JP2004010689A - タイヤ - Google Patents
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Abstract
【課題】グリップ性能、耐摩耗性、高速耐久性の全てを高いレベルで満足する、特に高性能自動車タイヤ、レース用タイヤ、航空機用タイヤなど高速走行用に好適なタイヤを提供することを目的とする。
【解決手段】トレッド部を有し、該トレッド部を構成するゴム組成物が、ゴム成分と平均径が0.5nmから500nmの炭素繊維を2.5質量%以上含有する補強性充填材とを配合してなることを特徴とするタイヤである。
【選択図】 なし
【解決手段】トレッド部を有し、該トレッド部を構成するゴム組成物が、ゴム成分と平均径が0.5nmから500nmの炭素繊維を2.5質量%以上含有する補強性充填材とを配合してなることを特徴とするタイヤである。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、タイヤに関し、さらに詳しくは、トレッドを構成するゴム組成物(トレッドゴム)として、炭素繊維を配合したゴム組成物を適用したタイヤ、特に、高性能自動車タイヤ、レース用タイヤ、航空機用タイヤなど高速走行に用いられるタイヤに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、乗用車の高性能化,高速化は著しく、また自動車レースにおいても、エンジンなどの向上によりラップタイム更新にみられるように高速化の一途にある。さらに、航空機は大型化の傾向にある。このように高速走行に用いられるタイヤにおいては、耐摩耗性、グリップ性能など他の性能を維持したうえで、高速耐久性の一層の向上が求められている。
従来、トレッドゴムの充填剤としては、補強性と耐摩耗性に優れていることからカーボンブラックが多用されている。また、SAF級/ISAF級グレードのカーボンブラックの高充填配合によりグリップ性を向上させることは知られているが、この場合、耐摩耗性が低下する傾向にあり、また発熱の増大に伴い、ブローアウト(ゴムの熱分解による内部発泡現象),トレッドセパレーション(トレッドの部分剥離)などが発生し易くなり高速耐久性は低下する傾向がある。
【0003】
また、カーボンブラックに代えてシリカを配合することによる転がり抵抗の低減、及び濡れた路面での制動性(ウェットグリップ性)の向上も一般に行なわれている。しかし、この場合には、乾燥路面での制動性(ドライグリップ性)は、カーボンブラック単独配合に比べて低下する。
そこで、シリカ配合においては、未加硫又は加硫ゴムの物性改善のため、各種のシランカップリング剤を配合することが一般的に知られているが、特に高速走行用タイヤの場合、トレッドゴムの補強性は、カーボンブラック配合ゴム組成物と比較して未だ不満足であり、一層の向上が望まれている。
【0004】
これらの問題に対しては種々の提案がされている。例えば特開2001−139840号公報には、CTAB吸着比表面積、DBP吸着量、圧縮電気比抵抗などを特定したカーボンブラックを用いることにより補強性と耐摩耗性と低発熱性とを両立させたトレッドゴムが提案されている。特開平5−140372号公報には、トレッドゴムに中空微粒子及び短繊維を配合し、押し出しなどで短繊維を配合させることにより氷雪路面でのグリップ性を向上させたタイヤが提案されている。また、特開平8−238910号公報には、トレッドゴムに、直径1μmから100μmの繊維材を混入した発泡ゴムを用いることにより湿潤路面や乾燥路面での制動性や耐摩耗性を損なわず、氷雪性能が改善されたタイヤが提案されている。しかし、これらの方法においては、乾燥路面での制動性(ドライグリップ性)は未だ不満足であった。
いずれにしても、従来の方法においては、タイヤのドライグリップ性に悪影響を及ぼすことなく、しかも耐摩耗性と高速耐久性とを高いレベルで両立させることは困難であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような状況下で、少なくともドライグリップ性を維持しつつ、高速耐久性と耐摩耗性を高い次元で両立させたタイヤ、特に高性能自動車タイヤ、レース用タイヤ、航空機用タイヤなど高速走行に用いられるタイヤを提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、トレッドゴムに、特定の炭素繊維を配合することにより、その目的を達成し得ることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、トレッド部を有し、該トレッド部を構成するゴム組成物が、ゴム成分と平均径が0.5nmから500nmの炭素繊維を2.5質量%以上含有する補強性充填材とを配合してなることを特徴とするタイヤを提供するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明のタイヤにおいて、トレッドに用いられるゴム組成物は、平均径0.5nから500nmの炭素繊維を配合したものである。平均径がこのような範囲の炭素繊維を配合することにより、トレッドゴム組成物の補強効果は向上するとともに、その放熱効果により特に高速走行時のトレッドゴムの発熱も抑制される。炭素繊維の平均径が500nmを超えればタイヤトレッドゴムとして充分な補強効果が得られない。補強効果及び製造上の観点からは、炭素繊維の平均径は、さらに1nmから400nmが好ましい。
上記の炭素繊維の平均長は、好ましくは0.5μmから50μm、特に1μmから40μmが好ましい。平均径が50μmを超えればタイヤトレッドゴムとして充分な補強効果が得られないことがある。
また、上記炭素繊維のアスペクト比は10以上が好ましく、特に15以上が好ましい。
【0008】
上記の特定性状を有する炭素繊維は、例えば昭和電工(株)製の「VGCF−6」(商標)、MTR社製の「多層カーボンナノチューブ」(商標)などとして入手できる。
また、本発明における前記炭素繊維の配合量は、補強性充填材の総量に対して2.5質量%以上になるように配合することが必要である。ここで、補強性充填材の総量とは、炭素繊維を含む全補強性充填材の配合量の合計をいう。2.5質量%未満の配合量では、特にドライグリップ性が充分に発揮されない。ドライグリップ性、耐摩耗性及び高速耐久性の全ての効果を勘案すれば、炭素繊維の配合量は3質量%以上が好ましく、さらに5質量%以上が好ましく、特に6質量%から50質量%が好ましい。
【0009】
本発明において、トレッド部のゴム組成物に用いられるゴム成分としては、天然ゴム及びジエン系合成ゴムが好適に挙げられ、これらを単独またはブレンドして使用することができる。ジエン系合成ゴムとしては、例えばスチレン−ブタジエン共重合体(SBR)、ポリブタジエン(BR)、ポリイソプレン(IR)、ブタジエン−イソプレン共重合体、ブタジエン−スチレン−イソプレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、クロロプレンゴム、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム、エチレン−プロピレン共重合体などが挙げられる。また、その一部が多官能型変性剤、例えば四塩化スズのような変性剤を用いることにより分岐構造を有しているものでもよい。特に、ゴム成分中にスチレン−ブタジエン共重合体(SBR)を20質量%から100質量%含むことが好ましい。
【0010】
本発明のゴム組成物においては、所望により、カーボンブラックや、シリカ、及び後述の一般式で表される化合物に代表される無機充填剤等、通常用いられる充填材を配合することができる。
ここで、カーボンブラックとしては、製造方法によりチャンネルブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック及びサーマルブラックなどがあるが、いずれのものも使用することができ、例えばSRF、GPF、FEF、HAF、ISAF、SAF等を挙げることができるが、ゴム組成物の用途に併せ適宜選択することが好ましい。例えば、トレッド用のゴム組成物に用いる場合は、ヨウ素吸着量(IA)が60mg/g以上、かつジブチルフタレート吸油量(DBP)が80ml/100g以上のカーボンブラックが好ましい。カーボンブラックを用いることにより、グリップ性能及び耐破壊特性を改良することができ、さらに、優れた耐摩耗性が要求される場合はHAF,ISAF,SAFを用いることが好ましい。なお、該BET値はASTM D3037−88に準拠して測定した値である。さらに、DBP値が90ミリリットル/100g未満では充分な耐摩耗性が得られにくく、また、このDBP値があまり大きすぎるとゴム組成物の破断時伸びが悪化する原因となる。耐摩耗性及び破断時伸びを考慮すると、このDBP値のより好ましい範囲は、100〜180ミリリットル/100gである。なお、該DBP値は、JIS K6221−1982(A法)に準拠して測定した値である。
【0011】
一方、シリカとしても特に制限はなく、従来ゴム補強用として慣用されているもの、例えば乾式法シリカ(無水ケイ酸)、湿式法シリカ(含水ケイ酸)、ケイ酸カルシウム,ケイ酸アルミニウム等の中から適宜選択して用いることができるが、耐破壊特性の改良効果、ウェットグリップ性及び低転がり抵抗性の両立効果が最も顕著である湿式法シリカが好適である。また、耐摩耗性及び低燃費性などを考慮すると、窒素吸着比表面積(BET)が100m2/gから300m2/gの範囲にあるものが好適である。なお、該BET値は、300℃で1時間乾燥後、ASTM D4820−93に準拠して測定した値である。
シリカとしては特に制限はなく、従来ゴムの補強用充填材として慣用されているものの中から任意に選択して用いることができる。例えば湿式シリカ(含水ケイ酸),乾式シリカ(無水ケイ酸),ケイ酸カルシウム,ケイ酸アルミニウム等が挙げられるが、中でも沈降法による合成シリカが好ましく使用される。具体的には、日本シリカ工業(株)製の「Nipsile AQ」(商標),Degussa杜製の「Ultrasil VN3」(商標),PPG社製の「Hisil 233」(商標)などが挙げられる。
【0012】
次に、その他の無機充填剤としては、下記一般式(I)で表される物が好ましく用いられる。
mM1・xSiOy・zH2O ・・・(I)
[式(I)中、M1は、アルミニウム、マグネシウム、チタン、カルシウムからなる群から選ばれる金属、これらの金属の酸化物又は水酸化物、及びそれらの水和から選ばれる少なくとも一種であり、m、x、y及びzは、それぞれ1〜5の整数、0〜10の整数、2〜5の整数、及び0〜10の整数である]
無機充填剤は、さらに、カリウム、ナトリウム、鉄、マグネシウムなどの金属、フッ素などの元素、及び、NH4−などの基を含有していても良い。
【0013】
具体的には、アルミナ一水和物(Al2O3・H2O)、ギブサイト、バイヤライト等の水酸化アルミニウム[Al(OH)3]、水酸化マグネシウム[Mg(OH)2]、酸化マグネシウム(MgO)、タルク(3MgO・4SiO2・H2O)、アタパルジャイト(5MgO・8SiO2・9H2O)、チタン白(TiO2)、チタン黒(TiO2n−1)、酸化カルシウム(CaO)、水酸化カルシウム[Ca(OH)2]、酸化アルミニウムマグネシウム(MgO・Al2O3)、クレー(Al2O3・2SiO2)、カオリン(Al2O3・2SiO2・2H2O)、パイロフィライト(Al2O3・4SiO2・H2O)、ベントナイト(Al2O3・4SiO2・2H2O)、ケイ酸アルミニウム(Al2SiO5、Al4・3SiO4・5H2O等)、ケイ酸マグネシウム(Mg2SiO4、MgSiO3等)、ケイ酸カルシウム(Ca2・SiO4等)、ケイ酸アルミニウムカルシウム(Al2O3・CaO・2SiO2等)、ケイ酸マグネシウムカルシウム(CaMgSiO4)、各種ゼオライト、長石、マイカ、モンモリロナイト等が例示でき、Mがアルミニウムであることが好ましく、アルミナ類、クレー類であることが特に好ましい。
アルミナ類とは上記式(I)で表される物のうち、下記一般式(II)で表わされるものである。
Al2O3・nH2O(ただし、式中nは0から3である。) ・・・(II)
クレー類では、クレー(Al2O3・2SiO2)、カオリン(Al2O3・2SiO2・2H2O)、パイロフィライト(Al2O3・4SiO2・H2O)、ベントナイト(Al2O3・4SiO2・2H2O)、モンモリロナイト等が挙げられる。
これらの中ではシリカ、或いは窒素吸着比表面積(N2SA)が1〜20m2/gの水酸化アルミニウムが好ましく、特にシリカが好ましい。
【0014】
本発明におけるトレッドゴム組成物において、炭素繊維を含む補強性充填材
の総量は、用途により適宜設定されるが、ゴム100質量部に当たり、30〜500質量部の範囲が好ましい。30質量部未満ではドライグリップ性能が不足し、また耐摩耗性が低下することがある。一方、500質量部を超えると耐摩耗性能及び高速耐久性が大幅に低下することがある。
本発明に用いるトレッドゴム組成物において、無機充填材の配合量は、ゴム成分100質量部当たり0〜200質量部が好ましく、さらに、30〜150質量部が好ましい。無機充填材の配合量が200質量部を超えると、混練りなどの生産性や耐摩耗性が大幅に低下することがある。
本発明のゴム組成物においては、シリカや、その他の無機充填剤を用いる場合には、所望により、カップリング剤を配合することができる。このカップリング剤としては特に制限はなく、従来公知の様々なカップリング剤の中から任意のものを選択して用いることができるが、これらの中で特にシラン系カップリング剤が好ましい。カップリング剤の配合により、ゴム練り時の作業性及びシリカの分散性が改良されるだけでなく、加硫ゴムにおけるシリカーゴム間の結合強化により耐摩耗性や耐カット性が向上する。
【0015】
ここで、シラン系カップリング剤の例としては、一般式(RO)3Si−Sm−Si(OR)3またはXSI(OR)3(但し、RはORが加水分解可能になるような基(例えばメチル基、エチル基等)であり、Xは有機物と反応する官能基(例えばメルカプトアルキル基、アミノアルキル基、ビニル基、エポキシ基、グリシドキシアルキル基、ベンゾチアゾリル基、N,N−ジメチルカルバモイル基等)であり、mは0<m≦9を満たす整数である。)で表される化合物が挙げられ、具体的には、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−メチルジメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−トリメトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルカルバモイルテトラスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルメタクリロイルモノスルフィドなどが挙げられる。
【0016】
本発明においては、この所望により用いられるカップリング剤は単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。また、その含有量は、前記シリカ及びその他の無機充填材の総量に対して、1質量%から20質量%の範囲で選ばれることが好ましい。この含有量が20質量%を超えるとその量のわりには効果の向上がみられず、むしろ経済的に不利となる。配合効果及び経済性などを考慮すると、このカップリング剤のさらに好ましい含有量は、5質量%から20質量%の範囲、特に7質量%から15質量%の範囲である。
【0017】
本発明における前記トレッドゴム組成物は、本発明の効果を損なわない範囲において、通常ゴム工業界で用いられる前記以外の各種配合剤、例えば酸化亜鉛,ステアリン酸,老化防止剤,ワックス,加硫促進剤,加硫剤などを適宜配合することができ、バンバリーミキサー,インターミキサー等の密閉式混練機やロール等の混練機を用いて混練りすることにより得られる。
本発明のタイヤは、前記ゴム組成物をトレッドゴムとに適用して、常法により成形加工後加硫を行い製造することができる。なお、タイヤ内に充填する気体としては、通常のあるいは酸素分圧を変えた空気、又は窒素などの不活性なガスを用いることができる。
このようにして得られたタイヤは、特に高速走行用のタイヤとしてドライグリップ性、高速耐久性、耐摩耗性などに優れた性能を有する。
【0018】
【実施例】
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
なお、タイヤの評価は下記の方法により行なった。
(1)ドライグリップ性
供試タイヤを7.5J×17のリムに装着し、0.23Mpaの内圧とし国産2500cc乗用車の前輪に用いて、半径80mの円旋回試験により横方向加速度を計測し、この時の最大横方向加速度を、従来例を100とした指数で示した。数値が大きいほど結果は良好である。
(2)高速耐久性
JIS D4230に基づき、タイヤ故障が発生するまでドラムにて高速耐久試験を行い、従来例を100とした指数で示した。数値が大きいほど結果が良好である。
(3)耐摩耗性
供試タイヤを7.5J×17のリムに装着し、0.23Mpaの内圧で国産2500cc乗用車の前輪に用いて、10000km走行した。走行後のタイヤの残溝深さを測定し、従来例を100とした指数で示した。数値が大きいほど結果が良好である。
【0019】
実施例1〜4、比較例1,2及び従来例
第1表に示す配合内容によりゴム組成物を調製した後、各ゴム組成物をトレッドゴム組成物に適用して、常法により、サイズ225/45 R17の乗用車用ラジアルタイヤを製造した。得られたタイヤについて、前記の方法によりドライグリップ性、高速耐久性、及び耐摩耗性の評価を行なった。その結果を第1表に示す。
【0020】
【表1】
【0021】
[注]
1)SBR:SBR1721(商標)、ジェイエスアール(株)製
2)SBR:Tuffden3335(商標)、旭化成(株)製
3)BR:BR01(商標)、ジェイエスアール(株)製
4)カーボンブラック:N110(商標)、旭カーボン(株)製
5)シリカ:Nipsil AQ(商標)、日本シリカ工業(株)製
6)シランカップリング剤:Si69(商標)、Degussa社製
7)炭素繊維:VGCF−6(商標)、昭和電工(株)製(繊維径;100〜200nm)
8)炭素繊維:多層カーボンナノチューブ(商標)、MTR社製(繊維径;1〜
10nm)
9)老化防止剤:N−(1,3−ジメチルブチル)−N−フェニル−p−フェニレンジアミン
10)加硫促進剤CZ:N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド
11)加硫促進剤DM:ジベンゾチアジルジスルフィド
【0022】
上記において、従来例は、充填材として、カーボンブラックのみを配合した例である。また、比較例1は、従来例におけるカーボンブラックの半量をシリカで置き換えた例である。比較例2は、比較例1において、カーボンブラックの2質量%を炭素繊維で置き換えた例であり、炭素繊維の配合量が2.5質量%未満のためにグリップ性が悪く、本発明の効果は得られていない。
実施例1,3は,異なる種類の炭素繊維を各3質量部(充填材総量の3質量%)を配合した例であり、ずれの場合もドライグリップ性は従来例と同等以上の性能を維持したうえで、高速耐久性及び耐摩耗性に優れていることが認められる。実施例2は、比較例1において、炭素繊維を10質量部(充填材総量の10質量%)配合した例であり、実施例1に比べて各性能は一段と向上し、ドライグリップ性、高速耐久性、耐摩耗性のいずれも極めて優れた性能を示している。
実施例4は、従来例において、カーボンブラックの10質量%を炭素繊維で置き換えた例であるが、ドライグリップ性、高速耐久性及び耐摩耗性に優れており、特にドライグリップ性の向上が大きい。
【0023】
上述したように、本発明のタイヤは、特定の炭素繊維を特定量配合することにより、タイヤのグリップ性能を低下させることなく、耐摩耗性と高速耐久性を高いレベルで両立させることができる。従って、本発明は、特に高性能自動車タイヤ、レース用タイヤ及び航空機用タイヤなど高速走行に用いられるタイヤに有効に適用できる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、タイヤに関し、さらに詳しくは、トレッドを構成するゴム組成物(トレッドゴム)として、炭素繊維を配合したゴム組成物を適用したタイヤ、特に、高性能自動車タイヤ、レース用タイヤ、航空機用タイヤなど高速走行に用いられるタイヤに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、乗用車の高性能化,高速化は著しく、また自動車レースにおいても、エンジンなどの向上によりラップタイム更新にみられるように高速化の一途にある。さらに、航空機は大型化の傾向にある。このように高速走行に用いられるタイヤにおいては、耐摩耗性、グリップ性能など他の性能を維持したうえで、高速耐久性の一層の向上が求められている。
従来、トレッドゴムの充填剤としては、補強性と耐摩耗性に優れていることからカーボンブラックが多用されている。また、SAF級/ISAF級グレードのカーボンブラックの高充填配合によりグリップ性を向上させることは知られているが、この場合、耐摩耗性が低下する傾向にあり、また発熱の増大に伴い、ブローアウト(ゴムの熱分解による内部発泡現象),トレッドセパレーション(トレッドの部分剥離)などが発生し易くなり高速耐久性は低下する傾向がある。
【0003】
また、カーボンブラックに代えてシリカを配合することによる転がり抵抗の低減、及び濡れた路面での制動性(ウェットグリップ性)の向上も一般に行なわれている。しかし、この場合には、乾燥路面での制動性(ドライグリップ性)は、カーボンブラック単独配合に比べて低下する。
そこで、シリカ配合においては、未加硫又は加硫ゴムの物性改善のため、各種のシランカップリング剤を配合することが一般的に知られているが、特に高速走行用タイヤの場合、トレッドゴムの補強性は、カーボンブラック配合ゴム組成物と比較して未だ不満足であり、一層の向上が望まれている。
【0004】
これらの問題に対しては種々の提案がされている。例えば特開2001−139840号公報には、CTAB吸着比表面積、DBP吸着量、圧縮電気比抵抗などを特定したカーボンブラックを用いることにより補強性と耐摩耗性と低発熱性とを両立させたトレッドゴムが提案されている。特開平5−140372号公報には、トレッドゴムに中空微粒子及び短繊維を配合し、押し出しなどで短繊維を配合させることにより氷雪路面でのグリップ性を向上させたタイヤが提案されている。また、特開平8−238910号公報には、トレッドゴムに、直径1μmから100μmの繊維材を混入した発泡ゴムを用いることにより湿潤路面や乾燥路面での制動性や耐摩耗性を損なわず、氷雪性能が改善されたタイヤが提案されている。しかし、これらの方法においては、乾燥路面での制動性(ドライグリップ性)は未だ不満足であった。
いずれにしても、従来の方法においては、タイヤのドライグリップ性に悪影響を及ぼすことなく、しかも耐摩耗性と高速耐久性とを高いレベルで両立させることは困難であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような状況下で、少なくともドライグリップ性を維持しつつ、高速耐久性と耐摩耗性を高い次元で両立させたタイヤ、特に高性能自動車タイヤ、レース用タイヤ、航空機用タイヤなど高速走行に用いられるタイヤを提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、トレッドゴムに、特定の炭素繊維を配合することにより、その目的を達成し得ることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、トレッド部を有し、該トレッド部を構成するゴム組成物が、ゴム成分と平均径が0.5nmから500nmの炭素繊維を2.5質量%以上含有する補強性充填材とを配合してなることを特徴とするタイヤを提供するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明のタイヤにおいて、トレッドに用いられるゴム組成物は、平均径0.5nから500nmの炭素繊維を配合したものである。平均径がこのような範囲の炭素繊維を配合することにより、トレッドゴム組成物の補強効果は向上するとともに、その放熱効果により特に高速走行時のトレッドゴムの発熱も抑制される。炭素繊維の平均径が500nmを超えればタイヤトレッドゴムとして充分な補強効果が得られない。補強効果及び製造上の観点からは、炭素繊維の平均径は、さらに1nmから400nmが好ましい。
上記の炭素繊維の平均長は、好ましくは0.5μmから50μm、特に1μmから40μmが好ましい。平均径が50μmを超えればタイヤトレッドゴムとして充分な補強効果が得られないことがある。
また、上記炭素繊維のアスペクト比は10以上が好ましく、特に15以上が好ましい。
【0008】
上記の特定性状を有する炭素繊維は、例えば昭和電工(株)製の「VGCF−6」(商標)、MTR社製の「多層カーボンナノチューブ」(商標)などとして入手できる。
また、本発明における前記炭素繊維の配合量は、補強性充填材の総量に対して2.5質量%以上になるように配合することが必要である。ここで、補強性充填材の総量とは、炭素繊維を含む全補強性充填材の配合量の合計をいう。2.5質量%未満の配合量では、特にドライグリップ性が充分に発揮されない。ドライグリップ性、耐摩耗性及び高速耐久性の全ての効果を勘案すれば、炭素繊維の配合量は3質量%以上が好ましく、さらに5質量%以上が好ましく、特に6質量%から50質量%が好ましい。
【0009】
本発明において、トレッド部のゴム組成物に用いられるゴム成分としては、天然ゴム及びジエン系合成ゴムが好適に挙げられ、これらを単独またはブレンドして使用することができる。ジエン系合成ゴムとしては、例えばスチレン−ブタジエン共重合体(SBR)、ポリブタジエン(BR)、ポリイソプレン(IR)、ブタジエン−イソプレン共重合体、ブタジエン−スチレン−イソプレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、クロロプレンゴム、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム、エチレン−プロピレン共重合体などが挙げられる。また、その一部が多官能型変性剤、例えば四塩化スズのような変性剤を用いることにより分岐構造を有しているものでもよい。特に、ゴム成分中にスチレン−ブタジエン共重合体(SBR)を20質量%から100質量%含むことが好ましい。
【0010】
本発明のゴム組成物においては、所望により、カーボンブラックや、シリカ、及び後述の一般式で表される化合物に代表される無機充填剤等、通常用いられる充填材を配合することができる。
ここで、カーボンブラックとしては、製造方法によりチャンネルブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック及びサーマルブラックなどがあるが、いずれのものも使用することができ、例えばSRF、GPF、FEF、HAF、ISAF、SAF等を挙げることができるが、ゴム組成物の用途に併せ適宜選択することが好ましい。例えば、トレッド用のゴム組成物に用いる場合は、ヨウ素吸着量(IA)が60mg/g以上、かつジブチルフタレート吸油量(DBP)が80ml/100g以上のカーボンブラックが好ましい。カーボンブラックを用いることにより、グリップ性能及び耐破壊特性を改良することができ、さらに、優れた耐摩耗性が要求される場合はHAF,ISAF,SAFを用いることが好ましい。なお、該BET値はASTM D3037−88に準拠して測定した値である。さらに、DBP値が90ミリリットル/100g未満では充分な耐摩耗性が得られにくく、また、このDBP値があまり大きすぎるとゴム組成物の破断時伸びが悪化する原因となる。耐摩耗性及び破断時伸びを考慮すると、このDBP値のより好ましい範囲は、100〜180ミリリットル/100gである。なお、該DBP値は、JIS K6221−1982(A法)に準拠して測定した値である。
【0011】
一方、シリカとしても特に制限はなく、従来ゴム補強用として慣用されているもの、例えば乾式法シリカ(無水ケイ酸)、湿式法シリカ(含水ケイ酸)、ケイ酸カルシウム,ケイ酸アルミニウム等の中から適宜選択して用いることができるが、耐破壊特性の改良効果、ウェットグリップ性及び低転がり抵抗性の両立効果が最も顕著である湿式法シリカが好適である。また、耐摩耗性及び低燃費性などを考慮すると、窒素吸着比表面積(BET)が100m2/gから300m2/gの範囲にあるものが好適である。なお、該BET値は、300℃で1時間乾燥後、ASTM D4820−93に準拠して測定した値である。
シリカとしては特に制限はなく、従来ゴムの補強用充填材として慣用されているものの中から任意に選択して用いることができる。例えば湿式シリカ(含水ケイ酸),乾式シリカ(無水ケイ酸),ケイ酸カルシウム,ケイ酸アルミニウム等が挙げられるが、中でも沈降法による合成シリカが好ましく使用される。具体的には、日本シリカ工業(株)製の「Nipsile AQ」(商標),Degussa杜製の「Ultrasil VN3」(商標),PPG社製の「Hisil 233」(商標)などが挙げられる。
【0012】
次に、その他の無機充填剤としては、下記一般式(I)で表される物が好ましく用いられる。
mM1・xSiOy・zH2O ・・・(I)
[式(I)中、M1は、アルミニウム、マグネシウム、チタン、カルシウムからなる群から選ばれる金属、これらの金属の酸化物又は水酸化物、及びそれらの水和から選ばれる少なくとも一種であり、m、x、y及びzは、それぞれ1〜5の整数、0〜10の整数、2〜5の整数、及び0〜10の整数である]
無機充填剤は、さらに、カリウム、ナトリウム、鉄、マグネシウムなどの金属、フッ素などの元素、及び、NH4−などの基を含有していても良い。
【0013】
具体的には、アルミナ一水和物(Al2O3・H2O)、ギブサイト、バイヤライト等の水酸化アルミニウム[Al(OH)3]、水酸化マグネシウム[Mg(OH)2]、酸化マグネシウム(MgO)、タルク(3MgO・4SiO2・H2O)、アタパルジャイト(5MgO・8SiO2・9H2O)、チタン白(TiO2)、チタン黒(TiO2n−1)、酸化カルシウム(CaO)、水酸化カルシウム[Ca(OH)2]、酸化アルミニウムマグネシウム(MgO・Al2O3)、クレー(Al2O3・2SiO2)、カオリン(Al2O3・2SiO2・2H2O)、パイロフィライト(Al2O3・4SiO2・H2O)、ベントナイト(Al2O3・4SiO2・2H2O)、ケイ酸アルミニウム(Al2SiO5、Al4・3SiO4・5H2O等)、ケイ酸マグネシウム(Mg2SiO4、MgSiO3等)、ケイ酸カルシウム(Ca2・SiO4等)、ケイ酸アルミニウムカルシウム(Al2O3・CaO・2SiO2等)、ケイ酸マグネシウムカルシウム(CaMgSiO4)、各種ゼオライト、長石、マイカ、モンモリロナイト等が例示でき、Mがアルミニウムであることが好ましく、アルミナ類、クレー類であることが特に好ましい。
アルミナ類とは上記式(I)で表される物のうち、下記一般式(II)で表わされるものである。
Al2O3・nH2O(ただし、式中nは0から3である。) ・・・(II)
クレー類では、クレー(Al2O3・2SiO2)、カオリン(Al2O3・2SiO2・2H2O)、パイロフィライト(Al2O3・4SiO2・H2O)、ベントナイト(Al2O3・4SiO2・2H2O)、モンモリロナイト等が挙げられる。
これらの中ではシリカ、或いは窒素吸着比表面積(N2SA)が1〜20m2/gの水酸化アルミニウムが好ましく、特にシリカが好ましい。
【0014】
本発明におけるトレッドゴム組成物において、炭素繊維を含む補強性充填材
の総量は、用途により適宜設定されるが、ゴム100質量部に当たり、30〜500質量部の範囲が好ましい。30質量部未満ではドライグリップ性能が不足し、また耐摩耗性が低下することがある。一方、500質量部を超えると耐摩耗性能及び高速耐久性が大幅に低下することがある。
本発明に用いるトレッドゴム組成物において、無機充填材の配合量は、ゴム成分100質量部当たり0〜200質量部が好ましく、さらに、30〜150質量部が好ましい。無機充填材の配合量が200質量部を超えると、混練りなどの生産性や耐摩耗性が大幅に低下することがある。
本発明のゴム組成物においては、シリカや、その他の無機充填剤を用いる場合には、所望により、カップリング剤を配合することができる。このカップリング剤としては特に制限はなく、従来公知の様々なカップリング剤の中から任意のものを選択して用いることができるが、これらの中で特にシラン系カップリング剤が好ましい。カップリング剤の配合により、ゴム練り時の作業性及びシリカの分散性が改良されるだけでなく、加硫ゴムにおけるシリカーゴム間の結合強化により耐摩耗性や耐カット性が向上する。
【0015】
ここで、シラン系カップリング剤の例としては、一般式(RO)3Si−Sm−Si(OR)3またはXSI(OR)3(但し、RはORが加水分解可能になるような基(例えばメチル基、エチル基等)であり、Xは有機物と反応する官能基(例えばメルカプトアルキル基、アミノアルキル基、ビニル基、エポキシ基、グリシドキシアルキル基、ベンゾチアゾリル基、N,N−ジメチルカルバモイル基等)であり、mは0<m≦9を満たす整数である。)で表される化合物が挙げられ、具体的には、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−メチルジメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−トリメトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルカルバモイルテトラスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルメタクリロイルモノスルフィドなどが挙げられる。
【0016】
本発明においては、この所望により用いられるカップリング剤は単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。また、その含有量は、前記シリカ及びその他の無機充填材の総量に対して、1質量%から20質量%の範囲で選ばれることが好ましい。この含有量が20質量%を超えるとその量のわりには効果の向上がみられず、むしろ経済的に不利となる。配合効果及び経済性などを考慮すると、このカップリング剤のさらに好ましい含有量は、5質量%から20質量%の範囲、特に7質量%から15質量%の範囲である。
【0017】
本発明における前記トレッドゴム組成物は、本発明の効果を損なわない範囲において、通常ゴム工業界で用いられる前記以外の各種配合剤、例えば酸化亜鉛,ステアリン酸,老化防止剤,ワックス,加硫促進剤,加硫剤などを適宜配合することができ、バンバリーミキサー,インターミキサー等の密閉式混練機やロール等の混練機を用いて混練りすることにより得られる。
本発明のタイヤは、前記ゴム組成物をトレッドゴムとに適用して、常法により成形加工後加硫を行い製造することができる。なお、タイヤ内に充填する気体としては、通常のあるいは酸素分圧を変えた空気、又は窒素などの不活性なガスを用いることができる。
このようにして得られたタイヤは、特に高速走行用のタイヤとしてドライグリップ性、高速耐久性、耐摩耗性などに優れた性能を有する。
【0018】
【実施例】
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
なお、タイヤの評価は下記の方法により行なった。
(1)ドライグリップ性
供試タイヤを7.5J×17のリムに装着し、0.23Mpaの内圧とし国産2500cc乗用車の前輪に用いて、半径80mの円旋回試験により横方向加速度を計測し、この時の最大横方向加速度を、従来例を100とした指数で示した。数値が大きいほど結果は良好である。
(2)高速耐久性
JIS D4230に基づき、タイヤ故障が発生するまでドラムにて高速耐久試験を行い、従来例を100とした指数で示した。数値が大きいほど結果が良好である。
(3)耐摩耗性
供試タイヤを7.5J×17のリムに装着し、0.23Mpaの内圧で国産2500cc乗用車の前輪に用いて、10000km走行した。走行後のタイヤの残溝深さを測定し、従来例を100とした指数で示した。数値が大きいほど結果が良好である。
【0019】
実施例1〜4、比較例1,2及び従来例
第1表に示す配合内容によりゴム組成物を調製した後、各ゴム組成物をトレッドゴム組成物に適用して、常法により、サイズ225/45 R17の乗用車用ラジアルタイヤを製造した。得られたタイヤについて、前記の方法によりドライグリップ性、高速耐久性、及び耐摩耗性の評価を行なった。その結果を第1表に示す。
【0020】
【表1】
【0021】
[注]
1)SBR:SBR1721(商標)、ジェイエスアール(株)製
2)SBR:Tuffden3335(商標)、旭化成(株)製
3)BR:BR01(商標)、ジェイエスアール(株)製
4)カーボンブラック:N110(商標)、旭カーボン(株)製
5)シリカ:Nipsil AQ(商標)、日本シリカ工業(株)製
6)シランカップリング剤:Si69(商標)、Degussa社製
7)炭素繊維:VGCF−6(商標)、昭和電工(株)製(繊維径;100〜200nm)
8)炭素繊維:多層カーボンナノチューブ(商標)、MTR社製(繊維径;1〜
10nm)
9)老化防止剤:N−(1,3−ジメチルブチル)−N−フェニル−p−フェニレンジアミン
10)加硫促進剤CZ:N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド
11)加硫促進剤DM:ジベンゾチアジルジスルフィド
【0022】
上記において、従来例は、充填材として、カーボンブラックのみを配合した例である。また、比較例1は、従来例におけるカーボンブラックの半量をシリカで置き換えた例である。比較例2は、比較例1において、カーボンブラックの2質量%を炭素繊維で置き換えた例であり、炭素繊維の配合量が2.5質量%未満のためにグリップ性が悪く、本発明の効果は得られていない。
実施例1,3は,異なる種類の炭素繊維を各3質量部(充填材総量の3質量%)を配合した例であり、ずれの場合もドライグリップ性は従来例と同等以上の性能を維持したうえで、高速耐久性及び耐摩耗性に優れていることが認められる。実施例2は、比較例1において、炭素繊維を10質量部(充填材総量の10質量%)配合した例であり、実施例1に比べて各性能は一段と向上し、ドライグリップ性、高速耐久性、耐摩耗性のいずれも極めて優れた性能を示している。
実施例4は、従来例において、カーボンブラックの10質量%を炭素繊維で置き換えた例であるが、ドライグリップ性、高速耐久性及び耐摩耗性に優れており、特にドライグリップ性の向上が大きい。
【0023】
上述したように、本発明のタイヤは、特定の炭素繊維を特定量配合することにより、タイヤのグリップ性能を低下させることなく、耐摩耗性と高速耐久性を高いレベルで両立させることができる。従って、本発明は、特に高性能自動車タイヤ、レース用タイヤ及び航空機用タイヤなど高速走行に用いられるタイヤに有効に適用できる。
Claims (9)
- トレッド部を有し、該トレッド部を構成するゴム組成物が、ゴム成分と平均径が0.5nmから500nmの炭素繊維を2.5質量%以上含有する補強性充填材とを配合してなることを特徴とするタイヤ。
- 炭素繊維以外の補強性充填材が、カーボンブラック及び無機充填材から選ばれた少なくとも一種である請求項1記載のタイヤ。
- 補強性充填材の総量が、ゴム成分100質量部当たり、30質量部から500質量部である請求項1又は2に記載のタイヤ。
- 炭素繊維が、平均長0.5μmから50μm,アスペクト比10以上のものである請求項1、2又は3に記載のタイヤ。
- 無機充填材がシリカである請求項1ないし4のいずれかに記載のタイヤ。
- 無機充填材の配合量が、ゴム成分100質量部当たり、0〜200質量部である請求項1ないし5のいずれかに記載のタイヤ。
- さらにシランカップリング剤を、無機充填材に対して1質量%から20質量%を配合してなる請求項1ないし6のいずれかに記載のタイヤ。
- 全ゴム成分中、スチレン−ブタジエン共重合ゴム20質量%から100質量%を含有したものである請求項1ないし7のいずれかに記載のタイヤ。
- 高性能自動車タイヤ,レース用タイヤ及び航空機用タイヤから選ばれた一種のタイヤである請求項1ないし8のいずれかに記載のタイヤ。
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