JP2004000451A - 解剖台及び椅子装置、解剖のためのシステム、有害ガスの拡散防止方法 - Google Patents

解剖台及び椅子装置、解剖のためのシステム、有害ガスの拡散防止方法 Download PDF

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三木 將明
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Abstract

【課題】解剖を行うに際し、解剖対象である解剖体から発生する有害ガスの拡散を防止することにより、作業者が健康を損なうことなく、解剖作業を安全に行うことができるようにした解剖台及び椅子装置、解剖のためのシステム、有害ガスの拡散防止方法を提供する。
【解決手段】解剖台1は、解剖を行う処理部31を本質的に密閉状態で覆うことができるカバー部材3a、3bを備えている。カバー部材3a、3bは、解剖時に折り畳んで収納することができる。カバー部材3a,3bで覆った内部のエアは、循環させながらエア浄化装置4で浄化処理することができる。椅子装置Bは、椅子20と、書物等を載せる載置台10と、載置台10を支える支持部30と、椅子20と載置台10を間接的に連結し、椅子20と載置台10間の距離を調整できる連結部40を備えている。
【選択図】   図9

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、解剖台及び椅子装置、解剖のためのシステム、有害ガスの拡散防止方法に関する。
更に詳しくは、解剖を行うに際し、解剖対象である解剖体から発生する有害ガスの拡散を防止することにより、作業者が健康を損なうことなく、解剖作業を安全に行うことができるようにした解剖台、解剖のためのシステム、有害ガスの拡散防止方法に関する。
また、書見台の機能を備えた椅子装置であって、解剖作業の邪魔にならず、しかも安定性を向上させ、転倒を防止したものに関する。
【0002】
【従来技術】
医学生の解剖学実習の一つとして行われる系統解剖は、血管、神経、筋肉、臓器など全身各所を系統的にくまなく観察しながら行われる。通常、解剖学実習は講義と並行しながら、数ヶ月間という長期間にわたり継続して行われる。よって、遺体(死体、検体とも称される)は、解剖学実習が終わるまでの数ヶ月間、解剖台の上に載置した状態で保存される。
【0003】
また通常、解剖学実習は実習用のテキストに従って、順次解剖し、観察していく。具体的には、解剖実習室内に解剖台が20〜40台程並べられ、各解剖台に載置された1遺体に対し、数人の医学生がグループを組んで解剖を進めていく。また、実習は長時間に及ぶため、解剖台の周りには解剖作業の邪魔にならないように、通常、背もたれのない丸椅子が置いてある。
【0004】
更に、実習用のテキストは解剖作業の邪魔にならないように、通常、解剖台から離れた場所にある机の上にまとめて置いてあり、医学生は時おり解剖台を離れてそのテキストを見に行くようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、その日の解剖学実習が終わった後、通常、遺体には乾燥を防ぐためにビニール製のカバーが掛けられる。しかしながら、遺体は完全に密閉した状態で保存されてはいないので、防腐剤として使用されるホルマリンが遺体から継続的に自然蒸発してしまう。このため、翌日にはホルマリンガスが実習室内に充満していることになる。
【0006】
ホルマリンは、周知の通り、人体に対する毒性が相当強く、強いタンパク質凝固作用を有する。このため、皮膚や粘膜を侵し、ガスの吸入によっては咽頭炎や気管支炎などを引き起こす。
【0007】
また近年、問題視されているシックハウス症候群の原因物質もこのホルマリンの成分であるホルムアルデヒドであり、学生の中にはこのホルマリンガスに過剰に反応してアレルギー反応を引き起こす者も少なくない。
更に、遺体から発生する有害物質はホルマリンだけではなく、遺体から拡散する細菌の空気感染等も問題である。
【0008】
以上のような事情から、実習者が健康を損なうことなく、解剖学実習を安全に行うことができる実習環境の整備が望まれていた。
【0009】
また上記したように、解剖作業中に実習用のテキストを確認することがあるが、テキストは解剖作業の邪魔にならないように、解剖台から離れた場所に置いてあるため、その都度、解剖台から離れて見に行く必要があり、医学生が解剖実習に集中にしくいという欠点があった。
【0010】
そこで本発明者は、解剖台から離れてテキストを見に行く煩わしさをなくすために、解剖台用の書見台の開発に着手した。しかしながら、解剖作業は、解剖台を数人で取り囲みながら進めていくため、解剖台に書見台を直接取り付けることは解剖作業の邪魔になる。また、解剖台のあまり近くにテキストを置いておくと、体液や血液等が付着する恐れがあり、衛生的にも問題がある。
【0011】
また、自立性を有する書見台を解剖台からやや離れた位置に配置することも考えられるが、解剖実習室では数十名あるいは百名以上の医学生が同時に実習を受けるため、解剖台の周りの限られたスペース内に書見台を配置すれば、接触等によって転倒する危険性もある。
【0012】
よって本発明者は、解剖用の書見台について更に鋭意研究開発を重ねた結果、解剖台の周りに配置してある椅子に書見台の機能をもたせることで、書見台を解剖台から少し離して設置でき、解剖作業の邪魔にならず、しかも書見台の安定性を向上させ転倒を防止することができる新規な椅子装置の開発に成功し、本発明を完成した。
【0013】
(発明の目的)
そこで本発明の目的は、解剖を行うに際し、解剖対象である解剖体から発生する有害ガスの拡散を防止することにより、作業者が健康を損なうことなく、解剖作業を安全に行うことができるようにした解剖台、それを使用した解剖のためのシステム及び有害ガスの拡散防止方法を提供することにある。
【0014】
本発明の他の目的は、有害ガスの拡散を防止するカバー部材を解剖作業の邪魔にならないように収納することができる解剖台及びそれを使用した解剖のためのシステムを提供することにある。
【0015】
本発明の他の目的は、書見台の機能を備えた椅子装置であって、解剖作業の邪魔にならず、しかも安定性を向上させ、転倒を防止した椅子装置及びそれを使用した解剖のためのシステムを提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために講じた本発明の手段は次のとおりである。
第1の発明にあっては、
解剖を行う処理部を本質的に密閉状態で覆うことができるか、または解剖対象である解剖体を外気と本質的に接触しないように覆うことができるカバー部材を備えていることを特徴とする、
解剖台である。
【0017】
第2の発明にあっては、
カバー部材は、解剖時に折り畳んで収納することができることを特徴とする、
第1の発明に係る解剖台である。
【0018】
第3の発明にあっては、
カバー部材で覆った内部のエアを浄化する手段、またはカバー部材で覆った内部の有害ガスを低減または取り除く手段を備えていることを特徴とする、
第1または第2の発明に係る解剖台である。
【0019】
第4の発明にあっては、
解剖対象である解剖体を置く解剖台本体と、
該解剖台本体の周りに設けてあり、上記解剖体を外気と本質的に接触しないように覆うことができる所要数のカバー部材と、
該カバー部材で覆った内部のエアを浄化する手段、またはカバー部材で覆った内部の有害ガスを低減または取り除く手段と、
を備えており、
上記各カバー部材は、上記解剖台本体の上下方向に回動可能であり、カバー部材を解剖台本体の上部側に回動させることにより、解剖体を外気と本質的に接触しないように覆うことができ、カバー部材を解剖台本体の下部側に回動させることにより、カバー部材を収納できるように構成されていることを特徴とする、
解剖台である。
【0020】
第5の発明にあっては、
解剖台本体の下部側に回動させたカバー部材を、解剖台本体に固定することができる手段を備えていることを特徴とする、
第4の発明に係る解剖台である。
【0021】
第6の発明にあっては、
カバー部材で覆った内部のエアを循環させながら浄化するか、またはカバー部材で覆った内部の有害ガスを循環させながら低減または取り除くことができるようにしたことを特徴とする、
第1,2,3,4または第5の発明に係る解剖台である。
【0022】
第7の発明にあっては、
解剖作業を行うときに使用する椅子装置であって、
椅子と、
書物等を載せる載置台と、
該載置台を支える支持部と、
上記椅子と載置台を直接的または間接的に連結し、椅子と載置台間の距離を調整できる連結部と、
を備えていることを特徴とする、
椅子装置である。
【0023】
第8の発明にあっては、
解剖作業を行うときに使用する椅子装置であって、
椅子と、
書物等を載せる載置台と、
下端部にキャスターを備え、上記載置台を支える支柱と、
上記椅子と支柱を連結し、椅子と支柱間の距離を調整できる連結部と、
を備えていることを特徴とする、
椅子装置である。
【0024】
第9の発明にあっては、
載置台の角度と高さの調整ができる調整手段を有していることを特徴とする、
第7または第8の発明に係る椅子装置である。
【0025】
第10の発明にあっては、
連結部は椅子を中心として周方向に回動可能に構成してあり、椅子に対する載置台の周方向における位置を変えることができるように構成されていることを特徴とする、
第7,8または第9の発明に係る椅子装置である。
【0026】
第11の発明にあっては、
第1,2,3,4,5または第6の発明に係る解剖台と、第7,8,9または第10の発明に係る椅子装置を組み合わせてなることを特徴とする、
解剖のためのシステムである。
【0027】
第12の発明にあっては、
解剖対象である解剖体を外気と本質的に接触しないように覆い、覆った内部の有害ガスを低減または取り除くようにしたことを特徴とする、
有害ガスの拡散防止方法である。
【0028】
カバー部材は、解剖を行う処理部を本質的に密閉状態で覆うことができるが、この「密閉状態」とは、必ずしも厳密な意味での密閉の状態でなくても良く、カバー部材で覆った内部のエアが外気に漏れにくい状態であれば良い。
【0029】
椅子装置の載置台に載せる物品としては、本等の書物に限らず、ノートやノートパソコン、あるいはメスやハサミ等の解剖用器具等を挙げることができるが、特にこれらに限定されない。
【0030】
椅子装置において椅子と載置台は、連結部によって直接的に連結されても良く、間接的に連結されていても良い。
なお、間接的に連結する場合は、連結部の一端側を椅子に連結し、他端側を載置台を支える支持部に連結することができる。
【0031】
(作 用)
本発明に係る解剖台の作用を説明する。
解剖体を解剖台本体に置いた状態にしておく場合は、解剖台本体に設けてあるカバー部材を解剖台本体の上部側に回動し、解剖体を外気と本質的に接触しないように覆う。これにより、解剖体から発生するホルマリンガス等の有害ガスの拡散(蒸発)を抑え、また解剖体から拡散する細菌の空気感染を防止することができる。
【0032】
またカバー部材で覆った内部のエアを浄化する手段、またはカバー部材で覆った内部の有害ガスを低減または取り除く手段を備えているものでは、解剖体から発生する有害ガスの拡散をより効果的に防止できる。
【0033】
更に、解剖時には、解剖体を覆ったカバー部材を解剖台本体の下部側に回動して収納する。このように、カバー部材は解剖時に折り畳んで収納できるので、カバー部材が解剖作業の邪魔になることはない。
【0034】
また更に、カバー部材で覆った内部のエアを循環させながら浄化するか、またはカバー部材で覆った内部の有害ガスを循環させながら低減または取り除くようにすれば、内部のエアまたは有害ガスを一度ではなく繰り返し循環させながら浄化させることで、有害ガスを安全なレベルまで確実に浄化させることができる。したがって、実際にカバー部材を開いて解剖作業を始めても、作業者が短時間に多量の有害ガスを吸い込む恐れはない。
【0035】
次に、本発明に係る椅子装置の作用を説明する。
椅子装置は、通常、普通の椅子と同様、解剖作業の邪魔にならないように解剖台から少し離して設置する。したがって、載置台を解剖台に直接設置する場合と異なり、解剖作業の邪魔になりにくく、解剖作業を安全に行うことができる。
【0036】
書物等を載せる載置台は連結部によって椅子と直接的または間接的に連結しており、椅子と載置台間の距離を調整できるようになっているので、解剖作業の邪魔にならない最適な位置に載置台を移動させることができる。
【0037】
載置台は安定性を向上させるため、支持部によって支えられている。しかも、上記したように、載置台は連結部によって椅子に直接的または間接的に連結されているので、多少の外力を受けたとしても載置台が倒れるような恐れはない。
【0038】
支柱により載置台を支えるようにしているものは、作業者が足を引っかけるような余計な部材は設けられてないので、安全性が高い。また、支柱の下端部にはキャスターが設けられているので、軽い操作力で簡単に支柱の位置、つまり、椅子に対する載置台の位置を変えることができる。
【0039】
載置台の角度と高さの調整ができる調整手段を有しているものは、載置した書物等を見やすい位置に調整できる。
【0040】
連結部が椅子を中心として周方向に回動可能に構成してあり、椅子に対する載置台の周方向における位置を変えることができるように構成されているものは、椅子の位置を特に変えなくても、解剖作業の邪魔にならないように載置台を最適な位置に調整することができる。
【0041】
【発明の実施の形態】
本発明を図面に示した実施の形態に基づき更に詳細に説明する。
<解剖台>
図1ないし図6は、本発明に係る解剖台の一実施の形態を示す説明図である。
図1は、カバー部材を閉じた状態の解剖台の正面視説明図、
図2は、カバー部材を開いた状態の解剖台の正面視説明図、
図3は、カバー部材を開いた状態の解剖台の平面視説明図で、閉じた状態のカバー部材を想像線(二点鎖線)で示している。
図4は図1で示す解剖台を右側から見た拡大説明図、
図5は図1で示す解剖台を左側から見た拡大説明図、
図6は図1におけるI−I部分に対応する断面を拡大した説明図である。
【0042】
なお、本実施の形態に係る解剖台1は、主に医学生の解剖学実習用として開発されたものあるが、病理解剖や司法解剖にも使用できることは言うまでもない。
【0043】
解剖台1によれば、解剖台1に載置した解剖対象である解剖体2(図2参照)を、図1に示すように、外気と本質的に接触しないよう各カバー部材3a,3bで覆うことができる。
更に、各カバー部材3a,3bで覆った内部のエア(有機ガスを含む空気)を循環させながら後述するエア浄化装置4で浄化処理することができる。
これにより、解剖体2から発生する有害ガスの拡散や解剖体2から拡散する細菌の空気感染等を防ぐことができる。
【0044】
図1に示すように、解剖台1は、解剖体2を置く解剖台本体3と、解剖体2を解剖処理する場所である処理部31を覆う各カバー部材3a,3bと、処理部31内のエアを循環させながら浄化処理するエア浄化装置4とから主に構成されている。解剖台1は腐食防止のため、カバー部材3a,3b以外の殆どはステンレス製となっている。なお、通常、解剖体2は頭部を図1の右側に向けて載置する。
以下、解剖台1の各構成部材について、順を追って詳しく説明する。
【0045】
まず、解剖台本体3について説明する。
図1及び図4に示すように、解剖台本体3は、台部32を支える所要数の脚部33を備えている。本実施の形態では、脚部33は台部32の角部に合計四箇所設けてある。各脚部33は、棒状の連結部322によって連結されている。
【0046】
各脚部33は、丸パイプ330と丸パイプ330内に収容することにより進退可能な脚体331を備えている。これにより、脚部33の長さ、つまり台部32の高さを適宜調整できるようになっている。この脚部33の高さ調整機構は、周知の技術であるため、詳しい説明は省略する。なお、脚部33の高さ調整機構については、各種の公知技術を採用することができる。
【0047】
図3で台部32の表面うち、解剖体2が置かれる部分は上記した処理部31の一部を構成している。図3で左側に示す符号321は血液や体液を排出する排出口を示している。
【0048】
図3に示すように、台部32の周りには、外周部分(処理部31を囲む外周部分)に沿ってエア吸引部5a,5a,5bとエア吹出部6が設けてある。
【0049】
エア吸引部5a,5aは、載置した解剖体2の両脇側(図3で上側及び下側)つまり、台部32の長辺部に沿って合計二箇所に設けてある。エア吸引部5a,5aは、図6に示す断面から分かるように、角筒状に形成されており、台部32の長辺部に沿って向かい合うように配置されている。
【0050】
エア吸引部5bは、載置した解剖体2の頭部側(図3で右側、台部32の短辺側の一方)に設けられている。エア吸引部5bは内部が中空で、図1に示すように断面形状が台形状となっている。
【0051】
エア吹出部6は、載置した解剖体2の足下側(図3で左側、台部32の短辺側の他方)に設けられている。エア吹出部6は、上記したエア吸引部5bと同じか大体同じ形状(中空で断面台形状)に形成されている。
【0052】
各カバー部材3a,3bで覆った内部(処理部31)のエアは、エア吸引部5a,5a,5b(後述する各吸引口51a)から吸引され、後述する吸引経路を通って台部32の下方(図1でやや左寄り)に設けてあるエア浄化装置4へ送られる。そして、エア浄化装置4によって浄化処理されたエアは、後述する送出経路を通ってエア吹出部6から再び処理部31内へ送り返される。
【0053】
図3に示すように、各エア吸引部5aの上面部には、スリット状に形成された吸引口51aが所要間隔で多数設けられている。各吸引口51aは斜め上方に向けて設けてある
【0054】
各エア吸引部5aの吸引口51aは、スライド式(摺り合わせ式)の閉鎖板(図示省略)で開閉自在に構成されている。閉鎖板は、各エア吸引部5a毎に台部32の長手方向に沿って三箇所設けてあり、それぞれの位置で吸引口51aを開閉できるようになっている。符号52は、各閉鎖板をスライドさせる際に使用する摘みを示している。なお、この開閉機構は、周知の技術であるため、詳しい説明は省略する。
【0055】
エア吸引部5bの外面部53,53,53(図3参照)は、それぞれ外方に下り傾斜している。エア吸引部5bの内面側には、スリット状に形成された吸引口51bが所要間隔で多数設けられている。各吸引口51bは斜め上方に向けて設けてある。吸引口51bも同様に、スライド式の閉鎖板(図示省略)で開閉自在に構成されている。符号52は、閉鎖板をスライドさせる際に使用する摘みを示している。
【0056】
図1に示すように、各エア吸引部5a及びエア吸引部5bは、断面方形状の吸引管82(図1参照)と間接的に接続している。吸引管82の一端部は、フレキシブルホース81を介してエア浄化装置4と接続されている。
【0057】
吸引管82と各エア吸引部5aは、図1に示すように、吸引管82の一端部寄りの上部側に設けてある長方形状の連結管822(背面側の連結管822は隠れて見えず)によって間接的に繋がっている。
【0058】
吸引管82の他端側とエア吸引部5bは、エアダクト50bを介して間接的に繋がっている。詳しくは、エア吸引部5bの下部側が、台部32の短辺部(解剖体2の頭部側)に沿って設けてあるエアダクト50b(図4参照)と連通している。そして、図1及び図4に示すように、このエアダクト50bと吸引管82の他端部(図1で右端部)が方形状の連結口821(図4参照)によって繋がっている。
【0059】
なお、エアダクト50b、吸引管82及びフレキシブルホース81により、エア吸引部5a,5a,5bからエア浄化装置4へエアが吸引される吸引経路が構成される。
【0060】
エア吹出部6の外面部62,62,62(図3参照)は、それぞれ外方に下り傾斜している。エア吹出部6の内面側には、スリット状に形成された吹出口61が所要間隔で多数設けられている。各吹出口61は斜め上方に向けて設けてある。吹出口61も同様に、スライド式の閉鎖板(図示省略)で開閉自在に構成されている。符号611は、閉鎖板をスライドさせる際に使用する摘みを示している。
【0061】
エア吹出部6の下部側は、エア吸引部5bと同様に、台部32の短辺部(解剖体2の足元側)に沿って設けてあるエアダクト60と連通している。そして、エアダクト60は、図1及び図5に示すように、送出管92,92の一端部と接続されている。送出管92,92の他端部は、フレキシブルホース91,91を介してエア浄化装置4に接続されている。なお、フレキシブルホース91,91、送出管92,92、及びエアダクト60により、エア浄化装置4からエア吹出部6にエアを送る送出経路が構成される。
【0062】
次に、各カバー部材3a,3bについて説明する。
カバー部材3aは、図1に示すように、台部32の各長辺側にそれぞれ2箇所(合計で4箇所)設けてある。他方、カバー部材3bは、台部32の各短辺側にそれぞれ1箇所ずつ(合計で2箇所)設けてある。各カバー部材3a,3bは、台部32の長辺側及び短辺側(エア吸引部5a,5a,5b及びエア吹出部6の外側)に全長にわたって固着されたヒンジ7,7,7,7によって、解剖台本体3に上下方向に回動自在に設けてある。
【0063】
各カバー部材3a,3bは、板状で遮光性を有するプラスチックで形成されている。詳しくは、各カバー部材3a,3bは、ホルマリンガスに耐性を有し、耐衝撃性に優れたポリカーボネート製であるが、少なくともホルマリンガスに耐性を有する材料であれば、これに特に限定するものではない。
【0064】
各カバー部材3a,3bは、図1及び図3(図3では想像線)に示すように、台部32上方で組み合わせることによって、処理部31を本質的に隙間なく覆うことができる形状となっている。即ち、長辺側の各カバー部材3aは全体が台形状に形成され、カバー部材3a同士が接する側縁部は直線状に形成されている。また、短辺側のカバー部材3b,3bは三角形に形成されている。
【0065】
なお、本実施の形態では、台部32の各長辺側に、2枚のカバー部材3a,3a(長辺側の両方を合わせて計4枚)が設けてあるが、2枚のカバー部材3a,3aを一枚のカバー部材で形成することもできる。この場合、長辺側のカバー部材の数は合計で2枚となる。また、長辺側の一方(片側)に3枚または4枚以上のカバー部材を設けることもできる。
【0066】
台部32を挟んで向かい合う長辺側の各カバー部材3a,3aは、外面の先部側に設けてある止め金具34,34(図1参照)によって固定される。
【0067】
組まれた各カバー部材3a,3bは、図3の想像線に示すように、エア吹出部6及びエア吸引部5bの下方へ傾斜した各外面部62,53によって支えられ、内側に倒れない。なお、短辺側のカバー部材3b,3bは、向かい合って組み合わされた長辺側のカバー部材3a,3aの側縁部に嵌め込まれ、安定して固定される。
【0068】
図1に示すように、各カバー部材3aの外面側のうち、先部側の所要の位置(本実施の形態では先部側の角部)には、磁性体である鉄製の板体で形成された係合受部71が固定されている。また図4に示すように、各カバー部材3bの外面側の先部側にも同様に、係合受部71が固定されている。これに対し、図1に示すように、脚部33,33の連結部322の所要の位置には、上記係合受部71と磁着する永久磁石72が所要数設けてある。
【0069】
即ち、図1に示す閉じた状態から止め金具34,34による固定を解除し、各カバー部材3a,3bを下に降ろすと(折り畳むと)、各カバー部材3a,3bの係合受部71が永久磁石72と磁着する。これにより、下に降ろしたカバー部材3a,3bは、解剖台本体3の内側に固定され、自重によって外側へ拡がることはない(垂直になることはない)。よって、カバー部材3a,3bが解剖作業を行う実習生(作業者)の邪魔にはならない。なお、符号721は、永久磁石72を脚部33に固定するための断面L字状のブラケットを示している。
【0070】
更に、エア浄化装置4について説明する。
エア浄化装置4は、図1で台部32下方のやや左寄りに位置し、脚部33の連結部322に固定してある載置板(符号省略)上に固着して設けてある。なお、本実施の形態では、エア浄化装置4として、酸化チタンを用いた光触媒による脱臭装置(商品名「光触媒環境浄化装置」、盛和工業株式会社製)を使用しているが、特にこれに限定するものではない。
【0071】
このエア浄化装置4に、エア吸引部5a,5a,5bから吸引経路を通って処理部31内のエアがエア浄化装置4に送られる。エア浄化装置4に送られたエアは、光触媒によってホルマリンガス等の有害ガスが吸着、分解、脱臭される。その後、浄化処理されたエアは送出経路を通ってエア吹出部6から処理部31内へ送り返される。
【0072】
エア浄化装置4の側面の所要の位置には、開閉可能な排出口41が設けてある。排出口41の開閉により、エア浄化装置4に循環させるエアの量を調整することができる。即ち、排出口41を閉じるとエアはエア浄化装置4を通って循環するようになっており、排出口41を全開にすると、エアは循環せずに排出口41から解剖台1の外(外気)へ排出される。
【0073】
最後に、解剖台1を構成するその他の構成部材について説明する。
図1で点線で示すように、台部32の底部320は、やや左側(解剖体2の足下側)に向けて下り傾斜している。これにより、図1で台部32表面の排水口321から血液や体液等が自然流下によって排出される。排出された血液等は、フレキシブルホースで構成される排出ダクト35を通って、台部32下方のポット36に納められる。なお、図1で、エア浄化装置4の右側に示す符号37は、解剖時に切り離した骨等を一時的に保管する箱である。
【0074】
(作 用)
図面を参照し、解剖台1の作用を、解剖学実習用として使用した場合を例にとって説明する。
【0075】
通常、医学実習で行う解剖は数ヶ月と長期にわたるため、その日の解剖学実習が終わった後も、解剖台1に解剖体2を載置したまま保存しておく。解剖体2の保存は以下のようにして行う。
【0076】
即ち、図1に示す各カバー部材3a,3bにより、解剖を行う処理部31を本質的に密閉状態で覆う(解剖体2を外気と本質的に接触しないように覆う)。
【0077】
まず図2に示す開いた状態から、長辺側の各カバー部材3aを立ち上げ、図4に示すように、向かい合うカバー部材3a,3a同士を山形に組み、止め金具34,34で固定する。
【0078】
次に、短辺側のカバー部材3b,3bを同様に立ち上げ、山形に組まれた各カバー部材3aの両側面側に立て掛け、固定する。上記したように、短辺側のカバー部材3b,3bは、向かい合う長辺側のカバー部材3a,3aの側縁部に嵌め込まれ、安定して固定される。
【0079】
以上のようにして、解剖体2を外気と本質的に接触しないようにすることにより、解剖体2から発生するホルマリンガス等の有害ガスの拡散(蒸発)を抑え、解剖体2から拡散する細菌の空気感染を防止することができる。
【0080】
更に解剖台1によれば、台部32下方のエア浄化装置4により、各カバー部材3a,3bで覆った内部(処理部31内)のエアを循環させながら浄化することができる。よって、実習開始前にエア浄化装置4を作動させておけば、実習開始時には、処理部31内のホルマリンガスを減少または取り除いておくことができる。したがって、実際にカバー部材3a,3bを開いて実習を始めても、実習生が短時間に多量のホルマリンガスを吸い込む恐れはない。よって、実習生の健康に悪影響が及びにくく、長期間に及ぶ解剖学実習を安全に行うことができる。
【0081】
更に、カバー部材3a,3bで覆った内部のエアは、循環しながらエア浄化装置4で繰り返し処理されるので、より確実な浄化が可能である。
【0082】
エア浄化装置4は、タイマーによって自動的に作動するように構成しても良い。このようにすれば、実習が始まる前にエア浄化装置4を自動的に作動させ、実際に実習を行うまでに、処理部31内のホルマリンガスを除去しておくことができる。
【0083】
また実際に解剖を行う際は、止め金具34,34を外してカバー部材3a,3a,3b,3bを降ろす。降ろす手順としては、まず、長辺側のカバー部材3a,3a,3a,3aを降ろした後に、短辺側のカバー部材3b,3bを順次降ろしていく。
【0084】
降ろした各カバー部材3a,3bは、脚部33の連結部322の所要の位置に設けてある永久磁石72,…によって固定し、カバー部材3a,3bが外に拡がらないようにする。このように、カバー部材3a,3bを下方に折り畳んで収納することができるので、解剖作業中にカバー部材3a,3bが邪魔になることはない。
【0085】
エア浄化装置4は解剖作業中に常時作動させておいても良いし、一定時間毎に作動させても良い。なお、エア浄化装置4側面の排出口41の開き具合を調整することで、エア浄化装置4で浄化されたエアの一部または全部を室内へ排出することもできる。
【0086】
その日の解剖学実習が終われば、再びカバー部材3a,3bで解剖体2を外気と本質的に接触しないように覆う。また解剖体2の乾燥を防ぐために、ビニール製のカバー等を解剖体2に直接掛けても良いし、カバー部材3a,3bの上からカバー等を間接的に掛けても良い。
【0087】
また、図示はしていないが、各カバー部材3a,3bの開閉に便利な取手をカバー部材3a,3bの表裏面に取り付けることもできる。
【0088】
更にカバー部材3a,3bで覆った後に、エア浄化装置4を所要時間作動させも良い。この場合、タイマーを用いれば、エア浄化装置4の作動を自動的に停止させることができる。
なお、解剖台1の使用対象は、ヒトに限らず動物であっても良いことは言うまでもない。
【0089】
<椅子装置>
図7は本発明に係る椅子装置の一実施の形態を示す側面視説明図、
図8は椅子装置の平面視説明図、
図9は椅子装置の使用状態を示す説明図である。
【0090】
なお、本実施の形態に係る椅子装置Bは、図1に示した解剖台1と同様、主に医学生の解剖学実習用として開発されたものあるが、病理解剖や司法解剖にも使用できることは言うまでもない。
【0091】
図7に示す椅子装置Bは、図9に示すように、主に解剖台1の近くに配置して使用し、解剖学実習用のテキストT等の書物を板状の載置台10に置いて読むことができるものである。
椅子装置Bは、解剖台1と組み合わせて解剖のためのシステムを構成する。
【0092】
図7に示すように、椅子装置Bは、椅子20と、書物等を載置する載置台10を支える支柱30と、椅子20と支柱30を連結し、椅子20と支柱30間の距離を調整できる連結部40を備えている。
以下、椅子装置Bの各構成部材について順を追って詳しく説明する。
【0093】
図7及び図8を参照する。
椅子20は、平面視円形状の座部21と、主にステンレス製の棒材を組み合わせて構成された脚部22を備えている。
【0094】
脚部22は、平面視円形状で板状の基部221(以下、基板221という)と、軸足部222と、所要数の足部223(本実施の形態では五本)を備えている。軸足部222は、基板221の下面部中心から下方に延びて設けられている。各足部223は、基板221の内縁部から外方に拡がるように斜め下方に延びて設けられている。符号224は環状の足置き部を示している。
【0095】
環状の足置き部224は、中心に向かってやや斜め下方に延びた所要数の足連結部225(本実施の形態では五本)によって、各足部223に固着して設けてある。足置き部224及び足連結部225によって、各足部223は互いに連結されている。足部223は足置き部224よりも内方(中央側)に位置し、作業者が足部223に足を引っかけないように工夫されている。
【0096】
軸足部222は、そのデザイン上、基板221から下方に向けて径が二段階にすぼまるように形成されており、下部側の一番細い部分の径は足部223の径とほぼ同じ大きさとなっている。
【0097】
座部21は、軸部220によって軸足部222に回転自在に支持されており、座った後の身体の向きを変えられるようになっている。また、軸部220はねじ山を有し、座部21を回転させることによって軸部220が上下動して、座部21の高さを調整できるようになっている。
【0098】
載置台10を支える支柱30は、主にステンレス製のパイプによって形成され、下端部に移動可能なキャスター50を備えている。支柱30は、ロッドアンテナのように先部側が入れ子式で伸縮自在となっており、載置台10に載置した書物等の高さを調整できるようになっている。
【0099】
詳しくは、下端部にキャスター50を備えた支柱本体301の上部から入れ子式に支柱伸縮部302が挿設されている。支柱伸縮部302の周面部には、高さ方向に所要の間隔で凹部303,…が設けてあり、支柱本体301の上端側には凹部303,…に対応するボルト挿通孔(図では隠れて見えず)が設けてある。そして、支柱伸縮部302の凹部303と、支柱本体301のボルト挿通孔を合わせた状態で、ボルト304を備えた締付具305でねじ込んで締め付け、支柱伸縮部302を固定し高さを設定する。
【0100】
この支柱30の高さ調整機構は、特にこの構造に限定するものではなく、他の周知技術(例えばエアシリンダー等)を採用することができる。
【0101】
支柱30(支柱伸縮部302)の上部側には、載置した書物等を見やすくできるように、載置台10が支柱30に対し傾斜可能に取り付けてある。載置台10は平面視で長方形状であり、図7で傾斜下方側(図8で左端側)には、載置した書物等を下方から受ける棒状のストッパー101が板体の長辺部に沿って設けてある。
【0102】
載置台10の角度調整機構は、以下の通りである。
支柱伸縮部302は上端部が直径方向へ扁平状に形成されており、載置台10の下面部に設けてある半円形状の接合部102,102が上記扁平部302aに傾斜可能に連結されている。接合部102,102は、載置台10の下面部のほぼ中央に上記扁平部302aを両側から挟むようにして並設されている。
【0103】
各接合部102には、図7に示すように、部分円弧状の溝部103が形成されている。この溝部103と扁平部302aに蝶ボルト104が貫通して設けてある。蝶ボルト104のボルト先端部(図では隠れて見えず)は、図7で背面側の接合部102に設けてあるボルト孔(図では隠れて見えず)に螺合してある。そして、蝶ボルト104を指で回して締め付けることで、支柱伸縮部302に対する載置台10の角度を固定できるようになっている。
【0104】
更に、上記したように、椅子20と支柱30は連結部40によって連結され、椅子20と支柱30間の距離を調整できるようになっている。連結部40は、アーム40a,40b(本実施の形態で二本)を軸部401を介して接合することで構成されている。アーム40a,40bの水平方向のなす角は、ほぼ360度(実際には支柱30が椅子20と接触しない範囲内)で調整できるようになっている。
【0105】
したがって、アーム40a,40bの水平方向のなす角を変えることにより、椅子20と支柱30間の距離を一定の範囲で調整することができる。アーム40a,40b間の接合構造は周知の技術であるため、詳しい説明は省略する。
【0106】
連結部40(アーム40a)の一端側は、筒状に形成された接合部402を介して座部20の軸部220に嵌着されており、連結部40は軸部220を中心として周方向に回動するようになっている。連結部40(アーム40b)の他端側は、支柱30のほぼ中間部分に溶接によって固着して設けてある。
【0107】
更に、連結部40が軸部220を中心として周方向に回動する際に、アーム40aが脚部22の基板221に接触しないように、アーム40aは基板221からやや離した状態で接合部402に固定されている。
【0108】
(作 用)
図9を参照して、椅子装置Bの作用を説明する。
なお、図9では、カバー部材3a,3bを有する解剖台1と組み合わせて使用した場合を例に挙げているが、特にこれに限定するものではなく、他の構造からなる解剖台と組み合わせて使用できることは言うまでもない。
【0109】
本実施の形態では、椅子装置Bを医学生の解剖学実習に使用した場合を例にとって説明する。
【0110】
図9に示すように、椅子装置Bを使用する場合は、解剖作業の邪魔にならないように、解剖台1から少し離して配置する。そして、載置台10も同様、解剖作業の邪魔にならないように、解剖台1と椅子20の間ではなく、図9に示すように解剖台1を正面として椅子20の背面側、あるいは椅子20の左右両側に配置する。
【0111】
支柱30を連結する連結部40は、椅子20の軸部220を中心として周方向に回動し、しかも支柱30にはキャスター50が設けてある。よって、椅子20に座って連結部40を回動させれば、軽い操作力で簡単に、椅子20に対する載置台10の周方向における位置を変えることができる。
【0112】
しかも、連結部40を曲げたり伸ばしたりして、椅子20と支柱30間の距離も一定の範囲で自由に調整できる。したがって、解剖作業の邪魔にならず、しかもテキストが見やすい最適な位置に載置台10を移動させることができる。例えば図7に示す位置から図9に示す位置まで、支柱30を椅子20側に引き寄せれば、椅子装置Bが占有する床面積も小さくなり、解剖作業の邪魔になりにくい。
【0113】
そして、載置台10上に例えば解剖実習用のテキストTを開いた状態で置き、載置台10の角度と高さを調整して、テキストTが見やすいように調整する。例えば図9に示すような高さに調整すれば、座ってテキストTを見ることは勿論のこと、解剖作業を行いながら立った状態でテキストTを確認することができる。
【0114】
このように、椅子装置Bを使用し近くにおいておけば、従来と相違して、解剖台1から離れた机上にテキストTを見に行く必要がなくなり、医学生は解剖実習に集中することができる。
【0115】
載置台10は支柱30によって接地面から支えられており、図8に示すように、載置台10の下方には、載置台10の枠内から外へ張り出すような足部材や支持部材などは設けられていない。即ち、医学生が載置台10の横を通っても、足を引っかかるような部材はなく、安全性が高い。
【0116】
また、椅子20の脚部22を構成する足部223は、足置き部224よりも内方にあるため、医学生が足部223に足を引っかけるような恐れもない。
【0117】
また支柱30は、連結部40により椅子20とやや距離を置いて設けられている。よって、支柱30が倒れるためには、椅子20も同時に倒すほどの外力が必要であるため、多少の外力を受けたとしても支柱30が倒れるような恐れはない。しかも、支柱30にはキャスター50が設けてあるので、医学生が誤って載置台10にぶつかっても、支柱30が周方向に単に移動するだけで椅子20は安定して立っており、結果的に支柱30の転倒は防止される。
【0118】
なお、図10に示すように、載置台10を支える支柱30を十字状に配置された四本の足部30a(背面側の足部30aは隠れて見えず)で支持するような構造としても良いし、三本あるいは五本以上の足部30aで支える構造としても良い。図10示す各足部30aには、キャスター50がそれぞれ設けてある。
【0119】
また設計上、支柱30が安定性に優れ、転倒する恐れがなければ、図10に示すような椅子(支柱70と十字状に配置された四本の足部70aを備えた椅子)を採用することもできる。更に図示はしていないが、椅子にキャスターを取り付けることもできるし、背もたれを設けることもできる。
なお、図7に示す椅子装置Bの支柱30に図10に示す足部30aを採用することもできるし、椅子装置Bの椅子20に図10に示す支柱70と足部70aを採用することもできる。
【0120】
また図示はしていないが、連結部40をL字状に形成して載置台10と椅子20を直接的に連結し、更に連結部40と別途独立に支柱30を設け、連結部40と支柱30との両方で載置台10を支持するような構造を採用することもできる。
【0121】
以上説明したように、本実施の形態に係る解剖台1と椅子装置Bを使用すれば、解剖学実習に集中しながら安全に解剖作業を行うことができる。
【0122】
本明細書で使用している用語と表現はあくまで説明上のものであって、限定的なものではなく、上記用語、表現と等価の用語、表現を除外するものではない。また、本発明は図示の実施の形態に限定されるものではなく、技術思想の範囲内において種々の変形が可能である。
【0123】
【発明の効果】
本発明は上記構成を備え、次の効果を有する。
(a)本発明に係る解剖台によれば、カバー部材により、処理部を本質的に密閉状態で覆う(解剖体を外気と本質的に接触しないように覆う)ことにより、解剖体から発生する有害ガスの拡散を防止することができる。これにより、解剖を行うに際し、作業者が健康を損なうことなく、安全に解剖作業を行うことができる。
【0124】
(b)解剖時にカバー部材を折り畳んで収納できるもの、または解剖台本体の下部側に回動させたカバー部材を、解剖台本体に固定することができる手段を備えているものでは、カバー部材が解剖作業の邪魔になることはないので、利便性が高い。
【0125】
(c)カバー部材で覆った内部のエアを浄化する手段、またはカバー部材で覆った内部の有害ガスを低減または取り除く手段を備えているものでは、解剖体から発生する有害ガスの拡散をより効果的に防止でき、安全である。
【0126】
(d)カバー部材で覆った内部のエアを循環させながら浄化するか、または内部の有害ガスを循環させながら低減または取り除くことができるものは、内部のエアまたは有害ガスを一度ではなく繰り返し循環させながら浄化させることで、有害ガスを安全なレベルまで確実に浄化させることができる。したがって、実際にカバー部材を開いて解剖作業を始めても、作業者が短時間に多量の有害ガスを吸い込む恐れはない。
【0127】
(e)本発明に係る椅子装置によれば、書物等を載置する載置台を解剖台に設置するのではなく、解剖台と別途独立して配置される椅子に設けている。したがって、解剖台から少し離れた位置に載置台を配置することができる。よって、載置台を解剖台に直接設置する場合と異なり、解剖作業の邪魔になりにくい。また、椅子装置を例えば解剖学実習用として使用すれば、その都度、解剖台から離れて実習用のテキストを見に行く必要がなくなり、医学生は解剖実習に集中することができる。
更に、連結部によって、載置台は椅子と直接的または間接的に連結しており、椅子と載置台間の距離を調整できるようになっている。よって、解剖作業の邪魔にならない最適な位置に載置台を移動させることができるので、邪魔にならず、解剖作業を安全に行うことができる。
更に、安定性を向上させるため、載置台は支持部によって支えられている。しかも、上記したように、載置台は連結部によって椅子に連結されている。よって、支持部が倒れるためには、椅子も同時に倒すほどの外力が必要であるため、多少の外力を受けたとしても載置台が倒れるような恐れはない。
【0128】
(f)支柱により載置台を支えるようにしているものは、作業者が足を引っかけるような余計な部材は設けられてないので、安全性が高い。また、支柱の下端部にはキャスターが設けられているので、軽い操作力で簡単に支柱の位置、つまり、椅子に対する載置台の位置を変えることができる。
【0129】
(g)載置台の角度と高さの調整ができる調整手段を有しているものは、書物等を見やすい位置に調整できるので、利便性が高い。例えば、座った状態でも立った状態でも書物等を見ることができるように調整すれば、より集中して解剖作業を行うことができる。
【0130】
(h)連結部が椅子を中心として周方向に回動し、椅子に対する載置台の周方向における位置を変えることができるようにしてあるものは、椅子の位置を特に変えなくても、解剖作業の邪魔にならないように載置台を最適な位置に調整することができる。更に支柱にキャスターが設けてある場合では、作業者が誤って載置台にぶつかっても、キャスターによって支柱が周方向に単に移動するだけで椅子は安定して立っており、結果的に支柱の転倒は防止される。
【0131】
(i)本発明に係る解剖台と椅子装置を組み合わせてなる解剖のためのシステムでは、上記した効果により、解剖作業を安全に行うことができる。
【0132】
(j)本発明に係る有害ガスの拡散防止方法によれば、解剖対象である解剖体を外気と本質的に接触しないように覆い、覆った内部の有害ガスを低減または取り除くことにより、解剖体から発生する有害ガスの拡散を防止することができる。これにより、解剖を行うに際し、作業者が健康を損なうことなく、安全に解剖作業を行うことができる。
【0133】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る解剖台の一実施の形態を示しており、カバー部材を閉じた状態の解剖台の正面視説明図。
【図2】カバー部材を開いた状態の解剖台の正面視説明図。
【図3】カバー部材を開いた状態の解剖台の平面視説明図。
【図4】図1で示す解剖台を右側から見た拡大説明図。
【図5】図1で示す解剖台を左側から見た拡大説明図。
【図6】図1におけるI−I部分に対応する断面を拡大した説明図。
【図7】本発明に係る椅子装置の一実施の形態を示す側面視説明図。
【図8】椅子装置の平面視説明図。
【図9】椅子装置の使用状態を示す説明図
【図10】本発明に係る椅子装置の他の実施の形態を示す側面視説明図。
【符号の説明】
1 解剖台
2 解剖体
3a カバー部材
3b カバー部材
3 解剖台本体
4 エア浄化装置
5a,5b エア吸引部
6 エア吹出部
7 ヒンジ
31 処理部
32 台部
33 脚部
34 止め金具
35 排出ダクト
36 ポット
37 箱
41 排出口
50b エアダクト
51a,51b 吸引口
52 摘み
60 エアダクト
61 吹出口
71 係合受部
72 永久磁石
81 フレキシブルホース
82 吸引管
62,53 外面部
91 フレキシブルホース
92 送出管
62 外面部
320 底部
321 排水口
330 丸パイプ
331 脚体
322 連結部
611 摘み
721 ブラケット
821 連結口
822 連結管
B 椅子装置
T テキスト
10 載置台
20 椅子
20 座部
21 座部
22 脚部
30 支柱
30a 足部
40 連結部
40a,40b アーム
50 キャスター
70 支柱
70a 足部
101 ストッパー
102 接合部
103 溝部
104 蝶ボルト
220 軸部
221 基板
222 軸足部
223 足部
224 足置き部
225 足連結部
301 支柱本体
302 支柱伸縮部
302a 扁平部
303 凹部
304 ボルト
305 締付具
401 軸部

Claims (12)

  1. 解剖を行う処理部(31)を本質的に密閉状態で覆うことができるか、または解剖対象である解剖体(2)を外気と本質的に接触しないように覆うことができるカバー部材(3a,3b)を備えていることを特徴とする、
    解剖台。
  2. カバー部材(3a,3b)は、解剖時に折り畳んで収納することができることを特徴とする、
    請求項1記載の解剖台。
  3. カバー部材(3a,3b)で覆った内部のエアを浄化する手段(4)、またはカバー部材(3a,3b)で覆った内部の有害ガスを低減または取り除く手段(4)を備えていることを特徴とする、
    請求項1または2記載の解剖台。
  4. 解剖対象である解剖体(2)を置く解剖台本体(3)と、
    該解剖台本体(3)の周りに設けてあり、上記解剖体(2)を外気と本質的に接触しないように覆うことができる所要数のカバー部材(3a,3b)と、
    該カバー部材(3a,3b)で覆った内部のエアを浄化する手段(4)、またはカバー部材(3a,3b)で覆った内部の有害ガスを低減または取り除く手段(4)と、
    を備えており、
    上記各カバー部材(3a,3b)は、上記解剖台本体(3)の上下方向に回動可能であり、カバー部材(3a,3b)を解剖台本体(3)の上部側に回動させることにより、解剖体(2)を外気と本質的に接触しないように覆うことができ、カバー部材(3a,3b)を解剖台本体(3)の下部側に回動させることにより、カバー部材(3a,3b)を収納できるように構成されていることを特徴とする、
    解剖台。
  5. 解剖台本体(3)の下部側に回動させたカバー部材(3a,3b)を、解剖台本体(3)に固定することができる手段(71,72)を備えていることを特徴とする、
    請求項4記載の解剖台。
  6. カバー部材(3a,3b)で覆った内部のエアを循環させながら浄化するか、またはカバー部材(3a,3b)で覆った内部の有害ガスを循環させながら低減または取り除くことができるようにしたことを特徴とする、
    請求項1,2,3,4または5記載の解剖台。
  7. 解剖作業を行うときに使用する椅子装置であって、
    椅子(20)と、
    書物等を載せる載置台(10)と、
    該載置台(10)を支える支持部(30)と、
    上記椅子(20)と載置台(10)を直接的または間接的に連結し、椅子(20)と載置台(10)間の距離を調整できる連結部(40)と、
    を備えていることを特徴とする、
    椅子装置。
  8. 解剖作業を行うときに使用する椅子装置であって、
    椅子(20)と、
    書物等を載せる載置台(10)と、
    下端部にキャスター(50)を備え、上記載置台(10)を支える支柱(30)と、
    上記椅子(20)と支柱(30)を連結し、椅子(20)と支柱(30)間の距離を調整できる連結部(40)と、
    を備えていることを特徴とする、
    椅子装置。
  9. 載置台(10)の角度と高さの調整ができる調整手段を有していることを特徴とする、
    請求項7または8記載の椅子装置。
  10. 連結部(40)は椅子(20)を中心として周方向に回動可能に構成してあり、椅子(20)に対する載置台(10)の周方向における位置を変えることができるように構成されていることを特徴とする、
    請求項7,8または9記載の椅子装置。
  11. 請求項1,2,3,4,5または6記載の解剖台(1)と、請求項7,8,9または10記載の椅子装置(B)を組み合わせてなることを特徴とする、
    解剖のためのシステム。
  12. 解剖対象である解剖体を外気と本質的に接触しないように覆い、覆った内部の有害ガスを低減または取り除くようにしたことを特徴とする、
    有害ガスの拡散防止方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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