JP2004035939A - 磁気記録用紡錘状合金磁性粒子粉末及びその製造法 - Google Patents

磁気記録用紡錘状合金磁性粒子粉末及びその製造法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、微粒子でありながら、高い保磁力を示し、低飽和磁化値でありながら、保磁力分布S.F.D.に優れたFe及びCoを主成分とする紡錘状合金磁性粒子粉末を提供するものであり、磁気記録媒体用磁性材料として好適なものである。
【解決手段】全Feに対してCo換算で50〜110原子%のコバルトを含有する平均長軸径が0.02〜0.08μmのFe及びCoを主成分とする紡錘状合金磁性粒子粉末であり、該Fe及びCoを主成分とする紡錘状合金磁性粒子粉末の保磁力が143.2〜238.7kA/m(1800〜3000Oe)であって飽和磁化値σsが60〜100Am/kg(60〜100emu/g)であり、且つ、該Fe及びCoを主成分とする紡錘状合金磁性粒子粉末を用いて作製した磁性塗膜のS.F.D.が0.7以下である磁気記録用紡錘状合金磁性粒子粉末からなる。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、微細な粒子、殊に、平均長軸径が0.02〜0.08μmの微粒子でありながら、高い保磁力を示し、低飽和磁化値でありながら、磁性塗膜の保磁力分布S.F.D.に優れたFe及びCoを主成分とする紡錘状合金磁性粒子粉末を提供するものであり、当該Fe及びCoを主成分とする紡錘状合金磁性粒子粉末は磁気記録媒体用磁性材料として好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、オーディオ用、ビデオ用、コンピューター用の磁気記録再生用機器の小型軽量化、長時間記録化、記録の高密度化、若しくは記憶容量の増大化が著しく進行しており、磁気記録媒体である磁気テープ、磁気ディスクに対する高性能化、高密度記録化の要求が益々高まってきている。
【0003】
即ち、磁気記録媒体の高画像画質、高出力特性、殊に周波数特性の向上が要求され、その為には、磁気記録媒体に起因するノイズの低下、高い保磁力Hcと保磁力分布S.F.D.が優れていることが要求されている。加えて、保存特性及び耐久性の向上が要求されており、その為には耐候性△Bmが優れており、塗膜中の可溶性塩の含有量が低減されている事が要求されている。
【0004】
磁気記録媒体のこれらの諸特性は磁気記録媒体に使用される磁性粒子粉末と密接な関係を有しており、近年においては、従来の磁性酸化鉄粒子粉末に比較して高い保磁力と大きな飽和磁化値σsを有する鉄を主成分とする金属磁性粒子粉末が注目され、デジタルオーディオテープ(DAT)、8mmビデオテープ、Hi−8テープ、さらにハイビジョン用のW−VHSテープ、デジタル記録方式のDVCテープ等に、コンピューター用ではDDS、DLT、TRAVANなど外部記憶システム用テープ、Zip、スーパーディスク、Hi−FD等のリムーバブルディスクにも使用されている。
【0005】
そこで、鉄を主成分とする金属磁性粒子粉末についても更なる特性改善が強く望まれている。
【0006】
即ち、前記諸特性を満たす磁気記録媒体を得るためには、鉄を主成分とする金属磁性粒子粉末が微粒子であって、より高い保磁力を有し、保磁力分布S.F.D.に優れていることが強く要求されている。加えて、酸化安定性△σsに優れ、しかも可溶性塩の含有量が可及的に低減されていることが要求されている。
【0007】
まず、金属磁性粒子粉末の微粒子化については、特開2000―251243号公報の「……磁気記録媒体の高記録密度を達成するため、使用する信号の短波長化が強力に進められている。信号を記録する領域の長さに対して、使用される磁性体が比較出来る大きさになると明瞭な磁化遷移領域を作り出すことが出来ないので、実質的に記録不可能となる。このため使用する高記録密度化のために、磁性体の微粒子化が長年にわたり指向されている。」なる記載の通り、短波長領域での高出力、ノイズが低減された磁気記録媒体を得るためには、金属磁性粒子粉末の微粒子化、即ち、長軸径の低減が必要になる。
【0008】
また、近年では、これまで用いられてきた誘導型磁気ヘッドに替わり、磁気抵抗型ヘッドがコンピューター用テープ再生ヘッドとして導入され始めている。磁気抵抗型ヘッドは、誘導型磁気ヘッドに比べて再生出力が得られやすく、しかも、誘導コイルに起因するインピーダンスノイズが発生しないため、システムノイズの大幅な低減に寄与する。このため、磁気記録媒体ノイズを低減することができれば、高いC/N比を達成することが可能となる。したがって、磁気記録媒体ノイズのうち、粒子性ノイズの低減の観点からも金属磁性粒子粉末の更なる微粒子化が求められている。
【0009】
加えて、金属磁性粒子の微細化に伴い、全体粒子における酸化被膜の比率が上昇するため、酸化被膜生成による保磁力の低下や保磁力分布S.F.D.が拡大する傾向にある。よって、磁気記録媒体の短波長領域での出力向上のためには、微粒子でありながら、保磁力分布S.F.D.(Switching Field Distribution)が優れている事が要求されている。
【0010】
更に、磁気抵抗型ヘッドは感度が高いため、磁気記録媒体の残留磁化値が過剰な場合には磁気抵抗型ヘッドの飽和を引き起こし、再生特性に歪みを生じ易い。最近の高感度磁気抵抗型ヘッドの開発に伴い、磁気記録媒体の残留磁化値の低減が進められており、そこで、金属磁性粒子粉末の飽和磁化値の低減が必要とされている。従来、金属磁性粒子粉末の粒子表面に厚い酸化被膜を形成することにより、金属磁性粒子粉末の飽和磁化値を低減する方法が提案されているが、それに伴い保磁力分布S.F.D.が拡大するため、前記磁気記録媒体に対する要求を満足出来るものではなかった。そこで、微粒子でありながら、保磁力分布S.F.D.を維持すると共に、低い飽和磁化値の金属磁性粒子粉末が強く要求されている。
【0011】
一方、磁性粒子粉末の保磁力は、一般に、その形状磁気異方性に起因して生じるため、高い保磁力の磁性粒子粉末を得るためには、粒子の軸比(平均長軸径/平均短軸径)を大きくする必要がある。しかし、微粒子であるほど軸比が低下する傾向にあるため、高い保磁力を有する金属磁性粒子粉末を得ることが困難となる。この事実は特開平10−83906号公報の「・・・上記金属粉末の保磁力は、一般的には粒子の大きさに密接に関係しており、粒子が細かくなればなるほど保磁力を保つことが困難になる。例えば、針状粒子の短軸径が一定の場合、その保磁力は、軸比(長軸径/短軸径)が大であるほど高くなるが、・・・・・・保磁力を高く保ち且つ短波長領域における高出力を得るためには、粒子の長軸が限定されてしまう以上、短軸を短くして軸比を大きくすることにより保磁力を高めるしかない。しかしながら、粒子の短軸径があまり小さくなると、いわゆる超常磁性が発現して保磁力を示さないことが知られ、短軸径の短縮化にも限界があった。」なる記載の通りである。
【0012】
保磁力と飽和磁化値とを限定した金属磁性粒子粉末が、特公平5−44162号公報、特開2000−323316号公報、特開2001−93711号公報、特開2001−283421号公報等に記載されている。
【0013】
また、金属磁性粒子の微細化に伴い短軸径が短縮化し、金属磁性粒子粉末の結晶子サイズが減少して比表面積が増大するため、高い酸化安定性を維持することが非常に困難になることが知られている。金属磁性粒子粉末の酸化安定性は、磁気記録媒体の保存特性及び耐久性に大きく寄与することから、微粒子でありながら、高い酸化安定性を有することが強く望まれている。
【0014】
一方、金属磁性粒子粉末は、その製造法に由来して、アルカリ金属などの不純物を含有している。この事実について詳述する。
【0015】
即ち、鉄を主成分とする金属磁性粒子粉末は、硫酸第一鉄などの第一鉄塩水溶液と水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウムなどのアルカリ水溶液とを反応して得られる鉄含有沈殿物を含む水懸濁液を空気等の酸素含有ガスを通気して酸化反応を行い得られるゲータイト粒子粉末、該ゲータイト粒子粉末を加熱脱水して得られるヘマタイト粒子粉末又はこれら粒子粉末に鉄以外の異種元素を含有させた粒子粉末を出発原料として用い、該出発原料を還元性ガス雰囲気下で加熱還元することにより得られている。
【0016】
前記製造法に由来して、金属磁性粒子粉末は可溶性ナトリウム及び硫酸イオンや製法上不可避的に存在する可溶性カルシウムを含有しており、可溶性ナトリウム塩、可溶性カルシウム塩及び硫酸イオンを含有している場合には、磁気記録媒体に使用したときに含有している前記可溶性塩に起因した化合物が磁性塗膜及び磁気ヘッドに析出することが問題となっている。この事実は、特開平9−305958号公報の「各層に使用される磁性体、非磁性体、カーボンブラック、フィラーが含有している水溶性イオンの総和がある量を超えると高温高湿条件で保存後走行させると摩擦係数が増加し、極端な場合は張り付き現象が発生し走行停止する現象が認められた。さらに極端な場合、析出物がスペーシングロスとなり、磁気テープの再生出力が低下する。また金属ヘッドを腐食し、記録再生特性を劣化させてしまう。」という記載からも明らかである。
【0017】
金属磁性粒子粉末中の可溶性塩を低減させる方法としては、1)原料として水酸化ナトリウム等のアルカリ金属からなるアルカリ水溶液を用いない、2)水洗によって可溶性塩を低減する、のどちらかの方法が採られている。
【0018】
水洗によって可溶性塩を低減する場合には、金属磁性粒子粉末に至るまでの各生成物ごとに水洗することが考えられるが、前記金属磁性粒子粉末の製造法において、出発原料であるゲータイト粒子粉末及びヘマタイト粒子粉末の段階で水洗を行っても、除去されるのは粒子表面に存在する可溶性塩だけである。そのため、還元して金属磁性粒子粉末とした場合には、粒子中に含有している不溶性不純物が粒子表面に移動し可溶性塩となって析出することが知られており、完全に除去できるものではない。一方、金属磁性粒子粉末とした後に水洗を行った場合、特に、粒子形状が紡錘状の場合には、保磁力などの磁気特性が低下し、磁性塗料中での分散性も低下する傾向がある。
【0019】
従って、水洗によって可溶性塩を低減する技術では、可溶性塩を低減することはできるが、ゼロにすることは容易ではなく、また磁気特性の低下を招くことになるため好ましくない。そこで、原料として水酸化ナトリウム等のアルカリ金属からなるアルカリ水溶液を用いないことによって、残存する不純物を限りなく無くし、高純度の金属磁性粒子粉末を得ることが要求されている。
【0020】
従来、アルカリ金属からなるアルカリ水溶液を用いることなくゲータイト粒子粉末を製造する技術やゲータイト粒子粉末を加熱脱水した後のヘマタイト粒子粉末及び金属磁性粒子粉末を水洗する技術が試みられている(特開昭61−174119号公報、特開平7−22224号公報、特開平7−326035号公報、特開平8−7256号公報、特開平8−185624号公報、特開平8−186015号公報、特開平8−279137号公報、特開平8−279138号公報、特開平8−306031号公報、特開平9−106535号公報、特開平9−305958号公報、特開平10−69629号公報、特開平10−83906号公報、特開2001−81506号公報、特開2001−176052号公報、WO00/38201号公報、特開2001−192211号公報等)。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】
微粒子でありながら、高い保磁力を示し、しかも、低飽和磁化値でありながら、磁性塗膜の保磁力分布S.F.D.に優れた紡錘状合金磁性粒子粉末は、現在最も要求されているところであるが、前記諸特性を十分満足する鉄を主成分とする金属磁性粒子粉末は未だ提供されていない。
【0022】
即ち、前出特公平5−44162号公報には、金属磁性粒子粉末を徐酸化後、酸素含有ガス中で加熱処理することにより、厚い酸化物層を形成させ、低飽和磁化し、酸化安定性を改良した金属磁性粒子粉末を製造することが記載されているが、得られた金属磁性材料は厚い酸化物層を形成させるため、保磁力分布S.F.Dが広く、保磁力も1000Oe程度であり、高保磁力化、保磁力分布S.F.D.の要求を十分満足していない。
【0023】
また、前出特開2000−323316号公報には、磁性領域を覆うように特定比率の非磁性領域が形成された金属系材料が、磁気抵抗ヘッドを用いた再生システムにおいて、低ノイズ化が図れる事により、高S/N化出来ることが記載されている。しかしながら、Coとの合金化が十分に検討されておらず、非磁性領域拡大による低飽和磁化は著しい保磁力分布S.F.D.の拡大を招き、保磁力分布S.F.D.の要求を満足出来ないものである。また、飽和磁化値も100Am/kg(100emu/g)以上であり、低飽和磁化の要求に対し、不十分である。
【0024】
また、前出特開2001−93711号公報には、全Feに対してCo換算で45〜300重量%に高めた金属磁性粒子粉末を用いることにより、磁気記録媒体での耐酸化性に優れ、出力レベルダウンを防止することが記載されているが、微粒子化、高保磁力化への対応が不十分であり、加えて、飽和磁化値が110Am/kg(110emu/g)以上と高く、低飽和磁化の要求を十分満たしていない。
【0025】
また、前出特開2001−283421号公報には、平均長軸長が0.1μm以下、飽和磁化値が120Am/kg(120emu/g)以下であり、且つ、保磁力が2100kA/m(2100Oe)以上である針状強磁性粒子粉末を用いた磁気記録媒体が磁気抵抗ヘッドを再生に用いる高密度記録に適していることが記載されているが、飽和磁化値が100Am/kg(100emu/g)程度と低飽和磁化の要求に対し、十分とは言えず、また、Co含有量が全Feに対してCo換算で33原子%と低く、飽和磁化値を100Am/kg(100emu/g)以下に低減した場合、保磁力分布S.F.D.劣化が著しく、保磁力分布S.F.D.の要求を満足出来ないものである。
【0026】
また、前出特開昭61−174119号公報には、炭酸アンモニウム水溶液に硫酸第一鉄水溶液を用いてゲータイト粒子粉末を製造することが記載されているが、得られたゲータイト粒子粉末はコバルトを含有していないため、該粒子粉末を出発物質として得られた金属磁性粒子粉末の酸化安定性は十分とは言い難いものである。
【0027】
また、前出特開平7−22224号公報にはヘマタイト粒子粉末又は金属磁性粒子粉末を水洗することが記載されているが、得られた磁性金属粒子粉末は長軸径が0.08μm以上、飽和磁化値が120Am/kg(120emu/g)以上であって、微粒子化・低飽和磁化の要求を十分満たしていない。
【0028】
また、前出特開平7−326035号公報及び特開平8−7256号公報には、第一鉄塩水溶液と炭酸アンモニウム及びアンモニア水とを用いて得られたゲータイト粒子粉末を用いて金属磁性粒子粉末を製造することが記載されているが、平均長軸径が0.08μm以上、飽和磁化値が120Am/kg(120emu/g)以上と大きいので、微粒子化・低飽和磁化の要求を十分満たしていない。
【0029】
また、前出特開平8−185624号公報にはヘマタイト粒子又は金属磁性粒子を水洗してナトリウムイオンとカリウムイオンとの含有割合を特定範囲に制限することが記載されているが、平均長軸径が0.13μm程度、飽和磁化値が120Am/kg(120emu/g)以上と大きく、可溶性ナトリウム含有量が200ppm以下と多いので、微粒子化・高保磁力化、低飽和磁化および酸化安定性向上の要求を十分満たしていない。
【0030】
また、前出特開平8−279137号公報及び特開平8−306031号公報には、第一鉄塩水溶液と炭酸アンモニウム及びアンモニア水とを用いて得られたゲータイト粒子粉末を用いて金属磁性粒子粉末を製造することが記載されており、得られる金属磁性粒子粉末は、平均長軸径が0.05〜0.13μmであって、粒子の表層部が粒子全体に比べアルミニウム、希土類元素及び酸素の含有割合が高くなっている。しかしながら、ゲータイト粒子を生成し、水洗した後、アルミニウム化合物を添加しているため、アルミニウムを結晶中に含有させたゲータイト粒子が得られておらず、加熱還元処理時の還元速度の制御が十分行われないため、焼結が進行するので、微粒子かつ磁気特性・酸化安定性に優れた金属磁性粒子粉末が得られない。加えて、飽和磁化値が130Am/kg(130emu/g)以上であり、低飽和磁化への要求を十分満たしていない。
【0031】
また、前出特開平9−106535号公報には、第一鉄塩水溶液と炭酸アンモニウム及びアンモニア水とを用いて得られたゲータイト粒子粉末を用いて金属磁性粒子粉末を製造することが記載されており、長軸径が0.03〜0.08μmで保磁力1900〜2400Oeの金属磁性粒子粉末が得られているが、酸化安定性向上の要求を十分満たしていない。加えて、飽和磁化値が130Am/kg(130emu/g)以上であり、低飽和磁化への要求を十分満たしていない。
【0032】
また、前出特開平9−171914号公報には、ゲータイト粒子にCo、Al、Si及びCaから選ばれる1種以上の化合物と希土類化合物を被着させ、水洗した後、最外層に炭素化合物を被着させ、次いで、加熱脱水、還元して金属磁性粒子粉末を得ることが記載されているが、ゲータイト粒子中にコバルト及びアルミニウムが固溶していないため、得られる金属磁性粒子粉末の磁気特性が未だ十分とは言い難いものである。また、S及びCl含有量を低減することを目的として、Co、Al、Si及びCaから選ばれる1種以上の化合物と希土類化合物を被着させたゲータイト粒子を水洗することが記載されているが、該粒子を還元して金属磁性粒子粉末とした場合には、粒子中に含有している不溶性不純物が粒子表面に移動し可溶性塩となって析出してくることが知られており、S及びCl含有量は十分に低減されない。また、飽和磁化値が120Am/kg(120emu/g)以上であり、低飽和磁化への要求を十分満たしていない。
【0033】
また、前出特開平9−305958号公報には、アルカリ金属を含まない炭酸アルカリを用いてゲータイト粒子粉末を得、更に、金属磁性粒子粉末とするまでに水洗して金属磁性粒子粉末中の水溶性イオンの含有量を低減することが記載されているが、添加物としてアルカリ金属を含有する化合物を用いているため、ゲータイト粒子中にアルカリ金属を含有しており、高純度のゲータイト粒子が得られているとは言い難いものである。加えて、飽和磁化値が130Am/kg(130emu/g)以上であり、低飽和磁化への要求に対応出来ていない。
【0034】
また、前出特開平10−69629号公報には、ゲータイト粒子、ヘマタイト粒子又は金属磁性粒子のいずれかの段階で水洗することが記載されているが、完全に除去できるとは言い難いものである。一方、金属磁性粒子粉末とした後に水洗を行った場合、飽和磁化、保磁力などの磁気特性が低下し、磁性塗料中での分散性も低下するので好ましくない。加えて、飽和磁化値が130Am/kg(130emu/g)以上であり、低飽和磁化への要求を十分満たしていない。
【0035】
また、前出特開平10−83906号公報には、塩化第一鉄とアンモニア水溶液からなる水酸化アルカリと炭酸アンモニウム等からなる炭酸アルカリからゲータイト粒子粉末を製造することが記載されているが、アンモニア水で水洗することは記載されておらず、また、ゲータイト粒子を生成するときの反応pHが高いため、コバルトイオンがアンミン錯体として溶出するため、高い保磁力を有する金属磁性粒子粉末を得ることが困難となる。加えて、飽和磁化値が130Am/kg(130emu/g)以上であり、低飽和磁化への要求を十分満たしていない。
【0036】
また、特開2001−81506号公報には、Coを含有し、Alを固溶したオキシ水酸化鉄または酸化鉄の粒子表面に、希土類とSiを被着させ、該粒子粉末をガス還元して金属磁性粒子粉末を得ることが記載されているが、平均長軸径が0.10μmと大きいものであり、且つ、飽和磁化値が140Am/kg(120emu/g)以上であり、微粒子化・低飽和磁化の要求を十分満たしていない。
【0037】
また、特開2001−176052号公報及び特開2001−176053号公報には、第一鉄塩水溶液と炭酸アンモニウム及びアンモニア水とを用いて得られたゲータイト粒子粉末を用いて金属磁性粒子粉末を製造することが記載されているが、ゲータイト粒子の生成反応後、コバルト化合物を添加しているため、ゲータイト結晶中にコバルトを含有するゲータイト粒子が得られておらず、加熱還元処理時の還元速度の制御が十分行われないため、焼結が進行するので、微粒子かつ磁気特性・酸化安定性に優れた金属磁性粒子粉末が得られない。また、飽和磁化値が150Am/kg(150emu/g)であり、低飽和磁化への要求を十分満たしていない。
【0038】
また、WO00/38201号公報には、第二鉄塩水溶液、コバルト塩水溶液およびアルミニウムの水可溶性塩を水酸化ナトリウム水溶液と混合・熟成することでコバルトとアルミニウムを含有させたオキシ水酸化鉄粒子を得た後、該粒子表面を更に希土類元素の化合物で被覆したオキシ水酸化鉄粒子粉末を加熱還元して、金属磁性粒子粉末を製造することが記載されている。しかしながら、アルカリ源として水酸化ナトリウムを用いているため、Na等の可溶性塩を十分に低減できるとは言い難い。また、飽和磁化値が130Am/kg(130emu/g)であり、低飽和磁化への要求を十分満たしていない。
【0039】
また、特開2001−192211号公報には、第一鉄塩水溶液と炭酸アンモニウム及びアンモニア水とを用いて得られたゲータイト粒子粉末を用いて金属磁性粒子粉末を製造することが記載されているが、前記ゲータイト粒子粉末の粒子表面にコバルト化合物及び希土類化合物を被覆する際に、同時に被覆を行っており、還元処理時の焼結防止効果が不十分であるため、平均長軸径が0.02〜0.08μmの微粒子であって、高い保磁力を示し、かつ酸化安定性に優れた金属磁性粒子粉末を得ることは困難である。加えて、飽和磁化値が140Am/kg(140emu/g)以上と高く、低飽和磁化への要求を十分満たしていない。
【0040】
そこで、本発明は、平均長軸径が0.02〜0.08μmの微粒子でありながら、高い保磁力を示し、且つ、低飽和磁化値でありながら、磁性塗膜の保磁力分布S.F.D.に優れた紡錘状合金磁性粒子粉末、加えて、更に酸化安定性に優れ、且つ、可溶性塩が可及的に低減された前記紡錘状合金磁性粒子粉末を提供することを技術的課題とする。
【0041】
【課題を解決するための手段】
前記技術的課題は、次の通りの本発明によって達成できる。
【0042】
即ち、本発明は、全Feに対してCo換算で50〜110原子%のコバルトを含有する平均長軸径が0.02〜0.08μmのFe及びCoを主成分とする紡錘状合金磁性粒子粉末であり、該Fe及びCoを主成分とする紡錘状合金磁性粒子粉末の保磁力が143.2〜238.7kA/m(1800〜3000Oe)であり、飽和磁化値σsが60〜100Am/kg(60〜100emu/g)であり、且つ、該Fe及びCoを主成分とする紡錘状合金磁性粒子粉末を用いて作製した磁性塗膜のS.F.D.が0.7以下であることを特徴とする磁気記録用紡錘状合金磁性粒子粉末である(本発明1)。
【0043】
また、本発明は、全Feに対してCo換算で50〜110原子%のコバルトを含有する平均長軸径が0.02〜0.08μmのFe及びCoを主成分とする紡錘状合金磁性粒子粉末であり、該Fe及びCoを主成分とする紡錘状合金磁性粒子粉末の保磁力が143.2〜238.7kA/m(1800〜3000Oe)であり、飽和磁化値σsが60〜100Am/kg(60〜100emu/g)であり、可溶性Na含有量が30ppm以下であって可溶性Ca含有量が100ppm以下であり、且つ、該Fe及びCoを主成分とする紡錘状合金磁性粒子粉末を用いて作製した磁性塗膜のS.F.Dが0.7以下であることを特徴とする磁気記録用紡錘状合金磁性粒子粉末である(本発明2)。
【0044】
また、本発明は、全Feに対してCo換算で50〜110原子%のコバルト、Al換算で3〜20原子%のアルミニウム及び希土類元素換算で10−30原子%の希土類元素を含有する平均長軸径が0.02〜0.08μmのFe及びCoを主成分とする紡錘状合金磁性粒子粉末であり、該Fe及びCoを主成分とする紡錘状合金磁性粒子粉末の保磁力が143.2〜238.7kA/m(1800〜3000Oe)であり、飽和磁化値σsが60〜100Am/kg(60〜100emu/g)であり、可溶性Na含有量が30ppm以下であって可溶性Ca含有量が100ppm以下であり、酸化安定性Δσsが10%以下であり、且つ、該Fe及びCoを主成分とする紡錘状合金磁性粒子粉末を用いて作製した磁性塗膜のS.F.Dが0.7以下であることを特徴とする磁気記録用紡錘状合金磁性粒子粉末である(本発明3)。
【0045】
また、本発明は、全Feに対しCo換算で15〜50原子%のコバルト及び全Feに対しAl換算で3〜15原子%のアルミニウムを含有するゲータイト粒子を含む水懸濁液にコバルト化合物及び炭酸アルカリ水溶液を添加して、ゲータイト粒子の粒子表面に全Feに対してCo換算で15〜60原子%の炭酸コバルトを被覆し、次いで、全Feに対して希土類元素換算で10〜30原子%の希土類化合物によって前記炭酸コバルトで被覆されたゲータイト粒子の粒子表面を被覆した後、該表面被覆したゲータイト粒子粉末又は該表面被覆したゲータイト粒子粉末を非還元性雰囲気中、400〜750℃で加熱処理して得られたヘマタイト粒子粉末を還元性雰囲気中、350〜700℃で加熱還元してFe及びCoを主成分とする紡錘状合金磁性粒子粉末を得ることを特徴とする本発明1乃至3のいずれかに記載の磁気記録用紡錘状合金磁性粒子粉末の製造法である(本発明4)。
【0046】
また、本発明は、硫酸第一鉄水溶液と該硫酸第一鉄水溶液に対する当量比が1.7〜3.0である炭酸水素アンモニウム水溶液及び水酸化アンモニウム水溶液からなる混合アルカリ水溶液とを反応させて得られる第一鉄含有沈殿物を含む水懸濁液を非酸化性雰囲気下において熟成させた後に、該水懸濁液中に酸素含有ガスを通気して酸化反応によってゲータイト種晶粒子を生成させ、次いで、該種晶粒子と第一鉄含有沈澱物とを含む水懸濁液中に酸素含有ガスを通気して酸化反応によって該種晶粒子の粒子表面上にゲータイト層を成長させてゲータイト粒子を生成させるにあたり、
前記混合アルカリ水溶液として、該混合アルカリ水溶液に対して前記水酸化アンモニウム水溶液が55〜85mol%の割合で配合されているものを使用すると共に、前記種晶粒子の生成時において、酸化反応開始前の熟成中の第一鉄含有沈澱物を含む水懸濁液に全Feに対しCo換算で15〜50原子%のCo化合物を添加し、酸化反応を全Fe2+の20〜80%の範囲で行い、
前記ゲータイト層の成長時においては、前記種晶粒子と第一鉄含有沈殿物とを含む水懸濁液のpHが9.0未満となるように全Feに対しAl換算で3〜15原子%のAl化合物を添加し、
生成させた前記ゲータイト粒子を濾別した後、pH9.5〜11.5のアンモニア水で水洗することによってゲータイト粒子粉末とし、
次いで、得られたゲータイト粒子を含む水懸濁液にコバルト化合物及び炭酸アルカリ水溶液を添加して、ゲータイト粒子の粒子表面に全Feに対してCo換算で15〜60原子%の炭酸コバルトを被覆し、次いで、全Feに対して希土類元素換算で10〜30原子%の希土類化合物によって前記炭酸コバルトで被覆されたゲータイト粒子の粒子表面を被覆した後、該表面被覆したゲータイト粒子粉末又は該表面被覆したゲータイト粒子粉末を非還元性雰囲気中、400〜750℃で加熱処理して得られたヘマタイト粒子粉末を還元性雰囲気中、350〜700℃で加熱還元してFe及びCoを主成分とする紡錘状合金磁性粒子粉末を得ることを特徴とする本発明1乃至3のいずれかに記載の磁気記録用紡錘状合金磁性粒子粉末の製造法である(本発明5)。
【0047】
また、本発明は、前記磁気記録用紡錘状合金磁性粒子粉末の製造法において、前記加熱還元が、還元性雰囲気中、300〜600℃の温度範囲で加熱還元を行って紡錘状合金磁性粒子粉末を得る第1工程、第1工程で得た紡錘状合金磁性粒子粉末を酸素含有不活性ガス雰囲気下で60〜200℃の温度範囲で表面酸化を行って該紡錘状合金磁性粒子粉末の飽和磁化値を85〜135Am/kgとする第2工程、第2工程を経由した紡錘状合金磁性粒子粉末を還元性ガス雰囲気中、第1工程の還元温度よりも50℃以上高く、且つ、400〜700℃の温度範囲まで昇温し、次いで、還元性ガス雰囲気に切り替えた後、400〜700℃の温度範囲で再度加熱還元を行う第3工程及び第3工程を経由した紡錘状合金磁性粒子粉末を5〜10g/mの水蒸気と酸素とを含んだ不活性ガス雰囲気下で40〜160℃の温度範囲で再度表面酸化を行うことによって紡錘状合金磁性粒子粉末を得る第4工程からなることを特徴とする本発明4又は本発明5の磁気記録用紡錘状合金磁性粒子粉末の製造法である(本発明6)。
【0048】
本発明の構成を詳しく説明すれば、次の通りである。
【0049】
まず、本発明に係る紡錘状合金磁性粒子粉末について述べる。
【0050】
本発明に係る紡錘状合金磁性粒子粉末は、紡錘状であって、平均長軸径は0.02〜0.08μmであり、平均長軸径が0.02μm未満の場合には、酸化安定性が急激に低下し、同時に高い保磁力、良好な保磁力分布S.F.D.が得られ難くなる。0.08μmを越える場合には、短波長領域での高出力、ノイズが低減された磁気記録媒体を得るための磁性体粒子としては、粒子サイズが大きいため好ましくない。好ましくは0.025〜0.075μmである。
【0051】
本発明に係る紡錘状合金磁性粒子粉末の軸比は2以上が好ましく、軸比が2未満の場合には目的とする高い保磁力を得ることができない。より好ましくは3〜8である。
【0052】
本発明に係る紡錘状合金磁性粒子粉末の結晶子サイズD110は90〜170Åが好ましく、結晶子サイズが90Å未満の場合には、磁気記録媒体にした場合に粒子性ノイズ低減の点では有利となるが、保磁力の低下や保磁力分布S.F.D.が拡大しやすく、また酸化安定性も低下する。170Å以上の場合には粒子性ノイズが増加するため好ましくない。より好ましくは90〜150Åである。
【0053】
本発明に係る紡錘状合金磁性粒子粉末のBET比表面積値は40〜80m/gが好ましく、40m/g未満の場合には、ノイズ、分散性を満足する紡錘状合金磁性粒子粉末が得られない。80m/gを超える場合には、塗料化時に分散し難くなり、また、塗料の高粘度化を招くため好ましくない。より好ましくは50〜80m/gである。
【0054】
また、紡錘状合金磁性粒子粉末のコバルト含有量は全Feに対してCo換算で50〜110原子%であり、コバルト含有量が50原子%未満の場合には、良好な保磁力分布S.F.D.を維持した状態で低い飽和磁化値を得ることができず、また、高い保磁力が得られ難い。110原子%を超える場合には、保磁力の低下、また必要以上の飽和磁化の低下を招く。好ましくは55〜100原子%である。
【0055】
アルミニウム含有量は全Feに対してAl換算で3〜20原子%が好ましく、希土類元素含有量は全Feに対して希土類元素換算で10〜30原子%が好ましい。アルミニウム含有量及び希土類元素含有量が前記各下限値未満の場合には、加熱還元過程における焼結防止効果が低下するため、保磁力が低下し、保磁力分布S.F.D.が拡大する。上限値を超える場合には、水素還元に必要な温度が著しく高くなり、製造上好ましくない。
【0056】
また、可溶性Naの含有量は30ppm以下が好ましく、より好ましくは20ppm以下、更に好ましくは10ppm以下であり、可溶性Caの含有量は100ppm以下が好ましく、より好ましくは80ppm以下、更に好ましくは70ppm以下である。前記各不純物含有量が上限値を超えた場合には、これに起因した化合物が磁性塗膜表面に析出する可能性があるため好ましくない。また、残存硫黄量は60ppm以下が好ましく、より好ましくは50ppm以下である。
【0057】
本発明に係る紡錘状合金磁性粒子粉末は、保磁力Hcが143.2〜238.7kA/m(1800〜3000Oe)である。143.2kA/m未満の場合には、短波長領域で十分な高出力が得られない。238.7kA/mを超える場合には、記録ヘッドの飽和を引き起こし、目的とする短波長領域での高出力が得られない。好ましくは159.2〜222.8kA/m(2000〜2800Oe)である。
【0058】
本発明に係る紡錘状合金磁性粒子粉末は、飽和磁化値σsが60〜100Am/kg(60〜100emu/g)である。60Am/kg未満の場合には、残留磁化値が低下するため、短波長領域で十分な高出力が得られない。加えて、高い保磁力、良好な保磁力分布S.F.D.を持つ紡錘状合金磁性粒子粉末が得られない。100Am/kgを超える場合には、過剰な残留磁化を生じ、磁気抵抗ヘッドの飽和を引き起こし、再生特性に歪みを生じ易く、短波長領域での高C/N出力が得られない。好ましくは70〜100Am/kg(70〜100emu/g)である。
【0059】
本発明に係る紡錘状合金磁性粒子粉末の酸化安定性Δσsは、10%以下が好ましく、より好ましくは8%以下である。
【0060】
本発明に係る紡錘状合金磁性粒子粉末は、角型比(σr/σs)が0.51〜0.55が好ましい。
【0061】
本発明に係る紡錘状合金磁性粒子粉末を用いて得られた磁性塗膜の保磁力分布S.F.D.は0.70以下である。S.F.D.が0.70を超える場合には、磁化反転領域が拡大し、短波長領域で十分な出力が得られない。より好ましくは0.60以下、更に好ましくは0.50以下である。
【0062】
また、本発明に係る紡錘状合金磁性粒子粉末を用いて得られた磁性塗膜は、保磁力Hc143.2〜238.7kA/m(1800〜3000Oe)が好ましく、角形比(Br/Bm)0.82以上が好ましく、酸化安定性ΔBm8%未満が好ましい。
【0063】
次に、本発明に係る紡錘状合金磁性粒子粉末の製造法について述べる。
【0064】
本発明においては、下記詳述する方法によって紡錘状ゲータイト粒子を形成した後、当該ゲータイト粒子を含有する水懸濁液にコバルト化合物及びアルカリ金属の炭酸塩を含有する水溶液を添加して前記紡錘状ゲータイト粒子の粒子表面を炭酸コバルトで被覆し、更に、前記炭酸コバルトの表面に希土類化合物を被覆し、得られた表面被覆ゲータイト粒子粉末又は該ゲータイト粒子粉末を400〜750℃で加熱脱水して得られた紡錘状ヘマタイト粒子粉末を、350〜700℃で加熱還元することによってFe及びCoを主成分とする紡錘状合金磁性粒子粉末を得ることができる。
【0065】
本発明における紡錘状ゲータイト粒子粉末は、硫酸第一鉄水溶液と該硫酸第一鉄水溶液に対する当量比が1.7〜3.0である炭酸水素アンモニウム水溶液及び水酸化アンモニウム水溶液からなる混合アルカリ水溶液とを反応させて得られる第一鉄含有沈殿物を含む水懸濁液を非酸化性雰囲気下において熟成させた後に、該水懸濁液中に酸素含有ガスを通気して酸化反応によって紡錘状ゲータイト種晶粒子を生成させ、次いで、該種晶粒子と第一鉄含有沈澱物とを含む水懸濁液中に酸素含有ガスを通気し酸化反応によって該種晶粒子の粒子表面上にゲータイト層を成長させて紡錘状ゲータイト粒子を生成させるにあたり、
前記混合アルカリ水溶液として、該混合アルカリ水溶液に対して前記水酸化アンモニウム水溶液が55〜85mol%の割合で配合されているものを使用すると共に、前記種晶粒子の生成時においては、酸化反応開始前の熟成中の第一鉄含有沈澱物を含む水懸濁液に全Feに対しCo換算で15〜50原子%のCo化合物を添加して酸化反応を全Fe2+の20〜80%の範囲で行い、
前記ゲータイト層の成長時においては、前記種晶粒子と第一鉄含有沈殿物とを含む水懸濁液のpHが9.0未満となるように全Feに対しAl換算で0.5〜20原子%のAl化合物を添加し、
生成させた前記紡錘状ゲータイト粒子を濾別した後、pH9.5〜11.5のアンモニア水で水洗することによって得ることができる。
【0066】
前記紡錘状ゲータイト種晶粒子の生成反応において、硫酸第一鉄水溶液を用いるのは、硫酸第一鉄水溶液以外では、例えば、塩化第一鉄水溶液では、塩素を含有するため好ましくない。前記硫酸第一鉄水溶液と前記混合アルカリ水溶液との混合後の第一鉄濃度は0.1〜1.0mol/lが好ましく、0.1mol/l未満の場合には、収量が少なく工業的でない。1.0mol/lを越える場合には、粒径分布が大きくなるため好ましくない。より好ましくは0.2〜0.8mol/lである。
【0067】
本発明においては炭酸水素アンモニウム水溶液(NHHCO)及び水酸化アンモニウム水溶液(NHOH)を用いる。アルカリ金属からなるアルカリ水溶液を用いた場合には、粒子中にアルカリ金属が残存するため本発明の目的とする可溶性塩が除去された紡錘状合金磁性粒子粉末を得ることができない。炭酸水素アンモニウム水溶液と水酸化アンモニウム水溶液との混合割合は、混合アルカリ水溶液に対して水酸化アンモニウム水溶液が55〜85mol%であり、好ましくは57〜80mol%である。炭酸水素アンモニウムが多い場合には、得られるゲータイト粒子の軸比が小さくなる。一方、水酸化アンモニウムが多くなりすぎるとマグネタイトが発生しやすくなると共にコバルトの溶出も起こりやすい。
【0068】
前記炭酸水素アンモニウム水溶液と水酸化アンモニウム水溶液の合計使用量は、硫酸第一鉄水溶液中の全Feに対する当量比として1.7〜3.0であり、1.7未満の場合には、マグネタイトが混在しやすくなり、3.0を越えると工業的に好ましくない。好ましくは1.75〜2.85である。
【0069】
本発明における第一鉄含有沈殿物を含む水懸濁液のpHは7.5〜9.5が好ましく、pH7.5未満の場合にはマグネタイトが混在するため好ましくない。pHが9.5を超える場合には、コバルトの溶出が顕著になるため好ましくない。より好ましくは8.0〜9.0である。
【0070】
前記紡錘状ゲータイト種晶粒子の熟成反応は、非酸化性雰囲気下で攪拌して行う。非酸化性雰囲気とは、不活性ガス(窒素ガスなど)又は還元性ガス(水素ガスなど)を液中に通気する。好ましくは窒素ガスである。
【0071】
前記紡錘状ゲータイト種晶粒子の熟成反応における反応温度は、非酸化性雰囲気下の前記水懸濁液を、通常、40〜80℃の温度範囲で行うことが好適である。40℃未満の場合には、軸比が小さく十分な熟成効果が得られ難く、80℃を越える場合には、マグネタイトが混在してくることがある。熟成時間としては、30〜300分間である。30分間未満の場合には、十分に軸比を大きくすることができない。300分間を越える場合には、アンモニアが揮発するため十分な熟成効果を得ることが困難となる。
【0072】
前記紡錘状ゲータイト種晶粒子の生成反応における酸化手段は、酸素含有ガス(例えば空気)を液中に通気することにより行う。
【0073】
前記紡錘状ゲータイト種晶粒子の生成反応における温度は、通常、ゲータイト粒子が生成する80℃以下の温度で行えばよい。80℃を越える場合には、紡錘状ゲータイト粒子中にマグネタイトが混在することがある。好ましくは45〜55℃の範囲である。
【0074】
前記紡錘状ゲータイト種晶粒子の生成反応において、酸化反応を行う前の熟成後の第一鉄含有沈澱物を含む水懸濁液に、硫酸コバルトや硝酸コバルト等のCo化合物を添加する。前記Co化合物の添加量は、得られる最終の紡錘状ゲータイト粒子中の全Feに対してCo換算で15〜50原子%であり、15原子%未満の場合には、紡錘状合金磁性粒子粉末とした場合に磁気的特性の向上効果がなく、50原子%を越える場合には、微細化のため軸比の著しい低下や反応生成物中にゲータイト以外の異物の混在を招き易い。好ましくは18〜40原子%である。
【0075】
前記紡錘状ゲータイト種晶粒子の生成反応は全Fe2+の20〜80%の範囲で行う。20%未満の場合には、軸比が小さくなり過ぎ、紡錘状合金磁性粒子粉末とした場合に高い保磁力が得られ難く、一方、80%を超える場合には、ゲータイト粒子の生成が終了間近であり、添加するAl化合物の効果が十分得られず保磁力が低下する。
【0076】
前記紡錘状ゲータイト種晶粒子を含む水懸濁液中に、酸素含有ガスを通気して、前記紡錘状ゲータイト種晶粒子の粒子表面上にゲータイト層を成長させるにあたり、水懸濁液にAl化合物を添加することによって、アルミニウムを含有した紡錘状ゲータイト粒子粉末を得ることができる。
【0077】
Al化合物としては、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム等の酸性塩、アルミン酸アンモニウム等のアルミン酸塩を使用することができる。Al化合物の添加時期は、成長反応において酸素含有ガスを通気する前の紡錘状ゲータイト種晶粒子と第一鉄含有沈殿物とを含む水懸濁液若しくは成長反応中の水懸濁液のいずれかに添加すればよい。殊に、ゲータイト層の成長反応を開始する前が好ましい。また、Al化合物を分割添加したり連続的及び間欠的に添加してもよい。
【0078】
前記Al化合物の添加量は、得られる最終の紡錘状ゲータイト粒子中の全Feに対してAl換算で3〜20原子%が好ましく、3原子%未満の場合には焼結防止効果がなく、20原子%を越える場合には軸比が低下する。より好ましくは3.5〜15原子%である。
【0079】
前記ゲータイト層の成長反応における反応溶液のpH値は9.0未満が好ましく、pHが9.0を越える場合にはコバルトの溶出が起こりやすくなり、紡錘状合金磁性粒子粉末とした場合に目的とする高い保磁力が得られない。好ましくは7.0〜8.8の範囲である。なお、pH値が7.0未満の場合には、マグネタイトが混入することがあるため好ましくない。
【0080】
前記ゲータイト層の成長反応における酸化手段は、酸素含有ガス(例えば空気)を液中に通気することにより行う。
【0081】
前記ゲータイト層の成長反応における温度は、通常、ゲータイト粒子が生成する80℃以下の温度で行えばよい。80℃を越える場合には、紡錘状ゲータイト粒子中にマグネタイトが混在することがある。好ましくは45〜55℃の範囲である。
【0082】
得られた紡錘状ゲータイト粒子粉末をpH9.5〜11.5のアンモニア水で水洗する。アンモニア水で洗浄することによって硫酸イオンを除去することができる。アンモニア水のpHが上記範囲以外の場合には、硫酸イオンを十分に除去することができない。アンモニア水の温度範囲は20〜50℃が好ましい。20℃未満の場合には洗浄効率が低下し、また50℃を超える場合にはアンモニアが揮発するため好ましくない。
【0083】
アンモニア水で洗浄した後、更に、水洗することが好ましい。洗浄水としてはイオン交換水が好ましい。
【0084】
得られた紡錘状ゲータイト粒子粉末は、平均長軸径0.04〜0.15μmが好ましく、より好ましくは0.05〜0.14μmであり、軸比3〜12が好ましく、より好ましくは4〜10であり、BET比表面積値100〜250m/gが好ましい。Co含有量は紡錘状ゲータイト粒子粉末中の全Feに対してCo換算で15〜50原子%であり、Al含有量が全Feに対してAl換算で3〜20原子%である。
【0085】
本発明においては、前記紡錘状ゲータイト粒子の粒子表面を炭酸コバルトで被覆することが重要である。ゲータイト粒子表面を炭酸コバルトで被覆することによって、還元速度の制御を容易にすることができるので焼結防止効果が向上する。
【0086】
紡錘状ゲータイト粒子を含有する水懸濁液に添加するコバルト化合物の水溶液としては、酢酸コバルト水溶液又は硝酸コバルト水溶液が好ましい。コバルト化合物の添加量は、紡錘状ゲータイト粒子が含有するCo量との合計で全Feに対してCo換算で110原子%を超えない範囲で添加する。
【0087】
コバルト化合物が存在する紡錘状ゲータイト粒子の水懸濁液にアルカリ金属からなる炭酸アルカリ水溶液を添加することによって、紡錘状ゲータイト粒子の粒子表面に炭酸コバルトを被覆する。アルカリ金属の炭酸アルカリ水溶液としては、炭酸ナトリウム水溶液、炭酸カリウム水溶液が好ましい。アルカリ金属の炭酸アルカリ水溶液以外のアルカリ水溶液では、炭酸コバルトによって被覆することが困難となり、分散性及び酸化安定性に優れた紡錘状合金磁性粒子粉末を得ることができない。なお、被覆反応によって付着したアルカリ金属は水洗することによって容易に除去することができる。
【0088】
炭酸コバルトで被覆した紡錘状ゲータイト粒子の粒子表面を被覆する希土類元素としては、イットリウム、ネオジム、ランタン、セリウム、スカンジウム、プラセオジム及びサマリウム等の1種又は2種以上が好適である。添加する希土類化合物としては、前記希土類元素の塩化物、硝酸塩を使用することが好ましい。
【0089】
前記希土類化合物の添加量は、紡錘状ゲータイト粒子の全Feに対して希土類元素換算で10〜30原子%が好ましく、10原子%未満の場合には、焼結防止効果が十分でなく、紡錘状合金磁性粒子粉末とした場合に保磁力分布S.F.D.の悪化や保磁力が低下する。30原子%を越える場合には水素還元に必要な温度が著しく高くなり、製造上好ましくない。より好ましくは15〜28原子%である。
【0090】
添加した希土類化合物は、炭酸アルカリ水溶液を添加して反応溶液のpHを調整することによって炭酸コバルトが被覆された紡錘状ゲータイト粒子の粒子表面に被覆することができる。希土類化合物は炭酸塩又は水酸化物の状態で被覆されている。なお、被覆反応によって付着したアルカリ金属は水洗することによって容易に除去することができる。
【0091】
前記表面被覆されたゲータイト粒子は、コバルトとアルミニウムを含有する紡錘状ゲータイト粒子の粒子表面が炭酸コバルトで被覆され、更に当該炭酸コバルトの表面が希土類元素からなる化合物で被覆されている。
【0092】
紡錘状ゲータイト粒子の粒子表面を炭酸コバルトによって表面被覆し、更に当該粒子表面を希土類化合物によって表面被覆することで、粒子及び粒子相互間の焼結が防止され、紡錘状ゲータイト粒子の粒子形状及び軸比を保持継承した紡錘状ヘマタイト粒子粉末を得ることができ、これによって、前記形状等を保持継承し、個々に独立した紡錘状合金磁性粒子粉末が得られやすくなる。
【0093】
次に、表面被覆した紡錘状ゲータイト粒子粉末の加熱還元処理を行う。
【0094】
なお、磁気特性、粉体特性及び粉体形状の制御ためには、還元処理に先立って、あらかじめ、常法により、表面被覆した紡錘状ゲータイト粒子粉末を非還元性ガス雰囲気中において加熱脱水処理を行って、紡錘状ヘマタイト粒子粉末とすることが好ましい。
【0095】
非還元性雰囲気としては、空気、酸素ガス、窒素ガス等から選択される一種以上のガス流通下が好ましい。加熱処理温度は400〜750℃の範囲で行うことができ、該加熱処理温度は、紡錘状ゲータイト粒子の被覆処理に用いた化合物の種類に応じて適宜選択することがより好ましい。400℃未満では加熱処理に長時間を要し、750℃を超える場合には、粒子の変形と粒子及び粒子相互間の焼結を引き起こす。
【0096】
本発明における紡錘状ヘマタイト粒子粉末は、平均長軸径0.04〜0.15μmが好ましく、より好ましくは0.05〜0.14μmであり、軸比3〜12が好ましく、より好ましくは3〜10であり、BET比表面積値30〜140m/gが好ましい。
【0097】
紡錘状ヘマタイト粒子粉末のコバルト含有量は全Feに対してCo換算で50〜110原子%が好ましく、アルミニウム含有量は全Feに対してAl換算で3〜20原子%が好ましく、希土類元素の含有量は全Feに対して希土類元素換算で10〜30原子%が好ましい。
【0098】
本発明における還元装置としては、固定層を形成させた還元装置が好ましく、具体的には、静置式還元装置(バッチ式)もしくはベルト上に固定層を形成して該ベルトを移送させながら還元する移動式還元装置(連続式)が好ましい。
【0099】
本発明における固定層の層高は、30cm以下が好ましい。30cmを超える場合には、多量にCoを含有するため還元促進作用が顕著であるのと同時に、固定層の層下部の急激な還元による水蒸気分圧の増大によって、固定層上部の保磁力が低下する等の問題が起こり、全体として特性が劣化する。工業的な生産性を考慮すると、3〜30cmがより好ましい。なお、バッチ式(特開昭54−62915号公報、特開平4−224609号公報等)、連続式(特開平6−93312号公報等)では生産性が異なるため、バッチ式の固定層還元装置では4cmを超え、30cm以下が好ましい。
【0100】
本発明における加熱還元処理の温度範囲は350〜700℃が好ましい。350℃未満である場合には、還元反応の進行が遅く、長時間を要する。また、紡錘状合金磁性粒子粉末の結晶成長が不十分であるため、飽和磁化値、保磁力などの磁気特性が著しく低下する。700℃を超える場合には、還元反応が急激に進行して粒子の変形と、粒子及び粒子相互間の焼結を引き起こす。
【0101】
本発明における加熱還元後の紡錘状合金磁性粒子粉末は、周知の方法、例えば、トルエン等の有機溶剤中に浸漬する方法、還元後の紡錘状合金磁性粒子の雰囲気を一旦不活性ガスに置換した後、不活性ガス中の酸素含有量を徐々に増加させながら最終的に空気とする方法及び酸素と水蒸気を混合したガスを使用して徐酸化する方法等により空気中に取り出すことができる。
【0102】
本発明においては、加熱還元工程を4工程に分割して行うことによって、保磁力に優れた紡錘状合金磁性粒子粉末を得ることができる。
【0103】
本発明では、第1工程及び第3工程の加熱還元温度まで昇温する期間の雰囲気は不活性ガス雰囲気、あるいは還元性ガス雰囲気である。不活性ガス雰囲気としては、窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガス等が好ましく、殊に、窒素ガスが好適である。還元性ガス雰囲気で昇温する場合、40分以下、好ましくは20分以下の時間で急速昇温することで、金属磁性粒子生成時の還元温度が一定にすることが出来る。
【0104】
なお、第1工程及び第3工程の昇温速度は、還元性雰囲気の場合、20〜100℃/minが好ましい。
【0105】
本発明の第1工程及び第3工程の加熱還元工程における雰囲気は、還元性ガスであり、還元性ガスとしては水素が好適である。
【0106】
本発明における第1工程の加熱還元温度は300〜600℃であり、好ましくは350〜550℃である。加熱還元温度は、出発原料の被覆処理に用いた化合物の種類、量に応じて上記温度範囲から適宜選択することが好ましい。加熱還元温度が300℃未満の場合には、還元の進行が非常に遅く工業的でなく、得られた紡錘状合金磁性粒子粉末の飽和磁化値も低いものとなる。600℃を超える場合には、還元反応が急激に進行して粒子の形状破壊や粒子及び粒子相互間の焼結を引き起こしてしまい、保磁力が低下する。
【0107】
本発明における第1工程の還元性ガスのガス空塔速度は、40〜150cm/sが好ましい。ガス空塔速度が40cm/s未満の場合、出発原料の還元で発生した水蒸気が系外に運ばれる速度が非常に遅くなるため、層上部の保磁力、SFDが低下し、全体として高い保磁力が得られない。150cm/sを超える場合、目的とする紡錘状合金磁性粒子粉末は得られるが、還元温度が高温を要したり、造粒物が飛散し破壊されるなどの問題が起こり易く好ましくない。
【0108】
本発明における第2工程は、酸素を含んだ不活性ガス雰囲気で表面酸化処理を行う。不活性ガス雰囲気としては、窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガス等が好ましく、殊に窒素ガスが好適である。酸素の含有量は0.1〜5vol%が好ましく、所定量まで徐々に酸素量を増加させることが好ましい。
【0109】
本発明における第2工程の反応温度は、60〜200℃であり、好ましくは60〜180℃である。60℃未満の場合には、十分な厚さを有する表面酸化層を形成することが困難である。200℃を超える場合には、粒子の形骸変化、特に酸化物が多量に生成されるため短軸が極端に膨張し、場合によっては、形骸破壊が起こりやすいため好ましくない。
【0110】
第2工程を終了した紡錘状合金磁性粒子粉末は、飽和磁化値が85〜135Am/kg(85〜135emu/g)であり、好ましくは90〜130Am/kg(90〜130emu/g)である。飽和磁化値が85Am/kg未満の場合には、表面酸化層が厚くなりすぎるため、第3工程の加熱還元処理を行っても保磁力の大きな紡錘状合金磁性粒子粉末を得ることができない。130Am/kgを超える場合には、表面酸化層の形成が不十分であるため、緻密な表面酸化層を形成することができない。
【0111】
なお、第2工程において粒子全体を酸化した場合には、粒子の形骸変化、特に短軸成長が起こり、酸化物が多量に生成されるため短軸が極端に膨張し、場合によっては、形骸破壊が起こるため、再度還元しても既に形状が崩れているので、保磁力は向上しない。
【0112】
本発明における第3工程の加熱還元温度は、第1工程の加熱還元温度よりも50℃以上高い温度で、且つ、400〜700℃の温度範囲である。第1工程の加熱還元温度よりも50℃以上高くない場合及び400℃未満の場合には、還元の進行が非常に遅く工業的でなく、第2工程で形成した表面酸化層の還元及び粒子全体の緻密化が困難となる。700℃を超える場合には、粒子の形状破壊や粒子及び粒子相互間の焼結を引き起こしてしまい、保磁力が低下する。第3工程の加熱還元温度は、好ましくは450〜650℃である。
【0113】
本発明における第3工程の加熱還元工程での還元性ガスのガス空塔速度は、前記第1工程と同様に40〜150cm/sが好ましい。
【0114】
なお、第3工程においては、還元工程の後、アニール処理を行ってもよく、処理温度は500〜700℃が好ましく、雰囲気は水素ガス、不活性ガスが好ましく、殊に、窒素ガスが好ましい。
【0115】
本発明における第4工程は、5〜10g/mの水蒸気と酸素を含んだ不活性ガス雰囲気で表面酸化処理を行う。水蒸気の含有量が5g/m未満の場合には、緻密で薄い表面酸化層を形成することが難しく、保磁力の向上も十分とは言い難いものである。水蒸気の含有量が10g/mを超える場合には、目的とする効果が得られるため、必要以上に含有させる意味がない。水蒸気の含有量は好ましくは、2〜8g/mである。また、酸素の含有量は0.1〜5vol%が好ましく、所定量まで徐々に増加させることが好ましい。不活性ガスとしては、窒素ガス、ヘリウムガス及びアルゴンガス等が好ましく、殊に、窒素ガスが好適である。
【0116】
本発明における第4工程の反応温度は40〜160℃であり、好ましくは40〜140である。なお、第4工程の反応温度は、第2工程の表面酸化処理温度よりも低いことが好ましい。40℃未満の場合には、表面酸化層の形成が不十分なため好ましくない。160℃を超える場合には、表面酸化層が厚くなり、磁性塗膜のS.F.Dが劣化するため好ましくない。
【0117】
【発明の実施の形態】
本発明の代表的な実施の形態は次の通りである。
【0118】
本発明における紡錘状ゲータイト粒子粉末、紡錘状へマタイト粒子粉末及び紡錘状合金磁性粒子粉末の平均長軸径、平均短軸径及び軸比は、いずれも電子顕微鏡写真から測定した数値の平均値で示した。
【0119】
本発明における紡錘状ゲータイト粒子粉末、紡錘状へマタイト粒子粉末及び紡錘状合金磁性粒子粉末のCo量、Al量、希土類元素量、Na量、Ca量及びその他の金属元素の含有量は、「誘導結合プラズマ発光分光分析装置SPS4000」(セイコー電子工業(株)製)を使用して測定した。
【0120】
紡錘状合金磁性粒子粉末の残存硫黄分量は、「炭素・硫黄測定装置」(Horiba製)を使用して測定した。
【0121】
本発明における紡錘状ゲータイト粒子粉末、紡錘状へマタイト粒子粉末及び紡錘状合金磁性粒子粉末のBET比表面積値は、「モノソーブMS−11」(カンタクロム(株)製)を使用して、BET法により測定した値で示した。
【0122】
結晶子サイズD110(紡錘状合金磁性粒子粉末のX線結晶粒径)は、「X線回折装置」(Rigaku製)(測定条件:ターゲットCu、管電圧40kV、管電流40mA)を使用して、X線回折法で測定される結晶粒子の大きさを、紡錘状合金磁性粒子粉末の(110)結晶面のそれぞれに垂直な方向における結晶粒子の厚さを表したものであり、各結晶面についての回折ピーク曲線から、下記のシェラーの式を用いて計算した値で示したものである。
【0123】
110=Kλ/βcosθ
但し、β=装置に起因する機械幅を補正した真の回折ピークの半値幅(ラジアン単位)。
K=シェラー定数(=0.9)、
λ=X線の波長(Cu Kα線 0.1542nm)、
θ=回折角((110)面の回折ピークに対応)。
【0124】
紡錘状合金磁性粒子粉末及び磁性塗膜片の磁気特性は、「振動試料磁力計VSM−3S−15」(東英工業(株)製)を使用して、外部磁場795.8kA/m(10kOe)で測定した。
【0125】
磁性塗膜片の磁気特性は、下記の成分を100mlのポリビンに下記の割合で入れた後、ペイントシェーカー(レッドデビル社製)で8時間混合分散を行うことにより調製した磁性塗料を厚さ25μmのポリエチレンテレフタートフィルム上にアプリケータを用いて50μmの厚さに塗布し、次いで、500mT(5kGauss)の磁場中で乾燥させることにより得た磁性塗膜片の磁気特性を測定した。
【0126】
紡錘状合金磁性粒子粉末:              100重量部、
スルホン酸ナトリウム基を有するポリウレタン樹脂:   30重量部、
シクロヘキサノン:                83.3重量部、
メチルエチルケトン:               83.3重量部、
トルエン:                    83.3重量部、
3mmφスチールボール:              800重量部。
【0127】
紡錘状合金磁性粒子粉末の飽和磁化値の酸化安定性を示すΔσs及び磁性塗膜の飽和磁束密度Bmの耐候性を示すΔBmは、温度60℃、相対湿度90%の恒温槽に粒子粉末又は磁性塗膜片を一週間静置する促進経時試験の後に、粒子粉末の飽和磁化値σs’及び磁性塗膜の飽和磁束密度Bm’をそれぞれ測定し、試験開始前に測定したσs及びBmと促進経時試験一週間後のσs’及びBm’との差(絶対値)を試験開始前のσs及びBmでそれぞれ除した値をΔσs、ΔBmとして算出した。Δσs、ΔBmが0%に近いほど酸化安定性が優れていることを示す。
【0128】
<紡錘状ゲータイト粒子粉末の製造>
炭酸水素アンモニウム20molと、アンモニア水を60mol(混合アルカリに対し水酸化アンモニア水溶液は規定換算で75mol%に該当する。)を含む混合アルカリ水溶液28lを、気泡分散翼を備えた撹拌機付き反応塔の中に投入し、毎分400回転の速度で撹拌機を回転させながら、毎分60lの流量で窒素ガスを通気しながら50℃に調整する。次いでFe2+として20molを含む硫酸第一鉄水溶液16l(硫酸第一鉄に対し混合アルカリ水溶液は規定換算で1.875当量に該当する。)を気泡塔中に投入して30分間熟成した後、Co2+として6.0molを含む硫酸コバルト水溶液4l(全Feに対しCo換算で30原子%に該当する。)を添加し、さらに3時間熟成した後、毎分1lの流量で空気を通気しながら全Fe2+の30%が酸化するまで反応を行った。
【0129】
次いで、Al3+1.6molを含む硫酸アルミニウム水溶液1l(全Feに対しAl換算で8原子%に該当する。)を添加し、さらに反応終了まで酸化反応を行った。反応終了時のpHは、8.3であった。
【0130】
得られたゲータイト粒子含有スラリーをプレスフィルターを用いて濾別し、アンモニアを使用してpH=10.5に調整したアンモニア水を用いて洗浄し、その後、イオン交換水にてさらに洗浄してプレスケーキとした。濾別後の濾液からは30ppmのCoが検出された。
【0131】
前記ケーキの一部を常法により乾燥、粉砕を行って得られた紡錘状ゲータイト粒子粉末は、平均長軸径が0.086μm、平均短軸径が0.012μm、軸比が7.2、BET比表面積値が181.1m/g、粒子全体としてコバルト含有量が全Feに対して29.9原子%、アルミニウム含有量が全Feに対して8原子%であった。コバルトの吸着率(コバルトの残存量/コバルトの添加量)は、99.7%であった。
【0132】
<紡錘状へマタイト粒子粉末の製造>
ここに得た紡錘状ゲータイト粒子粉末のプレスケーキを水中に十分分散させた後、酢酸コバルト水溶液(全Feに対して40原子%)を添加し十分攪拌した。次いで攪拌しながら、炭酸ナトリウム水溶液を添加して水溶液のpHを8.8に調整し、次いで、硝酸イットリウム水溶液(全Feに対して25原子%)を添加して攪拌混合し、炭酸ナトリウム水溶液を添加して水溶液のpHを9.3に調整する。その後、フィルタープレスで濾過、水洗し、プレスケーキを得た。得られたプレスケーキを、押出し成型機を用いて孔径3mmの成型板で押出し成型して造粒し、次いで120℃で乾燥し、全Feに対してCo換算で40原子%の炭酸コバルトと全Feに対してY換算で25原子%のY化合物とが被覆された紡錘状ゲータイト粒子粉末の造粒物を得た。得られた紡錘状ゲータイト粒子粉末中のCoの含有量は全Feに対して70原子%、Alの含有量は全Feに対して8原子%、Yの含有量は全Feに対して25原子%であった
【0133】
前記炭酸コバルトとY化合物が被覆された紡錘状ゲータイト粒子粉末の造粒物を空気中350℃で脱水し、その後、同雰囲気中500℃で加熱脱水して紡錘状ヘマタイト粒子粉末の造粒物を得た。
【0134】
<鉄を主成分とする金属磁性粒子粉末の製造>
ここに得た紡錘状ヘマタイト粒子粉末の顆粒状造粒物100g(平均径:2.6mm)を内径72mmのバッチ式固定層還元装置に入れ、層高を7cmとした後、水素ガス空塔速度50cm/sで通気しながら、350℃で排気ガス露点が−30℃に達するまで加熱還元して紡錘状合金磁性粒子粉末を得た(第1工程)。
【0135】
その後、再び窒素ガスに切り替えて70℃まで冷却し、品温を70℃で保持し、次いで空気を混合して酸素濃度を0.35vol%まで徐々に増加させて品温が[保持温度+1]℃になるまで(最大品温140℃、処理時間2時間)表面酸化処理を行い、粒子表面に表面酸化層を形成した(第2工程)。
【0136】
第2工程終了後の紡錘状合金磁性粒子粉末の飽和磁化値は88.1Am/kg(88.1emu/g)であった。次に、水素ガス雰囲気下で500℃まで10分で昇温し、水素ガス空塔速度60cm/sにて排気ガス露点が−30℃に達するまで再度加熱還元した(第3工程)。
【0137】
その後、再び窒素ガスに切り替えて70℃まで冷却し、品温を70℃で保持し、次いで水蒸気6g/mと空気を混合して酸素濃度を0.35vol%まで徐々に増加させて、品温が[保持温度+1]℃となるまで(最大品温110℃、処理時間3時間)表面酸化処理を行い、粒子表面に安定な表面酸化層を形成して紡錘状合金磁性粒子の成型物を得た(第4工程)。
【0138】
ここに得た紡錘状合金磁性粒子粉末は、平均長軸径が0.046μm、軸比が4.6、BET比表面積値が69.0m/g、結晶子サイズD110が100Åの粒子からなり、紡錘状かつ粒度が均整で樹枝状粒子がないものであった。また、該粒子中のCo含有量は全Feに対して70原子%、Al含有量は全Feに対して8原子%、Y含有量は25原子%であった。
【0139】
また、可溶性Na含有量が9ppm、可溶性Ca含有量が58ppm、残存硫黄分が53ppmであり、紡錘状合金磁性粒子粉末から可溶性Feは検出されなかった。
【0140】
また、該紡錘状合金磁性粒子粉末の磁気特性は、保磁力Hcが177.5kA/m(2230Oe)、飽和磁化値σsが90.1Am/kg(90.1emu/g)、角型比(σr/σs)が0.528、飽和磁化値の酸化安定性Δσsが絶対値として6.1%(実測値−6.1%)であった。
【0141】
また、磁性塗膜の特性は、保磁力Hcが193.3kA/m(2430Oe)、角形比(Br/Bm)が0.840、SFDが0.488、酸化安定性ΔBmが絶対値として3.3%(実測値−3.3%)であった。
【0142】
【作用】
本発明において最も重要な点は、紡錘状合金磁性粒子粉末のコバルト含有量を全Feに対してCo換算で50〜110原子%まで高めたことによって、平均長軸径が0.02〜0.08μmの微粒子でありながら、高い保磁力を示し、且つ、低飽和磁化値でありながら、保磁力分布S.F.D.に優れ、しかも酸化安定性に優れ、可溶性塩が可及的に低減された磁気記録媒体用紡錘状合金磁性粒子粉末が得られるという事実である。
【0143】
従来、高い飽和磁化値及び酸化安定性の向上を目的にしてFe−Co合金化が図られてきた。一方で、バルクの場合、特定のFe−Co合金比率において飽和磁化値が最大値を示し、等量を大幅に上回るCo合金化により飽和磁化値が徐々に低下することは公知であった。反面、コバルト含有量の増大は保磁力の低下や保磁力分布S.F.D.の拡大を伴い、短波長記録の要求を満たす低い飽和磁化値を有する磁気記録媒体用磁性粒子粉末を得ることは困難であった。
【0144】
本発明においては、アルカリ金属を残存させないために炭酸水素アンモニウム水溶液と水酸化アンモニウム水溶液を用いる。従来、アルカリ水溶液としてアンモニウム化合物を用いた場合には、アンミン錯体([M(NHn+、但し、Mはn価の金属イオン)形成によるコバルトの溶出のため、Fe含有沈殿物を含む水懸濁液のpHを高くすることができず、また、pHを低くするとマグネタイトが混在したり、ゲータイト粒子の軸比が小さくなる弊害があった。本発明では、水懸濁液のpHをマグネタイトが混在せず、しかも軸比が小さくならない領域を特定し、ゲータイト粒子の生成反応を行うことによって多量のCoを含有させることができた。
【0145】
一方、第一鉄含有沈殿物を含む水懸濁液のpHを7.5〜9.5の範囲に特定したことにより、アルカリ金属が存在しないため、ゲータイト粒子がアニオンを吸着しやすく、硫酸イオンを多量に含有するゲータイト粒子となり、通常の水を用いた洗浄では十分に除去できなかった。本発明ではpHが9.5〜11.5のアンモニア水を用いて前記ゲータイト粒子を洗浄することによって、硫酸イオンも除去することが可能となり、紡錘状合金磁性粒子粉末の不純物量を低減することができた。
【0146】
また、前述した通り、コバルトはアンモニア化合物の存在下では十分に吸着させることができないが、ゲータイト粒子の粒子表面をコバルトで被覆する際に、炭酸アルカリ水溶液を使うことによって、大量に添加したコバルト化合物のほぼ全量を炭酸コバルトとしてゲータイト粒子粉末の粒子表面に被覆することができた。本発明においては、ゲータイト粒子の粒子表面を炭酸コバルトで被覆することによって、還元速度の制御を容易にすることができるので焼結防止効果が向上する。この理由は未だ明らかではないが、炭酸コバルト微粒子が前記ゲータイト粒子の粒子表面を均一に被覆するため、水酸化コバルト等の他の化合物で被覆した場合と比較して、焼結防止効果が向上したものと推定している。
【0147】
更に、本発明においては、当該炭酸コバルトの表面に希土類化合物が被覆されている。難還元性の希土類化合物がゲータイト粒子の最外層を被覆していることにより、各粒子間距離を近接することなく維持できるので還元処理時に焼結を抑制することができ、紡錘状の粒子形状が保持される。
【0148】
なお、本発明において、コバルト含有量を全Feに対してCo換算で50〜110原子%まで高めたことによって、低飽和磁化にも係わらず、保磁力分布S.F.D.に優れ、しかも酸化安定性に優れた紡錘状合金磁性粉末が得られた理由は未だ明かではないが、Co合金化による飽和磁化値の低減、Co合金化による酸化被膜の均一化の相乗効果によるものと推定している。
【0149】
結果、微粒子であるにも係わらず、全Feに対してCo換算で50〜110原子%と大量のCo含有量においても、保磁力低下や保磁力分布S.F.D.を損なう事なく、効率的に最小限のCo導入量で低飽和磁化し、酸化安定性に優れた紡錘状合金磁性粒子粉末が得られたものと本発明者は推定している。
【0150】
なお、被覆反応によって付着したアルカリ金属は水洗することによって容易に除去することができる。
【0151】
【実施例】
次に、実施例及び比較例を挙げる。
【0152】
実施例1、2、比較例1〜3:
前記発明の実施の形態の製造条件を種々変化させて紡錘状ゲータイト粒子粉末を得た。得られた紡錘状ゲータイト粒子粉末の諸特性を表1に、Co、Yで被覆された紡錘状ゲータイト粒子粉末の組成を表2に示す。
【0153】
なお、表2の種類中のゲータイト9では被覆されたゲータイト粒子にCo化合物粒子が単独析出し、混入していた。
【0154】
【表1】
Figure 2004035939
【0155】
【表2】
Figure 2004035939
【0156】
表2に示した諸特性を有するCo、Yで被覆された紡錘状ゲータイト粒子粉末を用いて前記発明の実施の形態と同様にして紡錘状ヘマタイト粒子粉末を得た。このときの製造条件及び得られた紡錘状ヘマタイト粒子粉末の諸特性を表3に示す。
【0157】
【表3】
Figure 2004035939
【0158】
表3に示した諸特性を有する紡錘状ヘマタイト粒子粉末を用いて前記発明の実施の形態と同様にして紡錘状合金磁性粒子粉末を得た。このときの製造条件及び得られた紡錘状合金磁性粒子粉末の諸特性を表4及び表5に示す。更に、得られた紡錘状合金磁性粒子粉末を用いて作製した磁性塗膜の諸特性を表6に示す。なお、実施例2では、表2に示した焼結防止処理を行った後のゲータイト粒子6をヘマタイト化することなく加熱還元処理を行った。
【0159】
【表4】
Figure 2004035939
【0160】
【表5】
Figure 2004035939
【0161】
【表6】
Figure 2004035939
【0162】
【発明の効果】
本発明に係る紡錘状合金磁性粒子粉末は、平均長軸径が0.02〜0.08μmの微粒子でありながら、高い保磁力を示し、且つ、低飽和磁化値でありながら、磁性塗膜の保磁力分布S.F.D.に優れ、しかも、酸化安定性に優れ、可溶性塩が可及的に低減されているので、磁気抵抗ヘッドを再生に用いた短波長領域で高出力、高C/N、しかも、信頼性が高く耐候性が向上した磁気記録媒体用磁性粒子粉末として好適である。

Claims (6)

  1. 全Feに対してCo換算で50〜110原子%のコバルトを含有する平均長軸径が0.02〜0.08μmのFe及びCoを主成分とする紡錘状合金磁性粒子粉末であり、該Fe及びCoを主成分とする紡錘状合金磁性粒子粉末の保磁力が143.2〜238.7kA/m(1800〜3000Oe)であって飽和磁化値σsが60〜100Am/kg(60〜100emu/g)であり、且つ、該Fe及びCoを主成分とする紡錘状合金磁性粒子粉末を用いて作製した磁性塗膜のS.F.D.が0.7以下であることを特徴とする磁気記録用紡錘状合金磁性粒子粉末。
  2. 全Feに対してCo換算で50〜110原子%のコバルトを含有する平均長軸径が0.02〜0.08μmのFe及びCoを主成分とする紡錘状合金磁性粒子粉末であり、該Fe及びCoを主成分とする紡錘状合金磁性粒子粉末の保磁力が143.2〜238.7kA/m(1800〜3000Oe)であり、飽和磁化値σsが60〜100Am/kg(60〜100emu/g)であり、可溶性Na含有量が30ppm以下であって可溶性Ca含有量が100ppm以下であり、且つ、該Fe及びCoを主成分とする紡錘状合金磁性粒子粉末を用いて作製した磁性塗膜のS.F.Dが0.7以下であることを特徴とする磁気記録用紡錘状合金磁性粒子粉末。
  3. 全Feに対してCo換算で50〜110原子%のコバルト、Al換算で3〜20原子%のアルミニウム及び希土類元素換算で10〜30原子%の希土類元素を含有する平均長軸径が0.02〜0.08μmのFe及びCoを主成分とする紡錘状合金磁性粒子粉末であり、該Fe及びCoを主成分とする紡錘状合金磁性粒子粉末の保磁力が143.2〜238.7kA/m(1800〜3000Oe)であり、飽和磁化値σsが60〜100Am/kg(60〜100emu/g)であり、可溶性Na含有量が30ppm以下であって可溶性Ca含有量が100ppm以下であり、酸化安定性Δσsが10%以下であり、且つ、該Fe及びCoを主成分とする紡錘状合金磁性粒子粉末を用いて作製した磁性塗膜のS.F.Dが0.7以下であることを特徴とする磁気記録用紡錘状合金磁性粒子粉末。
  4. 全Feに対しCo換算で15〜50原子%のコバルト及び全Feに対しAl換算で3〜15原子%のアルミニウムを含有するゲータイト粒子を含む水懸濁液にコバルト化合物及び炭酸アルカリ水溶液を添加して、ゲータイト粒子の粒子表面に全Feに対してCo換算で15〜60原子%の炭酸コバルトを被覆し、次いで、全Feに対して希土類元素換算で10〜30原子%の希土類化合物によって前記炭酸コバルトで被覆されたゲータイト粒子の粒子表面を被覆した後、該表面被覆したゲータイト粒子粉末又は該表面被覆したゲータイト粒子粉末を非還元性雰囲気中、400〜750℃で加熱処理して得られたヘマタイト粒子粉末を還元性雰囲気中、350〜700℃で加熱還元してFe及びCoを主成分とする紡錘状合金磁性粒子粉末を得ることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の磁気記録用紡錘状合金磁性粒子粉末の製造法。
  5. 硫酸第一鉄水溶液と該硫酸第一鉄水溶液に対する当量比が1.7〜3.0である炭酸水素アンモニウム水溶液及び水酸化アンモニウム水溶液からなる混合アルカリ水溶液とを反応させて得られる第一鉄含有沈殿物を含む水懸濁液を非酸化性雰囲気下において熟成させた後に、該水懸濁液中に酸素含有ガスを通気して酸化反応によってゲータイト種晶粒子を生成させ、次いで、該種晶粒子と第一鉄含有沈澱物とを含む水懸濁液中に酸素含有ガスを通気して酸化反応によって該種晶粒子の粒子表面上にゲータイト層を成長させてゲータイト粒子を生成させるにあたり、
    前記混合アルカリ水溶液として、該混合アルカリ水溶液に対して前記水酸化アンモニウム水溶液が55〜85mol%の割合で配合されているものを使用すると共に、前記種晶粒子の生成時において、酸化反応開始前の熟成中の第一鉄含有沈澱物を含む水懸濁液に全Feに対しCo換算で15〜50原子%のCo化合物を添加し、酸化反応を全Fe2+の20〜80%の範囲で行い、
    前記ゲータイト層の成長時においては、前記種晶粒子と第一鉄含有沈殿物とを含む水懸濁液のpHが9.0未満となるように全Feに対しAl換算で3〜15原子%のAl化合物を添加し、
    生成させた前記ゲータイト粒子を濾別した後、pH9.5〜11.5のアンモニア水で水洗することによってゲータイト粒子粉末とし、
    次いで、得られたゲータイト粒子を含む水懸濁液にコバルト化合物及び炭酸アルカリ水溶液を添加して、ゲータイト粒子の粒子表面に全Feに対してCo換算で15〜60原子%の炭酸コバルトを被覆し、次いで、全Feに対して希土類元素換算で10〜30原子%の希土類化合物によって前記炭酸コバルトで被覆されたゲータイト粒子の粒子表面を被覆した後、該表面被覆したゲータイト粒子粉末又は該表面被覆したゲータイト粒子粉末を非還元性雰囲気中、400〜750℃で加熱処理して得られたヘマタイト粒子粉末を還元性雰囲気中、350〜700℃で加熱還元してFe及びCoを主成分とする紡錘状合金磁性粒子粉末を得ることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の磁気記録用紡錘状合金磁性粒子粉末の製造法。
  6. 前記磁気記録用紡錘状合金磁性粒子粉末の製造法において、前記加熱還元が、還元性雰囲気中、300〜600℃の温度範囲で加熱還元を行って紡錘状合金磁性粒子粉末を得る第1工程、第1工程で得た紡錘状合金磁性粒子粉末を酸素含有不活性ガス雰囲気下で60〜200℃の温度範囲で表面酸化を行って該紡錘状合金磁性粒子粉末の飽和磁化値を85〜135Am/kgとする第2工程、第2工程を経由した紡錘状合金磁性粒子粉末を還元性ガス雰囲気中、第1工程の還元温度よりも50℃以上高く、且つ、400〜700℃の温度範囲まで昇温し、次いで、還元性ガス雰囲気に切り替えた後、400〜700℃の温度範囲で再度加熱還元を行う第3工程及び第3工程を経由した紡錘状合金磁性粒子粉末を5〜10g/mの水蒸気と酸素とを含んだ不活性ガス雰囲気下で40〜160℃の温度範囲で再度表面酸化を行うことによって紡錘状合金磁性粒子粉末を得る第4工程からなることを特徴とする請求項4乃至請求項5のいずれかに記載の磁気記録用紡錘状合金磁性粒子粉末の製造法。
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