JP2004000818A - 凝集剤の添加方法および装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】濃縮対象汚泥の性状の変化に対して凝集反応時間を適切に調整することができ、攪拌のための動力を必要としない凝集剤の添加方法および装置を提供する。
【解決手段】先端が汚泥濃縮機2に連通する所定管路長の給泥管路1に、基端から給泥ポンプ3によって濃縮対象汚泥を供給し、先端側の複数箇所でそれぞれ薬液バルブ10、11、12、13を介して給泥管路1に連通する薬液供給管路7に、基端から薬液供給ポンプ8で凝集剤を供給し、任意の薬液バルブ10、11、12、13を開栓して凝集剤を給泥管路1に供給し、凝集剤を投入した濃縮対象汚泥が給泥管路1を流れて汚泥濃縮機2に達するまでの滞留時間において凝集剤を濃縮対象汚泥に混合して凝集反応を行わせるものであって、開栓する薬液バルブ10、11、12、13を適宜に選択することで滞留時間を調整して濃縮対象汚泥の性状に応じた凝集反応時間を確保する。
【選択図】 図1
【解決手段】先端が汚泥濃縮機2に連通する所定管路長の給泥管路1に、基端から給泥ポンプ3によって濃縮対象汚泥を供給し、先端側の複数箇所でそれぞれ薬液バルブ10、11、12、13を介して給泥管路1に連通する薬液供給管路7に、基端から薬液供給ポンプ8で凝集剤を供給し、任意の薬液バルブ10、11、12、13を開栓して凝集剤を給泥管路1に供給し、凝集剤を投入した濃縮対象汚泥が給泥管路1を流れて汚泥濃縮機2に達するまでの滞留時間において凝集剤を濃縮対象汚泥に混合して凝集反応を行わせるものであって、開栓する薬液バルブ10、11、12、13を適宜に選択することで滞留時間を調整して濃縮対象汚泥の性状に応じた凝集反応時間を確保する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は凝集剤の添加方法および装置に関し、下水・廃水処理などで発生する汚泥に高分子凝集剤などの凝集剤を添加・混合し、凝縮させる技術に係るものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、下水・廃水処理等で発生する余剰汚泥は減容化を目的として濃縮される。濃縮対象汚泥としては、必ずしも1種類の汚泥だけでなく、最初沈殿池汚泥(初沈汚泥)、または余剰汚泥、最初沈殿池汚泥の双方を混合した混合汚泥も濃縮の対象となることがある。
【0003】
汚泥の濃縮法には重力濃縮法、機械濃縮法があり、機械濃縮法には遠心濃縮法、常圧浮上法、加圧浮上法、造粒濃縮法がある。これら以外に機械濃縮法の技術としては、濾布を使用した走行式のベルトスクリーン型、ウェッジワイヤーやパンチングメタルを使用した回転ドラム式のドラムスクリーン型、ウェッジワイヤーを使用した固定式の傾斜スクリーン等がある。
【0004】
しかし、近年では汚泥に含まれる有機物量の増加に伴って濃縮不良が生じ、汚泥の濃縮性が悪化し、後工程の汚泥処理に影響が出ている場合が増えている。このため、難濃縮性の汚泥に対しては濃縮促進剤として高分子凝集剤などを添加することもある。汚泥と凝集剤を反応させる方式にはドラム式、攪拌式などの様々な種類がある。
【0005】
以下に、下水・廃水処理の一例を図4に示す。図4において、沈砂池11にて流入する原水中の砂、砂利、粗大なごみを除去する。沈殿池12にて浮遊する固形物を沈殿させて初沈汚泥として引き抜く。初沈汚泥は余剰汚泥と混合して後に混合汚泥として引き抜く場合もある。沈殿池12の分離水は反応タンク13で微生物の働きにより生物処理を行う。反応タンク13の生物処理水は沈殿池14で活性汚泥を沈殿させ、清澄な上澄水を消毒槽15で消毒後に河川などへ放流する。沈殿池14の沈殿汚泥は返送汚泥として反応タンク13に送るほか、余剰汚泥として引き抜く。引き抜いた初沈汚泥、余剰汚泥は、凝集剤槽16から凝集剤を添加して後に汚泥濃縮機17に送って濃縮汚泥と脱離液に分離する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、汚泥と凝集剤を反応させる手段にはドラム式、攪拌式など従来からある優れた凝集方法があるが、対象となる汚泥の凝集反応に必要な滞留時間に適した槽容積を設計段階で決定する必要があり、全く異なる2種類の汚泥を同じ装置で凝集させることは想定されていない。また、これらの凝集装置には攪拌動力が必要である。
【0007】
本発明は上記した課題を解決するものであり、濃縮対象汚泥の性状の変化に対して凝集反応時間を適切に調整することができ、攪拌のための動力を必要としない凝集剤の添加方法および装置を提供する。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1に係る本発明の凝集剤の添加方法は、先端が汚泥濃縮手段に連通する所定管路長の給泥管路に、基端から給泥ポンプによって濃縮対象汚泥を供給し、先端側の複数箇所でそれぞれ薬液バルブを介して給泥管路に連通する薬液供給管路に、基端から薬液供給ポンプで凝集剤を供給し、任意の薬液バルブを開栓して凝集剤を給泥管路に供給し、凝集剤を投入した濃縮対象汚泥が給泥管路を流れて汚泥濃縮手段に達するまでの滞留時間において凝集剤を濃縮対象汚泥に混合して凝集反応を行わせるものであって、開栓する薬液バルブを適宜に選択することで滞留時間を調整して濃縮対象汚泥の性状に応じた凝集反応時間を確保するものである。
【0009】
上記した構成により、濃縮対象汚泥を汚泥濃縮手段で濃縮して得られる濃縮汚泥において所定濃縮濃度および所定SS回収率を達成するのには、汚泥濃縮手段に投入する濃縮対象汚泥に所定の凝集効果が生じていることが必要である。
【0010】
凝集剤が所定の凝集効果を発揮するために必要な凝集反応時間は、濃縮対象汚泥のTS(総固形物量)が少ないほどに短くなり、TS(総固形物量)が多いほどに長くなる。一方、凝集剤の添加により濃縮対象汚泥中に発生する凝集フロックは給泥管路を流れる距離、換言すると滞留時間が長いほどに壊れ易くなる。したがって、過剰な滞留時間は凝集効果を減じて濃縮濃度およびSS回収率を低下させる要因となる。よって、TSに相応した凝集反応時間となるように滞留時間を制御する必要があるので、開栓する薬液バルブを適宜に選択することで滞留時間を調整して濃縮対象汚泥の性状に応じた凝集反応時間を確保する。
【0011】
請求項2に係る本発明の凝集剤の添加装置は、先端が汚泥濃縮手段に連通し、基端が濃縮対象汚泥を供給する給泥ポンプに連通した所定管路長の給泥管路と、基端が凝集剤を供給する薬液供給ポンプに連通し、先端側の複数箇所でそれぞれバルブを介して給泥管路に連通する薬液供給管路とを備えたものである。
【0012】
上記した構成により、開栓する薬液バルブを適宜に選択することで滞留時間を調整して濃縮対象汚泥の性状に応じた凝集反応時間を確保できる。
請求項3に係る本発明の凝集剤の添加装置は、給泥管路が九十九折状もしくは螺旋状の管路をなすものである。
【0013】
上記した構成により、狭いスペースに長い管路長の給泥管路を配置することができ、給泥管路が九十九折状もしくは螺旋状をなすことで管路内での流れが乱流となって濃縮対象汚泥と凝集剤の攪拌効果が高まり、凝集反応の効率が向上する。よって、攪拌のための特別な動力を必要としない。
【0014】
請求項4に係る本発明の凝集剤の添加装置は、給泥管路が途中に複数の攪拌手段を有するものである。
上記した構成において、攪拌手段は給泥管路を構成する管継手や管路内に配置する固定翼であり、攪拌手段を通過する際に濃縮対象汚泥と凝集剤の攪拌効果が高まるので、攪拌のための特別な動力を必要とせずに凝集反応の効率の向上を図ることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1〜図3において、給泥管路1は先端が汚泥濃縮機(例えばベルト型濃縮機)2に連通しており、基端が濃縮対象汚泥を供給する給泥ポンプ3に連通し、給泥ポンプ3の吸込側が汚泥貯留槽4に連通している。給泥管路1は所定管路長を有しており、九十九折状もしくは螺旋状、あるいは直線状の管路に形成することができるが、本実施の形態では単管5を管継手6で90°に接続して幾重にも屈曲する九十九折状に形成しており、狭いスペースに必要な長さの管路長の給泥管路1を効率良く配置している。管継手6は後述するように攪拌手段として作用するが、給泥管路1の途中に必要に応じて、流路断面積が拡縮する管路、管内スクリュー、オリフィス形状、邪魔板、ピン類等の攪拌手段を設ける。
【0016】
薬液供給管路7は基端が凝集剤を供給する薬液供給ポンプ8に連通しており、薬液供給ポンプ8の吸込側が凝集剤槽9に連通している。薬液供給管路7は先端側の複数箇所で分岐してそれぞれ薬液バルブ10、11、12、13を介して給泥管路1に連通している。薬液供給管路7の各接続位置から給泥管路1の先端までの管路長は予め実験等で求めたものであり、給泥管路1に対する薬液供給管路7の接続位置を濃縮対象汚泥の汚泥種毎に異なる位置に設定している。
【0017】
以下、上記した構成における作用を説明する。汚泥貯留槽4には濃縮対象汚泥として最初沈殿池汚泥(以後、初沈汚泥と称す)や余剰汚泥、もしくはそれらの混合物を貯留する。凝集剤槽9には高分子凝集剤等の凝集剤を貯留する。
【0018】
濃縮対象汚泥は給泥ポンプ3を駆動することで給泥管路1を通して汚泥濃縮機2に供給する。この際に、何れかの薬液バブル10、11、12、13を開栓した状態において薬液供給ポンプ8を駆動することで薬液供給管路7を通して給泥管路1に凝集剤を供給する。
【0019】
凝集剤を投入した濃縮対象汚泥は給泥管路1を流れて汚泥濃縮機2に達するまでに、給泥管路1を流動する間の管壁との摩擦に由来する乱流、管路が90°に屈曲することに由来する乱流、管継手6における流路断面積の変化や継ぎ目の抵抗要素に由来する乱流、固定翼等の攪拌手段に由来する乱流によって攪拌作用を受ける。この乱流によって攪拌効果が高まり、凝集剤と濃縮対象汚泥との混合を促進することで凝集反応の効率が向上する。
【0020】
この凝集剤を投入した濃縮対象汚泥が給泥管路1を流れて汚泥濃縮機2に達するまでの管路長および滞留時間は、開栓する薬液バブル10、11、12、13を適宜に選択することで調整でき、濃縮対象汚泥の性状に応じた凝集反応時間を確保できる。
【0021】
ところで、濃縮対象汚泥を汚泥濃縮機2で濃縮して得られる濃縮汚泥には所定濃縮濃度(濃縮汚泥中の固形物量の割合)および所定SS回収率(濃縮対象汚泥中の固形物量に対する濃縮汚泥中の固形物量の割合)が求められる。このために、汚泥濃縮機2に投入する濃縮対象汚泥には所定の凝集効果が生じていることが必要である。
【0022】
図2は粘性の高い初沈汚泥(TS2.4Wt%)に凝集剤(0.4Wt%)を添加する場合における凝集剤の添加位置と濃縮汚泥の濃縮濃度の関係を示すものである。図2より明らかなように、給泥管路1の先端に最も近いバルブ10を開栓して凝集剤を添加する場合、つまり最も滞留時間が短い場合に濃縮濃度およびSS回収率がともに低くなり、先端から最も遠いバルブ13を開栓して凝集剤を添加する場合、つまり最も滞留時間が長い場合に濃縮濃度およびSS回収率がともに高くなる。
【0023】
このように、凝集剤が所定の凝集効果、例えば図2中に一点鎖線で示す設定値の基準を満たす所定濃縮濃度および所定SS回収率を発揮するためには、濃縮対象汚泥のTS(総固形物量)が多いほどに凝集反応時間を長く必要とし、少ないほどに凝集反応時間が短くてすむ。
【0024】
一方、図3は粘性の低い余剰汚泥(TS0.3Wt%)に凝集剤(0.3Wt%)を添加する場合における凝集剤の添加位置と濃縮汚泥の濃縮濃度の関係を示すものである。図3より明らかなように、給泥管路1の先端に最も近いバルブ10を開栓して凝集剤を添加する場合、つまり最も滞留時間が短い場合に濃縮濃度およびSS回収率がともに高くなり、先端から最も遠いバルブ13を開栓して凝集剤を添加する場合、つまり最も滞留時間が長い場合に濃縮濃度およびSS回収率がともに低くなる。
【0025】
これは凝集剤の添加により濃縮対象汚泥中に発生する凝集フロックが給泥管路を流れる距離、換言すると滞留時間が長いほどに壊れ易くなるためであり、過剰な滞留時間は凝集効果を減じて濃縮濃度およびSS回収率を低下させる要因となるので、凝集剤が所定の凝集効果、例えば図3中に一点鎖線で示す設定値の基準を満たす所定濃縮濃度および所定SS回収率を発揮するためには、TSに相応した凝集反応時間となるように滞留時間を制御する必要がある。
【0026】
よって、汚泥種毎に異なる濃縮対象汚泥の性状に応じて開栓する薬液バルブを適宜に選択することで滞留時間を調整して適切な凝集反応時間を確保する。
【0027】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、開栓する薬液バルブを適宜に選択することで滞留時間を調整して汚泥種毎に異なる濃縮対象汚泥の性状に応じた適切な凝集反応時間を確保でき、複数種類の汚泥種に柔軟に対応することができる。よって、従来のように対象となる汚泥の凝集反応に必要な滞留時間に適した槽容積を設計段階で決定する必要がなくなり、全く異なる2種類の汚泥を同じ装置で凝集させることが可能となる。
【0028】
給泥管路が九十九折状もしくは螺旋状の管路をなすことで、狭いスペースに長い管路長の給泥管路を配置することができるとともに、管路内での流れが乱流となって濃縮対象汚泥と凝集剤の攪拌効果が高まり、攪拌のための特別な動力を必要とせずに凝集反応の効率を向上させることができる。管継手や管路内に配置する固定翼等の攪拌手段によって攪拌効果を高めて凝集反応の効率をさらに向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態における凝集剤の添加装置を示す平面図である。
【図2】同実施の形態において添加位置が濃縮濃度とSS回収率に与える影響を示すグラフ図である。
【図3】同実施の形態において添加位置が濃縮濃度とSS回収率に与える影響を示すグラフ図である。
【図4】従来の下水・廃水処理の一例を示すフローシート図である。
【符号の説明】
1 給泥管路
2 汚泥濃縮機
3 給泥ポンプ
4 汚泥貯留槽
5 単管
6 管継手
7 薬液供給管路
8 薬液供給ポンプ
9 凝集剤槽
10、11、12、13 バルブ
【発明の属する技術分野】
本発明は凝集剤の添加方法および装置に関し、下水・廃水処理などで発生する汚泥に高分子凝集剤などの凝集剤を添加・混合し、凝縮させる技術に係るものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、下水・廃水処理等で発生する余剰汚泥は減容化を目的として濃縮される。濃縮対象汚泥としては、必ずしも1種類の汚泥だけでなく、最初沈殿池汚泥(初沈汚泥)、または余剰汚泥、最初沈殿池汚泥の双方を混合した混合汚泥も濃縮の対象となることがある。
【0003】
汚泥の濃縮法には重力濃縮法、機械濃縮法があり、機械濃縮法には遠心濃縮法、常圧浮上法、加圧浮上法、造粒濃縮法がある。これら以外に機械濃縮法の技術としては、濾布を使用した走行式のベルトスクリーン型、ウェッジワイヤーやパンチングメタルを使用した回転ドラム式のドラムスクリーン型、ウェッジワイヤーを使用した固定式の傾斜スクリーン等がある。
【0004】
しかし、近年では汚泥に含まれる有機物量の増加に伴って濃縮不良が生じ、汚泥の濃縮性が悪化し、後工程の汚泥処理に影響が出ている場合が増えている。このため、難濃縮性の汚泥に対しては濃縮促進剤として高分子凝集剤などを添加することもある。汚泥と凝集剤を反応させる方式にはドラム式、攪拌式などの様々な種類がある。
【0005】
以下に、下水・廃水処理の一例を図4に示す。図4において、沈砂池11にて流入する原水中の砂、砂利、粗大なごみを除去する。沈殿池12にて浮遊する固形物を沈殿させて初沈汚泥として引き抜く。初沈汚泥は余剰汚泥と混合して後に混合汚泥として引き抜く場合もある。沈殿池12の分離水は反応タンク13で微生物の働きにより生物処理を行う。反応タンク13の生物処理水は沈殿池14で活性汚泥を沈殿させ、清澄な上澄水を消毒槽15で消毒後に河川などへ放流する。沈殿池14の沈殿汚泥は返送汚泥として反応タンク13に送るほか、余剰汚泥として引き抜く。引き抜いた初沈汚泥、余剰汚泥は、凝集剤槽16から凝集剤を添加して後に汚泥濃縮機17に送って濃縮汚泥と脱離液に分離する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、汚泥と凝集剤を反応させる手段にはドラム式、攪拌式など従来からある優れた凝集方法があるが、対象となる汚泥の凝集反応に必要な滞留時間に適した槽容積を設計段階で決定する必要があり、全く異なる2種類の汚泥を同じ装置で凝集させることは想定されていない。また、これらの凝集装置には攪拌動力が必要である。
【0007】
本発明は上記した課題を解決するものであり、濃縮対象汚泥の性状の変化に対して凝集反応時間を適切に調整することができ、攪拌のための動力を必要としない凝集剤の添加方法および装置を提供する。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1に係る本発明の凝集剤の添加方法は、先端が汚泥濃縮手段に連通する所定管路長の給泥管路に、基端から給泥ポンプによって濃縮対象汚泥を供給し、先端側の複数箇所でそれぞれ薬液バルブを介して給泥管路に連通する薬液供給管路に、基端から薬液供給ポンプで凝集剤を供給し、任意の薬液バルブを開栓して凝集剤を給泥管路に供給し、凝集剤を投入した濃縮対象汚泥が給泥管路を流れて汚泥濃縮手段に達するまでの滞留時間において凝集剤を濃縮対象汚泥に混合して凝集反応を行わせるものであって、開栓する薬液バルブを適宜に選択することで滞留時間を調整して濃縮対象汚泥の性状に応じた凝集反応時間を確保するものである。
【0009】
上記した構成により、濃縮対象汚泥を汚泥濃縮手段で濃縮して得られる濃縮汚泥において所定濃縮濃度および所定SS回収率を達成するのには、汚泥濃縮手段に投入する濃縮対象汚泥に所定の凝集効果が生じていることが必要である。
【0010】
凝集剤が所定の凝集効果を発揮するために必要な凝集反応時間は、濃縮対象汚泥のTS(総固形物量)が少ないほどに短くなり、TS(総固形物量)が多いほどに長くなる。一方、凝集剤の添加により濃縮対象汚泥中に発生する凝集フロックは給泥管路を流れる距離、換言すると滞留時間が長いほどに壊れ易くなる。したがって、過剰な滞留時間は凝集効果を減じて濃縮濃度およびSS回収率を低下させる要因となる。よって、TSに相応した凝集反応時間となるように滞留時間を制御する必要があるので、開栓する薬液バルブを適宜に選択することで滞留時間を調整して濃縮対象汚泥の性状に応じた凝集反応時間を確保する。
【0011】
請求項2に係る本発明の凝集剤の添加装置は、先端が汚泥濃縮手段に連通し、基端が濃縮対象汚泥を供給する給泥ポンプに連通した所定管路長の給泥管路と、基端が凝集剤を供給する薬液供給ポンプに連通し、先端側の複数箇所でそれぞれバルブを介して給泥管路に連通する薬液供給管路とを備えたものである。
【0012】
上記した構成により、開栓する薬液バルブを適宜に選択することで滞留時間を調整して濃縮対象汚泥の性状に応じた凝集反応時間を確保できる。
請求項3に係る本発明の凝集剤の添加装置は、給泥管路が九十九折状もしくは螺旋状の管路をなすものである。
【0013】
上記した構成により、狭いスペースに長い管路長の給泥管路を配置することができ、給泥管路が九十九折状もしくは螺旋状をなすことで管路内での流れが乱流となって濃縮対象汚泥と凝集剤の攪拌効果が高まり、凝集反応の効率が向上する。よって、攪拌のための特別な動力を必要としない。
【0014】
請求項4に係る本発明の凝集剤の添加装置は、給泥管路が途中に複数の攪拌手段を有するものである。
上記した構成において、攪拌手段は給泥管路を構成する管継手や管路内に配置する固定翼であり、攪拌手段を通過する際に濃縮対象汚泥と凝集剤の攪拌効果が高まるので、攪拌のための特別な動力を必要とせずに凝集反応の効率の向上を図ることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1〜図3において、給泥管路1は先端が汚泥濃縮機(例えばベルト型濃縮機)2に連通しており、基端が濃縮対象汚泥を供給する給泥ポンプ3に連通し、給泥ポンプ3の吸込側が汚泥貯留槽4に連通している。給泥管路1は所定管路長を有しており、九十九折状もしくは螺旋状、あるいは直線状の管路に形成することができるが、本実施の形態では単管5を管継手6で90°に接続して幾重にも屈曲する九十九折状に形成しており、狭いスペースに必要な長さの管路長の給泥管路1を効率良く配置している。管継手6は後述するように攪拌手段として作用するが、給泥管路1の途中に必要に応じて、流路断面積が拡縮する管路、管内スクリュー、オリフィス形状、邪魔板、ピン類等の攪拌手段を設ける。
【0016】
薬液供給管路7は基端が凝集剤を供給する薬液供給ポンプ8に連通しており、薬液供給ポンプ8の吸込側が凝集剤槽9に連通している。薬液供給管路7は先端側の複数箇所で分岐してそれぞれ薬液バルブ10、11、12、13を介して給泥管路1に連通している。薬液供給管路7の各接続位置から給泥管路1の先端までの管路長は予め実験等で求めたものであり、給泥管路1に対する薬液供給管路7の接続位置を濃縮対象汚泥の汚泥種毎に異なる位置に設定している。
【0017】
以下、上記した構成における作用を説明する。汚泥貯留槽4には濃縮対象汚泥として最初沈殿池汚泥(以後、初沈汚泥と称す)や余剰汚泥、もしくはそれらの混合物を貯留する。凝集剤槽9には高分子凝集剤等の凝集剤を貯留する。
【0018】
濃縮対象汚泥は給泥ポンプ3を駆動することで給泥管路1を通して汚泥濃縮機2に供給する。この際に、何れかの薬液バブル10、11、12、13を開栓した状態において薬液供給ポンプ8を駆動することで薬液供給管路7を通して給泥管路1に凝集剤を供給する。
【0019】
凝集剤を投入した濃縮対象汚泥は給泥管路1を流れて汚泥濃縮機2に達するまでに、給泥管路1を流動する間の管壁との摩擦に由来する乱流、管路が90°に屈曲することに由来する乱流、管継手6における流路断面積の変化や継ぎ目の抵抗要素に由来する乱流、固定翼等の攪拌手段に由来する乱流によって攪拌作用を受ける。この乱流によって攪拌効果が高まり、凝集剤と濃縮対象汚泥との混合を促進することで凝集反応の効率が向上する。
【0020】
この凝集剤を投入した濃縮対象汚泥が給泥管路1を流れて汚泥濃縮機2に達するまでの管路長および滞留時間は、開栓する薬液バブル10、11、12、13を適宜に選択することで調整でき、濃縮対象汚泥の性状に応じた凝集反応時間を確保できる。
【0021】
ところで、濃縮対象汚泥を汚泥濃縮機2で濃縮して得られる濃縮汚泥には所定濃縮濃度(濃縮汚泥中の固形物量の割合)および所定SS回収率(濃縮対象汚泥中の固形物量に対する濃縮汚泥中の固形物量の割合)が求められる。このために、汚泥濃縮機2に投入する濃縮対象汚泥には所定の凝集効果が生じていることが必要である。
【0022】
図2は粘性の高い初沈汚泥(TS2.4Wt%)に凝集剤(0.4Wt%)を添加する場合における凝集剤の添加位置と濃縮汚泥の濃縮濃度の関係を示すものである。図2より明らかなように、給泥管路1の先端に最も近いバルブ10を開栓して凝集剤を添加する場合、つまり最も滞留時間が短い場合に濃縮濃度およびSS回収率がともに低くなり、先端から最も遠いバルブ13を開栓して凝集剤を添加する場合、つまり最も滞留時間が長い場合に濃縮濃度およびSS回収率がともに高くなる。
【0023】
このように、凝集剤が所定の凝集効果、例えば図2中に一点鎖線で示す設定値の基準を満たす所定濃縮濃度および所定SS回収率を発揮するためには、濃縮対象汚泥のTS(総固形物量)が多いほどに凝集反応時間を長く必要とし、少ないほどに凝集反応時間が短くてすむ。
【0024】
一方、図3は粘性の低い余剰汚泥(TS0.3Wt%)に凝集剤(0.3Wt%)を添加する場合における凝集剤の添加位置と濃縮汚泥の濃縮濃度の関係を示すものである。図3より明らかなように、給泥管路1の先端に最も近いバルブ10を開栓して凝集剤を添加する場合、つまり最も滞留時間が短い場合に濃縮濃度およびSS回収率がともに高くなり、先端から最も遠いバルブ13を開栓して凝集剤を添加する場合、つまり最も滞留時間が長い場合に濃縮濃度およびSS回収率がともに低くなる。
【0025】
これは凝集剤の添加により濃縮対象汚泥中に発生する凝集フロックが給泥管路を流れる距離、換言すると滞留時間が長いほどに壊れ易くなるためであり、過剰な滞留時間は凝集効果を減じて濃縮濃度およびSS回収率を低下させる要因となるので、凝集剤が所定の凝集効果、例えば図3中に一点鎖線で示す設定値の基準を満たす所定濃縮濃度および所定SS回収率を発揮するためには、TSに相応した凝集反応時間となるように滞留時間を制御する必要がある。
【0026】
よって、汚泥種毎に異なる濃縮対象汚泥の性状に応じて開栓する薬液バルブを適宜に選択することで滞留時間を調整して適切な凝集反応時間を確保する。
【0027】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、開栓する薬液バルブを適宜に選択することで滞留時間を調整して汚泥種毎に異なる濃縮対象汚泥の性状に応じた適切な凝集反応時間を確保でき、複数種類の汚泥種に柔軟に対応することができる。よって、従来のように対象となる汚泥の凝集反応に必要な滞留時間に適した槽容積を設計段階で決定する必要がなくなり、全く異なる2種類の汚泥を同じ装置で凝集させることが可能となる。
【0028】
給泥管路が九十九折状もしくは螺旋状の管路をなすことで、狭いスペースに長い管路長の給泥管路を配置することができるとともに、管路内での流れが乱流となって濃縮対象汚泥と凝集剤の攪拌効果が高まり、攪拌のための特別な動力を必要とせずに凝集反応の効率を向上させることができる。管継手や管路内に配置する固定翼等の攪拌手段によって攪拌効果を高めて凝集反応の効率をさらに向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態における凝集剤の添加装置を示す平面図である。
【図2】同実施の形態において添加位置が濃縮濃度とSS回収率に与える影響を示すグラフ図である。
【図3】同実施の形態において添加位置が濃縮濃度とSS回収率に与える影響を示すグラフ図である。
【図4】従来の下水・廃水処理の一例を示すフローシート図である。
【符号の説明】
1 給泥管路
2 汚泥濃縮機
3 給泥ポンプ
4 汚泥貯留槽
5 単管
6 管継手
7 薬液供給管路
8 薬液供給ポンプ
9 凝集剤槽
10、11、12、13 バルブ
Claims (4)
- 先端が汚泥濃縮手段に連通する所定管路長の給泥管路に、基端から給泥ポンプによって濃縮対象汚泥を供給し、先端側の複数箇所でそれぞれ薬液バルブを介して給泥管路に連通する薬液供給管路に、基端から薬液供給ポンプで凝集剤を供給し、任意の薬液バルブを開栓して凝集剤を給泥管路に供給し、凝集剤を投入した濃縮対象汚泥が給泥管路を流れて汚泥濃縮手段に達するまでの滞留時間において凝集剤を濃縮対象汚泥に混合して凝集反応を行わせるものであって、開栓する薬液バルブを適宜に選択することで滞留時間を調整して濃縮対象汚泥の性状に応じた凝集反応時間を確保することを特徴とする凝集剤の添加方法。
- 先端が汚泥濃縮手段に連通し、基端が濃縮対象汚泥を供給する給泥ポンプに連通した所定管路長の給泥管路と、基端が凝集剤を供給する薬液供給ポンプに連通し、先端側の複数箇所でそれぞれバルブを介して給泥管路に連通する薬液供給管路とを備えたことを特徴とする凝集剤の添加装置。
- 給泥管路が九十九折状もしくは螺旋状の管路をなすことを特徴とする請求項2に記載の凝集剤の添加装置。
- 給泥管路が途中に複数の攪拌手段を有することを特徴とする請求項2又は3に記載の凝集剤の添加装置。
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