JP2004047157A - 電源供給器 - Google Patents

Abstract

【課題】防水性に優れ、信頼性が高く使いやすい電源供給器を提供する。
【解決手段】電源回路３０を内蔵するとともに、電源回路に電気的に接続する１次側接続部であるプラグ刃２４と２次側接続部であるコード２６とが設けられたインナー組品３６がインサート成形され、前記インナー組品３６の外面が、一体成形された樹脂からなる外部ケース部２２によって形成される。前記インナー組品３６は、インナーケース半体３２とインナーケース蓋３４により中空に形成されたインナーケースに電源回路３０が密封され、前記インナーケースに１次側接続部と２次側接続部がシールされて取り付けられている。
【選択図】　　　　　図２

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明はＡＣアダブタ等の電源供給器に関する。
【０００２】
【従来の技術】
ＡＣアダプタは、商用交流電源を所定の電圧値の直流電源に変換する装置として電子機器等に広く使用されている。
図７に、ＡＣアダプタとして一般に利用されている電源供給器の例を示す。同図で１０がＡＣアダプタの外部ケースであり、１２が商用電源のコンセントに接続するプラグ刃、１４がコードである。ＡＣアダプタは、本体内にトランスおよび整流器等の直流化回路部品等を内蔵し、樹脂製のケースを被せてこれらの回路部品を密封するように形成されている。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のＡＣアダプタ等の電源供給器は、電源回路を収納したインナー組品を外部ケース内に収納し、ケースを被せて密封するという組立方法によっている。したがって、部品点数が多くなったり、外部ケースによって組み立てるために製品を十分にコンパクトに形成できなかったり、製品の外形形状が制限され、製品のデザインの自由度が阻害されるという課題があった。また、外部ケースによって密封するから防水性の点で不十分であるという課題があった。
そこで、本発明はこれらの課題を解決すべくなされたものであり、その目的とするところは、製品の外形形状等を自由にデザインすることができて種々形態の製品を容易に提供することができ、装置の防水性を高めて信頼性の高い装置として提供することができる電源供給器を提供するにある。
【０００４】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は次の構成を備える。
すなわち、電源回路を内蔵するとともに、電源回路に電気的に接続する１次側接続部と２次側接続部とが設けられたインナー組品がインサート成形され、前記インナー組品の外面が、一体成形された樹脂からなることを特徴とする。
また、前記インナー組品としては、インナーケース半体とインナーケース蓋により中空に形成されたインナーケースに電源回路が密封され、前記インナーケースに１次側接続部と２次側接続部がシールされあるいは一体に取り付けられたもの、インナーケース半体に電源回路が収納され、インナーケース半体にポッティング樹脂が充填されて樹脂中に前記電源回路が埋没されたもの、ポッティング樹脂中に電源回路が埋没され所定形状に保形されたものが好適である。
また、前記電源回路が、プリント基板にトランスあるいはダイオード等の直流化回路を備えることを特徴とする。
【０００５】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。
図１は、本発明に係る電源供給器の実施形態としてＡＣアダプタ２０を形成した例を示す斜視図である。２２は樹脂による一体成形によって、ブロック状に形成された外部ケース部である。外部ケース部２２の一方の端面からは１次接続部として商用電源のコンセントに挿着するプラグ刃２４、２４が延出し、他方の側面からは２次接続部としてコード２６が延出する。コード２６は電子機器の電源入力端子に接続されて使用される。
【０００６】
本実施形態のＡＣアダプタ２０は、電源回路として商用交流電源電圧を直流の定電圧として出力する直流化回路を備えたプリント基板組立体を内蔵し、プリント基板組立体を収納したインナー組品をインサート成形による樹脂成形して、インナー組品の外面を樹脂からなる外部ケース部２２によって一体成形したことを特徴とする。
【０００７】
図２に、ＡＣアダプタ２０の内部構造を示す。プリント基板組立体３０はプリント基板２７にトランス２８やダイオード等の所要の回路部品２９を実装したものである。本実施形態のＡＣアダプタ２０は、このプリント基板組立体３０をインナーケース半体３２とインナーケース蓋３４とによって密封したインナー組品３６を形成した後、インナー組品３６を樹脂を用いてインサート成形し、インナー組品３６の外面を樹脂からなる外部ケース部２２によって被覆して形成する。なお、インナーケース半体３２およびインナーケース蓋３４は樹脂等の電気的絶縁性を有する材料によって形成される。
【０００８】
プリント基板組立体３０には、図２に示すように、プラグ刃２４とコード２６とが接続される。本実施形態ではプリント基板２７の一端縁部に一対のプラグ刃２４、２４を接続し、プリント基板２７の他端縁部にコード２６を接続している。プリント基板組立体３０をインナーケース半体３２とインナーケース蓋３４とによって密封する際は、プラグ刃２４、２４の先端側をインナーケース半体３２から突出させ、コード２６をインナーケース半体３２に設けた貫通孔を挿通させて組み立てる。インナーケースはインナーケース半体３２にインナーケース蓋３４を封着してなるものである。
【０００９】
インナーケース半体３２にはプラグ刃２４を挿通する位置に合わせてプラグ刃２４を挿通するスリット孔を設け、プラグ刃２４をスリット孔に挿通した状態で、スリット孔の周縁に接着剤２５を塗布してプラグ刃２４をインナーケース半体３２にシールして固定する。
また、コード２６は、インナーケース半体３２に設けた貫通孔にコード２６に固定されているコードブッシュ２６ａを挿通し、インナーケース半体３２の内面で接着剤２５によりコードブッシュ２６ａをインナーケース半体３２の内面にシールして固定する。
【００１０】
インナー組品３６は、インナーケース半体３２にプリント基板組立体３０とプラグ刃２４とコード２６とをセットした後、インナーケース蓋３４をインナー組品３６の開口部に封着することによって組み立てる。インナーケース半体３２とインナーケース蓋３４との接合は、たとえば超音波シールによればよい。
図３は、インナーケース半体３２にインナーケース蓋３４を封着してインナー組品３６を形成した状態を示す斜視図である。インナー組品３６の一方の側面からプラグ刃２４が延出し、他方の側面からコード２６が延出する。プラグ刃２４に設けられた切り込み２４ａは、インナー組品３６を樹脂によってインサート成形する際に樹脂がプラグ刃２４にくい付きやすくするためのものである。図４は、インナー組品３６をコード２６の取り付け側から見た状態を示す。コードブッシュ２６ａがインナーケース半体３２に設けた貫通孔にシールして取り付けられている。
【００１１】
図１に示すＡＣアダプタ２０は、上記のようにして組み立てたインナー組品３６を樹脂を用いたインサート成形することによって得られる。インナー組品３６をインサート成形することにより、図２に示すように、インナー組品３６のケース部の外面が外部ケース部２２によって包み込まれるように覆われる。これによって、プリント基板組立体３０はインナー組品３６と外部ケース部２２によって２重にシールされた状態で保護され、これによってきわめて信頼性の高い防水性を得ることができる。
また、本実施形態のようにＡＣアダプタ２０の外部ケース部２２を樹脂によるインサート成形によって形成する場合は、インナー組品３６を共通として、外部ケース部２２の外形形状を任意にデザインすることが可能となり、種々のデザインの商品を提供することが可能になる。
【００１２】
なお、樹脂を用いたインサート成形では、樹脂成形時に金型が数百℃に加熱され、樹脂も高温になることがあるから、被成形品であるインナー組品３６は金型温度等に耐えられる耐熱性を備えている必要がある。このため、インナーケース半体３２およびインナーケース蓋３４、コードブッシュ２６ａ等はインサート成形に耐える耐熱性を備えているものを使用する。また、インナーケースを所要の耐熱性を備えた部材によって形成しておけば、インナーケースに収納されているプリント基板組立体３０は、インナーケースが中空に形成されていることによって内部の空気で断熱され、インサート成形時に回路部品等が熱によって損傷を受けることを防止して、樹脂成形によって容易に製造することが可能になる。
【００１３】
上記実施形態では、プリント基板組立体３０をインナーケース半体３２とインナーケース蓋３４とによって密封したインナー組品３６をインサート成形してＡＣアダプタ２０を形成したが、インナー組品３６は上記構成に限るものではない。
たとえば、図５に示すように、プリント基板組立体３０をインナーケース半体３２に収納した状態でインナーケース半体３２にポッティング樹脂４０を充填し、プリント基板組立体３０に搭載されている回路部品をポッティング樹脂４０中に埋没させて封止した状態でインナー組品３６とすることもできる。この場合、回路部品はポッティング樹脂４０によって封止するから、回路部品が高温に加熱されることはなく、回路部品が熱的に損傷を受けることはない。また、ポッティング樹脂４０によってプリント基板組立体３０を封止した状態でインナー組品３６をインサート成形することで、外部ケース部を任意の形状に成形することができるとともに、インサート成形時にプリント基板組立体３０の回路部品を熱によって損傷させることなく樹脂成形することができる。
【００１４】
また、図６は、プリント基板組立体３０をケース形に形成した治具にセットし、ポッティング樹脂をケース内に充填してプリント基板組立体３０をポッティング樹脂中に埋没させて所定形状に成形し、成形後に治具からインナー組品３６を取り出した状態を示す。４２がプリント基板組立体３０を内蔵して封止したポッティング樹脂である。このインナー組品３６の場合も、上述した実施形態と同様に、インサート成形による樹脂成形によって、ポッティング樹脂４２の外面が所定形状に一体に樹脂成形された電源供給器として提供することができる。
【００１５】
なお、上記実施形態においては、インナー組品３６としてプリント基板組立体３０に１次側接続部としてプラグ刃２４、２次側接続部としてコード２６を接続した例を示したが、電源供給器に設けられる１次側接続部と２次側接続部には種々の形態がある。たとえば、１次側接続部と２次側接続部がともに接続コード状に形成されたもの、２次側接続部が電子機器を端子上にのせて電気的接続をとるコンタクト端子に形成されたもの等である。
本願発明に係る電源供給器はインナー組品３６に、樹脂によるインサート成形を施し、インナー組品３６の外面を樹脂の一体成形によって形成された外部ケース部によって被覆したことを特徴とするが、電源供給器に設ける１次側接続部および２次側接続部は種々の形態に形成することが可能である。また、上記実施形態においては、電源供給器の例としてＡＣアダプタについて説明したが、本発明に係る電源供給器の構成はＡＣアダプタに限らず、各種電源供給器に共通に利用することができる。
【００１６】
上述したように、本発明に係る電源供給器は、インナー組品３６をインサート成形による樹脂成形によって形成したことにより、製品の外形形状を任意にデザインすることが可能である。また、インナー組品３６をそのままインサート成形するから、きわめてコンパクトな形状に製品を形成することが可能になる。また、インナー組品と外部ケース部の２重構造によってプリント基板組立体３０等の内蔵部品を保護することで、防水性が良好になる等の利点がある。
【００１７】
【発明の効果】
本発明に係る電源供給器は、上述したように、インナー組品をインサート成形してなるから、製品の外形デザインの制約が抑えられ、各種デザインの製品を容易に製造することが可能になる。また、防水性に優れ、信頼性が高く、使いやすい電源供給器として提供することができる等の著効を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明に係る電源供給器の一実施形態の構成を示す斜視図である。
【図２】電源供給器の内部構成を示す断面図である。
【図３】インナー組品の斜視図である。
【図４】インナー組品をコードブッシュの取り付け側から見た状態を示す説明図である。
【図５】インナー組品の他の構成例を示す断面図である。
【図６】インナー組品のさらに他の構成例を示す斜視図である。
【図７】従来のＡＣアダプタの斜視図である。
【符号の説明】
１０　外部ケース
２０　ＡＣアダプタ
２２　外部ケース部
２４　プラグ刃
２５　接着剤
２６　コード
２６ａ　コードブッシュ
２７　プリント基板
２８　トランス
２９　回路部品
３０　プリント基板組立体
３２　インナーケース
３４　インナーケース蓋
３６　インナー組品
４０、４２　ポッティング樹脂

Claims (5)

1. 電源回路を内蔵するとともに、電源回路に電気的に接続する１次側接続部と２次側接続部とが設けられたインナー組品がインサート成形され、
   前記インナー組品の外面が、一体成形された樹脂からなることを特徴とする電源供給器。
2. 前記インナー組品が、インナーケース半体とインナーケース蓋により中空に形成されたインナーケースに電源回路が密封され、前記インナーケースに１次側接続部と２次側接続部がシールされあるいは一体に取り付けられたものであることを特徴とする請求項１記載の電源供給器。
3. 前記インナー組品が、インナーケース半体に電源回路が収納され、インナーケース半体にポッティング樹脂が充填されて樹脂中に前記電源回路が埋没されたものであることを特徴とする請求項１記載の電源供給器。
4. 前記インナー組品が、ポッティング樹脂中に電源回路が埋没され所定形状に保形されたものであることを特徴とする請求項１記載の電源供給器。
5. 前記電源回路が、プリント基板にトランスあるいはダイオード等の直流化回路を備えることを特徴とする請求項１、２、３または４記載の電源供給器。

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