JP2003535965A - インフルエンザウイルス結合性シアル化オリゴ糖含有物質およびその用途 - Google Patents

インフルエンザウイルス結合性シアル化オリゴ糖含有物質およびその用途

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、少なくとも1種のオリゴ糖鎖あるいはその類似体または誘導体を包含する、ヒトインフルエンザウイルスの結合に用いるための物質に関するものであり、該オリゴ糖鎖はN−アセチルノイラミン酸(NeuNAc)末端と、該NeuNAc末端にα6結合により連結した(a)および(b)からなる群より選ばれる少なくとも1種の構造体とを包含する。(a)少なくとも3個のラクトサミン残基を有する、直鎖状または分岐状のポリラクトサミン型構造体であり、該直鎖状の構造体は、シアル化されていないラクトサミン残基に1個または2個のフコース残基がα3結合により連結していてもよく、該分岐状の構造体は、該NeuNAc末端の他にも、分岐鎖の末端にα結合により連結しているNeuNAc残基を1つ以上有していてもよく、および(b)2個のラクトサミン残基および1個のラクトース残基からなる直鎖状または分岐状の構造体であり、該直鎖状の構造体は、シアル化されていないラクトサミン残基またはラクトース残基に1個または2個のフコース残基がα3結合により連結しており、該分岐状の構造体は、該NeuNAc末端の他にも、分岐鎖の末端にα結合により連結しているNeuNAc残基を1つ有していてもよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】技術分野 本発明は、ヒトインフルエンザウイルスに結合する物質またはレセプター、な
らびにそれらを用いた医薬組成物およびインフルエンザウイルスがヒト呼吸器系
に存在することによって生じる病態の治療法に関する。また、本発明は、レセプ
ターを用いたインフルエンザウイルス感染の診断に関する。
【0002】発明の背景 インフルエンザウイルスの宿主細胞への接着は、ウイルスエンベロープタンパ
ク質であるヘマグルチニン(HA)と細胞表面の糖タンパク質および糖脂質のシ
アル化炭化水素との特異的相互作用が媒介する(論文についてはSuzuki, 1994;
Herrlerら、1995; Paulson, 1985; Wiley and Skehel, 1987を参照)。天然のシ
アル化糖タンパク質およびガングリオシドには顕著な多様性が存在するので、異
なる宿主組織において、ウイルスは異なるレセプターを利用すると考えられる。
鳥類から単離したインフルエンザウイルスA型は末端にNeuAcα3Galを
有する糖鎖に優先的に結合するが、このウイルスと非常に類似したヒトウイルス
は末端のNeuAcα6Gal構造に高い結合親和性を示すことが報告されてい
る(Paulson, 1985; Suzuki, 1994; Connorら、1994; Matrosovichら、1997; Ga
mbaryanら、1997)。結合に影響する更なる特徴としては、糖鎖の内部構造(Gam
baryanら、1995; Matrosovichら、1997; Rogers and Paulson, 1983; Suzukiら
、1987; Suzukiら、1992; Eisenら、1997)、レセプターを構成する糖の多価性
(PritchettおよびPaulson, 1989; Matrosovich, 1989;Mammenら、1995)、レ
セプターの糖タンパク質中のシアル化オリゴ糖の立体配置(PritchettおよびPau
lson、1989)やウイルスヘマグルチニンのグリコシル化(Gambaryanら、1998; O
huchiら、1997)が挙げられる。これらが結合に与える影響の詳細な分子機構、
および個々のウイルス種の毒性および病原性におけるシアル化されたレセプター
の異なる微細構造の重要性については知られていない。例えば、1918年に大
流行したインフルエンザウイルスの毒性は未だに解明されておらず(Laverら、1
999)、実際に当時流行したウイルス種のレセプター特異性に関する分析は行わ
れていない。
【0003】 ヒトインフルエンザウイルスに対する生物学的レセプターの構造決定に関する
研究は、ヒト呼吸器系組織の入手が限られているために遅れている。しかしなが
ら、その他のヒト組織に由来する結合性分子の構造を決定することにより、レセ
プター中の結合性エピトープをさらに特定化することが可能となるだろう。ヒト
白血球はウイルスに対して高い結合親和性を有する一連のガングリオシドを有す
るので、代表的な実験モデルとして有用である。ヒト白血球からは公知のガング
リオシドからなる結合部位が検出されている(Muthingら、1993; Muthing、1996
)。本発明とは対照的に、これらのガングリオシドはα3シアリル化シアリルル
イスxおよびVIM−2配列を有すると報告されている。レセプター活性は高度
な複合体からなる糖脂質画分、即ちポリグリコシドセラミドに見られた(Matros
ovichら、1996)。α6結合で連結するNeuAcを有し、主鎖に2個以上のラ
クトサミン単位を含有する、ヒト白血球の糖脂質を他の研究グループは未だ特徴
付けていない(Muthingら、1993; Muthingら、1996; Muthing、1996; Stroudら
、1995; およびStroudら、1996)。この糖脂質はヒト白血球中にわずかにしか存
在しないので、その存在はこれまで無視されてきた。しかしながら、この量的に
少ない糖脂質は、インフルエンザ感染によって生体内で起こる反応において生物
学的に重要であるとも考えられ、ウイルス株間に見られる毒性の違いを説明する
可能性もある(Laverら、1999)。
【0004】 好中球の有するシアル酸含有レセプターに対するインフルエンザウイルスの結
合は、好中球の殺菌活性を弱め(AbramsonおよびMills、1988; Cassidyら、1989
; Daigneaultら、1992; AbramsonおよびHudnor、1995)、未だ解明されていない
機構によって好中球のアポトーシスを促進する(Colamussiら、1999)。このウ
イルス媒介性の好中球機能不全は、細菌による二次感染を引き起こし、インフル
エンザの流行に伴う罹患及び死亡の主要な原因となる。
【0005】 ヒトインフルエンザウイルスが結合する、シアル化された二糖〜七糖からなる
構造体について報告されている(例えば、Gambaryanら、1995; Matrosovichら、
1997; RogersおよびPaulson、1983; Suzukiら、1992; Eisenら、1997)。これら
の糖はウイルスに対して低い親和性しか有しておらず、上記の報告は、高い天然
の結合親和性を有する大きな糖からなるレセプターについて記載していない。Sa
besan、S.ら、-92ならびに米国特許第5,254,676号および第5,220,008号には、2
個のNeuNAcα6Galβ4GlcNAcを有する糖鎖をβ−ガラクトシド
上に化学的に合成したものについて記載されており、この糖は、多価体としてウ
シ血清アルブミンに結合していても、対応するモノシアル化糖に比べてわずかに
高い親和性しか示さなかった。また、インフルエンザウイルス阻害性の合成重合
体であって、シアル酸を含むもの(Mammenら、1995)やシアル化ラクトース/N
−アセチルラクトサミンを含むもの(Gambaryanら、1997)に関する報告がある
。ヒトインフルエンザウイルスのNeuNAcα6Galβ4GlcNAcエピ
トープに対する特異的結合(Gambaryanら、1997)および繊毛を有するヒト気管
上皮細胞上のNeuNAcα6Galの存在(BaumおよびPaulson、1990)は、
このような糖が、ウイルスの結合において生物学的に重要な細胞性レセプターの
必須領域を構成していることを示唆している(Gambaryanら、1997)。
【0006】 ポリラクトサミンを含有し、且つα6結合でシアル酸が連結した、ヒトインフ
ルエンザウイルスの阻害剤について報告されている。この阻害剤は、ウシ赤血球
の有する潜在的I活性(抗I抗体はポリラクトサミンおよび非ポリラクトサミン
構造を認識することが知られている)糖タンパク質2から製造されるものであり
、糖タンパク質2をシアリダーゼ処理に付してシアル酸残基を除去したのち、α
3またはα6シアリルトランスフェラーゼにより酵素的に再シアル化したもので
ある(Suzukiら、1987)。このような半合成ウシタンパク質はヒトウイルスの天
然のレセプターではない。この阻害剤はタンパク構造と共に多量のGalα3Galβ4
GlcNAc異種抗原構造を含むことから(Suzukiら、1985)、治療を目的としたヒト
インフルエンザウイルス阻害剤として利用することができない。Galα3Galβ4Gl
cNAc抗原は多くの哺乳類に存在するがヒト組織では作られていないので、ヒトに
おいては高い抗原性を有し、この構造に対する多量の抗体がヒトには天然に存在
する。外来タンパク質構造体はヒトにおいては重大な抗原およびアレルゲンとな
ることが知られている。
【0007】 上記文献(Suzukiら、1987)の著者は、ヒトインフルエンザウイルスA型およ
びB型のヘマグルチニンに対するレセプター決定基に共通する部分として、内因
性I活性ネオラクトシリーズII型糖鎖が重要である可能性を論じている。しかし
、残念ながら、彼らの開示した糖鎖は非常に不均一であり、シアル化I活性成分
と考えられる合成した物質は化学的に特徴付けられておらず、また特定のエピト
ープをウイルス結合構造として同定していない。還元末端を標識したオリゴ糖を
示す上記文献図3のデータによると、糖タンパク質IIにおいては大きなI型ポリ
ラクトサミンは実際はごく少量しか含まれておらず、より小さなO−グリカンが
モル量で含まれる主な構成種であることが判明した。また、分岐したポリラクト
サミンを含まない小さなO−グリカンは、タンパク質に含まれる糖を検出するた
めに使用した少なくとも1種の抗I抗体によって認識された(Suzukiら、1985)
。他の研究においては、上記と同じ研究者らが、α3−シアリル化およびα3−
ガラクトシル化分岐状ポリラクトサミン糖脂質(この構造もI活性構造である)
はインフルエンザウイルスに結合する化合物であることを示した(Suzukiら、19
86)。
【0008】発明の詳細な説明 本発明においては、白血球を含む、種々のヒト組織および細胞に由来するガン
グリオシドに対するヒトインフルエンザウイルスの結合について検討した。ヒト
インフルエンザウイルスは、限られた範囲のガングリオシド種にのみ選択的に結
合した。これまでに他の研究グループは、多量の白血球を用いたにもかかわらず
、NeuNAcα6配列を含む少量しか存在しない活性種を検出および単離する
ことはできなかった。本発明者らが使用していた従来のオーバーレイ技術と新し
く開発されたオーバーレイ技術と共に、最も高感度の質量分析実験を組み合わせ
ることで、ヒトインフルエンザウイルスの新規なレセプターの分析が可能となっ
た。
【0009】 シアリルルイスx糖鎖およびVIM−2活性糖は、研究対象となるヒトインフ
ルエンザウイルスが結合する活性レセプターの部位からは除外した。ヒトのレセ
プターはGalα3構造を含まないことが知られている(Larsenら、1990)。ま
た、SNA(Sambucus nigra)レクチンを用いた実験によって、インフルエンザウ
イルスは少量しか存在しないNeuNAcα6含有種に結合することが示されて
いる。さらに、この結合は、そのままの形の末端シアル酸含有グリセロールの存
在に依存していることが示されている。活性分子の最小単位における単糖および
セラミドの組成は、活性画分の質量分析データによって明らかとなった。質量分
析データとその他の証拠は、高親和性種に存在すると考えられる更なる構造的特
徴について報告することを可能とした。本願の開示は糖脂質画分中のHexNAcxHexx+2 はポリラクトサミン配列に相当するという知見に基づく。また、開示した構
造的特徴は、α6結合により連結したシアル酸が存在することを除き、ヒト白血
球の公知の糖脂質の構造に一致している(Stroudら、1995; Stroudら、1996; St
roudら、1996b; Muthing、1996; JohanssonおよびMiller-Podraza、1998)。
【0010】 本発明においては、初めにヒトインフルエンザウイルスに対する高親和性レセ
プターに存在する最小構成要素について説明する。レセプター活性種は少なくと
も1種のオリゴ糖を包含し、そのオリゴ糖鎖はN−アセチルノイラミン酸(Ne
uNAc)末端と、そのNeuNAc末端にα6結合により連結した下記(a)
および(b)からなる群より選ばれる少なくとも1種の構造体とを包含する。 (a)少なくとも3個のラクトサミン残基を有する、直鎖状または分岐状のポ
リラクトサミン型構造体であり、該直鎖状の構造体は、シアル化されていないラ
クトサミン残基に1個または2個のフコース残基がα3結合により連結していて
もよく、該分岐状の構造体は、該NeuNAc末端の他にも、分岐鎖の末端にα
結合により連結しているNeuNAc残基を1つ以上有していてもよく、および (b)2個のラクトサミン残基および1個のラクトース残基からなる直鎖状ま
たは分岐状の構造体であり、該直鎖状の構造体は、シアル化されていないラクト
サミン残基またはラクトース残基に1個または2個のフコース残基がα3結合に
より連結しており、該分岐状の構造体は、該NeuNAc末端の他にも、分岐鎖
の末端にα結合により連結しているNeuNAc残基を1つ有していてもよい。
活性レセプターのこのようなエピトープを、ウイルス結合性構造と称す。
【0011】 ウイルス結合性物質は、その活性ウイルス結合部位にGalα3Galβ4GlcNAc残基
を含まず、タンパク質に結合していないことが好ましく、且つ、いかなるGalα3
Galβ4GlcNAc異種抗原構造も含まないことが好ましい。このウイルス結合性物質
は集合体の形、例えば細胞膜上の糖脂質、ミセル、リポソーム、または分析に使
用するTLCプレートなどの固相に提示されていることが好ましい。正しい間隔
で提示されてなる集合体は、高い結合親和性を発揮する。本発明の好ましい態様
によると、ウイルス結合性物質は上で定義したオリゴ糖を少なくとも2個含み、
より好ましくは少なくとも3個または少なくとも4個のオリゴ糖を含む。TLC
アッセイによって、NeuNAcα6末端を含む大きなポリラクトサミン型化合
物もまた、ウイルスに対するレセプターであることが判明した。より少量しか存
在しないこれらの化合物は、ウイルスに対して非常に高い親和性を示すレセプタ
ーである。大きなポリラクトサミン構造の分岐鎖であって、ウイルス結合性エピ
トープの繰り返しを含み、NeuNAcα6Galβ4GlcNAcを有するものは、ウイルス表
面のいくつかの結合部位、ヘマグルチニンタンパク質の可能性が最も高い、に有
効に結合することができる。大きな糖脂質の画分は、ポリグリコシルセラミドと
呼ばれる高分子量ポリラクトサミン糖脂質画分と連続している。ポリグリコシル
セラミド画分がヒトインフルエンザウイルスに非常に高い結合親和性を有すると
いうことが最近明らかになり(Matrosovichら、1996)、別の研究では、これら
のポリラクトサミンはNeuNAcα6末端構造を有することが示された(Joha
nssonおよびMiller-Podraza、1998)。本発明の好ましい態様においては、ウイ
ルス結合性物質は、ポリラクトサミン型オリゴ糖または多糖、あるいはそれらの
配糖体に提示されている。天然のウイルス結合性ポリラクトサミンの中央および
非還元末端部においては、結合性エピトープはラクトース残基を含まないが、還
元末端においては、ラクトース残基は存在してもよい。
【0012】 本発明は、インフルエンザウイルス結合性エピトープ、あるいはヒトインフル
エンザウイルスに対してそれと同等または優れた結合活性を有する、インフルエ
ンザウイルス結合性エピトープの天然または合成した類似体または誘導体の用途
を開示する。また、ウイルス結合性物質を含む物質、例えば本願に記載したレセ
プター活性型ポリラクトサミンガングリオシド、あるいはヒトインフルエンザウ
イルスに対してそれと同等または優れた結合活性を有する、ポリラクトサミンガ
ングリオシドの類似体または誘導体の用途も開示する。ウイルス結合性物質は、
オリゴ糖鎖にグリコシド結合している末端エピトープでもよい。また、ウイルス
結合性エピトープはポリラクトサミン鎖の分岐鎖であってもよい。
【0013】 さらに、レセプター構造である可能性の最も高い構造を以下の事実に基づいて
特定することができる。SNAレクチンは末端NeuNAcα6Gal配列を認識する。α
6結合またはα3結合を有するNeuNAcが2個存在することは、N−アセチ
ルラクトサミンが分岐していることを示す。当業界における生合成に関する知見
(例えば、Paulsonら、1978; De Vriesら、1995)によると、末端NeuNAcα6Gal
β4GlcNAc配列はα3結合でフコースが連結しておらず、これは、NeuNAcα6Gal
β4GlcNAcβ3Galβ4(Fucα3)GlcNAcβ-のように、NeuNAc末端から離れた
位置にフコース残基が存在することを示している。分岐化とフコシル化が生じる
のは同じN−アセチルラクトサミン配列に限られているということは、既知の白
血球型酵素について報告されている(Niemelaら、1998; Mattilaら、1998)。さ
らに、白血球の主要なフコシルトランスフェラーゼによってグルコース残基はフ
コシル化されないが(De Vriesら、1995;ClarkeおよびWatkins、1996)、これ
は単離されたヒトオリゴ糖構造の大部分に関する知見と一致している。しかしな
がら、本発明者らの行った分析においては、未だ解明されていない生合成反応に
より合成される、少量の異性体種の存在を除外してはいない。記載した分析条件
下においては、直鎖状の糖脂質である NeuNAcα6Galβ4GlcNAcβ3Galβ4GlcβCer、または NeuNAcα6Galβ4GlcNAcβ3Galβ4GlcNAcβ3Galβ4GlcβCer は結合性を示さず、これらは大きなウイルス結合性糖脂質に存在する特定の構造
的特徴を示している。
【0014】 質量分析は、活性種に富んだ活性画分にジシアル化および/またはジフコシル
化分子が存在し、ジシアル化およびジフコシル化は、非活性の直鎖状構造とは異
なる構造的特徴であることを示した。ジシアル化種と最も近い分子量を有するも
のは、白血球の主要なシアル化糖脂質に存在する既知の脂質種と同じ脂質種を含
む糖鎖である。これらのデータは、ジシアル化および/またはジフコシル化され
た分子種は高い親和性レセプター種であることを示している。
【0015】 実験的証拠、ならびに近年の生合成や構造解析に関する知見によると、レセプ
ターのジシアル化分子は以下の糖鎖配列からなる: NeuNAcα6Galβ4GlcNAcβ3(NeuNAcα6/3Galβ4GlcNAcβ6)Galβ4GlcNAcβ3Galβ
4GlcβCer、および NeuNAcα6Galβ4GlcNAcβ3(NeuNAcα6/3Galβ4GlcNAcβ6)Galβ4GlcβCer。 レクチン結合アッセイによると、大部分の活性種はNeuNAcα3を含有しな
いので、2つの分岐鎖の両方にα6結合で連結しているNeuNAc末端が存在
する、次の構造からなるものであることが判明した: NeuNAcα6Galβ4GlcNAcβ3(NeuNAcα6Galβ4GlcNAcβ6)Galβ4GlcNAcβ3Galβ4G
lcβCer、および NeuNAcα6Galβ4GlcNAcβ3(NeuNAcα6Galβ4GlcNAcβ6)Galβ4GlcβCer。 さらに長い、十糖からなる配列は、より効果的にインフルエンザウイルスに結合
すると考えられる。上記と類似した末端の八糖からなる配列をウイルス結合性物
質と定義した。好ましいジシアル化ウイルス結合性物質は以下の構造からなる: NeuNAcα6Galβ4GlcNAcβ3(NeuNAcα6/3Galβ4GlcNAcβ6)Galβ4GlcNAc、 NeuNAcα6Galβ4GlcNAcβ3(NeuNAcα6/3Galβ4GlcNAcβ6)Galβ4Glc、 NeuNAcα6Galβ4GlcNAcβ3(NeuNAcα6Galβ4GlcNAcβ6)Galβ4GlcNAc、または NeuNAcα6Galβ4GlcNAcβ3(NeuNAcα6Galβ4GlcNAcβ6)Galβ4Glc。
【0016】 実験的証拠、ならびに近年の生合成や構造解析に関する知見によると、レセプ
ターのジフコシル化分子は以下の糖鎖配列からなる: NeuNAcα6Galβ4GlcNAcβ3Galβ4(Fucα3)GlcNAcβ3Galβ4(Fucα3)GlcNAcβ3Ga
lβ4GlcβCer、および あまり見られないフコシル化ラクトースの1種である: NeuNAcα6Galβ4GlcNAcβ3Galβ4(Fucα3)GlcNAcβ3Galβ4(Fucα3)GlcβCer。 上記のフコシル化ラクトースの1種は、より長い糖鎖配列の末端に存在する九糖
からなる配列の有効な類似体であると考えられる。ジフコシル化に伴う特定の構
造的特徴は、NeuNAcα6と共に、ウイルス認識における活性部位であると
考えられる。好ましいジフコシル化ウイルス結合性構造は次の通りである: NeuNAcα6Galβ4GlcNAcβ3Galβ4(Fucα3)GlcNAcβ3Galβ4(Fucα3)GlcNAc、お
よび NeuNAcα6Galβ4GlcNAcβ3Galβ4(Fucα3)GlcNAcβ3Galβ4(Fucα3)Glc。
【0017】 長い糖脂質鎖は、非活性種に比べて高いレセプター活性を発揮するために必要
な構造的特徴であると考えられる。主要な非レセプター活性型α3シアル化分子
種の存在を示す質量分析のピークには、異性体であるα6シアル化分子に対応す
るシグナルも含む場合がある。より大きなレセプターとしては次の構造が挙げら
れる: NeuNAcα6Galβ4GlcNAcβ3Galβ4(Fucα3)0-1GlcNAcβ3Galβ4(Fucα3)0-1GlcNA
cβ3Galβ4GlcβCer (この分子は0個または1個のフコース残基を有する)。 さらに、直鎖状の非シアル化構造と同じ分子量を有する分岐状のモノシアル化構
造も可能であり、例えば次の構造が挙げられる: NeuNAcα6Galβ4GlcNAcβ3(Galβ4GlcNAcβ6)Galβ4GlcNAcβ3Galβ4GlcβCer。 これらの大きな直鎖状分子および分岐状分子の構造的特徴は上記の分子種と非常
に類似していることから、これらの分子もレセプター活性を有すると考えられる
。次の配列もまた、ウイルス結合性構造である: NeuNAcα6Galβ4GlcNAcβ3Galβ4(Fucα3)0-1GlcNAcβ3Galβ4(Fucα3)0-1GlcNA
c (この分子は0個または1個のフコース残基を有する) および NeuNAcα6Galβ4GlcNAcβ3(Galβ4GlcNAcβ6)Galβ4GlcNAc。
【0018】 ウイルス結合性物質がそれよりも長いポリラクトサミン鎖の分岐鎖として存在
する場合、ウイルス結合性物質は下記式で表される: R-3/6Galβ4GlcNAcβ6/3(NeuNAcα6Galβ4GlcNAcβ3/6)Galβ4GlcNAcβ4R2 (式中、Rはポリラクトサミン鎖にグリコシド結合している非還元末端部であり
、R2はポリラクトサミン鎖にグリコシド結合している還元末端部であり、好ま
しくはRおよび/またはR2はさらにウイルス結合性物質を含む。) この糖の還元末端は、さらに誘導されていてもよい。
【0019】 本発明の物質が包含するオリゴ糖鎖は、ポリラクトサミンまたはそれとの抱合
体の一部でもよい。ポリラクトサミンは少なくとも6個のラクトサミン残基また
は少なくとも3個のシアル酸残基を含むことが好ましい。
【0020】 ウイルス結合性物質は担体に結合していてもよい。このような結合を達成する
には、ウイルス結合性物質を、好ましくは還元末端から、担体分子に結合すれば
よい。抱合体を治療に用いる場合には、担体分子はタンパク質でないことが好ま
しい。
【0021】 本発明のウイルス結合性物質、好ましくはオリゴ価またはクラスターの状態で
存在するものは、患者の呼吸器系にインフルエンザウイルスが存在することによ
って生じる疾患や病態の治療に用いることができる。この場合、本発明の物質は
、抗付着剤、すなわちヒトインフルエンザウイルスが標的細胞または標的組織の
レセプターエピトープに結合するのを阻害するために用いられる。ここでいう標
的細胞とは、好中球または呼吸器系の上皮細胞である。本発明の物質または医薬
組成物を患者に投与すると、本発明の物質または医薬組成物は、標的細胞上に存
在するレセプターの糖抱合体と競合してウイルスと結合する。その結果、一部ま
たはすべてのウイルスは、標的細胞または標的組織上のレセプターの代わりに本
発明の物質または医薬組成物に結合すると考えられる。本発明の物質に結合した
ウイルスは、分泌された粘液性物質と共に呼吸器系から除去されるので、その結
果、ウイルスが患者の健康に与える悪影響を軽減することができる。医薬組成物
としては、本発明の物質を包含する溶解性の組成物を使用することが好ましい。
本発明の物質は、担体、好ましくは非タンパク質性担体、に結合することもでき
る。担体分子を使用する場合には、数分子の本発明の物質を1個の担体分子に担
持させることで、阻害効率を向上させることもできる。
【0022】 本発明によると、本発明の物質を、所望により担体と共に医薬組成物に混入す
ることで、患者の呼吸器系にインフルエンザウイルスが存在することによって生
じる疾患や病態の治療に適した医薬組成物を製造したり、本発明の物質を上記の
病態の治療方法に使用することが可能である。本発明によって治療可能な病態と
しては、好中球の殺菌活性の低下および好中球のアポトーシスの促進を含むウイ
ルス媒介性の好中球機能不全や呼吸器系におけるインフルエンザウイルスの一次
感染が挙げられ、好中球機能不全に伴う細菌二次感染の予防に用いることもでき
る。
【0023】 本発明の医薬組成物は当業者に公知の他の物質、例えば、不活性な賦形剤また
は薬学的に許容できる担体や保存料等を包含していてもよい。
【0024】 本発明の物質または医薬組成物の投与方法は適当な方法でよいが、経口または
経鼻投与が好ましく、特に噴霧または吸入法が好ましい。
【0025】 本発明で用いる「治療」とは、病気または病態を治癒または緩和するための治療
と、病気または病態の発生を予防するための処置の両方を意味する。治療は、短
時間で行う場合もあれば、長期間にわたる場合もある。
【0026】 本発明で用いる「患者」とは、本発明に基づく治療を必要とするヒトまたはヒト
以外の哺乳類を意味する。
【0027】 さらに、ヒト組織に提示されている本発明の物質に特異的に結合するか、また
は本発明の物質を不活性化する阻害性物質を使用して、インフルエンザウイルス
の結合を妨げることができる。このような阻害性物質の例としては、レクチンで
あるSambucus nigra 凝集素が挙げられる。ヒトに使用する場合、上記のような
阻害性物質としては、人体に適応した抗体や酵素、例えば免疫原性がなく、且つ
本発明のウイルス結合性物質からα6結合で連結した末端NeuNAc残基を切
り出すことができるヒト由来の組換えシアリダーゼ等を使用する。
【0028】 本発明のウイルス結合性物質を、インフルエンザウイルスに対して有効な他の
薬物と共に使用し、より効果的な医薬組成物や治療方法を達成することができる
。ただし、このような用途に用いる薬物は、互いに不活性化しない物質、例えば
本発明の物質を不活性化する上記の阻害性物質、ではないことが重要である。本
発明の物質の部分分解を妨げ、且つ本発明の物質とは異なる機構でウイルス活性
を妨げることが可能な、医薬的ノイラミニダーゼ(シアリダーゼ)阻害剤(イン
フルエンザウイルスに対するノイラミニダーゼ阻害剤の効果はThe Lancet (2000
),355: 827-35を参照)と共に本発明の物質を使用することが特に好ましい。
【0029】 さらに、本発明の物質は、インフルエンザウイルスの感染によって生じる病態
の診断剤として使用することができる。診断剤としての用途には、本発明の物質
をインフルエンザウイルスの型の同定剤として使用することも含まれる。本発明
の物質を含んでなる診断剤または同定剤においては、本発明の物質は、例えばプ
ローブまたは試験棒に含まれていてもよく、所望により試験キットの一部を構成
するものであってもよい。このようなプローブまたは試験棒をヒトインフルエン
ザウイルスを含むサンプルに接触させると、ウイルスはこのプローブまたは試験
棒に結合するので、サンプル中から取り出してさらに分析することができる。
【0030】 糖脂質および炭化水素の命名法は、生化学の命名法に関するIUPAC−IU
B委員会の推奨する方法に従う(Carbohydr. Res. 1998, 312, 167; Carbohydr.
Res. 1997, 297, 1; およびEur. J. Biochem. 1998, 257, 29)。
【0031】 本発明において、Gal、Glc、GlcNAcおよびNeuNAcはD型で
あり、FucはL体であり、すべての単糖残基はピラノース環構造である。グリ
コシド結合については、一部を短い名称で示し、一部を長い名称で示した。Ne
uNAc残基のα3結合およびα6結合とは、それぞれα2−3結合およびα2
−6結合を意味し、β1−3、β1−4およびβ1−6結合はそれぞれβ3、β
4およびβ6と省略することがある。ラクトサミンはN−アセチルラクトサミン
、すなわちGalβ1−4GlcNAcを示し、シアル酸はN−アセチルノイラ
ミン酸、すなわちNeuNAcを示す。ラクトース残基またはラクトサミン残基
は誘導されているか、GlcまたはGlcNAcの1位からグリコシド結合して
いるか、あるいは抱合体ではないオリゴ糖鎖の遊離還元末端に対応していてもよ
い。脂肪酸と塩基の略記命名法においては、コロンの前の数字が炭素鎖の長さを
示し、コロンの後の数字が炭化水素の二重結合の合計を示す。Glc/GlcNAcは、示
された位置にGlc残基またはGlcNAc残基のいずれかを含むオリゴ糖を示
し、3/6および6/3は、結合は3位と6位のどちらでもよいことを示す。
【0032】 以下の実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらになんら限定される
ものではない。
【0033】 実施例 以下の実施例においては、次の略語を用いた。 TLC:薄層クロマトグラフィー; C:クロロホルム; M:メタノール; MAA:Maackia amurensisレクチン; SNA:Sambucus nigraレクチン; MALDI−TOF MS:マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間
型質量分析法(matrix-assisted laser desorption/ionization time-of-flight
mass spectrometry); FAB MS:高速原子衝突質量分析法(fast atom bombardment mass spectr
ometry);および EI MS:電子イオン化質量分析法(electron ionization mass spectromet
ry); 3s〜8s:3個から8個の糖を含むモノシアロガングリオシドのTLCプレ
ート上の移動領域を示す; S−3−PG:シアリル−3−パラグロボシド (NeuAcα3Galβ4GlcNAcβ-3Ga
lβ4GlcCer);および S−6−PG:シアリル−6−パラグロボシド (NeuAcα6Galβ4GlcNAcβ-3Ga
lβ4GlcCer)。 糖脂質および炭化水素の命名法については上記を参照すること。
【0034】 材料と方法材料 卵で培養したインフルエンザAウイルス(A/Texas/36/91, H1N1およびトリウ
イルスA/duck/Czehoslovakia/56, H4N6のヘマグルチニンおよびノイラミニダー
ゼを有する、ヒトX-113 再構成体ワクチン株)を西洋ワサビペルオキシダーゼ(
HRP)で標識したものは、公知の方法(Matrosovichら、1996)に従って調製
した。総ガングリオシド画分をスウェーデン国、イェーテボリ大学、医薬生化学
研究所(Institute of Medical Biochemistry)から入手し、Karlsson(1987)
の方法に従って各画分を調製した。図の凡例に示したように、いくつかの画分は
相分離(Folchら、1957)により精製してから分析に付した。ヒト白血球ガング
リオシドのヒトウイルス結合性副画分(図6)は調製用薄層クロマトグラフィー
(Miller-Podrazaら、1992)によって調製し、さらに精製した。精製した画分は
分離後にC/M/水(60:30:4.5、容積比)に懸濁し、C/M(2:1
、容積比)で飽和した小さい(0.25mlの)シリカゲルカラムに流し、糖陽
性画分をC/M/水(60:35:8、容積比)で溶出した。抗シアリルルイス
xモノクローナル抗体およびCDw65/clone VIM-2モノクローナル抗体は、それぞ
れSeikagaku社(日本国)およびDianova GmbH社(ドイツ国)から入手した。Maa ckia amurensis(MAA)レクチンおよびSambucus nigra(SNA)レクチンは
いずれもBoehringer-Mannheim社(ドイツ国)から入手した。シリカゲルアルミ
ニウムプレート60はMerck社(ドイツ国)から購入した。
【0035】白血球の調製 ヒト白血球の混合物は、健常人の静脈血から調製した。バフィーコートは0.
8%の塩化アンモニウムに溶解し(赤血球の除去、Fredlundら、1988)、400
×gで遠心分離した。使用した画分は70〜85%の多形核白血球を含有してい
た。
【0036】ガングリオシドの緩和過ヨウ素酸酸化(Vehら, 1977) ガングリオシド(0.05〜0.1mM)を1〜2mMのNaIO4を含む0
.05mM酢酸緩衝液(pH5.5)中、氷上で40分間インキュベートしたのち
、過剰量の硫酸ナトリウムを加えてサンプルとした。このサンプルを凍結乾燥で
(約5倍に)濃縮し、過剰量の水素化ホウ素ナトリウムを用いて室温で一晩還元
した。そして、サンプルを蒸留水に対して透析し、次いで凍結乾燥した。
【0037】TLCオーバーレイ結合アッセイ 一般的なオーバーレイ技術は公知の方法(KarlssonおよびStromberg、1987)
で行った。本発明者らが本願実施例で用いた特定の応用技術については以下に記
す。
【0038】インフルエンザウイルスによるオーバーレイ 糖脂質を分離したプレートを0.3%ポリイソブチルメタクリレート(米国、
ミルウォーキー、Aldrich Chemical Company, Inc.製)を含むジエチルエーテル
/ヘキサン(5:1、容積比)で1分間処理したのちに乾燥し、2%BSAおよび
0.1%Tween 20を含むPBS中、室温で2時間インキュベートした。このプレ
ートを、0.2%BSAおよび0.01%Tween 20を含むPBSのHRP標識ウ
イルス懸濁液でオーバーレイし、上記と同じ条件でさらに2時間インキュベート
した。プレートをPBSで4回洗浄し、0.03% H22含有PBS中の0.
02%DAB(3,3'-diaminobenzidine tetrahydrochloride)(米国、イリノイ
州、ロックフォード、Pierce社)と共に室温(暗所)でインキュベートすること
で視覚化した。
【0039】抗体によるオーバーレイ 抗体によるオーバーレイは公知の方法(Miller-Podrazaら、1997)で行った。
【0040】メンブレンブロットのレクチンによるオーバーレイ メンブレンブロット上に存在するα3結合およびα6結合で連結したシアル酸
のMAA(Maackia amurensis)レクチンおよびSNA(Sambucus nigra)レクチ
ンによる検出は、公知の方法(Johanssonら、1999)で行った。
【0041】質量分析 MALDI−TOF MSは、TofSpec−E質量分析計(英国、Microma
ss社製)を用い、反射モードで行った。加速電圧は20kVとし、サンプリング
周波数は500MHzとした。アセトニトリルに溶解した6-aza-2-thiothymine
をマトリクスとして用いた。FAB MSはSX102A質量分析計(JEOL
社製)を用い、陰イオンモードで行った。トリエタノールアミンをマトリクスと
し、キセノン原子(8kV)でスペクトルを得た。パーメチル化糖脂質のEI M
Sは、FAB MSに使用したのと同じJEOL社製の質量分析計を用い、公知
の方法(Breimerら、1980)で行った。
【0042】 実施例1ヒトインフルエンザウイルスのヒトガングリオシド混合物に対する結合 図1には、ヒトインフルエンザウイルスおよびトリインフルエンザウイルス(
トリウイルスは対照実験に用いた)それぞれの、参照ガングリオシド(レーン9
)および種々のヒト組織から単離したガングリオシド混合物(レーン1〜8)に
対する結合を示した。ヒトインフルエンザウイルスはこの分析条件下で、豊富な
5s種および7s種を含む短いガングリオシドには結合しないものの、いくつか
の大きなヒト白血球の糖脂質(図1のレーン1)に強い選択的な結合を示した。
また、他のヒト組織、特に小腸およびすい臓(レーン4および8)、に存在する
移動度の遅い種に対する弱い結合も見られた。トリウイルスは、参照として用い
た脳ガングリオシドの2つの画分を含むすべてのレーンの多様なガングリオシド
に結合し、NeuAcα6Gal-末端種および内部分岐鎖としてシアル酸を含む種に比べ
て、NeuAcα3Gal-末端種に選択的な結合性を示した。図に見られるように、NeuA
cα3−パラグロボシド(S−3−PG)ならびにガングリオシドGD1aおよび
GT1b(構造は表1を参照)に対する結合は見られたものの、NeuAcα6−パラ
グロボシド(S−6−PG)あるいはガングリオシドGM1またはGD1bへの
結合はなかった。これらの結果は、トリインフルエンザウイルスの結合特異性に
関する報告(本願明細書の導入部に挙げた参考文献を参照)と一致する。いくつ
かのレーンには小さい複合成分が多量に展開されていたにも関わらず、GM3へ
の結合は観察されなかった。図1のレーン6における最も移動度の速いバンドに
対するヒトインフルエンザウイルスおよびトリインフルエンザウイルスの結合は
、おそらくはそこに多量存在する電荷を帯びたスルファチドとの非特異的相互作
用であると考えられる。
【0043】 実施例2ガングリオシドの緩和過ヨウ素酸酸化 新たなレーンにおけるウイルスの硫酸化糖脂質への結合を防ぐために、ガング
リオシドの処理には緩和過ヨウ素酸酸化還元処理を採用した。緩和過ヨウ素酸酸
化還元処理は、ガングリオシドの末端シアル酸含有グリセロールを特異的に切断
し、その長さを炭素数として1個または2個短くすることができる(Vehら、1977
)。インフルエンザウイルスの硫酸化ガラクトシルセラミドへの結合については
、Suzukiら、1996によってすでに報告されている。本願実施例おいては、図2に
示したように、緩和酸化によって(ヒトインフルエンザは)完全に、また(トリ
ウイルスは)ほぼ完全に白血球糖脂質への結合を排除することができた。この結
果によって、ウイルス接着にはシアル酸が特に重要であることが確認された。ま
た、この結果は、インフルエンザウイルスの化学的に修飾された炭水化物への結
合に関する過去の研究結果(SuttajitおよびWinzler、1971; Matrosovichら、19
91)とも一致した。
【0044】 酸化還元処理したガングリオシドについて、パーメチル化後にFAB MSお
よびEI MSによる分析に付した。FAB MSスペクトルにおいて、緩和酸化
還元処理前の3sガングリオシド、5sガングリオシドおよび7sガングリオシ
ドにはっきりと見られた擬似分子イオン[M−H]-の質量は、緩和酸化還元処
理によって質量が30または60(±1)単位減少した(図3参照)。具体的に
は、図3Aにおけるm/z1151.7(GM3,d18:1−16:0)、1
517.2(SPG,d18:1−16:0)および1882.7(7s,d1
8:1−16:0)のメインイオンは、酸化還元後には、図3Bのm/z109
1.1と1121.1、m/z1456.4と1486.4、ならびにm/z1
821.9と1851.8にそれぞれ置換された。EI MSスペクトルにおい
ては、m/z376および344のNeuAcフラグメントイオンは、酸化還元
後には、m/z332と300、ならびにm/z288と256にそれぞれ置換
された(データは示さない)。主鎖の分解は見られなかった。
【0045】 実施例3抗体によるヒトインフルエンザレセプター糖脂質の分析 ヒトウイルスはモノフコシル化シアリルルイスxまたはVIM−2活性化糖に
対して結合するという公知の報告(Suzuki、1994; Muthing、1996)と同様の結
合を示すかどうかを分析するために、本発明者らはこれらの構造体と反応する抗
体を用いたTLCプレートのオーバーレイ実験を行った(図4)。VIM−2陽
性画分およびウイルス陽性画分(図4A、「VIM」レーンおよび「ウイルス」
レーン)において極性溶媒(A)は、少なくともあまり複雑ではない糖鎖領域に
おいて明確な分離を可能にした。抗シアリルルイスx抗体による結合とヒトウイ
ルスによる結合(図4Aおよび4B、「SLX」レーンおよび「ウイルス」レー
ン)には部分的な一致が見られたものの、結合パターンは同一ではなく、ウイル
スはシアリルルイスx陽性のあまり複雑ではない糖分子を認識しなかった。
【0046】 実施例4レクチンによるヒトインフルエンザレセプター糖脂質の特徴付け 図5は、MAAおよびSNA(それぞれα3およびα6結合で連結するNeu
Acに特異的に結合するレクチン)の白血球ガングリオシドに対する結合を、ヒ
トインフルエンザウイルスによる結合と比較したものである。ウイルス陽性画分
とSNA陽性画分においては、同じ移動度のバンドがより複雑な糖鎖領域に存在
したものの、あまり複雑ではない糖鎖領域においては、SNA陽性バンドにウイ
ルスが結合することはなかった。後者の結合は、α6結合で連結するNeuAc
を有する5sガングリオシドおよび7sガングリオシドに対するものであること
がすでに同定されている(JohanssonおよびMiller-Podraza、1998)。ネオラクト
シリーズに属する、α3結合で連結するNeuAcを含む炭化水素鎖に対して特
異的に結合するMAA(Knibbsら、1991; Johanssonら、1999)は、ウイルスとは
まったく異なる結合パターンを示した。α6結合で連結するNeuAcを含む、
量的に少ない種に対するヒトウイルスの結合は、2つ目のTLC溶媒で分離した
ガングリオシドに対しても再び観察された(図示しない)。図5のレーン3に見
られるウイルスの弱い結合は、脳ガングリオシドとの交差反応を示している可能
性がある。しかしながら、この結合には再現性はなかった(図1参照)。
【0047】 ヒトウイルスに対して有効な結合性を示す配列を同定することを目的として、
ヒト白血球由来ガングリオシドを調製用のTLCで分離し、再び結合性について
分析した(図6)。最も複雑な画分は量的に不十分であり、分離もあまりよくな
かったので、分析には用いなかった。2つの画分は活性成分を含んでいた(図中
の画分5および画分6を参照)。しかしながら、異なるクロマトグラフィー系(
TLC、データは示さない)で分析した結果、これらの副画分の主成分は不活性
であり、量的に少ない、2つの画分のいずれにも含まれる成分に対する結合であ
ることが明らかとなった。これは、SNAレクチンによってすでに検出されてい
る、移動度の遅いα6結合で連結したNeuAcを含む分子種(図5)にウイル
スは結合するという事実(JohanssonおよびMiller-Podraza、1998)と一致する
。このような分子種は、ヒト白血球にはごく少量しか存在せず、これまでに白血
球から単離されたより複雑なガングリオシドの中から化学的方法によって検出さ
れた分子はいずれもα3結合で連結するNeuAcを含む構造体である(Muthin
gら、1996; Stroudら、1995; Stroudら、1996)。ウイルスによるTLCプレート
上の糖鎖の検出水準は、総ガングリオシド混合物に対して40〜80pmolで
あり、活性種に対する結合はこの水準よりも低いことは明らかであり、このこと
は非常に効率的に結合が行われていることを示している(図6のレーン6に見ら
れる、痕跡量の画分に対する結合を参照)。
【0048】 実施例5ヒトインフルエンザウイルスに対するレセプターを含む糖脂質画分の質量分析 最も活性の高い単離画分(図6の画分6)をMALDI−TOF MSで分析
したところ、セラミド1モル当たり8〜11個の単糖を有する複合ガングリオシ
ドが含まれることが明らかとなった(図7および表2を参照)。FAB MS分
析に見られる開裂パターンによって、HexHexNAc単位の繰り返しを有するオリゴ
糖鎖の存在が確認された(スペクトルは示さない)。最も豊富に存在する分子イ
オンは、m/z2394.0のNeuAc1Fuc1Hex5HexNAc3Cerおよびm/z2248
.7のNeuAc1Hex5HexNAc3Cerに相当するものだった。前述したように、種々の溶
媒系を用いたTLCにおいては、主成分は結合性分子の候補からは除外した。従
って、最も活性種である可能性の高い候補は、量的に少ない、2個または3個の
ラクトサミン単位を有するジシアリル化ガングリオシドまたはジフコシル化ガン
グリオシドであった。2個のN−アセチルラクトサミン単位を有するモノフコシ
ル化ガングリオシドであるNeuAc1Fuc1Hex4HexNAc2Cer,(8s),(図7のm/
z2030.4)は、クロマトグラフィーにおける移動度および結合分析から判
断すると、結合性分子である可能性は低いと考えられた(図1、4Bおよび6(
8s領域)を参照)。図6の画分5において、主要な(非活性)成分はNeuAc1He
x5HexNAc3Cerであった。
【0049】 実施例6質量分析法およびTLC実験から得られたデータの分析 正確な結合性構造体の直接的な特徴付けは、材料が量的に少ないことと複数の
活性種が存在するために不可能だった。しかしながら、本発明者らはシアリルル
イスxおよびVIM−2活性化糖(表1、図4)を結合性配列から除外した。本
発明者らは、SNAレクチンを用いて、α6結合で連結するNeuAcを含む、
量的に少ない分子種に対して結合が生じることも示した(図5)。さらに、本発
明者らは、結合がそのままの形の末端シアル酸含有グリセロールの存在に依存し
ていることを示した(図2および3)。従って、本発明者らの結果は、ヒトイン
フルエンザウイルスA型がシアリルルイスx構造(Suzuki、1994)またはVIM−
2活性化構造(Suzuki、1994; Muthing、1996)へ優先的に結合するという従来の
提案を支持するものではない。このような不一致は、ウイルス株の違いによって
生じるものと考えられる。本発明者らはヒトインフルエンザウイルスX-113 (A/T
exas/36/91, H1N1のHAおよびNA遺伝子)について検討したが、一方で、引例の著
者らは、A/Aichi/2/28 (H3N2)のHAおよびNA遺伝子を有する、インフルエン
ザウイルスA/PR/8/34 (H1N1)およびX-31再構成体ウイルス株を用いた。PR/8/34
株およびX-31株は、最近流行したインフルエンザウイルスA型よりもα3結合で
連結するNeuAcを含むレセプターに対して高い親和性を示すことが知られて
おり(RogersおよびD’Souza、1989; Matrosovichら、1997)、これはPR/8/34およ
びX-31はシアリルルイスxおよびVIM−2構造と強力な相互作用を示すものの
、本実施例においてはこれらの構造体に対してウイルスの結合が見られなかった
理由であると考えられる。本実施例においては、抗シアリルルイスx抗体とヒト
ウイルスの結合パターンに一部共通する部分が見られた(図4)。しかしながら
、全体的なパターンは同一ではなく、ヒト白血球に存在すると報告されているあ
まり複雑ではないシアリルルイスxガングリオシドとウイルスとの相互作用(Mu
thingら、1996)はなかった。本発明者らはFAB MSによって、画分1〜3(
図6)において増加する存在量を示す、種々のセラミドを含むFuc1NeuAc1Hex4He
xNAc2Cerのシアリルルイスx組成物である可能性のある8sガングリオシドを検
出した(m/z2028.7および2138.4、データは示さない)。これら
のガングリオシドのバンドは7s領域まで移動し、より豊富に存在する非フコシ
ル化NeuAc1Hex4HexNAc2Cer画分のバンドと重なった。重要なのは、抗シアリルル
イスx抗体はこの領域に結合を示すが、VIM−2抗体およびウイルスのいずれ
も結合を示さないことである(図4)。セラミド部分、およびα3またはα6結
合で連結するNeuAc置換基に見られる微細な構造上の異種性は、図4の「S
LX」レーンにおいて異なるガングリオシドが部分的に重複する移動度を示し、
複雑な多重バンドパターンが見られる理由を説明し得る。低TLC領域の他のフ
コシル化構造への交差結合(Stroudら、1995)もまた、このような複雑なパター
ンに寄与している可能性がある。
【0050】 図6の画分5および画分6の主成分は、種々の溶媒系で実施したTLC分析お
よびオーバーレイ分析結果に基づき、結合性分子の候補から除外した。表2には
、本発明者らがMALDI−TOF MSで検出した活性種の候補を(太字で)
示した。混合物中のジシアル化分子および/またはジフコシル化分子の存在(2
個のフコースおよび1個のNeuAcの質量の違いはたったの1.03amuで
ある)から判断した結果、結合に重要なのはオリゴシアリル化および/または繰
り返されたフコースの分岐であると考えられる。オリゴシアリル化種のように、
モノシアリル化糖脂質もまたβ6結合で連結するラクトサミン単位によって分岐
されている可能性があり、そのような量的に少ない種の分子量は、2248.5
の[M−H]-分子量を有する、存在量の多い非活性型糖脂質と重複していると
考えられる。複雑なガングリオシドのみが結合していたことから、糖の長さもま
た重要な要素であると考えられる。長い炭化水素鎖はスペーサーとして機能し、
ウイルスのヘマグルチニンによる認識に対する立体障害性を減少させるとも考え
られる。レセプター結合部位の付近に存在するウイルスのヘマグルチニンをグリ
コシル化することによって、ウイルスが標的細胞および固定したレセプターに結
合するのを減少させることができる(Matrosovichら、1997; Gambaryanら、1998
; Ohuchiら、1997)。レセプター結合ポケットへの接近が阻害されているという
ことは、GM3やSPGのようなにあまり複雑ではないガングリオシドに対する
ヒトインフルエンザの結合が本発明者らによって観察されなかったことを理由付
けている。実際に、X-113再構成体ヒトウイルスのヘマグルチニンは、その配列
は未だ決定されていないが、HAタンパクの球状の頭部の先端近くのAsn129
およびAsn163にグリカンを含んでいると考えられ、このような構造は、配列
が入手可能な現在のH1N1ヒトウイルスのHAタンパクと類似している。対照
的に、トリウイルス株A/duck/Czehoslovakia/56 (H4N6)のHAにおいては、この
位置に炭水化物は存在しない(Matrosovichら、1999)。また、Muthing(Muthin
g、1996)はX-31(H3N2)インフルエンザA型ウイルス株を用いた実験において
、5sガングリオシドおよび7sガングリオシドと比較して、長いフコシル化種
(シアリルルイスx種およびVIM−2活性化種)に対してより強い結合が見ら
れることを強調した。
【0051】 本発明者らの研究においては、ある選ばれた複合種とヒトウイルスとの非常に
強い相互作用は見られたものの、α6結合で連結するNeuAcを含む5sSP
G、またはその7s類似体に対する結合はまったくなかった(ヒト白血球の5s
ガングリオシドおよびヒト白血球の7sガングリオシドの特徴については、Joha
nssonおよびMiller-Podraza、1998を参照)。トリウイルスがS−3−PGおよ
び他のよく定義された公知のガングリオシドに本発明と同じ実験条件下で結合し
たので(図1)、このような変わった結合を説明する分析技術上の理由は存在し
ない。レセプター鎖の長さおよび構造的特徴の両方がこの結果の一因となってい
ると考えるのが妥当である。分岐したN−アセチルラクトサミン鎖およびNeu
Acを少なくともひとつの分岐鎖に有するガングリオシドは、非常に有効な結合
性分子であると考えられる。多価体は、インフルエンザウイルスの合成シアリル
化化合物に対する結合親和性を増強する重要な要素であることがすでに示されて
おり(Mammenら、1995)、分岐したポリグリコシルセラミドはヒトインフルエンザ
ウイルスA型およびヒトインフルエンザウイルスB型に対する非常に効果的なレ
セプターだった(Matrosovichら、1996)。ヒト白血球ガングリオシドについて既
に報告されているセラミドと類似したセラミド構造を有するジシアル化種につい
て計算した分子量(Stroudら、1996b; Muthing、1996)は、表2の実験データと非
常に近かった。分岐したα3モノシアリル化ポリラクトサミンガングリオシドは
、ヒトガングリオシドについて報告されている(Stroudら、1996b)。ヒト白血球
は、Fucα3GlcNAc単位として繰り返されるフコース残基を有するネオラクト糖脂
質を含むことが知られており(Stroudら、1995; Stroudら、1996; Muthing、1996
)、これらに対応する分子量の分子も本発明者らの分析において検出された(表
2参照)。フコースは、ウイルスのHAタンパクのNeuAc結合部位に対応す
るスポット以外のスポットにおいて、疎水性のメチル基と相互作用すると考えら
れる。実際に、疎水性の近接している基を有する合成NeuAc類似体は、イン
フルエンザウイルスA型ヘマグルチニンのレセプター結合部位に隣接している疎
水性パッチ(patches)と相互作用し、親和性が非常に向上していることが示さ
れている(Watowichら、1994)。
【0052】
【表1】
【0053】
【表2】
【0054】参考文献 Abramson, J.S. and Hudnor, H.R. (1995) Blood, 85, 1615-1619 Abramson, J.S. and Mills, E.L. (1988) Rev. Infect. Dis., 10, 326-341 Baum, L.G., and Paulson, J.C. (1990) Acta Histochem., Suppl. XL, 35-38 Breimer, M., Hansson, G.C., Karlsson, K.-A., Larsson,G., Leffler, H., Pa
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【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、HRP標識ヒトインフルエンザウイルスA型(H1N1)およびHRP標識
トリインフルエンザウイルスA型(H4N6)の、種々のヒト組織から単離し、シリカ
ゲル薄層プレート上で分離したガングリオシドに対する結合を示す。図中、「ア
ニスアルデヒド」はアニスアルデヒド(4-methoxybenzaldehyde)を噴霧したプレ
ートであり、「ヒトウイルス」および「トリウイルス」は、それぞれの標識ウイ
ルスをオーバーレイしたプレートである。レーン1はヒト白血球由来の(フォル
チ分配後の)上相ガングリオシドであり、レーン2はヒト赤血球由来の上相ガン
グリオシドであり、レーン3はヒト小腸由来の総ガングリオシド(サンプル1)
であり、レーン4はヒト小腸由来の総ガングリオシド(サンプル2)であり、レ
ーン5はヒト胃由来の総ガングリオシドであり、レーン6はヒト胎便由来の総ガ
ングリオシドであり、レーン7はヒト結腸由来の総ガングリオシドであり、レー
ン8はヒトすい臓由来の総ガングリオシドであり、レーン9はウシ脳ガングリオ
シドである。プレートはクロロホルム/メタノール/0.25%KCl水溶液(
50:40:10)で展開した。「S−3−PG」はシアリル−3−パラグロボ
シドであり、「S−6−PG」はシアリル−6−パラグロボシドであり、「5s
」、「7s」および「8s」はそれぞれ5糖、7糖および8糖を含有するモノシ
アロガングリオシド画分(それぞれNeuAc1Hex3HexNAc1Cer, NeuAc1Hex4HexNAc2C
erおよびFuc1NeuAc1Hex4HexNAc2Cer)である。移動度の遅いガングリオシドを視
覚化するために、いくつかのレーンには多量に試料をスポットした。点線はデー
タの解釈を容易にするために引いてある。
【図2】 図2は、HRP標識ヒトインフルエンザウイルスおよびHRP標識トリインフ
ルエンザウイルスのシリカゲルTLCプレート上の白血球ガングリオシドに対す
る結合を示し、レーン1は緩和酸化還元処理前のガングリオシドに対する結合を
示し、レーン2は緩和酸化還元処理後のガングリオシドに対する結合を示す。レ
ーン3は参照のための脳由来ガングリオシド(上からGM1、GD1a、GD1
b、GT1b)である。図中、「アニスアルデヒド」は、アニスアルデヒドでガ
ングリオシドを染色したプレートである。クロマトグラフィーの条件は図1と同
じであり、「x」は透析の際に混入した糖以外の物質のスポットである。
【図3A】 図3Aは、緩和過ヨウ素酸酸化還元処理前のヒト白血球由来ガングリオシドの
陰イオンFAB MSスペクトルである。
【図3B】 図3Bは、緩和過ヨウ素酸酸化還元処理後のヒト白血球由来ガングリオシドの
陰イオンFAB MSスペクトルである。
【図4】 図4Aは、抗シアリルルイスx(SLX)モノクローナル抗体およびVim−
2(VIM)モノクローナル抗体の、シリカゲルTLCプレート上で分離した、
ヒト白血球由来の(フォルチ分配後の)上相ガングリオシドに対する結合を示す
。プレートはクロロホルム/メタノール/0.25%KCl(50:55:13
)で展開した。図4Bは、抗シアリルルイスx(SLX)モノクローナル抗体お
よびVim−2(VIM)モノクローナル抗体の、シリカゲルTLCプレート上
で分離した、ヒト白血球由来の(フォルチ分配後の)上相ガングリオシドに対す
る結合を示す。プレートはクロロホルム/メタノール/0.25%KCl(50
:40:10)で展開した。図中、「アニスアルデヒド」は、アニスアルデヒド
で染色したガングリオシドを示し、「ウイルス」は、HRP標識ヒトインフルエ
ンザウイルスをオーバーレイしたガングリオシドを示す。
【図5】 図5は、Maackia amurensis(MAA)およびSambucus nigra(SNA)由来
のNeuAcα3-およびNeuAcα6-に特異的に結合するレクチンの、TLCで分離し、
PVDF膜上にブロットしたガングリオシドに対する結合を示す。図中、「ヒト
ウイルス」は、HRP標識ヒトウイルスの、対応するTLCプレートに対する結
合を示し、「アニスアルデヒド」は、ガングリオシドを分離したTLCプレート
をアニスアルデヒドで視覚化したものを示す。TLCプレートはクロロホルム/
メタノール/0.25%KCl(50:50:13)で展開した。レーン1はヒ
ト白血球由来の(フォルチ分配後の)上相ガングリオシドであり、レーン2はシ
アリル−3−パラグロボシドであり、レーン3はウシ脳ガングリオシド(GM1
、GD1a、GD1bおよびGT1b)である。
【図6】 図6は、HRP標識ヒトインフルエンザウイルス(A、H1N1)の、ヒト白血球ガ
ングリオシド混合物から調製用TLCによって得られたガングリオシド副画分(
画分1〜6)に対する結合を示す。図中、「TG」は、総ガングリオシド混合物
であり、「アニスアルデヒド」はアニスアルデヒドで視覚化したプレートであり
、「ヒトウイルス」は、標識ウイルスをオーバーレイしたプレートである。
【図7】 図7は、図6の画分6のガングリオシドのMALDI−TOFスペクトルであ
る。質量分析計は陰イオン屈折モードで操作した。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 31/12 A61P 31/16 31/16 43/00 111 43/00 111 A61K 37/20 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE,TR),OA(BF ,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW, ML,MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,G M,KE,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ, MD,RU,TJ,TM),AE,AG,AL,AM, AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,B Z,CA,CH,CN,CO,CR,CU,CZ,DE ,DK,DM,DZ,EC,EE,ES,FI,GB, GD,GE,GH,GM,HR,HU,ID,IL,I N,IS,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LC ,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MA,MD, MG,MK,MN,MW,MX,MZ,NO,NZ,P L,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI,SK ,SL,TJ,TM,TR,TT,TZ,UA,UG, US,UZ,VN,YU,ZA,ZW Fターム(参考) 4C084 AA02 AA07 AA17 BA48 CA26 MA02 NA01 ZB332 ZC202 4C090 AA01 AA09 BA76 BB02 BB03 BB11 BB13 BB18 BB25 BB28 BB32 BB33 BB35 BB36 BB38 BB53 BB73 BB92 BC27 BD41 DA23 DA25

Claims (26)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも1種のオリゴ糖鎖あるいはその類似体または誘導体
    を包含する、ヒトインフルエンザウイルスの結合に用いるための物質であって、
    該オリゴ糖鎖はN−アセチルノイラミン酸(NeuNAc)末端と、該NeuN
    Ac末端にα6結合により連結した下記(a)および(b)からなる群より選ば
    れる少なくとも1種の構造体とを包含する。 (a)少なくとも3個のラクトサミン残基を有する、直鎖状または分岐状のポ
    リラクトサミン型構造体であり、該直鎖状の構造体は、シアル化されていないラ
    クトサミン残基に1個または2個のフコース残基がα3結合により連結していて
    もよく、該分岐状の構造体は、該NeuNAc末端の他にも、分岐鎖の末端にα
    結合により連結しているNeuNAc残基を1つ以上有していてもよく、および (b)2個のラクトサミン残基および1個のラクトース残基からなる直鎖状ま
    たは分岐状の構造体であり、該直鎖状の構造体は、シアル化されていないラクト
    サミン残基またはラクトース残基に1個または2個のフコース残基がα3結合に
    より連結しており、該分岐状の構造体は、該NeuNAc末端の他にも、分岐鎖
    の末端にα結合により連結しているNeuNAc残基を1つ有していてもよい。
  2. 【請求項2】該分岐状の構造体(a)および(b)はその末端にα6結合に
    より連結したNeuNAc残基を2個有することを特徴とする、請求項1に記載
    の物質。
  3. 【請求項3】該直鎖状の構造体(a)は1個のフコース残基を有し、該直鎖
    状の構造体(b)は2個のフコース残基を有することを特徴とする、請求項1に
    記載の物質。
  4. 【請求項4】該構造体(a)が3個のラクトサミン残基を有することを特徴
    とする、請求項1〜3のいずれかに記載の物質。
  5. 【請求項5】下記式: NeuNAcα6Galβ4GlcNAcβ3(NeuNAcα3/6Galβ4GlcNAcβ6)Galβ4GlcNAc/Glcβ1-
    、 NeuNAcα6Galβ4GlcNAcβ3(NeuNAcα6Galβ4GlcNAcβ6)Galβ4GlcNAc/Glcβ1-、 NeuNAcα6Galβ4GlcNAcβ3(Galβ4GlcNAcβ6)Galβ4GlcNAc/Glcβ1-、 NeuNAcα6Galβ4GlcNAcβ3Galβ4(Fucα3)0-1GlcNAcβ3Galβ4(Fucα3)0-1GlcNA
    cβ1-、または NeuNAcα6Galβ4GlcNAcβ3Galβ4(Fucα3)GlcNAcβ3Galβ4(Fucα3)GlcNAcβ1- で表されるオリゴ糖鎖を包含することを特徴とする、請求項1に記載の物質。
  6. 【請求項6】下記式: R6/3Galβ4GlcNAcβ6/3(NeuNAcα6Galβ4GlcNAcβ3/6)Galβ4GlcNAcβ4R2 (式中、Rはポリラクトサミン鎖にグリコシド結合している非還元末端部であり
    、R2はポリラクトサミン鎖にグリコシド結合している還元末端部であり、好ま
    しくはRおよび/またはR2は請求項1で定義したようなウイルス結合性を有す
    るオリゴ糖鎖をさらに含む。) で表される糖鎖を包含することを特徴とする、請求項1に記載の物質。
  7. 【請求項7】該オリゴ糖鎖が糖脂質の一部であることを特徴とする、請求項
    1〜5のいずれかに記載の物質。
  8. 【請求項8】該オリゴ糖鎖がラクトース残基を介して該糖脂質の一部である
    脂質と結合していることを特徴とする、請求項7に記載の物質。
  9. 【請求項9】該糖脂質の一部である脂質がセラミドであることを特徴とする
    、請求項7または8に記載の物質。
  10. 【請求項10】少なくとも1種のオリゴ糖鎖あるいはその類似体または誘導
    体を包含する物質であって、該オリゴ糖鎖はポリラクトサミンまたはそれとの抱
    合体の一部であり、且つNeuNAc末端と、該NeuNAc末端にα6結合に
    より連結した下記(a)および(b)からなる群より選ばれる少なくとも1種の
    構造体とを包含する。 (a)少なくとも3個のラクトサミン残基を有する、直鎖状または分岐状のポ
    リラクトサミン型構造体であり、該直鎖状の構造体は、シアル化されていないラ
    クトサミン残基に1個または2個のフコース残基がα3結合により連結していて
    もよく、該分岐状の構造体は、該NeuNAc末端の他にも、分岐鎖の末端にα
    結合により連結しているNeuNAc残基を1つ以上有していてもよく、および (b)2個のラクトサミン残基および1個のラクトース残基からなる直鎖状ま
    たは分岐状の構造体であり、該直鎖状の構造体は、シアル化されていないラクト
    サミン残基またはラクトース残基に1個または2個のフコース残基がα3結合に
    より連結しており、該分岐状の構造体は、該NeuNAc末端の他にも、分岐鎖
    の末端にα結合により連結しているNeuNAc残基を1つ有していてもよい。
  11. 【請求項11】少なくとも2種のオリゴ糖鎖あるいはその類似体または誘導
    体を包含する物質であって、該オリゴ糖鎖はNeuNAc末端と、該NeuNA
    c末端にα6結合により連結した下記(a)および(b)からなる群より選ばれ
    る少なくとも1種の構造体とを包含する。 (a)少なくとも3個のラクトサミン残基を有する、直鎖状または分岐状のポ
    リラクトサミン型構造体であり、該直鎖状の構造体は、シアル化されていないラ
    クトサミン残基に1個または2個のフコース残基がα3結合により連結していて
    もよく、該分岐状の構造体は、該NeuNAc末端の他にも、分岐鎖の末端にα
    結合により連結しているNeuNAc残基を1つ以上有していてもよく、および (b)2個のラクトサミン残基および1個のラクトース残基からなる直鎖状ま
    たは分岐状の構造体であり、該直鎖状の構造体は、シアル化されていないラクト
    サミン残基またはラクトース残基に1個または2個のフコース残基がα3結合に
    より連結しており、該分岐状の構造体は、該NeuNAc末端の他にも、分岐鎖
    の末端にα結合により連結しているNeuNAc残基を1つ有していてもよい。
  12. 【請求項12】少なくとも1種のオリゴ糖鎖あるいはその類似体または誘導
    体を包含し、ミセル状態で存在するか、または多価担体に結合した状態で存在す
    る物質であって、該オリゴ糖鎖はNeuNAc末端と、該NeuNAc末端にα
    6結合により連結した下記(a)および(b)からなる群より選ばれる少なくと
    も1種の構造体とを包含する。 (a)少なくとも3個のラクトサミン残基を有する、直鎖状または分岐状のポ
    リラクトサミン型構造体であり、該直鎖状の構造体は、シアル化されていないラ
    クトサミン残基に1個または2個のフコース残基がα3結合により連結していて
    もよく、該分岐状の構造体は、該NeuNAc末端の他にも、分岐鎖の末端にα
    結合により連結しているNeuNAc残基を1つ以上有していてもよく、および (b)2個のラクトサミン残基および1個のラクトース残基からなる直鎖状ま
    たは分岐状の構造体であり、該直鎖状の構造体は、シアル化されていないラクト
    サミン残基またはラクトース残基に1個または2個のフコース残基がα3結合に
    より連結しており、該分岐状の構造体は、該NeuNAc末端の他にも、分岐鎖
    の末端にα結合により連結しているNeuNAc残基を1つ有していてもよい。
  13. 【請求項13】請求項1〜12のいずれかに記載の物質を包含してなる医薬
    組成物。
  14. 【請求項14】ヒトインフルエンザウイルスの存在によって生じる病態の治
    療用、請求項13に記載の医薬組成物。
  15. 【請求項15】ウイルス媒介性の好中球機能不全の治療用および好中球機能
    不全に伴う細菌二次感染の予防用、請求項13または14に記載の医薬組成物。
  16. 【請求項16】呼吸器系におけるインフルエンザウイルスの一次感染の治療
    用、請求項13または14に記載の医薬組成物。
  17. 【請求項17】請求項1〜12のいずれかに記載の物質を、ヒトインフルエ
    ンザウイルスの存在によって生じる病態の治療用医薬組成物の製造に用いる方法
  18. 【請求項18】ヒトインフルエンザウイルスの存在によって生じる病態の治
    療方法であって、薬学的に有効な量の請求項1〜12のいずれかに記載の物質を
    患者に投与することを包含する治療方法。
  19. 【請求項19】請求項14〜16に定義された病態を治療するための、請求
    項18に記載の方法。
  20. 【請求項20】ヒト組織に提示されている請求項1〜10のいずれかに記載
    の物質に特異的に結合するかまたは該物質を不活性化する阻害性物質、好ましく
    はレクチン、抗体または酵素を、請求項14〜16に定義された病態の治療用医
    薬組成物の製造に用いる方法。
  21. 【請求項21】ヒト組織に提示されている請求項1〜10のいずれかに記載
    の物質に特異的に結合するかまたは該物質を不活性化する阻害性物質を含んでな
    る、請求項14〜16に定義された病態の治療用医薬組成物。
  22. 【請求項22】インフルエンザウイルスに対して有効な1種以上の成分、好
    ましくはノイラミニダーゼ阻害剤、を含有することを特徴とする、請求項13〜
    16のいずれかに記載の医薬組成物。
  23. 【請求項23】請求項18または19に記載の方法であって、インフルエン
    ザウイルスに対して薬学的に有効な量の一種以上の成分、好ましくはノイラミニ
    ダーゼ阻害剤、を更に投与することを特徴とする方法。
  24. 【請求項24】請求項1〜12のいずれかに記載の物質を含んでなる、ヒト
    インフルエンザウイルスによる感染によって生じる病態の診断剤またはヒトイン
    フルエンザウイルスの型の同定剤。
  25. 【請求項25】請求項1〜12のいずれかに記載の物質を用いて、サンプル
    中のヒトインフルエンザウイルスの存在を検出するアッセイ法。
  26. 【請求項26】請求項1〜12のいずれかに記載の物質を用いて、ヒトイン
    フルエンザウイルスに対する阻害剤の活性を検出するアッセイ法。
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