JP2004000626A - ポリマーネットワーク中にグラファイトナノシートを含むゴルフボール。 - Google Patents
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Abstract
【課題】ポリマーマトリックスに剥離グラファイトのナノシートを含む層を含むゴルフボールを提供すること。
【解決手段】剥離グラファイトは、好ましくは酸化工程で炭素の層状平面の間の空間に原子又は分子を挿入し高熱に短時間曝露して厚さを膨張させたものである。膨張し又は剥離したグラファイトを次いでモノマーと混合し、即時に重合して分散した剥離グラファイトのナノシートのネットワークを有するポリマーを製造する。剥離グラファイトは重合工程中にそのナノ構造を保持する。剥離グラファイトのナノシートを有するポリマーを含む得られたゴルフボールの層は優れた引張強度、低い気体透過性及び増強した衝撃強さを示す。圧縮した剥離グラファイト層を含む水蒸気障壁層を含むゴルフボールも提供される。膨張し又は剥離したグラファイトを圧縮して柔軟な薄いシート又はフォイルとする。これらのシートをポリマーバインダーと共に製造してもよい。
【選択図】 図1
【解決手段】剥離グラファイトは、好ましくは酸化工程で炭素の層状平面の間の空間に原子又は分子を挿入し高熱に短時間曝露して厚さを膨張させたものである。膨張し又は剥離したグラファイトを次いでモノマーと混合し、即時に重合して分散した剥離グラファイトのナノシートのネットワークを有するポリマーを製造する。剥離グラファイトは重合工程中にそのナノ構造を保持する。剥離グラファイトのナノシートを有するポリマーを含む得られたゴルフボールの層は優れた引張強度、低い気体透過性及び増強した衝撃強さを示す。圧縮した剥離グラファイト層を含む水蒸気障壁層を含むゴルフボールも提供される。膨張し又は剥離したグラファイトを圧縮して柔軟な薄いシート又はフォイルとする。これらのシートをポリマーバインダーと共に製造してもよい。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、フィラーを含む層を含むゴルフボールに関し、より詳細には剥離したグラファイトナノシートを含む層を有するゴルフボールに関する。
【0002】
【従来の技術】
常用のゴルフボールは典型的にはコアとカバーの二つの機能成分を含む。コアの第1の目的はボールの“スプリング”又は反発弾性の主要な源となることである。
ツーピースソリッドボールは典型的にはソリッドコアで製造され、通常硬いカバー材料で包んだ架橋ポリブタジエン又は他のゴムから製造される。コア及び/又はカバーは多層を含むこともできる。
パフォーマンス特性が改良されたゴルフボールを製造する努力の中で、製造業者は多−ピースゴルフボールの種々の層にフィラーを加えてきた。典型的には一又は複数の層の密度、回転慣性モーメント、曲げ係数、離型性、又はメルトフローインデックス調整するためにフィラーを添加する。例えば、熱可塑性の層にフィラーを添加するとその層の曲げ係数又はこわさが増加て、ゴルフボールは低い回転速度と大きな飛びを達成することができる。
【0003】
ゴルフボールの技術で使用するフィラーは典型的には繊維、無機粉末、カーボネート、金属及び金属合金、金属酸化物、金属ステアレート、炭素材料の微粒子及びマイクロバルーンを含む。繊維は典型的にはガラス繊維、アラミド繊維及びアスベストを含む。無機材料は典型的にはシリカ、クレー、タルク及び雲母を含む。金属及び金属合金は典型的には特にチタン、タングステン、アルミニウム、ビスマス、ニッケル、モリブデン、鉄、鋼、鉛、銅、シンチュウ、青銅、亜鉛及びスズを含む。金属酸化物は典型的には酸化亜鉛、酸化鉄、酸化アルミニウム、酸化チタン及び酸化マグネシウムを含む。金属ステアレートは典型的には亜鉛ステアレート、カルシウムステアレート、バリウムステアレート、リチウムステアレート及びマグネシウムステアレートを含む。炭素材料の微粒子は典型的にはグラファイト、カーボンブラック、天然ビチューメン、綿フロック及びセルロースを含む。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
フィラーを典型的には微細に粉砕した形態でポリマー材料と混合又はブレンドし、又は反応してポリマーの一部になる前にモノマーと混合する。しかしながら、これらのフィラーのいくつか、例えばグラファイトはナノ構造を有し、この構造はゴルフボールの技術では完全には利用されてこなかった。現在、グラファイトは典型的には剥離して、ゴルフボールの一又は複数の層として使用するポリマーマトリックスへの分散のために、種々のアスペクト比を有する単層の小板になる。従って、本技術分野では充填層が改良されたゴルフボールに対する要望が依然として存在する。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ナノ構造を有するフィラーを含む少なくとも一つの層を有するゴルフボールに向いている。
本発明はさらに、変化したナノ構造を有するフィラーを含む少なくとも一つの層を有するゴルフボールに向いている。
本発明はさらに、剥離したグラファイトを含む少なくとも一つの層を有するゴルフボールに向いている。
本発明の観点に従うと、ゴルフボールの少なくとも一つの層がポリマーマトリックスに分散した剥離したグラファイトのナノシートを含む。剥離したグラファイトは好ましくは酸化工程によって挿入されたものであり、該工程において原子又は分子が炭素の層状をした平面の間の平面間空間に挿入され、膨張させられる。挿入されたグラファイトを好ましくは短期間高熱に曝露して膨張又は剥離させてグラファイトの厚さを拡大する。次いで膨張し又は剥離したグラファイトをモノマーと混合し、その場で重合して剥離したグラファイトが分散したナノシートのネットワークを有するポリマーを製造する。剥離したグラファイトは有利なことにそのナノ構造を重合工程中に維持する。こうして得られた、剥離したグラファイトのナノシートを有するこのようなポリマーを含むゴルフボールの層は優れた引張強度、低い気体透過性及び増加した衝撃強さを示す。
【0006】
本発明の他の観点に従うと、膨張したか又は剥離したグラファイトを一緒に圧縮して柔軟な薄いシート又はフォイルとする。このようなシートをポリマーバインダーと共に又は伴わずに製造することができる。このような圧縮した剥離したグラファイトの柔軟なフォイルは低い気体透過特性を示す。本発明はさらに、水蒸気障壁層を含むゴルフボールにも向いており、ここで該水蒸気障壁層は圧縮した剥離したグラファイト層のフォイルを含む。
【0007】
【発明の実施の形態】
図1を参照すると、本発明のゴルフボール10はコア12及び外層カバー14と少なくとも二つの内層カバー、例えば内層カバー16と中間層カバー18を含むカバーを含むことができる。好ましくは、グラファイトナノシートを一又は複数の内層カバーを形成するのに使用するが、本発明のゴルフボールを種々の構成で形成することができる。
グラファイトは炭素原子の六角形配置又はネットワークの層状になった複数の平面から成る。六角形に配置した炭素原子の層状になった平面は実質的に平で、相互に実質的に平行に配向している。単層化した平面上の炭素原子は相互に共有結合しており、層状化した平面は実質的に弱いファンデルワールス力で結合している。グラファイトは異方性構造でもあり、高度に方向に依存する多くの性質を示す。グラファイトは高度の配向性をも有している。グラファイトは天然グラファイト、キッシュグラファイト及び合成グラファイトを含む。天然グラファイトは自然界に見出される。キッシュグラファイトは炭素が過剰であり、鉄の精錬途中で結晶化する。合成グラファイトを、2500℃を超える高温で炭素を含む気体の熱分解又は加熱による分解により製造される。
【0008】
グラファイトには一般に二つの軸又は方向がある。“c”軸は一般に層状になった平面に垂直な方向である。“a”軸は一般に層状になった平面に平行な方向又は“c”方向に垂直な方向である。個々のグラファイト個体の大きさはマイクロメートル(10−6メートル)、ナノメートル(10−9メートル)又はオングストローム(10−10メートル)単位で測定されているので、ナノ構造及びナノシートという用語は未変化の、天然の、挿入された、膨張した、剥離した又は膨張後に圧縮した形態にあるグラファイトの構造を意味する。ナノシートという用語はさらに層状になったグラファイトの平面をも意味する。
グラファイトのフィラーを、米国のニュージャージー州、アズバリーのアズバリー グラファイト社(Asbury Graphite, Inc.)及びテキサス州、デカター(Decatur)のポコ グラファイト社(Poco Graphite Inc.)、又は米国外のシャンドン キングダオ社(Shandong Qingdao Company)から粉末の形態で市場を通じて入手する。
【0009】
以下に詳細に記載するように、本発明の第1の好ましい態様によると、未変化の形態にあるグラファイトは、原子又は分子を層状化した平面の間の平面間空間に挿入して差し込まれる。次いで挿入されたグラファイトを突然高温に曝露して膨張又は剥離させて層状化した平面の間の平面間空間を膨張させる。次いで剥離したグラファイトを、その場で重合してポリマーマトリックス中に分散したグラファイトのナノシートを製造する前に、適切なモノマー及び他の添加物と混合する。グラファイトのナノシートを分散させたポリマーマトリックスをゴルフボールの一又は複数の層に形成することができ、又はこれを他のポリマーとブレンドして一又は複数のゴルフボールの層に形成することができる。
平面間の弱いファンデルワールス結合力により、層状化した平面に挿入することができる。換言すると、ワンデルワールス力が弱いために、層状化した平面の間の平面間空間に原子又は分子を導入しかつそこに保持することが可能となる。グラファイトに挿入する好ましい方法は、酸化剤を含む溶液中にグラファイトを浸漬することである。適切な酸化剤は以下を含む溶液を含む:硝酸、塩素酸カリウム、クロム酸、過マンガン酸カリウム、クロム酸カリウム、重クロム酸カリウム、過塩素酸等、又は混合物、例えば濃縮した硝酸及び塩素酸塩、クロム酸及びリン酸、硫酸及び硝酸、又は強有機酸の混合物、例えばトリフルオロ酢酸、並びに有機酸に可溶性の強酸化剤。
【0010】
好ましくは、挿入剤はX/Yの混合物を含む溶液であり、この場合Xは硫酸又は硫酸とリン酸であることができ、Yは酸化剤、例えば硝酸、過塩素酸、クロム酸、過マンガン酸カリウム、硝酸ナトリウム、過酸化水素、ヨウ素酸又は過ヨウ素酸である。より好ましくは、挿入剤は、約80容量%の硫酸と約20容量%の硝酸を含む溶液である。好ましくは、グラファイトを24時間まで又はそれより長く硫硝酸溶液に浸漬する。得られた生成物は、グラファイト挿入コンパウンドとしても公知であり、炭素の層状化した平面と周期的に相互の上面に積層した挿入層を含む。典型的には、1〜5層の炭素の層が挿入層に隣接して存在することができる。挿入溶液の好ましい量は100部のグラファイトに対して約10部から約150部の溶液であり、より好ましくは100部のグラファイトに対して約50部から約120部である。
【0011】
これとは別に、挿入工程を他の化学的処理によって行うことができる。例えば、挿入剤はハロゲン、例えば臭素、又は金属ハライド、例えば塩化鉄、塩化アルミニウム、等を含むことができる。ハロゲン、特に臭素を、臭素蒸気、硫酸中の臭素溶液、又は適切な有機溶媒に溶解した臭素とグラファイトとを接触させることによって挿入することができる。金属ハライドを、適切な金属ハライド溶液とグラファイトとを接触させることによって挿入することができる。例えば、塩化鉄の水溶液又は塩化鉄と硫酸の混合物とグラファイトとを接触させることにより、塩化鉄を挿入することができる。
他の適切な挿入剤は以下を含むがこれに限定されない:塩化クロミル、三酸化イオウ、三塩化アンチモン、塩化クロム(III)、塩化ヨウ素、酸化クロム(IV)、 塩化金(III)、塩化インジウム、塩化白金(IV)、フッ化クロミル、塩化タンタル(V)、塩化サマリウム、塩化ジルコニウム(IV)、塩化ウラニウム、及び塩化イットリウム。
次いで、グラファイトから過剰の挿入剤が洗浄除去されるまで、又は酸を使用している場合には洗浄水のpHが中性になるまで、挿入したグラファイトを水で洗浄する。次いでグラファイトを好ましくは洗浄溶液の沸点を超えて加熱して洗浄溶液を蒸発させる。又は、米国特許第4,895,713号に記載されているように、挿入後の洗浄工程を省くために、グラファイト100部当たり約10部〜約50部に挿入溶液を減少させることもできる。’713号特許を参考として本明細書に取り込む。
【0012】
層状化した平面の間の平面間空間を膨張させ又は剥離させるために、挿入したグラファイトを相対的に短い時間非常に高熱に曝露する。特定の理論のいずれにも拘束されるものではないが、剥離の機構は、高度に配向した層状の平面の間の捕捉した挿入剤、例えば硫硝酸(H2SO4+HNO3)が熱に曝露された場合に分解することである。
適切な剥離工程は、挿入したグラファイトを数秒間少なくとも500℃より高い、より好ましくは700℃より高い、典型的には1000℃又はそれより高い温度で加熱することを含む。処理したグラファイトは典型的には“c”方向に処理前の厚さの約100から300倍を越えて膨張する。好ましい剥離工程において、挿入したグラファイトを約1050℃の温度に約15秒間曝露して、グラファイトの“c”方向の厚さにおいて処理前の厚さの約300倍を達成する。元の厚さが約0.4μmから60μmである天然グラファイトについては、剥離したグラファイトの厚さは約2μmから約20,000μmの範囲にあることができる。
【0013】
剥離したグラファイトはもろい多孔質のグラファイトの形態にある。さらにそれは虫様又は虫の外観を有する。剥離したグラファイトは平行した層を含み、それは層の上に種々の大きさの崩壊しかつ変形した不規則に形成された孔を有する。Polymer and Engineering and Science, Vol. 41, No, 12 (2001年12月)に公表された、G. H. Chen, D. J. Wu, W. G. Weng及びW. L. Yan著の、“Dispersion of Graphite Nanosheets in a Polymeric Matrix and the Conducting Property of the Nanocomposites”と題する研究によると、グラファイトの個々のシート又は層は約100nm〜約400nmの範囲の厚さを有する。Chen等の研究報告を全て参考として本明細書に取り込む。Chen等の研究は、剥離したグラファイトは炭素層とグラファイトナノシートを含み、該シートは5nmより小さい厚さを有する薄い平行のシートを含むこと、及びナノシート間のギャラリー空間は約10nmであることを報告している。
【0014】
次いで剥離したグラファイトをモノマーと混合し重合温度又は加硫温度まで加熱して剥離グラファイトを分散させたナノシートを有するポリマーを製造する。剥離したグラファイトはモノマーとも反応してポリマーの構造に一部となる。ポリマーマトリックス中でナノシートはその構造を保持すること、及びナノシートの間のギャラリー空間にモノマー又はポリマーが入り込むことも知られている。ポリマーマトリックスにおける剥離したグラファイトのナノシートの分散はポリマーの引張強度を改良することも確定している。ポリマー/グラファイト複合体のこの改良された引張強度はその耐衝撃性を改良する。
ポリマーマトリックスは炭素と相溶性であるいずれのポリマー組成物であってもよい。適切なポリマー組成物は熱硬化性ポリマー及び熱可塑性ポリマーを含む。より詳細には、適切なポリマー組成物は以下を含む:ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリル酸及びメタクリル酸ポリマー、例えばポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリエポキシド又はエポキシ部分を含むいずれかのポリマー、フェノール−ホルムアルデヒド、ポリアミド、ポリエステル、ポリビニルクロリド、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオリド、ポリウレタン、これら及び類似物のコポリマー及びブレンド。
【0015】
適切なポリマー組成物はさらに以下を含むがこれに限定されない:金属イオンが有機酸の塩である金属イオン源で中和されたアイオノマーを含む一又は複数の部分的又は完全に中和されたアイオノマー、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレンを含むポリオレフィン及びポリエチレンアクリル酸又はメタクリル酸コポリマーを含むこれらのコポリマー、又はエチレン、軟化アクリレート群のエステル、例えばメチルアクリレート、n−ブチル−アクリレート又はイソ−ブチルアクリレート、とカルボン酸、例えばアクリル酸又はメタクリル酸のターポリマー(例えば、ポリエチレン−メタクリル酸−n又はイソ−ブチルアクリレート及びポリエチレン−アクリル酸−メチルアクリレートターポリマー、ポリエチレンエチル又はメチルアクリレート、ポリエチレン酢酸ビニル、ポリエチレングリシジルアルキルアクリレート)。適切なポリマーはさらに以下を含む:メタロセン触媒化ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、非−アイオノマー熱可塑性エラストマー、コポリエーテル−エステル、コポリエーテル−アミド、熱可塑性又は熱硬化性ポリウレタン、ポリウレア、ポリウレタンアイオノマー、エポキシ、ポリカーボネート、ポリブタジエン、ポリイソプレン、及びこれらのブレンド。適切なポリマー材料はさらに以下に挙げられたものを含む:米国特許第5,919,100号、6,187,864号、6,232,400号、6,245,862号、6,290,611号、6,353,058号、6,204,331号及び6,142,887号、及びPCT公開第WO 00/23519号及びWO 01/29129号。アイオノマー、アイオノマーブレンド、熱硬化性又は熱可塑性ポリウレタン、メタロセンも適切な材料である。
【0016】
最も好ましくは、ポリマーマトリックス材料は以下を含む:天然ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、スチレン−プロピレン又はエチレン−ジエンブロックコポリマーゴム、ポリイソプレン、ポリブタジエン、エチレン又はプロピレンを含むコポリマー、例えばエチレン−プロピレンゴム(EPR)又はエチレン−プロピレンジエンモノマー(EPDM)エラストマー、エラストマー(例えばブタジエン)を含むジエンとアクリロニトリルのコポリマー、ポリクロロプレン及びクロロプレンを含むいずれかのコポリマー、ブチルゴム、ハロゲン化したブチルゴム、ポリスルフィドゴム、ポリマーを含むシリコーン。
剥離したグラファイトを例えば以下の有機炭材料と結合させることもできる:コールタールピッチ、アスファルト、フェノール−ホルムアルデヒド、尿素−ホルムアルデヒド、ポリビニリデンクロリド、ポリアクリロニトリル、糖質、及びサッカリド、無機ガラス結合剤、例えば酸化ホウ素、シリカ、リン、ペントキシド、酸化ゲルマニウム、五酸化バナジウム、及び無機塩、例えばベリリウムフルオリド、スルフェート、クロリド及びカーボネート。
【0017】
別のやり方として、過酸化水素を挿入剤、好ましくは硫酸とブレンドし、グラファイト−硫酸水素塩化合物が形成されるまで撹拌することができる。次いでこの化合物を挿入溶液から除去し洗浄する。グラファイト−硫酸水素塩化合物は上記のように剥離して剥離化合物を形成する。この化合物は剥離したグラファイトに類似する特性を有している。グラファイト−硫酸水素塩化合物を製造する工程には環境への汚染物の放出が少ないという利点がある。この方法は米国特許第4,091,083号に記載されており、’083号特許の開示を本明細書に参考として取り込む。
剥離したグラファイトのナノシートはさらに、米国特許第4,961,988号に記載されたように、グラファイトの強度と耐久性を改良するために、グラファイト上に結合したか又はグラファイト中に埋め込んだ補足材料を有することもできる。’988号特許の開示を本明細書に参考として取り込む。補足材料は好ましくは柔軟な直線状又は膜状物質を含み、これらの物質は有機合成フィルム、ガラス繊維、天然又は合成繊維及び炭素繊維を含む。好ましくは、この補足材料の厚さは0.2mmより薄く、より好ましくは約0.02〜0.06mmである。補足材料を接着剤で被覆して剥離したグラファイトとの結合を促進することができる。補足材料を好ましくは、剥離したグラファイトと結合させる前に、接着剤又は接着剤を含む溶液を含む浴を通過させて乾燥する。補足材料の量は好ましくは、グラファイト/補足材料複合体の質量の10質量%より少ない。
【0018】
さらに、ナノシート/ポリマーマトリックス複合体をすりつぶし、又は粉砕し、次いで第2の被覆ポリマー材料と混合又はブレンドしてゴルフボール上に層を形成することができる。上記のポリマーマトリックスとして適切なポリマー材料は、第2の被覆材料としても適切である。好ましくは、ポリマーマトリックス材料はメチルメタクリレートであり、第2の被覆ポリマー材料はポリウレタン又は天然若しくは合成ゴム、好ましくはポリブタジエンである。
本発明に従うゴルフボールは、上記のポリマーマトリックスに分散した剥離したグラファイトのナノシートを含む少なくとも一つの層を含む。この層は、内層カバー又は外層カバー、内部コア又は外部コア、又は中間層のいずれであってもよい。ナノシートの構造は通過する蒸気及び気体のための曲がりくねった通路を提供するので、中間層は水蒸気障壁層であることができる。一般に、カバーを透過する水蒸気はポリブタジエンコアの性質を低下させる。特に、水蒸気による侵食はコアの戻り係数を低下させる。ゴルフボールのコアへの水蒸気の侵食を最小化する方法及び水蒸気障壁層に対する要望が、2001年10月9日出願、出願番号09/973,342、発明の名称“蒸気障壁層を有するゴルフボール及びその製法”の同時継続出願で十分に論じられている。この同時継続出願の全てを本明細書に参考として取り込む。
【0019】
本発明の第2の態様によると、膨張したか又は剥離したグラファイトを圧縮して、薄くて約2.54μm(0.1ミル)かつ厚くて約15.24mm(600ミル)の厚さを有するポリマーバインダーを有するか有しない非常に薄いフォイル又はシートを製造する。このような圧縮した剥離グラファイトフォイル又はシートは柔軟で、大きな引張強度を有する。剥離したグラファイトの圧縮は米国特許第3,404,061号に記載されており、’061特許の開示の全てを本明細書に参考として取り込む。特定の理論にとらわれるものではないが、剥離利したグラファイトから柔軟なフォイルを形成することは、グラファイトの厚さが剥離前の厚さの数百倍に迅速に増加する場合の、グラファイトの層状化した平面の間の優れた機械的連結による可能性があると考えられる。有利なことに、このようなフォイル又はシートは、米国特許第4,888,242号に教示されているように、一緒に圧縮された重なり合う層状化した平面の性質により、蒸気又は気体の透過に対して高度に耐性である。実質的に真空である1.33×10−5hPa(10−5mmHg)においてグラファイトはヘリウムに対して不透過性であると報告されている。圧縮した剥離したグラファイトの水蒸気透過率は無視しうるか又は実質的にゼロである。従って、本発明に従うと、剥離したグラファイトの圧縮したフォイルをゴルフボールの水蒸気障壁として使用する。好ましくは、圧縮した剥離したグラファイトフォイルをコアとカバーの間に配置する。一方、それをゴルフボールのいずれにも配置することができる。
【0020】
いくつかの段階で剥離したグラファイトを圧縮することは常用の技術である。第1の又は早期の段階では、剥離したグラファイトを約0.254〜2.54cm(0.1〜1インチ)の厚さまで圧縮することができる。この相対的に厚いグラファイト固形物を次いでロールの間又は水圧で所定の厚さまで圧縮する。圧縮したグラファイトフォイルを、オハイオ州、レイクウッドのグラフテック社(Graftech, Inc.)から、76.2μm〜15.24mm(3ミル〜600ミル)の範囲の厚さを有する商品名GRAFOIL(登録商標)として市場から入手可能である。圧縮したグラファイトフォイルはバインダーを全く含まないことが好ましい。
圧縮する前にポリマーバインダーを剥離したグラファイトと混合することもできる。剥離したグラファイトの厚さが処理前の厚さの80倍より薄い場合、バインダーを使用することが好ましい。適切なポリマーバインダーは以下を含む:ポリエチレン、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン、フェノール樹脂等。ポリマーバインダーはフォイルの60質量%までであることができる。より好ましくは、フォイルの強度を最適化するためにはポリマーバインダーは35質量%までである。さらに、ポリマーバインダーは好ましくは熱硬化性材料であり、それは該材料が圧力によって硬化可能でありかつ適用した圧力を除去しても硬化状態を保って圧縮下にグラファイト粒子を保持するからである。一方、さらなる加工又は成形が必要な場合には熱可塑性材料が適切である。
【0021】
圧縮の前に他の添加物を剥離したグラファイトと混合し又はブレンドすることができる。適切な添加物は以下を含む:上記の補足材料、金属粉末、クレイ、ポリマー等。好ましくは、比重の大きい金属粉末、例えばタングステン粉末を剥離したグラファイトにブレンドして薄い高密度の層を製造することができる。本明細書で使用する高比重は、約2.0より大きい比重を意味する。より好ましくは、高比重は約5.0より大きいか又は約10.0より大きい。薄くて高密度の層を、ボールの重心半径領域に関する薄くて高密度の層の位置に応じて、ゴルフボールの慣性モーメント又はその初期回転速度を変化させるために使用することができる。ボールの質量又は重さの多くを中心から重心半径領域のボールの容量に再配置すると、慣性モーメントが減少し、これによって高スピンボールが生じる。ボールの質量又は重さの多くを重心半径領域から外層カバーの間のボールの容量に再配置すると、慣性モーメントが増大し、これによって低スピンボールが生じる。重さ45.93g(1.62オンス)で半径4.267cm(1.68インチ)のゴルフボールでは、重心半径領域はボールの中心から約1.651cm(0.65インチ)である。重心半径領域の決定及び重心半径領域に基づいて慣性モーメントを変化させる方法は、2001年3月31日に出願した、“ゴルフボール及びその回転速度を制御する方法”と題する出願番号09/815,753の同時継続出願に十分に記載されている。この同時継続出願の全てを本明細書に参考として取り込む。
【0022】
有利なことに、高比重の添加物、例えばタングステン粉末を含浸させた場合、圧縮された剥離したグラファイトフォイルを、水蒸気の侵食に対してゴルフボールを保護する水蒸気障壁層としてのみならず、ゴルフボールの慣性モーメントを制御する薄くて高密度の層として使用することができる。
圧縮したグラファイトシート又はフォイルを切断しかつ形成して円形又はカーブした表面に適合させる。好ましくは、圧縮したグラファイトシートを、ゴルフボールの外部コア上で組み立てるために半球形又は8の字型(野球ボールに類似するパターン)に成形しかつ必要な大きさとして、ゴルフボールのコアに水蒸気が侵食するのを最小化する。圧縮した剥離したグラファイトをさらに接着剤で被覆して、ボールの組み立て中にゴルフボールのコア上にそれを配置するのを容易にすることができる。
上記で本発明について種々記載したが、本発明の種々の特徴は単独で又はそれらを組み合わせて使用できることを理解すべきである。例えば、高度の配向性及び異方性を有する他の材料をグラファイトの代わりに使用することができる。これらの材料はグラファイトの合金、例えば熱分解グラファイト合金、窒化ホウ素及びこれらの合金を含む。従って、本発明は本明細書に記載した特に好ましい態様に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、ソリッドコア及び内層、中間層及び外層カバーを有する本発明のゴルフボールの1態様である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、フィラーを含む層を含むゴルフボールに関し、より詳細には剥離したグラファイトナノシートを含む層を有するゴルフボールに関する。
【0002】
【従来の技術】
常用のゴルフボールは典型的にはコアとカバーの二つの機能成分を含む。コアの第1の目的はボールの“スプリング”又は反発弾性の主要な源となることである。
ツーピースソリッドボールは典型的にはソリッドコアで製造され、通常硬いカバー材料で包んだ架橋ポリブタジエン又は他のゴムから製造される。コア及び/又はカバーは多層を含むこともできる。
パフォーマンス特性が改良されたゴルフボールを製造する努力の中で、製造業者は多−ピースゴルフボールの種々の層にフィラーを加えてきた。典型的には一又は複数の層の密度、回転慣性モーメント、曲げ係数、離型性、又はメルトフローインデックス調整するためにフィラーを添加する。例えば、熱可塑性の層にフィラーを添加するとその層の曲げ係数又はこわさが増加て、ゴルフボールは低い回転速度と大きな飛びを達成することができる。
【0003】
ゴルフボールの技術で使用するフィラーは典型的には繊維、無機粉末、カーボネート、金属及び金属合金、金属酸化物、金属ステアレート、炭素材料の微粒子及びマイクロバルーンを含む。繊維は典型的にはガラス繊維、アラミド繊維及びアスベストを含む。無機材料は典型的にはシリカ、クレー、タルク及び雲母を含む。金属及び金属合金は典型的には特にチタン、タングステン、アルミニウム、ビスマス、ニッケル、モリブデン、鉄、鋼、鉛、銅、シンチュウ、青銅、亜鉛及びスズを含む。金属酸化物は典型的には酸化亜鉛、酸化鉄、酸化アルミニウム、酸化チタン及び酸化マグネシウムを含む。金属ステアレートは典型的には亜鉛ステアレート、カルシウムステアレート、バリウムステアレート、リチウムステアレート及びマグネシウムステアレートを含む。炭素材料の微粒子は典型的にはグラファイト、カーボンブラック、天然ビチューメン、綿フロック及びセルロースを含む。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
フィラーを典型的には微細に粉砕した形態でポリマー材料と混合又はブレンドし、又は反応してポリマーの一部になる前にモノマーと混合する。しかしながら、これらのフィラーのいくつか、例えばグラファイトはナノ構造を有し、この構造はゴルフボールの技術では完全には利用されてこなかった。現在、グラファイトは典型的には剥離して、ゴルフボールの一又は複数の層として使用するポリマーマトリックスへの分散のために、種々のアスペクト比を有する単層の小板になる。従って、本技術分野では充填層が改良されたゴルフボールに対する要望が依然として存在する。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ナノ構造を有するフィラーを含む少なくとも一つの層を有するゴルフボールに向いている。
本発明はさらに、変化したナノ構造を有するフィラーを含む少なくとも一つの層を有するゴルフボールに向いている。
本発明はさらに、剥離したグラファイトを含む少なくとも一つの層を有するゴルフボールに向いている。
本発明の観点に従うと、ゴルフボールの少なくとも一つの層がポリマーマトリックスに分散した剥離したグラファイトのナノシートを含む。剥離したグラファイトは好ましくは酸化工程によって挿入されたものであり、該工程において原子又は分子が炭素の層状をした平面の間の平面間空間に挿入され、膨張させられる。挿入されたグラファイトを好ましくは短期間高熱に曝露して膨張又は剥離させてグラファイトの厚さを拡大する。次いで膨張し又は剥離したグラファイトをモノマーと混合し、その場で重合して剥離したグラファイトが分散したナノシートのネットワークを有するポリマーを製造する。剥離したグラファイトは有利なことにそのナノ構造を重合工程中に維持する。こうして得られた、剥離したグラファイトのナノシートを有するこのようなポリマーを含むゴルフボールの層は優れた引張強度、低い気体透過性及び増加した衝撃強さを示す。
【0006】
本発明の他の観点に従うと、膨張したか又は剥離したグラファイトを一緒に圧縮して柔軟な薄いシート又はフォイルとする。このようなシートをポリマーバインダーと共に又は伴わずに製造することができる。このような圧縮した剥離したグラファイトの柔軟なフォイルは低い気体透過特性を示す。本発明はさらに、水蒸気障壁層を含むゴルフボールにも向いており、ここで該水蒸気障壁層は圧縮した剥離したグラファイト層のフォイルを含む。
【0007】
【発明の実施の形態】
図1を参照すると、本発明のゴルフボール10はコア12及び外層カバー14と少なくとも二つの内層カバー、例えば内層カバー16と中間層カバー18を含むカバーを含むことができる。好ましくは、グラファイトナノシートを一又は複数の内層カバーを形成するのに使用するが、本発明のゴルフボールを種々の構成で形成することができる。
グラファイトは炭素原子の六角形配置又はネットワークの層状になった複数の平面から成る。六角形に配置した炭素原子の層状になった平面は実質的に平で、相互に実質的に平行に配向している。単層化した平面上の炭素原子は相互に共有結合しており、層状化した平面は実質的に弱いファンデルワールス力で結合している。グラファイトは異方性構造でもあり、高度に方向に依存する多くの性質を示す。グラファイトは高度の配向性をも有している。グラファイトは天然グラファイト、キッシュグラファイト及び合成グラファイトを含む。天然グラファイトは自然界に見出される。キッシュグラファイトは炭素が過剰であり、鉄の精錬途中で結晶化する。合成グラファイトを、2500℃を超える高温で炭素を含む気体の熱分解又は加熱による分解により製造される。
【0008】
グラファイトには一般に二つの軸又は方向がある。“c”軸は一般に層状になった平面に垂直な方向である。“a”軸は一般に層状になった平面に平行な方向又は“c”方向に垂直な方向である。個々のグラファイト個体の大きさはマイクロメートル(10−6メートル)、ナノメートル(10−9メートル)又はオングストローム(10−10メートル)単位で測定されているので、ナノ構造及びナノシートという用語は未変化の、天然の、挿入された、膨張した、剥離した又は膨張後に圧縮した形態にあるグラファイトの構造を意味する。ナノシートという用語はさらに層状になったグラファイトの平面をも意味する。
グラファイトのフィラーを、米国のニュージャージー州、アズバリーのアズバリー グラファイト社(Asbury Graphite, Inc.)及びテキサス州、デカター(Decatur)のポコ グラファイト社(Poco Graphite Inc.)、又は米国外のシャンドン キングダオ社(Shandong Qingdao Company)から粉末の形態で市場を通じて入手する。
【0009】
以下に詳細に記載するように、本発明の第1の好ましい態様によると、未変化の形態にあるグラファイトは、原子又は分子を層状化した平面の間の平面間空間に挿入して差し込まれる。次いで挿入されたグラファイトを突然高温に曝露して膨張又は剥離させて層状化した平面の間の平面間空間を膨張させる。次いで剥離したグラファイトを、その場で重合してポリマーマトリックス中に分散したグラファイトのナノシートを製造する前に、適切なモノマー及び他の添加物と混合する。グラファイトのナノシートを分散させたポリマーマトリックスをゴルフボールの一又は複数の層に形成することができ、又はこれを他のポリマーとブレンドして一又は複数のゴルフボールの層に形成することができる。
平面間の弱いファンデルワールス結合力により、層状化した平面に挿入することができる。換言すると、ワンデルワールス力が弱いために、層状化した平面の間の平面間空間に原子又は分子を導入しかつそこに保持することが可能となる。グラファイトに挿入する好ましい方法は、酸化剤を含む溶液中にグラファイトを浸漬することである。適切な酸化剤は以下を含む溶液を含む:硝酸、塩素酸カリウム、クロム酸、過マンガン酸カリウム、クロム酸カリウム、重クロム酸カリウム、過塩素酸等、又は混合物、例えば濃縮した硝酸及び塩素酸塩、クロム酸及びリン酸、硫酸及び硝酸、又は強有機酸の混合物、例えばトリフルオロ酢酸、並びに有機酸に可溶性の強酸化剤。
【0010】
好ましくは、挿入剤はX/Yの混合物を含む溶液であり、この場合Xは硫酸又は硫酸とリン酸であることができ、Yは酸化剤、例えば硝酸、過塩素酸、クロム酸、過マンガン酸カリウム、硝酸ナトリウム、過酸化水素、ヨウ素酸又は過ヨウ素酸である。より好ましくは、挿入剤は、約80容量%の硫酸と約20容量%の硝酸を含む溶液である。好ましくは、グラファイトを24時間まで又はそれより長く硫硝酸溶液に浸漬する。得られた生成物は、グラファイト挿入コンパウンドとしても公知であり、炭素の層状化した平面と周期的に相互の上面に積層した挿入層を含む。典型的には、1〜5層の炭素の層が挿入層に隣接して存在することができる。挿入溶液の好ましい量は100部のグラファイトに対して約10部から約150部の溶液であり、より好ましくは100部のグラファイトに対して約50部から約120部である。
【0011】
これとは別に、挿入工程を他の化学的処理によって行うことができる。例えば、挿入剤はハロゲン、例えば臭素、又は金属ハライド、例えば塩化鉄、塩化アルミニウム、等を含むことができる。ハロゲン、特に臭素を、臭素蒸気、硫酸中の臭素溶液、又は適切な有機溶媒に溶解した臭素とグラファイトとを接触させることによって挿入することができる。金属ハライドを、適切な金属ハライド溶液とグラファイトとを接触させることによって挿入することができる。例えば、塩化鉄の水溶液又は塩化鉄と硫酸の混合物とグラファイトとを接触させることにより、塩化鉄を挿入することができる。
他の適切な挿入剤は以下を含むがこれに限定されない:塩化クロミル、三酸化イオウ、三塩化アンチモン、塩化クロム(III)、塩化ヨウ素、酸化クロム(IV)、 塩化金(III)、塩化インジウム、塩化白金(IV)、フッ化クロミル、塩化タンタル(V)、塩化サマリウム、塩化ジルコニウム(IV)、塩化ウラニウム、及び塩化イットリウム。
次いで、グラファイトから過剰の挿入剤が洗浄除去されるまで、又は酸を使用している場合には洗浄水のpHが中性になるまで、挿入したグラファイトを水で洗浄する。次いでグラファイトを好ましくは洗浄溶液の沸点を超えて加熱して洗浄溶液を蒸発させる。又は、米国特許第4,895,713号に記載されているように、挿入後の洗浄工程を省くために、グラファイト100部当たり約10部〜約50部に挿入溶液を減少させることもできる。’713号特許を参考として本明細書に取り込む。
【0012】
層状化した平面の間の平面間空間を膨張させ又は剥離させるために、挿入したグラファイトを相対的に短い時間非常に高熱に曝露する。特定の理論のいずれにも拘束されるものではないが、剥離の機構は、高度に配向した層状の平面の間の捕捉した挿入剤、例えば硫硝酸(H2SO4+HNO3)が熱に曝露された場合に分解することである。
適切な剥離工程は、挿入したグラファイトを数秒間少なくとも500℃より高い、より好ましくは700℃より高い、典型的には1000℃又はそれより高い温度で加熱することを含む。処理したグラファイトは典型的には“c”方向に処理前の厚さの約100から300倍を越えて膨張する。好ましい剥離工程において、挿入したグラファイトを約1050℃の温度に約15秒間曝露して、グラファイトの“c”方向の厚さにおいて処理前の厚さの約300倍を達成する。元の厚さが約0.4μmから60μmである天然グラファイトについては、剥離したグラファイトの厚さは約2μmから約20,000μmの範囲にあることができる。
【0013】
剥離したグラファイトはもろい多孔質のグラファイトの形態にある。さらにそれは虫様又は虫の外観を有する。剥離したグラファイトは平行した層を含み、それは層の上に種々の大きさの崩壊しかつ変形した不規則に形成された孔を有する。Polymer and Engineering and Science, Vol. 41, No, 12 (2001年12月)に公表された、G. H. Chen, D. J. Wu, W. G. Weng及びW. L. Yan著の、“Dispersion of Graphite Nanosheets in a Polymeric Matrix and the Conducting Property of the Nanocomposites”と題する研究によると、グラファイトの個々のシート又は層は約100nm〜約400nmの範囲の厚さを有する。Chen等の研究報告を全て参考として本明細書に取り込む。Chen等の研究は、剥離したグラファイトは炭素層とグラファイトナノシートを含み、該シートは5nmより小さい厚さを有する薄い平行のシートを含むこと、及びナノシート間のギャラリー空間は約10nmであることを報告している。
【0014】
次いで剥離したグラファイトをモノマーと混合し重合温度又は加硫温度まで加熱して剥離グラファイトを分散させたナノシートを有するポリマーを製造する。剥離したグラファイトはモノマーとも反応してポリマーの構造に一部となる。ポリマーマトリックス中でナノシートはその構造を保持すること、及びナノシートの間のギャラリー空間にモノマー又はポリマーが入り込むことも知られている。ポリマーマトリックスにおける剥離したグラファイトのナノシートの分散はポリマーの引張強度を改良することも確定している。ポリマー/グラファイト複合体のこの改良された引張強度はその耐衝撃性を改良する。
ポリマーマトリックスは炭素と相溶性であるいずれのポリマー組成物であってもよい。適切なポリマー組成物は熱硬化性ポリマー及び熱可塑性ポリマーを含む。より詳細には、適切なポリマー組成物は以下を含む:ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリル酸及びメタクリル酸ポリマー、例えばポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリエポキシド又はエポキシ部分を含むいずれかのポリマー、フェノール−ホルムアルデヒド、ポリアミド、ポリエステル、ポリビニルクロリド、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオリド、ポリウレタン、これら及び類似物のコポリマー及びブレンド。
【0015】
適切なポリマー組成物はさらに以下を含むがこれに限定されない:金属イオンが有機酸の塩である金属イオン源で中和されたアイオノマーを含む一又は複数の部分的又は完全に中和されたアイオノマー、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレンを含むポリオレフィン及びポリエチレンアクリル酸又はメタクリル酸コポリマーを含むこれらのコポリマー、又はエチレン、軟化アクリレート群のエステル、例えばメチルアクリレート、n−ブチル−アクリレート又はイソ−ブチルアクリレート、とカルボン酸、例えばアクリル酸又はメタクリル酸のターポリマー(例えば、ポリエチレン−メタクリル酸−n又はイソ−ブチルアクリレート及びポリエチレン−アクリル酸−メチルアクリレートターポリマー、ポリエチレンエチル又はメチルアクリレート、ポリエチレン酢酸ビニル、ポリエチレングリシジルアルキルアクリレート)。適切なポリマーはさらに以下を含む:メタロセン触媒化ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、非−アイオノマー熱可塑性エラストマー、コポリエーテル−エステル、コポリエーテル−アミド、熱可塑性又は熱硬化性ポリウレタン、ポリウレア、ポリウレタンアイオノマー、エポキシ、ポリカーボネート、ポリブタジエン、ポリイソプレン、及びこれらのブレンド。適切なポリマー材料はさらに以下に挙げられたものを含む:米国特許第5,919,100号、6,187,864号、6,232,400号、6,245,862号、6,290,611号、6,353,058号、6,204,331号及び6,142,887号、及びPCT公開第WO 00/23519号及びWO 01/29129号。アイオノマー、アイオノマーブレンド、熱硬化性又は熱可塑性ポリウレタン、メタロセンも適切な材料である。
【0016】
最も好ましくは、ポリマーマトリックス材料は以下を含む:天然ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、スチレン−プロピレン又はエチレン−ジエンブロックコポリマーゴム、ポリイソプレン、ポリブタジエン、エチレン又はプロピレンを含むコポリマー、例えばエチレン−プロピレンゴム(EPR)又はエチレン−プロピレンジエンモノマー(EPDM)エラストマー、エラストマー(例えばブタジエン)を含むジエンとアクリロニトリルのコポリマー、ポリクロロプレン及びクロロプレンを含むいずれかのコポリマー、ブチルゴム、ハロゲン化したブチルゴム、ポリスルフィドゴム、ポリマーを含むシリコーン。
剥離したグラファイトを例えば以下の有機炭材料と結合させることもできる:コールタールピッチ、アスファルト、フェノール−ホルムアルデヒド、尿素−ホルムアルデヒド、ポリビニリデンクロリド、ポリアクリロニトリル、糖質、及びサッカリド、無機ガラス結合剤、例えば酸化ホウ素、シリカ、リン、ペントキシド、酸化ゲルマニウム、五酸化バナジウム、及び無機塩、例えばベリリウムフルオリド、スルフェート、クロリド及びカーボネート。
【0017】
別のやり方として、過酸化水素を挿入剤、好ましくは硫酸とブレンドし、グラファイト−硫酸水素塩化合物が形成されるまで撹拌することができる。次いでこの化合物を挿入溶液から除去し洗浄する。グラファイト−硫酸水素塩化合物は上記のように剥離して剥離化合物を形成する。この化合物は剥離したグラファイトに類似する特性を有している。グラファイト−硫酸水素塩化合物を製造する工程には環境への汚染物の放出が少ないという利点がある。この方法は米国特許第4,091,083号に記載されており、’083号特許の開示を本明細書に参考として取り込む。
剥離したグラファイトのナノシートはさらに、米国特許第4,961,988号に記載されたように、グラファイトの強度と耐久性を改良するために、グラファイト上に結合したか又はグラファイト中に埋め込んだ補足材料を有することもできる。’988号特許の開示を本明細書に参考として取り込む。補足材料は好ましくは柔軟な直線状又は膜状物質を含み、これらの物質は有機合成フィルム、ガラス繊維、天然又は合成繊維及び炭素繊維を含む。好ましくは、この補足材料の厚さは0.2mmより薄く、より好ましくは約0.02〜0.06mmである。補足材料を接着剤で被覆して剥離したグラファイトとの結合を促進することができる。補足材料を好ましくは、剥離したグラファイトと結合させる前に、接着剤又は接着剤を含む溶液を含む浴を通過させて乾燥する。補足材料の量は好ましくは、グラファイト/補足材料複合体の質量の10質量%より少ない。
【0018】
さらに、ナノシート/ポリマーマトリックス複合体をすりつぶし、又は粉砕し、次いで第2の被覆ポリマー材料と混合又はブレンドしてゴルフボール上に層を形成することができる。上記のポリマーマトリックスとして適切なポリマー材料は、第2の被覆材料としても適切である。好ましくは、ポリマーマトリックス材料はメチルメタクリレートであり、第2の被覆ポリマー材料はポリウレタン又は天然若しくは合成ゴム、好ましくはポリブタジエンである。
本発明に従うゴルフボールは、上記のポリマーマトリックスに分散した剥離したグラファイトのナノシートを含む少なくとも一つの層を含む。この層は、内層カバー又は外層カバー、内部コア又は外部コア、又は中間層のいずれであってもよい。ナノシートの構造は通過する蒸気及び気体のための曲がりくねった通路を提供するので、中間層は水蒸気障壁層であることができる。一般に、カバーを透過する水蒸気はポリブタジエンコアの性質を低下させる。特に、水蒸気による侵食はコアの戻り係数を低下させる。ゴルフボールのコアへの水蒸気の侵食を最小化する方法及び水蒸気障壁層に対する要望が、2001年10月9日出願、出願番号09/973,342、発明の名称“蒸気障壁層を有するゴルフボール及びその製法”の同時継続出願で十分に論じられている。この同時継続出願の全てを本明細書に参考として取り込む。
【0019】
本発明の第2の態様によると、膨張したか又は剥離したグラファイトを圧縮して、薄くて約2.54μm(0.1ミル)かつ厚くて約15.24mm(600ミル)の厚さを有するポリマーバインダーを有するか有しない非常に薄いフォイル又はシートを製造する。このような圧縮した剥離グラファイトフォイル又はシートは柔軟で、大きな引張強度を有する。剥離したグラファイトの圧縮は米国特許第3,404,061号に記載されており、’061特許の開示の全てを本明細書に参考として取り込む。特定の理論にとらわれるものではないが、剥離利したグラファイトから柔軟なフォイルを形成することは、グラファイトの厚さが剥離前の厚さの数百倍に迅速に増加する場合の、グラファイトの層状化した平面の間の優れた機械的連結による可能性があると考えられる。有利なことに、このようなフォイル又はシートは、米国特許第4,888,242号に教示されているように、一緒に圧縮された重なり合う層状化した平面の性質により、蒸気又は気体の透過に対して高度に耐性である。実質的に真空である1.33×10−5hPa(10−5mmHg)においてグラファイトはヘリウムに対して不透過性であると報告されている。圧縮した剥離したグラファイトの水蒸気透過率は無視しうるか又は実質的にゼロである。従って、本発明に従うと、剥離したグラファイトの圧縮したフォイルをゴルフボールの水蒸気障壁として使用する。好ましくは、圧縮した剥離したグラファイトフォイルをコアとカバーの間に配置する。一方、それをゴルフボールのいずれにも配置することができる。
【0020】
いくつかの段階で剥離したグラファイトを圧縮することは常用の技術である。第1の又は早期の段階では、剥離したグラファイトを約0.254〜2.54cm(0.1〜1インチ)の厚さまで圧縮することができる。この相対的に厚いグラファイト固形物を次いでロールの間又は水圧で所定の厚さまで圧縮する。圧縮したグラファイトフォイルを、オハイオ州、レイクウッドのグラフテック社(Graftech, Inc.)から、76.2μm〜15.24mm(3ミル〜600ミル)の範囲の厚さを有する商品名GRAFOIL(登録商標)として市場から入手可能である。圧縮したグラファイトフォイルはバインダーを全く含まないことが好ましい。
圧縮する前にポリマーバインダーを剥離したグラファイトと混合することもできる。剥離したグラファイトの厚さが処理前の厚さの80倍より薄い場合、バインダーを使用することが好ましい。適切なポリマーバインダーは以下を含む:ポリエチレン、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン、フェノール樹脂等。ポリマーバインダーはフォイルの60質量%までであることができる。より好ましくは、フォイルの強度を最適化するためにはポリマーバインダーは35質量%までである。さらに、ポリマーバインダーは好ましくは熱硬化性材料であり、それは該材料が圧力によって硬化可能でありかつ適用した圧力を除去しても硬化状態を保って圧縮下にグラファイト粒子を保持するからである。一方、さらなる加工又は成形が必要な場合には熱可塑性材料が適切である。
【0021】
圧縮の前に他の添加物を剥離したグラファイトと混合し又はブレンドすることができる。適切な添加物は以下を含む:上記の補足材料、金属粉末、クレイ、ポリマー等。好ましくは、比重の大きい金属粉末、例えばタングステン粉末を剥離したグラファイトにブレンドして薄い高密度の層を製造することができる。本明細書で使用する高比重は、約2.0より大きい比重を意味する。より好ましくは、高比重は約5.0より大きいか又は約10.0より大きい。薄くて高密度の層を、ボールの重心半径領域に関する薄くて高密度の層の位置に応じて、ゴルフボールの慣性モーメント又はその初期回転速度を変化させるために使用することができる。ボールの質量又は重さの多くを中心から重心半径領域のボールの容量に再配置すると、慣性モーメントが減少し、これによって高スピンボールが生じる。ボールの質量又は重さの多くを重心半径領域から外層カバーの間のボールの容量に再配置すると、慣性モーメントが増大し、これによって低スピンボールが生じる。重さ45.93g(1.62オンス)で半径4.267cm(1.68インチ)のゴルフボールでは、重心半径領域はボールの中心から約1.651cm(0.65インチ)である。重心半径領域の決定及び重心半径領域に基づいて慣性モーメントを変化させる方法は、2001年3月31日に出願した、“ゴルフボール及びその回転速度を制御する方法”と題する出願番号09/815,753の同時継続出願に十分に記載されている。この同時継続出願の全てを本明細書に参考として取り込む。
【0022】
有利なことに、高比重の添加物、例えばタングステン粉末を含浸させた場合、圧縮された剥離したグラファイトフォイルを、水蒸気の侵食に対してゴルフボールを保護する水蒸気障壁層としてのみならず、ゴルフボールの慣性モーメントを制御する薄くて高密度の層として使用することができる。
圧縮したグラファイトシート又はフォイルを切断しかつ形成して円形又はカーブした表面に適合させる。好ましくは、圧縮したグラファイトシートを、ゴルフボールの外部コア上で組み立てるために半球形又は8の字型(野球ボールに類似するパターン)に成形しかつ必要な大きさとして、ゴルフボールのコアに水蒸気が侵食するのを最小化する。圧縮した剥離したグラファイトをさらに接着剤で被覆して、ボールの組み立て中にゴルフボールのコア上にそれを配置するのを容易にすることができる。
上記で本発明について種々記載したが、本発明の種々の特徴は単独で又はそれらを組み合わせて使用できることを理解すべきである。例えば、高度の配向性及び異方性を有する他の材料をグラファイトの代わりに使用することができる。これらの材料はグラファイトの合金、例えば熱分解グラファイト合金、窒化ホウ素及びこれらの合金を含む。従って、本発明は本明細書に記載した特に好ましい態様に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、ソリッドコア及び内層、中間層及び外層カバーを有する本発明のゴルフボールの1態様である。
Claims (52)
- 複数の層を含むゴルフボールであって、少なくとも一つの層がポリマーマトリックス中に分散した剥離したグラファイトのナノシートを含みかつナノシートが複数の実質的に平行な層状化した平面を含む、ゴルフボール。
- 剥離したグラファイトが500℃より高い温度に短時間曝露することによって膨張した挿入グラファイトを含む、請求項1に記載のゴルフボール。
- 挿入グラファイトを700℃より高い温度に曝露する、請求項2に記載のゴルフボール。
- 温度が1000℃より高い、請求項3に記載のゴルフボール。
- 温度が約1050℃である、請求項4に記載のゴルフボール。
- 挿入グラファイトを約15秒間高熱に曝露する、請求項2に記載のゴルフボール。
- 挿入グラファイトが酸化剤を含む溶液中への浸漬によって挿入されたグラファイトを含む、請求項2に記載のゴルフボール。
- 酸化剤を以下から成る群から選択する、請求項7に記載のゴルフボール:硝酸、塩素酸カリウム、クロム酸、過マンガン酸カリウム、クロム酸カリウム、重クロム酸カリウム、過塩素酸等、又は混合物、例えば濃縮した硝酸及び塩素酸塩、クロム酸及びリン酸、硫酸及び硝酸。
- 溶液が硝酸を含む酸化剤と硫酸を含む、請求項7に記載のゴルフボール。
- 硫酸が溶液の約80容量%を含みかつ硝酸が約20容量%を含む、請求項9のゴルフボール。
- 溶液がさらに硫酸を含み、かつ酸化剤を以下から成る群から選択する、請求項7に記載のゴルフボール:硝酸、過塩素酸、クロム酸、過マンガン酸カリウム、硝酸ナトリウム、過酸化水素、ヨウ素酸又は過ヨウ素酸。
- 溶液がさらに硫酸及びリン酸を含み、かつ酸化剤を以下から成る群から選択する、請求項7に記載のゴルフボール:硝酸、過塩素酸、クロム酸、過マンガン酸カリウム、硝酸ナトリウム、過酸化水素、ヨウ素酸又は過ヨウ素酸。
- 約100部のグラファイトに対して挿入溶液の量が約10部から約150部である、請求項7に記載のゴルフボール。
- 約100部のグラファイトに対して挿入溶液の量が約50部から約120部である、請求項13に記載のゴルフボール。
- 約100部のグラファイトに対して挿入溶液の量が約10部から約50部である、請求項13に記載のゴルフボール。
- 挿入グラファイトがハロゲンへの曝露によって挿入されたグラファイトを含む、請求項2に記載のゴルフボール。
- ハロゲンが硫酸を有する溶液中にある、請求項16に記載のゴルフボール。
- ハロゲンが臭素である、請求項16に記載のゴルフボール。
- 挿入グラファイトが金属ハライドへの曝露によって挿入されたグラファイトを含む、請求項2に記載のゴルフボール。
- 金属ハライドが硫酸を有する溶液中にある、請求項19に記載のゴルフボール。
- 金属ハライドが塩化鉄又は塩化アルミニウムである、請求項19に記載のゴルフボール。
- 挿入グラファイトが以下から成る群から選択する材料によって挿入されたグラファイトを含む、請求項2に記載のゴルフボール:塩化クロミル、三酸化イオウ、三塩化アンチモン、塩化クロム(III)、塩化ヨウ素、酸化クロム(IV)、 塩化金(III)、塩化インジウム、塩化白金(IV)、フッ化クロミル、塩化タンタル(V)、塩化サマリウム、塩化ジルコニウム(IV)、塩化ウラニウム、及び塩化イットリウム。
- 剥離グラファイトの厚さが挿入グラファイトの厚さの約100倍から約300である、請求項2に記載のゴルフボール。
- 剥離グラファイトの厚さが挿入グラファイトの厚さの約300倍である、請求項23に記載のゴルフボール。
- 剥離グラファイトをモノマーと混合し、モノマーと剥離グラファイトをその場で重合することにより剥離グラファイトのナノシートがポリマーマトリックスに分散される、請求項1に記載のゴルフボール。
- 剥離グラファイトをモノマーと混合し、モノマーと剥離グラファイトをその場で重合し、かつ被覆ポリマーとブレンドすることにより剥離グラファイトのナノシートがポリマーマトリックスに分散される、請求項1に記載のゴルフボール。
- ポリマーマトリックスを以下から成る群から選択する、請求項1に記載のゴルフボール:天然ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、スチレン−プロピレン又はエチレン−ジエンブロックコポリマーゴム、ポリイソプレン、ポリブタジエン、エチレン又はプロピレンを含むコポリマー、例えばエチレン−プロピレンゴム(EPR)、エチレン−プロピレンジエンモノマー(EPDM)エラストマー、エラストマーを含むジエンとアクリロニトリルのコポリマー、ポリクロロプレン及びクロロプレンを含むコポリマー、ブチルゴム、ハロゲン化したブチルゴム、ポリスルフィドゴム、又はポリマーを含むシリコーン。
- ポリマーマトリックスを以下から成る群から選択する、請求項1に記載のゴルフボール:ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリル酸及びメタクリル酸ポリマー、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリエポキシド、エポキシ部分を含むいずれかのポリマー、フェノール−ホルムアルデヒド、ポリアミド、ポリエステル、ポリビニルクロリド、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオリド、ポリウレタン、アクリル酸のコポリマー、メタクリル酸のコポリマー、アクリル酸ポリマーのブレンド、メタクリル酸ポリマーのブレンド、金属イオンが有機酸の塩である金属イオン源で中和されたアイオノマーを含む一又は複数の部分的又は完全に中和されたアイオノマー、ポリブチレン、オレフィン、例えばエチレン、プロピレン又はブチレンを一又は複数含むコポリマー、ポリエチレンアクリル酸コポリマー、ポリエチレンメタクリル酸コポリマー、エチレン、軟化アクリレート群のエステル、及びカルボン酸のターポリマー、ポリエチレン−メタクリル酸−n又はイソ−ブチルアクリレートターポリマー及びポリエチレン−アクリル酸−メチルアクリレートターポリマー、ポリエチレンエチル又はメチルアクリレート、ポリエチレン酢酸ビニル、ポリエチレングリシジルアルキルアクリレート、メタロセン触媒化ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、非−アイオノマー熱可塑性エラストマー、コポリエーテル−エステル、コポリエーテル−アミド、熱可塑性又は熱硬化性ポリウレタン、ポリウレア、ポリウレタンアイオノマー、エポキシ、ポリカーボネート、ポリブタジエン、ポリイソプレン、及びこれらのブレンド。
- 被覆ポリマーを以下から成る群から選択する、請求項26に記載のゴルフボール:ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリル酸及びメタクリル酸ポリマー、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリエポキシド、エポキシ部分を含むいずれかのポリマー、フェノール−ホルムアルデヒド、ポリアミド、ポリエステル、ポリビニルクロリド、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオリド、ポリウレタン、アクリル酸のコポリマー、メタクリル酸のコポリマー、アクリル酸ポリマーのブレンド、メタクリル酸ポリマーのブレンド、金属イオンが有機酸の塩である金属イオン源で中和されたアイオノマーを含む一又は複数の部分的又は完全に中和されたアイオノマー、ポリブチレン、オレフィン、例えばエチレン、プロピレン又はブチレンを一又は複数含むコポリマー、ポリエチレンアクリル酸コポリマー、ポリエチレンメタクリル酸コポリマー、エチレン、軟化アクリレート群のエステル、及びカルボン酸のターポリマー、ポリエチレン−メタクリル酸−n又はイソ−ブチルアクリレートターポリマー及びポリエチレン−アクリル酸−メチルアクリレートターポリマー、ポリエチレンエチル又はメチルアクリレート、ポリエチレン酢酸ビニル、ポリエチレングリシジルアルキルアクリレート、メタロセン触媒化ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、非−アイオノマー熱可塑性エラストマー、コポリエーテル−エステル、コポリエーテル−アミド、熱可塑性又は熱硬化性ポリウレタン、ポリウレア、ポリウレタンアイオノマー、エポキシ、ポリカーボネート、天然ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、スチレン−プロピレン又はエチレン−ジエンブロックコポリマーゴム、ポリイソプレン、ポリブタジエン、エチレン又はプロピレンを含むコポリマー、例えばエチレン−プロピレンゴム(EPR)、エチレン−プロピレンジエンモノマー(EPDM)エラストマー、エラストマーを含むジエンとアクリロニトリルのコポリマー、ポリクロロプレン及びクロロプレンを含むコポリマー、ブチルゴム、ハロゲン化したブチルゴム、ポリスルフィドゴム、ポリマーを含むシリコーン及びこれらのブレンド。
- 剥離グラファイトが剥離グラファイト−硫酸水素塩化合物を含む、請求項1に記載のゴルフボール。
- 剥離グラファイトが補足材料と結合している、請求項1に記載のゴルフボール。
- 補足材料を以下から成る群から選択する、請求項31に記載のゴルフボール:有機合成フィルム、ガラス繊維、天然繊維、合成繊維、アラミド繊維及び炭素繊維。
- 少なくとも一つの層が水蒸気障壁層である、請求項1に記載のゴルフボール。
- 水蒸気障壁層を含む複数の層を含むゴルフボールであって、該水蒸気障壁層が圧縮した剥離グラファイトのシートを含むゴルフボール。
- 圧縮した剥離グラファイトのシートの厚さが約2.54μm(0.1ミル)〜約15.24mm(600ミル)である、請求項34に記載のゴルフボール。
- 圧縮した剥離グラファイトのシートの厚さが約76.2μm(3ミル)〜約15.24mm(600ミル)である、請求項34に記載のゴルフボール。
- 圧縮した剥離グラファイトがポリマーバインダーを含む、請求項34に記載のゴルフボール。
- ポリマーバインダーが熱硬化性材料である、請求項37に記載のゴルフボール。
- ポリマーバインダーが熱可塑性材料である、請求項37に記載のゴルフボール。
- ポリマーバインダーを以下から成る群から選択する、請求項37に記載のゴルフボール:ポリエチレン、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン、フェノール樹脂、天然ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、スチレン−プロピレン又はエチレン−ジエンブロックコポリマーゴム、ポリイソプレン、ポリブタジエン、エチレン又はプロピレンを含むコポリマー、例えばエチレン−プロピレンゴム(EPR)、エチレン−プロピレンジエンモノマー(EPDM)エラストマー、エラストマーを含むジエンとアクリロニトリルのコポリマー、ポリクロロプレン及びクロロプレンを含むコポリマー、ブチルゴム、ハロゲン化したブチルゴム、ポリスルフィドゴム、又はポリマーを含むシリコーン。
- ポリマーバインダーの量が圧縮した剥離グラファイトの60質量%より少ない、請求項37に記載のゴルフボール。
- ポリマーバインダーの量が圧縮した剥離グラファイトの35質量%より少ない、請求項41に記載のゴルフボール。
- 圧縮した剥離グラファイトがその中に分散させた高比重のフィラーを含む、請求項34に記載のゴルフボール。
- 比重が約2.0より大きい、請求項43に記載のゴルフボール。
- 比重が約5.0より大きい、請求項44に記載のゴルフボール。
- 比重が約10.0より大きい、請求項45に記載のゴルフボール。
- フィラーが金属含む、請求項43に記載のゴルフボール。
- フィラーがタングステン含む、請求項47に記載のゴルフボール。
- 圧縮した剥離グラファイトが金属、クレイ及びポリマーから成る群から選択する添加物を含む、請求項34に記載のゴルフボール。
- 圧縮した剥離グラファイトのシートが接着剤で被覆されている、請求項34に記載のゴルフボール。
- 圧縮した剥離グラファイトがバインダーを含む、請求項34に記載のゴルフボール。
- バインダーを以下から成る群から選択する、請求項52に記載のゴルフボール:有機炭材料、コールタールピッチ、アスファルト、フェノール−ホルムアルデヒド、尿素−ホルムアルデヒド、ポリビニリデンクロリド、ポリアクリロニトリル、糖質、サッカリド、無機ガラス結合剤、酸化ホウ素、シリカ、リン、ペントキシド、酸化ゲルマニウム、五酸化バナジウム、無機塩、ベリリウムフルオリド、スルフェート、クロリド及びカーボネート。
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