JP2004003759A - 空調温度制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】空調温度制御装置1を構成する空調設定温度制御部3は、端末機5に「暑い」、「寒い」という体感情報の入力が無い場合、空調設定温度を徐々に使用エネルギーを減少させる方向に変更するため、省エネルギーを実現することができる。また、在室者認識装置4により認識された在室者数と、それぞれの在室者が端末機5に入力した「暑い」、「寒い」という体感情報とに基づいて多数決計算された体感情報により空調機2に出力する空調設定温度を決め、その設定温度信号を空調機2に送ると、空調機2はその設定温度信号に基づいて空調するため、空調エリアに居る多くの人に快適な空調環境を与えることができる。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、空調温度を制御するための空調温度制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、オフィスビルなどでは、各部屋毎に設置されている温度設定器で設定された空調設定温度に基づいて空調温度を制御する方法や、オフィスビル全体の設備を監視制御する中央監視装置で設定された空調設定温度に基づいて空調温度を制御する方法などが採用されている。これらの空調温度制御は、夏季の冷房時、冬の暖房時それぞれの標準的な設定温度に基づいて空調温度を制御するものであり、オフィスビルに居る人が、その空調温度を極めて不快に感じた場合にのみ、例外的に標準的な設定温度を変更することがあるが、一般的に夏季、冬季それぞれにおいて空調温度は標準的な設定温度に基づいて制御される。この標準的な設定温度は、一般的に冷房時では26℃、暖房時では24℃が採用されることが多い。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の空調温度制御手段によれば、冷房時及び暖房時の空調設定温度が夏季、冬季それぞれの期間において一定値に設定されたままの場合が多い。この場合、外気温や湿度、日射量の変化によって各部屋に居る人の体感温度は変化するので「寒い」と感じたり、「暑い」と感じたりして快適な空調環境を得ることができない。また、空調設定温度が、夏季の最高外気温時や冬季の最低外気温時に最適な空調環境になるように設定された場合、過剰な空調を行うことになり、エネルギーを無駄に消費することにもなる。
【0004】
そこで本発明では、省エネルギーを実現することができるとともに、空調エリアに居る人に快適な空調環境を与えることができる空調温度制御装置を提供することを解決すべき課題とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題は、特許請求の範囲の欄に記載した空調温度制御装置により解決することができる。
【0006】
請求項1記載の空調温度制御装置によれば、空調エリアに居る人が体感情報を入力しない場合、例えば冷房モードで運転中であれば空調設定温度を徐々に上昇させるとともに、暖房モードで運転中であれば空調設定温度を徐々に低下させるため、省エネルギーを効果的に実現することができる。また、空調エリアに居る人が体感情報を入力した場合、それぞれの体感情報が集計され、その集計結果に基づいて当該空調エリアの空調設定温度が変更されるため、空調エリアに居る人に快適な空調環境を与えることができる。
【0007】
請求項2記載の空調温度制御装置によれば、空調エリアに居る人が体感情報を入力しない場合、請求項1に記載の空調温度制御装置と同様に省エネルギーを効果的に実現することができる。また、空調エリアに居るそれぞれの人が体感情報を入力すると、それぞれの体感情報が集計され、当該空調エリアに居る人の数と当該体感情報の集計結果とに基づいて当該空調エリアの空調設定温度が変更されるため、空調エリアに居る人に快適な空調環境を与えることができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、例えばオフィスビルの各部屋の空調温度を制御する空調温度制御装置1の全体的な構成を示したブロック系統図である。
空調温度制御装置1は、オフィスビルの空調機2による各部屋の空調温度を制御する空調設定温度制御部3と、各部屋の在室者を認識する在室者認識装置4と、それぞれの在室者が「暑い」、「寒い」、「どちらでもない」というような体感情報を入力するための端末機5とを有するものである。
【0009】
上記空調設定温度制御部3は、中枢部に図示していないコンピュータが設けられている。空調設定温度制御部3のコンピュータは、在室者認識装置4から出力された在室者ID信号(予め各在室者に識別番号(ID)を割り当てる)、及びそれぞれの在室者が端末機5に入力した「暑い」、「寒い」、「どちらでもない」というような体感情報に基づいて空調機2に指令する空調設定温度を計算したうえ、空調機2に対してその空調設定温度に対応した設定温度信号を出力する。尚、空調設定温度制御部3のコンピュータによる具体的な空調温度制御については、後で、図2、図3のフローチャートを参照しながら説明する。
【0010】
各部屋の在室者を検出して在室者数を認識する在室者認識装置4は、ビデオカメラ等により映像した画像を処理して在室者を認識する画像処理システム、あるいはそれぞれの人が携帯したICカードを入室時に読み取って入室者数を認識するICカードシステムなどを用いる。
【0011】
体感情報を入力するための端末機5は、それぞれの在室者が業務で用いる市販のパーソナルコンピュータや、専用に製作された端末機を用いる。尚、パーソナルコンピュータや専用に製作された端末機で入力された「暑い」、「寒い」、「どちらでもない」というような体感情報は無線信号に変換して空調設定温度制御部3に伝送するようにしてもよい。その場合、各端末機5と空調設定温度制御部3の間の配線が不要となる。
【0012】
空調機2は、空調設定温度制御部3から出力される前記設定温度信号を入力することが可能な市販タイプのもの、もしくは空調設定温度制御部3を一体的に組み込んだ専用タイプのものでもよい。尚、空調機2は、運転が開始された状態で空調設定温度制御部3に「運転中信号」を出力する。この「運転中信号」は、空調機2の電子回路を改造してこの信号を出力できるように改造するか、空調機2の電流や電力を測定することによって「運転中信号」を得るようにしてもよい。空調機2を新たに設計、製作する場合は、「運転中信号」を出力することができるような仕様にする。
【0013】
次に、空調温度制御装置1の制御作用について説明する。
図2は、オフィスビルの各部屋のそれぞれの在室者が業務で用いる市販のパーソナルコンピュータを端末機5として使用した場合の空調温度制御装置1の制御作用を示したフローチャートである。
【0014】
図2のフローチャートのステップS1に示すように、空調機2の運転が開始され、空調機2から前述の「運転中信号」が空調設定温度制御部3に出力されると、空調設定温度制御部3のコンピュータは、ステップS2に示すように初期設定温度T0(例えば26℃)に対応した設定温度信号を空調機2に出力する。
【0015】
空調設定温度制御部3のコンピュータは、空調機2が例えば、冷房モードで運転している場合、ステップS3に示すように時間(t2)の計測を開始し、ステップS4において、t2分(例えば30分)が経過したと判断する毎に、ステップS5に示すように、現在の設定温度TにT1℃(例えば0.5℃)をプラスした設定温度信号を空調機2に出力し、空調設定温度を徐々に上げていく制御をする。
また、空調機2が暖房モードで運転している場合も、ステップS3に示すように時間(t2)の計測を開始し、ステップS4において、t2分(例えば30分)が経過したと判断する毎に、ステップS5に示すように、現在の設定温度TからT1℃(例えば0.5℃)をマイナスした設定温度信号を空調機2に出力し、空調設定温度を徐々に下げていく制御をする。
【0016】
ステップS3,S4,S5に示すように徐々に空調設定温度を変化させていくと、室内温度が徐々に使用エネルギーが少なくなる方向に変化するため、省エネルギーの運転をすることができるが、その運転過程で、ある在室者が「暑い」又は「寒い」と感じてパーソナルコンピュータに「暑い」又は「寒い」という体感情報を入力すると、空調設定温度制御部3のコンピュータは、ステップS6において、「温度変更要求有り」と判断し、ステップS7に示すように、同部屋の全パーソナルコンピュータに対して「暑いか、寒いか、どちらでもないか」という質問を一斉同報で行い、その質問を全パーソナルコンピュータの画面上に表示させる。
【0017】
上記質問情報がそれぞれのパーソナルコンピュータの画面上に表示されると、各在室者は、t1分(例えば5分)以内にパーソナルコンピュータから、その質問に対する回答をする。尚、同部屋のパーソナルコンピュータからそれぞれの回答情報が空調設定温度制御部3のコンピュータに入力されると、同コンピュータは、同室の在室者数を計数することができる。即ち、この場合は、同部屋の全パーソナルコンピュータが前述の在室者認識装置4と端末機5とを兼ねる。
【0018】
空調設定温度制御部3のコンピュータは、ステップS7において、全パーソナルコンピュータに対して「暑いか、寒いか、どちらでもないか」という質問を一斉同報でした時点から、ステップS8に示すように時間(t1)の計測を開始し、ステップS9において、t1分が経過したと判断した場合、ステップS10に示すように、同質問に対する回答の受け付けを終了したうえ、それぞれの回答を集計し、多数決の計算をする。
【0019】
空調設定温度制御部3のコンピュータは、ステップS11において、「暑い」という体感情報が過半数であるか否かを判断し、過半数である場合、ステップS12において、現在の設定温度TからT2℃(例えば2℃)を差し引いた温度に対応した設定温度信号を空調機2に送り、空調設定温度を大きく下げる。
【0020】
反面、ステップS11において、「暑い」という体感情報が過半数でないと判断した場合、ステップS13において、「寒い」という体感情報が過半数であるか否かを判断し、過半数である場合、ステップS14において、現在の設定温度TにT2℃(例えば2℃)を加えた温度に対応した設定温度信号を空調機2に送り、空調設定温度を大きく上げる。ステップS13において、「寒い」という体感情報が過半数でなければ、即ち、「暑い」、「寒い」のどちらも過半数でなければステップS15において、上記多数決計算した体感情報データをキャンセルしたうえ、ステップS3,S4,S5の運転をするとともにステップS6〜S15を繰り返す。
【0021】
空調設定温度制御部3のコンピュータは、「暑い」又は「寒い」と答えた人が過半数であり、ステップS12,S14に示したように空調設定温度を変更した場合、一定時間、次の空調設定温度の変更を受け付けないようにする。そのため、ステップS16に示すように時間(t3)の計測を開始し、ステップS17において前の空調設定温度変更後、t3分(例えば30分)経過したと判断した場合、上記多数決計算の体感情報データをキャンセルしたうえ、ステップS3,S4,S5の運転をすることにより省エネルギーを実現するとともに、ステップS6〜S17を繰り返すことによって、多数の人に快適な空調環境を与えることができる。
尚、空調設定温度制御部3のコンピュータは、空調機2に設定温度信号を送り、空調設定温度を変更する場合、空調機2はその空調設定温度の変更に対応して送風量・冷温水流量の制御などを行う。
【0022】
図3は、各部屋のそれぞれの在室者を認識するための在室者認識装置4として前述の画像処理装置あるいはICカードシステムを用いるとともに、端末機5として専用の端末機を使用した場合の空調温度制御装置1の制御作用を示したフローチャートである。
【0023】
図3のフローチャートのステップS1に示すように、空調機2の運転が開始され、空調機2から前述の「運転中信号」が空調設定温度制御部3に出力されると、空調設定温度制御部3のコンピュータは、ステップS2に示すように初期設定温度T0(例えば26℃)に対応した設定温度信号を空調機2に出力する。
【0024】
空調設定温度制御部3のコンピュータは、空調機2が例えば冷房モードで運転している場合、ステップS3に示すように時間(t2)の計測を開始し、ステップS4において、t2分(例えば30分)が経過したと判断する毎に、ステップS5に示すように現在の設定温度TにT1℃(例えば0.5℃)をプラスした設定温度信号を空調機2に出力し、空調設定温度を徐々に上げていく制御をする。また、空調機2が暖房モードで運転している場合も、ステップS3に示すように時間(t2)の計測を開始し、ステップS4において、t2分(例えば30分)が経過したと判断する毎に、ステップS5に示すように、現在の設定温度TからT1℃(例えば0.5℃)をマイナスした設定温度信号を空調機2に出力し、空調設定温度を徐々に下げていく制御をする。
【0025】
ステップS3,S4,S5に示すように徐々に空調設定温度を変化させていくと、室内温度が徐々に使用エネルギーが少なくなる方向に変化するため、省エネルギーの運転をすることができるが、その運転過程で、ある在室者が「暑い」又は「寒い」と感じた場合、端末機5に「暑い」又は「寒い」という体感情報を入力し、温度変更要求をすることになる。
空調設定温度制御部3のコンピュータは、ステップS6において、時間(t1)の計測を開始し、ステップS7において、時間t1分が経過したか否かを判断する。時間t1分が経過していない場合は、ステップS8において、温度変更要求があるか否かを判断する。この温度変更の要求が無いと判断した場合、ステップS7に戻る反面、温度変更要求有りと判断した場合は、ステップS9に示すように、温度変更の要求をした人の識別番号IDと「暑い」又は「寒い」のデータを記憶し、そのあと、ステップS7に戻る。
【0026】
上記ステップS7において、時間t1分が経過したと判断した場合、ステップS10において、温度変更要求数がゼロであるか否かを判断する。温度変更の要求をした人がゼロである場合、ステップS6に戻る反面、温度変更の要求をした人がいると判断した場合はステップS11に進む。
【0027】
空調設定温度制御部3のコンピュータは、ステップS11において、前述の在室者認識装置4により認識された現在の在室者のID信号に基づいて在室者数を計数し、ステップS12において、「暑い、寒い」の体感情報の集計と多数決の計算をする。
【0028】
空調設定温度制御部3のコンピュータは、ステップS13において、「暑い」という体感情報が過半数であるか否かを判断し、過半数である場合、ステップS14において、現在の設定温度TからT2℃(例えば2℃)を差し引いた温度に対応した設定温度信号を空調機2に送り、空調設定温度を大きく下げる。
【0029】
反面、ステップS13において、「暑い」という体感情報が過半数でないと判断した場合、ステップS15において、「寒い」という体感情報が過半数であるか否かを判断し、過半数である場合、ステップS16において、現在の設定温度TにT2℃(例えば2℃)を加えた温度に対応した設定温度信号を空調機2に送り、空調設定温度を大きく上げる。ステップS15において、「寒い」という体感情報が過半数でなければ、即ち、「暑い」、「寒い」のどちらも過半数でなければステップS17において、上記多数決計算の体感情報をキャンセルしたうえ、ステップS3,S4,S5の運転をするとともにステップS6〜S17を繰り返す。
【0030】
このように、空調温度制御装置1は、ステップS3,S4,S5の運転をすることにより省エネルギーを実現するとともにステップS6〜S17を繰り返すことによって、多数の人に快適な空調環境を与えることができる。
【0031】
尚、図2、図3に示したような空調温度制御装置1の制御作用では、在室者数と体感情報とに基づく多数決計算により、空調設定温度を変更するものであったが、在室者数と無関係に、在室者が入力した体感情報のみから判断して、空調設定温度を変更する場合でも、多数の人に快適な空調環境を与えることができる。例えば一定時間内に在室者により多くの体感情報が入力された場合は、在室者数と無関係に変更要求が高いと判断して空調設定温度を変更するなどである。
【0032】
【発明の効果】
本発明によれば、省エネルギーを実現することができるとともに空調エリアに居る人に快適な空調環境を与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】空調温度制御装置の全体的な構成を示したブロック系統図である。
【図2】空調設定温度制御を示したフローチャートである。
【図3】別の空調設定温度制御を示したフローチャートである。
【符号の説明】
1 空調温度制御装置
2 空調機
3 空調設定温度制御部
4 在室者認識装置
5 端末
Claims (2)
- 空調エリアに居るそれぞれの人が当該空調エリアの体感情報を入力するための手段と、前記空調エリアに居る人による前記体感情報の入力が無い場合、空調設定温度を徐々に使用エネルギーを減少させる方向に変更するとともに、前記体感情報が入力された場合は、入力されたそれぞれの体感情報を集計したうえ、その集計結果に基づいて当該空調エリアの空調設定温度の変更をする手段とを備えたことを特徴とする空調温度制御装置。
- 空調エリアに居る人を認識する手段と、前記空調エリアに居るそれぞれの人が当該空調エリアの体感情報を入力するための手段と、前記空調エリアに居る人による前記体感情報の入力が無い場合、空調設定温度を徐々に使用エネルギーを減少させる方向に変更するとともに、前記体感情報が入力された場合は、入力されたそれぞれの体感情報を集計したうえ、当該空調エリアに居る人の数と当該体感情報の集計結果とに基づいて空調設定温度の変更をする手段とを備えたことを特徴とする空調温度制御装置。
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