JP2004014559A - 回路基板及び多層回路基板並びにそれらの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】絶縁性基板の表裏両面に導電回路を設け、該絶縁性基板に設けた貫通孔を介して導電性樹脂により導電回路を接続してなる回路基板において、導電回路と導電性樹脂との電気的接続を低抵抗で安定したものとする。
【解決手段】絶縁性基板に設けた導電回路に開口を設け、この開口と貫通孔内に導電性樹脂を充填して、導電回路と導電性樹脂との接触面積を増やして両者の電気的接続を確実なものとし、低抵抗化を図る。開口の形状は歯車型、鋸歯型、花びら型、環状型、あるいはS字型などが利用できる。導電回路に開口を設けるには、レジストパターンを使用してエッチングにより貫通孔の形成と同時に形成することができる。
【選択図】 図1
【解決手段】絶縁性基板に設けた導電回路に開口を設け、この開口と貫通孔内に導電性樹脂を充填して、導電回路と導電性樹脂との接触面積を増やして両者の電気的接続を確実なものとし、低抵抗化を図る。開口の形状は歯車型、鋸歯型、花びら型、環状型、あるいはS字型などが利用できる。導電回路に開口を設けるには、レジストパターンを使用してエッチングにより貫通孔の形成と同時に形成することができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子部品を実装する回路基板またはパッケージ基板に関し、特に基板に形成した回路の電気特性を向上させるための基板構造及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、電子機器の軽薄短小化、半導体チップや部品の小型化および端子の狭ピッチ化に連動して、プリント回路基板にも実装面積の縮小や配線の精細化が進んでいる。同時に情報関連機器では信号周波数の広帯域化に対応して、部品間を連結する配線の短距離化が求められており、高密度、高性能を達成するための回路基板の多層化は必要不可欠の技術となっている。この多層回路基板では、従来の平面回路にはなかった層間を電気的に接続する回路形成がキーテクノロジーとなってきている。多層回路基板の第一ステップである両面配線基板は、絶縁基材に貫通孔をあけ、孔の壁面に沿って導体をメッキして表裏の配線を接続している。例えば、ビルドアップ多層基板においても回路層間の絶縁層の一部をレーザ等で除去し、メッキで接続する方法を用いている(福田著:「はじめてのエレクトロニクス実装技術」工業調査会 p.71参照)。メッキを用いた回路配線の接続は、微細な回路を低く安定した接続抵抗で連結できる利点を持つが、工程が複雑で工数も多いためコストが高くなり、多層基板の用途を制限する要因となっていた。
【0003】
近年、メッキに変わる安価な層間接続方法として導電性樹脂(導電ペースト)を用いた多層基板が実用化され、多層基板の用途も急速に拡大し始めた(例えば、白石ら:松下テクニカルジャーナル、Vol.45,No.4、p.401(1999)あるいは福岡ら:電子材料、Vol.34,No.16、p.95(1995)参照)。この技術では、絶縁樹脂板を出発材料としてレーザを用いて貫通孔(ビアホール)を開口した後、印刷法によって導電性樹脂を貫通孔内に充填し、表裏接続回路としている。所望の箇所に導電性樹脂による接続部が設けられた絶縁基材を、銅箔で挟んで圧着することをくり返し、多層接続導電回路を構成している。
【0004】
図16は従来の多層回路基板の構造を示す図であり、図16(a)は平面図を、図16(b)は線G−G’に沿った断面図を示している。
図に示すように樹脂フィルムからなる絶縁性基板101上に銅箔などからなる導電回路102が形成されており、導電回路102をとおして絶縁性基板101に貫通孔104が設けられている。貫通孔104内には導電性樹脂105が充填されている。図16(b)に示すようにこのような基板が貫通孔104を一致させて複数枚重ね合わされて多層回路基板100が構成されている。この結果、導電性樹脂中に含まれる銅や銀などの導電性粒子を介して導電回路102と導電性樹脂105が電気的に接続されている。
【0005】
図17に上記のような従来の多層回路基板の製造工程の一例を示す。
絶縁性基板101を出発材料とし(工程(a)参照)、所定位置に貫通孔104を窄孔する(工程(b)参照 )。次に貫通孔104内に導電性樹脂105を充填する(工程(c)参照 )。
次に基板の両面にたとえば銅箔2aを貼り付ける(工程(d)参照 )。次いで銅箔2aの表面にフォトレジスト膜を形成し、所定の回路パターンを露光・現像した後フォトレジスト膜をマスクとしてケミカルエッチングを行って、所定の導電回路102を形成する
次いでこのようにして得た所定の導電回路を有する回路基板110,114を必要枚数と銅箔102aを上下に重ね合わせて熱圧着する(工程(f)参照 )。このようにして図17(g)に示す多層回路基板100を得ていた。
【0006】
図18には従来の多層回路基板200を得るための別の一例を示す。
この方法では工程(a)から工程(d)では片面に銅箔を貼った片面銅貼り基板を出発材料として使用して、図7と同様な手順で回路基板111を製作し、一方工程(e)から工程(h)では両面に銅箔2a,2aを貼った両面銅貼り基板を出発材料として使用し、やはり図17と同様の手順で回路基板114を作成し、工程(i)で熱圧着し図18(j)に示すような回路基板200を得ていた。
【0007】
また、これ以外にも絶縁層として感光性樹脂を用いて露光・現像を行うことにより貫通孔を形成したり、ケミカルエッチング(町田:表面実装技術 Vol.17 No.1 p.31(1997))あるいはドライエッチングによって樹脂を除去する方法も提案されている。導電性樹脂を用いた多層回路基板の製造方法は、安価である反面、導電性樹脂部分の電気抵抗が高く、銅箔を使用した導電回路との接触抵抗が安定しない等のいくつかの欠点もあるが、それらも徐々に克服されつつある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、マルチチップモジュールなどベアチップを実装する基板では配線の高密度化に伴って1層の回路基板の厚さも減少する傾向にある。層厚の減少によって基板として使用する絶縁フィルム単体では基板の撓みや皺が発生し易くなり、寸法安定性が確保しにくくなっている。
層間接続に導電性樹脂を用いる多層基板の製造方法においては、素材として銅箔貼りフィルムを出発材料とすることにより、フィルムの剛性が高まり高い寸法精度を容易に維持できるが、なお次のような欠点が残っている。
【0009】
図19(貫通孔型)は従来の貫通孔型回路基板110の平面配置図(a)と線H−H’に沿った断面図(b)である。図に示すように樹脂フィルムからなる絶縁性基板101上に銅箔などからなる導電回路102が形成されており、導電回路102をとおして絶縁性基板101に貫通孔104が設けられている。貫通孔104内には導電性樹脂105が充填されており、導電性樹脂105中に含まれる銅や銀などの導電性粒子を介して導電回路102と導電性樹脂105が電気的に接続されている。
図19(b)に示すように、導電回路102と導電性樹脂105との接続は、厚さ(h)とする導電回路102の内面で行われているので点接触に近く、貫通孔が小さくしかも導電回路が薄くなるに従って導電回路102と導電性樹脂105との接触面積が小さくなり、両者の接触抵抗は急激に増加する。また、冷熱サイクルなどによって繰返し応力が発生すると上記接触部や導電性樹脂内の接触抵抗が上昇するため、多層回路を形成した時に良好な電気伝導特性が得られなくなる問題があった。特に回路の微細化に伴って導電回路の厚さが薄くなるほど、導電回路と導電性樹脂との接触面積は減少し、接触抵抗の増大は顕著になる。
【0010】
上記の欠点を補い、導電回路と導電性樹脂との接触抵抗を安定して低く維持するために、図20(蓋メッキ型)に示すように、貫通孔104内に導電性樹脂105を充填した後、導電回路102及び貫通孔104内の導電性樹脂105の表面にメッキ層114を形成して、導電回路102と導電性樹脂105との接触面積を確保した回路基板111とする方法が提案されている。この手段によれば導電回路と導電性樹脂との接触面積を広げることができるため、接触抵抗は充分低く抑えることができるが、メッキ処理によるコストアップは避けられず、導電性樹脂による層間接続法の利点は失われてしまう。
【0011】
メッキを用いずに同様の構造を達成するために、導電回路を有する基板に表裏接続回路用の貫通孔をあける際に、導電回路を残して基板のみを貫通させ、形成された有蓋貫通孔に導電性樹脂を充填する方法が考えられている。図21(有蓋貫通孔型)はこの方法によって得られた回路基板112の断面図を示している。この方法では導電性樹脂105と導電回路102との電気的接続は良好であるものの、有蓋貫通孔への導電性樹脂の充填に難点がある。貫通孔の場合の導電性樹脂の充填は、孔の片方から導電性樹脂を印刷、注入することにより容易に充填が達成されるが、有蓋貫通孔の場合には導電性樹脂の注入の過程で孔底に残った空気が排出されず、気泡として残留して導電性樹脂の充填が不完全となり易い。真空中で印刷することにより気泡を残留させることなく孔に充填することのできる装置も開発されているが、装置コスト、加工工数とも極端に増大してしまい、本工程を適用した製品は限定された分野にしか用いることができない。
【0012】
一方、導電回路の表面を含み、貫通孔の開口部よりも一回り大きな範囲に導電性樹脂を印刷することによっても、導電性樹脂と導電回路との接触面積を拡大して接触抵抗を低く安定化させることができる。図22(ランド積層型)はこの方法によって作られた回路基板113の断面を示している。図に示すようにこの回路基板113では、貫通孔104を含む導電回路102上に導電性樹脂からなるランド116が形成されており、導電回路102の表面でも導電回路102と導電性樹脂105とが接触しているので、接触面積は図19(b)の貫通孔型に比較して接触面積は増加している。この方法によれば絶縁性基板101に形成した貫通孔104に印刷法を用いて導電性樹脂105を充填する際、同時に貫通孔周りに導電性樹脂からなるランド116をパターン形成できるため、低コストで回路基板を得ることができる。
【0013】
しかしながら、上記構造においては一層の回路基板の小型化・高密度化を目的とした回路ピッチの微細化や導体間の薄層化に対して障害が起こる恐れがある。すなわち、貫通孔周辺のランド部において導電回路102上に重ねて導電性樹脂を印刷するため、ランド厚さが極端に増大し基板の薄型化を妨げたり、多層積層後の基板全体の平坦性を損ない易くなる。また、導電性樹脂の印刷時にランドの中心と貫通孔の位置を整合させる必要があるため、印刷装置のアライメント精度よりランドの寸法を小さくできず、回路の微細化が制約されることとなる。したがって多層積層基板の層間の接続に導電性樹脂を使用し、低コストで優れた電気特性を維持しつつ高密度化に対応するためには層間接続方法のさらなる改良が望まれている。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記の問題を解決するため本発明の回路基板は、絶縁性基板に貫通孔を有し、該貫通孔内に導電性樹脂が充填されており、該導電性樹脂と前記絶縁性基板の表面に形成された導電回路とを電気的に接続してなる回路基板であって、該導電回路の導体に平面形状が歯車型の開口を設けて該開口内に導電性樹脂を充填し、かつ該開口と前記絶縁性基板に設けた貫通孔とを重ね合わせて導電性樹脂を一体化することにより、該導電回路と導電性樹脂を電気的に接合してなる回路基板とした。
本発明の回路基板では、前記歯車型の開口に代えて環状、鋸歯型、花びら型、渦巻き型あるいはS字型の開口とすることも可能である。
回路基板をこのように構成することにより、特殊な装置を用いず工数の増大を最小限に留めた方法で、導電回路と導電性樹脂との接触面積を増大させて、接触抵抗を低位安定させ、良好な電気特性を有する回路基板とすることができる。
【0015】
本発明の多層回路基板は、上記の本発明の回路基板を、少なくとも1枚以上の積層してなる多層回路基板である。
各回路基板の導電回路と導電性樹脂との接触抵抗が低いので、多層に積層しても全体として接触抵抗が低く、良好な電気特性を有する多層回路基板とすることができる。
【0016】
また、本発明の回路基板の製造方法は、少なくとも一方の面に導電体膜を具備した絶縁性基板の導電体膜上にフォトレジスト膜を形成した後、環状、歯車型、鋸歯型、花びら型、渦巻き型もしくはS字型から選ばれた1種の開口パターンを有する所定の回路パターンを露光して現像処理し、得られたフォトレジスト膜パターンをマスクとして前記導電体膜をエッチングし、次いで、得られた導電体パターンをマスクとして基板の所定位置に貫通孔を設けた後、導電体パターン表面の開口と前記貫通孔内に導電性樹脂を充填して、導電性樹脂と導電体膜とを電気的に接続する製造方法を採用した。
【0017】
さらに、本発明の多層回路基板の製造方法は、上記の本発明の製造方法により得られた回路基板を、少なくとも1枚以上積層して接合する方法を採用した。
この方法によれば、特殊な装置を用いずに工数の増大を最小限に抑えて安価に得られた回路基板を使用し、通常の方法で積層するので多層回路基板も安価に得ることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下図面を使用して本発明をさらに詳細に説明する。
なお、以下の図においては構造を分かり易く説明するため、縮尺は必ずしも正確ではない。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の回路基板の貫通孔部分を示す部分平面図である。また図2は図1に示す回路基板の線A−A’に沿った断面図である。
図1および図2に示すように、本発明の回路基板10では、樹脂等からなる絶縁性基板1に貫通孔4が設けてあり、絶縁性基板1の表面には銅箔等からなる所定のパターンの導電回路2が設けてある。導電回路2の表面には開口3が形成されており、本実施形態においては開口3の中心は貫通孔4の中心と同じに形成されている。また、開口3は貫通孔4と同心の円周に沿って形成されている。貫通孔4の内部と開口3の内部には、銅ペースト等の導電性樹脂5が充填されており、導電性樹脂5と導電回路2とは電気的に接続されている。
このため導電回路2と導電性樹脂5との接触面積は、図19に示した従来の貫通孔型の回路基板の場合と比較して大幅に増加しており、導電回路2と導電性樹脂5との接触抵抗は低く、安定した電気特性を示す回路基板となる。
【0019】
次に、図1及び図2に示すような本発明の回路基板の製造方法の一例について説明する。図3から図5は本発明の回路基板の製造方法の一例を示す工程断面図である。この例ではポリイミドフィルムからなる絶縁性基板1の片面に導電回路2となる銅箔2aを貼り付けた片面銅貼り基板( Copper Clad Laminate:CCL)6に接着剤7を貼り合わせた積層フィルム8を出発材料としている(図3(a)参照)。CCLにはポリイミド等の絶縁性樹脂と金属導体箔とを接着剤を用いて接合したタイプ、銅箔上にポリイミドの前駆体を塗布した後加熱焼成したタイプや、ポリイミドフィルム上に金属膜を蒸着したタイプ、または蒸着膜をシード層としてメッキにより銅を成長させるタイプ等があり、本発明ではこれらのCCLの銅と反対側に接着剤層が存在する張り合わせフィルムの他、全層が熱可塑性ポリイミドからなるCCLも出発材料として適用できる。また、熱可塑性挙動を示す液晶ポリマーを絶縁層として用いたCCLも出発材料として適用可能である。
【0020】
次に、積層フィルム8の導電回路側の表面に、ロールラミネーターを用いてフォトレジストフィルム35を熱圧着する(図3(b)参照)。次いでフォトレジストフィルム35に所定形状の回路パターンを露光し、現像処理してレジストマスクを形成する(図3(c)参照)。この際フォトレジストフィルムには貫通孔部41と貫通孔部41に接続する開口3となるパターンも同時に形成しておく。
【0021】
次いで、レジストマスクを形成した基板を塩化第二鉄を主成分とするアルカリエッチャント中に浸漬させケミカルエッチングし、銅箔の不要部分をエッチング除去する(図3(d)参照)。
【0022】
塩化第二鉄を主成分とする酸性エッチャントを用いたケミカルエッチングにより、開口3と貫通孔4の位置の銅箔をエッチング除去して絶縁性基板1が露出した時点で残留したフォトレジスト膜を溶解除去した後、たとえばレーザ照射を利用して絶縁性基板1及び接着剤7を貫通する貫通孔4を形成する。レーザ照射は貫通孔4の位置のみ照射するようにビーム走査を制御する(図3(e)参照)。ここで図3(e−2)は平面図を、図3(e−1)は(e−2)の線B−B’に沿った断面図を示す。
樹脂製の絶縁性基板の穿孔には、レーザ照射を利用する以外にもプラズマエッチングや適当な薬剤を用いた化学エッチングを利用することもできる。エッチング終了後、必要に応じて貫通孔内を化学処理によってクリーニングする。
【0023】
最後に、開口3と貫通孔4とを形成した積層フィルム8の導体回路2側に導電性樹脂5を印刷機を利用して塗布し、導体回路2の表面に直接スキージを接触させて、導電性樹脂5を開口3と貫通孔4に充填する(図4(f)参照)。刷版を用いずに金属箔上に直接導電性樹脂を塗布し、スキージを用いて充填することにより凹部である開口3と貫通孔4ににのみ導電性樹脂5が残留する。この時、開口3と貫通孔4との導電性樹脂5は連続しており、後の焼成によって一体化する。
【0024】
導電性樹脂はエポキシ系樹脂を主成分とするバインダーと平均粒径5μm程度の金属粒をフィラーとする、粘度50〜150Pa・sの加熱硬化型導電ペーストを使用する。金属粒としては銀粒子や銅粒子あるいは銅粒子をフィラーとし、銅粒子の表面を銀で被覆した粒子が利用できる。また、溶媒成分が少なく乾燥及び硬化時に体積減少が僅かであれば樹脂の種類は問わない。
【0025】
導電性樹脂を乾燥させた後、再び回路パターン用のフォトレジスト膜を形成し、導電回路用のパターンを露光・現像して銅箔をエッチングして所定パターンの導電回路2を形成すれば、図4(g)に示すような回路基板20が得られる。ここで図4(g−2)は平面配置図を示し、図4(g−1)は図4(g−2)の線C−C’に沿った断面図である。
なお、回路基板20は図1及び図2に示した回路基板10において、導体回路表面に貫通孔に接続しない導電回路2’を設けたものである。
勿論この場合に図4(h)に示すように、2個の導電回路2,2共に貫通孔4,4に接続するものであっても良い。ここで、図4(h−2)は平面図を、図4(h−1)は(h−2)の線D−D’に沿った断面図を示す。
【0026】
(第2の実施形態)
多層回路基板を製造する場合には、上記のようにして得られた本発明の回路基板を少なくとも1枚使用して、所望の電気回路を有する複数の回路基板を重ね合わせ、加熱圧着することにより層間を接続すると同時に、導電性樹脂を硬化させて層間の電気的接続を完全なものとすることにより得られる。
たとえば、図5(i)は上記第1の実施形態で得られた回路基板20を1枚と、貫通孔を2個有する別の回路基板21を1枚と、さらに銅箔2aを1枚とを貫通孔の一つを位置合わせして重ね合わせ、加熱圧着することにより図5(j−1)に示すような3層の導電回路を有する多層回路基板50とすることができる。図5(j−2)はこのようにして得られた多層回路基板の平面図であって、2個の貫通孔4、4の周囲には、歯車型の開口3,3が設けられており、これらの開口3,3と貫通孔4,4内の導電性樹脂5,5とは、それぞれ電気的に一体接合されている。
【0027】
(第3の実施形態)
図6は貫通孔4の周囲に設けられた開口3の別の実施形態を示す部分平面図である。この回路基板31では、開口3は貫通孔4を中心にして星型に設けられている。この実施形態では星型の開口3を第1の実施形態と同様にして形成することにより、導電回路2と導電性樹脂5との接触面積が増加しているので、両者の接触抵抗を十分低くすることが可能である。
【0028】
(第4の実施形態)
図7は貫通孔4の周囲に設けられた開口3のさらに他の実施形態を示す部分平面図である。この回路基板32では、開口3は貫通孔4を中心にして花びら型に設けられている。この形状によっても導電回路2と導電性樹脂5との接触面積が増加しているので、両者の接触抵抗を十分低くすることが可能である。
【0029】
(第5の実施形態)
次に、3枚の回路基板を積層した多層回路基板の製造方法を説明する。
図8は両面銅貼り基板に貫通孔と開口を形成した回路基板31を1枚と、片面銅貼り基板に貫通孔と開口を形成した回路基板30を2枚使用して図8(a)のように重ね合わせて熱圧着し、図8(b)に示すような4面の導電回路2を有する3層の多層回路基板51としたものである。この多層回路基板51の少なくとも1面の導電回路には、開口3が形成されており、貫通孔4内の導電性樹脂5との接触面積が大きくなっているので、接触抵抗の低い多層回路基板とすることができる。
【0030】
(第6の実施形態)
次に、図9は両面銅貼り基板に貫通孔と開口を形成した回路基板31を1枚と、片面銅貼り基板に貫通孔と開口を形成した回路基板30,32を各1枚使用して図9(a)のように重ね合わせて熱圧着し、図9(b)に示すような4面の導電回路2を有する3層の多層回路基板52としたものである。このように重ね合わせる回路基板は必要に応じて任意の構造のものを使用することができ、使用する回路基板の少なくとも1面の導電回路に開口3を形成して導電性樹脂を充填しておけば、貫通孔4内の導電性樹脂5との接触面積が大きくなっているので、接触抵抗の低い多層回路基板とすることができる。
【0031】
(第7の実施形態)
また、図5(i)に示す第2の実施形態で、銅貼り回路基板20に下側に銅箔2aを重ね合わせる際に、銅箔の替わりに図10(a)に示すように離型フィルム36の表面にあらかじ銅箔からなる導電回路2を形成しておき、これを回路基板30,32と重ね合わせて熱圧着した後、離型フィルム36を剥離して図10(b)に示すような多層回路基板53を得る方法も利用できる。
【0032】
(第8の実施形態)
図11は、導電回路2の導体に一部が前記貫通孔と同じ位置にあり、かつ平面形状が環状の開口3を設け、該開口3の内に導電性樹脂5を充填し、かつ該開口3と前記貫通孔4とを重ね合わせて導電性樹脂5を一体化することにより、該導電回路2と導電性樹脂5を電気的に接合した回路基板33を示す。ここで図11(a)は平面図を、図11(b)は図11(a)の線F−F’に沿った断面図を示す。図に示すように開口3は半裁された環状をなしており、その中心部で貫通孔4に通じている。
回路基板をこのように構成しておけば、導電回路2と導電性樹脂5との接触面積が大きくなっているので、接触抵抗の低い回路基板とすることができる。
【0033】
図12は第8の実施形態における回路基板の製造方法の一例を示す断面工程図である。
出発材料は第1の実施形態の場合と同様にポリイミド等の絶縁性樹脂1の片面に銅箔2aを貼り付け、裏面には接着剤7を貼り付けた片面銅貼り基板を使用した積層フィルム8である(図12(a)参照)。
次に、積層フィルム8の導電回路側の表面に、ロールラミネーターを用いてフォトレジストフィルムを熱圧着し、フォトレジストフィルムに所定形状の回路パターンを露光し、現像処理してレジストマスクを形成する。この際フォトレジストフィルムには貫通孔4と貫通孔4に接続する開口3となるパターンも形成しておく。
次いで、レジストマスクを形成した基板を第二塩化鉄を主成分とするアルカリエッチャント中に浸漬させケミカルエッチングし、銅箔の不要部分をエッチング除去して導電回路2を形成する(図12(b)参照)。
【0034】
開口3と貫通孔4の位置の銅箔をエッチング除去して絶縁性基板1を露出させた後、貫通孔4の位置にたとえばレーザ照射を利用して絶縁性基板1及び接着剤7を貫通する貫通孔4を形成する。レーザ照射は貫通孔4の位置のみ照射するようにビーム走査を制御する(図12(c)参照)。
最後に、開口3と貫通孔4とに導電性樹脂5を印刷機を利用して塗布し、導体回路2の表面に直接スキージを接触させて導電性樹脂5を開口3と貫通孔4に充填して回路基板33を得る(図12(d)参照)。刷版を用いずに金属箔上に直接導電性樹脂を塗布し、スキージを用いて充填することにより凹部である開口3と貫通孔4にのみ導電性樹脂5が残留する。この時、開口3と貫通孔4との導電性樹脂5は連続しており、後の焼成によって一体化する。
【0035】
(第9の実施形態)
図13は上記第8に実施形態によって得られた回路基板を使用した、多層回路基板54の断面構造を示している。第8に実施形態によって得られた3枚の回路基板を、各回路基板の表面または内部に設けたアライメントマーク、基準穴もしくは回路パターン等利用して位置決めした後、重ね合わせて真空キュアプレス機またはキュアプレス機を用いて熱圧着することにより、多層回路基板54を得る。
多層回路基板をこのように構成しておけば、各導電回路2と導電性樹脂5との接触面積が大きくなっているので、接触抵抗の低い多層回路基板とすることができる。
【0036】
(第10の実施形態)
図14は導電回路2に設ける開口3の別の形態を示す平面図である。この第10の実施形態における回路基板34では、開口3は中心が貫通孔4と同一の渦巻き型となっている。したがって開口3中の導電性樹脂5は渦巻きの中心部で貫通孔4内の導電性樹脂5と一体結合することとなる。
回路基板をこのように構成しておけば、導電回路2と導電性樹脂5との接触面積が大きくなっているので、接触抵抗の低い回路基板とすることができる。
【0037】
(第11の実施形態)
図15は導電回路2に設ける開口3の他の形態を示す平面図である。この第11の実施形態における回路基板35では、開口3は中心が貫通孔4を通る逆S字型となっている。したがって開口3中の導電性樹脂5は逆S字型の中心部で貫通孔4内の導電性樹脂5と一体結合することとなる。
回路基板をこのように構成しておけば、導電回路2と導電性樹脂5との接触面積が大きくなっているので、接触抵抗の低い回路基板とすることができる。
【0038】
【実施例】
(実施例1)
図3から図5に示す第1及び第2の実施形態の製造工程に従って、図5(j)に示すような3層の導電回路を有する多層回路基板50を製造した。本実施例では絶縁性基板としてポリイミドフィルムを使用し、導電回路2には厚さ18μmの銅箔を使用した。ロールラミネータを使用して銅箔上に厚さ15μmのフォトレジストフィルムを熱圧着した。
次いで、パターンを露光・現像して貫通孔と開口のレジストマスクパターンを形成した。貫通孔の直径は100μm、開口の幅は10μm、長さは10μmとした。
【0039】
次に、塩化第二鉄を主成分とするエッチャントを用いて銅箔のケミカルエッチングを行った。エッチングにより銅箔に開口パターンをあけ、貫通孔部分にCO2レーザを照射し、ポリイミド基板と接着剤を貫通させた。なお、本実施例では貫通孔の形成にCO2レーザを用いたが、他のレーザ光源として例えばエキシマレーザやNd・YAGレーザを用いることもできる。
次に、貫通孔と開口を形成した基板の表面に銀ペーストを塗布し、銅箔表面に直接スキージを接触させて銀ペーストを貫通孔及び開口内に充填した。
【0040】
充填した銀ペーストを100℃のオーブン中で乾燥した後、レジストフィルムを圧着し、回路パターンを露光・現像した。再度塩化第二鉄溶液を主成分とするエッチャントを使用して銅箔をエッチングして導電回路を形成した後、レジストを剥離して図4(g)に示す構造の回路基板20を完成させた。
【0041】
次いで、同様の方法により図4(h)に示すような構造の回路基板21を作成し、1枚の回路基板21と99枚の回路基板20と銅箔2aを図5(i)に示すよう重ね合わせ、10〜50Kg/cm2の加圧力を印荷しながら150〜250℃に加熱して熱圧着し、100個の貫通孔を直列に接続した構造を有する多層回路基板50’を作成して特性を評価した。
【0042】
(比較例)
層間接続部の特性を比較評価するために、同様に100個の貫通孔を直列に接続し、図16に示す従来の貫通孔型の構造を有する多層回路基板を作成した。
【0043】
本実施例及び比較例の多層基板の表面の導電回路と底面の導電回路間に直流電流を流した時の電気抵抗を比較したところ、本発明の多層基板では電気抵抗の変動値は±20%以内の範囲で一定値を示した。これに対して従来型構造の層基板では、電気抵抗の変動値は±200%にも達して不安定であり、電気抵抗の絶対値も本発明の場合に比較して1.5〜3倍も高かった。
さらに両基板を−20℃〜+60℃の温度サイクル試験に1000サイクル通した後、再び回路抵抗を測定した。
その結果、本発明の多層回路基板では5〜10%抵抗値が増加していたのに対して、従来構造の多層回路基板では10〜100%も抵抗値が増加していた。
以上の評価結果より、導電樹脂と導電回路との接触抵抗が回路全体の電気抵抗に大きく影響していることが確認された。
【0044】
【作用】
本発明の回路基板は、導電回路表面に開口を設け、この開口内に導電性樹脂を充填して導電回路と貫通孔内の導電性樹脂との接触面積を増大させることにより、接触抵抗を低くしたものである。
【0045】
【発明の効果】
本発明の回路基板によれば、薄い絶縁層厚を要求される回路基板においても導体厚さを増加させる必要はなく、導電性樹脂で構成される層間接続回路と絶縁性基板上の導電回路とを広い面積で接触させ、低抵抗で安定した層間接続を達成できるので、多層回路基板を構成した場合でも基板厚さを薄くすることができ、電子部品の軽薄短小化に寄与することができるようになる。
また、本発明の回路基板の製造方法によれば、従来の製造工程に比較して大幅な工程付加をする必要もなく、従来の材料や従来の装置を使用して容易に回路基板の薄型化が達成できる。また、導体ランド上に導電性樹脂を印刷するランド積層型に比較しても、導体厚さの増加がなく、絶縁層を薄くできると同時に印刷時のアライメント作業も不要となるので、製造工程が簡略化できる利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の回路基板の貫通孔部の一例を示す部分平面図である。
【図2】図1に示した本発明の回路基板の線A−A’に沿った断面図である。
【図3】本発明の回路基板の製造方法の一例を示す断面工程図である。
【図4】図3に続く断面工程図である。
【図5】図4に続く本発明の多層回路基板の製造方法の断面工程図である。
【図6】本発明の他の回路基板の貫通孔部の例を示す平面図である。
【図7】本発明のさらに別の回路基板の貫通孔部の例を示す平面図である。
【図8】本発明の多層回路基板の製造方法の一例を示す断面行程図である。
【図9】本発明の多層回路基板の他の製造方法の例を示す断面行程図である。
【図10】本発明の多層回路基板のさらに別の製造方法の例を示す断面行程図である。
【図11】本発明の回路基板の開口の他の例を示す図である。
【図12】図10に示す回路基板の製造方法の一例を示す断面工程図である。
【図13】図12の方法によって得られた回路基板を使用した多層回路基板の断面図である。
【図14】本発明の回路基板の開口の他の例を示す図である。
【図15】本発明の回路基板の開口のさらに別の例を示す図である。
【図16】従来の多層回路基板の構造を示す図である。
【図17】図16に示す従来の多層回路基板の製造方法を示す断面工程図である。
【図18】従来の多層回路基板の別の製造方法を示す断面工程図である。
【図19】従来の回路基板の貫通孔部分の構造を説明する図である。
【図20】従来の回路基板の別の構造を説明する図である。
【図21】従来の回路基板の他の構造を説明する図である。
【図22】従来の回路基板のさらに別の構造を説明する図である。
【符号の説明】
1,101・・・・・・絶縁性基板、2,102・・・・・・導電回路、3・・・・・・開口、4,104・・・・・・貫通孔、5,105・・・・・・導電性樹脂、6・・・・・・片面銅貼り基板、7・・・・・・接着剤、8・・・・・・積層フィルム、10,20,21,30,31,32,33,34,35,110,111,112,113・・・・・・回路基板、36・・・・・・離型フィルム、50,51,52,53,54,100,200・・・・・・多層回路基板、116・・・・・・ランド
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子部品を実装する回路基板またはパッケージ基板に関し、特に基板に形成した回路の電気特性を向上させるための基板構造及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、電子機器の軽薄短小化、半導体チップや部品の小型化および端子の狭ピッチ化に連動して、プリント回路基板にも実装面積の縮小や配線の精細化が進んでいる。同時に情報関連機器では信号周波数の広帯域化に対応して、部品間を連結する配線の短距離化が求められており、高密度、高性能を達成するための回路基板の多層化は必要不可欠の技術となっている。この多層回路基板では、従来の平面回路にはなかった層間を電気的に接続する回路形成がキーテクノロジーとなってきている。多層回路基板の第一ステップである両面配線基板は、絶縁基材に貫通孔をあけ、孔の壁面に沿って導体をメッキして表裏の配線を接続している。例えば、ビルドアップ多層基板においても回路層間の絶縁層の一部をレーザ等で除去し、メッキで接続する方法を用いている(福田著:「はじめてのエレクトロニクス実装技術」工業調査会 p.71参照)。メッキを用いた回路配線の接続は、微細な回路を低く安定した接続抵抗で連結できる利点を持つが、工程が複雑で工数も多いためコストが高くなり、多層基板の用途を制限する要因となっていた。
【0003】
近年、メッキに変わる安価な層間接続方法として導電性樹脂(導電ペースト)を用いた多層基板が実用化され、多層基板の用途も急速に拡大し始めた(例えば、白石ら:松下テクニカルジャーナル、Vol.45,No.4、p.401(1999)あるいは福岡ら:電子材料、Vol.34,No.16、p.95(1995)参照)。この技術では、絶縁樹脂板を出発材料としてレーザを用いて貫通孔(ビアホール)を開口した後、印刷法によって導電性樹脂を貫通孔内に充填し、表裏接続回路としている。所望の箇所に導電性樹脂による接続部が設けられた絶縁基材を、銅箔で挟んで圧着することをくり返し、多層接続導電回路を構成している。
【0004】
図16は従来の多層回路基板の構造を示す図であり、図16(a)は平面図を、図16(b)は線G−G’に沿った断面図を示している。
図に示すように樹脂フィルムからなる絶縁性基板101上に銅箔などからなる導電回路102が形成されており、導電回路102をとおして絶縁性基板101に貫通孔104が設けられている。貫通孔104内には導電性樹脂105が充填されている。図16(b)に示すようにこのような基板が貫通孔104を一致させて複数枚重ね合わされて多層回路基板100が構成されている。この結果、導電性樹脂中に含まれる銅や銀などの導電性粒子を介して導電回路102と導電性樹脂105が電気的に接続されている。
【0005】
図17に上記のような従来の多層回路基板の製造工程の一例を示す。
絶縁性基板101を出発材料とし(工程(a)参照)、所定位置に貫通孔104を窄孔する(工程(b)参照 )。次に貫通孔104内に導電性樹脂105を充填する(工程(c)参照 )。
次に基板の両面にたとえば銅箔2aを貼り付ける(工程(d)参照 )。次いで銅箔2aの表面にフォトレジスト膜を形成し、所定の回路パターンを露光・現像した後フォトレジスト膜をマスクとしてケミカルエッチングを行って、所定の導電回路102を形成する
次いでこのようにして得た所定の導電回路を有する回路基板110,114を必要枚数と銅箔102aを上下に重ね合わせて熱圧着する(工程(f)参照 )。このようにして図17(g)に示す多層回路基板100を得ていた。
【0006】
図18には従来の多層回路基板200を得るための別の一例を示す。
この方法では工程(a)から工程(d)では片面に銅箔を貼った片面銅貼り基板を出発材料として使用して、図7と同様な手順で回路基板111を製作し、一方工程(e)から工程(h)では両面に銅箔2a,2aを貼った両面銅貼り基板を出発材料として使用し、やはり図17と同様の手順で回路基板114を作成し、工程(i)で熱圧着し図18(j)に示すような回路基板200を得ていた。
【0007】
また、これ以外にも絶縁層として感光性樹脂を用いて露光・現像を行うことにより貫通孔を形成したり、ケミカルエッチング(町田:表面実装技術 Vol.17 No.1 p.31(1997))あるいはドライエッチングによって樹脂を除去する方法も提案されている。導電性樹脂を用いた多層回路基板の製造方法は、安価である反面、導電性樹脂部分の電気抵抗が高く、銅箔を使用した導電回路との接触抵抗が安定しない等のいくつかの欠点もあるが、それらも徐々に克服されつつある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、マルチチップモジュールなどベアチップを実装する基板では配線の高密度化に伴って1層の回路基板の厚さも減少する傾向にある。層厚の減少によって基板として使用する絶縁フィルム単体では基板の撓みや皺が発生し易くなり、寸法安定性が確保しにくくなっている。
層間接続に導電性樹脂を用いる多層基板の製造方法においては、素材として銅箔貼りフィルムを出発材料とすることにより、フィルムの剛性が高まり高い寸法精度を容易に維持できるが、なお次のような欠点が残っている。
【0009】
図19(貫通孔型)は従来の貫通孔型回路基板110の平面配置図(a)と線H−H’に沿った断面図(b)である。図に示すように樹脂フィルムからなる絶縁性基板101上に銅箔などからなる導電回路102が形成されており、導電回路102をとおして絶縁性基板101に貫通孔104が設けられている。貫通孔104内には導電性樹脂105が充填されており、導電性樹脂105中に含まれる銅や銀などの導電性粒子を介して導電回路102と導電性樹脂105が電気的に接続されている。
図19(b)に示すように、導電回路102と導電性樹脂105との接続は、厚さ(h)とする導電回路102の内面で行われているので点接触に近く、貫通孔が小さくしかも導電回路が薄くなるに従って導電回路102と導電性樹脂105との接触面積が小さくなり、両者の接触抵抗は急激に増加する。また、冷熱サイクルなどによって繰返し応力が発生すると上記接触部や導電性樹脂内の接触抵抗が上昇するため、多層回路を形成した時に良好な電気伝導特性が得られなくなる問題があった。特に回路の微細化に伴って導電回路の厚さが薄くなるほど、導電回路と導電性樹脂との接触面積は減少し、接触抵抗の増大は顕著になる。
【0010】
上記の欠点を補い、導電回路と導電性樹脂との接触抵抗を安定して低く維持するために、図20(蓋メッキ型)に示すように、貫通孔104内に導電性樹脂105を充填した後、導電回路102及び貫通孔104内の導電性樹脂105の表面にメッキ層114を形成して、導電回路102と導電性樹脂105との接触面積を確保した回路基板111とする方法が提案されている。この手段によれば導電回路と導電性樹脂との接触面積を広げることができるため、接触抵抗は充分低く抑えることができるが、メッキ処理によるコストアップは避けられず、導電性樹脂による層間接続法の利点は失われてしまう。
【0011】
メッキを用いずに同様の構造を達成するために、導電回路を有する基板に表裏接続回路用の貫通孔をあける際に、導電回路を残して基板のみを貫通させ、形成された有蓋貫通孔に導電性樹脂を充填する方法が考えられている。図21(有蓋貫通孔型)はこの方法によって得られた回路基板112の断面図を示している。この方法では導電性樹脂105と導電回路102との電気的接続は良好であるものの、有蓋貫通孔への導電性樹脂の充填に難点がある。貫通孔の場合の導電性樹脂の充填は、孔の片方から導電性樹脂を印刷、注入することにより容易に充填が達成されるが、有蓋貫通孔の場合には導電性樹脂の注入の過程で孔底に残った空気が排出されず、気泡として残留して導電性樹脂の充填が不完全となり易い。真空中で印刷することにより気泡を残留させることなく孔に充填することのできる装置も開発されているが、装置コスト、加工工数とも極端に増大してしまい、本工程を適用した製品は限定された分野にしか用いることができない。
【0012】
一方、導電回路の表面を含み、貫通孔の開口部よりも一回り大きな範囲に導電性樹脂を印刷することによっても、導電性樹脂と導電回路との接触面積を拡大して接触抵抗を低く安定化させることができる。図22(ランド積層型)はこの方法によって作られた回路基板113の断面を示している。図に示すようにこの回路基板113では、貫通孔104を含む導電回路102上に導電性樹脂からなるランド116が形成されており、導電回路102の表面でも導電回路102と導電性樹脂105とが接触しているので、接触面積は図19(b)の貫通孔型に比較して接触面積は増加している。この方法によれば絶縁性基板101に形成した貫通孔104に印刷法を用いて導電性樹脂105を充填する際、同時に貫通孔周りに導電性樹脂からなるランド116をパターン形成できるため、低コストで回路基板を得ることができる。
【0013】
しかしながら、上記構造においては一層の回路基板の小型化・高密度化を目的とした回路ピッチの微細化や導体間の薄層化に対して障害が起こる恐れがある。すなわち、貫通孔周辺のランド部において導電回路102上に重ねて導電性樹脂を印刷するため、ランド厚さが極端に増大し基板の薄型化を妨げたり、多層積層後の基板全体の平坦性を損ない易くなる。また、導電性樹脂の印刷時にランドの中心と貫通孔の位置を整合させる必要があるため、印刷装置のアライメント精度よりランドの寸法を小さくできず、回路の微細化が制約されることとなる。したがって多層積層基板の層間の接続に導電性樹脂を使用し、低コストで優れた電気特性を維持しつつ高密度化に対応するためには層間接続方法のさらなる改良が望まれている。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記の問題を解決するため本発明の回路基板は、絶縁性基板に貫通孔を有し、該貫通孔内に導電性樹脂が充填されており、該導電性樹脂と前記絶縁性基板の表面に形成された導電回路とを電気的に接続してなる回路基板であって、該導電回路の導体に平面形状が歯車型の開口を設けて該開口内に導電性樹脂を充填し、かつ該開口と前記絶縁性基板に設けた貫通孔とを重ね合わせて導電性樹脂を一体化することにより、該導電回路と導電性樹脂を電気的に接合してなる回路基板とした。
本発明の回路基板では、前記歯車型の開口に代えて環状、鋸歯型、花びら型、渦巻き型あるいはS字型の開口とすることも可能である。
回路基板をこのように構成することにより、特殊な装置を用いず工数の増大を最小限に留めた方法で、導電回路と導電性樹脂との接触面積を増大させて、接触抵抗を低位安定させ、良好な電気特性を有する回路基板とすることができる。
【0015】
本発明の多層回路基板は、上記の本発明の回路基板を、少なくとも1枚以上の積層してなる多層回路基板である。
各回路基板の導電回路と導電性樹脂との接触抵抗が低いので、多層に積層しても全体として接触抵抗が低く、良好な電気特性を有する多層回路基板とすることができる。
【0016】
また、本発明の回路基板の製造方法は、少なくとも一方の面に導電体膜を具備した絶縁性基板の導電体膜上にフォトレジスト膜を形成した後、環状、歯車型、鋸歯型、花びら型、渦巻き型もしくはS字型から選ばれた1種の開口パターンを有する所定の回路パターンを露光して現像処理し、得られたフォトレジスト膜パターンをマスクとして前記導電体膜をエッチングし、次いで、得られた導電体パターンをマスクとして基板の所定位置に貫通孔を設けた後、導電体パターン表面の開口と前記貫通孔内に導電性樹脂を充填して、導電性樹脂と導電体膜とを電気的に接続する製造方法を採用した。
【0017】
さらに、本発明の多層回路基板の製造方法は、上記の本発明の製造方法により得られた回路基板を、少なくとも1枚以上積層して接合する方法を採用した。
この方法によれば、特殊な装置を用いずに工数の増大を最小限に抑えて安価に得られた回路基板を使用し、通常の方法で積層するので多層回路基板も安価に得ることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下図面を使用して本発明をさらに詳細に説明する。
なお、以下の図においては構造を分かり易く説明するため、縮尺は必ずしも正確ではない。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の回路基板の貫通孔部分を示す部分平面図である。また図2は図1に示す回路基板の線A−A’に沿った断面図である。
図1および図2に示すように、本発明の回路基板10では、樹脂等からなる絶縁性基板1に貫通孔4が設けてあり、絶縁性基板1の表面には銅箔等からなる所定のパターンの導電回路2が設けてある。導電回路2の表面には開口3が形成されており、本実施形態においては開口3の中心は貫通孔4の中心と同じに形成されている。また、開口3は貫通孔4と同心の円周に沿って形成されている。貫通孔4の内部と開口3の内部には、銅ペースト等の導電性樹脂5が充填されており、導電性樹脂5と導電回路2とは電気的に接続されている。
このため導電回路2と導電性樹脂5との接触面積は、図19に示した従来の貫通孔型の回路基板の場合と比較して大幅に増加しており、導電回路2と導電性樹脂5との接触抵抗は低く、安定した電気特性を示す回路基板となる。
【0019】
次に、図1及び図2に示すような本発明の回路基板の製造方法の一例について説明する。図3から図5は本発明の回路基板の製造方法の一例を示す工程断面図である。この例ではポリイミドフィルムからなる絶縁性基板1の片面に導電回路2となる銅箔2aを貼り付けた片面銅貼り基板( Copper Clad Laminate:CCL)6に接着剤7を貼り合わせた積層フィルム8を出発材料としている(図3(a)参照)。CCLにはポリイミド等の絶縁性樹脂と金属導体箔とを接着剤を用いて接合したタイプ、銅箔上にポリイミドの前駆体を塗布した後加熱焼成したタイプや、ポリイミドフィルム上に金属膜を蒸着したタイプ、または蒸着膜をシード層としてメッキにより銅を成長させるタイプ等があり、本発明ではこれらのCCLの銅と反対側に接着剤層が存在する張り合わせフィルムの他、全層が熱可塑性ポリイミドからなるCCLも出発材料として適用できる。また、熱可塑性挙動を示す液晶ポリマーを絶縁層として用いたCCLも出発材料として適用可能である。
【0020】
次に、積層フィルム8の導電回路側の表面に、ロールラミネーターを用いてフォトレジストフィルム35を熱圧着する(図3(b)参照)。次いでフォトレジストフィルム35に所定形状の回路パターンを露光し、現像処理してレジストマスクを形成する(図3(c)参照)。この際フォトレジストフィルムには貫通孔部41と貫通孔部41に接続する開口3となるパターンも同時に形成しておく。
【0021】
次いで、レジストマスクを形成した基板を塩化第二鉄を主成分とするアルカリエッチャント中に浸漬させケミカルエッチングし、銅箔の不要部分をエッチング除去する(図3(d)参照)。
【0022】
塩化第二鉄を主成分とする酸性エッチャントを用いたケミカルエッチングにより、開口3と貫通孔4の位置の銅箔をエッチング除去して絶縁性基板1が露出した時点で残留したフォトレジスト膜を溶解除去した後、たとえばレーザ照射を利用して絶縁性基板1及び接着剤7を貫通する貫通孔4を形成する。レーザ照射は貫通孔4の位置のみ照射するようにビーム走査を制御する(図3(e)参照)。ここで図3(e−2)は平面図を、図3(e−1)は(e−2)の線B−B’に沿った断面図を示す。
樹脂製の絶縁性基板の穿孔には、レーザ照射を利用する以外にもプラズマエッチングや適当な薬剤を用いた化学エッチングを利用することもできる。エッチング終了後、必要に応じて貫通孔内を化学処理によってクリーニングする。
【0023】
最後に、開口3と貫通孔4とを形成した積層フィルム8の導体回路2側に導電性樹脂5を印刷機を利用して塗布し、導体回路2の表面に直接スキージを接触させて、導電性樹脂5を開口3と貫通孔4に充填する(図4(f)参照)。刷版を用いずに金属箔上に直接導電性樹脂を塗布し、スキージを用いて充填することにより凹部である開口3と貫通孔4ににのみ導電性樹脂5が残留する。この時、開口3と貫通孔4との導電性樹脂5は連続しており、後の焼成によって一体化する。
【0024】
導電性樹脂はエポキシ系樹脂を主成分とするバインダーと平均粒径5μm程度の金属粒をフィラーとする、粘度50〜150Pa・sの加熱硬化型導電ペーストを使用する。金属粒としては銀粒子や銅粒子あるいは銅粒子をフィラーとし、銅粒子の表面を銀で被覆した粒子が利用できる。また、溶媒成分が少なく乾燥及び硬化時に体積減少が僅かであれば樹脂の種類は問わない。
【0025】
導電性樹脂を乾燥させた後、再び回路パターン用のフォトレジスト膜を形成し、導電回路用のパターンを露光・現像して銅箔をエッチングして所定パターンの導電回路2を形成すれば、図4(g)に示すような回路基板20が得られる。ここで図4(g−2)は平面配置図を示し、図4(g−1)は図4(g−2)の線C−C’に沿った断面図である。
なお、回路基板20は図1及び図2に示した回路基板10において、導体回路表面に貫通孔に接続しない導電回路2’を設けたものである。
勿論この場合に図4(h)に示すように、2個の導電回路2,2共に貫通孔4,4に接続するものであっても良い。ここで、図4(h−2)は平面図を、図4(h−1)は(h−2)の線D−D’に沿った断面図を示す。
【0026】
(第2の実施形態)
多層回路基板を製造する場合には、上記のようにして得られた本発明の回路基板を少なくとも1枚使用して、所望の電気回路を有する複数の回路基板を重ね合わせ、加熱圧着することにより層間を接続すると同時に、導電性樹脂を硬化させて層間の電気的接続を完全なものとすることにより得られる。
たとえば、図5(i)は上記第1の実施形態で得られた回路基板20を1枚と、貫通孔を2個有する別の回路基板21を1枚と、さらに銅箔2aを1枚とを貫通孔の一つを位置合わせして重ね合わせ、加熱圧着することにより図5(j−1)に示すような3層の導電回路を有する多層回路基板50とすることができる。図5(j−2)はこのようにして得られた多層回路基板の平面図であって、2個の貫通孔4、4の周囲には、歯車型の開口3,3が設けられており、これらの開口3,3と貫通孔4,4内の導電性樹脂5,5とは、それぞれ電気的に一体接合されている。
【0027】
(第3の実施形態)
図6は貫通孔4の周囲に設けられた開口3の別の実施形態を示す部分平面図である。この回路基板31では、開口3は貫通孔4を中心にして星型に設けられている。この実施形態では星型の開口3を第1の実施形態と同様にして形成することにより、導電回路2と導電性樹脂5との接触面積が増加しているので、両者の接触抵抗を十分低くすることが可能である。
【0028】
(第4の実施形態)
図7は貫通孔4の周囲に設けられた開口3のさらに他の実施形態を示す部分平面図である。この回路基板32では、開口3は貫通孔4を中心にして花びら型に設けられている。この形状によっても導電回路2と導電性樹脂5との接触面積が増加しているので、両者の接触抵抗を十分低くすることが可能である。
【0029】
(第5の実施形態)
次に、3枚の回路基板を積層した多層回路基板の製造方法を説明する。
図8は両面銅貼り基板に貫通孔と開口を形成した回路基板31を1枚と、片面銅貼り基板に貫通孔と開口を形成した回路基板30を2枚使用して図8(a)のように重ね合わせて熱圧着し、図8(b)に示すような4面の導電回路2を有する3層の多層回路基板51としたものである。この多層回路基板51の少なくとも1面の導電回路には、開口3が形成されており、貫通孔4内の導電性樹脂5との接触面積が大きくなっているので、接触抵抗の低い多層回路基板とすることができる。
【0030】
(第6の実施形態)
次に、図9は両面銅貼り基板に貫通孔と開口を形成した回路基板31を1枚と、片面銅貼り基板に貫通孔と開口を形成した回路基板30,32を各1枚使用して図9(a)のように重ね合わせて熱圧着し、図9(b)に示すような4面の導電回路2を有する3層の多層回路基板52としたものである。このように重ね合わせる回路基板は必要に応じて任意の構造のものを使用することができ、使用する回路基板の少なくとも1面の導電回路に開口3を形成して導電性樹脂を充填しておけば、貫通孔4内の導電性樹脂5との接触面積が大きくなっているので、接触抵抗の低い多層回路基板とすることができる。
【0031】
(第7の実施形態)
また、図5(i)に示す第2の実施形態で、銅貼り回路基板20に下側に銅箔2aを重ね合わせる際に、銅箔の替わりに図10(a)に示すように離型フィルム36の表面にあらかじ銅箔からなる導電回路2を形成しておき、これを回路基板30,32と重ね合わせて熱圧着した後、離型フィルム36を剥離して図10(b)に示すような多層回路基板53を得る方法も利用できる。
【0032】
(第8の実施形態)
図11は、導電回路2の導体に一部が前記貫通孔と同じ位置にあり、かつ平面形状が環状の開口3を設け、該開口3の内に導電性樹脂5を充填し、かつ該開口3と前記貫通孔4とを重ね合わせて導電性樹脂5を一体化することにより、該導電回路2と導電性樹脂5を電気的に接合した回路基板33を示す。ここで図11(a)は平面図を、図11(b)は図11(a)の線F−F’に沿った断面図を示す。図に示すように開口3は半裁された環状をなしており、その中心部で貫通孔4に通じている。
回路基板をこのように構成しておけば、導電回路2と導電性樹脂5との接触面積が大きくなっているので、接触抵抗の低い回路基板とすることができる。
【0033】
図12は第8の実施形態における回路基板の製造方法の一例を示す断面工程図である。
出発材料は第1の実施形態の場合と同様にポリイミド等の絶縁性樹脂1の片面に銅箔2aを貼り付け、裏面には接着剤7を貼り付けた片面銅貼り基板を使用した積層フィルム8である(図12(a)参照)。
次に、積層フィルム8の導電回路側の表面に、ロールラミネーターを用いてフォトレジストフィルムを熱圧着し、フォトレジストフィルムに所定形状の回路パターンを露光し、現像処理してレジストマスクを形成する。この際フォトレジストフィルムには貫通孔4と貫通孔4に接続する開口3となるパターンも形成しておく。
次いで、レジストマスクを形成した基板を第二塩化鉄を主成分とするアルカリエッチャント中に浸漬させケミカルエッチングし、銅箔の不要部分をエッチング除去して導電回路2を形成する(図12(b)参照)。
【0034】
開口3と貫通孔4の位置の銅箔をエッチング除去して絶縁性基板1を露出させた後、貫通孔4の位置にたとえばレーザ照射を利用して絶縁性基板1及び接着剤7を貫通する貫通孔4を形成する。レーザ照射は貫通孔4の位置のみ照射するようにビーム走査を制御する(図12(c)参照)。
最後に、開口3と貫通孔4とに導電性樹脂5を印刷機を利用して塗布し、導体回路2の表面に直接スキージを接触させて導電性樹脂5を開口3と貫通孔4に充填して回路基板33を得る(図12(d)参照)。刷版を用いずに金属箔上に直接導電性樹脂を塗布し、スキージを用いて充填することにより凹部である開口3と貫通孔4にのみ導電性樹脂5が残留する。この時、開口3と貫通孔4との導電性樹脂5は連続しており、後の焼成によって一体化する。
【0035】
(第9の実施形態)
図13は上記第8に実施形態によって得られた回路基板を使用した、多層回路基板54の断面構造を示している。第8に実施形態によって得られた3枚の回路基板を、各回路基板の表面または内部に設けたアライメントマーク、基準穴もしくは回路パターン等利用して位置決めした後、重ね合わせて真空キュアプレス機またはキュアプレス機を用いて熱圧着することにより、多層回路基板54を得る。
多層回路基板をこのように構成しておけば、各導電回路2と導電性樹脂5との接触面積が大きくなっているので、接触抵抗の低い多層回路基板とすることができる。
【0036】
(第10の実施形態)
図14は導電回路2に設ける開口3の別の形態を示す平面図である。この第10の実施形態における回路基板34では、開口3は中心が貫通孔4と同一の渦巻き型となっている。したがって開口3中の導電性樹脂5は渦巻きの中心部で貫通孔4内の導電性樹脂5と一体結合することとなる。
回路基板をこのように構成しておけば、導電回路2と導電性樹脂5との接触面積が大きくなっているので、接触抵抗の低い回路基板とすることができる。
【0037】
(第11の実施形態)
図15は導電回路2に設ける開口3の他の形態を示す平面図である。この第11の実施形態における回路基板35では、開口3は中心が貫通孔4を通る逆S字型となっている。したがって開口3中の導電性樹脂5は逆S字型の中心部で貫通孔4内の導電性樹脂5と一体結合することとなる。
回路基板をこのように構成しておけば、導電回路2と導電性樹脂5との接触面積が大きくなっているので、接触抵抗の低い回路基板とすることができる。
【0038】
【実施例】
(実施例1)
図3から図5に示す第1及び第2の実施形態の製造工程に従って、図5(j)に示すような3層の導電回路を有する多層回路基板50を製造した。本実施例では絶縁性基板としてポリイミドフィルムを使用し、導電回路2には厚さ18μmの銅箔を使用した。ロールラミネータを使用して銅箔上に厚さ15μmのフォトレジストフィルムを熱圧着した。
次いで、パターンを露光・現像して貫通孔と開口のレジストマスクパターンを形成した。貫通孔の直径は100μm、開口の幅は10μm、長さは10μmとした。
【0039】
次に、塩化第二鉄を主成分とするエッチャントを用いて銅箔のケミカルエッチングを行った。エッチングにより銅箔に開口パターンをあけ、貫通孔部分にCO2レーザを照射し、ポリイミド基板と接着剤を貫通させた。なお、本実施例では貫通孔の形成にCO2レーザを用いたが、他のレーザ光源として例えばエキシマレーザやNd・YAGレーザを用いることもできる。
次に、貫通孔と開口を形成した基板の表面に銀ペーストを塗布し、銅箔表面に直接スキージを接触させて銀ペーストを貫通孔及び開口内に充填した。
【0040】
充填した銀ペーストを100℃のオーブン中で乾燥した後、レジストフィルムを圧着し、回路パターンを露光・現像した。再度塩化第二鉄溶液を主成分とするエッチャントを使用して銅箔をエッチングして導電回路を形成した後、レジストを剥離して図4(g)に示す構造の回路基板20を完成させた。
【0041】
次いで、同様の方法により図4(h)に示すような構造の回路基板21を作成し、1枚の回路基板21と99枚の回路基板20と銅箔2aを図5(i)に示すよう重ね合わせ、10〜50Kg/cm2の加圧力を印荷しながら150〜250℃に加熱して熱圧着し、100個の貫通孔を直列に接続した構造を有する多層回路基板50’を作成して特性を評価した。
【0042】
(比較例)
層間接続部の特性を比較評価するために、同様に100個の貫通孔を直列に接続し、図16に示す従来の貫通孔型の構造を有する多層回路基板を作成した。
【0043】
本実施例及び比較例の多層基板の表面の導電回路と底面の導電回路間に直流電流を流した時の電気抵抗を比較したところ、本発明の多層基板では電気抵抗の変動値は±20%以内の範囲で一定値を示した。これに対して従来型構造の層基板では、電気抵抗の変動値は±200%にも達して不安定であり、電気抵抗の絶対値も本発明の場合に比較して1.5〜3倍も高かった。
さらに両基板を−20℃〜+60℃の温度サイクル試験に1000サイクル通した後、再び回路抵抗を測定した。
その結果、本発明の多層回路基板では5〜10%抵抗値が増加していたのに対して、従来構造の多層回路基板では10〜100%も抵抗値が増加していた。
以上の評価結果より、導電樹脂と導電回路との接触抵抗が回路全体の電気抵抗に大きく影響していることが確認された。
【0044】
【作用】
本発明の回路基板は、導電回路表面に開口を設け、この開口内に導電性樹脂を充填して導電回路と貫通孔内の導電性樹脂との接触面積を増大させることにより、接触抵抗を低くしたものである。
【0045】
【発明の効果】
本発明の回路基板によれば、薄い絶縁層厚を要求される回路基板においても導体厚さを増加させる必要はなく、導電性樹脂で構成される層間接続回路と絶縁性基板上の導電回路とを広い面積で接触させ、低抵抗で安定した層間接続を達成できるので、多層回路基板を構成した場合でも基板厚さを薄くすることができ、電子部品の軽薄短小化に寄与することができるようになる。
また、本発明の回路基板の製造方法によれば、従来の製造工程に比較して大幅な工程付加をする必要もなく、従来の材料や従来の装置を使用して容易に回路基板の薄型化が達成できる。また、導体ランド上に導電性樹脂を印刷するランド積層型に比較しても、導体厚さの増加がなく、絶縁層を薄くできると同時に印刷時のアライメント作業も不要となるので、製造工程が簡略化できる利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の回路基板の貫通孔部の一例を示す部分平面図である。
【図2】図1に示した本発明の回路基板の線A−A’に沿った断面図である。
【図3】本発明の回路基板の製造方法の一例を示す断面工程図である。
【図4】図3に続く断面工程図である。
【図5】図4に続く本発明の多層回路基板の製造方法の断面工程図である。
【図6】本発明の他の回路基板の貫通孔部の例を示す平面図である。
【図7】本発明のさらに別の回路基板の貫通孔部の例を示す平面図である。
【図8】本発明の多層回路基板の製造方法の一例を示す断面行程図である。
【図9】本発明の多層回路基板の他の製造方法の例を示す断面行程図である。
【図10】本発明の多層回路基板のさらに別の製造方法の例を示す断面行程図である。
【図11】本発明の回路基板の開口の他の例を示す図である。
【図12】図10に示す回路基板の製造方法の一例を示す断面工程図である。
【図13】図12の方法によって得られた回路基板を使用した多層回路基板の断面図である。
【図14】本発明の回路基板の開口の他の例を示す図である。
【図15】本発明の回路基板の開口のさらに別の例を示す図である。
【図16】従来の多層回路基板の構造を示す図である。
【図17】図16に示す従来の多層回路基板の製造方法を示す断面工程図である。
【図18】従来の多層回路基板の別の製造方法を示す断面工程図である。
【図19】従来の回路基板の貫通孔部分の構造を説明する図である。
【図20】従来の回路基板の別の構造を説明する図である。
【図21】従来の回路基板の他の構造を説明する図である。
【図22】従来の回路基板のさらに別の構造を説明する図である。
【符号の説明】
1,101・・・・・・絶縁性基板、2,102・・・・・・導電回路、3・・・・・・開口、4,104・・・・・・貫通孔、5,105・・・・・・導電性樹脂、6・・・・・・片面銅貼り基板、7・・・・・・接着剤、8・・・・・・積層フィルム、10,20,21,30,31,32,33,34,35,110,111,112,113・・・・・・回路基板、36・・・・・・離型フィルム、50,51,52,53,54,100,200・・・・・・多層回路基板、116・・・・・・ランド
Claims (7)
- 絶縁性基板に貫通孔を有し、該貫通孔内に導電性樹脂が充填されており、該導電性樹脂と前記絶縁性基板の表面に形成された導電回路とを電気的に接続してなる回路基板であって、該導電回路の導体に平面形状が歯車型の開口を設けて該開口内に導電性樹脂を充填し、かつ該開口と前記絶縁性基板に設けた貫通孔とを重ね合わせて導電性樹脂を一体化することにより、該導電回路と導電性樹脂を電気的に接合してなることを特徴とする回路基板。
- 絶縁性基板に貫通孔を有し、該貫通孔内に導電性樹脂が充填されており、該導電性樹脂と前記絶縁性基板の表面に形成された導電回路とを電気的に接続してなる回路基板であって、該導電回路の導体に平面形状が鋸歯型の開口を設けて該開口内に導電性樹脂を充填し、かつ該開口と前記絶縁性基板に設けた貫通孔とを重ね合わせて導電性樹脂を一体化することにより、該導電回路と導電性樹脂を電気的に接合してなることを特徴とする回路基板。
- 絶縁性基板に貫通孔を有し、該貫通孔内に導電性樹脂が充填されており、該導電性樹脂と前記絶縁性基板の表面に形成された導電回路とを電気的に接続してなる回路基板であって、該導電回路の導体に平面形状が花びら型の開口を設けて該開口内に導電性樹脂を充填し、かつ該開口と前記絶縁性基板に設けた貫通孔とを重ね合わせて導電性樹脂を一体化することにより、該導電回路と導電性樹脂を電気的に接合してなることを特徴とする回路基板。
- 絶縁性基板に貫通孔を有し、該貫通孔内に導電性樹脂が充填されており、該導電性樹脂と前記絶縁性基板の表面に形成された導電回路とを電気的に接続してなる回路基板であって、該導電回路の導体に少なくとも一部が前記貫通孔と同じ位置にあり、かつ平面形状が環状または渦巻き型ないしはS字型の開口を設け、該開口の内に導電性樹脂を充填し、かつ該開口と前記絶縁性基板に設けた貫通孔とを重ね合わせて導電性樹脂を一体化することにより、該導電回路と導電性樹脂を電気的に接合してなることを特徴とする回路基板。
- 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の回路基板を、少なくとも1枚以上の積層してなることを特徴とする積層回路基板。
- 少なくとも一方の面に導電体膜を具備した絶縁性基板の導電体膜上にフォトレジスト膜を形成した後、環状、歯車型、鋸歯型、花びら型、渦巻き型もしくはS字型から選ばれた1種の開口パターンを有する所定の回路パターンを露光して現像処理し、得られたフォトレジスト膜パターンをマスクとして前記導電体膜をエッチングし、次いで、得られた導電体パターンをマスクとして基板の所定位置に貫通孔を設けた後、導電体パターン表面の開口と前記貫通孔内に導電性樹脂を充填して、導電性樹脂と導電体膜とを電気的に接続することを特徴とする回路基板の製造方法。
- 請求項6に記載の製造方法により得られた回路基板を、少なくとも1枚以上積層して接合することを特徴とする多層回路基板の製造方法。
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-
2002
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