JP2004047731A - コイル部品およびその製造方法、並びに、電源装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】自己共振周波数frが高いコイル部品の小型化は難しい。
【解決手段】電線を巻回しながら折り返して複数層の巻線13を形成し、隣接する二つの層において対向する電線の、ターン数差(電位差)が小さい部分よりも大きい部分に絶縁層16を配置する。
【選択図】 図3
【解決手段】電線を巻回しながら折り返して複数層の巻線13を形成し、隣接する二つの層において対向する電線の、ターン数差(電位差)が小さい部分よりも大きい部分に絶縁層16を配置する。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はコイル部品およびその製造方法、並びに、電源装置に関し、例えば、高周波数のスイッチング電源装置に好適なコイル部品、並びに、そのコイル部品を利用する電源装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電源や各種電子機器に数多く用いられているコイルやトランスなどのコイル部品は、その小型化や高周波化が望まれている。
【0003】
図1はEEコアを用いたトランス100の外観図、図2はトランス100の断面図である。
【0004】
トランス100は、磁気コア101、磁気コア101に適したボビン102、ボビン102の巻枠の内側に巻かれた巻線103、巻線103に重ねて巻かれた巻線104、並びに、巻線103と104の間に絶縁材を巻いた層間絶縁層105から構成される。
【0005】
図2において、各ターンの導体断面を示す記号○内に示す数字は、ターン数を示し、巻線103の各層は4ターンで折り返し、継続して上層を巻回し、四層構造になっている。このように、ボビン102の限られた巻枠内に電線を巻回するため、ターン数が大きい巻線103は複数層(図2では四層)に巻回され、巻線同士が近接する個所が多い。コイル部品全般に言えることだが、巻線同士が近接する個所が増えると漂遊キャパシタンスCsが増大し、コイル部品の自己共振周波数frが低下する。
【0006】
自己共振周波数frの低下を防ぐ技術として、特開平9−063850号公報には、巻線を単層で巻回し、かつ、すべての巻線導体間に隙間を設けて、漂遊キャパシタンスCsを小さくする技術が開示されている。また、特開平9−129458号公報には、巻線の各ターンを異なる巻径にし、かつ、異なる平面に巻線導体を配置して、漂遊キャパシタンスCsを小さくする技術が開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
スイッチング電源は、電力変換用のトランスやインダクタ、あるいは、フィルタ用のコイル部品を備えるので、スイッチング電源を高周波化するにはコイル部品の自己共振周波数frを高くする必要がある。しかし、特開平9−063850号公報に開示された自己共振周波数frの低下を防ぐ技術は、巻線の巻回幅が大きくなり、コイル部品の小型化が難しい。また、特開平9−129458号公報に開示された技術は、巻線の巻回幅および高さが大きくなり、やはり、コイル部品の小型化が難しい。
【0008】
従って、スイッチング電源を高周波化しようとする場合、コイル部品の自己共振周波数frを高めるために上記のようにコイル部品が大型化し、スイッチング電源の高周波化と小型化とを両立させることは難しい。
【0009】
本発明は、上述の問題を個々にまたはまとめて解決するためのもので、コイル部品の自己共振周波数frを高めることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記の目的を達成する一手段として、以下の構成を備える。
【0011】
本発明にかかるコイル部品は、電線を巻回しながら折り返して複数層に形成された巻線と、隣接する二つの層それぞれの間の少なくとも一部に配置された絶縁層とを有し、前記絶縁層の誘電率は、前記二つの層において対向する電線の、ターン数差が小さい部分よりも大きい部分の方が低いことを特徴とする。
【0012】
また、電線を巻回しながら折り返して複数層に形成された巻線と、隣接する二つの層それぞれの間の少なくとも一部に配置された絶縁層とを有し、前記絶縁層の厚さは、前記二つの層において対向する電線の、ターン数差が小さい部分よりも大きい部分の方が厚いことを特徴とする。
【0013】
また、螺旋状に形成され積層された複数の導体と、隣接する二つの導体それぞれの間の少なくとも一部に配置された絶縁層とを有し、前記絶縁層の誘電率は、前記二つの導体において対向する電線の、ターン数差が小さい部分よりも大きい部分の方が低いことを特徴とする。
【0014】
また、螺旋状に形成され積層された複数の導体と、隣接する二つの導体それぞれの間の少なくとも一部に配置された絶縁層とを有し、前記絶縁層の厚さは、前記二つの導体において対向する電線の、ターン数差が小さい部分よりも大きい部分の方が厚いことを特徴とする。
【0015】
本発明にかかる製造方法は、電線を巻回しながら折り返して複数層の巻線を形成し、隣接する二つの層それぞれの間の少なくとも一部に絶縁層を配置し、前記絶縁層の誘電率を、前記二つの層において対向する電線の、ターン数差が小さい部分よりも大きい部分の方を低くすることを特徴とする。
【0016】
また、電線を巻回しながら折り返して複数層の巻線を形成し、隣接する二つの層それぞれの間の少なくとも一部に絶縁層を配置し、前記絶縁層の厚さを、前記二つの層において対向する電線の、ターン数差が小さい部分よりも大きい部分の方を厚くすることを特徴とする。
【0017】
また、螺旋状の複数の導体を形成し、隣接する二つの導体それぞれの間の少なくとも一部に絶縁層を配置しながら、前記複数の導体を積層し、前記複数の導体を電気的に直列接続し、前記絶縁層の誘電率を、前記二つの導体において対向する電線の、ターン数差が小さい部分よりも大きい部分の方を低くすることを特徴とする。
【0018】
また、螺旋状の複数の導体を形成し、隣接する二つの導体それぞれの間の少なくとも一部に絶縁層を配置しながら、前記複数の導体を積層し、前記複数の導体を電気的に直列接続し、前記絶縁層の厚さを、前記二つの導体において対向する電線の、ターン数差が小さい部分よりも大きい部分の方が厚くすることを特徴とする。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明にかかる実施形態のコイル部品について図面を参照して詳細に説明する。
【0020】
[概要]
コイル用の導体を複数回巻いて巻線層を形成し、巻線を折り返して、形成した巻線層の上に次の巻線層を重ねて形成し、各巻線層の間に絶縁層を有するコイル部品の場合、巻線の折り返し側の一端と、巻線の開始および終了側の他端とでは、コイル部品の漂遊キャパシタンスCsへの影響の度合いが異なり、他端側ほど影響が大きい。
【0021】
そこで、漂遊キャパシタンスCsへの影響の度合いが比較的大きい巻線の開始および終了側で、漂遊キャパシタンスCsを小さくするように巻線(または巻線層)を形成することで、コイル部品全体の漂遊キャパシタンスCsを効果的に低減するとともに、漂遊キャパシタンスCsへの影響の度合いが比較的小さい巻線の折り返し側では巻線を従来のよう形成することで、コイル部品の大型化を最小限に留めることにした。
【0022】
このような巻線の形成方法により、コイル部品の漂遊キャパシタンスCsを低減し、自己共振周波数frを高めた、小型のコイル部品を得ることができる。
【0023】
具体的には、巻線層の間の電位差(言い換えれば巻線のターン番号の差)が大きい巻線の開始および終了側の絶縁層を、巻線層の間の電位差(言い換えれば巻線のターン番号の差)が小さい巻線の折り返し側の絶縁層よりも厚くすることで、漂遊キャパシタンスCsを効果的に低減する。または、巻線の開始および終了側の絶縁層を、巻線の折り返し側の絶縁層よりも低誘電率の絶縁材料で形成することで、漂遊キャパシタンスCsを効果的に低減する。さらに、巻線の開始および終了側の絶縁層に空隙(比誘電率ε≒1)を設けることで、漂遊キャパシタンスCsを効果的に低減する。
【0024】
[構成]
図3は実施形態のコイル部品であるトランス10の断面図である。
【0025】
トランス10は、磁気コア11、磁気コア11に適したボビン12、ボビン12の巻枠の内側に巻かれた巻線13、巻線13に重ねて巻かれた巻線14、巻線13と14の間に絶縁テープや絶縁フィルムなどの絶縁材を巻いた層間絶縁層15、並びに、巻線13の各層の間に適宜選択的に配置される絶縁層(以下「線間絶縁層」と呼ぶ)16から構成される。
【0026】
● 磁気コア
磁気コア11は、その特性は特に限定されないが、使用温度、所望する形状を作製し易い、コア損などから、Mn−Zn系やNi−Zn系のフェライトコアが好ましく、なかでも飽和磁束密度、透磁率が大きい材料が好ましい。また、用途に応じて、アモルファスコアやナノ結晶合金コアなどを用いることもできる。また、本実施形態をコモンモードノイズフィルタ用のチョークコイルや、ノーマルモードノイズフィルタ用のチョークコイルなどのインダクタに適用する際も、その材料の特性は特に限定されず、インダクタの用途に応じて適宜選択することができる。勿論、空芯コイルを構成する場合は磁気コア11は不要である。
【0027】
また、図3に示すボビン12を備える構成では、ボビン12に磁気コア11を挿入する孔(図4に符号34で示す)を設けることが好ましく、その孔に磁気コア11を挿入して磁路を形成する。孔の断面形状は、四角、楕円、円形など、挿入する磁気コア11の脚31の断面形状に応じた形状にする。
【0028】
磁気コア11の形状は、例えば図4に示すように、ボビン12の孔34に差し込まれる主磁脚31と、ボビン12の周りに配置される側磁脚32と、主磁脚31と側磁脚32を結ぶ橋絡部33を有する分割形状であることが好ましい。例えば、JIS C 2514「E形フェライト磁心」に記載されているようなEE形、EI形、EER形、EIR形など形状、あるいは、JIS C 2516「ポット形フェライト磁心」に記載されているようなPP形、RM形、EP形などの形状を用いることができる。また、TDK株式会社製のフェライトコアのEEM形、LP形、PQ形、EPC形などの形状も適宜用いることができる。
【0029】
● 巻線
巻線13および14に使用するマグネットワイアにとくに限定はなく、トランス10の使用条件および作成条件に合った耐熱性、可撓性、耐油性、はんだ付け性、絶縁耐久性および作業性などの性能を有するものであればよい。
【0030】
具体的にはJIS C 3202「エナメル線」に挙げられているような1種油性エナメル銅線、2種油性エナメル銅線、0種ホルマール銅線、1種ホルマール銅線、2種ホルマール銅線、0種ホルマールアルミニウム線、1種ホルマールアルミニウム線、ホルマール平角銅線、0種ポリエステル銅線、1種ポリエステル銅線、2種ポリエステル銅線、1種ポリウレタン銅線、2種ポリウレタン銅線、3種ポリウレタン銅線、0種融着性ポリウレタン銅線、1種融着性ポリウレタン銅線、2種融着性ポリウレタン銅線、0種ポリエステルイミド銅線、1種ポリエステルイミド銅線または2種ポリエステルイミド銅線が使用できる。
【0031】
なお、巻線13および/または14として、スペース効率が高い平角線を適宜使用すれば、トランス10を小型化することができる。また、巻線13および/または14として、上記「エナメル線」に挙げられた線材を複数本、撚り合わせた、所謂リッツ線を用いれば、表皮効果による損失を低減することができる。また、巻線13および/または14として、上記「エナメル線」に挙げられた線材を複数本、平行に一体化した多本平行エナメル線なども使用することができる。
【0032】
また、三層の絶縁被覆を有する線材を使用すれば、巻線13と巻線14との間の層間絶縁層15を省略または簡略化することができ、トランス10の小型化およびその製造工程の簡略化が期待される。
【0033】
また、巻線13および14として、プリント基板に形成した導体パターンを利用することもできる。プリント基板としてFR−4やCEM 3など通常の基板の他に、可撓性を有するフィルム状の基板なども使用でき、その種類はとくに制限されない。
【0034】
● 絶縁層
層間絶縁層15および線間絶縁層16に使用する絶縁材料は低誘電率のものが好ましいが、他の特性はとくに限定されず、トランスの使用条件および作成条件に合った絶縁性、耐熱性、引張強度、柔軟性、弾性、耐薬品性および作業性などの性能を有するものであればよい。
【0035】
具体的には、ポリエステルフィルム、ポリイミドフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリフェニレンサルファイドフィルムなどのフィルムや、エポキシ含浸不織布、エポキシ含浸エポキシ不織布などのプリプレグや、これらを支持体として粘着剤を付与したテープなどが使用できる。また、これらを組み合わせたものも使用できる。
【0036】
線間絶縁層15の一部あるいは全体に空隙を用いることは、空隙の比誘電率はおよそ1と極めて小さいことから好ましい。ただし、この場合、空隙の使用箇所で必要な絶縁性が確保されるように配慮する必要がある。また、発泡体のように内部に多数の空孔を有する低誘電率の材料を使用することもできる。また、巻線13をプリント基板で形成する場合は、線間絶縁層16をプリント基板内で一体的に形成することもできる。
【0037】
なお、理論的には傾斜した誘電率、つまり、線間絶縁層の誘電率が、巻線の巻き始め側と巻き終わり側とで連続的に変化するような絶縁層でもよい。その場合、線間の電位差が大きい側の誘電率が小さくなるように絶縁層を配置する。
【0038】
以下では、図3に示した構成のトランス10の詳細を実施例として説明する。なお、各実施例に示すトランス10は、巻線13の各層の間に挿入される線間絶縁層16の構成が特徴である。
【0039】
【実施例1】
図5は実施例1のトランス10の巻線13の拡大断面図である。
【0040】
巻線13は、電線の断面を示す記号「○」の内部に記されたターン番号の順に巻回されている。すなわち、ターン1から4の巻回で一層を形成し、電線を折り返してターン5から8を次層に巻回する。そして、巻回および折り返しを繰り返して、ターン1から16を四層に巻回した巻線13を形成する。
【0041】
この巻線の際に、線間絶縁層16を図5に示すように挿入する。すなわち、図5に示す例では、巻線13の各層を2ターンずつ左右に分けて「巻き始め」および「巻き終わり」と呼ぶ場合、各層の巻き始めと、一つ上の層の巻き終わりとの間(層間および線間の電位差が比較的大きい)に線間絶縁層16を配置する。一方、各層の巻き終わりと、一つ上の層の巻き始めとの間(層間および線間の電位差が比較的小さい)には線間絶縁層16を配置しない。言い換えれば、隣接する巻線13の導体間で、ターン番号の差(以下「ターン番号差」と呼ぶ)の大きい部分(図5の例ではターン番号差≧5)には線間絶縁層16を設け、ターン番号差が小さい部分(図5の例ではターン番号差 < 4)には線間絶縁層16を設けない。
【0042】
層間および線間のキャパシタンスが同じであれば、そこに加わる電位差(電圧)が大きいほど、そのキャパシタンスに蓄積される電荷量が増え、その結果、部品の漂遊キャパシタンスCsは増大する。そこで、層間および線間の電位差が大きい部分に選択的に低誘電率の線間絶縁層16を挿入して層間および線間を拡げることで、層間および線間のキャパシタンスを低減し、このキャパシタンスに蓄積される電荷量を減少させる。従って、漂遊キャパシタンスCsを低減して、トランス10の自己共振周波数frを高めることができる。
【0043】
さらに、線間絶縁層16として、図6に示すような、絶縁材17の一部をくり抜いたスリット18を設けたものを用いると、絶縁材17の比誘電率がε=3前後に比べて、空気の比誘電率がε≒1とかなり小さいので、絶縁層16の実効的な比誘電率が低減されて、さらに漂遊キャパシタンスCsを低減することができる。勿論、スリット18が絶縁材17の面積に占める割合を高めれば、漂遊キャパシタンスCsをさらに低減することができる。なお、スリット18は、線間距離を均一に保つために、巻線13の巻回方向に直交する方向に設けることが望ましい。巻回方向と垂直にスリットを設ければ、巻線13の巻回時、巻線が横にずれることもなく、絶縁材17の位置合わせに特別な配慮も不要で、トランス10を作成し易い。
【0044】
また、図5に示すように、線間絶縁層16を巻線13の各層間に配置する場合や、トランスを高耐電圧化する際にすべての線間(上下左右)に線間絶縁層を配置する場合に比べて、耐電圧を下げずに、線間絶縁層16の挿入による巻線13の肥大化を抑えることができ、トランス10の大型化を抑えることができる。
【0045】
さらに、ターン番号差(電位差)に応じて、線間絶縁層16の厚さを段階的に制御してもよい。例えば、図5に示す巻線13に電圧Vが加わるとすると、1ターン当りの電位差はV/16になる。従って、ターン番号1とターン番号8との間の電位差E1−8=7/16・V、ターン番号2とターン番号7との間の電位差E2−7=5/16・Vであるから、ターン番号1とターン番号8との間の層間絶縁層16の厚さt1−8と、ターン番号2とターン番号7との間の層間絶縁層16の厚さt2−7との関係をt1−8:t2−7=7:5にすれば、電位差に応じた厚さにすることができる。こうすれば、より効果的に漂遊キャパシタンスCsを低減しつつ、巻線13の肥大化を抑えることができる。
【0046】
図7は、上記の電位差に応じた厚さの線間絶縁層16を形成する方法を、電位差が最小の線間を除いて適用した例を示す図である。この場合、各線間絶縁層16の厚さの関係は下式で示される。
t1−8:t2−7:t3−6 = 7:5:3
【0047】
図7に示すような、線間絶縁層16の厚さの制御は、図8に示すように、同じ厚さの絶縁材(ただし、幅は異なる)を線間絶縁層16の厚さの比に応じて巻回することで容易に実現される。また、図9に示すように、厚さの異なる絶縁材(ただし、幅は同じ)を巻回してもよい。
【0048】
図10および図11は、図8および図9に示す線間絶縁層16に使用する絶縁材17の一例を示す図である。図10および図11に示すように絶縁材17にスリット18を設ければより漂遊キャパシタンスCsを低減することができる。なお、スリット18を設けた絶縁材17を複数層に重ねる場合は、スリット18の位置をずらして巻回し、全部または多くの線間に、少なくとも一つのスリット18が挟まれるように構成することが好ましい。
【0049】
図12は線間絶縁層16の厚さを連続的に変化させた例を示す図である。このようにすれば、巻線13の高さが均等になり、巻線13の外側に巻線14を巻回する場合など、作業性が向上する。
【0050】
巻線13の高さが均等にする方法としては、図12に限らず、図13や図14の方法を採用することもできる。
【0051】
さらに、巻線13用の電線として、三層絶縁電線のような、絶縁性能が高い絶縁被覆をもつ電線を用いれば、線間絶縁層16に空隙を設ける場合に、その絶縁層の厚さの自由度が高まるメリットがある。
【0052】
【実施例2】
特殊な巻線方法を採用して、図15の断面拡大図に示すような、図5に示す巻線構造と縦横が入れ替わった巻線を行う場合は、図16に示すリング状の絶縁材17aおよび17bを線間絶縁層16aおよび16bに利用する。
【0053】
図16は磁気コア11の主磁脚31が円柱形状の場合を示すが、主磁脚31が角柱形状であれば絶縁材17aおよび17bも矩形にすればよい。また、図16はスリット18を有する絶縁材17aおよび17bを示すが、漂遊キャパシタンスCsの低減効果は減るがスリット18はなくてもよい。また、図16に符号17cで示す破線の位置でリングを切断しておけば、図4に示すような鍔をもつボビン12を使用する場合も絶縁材17aおよび17bを容易に巻線13に組み込むことができる。
【0054】
【実施例3】
融着性電線を使用して、図17の断面拡大図に示すような巻線13を形成することもできる。この場合、融着性電線を使用して、実施例1と同様に巻線13を巻回するが、線間絶縁層16の部分には融着性電線と接着し難い、例えば弗素系樹脂のスペーサを挿入して巻線13の巻回する。その後、加熱処理によって融着性電線同士を融着させた後、スペーサを巻線13から除去する。
【0055】
この場合、線間絶縁層16がすべて空隙で構成されるので、実施例1に比べて、線間絶縁層16の比誘電率はさらに低減されてほぼε≒1になり、漂遊キャパシタンスCsをさらに低減することができ、自己共振周波数frを高めることができる。
【0056】
また、融着性電線で巻線を形成すれば、所謂ボビンレスコイルを作ることができ、巻線形状の自由度が高まり、トランス10の設計自由度が高くなるメリットもある。
【0057】
なお、このような空隙を有する巻線13の外側に巻線14を巻回する場合、巻線14を巻回する際に巻線13に加わる力によって、巻線13内に形成した空隙は潰れる可能性が高い。空隙が潰れないように巻線14を巻回する力を調整してもよいが、より確実には、巻線14をボビンレスコイルとして別途形成して、巻線13および14を組み合わせる、スペーサを除去する前に巻線14も巻回する、などが必要である。
【0058】
【実施例4】
図18は実施例4のトランス21の構成を示す断面図で、巻線として機能するプリント基板23、融着性電線を使用して作成したボビンレスコイルの巻線24、磁気コア22を備える。
【0059】
図19はプリント基板23の部分拡大断面図である。プリント基板23は多層プリント基板で、巻線として機能する導体25および絶縁層26から構成される。
【0060】
導体25は、その内部に記すターン番号の順に螺旋状に形成されていて、多層プリント基板の第一の導体層にはターン番号1から4に対応する導体25が、続くターン番号5および6に対応する導体25は第二の導体層に、…、ターン番号15および16に対応する導体25は第六の導体層にそれぞれ螺旋状に形成されている。なお、螺旋状に形成した導体25の両終端部にはスルーホールが形成され、巻線を構成するように、各導体層の導体25が電気的に接続される。
【0061】
そして、実施例1と同様に、ターン番号差(電位差)が大きい線間、ターン番号1および2の導体25と、ターン番号7および8の導体25との間の絶縁層26が厚くなるように、ターン番号7および8は第三の導体層に形成する。同様に、ターン番号5および6の導体25と、ターン番号11および12の導体25との間の絶縁層26を厚くするために、第二の導体層に形成されたターン番号5および6の導体25に対して、ターン番号11および12の導体25は第四の導体層に形成する。同様に、ターン番号9および10の導体25と、ターン番号15および16の導体25との間の絶縁層26を厚くするために、ターン番号9および10の導体25は第四の導体層に、ターン番号15および16の導体25は第六の導体層にそれぞれ形成する。
【0062】
多層基板の導体層の変更を螺旋状の導体25の終端部で行い、ターン番号差が大きい部分を選んで、つまり螺旋状の導体25の中間部で導体層を変更する。従って、1ターンごとに導体層を変更する場合に比べれば導体層の数を低減することができ、トランス21の肥大化を抑制することができる。
【0063】
また、巻線を多層基板の導体層で形成するので、線材および絶縁材を巻回する場合に比べて、線間の距離を正確に制御し、かつ、安定に保つことができ、より安定した特性が得られる。なお、従来の多層プリント基板の製造方法により、螺旋状の導体25を形成した導体層および絶縁層26を積層して巻線を形成することができる。
【0064】
勿論、多層プリント基板は、巻線のほか、他の回路部分の配線にも利用することができ、プリント基板上で巻線と回路部分との接続を行うことができ、作業性を向上させることができる。逆に、巻線用のプリント基板と、他の回路部分用のプリント基板とを独立させれば、それぞれ導体厚、絶縁材料、導体層数を任意に、最適に設定することができる。
【0065】
さらに、巻線24もプリント基板23内または上に形成することができ、さらに、作業性を向上することができる。
【0066】
【実施例5】
図20は実施例5のプリント基板23の部分拡大断面図である。なお、プリント基板23が組み込まれるトランス21の構成は図18と同じである。
【0067】
実施例5のプリント基板23は、螺旋状の導体25を四つの導体層で形成し、ターン番号(電位差)が大きい部分に空隙27(または低誘電率の絶縁材料)を設けたものである。
【0068】
図21は導体25および絶縁層26の積層方法を説明する図である。
【0069】
第一の導体層として形成した螺旋状の導体25aの下に、図21に示す形状の絶縁層26aを積層し、その下に、第二の導体層として形成した螺旋状の導体25bを積層し、…、最下部に第四の導体層として形成した螺旋状の導体25dを積層する。各絶縁層26a〜26cは、上下の導体25を支持する絶縁材を図21に示す形状にすることで、導体25および絶縁層26を積層後、空隙27が構成されるようにする。
【0070】
このような構成によれば、ターン番号(電位差)が大きい部分の絶縁材の誘電率を下げるとともに、螺旋状の導体25を四つの導体層で形成することができ、実施例4のトランス21よりも小型、低コストのトランスを形成することが可能になる。さらに、スルーホールの数を減らしてコストを下げ、損失(銅損)を減らし、信頼性を高めることができる。
【0071】
また、絶縁層26に形成した支持部によって空隙27の距離を制御し、かつ、保持することができるから、線間の距離を正確に制御し、かつ、安定に保つことができ、より安定した特性が得られる。
【0072】
さらに、空隙27および絶縁層26の支持部を、図21に示すように、螺旋の巻回方向に平行させずに直交する方向に形成することで、導体25と絶縁層26の精密な位置合わせが不要になり、生産性が向上する。
【0073】
このほか、図22に一例を示すように、実施例4と、実施例5とを組み合わせた構成のプリント基板23を形成することもできる。
【0074】
なお、プリント基板の材料としては、エポキシ樹脂基板のようなリジッドな基板のほかに、ポリエステルやポリイミド基板のような可撓性を有するフィルム状の基板を用いてもよい。
【0075】
なお、上記では、スイッチング電源の電力変換用トランスを想定して実施例を説明したが、同様の構成をインダクタなどのコイル部品に適用することができ、スイッチング周波数を高めた場合に変換効率の低下を抑えて、スイッチング電源装置の小型化に寄与する。さらに、同様の構成を、スイッチング電源の入出力端などに配置されるフィルタ用インダクタに適用すれば、その高周波特性(フィルタ特性)を向上させて、スイッチング電源装置の小型化、低ノイズ化に寄与する。
【0076】
本実施形態のコイル部品によれば、電線を折り返しながら巻回して複数層に形成した巻線の、ターン数差(電位差)が大きい部分の線間絶縁層を厚くする、または、線間絶縁層の誘電率を小さくすることで、効果的に漂遊キャパシタンスCsを低減して自己共振周波数frを高めることができる。
【0077】
例えば、線間絶縁層の厚さを、各層の一端から他端へ向かって、段階的に変化させることで巻線の生産性が高めることができる。
【0078】
また、線間絶縁層の厚さ(または誘電率)を各層の一端で選択的に厚く(または小さく)することで、漂遊キャパシタンスCsを効果的に低減することができ、線間絶縁層によるコイル部品の肥大化を抑えることができる。さらに、線間絶縁層として、その一部または全部を空隙とすることで、より効果的に漂遊キャパシタンスCsを低減することができる。
【0079】
上記のコイル部品は、その自己共振周波数frが高まり、より高い周波数で使用可能になる。従って、上記のコイル部品をスイッチング電源の電力変換用トランス、インダクタおよびフィルタなどに利用すれば、スイッチング周波数を高め、スイッチング電源装置の小型化、低ノイズ化、高効率化、低コスト化に寄与する。
【0080】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、コイル部品の自己共振周波数frを高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】EEコアを用いたトランスの外観図、
【図2】トランスの断面図、
【図3】実施形態のコイル部品であるトランスの断面図、
【図4】磁気コアとボビンとの関係を示す図、
【図5】トランスの巻線の拡大断面図、
【図6】線間絶縁層用の絶縁材の形状を示す図、
【図7】トランスの巻線の拡大断面図、
【図8】トランスの巻線の拡大断面図、
【図9】トランスの巻線の拡大断面図、
【図10】線間絶縁層用の絶縁材の形状を示す図、
【図11】線間絶縁層用の絶縁材の形状を示す図、
【図12】線間絶縁層の厚さを連続的に変化させた例を示す図、
【図13】巻線の高さを均等にする方法を説明する図、
【図14】巻線の高さを均等にする方法を説明する図、
【図15】トランスの巻線の拡大断面図、
【図16】線間絶縁層用の絶縁材の形状を示す図、
【図17】トランスの構成巻線の拡大断面図、
【図18】トランスの構成を示す断面図、
【図19】プリント基板の部分拡大断面図、
【図20】プリント基板の部分拡大断面図、
【図21】導体および絶縁層の積層方法を説明する図、
【図22】プリント基板の部分拡大断面図である。
【発明の属する技術分野】
本発明はコイル部品およびその製造方法、並びに、電源装置に関し、例えば、高周波数のスイッチング電源装置に好適なコイル部品、並びに、そのコイル部品を利用する電源装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電源や各種電子機器に数多く用いられているコイルやトランスなどのコイル部品は、その小型化や高周波化が望まれている。
【0003】
図1はEEコアを用いたトランス100の外観図、図2はトランス100の断面図である。
【0004】
トランス100は、磁気コア101、磁気コア101に適したボビン102、ボビン102の巻枠の内側に巻かれた巻線103、巻線103に重ねて巻かれた巻線104、並びに、巻線103と104の間に絶縁材を巻いた層間絶縁層105から構成される。
【0005】
図2において、各ターンの導体断面を示す記号○内に示す数字は、ターン数を示し、巻線103の各層は4ターンで折り返し、継続して上層を巻回し、四層構造になっている。このように、ボビン102の限られた巻枠内に電線を巻回するため、ターン数が大きい巻線103は複数層(図2では四層)に巻回され、巻線同士が近接する個所が多い。コイル部品全般に言えることだが、巻線同士が近接する個所が増えると漂遊キャパシタンスCsが増大し、コイル部品の自己共振周波数frが低下する。
【0006】
自己共振周波数frの低下を防ぐ技術として、特開平9−063850号公報には、巻線を単層で巻回し、かつ、すべての巻線導体間に隙間を設けて、漂遊キャパシタンスCsを小さくする技術が開示されている。また、特開平9−129458号公報には、巻線の各ターンを異なる巻径にし、かつ、異なる平面に巻線導体を配置して、漂遊キャパシタンスCsを小さくする技術が開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
スイッチング電源は、電力変換用のトランスやインダクタ、あるいは、フィルタ用のコイル部品を備えるので、スイッチング電源を高周波化するにはコイル部品の自己共振周波数frを高くする必要がある。しかし、特開平9−063850号公報に開示された自己共振周波数frの低下を防ぐ技術は、巻線の巻回幅が大きくなり、コイル部品の小型化が難しい。また、特開平9−129458号公報に開示された技術は、巻線の巻回幅および高さが大きくなり、やはり、コイル部品の小型化が難しい。
【0008】
従って、スイッチング電源を高周波化しようとする場合、コイル部品の自己共振周波数frを高めるために上記のようにコイル部品が大型化し、スイッチング電源の高周波化と小型化とを両立させることは難しい。
【0009】
本発明は、上述の問題を個々にまたはまとめて解決するためのもので、コイル部品の自己共振周波数frを高めることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記の目的を達成する一手段として、以下の構成を備える。
【0011】
本発明にかかるコイル部品は、電線を巻回しながら折り返して複数層に形成された巻線と、隣接する二つの層それぞれの間の少なくとも一部に配置された絶縁層とを有し、前記絶縁層の誘電率は、前記二つの層において対向する電線の、ターン数差が小さい部分よりも大きい部分の方が低いことを特徴とする。
【0012】
また、電線を巻回しながら折り返して複数層に形成された巻線と、隣接する二つの層それぞれの間の少なくとも一部に配置された絶縁層とを有し、前記絶縁層の厚さは、前記二つの層において対向する電線の、ターン数差が小さい部分よりも大きい部分の方が厚いことを特徴とする。
【0013】
また、螺旋状に形成され積層された複数の導体と、隣接する二つの導体それぞれの間の少なくとも一部に配置された絶縁層とを有し、前記絶縁層の誘電率は、前記二つの導体において対向する電線の、ターン数差が小さい部分よりも大きい部分の方が低いことを特徴とする。
【0014】
また、螺旋状に形成され積層された複数の導体と、隣接する二つの導体それぞれの間の少なくとも一部に配置された絶縁層とを有し、前記絶縁層の厚さは、前記二つの導体において対向する電線の、ターン数差が小さい部分よりも大きい部分の方が厚いことを特徴とする。
【0015】
本発明にかかる製造方法は、電線を巻回しながら折り返して複数層の巻線を形成し、隣接する二つの層それぞれの間の少なくとも一部に絶縁層を配置し、前記絶縁層の誘電率を、前記二つの層において対向する電線の、ターン数差が小さい部分よりも大きい部分の方を低くすることを特徴とする。
【0016】
また、電線を巻回しながら折り返して複数層の巻線を形成し、隣接する二つの層それぞれの間の少なくとも一部に絶縁層を配置し、前記絶縁層の厚さを、前記二つの層において対向する電線の、ターン数差が小さい部分よりも大きい部分の方を厚くすることを特徴とする。
【0017】
また、螺旋状の複数の導体を形成し、隣接する二つの導体それぞれの間の少なくとも一部に絶縁層を配置しながら、前記複数の導体を積層し、前記複数の導体を電気的に直列接続し、前記絶縁層の誘電率を、前記二つの導体において対向する電線の、ターン数差が小さい部分よりも大きい部分の方を低くすることを特徴とする。
【0018】
また、螺旋状の複数の導体を形成し、隣接する二つの導体それぞれの間の少なくとも一部に絶縁層を配置しながら、前記複数の導体を積層し、前記複数の導体を電気的に直列接続し、前記絶縁層の厚さを、前記二つの導体において対向する電線の、ターン数差が小さい部分よりも大きい部分の方が厚くすることを特徴とする。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明にかかる実施形態のコイル部品について図面を参照して詳細に説明する。
【0020】
[概要]
コイル用の導体を複数回巻いて巻線層を形成し、巻線を折り返して、形成した巻線層の上に次の巻線層を重ねて形成し、各巻線層の間に絶縁層を有するコイル部品の場合、巻線の折り返し側の一端と、巻線の開始および終了側の他端とでは、コイル部品の漂遊キャパシタンスCsへの影響の度合いが異なり、他端側ほど影響が大きい。
【0021】
そこで、漂遊キャパシタンスCsへの影響の度合いが比較的大きい巻線の開始および終了側で、漂遊キャパシタンスCsを小さくするように巻線(または巻線層)を形成することで、コイル部品全体の漂遊キャパシタンスCsを効果的に低減するとともに、漂遊キャパシタンスCsへの影響の度合いが比較的小さい巻線の折り返し側では巻線を従来のよう形成することで、コイル部品の大型化を最小限に留めることにした。
【0022】
このような巻線の形成方法により、コイル部品の漂遊キャパシタンスCsを低減し、自己共振周波数frを高めた、小型のコイル部品を得ることができる。
【0023】
具体的には、巻線層の間の電位差(言い換えれば巻線のターン番号の差)が大きい巻線の開始および終了側の絶縁層を、巻線層の間の電位差(言い換えれば巻線のターン番号の差)が小さい巻線の折り返し側の絶縁層よりも厚くすることで、漂遊キャパシタンスCsを効果的に低減する。または、巻線の開始および終了側の絶縁層を、巻線の折り返し側の絶縁層よりも低誘電率の絶縁材料で形成することで、漂遊キャパシタンスCsを効果的に低減する。さらに、巻線の開始および終了側の絶縁層に空隙(比誘電率ε≒1)を設けることで、漂遊キャパシタンスCsを効果的に低減する。
【0024】
[構成]
図3は実施形態のコイル部品であるトランス10の断面図である。
【0025】
トランス10は、磁気コア11、磁気コア11に適したボビン12、ボビン12の巻枠の内側に巻かれた巻線13、巻線13に重ねて巻かれた巻線14、巻線13と14の間に絶縁テープや絶縁フィルムなどの絶縁材を巻いた層間絶縁層15、並びに、巻線13の各層の間に適宜選択的に配置される絶縁層(以下「線間絶縁層」と呼ぶ)16から構成される。
【0026】
● 磁気コア
磁気コア11は、その特性は特に限定されないが、使用温度、所望する形状を作製し易い、コア損などから、Mn−Zn系やNi−Zn系のフェライトコアが好ましく、なかでも飽和磁束密度、透磁率が大きい材料が好ましい。また、用途に応じて、アモルファスコアやナノ結晶合金コアなどを用いることもできる。また、本実施形態をコモンモードノイズフィルタ用のチョークコイルや、ノーマルモードノイズフィルタ用のチョークコイルなどのインダクタに適用する際も、その材料の特性は特に限定されず、インダクタの用途に応じて適宜選択することができる。勿論、空芯コイルを構成する場合は磁気コア11は不要である。
【0027】
また、図3に示すボビン12を備える構成では、ボビン12に磁気コア11を挿入する孔(図4に符号34で示す)を設けることが好ましく、その孔に磁気コア11を挿入して磁路を形成する。孔の断面形状は、四角、楕円、円形など、挿入する磁気コア11の脚31の断面形状に応じた形状にする。
【0028】
磁気コア11の形状は、例えば図4に示すように、ボビン12の孔34に差し込まれる主磁脚31と、ボビン12の周りに配置される側磁脚32と、主磁脚31と側磁脚32を結ぶ橋絡部33を有する分割形状であることが好ましい。例えば、JIS C 2514「E形フェライト磁心」に記載されているようなEE形、EI形、EER形、EIR形など形状、あるいは、JIS C 2516「ポット形フェライト磁心」に記載されているようなPP形、RM形、EP形などの形状を用いることができる。また、TDK株式会社製のフェライトコアのEEM形、LP形、PQ形、EPC形などの形状も適宜用いることができる。
【0029】
● 巻線
巻線13および14に使用するマグネットワイアにとくに限定はなく、トランス10の使用条件および作成条件に合った耐熱性、可撓性、耐油性、はんだ付け性、絶縁耐久性および作業性などの性能を有するものであればよい。
【0030】
具体的にはJIS C 3202「エナメル線」に挙げられているような1種油性エナメル銅線、2種油性エナメル銅線、0種ホルマール銅線、1種ホルマール銅線、2種ホルマール銅線、0種ホルマールアルミニウム線、1種ホルマールアルミニウム線、ホルマール平角銅線、0種ポリエステル銅線、1種ポリエステル銅線、2種ポリエステル銅線、1種ポリウレタン銅線、2種ポリウレタン銅線、3種ポリウレタン銅線、0種融着性ポリウレタン銅線、1種融着性ポリウレタン銅線、2種融着性ポリウレタン銅線、0種ポリエステルイミド銅線、1種ポリエステルイミド銅線または2種ポリエステルイミド銅線が使用できる。
【0031】
なお、巻線13および/または14として、スペース効率が高い平角線を適宜使用すれば、トランス10を小型化することができる。また、巻線13および/または14として、上記「エナメル線」に挙げられた線材を複数本、撚り合わせた、所謂リッツ線を用いれば、表皮効果による損失を低減することができる。また、巻線13および/または14として、上記「エナメル線」に挙げられた線材を複数本、平行に一体化した多本平行エナメル線なども使用することができる。
【0032】
また、三層の絶縁被覆を有する線材を使用すれば、巻線13と巻線14との間の層間絶縁層15を省略または簡略化することができ、トランス10の小型化およびその製造工程の簡略化が期待される。
【0033】
また、巻線13および14として、プリント基板に形成した導体パターンを利用することもできる。プリント基板としてFR−4やCEM 3など通常の基板の他に、可撓性を有するフィルム状の基板なども使用でき、その種類はとくに制限されない。
【0034】
● 絶縁層
層間絶縁層15および線間絶縁層16に使用する絶縁材料は低誘電率のものが好ましいが、他の特性はとくに限定されず、トランスの使用条件および作成条件に合った絶縁性、耐熱性、引張強度、柔軟性、弾性、耐薬品性および作業性などの性能を有するものであればよい。
【0035】
具体的には、ポリエステルフィルム、ポリイミドフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリフェニレンサルファイドフィルムなどのフィルムや、エポキシ含浸不織布、エポキシ含浸エポキシ不織布などのプリプレグや、これらを支持体として粘着剤を付与したテープなどが使用できる。また、これらを組み合わせたものも使用できる。
【0036】
線間絶縁層15の一部あるいは全体に空隙を用いることは、空隙の比誘電率はおよそ1と極めて小さいことから好ましい。ただし、この場合、空隙の使用箇所で必要な絶縁性が確保されるように配慮する必要がある。また、発泡体のように内部に多数の空孔を有する低誘電率の材料を使用することもできる。また、巻線13をプリント基板で形成する場合は、線間絶縁層16をプリント基板内で一体的に形成することもできる。
【0037】
なお、理論的には傾斜した誘電率、つまり、線間絶縁層の誘電率が、巻線の巻き始め側と巻き終わり側とで連続的に変化するような絶縁層でもよい。その場合、線間の電位差が大きい側の誘電率が小さくなるように絶縁層を配置する。
【0038】
以下では、図3に示した構成のトランス10の詳細を実施例として説明する。なお、各実施例に示すトランス10は、巻線13の各層の間に挿入される線間絶縁層16の構成が特徴である。
【0039】
【実施例1】
図5は実施例1のトランス10の巻線13の拡大断面図である。
【0040】
巻線13は、電線の断面を示す記号「○」の内部に記されたターン番号の順に巻回されている。すなわち、ターン1から4の巻回で一層を形成し、電線を折り返してターン5から8を次層に巻回する。そして、巻回および折り返しを繰り返して、ターン1から16を四層に巻回した巻線13を形成する。
【0041】
この巻線の際に、線間絶縁層16を図5に示すように挿入する。すなわち、図5に示す例では、巻線13の各層を2ターンずつ左右に分けて「巻き始め」および「巻き終わり」と呼ぶ場合、各層の巻き始めと、一つ上の層の巻き終わりとの間(層間および線間の電位差が比較的大きい)に線間絶縁層16を配置する。一方、各層の巻き終わりと、一つ上の層の巻き始めとの間(層間および線間の電位差が比較的小さい)には線間絶縁層16を配置しない。言い換えれば、隣接する巻線13の導体間で、ターン番号の差(以下「ターン番号差」と呼ぶ)の大きい部分(図5の例ではターン番号差≧5)には線間絶縁層16を設け、ターン番号差が小さい部分(図5の例ではターン番号差 < 4)には線間絶縁層16を設けない。
【0042】
層間および線間のキャパシタンスが同じであれば、そこに加わる電位差(電圧)が大きいほど、そのキャパシタンスに蓄積される電荷量が増え、その結果、部品の漂遊キャパシタンスCsは増大する。そこで、層間および線間の電位差が大きい部分に選択的に低誘電率の線間絶縁層16を挿入して層間および線間を拡げることで、層間および線間のキャパシタンスを低減し、このキャパシタンスに蓄積される電荷量を減少させる。従って、漂遊キャパシタンスCsを低減して、トランス10の自己共振周波数frを高めることができる。
【0043】
さらに、線間絶縁層16として、図6に示すような、絶縁材17の一部をくり抜いたスリット18を設けたものを用いると、絶縁材17の比誘電率がε=3前後に比べて、空気の比誘電率がε≒1とかなり小さいので、絶縁層16の実効的な比誘電率が低減されて、さらに漂遊キャパシタンスCsを低減することができる。勿論、スリット18が絶縁材17の面積に占める割合を高めれば、漂遊キャパシタンスCsをさらに低減することができる。なお、スリット18は、線間距離を均一に保つために、巻線13の巻回方向に直交する方向に設けることが望ましい。巻回方向と垂直にスリットを設ければ、巻線13の巻回時、巻線が横にずれることもなく、絶縁材17の位置合わせに特別な配慮も不要で、トランス10を作成し易い。
【0044】
また、図5に示すように、線間絶縁層16を巻線13の各層間に配置する場合や、トランスを高耐電圧化する際にすべての線間(上下左右)に線間絶縁層を配置する場合に比べて、耐電圧を下げずに、線間絶縁層16の挿入による巻線13の肥大化を抑えることができ、トランス10の大型化を抑えることができる。
【0045】
さらに、ターン番号差(電位差)に応じて、線間絶縁層16の厚さを段階的に制御してもよい。例えば、図5に示す巻線13に電圧Vが加わるとすると、1ターン当りの電位差はV/16になる。従って、ターン番号1とターン番号8との間の電位差E1−8=7/16・V、ターン番号2とターン番号7との間の電位差E2−7=5/16・Vであるから、ターン番号1とターン番号8との間の層間絶縁層16の厚さt1−8と、ターン番号2とターン番号7との間の層間絶縁層16の厚さt2−7との関係をt1−8:t2−7=7:5にすれば、電位差に応じた厚さにすることができる。こうすれば、より効果的に漂遊キャパシタンスCsを低減しつつ、巻線13の肥大化を抑えることができる。
【0046】
図7は、上記の電位差に応じた厚さの線間絶縁層16を形成する方法を、電位差が最小の線間を除いて適用した例を示す図である。この場合、各線間絶縁層16の厚さの関係は下式で示される。
t1−8:t2−7:t3−6 = 7:5:3
【0047】
図7に示すような、線間絶縁層16の厚さの制御は、図8に示すように、同じ厚さの絶縁材(ただし、幅は異なる)を線間絶縁層16の厚さの比に応じて巻回することで容易に実現される。また、図9に示すように、厚さの異なる絶縁材(ただし、幅は同じ)を巻回してもよい。
【0048】
図10および図11は、図8および図9に示す線間絶縁層16に使用する絶縁材17の一例を示す図である。図10および図11に示すように絶縁材17にスリット18を設ければより漂遊キャパシタンスCsを低減することができる。なお、スリット18を設けた絶縁材17を複数層に重ねる場合は、スリット18の位置をずらして巻回し、全部または多くの線間に、少なくとも一つのスリット18が挟まれるように構成することが好ましい。
【0049】
図12は線間絶縁層16の厚さを連続的に変化させた例を示す図である。このようにすれば、巻線13の高さが均等になり、巻線13の外側に巻線14を巻回する場合など、作業性が向上する。
【0050】
巻線13の高さが均等にする方法としては、図12に限らず、図13や図14の方法を採用することもできる。
【0051】
さらに、巻線13用の電線として、三層絶縁電線のような、絶縁性能が高い絶縁被覆をもつ電線を用いれば、線間絶縁層16に空隙を設ける場合に、その絶縁層の厚さの自由度が高まるメリットがある。
【0052】
【実施例2】
特殊な巻線方法を採用して、図15の断面拡大図に示すような、図5に示す巻線構造と縦横が入れ替わった巻線を行う場合は、図16に示すリング状の絶縁材17aおよび17bを線間絶縁層16aおよび16bに利用する。
【0053】
図16は磁気コア11の主磁脚31が円柱形状の場合を示すが、主磁脚31が角柱形状であれば絶縁材17aおよび17bも矩形にすればよい。また、図16はスリット18を有する絶縁材17aおよび17bを示すが、漂遊キャパシタンスCsの低減効果は減るがスリット18はなくてもよい。また、図16に符号17cで示す破線の位置でリングを切断しておけば、図4に示すような鍔をもつボビン12を使用する場合も絶縁材17aおよび17bを容易に巻線13に組み込むことができる。
【0054】
【実施例3】
融着性電線を使用して、図17の断面拡大図に示すような巻線13を形成することもできる。この場合、融着性電線を使用して、実施例1と同様に巻線13を巻回するが、線間絶縁層16の部分には融着性電線と接着し難い、例えば弗素系樹脂のスペーサを挿入して巻線13の巻回する。その後、加熱処理によって融着性電線同士を融着させた後、スペーサを巻線13から除去する。
【0055】
この場合、線間絶縁層16がすべて空隙で構成されるので、実施例1に比べて、線間絶縁層16の比誘電率はさらに低減されてほぼε≒1になり、漂遊キャパシタンスCsをさらに低減することができ、自己共振周波数frを高めることができる。
【0056】
また、融着性電線で巻線を形成すれば、所謂ボビンレスコイルを作ることができ、巻線形状の自由度が高まり、トランス10の設計自由度が高くなるメリットもある。
【0057】
なお、このような空隙を有する巻線13の外側に巻線14を巻回する場合、巻線14を巻回する際に巻線13に加わる力によって、巻線13内に形成した空隙は潰れる可能性が高い。空隙が潰れないように巻線14を巻回する力を調整してもよいが、より確実には、巻線14をボビンレスコイルとして別途形成して、巻線13および14を組み合わせる、スペーサを除去する前に巻線14も巻回する、などが必要である。
【0058】
【実施例4】
図18は実施例4のトランス21の構成を示す断面図で、巻線として機能するプリント基板23、融着性電線を使用して作成したボビンレスコイルの巻線24、磁気コア22を備える。
【0059】
図19はプリント基板23の部分拡大断面図である。プリント基板23は多層プリント基板で、巻線として機能する導体25および絶縁層26から構成される。
【0060】
導体25は、その内部に記すターン番号の順に螺旋状に形成されていて、多層プリント基板の第一の導体層にはターン番号1から4に対応する導体25が、続くターン番号5および6に対応する導体25は第二の導体層に、…、ターン番号15および16に対応する導体25は第六の導体層にそれぞれ螺旋状に形成されている。なお、螺旋状に形成した導体25の両終端部にはスルーホールが形成され、巻線を構成するように、各導体層の導体25が電気的に接続される。
【0061】
そして、実施例1と同様に、ターン番号差(電位差)が大きい線間、ターン番号1および2の導体25と、ターン番号7および8の導体25との間の絶縁層26が厚くなるように、ターン番号7および8は第三の導体層に形成する。同様に、ターン番号5および6の導体25と、ターン番号11および12の導体25との間の絶縁層26を厚くするために、第二の導体層に形成されたターン番号5および6の導体25に対して、ターン番号11および12の導体25は第四の導体層に形成する。同様に、ターン番号9および10の導体25と、ターン番号15および16の導体25との間の絶縁層26を厚くするために、ターン番号9および10の導体25は第四の導体層に、ターン番号15および16の導体25は第六の導体層にそれぞれ形成する。
【0062】
多層基板の導体層の変更を螺旋状の導体25の終端部で行い、ターン番号差が大きい部分を選んで、つまり螺旋状の導体25の中間部で導体層を変更する。従って、1ターンごとに導体層を変更する場合に比べれば導体層の数を低減することができ、トランス21の肥大化を抑制することができる。
【0063】
また、巻線を多層基板の導体層で形成するので、線材および絶縁材を巻回する場合に比べて、線間の距離を正確に制御し、かつ、安定に保つことができ、より安定した特性が得られる。なお、従来の多層プリント基板の製造方法により、螺旋状の導体25を形成した導体層および絶縁層26を積層して巻線を形成することができる。
【0064】
勿論、多層プリント基板は、巻線のほか、他の回路部分の配線にも利用することができ、プリント基板上で巻線と回路部分との接続を行うことができ、作業性を向上させることができる。逆に、巻線用のプリント基板と、他の回路部分用のプリント基板とを独立させれば、それぞれ導体厚、絶縁材料、導体層数を任意に、最適に設定することができる。
【0065】
さらに、巻線24もプリント基板23内または上に形成することができ、さらに、作業性を向上することができる。
【0066】
【実施例5】
図20は実施例5のプリント基板23の部分拡大断面図である。なお、プリント基板23が組み込まれるトランス21の構成は図18と同じである。
【0067】
実施例5のプリント基板23は、螺旋状の導体25を四つの導体層で形成し、ターン番号(電位差)が大きい部分に空隙27(または低誘電率の絶縁材料)を設けたものである。
【0068】
図21は導体25および絶縁層26の積層方法を説明する図である。
【0069】
第一の導体層として形成した螺旋状の導体25aの下に、図21に示す形状の絶縁層26aを積層し、その下に、第二の導体層として形成した螺旋状の導体25bを積層し、…、最下部に第四の導体層として形成した螺旋状の導体25dを積層する。各絶縁層26a〜26cは、上下の導体25を支持する絶縁材を図21に示す形状にすることで、導体25および絶縁層26を積層後、空隙27が構成されるようにする。
【0070】
このような構成によれば、ターン番号(電位差)が大きい部分の絶縁材の誘電率を下げるとともに、螺旋状の導体25を四つの導体層で形成することができ、実施例4のトランス21よりも小型、低コストのトランスを形成することが可能になる。さらに、スルーホールの数を減らしてコストを下げ、損失(銅損)を減らし、信頼性を高めることができる。
【0071】
また、絶縁層26に形成した支持部によって空隙27の距離を制御し、かつ、保持することができるから、線間の距離を正確に制御し、かつ、安定に保つことができ、より安定した特性が得られる。
【0072】
さらに、空隙27および絶縁層26の支持部を、図21に示すように、螺旋の巻回方向に平行させずに直交する方向に形成することで、導体25と絶縁層26の精密な位置合わせが不要になり、生産性が向上する。
【0073】
このほか、図22に一例を示すように、実施例4と、実施例5とを組み合わせた構成のプリント基板23を形成することもできる。
【0074】
なお、プリント基板の材料としては、エポキシ樹脂基板のようなリジッドな基板のほかに、ポリエステルやポリイミド基板のような可撓性を有するフィルム状の基板を用いてもよい。
【0075】
なお、上記では、スイッチング電源の電力変換用トランスを想定して実施例を説明したが、同様の構成をインダクタなどのコイル部品に適用することができ、スイッチング周波数を高めた場合に変換効率の低下を抑えて、スイッチング電源装置の小型化に寄与する。さらに、同様の構成を、スイッチング電源の入出力端などに配置されるフィルタ用インダクタに適用すれば、その高周波特性(フィルタ特性)を向上させて、スイッチング電源装置の小型化、低ノイズ化に寄与する。
【0076】
本実施形態のコイル部品によれば、電線を折り返しながら巻回して複数層に形成した巻線の、ターン数差(電位差)が大きい部分の線間絶縁層を厚くする、または、線間絶縁層の誘電率を小さくすることで、効果的に漂遊キャパシタンスCsを低減して自己共振周波数frを高めることができる。
【0077】
例えば、線間絶縁層の厚さを、各層の一端から他端へ向かって、段階的に変化させることで巻線の生産性が高めることができる。
【0078】
また、線間絶縁層の厚さ(または誘電率)を各層の一端で選択的に厚く(または小さく)することで、漂遊キャパシタンスCsを効果的に低減することができ、線間絶縁層によるコイル部品の肥大化を抑えることができる。さらに、線間絶縁層として、その一部または全部を空隙とすることで、より効果的に漂遊キャパシタンスCsを低減することができる。
【0079】
上記のコイル部品は、その自己共振周波数frが高まり、より高い周波数で使用可能になる。従って、上記のコイル部品をスイッチング電源の電力変換用トランス、インダクタおよびフィルタなどに利用すれば、スイッチング周波数を高め、スイッチング電源装置の小型化、低ノイズ化、高効率化、低コスト化に寄与する。
【0080】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、コイル部品の自己共振周波数frを高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】EEコアを用いたトランスの外観図、
【図2】トランスの断面図、
【図3】実施形態のコイル部品であるトランスの断面図、
【図4】磁気コアとボビンとの関係を示す図、
【図5】トランスの巻線の拡大断面図、
【図6】線間絶縁層用の絶縁材の形状を示す図、
【図7】トランスの巻線の拡大断面図、
【図8】トランスの巻線の拡大断面図、
【図9】トランスの巻線の拡大断面図、
【図10】線間絶縁層用の絶縁材の形状を示す図、
【図11】線間絶縁層用の絶縁材の形状を示す図、
【図12】線間絶縁層の厚さを連続的に変化させた例を示す図、
【図13】巻線の高さを均等にする方法を説明する図、
【図14】巻線の高さを均等にする方法を説明する図、
【図15】トランスの巻線の拡大断面図、
【図16】線間絶縁層用の絶縁材の形状を示す図、
【図17】トランスの構成巻線の拡大断面図、
【図18】トランスの構成を示す断面図、
【図19】プリント基板の部分拡大断面図、
【図20】プリント基板の部分拡大断面図、
【図21】導体および絶縁層の積層方法を説明する図、
【図22】プリント基板の部分拡大断面図である。
Claims (16)
- 電線を巻回しながら折り返して複数層に形成された巻線と、
隣接する二つの層それぞれの間の少なくとも一部に配置された絶縁層とを有し、
前記絶縁層の誘電率は、前記二つの層において対向する電線の、ターン数差が小さい部分よりも大きい部分の方が低いことを特徴とするコイル部品。 - 前記絶縁層は空隙を有することを特徴とする請求項1に記載されたコイル部品。
- 電線を巻回しながら折り返して複数層に形成された巻線と、
隣接する二つの層それぞれの間の少なくとも一部に配置された絶縁層とを有し、
前記絶縁層の厚さは、前記二つの層において対向する電線の、ターン数差が小さい部分よりも大きい部分の方が厚いことを特徴とするコイル部品。 - 前記絶縁層の厚さは、前記二つの層の間で、その一端から他端に向かって、段階的または連続的に変化することを特徴とする請求項3に記載されたコイル部品。
- 前記絶縁層の厚さは、前記絶縁層を形成する絶縁物の積層数によって制御されることを特徴とする請求項3または請求項4に記載されたコイル部品。
- 螺旋状に形成され積層された複数の導体と、
隣接する二つの導体それぞれの間の少なくとも一部に配置された絶縁層とを有し、
前記絶縁層の誘電率は、前記二つの導体において対向する電線の、ターン数差が小さい部分よりも大きい部分の方が低いことを特徴とするコイル部品。 - 前記絶縁層は空隙を有することを特徴とする請求項6に記載されたコイル部品。
- 螺旋状に形成され積層された複数の導体と、
隣接する二つの導体それぞれの間の少なくとも一部に配置された絶縁層とを有し、
前記絶縁層の厚さは、前記二つの導体において対向する電線の、ターン数差が小さい部分よりも大きい部分の方が厚いことを特徴とするコイル部品。 - 前記導体および絶縁層は多層プリント基板として形成されることを特徴とする請求項6から請求項8の何れかに記載されたコイル部品。
- 電線を巻回しながら折り返して複数層の巻線を形成し、
隣接する二つの層それぞれの間の少なくとも一部に絶縁層を配置し、
前記絶縁層の誘電率を、前記二つの層において対向する電線の、ターン数差が小さい部分よりも大きい部分の方を低くすることを特徴とするコイル部品の製造方法。 - 電線を巻回しながら折り返して複数層の巻線を形成し、
隣接する二つの層それぞれの間の少なくとも一部に絶縁層を配置し、
前記絶縁層の厚さを、前記二つの層において対向する電線の、ターン数差が小さい部分よりも大きい部分の方を厚くすることを特徴とするコイル部品の製造方法。 - 螺旋状の複数の導体を形成し、
隣接する二つの導体それぞれの間の少なくとも一部に絶縁層を配置しながら、前記複数の導体を積層し、
前記複数の導体を電気的に直列接続し、
前記絶縁層の誘電率を、前記二つの導体において対向する電線の、ターン数差が小さい部分よりも大きい部分の方を低くすることを特徴とするコイル部品の製造方法。 - 螺旋状の複数の導体を形成し、
隣接する二つの導体それぞれの間の少なくとも一部に絶縁層を配置しながら、前記複数の導体を積層し、
前記複数の導体を電気的に直列接続し、
前記絶縁層の厚さを、前記二つの導体において対向する電線の、ターン数差が小さい部分よりも大きい部分の方が厚くすることを特徴とするコイル部品の製造方法。 - スイッチング回路、請求項1から請求項9の何れかに記載されたコイル部品、整流回路および平滑回路を有することを特徴とする電源装置。
- 前記コイル部品は電力変換用のトランスまたはインダクタであることを特徴とする請求項14に記載された電源装置。
- 前記コイル部品は、前記電源装置の入力端および/または出力端に配置されるフィルタに利用されることを特徴とする請求項14に記載された電源装置。
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