JP2003523732A - マルチジンクフィンガー転写因子の核酸との結合 - Google Patents

マルチジンクフィンガー転写因子の核酸との結合

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JP2003523732A JP2001506856A JP2001506856A JP2003523732A JP 2003523732 A JP2003523732 A JP 2003523732A JP 2001506856 A JP2001506856 A JP 2001506856A JP 2001506856 A JP2001506856 A JP 2001506856A JP 2003523732 A JP2003523732 A JP 2003523732A
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cacct
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フェルスヒューレン,クリスティン
レマクル,ジャック
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    • C12Q1/00Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions
    • C12Q1/68Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions involving nucleic acids
    • C12Q1/6897Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions involving nucleic acids involving reporter genes operably linked to promoters

Abstract

(57)【要約】 本発明は、転写因子を特定する方法であって、潜在的転写因子をコードしているライブラリーをスクリーニングするためのおとりとして、少なくとも配列CACCTを含む核酸配列を細胞に与え、特異性試験を実施して、該因子を単離することを含む方法に関する。好ましくは、該おとりは、CACCTを2回含み、より詳しくは、該おとりは、配列CACCT−N−CACCT、CACCT−N−AGGTG、AGGTG−N−CACCTまたはAGGTG−N−AGGTG(Nはスペーサー配列である)のうち一つを含む。本発明による方法を用いて特定される転写因子は、たとえば両手を有するジンクフィンガー転写因子のような、ジンクフィンガーの隔てられたクラスターを含む。本発明は、さらに、少なくとも一つのそのような、SIP1と称されるジンクフィンガー転写因子が、E−カドヘリンの発現の下向調節によって腫瘍の転移を誘導することを開示する。そのため、SIP1活性に干渉する化合物は、腫瘍の浸潤および転移を予防するのに用いることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (発明の分野) 本発明は、転写因子を特定する方法であって、潜在的転写因子をコードしてい
るライブラリーをスクリーニングするためのおとりとして、少なくとも配列CA
CCTを含む核酸配列を細胞に与え、特異性試験を実施して、該因子を単離する
ことを含む方法に関する。好ましくは、該おとりは、CACCTを2回含み、よ
り詳しくは、該おとりは、配列CACCT−N−CACCT、CACCT−N−
AGGTG、AGGTG−N−CACCTまたはAGGTG−N−AGGTG(
Nはスペーサー配列である)のうち一つを含む。
【0002】 本発明による方法を用いて特定される転写因子は、たとえば両手を有するジン
クフィンガー転写因子のような、ジンクフィンガーの分離したクラスターを含む
。本発明は、さらに、少なくとも一つのそのような、SIP1と称されるジンク
フィンガー転写因子が、E−カドヘリンの発現の下向調節によって腫瘍の転移を
誘導することを開示する。そのため、SIP1の活性に干渉する化合物は、腫瘍
の浸潤および転移を予防するのに用いることができる。
【0003】 (発明の背景) ジンクフィンガーは、真核生物に見出される最も一般的なDNA結合モチーフ
の一つである。酵母ゲノムがコードしている500のジンクフィンガータンパク
質が存在し、すべての哺乳動物遺伝子のおそらく1%は、タンパク質を含むジン
クフィンガーをコードしていると推計される。これらは、亜鉛の配位に利用でき
るシステインおよびヒスチジン残基の数と位置とに従って分類される。ツメガエ
ル属の転写因子IIIAに代表される〔19〕、CCHHクラスが最大である。これ
らのタンパク質は、縦列反復中に二つまたはそれ以上のフィンガーを有する。対
照的に、ステロイド受容体は、システイン残基のみを有するにすぎず、それらが
、4(C4)〜5(C5)個のシステインによる2種類の亜鉛配位構造を形成して
いる〔28〕。ジンクフィンガーの第三のクラスは、CCHCフィンガーを有す
る。ショウジョウバエ属、および哺乳動物やレトロウイルスタンパク質に見出さ
れるCCHCフィンガーは、共通配列C−X2−C−X4−H−X4−Cを示す〔
7、21、24〕。最近、C−X5−C−X12−H−X4−C型の、CCHCフィ
ンガーの新規な立体配置が、神経ジンクフィンガー因子/ミエリン転写因子ファ
ミリーに見出された〔11、12、36〕。最後に、GAL4やCHA4のよう
な、いくつかの酵母転写因子は、2個の亜鉛イオンを配位する、非典型的なC6
ジンクフィンガー構造を有する。
【0004】 ジンクフィンガーは、通常、1タンパク質あたり複数のコピー(37以下)と
して見出される。これらのコピーは、縦列アレーに組織化されることができて、
単一クラスターまたは複数クラスターを形成するか、またはタンパク質全体に分
散されることができる。いくつかのファミリーの転写因子は、大幅に分離した2
個(または3個)のクラスターをそのタンパク質配列中に有する、同じ全体的構
造を共有する。第一のもの、すなわちMBP/PRDII−BF1転写因子ファミ
リーは、Drosophila、SchnurriおよびSpalt遺伝子を包含する〔1、3、6、1
4、33〕。MBP−1(PRDII−BF1としても知られる)とMBP−2と
は、ともに、二つのCCHHジンクフィンガーの大幅に分離した2個のクラスタ
ーを有する。MBP−1とMBP−2との間の全体的類似性は、51%であるが
、N末端およびC末端双方のジンクフィンガークラスターについては、保存はは
るかに高い(90%以上)〔33〕。このことは、これらのタンパク質の機能に
おける両クラスターの重要な役割を示している。加えて、MBP−1のN末端お
よびC末端ジンクフィンガークラスターは、互いに非常に相同性に富む〔3〕。
神経特異的なジンクフィンガー因子1および因子3(NZF−1およびNZF−
3)はもとより、ミエリン転写因子1(MyT1、NZF−2としても知られる
)も、CCHCジンクフィンガーの大幅に分離した二つのクラスターを有するタ
ンパク質のもう一つのファミリーに属する〔11、12、36〕。MBPタンパ
ク質と同様に、異なるNZF因子が、高度の配列同一性(80%以上)をそれぞ
れのジンクフィンガークラスター間に示すのに対し、ジンクフィンガークラスタ
ー領域外の配列は、非常に多様である〔36〕。加えて、これらのクラスターは
、それぞれ、独立にDNAに結合することができ、類似する中核的共通配列を認
識する〔11〕。NZF−3は、この共通配列のただ一つのコピーを有するDN
A要素に結合するが、この配列の2コピーを有する二***した要素との相対的親
和性の顕著な増加を示すことが示された〔36〕。このことは、NZF因子は、
反復される配列にも結合し得ることを示唆する。しかし、この二裂要素とのNZ
F−3の協同的結合の裏にある機序は、今のところ不明である。ショウジョウバ
エ属のZfh−1、および脊椎動物のδEF1タンパク質(ZEBまたはARE
B6としても知られる)は、転写因子の第三のファミリーに属する。このファミ
リーは、CCHHジンクフィンガーの分離した2クラスター、およびホメオドメ
イン様構造の存在を特徴とする(図1Aを参照されたい)〔4、5、35〕。δ
EF1では、N末端およびC末端クラスターも、非常に相同性に富み、非常に類
似する中核共通配列に独立に結合することが示された〔10〕。最近、N末端ま
たはC末端のいずれかを欠く、δEF1の突然変異型は、そのDNA結合能を失
っていることが示されたが、これは、両クラスターとも、DNAとのδEF1の
結合に必要とされることを示している〔31〕。Evi−1転写因子は、10個
のCCHHジンクフィンガーを有することが示されたが;7ジンクフィンガーは
、N末端領域に存在し、3ジンクフィンガーは、C末端にある〔22〕。この因
子では、上記の転写因子とは状況が異なるが、それは、この二つのクラスターが
、完全長Evi−1によって同時に結合される、異なる二つの標的配列に結合す
るからである〔20〕。完全長Evi−1の結合は、主として、二つの標的配列
が一定の相対的配向に位置するときに観察されるが、これら二つの標的配列間に
、最適な間隔のための厳格な必要条件が存在するわけではない。
【0005】 細胞−細胞接着は、細胞分化、組織発生、および組織のホメオスタシスの際の
支配的な必要性である。崩壊した細胞−細胞接着の効果は、多くの癌で示されて
いて、転移、および劣悪な予後が、細胞−細胞接着の喪失と相関している。E−
カドヘリン、ホモフィリックなCa2+依存性貫膜接着分子、および付随するカテ
ニンは、上皮の細胞結合系の主要な構成要素のいくつかである。E−カドヘリン
は、腫瘍細胞系統で〔46、47〕、またin vivoでの腫瘍モデル系で〔48〕
浸潤抑制の強力な役割を果たす。腫瘍の進行の際のE−カドヘリン発現の喪失は
、15を越える異なる種類の癌腫について記載されている〔49〕。大規模な分
析により、E−カドヘリン対立遺伝子の双方の体細胞不活化突然変異の結果とし
ての、異常なE−カドヘリン発現は、まれであり、これまでは、ほぼびまん性胃
癌および浸潤性小葉性乳癌に限定されていることが明らかにされた〔50、51
〕。ノーザンブロット分析およびin situハイブリダイゼーション研究により、
ヒトの癌腫におけるE−カドヘリン免疫反応性の低下は、mRNAレベルの低下
と相関することが解明された〔52〜54〕。マウスおよびヒトのE−カドヘリ
ンプロモーター配列の解析により、CCAATボックスおよびGCボックスを包
含する正の調節要素とともに、強力なリプレッサーの役割を有する二つのEボッ
クス(CANNTG)を有する、保存されたモジュラー構造が解明された〔55
、56〕。E−カドヘリンプロモーターの二つのEボックスの突然変異分析は、
E−カドヘリンの上皮特異的な発現の調節における決定的な役割を立証した。こ
れら二つのEボックス要素の突然変異は、脱分化した癌細胞におけるE−カドヘ
リンプロモーターの上向調節を生じるが、野生型プロモーターは、低い活性を示
す〔55、56〕。
【0006】 (発明の要約) DNA結合の機序は、上記の錯体因子のほとんどについて、僅かに理解されて
いるにすぎないままである。δEF1およびSIP1のような、両手を有するジ
ンクフィンガー転写因子の新生ファミリーに属する脊椎動物転写因子のDNA結
合特性を特徴付けることが、本発明である。SIP1は、この転写因子ファミリ
ーの一員であって、最近単離され、Smad相互作用性タンパク質として特徴付
けられた〔34〕。骨格の発生、および筋細胞分化に関与する転写因子である、
該SIP1およびδEF1は、同じファミリーの転写因子に属する。これらは、
CCHCジンクフィンガーの、高い配列同一性(>90%)を共有する、分離し
た2クラスターを有する。これらの転写因子のDNA結合特性を調べた。SIP
1のN末端およびC末端クラスターは、高い配列相同性を示すばかりでなく、本
発明によれば、それぞれ、5′−CACCTという配列に結合する。さらに、Br
achyury、α4−インテグリンおよびE−カドヘリンのような標的遺伝子候補の
プロモーター領域内の完全長SIP1およびδEF1に対する高親和性結合部位
は、一つのCACCT配列と一つのCACCTG配列とで構成される、二裂要素
である。両配列の相対的配向のためには、厳格な必要条件は全く観察されず、そ
れら(Nとも称される)の間隔は、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、
10.....ないし少なくとも44bpまで変動し得る。これらの二裂要素に結
合するには、両SIP1ジンクフィンガークラスターの完全性が必要であり、そ
れらが、ともに、DNAとの結合に関与することを示している。さらに、SIP
1は、一方のジンクフィンガークラスターをCACCTに接触させ、他方のジン
クフィンガークラスターをCACCTG配列に結合させることによって、単量体
としてCACCT−XN−CACCTG部位に結合する。結合のこの新規な様式
は、ジンクフィンガーの分離したクラスターを有するその他の転写因子に一般化
できる可能性があり、その他のSmad結合タンパク質に適用され得る。その上
、Smad相互作用性タンパク質であるSIP1は、E−カドヘリン陰性のヒト
癌腫細胞系で高率の発現を示して、E−カドヘリン転写の下向調節を招く。E−
カドヘリン陽性のMDCK細胞におけるSIP1の条件的発現も、E−カドヘリ
ンを介しての細胞間接着、および同時に誘導される浸潤を廃棄する。そのため、
SIP1は、たとえば抗SIP1抗体、SIPに特異的に結合する小分子、アン
チセンス核酸、およびリボザイムのような、SIP1産生に干渉するか、または
その活性が腫瘍の浸潤および転移を阻害できる、強力な浸潤促進分子および化合
物であると考えられる。
【0007】 したがって、本発明は、アクチベーターおよび/またはリプレッサーのような
転写因子を特定する方法であって、潜在的転写因子をコードしているライブラリ
ーをスクリーニングするためのおとりとして、少なくとも配列CACCT、好ま
しくはCACCT配列を2回含む核酸配列を細胞に与え、特異性試験を実施して
、該因子を単離することを含む方法に関する。もう一つの実施態様では、おとり
は、配列CACCT−N−CACCT、CACCT−N−AGGTG、AGGT
G−N−CACCTまたはAGGTG−N−AGGTG(Nは、スペーサー配列
である)のうち一つを含む。後者のスペーサー配列は、長さが変動することがで
き、N=0bpないしN=44bp以上までのいかなる数の塩基対(bp)を有するこ
ともできる。したがって、たとえば、Nは、長さが0、1、2、3、4、5、6
、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、60
、70、80、90、100、200、300または400bpであることができ
る。
【0008】 本発明による方法を用いて特定される転写因子は、たとえば両手を有するジン
クフィンガー転写因子のような、ジンクフィンガーの分離したクラスターを含む
【0009】 上に列挙された配列は、いかなるプロモーター領域を起源としてもよいが、好
ましくは、Brachyury、α4−インテグリン、フォリスタチンまたはE−カドヘ
リンから選ばれる群(標的遺伝子とも称される。以下を参照されたい)を起源と
する。
【0010】 上に参照した方法によって得られる転写因子も、やはり本発明の一部である。
【0011】 もう一つの実施態様では、本発明は、上記のとおりに得られる転写因子に対し
て干渉能を有する化合物を特定する方法であって、
【0012】 (a)特定しようとする潜在的化合物を含むサンプルを、(i)おとりとしての
、配列CACCT−N−CACCT、CACCT−N−AGGTG、AGGTG
−N−CACCTまたはAGGTG−N−AGGTG(Nは、スペーサー配列で
ある)のうち一つを含むヌクレオチド配列、および(ii)該ヌクレオチド配列と
結合できるタンパク質を含む試験系に加え、
【0013】 (b)該サンプルを該系内で、該化合物またはその誘導体もしくはその相対物と
該タンパク質との相互作用を許すのに充分な期間温置し、そして
【0014】 (c)該ヌクレオチド配列に結合したタンパク質の量および/または活性を該添
加の前後で比較する ことを含む方法に関する。
【0015】 ヌクレオチド配列に結合したタンパク質の量を、試験サンプルの添加の前後で
比較することは、たとえば、ゲルバンドシフトアッセイまたはフィルター結合ア
ッセイを用いて達成することができる。次の工程としては、こうして特定された
化合物を、当業者に公知の方法に従って、単離し、場合により精製し、さらに分
析することができる。工程(a)(ii)のタンパク質は、該ヌクレオチド配列に
結合できるいかなるタンパク質であることもできるが、好ましくは、SIP1の
ようなSmad相互作用性タンパク質である。
【0016】 後者の方法によって特定された化合物も、本発明の一部である。用語「転写因
子に対する干渉能を有する化合物」によって、転写因子の生物活性を調整する(
すなわち阻害、弱化、強化する)ことができる化合物を意味する。より具体的に
は、後者の化合物は、SIP1の産生および/もしくは生物活性を完全にか、ま
たは部分的に阻害することができる。そのような化合物の例は、SIP1タンパ
ク質に特異的に結合する小分子もしくは抗SIP1抗体、またはそれから誘導さ
れる機能的フラグメント、あるいはSIP1、またはSIP1が結合するプロモ
ーター領域と結合する小分子をコードしている、mRNAに結合するアンチセン
ス核酸もしくはリボザイムである。ちなみに、本発明は、SIP1によるE−カ
ドヘリン発現の調節を調整する化合物に関する。
【0017】 より具体的には、本発明は、SIP1の産生および/または活性の阻害を通じ
て、標的遺伝子E−カドヘリンの発現の下向調節を阻害する化合物に関する。換
言すれば、本発明は、SIP1によるE−カドヘリン発現の下向調節に起因する
、腫瘍の浸潤および/もしくは転移を予防または治療するための医薬として用い
ることができる化合物に関する。後者の化合物を生成かつ使用する方法は、以下
に例示する。
【0018】 本発明の対象範囲には、該方法を実施するための試験キットであって、少なく
とも(i)配列CACCT−N−CACCT、CACCT−N−AGGTG、A
GGTG−N−CACCTまたはAGGTG−N−AGGTG(Nは、スペーサ
ー配列である)のうち一つを含むヌクレオチド配列、および(ii)該ヌクレオチ
ド配列と結合できるタンパク質を含む試験キットも属する。
【0019】 もう一つの実施態様では、本発明は、当技術に開示されたような、いわゆるツ
ーハイブリッドスクリーニングアッセイに対する代替策に関する。いくつかの手
段および方法が、タンパク質の結合パターンを特定するために開発されている。
その結果、数多くの個々の結合タンパク質の特定が行われた。これらのタンパク
質の多くは、いわゆるツーハイブリッド系を用いて見出されている。ツーハイブ
リッドクローニング系は、いくつかの研究室で開発された〔Chien et al., 1991
;Durfee et al., 1993;Gyuris et al., 1993〕。すべてが、三つの基本的な構
成要素;すなわち、DNA結合ドメインに融合した既知タンパク質の発現のため
の酵母ベクター、転写活性化ドメインに融合した、cDNAにコードされたタン
パク質の発現を指図する酵母ベクター、およびDNA結合ドメインのための結合
部位を有する酵母リポーター遺伝子を有する。これらの構成要素は、詳細が系ご
とに異なる。すべての系は、Gal4またはLexAのいずれかからのDNA結
合ドメインを利用する。Gal4ドメインは、リポーター遺伝子の上流に置くこ
とができる充分に定義された結合部位に高い親和性でそれが結合する、酵母の核
に効率的に局在する〔Silver et al., 1986〕。LexAは、核局在シグナルを
保有しないが、酵母核に進入し、充分なレベルで発現されるとき、リポーター遺
伝子の上流に置かれたLexA結合部位(オペレーター)を効率的に占拠する〔
Brent et al., 1985〕。固有の酵母タンパク質は、LexAオペレーターには全
く結合しない。
【0020】 異なる系は、異なるリポーターも利用する。ほとんどの系は、GAL1遺伝子
またはCYC1遺伝子のいずれかからの、lacZに融合した酵母プロモーター
を用いる〔Yocum et al., 1984〕。これらのlacZ融合は、多コピーの酵母プ
ラスミドに駐在するか、または酵母染色体に組み込まれている。lacZ融合を
適切なリポーターにするには、GAL1またはCYC1転写調節領域を除去し、
用いようとするDNA結合ドメインによって認識される結合部位と置き換えてい
る。lacZリポーターの活性化のためのスクリーンは、X−Galを含む指標
プレート(5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトシド)
に、酵母を播種することによって実施し;この培地で、リポーターが転写される
酵母が、β−ガラクトシドを産生し、青色に変色する。いくつかの系は、第二の
リポーター遺伝子、および特定の培地で成長するのにこのリポーターの発現を必
要とする酵母菌株を用いる。これらの「選別できるマーカー」遺伝子は、通常、
アミノ酸の生合成に必要とされる酵素をコードしている。そのようなリポーター
は、青い酵母に対する視覚的なスクリーンではなく、相互作用性タンパク質をコ
ードするcDNAについての選別を与えるという顕著な利点を有する。マーカー
遺伝子から適切なリポーターを作るには、それらの上流の転写調節要素を、DN
A結合ドメインに対する結合部位と置き換えている。HIS3およびLEU2遺
伝子は、ともに、それぞれヒスチジンまたはロイシンのいずれかを欠く培地で成
長するのにその発現を必要とする、適切な酵母菌株と結び付いたリポーターとし
て用いられている。最後に、異なる系は、活性化に関連付けられたcDNAタン
パク質を発現するための異なる手段を用いる。現在のすべての図式で、cDNA
にコードされたタンパク質は、アミノ末端の活性化ドメインによって発現される
。用いられる活性化ドメインは、Gal4からの非常に強い活性化ドメイン、ヘ
ルペス・シンプレックスウイルスタンパク質VP16からの非常に強い活性化ド
メイン、またはB42と呼ばれる細菌に由来する、比較的弱い活性化ドメインを
包含する。活性化に関連付けられた、cDNAにコードされたタンパク質は、構
成的プロモーター、またはGAL1遺伝子のそれのような条件的プロモーターの
いずれかから発現される。条件的プロモーターを用いることは、リポーター遺伝
子の活性化が、活性化に関連付けられたcDNAタンパク質の発現に依存するこ
とを迅速に証明するのを可能にする。
【0021】 上記の考察から、結合タンパク質を発見するためのツーハイブリッド系が過去
に用いられたことは明らかである。しかし、慣用のツーハイブリッド系は、他の
タンパク質に結合できるタンパク質性分子を発見する際の貴重な手段であると証
明されてはいるが、(非常に)人工的な系である。いかなるツーハイブリッド系
の特徴も、融合タンパク質を、その結合相手が探索される部分と、結合の検出を
可能にするリポーター部分とで構成することである。妥当な結合相手を見出すに
は、いくつかの基準が満たされなければならず、その一つは、当然、該タンパク
質中の、他のタンパク質との結合が生じる領域を正しく選ぶことである。前もっ
て正確に予測するための、不可能ではないにしても、はるかに困難であるもう一
つの基準は、該領域の正しい折り畳み(すなわち、天然タンパク質中の該領域の
折り畳みに充分に類似する、該領域の折り畳み)を達成することである。正しい
折り畳みは、まずもって、該融合タンパク質を生成するために選ばれる実際のア
ミノ酸配列に依存する。妥当な結合相手の特定を決定するもう一つの要因は、結
合が検出できる感度である。
【0022】 上記の慣用のツーハイブリッド系に対する代替策も、本発明で提供される。し
たがって、本発明のこれに代わる目的は、転写アクチベーターの活性の再構成を
用いて、タンパク質間の相互作用、およびその限りでの相互作用に対する、他の
化合物の影響を検出するためのin vivoでの方法およびキットを提供することで
ある。この再構成は、二つの、いわゆるハイブリッドのキメラまたは融合タンパ
ク質を利用する。これら二つの融合タンパク質は、それぞれ、互いに独立に、配
列CACCT−N−CACCT、CACCT−N−AGGTG、AGGTG−N
−CACCTまたはAGGTG−N−AGGTG(Nは、スペーサー配列である
)のうち一つを含む核酸配列に対して弱い親和性を示す。しかし、いずれの融合
タンパク質も、独立に、該配列に結合させようとし、その結果、二つの融合タン
パク質のそれぞれにそれぞれ有効な試験タンパク質が、密接に接近したとき、配
列CACCT−N−CACCT、CACCT−N−AGGTG、AGGTG−N
−CACCTまたはAGGTG−N−AGGTG(Nは、スペーサー配列である
)のうち一つを含む該核酸配列に対する結合親和性は、はるかに強くなる。二つ
の試験タンパク質が、実際に作用し合えるならば、その結果として、それらは、
転写アクチベーターの2ドメインを密接に接近させる。この接近は、転写を生じ
るのに充分であって、配列CACCT−N−CACCT、CACCT−N−AG
GTG、AGGTG−N−CACCTまたはAGGTG−N−AGGTG(Nは
、スペーサー配列である)のうち一つを含む核酸配列に隣接して位置するマーカ
ー遺伝子の活性によって、検出することができる。これによれば、第一の相互作
用性タンパク質と第二の相互作用性タンパク質との相互作用を検出する方法であ
って、
【0023】 (a)適する宿主細胞に、配列CACCT−N−CACCT、CACCT−N−
AGGTG、AGGTG−N−CACCTまたはAGGTG−N−AGGTG(
Nは、スペーサー配列である)のうち一つを含む核酸配列と結合できるDNA結
合ドメインに融合した、第一の相互作用性タンパク質を含む第一の融合タンパク
質を与え、
【0024】 (b)該適する宿主細胞に、配列CACCT−N−CACCT、CACCT−N
−AGGTG、AGGTG−N−CACCTまたはAGGTG−N−AGGTG
(Nは、スペーサー配列である)のうち一つを含む核酸配列と結合できるDNA
結合ドメインに融合した、第二の相互作用性タンパク質を含む第二の融合タンパ
ク質を与え、
【0025】 (c)該宿主細胞を、第一の相互作用性タンパク質と第二の相互作用性タンパク
質とを密接に接近させる条件に付し、そして
【0026】 (d)該宿主細胞内に存在し、該核酸配列に隣接して位置する検出可能な遺伝子
が、第一および第二の相互作用性タンパク質間の相互作用の不在下で発現された
場合より大きい程度に発現されたか否かを決定することを含む方法が提供される
【0027】 一例として、特定のタンパク質(おとり)に対する結合相手(獲物)が特定さ
れている場合、おとりを含む第一融合タンパク質は、たとえば、配列CACCT
−N−AGGTGの配列CACCT(またはAGGTG)に結合し、獲物を含む
第二融合タンパク質は、(それぞれ)配列CACCT−N−AGGTGの配列A
GGTG(またはCACCT)に結合するため、マーカー遺伝子の転写が生じる
ことは、明らかであると思われる。
【0028】 本発明は、最後に、新たな配列CACCT−N−CACCT、CACCT−N
−AGGTG、AGGTG−N−CACCTまたはAGGTG−N−AGGTG
(Nは、上記に定義されたとおりのスペーサー配列である)に、かつ少なくとも
配列CACCTを含むその他いかなる配列にも加えて、該配列の、既に記載され
た標的配列Brachyury、α4−インテグリン、フォリスタチンまたはE−カドヘ
リンとは異なる新規標的遺伝子を、当業者に公知のいかなる方法にもよって特定
するために用いる用途に関する。
【0029】 下記の定義は、本明細書で本発明を記載するのに用いられる様々な用語の意味
および対象範囲を例示かつ定義するために説明され、それらの意味は、以下、明
快さを旨としてさらに詳述される。
【0030】 「核酸」または「核酸配列」は、ゲノムDNA、cDNA、二本鎖もしくは一
本鎖DNA、メッセンジャーRNA、または当業者に公知のいかなる形態の核酸
配列も意味する。
【0031】 本願に用いられる用語「タンパク質」および「ポリペプチド」は、互換性を有
する。「ポリペプチド」は、アミノ酸の重合体(アミノ酸配列)を意味し、特定
の長さの分子を意味しない。したがって、ペプチドおよびオリゴペプチドは、ポ
リペプチドの定義内に包含される。この用語は、ポリペプチドの転写後修飾、た
とえばグリコシル化、アセチル化、リン酸化などを意味するか、または包含する
。この定義に包含されるのは、たとえば、アミノ酸(たとえば非天然アミノ酸等
々)の一つまたはそれ以上の類似体を含むポリペプチド、置換された結合を有す
るポリペプチド、ならびに天然に産するもの、および天然に産しないもの双方の
、当技術に公知のその他の修飾である。上記のタンパク質およびポリペプチドは
、指定された核酸配列から必ずしも翻訳されず;ポリペプチドは、たとえば化学
的合成、または組換え発現系の発現、または適切なウイルス系からの単離を包含
する、いかなる方式で生成されてもよい。アミノ酸の1種類もしくはそれ以上の
類似体、リン酸化されたアミノ酸、または非天然アミノ酸を含んでもよい。アミ
ノ酸の類似体を配列に挿入する方法は、当技術に公知である。ポリペプチドは、
当業者に公知である、一つまたはそれ以上の標識を含んでもよい。これに関連し
て、タンパク質は、当技術に公知の慣用の方法によってさらに修飾されてよいこ
とも理解される。タンパク質を与えることによって、生物学的活性を保持するフ
ラグメント、すなわち成熟した、加工された形態を決定することも可能である。
このことは、成熟タンパク質から誘導された、その結合活性に死活的に重要なア
ミノ酸配列を含む、キメラのタンパク質およびペプチドの構成を可能にする。そ
の他の機能性アミノ酸配列は、たとえば化学的手段によって、タンパク質に物理
的に結合されるか、または当技術に公知の組換えDNA手法によって融合されて
もよい。
【0032】 用語「誘導体」、「配列の機能性フラグメント」または「配列の機能性部分」
は、参照された本来の配列の断端配列を意味する。断端配列(核酸またはタンパ
ク質配列)は、長さに大きな変動幅があることができ;最小の大きさは、参照さ
れた本来の配列の少なくとも同等の機能および/または活性を配列に与えるのに
充分な大きさの配列であるのに対し、最大の大きさは、非常に重要ということは
ない。いくつかの用途では、最大の大きさは、通常、本来の配列の望みの活性お
よび/または機能を与えるのに必要とされるより実質的に大きくはない。代表的
には、断端アミノ酸配列は、長さが約5〜約60アミノ酸にわたることになる。
しかし、より代表的には、配列は、長さが約50アミノ酸の最大値、好ましくは
約30アミノ酸の最大値であると思われる。約10、12または15アミノ酸以
上で、約20〜25アミノ酸の最大値以下の配列を選ぶのが、通常望ましい。
【0033】 用語「遺伝子」、「ポリヌクレオチド」、「核酸配列」、「ヌクレオチド配列
」、「DNA配列」または「核酸分子」は、本明細書に用いられる限りで、いか
なる長さのヌクレオチド、すなわちリボヌクレオチドまたはデオキシリボヌクレ
オチドのいずれかの重合体形態を意味する。この用語は、分子の一次構造のみを
意味するにすぎない。したがって、この用語は、二本鎖および一本鎖DNAとR
NAとを包含する。また、天然に産するヌクレオチドの一つまたはそれ以上の、
公知の形式の修飾、たとえばメチル化、すなわち類似体との「キャップ」置換も
包含する。
【0034】 「コーディング配列」は、適切な調節配列の制御下に置かれたとき、mRNA
に転写され、かつ/またはポリペプチドに翻訳されるヌクレオチド配列である。
コーディング配列の境界は、5′末端の翻訳開始コドン、および3′末端の翻訳
終止コドンによって決定される。コーディング配列は、mRNA、cDNA、組
換えヌクレオチド配列またはゲノムDNAを包含するが、これらに限定されない
ことができるが、イントロンは、一定の状況下に存在してもよい。
【0035】 「転写因子」により、プロモーター、または付近のDNA配列に結合して、転
写開始を促進するか、または阻害する一群のタンパク質を意味する。
【0036】 「プロモーター」により、RNAポリメラーゼのホロ酵素によって認識されて
、転写を開始する、配向されたDNA配列をが意味する。「RNAポリメラーゼ
」により、DNAテンプレートに相補的なRNAを合成する、多サブユニットの
酵素を意味する。「ホロ酵素」により、多サブユニットよりなる酵素の活性形態
を意味する。
【0037】 単数形または複数形の用語「抗体」は、SIP−1のような転写因子に対して
特異的に誘導されたとして特徴付けられる抗体、またはそのいかなる機能性誘導
体にも関し、該抗体は、好ましくは、F(ab′)2、F(ab)もしくは一本
鎖FV型のモノクローナル抗体;またはその抗原結合フラグメント、あるいはそ
れから誘導されるいかなる種類の組換え抗体でもある。本発明のモノクローナル
抗体は、たとえば、SIP1もしくはそのいかなる機能性誘導体に対しても免疫
感作された動物、特にマウスまたはラットの脾臓細胞と、骨髄腫細胞系の細胞と
から、古典的方法に従って形成され、それが該動物の免疫感作に初めに用いられ
たSIP1もしくはそのいかなる機能性誘導体も認識するモノクローナル抗体を
産生できる能力によって選別されるのが当然である、いかなるハイブリドーマに
よって産生することもできる。本発明のこの実施態様によるモノクローナル抗体
は、HおよびL鎖をコードしているマウスおよび/もしくはヒトゲノムDNA配
列、またはHおよびL鎖をコードしているcDNAクローンから出発して、組換
えDNA技術を用いて製造された、マウスモノクローナル抗体のヒト向けにした
ものであってもよい。これに代えて、該モノクローナル抗体は、ヒトモノクロー
ナル抗体であってもよい。そのようなヒトモノクローナル抗体は、たとえば、P
CT/ヨーロッパ特許第99/03605号公報に記載されたとおり、重症の併発性免疫
不全(SCID)のマウスのヒト末梢血リンパ球(PBL)再集団形成によって
か、または米国特許第5,545,808号明細書に記載されたとおり、ヒト抗体を産生
できるトランスジェニックな非ヒト動物を用いることによって製造される。これ
らのモノクローナル抗体から誘導された、Fab、F(ab)′2およびssF
v(「一本鎖可変フラグメント」)のようなフラグメントも、本来の結合特性を
保持しているならば、本発明の一部を形成する。そのようなフラグメントは、た
とえば、パパイン、ペプシンその他のプロテアーゼによる抗体の酵素消化によっ
て、一般的に生成される。モノクローナル抗体またはそのフラグメントが様々な
用途に向けて修飾できることは、当業者には周知である。該抗体は、酵素、蛍光
または放射能の形式の適切な標識によって標識化することもできる。
【0038】 用語「小分子」は、たとえば、組合せおよび天然の生成物ライブラリーから、
当技術に周知の方法によって得ることができる、小さい有機分子その他の薬物候
補に関する。固相の支持体に付着させたアミノ酸の可能なすべての組合せよりな
るランダムペプチドライブラリーを用いて、SIP1にか、またはSIP1が結
合させたプロモーター領域に結合できるペプチドを特定してよい。ペプチドライ
ブラリーのスクリーニングは、SIP1の生物学的活性を阻害するよう作用する
、製剤用薬剤の発見に治療上の価値を有する可能性がある。
【0039】 用語「アンチセンス核酸」および「リボザイム」は、SIP1mRNAの翻訳
を阻害するよう機能する分子を意味する。アンチセンス核酸またはアンチセンス
RNAおよびDNA分子は、標的mRNAに結合し、タンパク質の翻訳を阻害す
ることによって、mRNAの翻訳を直接遮断するよう作用する。リボザイムは、
RNAの特異的切断を触媒できる酵素性RNA分子である。リボザイムの作用機
序は、相補的標的RNAとのリボザイム分子の配列特異的ハイブリダイゼーショ
ンと、その後のエンドヌクレアーゼによる切断とを伴う。本発明の範囲内には、
SIP1RNA配列のエンドヌクレアーゼ的切断を特異的かつ効率的に触媒する
、加工されたハンマーヘッドモチーフのリボザイム分子がある。可能ないかなる
RNA標的の特異的リボザイム切断部位も、初めは、下記の配列、すなわちGU
A、GUUおよびGUCを含むリボザイム切断部位について、標的分子を走査す
ることによって特定される。特定されたならば、標的遺伝子の切断部位を有する
領域に相当する、15〜20リボヌクレオチドの短いRNA配列は、オリゴヌク
レオチド配列を不適切にし得る、二次構造のような予測された構造的特徴につい
て評価することができる。標的候補の適切性は、リボヌクレアーゼ保護アッセイ
を用いて、相補的オリゴヌクレオチドとのハイブリダイゼーションに対するそれ
らの利用可能性を試験することによっても評価し得る。本発明のアンチセンスR
NAおよびDNA分子の双方ならびにリボザイムは、RNA分子の合成のための
当技術に公知のいかなる方法によっても調製し得る。これらは、オリゴデオキシ
リボヌクレオチドを化学的に合成するための、たとえば固相ホスホロアミダイト
化学合成のような、当技術に周知の手法を包含する。これに代えて、RNA分子
は、アンチセンスRNA分子をコードしているDNA配列の、in vitroおよびin
vivo転写によって生成してもよい。そのようなDNA配列は、T7またはSP
6ポリメラーゼプロモーターのような適切なRNAポリメラーゼプロモーターを
包括する、非常に多様なベクターに組み込んでよい。これに代えて、用いるプロ
モーターに応じて、アンチセンスRNAを構成的にか、または誘導的に合成する
アンチセンスcDNAを、細胞系に安定的に導入することもできる。
【0040】 上記の抗体、小分子、アンチセンス核酸およびリボザイムは、SIP1による
E−カドヘリン発現の下向調節を阻害することによって、腫瘍の浸潤および/ま
たは転移を防止かつ/もしくは治療するための「医薬」として用いることができ
る。腫瘍が悪性であることは、腫瘍細胞が転移し(身体に広範囲に侵入し、陰険
な手段によって広まり)、結果的に、すべての悪性細胞を根絶できない限りは患
者を死亡させる、固有の性癖を意味する。したがって、転移は、悪性であること
の傑出した特徴性である。転移は、腫瘍細胞の、発祥の部位から、循環系その他
の経路によって運ばれる性癖であって、結果的に、それがこれらの細胞を、身体
のほとんどすべての組織および器官に定着させる。対照的に、良性腫瘍の細胞は
、発祥部位を中心とする一つの固体の塊体に互いに接触して、不変的に留まる。
良性腫瘍細胞は、物理的に連続しているため、位置が適当であれば、外科手術に
よって完全に除去し得る。しかし、悪性細胞−それぞれが個々に、新たな、分離
した部位に新たな細胞の塊体(新たな腫瘍)を(細胞***を通じて)生じ得る能
力を保有する−の散布は、成長の最も初期以外には、すべて、1回の外科手術の
操作による完全な根絶を阻む。本発明の「医薬」が、照射、化学療法または外科
手術のような、当技術に公知のその他いかなる腫瘍治療法とも併用できることは
明らかであると思われる。
【0041】 上記の小分子に関して、用語「医薬」は、上記の小分子と、製薬上許容され得
る担体または賦形剤(両用語は、相互可換的に用いることができる)とを含む、
上記のとおりの疾病を治療するための組成物に関する。当業者に公知の適切な担
体または賦形剤は、生理食塩水、リンゲル液、デキストロース液、ハンク液、固
定油、オレイン酸エチル、生理食塩水中の5%デキストロース、等張性および化
学的安定性を増進する物質、緩衝液および防腐剤である。適するその他の担体は
、タンパク質、多糖類、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、重合体アミノ酸、および
アミノ酸共重合体のような組成物を摂取している個体に有害な抗体の産生をそれ
自体は誘導しない、いかなる担体も包含する。この「医薬」は、当業者の知識内
の適するいかなる方法によって投与してもよい。好適な投与経路は、非経口投与
である。非経口投与の際は、本発明の医薬は、溶液、懸濁液またはエマルション
のような単位投与量注射可能形態として、上記に定義されたとおりの製薬上許容
され得る賦形剤と結合して配合されることになる。しかし、投与量および投与方
式は、個体に依存することになる。一般的には、該医薬は、本発明の分子が、1
μg/kg〜10mg/kg、より好ましくは10μg/kg〜5mg/kg、最も好ましくは0.
1〜2mg/kgの用量で与えられるよう投与する。好ましくは、大型丸剤の用量と
して与える。連続注入も、用いてよく、浸透ミニポンプを通じての連続皮下送達
を包含する。その場合、該医薬は、毎分5〜20μg/kg、より好ましくは毎分7
〜15μg/kgの用量で注入してよい。
【0042】 本発明の抗体、アンチセンス核酸およびリボザイムに関しては、治療のための
「医薬」の好適な投与方式は、上記分子を送達するために遺伝子療法を用いるこ
とである。遺伝子療法は、患者の細胞への治療的核酸の送達による治療を意味す
る。これは、Lever and Goodfellow 1995;Br. Med. Bull., 51, 1-242;Culver
1995;Lwdlwy, F.D., 1995, Hum. Gene Ther., 6, 1129に詳細に総説されてい
る。遺伝子療法を達成するには、患者の細胞に遺伝子を送達する方法と、いかな
る治療的遺伝子の効果的な生成も確保する、追加的な方法とが存在しなければな
らない。遺伝子の送達を達成するには、二つの一般的な取組み方があり;それは
、非ウイルス性送達、およびウイルス介在遺伝子療法である。
【0043】 下記の実施例は、本発明の好適な特徴を、より充分に例示するが、決して発明
を限定しようとするものではない。
【0044】 (実施例) −少なくともCACCTの配列を含む核酸配列の特徴付け 序論および要約 −SIP1およびδEF1は、一つのCACCT配列、および一つのCACCT
G配列を含む標的部位に結合する 本発明は、SIP1のDNA結合特性に関する。上記のとおり、最近単離され
たSmad相互作用性タンパク質であるSIP1は、両手を有するジンクフィン
ガー転写因子の新たに独立したファミリーに属する〔34〕。SIP1の構成は
、δEF1、すなわちこのファミリーの原型成員のそれに非常に類似している。
いずれのタンパク質も、DNAとの結合に関与する、ジンクフィンガーの二つの
大幅に分離したクラスターを含む。これら二つのジンクフィンガークラスター内
では、アミノ酸配列相同性は、非常に高い(90%より大)のに対し、他の領域
では、より明白ではない。この知見は、両タンパク質とも、類似のDNA標的に
類似の様式で結合すると思われることを示唆する。実際、SIP1とともにδE
F1も、同等の親和力で、異なる多くの標的部位に結合し、それらは、常に、二
つのCACCT配列を有する。ここで試験されたすべての標的部位について、両
CACCT配列の完全性が、SIP1またはδEF1のいずれの結合にも絶対的
に必要である。
【0045】 SIP1FSは、ツメガエル属の胚で過剰発現されたとき、Xbra2発現を阻
害し〔34〕、SIP1FSは、二つのCACCT配列に接触することによってX
bra2プロモーターに結合する。ツメガエル属のトランスジェニック胚を用い
た最近の研究は、2.1kbのXbra2プロモーター配列が、Xbra2自体と
同じドメイン内のリポータータンパク質を発現するのに充分であることを示して
いる〔17〕。しかし、このプロモーターにおける、下流のCACCT部位(Xb
ra−D)内での(ゲル減速アッセイ(ゲルシフト法)に見られるような)SIP
1の結合を破壊する点突然変異は、重大な効果を有する。マーカータンパク質の
発現は、早期に(すなわち第9期に)始まり、ここで、異所性の部位、たとえば
外胚葉、中胚葉および内胚葉細胞の大部分に見出される〔17〕。このことは、
下流のCACCT部位内に位置するこのヌクレオチドが、Xbra2遺伝子の正
しい空間的かつ時間的発現に必要とされることを示す。加えて、上流のCACC
T配列に突然変異が導入されたときは、Xbra2の、下流のCACCT部位内
の突然変異と同じ、未成熟かつ異所性の発現が観察された。したがって、EMS
AでのSIP1またはδEF1の結合に影響することが知られている、下流また
は上流のいずれかのCACCTでの突然変異は、同じ表現型をin vivoで与えて
、ツメガエル属δEF1様タンパク質が、Xbra2遺伝子の調節に参加するこ
とを示す。加えて、これらのin vivoでのデータは、ここに提示されたin vitro
での結合実験からの結論:すなわち、SIP1/δEF1様転写因子は、Xbr
a2プロモーターの発現を調節するのに、二つのCACCT部位を必要とするこ
とを裏付ける。
【0046】 二つのCACCT配列を含むすべてのプロモーター領域が、SIP1またはδ
EF1結合部位を表すわけではない。特に、Xbra−WT要素中に存在する上
流CACCT配列を含む、Xbra−Fプローブの重複は、SIP1またはδE
F1のいずれの結合にも不応性である。その上、SIP1NZFもSIP1CZFも、
この部位(Xbra−F)に単量体または二量体として効率的に結合することが
できる。そのため、CACCTに加えて他の配列も、高親和性結合部位を生成す
るのに必要とされる可能性がある。CACCTGは、常に、これらのジンクフィ
ンガークラスターの結合のための、より優れた標的部位であると思われる。実際
、高親和性CACCTG部位(Xbra−E)は、SIP1NZFまたはSIP1C ZF クラスターのいずれをも結合することが示された。加えて、CACCTAへの
CACCTG部位の改変は、SIP1FSおよびδEF1のXbraプロモーター
との結合に強い影響を及ぼして、この3′−グアニン残基の重要性を確認する。
すべてのSIP1およびδEF1標的部位の配列を比較することによって、最小
共通配列は、1CACCT配列および1CACCTG配列で構成されることが見
出されて、これら二つの配列がSIP1またはδEF1に対する高親和力結合部
位を形成するのに充分であることを立証した。
【0047】 上流CACCT配列は、SIP1CZFまたはSIP1NZFを結合できないが、こ
の配列は、Xbra−WTプローブという文字列内で、完全長SIP1に接触さ
れる。上流CACCT配列は、Xbra−WTとのSIP1FSの結合には必須条
件である。そのため、上流CACCT配列をもう一つの高親和性CACCTG部
位(Xbra−E)と組み合わせたとき、この低親和性部位(Xbra−F)は
、SIP1FSの結合に付されるようになる。SIP1FSは、そのジンクフィンガ
ークラスターの一つの結合を通じてその標的プロモーターを高親和性CACCT
G部位(たとえばXbra−E)に接触させるモデルが好都合であって、その後
に、低親和性CACCT部位(Xbra−F)の第二のクラスターによる接触が
生じ、この追加の相互作用が、SIP1の結合を強く安定化する。したがって、
CACCT部位は、遺伝子発現の調節に重要な機能をなおも有し得るが、それ自
体でさえ、SIP1NZF、SIP1CZFまたはSIP1FSのいずれをも結合しない
【0048】 δ1−クリスタリンエンハンサーからのDC5プローブは、δEF1を特異的
に結合することが以前示された〔31〕。しかし、このプローブは、CACCT
部位を一つのみ含むにすぎない。そのため、δEF1に対する高親和性結合部位
は、1CACCT配列および1CACCTG配列を含まなければならないことが
ここで立証されたにもかかわらず、特定の場合、たとえばDC5プローブでは、
1CACCT部位が、この種の転写因子の結合に充分であると思われるのを除外
することはできない。
【0049】 −SIP1DNA結合様式 EMSAで独立に試験したとき、C末端とともにN末端のSIP1またはδE
F1のジンクフィンガークラスターが、非常に類似するCACCT含有共通配列
に結合する。SIP1とδEF1との双方について、NZF3およびNZF4は
、それぞれCZF2およびCZF3との大規模なアミノ酸配列相同性を共有する
。この相同性は、これら二つのクラスターが、類似する共通配列に結合できる理
由を説明し得る。加えて、SIP1またはδEF1は、いくつかの潜在的標的部
位に結合するのに二つのCACCT配列を必要とすることが示されている。これ
らに結果に基づき、SIP1およびδEF1は、その標的要素に、一方のジンク
フィンガークラスターはCACCT部位の一つに接触するが、他方のクラスター
は、第二のCACCT部位に接触するというようにして、結合するということが
提唱されている(図2モデル1を参照されたい)。代替的な1モデルは、SIP
1またはδEF1は、単独二量体化してから、これらの標的部位に高い親和性で
結合できるということであると思われる(モデル2)。SIP1NZFのDNA結
合能は、NZF3またはNZF4のいずれかの突然変異によって破壊される。同
様に、CZF2またはCZF3内の突然変異も、SIP1CZFの結合能に影響す
る。これらの突然変異を、完全長SIP1という状況に導入したとき、SIP1 FS の結合は、それ以上観察されない。このことは、二つのジンクフィンガークラ
スターの結合活性は、SIP1FSの、二つ一組のCACCT部位を含むその標的
要素との結合に必要とされることを明白に示している。同様に、δEF1の両ジ
ンクフィンガークラスターの完全性がDNAを結合させるにも必要であることが
、以前に示された〔31〕。これらの所見は、両ジンクフィンガークラスターは
、DNAに直接接触することを示している。したがって、二量体モデル(図2モ
デル2)では、一つのSIP1分子のSIP1NZFは、一方のCACCT配列に
結合し、第二のSIP1分子のSIP1CZFは、他方のCACCT配列に接触す
ることになる。そのような二量体の立体配置が存在するとするならば、それぞれ
、CZFまたはNZF内に異なる突然変異を有する完全長SIP1分子の一定の
組合せは、その標的DNAに結合できる機能性二量体の形成を許すに違いないと
仮定することができる。試験された4種類のSIP1FS突然変異種(NZF3mu
t、NZF4mut、CZF2mutおよびCZF3mut)の可能な組合せのうち、EM
SAにDNA/SIP1複合体を生じさせるものは皆無であった。このことは、
SIP1二量体の存在に対する反論となる。加えて、異なる標識を与えたSIP
FS分子を用いた、EMSA中のSIP1二量体の検出は、可能でもなく、その
二量体複合体を異なる抗体でスーパーシフトすることもできなかった。そのため
、SIP1が、単量体として、一つのCACCT配列と一つのCACCTG配列
を有する標的部位に結合するモデル1に支持が与えられる。
【0050】 本発明では、二つのCACCT配列の相対的配向、またはこれらの配列間の間
隔取りのいずれもが、SIP1FSまたはδEF1の結合に非常に重要ではないこ
とが示された。このことは、これらの転写因子が、これらの異なる標的部位との
結合を適応される、高度に柔軟性に富む二次構造を示すに違いないことを立証す
る。SIP1およびδEF1内の二つのジンクフィンガークラスター間の長いリ
ンカー領域は、これらのタンパク質の二次構造におけるこの柔軟性を許す可能性
がある。これらの転写因子は、少なくとも44bp隔てられたCACCT配列を有
する部位(Ecad−WT)に結合することができて、プロモーター配列の約5
0bpの領域が、網羅され、そのため、SIP1FSまたはδEF1がこのプロモー
ターに結合されたならば、転写アクチベーターに、より接近できなくなる可能性
があることを示唆している。このことは、SIP1またはδEF1は、SIP1
またはδEF1が網羅するこの領域内で結合する、転写アクチベーターと競合す
ることによって、転写リプレッサーとして機能することができることを示す。
【0051】 −その他のファミリーの転写因子は、SIP1に類似する機序でDNAを結合し
得る。 このDNA結合の新たな様式も、SIP1およびδEF1のように、MBP/
PRDII−BF1ファミリーのそれのようなジンクフィンガーの隔離されたクラ
スターを有する、その他の転写因子ファミリーに一般化し得る〔1、3、6、2
9、33〕。SIP1およびδEF1についてと同様に、これらのジンクフィン
ガークラスターの保存は、このファミリーの異なる成員間で非常に強い〔1〕。
加えて、C末端クラスターは、N末端クラスターと高度に相同であり、PRDII
−BF1の場合、これらのクラスターは、独立に試験したとき、同じ配列に結合
する〔3〕。そのため、この種の転写因子は、一方のジンクフィンガークラスタ
ーと一方の配列との、および他方のクラスターと第二の配列との接触によって、
二つの反復される配列に結合し得る。同様に、NZFファミリーの転写因子の異
なる成員も、ジンクフィンガーの大幅に分離した二つのクラスターを有する〔1
1、12、36〕。MyT1、NZF−1およびNZF−3は、すべて、同じ共
通要素のAAAGTTTに結合する。二つのCACCT配列を含む要素との有意
に高い親和性を示す、SIP1およびδEF1についてと同様に、二つのAAA
GTTT配列を含む要素は、NZF−3との顕著に高い親和性を示した〔36〕
。このことは、これらの転写因子に対する高親和性結合部位を生成するためにも
、二つのAAAGTTT配列が必要であり、それらは、SIP1およびδEF1
と類似の機序で、DNAを結合する可能性があることを示唆する。最後に、N末
端に7ジンクフィンガー、およびC末端に3ジンクフィンガーを有する、Evi
−1タンパク質は、二つの共通配列に結合する。それは、第一部分とのN末端ジ
ンクフィンガークラスターの結合と、第二部分とのC末端クラスターの結合とを
伴い得る機序によって、複合共通配列(GACAAGATAAGATAA-N1-28-CTCATCTTC)に
結合する〔20〕。結論として、ここで記載されたDNA結合の様式は、SIP
1/δEF1ファミリーの転写因子に適用可能であるばかりでなく、より普遍的
でもある。
【0052】 SIP1は、Smad1相互作用性タンパク質としてクローニングしたが、S
mad2、3および5とも作用し合うことが示された〔34〕。Smadタンパ
ク質は、BMP/TGF−βシグナリングカスケードに関与するシグナル伝達体
である〔13〕。TGF−βリガンドがセリン/トレオニンキナーゼ受容体複合
体に結合すると、受容体で調節されるSmadタンパク質は、I型受容体によっ
てリン酸化され、核へと移動して、標的遺伝子の転写を調整する。SIP1とS
madとの間の相互作用は、リガンド刺激の際にのみ観察されるにすぎず、Sm
adは、SIP1と作用し合える前に、活性化される必要があることを示す〔3
4〕。意外にも、SIP1と類似の機序でDNAを結合し得る転写因子である、
Evi−1は、Smad3相互作用性タンパク質である〔15〕。これまでは、
Evi−1は、Smad3とDNAとの結合を阻害したが、Evi−1の標的プ
ロモーターに対する効果が確かにあることが示された。ヒトPRDII−BF1転
写因子のDrosophilaの相同体であるSchnurriは、やはりSIP1タンパク質と類
似の機序でDNAを結合し得るタンパク質である。興味深いことに、Schnurriは
、dppシグナリング経路での核タンパク質標的であることが提唱された〔1、
6〕。dppは、TGF−βファミリーの一員である。このことは、Schnurriを
、脊椎動物のSmadのDrosophila相同体である、DrosophilaMadタンパク質
に対する核標的の候補にする。そのため、SIP1が利用するDNA結合の様式
は、Smad相互作用性タンパク質を有するその他のジンクフィンガーに一般化
することができ、核内のいくつかのSmadの相手の共通の特徴を表す。
【0053】 これらの結果に基づき、δEF1ファミリーの転写因子に関するDNA結合の
新規な様式が立証される。DNA結合のこの様式は、ジンクフィンガーの分離さ
れたクラスターを有するその他のファミリーの転写因子にも該当する。
【0054】 本実施例に用いた材料および方法 プラスミドの構築 哺乳動物細胞での発現のため、SIP1〔34〕およびδEF1〔5〕のcD
NAをpCS3にサブクローニングした〔27〕。このプラスミドでは、SIP
1およびδEF1の読取り枠は、(Myc)6タグにN末端で融合している。S
IP1cDNAは、pCDNA3(Invitrogen)にも、FLAGというタグとのN末端
融合としてクローニングした。SIP1NZFおよびSIP1CZFの発現のためには
、それぞれ第1〜389、および第977〜1,214アミノ酸をコードしてい
るcDNAフラグメントを、pCS3にサブクローニングした。SIP1CZF
第957〜1,156アミノ酸として)およびSIP1NZF(第90〜383ア
ミノ酸として)は、大腸菌でのGST融合タンパク質(pGEX-5X-1中、Pharmacia
)として産生され、GST精製モジュール(Pharmacia)を用いて精製した。A
REB6でなされたもの〔10〕と同一の突然変異も、SIP1ジンクフィンガ
ーに導入した。ジンクフィンガーNZF3、NZF4、CZF2およびCZF3
の突然変異誘発は、その第三ヒスチジンのセリンへの置換を伴う。これらの突然
変異は、下記のプライマーによる取組方に基づくPCRを用いて導入した:
【0055】
【表1】
【0056】 突然変異させたそれぞれのクラスターを、pCS3内の完全長SIP1に再クロ
ーニングして、それぞれNZF3mut、NZF4mut、CZF2mutおよびCZF
3mutと名付けた、突然変異させたSIP1タンパク質を哺乳動物細胞内で産生
させた。さらに、これらの突然変異させたクラスターを、pGEX5-X2(Pharmacia
)にサブクローニングし、大腸菌内にGST融合タンパク質(GST−NZF3
mut、GST−NZF4mut、GST−CZF2mutおよびGST−CZF3mut)
として産生させた。構成体は、すべて、制限マッピングおよび配列決定によって
確認した。
【0057】 細胞培養およびDNAトランスフェクション COS1の細胞を、10%ウシ胎児血清で強化したDMEM中で増殖させた。
細胞を、Fugene(Boehringer Mannheim)を製造者のプロトコルに従って用いて、
トランスフェクションし、30〜48時間後に捕集した。
【0058】 ゲル減速アッセイ Xbra−WTというオリゴヌクレオチドは、Xbra2というプロモーター
の−344〜−294の領域にまたがる〔16〕。α4−インテグリンプロモー
ターの−412〜−352の領域は、α4I−WTオリゴヌクレオチド内に存在
する〔26〕。Ecad−WTプローブは、ヒトEcadプロモーターの−86
〜−17の領域を含む〔2〕。野生型、および突然変異させた二本鎖プローブの
上方の鎖の配列を、表1に列挙した。二本鎖オリゴヌクレオチドは、〔32P〕−
γ−ATPおよびT4ポリヌクレオチドキナーゼ(New England Biolabs)で標
識化した。異なるpCS3ベクターでトランスフェクションしたCOS1細胞〔
25〕から、総細胞抽出物を調製して、完全長SIP1、完全長δEF1、およ
びSIP1の異なる突然変異形態〔25〕の合成、または等量のMyc標識化S
IP1およびFLAG標識化SIP1の同時産生を許した。GST−SIP1融
合タンパク質を、GST精製モジュール(Pharmacia)を用いて、大腸菌抽出物
から精製し、ゲル減速で試験した。DNA結合アッセイ(20μl)は、25℃
で、前記〔30〕のδEF1結合緩衝液中のCOS1総細胞タンパク質1μg、
ポリdl−dC1μg、32P標識化二本鎖オリゴヌクレオチド(約104のチェレ
ンコフカウント)10pgを用いて実施した。スーパーシフトの実験には、この抽
出物を、抗Myc抗体(Santa Cruz)または抗FLAG抗体(Kodak)とともに
温置した。競合させるには、過剰量の未標識化二本鎖オリゴヌクレオチドを、標
識化したプローブとともに加えた。結合反応は、0.5xTBE緩衝液中に調製
した4%ポリアクリルアミドゲル(アクリルアミド/ビスアクリルアミド、19
:1)に装荷した。電気泳動の後、ゲルを乾燥し、X線フィルムに感光させた。
すべての実験は、少なくとも3回反復した。
【0059】 メチル化干渉アッセイ Xbra−WTプローブの上方および下方の鎖を、別個に標識化し、過剰量の
総補的DNA鎖でアニーリング下。プローブを、沈澱させ、硫酸ジメチルで処理
した(8)。メチル化されたプローブ(105チェレンコフカウント)を、SI
P1FSまたはSIP1CZFのいずれかを発現するCOS1細胞からの総細胞抽出
物10μgとともに、10xゲル減速反応(上記を参照されたい)(最終体積:
200μl)ちゅうで温置した。25℃で20分温置した後、生成物を、4%ポ
リアクリルアミドゲルに装荷し、電気泳動を、ゲル減速アッセイについてのとお
りに実施した。次いで、ゲルをDEAE−セルロース膜にブロットさせ;移転を
、0.5xTBE緩衝液中で100Vで30分間実施した。次いで、膜を1時間
感光させ、SIP1FS(またはSIP1CZF)に対応する帯域、および遊離プロ
ーブを、65℃で、高塩類条件(1MNaCl、20mMトリス、pH7.5、1mM
EDTA)を用いて溶出させた。溶出したDNAを、沈澱させ、ピペリジンで処
理した〔18〕。水中での可溶化と、減圧下での液体の蒸発とのいくつかの周期
の後、得られたDNAペレットを、配列決定用緩衝液(97.5%の脱イオンホ
ルムアミド、それぞれ0.3%のブロモフェノールブルーおよびキシレンシアノ
ール、10mMEDTA)10μl中で溶解し、85℃で5分間変性させた。遊離
プローブおよび結合プローブについて同じ量のカウント(1,500チェレンコ
フカウント)を、20%ポリアクリルアミド−8M尿素の配列決定用ゲルに装荷
した。ゲルを、0.5xTBE中で2,000Vで1時間泳動させた。その後、
ゲルを、50%メタノール/10%酢酸中で定着させ、乾燥した。次いで、ゲル
を、オートラジオグラフィーに感光させた。
【0060】 ウエスタンブロット分析 トランスフェクションした細胞を、PBS−O(137mMNaCl、2.7mM
KCl、6.5mMNa2HPO4、1.5mMKH2PO4)で洗浄し、分離緩衝液(
10mMトリス、pH7.5、1mMEDTA、10%グリセリン;プロテアーゼ阻害
剤(プロテアーゼ阻害剤カクテル錠;Boehringer Mannheim)を含有)中で捕集
し、低回転数遠心分離によってペレット化した。次いで、細胞を、10mMトリス
、pH7.4、125mMNaCl、1%トリトンX−100に可溶化した。直接電
気泳動分析には、ゲルサンプル緩衝液を、細胞溶解液に加え、サンプルを沸騰さ
せた。その他の実験には、溶解液を、初めに、抗Mycまたは抗FLAG抗体の
いずれかによる免疫沈降に付した。抗体は、細胞溶解液のアリコートに加え、4
℃で終夜温置した。細胞溶解液の抗体および結合タンパク質を、複合体として、
プロテインA−セファロースに4℃で2時間カップリングさせた。免疫沈降物を
、NET緩衝液(50mMトリス、pH8.0、150mMNaCl、0.1%NP4
0、1mMEDTA、0.25%ゼラチン)中で4回洗浄し、SDS−ポリアクリ
ルアミド(7.5%)ゲル電気泳動によって分離させ、電気泳動によってニトロ
セルロース膜に移転した。膜を、3%(w/v)脱脂乳を含有するTBST(10m
Mトリス、pH7.5、150mMNaCl、0.1%トィーン20)中で2時間遮
断し、一次抗体(1μg/ml)とともに2時間、次いでセイヨウワサビペルオキシ
ダーゼに結合した二次抗体とともに温置した。免疫反応性帯域は、増強化学ルミ
ネッセンス試薬(NEN)で検出した。
【0061】 アフリカツメガエルXenopus laevisの遺伝子導入、およびホールマウントin sit
uハイブリダイゼーション Xbra2−GFPについてトランスジェニックであるツメガエル属の胚を、
前記のとおりであるが(Kroll & Amaya, 1996)、下記の変更を加えて生成した
。1卵あたり5nlの***核懸濁液の一定体積を、5nlあたり2個の核という理論
的濃度で注入するために、Drummond Nanoinjectを用いた。約800個の卵を、
卵抽出物の温置によって注入した。この手順の結果、胚の10〜30%の率の好
成績の分割を生じた。これらのうち、50〜80%は、嚢胚形成を完了し、20
〜30%は、許容されるならば、正常な遊泳オタマジャクシへとさらに発生した
。遺伝子導入頻度は、発現によって解析された限りで、50〜90%の変動幅を
有した。胚は、NiewkoopおよびFaberに従って〔Niewkoop & Faber, 1967〕段階
決定した。最低30個の発現中の胚を、構成体、および示された段階に従って分
析した。GFPリポーター遺伝子に対するホールマウントin situハイブリダイ
ゼーションは、前記のとおり〔Latinkic et al., 1997〕であった。色彩検出の
後、胚を脱水し、ベンジルアルコール/安息香酸ベンジルの2:1混合物中で脱
色した。
【0062】
【表2】 表1.本研究に用いたすべてのプローブのリスト。CACCT配列は、太字で強
調してある。間隔取り(右の列)は、二つのCACCT配列の間に存在するヌク
レオチドの数である。下線を施した間隙は、野生型プローブからのヌクレオチド
の欠失に相当する。多くのプローブについては、導入された突然変異の解釈を容
易にするために、野生型プローブと比較して変化している残基のみが示されてい
るにすぎない。
【0063】 以下の8段落は、さらに記載された実験を実施するために、いくつかの追加の
「材料および方法」を含む。
【0064】 −Xbra2プロモーターからの異なるプローブによるゲル減速アッセイ 32Pで標識化された異なるXbraプローブ(10pg)を、pCS3−SIP
CZF、pCS3−SIP1FSでトランスフェクションしたCOS1細胞、また
は偽トランスフェクションした細胞からの総タンパク質抽出物1μgとともに温
置した。
【0065】 −Xbra2プロモーターとのSIP1FSの結合の際に、二つのCACCT部位
は接触する XbraWTの上流CACCT配列(走査突然変異形成によって明らかにされ
る限りでの、表1を参照されたい)または下流CACCT配列(表1の別の箇所
を参照されたい)内での突然変異のみが、SIP1FSの結合を廃止する。メチル
化干渉アッセイは、SIP1FSが、双方のCACCT配列に接触することを示し
ている。上方または下方の鎖のいずれかが標識化されたXbraWTを、メチル
化し、pCS3−SIP1FSまたはpCS3−SIP1CZFのいずれかでトラン
スフェクションしたCOS1細胞からの総抽出物とともに温置した。シフト複合
体または未結合DNA(FREE)内で減速したDNAを、精製し、ピペリジン
で切断し、配列決定用ゲル上で泳動させた。グアニン残基を、遊離プローブ内で
メチル化した。Xbra2プロモーターからの上流または下流CACCT配列を
示す。
【0066】 −二つのCACCT配列は、Xbra2、α4−インテグリンおよびE−カドヘ
リンプロモーターとのSIP1FSおよびδEF1の結合に必要である Xbra2プロモーターとのδEF1の結合;α4−インテグリンプロモータ
ーとのSIP1およびδEF1の結合;過剰量の標識化されていない野生型およ
び突然変異結合部位との競合を包含する、α4−インテグリンプロモーターとの
SIP1およびδEF1の結合;E−カドヘリンプロモーターとのSIP1およ
びδEF1の結合。それぞれの結合反応で、標識化されたプローブ10pgを、p
CS3−SIP1FSまたはpCS3−δEF1のいずれかでトランスフェクショ
ンしたCOS1細胞から調製した総細胞タンパク質抽出物1μgとともに温置し
た。競合実験では、非標識化DNA5ngおよび50ngを、標識化プローブと同時
に加えた。Mycのタグに対する抗体を、結合反応、およびスーバーシフトした
複合体に加えた。δEF1およびSIP1減速複合体が立証された。すべてのプ
ローブの配列については、表1を参照されたい。
【0067】 −CACCT配列の間隔取りおよび相対的配向は、Xbra2プロモーターとの
SIP1FSおよびδEF1の結合に死活的に重要ではない。 標識化プローブ10pgを、pCS3−SIP1FSまたはpCS3−δEF1の
いずれかでトランスフェクションしたCOS1細胞から調製した総細胞タンパク
質抽出物1μgとともに温置した。Xbra−Eプローブ10pg、およびXbr
a−Fプローブ10pgを、同じ結合反応に用いた。明快で比較になる提示を理由
として、SIP1結合反応からの遊離プローブは、割愛した。
【0068】 −DNAとのSIP1FSの結合には、両SIP1ジンクフィンガークラスターの
完全性が必要である NZF3、NZF4、CZF2、CZF3内の突然変異は、SIP1NZFまた
はSIP1CZFのいずれかのジンクフィンガークラスターのDNA結合活性を失
わせる。野生型および突然変異ジンクフィンガークラスターをGSTに融合させ
、融合タンパク質を大腸菌内に生成した。精製後、等量の各融合タンパク質(0
.1ng)を、標識化したXbra−Eプローブ10pgとともに温置した。NZF
3、NZF4、CZF2またはCZF3内の突然変異は、Xbra−WTプロー
ブとのSIP1FSの結合に影響を及ぼす。標識化したXbra−WTプローブ1
0pgを、pCS3−SIP1FS、pCS3−SIP1NZF3mut、pCS3−SI
P1NZF4mut、pCS3−SIP1CZF2mutまたはpCS3−SIP1CZF3mut
いずれかでトランスフェクションしたCOS1細胞から調製した総細胞タンパク
質抽出物1μgとともに温置した。異なるSIP1突然変異体を発現する2種類
のCOS細胞抽出物(それぞれ1μg)の可能なすべての組合せを試験した。M
ycのタグに対する抗体を、結合反応に加え、スーバーシフトされた複合体、お
よびSIP1FS減速された複合体が表示された。NZF3、NZF4、CZF2
またはCZF3内の突然変異は、α4−インテグリンプロモーターとのSIP1 FS の結合を廃止する。標識化したα4I−WTプローブ10pgを、pCS3−S
IP1FS、pCS3−SIP1NZF3mut、pCS3−SIP1NZF4mut、pCS3
−SIP1CZF2mutまたはpCS3−SIP1CZF3mutのいずれかでトランスフェ
クションしたCOS1細胞から調製した総細胞タンパク質抽出物1μgとともに
温置した。Mycのタグに対する抗体を、結合反応に加え、スーバーシフト複合
体、およびSIP1FS減速複合体が表示された。SIP1突然変異体は、同等の
量でCOS細胞内に産生された。COS細胞総抽出物10μgを、抗Myc抗体
を用いたウエスタンブロット分析によって分析した。SIP1突然変異体の発現
レベルは、実際に、SIP1−WT発現レベルより僅かに高い。
【0069】 −SIP1FSは、Xbra−WTプローブに単量体として結合する 標識化Xbra−WTプローブ10pgを、等量のpCS3−SIP1FS(My
cタグ付き)およびpCDNA3−SIP1(Flagタグ付き)でトランスフ
ェクションしたCOS1細胞から調製した総細胞タンパク質1μgとともに温置
した。抗Flagおよび抗Myc抗体を、結合アッセイに別個にか、または双方
を加えた。FlagおよびMycスーバーシフト複合体が表示される。
【0070】 −SIP1リプレッサー活性には、CZFまたはNZFの完全性が必要である リポータープラスミドのp3TP−Luxからの、複数のCACCTを含む人
工プロモーターから誘導された、ゲル精製フラグメントとのSIP1FSの結合。
抗Mycタグ抗体を加えた;スーバーシフト複合体が表示される。p3TP−L
uxリポーターベクターと一緒のpCS3−SIP1FS、pCS3−CZF3−
MutまたはpCS3−NZF3−Mutの同時トランスフェクションアッセイ
。活性は、全SIP1FSリプレッサー活性(これを100%とする)の百分率で
表される。
【0071】 −突然変異させたXbra2プロモーターの変種(Xbra2−Mut)のトラ
ンスジェニックなカエル胚における異所性活性 野生型および突然変異(Xbra−Mut;表1を参照されたい)Xbra2
プロモーター要素とのSIP1FSの結合。GFPリポーターを駆動する野生型の
か、または点突然変異させた2.1kbのXbra2プロモーターフラグメントに
ついてトランスジェニックである、ツメガエル属の胚のGFPmRNAに対する
ホールマウントin situハイブリダイゼーション。すべての胚を第11期で固定
し、シグナルの、より良好な視覚化のために透明化した。百分率は、中間的表現
型を示す(すなわち、トランスジェニック胚の35%が、正常なXbra2の発
現パターンを示し、65%は、異所性発現を示した)。
【0072】 (結果) −SIP1は、δEF1に類似の構造を有する SIP1は、Smad結合性タンパク質として最近単離され、Smad1、S
mad5およびSmad2を、リガンド依存性の様式で(BMPおよびアクチビ
ン経路内で)結合する〔34〕。SIP1は、両手を有するジンクフィンガー/
ホメオドメイン転写因子の、脊椎動物δEF1およびショウジョウバエ属Zfh
−1も包含するファミリーの新たな一員である〔4、5〕。これらと同様に、S
IP1は、二つの大幅に分離したジンクフィンガークラスターを有する。4本の
ジンクフィンガー(3CCHHおよび1CCHCフィンガー)よりなる1クラス
ターは、タンパク質のN末端領域に位置し、3CCHHジンクフィンガーよりな
るもう一つのクラスターは、C末端領域に存在する(図1A)。SIP1とδE
F1との間には、高度の配列同一性が、N末端ジンクフィンガークラスター内(
87%)、およびC末端ジンクフィンガークラスター内(97%)で明らかであ
る(図1Bを参照されたい)のに対し、二つのタンパク質は、ジンクフィンガー
クラスター外の領域では、より少なく保存されている〔34〕。したがって、S
IP1およびδEF1は、非常に類似する配列に結合するものと想定される。加
えて、δEF1のN末端およびC末端ジンクフィンガークラスターは、中核的C
ACCT共通配列を有する、非常に類似する配列に結合する〔10〕。N末端ク
ラスター内では、δEF1NZF3とδEF1NZF4との双方が、CACCT共通配列
に結合するための主な決定要因であり、C末端クラスターの結合には、δEF1 CZF2 およびδEF1CZF3が必要とされる〔10〕。その上、δEF1NZF3+NZF4
ドメインは、δEF1CZF2+CZF3ドメインとの高度の相同性(67%)を示し、
これが、これら二つのクラスターが、DNA上の類似の共通標的部位に結合する
理由を説明し得る(図1C)。結合に不可欠の、かつδEF1NZF3+NZF4とδE
F1CZF2+CZF3との間に保存されている、すべての残基は、SIP1NZF3+NZF4
SIP1CZF2+CZF3との間にも保存されている。併せて考えると、これらの比較
は、SIP1のN末端およびC末端ジンクフィンガークラスター内は、非常に類
似する標的配列にも結合すると思われる。
【0073】 −Xbra2プロモーターとのSIP1の結合には、二つのCACCT部位が必
要である CACCT部位は、Xbra2プロモーターとのSIP1の結合に必要である
。CACCT部位は、Xbra2プロモーターとのSIP1の結合に必要である
。CACCT部位は、Xbra2プロモーターとのSIP1の結合に必要である
。CACCT部位は、Xbra2プロモーターとのSIP1の結合に必要である
。CACCT部位は、Xbra2プロモーターとのSIP1の結合に必要である
。SIP1は、ツメガエル属のXbra2プロモーターに結合し、ツメガエル属
の胚で過剰発現されたとき、Xbra2mRNAの発現を抑制する〔34〕。X
bra2プロモーターは、いくつかのCACCT配列を含み、うち二つは、アク
チビンによる誘導に必要な領域(−381〜−231)に位置する〔16〕。そ
れぞれ、上流CACCTおよび下流AGGTG(すなわち、もう一つのDNA鎖
での5′−CACCT)である、これら二つの部位は、24bp隔たっている。こ
れらの部位とのSIP1の結合の必要条件をさらに解明するため、対応する50
bp長のオリゴヌクレオチド(Xbra−WT;すべてのプローブのリストについ
ては、表1を参照されたい)を、プローブとして、電気泳動移動度シフトアッセ
イ(EMSA)に用いた。下流AGGTG部位のAGATGへの突然変異を有す
る、Xbra−Dプローブも含めた。類似の突然変異は、κE2エンハンサーと
のδEF1の結合を廃止することが以前に示された〔30〕。加えて、本発明者
らは、下流の部位(プローブXbra−E)、および上流の部位(プローブXb
ra−F)も、より短いプローブとして独立に試験した。これらのプローブを、
SIP1の、Mycタグ付きC末端ジンクフィンガークラスター(SIP1CZF
)、SIP1の、Mycタグ付きN末端ジンクフィンガークラスター(SIP1 NZF )、または完全な大きさのMycタグ付きSIP1(SIP1FS)を発現す
る、COS細胞の総抽出物とともに温置した。
【0074】 偽トランスフェクションしたCOS細胞を、対照としてAプローブとともに用
いたとき、二つの弱い複合体、および一つの強い複合体が視覚化された。競合体
のオリゴヌクレオチドを用いると、二つの弱い複合体は、非特異性に変化したの
に対し、強い、急速に移動する複合体は、Xbraプローブとの結合に対する特
異性を示す。後者の所見は、COS細胞が、Xbra−WTプローブに結合でき
る内在性タンパク質を含むことを示唆する。SIP1CZFが抽出物中に存在する
ときは、COS抽出物からの内在性結合活性に加えて、強い、徐々に移動する複
合体が観察された。この複合体は、抗Myc抗体とスーパーシフトすることがで
きて、Xbra−WTプローブとのSIP1CZFの結合に起因することを確認す
る。下流部位(Xbra−Dプローブ)の突然変異は、このSIP1CZF複合体
の形成に強い影響を及ぼした。その上、SIP1CZFは、Xbra−Eプローブ
に結合するが、Xbra−Fプローブには結合せず、下流部位が、SIP1CZF
の結合に不可欠であり、SIP1CZFは、この部位に排他的に結合し得ることを
示す。Xbra−Fプローブで視覚化される強い複合体は、SIP1FS抽出物中
、および偽抽出物中にも存在し、これまで特性記述されなかった、Xbra−F
プローブに結合する内在性COS細胞タンパク質を起源とする。加えて、SIP
NZFを含有するCOS細胞抽出物は、SIP1CZFで得られたのと類似する結合
パターンをEMSAで示した。δEF1における〔10〕と同様に、SIP1の
二つのジンクフィンガークラスターが、ともに、類似のDNA結合の特徴を有す
ることは明白である。
【0075】 SIP1FSに対応する強い複合体は、Xbra−WTプローブでも生成される
。COS細胞におけるSIP1CZF産生のレベルは、SIP1FSのレベルより約
50倍も高いことに言及するのは重要である。EMSA反応のそれぞれについて
、本発明者らは、常に、同じ量の未精製COS細胞タンパク質を用いた。Xbr
a−WTプローブとのSIP1FSの結合は、SIP1CZFの結合と同程度に強い
。興味深いことに、このことは、Xbra−WTに対するSIP1FSの親和性が
、SIP1CZFのそれより少なくとも50倍高いことを示す。SIP1FS複合体
は、SIP1CZFおよびSIP1NZFと同様に、突然変異させたXbra−Dプロ
ーブを用いたときに不在である。したがって、SIP1FSの結合には、完全な下
流部位がやはり必要とされる。Xbra−WTおよびXbra−Eプローブに類
似する親和性で結合する、SIP1CZFおよびSIP1NZFとは対照的に、SIP
FSは、Xbra−Eプローブとは結合しない。SIP1CZFおよびSIP1NZF と同様に、SIP1FSは、Xbra−Fプローブとは結合しない。本発明者らは
、下流部位(AGGTG)は、SIP1FSがXbra2プロモーターに結合する
のに必要であると結論する。しかし、この部位は、SIP1FSの結合には、Xb
ra−Eプローブの上流の追加の配列が必要であることから、充分ではない。S
IP1FSがXbra−Eプローブと結合できなかった一つの理由は、それがXb
ra−WTプローブより短いことから、単に、Xbra−Eプローブの長さであ
る可能性がある。これを試験するため、Xbra−Eプローブの上流にランダム
配列(Rdm)を含むプローブを調製して、それをXbra−WTプローブと同
じ長さまで延長した(表1)。Rdm+Xbra−Eプローブに効率的に結合す
るSIP1CZFとは対照的に、SIP1FSは、結合することができなかった。こ
の結果は、Xbra−Eプローブの長さ自体は、SIP1FSがこのプローブに結
合できないことの原因ではないことを立証している。
【0076】 Xbra−Fオリゴヌクレオチドも、SIP1FSの結合に必要な配列を有する
ことを実証するために、このオリゴヌクレオチドとともに、AREB6タンパク
質によって強く結合されることが公知である〔10〕、もう一つのCACCT部
位の上流のランダム配列も融合した(それぞれ、プローブXbra−F+ARE
B6およびRdm+AREB6)。SIP1CZFは、等しい親和性で、Xbra
−F+AREB6およびRdm+AREB6の双方のプローブを結合して、AR
EB6配列も、SIP1CZFによって認識されることを示した。しかし、SIP
FSは、Xbra−F+AREB6プローブにのみ結合するが、Rdm+ARE
B6には結合しない。このことは、Xbra−Fオリゴヌクレオチドは、SIP
FSの結合に必要な配列を含むことを確認する。加えて、Xbra−Eプローブ
とAREB6プローブとに共通する唯一の特徴は、CAGGTGT配列であって
、Xbra−Eプローブ中のこのCAGGTGT以外の配列は、SIP1FSの結
合に全く必要ないことを示唆する。SIP1FSがXbra−Eプローブに結合で
きない理由の一つは、Xbra−Eプローブの長さが、Xbra−WTプローブ
の長さより短いからである可能性がある。この仮説を試験するため、Xbra−
Eプローブの上流にランダム配列を含むプローブを調製して、Xbra−WTプ
ローブと同じ長さを得た。このプローブに効率的に結合するSIP1CZFとは対
照的に、SIP1FSは、結合できなかった。この結果は、Xbra−Eプローブ
の長さは、SIP1FSがこのプローブに結合しない理由ではなかったことを明白
に示す。Xbra−Fオリゴヌクレオチドも、SIP1FSの結合に必要な配列を
有することを実証するために、このオリゴヌクレオチドとともに、AREB6タ
ンパク質を強く結合することが公知である、もう一つのCACCT部位の上流の
ランダム配列も融合した(それぞれ、Xbra−F+AREB6およびRdm+
AREB6)。SIP1CZFは、等しい親和性で、Xbra−F+AREB6お
よびRdm+AREB6の双方のプローブを結合して、AREB6配列も、SI
P1CZFによって認識されることを示すことを観察した。しかし、SIP1FS
、Xbra−F+AREB6プローブにのみ結合するが、Rdm+AREB6プ
ローブには結合しない。このことは、Xbra−Fオリゴヌクレオチドは、SI
P1FSの結合に必要な配列を含むことを確認する。加えて、Xbra−Eプロー
ブとAREB6プローブとに共通する唯一の通性は、AGGTG配列であって、
Xbra−Eプローブ中のこのAGGTG以外の配列は、SIP1FSの結合に全
く必要ないことを示唆する。SIP1FSがXbra−Eプローブに結合できない
理由の一つは、Xbra−Eプローブの長さが、Xbra−WTプローブの長さ
より短いからである可能性がある。この仮説を試験するため、Xbra−Eプロ
ーブの上流にランダム配列を含むプローブを調製して、Xbra−WTプローブ
と同じ長さを得た。このプローブに効率的に結合するSIP1CZFとは対照的に
、SIP1FSは、結合できなかった。この結果は、Xbra−Eプローブの長さ
は、SIP1FSがこのプローブに結合しない理由ではなかったことを明白に示す
。Xbra−Fオリゴヌクレオチドも、SIP1FSの結合に必要な配列を有する
ことを実証するために、このオリゴヌクレオチドとともに、AREB6タンパク
質を強く結合されることが公知であるもう一つのCACCT部位の上流にランダ
ム配列も融合した(それぞれ、Xbra−F+AREB6およびRdm+ARE
B6)。SIP1CZFは、等しい親和性で、Xbra−F+AREB6およびR
dm+AREB6の双方のプローブを結合して、AREB6配列も、SIP1CZ F によって認識されることを示すことを観察した。しかし、SIP1FSは、Xb
ra−F+AREB6プローブにのみ結合するが、Rdm+AREB6プローブ
には結合しない。このことは、Xbra−Fオリゴヌクレオチドは、SIP1FS の結合に必要な配列を含むことを確認する。加えて、Xbra−EプローブとA
REB6プローブとに共通する唯一の通性は、AGGTG配列であって、Xbr
a−Eプローブ中のこのAGGTG以外の配列は、SIP1FSの結合に全く必要
ないことを示唆する。SIP1FSがXbra−Eプローブに結合できない理由の
一つは、Xbra−Eプローブの長さが、Xbra−WTプローブの長さより短
いからである可能性がある。この仮説を試験するため、Xbra−Eプローブの
上流にランダム配列を含むプローブを調製して、Xbra−WTプローブと同じ
長さを得た。このプローブに効率的に結合するSIP1CZF(図2、列6)とは
対照的に、SIP1FSは、結合できなかった(列3)。この結果は、Xbra−
Eプローブの長さは、SIP1FSがこのプローブに結合しない理由ではなかった
ことを明白に示す。
【0077】 Xbra−Fオリゴヌクレオチドも、SIP1FSの結合に必要な配列を有するこ
とを実証するために、このオリゴヌクレオチドとともに、AREB6タンパク質
を強く結合することが公知である、もう一つのCACCT部位の上流にランダム
配列も融合した(それぞれ、Xbra−F+AREB6およびRdm+AREB
6)。列4および5で、SIP1CZFは、等しい親和性で、Xbra−F+AR
EB6およびRdm+AREB6の双方のプローブを結合して、AREB6配列
も、SIP1CZFによって認識されることを示すことを観察した。しかし、SI
P1FSは、Xbra−F+AREB6プローブにのみ結合し(列1)、Rdm+
AREB6プローブには結合しない。このことは、Xbra−Fオリゴヌクレオ
チドは、SIP1FSの結合に必要な配列を含むことを確認する。加えて、Xbr
a−EプローブとAREB6プローブとに共通する唯一の特徴は、AGGTG配
列であって、Xbra−Eプローブ中のこのAGGTG以外の配列は、SIP1 FS の結合に全く必要ないことを示唆する。SIP1FSがXbra−Eプローブに
結合できない理由の一つは、Xbra−Eプローブの長さが、Xbra−WTプ
ローブの長さより短いからである可能性がある。この仮説を試験するため、Xb
ra−Eプローブの上流にランダム配列を含むプローブを調製して、Xbra−
WTプローブと同じ長さを得た。このプローブに効率的に結合するSIP1CZF
(図2、列6)とは対照的に、SIP1FSは、結合できなかった(列3)。この
結果は、Xbra−Eプローブの長さは、SIP1FSがこのプローブに結合しな
い理由ではなかったことを明白に示す。Xbra−Fオリゴヌクレオチドも、S
IP1FSの結合に必要な配列を有することを実証するために、このオリゴヌクレ
オチドとともに、AREB6タンパク質を強く結合することが公知である、もう
一つのCACCT部位の上流にランダム配列も融合した(それぞれ、Xbra−
F+AREB6およびRdm+AREB6)。列4および5で、SIP1CZF
、等しい親和性で、Xbra−F+AREB6およびRdm+AREB6の双方
のプローブを結合して、AREB6配列も、SIP1CZFによって認識されるこ
とを示すことを観察した。しかし、SIP1FSは、Xbra−F+AREB6プ
ローブにのみ結合し、Rdm+AREB6プローブには結合しない。このことは
、Xbra−Fオリゴヌクレオチドは、SIP1FSの結合に必要な配列を含むこ
とを確認する。加えて、Xbra−EプローブとAREB6プローブとに共通す
る唯一の通性は、AGGTG配列であって、Xbra−Eプローブ中のこのAG
GTG以外の配列は、SIP1FSの結合に全く必要ないことを示唆する。SIP
FSがXbra−Eプローブに結合できない理由の一つは、Xbra−Eプロー
ブの長さが、Xbra−WTプローブの長さより短いからである可能性がある。
この仮説を試験するため、Xbra−Eプローブの上流にランダム配列を含むプ
ローブを調製して、Xbra−WTプローブと同じ長さを得た。このプローブに
効率的に結合するSIP1CZF(図2、列6)とは対照的に、SIP1FSは、結
合できなかった(列3)。この結果は、Xbra−Eプローブの長さは、SIP
FSがこのプローブに結合しない理由ではなかったことを明白に示す。Xbra
−Fオリゴヌクレオチドも、SIP1FSの結合に必要な配列を有することを実証
するために、このオリゴヌクレオチドとともに、AREB6タンパク質を強く結
合することが公知である、もう一つのCACCT部位の上流にランダム配列も融
合した(それぞれ、Xbra−F+AREB6およびRdm+AREB6)。列
4および5で、SIP1CZFは、等しい親和性で、Xbra−F+AREB6お
よびRdm+AREB6の双方のプローブを結合して、AREB6配列も、SI
P1CZFによって認識されることを示すことを観察した。しかし、SIP1FS
、Xbra−F+AREB6プローブにのみ結合し、Rdm+AREB6プロー
ブには結合しない。このことは、Xbra−Fオリゴヌクレオチドは、SIP1 FS の結合に必要な配列を含むことを確認する。加えて、Xbra−Eプローブと
AREB6プローブとに共通する唯一の通性は、AGGTG配列であって、Xb
ra−Eプローブ中のこのAGGTG以外の配列は、SIP1FSの結合に全く必
要ないことを示唆する。
【0078】 Xbra−E配列と結び付いてSIP1FSの結合に必要とされる、Xbra−
F内の配列をマッピングするために、Xbra−F部分内に隣接する三重突然変
異を有する、長さがXbra−WTに同一の一連のプローブを調製した(表1を
参照されたい)。これらの突然変異プローブのうち3種類(すなわちXbra−
L、Xbra−MおよびXbra−N)のみが、SIP1FSの結合に影響したに
すぎない。実際、上流CACCT配列は、Xbra−Fプローブ内で完全であっ
て、L、MおよびNプローブ内では改変された。本発明者らは、SIP1FSが、
上流CACCTをCATCTに変更した、点突然変異を有するXbra−Sプロ
ーブに結合しないことも示した。この突然変異は、Xbra−Dプローブ内でな
された下流AGATGの突然変異に類似している。
【0079】 上記の結果は、Xbraプロモーター内の両CACCT配列に接触するSIP
FSについて示している。これらの部位の重要性をさらに調べるため、DNAメ
チル化干渉アッセイを実施した。下流AGGTG(SIPDO)の3個のG、およ
び上流CACCT(SIPUP)の2個のGのメチル化は、未結合プローブに対比
してSIP1FS結合プローブで有意に低く、これらのGのメチル化が、SIP1 FS の結合に干渉することを示唆する。このことは、これらの残基がSIP1FS
結合に不可欠であることを、強く裏付ける。SIPDOに非常に近接して位置する
2個のGの一方のメチル化も、SIP1FSの結合に干渉することも観察されてい
る。その結果、こうして、SIP1FSについては、二つのCACCT配列、およ
びそれらの完全性がDNA結合に必要とされることが示されている。
【0080】 −SIP1およびδEF1は、異なる潜在的部位候補に結合するためには二つの
CACCT配列を必要とする SIP1およびδEF1は、非常に高度に保存されたジンクフィンガークラス
ターを有する、非常に類似する構造を有し、これら二つのタンパク質は、類似す
る方法でDNAを結合する可能性が高い。δEF1も、両CACCT配列に接触
することによって、Xbra2プロモーターに結合するか否かを詳述するが、こ
れは、以前には報告されていない。Mycタグ付きδEF1を、COS細胞内で
発現させ、対応する核抽出物を、WT、および一連の突然変異Xbraプローブ
によるEMSAで試験した。δEF1は、両CACCT部位を含むXbra−W
Tプローブに強く結合する。しかし、SIP1FSと同様に、δEF1は、下流C
ACCT部位のみを含むXbra−Eプローブも、上流CACCT部位のみを含
むXbra−Fプローブも結合しない。加えて、上流CACCT(Xbra−S
)または下流CACCT部位(Xbra−D)のいずれかの点突然変異も、δE
F1の結合を廃止した。したがって、SIP1FSと同様に、完全長δEF1も、
Xbra2プロモーターに結合するには両CACCT配列の完全性を必要とする
。二つのCACCT部位が、SIP1FSはもとよりδEF1の結合にも要求され
ることは、Xbra2プロモーターに独自であり得る。そのため、次の疑問は、
二つのCACCT配列は、他の標的部位に結合するのにもSIP1/δEF1に
ついて必要か否かを解析することであった。推定されるδEF1およびSIP1
結合要素は、いくつかのプロモーターに存在する。推定される一つのδEF1結
合要素は、実際に二つの完全な、分離したCACCT部位を有し、ヒトα4−イ
ンテグリン遺伝子のプロモーター内に見出された〔23〕。興味深いことに、両
部位とも、E2ボックスのそれの中に含まれる。これら二つのCACCT部位の
突然変異は、筋芽細胞におけるα4−インテグリン遺伝子発現の抑制へと導いて
、δEF1が、α4−インテグリン遺伝子転写のリプレッサーであることを示唆
する〔23〕。これら二つのCACCT部位は、プロモーター内で近接して位置
する(間隔取りは34bpである)ことから、両CACCT配列がδEF1の結合
に必要とされるか否かを調べた。そのために、α4−インテグリンプロモーター
の両CACCT部位に重複する、60bp長のプローブ(α4I−WT)を、二つ
の突然変異させたもの(すなわち、上流(α4I−B)または下流のいずれかの
CACCT部位に点突然変異を有するもの(それぞれ、α4I−Bまたはα4I
−A、表1を参照されたい)とともに合成した。これらのプローブを、結合につ
いて、δEF1またはSIP1FSでトランスフェクションした細胞のCOS細胞
抽出物によるEMSAで試験した。δEF1およびSIP1FSは、ともに、α4
I−WTプローブとの強い複合体を形成する。δEF1複合体は、抗Myc抗体
によって完全にスーパーシフトされて、その特異性を立証する。SIP1とδE
F1との双方の結合は、上流もしくは下流CACCT部位のいずれかの突然変異
によって、廃止されるか、または強く影響される。その上、競合実験は、50ng
の非標識化α4I−WTプローブが、α4I−WTプローブとのSIP1または
δEF1の結合を廃止するのに充分であるのに対し、50ngの非標識化α4I−
Aまたはα4I−Bプローブのいずれかは、そうではないことを明らかにした。
本発明者らは、SIP1FSとともにδEF1も、α4−インテグリン遺伝子のプ
ロモーターとの結合に二つのCACCT部位の完全性を要求すると結論する。
【0081】 本発明者らは、ヒトE−カドヘリン遺伝子のプロモーター内の、近接して位置
する二つのCACCT部位も見出した。このE−カドヘリンプロモーターの両C
ACCT部位を含むオリゴヌクレオチドを、プローブとして(Ecad−WT)
SIP1FSまたはδEF1抽出物とともにEMSAに用いた。SIP1FSはもと
よりδEF1も、このプローブと複合体を形成する。しかし、上流(Ecad−
Aプローブ)または下流(Ecad−Bプローブ)CACCT部位のいずれかを
突然変異させたとき(表1、下部を参照されたい)、SIP1FSおよびδEF1
の結合は廃止された。このことも、このプロモーター内の二つのCACCT部位
が、両手を有するジンクフィンガー/ホメオドメイン転写因子の結合のための高
親和性部位を表すことを示唆する。
【0082】 Xbra−WT、α4I−WTおよびEcad−WTプローブの整列から(表
1を参照されたい)、明らかな相同性は、一つのCACCTG部位および第二の
CACCT部位以外は観察されなかった。本発明者らの上記の結果、およびこの
整列は、これらの配列のみが、SIP1FSまたはδEF1のいずれかの結合に参
加するにすぎないことを示す。したがって、本発明者らは、標的プロモーターと
結合するには、SIP1FSまたはδEF1は、少なくとも一つのCACCT部位
、および一つのCACCTG部位を要求すると結論する。
【0083】 −CACCT部位の間隔取りの変化および配向 Xbra−WT、α4I−WTおよびEcad−WTプローブ内では(表1)
、二つのCACCT部位間の間隔取りは、それぞれ24bp、34bpおよび44bp
であった。SIP1FSおよびδEF1は、これらのプローブに効率的に結合する
ことから、これは、これらのタンパク質が、二CACCT部位間の24〜44bp
以上にわたる間隔取りに順応できることを示す。二CACCT部位間の間隔取り
が、結合のための重要なパラメーターであるか否かをさらに調べるため、これら
の部位間に欠失を有する異なるXbraプローブを生成した。二つの突然変異プ
ローブ(Xbra−BおよびXbra−C)は、3個のアデニンの欠失があるの
に対し、プローブXbra−Uは、10ヌクレオチドの欠失がある(表1)。こ
れらのプローブを、SIP1FSまたはδEF1のいずれかを発現するCOS細胞
からの細胞抽出物によるEMSAで試験した。SIP1FSおよびδEF1は、と
もに、Xbra−WT、Xbra−B、Xbra−CおよびXbra−Uプロー
ブに等しい親和性で結合する。異なるプロモーターについて示された結果によっ
て、既に示唆されたとおり、このことは、同じプロモーター要素内でも、二CA
CCT部位間の間隔取りは、これら二つの転写因子の結合に決定的なパラメータ
ーではないことを示す。
【0084】 Xbra−WT、α4I−WTおよびEcad−WTプローブの詳細な比較に
よって、Xbra−WTおよびα4I−WTプローブの場合、二CACCT部位
の配向は、CACCT−N−AGGTGであるのに対し、Ecad−WTでは、
配向はAGGTG−N−CACCTであることを観察した。CACCT部位の非
回文性の特徴のため、これら二つの部位は、実質的に異なると想定することがで
きると思われる。しかし、SIP1FSおよびδEF1は、これらの異なって配向
された部位に、同等の親和性で結合する(上記を参照されたい)。このことは、
SIP1FSおよびδEF1が、二つのCACCT部位の配向と無関係に結合でき
ることを示唆する。
【0085】 SIP1FSおよびδEF1のDNA結合能に関して二CACCT部位の配向を
さらに調べるため、追加のプローブを設計した。プローブXbra−EEは、X
bra−Eプローブの縦列反復を含むのに対し、プローブXbra−ErEは、
同じXbra−E配列の逆方向反復を含む。加えて、上流CACCT部位(プラ
スそれぞれの側に一つの余分な塩基対)を、下流のAGGTG配列で置き換え、
またその逆も実施した、Xbra−Vを合成した。最後に、Xbra−Wプロー
ブでは、下流部位のみを、上流CACCT配列で置き換えた。これらすべてのプ
ローブを、SIP1FSまたはδEF1のいずれかを発現するCOS細胞から調製
した抽出物によるEMSAでやはり試験した。Xbra−EEプローブとのSI
P1FSまたはδEF1の最強の結合が観察された。したがって、SIP1FSおよ
びδEF1は、単一のCACCT部位を含むXbra−Eとは結合できないが、
この配列を倍化したときは、強く結合することができて、やはり、二CACCT
部位の必要性を示す。加えて、この二つのCACCT部位は、同じDNAフラグ
メントに存在しなければならず、別個の二本の鎖に存在してはならないことも、
明白である(下記を参照されたい)。SIP1およびδEF1は、Xbra−E
rEに結合して、やはり、二CACCT部位のそれぞれの配向は、結合に決定的
に重要ではないことを示唆する。さらに、上流および下流部位の双方を切り換え
ること(プローブXbra−V)、または上流部位のみを下流部位の第二のコピ
ーで置き換えること(プローブXbra−W)は、SIP1FSおよびδEF1結
合に対して効果がなかった。これらの実験から、本発明者らは、二CACCT部
位の間隔取り、またはこれら二部位のそれぞれの配向は、いずれも、両手を有す
るジンクフィンガー/ホメオドメイン転写因子のin vitroでの結合に決定的に重
要ではないと結論する。
【0086】 意外にも、必ずしもすべてのCACCT倍化部位が、これらの因子を結合でき
るわけではない。実際、Xbra−E配列と組み合わせて、SIP1FSおよびδ
EF1の結合に必要であることが示された、Xbra−F配列の倍化は、SIP
FSおよびδEF1の結合に不応性である。このことは、Xbra−Fという文
字列内のCACCT部位が、低親和性部位であり、このCACCT部位に隣接す
る配列が、親和性を最適化し得ることを示唆する。
【0087】 加えて、C末端クラスターまたはN末端クラスターは、いずれも、Xbra−
Fプローブに独立に結合できないということは、この部位が、低親和性を示すと
いう仮定を確認する。対照的に、Xbra−Eプローブ中に存在するCACCT
部位は、SIP1CZFおよびSIP1NZFを結合することができ、この要素の倍化
は、SIP1FSおよび完全長δEF1の双方に対する高親和性結合部位を生じる
。このことは、下流部位中の末端Gの塩基が、高親和性結合部位と低親和性のそ
れとの識別も許し得ることを示唆する。しかし、Xbra−FのCACCT部位
は、他方のクラスターが、(Xbra−Eの)付近の高親和性CACCTG部位
を占拠したならば、SIP1FSのジンクフィンガークラスターの一方のみを結合
し得る。この末端G塩基という残基のSIP1FSおよびδEF1の結合に対する
重要性を確認するため、下流CACCTG部位をCACCTAへと突然変異誘発
した(プローブXbra−Z)。Xbra−ZプローブとのSIP1FSまたはδ
EF1の結合は、(Xbra−WTプローブと比較すると)強く低下して、この
G塩基の残基が、SIP1FSおよびδEF1の双方に対する高親和性結合部位の
生成に重要であることを示唆する。
【0088】 最後に、SIP1FSまたはδEF1を加える前に、Xbra−EとXbra−
Fプローブとを混合したときは、いかなる結合も観察されず、やはり、両CAC
CT部位が、cisの立体配置で、すなわち同じDNA上に存在しなければならな
いことを示す。
【0089】 −DNAとの結合には、SIP1の二つのジンクフィンガークラスターが要求さ
れ、完全でなければならない SIP1およびδEF1は、二CACCT部位を含むDNA要素に結合し、こ
れらのタンパク質は、ともに、CACCT部位に独立して結合できる、2クラス
ターのジンクフィンガーを有する。その後の研究で、本発明者らは、SIP1FS のDNAとの結合のための各ジンクフィンガークラスターの重要性を評価したい
と考えた。δEF1NZFのN末端クラスターの第三または第四ジンクフィンガー
のいずれかを破壊する突然変異は、DNAとのこのクラスターの結合を廃止する
ことが示された。同様に、C末端クラスターの第二または第三ジンクフィンガー
の突然変異誘発も、CACCTとのδEF1NZFの結合を廃止した〔10〕。そ
のため、SIP1NZFおよびSIP1CZFクラスターに、δEF1のと類似する突
然変異を導入した。これらの突然変異および野生型クラスターを、GSTに融合
させ、融合タンパク質を細菌から精製した。野生型のSIP1NZFおよびSIP
CZFの双方が、Xbra−Eプローブに強く結合することを立証した。しかし
、同じ量の精製した突然変異クラスター/GST融合タンパク質(GST−NZ
F3、GST−NZF4、GST−CZF2およびGST−CZF3)では、X
bra−Eプローブとの結合は、これらの融合タンパク質のいずれによっても全
く検出できなかった。実際、これらの突然変異も、各クラスター(SIP1NZF
およびSIP1CZF)がCACCT部位に独立に結合できる能力を破壊する。
【0090】 次いで、同様な突然変異を、完全な大きさのSIP1に導入し(NZF3−M
ut、NZF4−Mut、CZF2−MutおよびCZF3−Mut)、これら
のSIP1突然変異体をCOS細胞内で、Mycタグ付きタンパク質として過剰
発現させた。異なる突然変異体の発現は、抗Myc抗体を用いたウエスタンブロ
ット分析によって確認し、正規化した。EMSAによって、WTSIP1は、X
bra−WTプローブに強く結合し、SIP1複合体が、抗Myc抗体との温置
の際にスーパーシフトされることが観察された。対照的に、完全な大きさのSI
P1の突然変異形態のうち、SIP1様複合体またはSIP1スーパーシフト複
合体を形成できたものは皆無であった。同じ観察が、αI4−WTプローブをプ
ローブとして用いたときになされた。結論として、完全な大きさのSIP1は、
その標的に結合するためには、完全な両ジンクフィンガークラスターの結合能を
必要とし、それは、必然的に二CACCT部位を含む。SIP1のリプレッサー
活性に対するこれらの突然変異の効果を、p3TP−Luxリポータープラスミ
ドを用いるとともに、トランスフェクションアッセイで試験した。このプラスミ
ドは、それぞれが一つのCACCTを有する、3コピーの、ヒトコラゲナーゼプ
ロモーターの−73〜−42の領域を網羅する配列を有する〔de Groot & Kruij
er, 1990〕。SIP1は、この多量体化した要素を含むフラグメントに結合した
が、NZF3−MutまたはCZF3−Mutは、いずれも、結合できなかった
。CHO細胞内でのSIP1の過剰発現は、p3TP−Luxの基底転写活性の
強い抑制へと導く。しかし、この抑制は、DNA結合に欠陥があるSIP1突然
変異体(NZF3−MutまたはCZF3−Mut)の過剰発現の際に、6〜7
倍低かった。したがって、SIP1のDNA結合と、最適な、すなわち野生型の
リプレッサー活性との双方に、両ジンクフィンガークラスターの完全性が必要で
ある。
【0091】 −SIP1は、DNAに単量体として結合する 両SIP1ジンクフィンガークラスターの完全性が、二CACCT配列とのそ
の結合に要求されるという所見は、SIP1が、各ジンクフィンガークラスター
が一CACCT部位に接触する、単量体として結合するか否かを試験するよう本
発明者らを促した。しかし、SIP1は、その標的部位に単量体として結合する
との仮説も立てることができる。このことは、二量体のSIP1タンパク質の一
方は、そのN末端ジンクフィンガークラスターを通じて一CACCT部位を結合
するが、第二のSIP1分子は、そのC末端ジンクフィンガークラスターを通じ
てDNAに接触すると思われることを意味し得る。結果的に、完全な大きさのS
IP1という文字列におけるNZFとCZFとの突然変異体の一定の組合せ(上
記を参照されたい)が、DNAを結合する二量体の立体配置を生じることになる
。既に示したとおり、試験したCZF突然変異とのNZFの組合せのうち、Xb
ra−WTプローブとの結合が検出できたものは皆無であった。これらの突然変
異が二量体形成にも影響すると思われることを除外することはできないが、同じ
突然変異が、DNA結合能とともに単量体−単量体相互作用にともに影響する可
能性は非常に低い。その上、異なる二つの突然変異体、すなわち一クラスター内
の異なる突然変異が、全く同じに振る舞うことになる可能性は非常に低い。した
がって、SIP1は、DNAに二量体としては結合しないと考えた。両ジンクフ
ィンガークラスターの完全性が、二つのCACCT配列とのSIP1の結合に要
求されるという所見は、SIP1が単量体として結合し、各ジンクフィンガーク
ラスターは、一つのCACCT部位に接触することを示唆する。しかし、SIP
1は、その標的部位を二量体として結合するとの仮説を立てることができる。こ
のことは、二量体のSIP1分子の一方は、そのN末端ジンクフィンガークラス
ターを通じて一CACCT部位を結合するが、第二のSIP1分子は、そのC末
端ジンクフィンガークラスターを通じてDNAに接触すると思われることを意味
すると思われる。両ジンクフィンガークラスターが結合に必要であることから、
DNAと作用し合わないジンクフィンガークラスターは、そうして、二量体形成
に関与すると思われる。結果的に、NZFとCZFとの突然変異体の何らかの組
合せ(上記を参照されたい)が、DNAを結合する二量体の立体配置を生じるこ
とになる。NZFとCZFとの突然変異の組合せのうち、Xbra−WTプロー
ブとの結合が検出できたものは皆無であった。これらの突然変異が潜在的な二量
体形成にも影響することを除外することはできないが、同じ突然変異が、DNA
結合能とともにタンパク質−タンパク質相互作用にともに影響する可能性は非常
に低い。その上、異なる二つの突然変異体、すなわち一クラスター内に異なる突
然変異を有するものが、同じに振る舞うことになる可能性は非常に低い。これら
の所見は、SIP1がDNAを二量体としては結合しないことを示す。両ジンク
フィンガークラスターの完全性が、二つのCACCT配列とのSIP1の結合に
要求されるという所見は、SIP1が単量体として結合し、各ジンクフィンガー
クラスターは、一つのCACCT部位に接触することを示唆する。しかし、SI
P1は、その標的部位を二量体として結合するとの仮説を立てることができる。
このことは、二量体のSIP1分子の一方は、そのN末端ジンクフィンガークラ
スターを通じて一CACCT部位を結合するが、第二のSIP1分子は、そのC
末端ジンクフィンガークラスターを通じてDNAに接触すると思われることを意
味すると思われる。両ジンクフィンガークラスターが結合に必要であることから
、DNAと作用し合わないジンクフィンガークラスターは、そうして、二量体形
成に関与すると思われる。結果的に、NZFとCZFとの突然変異体の何らかの
組合せ(上記を参照されたい)が、DNAを結合する二量体の立体配置を生じる
ことになる。NZFとCZFとの突然変異の組合せのうち、Xbra−WTプロ
ーブとの結合が検出できたものは皆無であった。これらの突然変異が潜在的な二
量体形成にも影響することを除外することはできないが、同じ突然変異が、DN
A結合能とともにタンパク質−タンパク質相互作用にともに影響する可能性は非
常に低い。その上、異なる二つの突然変異体、すなわち一クラスター内に異なる
突然変異を有するものが、同じに振る舞うことになる可能性は非常に低い。これ
らの所見は、SIP1がDNAを二量体としては結合しないことを示す。両ジン
クフィンガークラスターの完全性が、二つのCACCT配列とのSIP1の結合
に要求されるという所見は、SIP1が単量体として結合し、各ジンクフィンガ
ークラスターは、一つのCACCT部位に接触することを示唆する。しかし、S
IP1は、その標的部位を二量体として結合するとの仮説を立てることができる
。このことは、二量体のSIP1分子の一方は、そのN末端ジンクフィンガーク
ラスターを通じて一CACCT部位を結合するが、第二のSIP1分子は、その
C末端ジンクフィンガークラスターを通じてDNAに接触すると思われることを
意味すると思われる。両ジンクフィンガークラスターが結合に必要であることか
ら、DNAと作用し合わないジンクフィンガークラスターは、そうして、二量体
形成に関与すると思われる。結果的に、NZFとCZFとの突然変異体の何らか
の組合せ(上記を参照されたい)が、DNAを結合する二量体の立体配置を生じ
ることになる。図5Aに示したとおり、NZFとCZFとの突然変異の組合せの
うち、Xbra−WTプローブとの結合が検出できたものは皆無であった。これ
らの突然変異が潜在的な二量体形成にも影響すると思われることを除外すること
はできないが、同じ突然変異が、DNA結合能とともにタンパク質−タンパク質
相互作用にともに影響する可能性は非常に低い。その上、異なる二つの突然変異
体、すなわち一クラスター内に異なる突然変異を有するものが、同じに振る舞う
ことになる可能性は非常に低い。これらの所見は、SIP1がDNAを二量体と
しては結合しないことを示す。両ジンクフィンガークラスターの完全性が、二つ
のCACCT配列とのSIP1の結合に要求されるという所見は、SIP1が単
量体として結合し、各ジンクフィンガークラスターは、一つのCACCT部位に
接触することを示唆する。しかし、SIP1は、その標的部位を二量体として結
合するとの仮説を立てることができる。このことは、二量体のSIP1タンパク
質の一方は、そのN末端ジンクフィンガークラスターを通じて一CACCT部位
を結合するが、第二のSIP1分子は、そのC末端ジンクフィンガークラスター
を通じてDNAに接触すると思われることを意味することになる。両ジンクフィ
ンガークラスターが結合に必要であることから、DNAと作用し合わないジンク
フィンガークラスターは、そうして、二量体形成に関与すると思われる。結果的
に、NZFとCZFとの突然変異体の何らかの組合せ(上記を参照されたい)が
、DNAを結合する二量体の立体配置を生じることになる。図5Aに示したとお
り、NZFとCZFとの突然変異の組合せのうち、Xbra−WTプローブとの
結合が検出できたものは皆無であった。これらの突然変異が潜在的な二量体形成
にも影響することを除外することはできないが、同じ突然変異が、DNA結合能
とともにタンパク質−タンパク質相互作用にともに影響する可能性は非常に低い
。その上、異なる二つの突然変異体、すなわち一クラスター内に異なる突然変異
を有するものが、同じに振る舞うことになる可能性は非常に低い。これらの所見
は、SIP1がDNAを二量体としては結合しないことを示す。両ジンクフィン
ガークラスターの完全性が、二つのCACCT配列とのSIP1の結合に要求さ
れるという所見は、SIP1が単量体として結合し、各ジンクフィンガークラス
ターは、一つのCACCT部位に接触することを示唆する。しかし、SIP1は
、その標的部位を二量体として結合するとの仮説を立てることができる。このこ
とは、二量体のSIP1タンパク質の一方は、そのN末端ジンクフィンガークラ
スターを通じて一CACCT部位を結合するが、第二のSIP1分子は、そのC
末端ジンクフィンガークラスターを通じてDNAに接触すると思われることを意
味することになる。両ジンクフィンガークラスターが結合に必要であることから
、DNAと作用し合わないジンクフィンガークラスターは、そうして、二量体形
成に関与すると思われる。結果的に、NZFとCZFとの突然変異体の何らかの
組合せ(上記を参照されたい)が、DNAを結合する二量体の立体配置を生じる
ことになる。図5Aに示したとおり、NZFとCZFとの突然変異の組合せのう
ち、Xbra−WTプローブとの結合が検出できたものは皆無であった。これら
の突然変異が潜在的な二量体形成にも影響することを除外することはできないが
、同じ突然変異が、DNA結合能とともにタンパク質−タンパク質相互作用にと
もに影響する可能性は非常に低い。その上、異なる二つの突然変異体、すなわち
一クラスター内に異なる突然変異を有するものが、同じに振る舞うことになる可
能性は非常に低い。これらの所見は、SIP1がDNAを二量体としては結合し
ないことを示す。
【0092】 このことを実験的に取り扱うために、異なるタグを有するSIP1と、EMS
Aでのスーパーシフトの実験との組合せを用いた。初めに、Mycタグ付きおよ
び/またはFLAGタグ付きのSIP1FSを、COS細胞内に同等のレベルで別
個に生成し、両タンパク質が、類似の親和性でDNAに結合することを確認した
。Mycタグ付きSIP1で生成されたSIP1複合体は、FLAGタグ付き複
合体より僅かに遅い移動を有する(Mycタグは、FLAGタグより長い)。類
似の量のMycタグ付きおよびFLAGタグ付きSIP1をともに発現するCO
S細胞から調製した抽出物を、Xbra−WTプローブとともに温置し、EMS
Aに用いた。高速で移動するFLAGタグ付きSIP1複合体と、低速で移動す
るMycタグ付きSIP1複合体との組合せである、幅広いSIP1複合体の形
成が観察された。抗FLAG抗体を用いて、FLAGタグ付きSIP1に相当す
る、低い部分の複合体のみが、スーパーシフトされたのに対し、Mycタグ付き
SIP1複合体内には、約50%の放射能が残留した。このことは、後者のSI
P1複合体は、抗FLAG抗体ではスーパーシフトされないことを示す。逆に、
抽出物を抗Myc抗体とともに温置することは、Mycタグ付きSIP1に相当
する、低い部分の複合体のみが、スーパーシフトされたのに対し、放射能の50
%は、FLAGタグ付きSIP1複合体内に保持された。やはり、このことは、
抗Myc抗体でスーパーシフトされるFLAGタグ付きSIP1が皆無であるこ
とを示す。両抗体を用いて、Mycタグ付きおよびFLAGタグ付きスーパーシ
フト複合体に相当する、二つの同じスーパーシフトバンドがゲルの上部に観察さ
れた。SIP1二量体が形成されるとすれば、少なくともいくつかのヘテロ二量
体が、Mycタグ付きSIP1およびFLAGタグ付きSIP1から組み立てら
れるはずである。しかし、潜在的な二重スーパーシフト、すなわち抗Myc抗体
と抗FLAG抗体との双方でスーパーシフトされたようなその他のスーパーシフ
トバンドは、全く検出できなかった。したがって、この実験は、FLAGタグ付
きSIP1とMycタグ付きSIP1との間での検出できる二量体形成は、全く
示さなかった。
【0093】 最後に、COS細胞抽出物中のFLAGタグ付きSIP1を、大過剰量のDN
A結合部位の存在下で免疫沈降させた。しかし、Mycタグ付きSIP1の同時
免疫沈降は、実施できなかった。反対の実験、すなわち抗Myc抗体での免疫沈
降、および抗FLAG抗体での検出は、いかなるSIP1二量体も示さなかった
。考え併せると、これらの所見は、SIP1は、Xbra−WTプローブに単量
体として結合すると結論させる。
【0094】 −上流または下流いずれかのCACCTにおける突然変異は、トランスジェニッ
クカエル胚におけるXbra2プロモーターの異所性の活性へと導く SIP1は、ツメガエル属の胚で過剰発現されたとき、Xbra2プロモータ
ーに結合し、内在性Xbra2のmRNAの発現を抑制する〔Verschueren et a
l., 1999〕。Xbra2プロモーターのin vivoでの調節の際のCACCT配列
の重要性を解析するために、これらの突然変異が、トランスジェニック胚でのX
bra2プロモーター活性に影響するか否かを試験した。Xbra2プロモータ
ー配列を、緑色蛍光タンパク質(GFP)の上流に融合させ、このリポーターカ
セットを、遺伝子導入に用いた。内在性Xbra2のmRNA(周辺帯域に存在
)と比較して、2.1kb長のXbra2プロモーターフラグメントは、調節性要
素がここで試験したリポーターカセットを欠く可能性がある、オルガナイザー領
域以外の、胚の同じドメインにリポータータンパク質合成を生じるのに充分であ
る(胚の85%、第11期、n=57)ことが示された。
【0095】 プロモーターの下流CACCT部位内の、SIP1の結合を破壊し(Xbra
2−Mut1)、XbraDと同一である、単一の点突然変異は、リポータータ
ンパク質の空間的生成に重大な効果があった。すべての胚(n>30)が、内側
の外胚葉性の層での異所性発現を示した。上流CACCT配列内の突然変異も、
SIP1の結合に影響し:すべてのトランスジェニック胚(n>30)で、Xb
ra2−Mut1突然変異と同じ異所性発現が観察された。下流CACCTGの
CACCTAへの突然変異(Xbra2−Mut2)も、そのようなプローブと
のSIP1の結合に影響を及ぼした。この突然変異も、Xbra2の2.1kbの
プロモーターに導入したとき、試験したすべてのトランスジェニック胚でGFP
mRNAの異所性発現へと導いた。二CACCT配列間の本来の24bpの間隔取
りを3bp減少させる、突然変異(Xbra2−Mut3)も試験した。この突然
変異は、SIP1とのそのようなプローブの相互作用を弱めた。このことも、対
応するトランスジェニック胚に反映された(n=37)が:胚の35%は、野生
型Xbra2の2.1kbプロモーターフラグメントと同じ発現パターンを示し、
65%は、内側外胚葉層に継ぎ張り、または弱い連続的発現があった。
【0096】 こうして、EMSAでのSIP1結合親和性に対するこれらの突然変異の効果
と、表現型(リポーター遺伝子の異所性発現)およびそのin vivoでの浸透度と
の間の見事な相関が得られて、ツメガエル属の発生(第11期)の際のXbra
2発現の正常な調節における、SIP1標的部位の重要性を示した。それは、こ
れまで未知であったツメガエル属のSIP1様リプレッサーが、in vivoでXb
ra2の遺伝子発現を調節することも示唆する。加えて、それは、SIP1様因
子は、Xbra2のような標的プロモーターを調節するのに、二つの完全なCA
CCT部位を必要とすることを確認する。
【0097】 2.SIP1は、E−カドヘリンの下向調節によって浸潤を誘導する 結果 −SIP1の結合は、保存された二つのEボックスへの結合によって、E−カド
ヘリンのプロモーター活性を抑制する SIP1の結合が、ヒトE−カドヘリンプロモーター(−308/+41)の
転写活性に影響するか否かを解明するため、完全長SIP1を、E−カドヘリン
プロモーター駆動のリポーター構成体とともにE−カドヘリン陽性細胞系のNM
e(マウス)、MDCK(イヌ)およびMCF7/AZ(ヒト)で一過的に同時
発現させた。SIP1の発現は、ヒトE−カドヘリンのプロモーター活性の80
%の低下へと導いた。保存された二つのEボックスに対するSIP1の結合特異
性を取り扱うために、上流E−box1(−75)もしくは下流E−box3(
−25)のいずれかにか、または両Eボックスに同時に、突然変異誘発を実施し
た。SIP1cDNAおよび突然変異E−カドヘリンプロモーター構成体によっ
て、同時トランスフェクションを実施したとき〔68〕、ヒトE−カドヘリンの
プロモーター活性の脱抑制が一貫して示された。加えて、突然変異させたSIP
1構成体を、ヒトE−カドヘリンプロモーターと同時トランスフェクションした
。N末端またはC末端ジンクフィンガークラスターの突然変異は、E−カドヘリ
ンのプロモーター活性の僅かな脱抑制のみを招いた。興味深いことに、ヒトE−
カドヘリンプロモーターとSIP1二重突然変異体との同時トランスフェクショ
ンは、両ジンクフィンガークラスターに影響を及ぼして、E−カドヘリンのプロ
モーター活性のSIP1介在性抑制の顕著な喪失を招いた。したがって、SIP
1は、二つのEボックスに結合することによってE−カドヘリンのプロモーター
活性を抑制し、二つのジンクフィンガークラスターは、実際に、E−カドヘリン
のプロモーター活性の完全な抑制に必要であると結論することができる。
【0098】 −SIP1の誘導できる発現は、E−カドヘリンタンパク質およびmRNAの用
量依存性の喪失を招く SIP1は、内在性E−カドヘリンの発現レベルに影響するか否かを解明する
ため、tTAトランスアクチベーターの高い発現を有する、E−カドヘリン陽性
のMDCK−Tetoff細胞を、応答性tTA要素の制御下でMyc6タグ付
き完全長マウスSIP1cDNAを発現するプラスミドで安定的にトランスフェ
クションした。SIP1を誘導するために、細胞を、テトラサイクリンなしで3
日間増殖させた。クローニングした代表的なトランスフェクタントの免疫蛍光法
による、E−カドヘリンおよびSIP1の分析は、細胞−細胞接触個所での典型
的な蜂の巣状のE−カドヘリン発現パターンの全喪失と同時の、核内に誘導され
たSIP1を明らかにした。ウエスタンブロット分析は、これらの結果を確認し
た。SIP1誘導は、2μg/mlに等しいか、またはそれ以下のテトラサイクリン
濃度で生じた。テトラサイクリン濃度を徐々に低下させるにつれて、E−カドヘ
リンは、より強く抑制され、これは、SIP1の蓄積と逆相関関係があった。さ
らに、E−カドヘリンをアクチン細胞骨格に結合するカテニンが、SIP1発現
によって影響されるかを調べた。ウエスタンブロット分析したところ、αE−カ
テニンまたはβ−カテニンは、いずれも、影響されたようには見えず、このこと
は、免疫蛍光法によって確認された。非誘導および誘導細胞の双方の、等量の総
RNAを、ノーザンブロット分析によって解析した。E−カドヘリン特異的プロ
ーブとのハイブリダイゼーションの後、SIP1発現細胞は、E−カドヘリンm
RNAをほとんど示さなかったのに対し、非誘導細胞(+tet)は、正常量の
E−カドヘリンmRNAを発現した。これらの結果は、SIP1発現の誘導が、
mRNAの下向調節を通じて内在性E−カドヘリン発現に影響するとおり、リポ
ーターアッセイのそれを確認する。
【0099】 −ヒト癌腫細胞系におけるSIP1発現 一連のE−カドヘリン陰性および陽性細胞系におけるSIP1の発現を検査す
るため、ノーザンブロット分析を実施した。δEF1ファミリーの他の成員との
あり得る交差ハイブリダイゼーションを避けるため、適切なマウスおよびヒトS
IP1cDNAフラグメントをプローブとして用いた。SIP1発現とE−カド
ヘリン発現との間の明快な強い逆相関が注目された。ヒト繊維芽細胞で、SIP
1の高い発現が見出され、SIP1の最も優勢な発現は、メチル化E−カドヘリ
ンプロモーターを有することが報告されている〔53〕、E−カドヘリン陰性癌
腫細胞で見出された。記載された細胞系におけるSIP1の発現レベルは、E−
カドヘリン陰性細胞系におけるSnailmRNAの発現と共通するため〔66
〕、本発明の条件付きSIP1発現細胞系のMDCK−Tetoff−SIP1
におけるSnailの発現レベルを探索した。Snailの発現は、SIP1の
誘導後は検出できなかった。E−カドヘリンの抑制は、本発明者らの細胞系では
Snailに関係しない。
【0100】 −SIP1は、細胞−細胞接着の喪失および浸潤を促進することによって、悪性
の表現型を増強する E−カドヘリンは、周知の浸潤抑制因子の分子であるため〔47〕、SIP1
の誘導が、細胞をより浸潤性の表現型に切り換えるか否かを取り扱った。細胞凝
集アッセイを、非誘導MDCK−Tetoff−SIP1細胞に対して、誘導さ
れたそれと対比して実施した。非誘導MDCK−Tetoff−SIP1細胞は
、30分後に有意な凝集を示したが、SIP1の誘導は、正常な細胞−細胞凝集
を、E−カドヘリン遮断性抗体のDECMA−1と同程度まで減殺した。コラー
ゲンI型ゲルへの浸潤は、SIP1によって、DECMA−1抗体によるのと同
様に効率的に誘導された。
【0101】 −SIP1発現は、一方向性細胞移動の低下を招く 細胞移動に対するE−カドヘリンの役割は、遮断性E−カドヘリンを、一方向
性細胞移動の低下を招く、特異的抗体とともに用いることによって立証された〔
72〕。E−カドヘリンの下向調節による、異なる細胞移動に対するSIP1発
現の効果を、誘導可能なMDCK−Tetoff−SIP1発現細胞系における
創傷アッセイで調べた。SIP1の誘導は、より低い一方向性細胞移動を招くこ
とを立証することができた。E−カドヘリン介在細胞−細胞接触の下向調節は、
一方向性移動の撹乱を招く。
【0102】 (考察) 浸潤および転移は、腫瘍の進行における最も決定的な段階である。癌腫細胞の
悪性は、細胞−細胞接着および細胞分化の喪失によって特徴付けられ、E−カド
ヘリンの下向調節と負の相関関係にあることがしばしば報告されている。E−カ
ドヘリン発現の喪失は、転写の調節不全に帰されている〔52、73〕。本明細
書で本発明者らは、ジンクフィンガータンパク質のSIP1について、それが、
最小E−カドヘリンプロモーターに存在する保存されたEボックスに結合するこ
とによって、E−カドヘリンの発現を転写レベルで抑制することを示す。二つの
Eボックスに対するSIP1の特異的結合は、SIP1のジンクフィンガークラ
スター、またはE−カドヘリンプロモーター中のEボックス配列のいずれかの突
然変異誘発によって確認された。実際、そのような突然変異は、SIP1による
E−カドヘリンプロモーター活性の抑制の喪失を招いた。これらの結果は、Eボ
ックスの同等の突然変異が、野生型プロモーターが低い活性を示す、E−カドヘ
リン陰性細胞系におけるE−カドヘリンプロモーター活性の上向調節を招いたと
いう所見〔56、58〕と両立可能である。転写リプレッサーであるSIP1の
安定的なトランスフェクションは、mRNAおよびタンパク質レベル双方でのE
−カドヘリンの下向調節を誘導する。創傷アッセイは、SIP1が、機能性E−
カドヘリンの細胞−細胞接触が介在する一方向性移動に干渉することを立証する
。より弱い細胞−細胞接触は、より多方向性の上皮細胞の移動を招く。下向調節
されたE−カドヘリンと、上向調節されたSIP1発現との衝撃的な相関関係が
、様々なヒト腫瘍細胞で認められた。最後に、本明細書で、SIP1発現による
E−カドヘリンの下向調節は、浸潤能の顕著な増大も伴うことが立証された。そ
のため、SIP1は、E−カドヘリンプロモーターとのその結合による浸潤誘導
因子と見なすことができる。転写リプレッサーであるSnailも、Eボックス
を特異的に結合して、転写E−カドヘリンの抑制を招くこと〔66、67〕は、
本発明者らの研究におけるE−カドヘリンの抑制が、Snail介在性であるか
否かという疑問を提起した。SnailmRNAの上向調節は、条件付きSIP
1発現性のMDCK−Tetoff−SIP1細胞系で検出することができなか
った。これらのデータは、SIP1を、本発明者らの細胞系における転写E−カ
ドヘリンの抑制のエフェクターと見なすようにさせる。この理念は、Eボックス
の突然変異が、SIP1と同時トランスフェクションされたとき、E−カドヘリ
ンプロモーターの抑制の低下に対する、より大規模な効果を有するという事実に
よって裏付けられた。SIP1と同時トランスフェクションされたときの、E−
カドヘリンのプロモーター活性の脱抑制は、Eボックスの単一突然変異によって
既に検出された。Snail同時トランスフェクションについては、明確な脱抑
制効果は、より多くのEボックスをヒトE−カドヘリンプロモーター内で突然変
異させたときにのみ認められたにすぎない〔66〕。乳癌細胞系のMDA−MB
435SおよびMDA−MB231におけるSIP1の高い発現は、顕著である
。これらの腫瘍細胞系は、過メチル化されたE−カドヘリンプロモーターを有す
ることが記載されている〔53〕。しかし、このことが、内在性E−カドヘリン
プロモーターのSIP1による抑制に対する重要な役割を排除してはならない。
これらの細胞系では、Eボックスの突然変異は、内在性E−カドヘリンのプロモ
ーター活性を強く再活性化する。実際、最近の研究は、多くの転写因子が、染色
体改変活性を有する多タンパク質複合体を、DNA上の特定の部位に動員するこ
とによって機能することを明確にした〔74〕。もう一つのSmad相互作用性
転写因子であるTGIFが、ヒストンデアセチラーゼに付随することは既に示さ
れた〔75〕。そのため、DNAメチル化および染色体濃縮は、ヒストン脱アセ
チル化と相乗的に作用して、遺伝子転写を抑制することがあり得る〔76〕。
【0103】 (材料および方法) 細胞培養および試薬 MDCK−Tetoff細胞系は、Clontech(Palo Alto、米国)から入手し
た。この細胞系は、Madin Darby Canine Kidney(MDCK)II型上皮細胞系に
由来し、Tet−offトランスアクチベーター、すなわちtTAを安定的に発
現する〔77〕。MCF7/AZ細胞系は、MCF7、すなわちヒト乳癌細胞系
に由来する細胞系である〔78〕。NMe細胞系は、NMuMGのE−カドヘリ
ン発現性サブクローン、すなわち正常マウスの乳腺からの上皮細胞系である〔4
7〕。MDA−MB231は、ヒト乳癌細胞系である(ATCC, Manassas, VA)。
【0104】 プラスミド 完全な大きさのマウスSIP1cDNA配列を、pCS2に由来する、Myc
タグを有するpCS3という真核生物発現ベクター〔69〕にクローニングした
。得られたプラスミドを、pCS3−SIP1FSと名付けた。SIP1のジン
クフィンガークラスターの突然変異誘発は、Remacleら〔68〕によって記載さ
れている。誘導可能ベクターであるpUHD10.3SIP1の構築のため、p
CS3SIP1FSからのClaI/XbaIフラグメントをEcoRI/Xbal切断pUHD
10.3ベクターにクローニングした〔79〕。SIP1フラグメントのClaI部
位、およびこのベクターのEcoRI部位を、Pfuポリメラーゼ(Stratagene, La
Jolla, CA)を用いて末端平滑化した。E−カドヘリンのプロモーター配列(−
341/+41)を、ヒトMCF7/AZ細胞系からのゲノムDNAに対するP
CRによって得た。用いたPCRプライマーは:5′-ACAAAAGAACTC
AGCCAAGTG-3′、および5′-CCGCAAGCTCACAGGTGC-3
′である。効率的な増幅のために、GC融成物キット(Clontech, Palo Alto, C
A)を用いた。PCR生成物を、末端平滑化し、キナーゼ処理し、次いでpGL
3basicベクター(Promega, Madison, WA)にクローニングし、これをSrfI
部位で開裂した。このルシフェラーゼリポーター構成体のKpnI−HindIII部位を
用いることによって、E−カドヘリンプロモーターもpGL3エンハンサーベク
ターに移転した。ヒトE−カドヘリンプロモーターにおけるEボックスの突然変
異誘発は、QuickChange Site-Directed Mutagenesisキット(Stratagene)によ
って、下記のプライマーを用いることによって実施した:前進プライマーEボッ
クス1:5′-gctgtggccggCAGATGaaccctcag-3′;逆進プライマーEボックス1:
5′-ctgagggttCATCTGccggccacagc-3′;前進プライマーEボックス3:5′-gctc
cgggctCATCTGgctgcagc-3′;逆進プライマーEボックス3:5′-gctgcagcCAGATG
agccccggagc-3′。
【0105】 細胞の安定的トランスフェクション MDCK−Tetoff細胞系の安定的トランスフェクションのために、Lipo
fectAMINE PLUS(登録商標)(Gibco BRL, Rochville、米国)の方法を用いた。
2,000個の細胞を、75cm2ファルコンで24時間増殖させ、次いで、pU
HD10.3−SIP1プラスミド30μg、プラスpPHTプラスミド3μgで
トランスフェクションした。後者は、pPNTの誘導体であり、ヒグロマイシン
に対する耐性を与える〔80〕。安定的なMDCK−Tetoffトランスフェ
クタント、すなわちMDCK−Tetoff−SIP1は、ヒグロマイシンB(
150単位/ml)(Duchefa Biochemie, Haarlem、オランダ国)によって2週間
にわたって選別した。SIP1の誘導は、テトラサイクリン(1μg/ml)(Sigm
a Chemicals、米国)を加えることによって阻害した。SIP1の発現は、サブ
クローニングの時点でテトラサイクリンを洗い落とすことによって実施した。信
頼できる誘導特性を有する安定的なクローンを、抗Mycタグ抗体を用いた免疫
蛍光法によって特定した。
【0106】 プロモーターリポーターアッセイ FuGENE 6(Roche, Basel、スイス国)を用いることによって、MCF7/AZ
細胞を一過的にトランスフェクションした。NMeおよびMDA−MB231を
、LIPOFECTAMINE(Gibco BRL, Rochville、米国)の手順でトランスフェクショ
ンし、親MCDK細胞系を、LIPOFECTAMINEPLUS(Gibco BRL, Rochville、米国
)で一過的にトランスフェクションした。一過性トランスフェクションのために
は、ウェル10cm2あたり約200,000個の細胞を播種した。24時間温置した後、
各プラスミド型DNA600ngをトランスフェクションした。培地は、トランス
フェクションの24時間後に更新した。細胞を、3日後にGalacto-Star(登録商
標)キット(Tropix, Bedford, MA)の溶菌液中で溶解させた。トランスフェク
ションの正規化は、同時トランスフェクションしたpUT651プラスミド(Eu
rogentec, Seraing、ベルギー国)がコードしているβ−ガラクトシダーゼの測
定によって実施した。ルシフェラーゼ基質を各サンプルに加えた。β−ガラクト
シダーゼの検出のためには、化学ルミネッセンス基質(Tropix, Bedford, MA)
を供給した。ルシフェラーゼおよびβ−ガラクトシダーゼ活性は、Topcount Mic
roplate Scintillation Reader(Packard Instrument Co., Meriden, CT)で検
定した。
【0107】 ノーザンブロット分析 総RNAを、RNeasyキット(Qiagen, Chatsworth, CA)により、製造者のプロ
トコルに従って単離した。総RNAを、グリオキシル化し、1%アガロースゲル
上でサイズ分画し、Hybond-N+膜(Amersham Pharmacia Biotech, Rainhalm、英
国)に移転した。ハイブリダイゼーションは、前記のとおり〔81〕実施した。
マウスSIP1プローブ(459bp)は、マウスSIP1cDNAのEcoRI消化
によって生成した。ヒトSIP1プローブ(707bp)は、Kiaa 0569クローン
(Kazusa DNA Research Institute)上でBstEII−NotI消化によって生成した。
用いたマウスE−カドヘリンプローブは、マウスE−カドヘリンcDNAのSacI
フラグメント(500bp)であった。二つの縮重プライマー:5′ CTTCCA
GCAGCCCTACGAYCARGCNCA 3′;5′ GGGTGTGGGA
CCGGATRTGCATYTTNAT 3′を用いて、イヌSnailcDNA
のフラグメントを、MDCK細胞系の総cDNA集団から増幅した。増幅された
バンドのクローニングおよび配列決定は、432bpのcDNAフラグメントを明
らかに示した。装荷されるRNAの量を制御するために、GAPDHプローブを
同じブロットで用いた。放射性バンドの定量は、PhosphorImager 425(BioRad,
Richmond, CA)によって実施した。
【0108】 免疫蛍光アッセイおよび抗体 問題の細胞を、カバーグラス上で増殖させた。固定は、標準的手順によった〔
82〕。下記の抗体を用いた:マウスとイヌのE−カドヘリンを認識する、ラッ
トモノクローナル抗体DECMA−1(Sigma, Irvine、英国)、およびマウス
抗Mycタグ抗体(Oncogene, Cambridge, MA)。用いた二次抗体は、Alexa 488
カップリング抗ラットIgおよびAlexa 594カップリング抗マウスIgであった
【0109】 細胞凝集アッセイ 単細胞懸濁液は、E−カドヘリン救済手順〔83〕に従って調製した。細胞を
、1.25mMCa2+を含有する等張緩衝液中で、80rpmで30分間の回転振盪
下(New Brunswick Scientific, New Brunswick, NJ)で温置した。粒径は、コ
ールター粒度計LS2000(Couter, Lake Placid, NY)で、開始時(N0)、
および温置の30分後(N30)に測定し、体積分布の百分率に対してプロットし
た。
【0110】 コラーゲン浸潤アッセイ 6穴プレートに、1ウェルあたり1.25mlの中和したI型コラーゲン(Upst
ate Biotechnoloty, Lake Placid, NY)を充填した。ゲル化には、37℃で少な
くとも1時間の温置が必要とされた。単細胞懸濁液を、コラーゲンゲルの上端に
播種し、培養体を37℃で24時間温置した。コンピュータプログラムによって
制御される倒立顕微鏡を用いて、浸潤性および表面性の細胞を、0.157mm2
の12視野で計数した。浸潤指数は、ゲルに侵入する細胞の細胞総数に対する百
分率を表す〔84〕。
【0111】 創傷アッセイ 創傷アッセイは、前記のとおり〔85〕実施した。略述すると、傷ついた単層
を、テトラサイクリンの存在または不在下で、血清除去培地中で24時間培養し
た。細胞の移動を、創傷の距離を測定することによって査定した。移動の結果は
、創傷の距離の平均値として表される。
【0112】
【表3】
【図面の簡単な説明】
【図1】 Zfh−1、SIP1およびδEF1、ならびにSIP1およびδEF1ジン
クフィンガーの整列の模式的表現を示す図である。(A)マウスδEF1(1,
117アミノ酸)およびSIP1(1,214アミノ酸)の模式的表現。黒い矩
形は、CCHHジンクフィンガーを表し、白い矩形は、CCHCジンクフィンガ
ーである。ホメオドメイン様ドメイン(HD)は、楕円として描かれている。百
分率は、異なるドメイン間の相同性を表す。この研究に用いたSIP1というポ
リペプチドは、それらの座標とともに描かれている。SBD:Smad結合ドメ
イン〔Verschueren et al., 1999〕。(B)SIP1およびδEF1のジンクフ
ィンガーからのアミノ酸配列の整列。縦の棒は、配列同一性を示す。ジンクフィ
ンガーを形成する、保存されたシステインおよびヒスチジン残基は、太字で印刷
し、星印で示した。ジンクフィンガー内の、DNAと接触できる残基は、矢印で
示した。(C)それぞれ、ジンクフィンガーの分子内保存を立証する、SIP1 NZF3+NZF4 とSIP1CZF2+CZF3およびδEF1NZF3+NZF4とδEF1CZF2+CZF3
タンパク質配列の整列。
【図2】 SIP1の可能なDNA結合の機序を示す図である。モデル1:SIP1は、
単量体としてDNAと結合する。モデル2:SIP1は、二量体としてDNAと
結合する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C07K 14/435 C12Q 1/02 4H045 C12Q 1/02 1/68 A 1/68 G01N 33/15 Z G01N 33/15 33/50 Z 33/50 C12N 15/00 ZNAA (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,MZ,SD,SL,SZ,TZ,UG ,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD, RU,TJ,TM),AE,AG,AL,AM,AT, AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,CA,C H,CN,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DZ ,EE,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM, HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,K G,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT ,LU,LV,MA,MD,MG,MK,MN,MW, MX,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,S E,SG,SI,SK,SL,TJ,TM,TR,TT ,TZ,UA,UG,US,UZ,VN,YU,ZA, ZW (72)発明者 フェルスヒューレン,クリスティン ベルギー国、ベー−3078 エーフェルベル フ、トウェー・レーウウェンストラート 22 (72)発明者 レマクル,ジャック ベルギー国、ベー−4280 アンニュ、アブ ニュ・デ・リラ 7 Fターム(参考) 2G045 BB20 DA12 DA13 DA14 DA36 FA16 FB02 FB07 4B024 AA20 BA80 CA01 CA09 DA02 FA02 4B063 QA01 QA08 QA18 QQ08 QQ42 QQ79 QR32 QR48 QR55 QR77 QS34 4C084 AA17 ZB262 4C085 AA14 BB11 DD62 4H045 AA10 AA30 FA74

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アクチベーターおよび/またはリプレッサーのような転写因
    子を同定する方法であって、潜在的転写因子をコードしているライブラリーをス
    クリーニングするためのおとりとして、少なくとも配列CACCT、好ましくは
    CACCT配列を2回含む核酸配列を細胞に与え、特異性試験を実施して、該因
    子を単離することを含む方法。
  2. 【請求項2】 アクチベーターおよび/またはリプレッサーのような転写因
    子を同定する方法であって、おとりとして、配列CACCT−N−CACCT、
    CACCT−N−AGGTG、AGGTG−N−CACCTまたはAGGTG−
    N−AGGTG(Nは、スペーサー配列である)のうちの一つを含む核酸配列を
    細胞に与えることを含む方法。
  3. 【請求項3】 転写因子が、ジンクフィンガーの分離したクラスターを含む
    ことを特徴とする、請求項1または2記載の方法。
  4. 【請求項4】 配列が、プロモーター領域を起源とする、請求項1〜3のい
    ずれか一項に記載の方法。
  5. 【請求項5】 プロモーター領域が、ブラキュリ、α4−インテグリン、フ
    ォリスタチンまたはE−カドヘリンから選ばれる、請求項4記載の方法。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法によって得られる
    転写因子。
  7. 【請求項7】 請求項6に定義された転写因子に対して干渉能を有する化合
    物を同定する方法であって、 (a)同定しようとする潜在的化合物を含むサンプルを、(i)おとりとしての
    、配列CACCT−N−CACCT、CACCT−N−AGGTG、AGGTG
    −N−CACCTまたはAGGTG−N−AGGTG(Nは、スペーサー配列で
    ある)のうちの一つを含むヌクレオチド配列、および(ii)該ヌクレオチド配列
    と結合することができるタンパク質を含む試験系に加え、 (b)該サンプルを該系内で、該化合物またはその誘導体もしくはその相対物と
    該タンパク質との相互作用を可能にするのに充分な期間温置し、 (c)該ヌクレオチド配列に結合したタンパク質の量および/または活性を該添
    加の前後で比較し、そして (d)該化合物を同定し、場合により単離かつ/または精製する ことを含む方法。
  8. 【請求項8】 タンパク質が、Smad相互作用性タンパク質である、請求
    項7記載の方法。
  9. 【請求項9】 該Smad相互作用性タンパク質が、SIP1である、請求
    項8記載の方法。
  10. 【請求項10】 請求項7〜9のいずれか一項に記載の方法によって得るこ
    とができる化合物。
  11. 【請求項11】 E−カドヘリン発現の調節をSIP1によって変更する、
    請求項10記載の化合物。
  12. 【請求項12】 医薬として用いるための、請求項10又は11に記載の化
    合物。
  13. 【請求項13】 腫瘍の浸潤および/または転移を予防する医薬の製造のた
    めの、請求項10又は11に記載の化合物の使用。
  14. 【請求項14】 請求項7記載の方法を実施するための試験キットであって
    、少なくとも(i)配列CACCT−N−CACCT、CACCT−N−AGG
    TG、AGGTG−N−CACCTまたはAGGTG−N−AGGTG(Nは、
    スペーサー配列である)のうち一つを含むヌクレオチド配列、および(ii)該ヌ
    クレオチド配列と結合することができるタンパク質を含む試験キット。
  15. 【請求項15】 請求項2記載の方法を実施するための試験キットであって
    、少なくとも配列CACCT−N−CACCT、CACCT−N−AGGTG、
    AGGTG−N−CACCTまたはAGGTG−N−AGGTG(Nは、スペー
    サー配列である)のうち一つを含む核酸配列を含む試験キット。
  16. 【請求項16】 第一の相互作用性タンパク質と第二の相互作用性タンパク
    質との相互作用を検出する方法であって、 (a)適する宿主細胞に、配列CACCT−N−CACCT、CACCT−N−
    AGGTG、AGGTG−N−CACCTまたはAGGTG−N−AGGTG(
    Nは、スペーサー配列である)のうち一つを含む核酸配列と結合することができ
    るDNA結合ドメインに融合された、第一の相互作用性タンパク質を含む第一の
    融合タンパク質を与え、 (b)該適する宿主細胞に、配列CACCT−N−CACCT、CACCT−N
    −AGGTG、AGGTG−N−CACCTまたはAGGTG−N−AGGTG
    (Nは、スペーサー配列である)のうち一つを含む核酸配列と結合することがで
    きるDNA結合ドメインに融合された、第二の相互作用性タンパク質を含む第二
    の融合タンパク質を与え、 (c)該宿主細胞を、第一の相互作用性タンパク質と第二の相互作用性タンパク
    質とを密接に接近させる条件に付し、そして該宿主細胞内に存在し、該核酸配列
    に隣接して位置する検出可能な遺伝子が、第一および第二の相互作用性タンパク
    質間の相互作用の不在下で発現された場合より大きい程度に発現されたか否かを
    決定する ことを含む方法。
  17. 【請求項17】 配列CACCT−N−CACCT、CACCT−N−AG
    GTG、AGGTG−N−CACCTまたはAGGTG−N−AGGTG(Nは
    、スペーサー配列である)のうち一つを含む単離された核酸配列。
  18. 【請求項18】 新規の標的遺伝子を特定するための、少なくとも配列CA
    CCTを含む核酸配列、好ましくは配列CACCT−N−CACCT、CACC
    T−N−AGGTG、AGGTG−N−CACCTまたはAGGTG−N−AG
    GTG(Nは、スペーサー配列である)のうち一つを含む核酸配列の使用。
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