JP2004041967A - エネルギーシステム - Google Patents
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Abstract
【課題】化石燃料・ゴミ・バイオマス等の燃料や原子力等によって発電し、水素と酸素を製造し、熱効率が高く、発生する炭酸ガスをほぼ100%回収、処理することができるエネルギーシステムを提供する。
【解決手段】発電プラント1のタービン排気や抽気を水・アンモニア混合媒体電力・冷熱プラント2に導いて発電や冷媒製造を行い、電力を水電解プラント3に導いて水素と酸素を製造し、酸素は液化プラント4に導いて液化し、液体酸素貯蔵施設6に貯蔵し、水素は多孔性炭素材料の水素吸蔵材を設置した水素貯蔵施設5に貯蔵する。水素は専用輸送船で輸送し、水素吸蔵合金搭載自動車に供給し、液体酸素は火力発電プラント43に供給して酸素燃焼に用い、回収した炭酸ガスは液化して二酸化炭素処理部46において深海底にハイドレート化して放出する。
【選択図】 図1
【解決手段】発電プラント1のタービン排気や抽気を水・アンモニア混合媒体電力・冷熱プラント2に導いて発電や冷媒製造を行い、電力を水電解プラント3に導いて水素と酸素を製造し、酸素は液化プラント4に導いて液化し、液体酸素貯蔵施設6に貯蔵し、水素は多孔性炭素材料の水素吸蔵材を設置した水素貯蔵施設5に貯蔵する。水素は専用輸送船で輸送し、水素吸蔵合金搭載自動車に供給し、液体酸素は火力発電プラント43に供給して酸素燃焼に用い、回収した炭酸ガスは液化して二酸化炭素処理部46において深海底にハイドレート化して放出する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、離島に設置した発電プラントで生成した電気で水の電気分解を行って水素と酸素を製造し、消費地に船で輸送して水素自動車に水素を供給し、また前記酸素を火力発電プラントに供給して発生する炭酸ガスを回収して離島の周辺深海底に貯蔵するエネルギーシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、人類は中国や東南アジア地域の急速な経済発展に伴うエネルギー需要の急増が現実化する下で地球温暖化や酸性雨等の地球規模的な環境問題に直面している。増大するエネルギー需要を賄うのに、資源の偏在が無く豊富に存在する石炭資源の利用は必然的な状況にあり、エネルギーの利用形態としては電気と熱があるが、所得水準が向上するにつれて使い易い電気の需要が増大する傾向がある。
【0003】
石炭発電プラント、天然ガス発電プラントや石油火力発電プラントでは炭酸ガスの排出が問題である。この排出される炭酸ガスを容易に100%回収する方法として化石燃料を炭酸ガス雰囲気中酸素燃焼する方法がある。電力や熱の昼間の需要に対して夜間にはその60%程度に減少する変動があるため、夜間の発電プラントの稼動率を向上させる方策が検討されている。
【0004】
自動車の動力源として、現在はガソリン、軽油を燃料とするレシプロエンジンが主流となっているが、自動車が排出する炭酸ガスを削減することが重要な課題になっている。そのため大気汚染対策として水素燃料エンジンの開発が行われている。水素の貯蔵と輸送には気体より液体の方が効率的であるが、−252.6℃の液化温度の液体水素を入れる容器の経済性が問題になるため水素吸蔵合金に貯蔵する方法が検討されている。
【0005】
水深200mの海洋深層水は、7℃程度の低温であり、海表面水との温度差で発電が可能であるが、低温側と高温側に大型の熱交換器が必要であるために単独では建設費が高くなるため既設発電プラントのボトミングに付設して建設費を削減する検討がされている。
【0006】
海洋深層水の取水適地として琉球諸島や、伊豆・小笠原諸島があり、加熱された清浄な海洋深層水で養殖を行うことにより、今後中国などで増大する動物性たんぱく質に対する需要に対処することができるようになるが、これらの諸島には大きな電力需要が無いため発電設備を設置する需要がこれまでは無かった。しかしながら、今後水素自動車への水素供給が重要になり、電気分解で得られる水素を東京圏、大阪圏、中国の上海等に輸送して販売する道が開ける情勢になりつつある。また、同時に得られる酸素は大都市近郊に設置された火力発電所で炭酸ガス雰囲気中酸素燃焼に利用し、炭酸ガスを100%回収するのに利用することができる。この回収された炭酸ガスは液体酸素輸送船の帰りの荷として離島に持ち帰り離島周辺の深海底にハイドレート化して貯蔵することができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
今後中国や東南アジアの経済発展に伴い膨大な電気エネルギーや自動車駆動エネルギーの需要が発生するが、炭酸ガスの排出による地球温暖化を防止しながらこれに対処するには、原子力エネルギーの利用、100%炭酸ガスを回収する化石燃料の利用による発電と水の電気分解によって水素と酸素の製造を行い、回収した炭酸ガスを貯蔵する必要がある。また、東南アジアでの経済発展に伴う動物性蛋白質に対する需要に対応するために大規模な魚の養殖を行う必要がある。
【0008】
特開2000−2790号公報に記載された発明では、原子力発電プラントのボトミングサイクルに水・アンモニア混合媒体発電・冷媒生成プラントを付設し、ピーク電力需要対応として化石燃料発電プラントを付設して夜間電力で水の電気分解を行い、化石燃料発電プラントの燃焼を炭酸ガス雰囲気中酸素燃焼にして100%炭酸ガス回収を行い、電気分解で得られる水素を液化して利用する方法を採っているが、液化のために多くのエネルギーが必要なこと、20Kの液体水素を入れておく容器の問題がある。
【0009】
大規模な養殖を行うには海洋深層水の清浄性を利用するのが有利であり、琉球列島の島々や、伊豆・小笠原諸島の島々が取水には最適であり、大規模養殖の可能性があるが、大量の電気の需要はないため、発電された電気で大消費地向けの水素を製造することと排熱で海洋深層水を加熱して養殖を行う最適システムを構築する必要がある。
【0010】
本発明はかかる従来の事情に対処してなされたものであり、有機物系の燃料や原子力等によって発電し、水素と酸素を製造し貯蔵し供給し、熱効率が高く、発生する炭酸ガスをほぼ100%回収し、回収した炭酸ガスを環境に影響しない方法で処理することができるエネルギーシステムを提供することを目的とする。
【0011】
【発明が課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、水素・酸素供給システムと水素・酸素消費システムと二酸化炭素処理部とを備え、前記水素・酸素供給システムは、酸素および炭酸ガス雰囲気中で有機物系の燃料を燃焼させて水蒸気、炭酸ガスおよび電力を発生する発電プラントと、水より沸点の低い媒体を作動媒体とし前記発電プラントから供給された水蒸気の熱を用いて電力と冷媒を生成する低沸点媒体電力・冷熱プラントと、この低沸点媒体電力・冷熱プラントおよび前記発電プラントから電力を供給されて水を電気分解する水電解プラントと、前記低沸点媒体電力・冷熱プラントから冷媒を供給されて前記水電解プラントにおいて生成された水素と酸素および前記発電プラントから供給された炭酸ガスを冷却し液化する液化プラントと、前記冷却された水素を水素吸蔵材に吸着させて貯蔵する水素貯蔵施設と、前記液化された酸素を貯蔵する液体酸素貯蔵施設と、前記液化された炭酸ガスを貯蔵する液体炭酸ガス貯蔵施設とを備え、前記水素・酸素消費システムは、前記水素貯蔵施設から水素を吸蔵した水素吸蔵材を供給され貯蔵し消費者に供給する消費地水素貯蔵施設と、前記液体酸素貯蔵施設から液体酸素を供給されて酸素および炭酸ガス雰囲気中で有機物系の燃料を燃焼させて発電を行う火力発電プラントとを備え、前記二酸化炭素処理部は、前記火力発電プラントおよび前記液体炭酸ガス貯蔵施設から二酸化炭素を供給されて深海にハイドレート化して放出する処理施設を備えている構成とする。
【0012】
請求項2の発明は、水素・酸素供給システムと水素・酸素消費システムと二酸化炭素処理部とを備え、前記水素・酸素供給システムは、原子力、地熱、温泉水、太陽熱等の酸素燃焼を要しない加熱源によって水蒸気および電力を発生する発電プラントと、水より沸点の低い媒体を作動媒体とし前記発電プラントから供給された水蒸気の熱を用いて電力と冷媒を生成する低沸点媒体電力・冷熱プラントと、この低沸点媒体電力・冷熱プラントおよび前記発電プラントから電力を供給されて水を電気分解する水電解プラントと、前記低沸点媒体電力・冷熱プラントから冷媒を供給されて前記水電解プラントにおいて生成された水素と酸素を冷却し液化する液化プラントと、前記冷却された水素を水素吸蔵材に吸着させて貯蔵する水素貯蔵施設と、前記液化された酸素を貯蔵する液体酸素貯蔵施設とを備え、前記水素・酸素消費システムは、前記水素貯蔵施設から水素を吸蔵した水素吸蔵材を供給され貯蔵し消費者に供給する消費地水素貯蔵施設と、前記液体酸素貯蔵施設から液体酸素を供給されて酸素および炭酸ガス雰囲気中で有機物系の燃料を燃焼させて発電を行う火力発電プラントとを備え、前記二酸化炭素処理部は、前記火力発電プラントから二酸化炭素を供給されて深海にハイドレート化して放出する処理施設を備えている構成とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の第1の実施の形態のエネルギーシステムを図1を参照して説明する。すなわち本実施形態のエネルギーシステムは、発電プラント1と低沸点媒体電力・冷熱プラント2と水電解プラント3と液化プラント4と水素貯蔵施設5と液体酸素貯蔵施設6と液体炭酸ガス貯蔵施設7と養殖施設9を備え離島のような人口の密集していない場所に設けられた水素・酸素供給システム40と、水素貯蔵施設8と火力発電プラント43を備え消費地に設けられた水素・酸素消費システム41と、この水素・酸素消費システム41および前記水素・酸素供給システム40において発生した二酸化炭素を深海に放出する二酸化炭素処理部46とからなる。
【0014】
このような構成によって、水素・酸素供給システム40に設置され電気と水蒸気と炭酸ガスを発生する発電プラント1より水蒸気10を低沸点媒体電力・冷熱プラント2に輸送して冷媒生成と発電を行い、冷媒11を液化プラント4へ送り、電気14を水電解プラント3へ輸送する。液化プラント4で液化した酸素を液体酸素貯蔵施設6に貯蔵する。発電プラント1で発生した炭酸ガスも液化して液体炭酸ガス貯蔵施設7に貯蔵する。水電解プラント3で製造した水素を水素貯蔵施設5に貯蔵し、また、船27で水素・酸素消費システム41の水素貯蔵施設8に輸送して利用する。
【0015】
さらに、液体酸素貯蔵施設6に貯蔵された液体酸素を船42で水素・酸素で消費システム41の火力発電プラント43に輸送し、炭酸ガス雰囲気中酸素燃焼に使用する。この燃焼から回収された炭酸ガスを液化して船44で水素・酸素供給システム40に持ち帰り、二酸化炭素処理部46に送って離島周辺の深海に液体炭酸ガス45をハイドレート化して放流する。さらに、低沸点媒体電力・冷熱プラント2の冷却に用いて加温された海洋深層水25を養殖施設9に導いて利用し、利用後の海洋深層水26を海域肥沃化のために沿岸海域47に放流する。
【0016】
さらに詳しく説明すると以下のとおりである。すなわち、水素・酸素供給システム40に設置された発電プラント1は、燃焼器、ガスタービン、ボイラ、水蒸気タービン、発電機、循環ポンプ等で構成され、燃焼器には化石燃料、ゴミ、バイオマス等の有機物系の燃料12のガス化されたものと、加圧・加熱された炭酸ガス23および気体酸素24が導入されて炭酸ガス雰囲気中酸素燃焼が行われる。
【0017】
発生した燃焼ガスの炭酸ガスと水蒸気はガスタービンを駆動後に排熱回収ボイラーで冷却された後に炭酸ガス15として液化プラント4に導かれる。排熱回収ボイラーあるいはボイラーで発生した蒸気は、分岐して水蒸気タービンに導かれるものと低沸点媒体電力・冷熱プラント2に導かれるものがあり、水蒸気タービンに導かれたものはこれを駆動し、同軸に結合された発電機で発電を行う。
【0018】
ボイラーで発生し分岐された蒸気および水蒸気タービンの排気からなる水蒸気10は、低沸点媒体電力・冷熱プラント2の加熱器に導かれて熱交換を行って復水する。復水28は発電プラント1の循環ポンプ入口に戻される。発電プラント1で発電された電気13は、水電解プラント3に導かれる。
【0019】
低沸点媒体電力・冷熱プラント2は、加熱器、分離器、混合媒体タービン、発電機、復液器、熱交換器、断熱膨張装置、加圧ポンプ等で構成され、作動媒体として水・アンモニア混合媒体が用いられる。
【0020】
加圧ポンプで加圧された混合媒体が加熱器に導かれ、発電プラント1からの水蒸気10と熱交換を行なって分離器に導かれ、高濃度混合媒体蒸気と低濃度混合媒体液に分離される。高濃度混合媒体蒸気は分岐されて混合媒体タービンに導かれてこれを駆動して同軸に結合された発電機で発電を行う。混合媒体タービンの排気は復液器に導かれ、海洋深層水22が流れる熱交換部で熱交換をして復液する。
【0021】
分岐された残りの高濃度混合媒体蒸気は熱交換器に導かれ海洋深層水22が流れる熱交換部で熱交換をして冷却されて復液し、断熱膨張装置に導かれて断熱膨張を行い、冷媒を生成する。この冷媒11は液化プラント4に導かれて熱交換器で熱交換を行って混合媒体蒸気29となって低沸点媒体電力・冷熱プラント2の復液器に導かれ、海洋深層水22が流れる熱交換部で熱交換をして復液する。 発電された電気14は水電解プラント3に導かれる。復液器で熱交換を行って加熱された海洋深層水25は、養殖施設9に導かれる。
【0022】
水電解プラント3は、アルカリ水電解法や固体高分子型水電解法を用いる水の電解施設である。発電プラント1および低沸点媒体電力・冷熱プラント2から送られた交流電気13,14を直流に整流し、淡水16を電気分解する。電気分解によって得られた酸素17と水素18を液化プラント4に移送する。淡水16は、発電プラント1より液化プラント4に送られる炭酸ガス15より水分を除去した時に得られる淡水を用いてもよい。
【0023】
液化プラント4は、コンプレッサ、精製装置、熱交換器、膨張弁、中圧精留塔、低圧精留塔、過冷却器等で構成される。発電プラント1からの炭酸ガス15および水電解プラント3からの酸素17と水素18は、低沸点媒体電力・冷熱プラント2からの冷媒11が流れる熱交換部で冷却され、除湿を行った後でコンプレッサに導かれる。
【0024】
加圧された炭酸ガスと酸素と水素の混合ガスは熱交換器に導かれて、低沸点媒体電力・冷熱プラント2からの冷媒11が流れる熱交換部で冷却され、膨張弁を経由して、酸素と水素は中圧精留塔、過冷却器、低圧精留塔を経由して液体酸素と液体窒素温度(−196℃)程度の水素になる。また、膨張弁で断熱膨張をして液化した液体炭酸ガスが生成される。水素19は、水素貯蔵施設5に移送され、液体酸素20は液体酸素貯蔵施設6に移送され、液体炭酸ガス21は液体炭酸ガス貯蔵施設7に移送される。
【0025】
水素貯蔵施設5は、活性炭、フラーレン、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン等の多孔性炭素質材料の表面に水素分子を水素原子に分離させる機能を有する金属もしくは合金の被膜を塗布し、−196℃で30気圧以上にして水素を吸蔵させる水素吸蔵材を収納する容器に水素を充填する設備が設けられている。−196℃で30気圧以上にして水素を吸蔵した水素吸蔵材を充填した容器を輸送船27で消費地に設けられた水素・酸素消費システム41の水素貯蔵施設8に移送し、帰りの船で水素貯蔵施設8より空の容器を水素貯蔵施設5に移送する。
【0026】
水素貯蔵施設8では、−196℃で30気圧以上にして水素を吸蔵した水素吸蔵材を充填した容器より、ランタン・ニッケル合金、鉄・チタン合金などが使用された水素吸蔵合金1モル当たり20℃で3気圧の水素約3モルを吸蔵させ、水素自動車の水素燃料として供給する。水素自動車では80℃に加熱すると約17気圧の水素が取り出せる。
【0027】
液体酸素貯蔵施設6に貯蔵された酸素は、ポンプで加圧した後で冷熱を回収して加熱し、酸素ガス24として発電プラント1の燃焼器に送って炭酸ガス雰囲気中酸素燃焼に用いる。熱回収を行った酸素ガス24は養殖施設9にも供給される。また、液体酸素を船42で水素・酸素消費システム41の火力発電プラント43に輸送し、炭酸ガス雰囲気中酸素燃焼に利用する。火力発電プラント43で発生した炭酸ガスは100%回収して液化し、船44で水素・酸素供給システム40の液体炭酸ガス貯蔵施設7に輸送する。船42と船44を同一のものとし液体酸素輸送容器を液体炭酸ガス輸送容器に兼用してもよい。
【0028】
液体炭酸ガス貯蔵施設7では、液体炭酸ガスをポンプで加圧した後で冷熱を回収して加熱し、炭酸ガス23として発電プラント1の燃焼器に送り、炭酸ガス雰囲気中酸素燃焼の不活性ガスとして用いる。液体炭酸ガス45は、離島の周辺海域に設けた二酸化炭素処理部46で水深440m以深の深海まで配管で輸送し、海中に放出する。液体炭酸ガス45の輸送配管は、その先端が水深440m以深に開口し、内圧を44気圧以上として海洋深層水を30%以上混ぜてハイドレート化したものを含む状態で海中に放出する。
【0029】
養殖施設9には、低沸点媒体電力・冷熱プラント2の復液器で熱交換を行って加温された海洋深層水25が導かれ、また液体酸素から冷熱を回収した酸素ガス24がひらめ、アワビ等の養殖槽に注入されて養殖に用いられる。残滓等を取り除いた海洋深層水26を沿岸海域47に放流し、海域肥沃化に用いる。
【0030】
この第1の実施の形態のエネルギーシステムは下記のように動作する。すなわち、化石燃料・ゴミ・バイオマス等の有機物系の燃料12をガス化したり、そのまま燃焼させる水素・酸素供給システム40の発電プラント1の水蒸気タービンよりの40℃〜50℃の排気水蒸気10を、水・アンモニア混合媒体を作動媒体とする低沸点媒体電力・冷熱プラント2の加熱器に導いて高濃度の混合媒体蒸気を生成し、混合媒体タービンに導いてこれを駆動し同軸に結合された発電機で発電を行う。この時、混合媒体タービンの排気を8℃程度の低温の海洋深層水22で冷却して混合媒体タービン出口背圧を下げることにより混合媒体タービン駆動力を向上させて発電量を向上させる。
【0031】
発電プラント1および低沸点媒体電力・冷熱プラント2で発電した電気13,14を水電解プラント3に導いて淡水16の電気分解を行って水素と酸素を製造する。製造された水素と酸素、および発電プラント1の炭酸ガス雰囲気中酸素燃焼で発生し100%回収した炭酸ガス15を液化プラント4に導いて、低沸点媒体電力・冷熱プラント2で生成した冷媒11を利用して液体酸素と液体炭酸ガスを製造して液体酸素貯蔵施設6と液体炭酸ガス貯蔵施設7に貯蔵する。
【0032】
水素は液体窒素温度(−196℃)程度にして30気圧以上に加圧して、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン等の多孔性炭素材料の水素吸蔵材に吸着させて水素貯蔵施設5に貯蔵し、水素を吸着させた水素吸蔵材を専用の輸送船27で水素・酸素消費システム41の水素貯蔵施設8に輸送して貯蔵する。水素貯蔵施設8では20℃、3気圧で多孔性炭素材料の水素吸蔵材からランタン・ニッケル合金等の水素吸蔵合金に水素吸蔵の移し替えを行い、このランタン・ニッケル合金等の水素吸蔵合金を自動車に搭載して水素自動車に燃料供給する。
【0033】
液体酸素貯蔵施設6に貯蔵された液体酸素は船42で水素・酸素消費システム41の火力発電プラント43に輸送し、炭酸ガス雰囲気中酸素燃焼を行うのに用い、その排ガスより炭酸ガスを100%回収して液化を行い、船44で水素・酸素供給システム40の液体炭酸ガス貯蔵施設7へ輸送する。船42と船44は同一のものを使用し、液体酸素輸送容器と液体炭酸ガス輸送容器は兼用する。
【0034】
液体炭酸ガス貯蔵施設7より液体炭酸ガスを離島周辺に設けた二酸化炭素処理部46の水深440m以深まで配管で導いて海中に液体炭酸ガスを放出する。配管内を輸送する圧力は44気圧以上とし、海洋深層水を30%以上混合して液体炭酸ガスを一部ハイドレート化したものを直径10mm程度の液泡として海中に放出する。放出された液泡は海底に向かって沈降する。
【0035】
また、低沸点媒体電力・冷熱プラント2に設けられた混合媒体タービンの排気を冷却した海洋深層水25の排出温度が、ひらめ、あわび等の適水温になるようにして養殖施設9に供給する。海洋深層水25の排出温度を高くすると低沸点媒体電力・冷熱プラント2の発電量が減少するため、養殖効率と発電効率のトータルで最大効率になるように調整する。
【0036】
この第1の実施の形態のエネルギーシステムは下記のような効果を生じる。すなわち、琉球諸島や伊豆・小笠原諸島は、低温度の海洋深層水を取水するための適地であるが発電需要がない。このような所に設けられた水素・酸素供給システム40に有機物系の燃料12を燃焼させる発電プラント1を設置し、そのボトミングサイクルとして低沸点媒体電力・冷熱プラント2を設置し、低温度の海洋深層水22で低沸点媒体電力・冷熱プラント2の復液器の冷却を行って総合発電効率を最大にすることができる。
【0037】
また、発電された電気で水の電気分解を行って酸素と水素を製造し、酸素は液化し貯蔵して前記発電プラント1での炭酸ガス雰囲気中酸素燃焼に用いたり、船42で水素・酸素消費システム41の火力発電プラント43に輸送して炭酸ガス雰囲気中酸素燃焼に用い、ここで発生する炭酸ガスを100%回収して液化して船で再び水素・酸素供給システム40の液体炭酸ガス貯蔵施設7まで同じ船と輸送容器で輸送し、液体炭酸ガスをハイドレート化して二酸化炭素処理部46の水深440m以深の海中に放出して炭酸ガスの貯蔵処理を行うことができる。
【0038】
また、低沸点媒体電力・冷熱プラント2で生成された冷媒11で水素を−196℃程度に冷却し、水素吸蔵材に吸蔵させて水素・酸素消費システム41に専用船で輸送して水素自動車に用いることができる。冷媒11は液体酸素と液体炭酸ガスを生成するのにも用い、低沸点媒体電力・冷熱プラント2の復液器の冷却に用いて加温された海洋深層水25をヒラメやアワビの養殖に用いることができる。
【0039】
このようにして、自動車等の動力源として環境への炭酸ガス放出の無い水素が効率良く製造でき、100%回収した炭酸ガスをハイドレート化して深海に貯蔵することで大気中への炭酸ガスの排出が無く、低温の海洋深層水を加温して養殖の適水温として効率良く水産物を養殖することができる。
【0040】
また、豊富に存在する石炭等の有機物系の燃料を炭酸ガス雰囲気中酸素燃焼させて発電し、その排熱を海洋深層水の昇温に用いることで炭酸ガスを容易に100%回収し、回収した炭酸ガスは深海に貯蔵できるため貯蔵の問題を発生することがない。
【0041】
さらに、離島で酸素を製造し、消費地に送って炭酸ガス雰囲気中燃焼の火力発電を行い、容易に100%回収ができる炭酸ガスを液化して離島に送ることで、液体酸素と液体炭酸ガスの輸送船と輸送容器を共有化することができるため、設備の高稼働率が得られる。
【0042】
つぎに本発明の第2の実施の形態のエネルギーシステムを図2を参照して説明する。すなわちこの実施の形態のエネルギーシステムは、発電プラント1aと低沸点媒体電力・冷熱プラント2と水電解プラント3と液化プラント4と水素貯蔵施設5と液体酸素貯蔵施設6と液体炭酸ガス貯蔵施設7と養殖施設9を備え離島のような人口の密集していない場所に設けられた水素・酸素供給システム40と、水素貯蔵施設8と火力発電プラント43を備え消費地に設けられた水素・酸素消費システム41と、この水素・酸素消費システム41および前記水素・酸素供給システム40において発生した二酸化炭素を深海に放出する二酸化炭素処理部46とからなる。
【0043】
発電プラント1aは原子力発電プラント、地熱発電プラント、温泉水発電プラント、太陽熱発電プラント等であり、ウラン、地熱、温泉水、太陽熱等の加熱源30が発電プラント1aに供給される。これ等の加熱源30は炭酸ガス雰囲気中酸素燃焼を行う必要がないために、図1に示した第1の実施の形態と比較すると、加熱・加圧された炭酸ガス23および酸素ガス24の発電プラント1aへの供給系と、燃焼で発生する炭酸ガス・水蒸気等の炭酸ガス15の回収系と、液化プラント4における炭酸ガスの液化系を備えていない。そのほかの構成は第1の実施の形態におけると同じである。
【0044】
この第2の実施の形態のエネルギーシステムは下記のように動作する。すなわち、水素・酸素供給システム40の発電プラント1aには加熱源30からウラン、地熱、温泉水、太陽熱等が供給され、発電プラント1aの水蒸気タービンよりの40℃〜50℃の排気水蒸気10を、水・アンモニア混合媒体を作動媒体とする低沸点媒体電力・冷熱プラント2の加熱器に導いて高濃度の混合媒体蒸気を生成し、混合媒体タービンに導いてこれを駆動し同軸に結合された発電機で発電を行う。この時、混合媒体タービンの排気を8℃程度の低温の海洋深層水22で冷却して混合媒体タービン出口背圧を下げることにより混合媒体タービン駆動力を向上させて発電量を向上させる。
【0045】
発電プラント1および低沸点媒体電力・冷熱プラント2で発電した電気13,14を水電解プラント3に導いて淡水16の電気分解を行って水素と酸素を製造する。製造された水素18と酸素17を液化プラント4に導いて、低沸点媒体電力・冷熱プラント2で生成した冷媒11を利用して液体酸素を製造して液体酸素貯蔵施設6に貯蔵する。
【0046】
水素は液体窒素温度(−196℃)程度にして30気圧以上に加圧して、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン等の多孔性炭素材料の水素吸蔵材に吸着させて水素貯蔵施設5に貯蔵し、水素を吸着させた水素吸蔵材を専用の輸送船27で水素・酸素消費システム41の水素貯蔵施設8に輸送して貯蔵する。水素貯蔵施設8では20℃、3気圧で多孔性炭素材料の水素吸蔵材からランタン・ニッケル合金等の水素吸蔵合金に水素吸蔵の移し替えを行い、このランタン・ニッケル合金等の水素吸蔵合金を自動車に搭載して水素自動車に燃料供給する。
【0047】
液体酸素貯蔵施設6に貯蔵された液体酸素は船42で水素・酸素消費システム41の火力発電プラント43に輸送し、炭酸ガス雰囲気中酸素燃焼を行うのに用い、その排ガスより炭酸ガスを100%回収して液化を行い、船44で水素・酸素供給システム40の液体炭酸ガス貯蔵施設7へ輸送する。船42と船44は同一のものを使用し、液体酸素輸送容器と液体炭酸ガス輸送容器は兼用する。
【0048】
液体炭酸ガス貯蔵施設7より液体炭酸ガスを離島周辺に設けた二酸化炭素処理部46の水深440m以深まで配管で導いて海中に液体炭酸ガスを放出する。配管内を輸送する圧力は44気圧以上とし、海洋深層水を30%以上混合して液体炭酸ガスを一部ハイドレート化したものを直径10mm程度の液泡として海中に放出する。放出された液泡は海底に向かって沈降する。
【0049】
また、低沸点媒体電力・冷熱プラント2に設けられた混合媒体タービンの排気を冷却した海洋深層水25の排出温度が、ひらめ、あわび等の適水温になるようにして養殖施設9に供給する。海洋深層水25の排出温度を高くすると低沸点媒体電力・冷熱プラント2の発電量が減少するため、養殖効率と発電効率のトータルで最大効率になるように調整する。
【0050】
この第2の実施の形態のエネルギーシステムは下記のような効果を生じる。すなわち、琉球諸島や伊豆・小笠原諸島は、低温度の海洋深層水を取水するための適地であるが発電需要がない。このような所に設けられた水素・酸素供給システム40にウラン、地熱、温泉水、太陽熱等の酸素燃焼を要しない加熱源30を熱源とする発電プラント1aを設置し、そのボトミングサイクルとして低沸点媒体電力・冷熱プラント2を設置し、低温度の海洋深層水22で低沸点媒体電力・冷熱プラント2の復液器の冷却を行って発電量を増大することができる。
【0051】
また、発電された電気で水の電気分解を行って酸素と水素を製造し、酸素は液化し貯蔵して船42で水素・酸素消費システム41の火力発電プラント43に輸送して炭酸ガス雰囲気中酸素燃焼に用い、ここで発生する炭酸ガスを100%回収して液化して船で再び水素・酸素供給システム40の液体炭酸ガス貯蔵施設7まで同じ船と輸送容器で輸送し、液体炭酸ガスをハイドレート化して二酸化炭素処理部46の水深440m以深の海中に放出して炭酸ガスの貯蔵処理を行うことができる。
【0052】
また、低沸点媒体電力・冷熱プラント2で生成された冷媒11で水素を−196℃程度に冷却して水素吸蔵材に吸蔵させて水素・酸素消費システム41に専用船で輸送して水素自動車に用いることができる。冷媒11は液体酸素と液体炭酸ガスを生成するのにも用い、低沸点媒体電力・冷熱プラント2の復液器の冷却に用いて加温された海洋深層水25をヒラメやアワビの養殖に用いることができる。
【0053】
このようにして、自動車等の動力源として環境への炭酸ガス放出の無い水素が効率良く製造でき、100%回収した炭酸ガスをハイドレート化して深海に貯蔵することで大気中への炭酸ガスの排出が無く、低温の海洋深層水を加温して養殖の適水温として効率良く水産物を養殖することができる。
【0054】
また、豊富に存在する石炭等を火力発電プラント43において炭酸ガス雰囲気中酸素燃焼させて発電し、炭酸ガスを容易に100%回収し、回収した炭酸ガスは深海に貯蔵できるため貯蔵の問題を発生することがない。さらに、離島で酸素を製造し、消費地に送って炭酸ガス雰囲気中燃焼の火力発電を行い、容易に100%回収ができる炭酸ガスを液化して離島に送ることで、液体酸素と液体炭酸ガスの輸送船と輸送容器を共有化することができるため、設備の高稼働率が得られる。
【0055】
このように、この発明の第2の実施の形態によれば、発電し、水素と酸素を製造し貯蔵し供給し、熱効率が高く、発生する炭酸ガスをほぼ100%回収し、回収した炭酸ガスを環境に影響しない方法で貯蔵処理することができるエネルギーシステムを提供することができるとともに、第1の実施の形態と比べて設備費が低減され、システム構成が簡素であるのでシステムの信頼性も向上する。
【0056】
つぎに本発明の第3の実施の形態のエネルギーシステムを図3を参照して説明する。すなわちこの実施の形態のエネルギーシステムは、低沸点媒体電力・冷熱プラント2aと水電解プラント3と液化プラント4と水素貯蔵施設5と液体酸素貯蔵施設6と液体炭酸ガス貯蔵施設7と養殖施設9を備え離島のような人口の密集していない場所に設けられた水素・酸素供給システム40と、水素貯蔵施設8と火力発電プラント43を備え消費地に設けられた水素・酸素消費システム41と、この水素・酸素消費システム41および前記水素・酸素供給システム40において発生した二酸化炭素を深海に放出する二酸化炭素処理部46とからなる。
【0057】
低沸点媒体電力・冷熱システムプラント2aの低沸点媒体の加熱器がボイラになっていて、化石燃料、ゴミ、バイオマス等の有機物系の燃料12がボイラに供給され、炭酸ガス雰囲気中燃焼を行ってアンモニア水溶液等の低沸点媒体を加熱する構成になっている。そのほかの液化プラント4等の構成は第1の実施の形態におけると同じである。
【0058】
このような構成によって、低沸点媒体電力・冷熱システム2aのボイラに化石燃料、ゴミ、バイオマス等の有機物系の燃料12を供給し、炭酸ガス雰囲気中燃焼を行って低沸点媒体を加熱し、高濃度低沸点媒体蒸気と低濃度低沸点媒体液に分離し、高濃度低沸点媒体蒸気でタービンを駆動して発電し、また、高濃度低沸点媒体を冷却して液化し断熱膨張を行って冷媒を生成する。すなわち、この第3の実施の形態のエネルギーシステムにおける低沸点媒体電力・冷熱システム2aは、第1の実施の形態のエネルギーシステムにおける発電プラント1と低沸点媒体電力・冷熱プラント2を合わせた動作を行う。そのほかの液化プラント4等の動作は第1の実施の形態におけると同じである。
【0059】
この第3の実施の形態のエネルギーシステムによれば、化石燃料、ゴミ、バイオマス等の燃焼で得られる高温度から海洋深層水の低温度までの温度範囲の熱回収をするのに水蒸気サイクルによらず低沸点媒体サイクルのみで行うので、必要な機器が少なくてすみ、建設費が安い。また、システム構成が簡素であるためにシステムの信頼性が高い。
【0060】
つぎに本発明の第4の実施の形態のエネルギーシステムを図4を参照して説明する。すなわちこの実施の形態のエネルギーシステムは、低沸点媒体電力・冷熱プラント2bと水電解プラント3と液化プラント4と水素貯蔵施設5と液体酸素貯蔵施設6と液体炭酸ガス貯蔵施設7と養殖施設9を備え離島のような人口の密集していない場所に設けられた水素・酸素供給システム40と、水素貯蔵施設8と火力発電プラント43を備え消費地に設けられた水素・酸素消費システム41と、この水素・酸素消費システム41および前記水素・酸素供給システム40において発生した二酸化炭素を深海に放出する二酸化炭素処理部46とからなる。
【0061】
低沸点媒体電力・冷熱システム2bは、第2の実施の形態(図2)における発電プラント1aと低沸点媒体電力・冷熱プラント2とを一体化した構成を有する。
そのほかの構成は第2の実施の形態におけると同じである。
【0062】
この第4の実施の形態のエネルギーシステムにおいては、低沸点媒体電力・冷熱システム2bに備えられた加熱器をウラン、地熱、温泉水、太陽熱等の酸素燃焼を要しない加熱源30で加熱し、低沸点媒体を高濃度低沸点媒体蒸気と低濃度低沸点媒体液に分離し、高濃度低沸点媒体蒸気でタービンを駆動して発電し、高濃度低沸点媒体を冷却して液化し、断熱膨張を行って冷媒を生成する。そのほかの動作は第2の実施の形態におけると同じである。
【0063】
この第4の実施の形態のエネルギーシステムでは第2の実施の形態と同様の効果が得られ、さらに、ウラン燃料、地熱、温泉水、太陽熱等との熱交換で得られる高温度から海洋深層水の低温度までの温度範囲の熱回収をするのに水蒸気サイクルによらずに低沸点媒体サイクルのみで行うので、必要な機器が少なくてすみ、建設費が安い。また、システム構成が簡素であるためにシステムの信頼性が高い。
【0064】
つぎに本発明の第5の実施の形態のエネルギーシステムを図5を参照して説明する。すなわち本実施の形態のエネルギーシステムは、発電プラント1と低沸点媒体電力・冷熱プラント2と水電解プラント3と液化プラント4と水素貯蔵施設5と液体酸素貯蔵施設6と液体炭酸ガス貯蔵施設7と養殖施設9と凍結分離プラント34とミネラル分離プラント36を備え離島のような人口の密集していない場所に設けられた水素・酸素供給システム40と、水素貯蔵施設8と火力発電プラント43を備え消費地に設けられた水素・酸素消費システム41と、この水素・酸素消費システム41および前記水素・酸素供給システム40において発生した二酸化炭素を深海に放出する二酸化炭素処理部46とからなる。
【0065】
凍結分離プラント34は、過冷却器、過冷却解除槽、氷貯蔵槽、淡水製造器等で構成されている。低沸点媒体電力・冷熱プラント2からの冷媒38を過冷却器の熱交換部に導いて海洋深層水33を過冷却状態にする。冷媒38は低沸点媒体蒸気39の状態で低沸点媒体電力・冷熱プラント2の復液器に戻される。過冷却状態の海洋深層水は過冷却解除槽に導かれ、衝撃などを与えて過冷却状態を解除して氷を生成し、氷と濃縮海水に分離される。氷は氷貯蔵槽に貯蔵され、貯蔵された氷は低沸点媒体蒸気39や海洋深層水と熱交換を行って解凍されて淡水37となって水電解プラント3に導かれる分離された濃縮海水35はミネラル分離プラント36に導かれる構成である。
【0066】
ミネラル分離プラント36には選択的にミネラル成分を分離する電気式脱イオン水製造装置が設置されていて、塩化ナトリウム、硫酸イオン、その他ミネラル成分に分離する構成になっている。そのほかの発電プラント1、液化プラント4等の構成は第1の実施の形態(図1)におけると同じである。
【0067】
この第5の実施の形態のエネルギーシステムにおいては、低沸点媒体電力・冷熱プラント2からの冷媒38を凍結分離プラント34の過冷却器の熱交換部に導いて海洋深層水33を過冷却状態にし、過冷却状態の海洋深層水を過冷却解除槽に導き、衝撃などを与えて過冷却状態を解除して氷を生成し、氷と濃縮海水に分離する。氷は氷貯蔵槽に貯蔵し、水電解プラント3で淡水が必要になると貯蔵した氷を低沸点媒体蒸気39や海洋深層水と熱交換を行って解凍して淡水37にして水電解プラント3に供給する。凍結分離された濃縮海水35はミネラル分離プラント36に導き、選択的にミネラル成分を分離する電気式脱イオン水製造装置で塩化ナトリウム、硫酸イオン、その他ミネラル成分に分離する。そのほかの動作は第1の実施の形態におけると同じである。
【0068】
この第5の実施の形態のエネルギーシステムによれば、第1の実施の形態のエネルギーシステムと同様の効果が得られ、更に、低温の海洋深層水より淡水を凍結法で製造することにより、発電プラント1の排熱の多段階熱利用を行うことができ、熱利用効率を向上させることができる。また、熱エネルギーを氷潜熱の形で貯蔵することにより発電需要に変動があっても発電プラント1を一定条件で運転することが可能となりエネルギー利用効率を向上させることができる。さらに、凍結分離法で海洋深層水より得られた氷は、魚の輸送に用いることができ、また濃縮海水からは安価かつ大量に食塩とミネラル成分を分離することができる。
【0069】
つぎに本発明の第6の実施の形態のエネルギーシステムを図6を参照して説明する。すなわち本実施の形態のエネルギーシステムは、発電プラント1aと低沸点媒体電力・冷熱プラント2と水電解プラント3と液化プラント4と水素貯蔵施設5と液体酸素貯蔵施設6と液体炭酸ガス貯蔵施設7と養殖施設9と凍結分離プラント34とミネラル分離プラント36を備え離島のような人口の密集していない場所に設けられた水素・酸素供給システム40と、水素貯蔵施設8と火力発電プラント43を備え消費地に設けられた水素・酸素消費システム41と、この水素・酸素消費システム41および前記水素・酸素供給システム40において発生した二酸化炭素を深海に放出する二酸化炭素処理部46とからなる。
【0070】
凍結分離プラント34およびミネラル分離プラント36の構成および動作は第5の実施の形態(図5)におけると同じであり、そのほかの発電プラント1a、液化プラント4等の構成および動作は第2の実施の形態(図2)におけると同じである。
【0071】
この第6の実施の形態のエネルギーシステムによれば、第2の実施の形態のエネルギーシステムと同様の効果が得られ、更に、低温の海洋深層水より淡水を凍結法で製造することにより、発電プラント1aの排熱の多段階熱利用を行うことができ、熱利用効率を向上させることができる。また、熱エネルギーを氷潜熱の形で貯蔵することにより発電需要に変動があっても発電プラント1aを一定条件で運転することが可能となりエネルギー利用効率を向上させることができる。さらに、凍結分離法で海洋深層水より得られた氷は、魚の輸送に用いることができ、また濃縮海水からは安価に大量に食塩とミネラル成分を分離することができる。
【0072】
つぎに本発明の第7の実施の形態のエネルギーシステムを図7を参照して説明する。すなわち本実施の形態のエネルギーシステムは、低沸点媒体電力・冷熱プラント2aと水電解プラント3と液化プラント4と水素貯蔵施設5と液体酸素貯蔵施設6と液体炭酸ガス貯蔵施設7と養殖施設9と凍結分離プラント34とミネラル分離プラント36を備え離島のような人口の密集していない場所に設けられた水素・酸素供給システム40と、水素貯蔵施設8と火力発電プラント43を備え消費地に設けられた水素・酸素消費システム41と、この水素・酸素消費システム41および前記水素・酸素供給システム40において発生した二酸化炭素を深海に放出する二酸化炭素処理部46とからなる。
【0073】
凍結分離プラント34およびミネラル分離プラント36の構成および動作は第5の実施の形態(図5)におけると同じであり、そのほかの低沸点媒体電力・冷熱プラント2a、液化プラント4等の構成および動作は第3の実施の形態(図3)におけると同じである。
【0074】
この第7の実施の形態のエネルギーシステムによれば、第3の実施の形態のエネルギーシステムと同様の効果が得られ、更に、低温の海洋深層水より淡水を凍結法で製造することにより、低沸点媒体電力・冷熱プラント2aの排熱の多段階熱利用を行うことができ、熱利用効率を向上させることができる。熱エネルギーを氷潜熱の形で貯蔵することにより発電需要に変動があっても低沸点媒体電力・冷熱プラント2aを一定条件で運転することが可能となりエネルギー利用効率を向上させることができる。凍結分離法で海洋深層水より得られた氷は、魚の輸送に用いることができ、また濃縮海水からは安価に大量に食塩とミネラル成分を分離することができる。
【0075】
つぎに本発明の第8の実施の形態のエネルギーシステムを図8を参照して説明する。すなわち本実施の形態のエネルギーシステムは、低沸点媒体電力・冷熱プラント2bと水電解プラント3と液化プラント4と水素貯蔵施設5と液体酸素貯蔵施設6と液体炭酸ガス貯蔵施設7と養殖施設9と凍結分離プラント34とミネラル分離プラント36を備え離島のような人口の密集していない場所に設けられた水素・酸素供給システム40と、水素貯蔵施設8と火力発電プラント43を備え消費地に設けられた水素・酸素消費システム41と、この水素・酸素消費システム41および前記水素・酸素供給システム40において発生した二酸化炭素を深海に放出する二酸化炭素処理部46とからなる。
【0076】
凍結分離プラント34およびミネラル分離プラント36の構成および動作は第5の実施の形態(図5)におけると同じであり、そのほかの低沸点媒体電力・冷熱プラント2b、液化プラント等の構成および動作は第4の実施の形態(図4)におけると同じである。
【0077】
この第8の実施の形態のエネルギーシステムによれば、第4の実施の形態のエネルギ−システムと同様の効果が得られ、更に、低温の海洋深層水より淡水を凍結法で製造することにより、低沸点媒体電力・冷熱プラント2bの排熱の多段階熱利用を行うことができ、熱利用効率を向上させることができる。熱エネルギーを氷潜熱の形で貯蔵することにより発電需要に変動があっても低沸点媒体電力・冷熱プラント2bを一定条件で運転することが可能となりエネルギー利用効率を向上させることができる。凍結分離法で海洋深層水より得られた氷は、魚の輸送に用いることができ、また濃縮海水からは安価に大量に食塩とミネラル成分を分離することができる。
【0078】
【発明の効果】
本発明によれば、有機物系の燃料や原子力等によって発電し、水素と酸素を製造し貯蔵し供給し、熱効率が高く、発生する炭酸ガスをほぼ100%回収し、回収した炭酸ガスを環境に影響しない方法で処理することができるエネルギーシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態のエネルギーシステムの構成および動作を示す図。
【図2】本発明の第2の実施の形態のエネルギーシステムを示す図。
【図3】本発明の第3の実施の形態のエネルギーシステムを示す図。
【図4】本発明の第4の実施の形態のエネルギーシステムを示す図。
【図5】本発明の第5の実施の形態のエネルギーシステムを示す図。
【図6】本発明の第6の実施の形態のエネルギーシステムを示す図。
【図7】本発明の第7の実施の形態のエネルギーシステムを示す図。
【図8】本発明の第8の実施の形態のエネルギーシステムを示す図。
【符号の説明】
1,1a…発電プラント、2,2a,2b…低沸点媒体電力・冷熱プラント、3…水電解プラント、4…液化プラント、5…水素貯蔵施設、6…液体酸素貯蔵施設、7…液体炭酸カ゛ス貯蔵施設、8…水素貯蔵施設、9…養殖施設、10…水蒸気、11…冷媒、12…燃料、13…電気、14…電気、15…炭酸ガス、16…淡水、17…酸素、18…水素、19…水素、20…液体酸素、21…液体炭酸ガス、22…海洋深層水、23…炭酸ガス、24…酸素ガス、25…海洋深層水、26…海洋深層水、27…輸送船、28…復水、29…混合媒体蒸気、30…加熱源、33…海洋深層水、34…凍結分離プラント、35…濃縮海水、36…ミネラル分離プラント、37…淡水、38…冷媒、39…低沸点媒体蒸気、40…水素・酸素供給システム、41…水素・酸素消費システム、42…船、43…火力発電プラント、44…船、45…液体炭酸ガス、46…二酸化炭素処理部、47…沿岸海域。
【発明の属する技術分野】
本発明は、離島に設置した発電プラントで生成した電気で水の電気分解を行って水素と酸素を製造し、消費地に船で輸送して水素自動車に水素を供給し、また前記酸素を火力発電プラントに供給して発生する炭酸ガスを回収して離島の周辺深海底に貯蔵するエネルギーシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、人類は中国や東南アジア地域の急速な経済発展に伴うエネルギー需要の急増が現実化する下で地球温暖化や酸性雨等の地球規模的な環境問題に直面している。増大するエネルギー需要を賄うのに、資源の偏在が無く豊富に存在する石炭資源の利用は必然的な状況にあり、エネルギーの利用形態としては電気と熱があるが、所得水準が向上するにつれて使い易い電気の需要が増大する傾向がある。
【0003】
石炭発電プラント、天然ガス発電プラントや石油火力発電プラントでは炭酸ガスの排出が問題である。この排出される炭酸ガスを容易に100%回収する方法として化石燃料を炭酸ガス雰囲気中酸素燃焼する方法がある。電力や熱の昼間の需要に対して夜間にはその60%程度に減少する変動があるため、夜間の発電プラントの稼動率を向上させる方策が検討されている。
【0004】
自動車の動力源として、現在はガソリン、軽油を燃料とするレシプロエンジンが主流となっているが、自動車が排出する炭酸ガスを削減することが重要な課題になっている。そのため大気汚染対策として水素燃料エンジンの開発が行われている。水素の貯蔵と輸送には気体より液体の方が効率的であるが、−252.6℃の液化温度の液体水素を入れる容器の経済性が問題になるため水素吸蔵合金に貯蔵する方法が検討されている。
【0005】
水深200mの海洋深層水は、7℃程度の低温であり、海表面水との温度差で発電が可能であるが、低温側と高温側に大型の熱交換器が必要であるために単独では建設費が高くなるため既設発電プラントのボトミングに付設して建設費を削減する検討がされている。
【0006】
海洋深層水の取水適地として琉球諸島や、伊豆・小笠原諸島があり、加熱された清浄な海洋深層水で養殖を行うことにより、今後中国などで増大する動物性たんぱく質に対する需要に対処することができるようになるが、これらの諸島には大きな電力需要が無いため発電設備を設置する需要がこれまでは無かった。しかしながら、今後水素自動車への水素供給が重要になり、電気分解で得られる水素を東京圏、大阪圏、中国の上海等に輸送して販売する道が開ける情勢になりつつある。また、同時に得られる酸素は大都市近郊に設置された火力発電所で炭酸ガス雰囲気中酸素燃焼に利用し、炭酸ガスを100%回収するのに利用することができる。この回収された炭酸ガスは液体酸素輸送船の帰りの荷として離島に持ち帰り離島周辺の深海底にハイドレート化して貯蔵することができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
今後中国や東南アジアの経済発展に伴い膨大な電気エネルギーや自動車駆動エネルギーの需要が発生するが、炭酸ガスの排出による地球温暖化を防止しながらこれに対処するには、原子力エネルギーの利用、100%炭酸ガスを回収する化石燃料の利用による発電と水の電気分解によって水素と酸素の製造を行い、回収した炭酸ガスを貯蔵する必要がある。また、東南アジアでの経済発展に伴う動物性蛋白質に対する需要に対応するために大規模な魚の養殖を行う必要がある。
【0008】
特開2000−2790号公報に記載された発明では、原子力発電プラントのボトミングサイクルに水・アンモニア混合媒体発電・冷媒生成プラントを付設し、ピーク電力需要対応として化石燃料発電プラントを付設して夜間電力で水の電気分解を行い、化石燃料発電プラントの燃焼を炭酸ガス雰囲気中酸素燃焼にして100%炭酸ガス回収を行い、電気分解で得られる水素を液化して利用する方法を採っているが、液化のために多くのエネルギーが必要なこと、20Kの液体水素を入れておく容器の問題がある。
【0009】
大規模な養殖を行うには海洋深層水の清浄性を利用するのが有利であり、琉球列島の島々や、伊豆・小笠原諸島の島々が取水には最適であり、大規模養殖の可能性があるが、大量の電気の需要はないため、発電された電気で大消費地向けの水素を製造することと排熱で海洋深層水を加熱して養殖を行う最適システムを構築する必要がある。
【0010】
本発明はかかる従来の事情に対処してなされたものであり、有機物系の燃料や原子力等によって発電し、水素と酸素を製造し貯蔵し供給し、熱効率が高く、発生する炭酸ガスをほぼ100%回収し、回収した炭酸ガスを環境に影響しない方法で処理することができるエネルギーシステムを提供することを目的とする。
【0011】
【発明が課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、水素・酸素供給システムと水素・酸素消費システムと二酸化炭素処理部とを備え、前記水素・酸素供給システムは、酸素および炭酸ガス雰囲気中で有機物系の燃料を燃焼させて水蒸気、炭酸ガスおよび電力を発生する発電プラントと、水より沸点の低い媒体を作動媒体とし前記発電プラントから供給された水蒸気の熱を用いて電力と冷媒を生成する低沸点媒体電力・冷熱プラントと、この低沸点媒体電力・冷熱プラントおよび前記発電プラントから電力を供給されて水を電気分解する水電解プラントと、前記低沸点媒体電力・冷熱プラントから冷媒を供給されて前記水電解プラントにおいて生成された水素と酸素および前記発電プラントから供給された炭酸ガスを冷却し液化する液化プラントと、前記冷却された水素を水素吸蔵材に吸着させて貯蔵する水素貯蔵施設と、前記液化された酸素を貯蔵する液体酸素貯蔵施設と、前記液化された炭酸ガスを貯蔵する液体炭酸ガス貯蔵施設とを備え、前記水素・酸素消費システムは、前記水素貯蔵施設から水素を吸蔵した水素吸蔵材を供給され貯蔵し消費者に供給する消費地水素貯蔵施設と、前記液体酸素貯蔵施設から液体酸素を供給されて酸素および炭酸ガス雰囲気中で有機物系の燃料を燃焼させて発電を行う火力発電プラントとを備え、前記二酸化炭素処理部は、前記火力発電プラントおよび前記液体炭酸ガス貯蔵施設から二酸化炭素を供給されて深海にハイドレート化して放出する処理施設を備えている構成とする。
【0012】
請求項2の発明は、水素・酸素供給システムと水素・酸素消費システムと二酸化炭素処理部とを備え、前記水素・酸素供給システムは、原子力、地熱、温泉水、太陽熱等の酸素燃焼を要しない加熱源によって水蒸気および電力を発生する発電プラントと、水より沸点の低い媒体を作動媒体とし前記発電プラントから供給された水蒸気の熱を用いて電力と冷媒を生成する低沸点媒体電力・冷熱プラントと、この低沸点媒体電力・冷熱プラントおよび前記発電プラントから電力を供給されて水を電気分解する水電解プラントと、前記低沸点媒体電力・冷熱プラントから冷媒を供給されて前記水電解プラントにおいて生成された水素と酸素を冷却し液化する液化プラントと、前記冷却された水素を水素吸蔵材に吸着させて貯蔵する水素貯蔵施設と、前記液化された酸素を貯蔵する液体酸素貯蔵施設とを備え、前記水素・酸素消費システムは、前記水素貯蔵施設から水素を吸蔵した水素吸蔵材を供給され貯蔵し消費者に供給する消費地水素貯蔵施設と、前記液体酸素貯蔵施設から液体酸素を供給されて酸素および炭酸ガス雰囲気中で有機物系の燃料を燃焼させて発電を行う火力発電プラントとを備え、前記二酸化炭素処理部は、前記火力発電プラントから二酸化炭素を供給されて深海にハイドレート化して放出する処理施設を備えている構成とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の第1の実施の形態のエネルギーシステムを図1を参照して説明する。すなわち本実施形態のエネルギーシステムは、発電プラント1と低沸点媒体電力・冷熱プラント2と水電解プラント3と液化プラント4と水素貯蔵施設5と液体酸素貯蔵施設6と液体炭酸ガス貯蔵施設7と養殖施設9を備え離島のような人口の密集していない場所に設けられた水素・酸素供給システム40と、水素貯蔵施設8と火力発電プラント43を備え消費地に設けられた水素・酸素消費システム41と、この水素・酸素消費システム41および前記水素・酸素供給システム40において発生した二酸化炭素を深海に放出する二酸化炭素処理部46とからなる。
【0014】
このような構成によって、水素・酸素供給システム40に設置され電気と水蒸気と炭酸ガスを発生する発電プラント1より水蒸気10を低沸点媒体電力・冷熱プラント2に輸送して冷媒生成と発電を行い、冷媒11を液化プラント4へ送り、電気14を水電解プラント3へ輸送する。液化プラント4で液化した酸素を液体酸素貯蔵施設6に貯蔵する。発電プラント1で発生した炭酸ガスも液化して液体炭酸ガス貯蔵施設7に貯蔵する。水電解プラント3で製造した水素を水素貯蔵施設5に貯蔵し、また、船27で水素・酸素消費システム41の水素貯蔵施設8に輸送して利用する。
【0015】
さらに、液体酸素貯蔵施設6に貯蔵された液体酸素を船42で水素・酸素で消費システム41の火力発電プラント43に輸送し、炭酸ガス雰囲気中酸素燃焼に使用する。この燃焼から回収された炭酸ガスを液化して船44で水素・酸素供給システム40に持ち帰り、二酸化炭素処理部46に送って離島周辺の深海に液体炭酸ガス45をハイドレート化して放流する。さらに、低沸点媒体電力・冷熱プラント2の冷却に用いて加温された海洋深層水25を養殖施設9に導いて利用し、利用後の海洋深層水26を海域肥沃化のために沿岸海域47に放流する。
【0016】
さらに詳しく説明すると以下のとおりである。すなわち、水素・酸素供給システム40に設置された発電プラント1は、燃焼器、ガスタービン、ボイラ、水蒸気タービン、発電機、循環ポンプ等で構成され、燃焼器には化石燃料、ゴミ、バイオマス等の有機物系の燃料12のガス化されたものと、加圧・加熱された炭酸ガス23および気体酸素24が導入されて炭酸ガス雰囲気中酸素燃焼が行われる。
【0017】
発生した燃焼ガスの炭酸ガスと水蒸気はガスタービンを駆動後に排熱回収ボイラーで冷却された後に炭酸ガス15として液化プラント4に導かれる。排熱回収ボイラーあるいはボイラーで発生した蒸気は、分岐して水蒸気タービンに導かれるものと低沸点媒体電力・冷熱プラント2に導かれるものがあり、水蒸気タービンに導かれたものはこれを駆動し、同軸に結合された発電機で発電を行う。
【0018】
ボイラーで発生し分岐された蒸気および水蒸気タービンの排気からなる水蒸気10は、低沸点媒体電力・冷熱プラント2の加熱器に導かれて熱交換を行って復水する。復水28は発電プラント1の循環ポンプ入口に戻される。発電プラント1で発電された電気13は、水電解プラント3に導かれる。
【0019】
低沸点媒体電力・冷熱プラント2は、加熱器、分離器、混合媒体タービン、発電機、復液器、熱交換器、断熱膨張装置、加圧ポンプ等で構成され、作動媒体として水・アンモニア混合媒体が用いられる。
【0020】
加圧ポンプで加圧された混合媒体が加熱器に導かれ、発電プラント1からの水蒸気10と熱交換を行なって分離器に導かれ、高濃度混合媒体蒸気と低濃度混合媒体液に分離される。高濃度混合媒体蒸気は分岐されて混合媒体タービンに導かれてこれを駆動して同軸に結合された発電機で発電を行う。混合媒体タービンの排気は復液器に導かれ、海洋深層水22が流れる熱交換部で熱交換をして復液する。
【0021】
分岐された残りの高濃度混合媒体蒸気は熱交換器に導かれ海洋深層水22が流れる熱交換部で熱交換をして冷却されて復液し、断熱膨張装置に導かれて断熱膨張を行い、冷媒を生成する。この冷媒11は液化プラント4に導かれて熱交換器で熱交換を行って混合媒体蒸気29となって低沸点媒体電力・冷熱プラント2の復液器に導かれ、海洋深層水22が流れる熱交換部で熱交換をして復液する。 発電された電気14は水電解プラント3に導かれる。復液器で熱交換を行って加熱された海洋深層水25は、養殖施設9に導かれる。
【0022】
水電解プラント3は、アルカリ水電解法や固体高分子型水電解法を用いる水の電解施設である。発電プラント1および低沸点媒体電力・冷熱プラント2から送られた交流電気13,14を直流に整流し、淡水16を電気分解する。電気分解によって得られた酸素17と水素18を液化プラント4に移送する。淡水16は、発電プラント1より液化プラント4に送られる炭酸ガス15より水分を除去した時に得られる淡水を用いてもよい。
【0023】
液化プラント4は、コンプレッサ、精製装置、熱交換器、膨張弁、中圧精留塔、低圧精留塔、過冷却器等で構成される。発電プラント1からの炭酸ガス15および水電解プラント3からの酸素17と水素18は、低沸点媒体電力・冷熱プラント2からの冷媒11が流れる熱交換部で冷却され、除湿を行った後でコンプレッサに導かれる。
【0024】
加圧された炭酸ガスと酸素と水素の混合ガスは熱交換器に導かれて、低沸点媒体電力・冷熱プラント2からの冷媒11が流れる熱交換部で冷却され、膨張弁を経由して、酸素と水素は中圧精留塔、過冷却器、低圧精留塔を経由して液体酸素と液体窒素温度(−196℃)程度の水素になる。また、膨張弁で断熱膨張をして液化した液体炭酸ガスが生成される。水素19は、水素貯蔵施設5に移送され、液体酸素20は液体酸素貯蔵施設6に移送され、液体炭酸ガス21は液体炭酸ガス貯蔵施設7に移送される。
【0025】
水素貯蔵施設5は、活性炭、フラーレン、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン等の多孔性炭素質材料の表面に水素分子を水素原子に分離させる機能を有する金属もしくは合金の被膜を塗布し、−196℃で30気圧以上にして水素を吸蔵させる水素吸蔵材を収納する容器に水素を充填する設備が設けられている。−196℃で30気圧以上にして水素を吸蔵した水素吸蔵材を充填した容器を輸送船27で消費地に設けられた水素・酸素消費システム41の水素貯蔵施設8に移送し、帰りの船で水素貯蔵施設8より空の容器を水素貯蔵施設5に移送する。
【0026】
水素貯蔵施設8では、−196℃で30気圧以上にして水素を吸蔵した水素吸蔵材を充填した容器より、ランタン・ニッケル合金、鉄・チタン合金などが使用された水素吸蔵合金1モル当たり20℃で3気圧の水素約3モルを吸蔵させ、水素自動車の水素燃料として供給する。水素自動車では80℃に加熱すると約17気圧の水素が取り出せる。
【0027】
液体酸素貯蔵施設6に貯蔵された酸素は、ポンプで加圧した後で冷熱を回収して加熱し、酸素ガス24として発電プラント1の燃焼器に送って炭酸ガス雰囲気中酸素燃焼に用いる。熱回収を行った酸素ガス24は養殖施設9にも供給される。また、液体酸素を船42で水素・酸素消費システム41の火力発電プラント43に輸送し、炭酸ガス雰囲気中酸素燃焼に利用する。火力発電プラント43で発生した炭酸ガスは100%回収して液化し、船44で水素・酸素供給システム40の液体炭酸ガス貯蔵施設7に輸送する。船42と船44を同一のものとし液体酸素輸送容器を液体炭酸ガス輸送容器に兼用してもよい。
【0028】
液体炭酸ガス貯蔵施設7では、液体炭酸ガスをポンプで加圧した後で冷熱を回収して加熱し、炭酸ガス23として発電プラント1の燃焼器に送り、炭酸ガス雰囲気中酸素燃焼の不活性ガスとして用いる。液体炭酸ガス45は、離島の周辺海域に設けた二酸化炭素処理部46で水深440m以深の深海まで配管で輸送し、海中に放出する。液体炭酸ガス45の輸送配管は、その先端が水深440m以深に開口し、内圧を44気圧以上として海洋深層水を30%以上混ぜてハイドレート化したものを含む状態で海中に放出する。
【0029】
養殖施設9には、低沸点媒体電力・冷熱プラント2の復液器で熱交換を行って加温された海洋深層水25が導かれ、また液体酸素から冷熱を回収した酸素ガス24がひらめ、アワビ等の養殖槽に注入されて養殖に用いられる。残滓等を取り除いた海洋深層水26を沿岸海域47に放流し、海域肥沃化に用いる。
【0030】
この第1の実施の形態のエネルギーシステムは下記のように動作する。すなわち、化石燃料・ゴミ・バイオマス等の有機物系の燃料12をガス化したり、そのまま燃焼させる水素・酸素供給システム40の発電プラント1の水蒸気タービンよりの40℃〜50℃の排気水蒸気10を、水・アンモニア混合媒体を作動媒体とする低沸点媒体電力・冷熱プラント2の加熱器に導いて高濃度の混合媒体蒸気を生成し、混合媒体タービンに導いてこれを駆動し同軸に結合された発電機で発電を行う。この時、混合媒体タービンの排気を8℃程度の低温の海洋深層水22で冷却して混合媒体タービン出口背圧を下げることにより混合媒体タービン駆動力を向上させて発電量を向上させる。
【0031】
発電プラント1および低沸点媒体電力・冷熱プラント2で発電した電気13,14を水電解プラント3に導いて淡水16の電気分解を行って水素と酸素を製造する。製造された水素と酸素、および発電プラント1の炭酸ガス雰囲気中酸素燃焼で発生し100%回収した炭酸ガス15を液化プラント4に導いて、低沸点媒体電力・冷熱プラント2で生成した冷媒11を利用して液体酸素と液体炭酸ガスを製造して液体酸素貯蔵施設6と液体炭酸ガス貯蔵施設7に貯蔵する。
【0032】
水素は液体窒素温度(−196℃)程度にして30気圧以上に加圧して、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン等の多孔性炭素材料の水素吸蔵材に吸着させて水素貯蔵施設5に貯蔵し、水素を吸着させた水素吸蔵材を専用の輸送船27で水素・酸素消費システム41の水素貯蔵施設8に輸送して貯蔵する。水素貯蔵施設8では20℃、3気圧で多孔性炭素材料の水素吸蔵材からランタン・ニッケル合金等の水素吸蔵合金に水素吸蔵の移し替えを行い、このランタン・ニッケル合金等の水素吸蔵合金を自動車に搭載して水素自動車に燃料供給する。
【0033】
液体酸素貯蔵施設6に貯蔵された液体酸素は船42で水素・酸素消費システム41の火力発電プラント43に輸送し、炭酸ガス雰囲気中酸素燃焼を行うのに用い、その排ガスより炭酸ガスを100%回収して液化を行い、船44で水素・酸素供給システム40の液体炭酸ガス貯蔵施設7へ輸送する。船42と船44は同一のものを使用し、液体酸素輸送容器と液体炭酸ガス輸送容器は兼用する。
【0034】
液体炭酸ガス貯蔵施設7より液体炭酸ガスを離島周辺に設けた二酸化炭素処理部46の水深440m以深まで配管で導いて海中に液体炭酸ガスを放出する。配管内を輸送する圧力は44気圧以上とし、海洋深層水を30%以上混合して液体炭酸ガスを一部ハイドレート化したものを直径10mm程度の液泡として海中に放出する。放出された液泡は海底に向かって沈降する。
【0035】
また、低沸点媒体電力・冷熱プラント2に設けられた混合媒体タービンの排気を冷却した海洋深層水25の排出温度が、ひらめ、あわび等の適水温になるようにして養殖施設9に供給する。海洋深層水25の排出温度を高くすると低沸点媒体電力・冷熱プラント2の発電量が減少するため、養殖効率と発電効率のトータルで最大効率になるように調整する。
【0036】
この第1の実施の形態のエネルギーシステムは下記のような効果を生じる。すなわち、琉球諸島や伊豆・小笠原諸島は、低温度の海洋深層水を取水するための適地であるが発電需要がない。このような所に設けられた水素・酸素供給システム40に有機物系の燃料12を燃焼させる発電プラント1を設置し、そのボトミングサイクルとして低沸点媒体電力・冷熱プラント2を設置し、低温度の海洋深層水22で低沸点媒体電力・冷熱プラント2の復液器の冷却を行って総合発電効率を最大にすることができる。
【0037】
また、発電された電気で水の電気分解を行って酸素と水素を製造し、酸素は液化し貯蔵して前記発電プラント1での炭酸ガス雰囲気中酸素燃焼に用いたり、船42で水素・酸素消費システム41の火力発電プラント43に輸送して炭酸ガス雰囲気中酸素燃焼に用い、ここで発生する炭酸ガスを100%回収して液化して船で再び水素・酸素供給システム40の液体炭酸ガス貯蔵施設7まで同じ船と輸送容器で輸送し、液体炭酸ガスをハイドレート化して二酸化炭素処理部46の水深440m以深の海中に放出して炭酸ガスの貯蔵処理を行うことができる。
【0038】
また、低沸点媒体電力・冷熱プラント2で生成された冷媒11で水素を−196℃程度に冷却し、水素吸蔵材に吸蔵させて水素・酸素消費システム41に専用船で輸送して水素自動車に用いることができる。冷媒11は液体酸素と液体炭酸ガスを生成するのにも用い、低沸点媒体電力・冷熱プラント2の復液器の冷却に用いて加温された海洋深層水25をヒラメやアワビの養殖に用いることができる。
【0039】
このようにして、自動車等の動力源として環境への炭酸ガス放出の無い水素が効率良く製造でき、100%回収した炭酸ガスをハイドレート化して深海に貯蔵することで大気中への炭酸ガスの排出が無く、低温の海洋深層水を加温して養殖の適水温として効率良く水産物を養殖することができる。
【0040】
また、豊富に存在する石炭等の有機物系の燃料を炭酸ガス雰囲気中酸素燃焼させて発電し、その排熱を海洋深層水の昇温に用いることで炭酸ガスを容易に100%回収し、回収した炭酸ガスは深海に貯蔵できるため貯蔵の問題を発生することがない。
【0041】
さらに、離島で酸素を製造し、消費地に送って炭酸ガス雰囲気中燃焼の火力発電を行い、容易に100%回収ができる炭酸ガスを液化して離島に送ることで、液体酸素と液体炭酸ガスの輸送船と輸送容器を共有化することができるため、設備の高稼働率が得られる。
【0042】
つぎに本発明の第2の実施の形態のエネルギーシステムを図2を参照して説明する。すなわちこの実施の形態のエネルギーシステムは、発電プラント1aと低沸点媒体電力・冷熱プラント2と水電解プラント3と液化プラント4と水素貯蔵施設5と液体酸素貯蔵施設6と液体炭酸ガス貯蔵施設7と養殖施設9を備え離島のような人口の密集していない場所に設けられた水素・酸素供給システム40と、水素貯蔵施設8と火力発電プラント43を備え消費地に設けられた水素・酸素消費システム41と、この水素・酸素消費システム41および前記水素・酸素供給システム40において発生した二酸化炭素を深海に放出する二酸化炭素処理部46とからなる。
【0043】
発電プラント1aは原子力発電プラント、地熱発電プラント、温泉水発電プラント、太陽熱発電プラント等であり、ウラン、地熱、温泉水、太陽熱等の加熱源30が発電プラント1aに供給される。これ等の加熱源30は炭酸ガス雰囲気中酸素燃焼を行う必要がないために、図1に示した第1の実施の形態と比較すると、加熱・加圧された炭酸ガス23および酸素ガス24の発電プラント1aへの供給系と、燃焼で発生する炭酸ガス・水蒸気等の炭酸ガス15の回収系と、液化プラント4における炭酸ガスの液化系を備えていない。そのほかの構成は第1の実施の形態におけると同じである。
【0044】
この第2の実施の形態のエネルギーシステムは下記のように動作する。すなわち、水素・酸素供給システム40の発電プラント1aには加熱源30からウラン、地熱、温泉水、太陽熱等が供給され、発電プラント1aの水蒸気タービンよりの40℃〜50℃の排気水蒸気10を、水・アンモニア混合媒体を作動媒体とする低沸点媒体電力・冷熱プラント2の加熱器に導いて高濃度の混合媒体蒸気を生成し、混合媒体タービンに導いてこれを駆動し同軸に結合された発電機で発電を行う。この時、混合媒体タービンの排気を8℃程度の低温の海洋深層水22で冷却して混合媒体タービン出口背圧を下げることにより混合媒体タービン駆動力を向上させて発電量を向上させる。
【0045】
発電プラント1および低沸点媒体電力・冷熱プラント2で発電した電気13,14を水電解プラント3に導いて淡水16の電気分解を行って水素と酸素を製造する。製造された水素18と酸素17を液化プラント4に導いて、低沸点媒体電力・冷熱プラント2で生成した冷媒11を利用して液体酸素を製造して液体酸素貯蔵施設6に貯蔵する。
【0046】
水素は液体窒素温度(−196℃)程度にして30気圧以上に加圧して、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン等の多孔性炭素材料の水素吸蔵材に吸着させて水素貯蔵施設5に貯蔵し、水素を吸着させた水素吸蔵材を専用の輸送船27で水素・酸素消費システム41の水素貯蔵施設8に輸送して貯蔵する。水素貯蔵施設8では20℃、3気圧で多孔性炭素材料の水素吸蔵材からランタン・ニッケル合金等の水素吸蔵合金に水素吸蔵の移し替えを行い、このランタン・ニッケル合金等の水素吸蔵合金を自動車に搭載して水素自動車に燃料供給する。
【0047】
液体酸素貯蔵施設6に貯蔵された液体酸素は船42で水素・酸素消費システム41の火力発電プラント43に輸送し、炭酸ガス雰囲気中酸素燃焼を行うのに用い、その排ガスより炭酸ガスを100%回収して液化を行い、船44で水素・酸素供給システム40の液体炭酸ガス貯蔵施設7へ輸送する。船42と船44は同一のものを使用し、液体酸素輸送容器と液体炭酸ガス輸送容器は兼用する。
【0048】
液体炭酸ガス貯蔵施設7より液体炭酸ガスを離島周辺に設けた二酸化炭素処理部46の水深440m以深まで配管で導いて海中に液体炭酸ガスを放出する。配管内を輸送する圧力は44気圧以上とし、海洋深層水を30%以上混合して液体炭酸ガスを一部ハイドレート化したものを直径10mm程度の液泡として海中に放出する。放出された液泡は海底に向かって沈降する。
【0049】
また、低沸点媒体電力・冷熱プラント2に設けられた混合媒体タービンの排気を冷却した海洋深層水25の排出温度が、ひらめ、あわび等の適水温になるようにして養殖施設9に供給する。海洋深層水25の排出温度を高くすると低沸点媒体電力・冷熱プラント2の発電量が減少するため、養殖効率と発電効率のトータルで最大効率になるように調整する。
【0050】
この第2の実施の形態のエネルギーシステムは下記のような効果を生じる。すなわち、琉球諸島や伊豆・小笠原諸島は、低温度の海洋深層水を取水するための適地であるが発電需要がない。このような所に設けられた水素・酸素供給システム40にウラン、地熱、温泉水、太陽熱等の酸素燃焼を要しない加熱源30を熱源とする発電プラント1aを設置し、そのボトミングサイクルとして低沸点媒体電力・冷熱プラント2を設置し、低温度の海洋深層水22で低沸点媒体電力・冷熱プラント2の復液器の冷却を行って発電量を増大することができる。
【0051】
また、発電された電気で水の電気分解を行って酸素と水素を製造し、酸素は液化し貯蔵して船42で水素・酸素消費システム41の火力発電プラント43に輸送して炭酸ガス雰囲気中酸素燃焼に用い、ここで発生する炭酸ガスを100%回収して液化して船で再び水素・酸素供給システム40の液体炭酸ガス貯蔵施設7まで同じ船と輸送容器で輸送し、液体炭酸ガスをハイドレート化して二酸化炭素処理部46の水深440m以深の海中に放出して炭酸ガスの貯蔵処理を行うことができる。
【0052】
また、低沸点媒体電力・冷熱プラント2で生成された冷媒11で水素を−196℃程度に冷却して水素吸蔵材に吸蔵させて水素・酸素消費システム41に専用船で輸送して水素自動車に用いることができる。冷媒11は液体酸素と液体炭酸ガスを生成するのにも用い、低沸点媒体電力・冷熱プラント2の復液器の冷却に用いて加温された海洋深層水25をヒラメやアワビの養殖に用いることができる。
【0053】
このようにして、自動車等の動力源として環境への炭酸ガス放出の無い水素が効率良く製造でき、100%回収した炭酸ガスをハイドレート化して深海に貯蔵することで大気中への炭酸ガスの排出が無く、低温の海洋深層水を加温して養殖の適水温として効率良く水産物を養殖することができる。
【0054】
また、豊富に存在する石炭等を火力発電プラント43において炭酸ガス雰囲気中酸素燃焼させて発電し、炭酸ガスを容易に100%回収し、回収した炭酸ガスは深海に貯蔵できるため貯蔵の問題を発生することがない。さらに、離島で酸素を製造し、消費地に送って炭酸ガス雰囲気中燃焼の火力発電を行い、容易に100%回収ができる炭酸ガスを液化して離島に送ることで、液体酸素と液体炭酸ガスの輸送船と輸送容器を共有化することができるため、設備の高稼働率が得られる。
【0055】
このように、この発明の第2の実施の形態によれば、発電し、水素と酸素を製造し貯蔵し供給し、熱効率が高く、発生する炭酸ガスをほぼ100%回収し、回収した炭酸ガスを環境に影響しない方法で貯蔵処理することができるエネルギーシステムを提供することができるとともに、第1の実施の形態と比べて設備費が低減され、システム構成が簡素であるのでシステムの信頼性も向上する。
【0056】
つぎに本発明の第3の実施の形態のエネルギーシステムを図3を参照して説明する。すなわちこの実施の形態のエネルギーシステムは、低沸点媒体電力・冷熱プラント2aと水電解プラント3と液化プラント4と水素貯蔵施設5と液体酸素貯蔵施設6と液体炭酸ガス貯蔵施設7と養殖施設9を備え離島のような人口の密集していない場所に設けられた水素・酸素供給システム40と、水素貯蔵施設8と火力発電プラント43を備え消費地に設けられた水素・酸素消費システム41と、この水素・酸素消費システム41および前記水素・酸素供給システム40において発生した二酸化炭素を深海に放出する二酸化炭素処理部46とからなる。
【0057】
低沸点媒体電力・冷熱システムプラント2aの低沸点媒体の加熱器がボイラになっていて、化石燃料、ゴミ、バイオマス等の有機物系の燃料12がボイラに供給され、炭酸ガス雰囲気中燃焼を行ってアンモニア水溶液等の低沸点媒体を加熱する構成になっている。そのほかの液化プラント4等の構成は第1の実施の形態におけると同じである。
【0058】
このような構成によって、低沸点媒体電力・冷熱システム2aのボイラに化石燃料、ゴミ、バイオマス等の有機物系の燃料12を供給し、炭酸ガス雰囲気中燃焼を行って低沸点媒体を加熱し、高濃度低沸点媒体蒸気と低濃度低沸点媒体液に分離し、高濃度低沸点媒体蒸気でタービンを駆動して発電し、また、高濃度低沸点媒体を冷却して液化し断熱膨張を行って冷媒を生成する。すなわち、この第3の実施の形態のエネルギーシステムにおける低沸点媒体電力・冷熱システム2aは、第1の実施の形態のエネルギーシステムにおける発電プラント1と低沸点媒体電力・冷熱プラント2を合わせた動作を行う。そのほかの液化プラント4等の動作は第1の実施の形態におけると同じである。
【0059】
この第3の実施の形態のエネルギーシステムによれば、化石燃料、ゴミ、バイオマス等の燃焼で得られる高温度から海洋深層水の低温度までの温度範囲の熱回収をするのに水蒸気サイクルによらず低沸点媒体サイクルのみで行うので、必要な機器が少なくてすみ、建設費が安い。また、システム構成が簡素であるためにシステムの信頼性が高い。
【0060】
つぎに本発明の第4の実施の形態のエネルギーシステムを図4を参照して説明する。すなわちこの実施の形態のエネルギーシステムは、低沸点媒体電力・冷熱プラント2bと水電解プラント3と液化プラント4と水素貯蔵施設5と液体酸素貯蔵施設6と液体炭酸ガス貯蔵施設7と養殖施設9を備え離島のような人口の密集していない場所に設けられた水素・酸素供給システム40と、水素貯蔵施設8と火力発電プラント43を備え消費地に設けられた水素・酸素消費システム41と、この水素・酸素消費システム41および前記水素・酸素供給システム40において発生した二酸化炭素を深海に放出する二酸化炭素処理部46とからなる。
【0061】
低沸点媒体電力・冷熱システム2bは、第2の実施の形態(図2)における発電プラント1aと低沸点媒体電力・冷熱プラント2とを一体化した構成を有する。
そのほかの構成は第2の実施の形態におけると同じである。
【0062】
この第4の実施の形態のエネルギーシステムにおいては、低沸点媒体電力・冷熱システム2bに備えられた加熱器をウラン、地熱、温泉水、太陽熱等の酸素燃焼を要しない加熱源30で加熱し、低沸点媒体を高濃度低沸点媒体蒸気と低濃度低沸点媒体液に分離し、高濃度低沸点媒体蒸気でタービンを駆動して発電し、高濃度低沸点媒体を冷却して液化し、断熱膨張を行って冷媒を生成する。そのほかの動作は第2の実施の形態におけると同じである。
【0063】
この第4の実施の形態のエネルギーシステムでは第2の実施の形態と同様の効果が得られ、さらに、ウラン燃料、地熱、温泉水、太陽熱等との熱交換で得られる高温度から海洋深層水の低温度までの温度範囲の熱回収をするのに水蒸気サイクルによらずに低沸点媒体サイクルのみで行うので、必要な機器が少なくてすみ、建設費が安い。また、システム構成が簡素であるためにシステムの信頼性が高い。
【0064】
つぎに本発明の第5の実施の形態のエネルギーシステムを図5を参照して説明する。すなわち本実施の形態のエネルギーシステムは、発電プラント1と低沸点媒体電力・冷熱プラント2と水電解プラント3と液化プラント4と水素貯蔵施設5と液体酸素貯蔵施設6と液体炭酸ガス貯蔵施設7と養殖施設9と凍結分離プラント34とミネラル分離プラント36を備え離島のような人口の密集していない場所に設けられた水素・酸素供給システム40と、水素貯蔵施設8と火力発電プラント43を備え消費地に設けられた水素・酸素消費システム41と、この水素・酸素消費システム41および前記水素・酸素供給システム40において発生した二酸化炭素を深海に放出する二酸化炭素処理部46とからなる。
【0065】
凍結分離プラント34は、過冷却器、過冷却解除槽、氷貯蔵槽、淡水製造器等で構成されている。低沸点媒体電力・冷熱プラント2からの冷媒38を過冷却器の熱交換部に導いて海洋深層水33を過冷却状態にする。冷媒38は低沸点媒体蒸気39の状態で低沸点媒体電力・冷熱プラント2の復液器に戻される。過冷却状態の海洋深層水は過冷却解除槽に導かれ、衝撃などを与えて過冷却状態を解除して氷を生成し、氷と濃縮海水に分離される。氷は氷貯蔵槽に貯蔵され、貯蔵された氷は低沸点媒体蒸気39や海洋深層水と熱交換を行って解凍されて淡水37となって水電解プラント3に導かれる分離された濃縮海水35はミネラル分離プラント36に導かれる構成である。
【0066】
ミネラル分離プラント36には選択的にミネラル成分を分離する電気式脱イオン水製造装置が設置されていて、塩化ナトリウム、硫酸イオン、その他ミネラル成分に分離する構成になっている。そのほかの発電プラント1、液化プラント4等の構成は第1の実施の形態(図1)におけると同じである。
【0067】
この第5の実施の形態のエネルギーシステムにおいては、低沸点媒体電力・冷熱プラント2からの冷媒38を凍結分離プラント34の過冷却器の熱交換部に導いて海洋深層水33を過冷却状態にし、過冷却状態の海洋深層水を過冷却解除槽に導き、衝撃などを与えて過冷却状態を解除して氷を生成し、氷と濃縮海水に分離する。氷は氷貯蔵槽に貯蔵し、水電解プラント3で淡水が必要になると貯蔵した氷を低沸点媒体蒸気39や海洋深層水と熱交換を行って解凍して淡水37にして水電解プラント3に供給する。凍結分離された濃縮海水35はミネラル分離プラント36に導き、選択的にミネラル成分を分離する電気式脱イオン水製造装置で塩化ナトリウム、硫酸イオン、その他ミネラル成分に分離する。そのほかの動作は第1の実施の形態におけると同じである。
【0068】
この第5の実施の形態のエネルギーシステムによれば、第1の実施の形態のエネルギーシステムと同様の効果が得られ、更に、低温の海洋深層水より淡水を凍結法で製造することにより、発電プラント1の排熱の多段階熱利用を行うことができ、熱利用効率を向上させることができる。また、熱エネルギーを氷潜熱の形で貯蔵することにより発電需要に変動があっても発電プラント1を一定条件で運転することが可能となりエネルギー利用効率を向上させることができる。さらに、凍結分離法で海洋深層水より得られた氷は、魚の輸送に用いることができ、また濃縮海水からは安価かつ大量に食塩とミネラル成分を分離することができる。
【0069】
つぎに本発明の第6の実施の形態のエネルギーシステムを図6を参照して説明する。すなわち本実施の形態のエネルギーシステムは、発電プラント1aと低沸点媒体電力・冷熱プラント2と水電解プラント3と液化プラント4と水素貯蔵施設5と液体酸素貯蔵施設6と液体炭酸ガス貯蔵施設7と養殖施設9と凍結分離プラント34とミネラル分離プラント36を備え離島のような人口の密集していない場所に設けられた水素・酸素供給システム40と、水素貯蔵施設8と火力発電プラント43を備え消費地に設けられた水素・酸素消費システム41と、この水素・酸素消費システム41および前記水素・酸素供給システム40において発生した二酸化炭素を深海に放出する二酸化炭素処理部46とからなる。
【0070】
凍結分離プラント34およびミネラル分離プラント36の構成および動作は第5の実施の形態(図5)におけると同じであり、そのほかの発電プラント1a、液化プラント4等の構成および動作は第2の実施の形態(図2)におけると同じである。
【0071】
この第6の実施の形態のエネルギーシステムによれば、第2の実施の形態のエネルギーシステムと同様の効果が得られ、更に、低温の海洋深層水より淡水を凍結法で製造することにより、発電プラント1aの排熱の多段階熱利用を行うことができ、熱利用効率を向上させることができる。また、熱エネルギーを氷潜熱の形で貯蔵することにより発電需要に変動があっても発電プラント1aを一定条件で運転することが可能となりエネルギー利用効率を向上させることができる。さらに、凍結分離法で海洋深層水より得られた氷は、魚の輸送に用いることができ、また濃縮海水からは安価に大量に食塩とミネラル成分を分離することができる。
【0072】
つぎに本発明の第7の実施の形態のエネルギーシステムを図7を参照して説明する。すなわち本実施の形態のエネルギーシステムは、低沸点媒体電力・冷熱プラント2aと水電解プラント3と液化プラント4と水素貯蔵施設5と液体酸素貯蔵施設6と液体炭酸ガス貯蔵施設7と養殖施設9と凍結分離プラント34とミネラル分離プラント36を備え離島のような人口の密集していない場所に設けられた水素・酸素供給システム40と、水素貯蔵施設8と火力発電プラント43を備え消費地に設けられた水素・酸素消費システム41と、この水素・酸素消費システム41および前記水素・酸素供給システム40において発生した二酸化炭素を深海に放出する二酸化炭素処理部46とからなる。
【0073】
凍結分離プラント34およびミネラル分離プラント36の構成および動作は第5の実施の形態(図5)におけると同じであり、そのほかの低沸点媒体電力・冷熱プラント2a、液化プラント4等の構成および動作は第3の実施の形態(図3)におけると同じである。
【0074】
この第7の実施の形態のエネルギーシステムによれば、第3の実施の形態のエネルギーシステムと同様の効果が得られ、更に、低温の海洋深層水より淡水を凍結法で製造することにより、低沸点媒体電力・冷熱プラント2aの排熱の多段階熱利用を行うことができ、熱利用効率を向上させることができる。熱エネルギーを氷潜熱の形で貯蔵することにより発電需要に変動があっても低沸点媒体電力・冷熱プラント2aを一定条件で運転することが可能となりエネルギー利用効率を向上させることができる。凍結分離法で海洋深層水より得られた氷は、魚の輸送に用いることができ、また濃縮海水からは安価に大量に食塩とミネラル成分を分離することができる。
【0075】
つぎに本発明の第8の実施の形態のエネルギーシステムを図8を参照して説明する。すなわち本実施の形態のエネルギーシステムは、低沸点媒体電力・冷熱プラント2bと水電解プラント3と液化プラント4と水素貯蔵施設5と液体酸素貯蔵施設6と液体炭酸ガス貯蔵施設7と養殖施設9と凍結分離プラント34とミネラル分離プラント36を備え離島のような人口の密集していない場所に設けられた水素・酸素供給システム40と、水素貯蔵施設8と火力発電プラント43を備え消費地に設けられた水素・酸素消費システム41と、この水素・酸素消費システム41および前記水素・酸素供給システム40において発生した二酸化炭素を深海に放出する二酸化炭素処理部46とからなる。
【0076】
凍結分離プラント34およびミネラル分離プラント36の構成および動作は第5の実施の形態(図5)におけると同じであり、そのほかの低沸点媒体電力・冷熱プラント2b、液化プラント等の構成および動作は第4の実施の形態(図4)におけると同じである。
【0077】
この第8の実施の形態のエネルギーシステムによれば、第4の実施の形態のエネルギ−システムと同様の効果が得られ、更に、低温の海洋深層水より淡水を凍結法で製造することにより、低沸点媒体電力・冷熱プラント2bの排熱の多段階熱利用を行うことができ、熱利用効率を向上させることができる。熱エネルギーを氷潜熱の形で貯蔵することにより発電需要に変動があっても低沸点媒体電力・冷熱プラント2bを一定条件で運転することが可能となりエネルギー利用効率を向上させることができる。凍結分離法で海洋深層水より得られた氷は、魚の輸送に用いることができ、また濃縮海水からは安価に大量に食塩とミネラル成分を分離することができる。
【0078】
【発明の効果】
本発明によれば、有機物系の燃料や原子力等によって発電し、水素と酸素を製造し貯蔵し供給し、熱効率が高く、発生する炭酸ガスをほぼ100%回収し、回収した炭酸ガスを環境に影響しない方法で処理することができるエネルギーシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態のエネルギーシステムの構成および動作を示す図。
【図2】本発明の第2の実施の形態のエネルギーシステムを示す図。
【図3】本発明の第3の実施の形態のエネルギーシステムを示す図。
【図4】本発明の第4の実施の形態のエネルギーシステムを示す図。
【図5】本発明の第5の実施の形態のエネルギーシステムを示す図。
【図6】本発明の第6の実施の形態のエネルギーシステムを示す図。
【図7】本発明の第7の実施の形態のエネルギーシステムを示す図。
【図8】本発明の第8の実施の形態のエネルギーシステムを示す図。
【符号の説明】
1,1a…発電プラント、2,2a,2b…低沸点媒体電力・冷熱プラント、3…水電解プラント、4…液化プラント、5…水素貯蔵施設、6…液体酸素貯蔵施設、7…液体炭酸カ゛ス貯蔵施設、8…水素貯蔵施設、9…養殖施設、10…水蒸気、11…冷媒、12…燃料、13…電気、14…電気、15…炭酸ガス、16…淡水、17…酸素、18…水素、19…水素、20…液体酸素、21…液体炭酸ガス、22…海洋深層水、23…炭酸ガス、24…酸素ガス、25…海洋深層水、26…海洋深層水、27…輸送船、28…復水、29…混合媒体蒸気、30…加熱源、33…海洋深層水、34…凍結分離プラント、35…濃縮海水、36…ミネラル分離プラント、37…淡水、38…冷媒、39…低沸点媒体蒸気、40…水素・酸素供給システム、41…水素・酸素消費システム、42…船、43…火力発電プラント、44…船、45…液体炭酸ガス、46…二酸化炭素処理部、47…沿岸海域。
Claims (8)
- 水素・酸素供給システムと水素・酸素消費システムと二酸化炭素処理部とを備え、前記水素・酸素供給システムは、酸素および炭酸ガス雰囲気中で有機物系の燃料を燃焼させて水蒸気、炭酸ガスおよび電力を発生する発電プラントと、水より沸点の低い媒体を作動媒体とし前記発電プラントから供給された水蒸気の熱を用いて電力と冷媒を生成する低沸点媒体電力・冷熱プラントと、この低沸点媒体電力・冷熱プラントおよび前記発電プラントから電力を供給されて水を電気分解する水電解プラントと、前記低沸点媒体電力・冷熱プラントから冷媒を供給されて前記水電解プラントにおいて生成された水素と酸素および前記発電プラントから供給された炭酸ガスを冷却し液化する液化プラントと、前記冷却された水素を水素吸蔵材に吸着させて貯蔵する水素貯蔵施設と、前記液化された酸素を貯蔵する液体酸素貯蔵施設と、前記液化された炭酸ガスを貯蔵する液体炭酸ガス貯蔵施設とを備え、前記水素・酸素消費システムは、前記水素貯蔵施設から水素を吸蔵した水素吸蔵材を供給され貯蔵し消費者に供給する消費地水素貯蔵施設と、前記液体酸素貯蔵施設から液体酸素を供給されて酸素および炭酸ガス雰囲気中で有機物系の燃料を燃焼させて発電を行う火力発電プラントとを備え、前記二酸化炭素処理部は、前記火力発電プラントおよび前記液体炭酸ガス貯蔵施設から二酸化炭素を供給されて深海にハイドレート化して放出する処理施設を備えていることを特徴とするエネルギーシステム。
- 水素・酸素供給システムと水素・酸素消費システムと二酸化炭素処理部とを備え、前記水素・酸素供給システムは、原子力、地熱、温泉水、太陽熱等の酸素燃焼を要しない加熱源によって水蒸気および電力を発生する発電プラントと、水より沸点の低い媒体を作動媒体とし前記発電プラントから供給された水蒸気の熱を用いて電力と冷媒を生成する低沸点媒体電力・冷熱プラントと、この低沸点媒体電力・冷熱プラントおよび前記発電プラントから電力を供給されて水を電気分解する水電解プラントと、前記低沸点媒体電力・冷熱プラントから冷媒を供給されて前記水電解プラントにおいて生成された水素と酸素を冷却し液化する液化プラントと、前記冷却された水素を水素吸蔵材に吸着させて貯蔵する水素貯蔵施設と、前記液化された酸素を貯蔵する液体酸素貯蔵施設とを備え、前記水素・酸素消費システムは、前記水素貯蔵施設から水素を吸蔵した水素吸蔵材を供給され貯蔵し消費者に供給する消費地水素貯蔵施設と、前記液体酸素貯蔵施設から液体酸素を供給されて酸素および炭酸ガス雰囲気中で有機物系の燃料を燃焼させて発電を行う火力発電プラントとを備え、前記二酸化炭素処理部は、前記火力発電プラントから二酸化炭素を供給されて深海にハイドレート化して放出する処理施設を備えていることを特徴とするエネルギーシステム。
- 前記発電プラントと前記低沸点媒体電力・冷熱プラントは機能が一体化されていることを特徴とする請求項1または2に記載のエネルギーシステム。
- 前記低沸点媒体電力・冷熱プラントの冷却に海洋深層水を用いることを特徴とする請求項1または2または3に記載のエネルギーシステム。
- 前記低沸点媒体電力・冷熱プラントの冷却に用いて加温された海洋深層水を養殖施設に導き、前記養殖施設で使用した後の海洋深層水を海域肥沃化に用いることを特徴とする請求項4に記載のエネルギーシステム。
- 前記水素・酸素供給システムは、前記低沸点媒体電力・冷熱プラントで製造した冷媒で海水を凍結させ解凍して得られる淡水を前記水電解プラントに供給する凍結分離プラントと、この凍結分離プラントから濃縮海水を供給されて食塩とミネラル成分を分離するミネラル分離プラントとを備えていることを特徴とする請求項1または2または3に記載のエネルギーシステム。
- 前記低沸点媒体電力・冷熱プラントは、水とアンモニアの混合媒体を作動媒体とすることを特徴とする請求項1または2または3に記載のエネルギーシステム。
- 前記水素吸蔵材は、水素分子を水素原子に分離させる機能を有する金属もしくは合金の被膜を表面に有する多孔性炭素質材料からなることを特徴とする請求項1または2または3に記載のエネルギーシステム。
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JP2005330170A (ja) * | 2004-05-21 | 2005-12-02 | Toshiba Corp | 水素製造システムおよび水素製造方法 |
JP2007320791A (ja) * | 2006-05-31 | 2007-12-13 | Chugoku Electric Power Co Inc:The | 水素製造システム |
JP2011505537A (ja) * | 2007-11-26 | 2011-02-24 | レール・リキード−ソシエテ・アノニム・プール・レテュード・エ・レクスプロワタシオン・デ・プロセデ・ジョルジュ・クロード | エネルギー利用率および捕捉すべきco2量へのオキシ燃焼プラントの適応 |
CN109269129A (zh) * | 2018-08-28 | 2019-01-25 | 南京工业大学 | 钙循环梯级热化学储能方法及*** |
JP2020056358A (ja) * | 2018-10-02 | 2020-04-09 | 清水建設株式会社 | 発電システム |
-
2002
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