搬送ベルト
28 乾燥室
29 送風機構
30 導風板
【発明の属する技術分野】
本発明は、プリント媒体に対してインクを噴射することで記録を行うインクジェット記録装置に関し、より詳しくは、プリント媒体として布帛を用いた場合、或いは、プリント媒体として紙を用いて枠無しプリントを実施した場合等においても、インクの転写によりプリント媒体が汚染されることなく、良好なプリントを得ることのできるインクジェット記録装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、プリント織布の捺染にはスクリーン捺染装置が使用されてきている。また一方で、近年においては、インクジェット記録によるプリント技術の発達に伴い、特開昭50−59108号公報、或いは、特開昭54−18975号公報に記載されるように、インクジェットプリンタを布帛の捺染にも適用しようとする試みがなされている。
【0003】
インクジェットプリンタは、これまで、紙へのプリント装置として多用されてきているものであり、その一般的な構成は、プリント媒体である紙を押さえローラーによって駆動ローラー、或いは、これに懸架された搬送ベルトに押圧して、駆動ローラーの回転により搬送して、プリンタヘッドからのインク噴射によって記録を行うといったものになっている。また、インクの定着性を向上させる目的で、プリンタヘッドにより記録を行う以前に紙を加熱する、或いは、プリンタヘッドにより記録された後の紙を加熱するために加熱装置が設けられている。
【0004】
尚、プリント媒体として紙を用いる場合には、押さえローラー及び駆動ローラーとしては、硬質の弾性材で構成されたローラー(例えば、硬質ゴムローラー)が用いられる。また、搬送ベルトとしては硬質の金属材料で構成されたベルト等が用いられる。
【0005】
ところが、布帛は、絹、ウール、木綿等の天然繊維のものからポリエステル、アクリル、ナイロン等の合成繊維のものまで種類が多く、その織り方や繊維の太さにも多くの種類がある。さらにパイル状に繊維を起毛したもの、或いは、繊維を編んだ(ニット)もの等もある。
【0006】
これらの布帛は、紙と比較すると一般に極めて柔軟でいわゆる「こし」が無く、シワを生じ易い。また織り目(編み目)が外力によって容易に変形するので、不均等な外力が加わった場合布帛の形が歪むいわゆる「つれ」を生じ易い。
【0007】
このようにして、シワやつれ等が生じると、インク噴射による捺染時に布帛の各部分でインクの量が異なったり、本来の位置にインクドットが正しく打たれず、画像品質が低下してしまう問題が生じる。さらに、押さえローラーによる押圧力が部分的に異なると布帛の起毛具合に差が生じ、結果として画像品質が低下してしまう問題が生じる。
【0008】
そこで、プリント媒体として紙に加えて布帛をも用いる場合には、インク噴射によって品質の良い捺染を行うために、プリンタヘッドの下での布帛の精密な搬送を実現するべく、押さえローラーや駆動ローラーとして軟質の弾性材で構成されたローラー(例えば、軟性ゴムローラー)が用いられ、搬送ベルトとして軟質の弾性材が被覆された金属ベルト等が用いられる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、プリント媒体として布帛を用いる場合には、布帛の画質向上の為に、より多くのインクを布帛に供給することが要求されるが、プリンタヘッドより噴射されるインク量が布帛の吸水能を越えたり、或いは、布帛を構成する繊維構造の間隙を通過したりすることにより、布帛の下部に位置する印字テーブルや排紙ローラー、或いは、搬送ベルト上に、過剰のインクが付着し、布帛への再転写等を起こし、印字画質の低下を招くことがしばしば発生する。特に、インクの液滴径が20μm以下という小液滴の場合に、このような印字画質の低下が招かれ易い。
【0010】
また、プリント媒体として紙を用いた場合であっても、紙に対して全面印刷、所謂、枠無しプリントを行う場合には、紙の全幅よりも広範な領域にインクを噴射することが要求され、プリンタヘッドより噴射されるインクが紙の幅外へ噴射されることにより、紙の下部に位置する印字テーブルや排紙ローラー、或いは、搬送ベルト上には、インクが付着し、紙への再転写等を起こし、印字画質の低下を招くことがしばしば発生する。
【0011】
そこで、このような問題を鑑みて、特開2001−347651号公報に記載されるインクジェット記録装置においては、枠無しプリントを行い、記録媒体からはみ出したインクによりプラテンが汚れた場合にも、これを洗浄する洗浄手段を設けることで、インクの再転写等により印字画質の低下を防止するものが開示されている。また、特開平11−10843号公報に記載される加色処理装置においては、皮革にインクジェット記録する場合に、皮革の外形のバラツキによるインクのはみ出しにより搬送手段が汚れた場合にも、これを洗浄する洗浄手段を設けることで、インクの再転写等により印字画質の低下を防止するものが開示されている。
【0012】
しかしながら、これら何れの装置においても、洗浄後の搬送手段を乾燥させる手段は特に設けられておらず、その乾燥方法は自然乾燥によっているため乾燥時間を長く設ける必要があった。
【0013】
たとえ、新たに乾燥手段を設けたとしても、これに伴う装置の大型化や消費電力の増加等の問題が発生することとなった。
【0014】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、従来より、一般的に設けられている記録媒体の加熱手段を、洗浄後の搬送手段を乾燥させる手段としても用いることで、装置の大型化や消費電力の増加等の問題を発生させることなく、インクの付着した搬送手段の洗浄及び乾燥を行い、搬送手段に付着したインクの際転写により記録媒体が汚染されることを防止して、良好なプリントを得ることのできるインクジェット記録装置を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1記載の発明は、記録媒体を搬送する搬送手段と、前記搬送手段により搬送された前記記録媒体にインクを噴射して記録を行う記録ヘッドと、前記記録ヘッドから噴射され、前記搬送手段に付着したインクを洗浄するための洗浄手段と、を含み構成されるインクジェット記録装置であって、前記記録媒体と、前記搬送手段の前記洗浄手段により洗浄された部分とを共に乾燥させる1つの加熱手段を設けたことを特徴としている。
【0016】
また、上記課題を解決するために、請求項2記載の発明は、記録媒体を搬送する搬送手段と、前記搬送手段により搬送された前記記録媒体にインクを噴射して記録を行う記録ヘッドと、前記記録ヘッドから噴射され、前記搬送手段に付着したインクを洗浄するための洗浄手段と、前記記録媒体を加熱するための加熱手段と、を含み構成されるインクジェット記録装置であって、前記加熱手段を、前記搬送手段の前記洗浄手段により洗浄された部分の近傍に設けて、前記記録媒体及び前記搬送手段の前記洗浄手段により洗浄された部分を同時に乾燥させることを特徴としている。
【0017】
また、上記課題を解決するために、請求項3記載の発明は、記録媒体を搬送する搬送手段と、前記搬送手段により搬送された前記記録媒体にインクを噴射して記録を行う記録ヘッドと、前記記録ヘッドから噴射され、前記搬送手段に付着したインクを洗浄するための洗浄手段と、前記記録媒体を加熱するための加熱手段と、を含み構成されるインクジェット記録装置であって、前記加熱手段と前記記録媒体及び前記搬送手段の前記洗浄手段により洗浄された部分とを覆う乾燥室を設けて、前記記録媒体及び前記搬送手段の前記洗浄手段により洗浄された部分を同時に乾燥させることを特徴としている。
【0018】
また、上記課題を解決するために、請求項4記載の発明は、記録媒体を搬送する搬送手段と、前記搬送手段により搬送された前記記録媒体にインクを噴射して記録を行う記録ヘッドと、前記記録ヘッドから噴射され、前記搬送手段に付着したインクを洗浄するための洗浄手段と、前記記録媒体を加熱するための加熱手段と、を含み構成されるインクジェット記録装置であって、前記加熱手段による熱の一部を、前記搬送手段の前記洗浄手段により洗浄された部分へ伝達し乾燥させるための送風手段を設けたことを特徴としている。
【0019】
また、請求項5記載の発明は、請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載のインクジェット記録装置において、前記記録ヘッドは、前記記録媒体に対して枠無しプリントを行うことが可能に構成されていることを特徴としている。
【0020】
また、請求項6記載の発明は、請求項1乃至請求項5の何れか一項に記載のインクジェット記録装置において、前記加熱手段は、前記記録ヘッドにより記録された後の前記記録媒体を加熱するための手段であることを特徴としている。
【0021】
また、請求項7記載の発明は、請求項1乃至請求項6の何れか一項に記載のインクジェット記録装置において、前記記録媒体は、布帛であることを特徴としている。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るインクジェット記録装置の様々な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。尚、本発明に係るインクジェット記録装置は、何れも記録媒体として紙や布帛を用いることが可能に構成されるものであるが、以下においては、記録媒体として布帛を用いた場合を主として説明することにする。
【0023】
[インクジェット記録装置に関連した事項]
まず、本発明に係るインクジェット記録装置に関連した事項について説明する。具体的には、本発明に係るインクジェット記録装置に好適な布帛、染料インクの後処理、記録ヘッドの構成等について説明する。即ち、これらの事項は、後述する様々な実施形態におけるインクジェット記録装置において、共通して好適であるものを例示した内容となっている。
【0024】
(布帛について)
本発明に係るインクジェット記録装置に用いられる布帛としては、特に、次のような条件が満たされるものであることが好ましい。具体的には、インクを十分な濃度に発色させ得ること、インクの染着率が高いこと、インクが布帛上で速やかに乾燥すること、布帛上での不規則なインクのにじみの発生が少ないこと、さらには、装置内での搬送性に優れていること等の条件が満たされることが好ましい。そこで、これらの要求条件を満足させるために、必要に応じて布帛に対して予め前処理を施しておくこととする。このような前処理の具体例としては、例えば、特開昭62−53492号公報においてはインク受容層を有する布帛類が開示されている。また、特公平3−46589号公報においては還元防止剤やアルカリ性物質を含有させた布帛の提案がなされている。このような布帛の例としては、アルカリ性物質、水溶性高分子、合成高分子、水溶性金属塩、尿素およびチオ尿素から選ばれる物質を含有させた布帛を挙げることができる。
【0025】
このように、前処理において上記物質を布帛に含有させる方法は、特に制限されるものではないが、一般に行われる浸漬法として、バッド法、コーティング法、スプレー法等を挙げることができる。
【0026】
(染料インクの後処理について)
このような布帛に付与される染色インクは、布帛上に付与した状態では単に付着しているに過ぎないので、引き続き繊維への染料の反応定着工程(染着工程)を施すことが好ましい。このような反応定着工程としては、従来公知の方法でよく、例えば、スチーミング法、HTスチーミング法、サーモフィックス法、予めアルカリ処理した布帛を用いない場合は、アルカリパッドスチーム法、アルカリブロッチスチーム法、アルカリショック法、アルカリコールドフィック法等を挙げることができる。
【0027】
さらに、未反応の染料の除去および前処理に用いた物質の除去は、上記反応定着工程の後に従来公知の方法に準じ、洗浄により行うことができる。尚、この洗浄の際に従来のフィックス処理を併用することが好ましい。
【0028】
(記録ヘッドの構成について)
本発明に係るインクジェット記録装置に適用されるインクジェット記録方式としては、従来公知の様々な方式を採ることが可能であるが、ここでは、熱エネルギーを利用して飛翔的液滴を形成し記録を行うインクジェット方式を一例として挙げ説明することとする。
【0029】
この熱エネルギーを利用して記録を行うインクジェット方式の代表的な構成や原理については、例えば、米国特許第4,723,129号明細書等に開示されている基本的な原理を用いて行うものが好ましい。この方式は、所謂オンデマンド型、コンティニュアス型の何れにも適用可能であるが、特に、オンデマンド型の場合には、インクが保持されているシートや液路に対応して配置されている電気熱変換体に、記録情報に対応していて核沸騰を越える急速な温度上昇を与える少なくとも一つの駆動信号を印加することによって、電気熱変換体に熱エネルギーを発生せしめ、記録ヘッドの熱作用面に膜沸騰を生じさせて、結果的に個の駆動信号に一対一で対応したインク内の気泡を形成できるので有効である。この気泡の成長、収縮により噴射用開口を介してインクを噴射させて、少なくとも一つの滴を形成する。尚、駆動信号をパルス形状とすると、即時、適切に気泡の成長収縮が行われるので、特に応答性の優れたインクの噴射が達成でき、より好ましい。
【0030】
(染料インクについて)
ところで、以上の説明においては、インクを液体として説明したが、この他にも、例えば室温においては固化するインクであって、室温より高温で軟化するもの、即ち、熱エネルギーによって初めて液化するインク等の使用も適用可能である。このようなインクは、特開昭54−56847号公報、或いは、特開昭60−71260号公報に開示されている。
【0031】
[インクジェット記録装置の構成]
次に、本発明に係るインクジェット記録装置の様々な実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0032】
(第一の実施形態)
図1に、当該第一の実施形態におけるインクジェット布帛捺染装置の概略構成を表す全体構成図を示す。
【0033】
同図において、元巻1から供給された布帛2は、駆動ローラー3及び排紙ローラー4に懸架された搬送ベルト27の回転移動によって、プリントヘッド9及びキャリッジ8の駆動と同期して矢印の方向に搬送される。駆動ローラー3及び排紙ローラー4は円筒形をなしており、軸方向(図1の紙面に垂直な方向)に布帛2の幅を越える長さを持った搬送ベルト27を懸架している。一方、搬送ベルト27は、駆動ローラー3の回転により駆動ローラー3及び排紙ローラー4の周りを回転移動する。尚、駆動ローラー3及び排紙ローラー4は何れも硬質のローラーにて構成される。また、搬送ベルト27は通常の金属ベルト、或いは、軟質の弾性材が被覆された金属ベルト等にて構成される。
【0034】
押さえローラー5は、布帛2を搬送ベルト27及びこれを懸架する駆動ローラー3側に押し付ける構成となっている。押さえローラー5も駆動ローラー3と同じ長さを有する円筒形のローラーであり、支持枠11により支持される。
【0035】
押さえローラー5による押圧力によって、駆動ローラー3の搬送力は搬送ベルト27を介して布帛2に的確に伝えられる。駆動ローラー3、排紙ローラー4、押さえローラー5及び搬送ベルト27による以上の構成は、本発明における「搬送手段」の一実施例である。
【0036】
布帛2は、押さえローラー5の上流において常に適度なたるみを有するようにして元巻1から巻ほどかれる。このたるみを設けることにより、搬送ベルト27による布帛2の搬送に対して元巻1が負荷にならないようにしている。これによって、駆動ローラー3は布帛2の垂下部の重量に打ち勝つ程度の力で搬送ベルト27を回転移動させればよく、布帛2に極力張力をかけずにこれを搬送することができる。これは布帛2に無用な変形を生じさせない意味でも好ましい。布帛2は、本発明における「記録媒体」の一実施例である。
【0037】
布帛2は、駆動ローラー3の回転速度、即ち、搬送ベルト27の回転移動速度に対応した搬送速度で搬送される。排紙ローラー4は、駆動ローラー3と共に搬送ベルト27を懸架し、駆動ローラー3と同じ速度で回転し、布帛2を搬送する。
【0038】
布帛2は、搬送ベルト27によってプリンタヘッド9の直下を搬送される。プリンタヘッド9は、搬送ベルト27の上方で布帛2と対向し、図示省略の制御手段によりキャリッジ8が駆動制御され、布帛2の幅方向(図1の紙面に垂直な方向)に沿って走査されつつインクを噴射することで、布帛2を捺染するようになっている。尚、プリンタヘッド9は、キャリッジ8により布帛2の全幅よりも大きな範囲にわたって走査されることで(或いは、布帛2の全副よりも大きな範囲にわたってインク噴射用のノズルを備えることで)、布帛2の全面に対して記録を行う、所謂、枠無しプリントを行うことが可能に構成されている。プリンタヘッド9は、本発明における「記録ヘッド」の一実施例である。
【0039】
押さえローラー5の外筒は、軟性の弾性材である多孔質体弾性材料6で構成される。
【0040】
この多孔質弾性体材料6の具体例としては、例えばスポンジの1つであるモルトプレン(MTP化成株式会社製)を挙げることができる。
【0041】
このように押さえローラー5の外筒を多孔質弾性体材料6で構成することで、布帛2を押さえローラー5の自重、或いは、図示省略の押圧機構により搬送ベルト27及び駆動ローラー3側に押圧した場合に、押さえローラー5の表面が柔軟に変形して、接触部全体を万遍なく押圧することができる。
【0042】
従って、布帛2が、例えば幅方向の両端部にいわゆる耳とよばれる厚みの厚い部分を有するものであったとしても、耳の部分も生地の部分も厚みの相違に関係なく均一に押圧することができる。また、布帛2が起毛等により全体の厚みが厚くなっているものであっても、多孔質弾性材料6の柔軟性により軸位置を調整することなくそのままで対応することができる。この結果、布帛2の搬送精度が格段に向上する。
【0043】
また、多孔質弾性体材料6を外筒に有する押さえローラー5の編重心により、駆動停止時に起きる駆動系ギアのバックラッシュ内での戻り動作を低減することができる。即ち、本装置においては、押さえローラー5の表面に設けた多孔質弾性体材料6が変形し、布帛2を駆動ローラー3に押圧するので、押さえローラー5の芯出し精度が多少悪くても押さえローラー5の押圧作用に影響を与えない。したがって駆動ローラー3に対する押さえローラー5の芯出し精度、すなわち駆動ローラー3の中心軸に対する押さえローラー5の中心軸の平行度は、硬質の(外筒が固い)押さえローラーを用いる従来の搬送系の場合に比べて大幅に緩和することができる。
【0044】
以上のような構成により、布帛2の幅方向において部分的な進み量の違いが生じることがなく、従って、布帛2に「こし」が無くても搬送中にシワがよるようなことはなく、また織り目(編み目)の変形によるつれが生じず、さらに搬送中に布帛2が幅方向の一方に寄る「より」を生じることもない。
【0045】
また、駆動ローラー3及び排紙ローラー4と、後述する洗浄機構25及び乾燥手段29は、支持枠11に取り付けられている。支持枠11は、例えば図示省略のレール上に搭載されており、操作者によって図1における左方向に引き出すことができるようになっている。
【0046】
尚、元巻1は図示省略の固定支持部に支持されており、また、押さえローラー5は支持部7に支持されているため、支持枠11を引き出しても元巻1と押さえローラー5は元の位置に留まる。
【0047】
布帛2を、当該装置にセットするときは、支持枠11を引き出した状態で、元巻1から布帛2を引き出して、これを搬送ベルト27に懸架することで行う。そして、正しくセットした後に支持枠11を元の位置に押し戻す。
【0048】
この際、布帛2は搬送ベルト27と押さえローラー5とに挟持される状態となる。また、このとき一旦引き出された布帛2がたるんで押さえローラー5の上流側に自然に適度のたるみが形成される。
【0049】
尚、押し戻された状態では支持枠11は図示省略のロック機構によって固定部にロックされ、押さえローラー5及びプリンタヘッド9との位置関係が正しく固定されるようになっている。
【0050】
さて、品質の良いインクジェット記録を行うためには、布帛2の表面はプリンタヘッド9のインク噴射面に対して常に一定の距離を保っていなければならない。この距離の許容誤差は、例えば布帛2の表面とプリンタヘッド9との距離を1.4mmとしたとき、±0.25mm程度である。
【0051】
特に、布帛2はインクを吹きつけるとインクを吸収して膨潤し、それによって表面が浮き上がり、布シワを生じるという現象が起こる。そこで、当該装置には、この発生した布シワの検出手段として距離を測定するセンサーを設けることとする。
【0052】
具体的には、このセンサーは、キャリッジ下部のプリンタヘッド9より上流部側の装備され、センサーと布帛表面との間隙幅を連続的に計測し、一定値以下の間隙幅を検知したときに、それを布シワと認識し、作業者への通知、或いは装置の搬送を自動的に停止するシステムを構成する。
【0053】
例えば、図2に示すように、キャリッジ8の下部で且つプリンタヘッド9に対して搬送方向の上流位置に三角測距法のセンサーを設置する。センサーは、赤外発光ダイオードよりなる赤外発光源12と、布帛2の表面から反射する赤外線を受光する赤外線受光部13により構成され、三角距離測量法に則りセンサー部と布帛2の表面との距離を計測し、その情報を判定した後、測定距離が規定値を超え、異常が発生すると液晶表示或いは警告ランプにより作業者に通達、或いは、自動的に搬送ベルト27による布帛2の搬送を停止するシステムを構成する。
【0054】
また、搬送ベルト27と布帛2とが剥離する地点の近傍には、プリントヘッド9から噴射され、布帛2を通過した過剰インク、或いは、枠無しプリントを実施した際に布帛2よりはみ出したインク等が付着した搬送ベルト27を洗浄する洗浄機構25が設けられている。
【0055】
プリンタヘッド9のインク噴射下にある搬送ベルト27は、布帛2の裏面から付着した過剰インクの転写により、或いは、プリント媒体として布帛2又は紙を用いて枠無しプリントを実施した場合に、これらからはみ出したインクの付着により表面が汚染され、その汚染インクの再転写により布帛2の品質低下を招くため、この汚染インクを除去する目的で、水または洗浄液を包浸した吸水性多孔質体、好ましくはスポンジよりなるブロック、ブラシ又はローラーを有する洗浄機構25を設ける。このスポンジよりなるブロック、ブラシ又はローラーを、常時、或いは一定時間間隔にて搬送ベルト27に押し当てることで、搬送ベルト27の表面を洗浄する。
【0056】
尚、洗浄液としては、特に制限はないが、水を主成分とし、これに水溶性有機溶剤等を混合したものがよい。水溶性有機溶剤としては、水との混合比率が無限大となるものが好ましく、例えば、ケトン類としては、アセトン、アセトニルアセトンなどが挙げられ、エーテル類としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エステル類としては、燐酸トリエチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、アルコール類としては、メチルアルコール、エチルアルコール、エーテルアルコール類としては、ジエチレングリコール、グリコールモノブチルエーテルなどが挙げられる。その他として、ホルムアミド、2−ピロリドンなどの窒素含有溶剤やスルホラン、1,3−プルパンスルホンなどの硫黄含有溶剤やアセトニトリルなどの溶剤を挙げることができるが、水に可溶な有機溶剤でありインクを溶解させることができれば、上記以外の溶剤を使用することができる。
【0057】
また、洗浄液には必要に応じて界面活性剤を入れることができる。使用できる界面活性剤としては、陽イオン性、陰イオン性、両性、非イオン性のいずれも用いることが出来る。陽イオン性界面活性剤としては、脂肪族アミン塩、脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩等が挙げられる。
【0058】
尚、洗浄機構25は、本発明における「洗浄手段」の一実施例である。
【0059】
洗浄機構25の近傍には、洗浄後の搬送ベルト27の表面を速やかに乾燥するために、後述する乾燥機構26が設けられる。このことが当該装置における特徴部分である。
【0060】
以下、当該装置の特徴部分である乾燥機構26周辺部の構成について説明する。乾燥機構26は、本発明における「加熱手段」の一実施例であって、当該装置における乾燥機構26は、記録後の布帛2を加熱することでインクの定着、即ち、乾燥を促進させるものとなっている。具体的には、伝熱線を内蔵した加熱ヒーターや、温風ドライヤーなどにより構成される。さらに、当該装置においては、この乾燥機構26を洗浄後の搬送ベルト27の近傍に設けることで、これを搬送ベルト27の表面を乾燥させる手段としても用いることに特徴がある。
【0061】
具体的には、乾燥機構26は、搬送ベルト27と布帛2の剥離する地点の近傍に設けられる洗浄機構25と隣り合う位置に設けられる。これにより、乾燥機構26によって、従来の通りに布帛2は乾燥されると共に、洗浄機構25により洗浄された後の搬送ベルト27の表面も乾燥されることとなる。
【0062】
このように、本実施形態におけるインクジェット記録装置においては、プリント媒体を加熱する手段として、従来より一般的に設けられている加熱機構26を、その位置調整を行うことのみをもって、プリント媒体を乾燥させると同時に、洗浄後の搬送ベルト27を乾燥させる手段としても用いることができるので、装置の大型化や消費電力の増加等の問題を生じさせることなく、インクの付着した搬送ベルト27の洗浄及び乾燥を行うことができ、これをもって、搬送ベルト27に付着したインクにより記録媒体が汚れることを防止して、良好なプリントを得ることができる。
【0063】
尚、本実施形態におけるインクジェット記録装置においては、乾燥機構26が記録後の布帛2を乾燥させる手段として排紙ローラー4側に設けられているものとしたが、乾燥機構26はこれに限らず、記録前に布帛2を加熱する手段として設けられる場合もあり、このような場合には、例えば、図3に示すように、駆動ローラー3側の対称位置、即ち、搬送ベルト27と布帛2の双方に近接する位置に設けても良い。
【0064】
また、本実施形態におけるインクジェット記録装置においては、布帛2の搬送手段が、駆動ローラー3、排紙ローラー4、及びこれらに懸架される搬送ベルト27等にて構成されるものとしたが、本発明における「搬送手段」としてはこれに限らず、例えば、図4に示すように、駆動ローラー3、排紙ローラー4及び印字テーブル10から構成されるものとしても良い。このような場合においては、乾燥機構26は、同図に示す位置に設けられることが好ましい。さらに、印字テーブル10を洗浄する洗浄手段と、この洗浄手段により洗浄された後の印字テーブルを乾燥させる乾燥手段を別途設けることにしても良い。
【0065】
さらに、本実施形態におけるインクジェット記録装置においては、プリント媒体として布帛が用いられる場合を主として説明したが、プリント媒体として紙を用いることも当然に可能であり、このような場合にも、同様の構成により布帛の場合と同様の効果を得ることができる。
【0066】
(第二の実施形態)
図5に、当該第二の実施形態におけるインクジェット布帛捺染装置の概略構成を表す全体構成図を示す。但し、以下においては、上述の第一の実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0067】
即ち、当該装置の特徴部分である乾燥機構26の周辺部の構成についてのみ説明する。乾燥機構26は、本発明における「加熱手段」の一実施例であって、当該装置における乾燥機構26は、記録後の布帛2を加熱することでインクの定着、即ち、乾燥を促進させるものものである。具体的には、伝熱線を内蔵した加熱ヒーターや、温風ドライヤーなどにより構成される。さらに、当該装置においては、この乾燥機構26と洗浄後の搬送ベルト27を同一の空間に隔離するための乾燥室28を設けることで、乾燥機構26を搬送ベルト27を乾燥させる手段としても用いることに特徴がある。当該装置においては、乾燥室28を設けることで、乾燥機構26からの熱を洗浄後の搬送ベルト27へ伝達することができるので、布帛2又は搬送ベルト27が乾燥機構26から離れた位置にある場合であっても、これを加熱乾燥することができ、布帛2、搬送ベルト27及び乾燥機構26等の配置に自由度を持たせることができる。尚、乾燥室28は、本発明における「乾燥室」の一実施例である。
【0068】
具体的には、乾燥機構26は、搬送ベルト27と布帛2の剥離する地点の近傍に設けられる洗浄機構25と隣り合う位置に設けられ、さらに、この乾燥機構26と洗浄機構25により洗浄された後の搬送ベルト27とを同一の空間内に閉じ込め、他の空間と隔離するための乾燥室27が設けられる。乾燥室27は、断熱素材或いは金属材料等により構成され、さらに、布帛2や搬送ベルト27が通過するための開口部が設けられている。尚、当該乾燥室27が金属材料等にて構成される場合には、その内面に断熱層が設けられることが好ましい。これにより、乾燥機構26によって、効率良く、従来の通りに布帛2は乾燥される同時に、洗浄機構25により洗浄された後の搬送ベルト27はその表面を乾燥されることとなる。
【0069】
このように、本実施形態におけるインクジェット記録装置においては、プリント媒体を加熱する手段として、従来より一般的に設けられている加熱機構26を、乾燥室27を設けることのみによって、プリント媒体を乾燥させると同時に、洗浄後の搬送ベルト27を乾燥させる手段としても用いることができるので、例えば加熱機構26の位置調整を伴わなくとも、前述した第一の実施形態と同様に、装置の大型化や消費電力の増加等の問題を生じさせることなく、インクの付着した搬送ベルト27の洗浄及び乾燥を行うことができ、これをもって、搬送ベルト27に付着したインクにより記録媒体が汚れることを防止して、良好なプリントを得ることができる。
【0070】
尚、本実施形態におけるインクジェット記録装置においては、乾燥機構26が記録後の布帛2を乾燥させる手段として排紙ローラー4側に設けられているものとしたが、乾燥機構26はこれに限らず、記録前に布帛2を加熱する手段として設けられる場合もあり、このような場合には、例えば図6に示すように、乾燥室27は、駆動ローラー3側の対称位置、即ち、搬送ベルト27と布帛2の双方に近接する位置に設けても良い。
【0071】
また、本実施形態におけるインクジェット記録装置においては、布帛2の搬送手段が、駆動ローラー3、排紙ローラー4、及びこれらに懸架される搬送ベルト27等にて構成されるものとしたが、本発明における「搬送手段」としてはこれに限らず、例えば、図7に示すように、駆動ローラー3、排紙ローラー4及び印字テーブル10から構成されるものとしても良い。このような場合においては、乾燥機構26及び乾燥室27は、各々、同図に示す位置に設けられることが好ましい。さらに、印字テーブル10を洗浄する洗浄手段と、この洗浄手段により洗浄された後の印字テーブルを乾燥させる乾燥手段を別途設けることにしても良い。
【0072】
さらに、本実施形態におけるインクジェット記録装置においては、プリント媒体として布帛が用いられる場合を主として説明したが、プリント媒体として紙を用いることも当然に可能であり、このような場合にも、同様の構成により布帛の場合と同様の効果を得ることができる。
【0073】
(第三の実施形態)
図8に、当該第三の実施形態におけるインクジェット布帛捺染装置の概略構成を表す全体構成図を示す。但し、以下においては、上述の第一及び第2の実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0074】
即ち、当該装置の特徴部分である乾燥機構26の周辺部の構成についてのみ説明する。乾燥機構26は、本発明における「加熱手段」の一実施例であって、当該装置における乾燥機構26は、記録後の布帛2を加熱することでインクの定着、即ち、乾燥を促進させるものものである。具体的には、伝熱線を内蔵した加熱ヒーターや、温風ドライヤーなどにより構成される。さらに、当該装置においては、この乾燥機構26が送風手段を持たない(例えば加熱ヒーター等)場合に、乾燥機構26による熱を洗浄後の搬送ベルト27に伝達させるための送風機構29を設けることで、或いは、この乾燥機構26が送風手段を有する(例えば温風ドライヤー等)場合に、その送風を洗浄後の搬送ベルト27に導くことで乾燥機構26を搬送ベルト27を乾燥させる手段としても用いることに特徴がある。当該装置においては、送風機構29を設けることで、或いは、この乾燥機構26が送風手段を有する(例えば温風ドライヤー等)場合に、その送風を洗浄後の搬送ベルト27に導くことで、布帛2又は搬送ベルト27が乾燥機構26から離れた位置にある場合であっても、これを加熱乾燥することができるので、布帛2、搬送ベルト27及び乾燥機構26等の配置に自由度を持たせることができる。尚、送風機構29は、本発明における「送風手段」の一実施例である。
【0075】
例えば、乾燥機構26が送風手段を持たない加熱ヒーター等により構成される場合には、図8に示すように、更に送風機構29を設けて、乾燥機構26による熱を洗浄後の搬送ベルト27にも伝達させるようにする。尚、この送風機構29により乾燥機構26による熱を効率良く搬送ベルト27へ導くために導風板30等が設けられることが好ましい。これにより、乾燥機構26によって、従来の通りに布帛2は乾燥されると共に、洗浄機構25により洗浄された後の搬送ベルト27はその表面を乾燥されることとなる。
【0076】
また、乾燥機構26が送風手段を有する温風ドライヤー等により構成される場合には、図9に示すように、乾燥機構26による送風が布帛2及び洗浄後の搬送ベルト27に当たるように位置調整され、さらに、この乾燥機構26による送風を効率良く布帛2及び搬送ベルト27へ導くために導風板30等が設けられることが好ましい。これにより、乾燥機構26によって、従来の通りに布帛2は乾燥されると共に、洗浄機構25により洗浄された後の搬送ベルト27はその表面を乾燥されることとなる。
【0077】
このように、本実施形態におけるインクジェット記録装置においては、プリント媒体を加熱する手段として、従来より一般的に設けられている加熱機構26を、送風機構29や導風板30のみを設けることによって、プリント媒体を乾燥させると同時に、洗浄後の搬送ベルト27を乾燥させる手段としても用いることができるので、例えば加熱機構26の位置調整を伴わなくとも、前述した第一の実施形態と同様に、装置の大型化や消費電力の増加等の問題を生じさせることなく、インクの付着した搬送ベルト27の洗浄及び乾燥を行うことができ、これをもって、搬送ベルト27に付着したインクにより記録媒体が汚れることを防止して、良好なプリントを得ることができる。
【0078】
尚、本実施形態におけるインクジェット記録装置においては、乾燥機構26が記録後の布帛2を乾燥させる手段として排紙ローラー4側に設けられているものとしたが、乾燥機構26はこれに限らず、記録前に布帛2を加熱する手段として設けられる場合もあり、このような場合には、例えば図10及び図11に示すように、乾燥機構26及び導風板30は、駆動ローラー3側の対称位置、即ち、搬送ベルト27と布帛2の双方に近接する位置に設けても良い。
【0079】
また、本実施形態におけるインクジェット記録装置においては、布帛2の搬送手段が、駆動ローラー3、排紙ローラー4、及びこれらに懸架される搬送ベルト27等にて構成されるものとしたが、本発明における「搬送手段」としてはこれに限らず、例えば、図12及び図13に示すように、駆動ローラー3、排紙ローラー4及び印字テーブル10から構成されるものとしても良い。このような場合においては、乾燥機構26、送風機構29及び導風板30は、各々、同図に示す位置に設けられることが好ましい。さらに、印字テーブル10を洗浄する洗浄手段と、この洗浄手段により洗浄された後の印字テーブルを乾燥させる乾燥手段を別途設けることにしても良い。
【0080】
さらに、本実施形態におけるインクジェット記録装置においては、プリント媒体として布帛が用いられる場合を主として説明したが、プリント媒体として紙を用いることも当然に可能であり、このような場合にも、同様の構成により布帛の場合と同様の効果を得ることができる。
【0081】
尚、本発明に係るインクジェット記録装置は、これら第一乃至第三の実施形態に記載されるものに限定されず、例えば、洗浄機構25、加熱機構26の具体的な構成、設置位置及び設置個数、導風板30の設置の有無等に関しては、他の形態を採るものであっても良い。また、前述のように、搬送手段が、例えば駆動ローラー、排紙ローラー及び印字テーブル等から構成されるものにおいては、印字テーブル10を洗浄する洗浄手段と、この洗浄手段により洗浄された後の印字テーブルを乾燥させる乾燥手段を別途設けることにしても良い。
【0082】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明に係るインクジェット記録装置によれば、プリント媒体を加熱する手段として、従来より一般的に設けられている加熱手段を、洗浄後の搬送手段を乾燥させる手段としても用いることで、装置の大型化や消費電力の増加等の問題を生じさせることなく、インクの付着した搬送手段の洗浄及び乾燥を行うことができ、搬送手段に付着したインクにより記録媒体が汚れることを防止して、良好なプリントを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るインクジェット記録装置の一実施形態における概略構成を示す全体構成図である。
【図2】図1に示すインクジェット記録装置のキャリッジに、布帛のしわを検出するセンサーが設けられた場合の概略構成を示す側面図である。
【図3】図1に示すインクジェット記録装置の他例、加熱機構がプリントヘッドより上流側に設けられた場合の概略構成を示す全体構成図である。
【図4】図1に示すインクジェット記録装置の他例、搬送ベルトが印字テーブルに置換された場合の概略構成を示す全体構成図である。
【図5】図1に示すインクジェット記録装置の他例、加熱機構と洗浄後の搬送ベルトを同一の空間に隔離する乾燥室が設けられた場合の概略構成を示す全体構成図である。
【図6】図5に示すインクジェット記録装置の他例、加熱機構と洗浄後の搬送ベルトを同一の空間に隔離する乾燥室がプリントヘッドより上流側に設けられた場合の概略構成を示す全体構成図である。
【図7】図5に示すインクジェット記録装置の他例、搬送ベルトが印字テーブルに置換された場合の概略構成を示す全体構成図である。
【図8】図1に示すインクジェット記録装置の他例、加熱機構の他に送風機構及び導風板が設けられた場合の概略構成を示す全体構成図である。
【図9】図8に示すインクジェット記録装置の他例、加熱機構の他に導風板が設けられた場合の概略構成を示す全体構成図である。
【図10】図8に示すインクジェット記録装置の他例、加熱機構がプリントヘッドより上流側に設けられた場合の概略構成を示す全体構成図である。
【図11】図9に示すインクジェット記録装置の他例、加熱機構がプリントヘッドより上流側に設けられた場合の概略構成を示す全体構成図である。
【図12】図8に示すインクジェット記録装置の他例、搬送ベルトが印字テーブルに置換された場合の概略構成を示す全体構成図である。
【図13】図9に示すインクジェット記録装置の他例、搬送ベルトが印字テーブルに置換された場合の全体構成を示す概略図である。
【符号の説明】
1 元巻
2 布帛
3 駆動ローラー
4 排紙ローラー
5 押さえローラー
6 多孔質弾性体材料
7 支持部
8 キャリッジ
9 プリンタヘッド
10 印字テーブル
11 支持枠
12 赤外発光源
13 赤外線受光部
25 洗浄機構
26 乾燥機構
27 搬送ベルト
28 乾燥室
29 送風機構
30 導風板
Claims (7)
- 記録媒体を搬送する搬送手段と、
前記搬送手段により搬送された前記記録媒体にインクを噴射して記録を行う記録ヘッドと、
前記記録ヘッドから噴射され、前記搬送手段に付着したインクを洗浄するための洗浄手段と、
を含み構成されるインクジェット記録装置であって、
前記記録媒体と、前記搬送手段の前記洗浄手段により洗浄された部分とを共に乾燥させる1つの加熱手段を設けたことを特徴とするインクジェット記録装置。 - 記録媒体を搬送する搬送手段と、
前記搬送手段により搬送された前記記録媒体にインクを噴射して記録を行う記録ヘッドと、
前記記録ヘッドから噴射され、前記搬送手段に付着したインクを洗浄するための洗浄手段と、
前記記録媒体を加熱するための加熱手段と、
を含み構成されるインクジェット記録装置であって、
前記加熱手段を、前記搬送手段の前記洗浄手段により洗浄された部分の近傍に設けて、前記記録媒体及び前記搬送手段の前記洗浄手段により洗浄された部分を同時に乾燥させることを特徴とするインクジェット記録装置。 - 記録媒体を搬送する搬送手段と、
前記搬送手段により搬送された前記記録媒体にインクを噴射して記録を行う記録ヘッドと、
前記記録ヘッドから噴射され、前記搬送手段に付着したインクを洗浄するための洗浄手段と、
前記記録媒体を加熱するための加熱手段と、
を含み構成されるインクジェット記録装置であって、
前記加熱手段と前記記録媒体及び前記搬送手段の前記洗浄手段により洗浄された部分とを覆う乾燥室を設けて、前記記録媒体及び前記搬送手段の前記洗浄手段により洗浄された部分を同時に乾燥させることを特徴とするインクジェット記録装置。 - 記録媒体を搬送する搬送手段と、
前記搬送手段により搬送された前記記録媒体にインクを噴射して記録を行う記録ヘッドと、
前記記録ヘッドから噴射され、前記搬送手段に付着したインクを洗浄するための洗浄手段と、
前記記録媒体を加熱するための加熱手段と、
を含み構成されるインクジェット記録装置であって、
前記加熱手段による熱の一部を、前記搬送手段の前記洗浄手段により洗浄された部分へ伝達し乾燥させるための送風手段を設けたことを特徴とするインクジェット記録装置。 - 前記記録ヘッドは、前記記録媒体に対して枠無しプリントを行うことが可能に構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載のインクジェット記録装置。
- 前記加熱手段は、前記記録ヘッドにより記録された後の前記記録媒体を加熱するための手段であることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか一項に記載のインクジェット記録装置。
- 前記記録媒体は、布帛であることを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか一項に記載のインクジェット記録装置。
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