JP2004044076A

JP2004044076A - 人工繊維ならびにそうした繊維により提供されるスポーツ競技場のための人工芝生

Info

Publication number: JP2004044076A
Application number: JP2003189586A
Authority: JP
Inventors: Geurt Bastiaan Slootweg; ゲウト・バスティアン・スロットヴェック; Weghuis Marinus Hendrikus Olde; マリヌス・ヘンドリクス・オルデ　ヴェックハイス; Der Gaag Frederik Jan Van; フレデリック・ジャン・ヴァン　デール　ガーグ; Leonardus Jacobus Johanes W Welzen; レオナルダス・ジェイコブス・ジョハネス・ウィルヘルムス・ウェルゼン; Christian Antoine Marie Jean-Pieere Widdershoven; クリスチャン・アントワーヌ・マリー・ジャン−ピエール・ウィダーショーベン
Original assignee: Ten Cate Thiolon BV; Dex Plastomers VOF
Current assignee: Ten Cate Thiolon BV; Dex Plastomers VOF
Priority date: 2002-07-01
Filing date: 2003-07-01
Publication date: 2004-02-12
Also published as: US20040001951A1; US6815059B2; EP1378592A1; CN1508359A

Abstract

【課題】繊維が裂けにくい人工繊維、およびそうした繊維により提供されるスポーツ競技場のための人工芝生を提供すること。
【解決手段】ポリマーからなる第１合成化合物とプラストマーからなる第２合成化合物から構成される合成材料のホイルを製造する。
本発明は上位ホイルを使用したスポーツ競技場に適した人工芝生である。
第１合成化合物がポリマーで第２合成化合物がプラストマーである合成材料の組合せから、本発明に従って製作された繊維は、引き伸ばされた後だけでなく、人工芝生内で非常に激しく使用された場合でも、裂ける傾向が非常にわずかか、あるいはまったく示さない。このため、この繊維は人工芝スポーツ競技場に使用するのに非常に適したものとなり、その結果競技場に必要な保守がより少なくなり、さらにより長く、より激しい使用に耐えることができる。
【選択図】　　　図２

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、第１合成化合物および第２合成化合物から構成される合成材料のホイル（箔）を製造する方法に関する。ただし、第１合成化合物はポリマーからなり、第２合成化合物はプラストマーからなる。
【０００２】
本発明はまた、合成繊維、ならびに本発明による合成繊維を固定する基部を備えたスポーツ競技場に適した人工芝生に関する。
【０００３】
【従来の技術】
上記序文による組成物を有する合成材料は、一般に知られており、ホイルの形態で包装材料または屋根ふき材料として広く使用されている。近年、合成材料は様々な目的に使用されており、特にスポーツ競技場用の人工芝生に各種の合成材料を使用することに関しては、過去数年間にかなりの開発が実現されている。
【０００４】
これに関しては、研究は特にスポーツ競技場用の人工芝生に使用するための合成繊維の開発に集中しており、この場合は特定の長さの繊維が、たとえばタフト処理（ｔｕｆｔｉｎｇ）によって基部に固定される。人工芝繊維およびそれから得られる人工芝スポーツ競技場の開発が非常に進歩したので、現在では天然芝スポーツ競技場と外見に関してだけでなく、特に競技中のその機能に関しても区別するのは非常に難しい人工芝スポーツ競技場を建設することが可能である。
【０００５】
天然芝スポーツ競技場とは違って、人工芝スポーツ競技場は、天候条件と関係無く、より長く、またより激しく競技することができる。近年、新規の人工芝繊維の開発は、特にスライデングした場合の擦過傷およびやけどなどのけがの数、または関節をくじくことの発生率をさらに低減させる繊維に集中している。
【０００６】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、人工芝スポーツ競技場用に特別に開発された既存の繊維は、縦方向に引き伸ばされると、その方向に裂け易いという欠点がある。こうした繊維は、たとえばその上で競技をした結果すぐに裂けるので、その繊維を人工芝スポーツ競技場に使用するには不適当になる。繊維の裂けた部分はまもなく取れて、その結果もつれるか、そうでなければ人工芝スポーツ競技場中にむき出しの激しく競った跡ができる。このことは、衝撃の吸収、スライデング時の抵抗、グリップ力、および透水性などの人工芝生の競技特性に負の影響を及ぼし、けがの危険が増大する。
【０００７】
【課題を解決するための手段】
先に示した合成材料を本発明に従って合成繊維に押出し成形すると、前記繊維は人工芝スポーツ競技場に使用するのに極めて適したものになることが明らかになった。実際には実験により、組成または第１合成化合物と第２合成化合物の比率を適切に選択すると、特定の分子構造のために、縦方向に容易には裂けないような力学的特性を有する合成繊維がもたらされることが確証されている。
【０００８】
このため、繊維は人工芝スポーツ競技場に使用するのに申し分なく適したものになる。
【０００９】
本発明によれば、合成繊維の裂ける性質は、押出しプロセスの後に繊維を引き伸ばすことによってさらにかなり改善することができる。長さの増加はともかく、本発明によれば、材料を選択すると、繊維に引き伸ばしプロセス後に横方向に強い力が得られ、その結果容易には裂けなくなる。人工芝スポーツ競技場に使用した場合、こうした繊維、したがって人工芝生は、より長い寿命を持ち、人工芝生に必要な保守がより少なくなり、より長く競技が可能になる。さらに競技者のけがの危険が相当低減する。
【００１０】
本発明によれば、繊維は少なくとも１本のモノフィラメントからなり、この場合何本かのモノフィラメントをストランドに撚り合わせてもよい。
【００１１】
一方、本発明によれば繊維はバンド、より詳細にはフィブリル化したバンド繊維を形成してもよい。
【００１２】
本発明によれば、繊維中のプラストマーの比率が３０〜８０重量％、特に３５〜５０重量％とすることで、非常に有利な裂け難い性質を持つ繊維が得られる。
【００１３】
第１のポリマーはポリプロピレンまたはポリエチレン、詳細には（線状）低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレンのホモポリマー、またはポリプロピレンのコポリマーでよい。
【００１４】
以下に図面を参照して本発明をより詳細に説明する。
【００１５】
【発明の実施の形態】
人工芝スポーツ競技場の場合、その競技特性ができる限り天然芝スポーツ競技場の特性に匹敵することが望ましい。したがって、現在の人工芝繊維は、とりわけボールの回転の動き、またはその他の競技の属性に関して、さらに競技者のいろいろなけがを予防するために、いくつかの要件に適合する必要がある。特に、スライデングまたは転倒により起こるやけどおよび擦過傷をできるだけ予防すべきであり、その結果人工芝スポーツ競技場用の人工芝繊維は、特にこの状況を防ぐために開発されている。
【００１６】
人工芝繊維は、平らに寝るのを防ぐためには、一定の程度の強度だけなく、一定の弾性またはばね特性を持たなければならないので、最近の人工芝繊維は、ポリマーのグループからの合成材料で製作される。
【００１７】
人工芝繊維に特定のポリマーを使用した場合の欠点は、合成繊維を取り入れた人工芝スポーツ競技場で競技が行われた場合、通常繊維の裂け方が悪いことである。合成繊維が縦方向に裂けると、その結果いくつかの繊維部分が形成され、人工芝スポーツ競技場の競技適性に悪影響を及ぼす。なぜなら、繊維部分がより簡単に取れて、その結果もつれるか、またはむき出しの跡が人工芝スポーツ競技場中に形成されるからである。このことは、人工芝生の競技特性、衝撃吸収性、スライデング抵抗、グリップ力、水透過性に著しい負の影響を与え、かつさらにスライデングにより生じるけがの危険等がかなり増大する。
【００１８】
ポリマーの混合またはブレンドを用いることによって合成繊維の裂け方に影響を与え得ることが明らかになっている。実験により、ある状況、第１合成化合物および第２合成化合物からなる合成材料（ただし、第１合成化合物がポリマーからなり、第２合成化合物がプラストマーからなる）を繊維に押出し成形した場合で得られた繊維は、有利な力学的特性、特に有利な裂け方を有しており、これが繊維を人工芝スポーツ競技場に使用するのに極めて適したものにしていることが確証された。
【００１９】
こうして得られた合成繊維の力学的特性は、混合物中の２種類の合成化合物の分子構造によってかなり決まる。２種類の合成化合物を混合し、混合物を長い繊維に押出し成形した場合、最終生成物にその分子構造レベルにより様々な異なる影響が生じる。
【００２０】
本発明によれば、２種類の合成化合物の一方に対してはポリエチレンまたはポリプロピレンを、他方の合成化合物に対してはプラストマーを本発明に従って選択し、そのブレンドを合成繊維に押出し成形することにより、人工芝スポーツ競技場に非常に適した繊維が得られる。組成または第１合成化合物と第２合成化合物の比率を適当に選択すると、その特定の分子構造により、その繊維が特に縦方向に容易には裂け難い力学的特性を有する合成繊維となることが実験により確証された。
【００２１】
このため、繊維が人工芝スポーツ競技場に使用するのに理想的に適したものになる。
【００２２】
好ましくは、第１合成化合物は、ポリプロピレンまたはポリエチレンである。（線状）低密度ポリエチレンまたは高密度ポリエチレンも、第１合成化合物として使用するのに適していることが明らかになった。また、第１合成化合物として、ポリプロピレンのホモポリマー、またはポリプロピレンのコポリマーを使用することも可能である。
【００２３】
本明細書に記載する、本発明による合成繊維に使用されるプラストマー（第２合成化合物）は、エテンの熱可塑性ホモポリマー、およびエテンとコモノマーとして３〜１０個のＣ原子を有するα−オレフィン、詳細にはプロペン、イソブテン、１−ブテン、１−ヘキセン、４−メチル−１−ペンテン、および１−オクテンとのコポリマーであり、これはメタロセン触媒およびその他のシングル・サイト触媒を用いて調製される。通常、コモノマーの比率は０〜５０重量％、好ましくは５〜３５重量％の範囲にわたる。密度は、通常８６０〜９７０ｋｇ／ｍ^３の範囲にわたる。このプラストマーは、たとえば通常１．５〜３の範囲にわたる値の狭い分子量分布Ｍｗ／Ｍｎを有し、また長鎖の分枝の程度が限定されている点で、チーグラー・ナッタ触媒を用いて調製されているポリエチレンとは異なっている。通常、長鎖はＣ原子１０００個当たり最大３個である。適当なプラストマーは商業規模で、たとえばＥｘｘｏｎおよびＤＥＸ−Ｐｌａｓｔｏｍｅｒｓにより商品名Ｅｘａｃｔ（登録商標）で、またＤｏｗにより、とりわけ商品名Ｅｎｇａｇｅ（登録商標）、Ａｆｆｉｎｉｔｙ（登録商標）、Ｅｘｃｅｅｄ（登録商標）で製造されている。
【００２４】
本発明による適当な繊維は、２種類の合成化合物の間の適当な混合比を選択することにより得ることができ、プラストマーの重量％は３０〜８０％である。
【００２５】
特に、プラストマーを３０〜５０％の重量％で含む合成繊維は、強く改善された力学的特性を有し、特に非常に有利な裂け難さを示す。
【００２６】
一般的に、合成繊維またはバンドを縦方向に引き伸ばすと、前記繊維またはバンドはその方向により裂け易いことが知られている。また、人工芝繊維に使用される既存の材料は裂けるという望ましくない傾向を持っていることが知られている。驚くべきことに、本発明による材料の組合せから製作された／その組合せを持つ繊維は、引き伸ばされた後だけでなく、人工芝生内で非常に激しく使用された場合でも、裂ける傾向を非常にわずかしか、あるいはまったく示さないことが明らかになった。このため、この繊維は人工芝スポーツ競技場に使用するのに非常に適したものとなり、その結果競技場に必要な保守がより少なくなり、さらにより長く、より激しい使用に耐えることができる。この合成繊維は裂け方の改善に加えて、強く改善された弾性およびスプリング特性を示すので、けがおよび／またはスライデングまたは転倒により生じるやけどの危険がかなり低減される。
【００２７】
図１ａおよび１ｂは既知のある合成繊維、および本発明による方法を用いて得られた繊維の力学的特性が互いに区別されるグラフを示す。図１ａは、繊維に横方向の負荷をかけ、ついで引裂き強度をＭＰａの単位で測定した裂け特性を示す。図は、本発明による繊維は引裂き耐性が高く、したがって容易には裂けないことを明確に示している。図１ｂは、２種類の繊維に横方向の負荷をかけた後、破断の瞬間の２種類の繊維の最大伸びを示している。図は、本発明による繊維は、容易に裂けない（図１ａ）だけでなく、さらにより強度が高く（図１ｂ）、その結果人工芝スポーツ競技場に非常に適切に使用することができることを明確に示している。
【００２８】
これまで人工芝スポーツ競技場に使用されてきた合成繊維は横方向に負荷をかけた後２〜５％の伸び係数（図１ｂ参照）を示すが、それに比べて本発明による繊維は、横方向に負荷をかけた後破断する前に１００％の伸び係数を示す（図１ｂ参照）。試験により、第１合成化合物（ポリマー）と第２合成化合物（プラストマー）を適当な混合比率で使用すると、こうして得られた本発明による合成繊維は、横方向に負荷をかけた後破断する前に、最高７００％までの伸び係数を示すことが分かった。
【００２９】
図２ａおよび２ｂは、本発明による合成繊維を使用することができる、人工芝スポーツ競技場のいくつかの実施形態を示す。どちらの図も、人工芝スポーツ競技場は基部１を含み、これに本発明による方法を用いて得られた合成繊維２が、数字３で示す位置に、たとえばタフト処理によって固定される。合成繊維２は、バンドの形に押出し成形し、個々に、または繊維の束２ａ−２ｂとして基部に固定してもよい。詳細には、バンドの形に押出し成形した繊維は、フィブリル化バンド繊維である。
【００３０】
別の実施形態では、図２ｂに示すように、本発明による合成繊維は、モノフィラメントでもよい。この実施形態でも、いくつかのモノフィラメントを撚糸により束に組み合わせ、その後各束を基部１に固定してもよい。図２ｂでは、基部は支持ヤーン１ａ−１ｂの格子からなる開構造を有し、これに合成繊維２を固定する。
【図面の簡単な説明】
【図１】既存、および本発明による繊維の横方向に荷重をかけた場合の、横方向の比力学的特性を示すグラフである。
【図２】本発明による方法を用いて得られた合成繊維により提供された、人工芝スポーツ競技場のいくつかの実施形態を示す概略図である。
【符号の説明】
１　基部
２　合成繊維
３　固定位置
２ａ、２ｂ、２ｃ　繊維の束
１ａ、１ｂ　支持ヤーン

Claims

第１合成化合物および第２合成化合物から構成され、第１合成化合物はポリマーからなり、第２合成化合物はプラストマーからなる、合成材料のホイルを製造する方法であって、前記合成化合物が繊維に押出し成形されることを特徴とする方法。
繊維が、押し出しされた後に引き伸ばし操作にかけられることを特徴とする請求項１に記載の方法。
繊維が少なくとも１本のモノフィラメントからなることを特徴とする請求項１または２に記載の方法。
繊維が何本かの撚り合わせたモノフィラメントからなることを特徴とする請求項３に記載の方法。
繊維がバンドとして形成されることを特徴とする請求項１または２に記載の方法。
バンド繊維がフィブリル化したバンド繊維として形成されることを特徴とする請求項５に記載の方法。
繊維中のプラストマーの比率が３０〜８０重量％であることを特徴とする請求項１ないし６のいずれか一項または複数項に記載の方法。
繊維中のプラストマーの比率が３０〜５０重量％であることを特徴とする請求項７に記載の方法。
ポリマーが、ポリプロピレンまたはポリエチレン、特に（線状）低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレンのホモポリマー、またはポリプロピレンのコポリマーであることを特徴とする請求項１ないし８のいずれか一項または複数項に記載の方法。
請求項１ないし９のいずれか一項または複数項に記載の方法を用いることにより得られる押出し成形された繊維。
前記第１合成化合物がポリマーで、前記第２合成化合物がプラストマーであることを特徴とする、第１合成化合物および第２合成化合物から構成される合成繊維。
繊維中のプラストマーの比率が３０〜８０重量％であることを特徴とする請求項１１に記載の合成繊維。
繊維中のプラストマーの比率が３５〜５０重量％であることを特徴とする請求項１２に記載の合成繊維。
ポリマーが、ポリプロピレンまたはポリエチレン、特に（線状）低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレンのホモポリマー、またはポリプロピレンのコポリマーであることを特徴とする請求項１１ないし１３のいずれか一項または複数項に記載の合成繊維。
前記プラストマーが、エテンの熱可塑性ホモポリマーであることを特徴とする請求項１１ないし１４のいずれか一項または複数項に記載の合成繊維。
前記プラストマーが、エテンとコモノマーとして３〜１０個のＣ原子を有するα−オレフィン、特にプロペン、イソブテン、１−ブテン、１−ヘキセン、４−メチル−１−ペンテン、および１−オクテンとのコポリマーであることを特徴とする請求項１１ないし１４のいずれか一項または複数項に記載の合成繊維。
コモノマーの比率が０〜５０重量％、好ましくは５〜３５重量％の範囲にわたることを特徴とする請求項１６に記載の合成繊維。
プラストマーの密度が、８６０〜９７０ｋｇ／ｍ^３の範囲にわたることを特徴とする請求項１５ないし１７のいずれか一項または複数項に記載の合成繊維。
請求項１１ないし１８のいずれか一項または複数項に記載の合成繊維を含む、スポーツ競技場に適する人工芝生。
前記芝生が合成繊維を固定する基部を含むことを特徴とする請求項１９に記載の人工芝生。
粒状の材料を合成繊維の間に撒き散らすことを特徴とする請求項１９または２０に記載の人工芝生。