JP2004024114A - 電気化学的二本鎖dna検出試薬としての新規インターカレータ - Google Patents

電気化学的二本鎖dna検出試薬としての新規インターカレータ Download PDF

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Shigeori Takenaka
竹中 繁織
Hiroyuki Kamiyama
上山 博幸
Makoto Takagi
高木 誠
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Abstract

【課題】ミスマッチDNAや一本鎖DNAの影響を極力抑制して二本鎖DNAの検出感度を高めるインターカレンタとして有用な、新規インターカレータを提供する。
【解決手段】本発明の化合物は、下記式で示されるインターカレート部分がビス構造であるため、二本鎖DNAにインカレートした際、安定な複合体を形成することができる。また、二本鎖DNAに本発明の化合物が結合した際、2つの酸化還元活性部位がDNA塩基対内に平行に並ぶ形になり、塩基対間を伝わった電子移動(電子ホッピング、即ち酸化還元反応)を効率的に行うことができる。
【化1】
Figure 2004024114

【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
【0002】
本発明は、二重らせん構造を構成するDNA、RNA等の核酸塩基に対する縫い込み型インターカレータとして有用で、特に、二本鎖DNAに特異的に結合する新規インターカレータに関する。
【0003】
【従来の技術】
従来から、特定の配列を有するDNA等の核酸を電気化学的に検出する方法が種々提供されており、この検出方法の媒体として、縫い込み型インターカレータが利用されている。例えば、特許第3233851号公報には、インターカレート部がナフタレンジイミド、酸化還元活性部がフィロセン化合物、リンカー部が置換イミノ基である縫い込み型インターカレータが開示されている。また、特開2000−146894号公報、特開2001−226376号公報、特開2001−165894号公報には、主としてリンカー部が改良された縫い込み型インターカレータが開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のインターカレータは二本鎖DNA鎖のみならず、不適正塩基対(ミスマッチDNA)にも結合するため二本鎖DNAの特異的検出は困難であった。また、1本鎖DNAにも静電的に結合し、検出感度に悪影響を及ぼしていた。
【0005】
本発明は、上記のような問題点を解決することを目的としてなされたものであり、ミスマッチDNAや一本鎖DNAの影響を極力抑制して二本鎖DNAの検出感度を高めるインターカレンタとして有用な、新規インターカレータの提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは二本鎖DNAにビスインターカレートすることにより安定な複合体を形成することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明によれば、上記課題は、下記式(I)で表される新規インターカレータにより解決される。
【化5】
Figure 2004024114
(式中、Aはアミノ酸又はその誘導体のビス体を示し、B、Cは、互いに独立に、アミノ基又はカルボキシル基に結合可能な基を示し、D、Eは、互いに独立に、DNA二重らせんに結合する能力を有する分子であって、かつ、電気化学活性を有する基を示す。)
ここで、「ビス体」とは、アミノ酸又はその誘導体が2個存在することを意味し、同種のアミノ酸又はアミノ酸誘導体のみならず、異種のアミノ酸又はアミノ酸誘導体であってもよい。
【0008】
また、「DNA二重らせんに結合する能力を有する分子」とは、例えば、溝結合試薬を挙げることができる。この「溝結合試薬」とは、グルーブバインダー(groove binder)と称される物質であり、二本鎖DNAに異種化合物を挿入するために用いられるものをいう。
【0009】
「電気化学活性を有する基」とは、電位をプラスまたはマイナスにかけることによって酸化や還元が行われ、それに伴う電子の出し入れが起こる物質をいう。この電気化学活性を有する基としては、可逆的に酸化還元が起こるものがより好ましい。
【0010】
ここで、電気化学的活性を有する基として下記式(II)〜(XVIII)の化合物を挙げることができる。
【0011】
【化6】
Figure 2004024114
Figure 2004024114
Figure 2004024114
ここで、上記式中、Rで示されるアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられ、特にエチル基であることが好ましい。また、Rにおける下記式(XXIII)
【0012】
【化7】
Figure 2004024114
で示される化合物において、Rで示されるアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基等が挙げられ、特にエチレン基であることが好ましい。また、R、Rで示されるアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられ、特にメチル基であることが好ましい。
【0013】
また、Rで示されるアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられ、特にエチル基であることが好ましい。また、Rにおける下記式(XXIII)
【0014】
【化8】
Figure 2004024114
で示される化合物において、Rで示されるアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基等が挙げられ、特にエチレン基、プロピレン基であることが好ましく、R、Rで示されるアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられ、特にメチル基であることが好ましい。
【0015】
また、Rで示されるアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられ、特にメチル基、エチル基であることが好ましい。
【0016】
また、Rで示されるハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられ、特に塩素であることが好ましい。
【0017】
また、「DNA二重らせんに結合する能力を有する分子」としては、下記式(XIX)〜(XXII)の化合物を挙げることができる。
【0018】
【化9】
Figure 2004024114
Figure 2004024114
ここで、前記式中、Mで示されるキレート配位可能な金属イオンとしては2価の金属イオンが好ましく、特に、Cu2+、Fe2+、Co3+、Ru2+、Os2+であることが好ましい。
【0019】
また、上記課題は、前記式(I)のインターカレータを製造する方法であって、下記反応式(1)に示すように、化合物▲1▼と化合物Dとを反応させて化合物▲2▼を得る第一工程と、下記反応式(2)に示すように、上記第一工程で得られた化合物▲2▼とレジン▲3▼と化合物▲4▼とをFmoc法により反応させて化合物▲5▼を得る第二工程と、下記反応式(3)に示すように、前記工程(2)により得られた化合物▲5▼のN末端を脱保護化し、かつ、C末端のレジン(樹脂)を切り出して目的物を得る第三工程と、を含む新規インターカレータの製造方法によっても解決する。
【0020】
【化10】
Figure 2004024114
(各式中、A、B、C、D、Eについては、前記式(I)中の当該基と同義であり、A’はアミノ酸又はその誘導体を示す。)
なお、上記式中、「Resin」とは、アミノ酸のC末端を保護するための樹脂を意味し、例えば、市販のFmoc−NH−SAL−Resin(渡辺化学社製)を用いることができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の新規ビスインターカレータ(以下、「本発明の化合物」ともいう)を、その好ましい形態に基づいて詳細に説明する。
【0022】
本発明の化合物は、前記式(I)で表される新規物質である。そして、本発明の化合物は、特に、二重らせん構造を構成するDNAやRNA等の核酸塩基に対する縫い込み型インターカレータとして有用なものである。
【0023】
その基本的構成を概念的に説明したものを図1に示す。本発明の化合物1は、図1(a)に示すように、ハイブリッドDNAの溝に挿入するための「インターカレート部」2(式(I)におけるA)、DNAを修飾して導電性を付与するための「酸化還元活性部」3(式(I)におけるD及びE)、インターカレート部と酸化還元活性部とを連結するための「リンカー部」4(式(I)におけるB及びC)とから構成される。
【0024】
従って、上記Aは、DNA断片の二本鎖(二重らせん)等の塩基対間に平行に挿入されるジペプチド構造の縫い込み型インターカレート部分として機能し、上記D及びEは酸化還元活性部分として機能する。これにより、本発明の化合物は、電気化学活性縫い込み型インターカレータとしての機能を発揮することができる。
【0025】
縫い込み型インターカレータとしての本発明の化合物1は分子の大きさがDNAの二本鎖間の「すきま」に合ったサイズをしており、二本鎖DNA結合の「揺らぎ」が起こる際、図1(b)に示すように、二本鎖DNA5の間に挿入される。その際、二つの酸化還元活性部3が主溝Aと副溝Bにそれぞれ位置するような複合体を形成する。すなわち、二つの酸化還元活性部3のうち一方の酸化還元活性部3が二本鎖塩基対間を通り抜けるため、二つの酸化還元活性部3のうちいずれかがストッパーとしての役割を果たすものである。
【0026】
このような縫い込み型インターカレータを用いることにより、二本鎖DNAに結合しているインターカレータを電流量で測定することが可能となり、二本鎖DNA形成量とインターカレータ量との相関関係からプローブDNAと試料DNAとで形成されるハイブリッドDNAの存在を検出・定量することができる。
【0027】
ここで、前記式(I)中、Aに示すアミノ酸としては、リジン、アルギニン、ヒスチジン、オルニチンであることが好ましく、二本鎖DNAにインカレートした際の安定性の観点からは、2つのアミノ酸のうち少なくとも1つは塩基性アミノ酸、特にリジンであることが特に好ましい。なお、アミノ酸の順序は特に制限はなく、−Lys−Arg−でも、−Arg−Lys−でもよい。また、−Lys−とその他のアミノ酸、−Arg−とその他のアミノ酸、−His−とその他のアミノ酸、−Orn−とその他のアミノ酸との組み合わせでもよい。
【0028】
また、前記式(I)中、B、Cに示す「アミノ基又はカルボキシル基に結合可能な基」とは、AとD又はAとEを連結することが可能な基であれば特に制限がないという意である。具体的には、リジン、オルニチン等が挙げられる。
【0029】
また、前記式(I)中、D、Eに示す「DNA二重らせんに結合する能力を有する分子であって、かつ酸化還元活性を有する基」としては、核酸に対する結合時の障害を回避できる点で、立体的に嵩高くない基、例えば、アクリジン、アントラキノン、ナフタレンジイミド等であることが好ましい。
【0030】
本発明の化合物のうち、下記式(XXIV)で表される化合物は、特にインターカレータとして使用する場合において、二本鎖DNAに対する結合効率を向上させる点で好ましい。
【0031】
【化11】
Figure 2004024114
本発明の化合物は、前記式(I)で示されるAに該当するインターカレート部分がビス構造であるため、二本鎖DNAにインカレートした際、安定な複合体を形成することができる。
【0032】
また、二本鎖DNAに本発明の化合物が結合した際、2つの酸化還元活性部位がDNA塩基対内に平行に並ぶ形になり、塩基対間を伝わった電子移動(電子ホッピング、即ち酸化還元反応)を効率的に行うことができる。
【0033】
本発明の化合物は、次のようにして製造することができる。即ち、前記反応式(1)に示すように、化合物▲1▼と化合物Dとを反応させて化合物▲2▼を得た後、 前記反応式(2)に示すように、上記工程で得られた化合物▲2▼とレジン▲3▼と化合物▲4▼とをFmoc法により反応させて化合物▲5▼を得る。次いで、前記反応式(3)に示すように、前記工程(2)により得られた化合物▲5▼のN末端を脱保護化し、かつ、C末端のレジンを切り出して目的物を得た後、必要に応じて分離・精製を行う。
【0034】
ここで、前記反応式(1)にかかる反応は、縮合反応である。例えば、フェノールを80℃以上で加熱溶解し、これにアクリジン誘導体を添加し完全に溶解させた後、55℃から65℃でFmocアミノ酸誘導体を添加して、必要に応じてエーテルを加え、濾過して乾燥させることにより目的物を得ることができる。
【0035】
前記反応式(2)にかかる反応は、ペプチドの合成反応である。ペプチドの変性防止のため、N末端はアセチル化することが好ましい。また、ペプチド合成は固相法で行うことができ、Fmoc法、メリフィールド法のいずれでも行うことがきるが、ペプチドのラセミ化、分解などの副反応を抑制する観点からはFmoc法で行うことが好ましい。
【0036】
前記反応式(3)にかかる反応は、アミノ基の脱保護反応である。当該反応は通常の方法により脱保護を行うことができる。
【0037】
前記製造方法における合成反応後に、分離操作および精製操作を行うことにより、より高純度の化合物を得ることができる。この際、分離操作および精製操作は、高速液体クロマトグラフィーなど、通常の分離・精製操作に用いられる方法で行うことができる。
【0038】
また、前記の一連の反応は固相法で行うが、液相法でも行うことができる。この場合の溶媒は、原料若しくは反応生成物の全部或いは一部を溶解することができ、かつ、反応に実質的に不活性の溶媒であれば特に制限はない。
【0039】
反応温度は、4℃から100℃の範囲内で行うことができるが、15℃から60℃の範囲内で行うことが好ましく、20℃から30℃の範囲内で行うことが特に好ましい。
【0040】
本発明の化合物は、その用途に特に制限されず、種々の用途に応用することができるが、前述の通り、二重らせん構造を構成するDNA、RNA等の核酸塩基に対するインターカレータとして用いることが好適である。
【0041】
本発明の化合物をインターカレータとして使用する際には、核酸との相互作用について、紫外可視吸収スペクトル解析やScatchard(スキャッチャード)解析等により評価でき、二本鎖核酸の電気的検出効果について、ディファレンシャルパルスボルタモグラフィー(DPV)による測定等により評価することができる。
【0042】
また、本発明の化合物は、該インターカレータとして、特定の配列を有するDNA、RNAを検出する、遺伝子の電気化学的検出方法に適用することができる。
【0043】
本発明の化合物を使用して、特定の配列を有する核酸を検出する方法および検出装置において、特定の配列を有する核酸を検出する方法としては、例えば、特許第3233851号公報に記載の検出方法および検出装置において、インターカレータとして本発明の化合物を使用する方法が挙げられる。このような検出方法によれば、本発明の化合物をインターカレータとして使用するため、前記ピペラジン環含有フェロセン化ナフラレンジイミド誘導体等の従来のインターカレータを用いた場合に比して、より簡便且つ高感度、ハイスループット(高速大量)に特定配列の核酸を検出することが可能となる。
【0044】
また、本発明の化合物を使用して、特定の配列を有する核酸を検出する手段を備えてなる、遺伝子の電気化学的検出システム(電気化学的検出装置も含む)も、前記検出方法と同様に、より簡便且つ高感度、ハイスループット(高速大量)に特定配列の核酸を検出することが可能となるため有用である。
【0045】
本発明の化合物は、遺伝子の検出方法、検出システム、解析方法、解析システム等に適用することにより、広く生物学、医学分野等において、遺伝子治療、遺伝子診断、食品衛生検査、家畜診断、植物病(感染症診断)、親子鑑定、法医学診断等に利用することができる。
【0046】
例えば、本発明の化合物は、前記の検出方法等に適用することにより、薬剤代謝酵素、癌抑制遺伝子等の特定の遺伝子を解析したり、病気の発症と関連する一塩基多形(SNP)や点突然変異を同定して、癌、高血圧等の成人病の予防等に役立てることができる。
【0047】
【実施例】
次に、本発明の化合物を実施例に基づいて説明する。ここでは、テトラリジンの両末端リジンのイプシロンアミノ基にアクリジンを導入したビス−アクリジニルペプチドを合成し、それを用いて二本鎖DNAの検出感度の評価を行った。
【0048】
(実施例1)ビス−アクリジニルペプチドの合成
(1)6−クロロ−2−メトキシ−9−フェノキシアクリジンの合成
【0049】
【化12】
Figure 2004024114
200mlのビーカーにフェノール(80g、850mmol)を入れ、100℃になるまで加熱した。これに、よく砕いた水酸化ナトリウム(3.3g、82.5mmol)を加え、完全に溶解させた。これに、6,9−ジクロロ−2−メトキシアクリジン(20g、72mmol)を入れ、100〜110℃で2時間加熱撹拌した。これをしばらく放冷し、固化させた後、2Mの水酸化ナトリウム水溶液(400ml)を注ぎ、生じた結晶をガラスフィルター(G−4)でろ過した。次いで、結晶を超純水で5回、アセトンで5回洗浄した後、減圧乾燥機(ベルト駆動型油回転真空ポンプ、TSW−100)で乾燥(室温、5時間)させた。これにより、白黄色固体の6−クロロ−2−メトキシ−9−フェノキシアクリジン(18g、収率:77%)を得た。
【0050】
(2)Fmoc−Lys(Acr)−OHの合成
【0051】
【化13】
Figure 2004024114
50mlのビーカーにフェノール(30g)を入れ80℃まで加熱溶解させた。これに、前記方法により得た6−クロロ−2−メトキシ−9−フェノキシアクリジン(4.54g、13.5mmol)を加え完全に溶解させた。その後、当該溶液を60℃に維持しつつ、Fmoc−Lys−OH(4.42g、12.0mmol)を加えて2時間攪拌した。それからしばらく(約20分)放冷し、エーテル(300ml)を攪拌しながら注いだ。次いで、得られた沈殿物を吸引濾過し、減圧乾燥機(ベルト駆動型油回転真空ポンプ、TSW−100)で乾燥(室温、5時間)させた。これにより、黄色固体のFmoc−Lys(Acr)−OH(7.57g、収率:92%)を得た。
【0052】
(3)Ac−Lys(Acr)−(Lys(Boc))−Lys(Acr)−Resinの合成
リアクションベッセル(ABI社製、製品番号600651)にFmoc−NH−SAL Resin(200mg、0.6mmol/g)を入れ、カートリッジ1および4にFmoc−Lys(Acr)−OH(0.34g)入れ、カートリッジ2および3にFmoc−Lys(Boc)−OH(0.22g)を入れた。後は、ペプチドシンセサイザー(PE Biosystems社製、製品番号431A)を用いて合成を行った。合成方法は、スタンダードFmoc法で行い、N末端はアセチル化した。これにより、黄色固体のAc−Lys(Acr)−(Lys(Boc))−Lys(Acr)−Resin(0.34g)を得た。
【0053】
(4)Ac−Lys(Acr)−(Lys(Boc))−Lys(Acr)−Resinの側鎖の脱保護およびレジンからの切り出し
50mlのナス型フラスコに、前記方法により得たレジン(0.34g)を入れ、これにm−クレゾール(0.08ml)、チオアニソール(0.48ml)、トリフルオロ酢酸(TFA、3.44ml)を加えて室温で1時間撹拌した。その後、吸引濾過しTFA(3ml)で洗浄した。TFAを真空ポンプで減圧留去(30分)した後、氷浴中でエーテル(20ml)を加えた。超音波照射後(室温、2分)、氷浴中で約10分放置し、上澄み液を取り除いた。次に、氷浴中で酢酸エチル(20ml)を加えて、超音波洗浄器(ヤマト社製2510J−MT)で超音波照射(室温、2分)後、約10分放置した。その後、吸引濾過しエーテルで洗浄後、減圧乾燥機(ベルト駆動型油回転真空ポンプ、TSW−100)で乾燥(室温、3時間)させた。これにより、所望のビス−アクリジニルペプチド(黄色固体、0.17g)を得た。
【0054】
(5)HPLCによる純度チェック
純度を測定するために、HPLC(日立社製、D−7000)による分析を行った。条件を以下に示す。
【0055】
【表1】
Figure 2004024114
また、グラジエント条件を以下に示す。
【0056】
【表2】
Figure 2004024114
HPLCチャートを図2に示す。側鎖の脱保護およびレジンからの切り出し直後は不純物が若干混ざっていたため(図2(a))、HPLCにより精製した(図2(b))。これにより、精製後は非常に純度の高い目的物を得ることができた。
【0057】
精製後の化合物について、質量分析(TOF MASS)により同定を行った。その結果を図3に示す。
【0058】
以上の結果より、得られた化合物が下記化学構造の化合物であることを確認(同定)した。
【0059】
【化14】
Figure 2004024114
(試験例1)ビス−アクリジニルペプチドのDPV測定
金電極にSH修飾一本鎖DNA(SH−dT20)を固定し、これに相補的なdA20のハイブリダイゼーション操作の前後でDPV(デファレンシャルパルスボルタンメトリー)測定を行った。なお、金電極に固定させるSH−dT20の量を20pmol/μl、10pmol/μl、5pmol/μl、2pmol/μlと変化させて行った。測定条件は以下の通りである。
【0060】
【表3】
Figure 2004024114
以下にそれぞれの固定量に対する一本鎖、二本鎖DNAのDPVの測定結果を図4から図7に示す。ここで、Δiとは、ハイブリダイゼーション後の応答電流値からハイブリダイゼーション前の応答電流値を減じ、その値をハイブリダイゼーション前の応答電流値で除した値に100を乗じて得られた値であり、具体的には Δi=(i−i)/i×100 の式にて示される。このΔiの値が大きければビス−アクリジニルペプチドの二本鎖DNAに対する特異性が高く、高感度で二本鎖DNAを検出できたことを意味し、逆にΔiの値が小さければ一本鎖DNAの干渉を受け、検出感度が低いことを意味する。
【0061】
上記の結果をまとめた表を以下に示す。DNAの固定化量を増やしすぎると逆にハイブリダイゼーションの効率が悪くなり、Δiが減少するものと考えられた。以上の結果から、10pmol/μlが最適な修飾量であることが判明した。
【0062】
【表4】
Figure 2004024114
(試験例2)ビス−アクリジニルペプチドによるミスマッチ検出
実施例1により得られたビス−アクリジニルペプチドを用いて、以下の要領でDNA配列のミスマッチの検出を行った。電極には金電極を用い、金電極への固定化量は20pmol/μl、10pmol/μlで行い、それぞれの修飾量で4本ずつの電極を用いて測定した。測定条件は以下の通りである。
【0063】
【表5】
Figure 2004024114
応答電流値が大きければビス−アクリジニルペプチドの結合量が多く、逆に応答電流値が小さければビス−アクリジニルペプチドの結合量が少ないことを意味する。即ち、一本鎖DNAおよびミスマッチDNAの応答電流値に比べてフルマッチDNAの応答電流値が高ければ、本発明のビス−アクリジニルペプチドの二本鎖DNAに対する特異性が高いことを意味する。
【0064】
以下に各DNA配列における応答電流値を示す。
【0065】
【表6】
Figure 2004024114
また、図8および図9に特に検出感度が高かった電極5と電極1のDPVの測定結果を示す。以上の結果より、フルマッチの場合に比べてミスマッチの応答電流値は大きく減少したことが判明した。一つミスマッチが入るだけでこのような大きな応答電流値の減少が起きた原因としては、この化合物はビスインターカレータであるため、一つのミスマッチが入ることにより、その両サイドの塩基対に化合物が入れなくなり、二つ以上の化合物が結合できなくなったことによると考えられた。また、二つ以上の化合物が結合できなくなるため、化合物間の電子ホッピングによる応答電流の増幅効果も抑制されたと考えられた。
【0066】
【発明の効果】
本発明の化合物によれば、インターカレート部分を2つ有することにより、二本鎖DNAにインカレートした際、安定な複合体を形成することができる。
【0067】
また、二本鎖DNAに本発明の化合物が結合した際、2つの酸化還元活性部位がDNA塩基対内に平行に並ぶ形になり、塩基対間を伝わった電子移動(電子ホッピング)を効率的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の化合物の基本的構成を概念的に表した図である。
【図2】HPLCで精製をする前(a)と後(b)のビス−アクリジニルペプチドのピークを示すクロマトグラムを表す図である。
【図3】実施例1において得られた化合物のMASSスペクトルの測定結果を示す図である。
【図4】試験例1において、DNAの添加量を20pmol/μlとした場合のデファレンシャルパルスボルタンメトリ(DPV)測定結果を表す図である。
【図5】試験例1において、DNAの添加量を10pmol/μlとした場合のデファレンシャルパルスボルタンメトリ(DPV)測定結果を表す図である。
【図6】試験例1において、DNAの添加量を5pmol/μlとした場合のデファレンシャルパルスボルタンメトリ(DPV)測定結果を表す図である。
【図7】試験例1において、DNAの添加量を2pmol/μlとした場合のデファレンシャルパルスボルタンメトリ(DPV)測定結果を表す図である。
【図8】試験例2における、電極5のデファレンシャルパルスボルタンメトリ(DPV)測定結果を表す図である。
【図9】試験例2における、電極1のデファレンシャルパルスボルタンメトリ(DPV)測定結果を表す図である。
【符号の説明】
1…本発明の化合物、2…インターカレート部、3…酸化還元活性部、4…リンカー部、5…二本鎖DNA

Claims (5)

  1. 下記式(I)で表される新規インターカレータ。
    Figure 2004024114
    (式中、Aはアミノ酸又はその誘導体のビス体を示し、B、Cは、互いに独立に、アミノ基又はカルボキシル基に結合可能な基を示し、D、Eは、互いに独立に、DNA二重らせんに結合する能力を有する分子であって、かつ、電気化学活性を有する基を示す。)
  2. 上記式(I)中、Aのうち少なくとも1つが塩基性アミノ酸又はその誘導体であることを特徴とする請求項1に記載の新規インターカレータ。
  3. 上記式(I)中、D、Eは、下記式(II)〜(XXII)で示される基のいずれか一であることを特徴とする請求項1に記載の新規インターカレータ。
    Figure 2004024114
    Figure 2004024114
    Figure 2004024114
    Figure 2004024114
    (各式中、R、Rは、互いに独立に、アルキル基、
    Figure 2004024114
    (Rはアルキレン基、R、Rは互いに独立に水素原子又はアルキル基を示す)を示し、Rはアルキル基を示し、Rは水素原子又はハロゲン原子を示し、Mはキレート配位可能な金属イオンを示す。)
  4. 下記反応式(1)に示すように、化合物▲1▼と化合物Dとを反応させて化合物▲2▼を得る第一工程と、
    下記反応式(2)に示すように、上記第一工程で得られた化合物▲2▼とレジン▲3▼と化合物▲4▼とをFmoc法により反応させて化合物▲5▼を得る第二工程と、
    下記反応式(3)に示すように、前記工程(2)により得られた化合物▲5▼のN末端を脱保護化し、かつ、C末端のレジンを切り出して目的物を得る第三工程と、
    を含む新規インターカレータの製造方法。
    Figure 2004024114
    (各式中、A、B、C、D、Eについては、前記式(I)中の当該基と同義であり、A’はアミノ酸又はその誘導体を示す。)
  5. 請求項1乃至3に記載の新規インターカレータを使用して特定の配列を有する核酸を検出する、遺伝子の電気化学的検出方法。
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