JP2004023216A - パワーアンプ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】結果的にドライブパルスの周波数やその供給を制御するようにすることにより発生する可能性のある不都合の影響を回避することができるパワーアンプ装置を提供する。
【解決手段】入力音声信号の有無や入力音声信号のサンプリング周波数に応じて、マイコン20が、PLL回路の構成とされたクロック生成部12を制御し、PWM変調部12に供給するクロック信号CLKの周波数を調整する。このクロック信号CLKの調整前の所定の時点から予め決められる所定時間の間、マイコン20は、ミュート回路23を制御して、音声をミュートする。ミュートする所定時間に対応して、入力音声信号を遅延させ、再生音声の頭切れを生じさせないようにする。
【選択図】 図1
【解決手段】入力音声信号の有無や入力音声信号のサンプリング周波数に応じて、マイコン20が、PLL回路の構成とされたクロック生成部12を制御し、PWM変調部12に供給するクロック信号CLKの周波数を調整する。このクロック信号CLKの調整前の所定の時点から予め決められる所定時間の間、マイコン20は、ミュート回路23を制御して、音声をミュートする。ミュートする所定時間に対応して、入力音声信号を遅延させ、再生音声の頭切れを生じさせないようにする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、音声信号の電力増幅器(以下、この明細書においては、パワーアンプ装置という。)に関する。
【0002】
【従来の技術】
オーディオ用のパワーアンプ装置として、いわゆるD級アンプと呼ばれるデジタルアンプがある。このD級アンプは、スイッチングにより電力増幅を行うものであるが、例えば図16に示すように構成される。
【0003】
すなわち、デジタルオーディオ信号Pinが、入力端子Tinを通じてPWM(Pulse Width Modulation)変調回路11に供給されると共に、クロック生成部12から所定の周波数のクロック信号がPWM変調回路11に供給され、デジタルオーディオ信号Pinは、1対のPWM信号PA、PBに変換される。
【0004】
この場合、図18に示すように、PWM信号PA、PBのパルス幅は、デジタルオーディオ信号Pinの示すレベル(信号PinをD/A変換したときの瞬時レベル。以下同様)に対応して変化するものであるが、一方のPWM信号のPAのパルス幅は、デジタルオーディオ信号Pinの示すレベルの大きさとされ、他方のPWM信号PBのパルス幅は、デジタルオーディオ信号Pinの示すレベルの2の補数の大きさとされる。
【0005】
なお、図18に示した例の場合には、PWM信号PA、PBは、その立ち上がり時点が、PWM信号PA、PBの1サイクル期間TCの開始時点に固定され、その立ち下がり時点がデジタルオーディオ信号Pinの示すレベルに対応して変化するものとされる。
【0006】
さらに、PWM信号PA、PBのキャリア周波数fc(=1/TC)は、例えば図16Fに示すように、デジタルオーディオ信号Pinのサンプリング周波数fsの例えば16倍とされ、fs=48kHzとすれば、
fc=16fs=16×48kHz=768kHz
とされる。
【0007】
そして、このPWM変調回路11からの一方のPWM信号PAがドライブ回路13に供給されて図17Aに示すように、信号PAと同レベルおよびレベル反転した1対のドライブ用のパルス電圧(ドライブパルス)+PA、−PAが形成され、これらパルス電圧+PA、−PAが、1対のスイッチング素子、例えばnチャンネルのMOS−FET(Metal Oxide Semiconductor Type Field Effect Transistor)(Q11、Q12)のゲートにそれぞれ供給される。
【0008】
この場合、FET(Field Effect Transistor)(Q11、Q12)は、プッシュプル回路15を構成するものであり、FET(Q11)のドレインが電源端子TPWRに接続され、そのソースがFET(Q12)のドレインに接続され、このFET(Q12)のソースが接地に接続される。また、電源端子TPWRには、安定した直流電圧+VDDが電源電圧として供給される。なお、電圧+VDDは、例えば20V〜50Vである。
【0009】
そして、FET(Q11)のソースおよびFET(Q12)のドレインが、コイルおよびコンデンサを有するローパスフィルタ17を通じてスピーカ19の一端に接続される。
【0010】
また、PWM変調回路11から他方のPWM信号PBに対しても、PWM信号PAに対してと同様に構成される。すなわち、PWM信号PBがドライブ回路14に供給されて図17Bに示すように、信号PBと同レベルおよびレベル反転した1対のドライブ用のパルス電圧(ドライブパルス)+PB、−PBが形成され、これらパルス電圧+PB、−PBが、プッシュプル回路16を構成する1対のnチャンネルのMOS−FET(Q13、Q14)のゲートにそれぞれ供給される。
【0011】
そして、FET(Q13)のソースおよびFET(Q14)のドレインが、コイルおよびコンデンサを有するローパスフィルタ18を通じてスピーカ19の他端に接続される。
【0012】
したがって、+PA=“H”のときには、−PA=“L”であり、FET(Q11)がオンになるとともに、FET(Q12)がオフになるので、FET(Q11、Q12)の接続点の電圧VAは、図17Cに示すように、電圧+VDDとなる。また、逆に、+PA=“L”のときには、−PA=“H”であり、FET(Q11)がオフになると共に、FET(Q12)がオンになるので、VA=0となる。
【0013】
同様に、+PB=“H”のときには、−PB=“L”であり、FET(Q13)がオンになるとともに、FET(Q14)がオフになるので、FET(Q13、Q14)の接続点の電圧VBは、図17Dに示すように、電圧+VDDとなる。また、逆に、+PB=“L”のときには、−PB=“H”であり、FET(Q13)がオフになるとともに、FET(Q14)がオンになるので、VB=0となる。
【0014】
そして、VA=+VDD、かつ、VB=0の期間には、図16および図17Eに示すように、FET(Q11、Q12)の接続点から、ローパスフィルタ17→スピーカ19→ローパスフィルタ18のラインを通じて、FET(Q13、Q14)の接続点へと、電流iが流れる。
【0015】
また、VA=0、かつ、VB=+VDDの期間には、FET(Q13、Q14)の接続点から、ローパスフィルタ18→スピーカ19→ローパスフィルタ17のラインを通じて、FET(Q11、Q12)の接続点へと、逆向きに電流iが流れる。さらに、VA=VB=+VDDの期間、およびVA=VB=0の期間には、電流iは流れない。つまり、プッシュプル回路15、16がBTL(Bridge
Tied Load)回路を構成している。
【0016】
そして、電流iの流れる期間は、もとのPWM信号PA、PBが立ち上がっている期間に対応して変化するとともに、電流iがスピーカ19を流れるとき、電流iはローパスフィルタ17、18により積分されるので、結果として、スピーカ19を流れる電流iは、デジタルオーディオ信号Pinの示すレベルに対応したアナログ電流であって、電力増幅された電流となる。つまり、電力増幅された出力がスピーカ19に供給されることになる。
【0017】
こうして、図16の回路は、パワーアンプとして動作するが、このとき、FET(Q11〜Q14)は、入力されたデジタルオーディオ信号Pinに対応して電源電圧+VDDをスイッチングして、電力増幅をするので、効率が高く、また、大出力を得ることができる。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、例えば図16に示したように構成されるいわゆるD級アンプの場合、再生停止や再生一時停止などによりデジタルオーディオ信号が入力されなくなった場合や、入力されるデジタルオーディオ信号がヌルストリームである場合においても、入力信号レベルが0(ゼロ)の場合に対応するPWM信号がPWM変調部11において形成され、これがドライブ回路13、14に供給されるので、ドライブ回路13、14からのドライブパルスによって、FET(Q11、Q12)、FET(Q13、Q14)は切り換えられる。
【0019】
つまり、当該D級アンプに電源が供給されている間においては、入力信号が無い状態にあるときにも、プッシュプル回路15、16は切り換えられる。各プッシュプル回路は、PWM信号の立ち上げリ時点および立下り時点における過渡状態が存在し、所謂立ち上がり時間、立下り時間と称される時間を要してスイッチする。このため、この極わずかな時間でも、頻繁に、FET(Q11、Q12)を介して電源端子TPWRと接地間にいわゆる貫通電流が流れ、無駄に電力が消費されてしまうことが考えられる。
【0020】
シミュレーションによると、入力信号が無い無信号時における貫通電流は、実際の回路構成などにもよるが、平均すると数十ミリアンペア程度であることが確認された。このような無駄な電力の消費はできれば無いほうが望ましい。特に、携帯型のオーディオ機器など、電池を駆動電源として用いている電子機器の場合には、電池の寿命を短くし、駆動時間の長時間化を阻害する原因となることが考えられる。
【0021】
そこで、無信号時においては、プッシュプル回路のFETに供給するドライブパルスの周波数を通常時よりも低くしたり、あるいは、プッシュプル回路のFETへのドライブパルスの供給を停止したりすることにより、プッシュプル回路に流れるいわゆる単位時間あたりの貫通電流の発生回数を低減させることが考えられている。
【0022】
具体的には、図16に示したように構成されるD級アンプの場合を例にとると、例えば、PWM変調部11に供給するクロック信号の周波数を変更したり、あるいは、PWM変調部11へのクロック信号の供給/供給停止を制御したりすることが考えられる。また、プッシュプル回路15、16の前段において、PWM信号やドライブパルスの周波数を変更したり、PWM信号やドライブパルスの供給/供給停止を制御したりすることによっても可能である。
【0023】
また、D級アンプをいわゆるAV(Audio and Visual)アンプに適用する場合、AVアンプには、CD(Compact Disc)プレーヤ、DAT(Digital Audio Tape)レコーダ、MD(Mini Disc(登録商標))プレーヤ、DVD(Digital Versatile Disc)プレーヤ、デジタル衛星放送チューナーなど種々のオーディオ機器やAV機器から、オーディオ信号、ビデオ信号、および、制御信号、コマンド信号などの他信号が供給されることになる。
【0024】
この場合、例えば、CDプレーヤからのオーディオ信号のサンプリング周波数は44.1kHzであるが、DATレコーダからのオーディオ信号のサンプリング周波数は48kHzであるというように、各オーディオ機器や各AV機器からのオーディオ信号のサンプリング周波数はまちまちである。
【0025】
このため、通常は、AVアンプに搭載されるサンプリングレートコンバータにより、これに供給されるオーディオ信号のサンプリング周波数を予め決められた周波数に統一するようにした後に、オーディオ信号の処理を行うようにすることが行われている。
【0026】
しかし、構成を簡単にし、より安価で性能のよいAVアンプを構成しようとする場合には、サンプリングレートコンバータを搭載せずに、オーディオ信号を処理するために用いるクロック信号の周波数を入力されるオーディオ信号のサンプリング周波数に応じて変更するようにすることが考えられる。
【0027】
このように、いわゆるD級アンプを用いる場合、通常はD級アンプの各回路部分に常時安定した周波数のクロック信号を供給するが、そのクロック信号の周波数を変更したり、あるいは、その供給を制御したりする必要性が生じる場合がある。
【0028】
しかし、オーディオ信号の処理に用いるクロック信号の周波数を変更したり、そのクロック信号の供給を制御したりした場合には、その影響を受けて、オーディオ信号を処理する回路部分の動作が不安定となる期間の発生につながり、ごく軽微ではあるが異音の発生原因になったり、再生時においてオーディオ信号の頭切れの発生原因になったりすることが考えられる。
【0029】
このことは、クロック信号の周波数を変更する場合だけでなく、クロック信号の供給を制御したり、オーディオ信号の処理過程において、PWM信号やドライブパルスを本来の周波数とは異なる周波数に変更したり、あるいは、その供給を制御したりした場合にも、同様の不都合が発生する場合があると考えられる。
【0030】
以上のことにかんがみ、この発明は、最終的にドライブパルスの周波数やその供給を制御するようにすることにより発生する可能性のある不都合の影響を回避することができるデジタルアンプの構成とされたパワーアンプ装置を提供することを目的とする。
【0031】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明のパワーアンプ装置は、
入力音声信号を、その量子化レベルを示すパルス変調信号に変換して出力するパルス変調手段と、
1対のスイッチング素子がプッシュプル接続されて構成されるスイッチング手段と、
前記パルス変調手段から出力される前記パルス変調信号を互いに逆レベルの1対のドライブパルスに変換して、前記スイッチング手段の前記1対のスイッチング素子に供給するドライブ手段と、
前記スイッチング手段の前段において、前記1対のスイッチング素子に供給する前記ドライブパルスの周波数の変更を行うようにするための周波数変更手段と、
前記スイッチング手段により増幅される前記入力音声信号に応じた音声を放音するスピーカから音声を放音しないようにする消音手段と、
前記周波数変更手段により前記ドライブパルスの周波数を変更する場合に、前記周波数の変更開始前の時点からの所定の消音期間において、前記消音手段を制御してスピーカから音声を放音しないようにする消音制御手段と、
前記パルス変調手段の前段に設けられ、前記入力音声信号を前記消音期間に応じた時間分遅延させる信号遅延手段と
を備えることを特徴とする。
【0032】
この請求項1に記載の発明のパワーアンプ装置によれば、周波数変更手段によって、ドライブパルスの周波数を変更するようにする場合に、その周波数の変更を行う前の所定の時点からの所定時間長の消音期間において、消音制御手段により消音手段が制御され、音声がスピーカから放音しないようにされる。このとき、信号遅延手段により、入力音声信号は、消音期間の経過後から処理が開始されるように遅延される。
【0033】
これにより、周波数変更手段によりドライブパルスの周波数が変更するようにされる場合に、その影響を受けて発生する可能性のある異音を放音することがないようにされる。
【0034】
しかも、消音期間に応じて、入力音声信号は処理の開始が遅延されるので、入力音声信号を処理する各回路部分が安定に動作するようになった後に、音声信号の処理が開始されるので、音声のいわゆる頭切れを生じさせることなく、常時、正常にオーディオ信号の増幅を行い、正常に再生音声の放音を行うことができるようにされる。
【0035】
また、請求項2に記載の発明のパワーアンプ装置は、請求項1に記載のパワーアンプ装置であって、
前記入力音声信号の有無を検出する検出手段を備え、
前記周波数変更手段は、前記検出手段により、前記入力音声信号の有無の変化を検出した場合に、前記ドライブパルスの周波数を変更するものであることを特徴とする。
【0036】
この請求項2に記載の発明のパワーアンプ装置によれば、周波数変更手段においては、検出手段により、処理すべき入力音声信号が有る状態から無い状態に変化したことを検出した場合に、あるいは、処理すべき入力音声信号が無い状態から有る状態に変化したことを検出した場合に、ドライブパルスの周波数を変更するようにするための処理が行うようにされる。
【0037】
上述のような入力音声信号の有無の変化に基づき、周波数変更手段がドライブパルスの周波数を変更するようにする前の所定の時点から所定の消音期間において、消音制御手段により制御される消音手段により、スピーカからの音声が消音される。
【0038】
これにより、ドライブパルスの周波数を変更するようにすることにより、入力音声信号を処理する各回路部分がその影響を受けて発生させてしまう可能性のある異音をスピーカから放音しないようにすることができるようにされる。
【0039】
しかも、消音期間に応じて、入力音声信号は遅延するようにされているので、入力音声信号を処理する各回路部分が安定に動作するようになった後に、入力音声信号についての処理が開始するようにされているので、再生音声の頭切れなどの不都合を生じさせることもない。
【0040】
また、請求項3に記載の発明のパワーアンプ装置は、請求項1に記載のパワーアンプ装置であって、
前記入力音声信号に関連付けられる関連信号の供給を受けることができるものであり、
前記関連信号の有無を検出する関連信号検出手段を備え、
前記周波数変更手段は、前記関連信号検出手段により、前記関連信号の有無の変化を検出した場合に、前記ドライブパルスの周波数を変更するものであり、
前記信号遅延手段は、前記入力音声信号と前記関連信号とについて、前記消音期間に応じた時間分遅延させるものであることを特徴とする。
【0041】
この請求項3に記載の発明のパワーアンプ装置によれば、当該パワーアンプ装置には、入力音声信号の他、この入力音声信号に関連付けられる関連信号が供給するようにされている。
【0042】
周波数変更手段においては、関連信号検出手段により、関連信号が有る状態から無い状態に変化したことを検出した場合に、あるいは、関連信号が無い状態から有る状態に変化したことを検出した場合に、ドライブパルスの周波数を変更するようにするための処理が行うようにされる。
【0043】
上述のような関連信号の有無の変化に基づき、周波数変更手段がドライブパルスの周波数を変更するようにする前の所定の時点から所定の消音期間において、消音制御手段により制御される消音手段により、スピーカから音声が放音しないようにされる。
【0044】
これにより、ドライブパルスの周波数を変更するようにすることにより、入力音声信号を処理する各回路部分がその影響を受けて発生させてしまう可能性のある異音をスピーカから放音しないようにすることができるようにされる。
【0045】
しかも、消音期間に応じて、入力音声信号、関連信号とも遅延するようにされているので、入力音声信号を処理する各回路部分が安定に動作するようになった後に、音声信号の処理を開始することができ、再生音声の頭切れなどを生じさせることがなく、また、入力音声信号と関連信号との所定の関係が乱れることもない。
【0046】
また、請求項4に記載の発明のパワーアンプ装置は、請求項1に記載のパワーアンプ装置であって、
前記入力音声信号に関連付けられる関連信号の供給を受けることができるものであり、
前記関連信号の内の特定の関連信号を検出する特定関連信号検出手段を備え、前記周波数変更手段は、前記特定関連信号検出手段により、前記特定の関連信号を検出した場合に、前記ドライブパルスの周波数を変更するものであり、
前記信号遅延手段は、前記入力音声信号と前記関連信号とについて、前記消音期間に応じた時間分遅延させるものであることを特徴とする。
【0047】
この請求項4に記載の発明のパワーアンプ装置によれば、当該パワーアンプ装置には、入力音声信号の他、この入力音声信号に関連付けられる関連信号が供給するようにされている。周波数変更手段は、特定信号検出手段により、関連信号の内の特定の信号が検出された場合に、ドライブパルスの周波数を変更するようにするための処理を行う。
【0048】
上述のような特定信号の検出に基づき、周波数変更手段がドライブパルスの周波数を変更するようにする前の所定の時点から所定の消音期間において、消音制御手段により制御される消音手段により、スピーカからの音声が消音するようにされる。
【0049】
これにより、ドライブパルスの周波数を変更するようにすることにより、オーディオ信号を処理する各回路部分がその影響を受けて発生させてしまう可能性のある異音をスピーカから放音しないようにされる。
【0050】
しかも、消音期間に応じて、入力音声信号、関連信号とも遅延するようにされているので、入力音声信号を処理する各回路部分が安定に動作するようになった後に、音声信号の処理を開始することができるので、再生音声の頭切れを生じさせることがないとともに、入力音声信号と関連信号との所定の関係が乱れることもない。
【0051】
また、請求項5に記載の発明のパワーアンプ装置は、請求項1に記載のパワーアンプ装置であって、
ユーザからの指示入力を受け付ける指示入力受付手段を備え、
前記指示入力受付手段は、前記指示入力受付手段を通じて所定の前記指示入力を受け付けた場合に、前記ドライブパルスの周波数を変更するものであることを特徴とする。
【0052】
この請求項5に記載の発明のパワーアンプ装置によれば、当該パワーアンプ装置には、ユーザからの指示入力を受け付ける指示入力受付手段が設けられており、周波数変更手段は、指示入力受付手段を通じて指示入力が受け付けられた場合に、ドライブパルスの周波数を変更するようにするための処理を行う。
【0053】
上述のようなユーザからの指示入力に応じて、周波数変更手段がドライブパルスの周波数を変更するようにする前の所定の時点から所定の消音期間において、消音制御手段により制御される消音手段により、スピーカからの音声が消音するようにされる。
【0054】
これにより、ドライブパルスの周波数を変更するようにすることにより、入力音声信号を処理する各回路部分がその影響を受けて発生させてしまう可能性のある異音をスピーカから放音しないようにされる。
【0055】
しかも、消音期間に応じて、入力音声信号、関連信号とも遅延するようにされているので、入力音声信号を処理する各回路部分が安定に動作するようになった後に、音声信号の処理を開始することができるようにされるので、再生音声の頭切れを生じさせることもないようにされる。
【0056】
また、請求項6に記載の発明のパワーアンプ装置は、
入力音声信号を、その量子化レベルを示すパルス変調信号に変換して出力するパルス変調手段と、
1対のスイッチング素子がプッシュプル接続されて構成されるスイッチング手段と、
前記パルス変調手段から出力される前記パルス変調信号を互いに逆レベルの1対のドライブパルスに変換して、前記スイッチング手段の前記1対のスイッチング素子に供給するドライブ手段と、
前記1対のスイッチング素子に供給する前記ドライブパルスの供給/停止を切り換えるようにする供給制限手段と、
前記スイッチング手段により増幅される前記入力音声信号に応じた音声を放音するスピーカから音声を放音しないようにする消音手段と、
前記供給制限手段により前記ドライブパルスの供給/停止を切り換えるようにする場合に、当該切り換えるようにする処理の開始前の時点からの所定の消音期間において、前記消音手段を制御してスピーカから音声を放音しないようにする消音制御手段と、
前記パルス変調手段の前段に設けられ、前記入力音声信号を前記消音期間に応じた時間分遅延させる信号遅延手段と
を備えることを特徴とする。
【0057】
この請求項6に記載の発明のパワーアンプ装置によれば、
供給制限手段により、ドライブパルスのスイッチング手段への供給が制御するようにされる場合に、その制御の開始前の所定の時点からの所定時間長の消音期間において、消音制御手段により消音手段が制御され、音声がスピーカから放音しないようにされる。このとき、信号遅延手段により、入力音声信号は、消音期間の経過後から処理が開始されるように遅延される。
【0058】
これにより、供給制限手段により、ドライブパルスのスイッチング手段への供給/停止が切り換えられるようにされることによって、当該パワーアンプ装置の状態が変化する前の時点から、ドライブパルスの供給/停止の変化の影響を各回路部分が受けなくなるまでの間において、音声が放音されないようにされる。
【0059】
しかも、消音期間に応じて、入力音声信号は処理の開始が遅延するようにされているので、供給制限手段により状態が変わるようにされた当該パワーアンプ装置の状態が安定した後に、音声信号の処理を開始することができるようにされるので、音声のいわゆる頭切れを生じさせることなく、正常な音声の放音を行うことができるようにされる。
【0060】
また、請求項11に記載の発明のパワーアンプ装置は、
入力音声信号と、前記入力音声信号に関連付けられる関連信号との供給を受けて、前記入力音声信号についての電力増幅を行うパワーアンプ装置であって、
入力音声信号を、その量子化レベルを示すパルス変調信号に変換して出力するパルス変調手段と、
1対のスイッチング素子がプッシュプル接続されて構成されるスイッチング手段と、
前記パルス変調手段から出力される前記パルス変調信号を互いに逆レベルの1対のドライブパルスに変換して、前記スイッチング手段の前記1対のスイッチング素子に供給するドライブ手段と、
前記スイッチング手段により増幅される前記入力音声信号に応じた音声を放音するスピーカから音声を放音しないようにする消音手段と、
前記関連信号の状態、あるいは、前記関連信号の示す情報を検出する関連信号検出手段と、
前記関連信号検出手段においての検出結果に基づいて決まる時点からの所定の消音期間において、前記消音手段を制御してスピーカから音声を放音しないようにする消音制御手段と、
前記パルス変調手段の前段に設けられ、前記入力音声信号と前記関連信号とを前記消音期間に応じた時間分遅延させる信号遅延手段と
を備えることを特徴とする。
【0061】
この請求項11に記載の発明のパワーアンプ装置によれば、当該パワーアンプ装置には、入力音声信号の他、この入力音声信号に関連付けられる関連信号が供給するようにされている。
【0062】
関連信号検出手段により、関連信号の状態、例えば、関連信号の有無の変化を検出した場合、あるいは、関連信号の示す情報、例えば、停止指示や再生開始指示などを検出した場合に、所定の時点からの所定時間長の消音期間において、消音制御手段により消音手段が制御され、音声がスピーカから放音しないようにされる。このとき、信号遅延手段により、入力音声信号と関連信号とは、消音期間の経過後から処理が開始されるように遅延される。
【0063】
これにより、関連信号によって、当該パワーアンプ装置における処理が変化する時点を捉え、処理の変化の影響を受けて入力音声信号を処理する回路部分において発生する可能性のある異音をユーザに聴取されないようにすることができる。また、入力音声信号、関連信号とも遅延回路により遅延するようにされているので、再生音声の頭切れなどを生じさせることがなく、また、入力音声信号と関連信号との関係が変わってしまうという不都合も生じない。
【0064】
また、請求項12に記載の発明のパワーアンプ装置は、
入力音声信号を、その量子化レベルを示すパルス変調信号に変換して出力するパルス変調手段と、
1対のスイッチング素子がプッシュプル接続されて構成されるスイッチング手段と、
前記パルス変調手段から出力される前記パルス変調信号を互いに逆レベルの1対のドライブパルスに変換して、前記スイッチング手段の前記1対のスイッチング素子に供給するドライブ手段と、
前記スイッチング手段により増幅される前記入力音声信号に応じた音声を放音するスピーカから音声を放音しないようにする消音手段と、
ユーザからの指示入力を受け付ける指示入力受付手段と、
前記指示入力受付手段を通じて所定の前記指示入力を受け付けた場合に、その受け付け時点に基づいて決まる時点からの所定の消音期間において、前記消音手段を制御してスピーカから音声を放音しないようにする消音制御手段と、
前記パルス変調手段の前段に設けられ、前記入力音声信号と前記関連信号とを前記消音期間に応じた時間分遅延させる信号遅延手段と
を備えることを特徴とする。
【0065】
この請求項12に記載の発明のパワーアンプ装置によれば、当該パワーアンプ装置には、ユーザからの指示入力を受け付ける指示入力受付手段が設けられており、周波数変更手段は、指示入力受付手段を通じて指示入力が受け付けられた場合に、ドライブパルスの周波数を変更するようにするための処理を行う。
【0066】
指示入力受付手段を通じてユーザからの指示入力が受け付けられた場合に、所定の時点からの所定時間長の消音期間において、消音制御手段により消音手段が制御され、音声がスピーカから放音しないようにされる。このとき、信号遅延手段により、入力音声信号は、消音期間の経過後から処理が開始されるように遅延される。
【0067】
これにより、ユーザからの指示入力を受け付けた時点を、当該パワーアンプ装置における処理が変化する時点として捉え、処理の変化の影響を受けて入力音声信号を処理する回路部分において発生する可能性のある異音をユーザに聴取されないようにすることができる。また、入力音声信号は遅延回路により遅延するようにされているので、再生音声の頭切れなどの不都合を生じさせることもない。
【0068】
【発明の実施の形態】
以下、図を参照しながら、この発明によるパワーアンプ装置の一実施の形態について説明する。以下に説明する実施の形態においては、AVアンプ装置にこの発明によるパワーアンプ装置を適用した場合を例にして説明する。
【0069】
以下の実施の形態において説明するAVアンプ装置には、CDプレーヤ、MDプレーヤ、DATレコーダ、半導体メモリプレーヤ、ハードディスク装置、DVDプレーヤ、BSデジタルチューナー、デジタルビデオテープレコーダなどのデジタルオーディオ機器(以下、単にオーディオ機器という。)やデジタルAV機器(以下、単にAV機器という。)など複数の機器が接続可能なものであり、そのいずれからの信号を処理するかは、ユーザからの指示に応じて切り換えることができるものである。
【0070】
[第1の実施の形態]
[パワーアンプ部分がフルブリッジ構成の場合の例]
図1は、この発明によるパワーアンプ装置が適用されたAVアンプ装置の第1の実施の形態を説明するための図である。図1において、端子Ti1、Ti2、…、TiNは、デジタルオーディオ信号(以下、単にオーディオ信号という。)の入力端子を示しており、上述もしたように、種々のオーディオ機器やAV機器が接続ケーブルを介して接続することができるようにされている。
【0071】
入力端子Ti1、Ti2、…、TiNのそれぞれは、セレクタ21に接続されている。このセレクタ21は、入力検出部としての機能を有するマイクロコンピュータ(以下、マイコンと略称する。)20から供給される、ユーザの指示入力に応じた選択制御信号に応じて切り換えられ、後段の同期式ディレイ回路(同期式遅延回路)22にユーザによって選択された入力機器からのオーディオ信号Pinを供給するようにする。
【0072】
なお、図1には図示しないが、この実施の形態のAVアンプ装置には、複数のデジタルビデオ信号(以下、単にビデオ信号という。)の入力端子と、これらが接続されるビデオ信号セレクタ、および、制御信号、コマンド信号、状態通知信号などの種々の信号(オーディオ信号、ビデオ信号以外の信号。以下、他信号という。)の供給を受け付ける複数の他信号の入力端子と、これらが接続される他信号のセレクタを備えている。
【0073】
そして、ビデオ信号のセレクタ、他信号のセレクタは、オーディオ信号のセレクタ21と同様に、マイコン20からの選択制御信号に応じて切り換えられ、後段の同期式ディレイ回路(同期式遅延回路)22にユーザによって選択された入力機器からのビデオ信号Vin、他信号Cinを後段の同期式ディレイ回路(同期式遅延回路)22に供給することができるようにされている。
【0074】
なお、マイコン20は、図示しないが、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備えたものであり、後述もするように、入力信号の有無を検出する入力検出部としての機能を有するとともに、この実施の形態のAVアンプ装置の各部を制御するシステムコントローラとしての機能をも有するものである。
【0075】
同期式ディレイ回路22には、上述したように、オーディオ信号Pinと他信号Cin、あるいは、オーディオ信号Pinとビデオ信号Vinと他信号Cinとが同時に供給するようにされる。これら同時に供給するようにされる複数の信号のそれぞれは、相互に関連付けられたものであり、それらの信号間にある所定の関係を維持しながら処理しなければならないものである。
【0076】
つまり、同時に供給するようにされるオーディオ信号Pin、ビデオ信号Vin、他信号Cinのそれぞれは、相互に所定の関係を維持して(相互に同期を維持して)処理しなければならない信号である。なお、この明細書において、オーディオ信号Pinと同時に供給されるビデオ信号Vinと他信号Cinとをオーディオ信号に対する関連信号と呼ぶこととする。
【0077】
そして、オーディオ信号については、以下に詳述するように、パワーアンプ部分の貫通電流の低減などのために、クロック信号の周波数を変化させる場合があり、このクロック信号の周波数変化時に、この周波数の変化の影響を受けてオーディオ信号を処理する回路部分において発生する可能性のある異音を放音しないようにする処理のために、所定時間分遅延させる必要が生じる。
【0078】
そこで、同期式ディレイ回路22は、オーディオ信号Pinを所定時間分遅延させて、遅延させたオーディオ信号Pin(d)として出力するとともに、オーディオ信号Pinの遅延分に対応させて、オーディオ信号Pinと同時に供給されるビデオ信号Vinや他信号Cinを遅延させ、遅延させたビデオ信号Vin(d)、遅延させたCin(d)として出力することができるものである。
【0079】
そして、図1において、10番台の参照符号(参照符号11〜19まで)が付された部分がオーディオ信号を増幅するパワーアンプ部分であり、クロック生成部12を除く各部分は、図15を用いて前述したいわゆるD級アンプと同様に構成したものである。
【0080】
クロック生成部12は、いわゆるPLL(Phase Locked Loop)回路の構成とされたものであり、分周比を変更することにより、種々の周波数のクロック信号CLKの生成が可能なものである。
【0081】
図2は、クロック生成部12の構成例を説明するためのブロック図である。図2に示すように、この実施の形態において、クロック生成部12は、水晶発振子121、位相比較回路122、ループフィルタ123、VCO(Voltage Controlled Oscillator)124、分周器125を備えたものである。
【0082】
水晶発振子121は、所定の周波数の基準クロック信号Refを生成して、これを位相比較回路122に供給する。位相比較回路122には、図2に示すように、VCO124からの出力信号も供給される。
【0083】
位相比較回路122は、これに供給された2つの信号の位相を比較し、その差分に応じて、VCO124からの発振信号の位相が、基準クロック信号Refと一致するように制御するための信号(制御電圧)を形成する。位相比較回路122からの出力信号は、ループフィルタ123を通じてVCO124に供給される。
【0084】
VCO124は、ループフィルタ123を通じて供給される制御電圧に応じて、周波数が調整するようにされた信号を発振する。VCO124において発振された信号は、上述したように、位相比較回路122に供給されるとともに、分周器125にも供給される。
【0085】
分周器125は、入力検出部としての機能を有するマイコン20からの周波数制御信号CCTである分周比データの供給を受け、VCO223からの信号を分周して、マイコン20から指示するようにされた周波数のクロック信号CLKを形成し、これをPWM変調回路11に供給する。PWM変調回路11では、クロック生成部12からのクロック信号CLKに応じて、オーディオ信号Pin(d)をPWM変調する。
【0086】
そして、この第1の実施の形態において、マイコン20は、セレクタ21から出力され、同期式ディレイ回路22に供給されるオーディオ信号Pinを監視し、オーディオ信号Pinが有る期間である有信号期間と、オーディオ信号Pinが無い、あるいは、ヌルストリームである期間である無信号期間とを検出する。
【0087】
具体的には、同期式ディレイ回路22に供給されるオーディオ信号Pinのレベルが、予め決められる閾値以下となる期間が、連続して所定時間(例えば、数十秒から数分程度の時間)経過した場合に、処理すべきオーディオ信号が無い無信号期間であることを検出する。逆に、同期式ディレイ回路22に供給されるオーディオ信号Pinのレベルが、予め決められる閾値より大きい場合には、処理すべきオーディオ信号が有る有信号期間であることを検出する。
【0088】
そして、マイコン20は、オーディオ信号Pinが有ることを検出した場合には、PWM変調部11においてオーディオ信号Pin(d)をPWM変調する際に用いられる予め決められた周波数のクロック信号CLKを形成するための分周比データを形成し、これを周波数制御信号CCTとして、上述したようにクロック生成部12の分周器125に供給する。
【0089】
この第1の実施の形態においては、PWM変調部11においてオーディオ信号Pin(d)をPWM変調する際に用いるクロック信号CLKの通常の周波数は、オーディオ信号Pinのサンプリング周波数fsの例えば16倍のキャリア周波数とするようにしている。
【0090】
したがって、所定レベル以上のオーディオ信号Pinが供給されており、通常通りオーディオ信号Pin(d)をPWM変調する場合には、供給されているオーディオ信号Pinのサンプリング周波数fsを例えば48kHzとすると、キャリア周波数fc=16×48kHz=768kHzとなり、この768kHzの周波数のクロック信号CLKを生成するようにするための分周比データが、クロック生成部12の分周器125に供給されることになる。
【0091】
これにより、クロック生成部12からPWM変調回路11にキャリア周波数fcのクロック信号CLKが供給され、このクロック信号CLKに応じてオーディオ信号Pin(d)のPWM変調処理が行われ、オーディオ信号Pin(d)に応じた電流をスピーカ19に流して、音声をスピーカ19から放音することができるようにされる。
【0092】
また、マイコン20は、オーディオ信号Pinが無い無信号期間を検出した場合には、上述のように予め決められる通常のキャリア周波数fcよりも周波数の低いクロック信号CLKを形成するための分周比データを形成し、これを周波数制御信号CCTとして、上述したようにクロック生成部12の分周器125に供給する。
【0093】
この第1の実施の形態において、オーディオ信号Pinが無い無信号期間を検出した場合にクロック生成部12の分周器125に供給するクロック信号CLKの周波数は、例えば、通常のキャリア周波数fcと同じ、あるいは、キャリア周波数fcの数分の1から数十分の1程度、あるいは、それより低くなるようにされる。例えば、通常のキャリア周波数fcが768kHzである場合、クロック信号CLKの周波数としては、768kHz、384kHz、192kHz、96kHz、…などの周波数が用いられるようにされる。
【0094】
これにより、処理すべきオーディオ信号の供給が無い無信号期間においては、キャリア周波数fcよりも低い周波数のクロック信号CLKがPWM変調回路11に供給されて、通常よりも長い間隔を空けたタイミングで、信号レベルがゼロに対応したパルス幅のPWM信号(デューティ比50%のパルス幅のPWM信号)が形成されることになる。
【0095】
この通常よりも長い間隔を空けたタイミングで形成される信号レベルがゼロに対応したパルス幅のPWM信号に応じたドライブパルスがドライブ回路13、14において形成され、これがプッシュプル回路15の1対のFET(Q11、Q12)、プッシュプル回路16の1対のFET(Q13、Q14)に供給される。
【0096】
この場合、ドライブ回路13、14から出力されるドライブパルスは、その周期が通常よりも長くなるようにされているので、FET(Q11、Q12)、FET(Q13、Q14)のスイッチング回数を減少させ、単位時間あたりの貫通電流の発生回数を大幅に削減することができるようにされる。
【0097】
そして、有信号期間から無信号期間に変化した場合、これとは逆に無信号期間から有信号期間に変化した場合には、上述もしたように、クロック生成部12からのクロック信号CLKの周波数が変更される。このように、クロック信号CLKの周波数が変更するようにされた場合には、オーディオ信号を処理する回路部分がその影響を受け、安定に動作するまでにある程度の時間がかかる場合がある。
【0098】
この安定に動作するまでの期間において、異音が発生するなどの不都合が生じる場合があると考えられる。そこで、この実施の形態のAVアンプ装置においては、マイコン20が、有信号期間から無信号期間への変化、あるいは、無信号期間から有信号期間への変化を検出した場合に、クロック生成部12に周波数制御信号CCTを供給してクロック信号CLKの周波数を変更するが、これに先立ち、ミュート(消音)を実行するようにするためのミュート制御信号MCTをミュート回路23に供給して、ミュート回路23によってミュート処理を実行し、スピーカ19に駆動電流が流れないようにする。
【0099】
この後、クロック信号CLKの周波数が安定し、オーディオ信号を処理する各回路部分が安定に動作するようになったところで、マイコン20は、ミュートを解除するためのミュート制御信号MCTをミュート回路23に供給し、ミュートを解除する。
【0100】
これによって、クロック信号CLKの周波数が変更され、オーディオ信号を処理する各回路部分の動作が不安定な期間においては、オーディオ信号がミュートされ、スピーカ19からは音声が放音されないので、例え異音が発生しても、これをユーザが聴取してしまうことがないようにすることが可能になる。
【0101】
[第1の実施の形態のパワーアンプ装置の動作について]
上述のように、PWM変調部11に供給するクロック信号CLKの周波数を可変に制御することが可能な、この第1の実施の形態のパワーアンプ装置の動作について詳細に説明する。なお、ここでは、オーディオ信号である入力信号Pinと、その遅延信号Pin(d)と、クロック信号CLKと、ミュート期間との関係を示す図(タイミングチャート)である図3、図4をも参照しながら説明する。
【0102】
この第1の実施の形態のパワーアンプ装置に電源が投入されると、各部に電源が供給され動作を開始する。まず、マイコン20は、クロック生成部12の分周器125に予め決められた分周比データを周波数制御信号CCTとして供給するとともに、セレクタ21から出力されるオーディオ信号Pinを監視し、入力信号、すなわち、オーディオ信号Pinの有無の検出を開始する。
【0103】
ここで、マイコン20からクロック生成部12の分周器125に供給される分周比データは、ユーザによって選択された入力機器から供給されるオーディオ信号Pinのサンプリング周波数の例えば16倍(16fs)のキャリア周波数fcとなる通常の周波数のクロック信号CLKを形成するためのものである。
【0104】
クロック生成部12は、マイコン20からの周波数制御信号CCTに基づいて、ユーザにより選択された入力機器に応じたキャリア周波数fcのクロック信号CLKを形成し、これをPWM変調部11に供給し、ユーザによって選択された入力機器からのオーディオ信号のPWM変調が行われる。
【0105】
しかし、入力機器において例えば再生動作が行われなかったり、再生一時停止がされたりするなどして、所定時間以上、オーディオ信号が供給されなかった場合には、マイコン20は、オーディオ信号は供給されておらず、無信号期間に入ったことを検出する。
【0106】
例えば、図3に示した時点t1において、マイコン20が、無信号期間に入ったことを検出したとする。この場合、マイコン20は、図3(A)に示すように、所定時間(例えば、数十秒から数分程度の時間)だけ経過した時点t2においてミュート回路23を機能させるようにする制御信号MCTを形成してこれをミュート回路23に供給し、ミュート回路23によりミュートを行うようにする。
【0107】
この後、マイコン20は、クロック信号CLKの周波数を通常の周波数よりも低くするための周波数制御信号CCTをクロック生成回路12の分周器125に供給し、クロック信号CLKの周波数を変更するようにする。つまり、図3(B)に示すように、まず、ミュート回路23を機能させて、音声をスピーカから放音しないようにした後に、周波数制御信号CCTをクロック生成部12に供給することにより、音声ミュート開始後の時点t3からクロック信号CLKの周波数の変更を開始するようにする。
【0108】
なお、図3および後述する説明図において、クロック信号CLKの周波数の変更をなめらかな変化として表したが、これ以外に段階的に、あるいは一気に変更させてもよいものとする。
【0109】
この後、所定時間経過後の時点t4において周波数の変更が終了して、オーディオデータを処理する各回路部分が安定に動作するようになる。そして、マイコン20は、周波数の変更終了後の時点t5において、ミュート回路23の機能を停止させるようにする制御信号MCTをミュート回路23に供給し、ミュート回路23の機能を停止させる。
【0110】
これにより、周波数の変更は、図3においてミュート期間MTが示すように、ミュートがされてスピーカ19から音声が放音されない間に行われ、クロック信号CLKの周波数が変化することによって、オーディオ信号を処理する回路部分において発生する可能性のある異音をスピーカ19から放音しないようにすることができる。
【0111】
そして、ユーザにより選択された入力装置において、再生処理が行われるようにされて、処理すべきデジタルオーディオデータがこの実施の形態のAVアンプに供給されると、マイコン20は処理すべきオーディオ信号が供給されたことを検出する。
【0112】
図4に示すように、マイコン20が、時点t11において、処理すべきオーディオ信号が有ることを検出すると、すなわち、有信号期間に入ったことを検出すると、マイコン20は、図4(A)に示すように、まず、時点t12においてミュート回路23を機能させるようにする制御信号MCTを供給し、ミュート回路23を機能させる。
【0113】
この後、マイコン20は、通常よりも低くなるようにされているクロック信号CLKの周波数を通常の周波数に戻すようにするための周波数制御信号CCTをクロック生成回路12の分周器125に供給し、クロック信号CLKの周波数を変更するようにする。
【0114】
つまり、ミュート回路23を機能させた後に、クロック信号CLKの周波数を通常の周波数に戻すようにするための周波数制御信号CCTをクロック生成部12に供給する。これにより、図4(B)に示すように、ミュートされて音声が放音されないようにされた後の時点t13からクロック信号CLKの周波数の変更が開始するようにされる。
【0115】
この後、所定時間経過後の時点t14において周波数の変更が終了して、通常の周波数のクロック信号CLKによりオーディオ信号を処理する各回路部分が安定に動作するようになる。そして、マイコン20は、周波数の変更終了後の時点t15において、ミュート回路23の機能を停止させるための制御信号MCTをミュート回路23に供給して、ミュート回路23の機能を停止させる。
【0116】
この場合、図4(C)、(D)に示すように、この実施の形態のAVアンプ装置のパワーアンプ部分に供給されるオーディオ信号Pin(図4(C))は、同期式ディレイ回路22により、所定時間分遅延されオーディオ信号Pin(d)(図4(D))となるようにされているので、図4に示すように、ミュート区間MT終了後の各回路部分が安定に動作するようになった後からオーディオ信号Pinの処理が開始されることになる。
【0117】
このように、周波数の変更は、図4においてミュート期間MTが示すように、ミュートがされてスピーカ19から音声が放音されない間に行われ、クロック信号CLKの周波数が変化することによって、オーディオ信号を処理する回路部分において発生する可能性のある異音が発生しても、これをスピーカ19から放音しないようにすることができる。
【0118】
そして、PWM変調部11は、同期式ディレイ回路22からのオーディオ信号Pin(d)と、クロック生成部12からのクロック信号CLKとの供給を受け、オーディオ信号Pin(d)を1対のPWM信号PA、PBに変換する。
【0119】
オーディオ信号である入力信号Pinが供給されている期間においては、PWM信号PA、PBのパルス幅は、オーディオ信号Pinの示すレベルに対応して変化するものであるが、一方のPWM信号のPAのパルス幅は、オーディオ信号Pinの示すレベルの大きさとされ、他方のPWM信号PBのパルス幅は、オーディオ信号Pinの示すレベルの2の補数の大きさとされる。
【0120】
そして、このPWM変調回路11からの一方のPWM信号PAがドライブ回路13に供給されて、図16Aを用いて説明したように、信号PAと同レベルおよびレベル反転した1対のドライブ用のパルス電圧(ドライブパルス)+PA、−PAが形成され、これらパルス電圧+PA、−PAが、プッシュプル回路を構成する1対のnチャンネルのMOS−FET(Q11、Q12)のゲートにそれぞれ供給される。
【0121】
そして、図1に示したように、FET(Q11)のドレインが電源端子TPWRに接続され、そのソースがFET(Q12)のドレインに接続され、このFET(Q12)のソースが接地に接続されている。そして、FET(Q11)のソースおよびFET(Q12)のドレインが、コイルおよびコンデンサを有するローパスフィルタ17を通じてスピーカ19の一端に接続されている。
【0122】
また、PWM変調回路11から他方のPWM信号PBに対しても、PWM信号PAに対してと同様に構成される。すなわち、PWM信号PBがドライブ回路14に供給されて、図16Bを用いて説明したように、信号PBと同レベルおよびレベル反転した1対のドライブ用のパルス電圧(ドライブパルス)+PB、−PBが形成され、これらパルス電圧+PB、−PBが、プッシュプル回路16を構成する1対のnチャンネルのMOS−FET(Q13、Q14)のゲートにそれぞれ供給される。
【0123】
そして、図1に示したように、FET(Q13)のドレインが電源端子TPWRに接続され、そのソースがFET(Q14)のドレインに接続され、このFET(Q14)のソースが接地に接続されている。そして、FET(Q13)のソースおよびFET(Q14)のドレインが、コイルおよびコンデンサを有するローパスフィルタ18を通じてスピーカ19の他端に接続されている。
【0124】
図1に示したように、プッシュプル回路15、16の電源端子TPWRには、安定した直流電圧+VDDが電源電圧として供給される。直流電圧+VDDは、例えば20V〜50Vである。
【0125】
したがって、+PA=“H”のときには、−PA=“L”であり、FET(Q11)がオンになるとともに、FET(Q12)がオフになるので、FET(Q11、Q12)の接続点の電圧VAは、電圧+VDDとなる。また、逆に、+PA=“L”のときには、−PA=“H”であり、FET(Q11)がオフになると共に、FET(Q12)がオンになるので、VA=0となる。
【0126】
同様に、+PB=“H”のときには、−PB=“L”であり、FET(Q13)がオンになるとともに、FET(Q14)がオフになるので、FET(Q13、Q14)の接続点の電圧VBは、電圧+VDDとなる。また、逆に、+PB=“L”のときには、−PB=“H”であり、FET(Q13)がオフになるとともに、FET(Q14)がオンになるので、VB=0となる。
【0127】
そして、VA=+VDD、かつ、VB=0の期間には、FET(Q11、Q12)の接続点から、ローパスフィルタ17→スピーカ19→ローパスフィルタ18のラインを通じて、FET(Q13、Q14)の接続点へと、電流iが流れる。
【0128】
また、VA=0、かつ、VB=+VDDの期間には、FET(Q13、Q14)の接続点から、ローパスフィルタ18→スピーカ19→ローパスフィルタ17のラインを通じて、FET(Q11、Q12)の接続点へと、逆向きに電流iが流れる。さらに、VA=VB=+VDDの期間、およびVA=VB=0の期間には、電流iは流れない。つまり、プッシュプル回路15、16がBTL回路を構成している。
【0129】
そして、図16Eに示したように、電流iの流れる期間は、もとのPWM信号PA、PBが立ち上がっている期間に対応して変化するとともに、電流iがスピーカ19を流れるとき、電流iはローパスフィルタ17、18により積分されるので、結果として、スピーカ19を流れる電流iは、オーディオ信号Pinの示すレベルに対応したアナログ電流であって、電力増幅された電流となる。つまり、電力増幅された出力がスピーカ19に供給されることになる。
【0130】
このようにして、処理すべきオーディオ信号Pinが、入力端子Ti1、Ti2、…、TiNのいずれかを通じて供給されているときには、入力されたオーディオ信号Pinに応じた音声をスピーカ19から放音することができるようにされる。
【0131】
また、処理すべきオーディオ信号Pinが供給されていないときには、PWM変調に用いられるクロック信号CLKの周波数は、例えば、通常動作時のキャリア周波数fcと同じか、キャリア周波数fcの数分の1から数十分の1程度というように、通常の周波数よりも低くなるように制御される。
【0132】
これにより、処理すべきオーディオ信号Pinが供給されていないときには、クロック信号CLKの周波数が低くなるように制御され、信号レベルがゼロである場合のパルス幅を持つPWM信号PA、PBの発生が抑えられ、プッシュプル回路15のFET(Q11、Q12)、プッシュプル回路16のFET(Q13、Q14)のスイッチング回数が減少し、単位時間あたりの貫通電流の発生回数が抑制されて、消費電力の低減が実現できる。
【0133】
そして、上述もしたように、PWM変調に用いるクロック信号CLKの周波数を変更する場合には、変更直前からオーディオ信号を処理する回路部分が安定に動作するまでの間、スピーカ19から音声を放音しないようにミュート処理を行うので、クロック信号CLKの周波数の変更に伴い、異音が発生するような状態になっても、異音をスピーカから放音しないようにすることができる。
【0134】
また、オーディオ信号Pinとともに供給され、オーディオ信号Pinと所定の関係を維持して処理されるビデオ信号Vinや制御信号やコマンド信号などの種々の他信号Cinについても、同期式ディレイ回路22により、オーディオ信号に対応して遅延処理されるので、オーディオ信号との関係がずれたりするなどの不都合を生じさせることもない。
【0135】
[クロック信号の周波数を変更する場合の他の例]
[他信号に基づく場合]
上述した例においては、入力信号であるオーディオ信号の有無に応じてクロック信号CLKの周波数を変更するようにした。しかし、これに限るものではない。オーディオ信号とともに、入力機器から供給される他信号Cinに基づくタイミングで、クロック信号CLKの周波数を変更するように制御することも可能である。
【0136】
入力機器から送信されてくる他信号Cinとして、例えば、コマンド信号を用いる場合について説明する。ここで、コマンド信号は、入力機器が受け付けた、再生キー押下、再生一時停止キー押下、停止キー押下などのユーザからの指示に応じて、入力機器からこの実施の形態のAVアンプ装置に送信されてくる信号であり、当該入力機器の動作の変化を通知することができるものである。
【0137】
ここでは、この実施の形態のAVアンプ装置に電源が投入されたものの、処理すべきオーディオ信号が入力機器から所定時間以上供給されないために、図3を用いて説明したように、無信号期間に入ったことが検出され、クロック信号CLKの周波数が通常よりも低くするようにされた場合を考える。
【0138】
この場合、マイコン20は、同期式ディレイ回路22に供給される入力機器からの他信号Cinを監視し、入力機器から再生キーが押下されたことを示す他信号Cinとしてのコマンド信号が供給されたか否かを検出するようにする。
【0139】
入力機器から再生キーが押下されたことを示すコマンド信号が供給された場合には、入力機器は再生状態となり、オーディオ信号を出力してくるので、上述のように通常よりも低くなるようにされているクロック信号の周波数を元の通常の周波数に戻さなければならない。そこで、この実施の形態のAVアンプ装置においては、マイコン20を中心として以下のように動作する。
【0140】
図5は、入力機器からの他信号の1つであるコマンド信号を監視し、再生キーが押下されたことを示すコマンド信号が供給されたことを検出した場合のこの実施の形態のAVアンプ装置の動作を説明するための図(タイミングチャート)である。
【0141】
図5において、時点t21に示すように、この実施の形態のAVアンプ装置のマイコン20が、入力機器から再生キーが押下されたことを示すコマンド信号を検出すると、マイコン20は、図5(A)に示すように、まず、時点t22においてミュート回路23を機能させるようにする制御信号MCTを形成してこれをミュート回路23に供給し、ミュート回路23によりミュートを行うようにする。
【0142】
この後、マイコン20は、通常よりも低くされているクロック信号CLKの周波数を通常の周波数に戻すための周波数制御信号CCTをクロック生成回路12の分周器125に供給し、クロック信号CLKの周波数を変更するようにする。つまり、図5(B)に示すように、まず、ミュート回路23を機能させて、音声をスピーカから放音しないようにした後に、周波数制御信号CCTをクロック生成部12に供給する。これにより、例えば、音声ミュート開始後の時点t23からクロック信号CLKの周波数の変更が開始される。
【0143】
この後、所定時間経過後の時点t24において周波数の変更が終了して、オーディオデータを処理する各回路部分が安定に動作するようになる。そして、マイコン20は、周波数の変更終了後の時点t25において、ミュート回路23の機能を停止させるようにする制御信号MCTをミュート回路23に供給し、ミュート回路23の機能を停止させる。
【0144】
これにより、周波数の変更は、図5においてミュート期間MTが示すように、ミュートがされてスピーカ19から音声が放音されない間に行われ、クロック信号CLKの周波数が変化することによって、オーディオ信号を処理する回路部分において発生する可能性のある異音をスピーカ19から放音しないようにすることができる。
【0145】
この場合、図5(D)、(E)に示すように、入力機器からのオーディオ信号Pinは、同期式ディレイ回路22によって、ミュート期間MTが終了後の所定の時点までの間、遅延される。したがって、クロック信号の周波数の変更に伴い、不安定となった各回路部分の動作が安定した後に、オーディオ信号についての処理を行うようにされるので、再生音声の頭切れなどを生じさせることもない。
【0146】
なお、図5に示した場合と同様に、入力機器から停止キーが押下されたことを示すコマンド信号を検出したときに、クロック信号CLKの周波数を通常よりも低くするようにすることも可能である。
【0147】
しかし、停止キー押下後、比較的にすぐに再生キーが押下されることも考えられるので、停止キーが押下されたことを示すコマンド信号検出後、所定時間以上再生キーが押下されたことを示すコマンド信号を検出しなかった場合に、図3に示した場合と同様にして、クロック信号CLKの周波数を低くするように制御することによって、停止直後の再生指示にも迅速に対応することができる。
【0148】
なお、ここでは、入力機器からの他信号Cinとしてコマンド信号を用いる場合を例にして説明したが、これに限るものではない。例えば、オーディオ信号のレベル表示を行う表示データが他信号Cinとして供給されるような場合には、この表示用データの有無に応じて、クロック信号の周波数の変更を行うようにすることもできる。
【0149】
つまり、オーディオ信号のレベル表示を行う表示データがある場合には、クロック信号CLKの周波数はオーディオ信号を処理する通常の周波数とし、オーディオ信号のレベル表示を行う表示データがない場合には、クロック信号CLKの周波数を低くするというように制御することもできる。
【0150】
また、ビデオ信号の有無に応じて、クロック信号の周波数の変更を行うようにすることもできる。つまり、通常は、DVDプレーヤやBSデジタルチューナーなどのAV機器からは、オーディオ信号とビデオ信号とは対になって供給されるので、ビデオ信号の無い期間においては、オーディオ信号も供給されていないとみなして、クロック信号CLKの周波数の制御を行うようにすることもできる。
【0151】
このように、特定の関連信号を検出した場合、あるいは、関連信号の有無に応じて、この実施の形態のAVアンプ装置の動作の変化点を捉え、クロック信号CLKの周波数を制御することができる。
【0152】
なお、ここでは、クロック信号の周波数を変化させる場合を例にして説明したが、例えば、クロック信号の周波数の変化を伴わない場合であっても、関連信号の有無や関連信号の示す情報の内容に応じてAVアンプ装置の動作の変化点を捉え、動作の変化に伴って生じる可能性のある異音を放音しないように、音声のミュート処理を行うようにすることもできる。
【0153】
[ユーザからの指示入力に基づく場合]
オーディオ信号のサンプリング周波数が異なる複数のオーディオ機器やAV機器が接続されている場合に、入力機器として選択された電子機器からのオーディオ信号のサンプリング周波数に応じて、クロック信号CLKの周波数を変更できるようにしておけば、サンプリングレートコンバータが必要なくなる。
【0154】
この実施の形態のAVアンプ装置は、ユーザからの選択入力に応じて選択される入力機器からのオーディオ信号のサンプリング周波数に応じて、PWM変調部11に供給するクロック信号CLKの周波数を変更できるようにすることによって、サンプリングレートコンバータを用いないようにしている。
【0155】
この実施の形態のAVアンプ装置の場合、当該AVアンプ装置のフロントパネル面に設けられた入力機器を選択するためのキー操作部やリモートコマンダ(以下リモコンという。)と呼ばれる遠隔操作装置の操作部を通じて、ユーザからの入力機器の選択入力を受け付けることができるようにしている。
【0156】
これら入力部を通じて入力されるユーザからの選択入力に応じた選択信号SCTは、マイコン20に供給される。セレクタは、選択信号SCTに応じて、セレクタ21などを切り換えることになる。そして、マイコン20は、選択信号SCTにより指示された入力機器から出力されるオーディオ信号のサンプリング周波数に応じて、PWM変調部11に供給するクロック信号CLKの周波数を変更するが、この変更の場合にも、ミュート処理を行うようにしている。
【0157】
図6は、入力機器切り換え時のこの実施の形態のAVアンプの動作を説明するための図(タイミングチャート)である。図6において、時点t31において、マイコン20が、入力部からのユーザの選択入力に応じた選択信号SCTの供給を受け、入力機器が切り換えられたことを検知すると、まず、制御部20は、時点t32において、ミュート回路23を機能させるためのミュート制御信号MCTをミュート回路23に供給してミュートを行うようにする。
【0158】
この後、マイコン20は、選択された入力機器から出力されるオーディオ信号のサンプリング周波数に応じた周波数のクロック信号CLKを生成するための分周比データを周波数制御信号CCTとして、クロック生成部12の分周器125に供給し、クロック信号CLKの周波数を変更するようにする。図6においては、時点t33からクロック信号CLKの周波数の変更が開始されている。
【0159】
なお、この実施の形態のAVアンプ装置の場合、どの入力端子にどのような入力機器が接続されているかを予め把握しておくことにより、その入力機器からのオーディオ信号のサンプリング周波数を特定することができるようにされる。
【0160】
この場合、例えば、CDプレーヤ用入力端子、MDプレーヤ用入力端子というように、各入力端子毎に接続する入力機器を予め特定しておくようにしてもよいし、また、入力端子Ti1にはCDプレーヤを接続し、入力端子Ti2にはMDプレーヤを接続した、というように、入力端子毎に接続した入力機器を設定することができるようにしておけばよい。
【0161】
なお、各入力機器毎のサンプリング周波数を示す情報は、AV機器に搭載したメモリに記憶させておけばよい。この場合、メモリに記憶させた入力機器毎のサンプリング周波数を示す情報を必要に応じて変更できるようにしておくことにより、サンプリング周波数が異なる入力機器が提供されるようになった場合にも対応することが可能となる。
【0162】
そして、図6に示す例の場合には、時点t34において、クロック生成部12からのクロック信号CLKの周波数が目的とする周波数に合わせ込まれ、この後の時点t35において、ミュート回路23の機能を停止させるためのミュート制御信号MCTをミュート回路23に供給してミュートを停止する。
【0163】
このミュート開始時点t32からミュート終了時点t34までのミュート期間終了後において、同期式ディレイ回路22において所定の遅延期間DL分遅延するようにされたオーディオ信号Pin(d)が、PWM変調部11に供給されて、処理するようにされる。
【0164】
この場合においても、周波数の変更開始から変更終了までのクロック信号の周波数が不安定となり、オーディオ信号の各回路部分の動作が不安定となる期間においては、ミュートが行われ、音声はスピーカ19から放音されないので、異音が発生しても、これをユーザが聴取することがないようにすることができる。
【0165】
なお、ここでは、クロック信号の周波数を変化させる場合を例にして説明したが、例えば、クロック信号の周波数の変化を伴わない場合であっても、ユーザからの選択入力を受け付けた場合に、これをAVアンプ装置の動作の変化点として捉え、動作の変化に伴って生じる可能性のある異音を放音しないように、音声のミュート処理を行うようにすることもできる。
【0166】
[パワーアンプ部分がハーフブリッジ構成の場合の例]
図1に示したパワーアンプ装置において、パワーアンプ部分は、プッシュプル回路15、16によりBTL回路を構成し、いわゆるフルブリッジの構成となるように形成した。しかし、パワーアンプ部分は、フルブリッジの構成に限るものではなく、その出力段をいわゆるハーフブリッジの構成とすることもできる。
【0167】
図7は、パワーアンプ部分の出力段をいわゆるハーフブリッジの構成としたAVアンプ装置を説明するための図である。なお、図7において、図1に示したAVアンプ装置と同様、あるいは、ほぼ同様に構成される部分には、同じ参照符号を付している。
【0168】
図7に示すように、この例のパワーアンプ装置は、1つのプッシュプル回路15が用いられて形成されたものであり、パルス幅がオーディオ信号Pinの示すレベルの2の補数の大きさとされるPWM信号PBの処理系を有さないものである。
【0169】
この図7に示したAVアンプ装置において、PWM変調部11は、セレクタ21、同期式ディレイ回路22から供給されたオーディオ信号Pin(d)と、クロック生成部12からのクロック信号CLKの供給を受けて、オーディオ信号Pin(d)をPWM信号PAに変換する。
【0170】
PWM変調部11において形成されたPWM信号PAは、ドライブ回路13に供給され、ここで1対のドライブパルス+PA、−PAが形成され、これらドライブパルス+PA、−PAがプッシュプル回路15に供給される。
【0171】
このプッシュプル回路15の出力端が、コンデンサ31を通じ、さらにローパスフィルタ17を通じてスピーカ19の一端に接続されるとともに、その他端は設置される。したがって、この図7に示すパワーアンプ装置においても、スピーカ19にはオーディオ信号Pin(d)に対応した極性および大きさの電流iが流れ、電力増幅が行われる。
【0172】
また、図1に示したAVアンプ装置の場合と同様に、オーディオ信号Pinと関連付けられるビデオ信号Vin、他信号Cinの供給を受けることもできるようにされている。これらの信号は、オーディオ信号Pinとの関連性を維持するように、オーディオ信号Pinに対応して、同期式ディレイ回路22により遅延するようにされている。
【0173】
そして、この図7に示したいわゆるハーフブリッジの構成としたパワーアンプ部を有するAVアンプ装置の場合にも、処理すべきオーディオ信号Pinが無い場合には、PWM変調部11に供給するクロック信号CLKの周波数を通常よりも低くすることによって、プッシュプル回路15に流れる貫通電流の発生回数を少なくし、消費電力の低減を図ることができるものである。
【0174】
また、この実施の形態のAVアンプ装置に接続された入力機器からの他信号Cinやビデオ信号Vinなどの関連情報の内の特定の他信号や、関連情報の有無に応じてPWM変調部11に供給するクロック信号CLKの周波数を制御することもできるようにされたものである。
【0175】
また、複数のオーディオ機器やAV機器が接続された場合に、ユーザからの選択入力に応じた入力機器からのオーディオ信号のサンプリング周波数に応じて、PWM変調部11に供給するクロック信号CLKの周波数を制御することもできるようにされたものである。
【0176】
そして、上述のように、PWM変調部11に供給するクロック信号の周波数を変更する場合に、周波数の変更によってオーディオ信号を処理する各回路部分が影響を受けて発生させる可能性のある異音を放音しないようにするために、図1に示したAVアンプ装置の場合と同様に、周波数を変更する前の所定の時点から、周波数の変更が終了し、各回路部分が安定に動作するようになる所定時間長の消音期間において、ミュート回路23によってミュートを行うことによって、異音を放音しないようにしている。
【0177】
つまり、図3、図4を用いて説明したように、マイコン20の制御により、オーディオ信号の有無に基づいて、クロック信号CLKの周波数の変化タイミングを捉え、これに応じてミュート期間MTを設定して、周波数の変更に伴う異音を放音しないようにすることができる。
【0178】
また、図5を用いて説明したように、マイコン20の制御により、他信号の内の特定の信号の検出に基づいて、クロック信号CLKの周波数の変化タイミングを捉え、これに応じてミュート期間MTを設定して、周波数の変更に伴う異音を放音しないようにすることもできる。
【0179】
また、図6を用いて説明したように、マイコン20の制御により、ユーザからの選択入力に基づいて、クロック信号CLKの周波数の変化タイミングを捉え、これに応じてミュート期間MTを設定して、周波数の変更に伴う異音を放音しないようにすることもできる。
【0180】
また、クロック信号の周波数の変化を伴わない場合であっても、他信号の有無や他信号の示す情報の内容に応じて、あるいは、ユーザからの選択入力を受け付けた場合に、AVアンプ装置の動作の変化点を捉え、当該動作の変化に伴って生じる可能性のある異音を放音しないように、音声のミュート処理を行うようにすることもできる。
【0181】
また、図7に示したハーフブリッジの構成とされたAVアンプ装置の場合にも、消音期間に対応して、オーディオ信号Pin、ビデオ信号Vin、他信号Cinのいずれもが、各信号間の関係を維持したまま遅延するようにされるので、再生音声の頭切れなどを発生させることがなく、また、各信号間の関係が損なわれることもないようにすることができる。
【0182】
なお、この第1の実施の形態において、クロック生成部12においては、水晶発振子を用いたものとして説明したが、これに限るものではない。例えば、LC発振回路、RC発振回路、セラミック発振回路など、各種の発振回路を用いることも可能である。
【0183】
また、クロック生成部12のクロック生成回路122は、PLL回路の構成を有するものとして説明したが、クロック生成回路122は、デジタル回路、アナログ回路のいずれのものであってもよいし、また、PLL回路の構成を有するものに限らず、単に分周器としての機能を有するものであってもよい。
【0184】
[ミュート回路を設ける位置の他の例]
図1に示したAVアンプ装置の場合には、ローパスフィルタ18とスピーカ19との間にミュート回路23を設けるようにしたが、ミュート回路23は、ローパスフィルタ17とスピーカ19との間に設けてももちろんよい。また、これ以外にも、以下にその一例を示すように、様々な位置にミュート回路を設けるようにすることができる。
【0185】
図8は、ミュート機能を設けたPWM変調部11Aを用いて構成したAVアンプ装置を説明するためのブロック図である。この場合、マイコン20Aは、ミュート機能を設けたPWM変調部11Aに対して、例えば、図3(A)、図4(A)、図5(B)、図6(A)に示したような、ミュート機能をオン/オフ制御するためのミュート制御信号MCTを供給することができるようにしたものである。
【0186】
このマイコン20Aからのミュート制御信号MCTに基づいて、PWM変調部11Aは、ミュート機能がオンにされている期間においては、PWM信号PA、PBを後段へは出力しないようにして、ミュート機能を実現する。
【0187】
なお、図8は、いわゆるフルブリッジの構成としたパワーアンプ部を用いて形成したAVアンプ装置である。しかし、図9に示すように、いわゆるハーフブリッジの構成としたパワーアンプ部を用いたAVアンプ装置もまた、パワーアンプ部分を除けば、フルブリッジ構成のパワーアンプ部を用いたAVアンプ装置と同様に構成することができる。
【0188】
図10は、ミュート機能を設けたドライブ回路13A、14Aを用いて構成したAVアンプ装置を説明するためのブロック図である。この場合、マイコン20Bは、ミュート機能を設けたドライブ回路13A、14Aのそれぞれに対して、例えば、図3(A)、図4(A)、図5(B)、図6(A)に示したような、ミュート機能をオン/オフ制御するためのミュート制御信号MCTを供給することができるようにしたものである。
【0189】
このマイコン20Bからのミュート制御信号MCTに基づいて、ドライブ回路13A、14Aのそれぞれは、ミュート機能がオンにされている期間においては、FET(Q11、Q12)、FET(Q13、Q14)のいずれをもオフにするドライブパルス+PA、−PA、ドライブパルス+PB、−PBを形成して出力する。
【0190】
この場合には、プッシュプル回路15、16のFET(Q11、Q12)、FET(Q13、Q14)のいずれもがオフにされることにより、FET(Q11、Q12)の接続点の電圧VA、FET(Q13、Q14)の接続点の電圧VBとも0になるので、音声をミュートすることができる。
【0191】
なお、ここでは、ミュート期間においては、FET(Q11、Q12)、FET(Q13、Q14)のいずれをもオフにするものとして説明した。しかし、これに限るものではなく、ミュート期間においては、少なくとも、FET(Q11)、FET(Q13)をオフにすることにより、電圧VA、VBを0にするようにしてもよい。
【0192】
また、図10は、いわゆるフルブリッジの構成としたパワーアンプ部を用いて形成したAVアンプ装置である。しかし、図11に示すように、いわゆるハーフブリッジの構成としたパワーアンプ部を用いたAVアンプ装置もまた、パワーアンプ部分を除けば、フルブリッジ構成のパワーアンプ部を用いたAVアンプ装置と同様に構成することができる。
【0193】
図8〜図11に示した例の他、例えば、PWM変調部11とドライブ13、14との間にミュート回路を設けたり、また、ドライブ回路13、14とプッシュプル回路15、16との間にミュート回路を設けたりするようにしてもよい。
【0194】
要は、目的とする期間において、スピーカ19から音声を放音しないようにミュートをかけることができるように、適宜の位置にミュート回路を設けるようにすればよい。
【0195】
[第2の実施の形態]
以下に説明するこの第2の実施の形態のAVアンプ装置は、上述した第1の実施の形態のAVアンプ装置と同様に、いわゆるD級アンプの構成を有するものである。しかし、無信号時におけるプッシュプル回路の貫通電流の発生回数を低減させるため、PWM変調部の後段においてプッシュプル回路に供給するドライブパルスの周波数を低くするようにするものである。
【0196】
なお、以下に説明するこの第2の実施の形態のAVアンプ装置の場合にも、サンプリング周波数の異なる種々のオーディオ信号にも対応することができるものであるが、この第2の実施の形態のAVアンプ装置は、いわゆるサンプリングレートコンバータを用いるようにしている。
【0197】
[パワーアンプ部分がフルブリッジ構成の場合の例]
図12は、この第2の実施の形態のAVアンプ装置を説明するための図である。図12に示すこの第2の実施の形態のAVアンプ装置において、図1に示した第1の実施の形態のAVアンプ装置と同様に構成される部分には同じ照符号を付し、それらの詳細な説明については省略する。
【0198】
図12に示すように、この第2の実施の形態のAVアンプ装置は、PWM変調部11とドライブ回路13との間に分周器31および信号切り換え回路33を設けるとともに、PWM変調部11とドライブ回路14との間に分周器32および信号切り換え回路34を設けるようにしたものである。
【0199】
クロック生成部12は、上述の第1の実施の形態のクロック生成部12と同様に構成されたものである。しかし、この第2の実施の形態において、AVアンプ装置に電源が供給され、動作するようにされているときには、PWM変調部11に供給されるクロック信号CLKは、常に一定の周波数となるようにしている。
【0200】
そして、PWM変調部11の後段に設けた分周器81、82において、有信号期間および無信号検出期間と、無信号検出期間を除く無信号期間とでドライブ回路13、14に供給するPWM信号PA、PBの周波数を変更するようにしている。
【0201】
この第2の実施の形態において、マイコン20Cは、上述した第1の実施の形態のマイコン20と同様の構成を有するものである。しかし、この第2の実施の形態のAVアンプ装置のマイコン20Cは、PWM変調部11に常に周波数が一定のクロック信号CLKを供給するようにクロック生成部12を制御するとともに、前述した第1の実施の形態のマイコン20の場合と同様にして有信号期間と無信号期間とを検出し、この検出結果に応じて、分周器31、32および信号切り換え回路33、34を制御することができるものである。
【0202】
つまり、この第2の実施の形態においては、有信号期間とその後に続く無信号検出期間においては、マイコン20Cは、信号切り換え回路33、34を図12に示す接続状態として、PWM変調部11からのPWM信号をそのままドライブ回路13、14に供給するように制御する。
【0203】
しかし、マイコン20Cは、無信号期間に入ったことを検出すると、信号切り換え回路33、34を図12の接続状態とは逆の接続状態とするとともに、分周器31、32の分周比を制御し、PWM変調部11からのPWM信号について、その周波数を通常の周波数よりも低くなるように分周して出力するようにする。この場合、分周器31、32は、PWM変調部11からのPWM信号を、例えば、通常の周波数の数十分の1程度、あるいはそれより低くなるように分周する。
【0204】
これにより、処理すべきオーディオ信号がなくなってから所定時間の間の無信号検出期間を除く無信号期間においては、通常よりも低い周波数のPWM信号がドライブ回路13、14に供給されるので、そのそれぞれにおいて、通常よりも低い周波数のドライブパルスが形成される。
【0205】
そして、通常時よりも低い周波数のドライブパルスが、後段のプッシュプル回路15、16のFETのゲートに供給された場合には、上述の第1の実施の形態のパワーアンプ装置の場合と同様に、プッシュプル回路15、16のスイッチング動作は減少し、単位時間あたりの貫通電流の発生回数が低減するので、結果として無信号期間における消費電力を低減させることができる。
【0206】
そして、上述したように、マイコン20Cが無信号期間を検出し、分周比データである周波数制御信号CCTを分周器31、32に供給し、分周器31、32の分周比を変更するとともに信号切り換え回路33、34を切り換えることによって、PWM信号PA、PBの周波数を変更する場合に、その変更に先立って、ミュート回路23にミュート機能をオンにするためのミュート制御信号MCTを供給し、ミュート機能を動作させる。
【0207】
そして、分周器31、32から、変更された分周比に応じた目的とする周波数のPWM信号が出力され、各回路が安定に動作するようになった後に、マイコン20Cは、ミュート回路23に対して、ミュート機能をオフにするためのミュート制御信号MCTを供給し、ミュート機能を停止させる。
【0208】
このようにして、分周器31、32の分周比を変更することによって、PWM信号PA、PBの周波数を変更する場合に、その周波数の変更の影響を受けて、各回路部分の動作が不安定になり、異音を発生させる可能性のある期間において、音声がスピーカ19から放音しないようにミュートするので、異音が発生した場合にも、これをユーザが聴取しないようにすることができる。
【0209】
もちろん、分周器31、32の分周機能により、通常の周波数よりも低い周波数のPWM信号を分周器31、32から出力している状態から、通常の周波数のPWM信号を出力する状態に戻す場合にも、その変更の開始前の所定の時点から変更が終了し、各回路部分の動作が安定するまでの所定の期間においても、ミュート期間を設定し、ミュートを行う。
【0210】
つまり、ドライブ信号+PA、−PA、+PB、−PBの周波数の変更時には、その影響を受ける可能性のある期間においては、ミュートを行うようにしている。これによって、ドライブ信号の周波数変更の影響を受けて発生する可能性のある異音をスピーカから確実に放音しないようにしている。
【0211】
また、この第2の実施の形態においても、第1の実施の形態の場合と同様に、オーディオ信号Pin、ビデオ信号Vin、他信号Cinのそれぞれは、同期式ディレイ回路22により所定時間分遅延するようにされ、再生音声の頭切れを発生することがないようにされているとともに、オーディオ信号とその他の信号との関係がずれるなどの不都合を生じさせることもない。
【0212】
このように、第1の実施の形態のAVアンプ装置と第2の実施の形態のAVアンプ装置とは、ドライブパルスの周波数の変更箇所が異なるものの、結果として、ドライブパルスの周波数を変更する点で同じ機能を有し、そのドライブパルスの周波数の変更に伴い発生する可能性のある異音をユーザが聴取することがないようにしたものである。
【0213】
また、図12に示した第12の実施の形態のAVアンプ装置の場合には、ローパスフィルタ18とスピーカ19との間に設けたミュート回路23によってミュートを行うようにしたが、これに限るものではない。図12において、PWM変調部11にミュート機能を搭載し、これをマイコン20Cからの制御信号Mu1で制御するようにすることができる。また、ドライブ回路13、14にミュート機能を搭載して、これをマイコン20Cからの制御信号Mu2で制御したりするようにすることも可能である。
【0214】
なお、この図12に示すAVアンプ装置の場合にも、第1の実施の形態のAVアンプ装置の場合と同様に、コマンド信号などの他信号に基づいて、ミュート期間を設定するようにすることもできる。
【0215】
また、第1の実施の形態のAVアンプ装置の場合と同様に、オーディオ信号のサンプリング周波数の異なるオーディオ信号のそれぞれに対応するために、PWM変調部11に供給するクロック信号CLKの周波数を変更するようにすることも可能である。
【0216】
[パワーアンプ部分がハーフブリッジ構成の場合の例]
図12は、AVアンプ装置のパワーアンプ部分をフルブリッジの構成としたものであるが、図13に示すようにハーフブリッジの構成とすることももちろんできる。
【0217】
図13は、パワーアンプ部分の出力段をいわゆるハーフブリッジの構成としたAVアンプ装置を説明するための図である。なお、図13において、図12に示したパワーアンプ装置と同様、あるいは、ほぼ同様に構成される部分には、同じ参照符号を付している。
【0218】
図13に示すように、この例のパワーアンプ装置は、パルス幅がオーディオ信号Pinの示すレベルの2の補数の大きさとされるPWM信号PBの処理系を有さないものである。つまり、図13に示したように、この例のAVアンプ装置は、1つのプッシュプル回路15が用いられて形成されたものであり、PWM変調部11とドライブ回路13との間に分周器31および信号切り換え回路33を設けたものである。
【0219】
そして、この図13に示したハーフブリッジ構成のAVアンプ装置の場合にも、図12に示したフルブリッジ構成のAVアンプ装置の場合と同様に、有信号期間および無信号検出期間より、無信号検出期間を除く無信号期間におけるPWM信号PAの周波数が低くなるようにマイコン20Cが分周器31および信号切り換え回路33を制御することにより、無信号検出期間を除く無信号期間におけるプッシュプル回路15のスイッチング動作を少なくし、貫通電流の発生回数を低減させ、消費電力の省力化を実現することができる。
【0220】
そして、分周器31の分周比を変更して、プッシュプル回路15に供給するドライブパルスの周波数を変更する場合に、その周波数の変更前の所定の時点から変更が終了して各回路部分が安定に動作するようになるまでの期間において、音声のミュートを行うことにより、ドライブパルスの周波数の変更に伴い発生する可能性のある異音をユーザが聴取することがないようにすることができる。
【0221】
また、ミュートは、ミュート回路23で行う他、PWM変調部11やドライブ回路13にミュート機能を持たせ、これを制御することにより実現することも可能である。
【0222】
なお、この図13に示すAVアンプ装置の場合にも、第1の実施の形態のAVアンプ装置の場合と同様に、他信号の内の特定の信号や、ビデオ信号の有無など、すなわち、関連信号に基づいて、ミュート期間を設定するようにすることもできる。
【0223】
また、第1の実施の形態のAVアンプ装置の場合と同様に、オーディオ信号のサンプリング周波数の異なるオーディオ信号のそれぞれに対応するために、PWM変調部11に供給するクロック信号CLKの周波数を変更するようにすることも可能である。
【0224】
[第3の実施の形態]
以下に説明するこの第3の実施の形態のパワーアンプ装置は、上述した第1、第2の実施の形態のパワーアンプ装置と同様に、いわゆるD級アンプの構成を有するものである。しかし、無信号時における貫通電流を低減するために、PWM変調部11に供給するクロック信号の周波数を低くするのではなく、クロック信号の供給を停止させることによって、プッシュプル回路のスイッチチング動作を停止させるようにしたものである。
【0225】
これは、同じように構成するいわゆるD級アンプであっても、用いる回路素子の違いなどにより、クロック信号CLKの周波数の変化がノイズの原因にならないものや、逆にクロック信号CLKの周波数の僅かな変化でもノイズの原因になるものを構成することが可能であり、このようなD級アンプを用いた場合には、できるだけ素早くクロック信号CLKの周波数の変更を完了させることが望ましいという点を考慮したものである。
【0226】
[パワーアンプ部分がフルブリッジ構成の場合の例]
図14は、この第3の実施の形態のAVアンプ装置を説明するための図である。図14に示すこの第3の実施の形態のAVアンプ装置において、図1に示した第1の実施の形態のAVアンプ装置と同様に構成される部分には同じ照符号を付し、それらの詳細な説明については省略する。
【0227】
図14に示すように、この第3の実施の形態のAVアンプ装置は、PWM変調部11へのクロック信号CLKの供給を、スイッチ回路(図14においてはSWと記載。)25を通じて行うようにしたものである。このスイッチ回路25は、マイコン20Dによって、その切り換えが制御するようにされている。
【0228】
クロック生成部12は、上述の第1の実施の形態のクロック生成部12と同様に構成されたものである。しかし、この第2の実施の形態において、AVアンプ装置に電源が供給され、動作するようにされているときには、クロック生成部12からのクロック信号CLKは、常に一定の周波数となるようにしている。
【0229】
この第3実施の形態において、マイコン20Dは、上述した第1の実施の形態のマイコン20と同様の構成を有するものである。しかし、この第3の実施の形態のAVアンプ装置のマイコン20Dは、前述した第1の実施の形態のマイコン20の場合と同様にして有信号期間と無信号期間とを検出し、この検出結果に応じて、スイッチ回路25の切り換えを制御することができるものである。
【0230】
つまり、この第3の実施の形態においては、有信号期間とその後に続く無信号検出期間においては、マイコン20Dは、スイッチ回路25をオンにし、クロック生成部12からのクロック信号CLKをそのままPWM変調部11に供給する。しかし、マイコン20Dは、無信号期間に入ったことを検出すると、スイッチ回路25をオフにし、クロック生成部12からのクロック信号CLKをPWM変調部11に供給しないようにする。
【0231】
これにより、処理すべきオーディオ信号がなくなってから所定時間の間の無信号検出期間を除く無信号期間においては、PWM変調部11にはクロック信号CLKは供給されないので、PWM変調部11におけるPWM変調処理が停止され、PWM変調部11からのPWM信号の出力が停止される。
【0232】
この場合、PWM変調部11からPWM信号がドライブ回路13、14に供給されない場合には、ドライブ回路13、14においてドライブパルスは形成されないので、プッシュプル回路15、16のスイッチング動作は停止し、貫通電流が発生しなくなるので、結果として無信号期間における消費電力を低減させることができるのである。
【0233】
そして、上述したように、マイコン20Cが無信号期間を検出し、スイッチ回路25をオフにすることによって、PWM変調部11へのクロック信号CLKの供給を停止する場合に、これに先立って、ミュート回路23にミュート機能をオンにするためのミュート制御信号MCTを供給し、ミュート機能を動作させる。
【0234】
そして、PWM変調部11の動作が停止されることにより、他の回路部分が影響を受ける期間の経過後において、マイコン20Dは、ミュート回路23に対して、ミュート機能をオフにするためのミュート制御信号MCTを供給し、ミュート機能を停止させる。
【0235】
このようにして、スイッチ回路25を切り換えることにより、その影響を受けて、各回路部分の動作が不安定になり、異音を発生させる可能性のある期間において、音声がスピーカ19から放音しないようにミュートするので、異音が発生した場合にも、これをユーザが聴取しないようにすることができる。
【0236】
もちろん、スイッチ回路25をオフからオンにする場合にも、その切り換え前の所定の時点から切り換えが行われ、各回路部分の動作が安定するまでの所定の期間においても、ミュート期間を設定し、ミュートを行う。
【0237】
つまり、スイッチ回路25の切り換えを行う場合においては、各回路部分が、その切り換えの影響を受ける可能性のある期間においては、ミュートを行うようにしている。これによって、スイッチ回路25の切り換えの影響を受けて発生する可能性のある異音をスピーカから確実に放音しないようにしている。
【0238】
また、この第3の実施の形態においても、第1の実施の形態の場合と同様に、オーディオ信号Pin、ビデオ信号Vin、他信号Cinのそれぞれは、同期式ディレイ回路22により所定時間分遅延するようにされ、再生音声の頭切れを発生することがないようにされているとともに、オーディオ信号とその他の信号との関係がずれるなどの不都合を生じさせることもない。
【0239】
このように、第3の実施の形態のAVアンプ装置は、PWM変調部11へのクロック信号CLKの供給を制御することにより、無信号時においてドライブパルスをプッシュプル回路に供給しないようにして、無信号期間における貫通電流が発生しないようにし、消費電力の低減を図るようにしたものであり、クロック信号CLKの供給と供給停止との切り換えに伴い発生する可能性のある異音をユーザが聴取することがないようにしたものである。
【0240】
また、図14に示したこの第3の実施の形態のAVアンプ装置の場合には、ローパスフィルタ18とスピーカ19との間に設けたミュート回路23によってミュートを行うようにしたが、これに限るものではない。図14において、PWM変調部11にミュート機能を搭載し、これをマイコン20Cからの制御信号Mu1で制御するようにしてもよい。また、ドライブ回路13、14にミュート機能を搭載して、これをマイコン20Cからの制御信号Mu2で制御するようにすることもできる。
【0241】
なお、この図14に示すAVアンプ装置の場合にも、第1の実施の形態のAVアンプ装置の場合と同様に、コマンド信号などの他信号やビデオ信号など、すなわち関連信号に基づいて、ミュート期間を設定するようにすることもできる。
【0242】
[パワーアンプ部分がハーフブリッジ構成の場合の例]
図14は、AVアンプ装置のパワーアンプ部分をフルブリッジの構成としたものであるが、図15に示すようにハーフブリッジの構成とすることももちろんできる。
【0243】
図15は、パワーアンプ部分の出力段をいわゆるハーフブリッジの構成としたAVアンプ装置を説明するための図である。なお、図15において、図14に示したパワーアンプ装置と同様、あるいは、ほぼ同様に構成される部分には、同じ参照符号を付している。
【0244】
図15に示すように、この例のパワーアンプ装置は、パルス幅がオーディオ信号Pinの示すレベルの2の補数の大きさとされるPWM信号PBの処理系を有さないものである。つまり、図15に示したように、この例のAVアンプ装置は、1つのプッシュプル回路15が用いられて形成されたものであり、PWM変調部11とドライブ回路13との間に分周器31を設けたものである。
【0245】
そして、この図15に示したハーフブリッジ構成のAVアンプ装置の場合にも、図14に示したフルブリッジ構成のAVアンプ装置の場合と同様に、無信号検出期間を除く無信号期間において、クロック生成部12からのクロック信号CLKをPWM変調部11に供給しないようにし、無信号検出期間を除く無信号期間におけるプッシュプル回路15のスイッチング動作を停止させて、貫通電流が発生しないようにし、消費電力の省力化を実現することができる。
【0246】
そして、スイッチ回路25を切り換える場合に、その切り換え前の所定の時点から切り換えが終了して各回路部分が安定に動作するようになるまでの期間において、音声のミュートを行うことにより、ドライブパルスの周波数の変更に伴い発生する可能性のある異音をユーザが聴取することがないようにすることができる。
【0247】
また、ミュートは、ミュート回路23で行う他、PWM変調部11やドライブ回路13にミュート機能を持たせ、これを制御することにより実現することも可能である。
【0248】
また、この図15に示すAVアンプ装置の場合にも、第1の実施の形態のAVアンプ装置の場合と同様に、ビデオ信号や他信号である関連信号に基づいて、ミュート期間を設定するようにすることもできる。
【0249】
なお、前述した実施の形態のAVアンプ装置において、オーディオ信号Pin、ビデオ信号Vin、他信号Cinのディレイ量DLは、D級アンプ部分に用いた回路の特性などに応じ、クロック信号CLKなどの周波数を変更したり、その供給を制御したりする場合において、オーディオ信号を処理する回路部分が、周波数の変更や供給の制御による影響を受けなくなるのに十分な時間を設定すればよい。
【0250】
また、上述した実施の形態のAVアンプ装置において、信号無しと判断する場合に、低信号レベルの期間が所定時間以上連続した後に信号無しであると判断するようにしているのは、例えば、1つの楽曲のオーディオ信号と、これに続く他の楽曲のオーディオ信号との間の期間など、入力信号の供給が停止された後において、入力信号の供給が再開される可能性が高い期間を無信号期間として検出しないようにするためである。
【0251】
また、上述した各実施の形態においては、この発明によるパワーアンプ装置をAVアンプ装置に適用した場合を例にして説明した。フルブリッジの構成のパワーアンプ装置の場合には、例えば、家庭などの屋内において用いられる多機能であって高性能のAVアンプ装置に用いて好適なものである。
【0252】
また、ハーフブリッジの構成のパワーアンプ装置の場合には、構成が簡単であるので、AVアンプ装置の他、低価格のオーディオ機器やAV機器、あるいは、携帯用のオーディオ機器などに内蔵する場合などに用いて好適なものである。
【0253】
なお、左右2チャンネルのオーディオ信号を処理する場合には、上述した各パワーアンプ部分が、左右2チャンネル分必要になる。しかし、左右のチャンネルでその構成が変わることはない。
【0254】
また、上述の実施の形態において用いたオーディオ信号のサンプリング周波数やサンプリング周波数に基づくキャリア周波数の値は一例であり、各種の値に対応することができる。
【0255】
また、上述の実施の形態においては、いずれの場合にも、電源電圧は、いわゆる片側電源であるものとしたが、これに限るものではなく、正負電源を用いるようにしてもよい。
【0256】
また、上述の実施の形態においては、オーディオ信号である入力信号をPWM変調する場合を例に説明したが、これに限るものではない。入力信号をPNM(Pulse Number Modulation)変調するパワーアンプ装置にもこの発明を適用することが可能である。
【0257】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によるパワーアンプ装置によれば、クロック信号などの周波数やその供給を制御する場合に発生する可能性のある異音を放音しないようにすることができる。
【0258】
また、異音を放音しないようにした場合であっても、入力音声信号の再生において、再生音声の頭切れなどの不都合を発生させることもない。しかも、入力音声と関連付けられて供給される他信号についても、入力音声信号との関連を乱すこともない。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明によるパワーアンプ装置の第1の実施の形態を説明するための図である。
【図2】図1に示したパワーアンプ装置のクロック生成部の一例を説明するためのブロック図である。
【図3】図1に示したパワーアンプ装置の動作を説明するための図である。
【図4】図1に示したパワーアンプ装置の動作を説明するための図である。
【図5】図1に示したパワーアンプ装置の動作を説明するための図である。
【図6】図1に示したパワーアンプ装置の動作を説明するための図である。
【図7】この発明によるパワーアンプ装置の第1の実施の形態の他の例を説明するための図である。
【図8】この発明によるパワーアンプ装置の第1の実施の形態の他の例を説明するための図である。
【図9】この発明によるパワーアンプ装置の第1の実施の形態の他の例を説明するための図である。
【図10】この発明によるパワーアンプ装置の第1の実施の形態の他の例を説明するための図である。
【図11】この発明によるパワーアンプ装置の第1の実施の形態の他の例を説明するための図である。
【図12】この発明によるパワーアンプ装置の第2の実施の形態を説明するための図である。
【図13】この発明によるパワーアンプ装置の第2の実施の形態の他の例を説明するための図である。
【図14】この発明によるパワーアンプ装置の第2の実施の形態を説明するための図である。
【図15】この発明によるパワーアンプ装置の第2の実施の形態の他の例を説明するための図である。
【図16】いわゆるD級アンプと呼ばれる従来のパワーアンプ装置の構成例を説明するための図である。
【図17】図16に示した従来のパワーアンプ装置の動作を説明するための波形図である。
【図18】図16に示した従来のパワーアンプ装置の動作を説明するための波形図である。
【符号の説明】
11、11A…PWM変調部、12、12A…クロック生成部、13、14…DRV(ドライブ回路)、13A、14A…DRV(ドライブ回路)、15、16…プッシュプル回路、17、18…ローパスフィルタ、19…スピーカ、20、20A、20B、20D…入力検出部(マイコン)、21…セレクタ、22…同期式ディレイ回路、23…ミュート回路、24…SW(スイッチ回路)、121…水晶発振子、122…位相比較回路、123…ループフィルタ、124…VCO、125…分周器、Tin…入力端子、TPWR…電源端子、31…コンデンサ、Q11、Q12…FET(電界効果トランジスタ)、Q13、Q14…FET(電界効果トランジスタ)、outV…映像出力端子、outC…他信号出力端子
【発明の属する技術分野】
この発明は、音声信号の電力増幅器(以下、この明細書においては、パワーアンプ装置という。)に関する。
【0002】
【従来の技術】
オーディオ用のパワーアンプ装置として、いわゆるD級アンプと呼ばれるデジタルアンプがある。このD級アンプは、スイッチングにより電力増幅を行うものであるが、例えば図16に示すように構成される。
【0003】
すなわち、デジタルオーディオ信号Pinが、入力端子Tinを通じてPWM(Pulse Width Modulation)変調回路11に供給されると共に、クロック生成部12から所定の周波数のクロック信号がPWM変調回路11に供給され、デジタルオーディオ信号Pinは、1対のPWM信号PA、PBに変換される。
【0004】
この場合、図18に示すように、PWM信号PA、PBのパルス幅は、デジタルオーディオ信号Pinの示すレベル(信号PinをD/A変換したときの瞬時レベル。以下同様)に対応して変化するものであるが、一方のPWM信号のPAのパルス幅は、デジタルオーディオ信号Pinの示すレベルの大きさとされ、他方のPWM信号PBのパルス幅は、デジタルオーディオ信号Pinの示すレベルの2の補数の大きさとされる。
【0005】
なお、図18に示した例の場合には、PWM信号PA、PBは、その立ち上がり時点が、PWM信号PA、PBの1サイクル期間TCの開始時点に固定され、その立ち下がり時点がデジタルオーディオ信号Pinの示すレベルに対応して変化するものとされる。
【0006】
さらに、PWM信号PA、PBのキャリア周波数fc(=1/TC)は、例えば図16Fに示すように、デジタルオーディオ信号Pinのサンプリング周波数fsの例えば16倍とされ、fs=48kHzとすれば、
fc=16fs=16×48kHz=768kHz
とされる。
【0007】
そして、このPWM変調回路11からの一方のPWM信号PAがドライブ回路13に供給されて図17Aに示すように、信号PAと同レベルおよびレベル反転した1対のドライブ用のパルス電圧(ドライブパルス)+PA、−PAが形成され、これらパルス電圧+PA、−PAが、1対のスイッチング素子、例えばnチャンネルのMOS−FET(Metal Oxide Semiconductor Type Field Effect Transistor)(Q11、Q12)のゲートにそれぞれ供給される。
【0008】
この場合、FET(Field Effect Transistor)(Q11、Q12)は、プッシュプル回路15を構成するものであり、FET(Q11)のドレインが電源端子TPWRに接続され、そのソースがFET(Q12)のドレインに接続され、このFET(Q12)のソースが接地に接続される。また、電源端子TPWRには、安定した直流電圧+VDDが電源電圧として供給される。なお、電圧+VDDは、例えば20V〜50Vである。
【0009】
そして、FET(Q11)のソースおよびFET(Q12)のドレインが、コイルおよびコンデンサを有するローパスフィルタ17を通じてスピーカ19の一端に接続される。
【0010】
また、PWM変調回路11から他方のPWM信号PBに対しても、PWM信号PAに対してと同様に構成される。すなわち、PWM信号PBがドライブ回路14に供給されて図17Bに示すように、信号PBと同レベルおよびレベル反転した1対のドライブ用のパルス電圧(ドライブパルス)+PB、−PBが形成され、これらパルス電圧+PB、−PBが、プッシュプル回路16を構成する1対のnチャンネルのMOS−FET(Q13、Q14)のゲートにそれぞれ供給される。
【0011】
そして、FET(Q13)のソースおよびFET(Q14)のドレインが、コイルおよびコンデンサを有するローパスフィルタ18を通じてスピーカ19の他端に接続される。
【0012】
したがって、+PA=“H”のときには、−PA=“L”であり、FET(Q11)がオンになるとともに、FET(Q12)がオフになるので、FET(Q11、Q12)の接続点の電圧VAは、図17Cに示すように、電圧+VDDとなる。また、逆に、+PA=“L”のときには、−PA=“H”であり、FET(Q11)がオフになると共に、FET(Q12)がオンになるので、VA=0となる。
【0013】
同様に、+PB=“H”のときには、−PB=“L”であり、FET(Q13)がオンになるとともに、FET(Q14)がオフになるので、FET(Q13、Q14)の接続点の電圧VBは、図17Dに示すように、電圧+VDDとなる。また、逆に、+PB=“L”のときには、−PB=“H”であり、FET(Q13)がオフになるとともに、FET(Q14)がオンになるので、VB=0となる。
【0014】
そして、VA=+VDD、かつ、VB=0の期間には、図16および図17Eに示すように、FET(Q11、Q12)の接続点から、ローパスフィルタ17→スピーカ19→ローパスフィルタ18のラインを通じて、FET(Q13、Q14)の接続点へと、電流iが流れる。
【0015】
また、VA=0、かつ、VB=+VDDの期間には、FET(Q13、Q14)の接続点から、ローパスフィルタ18→スピーカ19→ローパスフィルタ17のラインを通じて、FET(Q11、Q12)の接続点へと、逆向きに電流iが流れる。さらに、VA=VB=+VDDの期間、およびVA=VB=0の期間には、電流iは流れない。つまり、プッシュプル回路15、16がBTL(Bridge
Tied Load)回路を構成している。
【0016】
そして、電流iの流れる期間は、もとのPWM信号PA、PBが立ち上がっている期間に対応して変化するとともに、電流iがスピーカ19を流れるとき、電流iはローパスフィルタ17、18により積分されるので、結果として、スピーカ19を流れる電流iは、デジタルオーディオ信号Pinの示すレベルに対応したアナログ電流であって、電力増幅された電流となる。つまり、電力増幅された出力がスピーカ19に供給されることになる。
【0017】
こうして、図16の回路は、パワーアンプとして動作するが、このとき、FET(Q11〜Q14)は、入力されたデジタルオーディオ信号Pinに対応して電源電圧+VDDをスイッチングして、電力増幅をするので、効率が高く、また、大出力を得ることができる。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、例えば図16に示したように構成されるいわゆるD級アンプの場合、再生停止や再生一時停止などによりデジタルオーディオ信号が入力されなくなった場合や、入力されるデジタルオーディオ信号がヌルストリームである場合においても、入力信号レベルが0(ゼロ)の場合に対応するPWM信号がPWM変調部11において形成され、これがドライブ回路13、14に供給されるので、ドライブ回路13、14からのドライブパルスによって、FET(Q11、Q12)、FET(Q13、Q14)は切り換えられる。
【0019】
つまり、当該D級アンプに電源が供給されている間においては、入力信号が無い状態にあるときにも、プッシュプル回路15、16は切り換えられる。各プッシュプル回路は、PWM信号の立ち上げリ時点および立下り時点における過渡状態が存在し、所謂立ち上がり時間、立下り時間と称される時間を要してスイッチする。このため、この極わずかな時間でも、頻繁に、FET(Q11、Q12)を介して電源端子TPWRと接地間にいわゆる貫通電流が流れ、無駄に電力が消費されてしまうことが考えられる。
【0020】
シミュレーションによると、入力信号が無い無信号時における貫通電流は、実際の回路構成などにもよるが、平均すると数十ミリアンペア程度であることが確認された。このような無駄な電力の消費はできれば無いほうが望ましい。特に、携帯型のオーディオ機器など、電池を駆動電源として用いている電子機器の場合には、電池の寿命を短くし、駆動時間の長時間化を阻害する原因となることが考えられる。
【0021】
そこで、無信号時においては、プッシュプル回路のFETに供給するドライブパルスの周波数を通常時よりも低くしたり、あるいは、プッシュプル回路のFETへのドライブパルスの供給を停止したりすることにより、プッシュプル回路に流れるいわゆる単位時間あたりの貫通電流の発生回数を低減させることが考えられている。
【0022】
具体的には、図16に示したように構成されるD級アンプの場合を例にとると、例えば、PWM変調部11に供給するクロック信号の周波数を変更したり、あるいは、PWM変調部11へのクロック信号の供給/供給停止を制御したりすることが考えられる。また、プッシュプル回路15、16の前段において、PWM信号やドライブパルスの周波数を変更したり、PWM信号やドライブパルスの供給/供給停止を制御したりすることによっても可能である。
【0023】
また、D級アンプをいわゆるAV(Audio and Visual)アンプに適用する場合、AVアンプには、CD(Compact Disc)プレーヤ、DAT(Digital Audio Tape)レコーダ、MD(Mini Disc(登録商標))プレーヤ、DVD(Digital Versatile Disc)プレーヤ、デジタル衛星放送チューナーなど種々のオーディオ機器やAV機器から、オーディオ信号、ビデオ信号、および、制御信号、コマンド信号などの他信号が供給されることになる。
【0024】
この場合、例えば、CDプレーヤからのオーディオ信号のサンプリング周波数は44.1kHzであるが、DATレコーダからのオーディオ信号のサンプリング周波数は48kHzであるというように、各オーディオ機器や各AV機器からのオーディオ信号のサンプリング周波数はまちまちである。
【0025】
このため、通常は、AVアンプに搭載されるサンプリングレートコンバータにより、これに供給されるオーディオ信号のサンプリング周波数を予め決められた周波数に統一するようにした後に、オーディオ信号の処理を行うようにすることが行われている。
【0026】
しかし、構成を簡単にし、より安価で性能のよいAVアンプを構成しようとする場合には、サンプリングレートコンバータを搭載せずに、オーディオ信号を処理するために用いるクロック信号の周波数を入力されるオーディオ信号のサンプリング周波数に応じて変更するようにすることが考えられる。
【0027】
このように、いわゆるD級アンプを用いる場合、通常はD級アンプの各回路部分に常時安定した周波数のクロック信号を供給するが、そのクロック信号の周波数を変更したり、あるいは、その供給を制御したりする必要性が生じる場合がある。
【0028】
しかし、オーディオ信号の処理に用いるクロック信号の周波数を変更したり、そのクロック信号の供給を制御したりした場合には、その影響を受けて、オーディオ信号を処理する回路部分の動作が不安定となる期間の発生につながり、ごく軽微ではあるが異音の発生原因になったり、再生時においてオーディオ信号の頭切れの発生原因になったりすることが考えられる。
【0029】
このことは、クロック信号の周波数を変更する場合だけでなく、クロック信号の供給を制御したり、オーディオ信号の処理過程において、PWM信号やドライブパルスを本来の周波数とは異なる周波数に変更したり、あるいは、その供給を制御したりした場合にも、同様の不都合が発生する場合があると考えられる。
【0030】
以上のことにかんがみ、この発明は、最終的にドライブパルスの周波数やその供給を制御するようにすることにより発生する可能性のある不都合の影響を回避することができるデジタルアンプの構成とされたパワーアンプ装置を提供することを目的とする。
【0031】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明のパワーアンプ装置は、
入力音声信号を、その量子化レベルを示すパルス変調信号に変換して出力するパルス変調手段と、
1対のスイッチング素子がプッシュプル接続されて構成されるスイッチング手段と、
前記パルス変調手段から出力される前記パルス変調信号を互いに逆レベルの1対のドライブパルスに変換して、前記スイッチング手段の前記1対のスイッチング素子に供給するドライブ手段と、
前記スイッチング手段の前段において、前記1対のスイッチング素子に供給する前記ドライブパルスの周波数の変更を行うようにするための周波数変更手段と、
前記スイッチング手段により増幅される前記入力音声信号に応じた音声を放音するスピーカから音声を放音しないようにする消音手段と、
前記周波数変更手段により前記ドライブパルスの周波数を変更する場合に、前記周波数の変更開始前の時点からの所定の消音期間において、前記消音手段を制御してスピーカから音声を放音しないようにする消音制御手段と、
前記パルス変調手段の前段に設けられ、前記入力音声信号を前記消音期間に応じた時間分遅延させる信号遅延手段と
を備えることを特徴とする。
【0032】
この請求項1に記載の発明のパワーアンプ装置によれば、周波数変更手段によって、ドライブパルスの周波数を変更するようにする場合に、その周波数の変更を行う前の所定の時点からの所定時間長の消音期間において、消音制御手段により消音手段が制御され、音声がスピーカから放音しないようにされる。このとき、信号遅延手段により、入力音声信号は、消音期間の経過後から処理が開始されるように遅延される。
【0033】
これにより、周波数変更手段によりドライブパルスの周波数が変更するようにされる場合に、その影響を受けて発生する可能性のある異音を放音することがないようにされる。
【0034】
しかも、消音期間に応じて、入力音声信号は処理の開始が遅延されるので、入力音声信号を処理する各回路部分が安定に動作するようになった後に、音声信号の処理が開始されるので、音声のいわゆる頭切れを生じさせることなく、常時、正常にオーディオ信号の増幅を行い、正常に再生音声の放音を行うことができるようにされる。
【0035】
また、請求項2に記載の発明のパワーアンプ装置は、請求項1に記載のパワーアンプ装置であって、
前記入力音声信号の有無を検出する検出手段を備え、
前記周波数変更手段は、前記検出手段により、前記入力音声信号の有無の変化を検出した場合に、前記ドライブパルスの周波数を変更するものであることを特徴とする。
【0036】
この請求項2に記載の発明のパワーアンプ装置によれば、周波数変更手段においては、検出手段により、処理すべき入力音声信号が有る状態から無い状態に変化したことを検出した場合に、あるいは、処理すべき入力音声信号が無い状態から有る状態に変化したことを検出した場合に、ドライブパルスの周波数を変更するようにするための処理が行うようにされる。
【0037】
上述のような入力音声信号の有無の変化に基づき、周波数変更手段がドライブパルスの周波数を変更するようにする前の所定の時点から所定の消音期間において、消音制御手段により制御される消音手段により、スピーカからの音声が消音される。
【0038】
これにより、ドライブパルスの周波数を変更するようにすることにより、入力音声信号を処理する各回路部分がその影響を受けて発生させてしまう可能性のある異音をスピーカから放音しないようにすることができるようにされる。
【0039】
しかも、消音期間に応じて、入力音声信号は遅延するようにされているので、入力音声信号を処理する各回路部分が安定に動作するようになった後に、入力音声信号についての処理が開始するようにされているので、再生音声の頭切れなどの不都合を生じさせることもない。
【0040】
また、請求項3に記載の発明のパワーアンプ装置は、請求項1に記載のパワーアンプ装置であって、
前記入力音声信号に関連付けられる関連信号の供給を受けることができるものであり、
前記関連信号の有無を検出する関連信号検出手段を備え、
前記周波数変更手段は、前記関連信号検出手段により、前記関連信号の有無の変化を検出した場合に、前記ドライブパルスの周波数を変更するものであり、
前記信号遅延手段は、前記入力音声信号と前記関連信号とについて、前記消音期間に応じた時間分遅延させるものであることを特徴とする。
【0041】
この請求項3に記載の発明のパワーアンプ装置によれば、当該パワーアンプ装置には、入力音声信号の他、この入力音声信号に関連付けられる関連信号が供給するようにされている。
【0042】
周波数変更手段においては、関連信号検出手段により、関連信号が有る状態から無い状態に変化したことを検出した場合に、あるいは、関連信号が無い状態から有る状態に変化したことを検出した場合に、ドライブパルスの周波数を変更するようにするための処理が行うようにされる。
【0043】
上述のような関連信号の有無の変化に基づき、周波数変更手段がドライブパルスの周波数を変更するようにする前の所定の時点から所定の消音期間において、消音制御手段により制御される消音手段により、スピーカから音声が放音しないようにされる。
【0044】
これにより、ドライブパルスの周波数を変更するようにすることにより、入力音声信号を処理する各回路部分がその影響を受けて発生させてしまう可能性のある異音をスピーカから放音しないようにすることができるようにされる。
【0045】
しかも、消音期間に応じて、入力音声信号、関連信号とも遅延するようにされているので、入力音声信号を処理する各回路部分が安定に動作するようになった後に、音声信号の処理を開始することができ、再生音声の頭切れなどを生じさせることがなく、また、入力音声信号と関連信号との所定の関係が乱れることもない。
【0046】
また、請求項4に記載の発明のパワーアンプ装置は、請求項1に記載のパワーアンプ装置であって、
前記入力音声信号に関連付けられる関連信号の供給を受けることができるものであり、
前記関連信号の内の特定の関連信号を検出する特定関連信号検出手段を備え、前記周波数変更手段は、前記特定関連信号検出手段により、前記特定の関連信号を検出した場合に、前記ドライブパルスの周波数を変更するものであり、
前記信号遅延手段は、前記入力音声信号と前記関連信号とについて、前記消音期間に応じた時間分遅延させるものであることを特徴とする。
【0047】
この請求項4に記載の発明のパワーアンプ装置によれば、当該パワーアンプ装置には、入力音声信号の他、この入力音声信号に関連付けられる関連信号が供給するようにされている。周波数変更手段は、特定信号検出手段により、関連信号の内の特定の信号が検出された場合に、ドライブパルスの周波数を変更するようにするための処理を行う。
【0048】
上述のような特定信号の検出に基づき、周波数変更手段がドライブパルスの周波数を変更するようにする前の所定の時点から所定の消音期間において、消音制御手段により制御される消音手段により、スピーカからの音声が消音するようにされる。
【0049】
これにより、ドライブパルスの周波数を変更するようにすることにより、オーディオ信号を処理する各回路部分がその影響を受けて発生させてしまう可能性のある異音をスピーカから放音しないようにされる。
【0050】
しかも、消音期間に応じて、入力音声信号、関連信号とも遅延するようにされているので、入力音声信号を処理する各回路部分が安定に動作するようになった後に、音声信号の処理を開始することができるので、再生音声の頭切れを生じさせることがないとともに、入力音声信号と関連信号との所定の関係が乱れることもない。
【0051】
また、請求項5に記載の発明のパワーアンプ装置は、請求項1に記載のパワーアンプ装置であって、
ユーザからの指示入力を受け付ける指示入力受付手段を備え、
前記指示入力受付手段は、前記指示入力受付手段を通じて所定の前記指示入力を受け付けた場合に、前記ドライブパルスの周波数を変更するものであることを特徴とする。
【0052】
この請求項5に記載の発明のパワーアンプ装置によれば、当該パワーアンプ装置には、ユーザからの指示入力を受け付ける指示入力受付手段が設けられており、周波数変更手段は、指示入力受付手段を通じて指示入力が受け付けられた場合に、ドライブパルスの周波数を変更するようにするための処理を行う。
【0053】
上述のようなユーザからの指示入力に応じて、周波数変更手段がドライブパルスの周波数を変更するようにする前の所定の時点から所定の消音期間において、消音制御手段により制御される消音手段により、スピーカからの音声が消音するようにされる。
【0054】
これにより、ドライブパルスの周波数を変更するようにすることにより、入力音声信号を処理する各回路部分がその影響を受けて発生させてしまう可能性のある異音をスピーカから放音しないようにされる。
【0055】
しかも、消音期間に応じて、入力音声信号、関連信号とも遅延するようにされているので、入力音声信号を処理する各回路部分が安定に動作するようになった後に、音声信号の処理を開始することができるようにされるので、再生音声の頭切れを生じさせることもないようにされる。
【0056】
また、請求項6に記載の発明のパワーアンプ装置は、
入力音声信号を、その量子化レベルを示すパルス変調信号に変換して出力するパルス変調手段と、
1対のスイッチング素子がプッシュプル接続されて構成されるスイッチング手段と、
前記パルス変調手段から出力される前記パルス変調信号を互いに逆レベルの1対のドライブパルスに変換して、前記スイッチング手段の前記1対のスイッチング素子に供給するドライブ手段と、
前記1対のスイッチング素子に供給する前記ドライブパルスの供給/停止を切り換えるようにする供給制限手段と、
前記スイッチング手段により増幅される前記入力音声信号に応じた音声を放音するスピーカから音声を放音しないようにする消音手段と、
前記供給制限手段により前記ドライブパルスの供給/停止を切り換えるようにする場合に、当該切り換えるようにする処理の開始前の時点からの所定の消音期間において、前記消音手段を制御してスピーカから音声を放音しないようにする消音制御手段と、
前記パルス変調手段の前段に設けられ、前記入力音声信号を前記消音期間に応じた時間分遅延させる信号遅延手段と
を備えることを特徴とする。
【0057】
この請求項6に記載の発明のパワーアンプ装置によれば、
供給制限手段により、ドライブパルスのスイッチング手段への供給が制御するようにされる場合に、その制御の開始前の所定の時点からの所定時間長の消音期間において、消音制御手段により消音手段が制御され、音声がスピーカから放音しないようにされる。このとき、信号遅延手段により、入力音声信号は、消音期間の経過後から処理が開始されるように遅延される。
【0058】
これにより、供給制限手段により、ドライブパルスのスイッチング手段への供給/停止が切り換えられるようにされることによって、当該パワーアンプ装置の状態が変化する前の時点から、ドライブパルスの供給/停止の変化の影響を各回路部分が受けなくなるまでの間において、音声が放音されないようにされる。
【0059】
しかも、消音期間に応じて、入力音声信号は処理の開始が遅延するようにされているので、供給制限手段により状態が変わるようにされた当該パワーアンプ装置の状態が安定した後に、音声信号の処理を開始することができるようにされるので、音声のいわゆる頭切れを生じさせることなく、正常な音声の放音を行うことができるようにされる。
【0060】
また、請求項11に記載の発明のパワーアンプ装置は、
入力音声信号と、前記入力音声信号に関連付けられる関連信号との供給を受けて、前記入力音声信号についての電力増幅を行うパワーアンプ装置であって、
入力音声信号を、その量子化レベルを示すパルス変調信号に変換して出力するパルス変調手段と、
1対のスイッチング素子がプッシュプル接続されて構成されるスイッチング手段と、
前記パルス変調手段から出力される前記パルス変調信号を互いに逆レベルの1対のドライブパルスに変換して、前記スイッチング手段の前記1対のスイッチング素子に供給するドライブ手段と、
前記スイッチング手段により増幅される前記入力音声信号に応じた音声を放音するスピーカから音声を放音しないようにする消音手段と、
前記関連信号の状態、あるいは、前記関連信号の示す情報を検出する関連信号検出手段と、
前記関連信号検出手段においての検出結果に基づいて決まる時点からの所定の消音期間において、前記消音手段を制御してスピーカから音声を放音しないようにする消音制御手段と、
前記パルス変調手段の前段に設けられ、前記入力音声信号と前記関連信号とを前記消音期間に応じた時間分遅延させる信号遅延手段と
を備えることを特徴とする。
【0061】
この請求項11に記載の発明のパワーアンプ装置によれば、当該パワーアンプ装置には、入力音声信号の他、この入力音声信号に関連付けられる関連信号が供給するようにされている。
【0062】
関連信号検出手段により、関連信号の状態、例えば、関連信号の有無の変化を検出した場合、あるいは、関連信号の示す情報、例えば、停止指示や再生開始指示などを検出した場合に、所定の時点からの所定時間長の消音期間において、消音制御手段により消音手段が制御され、音声がスピーカから放音しないようにされる。このとき、信号遅延手段により、入力音声信号と関連信号とは、消音期間の経過後から処理が開始されるように遅延される。
【0063】
これにより、関連信号によって、当該パワーアンプ装置における処理が変化する時点を捉え、処理の変化の影響を受けて入力音声信号を処理する回路部分において発生する可能性のある異音をユーザに聴取されないようにすることができる。また、入力音声信号、関連信号とも遅延回路により遅延するようにされているので、再生音声の頭切れなどを生じさせることがなく、また、入力音声信号と関連信号との関係が変わってしまうという不都合も生じない。
【0064】
また、請求項12に記載の発明のパワーアンプ装置は、
入力音声信号を、その量子化レベルを示すパルス変調信号に変換して出力するパルス変調手段と、
1対のスイッチング素子がプッシュプル接続されて構成されるスイッチング手段と、
前記パルス変調手段から出力される前記パルス変調信号を互いに逆レベルの1対のドライブパルスに変換して、前記スイッチング手段の前記1対のスイッチング素子に供給するドライブ手段と、
前記スイッチング手段により増幅される前記入力音声信号に応じた音声を放音するスピーカから音声を放音しないようにする消音手段と、
ユーザからの指示入力を受け付ける指示入力受付手段と、
前記指示入力受付手段を通じて所定の前記指示入力を受け付けた場合に、その受け付け時点に基づいて決まる時点からの所定の消音期間において、前記消音手段を制御してスピーカから音声を放音しないようにする消音制御手段と、
前記パルス変調手段の前段に設けられ、前記入力音声信号と前記関連信号とを前記消音期間に応じた時間分遅延させる信号遅延手段と
を備えることを特徴とする。
【0065】
この請求項12に記載の発明のパワーアンプ装置によれば、当該パワーアンプ装置には、ユーザからの指示入力を受け付ける指示入力受付手段が設けられており、周波数変更手段は、指示入力受付手段を通じて指示入力が受け付けられた場合に、ドライブパルスの周波数を変更するようにするための処理を行う。
【0066】
指示入力受付手段を通じてユーザからの指示入力が受け付けられた場合に、所定の時点からの所定時間長の消音期間において、消音制御手段により消音手段が制御され、音声がスピーカから放音しないようにされる。このとき、信号遅延手段により、入力音声信号は、消音期間の経過後から処理が開始されるように遅延される。
【0067】
これにより、ユーザからの指示入力を受け付けた時点を、当該パワーアンプ装置における処理が変化する時点として捉え、処理の変化の影響を受けて入力音声信号を処理する回路部分において発生する可能性のある異音をユーザに聴取されないようにすることができる。また、入力音声信号は遅延回路により遅延するようにされているので、再生音声の頭切れなどの不都合を生じさせることもない。
【0068】
【発明の実施の形態】
以下、図を参照しながら、この発明によるパワーアンプ装置の一実施の形態について説明する。以下に説明する実施の形態においては、AVアンプ装置にこの発明によるパワーアンプ装置を適用した場合を例にして説明する。
【0069】
以下の実施の形態において説明するAVアンプ装置には、CDプレーヤ、MDプレーヤ、DATレコーダ、半導体メモリプレーヤ、ハードディスク装置、DVDプレーヤ、BSデジタルチューナー、デジタルビデオテープレコーダなどのデジタルオーディオ機器(以下、単にオーディオ機器という。)やデジタルAV機器(以下、単にAV機器という。)など複数の機器が接続可能なものであり、そのいずれからの信号を処理するかは、ユーザからの指示に応じて切り換えることができるものである。
【0070】
[第1の実施の形態]
[パワーアンプ部分がフルブリッジ構成の場合の例]
図1は、この発明によるパワーアンプ装置が適用されたAVアンプ装置の第1の実施の形態を説明するための図である。図1において、端子Ti1、Ti2、…、TiNは、デジタルオーディオ信号(以下、単にオーディオ信号という。)の入力端子を示しており、上述もしたように、種々のオーディオ機器やAV機器が接続ケーブルを介して接続することができるようにされている。
【0071】
入力端子Ti1、Ti2、…、TiNのそれぞれは、セレクタ21に接続されている。このセレクタ21は、入力検出部としての機能を有するマイクロコンピュータ(以下、マイコンと略称する。)20から供給される、ユーザの指示入力に応じた選択制御信号に応じて切り換えられ、後段の同期式ディレイ回路(同期式遅延回路)22にユーザによって選択された入力機器からのオーディオ信号Pinを供給するようにする。
【0072】
なお、図1には図示しないが、この実施の形態のAVアンプ装置には、複数のデジタルビデオ信号(以下、単にビデオ信号という。)の入力端子と、これらが接続されるビデオ信号セレクタ、および、制御信号、コマンド信号、状態通知信号などの種々の信号(オーディオ信号、ビデオ信号以外の信号。以下、他信号という。)の供給を受け付ける複数の他信号の入力端子と、これらが接続される他信号のセレクタを備えている。
【0073】
そして、ビデオ信号のセレクタ、他信号のセレクタは、オーディオ信号のセレクタ21と同様に、マイコン20からの選択制御信号に応じて切り換えられ、後段の同期式ディレイ回路(同期式遅延回路)22にユーザによって選択された入力機器からのビデオ信号Vin、他信号Cinを後段の同期式ディレイ回路(同期式遅延回路)22に供給することができるようにされている。
【0074】
なお、マイコン20は、図示しないが、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備えたものであり、後述もするように、入力信号の有無を検出する入力検出部としての機能を有するとともに、この実施の形態のAVアンプ装置の各部を制御するシステムコントローラとしての機能をも有するものである。
【0075】
同期式ディレイ回路22には、上述したように、オーディオ信号Pinと他信号Cin、あるいは、オーディオ信号Pinとビデオ信号Vinと他信号Cinとが同時に供給するようにされる。これら同時に供給するようにされる複数の信号のそれぞれは、相互に関連付けられたものであり、それらの信号間にある所定の関係を維持しながら処理しなければならないものである。
【0076】
つまり、同時に供給するようにされるオーディオ信号Pin、ビデオ信号Vin、他信号Cinのそれぞれは、相互に所定の関係を維持して(相互に同期を維持して)処理しなければならない信号である。なお、この明細書において、オーディオ信号Pinと同時に供給されるビデオ信号Vinと他信号Cinとをオーディオ信号に対する関連信号と呼ぶこととする。
【0077】
そして、オーディオ信号については、以下に詳述するように、パワーアンプ部分の貫通電流の低減などのために、クロック信号の周波数を変化させる場合があり、このクロック信号の周波数変化時に、この周波数の変化の影響を受けてオーディオ信号を処理する回路部分において発生する可能性のある異音を放音しないようにする処理のために、所定時間分遅延させる必要が生じる。
【0078】
そこで、同期式ディレイ回路22は、オーディオ信号Pinを所定時間分遅延させて、遅延させたオーディオ信号Pin(d)として出力するとともに、オーディオ信号Pinの遅延分に対応させて、オーディオ信号Pinと同時に供給されるビデオ信号Vinや他信号Cinを遅延させ、遅延させたビデオ信号Vin(d)、遅延させたCin(d)として出力することができるものである。
【0079】
そして、図1において、10番台の参照符号(参照符号11〜19まで)が付された部分がオーディオ信号を増幅するパワーアンプ部分であり、クロック生成部12を除く各部分は、図15を用いて前述したいわゆるD級アンプと同様に構成したものである。
【0080】
クロック生成部12は、いわゆるPLL(Phase Locked Loop)回路の構成とされたものであり、分周比を変更することにより、種々の周波数のクロック信号CLKの生成が可能なものである。
【0081】
図2は、クロック生成部12の構成例を説明するためのブロック図である。図2に示すように、この実施の形態において、クロック生成部12は、水晶発振子121、位相比較回路122、ループフィルタ123、VCO(Voltage Controlled Oscillator)124、分周器125を備えたものである。
【0082】
水晶発振子121は、所定の周波数の基準クロック信号Refを生成して、これを位相比較回路122に供給する。位相比較回路122には、図2に示すように、VCO124からの出力信号も供給される。
【0083】
位相比較回路122は、これに供給された2つの信号の位相を比較し、その差分に応じて、VCO124からの発振信号の位相が、基準クロック信号Refと一致するように制御するための信号(制御電圧)を形成する。位相比較回路122からの出力信号は、ループフィルタ123を通じてVCO124に供給される。
【0084】
VCO124は、ループフィルタ123を通じて供給される制御電圧に応じて、周波数が調整するようにされた信号を発振する。VCO124において発振された信号は、上述したように、位相比較回路122に供給されるとともに、分周器125にも供給される。
【0085】
分周器125は、入力検出部としての機能を有するマイコン20からの周波数制御信号CCTである分周比データの供給を受け、VCO223からの信号を分周して、マイコン20から指示するようにされた周波数のクロック信号CLKを形成し、これをPWM変調回路11に供給する。PWM変調回路11では、クロック生成部12からのクロック信号CLKに応じて、オーディオ信号Pin(d)をPWM変調する。
【0086】
そして、この第1の実施の形態において、マイコン20は、セレクタ21から出力され、同期式ディレイ回路22に供給されるオーディオ信号Pinを監視し、オーディオ信号Pinが有る期間である有信号期間と、オーディオ信号Pinが無い、あるいは、ヌルストリームである期間である無信号期間とを検出する。
【0087】
具体的には、同期式ディレイ回路22に供給されるオーディオ信号Pinのレベルが、予め決められる閾値以下となる期間が、連続して所定時間(例えば、数十秒から数分程度の時間)経過した場合に、処理すべきオーディオ信号が無い無信号期間であることを検出する。逆に、同期式ディレイ回路22に供給されるオーディオ信号Pinのレベルが、予め決められる閾値より大きい場合には、処理すべきオーディオ信号が有る有信号期間であることを検出する。
【0088】
そして、マイコン20は、オーディオ信号Pinが有ることを検出した場合には、PWM変調部11においてオーディオ信号Pin(d)をPWM変調する際に用いられる予め決められた周波数のクロック信号CLKを形成するための分周比データを形成し、これを周波数制御信号CCTとして、上述したようにクロック生成部12の分周器125に供給する。
【0089】
この第1の実施の形態においては、PWM変調部11においてオーディオ信号Pin(d)をPWM変調する際に用いるクロック信号CLKの通常の周波数は、オーディオ信号Pinのサンプリング周波数fsの例えば16倍のキャリア周波数とするようにしている。
【0090】
したがって、所定レベル以上のオーディオ信号Pinが供給されており、通常通りオーディオ信号Pin(d)をPWM変調する場合には、供給されているオーディオ信号Pinのサンプリング周波数fsを例えば48kHzとすると、キャリア周波数fc=16×48kHz=768kHzとなり、この768kHzの周波数のクロック信号CLKを生成するようにするための分周比データが、クロック生成部12の分周器125に供給されることになる。
【0091】
これにより、クロック生成部12からPWM変調回路11にキャリア周波数fcのクロック信号CLKが供給され、このクロック信号CLKに応じてオーディオ信号Pin(d)のPWM変調処理が行われ、オーディオ信号Pin(d)に応じた電流をスピーカ19に流して、音声をスピーカ19から放音することができるようにされる。
【0092】
また、マイコン20は、オーディオ信号Pinが無い無信号期間を検出した場合には、上述のように予め決められる通常のキャリア周波数fcよりも周波数の低いクロック信号CLKを形成するための分周比データを形成し、これを周波数制御信号CCTとして、上述したようにクロック生成部12の分周器125に供給する。
【0093】
この第1の実施の形態において、オーディオ信号Pinが無い無信号期間を検出した場合にクロック生成部12の分周器125に供給するクロック信号CLKの周波数は、例えば、通常のキャリア周波数fcと同じ、あるいは、キャリア周波数fcの数分の1から数十分の1程度、あるいは、それより低くなるようにされる。例えば、通常のキャリア周波数fcが768kHzである場合、クロック信号CLKの周波数としては、768kHz、384kHz、192kHz、96kHz、…などの周波数が用いられるようにされる。
【0094】
これにより、処理すべきオーディオ信号の供給が無い無信号期間においては、キャリア周波数fcよりも低い周波数のクロック信号CLKがPWM変調回路11に供給されて、通常よりも長い間隔を空けたタイミングで、信号レベルがゼロに対応したパルス幅のPWM信号(デューティ比50%のパルス幅のPWM信号)が形成されることになる。
【0095】
この通常よりも長い間隔を空けたタイミングで形成される信号レベルがゼロに対応したパルス幅のPWM信号に応じたドライブパルスがドライブ回路13、14において形成され、これがプッシュプル回路15の1対のFET(Q11、Q12)、プッシュプル回路16の1対のFET(Q13、Q14)に供給される。
【0096】
この場合、ドライブ回路13、14から出力されるドライブパルスは、その周期が通常よりも長くなるようにされているので、FET(Q11、Q12)、FET(Q13、Q14)のスイッチング回数を減少させ、単位時間あたりの貫通電流の発生回数を大幅に削減することができるようにされる。
【0097】
そして、有信号期間から無信号期間に変化した場合、これとは逆に無信号期間から有信号期間に変化した場合には、上述もしたように、クロック生成部12からのクロック信号CLKの周波数が変更される。このように、クロック信号CLKの周波数が変更するようにされた場合には、オーディオ信号を処理する回路部分がその影響を受け、安定に動作するまでにある程度の時間がかかる場合がある。
【0098】
この安定に動作するまでの期間において、異音が発生するなどの不都合が生じる場合があると考えられる。そこで、この実施の形態のAVアンプ装置においては、マイコン20が、有信号期間から無信号期間への変化、あるいは、無信号期間から有信号期間への変化を検出した場合に、クロック生成部12に周波数制御信号CCTを供給してクロック信号CLKの周波数を変更するが、これに先立ち、ミュート(消音)を実行するようにするためのミュート制御信号MCTをミュート回路23に供給して、ミュート回路23によってミュート処理を実行し、スピーカ19に駆動電流が流れないようにする。
【0099】
この後、クロック信号CLKの周波数が安定し、オーディオ信号を処理する各回路部分が安定に動作するようになったところで、マイコン20は、ミュートを解除するためのミュート制御信号MCTをミュート回路23に供給し、ミュートを解除する。
【0100】
これによって、クロック信号CLKの周波数が変更され、オーディオ信号を処理する各回路部分の動作が不安定な期間においては、オーディオ信号がミュートされ、スピーカ19からは音声が放音されないので、例え異音が発生しても、これをユーザが聴取してしまうことがないようにすることが可能になる。
【0101】
[第1の実施の形態のパワーアンプ装置の動作について]
上述のように、PWM変調部11に供給するクロック信号CLKの周波数を可変に制御することが可能な、この第1の実施の形態のパワーアンプ装置の動作について詳細に説明する。なお、ここでは、オーディオ信号である入力信号Pinと、その遅延信号Pin(d)と、クロック信号CLKと、ミュート期間との関係を示す図(タイミングチャート)である図3、図4をも参照しながら説明する。
【0102】
この第1の実施の形態のパワーアンプ装置に電源が投入されると、各部に電源が供給され動作を開始する。まず、マイコン20は、クロック生成部12の分周器125に予め決められた分周比データを周波数制御信号CCTとして供給するとともに、セレクタ21から出力されるオーディオ信号Pinを監視し、入力信号、すなわち、オーディオ信号Pinの有無の検出を開始する。
【0103】
ここで、マイコン20からクロック生成部12の分周器125に供給される分周比データは、ユーザによって選択された入力機器から供給されるオーディオ信号Pinのサンプリング周波数の例えば16倍(16fs)のキャリア周波数fcとなる通常の周波数のクロック信号CLKを形成するためのものである。
【0104】
クロック生成部12は、マイコン20からの周波数制御信号CCTに基づいて、ユーザにより選択された入力機器に応じたキャリア周波数fcのクロック信号CLKを形成し、これをPWM変調部11に供給し、ユーザによって選択された入力機器からのオーディオ信号のPWM変調が行われる。
【0105】
しかし、入力機器において例えば再生動作が行われなかったり、再生一時停止がされたりするなどして、所定時間以上、オーディオ信号が供給されなかった場合には、マイコン20は、オーディオ信号は供給されておらず、無信号期間に入ったことを検出する。
【0106】
例えば、図3に示した時点t1において、マイコン20が、無信号期間に入ったことを検出したとする。この場合、マイコン20は、図3(A)に示すように、所定時間(例えば、数十秒から数分程度の時間)だけ経過した時点t2においてミュート回路23を機能させるようにする制御信号MCTを形成してこれをミュート回路23に供給し、ミュート回路23によりミュートを行うようにする。
【0107】
この後、マイコン20は、クロック信号CLKの周波数を通常の周波数よりも低くするための周波数制御信号CCTをクロック生成回路12の分周器125に供給し、クロック信号CLKの周波数を変更するようにする。つまり、図3(B)に示すように、まず、ミュート回路23を機能させて、音声をスピーカから放音しないようにした後に、周波数制御信号CCTをクロック生成部12に供給することにより、音声ミュート開始後の時点t3からクロック信号CLKの周波数の変更を開始するようにする。
【0108】
なお、図3および後述する説明図において、クロック信号CLKの周波数の変更をなめらかな変化として表したが、これ以外に段階的に、あるいは一気に変更させてもよいものとする。
【0109】
この後、所定時間経過後の時点t4において周波数の変更が終了して、オーディオデータを処理する各回路部分が安定に動作するようになる。そして、マイコン20は、周波数の変更終了後の時点t5において、ミュート回路23の機能を停止させるようにする制御信号MCTをミュート回路23に供給し、ミュート回路23の機能を停止させる。
【0110】
これにより、周波数の変更は、図3においてミュート期間MTが示すように、ミュートがされてスピーカ19から音声が放音されない間に行われ、クロック信号CLKの周波数が変化することによって、オーディオ信号を処理する回路部分において発生する可能性のある異音をスピーカ19から放音しないようにすることができる。
【0111】
そして、ユーザにより選択された入力装置において、再生処理が行われるようにされて、処理すべきデジタルオーディオデータがこの実施の形態のAVアンプに供給されると、マイコン20は処理すべきオーディオ信号が供給されたことを検出する。
【0112】
図4に示すように、マイコン20が、時点t11において、処理すべきオーディオ信号が有ることを検出すると、すなわち、有信号期間に入ったことを検出すると、マイコン20は、図4(A)に示すように、まず、時点t12においてミュート回路23を機能させるようにする制御信号MCTを供給し、ミュート回路23を機能させる。
【0113】
この後、マイコン20は、通常よりも低くなるようにされているクロック信号CLKの周波数を通常の周波数に戻すようにするための周波数制御信号CCTをクロック生成回路12の分周器125に供給し、クロック信号CLKの周波数を変更するようにする。
【0114】
つまり、ミュート回路23を機能させた後に、クロック信号CLKの周波数を通常の周波数に戻すようにするための周波数制御信号CCTをクロック生成部12に供給する。これにより、図4(B)に示すように、ミュートされて音声が放音されないようにされた後の時点t13からクロック信号CLKの周波数の変更が開始するようにされる。
【0115】
この後、所定時間経過後の時点t14において周波数の変更が終了して、通常の周波数のクロック信号CLKによりオーディオ信号を処理する各回路部分が安定に動作するようになる。そして、マイコン20は、周波数の変更終了後の時点t15において、ミュート回路23の機能を停止させるための制御信号MCTをミュート回路23に供給して、ミュート回路23の機能を停止させる。
【0116】
この場合、図4(C)、(D)に示すように、この実施の形態のAVアンプ装置のパワーアンプ部分に供給されるオーディオ信号Pin(図4(C))は、同期式ディレイ回路22により、所定時間分遅延されオーディオ信号Pin(d)(図4(D))となるようにされているので、図4に示すように、ミュート区間MT終了後の各回路部分が安定に動作するようになった後からオーディオ信号Pinの処理が開始されることになる。
【0117】
このように、周波数の変更は、図4においてミュート期間MTが示すように、ミュートがされてスピーカ19から音声が放音されない間に行われ、クロック信号CLKの周波数が変化することによって、オーディオ信号を処理する回路部分において発生する可能性のある異音が発生しても、これをスピーカ19から放音しないようにすることができる。
【0118】
そして、PWM変調部11は、同期式ディレイ回路22からのオーディオ信号Pin(d)と、クロック生成部12からのクロック信号CLKとの供給を受け、オーディオ信号Pin(d)を1対のPWM信号PA、PBに変換する。
【0119】
オーディオ信号である入力信号Pinが供給されている期間においては、PWM信号PA、PBのパルス幅は、オーディオ信号Pinの示すレベルに対応して変化するものであるが、一方のPWM信号のPAのパルス幅は、オーディオ信号Pinの示すレベルの大きさとされ、他方のPWM信号PBのパルス幅は、オーディオ信号Pinの示すレベルの2の補数の大きさとされる。
【0120】
そして、このPWM変調回路11からの一方のPWM信号PAがドライブ回路13に供給されて、図16Aを用いて説明したように、信号PAと同レベルおよびレベル反転した1対のドライブ用のパルス電圧(ドライブパルス)+PA、−PAが形成され、これらパルス電圧+PA、−PAが、プッシュプル回路を構成する1対のnチャンネルのMOS−FET(Q11、Q12)のゲートにそれぞれ供給される。
【0121】
そして、図1に示したように、FET(Q11)のドレインが電源端子TPWRに接続され、そのソースがFET(Q12)のドレインに接続され、このFET(Q12)のソースが接地に接続されている。そして、FET(Q11)のソースおよびFET(Q12)のドレインが、コイルおよびコンデンサを有するローパスフィルタ17を通じてスピーカ19の一端に接続されている。
【0122】
また、PWM変調回路11から他方のPWM信号PBに対しても、PWM信号PAに対してと同様に構成される。すなわち、PWM信号PBがドライブ回路14に供給されて、図16Bを用いて説明したように、信号PBと同レベルおよびレベル反転した1対のドライブ用のパルス電圧(ドライブパルス)+PB、−PBが形成され、これらパルス電圧+PB、−PBが、プッシュプル回路16を構成する1対のnチャンネルのMOS−FET(Q13、Q14)のゲートにそれぞれ供給される。
【0123】
そして、図1に示したように、FET(Q13)のドレインが電源端子TPWRに接続され、そのソースがFET(Q14)のドレインに接続され、このFET(Q14)のソースが接地に接続されている。そして、FET(Q13)のソースおよびFET(Q14)のドレインが、コイルおよびコンデンサを有するローパスフィルタ18を通じてスピーカ19の他端に接続されている。
【0124】
図1に示したように、プッシュプル回路15、16の電源端子TPWRには、安定した直流電圧+VDDが電源電圧として供給される。直流電圧+VDDは、例えば20V〜50Vである。
【0125】
したがって、+PA=“H”のときには、−PA=“L”であり、FET(Q11)がオンになるとともに、FET(Q12)がオフになるので、FET(Q11、Q12)の接続点の電圧VAは、電圧+VDDとなる。また、逆に、+PA=“L”のときには、−PA=“H”であり、FET(Q11)がオフになると共に、FET(Q12)がオンになるので、VA=0となる。
【0126】
同様に、+PB=“H”のときには、−PB=“L”であり、FET(Q13)がオンになるとともに、FET(Q14)がオフになるので、FET(Q13、Q14)の接続点の電圧VBは、電圧+VDDとなる。また、逆に、+PB=“L”のときには、−PB=“H”であり、FET(Q13)がオフになるとともに、FET(Q14)がオンになるので、VB=0となる。
【0127】
そして、VA=+VDD、かつ、VB=0の期間には、FET(Q11、Q12)の接続点から、ローパスフィルタ17→スピーカ19→ローパスフィルタ18のラインを通じて、FET(Q13、Q14)の接続点へと、電流iが流れる。
【0128】
また、VA=0、かつ、VB=+VDDの期間には、FET(Q13、Q14)の接続点から、ローパスフィルタ18→スピーカ19→ローパスフィルタ17のラインを通じて、FET(Q11、Q12)の接続点へと、逆向きに電流iが流れる。さらに、VA=VB=+VDDの期間、およびVA=VB=0の期間には、電流iは流れない。つまり、プッシュプル回路15、16がBTL回路を構成している。
【0129】
そして、図16Eに示したように、電流iの流れる期間は、もとのPWM信号PA、PBが立ち上がっている期間に対応して変化するとともに、電流iがスピーカ19を流れるとき、電流iはローパスフィルタ17、18により積分されるので、結果として、スピーカ19を流れる電流iは、オーディオ信号Pinの示すレベルに対応したアナログ電流であって、電力増幅された電流となる。つまり、電力増幅された出力がスピーカ19に供給されることになる。
【0130】
このようにして、処理すべきオーディオ信号Pinが、入力端子Ti1、Ti2、…、TiNのいずれかを通じて供給されているときには、入力されたオーディオ信号Pinに応じた音声をスピーカ19から放音することができるようにされる。
【0131】
また、処理すべきオーディオ信号Pinが供給されていないときには、PWM変調に用いられるクロック信号CLKの周波数は、例えば、通常動作時のキャリア周波数fcと同じか、キャリア周波数fcの数分の1から数十分の1程度というように、通常の周波数よりも低くなるように制御される。
【0132】
これにより、処理すべきオーディオ信号Pinが供給されていないときには、クロック信号CLKの周波数が低くなるように制御され、信号レベルがゼロである場合のパルス幅を持つPWM信号PA、PBの発生が抑えられ、プッシュプル回路15のFET(Q11、Q12)、プッシュプル回路16のFET(Q13、Q14)のスイッチング回数が減少し、単位時間あたりの貫通電流の発生回数が抑制されて、消費電力の低減が実現できる。
【0133】
そして、上述もしたように、PWM変調に用いるクロック信号CLKの周波数を変更する場合には、変更直前からオーディオ信号を処理する回路部分が安定に動作するまでの間、スピーカ19から音声を放音しないようにミュート処理を行うので、クロック信号CLKの周波数の変更に伴い、異音が発生するような状態になっても、異音をスピーカから放音しないようにすることができる。
【0134】
また、オーディオ信号Pinとともに供給され、オーディオ信号Pinと所定の関係を維持して処理されるビデオ信号Vinや制御信号やコマンド信号などの種々の他信号Cinについても、同期式ディレイ回路22により、オーディオ信号に対応して遅延処理されるので、オーディオ信号との関係がずれたりするなどの不都合を生じさせることもない。
【0135】
[クロック信号の周波数を変更する場合の他の例]
[他信号に基づく場合]
上述した例においては、入力信号であるオーディオ信号の有無に応じてクロック信号CLKの周波数を変更するようにした。しかし、これに限るものではない。オーディオ信号とともに、入力機器から供給される他信号Cinに基づくタイミングで、クロック信号CLKの周波数を変更するように制御することも可能である。
【0136】
入力機器から送信されてくる他信号Cinとして、例えば、コマンド信号を用いる場合について説明する。ここで、コマンド信号は、入力機器が受け付けた、再生キー押下、再生一時停止キー押下、停止キー押下などのユーザからの指示に応じて、入力機器からこの実施の形態のAVアンプ装置に送信されてくる信号であり、当該入力機器の動作の変化を通知することができるものである。
【0137】
ここでは、この実施の形態のAVアンプ装置に電源が投入されたものの、処理すべきオーディオ信号が入力機器から所定時間以上供給されないために、図3を用いて説明したように、無信号期間に入ったことが検出され、クロック信号CLKの周波数が通常よりも低くするようにされた場合を考える。
【0138】
この場合、マイコン20は、同期式ディレイ回路22に供給される入力機器からの他信号Cinを監視し、入力機器から再生キーが押下されたことを示す他信号Cinとしてのコマンド信号が供給されたか否かを検出するようにする。
【0139】
入力機器から再生キーが押下されたことを示すコマンド信号が供給された場合には、入力機器は再生状態となり、オーディオ信号を出力してくるので、上述のように通常よりも低くなるようにされているクロック信号の周波数を元の通常の周波数に戻さなければならない。そこで、この実施の形態のAVアンプ装置においては、マイコン20を中心として以下のように動作する。
【0140】
図5は、入力機器からの他信号の1つであるコマンド信号を監視し、再生キーが押下されたことを示すコマンド信号が供給されたことを検出した場合のこの実施の形態のAVアンプ装置の動作を説明するための図(タイミングチャート)である。
【0141】
図5において、時点t21に示すように、この実施の形態のAVアンプ装置のマイコン20が、入力機器から再生キーが押下されたことを示すコマンド信号を検出すると、マイコン20は、図5(A)に示すように、まず、時点t22においてミュート回路23を機能させるようにする制御信号MCTを形成してこれをミュート回路23に供給し、ミュート回路23によりミュートを行うようにする。
【0142】
この後、マイコン20は、通常よりも低くされているクロック信号CLKの周波数を通常の周波数に戻すための周波数制御信号CCTをクロック生成回路12の分周器125に供給し、クロック信号CLKの周波数を変更するようにする。つまり、図5(B)に示すように、まず、ミュート回路23を機能させて、音声をスピーカから放音しないようにした後に、周波数制御信号CCTをクロック生成部12に供給する。これにより、例えば、音声ミュート開始後の時点t23からクロック信号CLKの周波数の変更が開始される。
【0143】
この後、所定時間経過後の時点t24において周波数の変更が終了して、オーディオデータを処理する各回路部分が安定に動作するようになる。そして、マイコン20は、周波数の変更終了後の時点t25において、ミュート回路23の機能を停止させるようにする制御信号MCTをミュート回路23に供給し、ミュート回路23の機能を停止させる。
【0144】
これにより、周波数の変更は、図5においてミュート期間MTが示すように、ミュートがされてスピーカ19から音声が放音されない間に行われ、クロック信号CLKの周波数が変化することによって、オーディオ信号を処理する回路部分において発生する可能性のある異音をスピーカ19から放音しないようにすることができる。
【0145】
この場合、図5(D)、(E)に示すように、入力機器からのオーディオ信号Pinは、同期式ディレイ回路22によって、ミュート期間MTが終了後の所定の時点までの間、遅延される。したがって、クロック信号の周波数の変更に伴い、不安定となった各回路部分の動作が安定した後に、オーディオ信号についての処理を行うようにされるので、再生音声の頭切れなどを生じさせることもない。
【0146】
なお、図5に示した場合と同様に、入力機器から停止キーが押下されたことを示すコマンド信号を検出したときに、クロック信号CLKの周波数を通常よりも低くするようにすることも可能である。
【0147】
しかし、停止キー押下後、比較的にすぐに再生キーが押下されることも考えられるので、停止キーが押下されたことを示すコマンド信号検出後、所定時間以上再生キーが押下されたことを示すコマンド信号を検出しなかった場合に、図3に示した場合と同様にして、クロック信号CLKの周波数を低くするように制御することによって、停止直後の再生指示にも迅速に対応することができる。
【0148】
なお、ここでは、入力機器からの他信号Cinとしてコマンド信号を用いる場合を例にして説明したが、これに限るものではない。例えば、オーディオ信号のレベル表示を行う表示データが他信号Cinとして供給されるような場合には、この表示用データの有無に応じて、クロック信号の周波数の変更を行うようにすることもできる。
【0149】
つまり、オーディオ信号のレベル表示を行う表示データがある場合には、クロック信号CLKの周波数はオーディオ信号を処理する通常の周波数とし、オーディオ信号のレベル表示を行う表示データがない場合には、クロック信号CLKの周波数を低くするというように制御することもできる。
【0150】
また、ビデオ信号の有無に応じて、クロック信号の周波数の変更を行うようにすることもできる。つまり、通常は、DVDプレーヤやBSデジタルチューナーなどのAV機器からは、オーディオ信号とビデオ信号とは対になって供給されるので、ビデオ信号の無い期間においては、オーディオ信号も供給されていないとみなして、クロック信号CLKの周波数の制御を行うようにすることもできる。
【0151】
このように、特定の関連信号を検出した場合、あるいは、関連信号の有無に応じて、この実施の形態のAVアンプ装置の動作の変化点を捉え、クロック信号CLKの周波数を制御することができる。
【0152】
なお、ここでは、クロック信号の周波数を変化させる場合を例にして説明したが、例えば、クロック信号の周波数の変化を伴わない場合であっても、関連信号の有無や関連信号の示す情報の内容に応じてAVアンプ装置の動作の変化点を捉え、動作の変化に伴って生じる可能性のある異音を放音しないように、音声のミュート処理を行うようにすることもできる。
【0153】
[ユーザからの指示入力に基づく場合]
オーディオ信号のサンプリング周波数が異なる複数のオーディオ機器やAV機器が接続されている場合に、入力機器として選択された電子機器からのオーディオ信号のサンプリング周波数に応じて、クロック信号CLKの周波数を変更できるようにしておけば、サンプリングレートコンバータが必要なくなる。
【0154】
この実施の形態のAVアンプ装置は、ユーザからの選択入力に応じて選択される入力機器からのオーディオ信号のサンプリング周波数に応じて、PWM変調部11に供給するクロック信号CLKの周波数を変更できるようにすることによって、サンプリングレートコンバータを用いないようにしている。
【0155】
この実施の形態のAVアンプ装置の場合、当該AVアンプ装置のフロントパネル面に設けられた入力機器を選択するためのキー操作部やリモートコマンダ(以下リモコンという。)と呼ばれる遠隔操作装置の操作部を通じて、ユーザからの入力機器の選択入力を受け付けることができるようにしている。
【0156】
これら入力部を通じて入力されるユーザからの選択入力に応じた選択信号SCTは、マイコン20に供給される。セレクタは、選択信号SCTに応じて、セレクタ21などを切り換えることになる。そして、マイコン20は、選択信号SCTにより指示された入力機器から出力されるオーディオ信号のサンプリング周波数に応じて、PWM変調部11に供給するクロック信号CLKの周波数を変更するが、この変更の場合にも、ミュート処理を行うようにしている。
【0157】
図6は、入力機器切り換え時のこの実施の形態のAVアンプの動作を説明するための図(タイミングチャート)である。図6において、時点t31において、マイコン20が、入力部からのユーザの選択入力に応じた選択信号SCTの供給を受け、入力機器が切り換えられたことを検知すると、まず、制御部20は、時点t32において、ミュート回路23を機能させるためのミュート制御信号MCTをミュート回路23に供給してミュートを行うようにする。
【0158】
この後、マイコン20は、選択された入力機器から出力されるオーディオ信号のサンプリング周波数に応じた周波数のクロック信号CLKを生成するための分周比データを周波数制御信号CCTとして、クロック生成部12の分周器125に供給し、クロック信号CLKの周波数を変更するようにする。図6においては、時点t33からクロック信号CLKの周波数の変更が開始されている。
【0159】
なお、この実施の形態のAVアンプ装置の場合、どの入力端子にどのような入力機器が接続されているかを予め把握しておくことにより、その入力機器からのオーディオ信号のサンプリング周波数を特定することができるようにされる。
【0160】
この場合、例えば、CDプレーヤ用入力端子、MDプレーヤ用入力端子というように、各入力端子毎に接続する入力機器を予め特定しておくようにしてもよいし、また、入力端子Ti1にはCDプレーヤを接続し、入力端子Ti2にはMDプレーヤを接続した、というように、入力端子毎に接続した入力機器を設定することができるようにしておけばよい。
【0161】
なお、各入力機器毎のサンプリング周波数を示す情報は、AV機器に搭載したメモリに記憶させておけばよい。この場合、メモリに記憶させた入力機器毎のサンプリング周波数を示す情報を必要に応じて変更できるようにしておくことにより、サンプリング周波数が異なる入力機器が提供されるようになった場合にも対応することが可能となる。
【0162】
そして、図6に示す例の場合には、時点t34において、クロック生成部12からのクロック信号CLKの周波数が目的とする周波数に合わせ込まれ、この後の時点t35において、ミュート回路23の機能を停止させるためのミュート制御信号MCTをミュート回路23に供給してミュートを停止する。
【0163】
このミュート開始時点t32からミュート終了時点t34までのミュート期間終了後において、同期式ディレイ回路22において所定の遅延期間DL分遅延するようにされたオーディオ信号Pin(d)が、PWM変調部11に供給されて、処理するようにされる。
【0164】
この場合においても、周波数の変更開始から変更終了までのクロック信号の周波数が不安定となり、オーディオ信号の各回路部分の動作が不安定となる期間においては、ミュートが行われ、音声はスピーカ19から放音されないので、異音が発生しても、これをユーザが聴取することがないようにすることができる。
【0165】
なお、ここでは、クロック信号の周波数を変化させる場合を例にして説明したが、例えば、クロック信号の周波数の変化を伴わない場合であっても、ユーザからの選択入力を受け付けた場合に、これをAVアンプ装置の動作の変化点として捉え、動作の変化に伴って生じる可能性のある異音を放音しないように、音声のミュート処理を行うようにすることもできる。
【0166】
[パワーアンプ部分がハーフブリッジ構成の場合の例]
図1に示したパワーアンプ装置において、パワーアンプ部分は、プッシュプル回路15、16によりBTL回路を構成し、いわゆるフルブリッジの構成となるように形成した。しかし、パワーアンプ部分は、フルブリッジの構成に限るものではなく、その出力段をいわゆるハーフブリッジの構成とすることもできる。
【0167】
図7は、パワーアンプ部分の出力段をいわゆるハーフブリッジの構成としたAVアンプ装置を説明するための図である。なお、図7において、図1に示したAVアンプ装置と同様、あるいは、ほぼ同様に構成される部分には、同じ参照符号を付している。
【0168】
図7に示すように、この例のパワーアンプ装置は、1つのプッシュプル回路15が用いられて形成されたものであり、パルス幅がオーディオ信号Pinの示すレベルの2の補数の大きさとされるPWM信号PBの処理系を有さないものである。
【0169】
この図7に示したAVアンプ装置において、PWM変調部11は、セレクタ21、同期式ディレイ回路22から供給されたオーディオ信号Pin(d)と、クロック生成部12からのクロック信号CLKの供給を受けて、オーディオ信号Pin(d)をPWM信号PAに変換する。
【0170】
PWM変調部11において形成されたPWM信号PAは、ドライブ回路13に供給され、ここで1対のドライブパルス+PA、−PAが形成され、これらドライブパルス+PA、−PAがプッシュプル回路15に供給される。
【0171】
このプッシュプル回路15の出力端が、コンデンサ31を通じ、さらにローパスフィルタ17を通じてスピーカ19の一端に接続されるとともに、その他端は設置される。したがって、この図7に示すパワーアンプ装置においても、スピーカ19にはオーディオ信号Pin(d)に対応した極性および大きさの電流iが流れ、電力増幅が行われる。
【0172】
また、図1に示したAVアンプ装置の場合と同様に、オーディオ信号Pinと関連付けられるビデオ信号Vin、他信号Cinの供給を受けることもできるようにされている。これらの信号は、オーディオ信号Pinとの関連性を維持するように、オーディオ信号Pinに対応して、同期式ディレイ回路22により遅延するようにされている。
【0173】
そして、この図7に示したいわゆるハーフブリッジの構成としたパワーアンプ部を有するAVアンプ装置の場合にも、処理すべきオーディオ信号Pinが無い場合には、PWM変調部11に供給するクロック信号CLKの周波数を通常よりも低くすることによって、プッシュプル回路15に流れる貫通電流の発生回数を少なくし、消費電力の低減を図ることができるものである。
【0174】
また、この実施の形態のAVアンプ装置に接続された入力機器からの他信号Cinやビデオ信号Vinなどの関連情報の内の特定の他信号や、関連情報の有無に応じてPWM変調部11に供給するクロック信号CLKの周波数を制御することもできるようにされたものである。
【0175】
また、複数のオーディオ機器やAV機器が接続された場合に、ユーザからの選択入力に応じた入力機器からのオーディオ信号のサンプリング周波数に応じて、PWM変調部11に供給するクロック信号CLKの周波数を制御することもできるようにされたものである。
【0176】
そして、上述のように、PWM変調部11に供給するクロック信号の周波数を変更する場合に、周波数の変更によってオーディオ信号を処理する各回路部分が影響を受けて発生させる可能性のある異音を放音しないようにするために、図1に示したAVアンプ装置の場合と同様に、周波数を変更する前の所定の時点から、周波数の変更が終了し、各回路部分が安定に動作するようになる所定時間長の消音期間において、ミュート回路23によってミュートを行うことによって、異音を放音しないようにしている。
【0177】
つまり、図3、図4を用いて説明したように、マイコン20の制御により、オーディオ信号の有無に基づいて、クロック信号CLKの周波数の変化タイミングを捉え、これに応じてミュート期間MTを設定して、周波数の変更に伴う異音を放音しないようにすることができる。
【0178】
また、図5を用いて説明したように、マイコン20の制御により、他信号の内の特定の信号の検出に基づいて、クロック信号CLKの周波数の変化タイミングを捉え、これに応じてミュート期間MTを設定して、周波数の変更に伴う異音を放音しないようにすることもできる。
【0179】
また、図6を用いて説明したように、マイコン20の制御により、ユーザからの選択入力に基づいて、クロック信号CLKの周波数の変化タイミングを捉え、これに応じてミュート期間MTを設定して、周波数の変更に伴う異音を放音しないようにすることもできる。
【0180】
また、クロック信号の周波数の変化を伴わない場合であっても、他信号の有無や他信号の示す情報の内容に応じて、あるいは、ユーザからの選択入力を受け付けた場合に、AVアンプ装置の動作の変化点を捉え、当該動作の変化に伴って生じる可能性のある異音を放音しないように、音声のミュート処理を行うようにすることもできる。
【0181】
また、図7に示したハーフブリッジの構成とされたAVアンプ装置の場合にも、消音期間に対応して、オーディオ信号Pin、ビデオ信号Vin、他信号Cinのいずれもが、各信号間の関係を維持したまま遅延するようにされるので、再生音声の頭切れなどを発生させることがなく、また、各信号間の関係が損なわれることもないようにすることができる。
【0182】
なお、この第1の実施の形態において、クロック生成部12においては、水晶発振子を用いたものとして説明したが、これに限るものではない。例えば、LC発振回路、RC発振回路、セラミック発振回路など、各種の発振回路を用いることも可能である。
【0183】
また、クロック生成部12のクロック生成回路122は、PLL回路の構成を有するものとして説明したが、クロック生成回路122は、デジタル回路、アナログ回路のいずれのものであってもよいし、また、PLL回路の構成を有するものに限らず、単に分周器としての機能を有するものであってもよい。
【0184】
[ミュート回路を設ける位置の他の例]
図1に示したAVアンプ装置の場合には、ローパスフィルタ18とスピーカ19との間にミュート回路23を設けるようにしたが、ミュート回路23は、ローパスフィルタ17とスピーカ19との間に設けてももちろんよい。また、これ以外にも、以下にその一例を示すように、様々な位置にミュート回路を設けるようにすることができる。
【0185】
図8は、ミュート機能を設けたPWM変調部11Aを用いて構成したAVアンプ装置を説明するためのブロック図である。この場合、マイコン20Aは、ミュート機能を設けたPWM変調部11Aに対して、例えば、図3(A)、図4(A)、図5(B)、図6(A)に示したような、ミュート機能をオン/オフ制御するためのミュート制御信号MCTを供給することができるようにしたものである。
【0186】
このマイコン20Aからのミュート制御信号MCTに基づいて、PWM変調部11Aは、ミュート機能がオンにされている期間においては、PWM信号PA、PBを後段へは出力しないようにして、ミュート機能を実現する。
【0187】
なお、図8は、いわゆるフルブリッジの構成としたパワーアンプ部を用いて形成したAVアンプ装置である。しかし、図9に示すように、いわゆるハーフブリッジの構成としたパワーアンプ部を用いたAVアンプ装置もまた、パワーアンプ部分を除けば、フルブリッジ構成のパワーアンプ部を用いたAVアンプ装置と同様に構成することができる。
【0188】
図10は、ミュート機能を設けたドライブ回路13A、14Aを用いて構成したAVアンプ装置を説明するためのブロック図である。この場合、マイコン20Bは、ミュート機能を設けたドライブ回路13A、14Aのそれぞれに対して、例えば、図3(A)、図4(A)、図5(B)、図6(A)に示したような、ミュート機能をオン/オフ制御するためのミュート制御信号MCTを供給することができるようにしたものである。
【0189】
このマイコン20Bからのミュート制御信号MCTに基づいて、ドライブ回路13A、14Aのそれぞれは、ミュート機能がオンにされている期間においては、FET(Q11、Q12)、FET(Q13、Q14)のいずれをもオフにするドライブパルス+PA、−PA、ドライブパルス+PB、−PBを形成して出力する。
【0190】
この場合には、プッシュプル回路15、16のFET(Q11、Q12)、FET(Q13、Q14)のいずれもがオフにされることにより、FET(Q11、Q12)の接続点の電圧VA、FET(Q13、Q14)の接続点の電圧VBとも0になるので、音声をミュートすることができる。
【0191】
なお、ここでは、ミュート期間においては、FET(Q11、Q12)、FET(Q13、Q14)のいずれをもオフにするものとして説明した。しかし、これに限るものではなく、ミュート期間においては、少なくとも、FET(Q11)、FET(Q13)をオフにすることにより、電圧VA、VBを0にするようにしてもよい。
【0192】
また、図10は、いわゆるフルブリッジの構成としたパワーアンプ部を用いて形成したAVアンプ装置である。しかし、図11に示すように、いわゆるハーフブリッジの構成としたパワーアンプ部を用いたAVアンプ装置もまた、パワーアンプ部分を除けば、フルブリッジ構成のパワーアンプ部を用いたAVアンプ装置と同様に構成することができる。
【0193】
図8〜図11に示した例の他、例えば、PWM変調部11とドライブ13、14との間にミュート回路を設けたり、また、ドライブ回路13、14とプッシュプル回路15、16との間にミュート回路を設けたりするようにしてもよい。
【0194】
要は、目的とする期間において、スピーカ19から音声を放音しないようにミュートをかけることができるように、適宜の位置にミュート回路を設けるようにすればよい。
【0195】
[第2の実施の形態]
以下に説明するこの第2の実施の形態のAVアンプ装置は、上述した第1の実施の形態のAVアンプ装置と同様に、いわゆるD級アンプの構成を有するものである。しかし、無信号時におけるプッシュプル回路の貫通電流の発生回数を低減させるため、PWM変調部の後段においてプッシュプル回路に供給するドライブパルスの周波数を低くするようにするものである。
【0196】
なお、以下に説明するこの第2の実施の形態のAVアンプ装置の場合にも、サンプリング周波数の異なる種々のオーディオ信号にも対応することができるものであるが、この第2の実施の形態のAVアンプ装置は、いわゆるサンプリングレートコンバータを用いるようにしている。
【0197】
[パワーアンプ部分がフルブリッジ構成の場合の例]
図12は、この第2の実施の形態のAVアンプ装置を説明するための図である。図12に示すこの第2の実施の形態のAVアンプ装置において、図1に示した第1の実施の形態のAVアンプ装置と同様に構成される部分には同じ照符号を付し、それらの詳細な説明については省略する。
【0198】
図12に示すように、この第2の実施の形態のAVアンプ装置は、PWM変調部11とドライブ回路13との間に分周器31および信号切り換え回路33を設けるとともに、PWM変調部11とドライブ回路14との間に分周器32および信号切り換え回路34を設けるようにしたものである。
【0199】
クロック生成部12は、上述の第1の実施の形態のクロック生成部12と同様に構成されたものである。しかし、この第2の実施の形態において、AVアンプ装置に電源が供給され、動作するようにされているときには、PWM変調部11に供給されるクロック信号CLKは、常に一定の周波数となるようにしている。
【0200】
そして、PWM変調部11の後段に設けた分周器81、82において、有信号期間および無信号検出期間と、無信号検出期間を除く無信号期間とでドライブ回路13、14に供給するPWM信号PA、PBの周波数を変更するようにしている。
【0201】
この第2の実施の形態において、マイコン20Cは、上述した第1の実施の形態のマイコン20と同様の構成を有するものである。しかし、この第2の実施の形態のAVアンプ装置のマイコン20Cは、PWM変調部11に常に周波数が一定のクロック信号CLKを供給するようにクロック生成部12を制御するとともに、前述した第1の実施の形態のマイコン20の場合と同様にして有信号期間と無信号期間とを検出し、この検出結果に応じて、分周器31、32および信号切り換え回路33、34を制御することができるものである。
【0202】
つまり、この第2の実施の形態においては、有信号期間とその後に続く無信号検出期間においては、マイコン20Cは、信号切り換え回路33、34を図12に示す接続状態として、PWM変調部11からのPWM信号をそのままドライブ回路13、14に供給するように制御する。
【0203】
しかし、マイコン20Cは、無信号期間に入ったことを検出すると、信号切り換え回路33、34を図12の接続状態とは逆の接続状態とするとともに、分周器31、32の分周比を制御し、PWM変調部11からのPWM信号について、その周波数を通常の周波数よりも低くなるように分周して出力するようにする。この場合、分周器31、32は、PWM変調部11からのPWM信号を、例えば、通常の周波数の数十分の1程度、あるいはそれより低くなるように分周する。
【0204】
これにより、処理すべきオーディオ信号がなくなってから所定時間の間の無信号検出期間を除く無信号期間においては、通常よりも低い周波数のPWM信号がドライブ回路13、14に供給されるので、そのそれぞれにおいて、通常よりも低い周波数のドライブパルスが形成される。
【0205】
そして、通常時よりも低い周波数のドライブパルスが、後段のプッシュプル回路15、16のFETのゲートに供給された場合には、上述の第1の実施の形態のパワーアンプ装置の場合と同様に、プッシュプル回路15、16のスイッチング動作は減少し、単位時間あたりの貫通電流の発生回数が低減するので、結果として無信号期間における消費電力を低減させることができる。
【0206】
そして、上述したように、マイコン20Cが無信号期間を検出し、分周比データである周波数制御信号CCTを分周器31、32に供給し、分周器31、32の分周比を変更するとともに信号切り換え回路33、34を切り換えることによって、PWM信号PA、PBの周波数を変更する場合に、その変更に先立って、ミュート回路23にミュート機能をオンにするためのミュート制御信号MCTを供給し、ミュート機能を動作させる。
【0207】
そして、分周器31、32から、変更された分周比に応じた目的とする周波数のPWM信号が出力され、各回路が安定に動作するようになった後に、マイコン20Cは、ミュート回路23に対して、ミュート機能をオフにするためのミュート制御信号MCTを供給し、ミュート機能を停止させる。
【0208】
このようにして、分周器31、32の分周比を変更することによって、PWM信号PA、PBの周波数を変更する場合に、その周波数の変更の影響を受けて、各回路部分の動作が不安定になり、異音を発生させる可能性のある期間において、音声がスピーカ19から放音しないようにミュートするので、異音が発生した場合にも、これをユーザが聴取しないようにすることができる。
【0209】
もちろん、分周器31、32の分周機能により、通常の周波数よりも低い周波数のPWM信号を分周器31、32から出力している状態から、通常の周波数のPWM信号を出力する状態に戻す場合にも、その変更の開始前の所定の時点から変更が終了し、各回路部分の動作が安定するまでの所定の期間においても、ミュート期間を設定し、ミュートを行う。
【0210】
つまり、ドライブ信号+PA、−PA、+PB、−PBの周波数の変更時には、その影響を受ける可能性のある期間においては、ミュートを行うようにしている。これによって、ドライブ信号の周波数変更の影響を受けて発生する可能性のある異音をスピーカから確実に放音しないようにしている。
【0211】
また、この第2の実施の形態においても、第1の実施の形態の場合と同様に、オーディオ信号Pin、ビデオ信号Vin、他信号Cinのそれぞれは、同期式ディレイ回路22により所定時間分遅延するようにされ、再生音声の頭切れを発生することがないようにされているとともに、オーディオ信号とその他の信号との関係がずれるなどの不都合を生じさせることもない。
【0212】
このように、第1の実施の形態のAVアンプ装置と第2の実施の形態のAVアンプ装置とは、ドライブパルスの周波数の変更箇所が異なるものの、結果として、ドライブパルスの周波数を変更する点で同じ機能を有し、そのドライブパルスの周波数の変更に伴い発生する可能性のある異音をユーザが聴取することがないようにしたものである。
【0213】
また、図12に示した第12の実施の形態のAVアンプ装置の場合には、ローパスフィルタ18とスピーカ19との間に設けたミュート回路23によってミュートを行うようにしたが、これに限るものではない。図12において、PWM変調部11にミュート機能を搭載し、これをマイコン20Cからの制御信号Mu1で制御するようにすることができる。また、ドライブ回路13、14にミュート機能を搭載して、これをマイコン20Cからの制御信号Mu2で制御したりするようにすることも可能である。
【0214】
なお、この図12に示すAVアンプ装置の場合にも、第1の実施の形態のAVアンプ装置の場合と同様に、コマンド信号などの他信号に基づいて、ミュート期間を設定するようにすることもできる。
【0215】
また、第1の実施の形態のAVアンプ装置の場合と同様に、オーディオ信号のサンプリング周波数の異なるオーディオ信号のそれぞれに対応するために、PWM変調部11に供給するクロック信号CLKの周波数を変更するようにすることも可能である。
【0216】
[パワーアンプ部分がハーフブリッジ構成の場合の例]
図12は、AVアンプ装置のパワーアンプ部分をフルブリッジの構成としたものであるが、図13に示すようにハーフブリッジの構成とすることももちろんできる。
【0217】
図13は、パワーアンプ部分の出力段をいわゆるハーフブリッジの構成としたAVアンプ装置を説明するための図である。なお、図13において、図12に示したパワーアンプ装置と同様、あるいは、ほぼ同様に構成される部分には、同じ参照符号を付している。
【0218】
図13に示すように、この例のパワーアンプ装置は、パルス幅がオーディオ信号Pinの示すレベルの2の補数の大きさとされるPWM信号PBの処理系を有さないものである。つまり、図13に示したように、この例のAVアンプ装置は、1つのプッシュプル回路15が用いられて形成されたものであり、PWM変調部11とドライブ回路13との間に分周器31および信号切り換え回路33を設けたものである。
【0219】
そして、この図13に示したハーフブリッジ構成のAVアンプ装置の場合にも、図12に示したフルブリッジ構成のAVアンプ装置の場合と同様に、有信号期間および無信号検出期間より、無信号検出期間を除く無信号期間におけるPWM信号PAの周波数が低くなるようにマイコン20Cが分周器31および信号切り換え回路33を制御することにより、無信号検出期間を除く無信号期間におけるプッシュプル回路15のスイッチング動作を少なくし、貫通電流の発生回数を低減させ、消費電力の省力化を実現することができる。
【0220】
そして、分周器31の分周比を変更して、プッシュプル回路15に供給するドライブパルスの周波数を変更する場合に、その周波数の変更前の所定の時点から変更が終了して各回路部分が安定に動作するようになるまでの期間において、音声のミュートを行うことにより、ドライブパルスの周波数の変更に伴い発生する可能性のある異音をユーザが聴取することがないようにすることができる。
【0221】
また、ミュートは、ミュート回路23で行う他、PWM変調部11やドライブ回路13にミュート機能を持たせ、これを制御することにより実現することも可能である。
【0222】
なお、この図13に示すAVアンプ装置の場合にも、第1の実施の形態のAVアンプ装置の場合と同様に、他信号の内の特定の信号や、ビデオ信号の有無など、すなわち、関連信号に基づいて、ミュート期間を設定するようにすることもできる。
【0223】
また、第1の実施の形態のAVアンプ装置の場合と同様に、オーディオ信号のサンプリング周波数の異なるオーディオ信号のそれぞれに対応するために、PWM変調部11に供給するクロック信号CLKの周波数を変更するようにすることも可能である。
【0224】
[第3の実施の形態]
以下に説明するこの第3の実施の形態のパワーアンプ装置は、上述した第1、第2の実施の形態のパワーアンプ装置と同様に、いわゆるD級アンプの構成を有するものである。しかし、無信号時における貫通電流を低減するために、PWM変調部11に供給するクロック信号の周波数を低くするのではなく、クロック信号の供給を停止させることによって、プッシュプル回路のスイッチチング動作を停止させるようにしたものである。
【0225】
これは、同じように構成するいわゆるD級アンプであっても、用いる回路素子の違いなどにより、クロック信号CLKの周波数の変化がノイズの原因にならないものや、逆にクロック信号CLKの周波数の僅かな変化でもノイズの原因になるものを構成することが可能であり、このようなD級アンプを用いた場合には、できるだけ素早くクロック信号CLKの周波数の変更を完了させることが望ましいという点を考慮したものである。
【0226】
[パワーアンプ部分がフルブリッジ構成の場合の例]
図14は、この第3の実施の形態のAVアンプ装置を説明するための図である。図14に示すこの第3の実施の形態のAVアンプ装置において、図1に示した第1の実施の形態のAVアンプ装置と同様に構成される部分には同じ照符号を付し、それらの詳細な説明については省略する。
【0227】
図14に示すように、この第3の実施の形態のAVアンプ装置は、PWM変調部11へのクロック信号CLKの供給を、スイッチ回路(図14においてはSWと記載。)25を通じて行うようにしたものである。このスイッチ回路25は、マイコン20Dによって、その切り換えが制御するようにされている。
【0228】
クロック生成部12は、上述の第1の実施の形態のクロック生成部12と同様に構成されたものである。しかし、この第2の実施の形態において、AVアンプ装置に電源が供給され、動作するようにされているときには、クロック生成部12からのクロック信号CLKは、常に一定の周波数となるようにしている。
【0229】
この第3実施の形態において、マイコン20Dは、上述した第1の実施の形態のマイコン20と同様の構成を有するものである。しかし、この第3の実施の形態のAVアンプ装置のマイコン20Dは、前述した第1の実施の形態のマイコン20の場合と同様にして有信号期間と無信号期間とを検出し、この検出結果に応じて、スイッチ回路25の切り換えを制御することができるものである。
【0230】
つまり、この第3の実施の形態においては、有信号期間とその後に続く無信号検出期間においては、マイコン20Dは、スイッチ回路25をオンにし、クロック生成部12からのクロック信号CLKをそのままPWM変調部11に供給する。しかし、マイコン20Dは、無信号期間に入ったことを検出すると、スイッチ回路25をオフにし、クロック生成部12からのクロック信号CLKをPWM変調部11に供給しないようにする。
【0231】
これにより、処理すべきオーディオ信号がなくなってから所定時間の間の無信号検出期間を除く無信号期間においては、PWM変調部11にはクロック信号CLKは供給されないので、PWM変調部11におけるPWM変調処理が停止され、PWM変調部11からのPWM信号の出力が停止される。
【0232】
この場合、PWM変調部11からPWM信号がドライブ回路13、14に供給されない場合には、ドライブ回路13、14においてドライブパルスは形成されないので、プッシュプル回路15、16のスイッチング動作は停止し、貫通電流が発生しなくなるので、結果として無信号期間における消費電力を低減させることができるのである。
【0233】
そして、上述したように、マイコン20Cが無信号期間を検出し、スイッチ回路25をオフにすることによって、PWM変調部11へのクロック信号CLKの供給を停止する場合に、これに先立って、ミュート回路23にミュート機能をオンにするためのミュート制御信号MCTを供給し、ミュート機能を動作させる。
【0234】
そして、PWM変調部11の動作が停止されることにより、他の回路部分が影響を受ける期間の経過後において、マイコン20Dは、ミュート回路23に対して、ミュート機能をオフにするためのミュート制御信号MCTを供給し、ミュート機能を停止させる。
【0235】
このようにして、スイッチ回路25を切り換えることにより、その影響を受けて、各回路部分の動作が不安定になり、異音を発生させる可能性のある期間において、音声がスピーカ19から放音しないようにミュートするので、異音が発生した場合にも、これをユーザが聴取しないようにすることができる。
【0236】
もちろん、スイッチ回路25をオフからオンにする場合にも、その切り換え前の所定の時点から切り換えが行われ、各回路部分の動作が安定するまでの所定の期間においても、ミュート期間を設定し、ミュートを行う。
【0237】
つまり、スイッチ回路25の切り換えを行う場合においては、各回路部分が、その切り換えの影響を受ける可能性のある期間においては、ミュートを行うようにしている。これによって、スイッチ回路25の切り換えの影響を受けて発生する可能性のある異音をスピーカから確実に放音しないようにしている。
【0238】
また、この第3の実施の形態においても、第1の実施の形態の場合と同様に、オーディオ信号Pin、ビデオ信号Vin、他信号Cinのそれぞれは、同期式ディレイ回路22により所定時間分遅延するようにされ、再生音声の頭切れを発生することがないようにされているとともに、オーディオ信号とその他の信号との関係がずれるなどの不都合を生じさせることもない。
【0239】
このように、第3の実施の形態のAVアンプ装置は、PWM変調部11へのクロック信号CLKの供給を制御することにより、無信号時においてドライブパルスをプッシュプル回路に供給しないようにして、無信号期間における貫通電流が発生しないようにし、消費電力の低減を図るようにしたものであり、クロック信号CLKの供給と供給停止との切り換えに伴い発生する可能性のある異音をユーザが聴取することがないようにしたものである。
【0240】
また、図14に示したこの第3の実施の形態のAVアンプ装置の場合には、ローパスフィルタ18とスピーカ19との間に設けたミュート回路23によってミュートを行うようにしたが、これに限るものではない。図14において、PWM変調部11にミュート機能を搭載し、これをマイコン20Cからの制御信号Mu1で制御するようにしてもよい。また、ドライブ回路13、14にミュート機能を搭載して、これをマイコン20Cからの制御信号Mu2で制御するようにすることもできる。
【0241】
なお、この図14に示すAVアンプ装置の場合にも、第1の実施の形態のAVアンプ装置の場合と同様に、コマンド信号などの他信号やビデオ信号など、すなわち関連信号に基づいて、ミュート期間を設定するようにすることもできる。
【0242】
[パワーアンプ部分がハーフブリッジ構成の場合の例]
図14は、AVアンプ装置のパワーアンプ部分をフルブリッジの構成としたものであるが、図15に示すようにハーフブリッジの構成とすることももちろんできる。
【0243】
図15は、パワーアンプ部分の出力段をいわゆるハーフブリッジの構成としたAVアンプ装置を説明するための図である。なお、図15において、図14に示したパワーアンプ装置と同様、あるいは、ほぼ同様に構成される部分には、同じ参照符号を付している。
【0244】
図15に示すように、この例のパワーアンプ装置は、パルス幅がオーディオ信号Pinの示すレベルの2の補数の大きさとされるPWM信号PBの処理系を有さないものである。つまり、図15に示したように、この例のAVアンプ装置は、1つのプッシュプル回路15が用いられて形成されたものであり、PWM変調部11とドライブ回路13との間に分周器31を設けたものである。
【0245】
そして、この図15に示したハーフブリッジ構成のAVアンプ装置の場合にも、図14に示したフルブリッジ構成のAVアンプ装置の場合と同様に、無信号検出期間を除く無信号期間において、クロック生成部12からのクロック信号CLKをPWM変調部11に供給しないようにし、無信号検出期間を除く無信号期間におけるプッシュプル回路15のスイッチング動作を停止させて、貫通電流が発生しないようにし、消費電力の省力化を実現することができる。
【0246】
そして、スイッチ回路25を切り換える場合に、その切り換え前の所定の時点から切り換えが終了して各回路部分が安定に動作するようになるまでの期間において、音声のミュートを行うことにより、ドライブパルスの周波数の変更に伴い発生する可能性のある異音をユーザが聴取することがないようにすることができる。
【0247】
また、ミュートは、ミュート回路23で行う他、PWM変調部11やドライブ回路13にミュート機能を持たせ、これを制御することにより実現することも可能である。
【0248】
また、この図15に示すAVアンプ装置の場合にも、第1の実施の形態のAVアンプ装置の場合と同様に、ビデオ信号や他信号である関連信号に基づいて、ミュート期間を設定するようにすることもできる。
【0249】
なお、前述した実施の形態のAVアンプ装置において、オーディオ信号Pin、ビデオ信号Vin、他信号Cinのディレイ量DLは、D級アンプ部分に用いた回路の特性などに応じ、クロック信号CLKなどの周波数を変更したり、その供給を制御したりする場合において、オーディオ信号を処理する回路部分が、周波数の変更や供給の制御による影響を受けなくなるのに十分な時間を設定すればよい。
【0250】
また、上述した実施の形態のAVアンプ装置において、信号無しと判断する場合に、低信号レベルの期間が所定時間以上連続した後に信号無しであると判断するようにしているのは、例えば、1つの楽曲のオーディオ信号と、これに続く他の楽曲のオーディオ信号との間の期間など、入力信号の供給が停止された後において、入力信号の供給が再開される可能性が高い期間を無信号期間として検出しないようにするためである。
【0251】
また、上述した各実施の形態においては、この発明によるパワーアンプ装置をAVアンプ装置に適用した場合を例にして説明した。フルブリッジの構成のパワーアンプ装置の場合には、例えば、家庭などの屋内において用いられる多機能であって高性能のAVアンプ装置に用いて好適なものである。
【0252】
また、ハーフブリッジの構成のパワーアンプ装置の場合には、構成が簡単であるので、AVアンプ装置の他、低価格のオーディオ機器やAV機器、あるいは、携帯用のオーディオ機器などに内蔵する場合などに用いて好適なものである。
【0253】
なお、左右2チャンネルのオーディオ信号を処理する場合には、上述した各パワーアンプ部分が、左右2チャンネル分必要になる。しかし、左右のチャンネルでその構成が変わることはない。
【0254】
また、上述の実施の形態において用いたオーディオ信号のサンプリング周波数やサンプリング周波数に基づくキャリア周波数の値は一例であり、各種の値に対応することができる。
【0255】
また、上述の実施の形態においては、いずれの場合にも、電源電圧は、いわゆる片側電源であるものとしたが、これに限るものではなく、正負電源を用いるようにしてもよい。
【0256】
また、上述の実施の形態においては、オーディオ信号である入力信号をPWM変調する場合を例に説明したが、これに限るものではない。入力信号をPNM(Pulse Number Modulation)変調するパワーアンプ装置にもこの発明を適用することが可能である。
【0257】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によるパワーアンプ装置によれば、クロック信号などの周波数やその供給を制御する場合に発生する可能性のある異音を放音しないようにすることができる。
【0258】
また、異音を放音しないようにした場合であっても、入力音声信号の再生において、再生音声の頭切れなどの不都合を発生させることもない。しかも、入力音声と関連付けられて供給される他信号についても、入力音声信号との関連を乱すこともない。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明によるパワーアンプ装置の第1の実施の形態を説明するための図である。
【図2】図1に示したパワーアンプ装置のクロック生成部の一例を説明するためのブロック図である。
【図3】図1に示したパワーアンプ装置の動作を説明するための図である。
【図4】図1に示したパワーアンプ装置の動作を説明するための図である。
【図5】図1に示したパワーアンプ装置の動作を説明するための図である。
【図6】図1に示したパワーアンプ装置の動作を説明するための図である。
【図7】この発明によるパワーアンプ装置の第1の実施の形態の他の例を説明するための図である。
【図8】この発明によるパワーアンプ装置の第1の実施の形態の他の例を説明するための図である。
【図9】この発明によるパワーアンプ装置の第1の実施の形態の他の例を説明するための図である。
【図10】この発明によるパワーアンプ装置の第1の実施の形態の他の例を説明するための図である。
【図11】この発明によるパワーアンプ装置の第1の実施の形態の他の例を説明するための図である。
【図12】この発明によるパワーアンプ装置の第2の実施の形態を説明するための図である。
【図13】この発明によるパワーアンプ装置の第2の実施の形態の他の例を説明するための図である。
【図14】この発明によるパワーアンプ装置の第2の実施の形態を説明するための図である。
【図15】この発明によるパワーアンプ装置の第2の実施の形態の他の例を説明するための図である。
【図16】いわゆるD級アンプと呼ばれる従来のパワーアンプ装置の構成例を説明するための図である。
【図17】図16に示した従来のパワーアンプ装置の動作を説明するための波形図である。
【図18】図16に示した従来のパワーアンプ装置の動作を説明するための波形図である。
【符号の説明】
11、11A…PWM変調部、12、12A…クロック生成部、13、14…DRV(ドライブ回路)、13A、14A…DRV(ドライブ回路)、15、16…プッシュプル回路、17、18…ローパスフィルタ、19…スピーカ、20、20A、20B、20D…入力検出部(マイコン)、21…セレクタ、22…同期式ディレイ回路、23…ミュート回路、24…SW(スイッチ回路)、121…水晶発振子、122…位相比較回路、123…ループフィルタ、124…VCO、125…分周器、Tin…入力端子、TPWR…電源端子、31…コンデンサ、Q11、Q12…FET(電界効果トランジスタ)、Q13、Q14…FET(電界効果トランジスタ)、outV…映像出力端子、outC…他信号出力端子
Claims (12)
- 入力音声信号を、その量子化レベルを示すパルス変調信号に変換して出力するパルス変調手段と、
1対のスイッチング素子がプッシュプル接続されて構成されるスイッチング手段と、
前記パルス変調手段から出力される前記パルス変調信号を互いに逆レベルの1対のドライブパルスに変換して、前記スイッチング手段の前記1対のスイッチング素子に供給するドライブ手段と、
前記スイッチング手段の前段において、前記1対のスイッチング素子に供給する前記ドライブパルスの周波数の変更を行うようにするための周波数変更手段と、
前記スイッチング手段により増幅される前記入力音声信号に応じた音声を放音するスピーカから音声を放音しないようにする消音手段と、
前記周波数変更手段により前記ドライブパルスの周波数を変更する場合に、前記周波数の変更開始前の時点からの所定の消音期間において、前記消音手段を制御してスピーカから音声を放音しないようにする消音制御手段と、
前記パルス変調手段の前段に設けられ、前記入力音声信号を前記消音期間に応じた時間分遅延させる信号遅延手段と
を備えることを特徴とするパワーアンプ装置。 - 請求項1に記載のパワーアンプ装置であって、
前記入力音声信号の有無を検出する検出手段を備え、
前記周波数変更手段は、前記検出手段により、前記入力音声信号の有無の変化を検出した場合に、前記ドライブパルスの周波数を変更するものであることを特徴とするパワーアンプ装置。 - 請求項1に記載のパワーアンプ装置であって、
前記入力音声信号に関連付けられる関連信号の供給を受けることができるものであり、
前記関連信号の有無を検出する関連信号検出手段を備え、
前記周波数変更手段は、前記関連信号検出手段により、前記関連信号の有無の変化を検出した場合に、前記ドライブパルスの周波数を変更するものであり、
前記信号遅延手段は、前記入力音声信号と前記関連信号とについて、前記消音期間に応じた時間分遅延させるものであることを特徴とするパワーアンプ装置。 - 請求項1に記載のパワーアンプ装置であって、
前記入力音声信号に関連付けられる関連信号の供給を受けることができるものであり、
前記関連信号の内の特定の関連信号を検出する特定関連信号検出手段を備え、
前記周波数変更手段は、前記特定関連信号検出手段により、前記特定の関連信号を検出した場合に、前記ドライブパルスの周波数を変更するものであり、
前記信号遅延手段は、前記入力音声信号と前記関連信号とについて、前記消音期間に応じた時間分遅延させるものであることを特徴とするパワーアンプ装置。 - 請求項1に記載のパワーアンプ装置であって、
ユーザからの指示入力を受け付ける指示入力受付手段を備え、
前記指示入力受付手段は、前記指示入力受付手段を通じて所定の前記指示入力を受け付けた場合に、前記ドライブパルスの周波数を変更するものであることを特徴とするパワーアンプ装置。 - 入力音声信号を、その量子化レベルを示すパルス変調信号に変換して出力するパルス変調手段と、
1対のスイッチング素子がプッシュプル接続されて構成されるスイッチング手段と、
前記パルス変調手段から出力される前記パルス変調信号を互いに逆レベルの1対のドライブパルスに変換して、前記スイッチング手段の前記1対のスイッチング素子に供給するドライブ手段と、
前記1対のスイッチング素子に供給する前記ドライブパルスの供給/停止を切り換えるようにする供給制限手段と、
前記スイッチング手段により増幅される前記入力音声信号に応じた音声を放音するスピーカから音声を放音しないようにする消音手段と、
前記供給制限手段により前記ドライブパルスの供給/停止を切り換えるようにする場合に、当該切り換えるようにする処理の開始前の時点からの所定の消音期間において、前記消音手段を制御してスピーカから音声を放音しないようにする消音制御手段と、
前記パルス変調手段の前段に設けられ、前記入力音声信号を前記消音期間に応じた時間分遅延させる信号遅延手段と
を備えることを特徴とするパワーアンプ装置。 - 請求項6に記載のパワーアンプ装置であって、
前記入力音声信号の有無を検出する検出手段を備え、
前記供給制限手段は、前記検出手段により、前記入力音声信号の有無の変化を検出した場合に、前記ドライブパルスの供給/供給停止を切り換えるようにするものであることを特徴とするパワーアンプ装置。 - 請求項6に記載のパワーアンプ装置であって、
前記入力音声信号に関連付けられる関連信号の供給を受けることができるものであり、
前記関連信号の有無を検出する関連信号検出手段を備え、
前記供給制限手段は、前記関連信号検出手段により、前記関連信号の有無の変化を検出した場合に、前記ドライブパルスの供給/供給停止を切り換えるようにするものであり、
前記信号遅延手段は、前記入力音声信号と前記関連信号とについて、前記消音期間に応じた時間分遅延させるものであることを特徴とするパワーアンプ装置。 - 請求項6に記載のパワーアンプ装置であって、
前記入力音声信号に関連付けられる関連信号の供給を受けることができるものであり、
前記関連信号の内の特定の関連信号を検出する特定関連信号検出手段を備え、前記供給制限手段は、前記特定関連信号検出手段により、前記特定の関連信号を検出した場合に、前記ドライブパルスの供給/供給停止を切り換えるようにするものであり、
前記信号遅延手段は、前記入力音声信号と前記関連信号とについて、前記消音期間に応じた時間分遅延させるものであることを特徴とするパワーアンプ装置。 - 請求項6に記載のパワーアンプ装置であって、
ユーザからの指示入力を受け付ける指示入力受付手段を備え、
前記供給制限手段は、前記指示入力受付手段を通じて所定の前記指示入力を受け付けた場合に、前記ドライブパルスの供給/供給停止を切り換えるようにするものであることを特徴とするパワーアンプ装置。 - 入力音声信号と、前記入力音声信号に関連付けられる関連信号との供給を受けて、前記入力音声信号についての電力増幅を行うパワーアンプ装置であって、
入力音声信号を、その量子化レベルを示すパルス変調信号に変換して出力するパルス変調手段と、
1対のスイッチング素子がプッシュプル接続されて構成されるスイッチング手段と、
前記パルス変調手段から出力される前記パルス変調信号を互いに逆レベルの1対のドライブパルスに変換して、前記スイッチング手段の前記1対のスイッチング素子に供給するドライブ手段と、
前記スイッチング手段により増幅される前記入力音声信号に応じた音声を放音するスピーカから音声を放音しないようにする消音手段と、
前記関連信号の状態、あるいは、前記関連信号の示す情報を検出する関連信号検出手段と、
前記関連信号検出手段においての検出結果に基づいて決まる時点からの所定の消音期間において、前記消音手段を制御してスピーカから音声を放音しないようにする消音制御手段と、
前記パルス変調手段の前段に設けられ、前記入力音声信号と前記関連信号とを前記消音期間に応じた時間分遅延させる信号遅延手段と
を備えることを特徴とするパワーアンプ装置。 - 入力音声信号を、その量子化レベルを示すパルス変調信号に変換して出力するパルス変調手段と、
1対のスイッチング素子がプッシュプル接続されて構成されるスイッチング手段と、
前記パルス変調手段から出力される前記パルス変調信号を互いに逆レベルの1対のドライブパルスに変換して、前記スイッチング手段の前記1対のスイッチング素子に供給するドライブ手段と、
前記スイッチング手段により増幅される前記入力音声信号に応じた音声を放音するスピーカから音声を放音しないようにする消音手段と、
ユーザからの指示入力を受け付ける指示入力受付手段と、
前記指示入力受付手段を通じて所定の前記指示入力を受け付けた場合に、その受け付け時点に基づいて決まる時点からの所定の消音期間において、前記消音手段を制御してスピーカから音声を放音しないようにする消音制御手段と、
前記パルス変調手段の前段に設けられ、前記入力音声信号と前記関連信号とを前記消音期間に応じた時間分遅延させる信号遅延手段と
を備えることを特徴とするパワーアンプ装置。
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